JP2005100710A - 有機電界発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】高効率で高耐久性を有する有機電界発光素子を提供する。
【解決手段】一対の電極間に発光層を含む少なくとも一つの有機層を有する有機電界発光素子であって、前記有機層に、構成単位が下記式(I)で表される化合物を含有する有機電界発光素子。
【化1】
Figure 2005100710

(式(I)において、Xは3価以上の元素又は連結基、U、W及びYはそれぞれ独立に単結合又は2価以上の元素もしくは連結基、Zは電荷輸送及び/又は発光を司る基、mは1〜3の整数を表し、YはW及び/又はXと結合する。また発光を司る基がY又はZの中に組み込まれていてもよい。)
【選択図】なし

Description

本発明は、ラダーポリマーの有機電界発光(EL)素子に関する。
近年、りん光発光材料(ゲスト)とポリマー材料(ホスト)を発光層に用いた高効率の塗布型有機電界発光素子が注目されている(例えば非特許文献1)。このタイプの素子では、ホストポリマー材料にポリビニルカルバゾール(PVK)が用いられている。PVKは電荷輸送性に優れるため、ホールと電子の再結合によって生じる励起子を発生させるには好適である。しかしながら、PVKの溶液の最低励起三重項エネルギー準位(T1)は70kcal/mol(268kJ/mol)と高いものの、膜のT1は64kcal/mol(268kJ/mol)と低いため、これ以上の高いT1を有するりん光発光材料をドープした素子において、PVKから高いT1を有するりん光発光材料へのエネルギー移動が効率よく進行せず、結果として効率が低下する。また、PVKを用いた素子の輝度半減期は短く、実用的な耐久性があるとは言いがたい。以上のことから、高効率を与えかつ高耐久性を有する塗布型りん光発光有機電界素子を作製するには、高い電荷輸送性と高いT1を兼ね備え、かつ、りん光発光材料を組み合わせることで高い耐久性を提供できるホストポリマーが必要不可欠である。しかしながら、現在までこのような理想的なホストポリマーは報告されていない。
「ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス」、2002年、第92巻、p.3447
本発明の課題は、高効率で高耐久性を有する有機電界発光素子を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定のラダーポリマーが高い電荷輸送性と高いT1を兼ね備えることを見出した。さらに、この特定のラダーポリマーを発光材料と併用することにより、高効率で高耐久性を有する有機電界発光素子を提供できることを発見し、本発明に至った。
すなわち、上記の課題は下記の有機電界発光素子を提供することによって達成される。
(1)一対の電極間に発光層を含む少なくとも一つの有機層を有する有機電界発光素子であって、前記有機層に、構成単位が下記式(I)で表される化合物を含有することを特徴とする有機電界発光素子。
Figure 2005100710
(式(I)において、Xは3価以上の元素または連結基、U、W及びYはそれぞれ独立に単結合又は2価以上の元素もしくは連結基、Zは電荷輸送及び/又は発光を司る基、mは1〜3の整数を表し、YはW及び/又はXと結合する。また発光を司る基がY又はZの中に組み込まれていてもよい。)
(2)式(I)において、Xがケイ素原子、WおよびUが酸素原子、mが2、YがXと結合する下記式(II)を構成単位とする化合物を含有することを特徴とする(1)項に記載の有機電界発光素子。
Figure 2005100710
(式(II)において、Yは単結合又は二価の元素もしくは連結基、Zは電荷輸送及び/または発光を司る基を表す。また発光材料がYもしくはZの中に組み込まれていてもよい。)
(3)式(I)および(II)において、Zがカルバゾール骨格である化合物であることを特徴とする(1)又は(2)項に記載の有機電界発光素子。
(4)前記化合物が発光層中のホスト材料であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
(5)前記発光層にさらに電子輸送材料を含有することを特徴とする(4)項に記載の有機電界発光素子。
(6)前記発光層にさらにりん光発光材料を含有することを特徴とする(4)又は(5)項に記載の有機電界発光素子。
本発明の有機電界発光素子は、高い発光効率を与え、かつ高い耐久性を有するという優れた作用効果を奏する。
以下、本発明について詳細に説明する。
(ラダーポリマー)
本発明で用いられるラダーポリマーは、下記式(I)を構成単位として表される。
Figure 2005100710
式(I)において、Xは3価以上の元素または連結基、U、WおよびYはそれぞれ独立に単結合または2価以上の元素もしくは連結基、Zは電荷輸送及び/または発光を司る基、mは1〜3の整数を表し、YはW及び/またはXと結合する。また発光を司る基がYもしくはZの中に組み込まれていてもよい。
Xは、3価以上の元素または連結基であり、好ましくは3価もしくは4価の元素もしくは連結基であり、より好ましくは4価の元素であり、さらに好ましくは炭素原子もしくはケイ素原子であり、最も好ましくはケイ素原子である。3価以上の連結基の具体例としては、窒素原子などが挙げられる。
