以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<1.基板処理装置の構成>
図1は、本実施の形態に係る基板処理装置100の平面図である。ここでは、基板に反射防止膜やフォトレジスト膜を塗布形成するとともに、露光された基板に現像処理などの薬液処理を施す基板処理装置を例にとって説明する。なお、図1および以降の各図には、それらの方向関係を明確にすべく必要に応じて適宜、Z軸方向を鉛直方向とし、XY平面を水平面とするXYZ直交座標系を付している。
図1に示すように、本実施の形態の基板処理装置100は、大きく分けて、インデクサブロック1と、基板に対して所定の薬液処理を行う3つの処理ブロック(具体的には反射防止膜処理ブロック2、レジスト膜処理ブロック3、および現像処理ブロック4)と、インターフェイスブロック5とからなり、これらのブロックを並設して構成されている。インターフェイスブロック5には、本実施の形態の基板処理装置100とは別体の外部装置である露光装置(ステッパー)STPが並設されている。
なお、基板処理装置100においては、図示しない所定の供給手段によって各ブロック内に清浄空気がダウンフローの状態で供給されている。これにより、各ブロック内おいて、パーティクルの巻き上がりや気流によるプロセスへの悪影響が回避される。
また、各ブロック内は外部に対して若干陽圧に保たれており、パーティクルや汚染物質の侵入などを防いでいる。特に、反射防止膜処理ブロック2内の気圧はインデクサブロック1内の気圧よりも高くなるように設定されている。これにより、インデクサブロック1内の雰囲気が反射防止膜処理ブロック2に流入しないので、外部の雰囲気の影響を受けずに各処理ブロックで処理を行うことができる。
インデクサブロック1は、基板処理装置100の外部からの未処理の基板Wの受け入れや、逆に処理済の基板Wの外部への払い出しを担う部位である。インデクサブロック1には、所定枚数の基板Wを多段に収納可能なカセットCを複数個(図1においては4個)並べて載置するカセット載置台6と、カセットCから未処理の基板Wを順に取り出して後段の処理へと供するとともに、処理済の基板W受け取って再びカセットCへと順に収納するインデクサ用搬送機構7とを備えている。
インデクサ用搬送機構7は、カセット載置台6にY軸方向に水平移動可能な可動台7aと、可動台7a上にあって基板Wを水平姿勢で保持する保持アーム7bと、保持アーム7bの先端部分の内側に突出する複数本のピン10c(図1には3個の場合を図示)とを備えている(図2参照)。保持アーム7bは、Z軸方向への上下移動、水平面内の旋回移動、および旋回半径方向への進退移動がそれぞれ可能に設けられている。基板Wは、ピン10cによって水平姿勢で保持される。
また、インデクサブロック1と、隣接する反射防止膜処理ブロック2との境界部には、図1に示すように、互いの雰囲気を遮断することを目的とする隔壁13が設けられている。そして、当該隔壁13には、基板Wを載置するための基板載置部PASS1、PASS2が、当該隔壁13を部分的に貫通させて、上下に1個ずつ設けられている。
インデクサブロック1における基板Wの受け渡しについて概説する。まず、インデクサ用搬送機構7が、所定のカセットCに対向する位置にまで水平移動する。続いて、保持アーム7bが昇降および進退移動することにより、そのカセットCに収納されている未処理の基板Wを取り出す。保持アーム7bに基板Wを保持した状態で、インデクサ用搬送機構7が、後述する基板載置部PASS1、PASS2に対向する位置にまで水平移動する。
そして、保持アーム7b上の基板Wを基板払出し用の上側の基板載置部PASS1に載置する。基板戻し用の下側の基板載置部PASS2に処理済みの基板Wが載置されている場合、インデクサ用搬送機構7は、その処理済みの基板Wを保持アーム7b上に受け取って、所定のカセットCに処理済みの基板Wを収納する。以下、同様にカセットCから未処理基板Wを取り出して基板載置部PASS1に搬送するとともに、処理済み基板Wを基板載置部PASS2から受け取ってカセットCに収納するという動作を繰り返し行う。
図2は、基板処理装置100の正面図である。図3は、図2と同じ方向からみた場合の、熱処理部TPの配置構成を示す図である。反射防止膜処理ブロック2は、フォトレジスト膜の下部に、露光装置STPにおける露光時に発生する定在波やハレーションを減少させるための反射防止膜を形成する処理を行う。反射防止膜処理ブロック2は、基板Wの表面に反射防止膜を塗布する処理を担う第1塗布処理部8(塗布処理ユニット8a〜8cを有する)と、塗布に際し必要な熱処理を行う第1熱処理部9(複数の加熱プレートHP、冷却ユニットCPおよびアドヒージョン処理ユニットAHLを有する)と、第1塗布処理部8および第1熱処理部9に対して基板Wの受け渡しをする第1主搬送機構10Aとを備える。
第1主搬送機構10Aは、後述する主搬送機構10B〜10Dと同様なハードウェア構成を有する搬送ロボットであり、基台10d上に2個の保持アーム10a、10bが上下に設けて構成されている(ただし、図1には1個のみ図示)。保持アーム10a、10bは、略C字状の先端部分を有しており、この先端部分の内側に突出する複数本のピン10c(図1には3個の場合を図示)によって基板Wを水平姿勢で保持することができる。保持アーム10a、10bは、図示しない駆動機構によって、水平面内の旋回移動、Z軸方向の昇降移動、および旋回半径方向の進退移動が可能に構成されている。
