JP2003516136A - 肝炎ウイルスセンチネルウイルスi(svi) - Google Patents

肝炎ウイルスセンチネルウイルスi(svi)

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JP2003516136A JP2001543596A JP2001543596A JP2003516136A JP 2003516136 A JP2003516136 A JP 2003516136A JP 2001543596 A JP2001543596 A JP 2001543596A JP 2001543596 A JP2001543596 A JP 2001543596A JP 2003516136 A JP2003516136 A JP 2003516136A
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seq
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polynucleotide
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リウ,ジェン−クエイ
ベーンツキー,ロイ,エイ.
リン,ユー−フエイ
チェン,ベンジャミン,ピー.
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ロシュ ダイアグノスティックス ゲーエムベーハー
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、SVIと命名された新たなグループのウイルスに関する。単離されたSVIウイルス、SVIウイルス由来のポリヌクレオトヂ及びタンパク質SVIウイルス及びSVIウイルスタンパク質に結合する抗体が提供される。本発明のポリヌクレオチド、タンパク質および抗体は、VIウイルスまたは疑いのある個体におけるSVIウイルスによる感染を検出するのに用いてもよい。さらに、本発明のポリヌクレオチドを、組換え発現ベクターに挿入し、ウイルスタンパク質の組換え生産してもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 技術分野 本発明は、一般的に、肝炎ウイルスの分野、より詳しくは、肝炎ウイルスの新
規グループ、ならびにそれらの検出と治療とのための方法および組成物に関する
【0002】 背景 厳密に定義した場合、用語「肝炎」とは、肝臓の炎症をいう。様々な異なる化
学的因子(agent) 、ウイルス性因子および生物学的因子は、肝炎を誘導するであ
ろう。しかし、肝炎の用語は、より一般的には、ウイルス性感染、特に向肝性の
ウイルス感染によって引き起こされる肝臓の炎症をいう。
【0003】 ウイルス性肝炎は、急性および慢性の2つの大きなカテゴリーに分けられうる
。急性のウイルス性肝炎は、黄疸、倦怠感、吐き気および血中肝酵素の上昇を特
徴とする。ウイルス性肝炎のほとんどの症例は自然に消散するが、急性肝炎罹患
者の一部(一般には約10%未満)は、罹病率および死亡率が非常に大きい疾患
である劇症の壊死性肝炎を発症する。興味深いことに、急性肝炎の多くの症例は
、気付かずに終わるか、または「流感」として片付けられるほど軽症である。慢
性肝炎は、はるかにより大きな公衆衛生問題を引き起こし、そして米国における
肝臓移植の最も一般的な理由である。慢性肝炎は、急性肝炎に類似する症状を有
する悪化(exacerbations) または「激化(flare ups) 」、ならびに肝不全を引き
起こす門脈高圧症および肝硬変(肝臓の傷痕化)を特徴とする。急性肝炎の感染
は気付かれずに進行し得るので、多くの慢性肝炎患者は、患者の病気が完全に進
行するまでは診断されず、このため、処置に対する選択肢は限定されている。
【0004】 「肝炎ウイルス」と呼ばれる6つの異なるウイルスファミリーが存在する(A
、B、C、D、EおよびG;人為的であることが明らかにされているF)。先進
国においては、慢性的な感染症を生じさせ得るこれらの肝炎ウイルスは、一般に
、公衆衛生の観点から最も重要なウイルスであると見なされている。肝炎ウイル
スの中で、B型肝炎ウイルスおよびC型肝炎ウイルスは、慢性肝炎に関連する慢
性的な感染症を生じさせることが唯一知られている肝炎ウイルスである。しかし
、HBVおよびHCVは輸血肝炎のすべての症例の原因ではない。用語「突発性
肝炎」および用語「非A−G」が、公知の肝炎ウイルスが原因であるとは考えら
れない輸血肝炎を示すために使用されている。
【0005】 以前には「輸血肝炎」と呼ばれていたB型肝炎は、経皮的経路、性的経路およ
び垂直的経路によって伝播される。ヘパドナウイルス(hepadnaviridae)科のメン
バーであるB型肝炎ウイルスは急性肝炎および慢性肝炎の両方を生じさうること
がある。B型肝炎ウイルス(HBV)は十分に特徴付けられており、現在、様々
なスクリーニングアッセイおよび診断アッセイを使用してもよい。さらに、現在
では米国におけるほとんどの就学年齢児童に義務付けられている組換えワクチン
が作製されている。
【0006】 以前には「非A、非B肝炎」として知られていたC型肝炎は、主に経皮的経路
によって伝播するが、HBVと同様に、性的および垂直的な伝播もまおこる。急
性C型肝炎ウイルス(HCV)感染者の少数のみが臨床的に明らかにされるだけ
である。このことは、このウイルスが慢性的な感染症を非常に大きな割合で生じ
させているので問題である。この組合せにより、慢性的なHCV感染が米国にお
ける肝臓移植の主たる理由になっている。
【0007】 献血された血液における抗HBV抗体および/または抗HCV抗体を検出する
スクリーニングアッセイが出現したことにより、「輸血肝炎」の伝播が実質的に
低下している。しかし、感染性血液の献血の20%〜30%は、依然として検出
されずにいる。これらの感染性試料を検出できないことは、主として、1以上の
未だ同定されていない肝炎ウイルスの存在によると考えられる。
【0008】 より近年において、6つの公知の肝炎ウイルスに加えて、新しい肝炎関連ウイ
ルスもまた同定されている。TTVとして知られるこのウイルスは、リプレゼン
テーションディファレンス解析(RDA)技術を使用してウイルスからゲノム配
列を同定した日本人のグループによって最初に同定された(Nishizawa
ら、1997、Biochem.Biophys.Res.Commun.24
1(1):92〜97)。このウイルスは、パルボウイルス科(parvoviridae)の
メンバーであると最初は考えられていたが、パルボウイルスの浮遊密度よりも著
しく小さい浮遊密度を有する比較的小さいウイルスである。TTVは、その環状
の一本鎖DNAゲノムのためにシルシノウイルス科(circinoviridae)として知ら
れるウイルスファミリーの原型ヒトメンバーとして提案されている(Musha
hwarら、1999、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、96
(6):3177〜3182)。
【0009】 近年、Diasorin,Inc.が、新しい肝炎ウイルスを単離したと発表
している。SEN−Vと名付けられたこのウイルスは、主として、非A/非E肝
炎または突発性肝炎の患者を含む肝炎患者の血液試料に見出される。SEN−V
のポリヌクレオチド配列およびその単離方法はいずれも開示されていない。
【0010】 従って、非A/非G型肝炎を検出するための組成物および方法、ならびに非A
/非G型肝炎の感染を予防するための組成物および方法がこの分野では求められ
ている。
【0011】 発明の概要 本発明は、以下を提供する: 1)単離されたSVIウイルスを含有した組成物。単離されたSVIウイルス
の例としては、配列番号:1〜配列番号:5のいずれかのポリヌクレオチド配列
を含有した単離されたウイルスが挙げられる。
【0012】 2)配列番号:1〜配列番号:5のいずれかのヌクレオチド配列に選択的にハ
イブリダイズし得る単離されたポリヌクレオチドを含む単離されたポリヌクレオ
チドおよびその相補体、前記単離されたポリヌクレオチドはSANBANおよび
TUS01のTTV株のゲノム配列とは異なるものであり、かつ単離されたSV
Iタンパク質またはそのフラグメントをコードする単離されたポリヌクレオチド
およびその相補体。単離されたポリヌクレオチドはアンチセンスポリヌクレオチ
ドであってもよい。
【0013】 3)SANBANおよびTUS01のTTV株のタンパク質とは血清学的に異
なるものである、単離されたSVIタンパク質またはそのフラグメントを含有し
た組成物。
【0014】 4)SANBANおよびTUS01のTTV株のタンパク質とは血清学的に異
なるものである、単離されたSVIタンパク質またはそのフラグメントを含有し
たワクチン組成物。ワクチン組成物は薬学上許容されうる賦形剤および/または
アジュバントを含んでもよい。
【0015】 5)SANBANおよびTUS01のTTV株のタンパク質とは血清学的に異
なるものである、SVIタンパク質またはそのフラグメントをコードする単離さ
れたポリヌクレオチドを含有した発現ベクター。
【0016】 6)前記単離されたポリヌクレオチドの転写が、SANBANおよびTUS0
1のTTV株からのRNA転写物との二重鎖を形成するアンチセンスポリヌクレ
オチドではないSVIアンチセンスポリヌクレオチドの産生がもたらすものであ
る、単離されたポリヌクレオチドを含有した発現ベクター。
【0017】 7)SANBANおよびTUS01のTTV株またはそのタンパク質には結合
しないものである、SVIウイルスまたはそのタンパク質に結合する単離された
ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体。
【0018】 8)試料と、SVIウイルスまたはそのタンパク質に結合するが、SANBA
NおよびTUS01のTTV株またはそのタンパク質には結合しない抗体とを接
触させるステップ、ならびに前記抗体およびSVIウイルスまたはそのタンパク
質の複合体を検出するステップを含む、SVIウイルスの検出方法。
【0019】 9)試料と、SVIポリヌクレオチドに選択的にハイブリダイズするが、TT
V株SANBANのポリヌクレオチドまたはTTV株TUS01のポリヌクレオ
チドには選択的にハイブリダイズしないプローブポリヌクレオチドとを接触させ
るステップ、および前記プローブとSVIポリヌクレオチドとのハイブリダイゼ
ーションを検出するステップを含む、SVIウイルスの検出方法。
【0020】 10)試料と、SVIポリヌクレオチドに選択的にハイブリダイズする第1の
プライマーポリヌクレオチドとSVIポリヌクレオチドの相補体にハイブリダイ
ズする第2のプライマーポリヌクレオチドとを接触させるステップ、プライマー
伸長DNA合成を行うステップ、および合成の生成物を検出するステップを含む
、SVIウイルスの検出方法。
【0021】 発明の詳細な開示 本発明者らは、突発性の非A−G型肝炎に関連する、センチネル(Senti
nel)ウイルスI(SVI)と名付けられた新しい肝炎ウイルスを発見し、単
離した。この原型ウイルスは、少なくとも約2.6キロ塩基の一本鎖DNAゲノ
ムを含有する。この原型ウイルス由来のゲノム配列を配列番号:1に示す。従っ
て、本発明は、単離されたSVIを提供する。
【0022】 本発明者らは、SVIが変化しやすいことをも発見した。従って、本発明者ら
は、異なる配列を有するSVIファミリーの様々なメンバーを見出した。異なる
配列を有するSVIファミリーのメンバーのヌクレオチド配列を配列番号:1〜
配列番号:5に示す。
【0023】 SVIウイルスのアミノ酸配列と公知のウイルスの配列とを比較することによ
り、シルシノウイルス科のいくつかのバリアントとの低レベルの相同性が明らか
にされる。
【0024】 1つの局面において、本発明は、SVIウイルスのゲノムを含有する単離され
たポリヌクレオチドおよびそのフラグメントを提供する。ポリヌクレオチドは、
DNAであってもよく、RNAであってもよい。SVIの感染および/またはS
VIウイルスそのものを検出する際に使用される単離されたヌクレオチドプロー
ブまたはヌクレオチドプライマーも提供される。また、プローブおよび/または
プライマーは、SVIの新しいバリアントを同定および単離する方法において使
用してもよい。
【0025】 本発明のさらなる局面により、単離されたSVIウイルスタンパク質および/
またはそのフラグメント、ならびに異種の(非SVI)タンパク質と融合したS