UおよびWはそれぞれ独立に、単結合又は2価以上の元素もしくは連結基であり、好ましくは単結合または2価もしくは3価の元素もしくは連結基であり、より好ましくは2価の元素であり、さらに好ましくは酸素原子もしくは硫黄原子であり、最も好ましくは酸素原子である。2価以上の連結基の具体例としては、メチレン基、フェニレン基などが挙げられる。
X及び/又はWがYと結合を形成するが、好ましくはXとYが結合を形成する。
mは1〜3の整数であり、好ましくは2である。この場合、XとYが結合を形成するのが好ましい。
X、U、Wおよびmの最も好ましい組み合わせによる構造は以下の式(II)である。
Figure 2005100710
前記式(I)又は(II)において、Yは単結合または2価以上の元素もしくは連結基であり、好ましくは2価の元素もしくは連結基であり、その例として下記のものが挙げられる。
アルキレン基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5、特に好ましくは炭素数1〜3であり、例えばメチレン基(−CH2−)、エチレン基(−CH2CH2−)、トリメチレン基(−CH2CH2CH2−)、などが挙げられる。)、アリーレン基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニレン基(−C64−)、ナフチレン基(−C106−)などが挙げられる。)、オキシアルキレン基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばオキシメチレン基(−OCH2−)、オキシエチレン基(−OCH2CH2−)、などが挙げられる。)、オキシアリーレン基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばオキシフェニレン基(−OC64−)、オキシナフチレン基(−OC106−)などが挙げられる。)、オキシカルボニル基(−COO−)、イミノカルボニル基(−CONH−)、ウレイレン基(−NHCONH−)、酸素原子などヘテロ原子が挙げられる。また、これらの元素もしくは連結基を二個以上組み合わせてもよい。さらに、これらの元素もしくは連結基は置換基で置換されてもよい。
これらの中で、好ましくは、アルキレン基もしくはアリーレン基であり、さらに好ましくはメチレン基、エチレン基、トリメチレン基もしくはフェニレン基であり、最も好ましくはトリメチレン基もしくはフェニレン基である。
前記式(I)又は(II)において、Zは電荷輸送及び/または発光を司る基である。電荷輸送及び/または発光を司る基の骨格として、例えば下記の化合物が挙げられる。
カルバゾール、インドール、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、イミダゾール、ポリアリールアルカン、ピラゾリン、ピラゾロン、フェニレンジアミン、アリールアミン、アミノ置換カルコン、スチリルアントラセン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベン、シラザン、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物及びこれらの誘導体、ベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、スチリルベンゼン、ポリフェニル、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、ナフタルイミド、クマリン、ピレン、ペリレン、ペリノン、オキサジアゾール、アルダジン、ピラリジン、シクロペンタジエン、ビススチリルアントラセン、キナクリドン、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジン、シクロペンタジエン、スチリルアミン、芳香族ジメチリディン化合物およびこれらの誘導体、フルオレノン、アントラキノジメタン、アントロン、ジフェニルキノン、チオピランジオキシド、カルビジイミド、フルオレニリデンメタン、ジスチリルピラジン、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニンおよびこれらの誘導体、8−キノリノールおよびこれらの誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体等が挙げられる。また、これらの骨格を二個以上組み合わせてもよい。
これらの骨格の中で、好ましくは、カルバゾール、インドール、アリールアミン、芳香族第三級アミン化合物、トリアゾール、オキサゾールもしくはオキサジアゾールであり、特に好ましくは、カルバゾール、アリールアミンもしくはオキサジアゾールであり、最も好ましくはカルバゾールである。
このカルバゾールの骨格は下記の構造で表される。
Figure 2005100710
式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9は同一であっても異なってもよく、単結合、水素原子または置換基を表し、このうち少なくとも一つがYに連結する。ここで、置換基としては例えばフェニル基、メチル基、エチル基が挙げられる。