また、反射防止膜処理ブロック2と、隣接するレジスト膜処理ブロック3との境界部には、図1に示すように、互いの雰囲気を遮断することを目的とする隔壁13が設けられている。また、当該隔壁13には、基板Wを載置するための基板載置部PASS3、PASS4が、当該隔壁13を部分的に貫通させて、上下に1個ずつ設けられている。すなわち、基板載置部PASS3、PASS4は、反射防止膜処理ブロック2の第1主搬送機構10Aとレジスト膜処理ブロック3の第2主搬送機構10Bとの間で基板Wの受け渡しを行うための載置部である。これら基板載置部のうち上側に配置された基板載置部PASS3は基板払い出し用に、下側に配設された基板載置部PASS4は基板戻し用にそれぞれ使用される。
反射防止膜処理ブロック2において反射膜を形成する処理が完了した基板Wは、第1主搬送機構10Aによって上側の基板載置部PASS3に載置される。そして、基板載置部PASS3に載置された基板Wは、レジスト膜処理ブロック3の第2主搬送機構10Bによってレジスト膜処理ブロック3内に搬入される。また、露光装置STPおよび現像処理ブロック4において露光処理、露光後ベーク処理、および現像処理が完了した基板Wは、第2主搬送機構10Bによって下側の基板載置部PASS4に載置される。そして、反射防止膜処理ブロック2の第1主搬送機構10Aによって反射防止膜処理ブロック2内に搬入される。すなわち、反射防止膜処理ブロック2とレジスト膜処理ブロック3とは、基板載置部PASS3および基板載置部PASS4を介して基板Wの受け渡しを行う。
なお、反射防止膜処理ブロック2において、第1塗布処理部8と第1熱処理部9とは、第1主搬送機構10Aを間に挟み、第1塗布処理部8が装置正面側に位置するように、また、第1熱処理部9が装置背面側に位置するように、それぞれ配置されている。そのため第1熱処理部9から第1塗布処理部8への熱的影響が抑制される。また、第1熱処理部9の正面側(第1主搬送機構10A側)には、図示しない熱隔壁が設けられている。そのため、当該熱隔壁によっても、第1塗布処理部8への熱的影響が回避される態様となっている。
レジスト膜処理ブロック3は、反射防止膜が形成された基板W上にフォトレジスト膜を形成する処理を担う。なお、本実施の形態では、フォトレジストとして化学増幅レジストを用いる。レジスト膜処理ブロック3は、フォトレジスト膜を塗布する処理を担う第2塗布処理部15(塗布処理ユニット15a〜15cを有する)と、塗布に際し必要な熱処理を行う第2熱処理部16(複数の基板仮置部付きの加熱部PHPおよび冷却ユニットCPを有する)と、第2塗布処理部15およぴ第2熱処理部16に対して基板Wの受け渡しをする第2主搬送機構10Bとを備える。
また、レジスト膜処理ブロック3と、隣接する現像処理ブロック4との境界部には、図1に示すように、互いの雰囲気を遮断することを目的とする隔壁13が設けられている。また、当該隔壁13には、基板Wを載置するための基板載置部PASS5、PASS6が、当該隔壁13を部分的に貫通させて、上下に1個ずつ設けられている。すなわち、基板載置部PASS5、PASS6は、レジスト膜処理ブロック3の第2主搬送機構10Bと現像処理ブロック4の第3主搬送機構10Cとの間で基板Wの受け渡しを行うための載置部である。これら基板載置部のうち上側に配置された基板載置部PASS5は基板払い出し用に、下側に配設された基板載置部PASS6は基板戻し用にそれぞれ使用される。
レジスト膜処理ブロック3においてレジスト塗布処理が完了した基板Wは、第2主搬送機構10Bによって上側の基板載置部PASS5に載置される。そして、基板載置部PASS5に載置された基板Wは、現像処理ブロック4の第3主搬送機構10Cによって現像処理ブロック4内に搬入される。また、露光装置STPおよび現像処理ブロック4において露光処理、露光後ベーク処理、および現像処理が完了した基板Wは、第3主搬送機構10Cによって下側の基板載置部PASS6に載置される。そして、レジスト膜処理ブロック3の第2主搬送機構10Bによってレジスト膜処理ブロック3内に搬入される。すなわち、レジスト膜処理ブロック3と現像処理ブロック4とは、基板載置部PASS5および基板載置部PASS6を介して基板Wの受け渡しを行う。
なお、レジスト膜処理ブロック3において、第2塗布処理部15と第2熱処理部16とは、第2主搬送機構10Bを間に挟み、第2塗布処理部15が装置正面側に位置するように、また、第2熱処理部16が装置背面側に位置するように、それぞれ配置されている。そのため、反射防止膜処理ブロック2と同様に、第2熱処理部16から第2塗布処理部15への熱的影響が抑制される。また、第2熱処理部16の正面側(第2主搬送機構10B側)には、図示しない熱隔壁が設けられている。そのため、当該熱隔壁によっても、第2塗布処理部15への熱的影響が回避される態様となっている。
現像処理ブロック4は、露光装置STPにおいて所定の回路パターンが露光された基板Wに対して現像処理をする機構である。現像処理ブロック4は、現像液により現像処理を行う現像処理部30と、現像処理に際し必要な熱処理を行う第3熱処理部31と、現像処理部30および第3熱処理部31に対して基板Wの受け渡しをする第3主搬送機構10Cとを備える。