VIウイルスタンパク質またはそのフラグメントを含有する融合タンパク質が提
供される。また、少なくとも2つのSVIエピトープを含有するモザイクポリペ
プチドも含まれる。同じSVIタンパク質に由来する2つのエピトープを含む本
発明のモザイクポリペプチドにおいて、エピトープ間に介在するアミノ酸が実質
的に欠失されているか、または異種の配列で置換されている。あるいは、本発明
のモザイクポリペプチドは、異なるSVIタンパク質に由来する2つのエピトー
プを含有してもよく、SVIファミリーの少なくとも2つのウイルスに由来する
異種のエピトープを含有してもよい。
【0026】 本発明は、原核生物宿主細胞または真核生物宿主細胞において機能し得る(ope
rable)プロモーターに機能的に(operably)連結されている、SVIウイルスのオ
ープンリーディングフレームに由来するポリヌクレオチド配列を含有する組換え
発現構築物を提供する。発現ベクター、および発現構築物を含有する組換え宿主
細胞も提供される。
【0027】 SVIファミリーのウイルスのエピトープに対して特異的な抗体もまた提供さ
れる。モノクローナル抗体および単離されたポリクローナル抗体が含まれる。
【0028】 別の局面において、本発明は、SVI感染の検出および/またはSVIウイル
スの検出のためのアッセイおよび該アッセイを行うためのキットを提供する。本
発明のアッセイは、本発明のポリペプチドまたは抗体を利用する免疫アッセイで
あってもよく、あるいは1以上の本発明のポリヌクレオチドを用いたハイブリダ
イゼーション技術または増幅技術を用いる核酸型アッセイであってもよい。
【0029】 さらなる局面において、本発明は、SVI感染の予防および/または治療に対
するワクチンを提供する。本発明のワクチンは、所望によりアジュバントと組み
合わせられる、SVIに由来する1以上のポリペプチドを含有する。
【0030】 一般的技術 本発明の実施には、別途示されない限り、当業者の範囲に含まれる、分子生物
学(組換え技術など)、微生物学、細胞生物学、生化学および免疫学の通常的な
技術が用いられる。そのような技術は、以下の文献に詳しく説明されている:「
Molecular Cloning:A Laboratory Manua
l」、第2版(Sambrookら、1989);「Oligonucleot
ide Synthesis」(M.J.Gait編、1984);「Anim
al Cell Culture」(R.I.Freshney編、1987)
;「Methods in Enzymology」(Academic Pr
ess,Inc.);「Handbook of Experimental
Immunology」(D.M.Weir&C.C.Blackwell編)
;「Gene Transfer Vectors for Mammalia
n Cells」(J.M.Miller&M.P.Calos編、1987)
;「Current Protocols in Molecular Bio
logy」(F.M.Ausubelら編(1987)および定期的な最新版)
;「PCR:The Polymerase Chain Reaction」
(Mullisら編、1994);「Current Protocols i
n Immunology」(J.E.Coliganら編、1991);「I
mmunochemistry in Practice」(Johnston
eおよびThorpe編、1996;Blackwell Science)な
ど。
【0031】 定義 用語「センチネルウイルスI 」および「SVI 」は、ヒトにおける経皮曝露を介
して伝播性であり、かつA 型肝炎ウイルス(HAV) 、B 型肝炎ウイルス(HBV) 、C
型肝炎ウイルス(HCV) 、D 型肝炎ウイルス(HDV) 、E 型肝炎ウイルス(HEV) 、G
型肝炎ウイルス(HGV) 、およびTTV バリアントSANBANおよびTUS01 とは血清学的
に異なるウイルス、ウイルスのタイプまたはウイルスのクラスをいう。SVI は、
配列番号:6 のアミノ酸配列と少なくとも約40% 、50% 、55% 、60% 、65% 、70
% 、75% 、80% 、85% 、90% 、95% 、97% 、98% 、99% または100%の全アミノ酸
配列ホモロジーおよび/または配列番号:6 のアミノ酸配列と少なくとも約40%
、50% 、55% 、60% 、65% 、70% 、75% 、80% 、85% 、90% 、95% 、97% 、98%
、99% または100%の全アミノ酸配列同一性 を有する主要オープンリーディング
フレーム (ORF)を含有する。一方、SVI バリアントは、配列番号:1 と少なくと
も約40% 、 50%、55% 、60% 、65% 、70% 、75% 、80% 、85% 、90% 、95% 、97
% 、98% 、99% または100%の全塩基配列同一性を有してもよく、ORF をコードす
る。配列番号:6 のアミノ酸配列と少なくとも約40% 、50% 、55% 、60% 、65%
、70% 、75% 、80% 、85% 、90% 、95% 、97% 、98% 、99% または100%の全アミ
ノ酸配列ホモロジーおよび/または配列番号:6 のアミノ酸配列と少なくとも約
40% 、50% 、55% 、60% 、65% 、70% 、75% 、80% 、85% 、90% 、95% 、97% 、
98% 、99% または100%の全アミノ酸配列同一性を有するORF をコードしてもよい
。用語SVI とは、原型のSVI およびSVI の天然のバリアントをもいう。
【0032】 「SVI ポリペプチド」または「SVI タンパク質」は、例えば、配列が、それぞ
れ、アクセッション番号AB025946およびAB017613の下にジーンバンクデータベー
スを通じて公に入手可能であるTTV バリアントSANBANおよびTUS01 などのサルチ
ノビリデ(circinoviridae)ファミリーの既知のメンバーのORF などの既知のウ
イルスORF によりコードされないSVI ウイルスゲノムのORF によりコードされた
ポリペプチドまたはタンパク質である。模範的なSVI ポリペプチドは、配列番号
:6 〜配列番号:12に示されるアミノ酸配列に示される。好ましくは、SVI ポリ
ペプチドは、少なくとも約8 アミノ酸、10アミノ酸、12アミノ酸、15アミノ酸、
20アミノ酸、25アミノ酸、30アミノ酸、40アミノ酸、または50アミノ酸であり、
約800 アミノ酸未満、700 アミノ酸未満、500 アミノ酸未満、400 アミノ酸未満
、300 アミノ酸未満、250 アミノ酸未満、200 アミノ酸未満、150 アミノ酸未満
、125 アミノ酸未満、100 アミノ酸未満である。
【0033】 「バリアントSVI ポリペプチド」は、配列番号:6 〜配列番号:12のいずれか
の対応のアミノ酸配列と少なくとも約40% 、50% 、55% 、60% 、65% 、70% 、75
% 、80% 、85% 、90% 、95% 、97% 、98% 、99% 若しくは100%のアミノ酸配列
ホモロジーおよび/または配列番号:6 〜配列番号:12のいずれかのアミノ酸配
列の対応の部分と少なくとも約40% 、50% 、55% 、60% 、65% 、70% 、75% 、80
% 、85% 、90% 、95% 、97% 、98% 、99% 若しくは100%のアミノ酸配列同一性を
有するポリペプチドである。好ましくは、バリアント SVI ポリペプチドは、少
なくとも約8 アミノ酸、10アミノ酸、12アミノ酸、15アミノ酸、20アミノ酸、25
アミノ酸、30アミノ酸、40アミノ酸若しくは50アミノ酸であり、約800 アミノ酸
未満、700 アミノ酸未満、500 アミノ酸未満、400 アミノ酸未満、300 アミノ酸
未満、250 アミノ酸未満、200 アミノ酸未満、150 アミノ酸未満、125 アミノ酸
未満、または100 アミノ酸未満である。
【0034】 「SVI ポリヌクレオチド」は、配列番号:1 〜配列番号:5 のいずれかに示さ
れるポリヌクレオチド若しくはその断片と同一の配列を有するポリヌクレオチド
、その相補体、またはSVI ポリペプチド若しくはその相補体をコードするポリヌ
クレオチドである。SVI ポリヌクレオチドは、任意の既知配列、とりわけ、サル
チノビリデ(circinoviridae)の既知バリアント、例えば、TTV バリアントSANB
ANおよびTUS01 に見出されない。好ましくは、SVI ポリヌクレオチドは、少なく
とも約15ヌクレオチド長、20ヌクレオチド長、25ヌクレオチド長、30ヌクレオチ
ド長、35ヌクレオチド長、40ヌクレオチド長、50ヌクレオチド長または60ヌクレ
オチド長であり、約2500ヌクレオチド長未満、2000ヌクレオチド長未満、1500ヌ
クレオチド長未満、1250ヌクレオチド長未満、1000ヌクレオチド長未満、900 ヌ
クレオチド長未満、800 ヌクレオチド長未満、700 ヌクレオチド長未満、600 ヌ
クレオチド長未満、500 ヌクレオチド長未満、400 ヌクレオチド長未満、300 ヌ
クレオチド長未満、200 ヌクレオチド長未満、150 ヌクレオチド長未満、125 ヌ
クレオチド長未満、100 ヌクレオチド長未満、75ヌクレオチド長未満または50ヌ
クレオチド長未満である。対象のポリヌクレオチドの「相補体」は、ワトソン/
クリック塩基対形成を用いて、中程度または高度にストリンジェントな条件下に
対象のポリヌクレオチドとハイブリダイズしうるポリヌクレオチドである。
【0035】 「バリアントSVIポリヌクレオチド」は、バリアントのSVIポリペプチド
をコードするポリヌクレオチドまたはその相補体、あるいはSVIポリヌクレオ
チドまたはその相補体に選択的にハイブリダイズするが、SVIポリヌクレオチ
ドの定義に含まれないポリヌクレオチドである。バリアントSVIポリヌクレオ
チドは、どの公知の配列においても、特にシルシノウイルス科の公知のバリアン
トにおいて見出されない。好ましくは、バリアントSVIポリヌクレオチドは、
長さが、少なくとも約15ヌクレオチド、20ヌクレオチド、25ヌクレオチド
、30ヌクレオチド、35ヌクレオチド、40ヌクレオチド、50ヌクレオチド
または60ヌクレオチドであり、そして約2500ヌクレオチド未満、2000
ヌクレオチド未満、1500ヌクレオチド未満、1250ヌクレオチド未満、1
000ヌクレオチド未満、900ヌクレオチド未満、800ヌクレオチド未満、
700ヌクレオチド未満、600ヌクレオチド未満、500ヌクレオチド未満、
400ヌクレオチド未満、300ヌクレオチド未満、200ヌクレオチド未満、
150ヌクレオチド未満、125ヌクレオチド未満、100ヌクレオチド未満、
75ヌクレオチド未満または50ヌクレオチド未満である。
【0036】 「アミノ酸配列相同性」および「アミノ酸配列同一性」は、2つの配列を比較
した際に相同的または同一であるアミノ酸の割合をいう。このアラインメントお
よびパーセント配列相同性またはパーセント配列同一性は、当該分野で公知のソ
フトウェアプログラムを使用して、例えば、Current Protocol
s in Molecular Biology(F.M.Ausubelら編
、1987)、増補30、7.7.18節、表7.7.1に記載されるソフトウ
ェアプログラムを使用して決定することができる。好ましくは、デフォルトパラ
メーターがアラインメントのために使用される。本発明のためには、アラインメ
ントプログラムはBLASTPであり、以下のデフォルトパラメーターが使用さ
れる:データベース=非重複的(重複しないGenBank CDS翻訳+PD
B+SwissProt+PIR+PRF)、低複雑度フィルター=オン、予測
=10、マトリックス=BLOSUM62(ギャップ存在コスト:11、残基当
たりのギャップ:1、ラムダ:0.85)およびワードサイズ=3。アラインメ
ントは、ギャップ挿入の存在下または非存在下で行うことができるが、好ましく
はギャップ挿入の存在下で行うことができる。このBLASTP方法の詳細およ
びこれらのパラメーターは下記のインターネットアドレスにおいて見出すことが
できる:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/cgi−
bin/BLAST。
【0037】 「ヌクレオチド配列同一性」は、2つの配列を比較した際に同じであるヌクレ
オチド残基の割合をいう。このアラインメントおよびパーセント配列同一性は、
当該分野で公知のソフトウェアプログラムを使用して、例えば、Current
Protocols in Molecular Biology(F.M.