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8として好ましくは単結合、水素原子、フェニル基、エチル基もしくはメチル基であり、特に好ましくは単結合と水素原子であり、最も好ましくは水素原子である。
9として好ましくは単結合、フェニル基、エチル基もしくはメチル基であり、特に好ましくは単結合、フェニル基とメチル基、最も好ましくは単結合である。
上記の式(I)又は(II)で表される構成単位を有する化合物の数平均分子量は、好ましくは200〜1,000,000であり、さらに好ましくは300〜500,000であり、最も好ましくは500〜100,000である。
以下に式(I)および(II)で表される化合物の具体例を挙げるが本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005100710
Figure 2005100710
Figure 2005100710
Figure 2005100710
Figure 2005100710
以下に本発明に用いられるラダーポリマーの代表的な製法と諸物性値を記す。
P−1の合成
Figure 2005100710
(中間体Aの合成)
窒素雰囲気下、トルエン50mL、N−アリルカルバゾール15.0g、トリエトキシシリルヒドリド18.2g、ジクロロジシクロペンタジエン白金20mgを混合し、70℃で8時間攪拌する。得られた混合溶液をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒はクロロホルム/酢酸エチル=1/2(体積比))に付す。得られた溶液を濃縮すると、無色の液体(中間体A)14.6gを得る。
(P−1の合成)
中間体A7.3g、シュウ酸3.5g、エタノール50mLを混合し、8時間還流する。得られた溶液をエバポレーションし、クロロホルムに溶解させる。これを過剰量のメタノールに滴下し、得られる白色個体を吸引ろ過する。同様の再沈殿の操作を2回繰り返し、真空乾燥することで、白色固体3.0gを得る。
Mn=3600、Mw=7600。膜のT1=66kcal/mol(277kJ/mol)。
(有機電界発光素子)
本発明の発光素子は、一対の電極間に少なくとも一層の発光層を含む発光素子であって、上述した特定のラダーポリマーを含むことを特徴とする発光素子である。
本発明の発光素子は、上述した特定のラダーポリマーを含む点以外は、通常の発光素子のシステム、駆動方法、利用形態と同様に実施できる。代表的な発光素子として有機EL素子を挙げることができる。次にこれについて詳述する。
有機EL素子として用いる場合、好ましくは、上述した特定のラダーポリマーと発光材料を発光層材料として、特に好ましくは、上述した特定のラダーポリマーを発光層ホスト材料として好適に使用できる。
(発光材料)
本発明で用いられる発光材料は、蛍光発光材料またはりん光発光材料またはこれら両方を含む材料であり、重合体を用いても低分子を用いてもよい。
本発明で用いられる蛍光発光材料は、蛍光性化合物である共役系不飽和化合物が用いられる。具体的には例えば下記に挙げる化合物を用いることができる。
ベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチゾール、スチリルベンゼン、ポリフェニル、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、ナフタルイミド、クマリン、ペリレン、ペリノン、オキサジアゾール、アルダジン、シクロペンタジエン、ビススチリルアントラセン、キナクリドン、ピロロピリジン、チアジアゾピロリジン、スチリルアミン、芳香族ジメチリジン化合物、ピレンおよびこれらの誘導体、8−キノリノールおよびその誘導体の金属錯体や希土類錯体に代表される各種金属錯体、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフルオレン、ポリフェニレンビニレン、およびこれらの置換されたポリマー化合物。
この中でも、スチリルベンゼン、ポリフェニル、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、ナフタルイミド、クマリン、ペリレン、ペリノン、オキサジアゾール、アルダジン、シクロペンタジエン、ビススチリルアントラセン、キナクリドン、ピロロピリジン、チアジアゾピロリジン、スチリルアミン、芳香族ジメチリジン化合物、ピレンおよびこれらの誘導体、8−キノリノールおよびその誘導体の金属錯体や希土類錯体に代表される各種金属錯体が好ましく用いられ、スチリルベンゼン、ポリフェニル、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、ナフタルイミド、クマリン、ペリレン、ペリノン、オキサジアゾール、アルダジン、シクロペンタジエン、ビススチリルアントラセン、キナクリドン、ピロロピリジン、チアジアゾピロリジン、スチリルアミン、芳香族ジメチリジン化合物、ピレンおよびこれらの誘導体がさらに好ましく用いられる。
本発明で用いられるりん光発光材料は、りん光発光性化合物であるオルトメタル化金属錯体およびポルフィリン金属錯体の少なくとも一つが好ましく用いられ、オルトメタル化金属錯体がより好ましく用いられる。