現像処理部30は、図2に示すように、同様の構成を備えた5つの現像処理ユニット30a〜30e(以下、特に区別しない場合は符号「30」で示す)を上下に積層配置して構成されている。各現像処理ユニット30は、基板Wを水平姿勢で吸着保持して回転するスピンチャック32や、このスピンチャック32上に保持された基板W上に現像液を供給するノズル33などを備えている。
第3熱処理部31は、図3に示すように、各々複数個の加熱プレートHP、基板仮置部付きの加熱部PHP、および、基板Wを常温にまで高い精度で冷却する冷却プレートCPなどの熱処理部を含み、各熱処理部が上下に積層されるとともに並列配置される。
図4に基板仮置部付きの加熱部PHPの概略構成を示す。加熱部PHPは、基板Wを載置して熱処理する加熱プレート(加熱ユニット)HPと、当該加熱プレートHPから離れた上方位置または下方位置(本実施の形態では上方位置)に基板Wを載置する基板仮置部19と、加熱プレートHPと基板仮置部19との間で基板Wを搬送する熱処理部用のローカル搬送機構20とを備えている。加熱プレートHPには、プレート表面に複数本の可動支持ピン21が出没自在に設けられている。加熱プレートHPの上方には熱処理時に基板Wを覆う昇降自在の上蓋22が設けられている。基板仮置部19には基板Wを支持する複数本の固定支持ピン23が設けられている。
ローカル搬送機構20は、基板Wを略水平姿勢で保持する保持プレート24を備え、この保持プレート24がネジ送り駆動機構25によって昇降移動されるとともに、ベルト駆動機構26によって進退移動されるように構成されている。保持プレート24は、これが加熱プレートHPや基板仮置部19の上方に進出したときに、可動支持ピン21や固定支持ピン23と干渉しないように複数本のスリット24aが形成されている。また、ローカル搬送機構20は、加熱プレートHPから基板仮置部19へ基板Wを搬送する過程で基板を冷却する冷却ユニットを備えている。
この冷却ユニットは、図4(b)に示すように、保持プレート24の内部に冷却水流路24bを設け、この冷却水流路24bに冷却水を流通させることによって構成してもよい。また、図示を省略する冷却装置と保持プレート24とを接して保持プレート24から当該冷却装置への熱伝導によって冷却し、この冷却された保持プレート24によって基板Wを保持する際に、基板Wから保持プレート24への熱伝導によって冷却してもよい。
上述したローカル搬送機構20は、インターフェイスブロック5の第4主搬送機構10Dが対向する面19e(図4(b)参照)と隣り合う面19fと対向するように設置されている。そして、加熱プレートHPおよび基板仮置部19を覆う筐体27の上部、すなわち基板仮置部19を覆う部位には、面19eに第3主搬送機構10Cの進入を許容する開口部19aが、面19fにはローカル搬送機構20の進入を許容する開口部19bがそれぞれ設けられている。また、筐体27の下部、すなわち加熱プレートHPを覆う部位は、面19eが閉塞し、面19fにローカル搬送機構20の進入を許容する開口部19cが設けられている。
上述した加熱部PHPに対する基板Wの出し入れは以下のようにして行われる。まず、第3主搬送機構10Cが基板Wを保持して、基板仮置部19の固定支持ピン23の上に基板Wを載置する。続いて、ローカル搬送機構20の保持プレート24が基板Wの下側に進入してから少し上昇することにより、固定支持ピン23から基板Wを受け取る。基板Wを保持した保持プレート24は筐体27から退出して、加熱プレートHPに対向する位置まで下降する。このとき加熱プレートHPの可動支持ピン21は、基板Wの下面と保持プレート24の上面とが接する加熱位置まで下降しているとともに、上蓋22は上昇している。基板Wを保持した保持プレート24は加熱プレートHPの上方に進出する。可動支持ピン21が上昇して基板Wを受取位置にて受け取った後に保持プレート24が退出する。続いて、可動支持ピン21が下降して基板Wを加熱プレートHP上に載せるととともに、上蓋22が下降して基板Wを覆う。この状態で基板Wが熱処理される。熱処理が終わると上蓋22が上昇するとともに、可動支持ピン21が上昇して基板Wを持ち上げる。続いて、保持プレート24が基板Wの下に進出した後、可動支持ピン21が下降することにより、基板Wが保持プレート24に受け渡される。基板Wを保持した保持プレート24が退出して、さらに上昇して基板Wを基板仮置部19に搬送する。基板仮置部19内で保持プレート24に支持された基板Wが、保持プレート24が保有する冷却機能によって冷却される。保持プレート24は、冷却した(常温に戻した)基板Wを基板仮置部19の固定支持ピン23上に移動する。第3主搬送機構10Cが基板Wを取り出して搬送する。
以上のように、第3主搬送機構10Cは、基板仮置部19に対して基板Wの受け渡しをするだけで、加熱プレートHPに対して基板Wの受け渡しをしない。そのため、主搬送機構10が温度上昇するのを回避することができる。
第3熱処理部31の右側(インターフェイスブロック5に隣接している側)の熱処理部の列には、現像処理ブロック4の第3主搬送機構10Cとインターフェイスブロック5の第4主搬送機構10Dとの間で基板Wの受け渡しを行うための基板載置部PASS7、PASS8が上下に近接して設けられている。これらのうち上側に配置された基板載置部PASS7は基板払い出し用に、下側に配設された基板載置部PASS8は基板戻し用にそれぞれ使用される。