Ausubelら編、1987)、増補30、7.7.18節、表7.7.1に
記載されるソフトウェアプログラムを使用して決定することができる。好ましく
は、デフォルトパラメーターがアラインメントのために使用される。本発明のた
めには、アラインメントプログラムはBLASTNであり、以下のデフォルトパ
ラメーターが使用される:データベース=非重複的(すべての重複しないGen
Bank+EMBL+DDBJ+PDBの配列)、低複雑度フィルター=オン、
予測=10、マトリックス=BLOSUM62、ギャップ存在コスト=5、ギャ
ップ伸長コスト=2、ミスマッチペナルティー=−3、マッチ時の得点=1、お
よびワードサイズ=11。アラインメントは、ギャップ挿入の存在下または非存
在下で行うことができるが、好ましくはギャップ挿入の存在下で行うことができ
る。このBLASTN方法の詳細およびこれらのパラメーターは下記のインター
ネットアドレスにおいて見出すことができる:http://www.ncbi
.nlm.nih.gov/cgi−bin/BLAST。
【0038】 SVIポリヌクレオチド配列に「選択的にハイブリダイズし得る」ポリヌクレ
オチドは、(i)シルシノウイルス科の公知のメンバーの1つに由来する配列な
どの、公知のウイルスのポリヌクレオチド配列にハイブリダイズすることなくS
VIポリヌクレオチド配列にハイブリダイズするポリヌクレオチドであるか、ま
たはシルシノウイルス科の公知のメンバーの1つに由来する配列などの、公知の
ウイルスのポリヌクレオチド配列の増幅を開始させることなく、SVIポリヌク
レオチド配列の増幅を特異的に開始させるポリヌクレオチドである。選択的にハ
イブリダイズし得るポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションは、(例えば、
ミスマッチを考慮して)高ストリンジェンシーまたは中等度ストリンジェンシー
または低ストリンジェンシーで適するように行うことができる。高ストリンジェ
ンシーの条件では、予測されるハイブリッドのTm よりも12℃〜20℃低い最
終洗浄が利用され、一方、適度なストリンジェンシーおよび低ストリンジェンシ
ーのハイブリダイゼーションでは、ハイブリッドのTm よりも21℃〜30℃低
い温度および31℃〜40℃低い温度である最終洗浄条件が利用される。長いポ
リヌクレオチドのTm は、Tm =81.5−16.6(log10[Na+ ])+
0.41(%G+C)−0.63(%ホルムアミド)−600/N(式中、N=
選択的にハイブリダイズし得る検討中のポリヌクレオチドの長さ)として見出す
ことができるが、長さが約75ヌクレオチド〜15ヌクレオチドであるオリゴヌ
クレオチドのTm は、Tm =81.5−16.6(log10[Na+ ])+0.
41(%G+C)−600/Nとして見出すことができ、そして14ヌクレオチ
ド以下の短いオリゴヌクレオチドのTm は、Tm =2(A+T)+4(G+C)
として見出すことができる。増幅の開始は、好ましくは、ポリメラーゼ連鎖反応
(PCR)に関して標準的な条件(例えば、50mMのKCl、10mMのTr
is−HCl(pH8.3、20℃)、1.5mMのMgCl2 、所望により0
.01%のゼラチンの存在下)およびT.aquaticus DNAポリメラ
ーゼのもとで行われる。
【0039】 「単離された」ウイルス、ウイルス構築物(例えば、カプシド)、ポリヌクレ
オチドまたはポリペプチドは、その通常の環境において見出される混在成分から
少なくとも部分的に精製されているそのようなものである。例えば、単離された
ウイルスは、血液、血清または組織のタンパク質から少なくとも部分的に精製さ
れているウイルスである。単離されたウイルスポリヌクレオチドの場合、ポリヌ
クレオチドは、ウイルスタンパク質および/または他のウイルス成分から少なく
とも部分的に精製されており、そしてさらに、その通常の環境から取り出しても
よい(例えば、ポリヌクレオチドに通常隣接するヌクレオチド配列が欠失されて
もよい)。
【0040】 本明細書中で使用されているように、目的とする配列及び調節配列は、それら
が調節配列の影響下または制御下で目的とする配列の発現または転写を行わせる
ような方法で共有結合的に結合している場合に「機能的に連結されている」と言
われる。用語「機能的に連結されている」は、機能的関係にあるポリヌクレオチ
ドエレメントの方向に関する。機能的に連結されているとは、連結されているD
NA配列が、一般に物理的に連続していること、そして2つのタンパク質コード
領域をつなぐ必要がある場合には連続して同じ読み枠にあることを意味する。し
かし、エンハンサーは、一般に、プロモーターから数キロベース離れているとき
に機能し、そしてイントロン配列は長さが変化し得るので、いくつかのポリヌク
レオチドエレメントは、連続させることなく機能的に連結させることができる。
目的とする配列が機能的なタンパク質に翻訳されることが望ましい場合、2つの
DNA配列は、5’調節配列におけるプロモーターの誘導が目的とする配列の転
写を生じさせ、そして2つのDNA配列間の結合の性質が、(1)フレームシフ
ト変異の導入を生じさせない場合、(2)目的とする配列の転写を行わせるプロ
モーター領域の能力を妨害しない場合、または(3)タンパク質に翻訳される対
応するRNA転写物の能力を妨害しない場合に、機能的に連結されていると言わ
れる。従って、プロモーター領域は、プロモーター領域がそのようなDNA配列
の転写を行わせることができ、その結果、得られた転写物が望ましいタンパク質
またはポリペプチドに翻訳され得ることにより、目的とする配列に機能的に連結
されている。
【0041】 本明細書中で使用されている用語「抗体」は、特定の抗原に特異的に結合する
能力を有する免疫グロブリン分子またはそのような免疫グロブリン分子のフラグ
メントを意味する。抗体は、免疫学の科学における当業者には周知である。本明
細書中で使用されている用語「抗体」は、完全な抗体分子だけでなく、抗原結合
能を保持している抗体分子のフラグメントをも意味する。そのようなフラグメン
トもまた、当該分野では周知であり、そしてインビトロおよびインビボの両方で
日常的に用いられている。特に、本明細書中で使用されている用語「抗体」は、
任意のアイソタイプの完全な免疫グロブリン分子(IgA、IgG、IgE、I
gD、IgM)だけでなく、F(ab’)2 、Fab、Fv、scFv、Fd、
H およびVL の周知の活性な(すなわち、抗原結合性の)フラグメントをも意
味する。抗体フラグメントについては、例えば、「Immunochemist
ry in Practice」(JohnstoneおよびThorpe編、
1996;Blackwell Science)、69頁を参照のこと。用語
「抗体」はさらに、単鎖抗体、CDRグラフト化抗体、ジアボディー(diab
ody)、キメラ抗体、ヒト化抗体、およびFab発現ライブラリーを含む。こ
の用語はまた、本発明の抗体および別のポリペプチドまたはポリペプチドの一部
(「融合パートナー」)を含む融合ポリペプチドを含む。融合パートナーの例と
しては、生物学的応答修飾剤、リンホカイン、サイトカインおよび細胞表面抗原
が挙げられる。「抗体活性」は、抗体が、免疫グロブリンの可変領域内に位置す
る抗原結合部位を介して、他の潜在的な抗原よりも優先的に特定の抗原に結合す
る能力をいう。本明細書中で使用されている用語「血清学的に異なる」は、ポリ
ペプチド、タンパク質またはウイルスが、特異的な抗体によって、他の種のポリ
ペプチド、タンパク質またはウイルスとは異なるとして、そのような他の種とは
異なるその抗原性により免疫学的に同定され得ることを記載する。
【0042】 本明細書中で使用されている用語「含有する(comprising)」およ
びその同系の表現はそれらの包含的な意味で使用されており、すなわち、用語「
含む(including)」およびその対応する同系の表現と等価である。
【0043】 単離されたSVIウイルス 単離されたSVIは、好ましくは、SVIに感染した個体に由来する血漿また
は血清から調製される。SVIウイルスは、限定されないが、等密度勾配遠心分
離(特に調製スケールでの等密度勾配遠心分離)および免疫単離などの当該分野
で公知の任意の技術を使用して血清または血漿から単離することができる。等密
度勾配遠心分離は、1.20g/mL〜1.40g/mLの範囲にある勾配を形
成する当該分野で公知の任意の勾配形成化合物を使用して行うことができる。ス
クロースおよび塩化セシウム(CsCl)が好ましい勾配形成化合物である。S
VIを含む血漿または血清は、適切な遠心分離チューブにおいて、(勾配形成化
合物に依存して、予め形成された勾配であり得るか、または均一であり得る)勾
配形成化合物の上に「重層」され、その後、平衡になるまで遠心分離される。単
離されたSVIウイルスは、勾配の適切な密度画分を集めることによって回収す
ることができる。例えば、勾配形成化合物がCsClである場合、1.33g/
cm3 〜1.35g/cm3 の画分が集められる。免疫単離技術では、SVIウ
イルスに対して特異的な抗体が、当該分野で公知の任意の適切な分離媒体と組み
合わせて利用される。好ましい分離媒体としては、固体のプラスチック基体(例
えば、パンニングにおける使用の場合のように)、クロマトグラフィー担体(例
えば、免疫アフィニティークロマトグラフィー)および磁石粒子(例えば、免疫
磁石分離)が挙げられる。抗SVI抗体を分離媒体に結合させ、その後、分離媒
体が、SVIウイルスを含む材料にさらされる。結合しない材料は除かれ、そし
て残留した非結合の材料が免疫分離基体から洗い流され、その後、結合したSV
Iウイルスが、典型的には、pHを変化させた溶出緩衝液または高塩濃度の溶出
緩衝液の使用によって溶出される。
【0044】 一方、単離されたSVIウイルスはインビトロ培養法によって調製することが
できる。
【0045】 単離されたSVIポリヌクレオチド 単離されたSVIポリヌクレオチドは、当該分野で公知の任意の方法によって
、例えば、ウイルスDNAをウイルス粒子から直接単離することによって、SV
Iの生活環の一部として転写されるウイルスRNAを直接単離することによって
、ハイブリダイゼーション法の使用(すなわち、ウイルスDNAから調製された
DNAライブラリーまたはウイルス含有の血清もしくは血漿におけるウイルスD
NAの同定)によって、増幅法(すなわち、ウイルスDNA、ウイルスDNA含
有ライブラリー、または血漿もしくは血清から単離されたDNAのポリメラーゼ
連鎖反応)の使用によって、または直接的な合成によって調製することができる
。配列番号:1〜配列番号:5に示されるポリヌクレオチド配列は、ハイブリダ
イゼーション法および増幅法において使用されるプローブまたはプライマーを設
計するために、そして合成する配列を選択するために使用することができる。
【0046】 単離されたゲノムポリヌクレオチドは、単離されたウイルス粒子から抽出する
ことによって調製することができる。単離されたウイルス粒子は、グアニジニウ
ムHCl抽出などの当該分野で公知の任意のDNA抽出技術に供することができ
、その後、任意に、アガロースゲル精製、フェノール/クロロホルム抽出、また
は塩の存在下でのエタノール沈殿などのさらなる精製技術および/または濃縮技
術に供することができる。
【0047】 DNAライブラリーの調製は、当該分野では周知である。ウイルス粒子または
ウイルスを含む血漿もしくは血清から単離されたDNAは、この分野で広く使用
されている技術を使用して都合のよいライブラリーベクターにクローン化するこ
とができる。最も一般的には、ライブラリーは、λファージに基づくライブラリ
ーベクターを使用して調製されるが、コスミドライブラリーおよびプラスミドラ
イブラリーもまた広く使用されている。ファージに基づくライブラリーは、大腸
菌宿主細胞の「菌そう」に感染させることによってプレーティングされ、一方、
コスミドライブラリーおよびプラスミドライブラリーは、典型的には、プレーテ
ィングされる細胞に形質転換される。プレーティング後、ライブラリーに由来す
るDNAはスクリーニング用フィルターに移され、SVIポリヌクレオチドプロ
ーブでスクリーニングされる。プローブは、好ましくは、ハイブリダイゼーショ
ンが典型的には放射能ヌクレオチド(例えば、32P)の取り込みによって検出で
きるように修飾されるが、他の修飾されたプローブ(例えば、ジゴキシゲニンま
たはビオチンで標識されたプローブ)を、標識されたプローブに結合し、そして
発色性基質またはそうでなければ検出可能な基質として作用する修飾された酵素
(例えば、アルカリホスファターゼまたはルシフェラーゼ)の使用によって検出
することができる。SVIポリヌクレオチドプローブにハイブリダイズするクロ
ーンは、当該分野で周知のように、1「ラウンド」以上の精製(例えば、段階的
により精製されたクローンに対するプレーティングおよびスクリーニングのプロ
セスを繰り返すこと)によって精製される。SVIウイルスDNAは、スクリー
ニング手法において単離されたクローンからDNAを得ることによって調製する
ことができ、そして所望により、制限エンドヌクレアーゼ消化によってライブラ
リーベクターDNAからさらに単離することができる。あるいは、スクリーニン
グによって単離されたクローンDNAは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)方法
論を使用してSVIウイルスDNAを増幅するための基質として使用してもよい
。PCRプライマーは、SVIウイルスDNAから設計してんもよく、またはよ
り好都合には、当業者には明らかであるように、ライブラリーDNAが挿入され
た部位に隣接するライブラリーベクター内のDNA配列にハイブリダイズするよ
うに設計してもよい。
【0048】 また、SVIウイルスのポリヌクレオチドは、SVIウイルスDNAを含有す
る試料から増幅することによって単離することができる。増幅に必要なプライマ
ーは、配列番号:1〜配列番号:5に示される配列に基づいて設計することがで
き、より好ましくは、TTVまたはTTVのバリアントに由来するウイルスDN
Aではなく、SVIのDNAが増幅されるように設計される。さらに、当該分野
では周知のように、プライマーの配列は、増幅を実質的に阻害し、そして増幅を
阻止さえし得る何らかの分子内の二次構造を最小限にするように選択される。ポ
リメラーゼ連鎖反応増幅のプロトコルは、連結連鎖反応などの他の増幅方法のプ
ロトコルと同様に、当該分野では周知である。増幅後、SVIのDNAは、サイ
ズ選択(例えば、ゲル電気泳動)または化学的抽出(例えば、フェノール/クロ
ロホルム抽出)によってさらに精製することができ、かつ/または塩の存在下で
のエタノール沈殿によって濃縮することができる。
【0049】 SVIポリヌクレオチドはまた化学合成することができるが、ポリヌクレオチ
ド合成の収率は鎖長の増大とともに低下するので、合成されるSVIポリヌクレ
オチドは、好ましくは、長さが約50〜60ヌクレオチドよりも短い。ポリヌク
レオチドの合成方法は当該分野では周知であり、一般に、ヌクレオチド(または
修飾ヌクレオチド)を合成ポリヌクレオチドの伸長末端に付加することを繰り返
すことを伴う。様々な異なるシステムを当該分野では利用することができ、特定
の方法および化学の選択は実施者に任されている。
【0050】 SVIポリヌクレオチドには、SVIウイルスの検出(これはSVI感染の診
断において有用である)、SVIポリペプチドの産出、SVIに基づく発現/形
質導入ベクターの構築が含まれ、そしてアンチセンスオリゴヌクレオチドとして
の使用、またはアンチセンスSVIベクターを構築するための使用などの様々な
用途がある。
【0051】 アンチセンスのSVIポリヌクレオチドは、SVIゲノムから産生されるmR
NA分子のセグメントに選択的にハイブリダイズし得るSVIポリヌクレオチド
である。アンチセンスのSVIポリヌクレオチドは、任意のサイズのSVIポリ
ヌクレオチドであってもよいが、好ましくは、約200ヌクレオチド未満の長さ
である。アンチセンスのSVIポリヌクレオチドは、SVI感染細胞におけるS
VIタンパク質の発現および/またはSVIウイルスの複製を阻止する。従って
、SVIのアンチセンスポリヌクレオチドは、SVI感染を処置するために、お
よび/またはSVIウイルス血症の軽減を含むSVI感染症の症状を改善するた
めに使用することができる。
【0052】 SVIのアンチセンスポリヌクレオチドを化学合成する場合、それらは、好ま
しくは、ヌクレアーゼに対する抵抗性を増大させるために修飾オリゴヌクレオチ
ドとして合成される。修飾オリゴヌクレオチドは、ホスホロアミダイトを5’末
端および3’末端に含むように(Dagleら、1990、Nucl.Acid
s Res.18:4751〜4757)、米国特許第4,469,863号に
開示されるエチルホスホナートアナログまたはメチルホスホナートアナログを取
り込むように、ホスホロチオアート(Steinら、1988、Nucl.Ac
ids Res.16:3209〜3221)または2’−O−メチルリボヌク
レオチド(Inoveら、1987、Nucl.Acids Res.15:6
131)を取り込むように合成することができるか、あるいは複合的なRNA−
DNAアナログであるキメラなオリゴヌクレオチドとして合成することができる
(Inoveら、1987、FEBS Lett.215:327)。
【0053】 SVIのアンチセンスポリヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの天然に存在
する取り込みを利用して、通常的には肝門脈への非経口注射(好ましくは静脈内
注射)または導入によって、「ネイキッドDNA」として、SVIウイルスに感
染した個体に送達することができる。あるいは、SVIのアンチセンスポリヌク
レオチドは、ウイルスベクターなどのベクターを介して標的細胞に導入すること
ができる。ベクターは、SVIのアンチセンスポリヌクレオチドの産生がその転
写により生じるポリヌクレオチド配列に対して機能的に連結されている、宿主細
胞、好ましくは、SVIに感染したヒト宿主細胞において機能し得るプロモータ
ーを含む。好ましいウイルスベクターには、当該分野で公知のアデノ関連ウイル
スベクターが含まれるが、これに限定されない。好ましくは、ウイルスベクター
によって送達されるSVIのアンチセンスポリヌクレオチドは、好ましくは肝門
脈に静脈内投与される。
【0054】 単離されたSVIポリペプチド SVIタンパク質は、SVIウイルスに由来する全ORF、1以上の融合した
SVIウイルス由来のタンパク質、SVIウイルスに由来する1つのタンパク質
、またはそれらのフラグメントを含んでもよい。2つ以上のSVIタンパク質フ
ラグメントを同じタンパク質内に含む「モザイクタンパク質」もまた含まれる。
モザイクタンパク質におけるSVIタンパク質フラグメントは、同じSVIタン
パク質に由来してもよく、異なるSVIウイルスに由来してもよい。SVIタン
パク質フラグメントが同じSVIタンパク質に由来する場合、これらのフラグメ
ントを通常の場合には隔てているアミノ酸配列は、実質的に欠失されるか、また
は関連しない「スペーサー」配列によって置換される。本発明により包含される
別のモザイクタンパク質は、少なくとも2つの異なるSVIウイルスに由来する
少なくとも1つのエピトープの相同体を含む「スーパーエピトープ」モザイクタ
ンパク質である。スーパーエピトープモザイクタンパク質を、例えば、SVIウ
イルスの感染を遺伝子的に検出するスクリーニングアッセイにおいて使用しても
よい。
【0055】 SVIポリペプチドは、単離されたウイルス粒子からの単離、組換え製造およ
び化学合成などの当該分野で公知の任意の方法によって調製することができる。
天然の供給源から多量のウイルス粒子を単離することは比較的困難であるために
、そしてSVIウイルスファミリーにおける変動性のために、組換え製造および
/または化学合成が好ましい製造方法である。
【0056】 タンパク質の組換え製造は、当該分野では周知である。一般に、本発明のタン
パク質をコードするポリヌクレオチド配列は、好適な宿主細胞に導入される「発
現構築物」にクローン化される。宿主細胞は、タンパク質を発現させるために適
切な条件のもとで培養され、そして組換えタンパク質が集められる。発現構築物
の正確な詳細は、当業者には明らかであるように、望ましい宿主細胞および発現
構築物の性質に依存して変化するが、発現構築物は、通常、宿主細胞において機
能し得るプロモーター/オペレーターまたはプロモーター/エンハンサー、およ
びマーカーを含有する細胞の選択を可能にする選択マーカーを含む。好ましくは
、プロモーター/オペレーターまたはプロモーター/エンハンサーは、培養条件
の変化によりSVIタンパク質(またはSVIタンパク質の融合タンパク質)の
発現がもたらされる点で「制御可能」である。
【0057】 SVIポリペプチドは、組換え製造のために「融合タンパク質」に組み込まれ
得ることには留意しなければならない。融合タンパク質は、融合パートナーに連
結された目的とするタンパク質(例えば、SVIタンパク質)を含み、そして必
要な場合には、これらの2つの部分の分離を可能にする特異的な切断部位を目的
とするタンパク質と融合パートナーとの間に含む。融合パートナーは、タンパク
質のアミノ末端またはカルボキシ末端に存在させることができるが、目的とする
タンパク質を「インサート」としてコード領域の配列内に取り込む融合タンパク
質も考えられる。SVIタンパク質のインサートを含む融合タンパク質は、例え
ば、「ファージディスプレイ」システムに組み込まれる場合(例えば、SVIタ
ンパク質の配列がλファージのコートタンパク質の中に挿入される場合)、スク
リーニングツールとして特に有用である。
【0058】 有用な融合パートナーには、融合タンパク質の容易な精製を可能にするタンパ
ク質(例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、オリゴ−ヒスチジン、
およびmycオンコジーンに由来するいくつかの配列)、融合タンパク質の溶解
性を増大させるタンパク質(米国特許第5,629,172号に開示される大腸
菌DsbAなど)、またはタンパク質を基体に結合させる「リンカー」を作製す
るタンパク質(例えば、末端リシンを有するポリグリシンは、免疫アッセイにお
いて使用される基体にc37タンパク質を連結させるために使用することができ
る)が含まれる。
【0059】 一般に、発現構築物は、適切な制限エンドヌクレアーゼを使用して、目的とす
るタンパク質をコードするポリヌクレオチドを適切な組換えDNA発現ベクター
に挿入することによって作製される。制限エンドヌクレアーゼの部位は、天然に
存在していてもよく、または部位特的変異誘発、PCR、またはリンカー/アダ
プターのポリヌクレオチドへの連結などの当該分野で公知の任意の方法によって
導入された合成的な部位であってもよい。あるいは、ポリヌクレオチドは、好都
合な制限酵素部位を取り込むために、および/または意図された宿主細胞に対す
るコドン使用を最適化するために設計された合成配列であってもよい。用いられ
る特定のエンドヌクレアーゼは、用いられる元の発現ベクターの制限エンドヌク
レアーゼ切断パターンによって決定される。制限部位の選択は、コード配列を制
御配列に関して正しく配向(orient)させて、読み枠が合った正しい読み取りおよ
びタンパク質の発現が達成させるように行われる。
【0060】 ポリヌクレオチドは、任意の適切な発現ベクターに挿入してもよい。発現ベク
ターは、限定されないが、プラスミド、コスミド、酵母人工染色体(YAC)お
よびウイルス性を含む多数の形態で見出すことができる。一般に、発現ベクター
は、ベクターが増殖する生物において、そしてまた多くの場合には組換え宿主細
胞において少なくとも活性である自律的な複製部位を含むであろう。発現ベクタ
ーはまた、典型的には、形質転換された細胞における表現型選択を提供し得るマ
ーカー配列を含み、例えば、抗生物質耐性遺伝子(例えば、bla、tetR
nepR またはhygR )もしくは栄養要求性を相補する遺伝子(例えば、tr
pまたはDHFR)などの正の選択マーカーおよび/またはヘルペス単純ウイル
ス1のチミジンキナーゼなどの負の選択マーカーなどが挙げられる。また、発現
ベクターは、転写および翻訳の開始および終結に必要な配列(例えば、プロモー
ター、シャイン−ダルガルノ配列、リボソーム結合部位、転写終結部位)が挙げ
られ、任意に、転写を調節する配列(例えば、SV40エンハンサーまたはla
cリプレッサー)を含んでもよく、イントロンまたはポリアデニル化部位などの
プロセシングを導く配列を必要に応じて含んでもよい。
【0061】 本発明のポリヌクレオチドは、タンパク質を発現させようとする宿主細胞にお
いてともに機能的でなければならないプロモーターからの転写およびリボソーム
結合部位からの翻訳が可能になるように、発現ベクターの転写制御配列および翻
訳制御配列に関して正しい方向および関係で発現ベクターに挿入される。転写制
御配列は、好ましくは誘導性である(すなわち、培養条件を変化させることによ