ここで、レジスト膜処理ブロック3から現像処理ブロック4に搬入された基板Wは、第3主搬送機構10Cによって基板載置部PASS7に載置される。そして、基板載置部PASS7に載置された基板Wは、現像処理ブロック4の第4主搬送機構10Dによってインターフェイスブロック5内に搬入される。また、露光装置STPおよび現像処理ブロック4において露光処理、露光後ベーク処理、および現像処理が完了した基板Wは、第3主搬送機構10Cによって基板載置部PASS6に載置される。そして、レジスト膜処理ブロック3の第2主搬送機構10Bによってレジスト膜処理ブロック3内に搬入される。すなわち、レジスト膜処理ブロック3と現像処理ブロック4とは、基板載置部PASS5および基板載置部PASS6を介して基板Wの受け渡しを行う。
なお、現像処理ブロック4において、現像処理部30と第3熱処理部31とは、第3主搬送機構10Cを間に挟み、現像処理部30が装置正面側に位置するように、また、第3熱処理部31が装置背面側に位置するように、それぞれ配置されている。そのため、反射防止膜処理ブロック2およびレジスト膜処理ブロック3と同様に、第3熱処理部31から現像処理部30への熱的影響が抑制される。また、第3熱処理部31の正面側(第3主搬送機構10C側)には、図示しない熱隔壁が設けられている。そのため、当該熱隔壁によっても、現像処理部30への熱的影響が回避される態様となっている。
インターフェイスブロック5は、基板処理装置100とは別体の外部装置である露光装置STPに対して基板Wの受渡をする機構である。基板処理装置100におけるインターフェイスブロック5には、露光装置STPとの間で基板Wの受け渡しをするためのインターフェイス用搬送機構35の他に、フォトレジストが塗布された基板Wの周縁部を露光する2つのエッジ露光ユニットEEWと、現像処理ブロック4内に配設された基板仮置部付きの加熱部PHPおよびエッジ露光ユニットEEWに対して基板Wを受け渡しする第4主搬送機構10Dを備えている。
エッジ露光ユニットEEWは、図2に示すように、基板Wを水平姿勢で吸着保持して回転するスピンチャック36や、このスピンチャック36上に保持された基板Wの周縁部を露光する光照射器37などを備えている。2つのエッジ露光ユニットEEWは、インターフェイスブロック5の中央部に上下に積層配置されている。
図5はインターフェイスブロック5の側面図である。2つのエッジ露光ユニットEEWの下側に基板戻し用の戻し用バッファRBFがあり、さらにその下側に基板載置部PASS9、PASS10が積層配置されている。基板戻し用のバッファRBFは、故障などのために現像処理ブロック4が基板Wの現像処理をすることができない場合に、現像処理ブロック4の加熱部PHPで露光後の熱処理を行った後に、その基板Wを一時的に収納保管しておくものである。このバッファRBFは、複数枚の基板Wを多段に収納できる収納棚から構成されている。基板載置部PASS9、PASS10は、第4主搬送機構10Dとインターフェイス用搬送機構35との間で基板Wの受け渡しを行うためのもので、上側が基板払出し用、下側が基板戻し用になっている。
インターフェイス用搬送機構35は、図1および図5に示すように、Y方向に水平移動可能な可動台35aを備え、この可動台35a上に基板Wを保持する保持アーム35bを搭載している。保持アーム35bは、昇降・旋回および旋回半径方向に進退移動可能に構成されている。インターフェイス用搬送機構35の搬送経路の一端(図5に示す位置P1)は、積層された基板載置部PASS9、PASS10の下方にまで伸びており、この位置P1で露光装置STPとの間で基板Wの受け渡しを行う。また、搬送経路の他端位置P2では、基板載置部PASS9、PASS10に対する基板Wの受け渡しと、送り用バッファSBFに対する基板Wの収納と取り出しとを行う。送り用バッファSBFは、露光装置STPが基板Wの受け入れをできないときに、露光処理前の基板Wを一時的に収納保管するもので、複数枚の基板Wを多段に収納できる収納棚から構成されている。
<2.基板処理装置の制御>
図6は、基板処理装置100の各ブロック1〜5の配置を示す平面図である。図7は、基板処理装置100のセル配置を示す平面図である。また、図8は、基板処理装置100の制御系を示すブロック図である。ここでは、本実施の形態における基板処理装置100の制御系について説明する。
上述のように、基板処理装置100は、インデクサブロック1、反射防止膜処理ブロック2、レジスト膜処理ブロック3、現像処理ブロック4、インターフェイスブロック5に分割して構成されている(図6)。従来、基板処理装置において、このように各ブロックに分割されたハードウェア構成が採用される場合、各ブロックは、それぞれコントローラを有し、当該コントローラによって対応するブロックにおいて行われる処理の状況(例えばブロックに含まれる加熱プレートHPによる基板Wの熱処理の状況や、基板Wの搬送状況等)の制御を行っていた。しかし、本実施の形態の基板処理装置100では、装置全体を複数のセルと呼ばれる要素に分割し、当該複数のセルのそれぞれ対応するコントローラによって各セル内での処理状況や基板Wの搬送状況等の制御を行っている。
ここで、セルとは、インデクサ用搬送機構7、各主搬送機構10A〜10D、およびインターフェイス用搬送機構35(以下、「基板搬送機構」とも称する)を基準として基板処理装置100を複数に分割した各要素のことである。すなわち、図7に示すように、各セルC1〜C6は、各基板搬送機構が基板Wの受け渡しを行う範囲を基準に分割されている。