って調節することができ、例えば、大腸菌に対するlacオペロン、または哺乳
動物細胞に対するメタロチオネインプロモーターなどである)。そのような発現
ベクターの例として、Belagajeら、米国特許第5,304,493号に
開示されるプラスミドがある。参考文献に記載されるA−C−Bプロインスリン
をコードする遺伝子を、NdeIおよびBamHIの制限酵素を用いてプラスミ
ドpRB182から取り出すことができる。本発明のタンパク質をコードする遺
伝子を、NdeI/BamHI制限フラグメントカセットでこのプラスミド骨格
に挿入することができる。
【0062】 微生物宿主が、通常の場合、本発明のタンパク質を組換え発現するためには好
ましく、W3110(原栄養性、ATCC第27325号)などの大腸菌、枯草
菌、およびサルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhim
urium)またはセラチア・マルセスカンス(Seratia marces
cans)などの他の腸内細菌科細菌、ならびに様々なシュードモナス属種など
の任意の広く使用されている微生物宿主を使用することができる。あるいは、サ
ッカロミセス・セレビジアエ(Saccharomyces cerevisi
ae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyce
s pombe)などの酵母、ならびに酵母以外の菌類細胞、植物細胞、昆虫細
胞(例えば、Sf9)および哺乳動物細胞(例えば、COS、CHO)などの他
の高等真核生物などの真核生物宿主細胞を使用することができる。
【0063】 完成された発現構築物は、CaCl2 トランスフェクション、Ca2 PO4
ランスフェクション、ウイルス形質導入、脂質媒介トランスフェクション、エレ
クトロポレーション、弾道トランスフェクションおよびその他などの当該分野で
公知の任意の適切な方法によって組換え宿主細胞に導入される。発現構築物を導
入した後、組換え宿主細胞は、一般に、発現構築物の存在について選択される適
切な条件のもとで培養される(例えば、blaを含有する発現構築物を有する細
菌宿主についてはアンピシリンの存在下で培養される)か、あるいは任意の適切
な手段(例えば、SVIタンパク質に特異的な抗体を使用する蛍光活性化細胞分
取FACS)によってタンパク質の発現について選択てもよい。
【0064】 選択および適切な単離の手順(例えば、再度の画線培養または限界希釈クロー
ニング)の後、組換え宿主細胞は、当該分野で公知の任意の適切な技術を使用し
て、(実施者の要求に依存して、微生物宿主細胞については500mLの振とう
フラスコから数百リットルの発酵糟までであり得るか、または哺乳動物宿主細胞
についてはT25フラスコから数百リットルのバイオリアクターまでであり得る
)製造規模で培養される。発現ベクター内のプロモーター/エンハンサーが誘導
性である場合、培養が適切な細胞密度に達した後で、そうでなければ、集めるた
めに適切な細胞密度に達するまで細胞を増殖させた後で、タンパク質の発現が、
特定の構築物について適するように、(例えば、誘導因子を加えることによって
、または抑制因子を培地から枯渇させることによって)誘導される。本発明の組
換えタンパク質を得ることは、当業者には明かであるように、組換え宿主細胞、
発現構築物、および本発明のタンパク質をコードするポリヌクレオチドの正確な
性質に依存する。分泌型タンパク質を生じさせる発現構築物の場合、タンパク質
は、通常、培養容器から培地を取り除くことによって回収されるが、タンパク質
の細胞内蓄積を生じさせる発現構築物は、一般に、発現したタンパク質を遊離さ
せるために細胞の回収および溶解を必要とする。
【0065】 高レベルの細菌発現システムにおいて発現されるタンパク質は、高レベルの過
剰発現したタンパク質を含有する顆粒または封入体に特徴的に凝集する。タンパ
ク質凝集体は、所望するタンパク質生成物のさらなる精製および単離を行うため
に、例えば、グアニジニウムHClなどの強い変性溶液を、可能であれば、ジチ
オスレイトール(DTT)などの還元剤と組み合わせて使用して可溶化される。
可溶化されたタンパク質は、変性剤の濃度を低下させ、そして酸化剤を添加する
ことを一般に伴う「リフォールディング」反応の後にその活性な形態で回収され
る。タンパク質のリフォールディングに関して一般に適用可能であると考えられ
るプロトコルは、当該分野では周知であり、例えば、米国特許第4,511,5
02号、同第4,511,503号および同第4,512,922号に開示され
ている。
【0066】 短い(例えば、約20アミノ酸残基未満の)SVIタンパク質はまた、当該分
野で周知の方法である合成化学を使用して好都合に産出することができる。長い
ペプチド鎖では収率が低下するために、合成は、約15アミノ酸残基以下のペプ
チドを製造する好ましい方法である。
【0067】 SVIポリペプチドは、SVI感染の防止および/またはSVI感染の処置の
ためのワクチンにおいて使用することができる。任意のSVIポリペプチドまた
はSVIポリペプチドの組合せをSVIワクチンにおいて使用することができる
。1つのSVIタンパク質に由来する多数のエピトープを含有し、それらのエピ
トープを通常の場合には隔てているアミノ酸が欠失されているSVIモザイクポ
リペプチドは、ワクチン配合物において使用される1つの好ましいSVIタンパ
ク質である。ワクチンにおいて使用される別の好ましいSVIタンパク質は、1
つのタンパク質に融合した、多数のSVIウイルスに由来する相同的なエピトー
プを含有するスーパーエピトープタンパク質である。
【0068】 SVIワクチンは、当該分野で公知の方法に従って配合される。好ましくは、
ワクチンは、非経口的に投与される液体の配合物の状態にある。ワクチンは、U
SP(米国薬局方、United States Pharmacopeial
Convention,Inc.、Rockville、MD、1995)に
見出され得る、当該分野で公知の薬学的な賦形剤(生理学的および薬学的に受容
可能な塩、緩衝剤、保存剤、増量剤、浸透圧剤など)を含んで配合することがで
きる。
【0069】 また、SVIタンパク質に基づくワクチンはアジュバントとともに配合するこ
とができる。SVIタンパク質に基づくワクチンにおいて使用されるアジュバン
トには、水酸化アルミニウム(特に、水酸化アルミニウムゲル)、カリウムミョ
ウバン、プロタミン、リン酸アルミニウムおよびリン酸カルシウムなどの化学的
アジュバント、米国特許第5,980,911号に記載されるなどの、インター
ロイキン(IL)1β、腫瘍壊死因子(TNF)αおよび顆粒球マクロファージ
コロニー刺激因子(GM−CSF)を含むサイトカインアジュバント、ならびに
フロイント完全アジュバントおよびフロイント不完全アジュバントなどの水中油
型エマルションが含まれる。
【0070】 SVIワクチンは、好ましくは非経口的に送達され、より好ましくは経皮的投
与によって送達される。好ましい投与経路には、筋肉内注射および皮下注射、な
らびに圧縮空気作動による経皮的投与(例えば、針なし注射)が含まれる。ワク
チンは単回用量で投与することができ、または多回投与物として投与することが
できる。多回投与物が投与される場合、投与物は、好ましくは、少なくとも1日
、1週間または1ヶ月離される。
【0071】 SVI抗体 SVIに対する抗体は、単離されたウイルス粒子および/または本発明により
提供されるSVIウイルスタンパク質を使用して調製することができる。単離さ
れたポリクローナル抗体ならびにモノクローナル抗体を作製することができる。
【0072】 SVIタンパク質に対する単離されたポリクローナル抗体は、好ましくは、「
SVI免疫原」〔例えば、単離されたSVIウイルス粒子、SVIタンパク質(
1つまたは複数)、キャリアに連結されたSVIオリゴヌクレオチド、またはS
VI融合タンパク質〕を免疫原性形態で動物〔好ましくは、齧歯類(例えば、マ
ウス、ラットまたはウサギ)、ヤギ、ウシまたはウマなどの哺乳動物〕に注射す
ることによって調製される。最も一般的には、SVI免疫原の最初の注射が、注
射された免疫原に対する免疫応答を改善するために免疫系の非特異的な活性化因
子を含有する、フロイント完全アジュバントなどの油/水型エマルションの完全
アジュバントとして行われる。その後の注射が、典型的には、(例えば、非特異
的な免疫刺激因子を伴わないw/oエマルションの)不完全アジュバントを用い
て行われる。あるいは、SVI免疫原は、固体基体に吸着させて、または単純な
溶液として導入することができる。血清が採取され、そして任意の好都合なアッ
セイを使用して、最も典型的には、標的としてのSVI免疫原および種特異的な
抗免疫グロブリン二次抗体を使用するELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)
などの簡便な免疫アッセイを使用して、特異的な抗体の存在について試験される
【0073】 本発明のモノクローナル抗体は数多くの異なる技術によって調製することがで
きる。ハイブリドーマ技術については、一般に、Harrow&Lane(19
88)の米国特許第4,491,632号、同第4,472,500号および同
第4,444,887号、ならびにMethods in Enzymolog
y、73B:3(1981)が参照される。従来のモノクローナル抗体技術は、
前段落に記載されているように免疫化された動物(典型的にはマウス)から回収
された抗体産生細胞の不死化およびクローニングを伴う。細胞は、例えば、非産
生性ミエローマとの融合、エプスタイン−バールウイルスの感染、または発ガン
性DNAによる形質転換によって不死化させることができる。処理された細胞は
クローン化および培養され、そして所望する特異性の抗体を産生するクローンが
選択される。特異性試験が、免疫化抗原を免疫アッセイにおける検出試薬として
使用するなどして、多数の技術によって培養上清に対して行われる。選択された
クローンに由来するモノクローナル抗体の供給物を、その後、大量の培養上清か
ら、またはクローンを注射した好適に調製された宿主動物の腹水から精製するこ
とができる。
【0074】 モノクローナル抗体を得る別の方法は、免疫適格な細胞またはウイルス粒子を
本発明のタンパク質と接触させることを伴う。これに関連して、「免疫適格」は
、細胞または粒子が、さらなる遺伝子再編成を伴うことなく、抗原に対して特異
的な抗体を発現しているか、または発現することができ、そして抗原の提示によ
り細胞混合物から選択できることを意味する。免疫適格な真核生物細胞は、免疫
化された哺乳動物供与体から採取することができ、あるいは免疫化されていない
供与体から採取され、そして免疫原および免疫刺激性成長因子の存在下で培養す
ることによってインビトロで前刺激することができる。望ましい特異性の細胞を
、特異的なクローンの増殖を生じさせるが、非特異的なクローンの増殖を生じさ
せない培養条件のもとで免疫原と接触することによって選択することができる。
免疫適格なファージを、免疫グロブリンの可変領域セグメントをその表面に発現
するように構築することができる。Marksら、New Engl.J.Me
d.335:730、1996;国際特許出願公開第94/13804号パンフ
レット、同第92/01047号パンフレット、同第90/02809号パンフ
レット;McGuinnessら、Nature Biotechnol.14
:1149、1996を参照のこと。望ましい特異性のファージを、例えば、固
相に結合させたSVI免疫原に対する接着性によって選択することができ、その
後、大腸菌において増幅することができる。
【0075】 抗体は、硫酸アンモニウム沈殿、DEAEなどの弱アニオン交換樹脂でのイオ
ン交換クロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーおよびゲ
ルろ過クロマトグラフィーなどの従来の生化学的な分離技術の組合せによって血
清、細胞上清、細胞溶解物または腹水から精製することができる。SVI免疫原
をアフィニティー成分として使用するアフィニティークロマトグラフィーなどの
特異的なアフィニティー技術もまた、本発明の抗体を単離するために、単独で、
または従来の生化学的な分離技術と組み合わせて使用することができる。
【0076】 得られた抗体は、好ましくは、SVIウイルスタンパク質とのその反応能につ
いてだけでなく、診断目的の試料にも存在する潜在的な交差性の物質との低い交
差反応性についてもスクリーニングまたは精製される。望ましくない活性は、必
要な場合には、交差反応性の物質を使用するか、またはSVI感染について陰性
の個体から得られた血清に由来する抗原調製物を使用してポリクローナル抗血清
から吸着させて除くことができる。
【0077】 特定の抗体が結合するエピトープは、フラグメントを調製して、抗体の結合能
を調べることによってマッピングすることができる。例えば、免疫原の配列全体
に渡り、そして8残基が重複する12アミノ酸からなる連続的なペプチドが調製
される。これらのペプチドは、Genosysから得られるSPOTSTMキット
を製造者の説明書に従って使用してF−Moc化学によりナイロンメンブラン支
持体上に調製することができる。その後、調製されたメンブランは抗体で覆われ
、洗浄され、そしてβ−ガラクトシダーゼを結合させた抗ヒトIgGで覆われる
。試験は、基質X−galを加えることによって発色する。陽性の染色は、抗原
フラグメントが抗体によって認識されたことを示している。次いで、該フラグメ
ントを使用し、目的のエピトープを認識する他の抗体を得ることができる。同じ
エピトープを認識する2つの抗体は、標準的な免疫アッセイにおいて結合が競合
する。
【0078】 本発明の抗体は、SVIウイルスの検出および/または同定のために使用する
ことができ、そしてまたウイルス粒子および/またはウイルスタンパク質の単離
においても有用であり得る。
【0079】 SVIの検出 本発明のポリヌクレオチド、タンパク質および抗体は、SVIウイルス感染の
検出およびSVIそのものの検出を行うための方法およびキットにおいて使用す
ることができる。本発明のポリヌクレオチド、タンパク質および/または抗体を
使用するアッセイを、アッセイの所望する有用性に依存して様々な形式で設計す
ることができる。
【0080】 本発明のポリヌクレオチドは、SVIウイルスのゲノムDNAを検出するため
に使用することができる。血液試料においてSVIのゲノムDNAが検出される
ことは、その試料がSVIウイルスで汚染されていること、そして試料の供給源
がSVIに感染していることを示している。ヌクレオチドを検出するための広範
囲の異なるアッセイが公知のが、すべてのそのようなアッセイは、一般に、プラ
イマーまたはプローブを試料中のDNAにハイブリダイゼーションさせるハイブ
リダイゼーション工程を必要とする。
【0081】 単離されたSVIゲノム配列の決定された部分を基準として使用して、SVI
のゲノムとハイブリダイズする約8ヌクレオチド以上のオリゴマーを切り出しま
たは合成のいずれかで調製することができる。SVIポリヌクレオチドに対する
天然のプローブまたは得られたプローブは、他にないウイルス配列のハイブリダ
イゼーションによる検出を可能にする長さである。一般に、プローブは、最小の
長さが6ヌクレオチド〜8ヌクレオチドであるが、少なくとも10ヌクレオチド
〜12ヌクレオチドの配列が好ましく、そして少なくとも約20ヌクレオチドの
配列が最も好ましいと考えられる。アッセイの望ましい有用性(例えば、1つの
SVIウイルスタイプの検出に対してすべてのSVIウイルスの検出)に依存し
て、プローブは、SVIウイルス間に保存されているか、またはSVIウイルス
間で非常に異なっているSVIゲノム配列の一領域に基づき得る。このようなプ
ローブは、自動化されたオリゴヌクレオチド合成法を含む日常的な標準的方法を
使用して調製することができる。SVIゲノムの任意の特徴的な部分の相補体も
十分に役に立つが、好ましくは、プローブは、公知のTTウイルスとは異なる領
域から選択される。一般に、完全な相補性がプローブにおいては望ましいが、フ
ラグメントの長さが大きくなると、完全な相補性は必要でないと考えられる。
【0082】 通常、血液または血清などの分析される試験試料は、試料に含有される核酸を
抽出することなどのために処理される。核酸試料は、典型的には、(ゲル電気泳
動などによる予備的なサイズ分離を伴うか、または伴うことなく)アッセイに必
要な固体支持体(例えば、ニトロセルロース)に吸着させられるが、米国特許第
4,868,105号に記載されるアッセイなどの溶液相形式のアッセイもまた
使用することができる。
【0083】 アッセイおよび検出システムの形式に依存して、プローブは、標識を結合させ
ることによってその後の検出が可能になるように直接的に標識またはそうでなけ
れば修飾されてもよく、またはされなくてもよい。好適な標識および標識をプロ
ーブに結合させる好適な方法は当該分野では知られており、これらには、ニック
翻訳またはキナーゼ処理によって取り込まれる放射能標識、標識のその後の結合
を可能にする修飾(ビオチン化など)、ならびにプローブに直接結合させること
ができるか、またはプローブの修飾を介して結合させることができる蛍光標識お
よび化学発光標識が含まれるが、これらに限定されない。
【0084】 基本的な核酸ハイブリダイゼーションアッセイにおいて、一本鎖の試料核酸が
、好適なストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件および洗浄条件のも
とでプローブと接触させられ、そして得られた二重鎖が検出される。ストリンジ
ェンシーの制御は、当該分野では周知であり、塩濃度、プローブの長さ、ホルム
アミド濃度、温度およびその他の変数に依存する。好ましくは、ハイブリダイゼ
ーションおよび洗浄はストリンジェントな条件のもとで行われる。結合したプロ
ーブの検出は、アッセイにおいて用いられた標識/検出システムの要求に従って
行われる。例えば、プローブが放射能標識されている場合、プローブが結合して
いることはオートラジオグラフィーによって検出される。プローブが、(例えば
、ビオチンまたはジゴキシゲニンをプローブに共有結合させることによって、あ
るいはポリAテールをプローブに付加することによって)標識のその後の結合を
可能にするように修飾されている場合には、修飾結合成分に結合させた標識(例
えば、アルカリホスファターゼ、緑色蛍光タンパク質またはルシフェラーゼなど
の検出可能な酵素に結合させたストレプトアビジン、あるいは抗ジゴキシゲニン
抗体に結合させた蛍光標識または他の標識)によって検出される。蛍光プローブ
の検出は、一般には蛍光計によって行われるが、発光性標識は、ルミノメーター
または写真乾板を使用して検出することができる。アッセイからのシグナルを増
幅する分枝状DNA技術および他の方法を用いることができる(Urdeaら、
1989、Clin.Chem.35(8):1571〜1575;米国特許第
5,849,481号)。
【0085】 他のアッセイでは、プローブが、試料中のSVIのゲノムDNAを増幅するた
めのプライマーとして用いられる。ポリメラーゼ連鎖反応、リガーゼ連鎖反応、
Qβレプリカーゼ、NASBA(Compton、1991、Nature、3
50(6313):91〜92)などの方法を、試料中に存在するSVIのゲノ
ムDNAの一部またはすべての非常に多くのコピーを作製するために使用するこ
とができる。そのようなアッセイにおける検出は、通常、予想されるサイズの増
幅産物を、典型的にはゲル電気泳動および何らかの存在するバンドの可視化によ
って検出することによって行われる。
【0086】 SVIウイルスはまた、試料中のウイルスタンパク質の存在を検出するために
本発明の抗体を使用して検出することができる。当該分野で公知の広範囲の免疫
アッセイ形質はどれも、SVIウイルスまたはウイルスタンパク質を検出するた
めに本発明の抗体と組み合わせて使用することができる。
【0087】 その最も基本的な形式において、試料中のSVIウイルスまたはSVIタンパ
ク質を検出する免疫アッセイでは、SVIタンパク質(1つまたは複数)と本発
明の抗体との複合体が検出される。少なくとも1つの本発明の抗体が必要である
が、好ましい免疫アッセイ形式は、少なくとも2つの本発明の抗体を必要とする
【0088】 多くのアッセイ形式は、試料または試料由来のSVIタンパク質を固体支持体
に固定化することを必要とする。結合は、当該分野で公知の様々な手段により達
成され得るが、最も一般的には、タンパク質結合表面(例えば、ポリスチレンプ
レートまたはニトロセルロースメンブランまたはPVAメンブラン)への吸着、
または基体に結合した抗体に結合させることによって達成される。この第2の構
成は、「サンドイッチ」免疫アッセイにおいて使用され、SVIウイルスタンパ
ク質の検出には好ましい。
【0089】 試料(または試料中のSVIタンパク質)を基体に固定化した後、検出抗体が
試料と接触させられ、そして検出抗体の存在が検出される。検出抗体は、色素ま
たは着色された粒子による抗体の修飾によりそれ自体検出可能であるか、あるい
は検出試薬が検出抗体に結合するように修飾することができ、あるいは発色性基
質に対して作用する酵素で修飾することができる。
【0090】 検出抗体を検出することの正確な詳細は、当然のことではあるが、利用される
検出システムに依存する。直接的な検出が可能な検出抗体は、例えば、単純な検
査、光学顕微鏡または比色法(ラテックスビーズまたはコロイド金属などの着色
された粒子で修飾された抗体の場合)、放射測定法(放射能化合物で修飾された
抗体の場合)、あるいは蛍光測定法またはエピ蛍光顕微鏡(蛍光性色素で標識さ
れた抗体の場合)によって検出することができる。酵素を含むように修飾されて
いる検出抗体は、典型的には、酵素による処理を受けたときに検出可能になる基
質(例えば、酵素による処理を受けた後、色を変化させるか、あるいは蛍光性ま
たは発光性になる基質)を含有する溶液においてアッセイをインキュベーション
し、そして何らかの処理された基質を、適切な方法(例えば、発色性基質につい
ては比色法、蛍光性基質については蛍光計およびその他)を使用して検出するこ
とによって検出される。他の検出抗体は、「間接的な」検出を可能にするように
修飾することができる。この場合、修飾された検出抗体に結合する第2の試薬に
より、結合した検出抗体の検出が可能になる。第2の試薬は、(色素または着色
された粒子の場合のように直接的に、または酵素および検出可能な基質の場合の
ように間接的に、そのいずれかで)検出可能であるように修飾される。
【0091】 実施例 実施例1:SVIウイルスDNAの単離 SVIゲノムDNAを含有するDNAクローンを、Lititsynら(19
93、Science、259:946〜951)によって記載される代表差分
析(RDA)法の改変を使用して単離した。この方法では、「ドライバー」DN
A源が、「テスター」DNA源に対して特徴的な配列の増幅を高めるために利用
される。
【0092】 H035と称される突発性肝炎患者の血清を「テスター」DNA源として使用
した。DNAを、プロテイナーゼK消化、その後のフェノールおよびクロロホル
ムによる抽出によって抽出した。100μLのH035血清から単離されたDN
Aを、10ユニットのSau3AIを用いて37℃で3時間にわたって完全に消
化した。酵素を65℃で20分間のインキュベーションによって不活性化した。
【0093】 リンカーR−Bgl−24(5’−AGCACTCTCCAGCCTCTCA
CCGCA−3’)およびリンカーR−Bgl−12(5’−GATCTGCG
GTGA−3’)を、T4DNAリガーゼ緩衝液(ATPを含む、New En
gland Biolabsから入手)において消化DNAを1nmolの各オ
リゴと混合し、そして混合物を55℃で2分間のインキュベーションにより変性
させ、そして混合物を約1時間かけて10℃〜15℃に徐々に冷却することによ
りリンカーをアニーリングさせ、その後、800ユニットのT4DNAリガーゼ
(New England Biolabs)を加えて、12℃〜16℃で一晩
インキュベーションすることによって消化DNAに連結した。
【0094】 テスターアンプリコンを、連結産物の一部を増幅することによって調製した。
連結産物の一部を、PCR緩衝液、各dNTPおよびさらに250pmolのR
−Bgl−24オリゴと混合して、ミネラルオイルで覆った。R−Bgl−12
オリゴを、混合物を72℃で3分間インキュベーションすることによって「放出
」させた。突出端を、7.5ユニットのAMPLITAQ(登録商標)TaqD
NAポリメラーゼ(PE Biosystems)を加えて72℃でさらに5分
間インキュベーションすることによって充填した。テスターアンプリコンを、9
5℃で1分間および72℃で3分間の20サイクル、その後の72℃で10分間
の最終的な伸長工程により混合物を処理することによって作製した。その後、生
成物をフェノール/クロロホルムで抽出し、そして酢酸ナトリウムおよびイソプ
ロパノールを用いて沈殿させた。沈殿物を遠心分離によって集め、上清を除いた