インデクサセルC1は、基板処理装置100の外部からの未処理の基板Wの受け入れや、逆に処理済の基板Wの外部への払い出しを行う要素でありインデクサブロック1に対応する。すなわち、インデクサセルC1は、インデクサ用搬送機構7を基準に基板処理装置100を分割した要素であり、主として、インデクサ用搬送機構7と、インデクサセルC1用の制御部であるコントローラCT1(図8参照)を有する。
また、反射防止膜用処理セルC2は、反射防止膜を形成する処理を行う要素であり、反射防止膜処理ブロック2に対応する。すなわち、反射防止膜用処理セルC2は、第1主搬送機構10Aを基準に基板処理装置100を分割した要素であり、主として第1主搬送機構10Aと、第1塗布処理部8と、第1熱処理部9と、コントローラCT2(図8参照)とが含まれる。そして、反射防止膜用処理セルC2内に含まれる基板Wの処理状況および搬送状況に応じ、コントローラCT2によって反射防止膜用処理セルC2内の各ハードウェアの状態が制御される。
また、レジスト膜用処理セルC3は、基板W上にフォトレジスト膜を形成する処理を行う要素であり、レジスト膜処理ブロック3に対応する。すなわち、レジスト膜用処理セルC3は、第2主搬送機構10Bを基準に基板処理装置100を分割した要素であり、主として、第2主搬送機構10Bと、第2塗布処理部15と、第2熱処理部16と、コントローラCT3(図8参照)とが含まれる。そして、コントローラCT3によってレジスト膜用処理セルC3内に含まれる基板Wの処理状況および搬送状況に応じ、コントローラCT3によってレジスト膜用処理セルC3内の各ハードウェアの状態が制御される。
また、現像処理セルC4は、露光処理が完了した基板Wに現像処理を施す要素であり、現像処理ブロック4に含まれる一部のハードウェアが対応する。すなわち、現像処理セルC4は、第3主搬送機構10Cを基準に基板処理装置100を分割した要素であり、主として、第3主搬送機構10Cと、現像処理部30と、第3熱処理部31のうちレジスト膜処理ブロック3側に配設された加熱プレートHPおよび冷却ユニットCPと、セルコントローラCT4(図8参照)とが含まれる。そして、コントローラCT4によって現像処理セルC4内に含まれる基板Wの処理状況および搬送状況に応じ、コントローラCT4によって現像処理セルC4内の各ハードウェアの状態が制御される。
また、露光後熱処理セルC5は、露光処理が完了した基板Wに対して露光後熱処理を行う要素であり、現像処理ブロック4の一部のハードウェアとインターフェイスブロック5の一部のハードウェアとが対応する。すなわち、露光後熱処理セルC5は、第4主搬送機構10Dを基準に基板処理装置100を分割した要素であり、主として、第4主搬送機構10Dと、第3熱処理部31のうちインターフェイスブロック5側に配設された加熱部PHPおよび冷却ユニットCPと、戻し用バッファRBFと、コントローラCT5(図8参照)とが含まれる。そして、露光後熱処理セルC5内に含まれる基板Wの処理状況および搬送状況に応じ、コントローラCT5によって露光後熱処理セルC5内の各ハードウェアの状態が制御される。
また、インタフェースセルC6は、基板処理装置100と外部装置である露光装置STPとの間で基板Wの受渡をする要素であり、インターフェイスブロック5の一部が対応する。すなわち、インタフェースセルC6は、インターフェイス用搬送機構35を基準に基板処理装置100を分割した要素であり、主として、インターフェイス用搬送機構35と、エッジ露光ユニットEEWと、送り用バッファSBFと、コントローラCT6(図8参照)とが含まれる。そして、コントローラCT6によってインタフェースセルC6内に含まれる基板Wの処理状況および搬送状況に応じ、コントローラCT6によってインタフェースセルC6内の各ハードウェアの状態が制御される。
このように、セルC1〜C6のそれぞれは、各々対応するコントローラCT1〜CT6によって独立して制御することができる。そして、これらコントローラCT1〜CT6は、図8に示すように、メインコントローラMCと接続されている。
メインコントローラMCは、基板処理装置100の各セルC1〜C6に含まれるハードウェアの稼動状況を制御して基板処理装置100による半導体製造工程を管理する制御装置であり、プログラムや変数等を格納するメモリ51と、メモリ61に格納されたプログラムに従った制御を実行するCPU52とを備えている。また、メインコントローラMCは、各コントローラCT1〜CT6と有線または無線ネットワークを介して通信可能に接続されている。
そのため、メインコントローラMCは、セルC1〜C6のそれぞれに対応するコントローラCT1〜CT6から送信される各ハードウェアの稼動状況(例えば、加熱プレートHPの温度、基板搬送機構の搬送状況)を示す稼動状況データを受信することができる。また、メインコントローラMCは、当該稼動状況データに基づき、最適な基板処理を施すためのハードウェアの稼動状況を求めるための演算処理を実行するとともに、選択したコントローラCT1〜CT6に対してハードウェアの稼動状況を所定状態(例えば、反射防止膜用処理セルC2に含まれる加熱プレートHPを所定温度)にする制御信号を送信することにより、各セルC1〜C6に含まれるハードウェアの稼動状況を最適な状態にすることができる。
また、メインコントローラMCは、基板処理装置100を含む複数の基板処理装置100による半導体製造工程の全体を管理するホストコンピュータHCと有線または無線ネットワークを介して通信可能に接続されている。ここで、ホストコンピュータHCは、プログラムや変数等を格納するメモリ61と、メモリ61に格納されたプログラムに従った制御を実行するCPU62とを備える制御装置である。したがって、各基板処理装置によって製造される半導体ウェハの状況に関するデータをネットワークを介してメインコントローラMCからホストコンピュータHCに送信することにより、各半導体ウエハの製造状況をホストコンピュータHCにおいて容易に把握することが可能となる。
<3.基板処理装置の動作>
ここでは、基板処理装置100に含まれるインデクサセルC1、反射防止膜用処理セルC2、レジスト膜用処理セルC3、現像処理セルC4、露光後熱処理セルC5、およびインターフェイスセルC6のそれぞれの動作について説明する。
まず、インデクサセルC1の動作について説明する。インデクサセルC1では、カセットCに収納された未処理の基板Wをインデクサ用搬送機構7によって取り出すとともに、基板載置部PASS1、PASS2と対向する位置まで水平移動して基板載置部PASS1に未処理の基板Wを載置する。また、コントローラCT1によって基板載置部PASS2に処理済の基板Wが載置されたことを検出すると、インデクサ用搬送機構7を基板載置部PASS1、PASS2と対向する位置まで水平移動させるとともに、基板載置部PASS2に載置された基板Wを受け取る。
次に、反射防止膜用処理セルC2の動作について説明する。反射防止膜用処理セルC2では、コントローラCT2によって基板載置部PASS1に未処理の基板Wが載置されたことを検出すると、第1主搬送機構10Aを基板載置部PASS1、PASS2と対向する位置まで水平移動させるとともに、基板載置部PASS1に載置された基板Wを受け取る。続いて、第1塗布処理部8に基板Wを搬入することによって反射防止膜を塗布する処理を行うとともに、第1熱処理部9に反射防止膜が塗布された基板Wを搬入することによって所定の熱処理を行う。そして、これら塗布処理および熱処理が完了した基板Wを、第1主搬送機構10Aによって基板載置部PASS3、PASS4と対向する位置まで水平移動させるとともに、上側の基板載置部PASS3に載置する。
また、反射防止膜用処理セルC2では、コントローラCT2によって基板載置部PASS4に露光処理が完了した基板Wが載置されたことを検出すると、第1主搬送機構10Aを基板載置部PASS3、PASS4と対向する位置まで移動させるとともに、下側の基板載置部PASS4に載置された基板を受け取る。そして、第1主搬送機構10Aを基板載置部PASS1、PASS2と対向する位置まで移動して露光処理済みの基板Wを下側の基板載置部PASS2に載置する。
続いて、レジスト膜用処理セルC3の動作について説明する。レジスト膜用処理セルC3では、コントローラCT3によって基板載置部PASS3に反射防止膜が塗布された基板Wが載置されたことを検出すると、基板載置部PASS3、PASS4と対向する位置まで第2主搬送機構10Bを水平移動させるとともに、上側の基板載置部PASS3に載置された基板Wを受け取る。続いて、この反射防止膜が塗布された反射防止膜塗布済み基板Wを第2塗布処理部15に搬入することによってレジスト膜を塗布する処理を行うとともに、第2熱処理部16にレジスト膜が塗布された基板Wを搬入することによって所定の熱処理を行う。そして、これら塗布処理および熱処理が完了した基板Wを、第2主搬送機構10Bによって基板載置部PASS5、PASS6と対向する位置まで水平移動させるとともに、上側の基板載置部PASS5に載置する。
また、レジスト膜用処理セルC3では、コントローラCT3によって基板載置部PASS6に露光処理が完了した基板Wが載置されたことを検出すると、第2主搬送機構10Bを基板載置部PASS5、PASS6と対向する位置まで移動させるとともに、下側の基板載置部PASS6に載置された基板を受け取る。そして、基板載置部PASS3、PASS4と対向する位置まで移動して露光処理済みの基板Wを下側の基板載置部PASS4に載置する。
続いて、現像処理セルC4の動作について説明する。現像処理セルC4では、コントローラCT4によって基板載置部PASS5に基板Wが載置されたことを検出すると、第3主搬送機構10Cを基板載置部PASS5、PASS6と対向する位置まで移動させてレジスト膜の塗布された基板Wを受け取るとともに、基板載置部PASS7、PASS8と対向する位置まで水平移動して当該レジスト膜の塗布された基板Wを基板載置部PASS7に受け渡す。
また、コントローラCT4によって基板載置部PASS8に露光済みの基板Wが載置されたことを検出すると、第3主搬送機構10Cを基板載置部PASS7、PASS8と対向する位置まで移動させるとともに、基板載置部PASS8に載置された基板Wを受け取る。続いて、この露光済みの基板Wを現像処理部30に搬入することによって現像処理を行うとともに、第3熱処理部31に現像処理が完了した基板Wを搬入することによって所定の熱処理を行う。そして、これらの現像処理および熱処理が完了した基板Wを、第3主搬送機構10Cによって基板載置部PASS5、PASS6と対向する位置まで水平移動させるとともに、下側の基板載置部PASS6に載置する。