後、空気乾燥して、TE(tris−EDTA)緩衝液に再懸濁した。R−Bg
l−24リンカーを、本質的には上記のようにして、Sau3AI消化、その後
の65℃での酵素の不活性化によって除いた。消化産物を、グリコーゲンの存在
下で酢酸ナトリウムおよびエタノールを使用して沈殿させ、遠心分離によって集
め、上清を除いた後、空気乾燥して、TEに再懸濁した。その後、生成物を、1
xTAEにおいて泳動される1%アガロースゲルで分離して、150ヌクレオチ
ド〜1500ヌクレオチドに対応するゲルの部分を切り出した。消化されたテス
ターアンプリコンを、QIAGEN(登録商標)QiaexIIゲル抽出キット
を製造者の説明書に従って使用してゲルから精製した。2μgのテスターアンプ
リコンDNAを、本質的にはR−Bglリンカーについて記載されているように
して、J−Bgl−24リンカーおよびJ−Bgl−12リンカー(それぞれ、
5’−ACCGACGTCGACTATCCATGAACA−3’および5’−
GATCTGTTCATG−3’)と連結した。
【0095】 ドライバーアンプリコンを、本質的にはテスターアンプリコンについて記載さ
れているようにして、10名の健康な血液提供者に由来するプールされた血清か
ら抽出されたDNAから調製したが、新しいリンカーを、2回目のSau3AI
消化の後に加えなかった。
【0096】 ドライバーアンプリコンおよびテスターアンプリコンを100:1の質量比で
混合して、フェノール/クロロホルムで抽出し、そして酢酸ナトリウムおよびエ
タノールを用いて沈殿させた。ペレットを遠心分離によって集め、上清を除いた
後、空気乾燥して、4μLのEEx3緩衝液〔30mMのEPPS(pH8.0
)、3mMのEDTA〕に再懸濁した。混合物をミネラルオイルで覆い、そして
98℃で5分間変性して、5MのNaClの1μLを加え、98℃でさらに2分
間、その後、65℃で20時間インキュベーションすることによってハイブリダ
イズさせた。
【0097】 テスター/ドライバーのハイブリダイゼーション混合物を、二本鎖のテスター
DNAのみを選択的に増幅する条件のもとで増幅した。ハイブリダイゼーション
混合物の一部を、伸長サイクルを70℃で行ったことを除いて、本質的にはJ−
Bglが連結されたテスターDNAの増幅のために行われたようにして10サイ
クル増幅した。増幅産物を集め、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコ
ールで抽出し、その後、酢酸ナトリウムおよびイソプロパノールを用いて沈殿さ
せた。沈殿物を遠心分離によって集め、上清を除いた後、空気乾燥して、TEに
再懸濁した。一本鎖DNAを、マングビーンヌクレアーゼ(New Engla
nd Biolabs)を用いて30℃で30分間消化し、その後、酵素を98
℃で5分間熱不活性化することによって除いた。消化産物を、さらなるJ−Bg
l−24オリゴヌクレオチドの存在下で15サイクルにわたって再増幅した。
【0098】 増幅産物を集め、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコールで抽出し
、そして酢酸ナトリウムおよびイソプロパノールを用いて沈殿させ、遠心分離に
よって集め、70%エタノールで洗浄し、上清を除いた後、空気乾燥して、TE
に再懸濁して、第1の差生成物(DP1)を得た。
【0099】 第2の差生成物(DP2)を、DP1をSau3AIで消化し、そして本質的
にはR−BglリンカーからJ−Bglリンカーへの交換について記載されてい
るようにして、J−Bglリンカーの代わりにN−Bglリンカー(N−Bgl
−12およびN−Bgl−24、それぞれ、5’−GATCTTCCCTCG−
3’および5’−AGGCAACTGTGCTATCCGAGGGAA−3’)
に置き換え、そしてNリンカーDP1をドライバーアンプリコンと1:800の
質量比でハイブリダイズし、そして増幅時の伸長を72℃で行ったことを除いて
DP1について記載されているように増幅/消化/増幅を行うことによって作製
した。
【0100】 第3の差生成物(DP3)を、DP2をSau3AIで消化し、N−Bglリ
ンカーの代わりにJ−Bglリンカーに置き換え、その後、ドライバーアンプリ
コンと4x105 :1のドライバー:テスターの質量比でハイブリダイズし、そ
してDP1の場合のように増幅/消化/増幅を行うことによって作製した。
【0101】 3ラウンドのサブトラクティブハイブリダイゼーションおよび選択的増幅の後
、元のテスターアンプリコンの「スメア」パターンと比較して、異なるバンドが
電気泳動の後に認められた。DNAを、QIAGEN(登録商標)ゲル抽出キッ
ト(カタログ番号28704)を製造者の説明書に従って使用してそれぞれのバ
ンドから単離し、その後、TAプラスミド(InVitrogenカタログ番号
K2000−01)に連結した。その後、得られたプラスミドライブラリーを大
腸菌に形質転換して置床した。各ライブラリーから30コロニーを選び、そして
PE BiosciencesのPCR配列決定キットを製造者の説明書に従っ
て使用して配列決定した。配列をGenBankデータベースに対してDNAレ
ベルおよびタンパク質レベルで比較した。データベースとの大きな相同性を示さ
なかったクローンを「未知」として分類した。それぞれの「未知」クローンを、
それぞれの「未知」配列から設計されたプライマーを使用するPCRによってヒ
トのゲノムDNAにおけるその存在について調べた。分析は、ヒトのゲノムDN
Aに存在する任意の配列のために中断された。「クローン37」と名付けられた
314ヌクレオチドの未知クローンをさらなる特徴付けのために選択した。クロ
ーン37の非ヒト起源がヒトゲノムDNAのサザンブロットによって確認された
【0102】 ライブラリーを、クローン37の配列を含むより大きなDNAを単離するため
に作製した。DNAを、プロテイナーゼKおよびフェノール/クロロホルム抽出
によって単離し、NcoIおよびBspH1で切断し、ライブラリーベクターに
連結した。原型のSVIウイルスに由来するゲノムDNAが、配列番号:1〜配
列番号:5にその配列が示されているいくつかのバリアントと同様に単離された
【0103】 図1に示すように、正確性がより大きい配列が、元のSVIを含有する試料を
感染させたチンパンジーから得られたより大きな力価の出発材料を使用して得ら
れた(下記の実施例3を参照のこと)。元の配列に対して相同的なプライマーを
、元の配列に対応するフラグメントをクローン化するために設計して、Pfu
DNAポリメラーゼとともに使用した。DNAレベルおよびタンパク質レベルに
おけるGenBankデータベースとの比較によるこれらの配列の分析により、
公知のシルコウイルスの配列に対するある程度の相同性が明らかにされた。ゲノ
ム配列を、シルコウイルスの保存領域を有する既知配列において領域を2つずつ
の組に分けるPCR用プライマーを設計することによって左右に伸長させた。最
後に、ゲノムが環状であることが明らかにされ、そしてそれぞれのプライマーが
左端および右端から外側に延びるような方法で1対のプライマーを設計すること
によって、環を閉じる配列が決定された。そのようなPCR反応により得られる
フラグメントは環状ゲノムの結果であると考えられる。そのようなフラグメント
を、ゲノム配列を完成するために得て配列決定した。
【0104】 より正確な配列およびバリアント配列の両方をコンピューター分析することに
より、類似する位置におけるオープンリーディングフレームの存在、およびヒト
シルコウイルス単離体のSANBANおよびTUS01に見出されるオープンリ
ーディングフレームに対して限られた相同性を有するオープンリーディングフレ
ームの存在が明らかにされた。SVIおよびそのバリアントには、ORF1(配
列番号:6〜配列番号:10)およびORF2(配列番号:11および配列番号
:12)と呼ばれる2つのそのようなオープンリーディングフレームが存在する
。配列番号:6〜配列番号:10として本明細書中にそれぞれ示される配列は、
配列番号:1〜配列番号:5として示されるポリヌクレオチド配列のORF1配
列に対応する。配列番号:11として本明細書中に示されるペプチド配列は、配
列番号:1および配列番号:2として示されるポリヌクレオチドのORF2配列
を記載する。さらに、配列番号:12として本明細書中に示されるペプチド配列
は、配列番号:3、配列番号:4および配列番号:5として示されるポリヌクレ
オチドのORF2配列を記載する。
【0105】 実施例2:SVIウイルス粒子の物理的特徴付け SVI陽性血清を、SVIウイルス粒子の浮遊密度を決定するために密度勾配
超遠心分離によって分画化した。
【0106】 HBVがマーカーとして加えられたSVI陽性血清の200μL試料を連続ス
クロース密度勾配(20%〜65%のスクロース、w/w)の表面に載せた。試
料をBeckman社のSW41Tiローターにおいて39,000rpmで1
5時間にわたって6℃で遠心分離した。画分(500μL)を、シリコーンチュ
ーブに取り付けたガラスキャピラリー管を介して遠心管の底からポンプで取り出
すことによって集めた。
【0107】 それぞれの画分を、2回のPCR増幅を使用してSVIについてアッセイした
。1回目はプライマー37.2およびプライマー37.3(それぞれ、5’−C
TCGACCTGGAAAGTCCAGTC−3’および5’−TGCAAAG
CAACAGACATGGAC−3’)が使用され、2回目はプライマー37.
4およびプライマー37.5(それぞれ、5’−TTCCTTGCCCTTGG
AGGTCTG−3’および5’−TAGACAGCGTCGCGACTTAC
−3’)が使用された。画分はまた、2回のPCRを使用してHBVについても
アッセイされた。1回目はプライマーHBV1およびプライマーHBV4(それ
ぞれ、5’−CATCTTCTTRTTGGTCTTCTGG−3’および5’
−CAAGGCAGGATAGCCACATTGTG−3’)が用いられ、そし
てプライマーHBV3(5’−CCTATGGGAGTGGGCCTCAG−3
’)およびプライマーHBV4が用いられた。SVIウイルスは、1.23g/
cm3 〜1.24g/cm3 に対応する画分に見出された。
【0108】 SVIの浮遊密度はまたCsCl勾配で測定された。HBVがマーカーとして
加えられたSVI陽性血清の200μLを、均一なCsCl溶液(密度:1.3
08g/cm3 )の表面に載せた。試料をBeckman社のSW41Tiロー
ターにおいて33,000rpmで70時間にわたって6℃で遠心分離した。画
分を、スクロース勾配実験について記載されているようにして集め、分析した。
SVIは、1.33g/cm3 〜1.35g/cm3 に対応する画分に見出され
た。
【0109】 浮遊密度はまた、ツイーンで処理された試料についてもアッセイされた。浮遊
密度は変化しなかった。
【0110】 実施例3:SVI感染の罹患率 1500を越える血清試料をSVIの存在についてPCRによってアッセイし
た。試料は以下の群に分けられた:(a)「超正常」な血液提供者(正常な血液
値、肝炎ウイルスマーカーなし、5回以上の献血について輸血関連事象に関与し
ていない);(b)「正常」な血液提供者(献血基準を満たす)、イタリア出身
者および英国出身者;(c)「不適格」な血液提供者(現在の規則のもとでは献
血に適さない健康な個体);(d)「肝炎」の患者、突発性、急性、慢性HBV
、慢性HCV、ならびに慢性のHBVおよびHCVまたはHBVおよびHDVに
分けられる;および(e)「輸血」の受血者、サラセミア患者および血友病患者
(組換え凝固因子のみが投与された血友病患者を含む)に分けられる。
【0111】 試料を、実施例2に記載されるように、37.2、37.3、37.4および
37.5のプライマーを使用して、血清試料から抽出されたDNAをPCR増幅
することによってアッセイした。結果を表1に示す。
【0112】
【表1】
【0113】 これらの結果は、SVIが、肝炎について陽性の個体において大きな罹患率を
有し、血液製剤が投与された個体において非常に高いことを示している。
【0114】 実施例4:チンパンジーにおけるSVIの感染および伝播 SVIの感染性を評価した。患者H035由来の血清(すなわち、SVI陽性
血清)を含む血清のプールに由来する試料をチンパンジー(X207と呼ばれる
)に静脈内注射した。この動物は、SVI陽性血清の投与前に、すべての公知の
肝炎ウイルスについて陰性であると試験された。血清試料を、この動物から週基
準で採取し、そして実施例2に記載されるように、37.2、37.3、37.