続いて、露光後熱処理セルC5について説明する。露光後熱処理セルC5では、コントローラCT5によって基板載置部PASS7に基板Wが載置されたことを検出すると、基板載置部PASS7、PASS8と対向する位置まで第4主搬送機構10Dを昇降移動させるとともに、上側の基板載置部PASS7に載置されたレジスト膜の塗布された基板Wを受け取るとともに、エッジ露光ユニットEEWにこの基板Wを搬入してエッジ露光処理を行う。そして、第4主搬送機構10Dによってエッジ露光ユニットEEWからエッジ露光処理が完了した基板Wを基板載置部PASS9、PASS10と対向する位置まで昇降させるとともに、上側の基板載置部PASS9に当該基板Wを載置する。
また、コントローラCT5によって基板載置部PASS10に基板Wが載置されたことを検出すると、基板載置部PASS9、PASS10と対向する位置まで第4主搬送機構10Dを昇降移動させるとともに、下側の基板載置部PASS10に載置された露光済みの基板Wを受け取る。続いて、露光後熱処理セルC5の第3熱処理部31に含まれる加熱部PHPにこの露光済みの基板Wを搬入することによって、露光後熱処理を行う。そして、第4主搬送機構10Dによって露光後熱処理が完了した基板Wを基板載置部PASS7、PASS8と対向する位置まで昇降させるとともに、下側の基板載置部PASS8に露光後熱処理が完了した基板Wを載置する。なお、露光後熱処理セルC5において行われる露光後熱処理の動作の詳細については後述する。
続いて、インターフェイスセルC6の動作について説明する。インターフェイスセルC6では、コントローラCT6によって基板載置部PASS9にレジスト膜が塗布された基板Wが載置されたことを検出すると、インターフェイス用搬送機構35を基板載置部PASS9、PASS10と対向する位置まで移動させるとともに、上側の基板載置部PASS9に載置された基板Wを受け取る。そして、インターフェイス用搬送機構35は、露光装置STPの搬送機構(図示省略)との間で基板Wの受け渡しを行う。
また、インターフェイス用搬送機構35は、露光装置STPの搬送機構(図示省略)から露光処理が完了した基板Wを受け取ると、基板載置部PASS9、PASS10と対向する位置まで移動して下側の基板載置部PASS10に当該基板Wを載置する。
以上のような各セルC1〜C6の動作により、基板処理装置100のインデクサセルC1に搬入される基板Wは、基板載置部PASS1、PASS3、PASS5、PASS7、PASS9、PASS10、PASS8、PASS6、PASS4、およびPASS2の順に搬送されつつ、当該基板Wに対して反射防止膜用処理セルC2による反射防止膜の塗布処理、レジスト膜用処理セルC3によるレジスト膜の塗布処理、インターフェイスセルC6によるエッジ露光処理、露光後熱処理セルC5による露光後熱処理、および現像処理セルC4による現像処理が、この順に施されることとなる。
<4.露光後熱処理セルでの動作>
ところで、上述のように、本実施の形態の基板処理装置100では、基板W上に化学増幅レジストを塗布してレジスト膜を形成している。この化学増幅レジストを塗布したレジスト膜に露光処理を行うと、当該露光処理により光が照射された照射部分に酸触媒が生成されてレジスト膜中に3次元分布を有する配線パターンの基になる形状が潜伏した状態が形成される。そして、この露光処理が施されたレジスト膜を基板Wとともに加熱部PHPによって加熱することにより、当該照射部分に生成した酸触媒の触媒作用によって現像液に対して溶解速度の変化を引き起こす化学反応が活性化され、レジスト膜中に所望の配線パターンが形成されるとともに、加熱プレートHPにて熱処理が完了した基板Wをローカル搬送機構20によって搬送する際に保持プレート24の冷却作用によって当該化学反応がほぼ停止する。
すなわち、保持プレート24による冷却処理が完了すると、レジスト膜中の配線パターンは、酸触媒の影響をほぼ受けなくなるため、レジスト膜中に安定して存在することができる。そのため、露光後熱処理セルC5での処理が完了してから、現像処理セルC4における現像処理が開始されるまでの時間にバラツキが生じても、レジスト膜中の配線パターンの線幅を略同一に維持することができる。
しかし、発明が解決しようとする課題の欄にて上述したように、露光処理が完了した時点から熱処理を開始する時点までの期間、すなわち、露光装置STPでの露光処理が完了後に、基板Wを露光装置STPが有する搬送機構(図示省略)、インターフェイス用搬送機構35、および第4主搬送機構10Dを介して第3熱処理部31に含まれる加熱部PHPに搬送されるまでの期間にも、レジスト膜中に生成された酸触媒による化学反応は進行する。
これにより、露光後遅れ時間にバラツキが生じると、レジスト膜中に生成される酸触媒の量にバラツキが生じる。その結果、この酸触媒の触媒作用によって引き起こされる化学反応、すなわち、現像液に対して溶解度の変化を引き起こす化学反応の進行状況がばらつく。そのため、現像処理によってレジスト膜に形成されるパターンの線幅等の寸法精度にバラツキが生じることとなり、基板W上に形成される配線パターンの寸法精度に影響を及ぼすという問題が生じる。そして、露光後熱処理セルC5における処理温度を変更する場合に、この問題は顕著となりやすい。
<5.インタフェイスセルC6からの基板Wの払い出し処理>
そこで、本実施の形態では、露光後熱処理において各基板Wの露光後遅れ時間が略同一となるように、露光後熱処理セルC5での処理温度を変更した場合には、インタフェイスセルC6からの基板Wの払い出しに際し、基板Wを送り用バッファSBFにて待機させ、処理温度変更完了後に、待機中の基板Wを露光装置STPへと搬送する。
図9は、露光後熱処理セルC5、インターフェイスセルC6、および、メインコントローラMC間における制御信号の流れを示すブロック図である。また、図10は、インターフェイスセルC6からの基板払い出し処理のフローチャートである。以下、図9および図10を用いて説明を行う。
露光後熱処理セルC5内の加熱部PHPは、セルコントローラCT5からの制御に基づいて、例えば80℃、または、100℃、または、120℃、…と複数の異なる処理温度で基板Wに対して熱処理を行うことが可能である。このような可変温度制御は、加熱部PHPにおける加熱に要する電力のセルコントローラCT5からの制御(信号Sa)、及び、加熱部PHPに設けられた温度センサ(図示せず)からの温度情報のセルコントローラCT5へのフィードバック(信号Sb)により容易に実現できる。よって、ユーザからのメインコントローラMCを介した制御指令に応じて、露光後熱処理セルC5に、例えば第1ロットの露光後の各基板Wに対しては80℃の熱処理を行わせ、第2ロットの露光後の各基板Wに対しては、加熱部PHPの加熱プレートHP(図4(a),(b)参照)をさらに加熱して100℃の熱処理を行わせる、といった制御が可能である。
加熱部PHPでの処理温度を変更する場合、加熱部PHPからのフィードバック信号Sbに基づいてセルコントローラCT5は、処理温度の変更開始の旨を信号S1としてメインコントローラMCに通知する。そして、処理温度の変更が完了すれば、変更完了の旨を信号S3としてメインコントローラMCに通知する。
以下に、インタフェイスセルC6からの基板Wの払い出し処理(図10のステップST0)について説明する。まず、メインコントローラMCは、セルコントローラCT5からの処理温度変更開始信号S1の通知を常時、監視する(図10のステップST1)。基板WをインタフェイスセルC6から払い出す段階で信号S1の通知がなければ、メインコントローラMCは、露光後熱処理セルC5での処理温度変更はないと判断して、インタフェイスセルC6から基板Wを露光装置STPへと払い出す(図10のステップST4)。
一方、基板WをインタフェイスセルC6から払い出す段階で信号S1の通知を受け取っておれば、メインコントローラMCは、露光後熱処理セルC5での処理温度変更があったと判断して、インタフェイスセルC6内の送り用バッファSBFにて基板Wを待機させる(図10のステップST2)。この待機処理は以下のように行えばよい。つまり、メインコントローラMCが制御信号S2aをセルコントローラCT6に与え、セルコントローラCT6が制御信号S2aに基づき主搬送機構10Dに対して制御信号S2bを与えることにより、基板Wが主搬送機構10D上にある場合には基板Wを送り用バッファSBFに収納するよう主搬送機構10Dを制御し、基板Wが送り用バッファSBFに既納の場合は払い出しを行わないよう主搬送機構10Dを制御すればよい。
待機処理中、メインコントローラMCはセルコントローラCT5から処理温度変更完了信号S3の通知があるかいなかを監視する(図10のステップST3)。信号S3の通知がなければ、図10のステップST2に戻ってメインコントローラMCは待機処理を続ける。
一方、信号S3の通知があればメインコントローラMCは、露光処理が施されるよう待機中の基板Wを送り用バッファSBFから露光装置STPへと搬送するべく制御を行う(図10のステップST4)。すなわち、メインコントローラMCが制御信号S4aをセルコントローラCT6に与え、セルコントローラCT6が制御信号S4aに基づき主搬送機構10Dに対して制御信号S4bを与えることにより、基板Wを送り用バッファSBFから取り出して露光装置STPへと搬送するよう主搬送機構10Dを制御する。
なお、本発明の実施の形態においては、メインコントローラMC、セルコントローラCT6、及び主搬送機構10Dを、送り用バッファSBFへの/からの基板Wの搬送、および、露光処理済みの基板Wの加熱部PHPへの搬送を行う搬送手段と捉えることができる。
本発明によれば、露光後熱処理セルC5での処理温度を変更した場合には、基板Wを送り用バッファSBFにて待機させ、処理温度変更が完了した後に、露光処理が施されるよう待機中の基板Wを送り用バッファSBFから取り出して搬送する。送り用バッファSBFで基板Wを待機させれば、露光はまだ行われていないので基板W上のレジスト膜中に酸触媒は生成されない。そして、処理温度変更完了後に基板Wを露光装置STPに送り出すので、処理温度の変更がある場合であっても、露光装置STPでの露光処理から露光後熱処理セルC5での熱処理までに要する時間を一定に保つことが可能となる。これは、前ロット内の最終基板の露光後遅れ時間と、温度調節後の次ロット最初の基板の露光後遅れ時間とを略同じ値に保つことができることを意味する。
よって、露光後熱処理セルC5での処理温度の変更を行う場合であっても、変更の前後で露光処理完了時点から熱処理開始時点までの時間にバラツキを生じさせることがない。これにより、露光後熱処理セルC5における処理温度を変更する場合であっても、各基板上のレジスト膜に形成される配線パターンの寸法精度を所定範囲内に収めることが可能である。