4および37.5のプライマーを使用するPCRによってSVIウイルスの存在
について調べた。血清中の肝酵素(ALT、AST)もまたアッセイされた。い
くつかの試料を、原型SVIとウイルスの公知のバリアント(すなわち、配列番
号:2〜配列番号:5)とを識別するプライマーを使用してSVIのバリアント
についてPCRによって調べた。原型SVIが接種の7週間後に最初に検出され
、そしてバリアント1が接種の5週間後に検出された。図2に示すように、原型
SVIおよびSVIバリアントの両方が、アッセイされた最終時点(それぞれ、
16週および15週)において16週までの血清試料で検出された。これらのデ
ータは、SVIがヒト以外の霊長類に感染して増幅し得る感染性因子であること
を示している。しかし、血清プールはHCVで汚染されていたことが後で見出さ
れたので、SVI陽性血清を接種した後のALTの増大がSVIウイルスのため
であるかどうかは不明である。
【0115】 別のチンパンジー(X323と呼ばれる)に、SVIウイルスを含まないと考
えられる5名の肝炎患者に由来する血清のプールを接種した。しかし、より詳細
な試験により、これらの提供物の1つが、低い力価のSVIを、示されたプール
に含むことが見出された。この動物もまた、接種前に、すべての公知の肝炎ウイ
ルスについて陰性であると事前に調べられていた。血清試料を、この動物から毎
週採取し、そして実施例2に記載するように、37.2、37.3、37.4お
よび37.5のプライマーを使用するPCRによって原型SVIおよびSVIバ
リアントについて調べた;血清中の肝酵素(ALT、AST)もまたアッセイさ
れた。ALTまたはASTにおける大きな変化は認められなかったが、図3に示
されているように、原型SVIおよびSVIバリアントの両方が、最初の接種を
行った12週目〜14週目から検出された。
【0116】 最初の接種を行った17週目に、動物X323にはまた、動物X207に由来
する8週目〜14週目の試料からプールされた血清が接種された。PCR試験は
、SVIウイルス血症が、動物X323において、2回目の接種を行った後の少
なくとも16週間にわたって持続していることを示した。さらに、原型SVIウ
イルスもまた、接種後の11週目から18週目までに得られた肝臓生検物から抽
出されたDNAにおいて、そして接種後の4週目から18週目までの白血球にお
いてPCRによって検出された。
【0117】 要約すると、本発明者らは、SVIウイルスがヒト以外の霊長類に感染して増
幅し得ること、そしてSVIの感染はヒト以外の霊長類間において伝播し得るこ
とを明らかにした。これらのデータはまた、SVIがヒト以外の霊長類における
慢性的な感染症を生じさせ得ることを示唆している。
【0118】 実施例5:ヒトにおけるSVIウイルスの伝播 SVIウイルスのヒトにおける伝播性を評価した。輸血のヒト受血者に由来す
る輸血前および輸血後の血清組ならびに供与血液をHitzler博士(Mai
nz)から得た。すべての試料を、実施例2に記載するように、37.2、37
.3、37.4および37.5のプライマーを使用するPCRによってSVIの
標的配列について調べた。
【0119】 スクリーニングされた206組の血清試料の中で、輸血前にSVIについて陰
性と調べられ、そしてSVI陽性血液を受けた8名の輸血受血者が同定された。
これら8名の患者は、輸血後の2週間目から始まり、そしてその後、少なくとも
2ヶ月間にわたって2週間の間隔での臨床的情報および標準的な血液化学分析に
より支援される研究によって追跡された。これら8名の輸血受血者のうち、6名
がSVI陽性になった:1名が輸血後の3週目〜4週目の早期にSVI陽性にな
り、4名は輸血後の15週目〜16週目の時点でSVI陽性のままであり、1名
は輸血後の17週目〜18週目の時点で引き続きSVI陽性であった。このこと
は、SVIウイルスがヒトにおける慢性的な感染症を生じさせ得ることを示唆し
ている。これらのデータは表2にまとめられている。なお、SVIのPCRアッ
セイは、「−」または「+」によって記されるそのような時点でのみ行われた。
【0120】
【表2】
【0121】 本開示を通して引用されている特許、特許出願および刊行物はその全体が参照
により本明細書中に組み込まれる。
【0122】 本発明は、直接的な記載によって、そして例によって、その両方で詳しく記載
されている。本発明の様々な均等物および改変が当業者には明かであり、それら
は本発明の範囲に包含される。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、SVIヌクレオチド配列をクローニングする際に使用された手順の概
略図である。
【図2】 図2には、SVI陽性のヒト血清が接種されたチンパンジーX207から得ら
れた血清試料における血清中の肝酵素およびSVIに対するアッセイの結果がま
とめられている。矢印は接種時間を示す。ひし形はALTレベルを示し、四角は
ASTレベルを示す。
【図3】 図3には、SVIについて陽性のヒト血清が低力価で接種され、かつチンパン
ジーX207のSVI陽性血清が接種されたチンパンジーから得られた血清にお
けるSVIに対するアッセイの結果がまとめられている。矢印1は、SVIにつ
いて陽性のヒト血清が低力価で接種されたことを示し、矢印2は、チンパンジー
X207のSVI陽性血清が接種されたことを示す。ひし形は原型SVI(HF
V1)を示し、丸はSVIバリアントを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 16/08 C12Q 1/68 A C12Q 1/68 G01N 33/53 D G01N 33/53 M 33/566 33/566 33/576 Z 33/576 C12P 21/08 // C12P 21/08 C12N 15/00 ZNAA (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,C H,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,EE ,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR, HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,K P,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU ,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX, NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,S G,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ ,UA,UG,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 ベーンツキー,ロイ,エイ. アメリカ合衆国 カリフォルニア 94040 マウンテン ビュー,イースト エル カミーノ リアル 870,アパートメント ナンバー15 (72)発明者 リン,ユー−フエイ アメリカ合衆国 カリフォルニア 90087 サニーベール,クレセント アベニュー 462 (72)発明者 チェン,ベンジャミン,ピー. アメリカ合衆国 カリフォルニア 94536 フレモント,パークサイド ドライブ 2711 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA14 BA33 CA01 CA09 HA14 4B063 QA13 QQ10 QQ42 QR32 QR55 QR62 QR79 QS25 QS34 4B064 AG27 CA20 CC24 DA01 DA15 4C085 AA03 BB11 CC22 DD62 EE06 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 BA10 CA02 DA76 DA86 EA20 EA29 EA31 EA53 FA74

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単離されたSVI ウイルスを含有してなる組成物。
  2. 【請求項2】 該単離されたSVI ウイルスが、配列番号:1 〜配列番号:5
    のいずれかのポリヌクレオチド配列を含有する、請求項1記載の組成物。
  3. 【請求項3】 配列番号:1 〜配列番号:5 のいずれかの塩基配列に選択的
    にハイブリダイズしうる単離されたポリヌクレオチド、 配列番号:1 〜配列番号:5 のいずれかの塩基配列に選択的にハイブリダイズし
    うる単離されたポリヌクレオチドの相補体、 単離されたSVI タンパク質またはその断片をコードする単離されたポリヌクレオ
    チド、および 単離されたSVI タンパク質またはその断片をコードする単離されたポリヌクレオ
    チドの相補体 からなる群より選択された単離されたポリヌクレオチドであり、かつ該単離され
    たポリヌクレオチドの塩基配列が、TTV 株SANBANおよびTUS01 のゲノム配列とは
    異なるものである単離されたポリヌクレオチド。
  4. 【請求項4】 該単離されたポリヌクレオチドが、アンチセンスポリヌクレ
    オチドである、請求項3の記載の単離されたポリヌクレオチド。
  5. 【請求項5】 単離されたSVI タンパク質またはその断片を含有してなる組
    成物であり、該単離されたSVI タンパク質またはその断片が、TTV 株SANBANおよ
    びTUS01 のタンパク質とは血清学的に異なるものである組成物。
  6. 【請求項6】 TTV 株SANBANおよびTUS01 のタンパク質とは血清学的に異な
    るものである単離されたSVI タンパク質またはその断片と、 薬学上許容されうる賦形剤と を含有してなるワクチン組成物。
  7. 【請求項7】 アジュバントをさらに含有してなる、請求項6記載のワクチ
    ン組成物。
  8. 【請求項8】 TTV 株SANBANおよびTUS01 のタンパク質とは血清学的に異な
    るものであるSVI タンパク質またはその断片をコードする単離されたポリヌクレ
    オチドを含有してなる発現ベクター。
  9. 【請求項9】 単離されたポリヌクレオチドを含有してなる発現ベクターで
    あり、該単離されたポリヌクレオチドの転写が、TTV 株SANBANおよびTUS01 由来
    のRNA 転写産物との二重鎖を形成するアンチセンスポリヌクレオチドではないSV
    I アンチセンスポリヌクレオチドの産生をもたらすものである発現ベクター。
  10. 【請求項10】 TTV 株SANBANおよびTUS01 またはそのタンパク質に結合し
    ないものである、SVI ウイルスまたはそのタンパク質に結合する単離されたポリ
    クローナル抗体。
  11. 【請求項11】 TTV 株SANBANおよびTUS01 またはそのタンパク質には結合
    しないものであり、SVI ウイルスまたはそのタンパク質に結合するモノクローナ
    ル抗体。
  12. 【請求項12】 試料と、TTV 株SANBANおよびTUS01 またはそのタンパク質
    に結合せず、かつSVI ウイルスまたはそのタンパク質に結合する抗体とを接触さ
    せるステップ、ならびに 該抗体とSVI ウイルスまたはそのタンパク質との複合体を検出するステップ を含む、SVI ウイルスの検出方法。
  13. 【請求項13】 試料と、TTV 株SANBANポリヌクレオチドまたはTTV 株TUS0
    1 ポリヌクレオチドに選択的にハイブリダイズしないものであり、かつSVI ポリ
    ヌクレオチドに選択的にハイブリダイズするプローブポリヌクレオチドとを接触
    させるステップ、ならびに 該プローブとSVI ポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションを検出するステ
    ップ、 を含む、SVI ウイルスの検出方法。
  14. 【請求項14】 SVI ウイルスに結合する抗体であり、該ウイルスのゲノム
    が、配列番号:1 、配列番号:2 、配列番号:3 、配列番号:4 、および配列番
    号:5 のいずれかを含むものである抗体。
  15. 【請求項15】 モノクローナル抗体である、請求項14記載の抗体。
  16. 【請求項16】 単離されたポリクローナル抗体である、請求項14記載の
    抗体。
  17. 【請求項17】 試料と、ウイルスまたはそのタンパク質に結合する抗体で
    あって、かつ該ウイルスのゲノムが、配列番号:1 、配列番号:2 、配列番号:
    3 、配列番号:4 、および配列番号:5 のいずれかを含むものである抗体とを接
    触させるステップ、ならびに 該抗体とSVI ウイルスまたはそのタンパク質との複合体を検出するステップ を含む、SVI ウイルスの検出方法。
  18. 【請求項18】 試料と、配列番号:1 、配列番号:2 、配列番号:3 、配
    列番号:4 、および配列番号:5 のいずれかを含むウイルスゲノムの一部である
    標的ポリヌクレオチドに選択的にハイブリダイズするプローブポリヌクレオチド
    とを接触させるステップ、ならびに 該プローブと該標的とのハイブリダイゼーションを検出するステップ を含む、SVI ウイルスの検出方法。
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