本発明で用いられるオルトメタル化金属錯体について説明する。オルトメタル化金属錯体とは、例えば、山本明夫著、「有機金属化学 基礎と応用」、1982年、裳華房社、p.150、p.232、H. Yersin著、「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」1987年、Springer-Verlag社、p.71−77、p.135−146等に記載されているような化合物群の総称である。前記金属錯体の中心金属としては、遷移金属であればいずれも使用可能であるが、本発明では、中でもロジウム、白金、金、イリジウム、ルテニウム、パラジウム等を好ましく用いることができる。この中でより好ましいものはイリジウムである。本発明において、前記オルトメタル化金属錯体は、特開2002−319491号公報の段落[0201]〜[0231]の記載が適用でき、上記金属錯体の例は、特開2002−319491号公報の段落[0219]〜[0230]の記載が適用できる。オルトメタル化金属錯体の金属の価数は特に限定しないが、イリジウムを用いる場合には3価が好ましい。
オルトメタル化金属錯体の配位子は、オルトメタル化金属錯体を形成しうるものであれば特に問わない。例えば、アリール基置換含窒素芳香族へテロ環誘導体(アリール基の置換位置は含窒素芳香族へテロ環窒素原子の隣接炭素上であり、アリール基としては例えばフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ピレニル基などが挙げられ、含窒素芳香族へテロ環としては、例えば、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、フタラジン、キナゾリン、ナフチリジン、シンノリン、ペリミジン、フェナントロリン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、チアジアゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、フェナントリジンなどが挙げられる)、
ヘテロアリール基置換含窒素芳香族へテロ環誘導体(ヘテロアリール基の置換位置は含窒素芳香族へテロ環窒素原子の隣接炭素上であり、ヘテロアリール基としては例えば前記の含窒素芳香族へテロ環誘導体を含有する基、チオフェニル基、フリル基などが挙げられる)、7,8‐ベンゾキノリン誘導体、ホスフィノアリール誘導体、ホスフィノヘテロアリール誘導体、ホスフィノキシアリール誘導体、ホスフィノキシヘテロアリール誘導体、アミノメチルアリール誘導体、アミノメチルヘテロアリール誘導体等が挙げられる。このうちアリール基置換含窒素芳香族ヘテロ環誘導体、ヘテロアリール基置換含窒素芳香族ヘテロ環誘導体、7,8−ベンゾキノリン誘導体が好ましく、フェニルピリジン誘導体、チオフェニルピリジン誘導体、7,8−ベンゾキノリン誘導体がより好ましく、チオフェニルピリジン誘導体、7,8−ベンゾキノリン誘導体が更に好ましい。
本発明に用いるポルフィリン金属錯体として好ましくは白金錯体であり、より好ましくは二価の白金錯体である。
本発明の発光素子の発光層に、さらに他の有機材料や無機材料と併用して使用してもよい。併用する有機材料は、低分子有機材料であっても高分子材料であってもよい。また、他の高分子有機材料と積層塗布して使用することも可能である。低分子化合物と混合し、積層して使用することも可能である。この場合、低分子化合物はポリマーバインダーと混合して塗布しても、真空蒸着、スパッタリング、転写等の方法で積層してもよい。
(発光層中の電子輸送材料)
本発明では、発光層中の電子輸送性を補うため、電子輸送材料を発光層中に加えることができる。電子を輸送する機能を有しているものであればよい。その具体例として例えば、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、フルオレノン、アントラキノジメタン、アントロン、ジフェニルキノン、チオピランジオキシド、カルビジイミド、フルオレニリデンメタン、ジスチリルピラジン、トリアジン、ベンズイミダゾール、イミダゾピリジン、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニンおよびこれらの誘導体、8−キノリノールおよびこれらの誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体等が挙げられるが、これらに限定はされない。
発光材料としてりん光発光材料を用いる場合、用いる電子輸送材料の最低励起三重項エネルギー準位(T1)は、エネルギー移動を効率よく進行させるため、発光材料のT1より高いことが好ましく、60kcal/mol(251kJ/mol)以上75kcal/mol(314kJ/mol)以下であることがさらに好ましい。
(層形成)
本発明のポリマーを含有する発光素子の有機層の形成方法は、特に限定されるものではないが、抵抗加熱蒸着、電子ビーム、スパッタリング、分子積層法、コーティング法、インクジェット法、印刷法、電子写真法などの方法が用いられ、特性面、製造面で抵抗加熱蒸着、コーティング法、転写法が好ましく、また、蒸着時の熱分解回避の点からコーティング法がより好ましい。
本発明の発光素子は陽極、陰極の一対の電極間に発光層もしくは発光層を含む複数の有機化合物薄膜を形成した素子であり、発光層のほか正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、保護層などを有してもよく、またこれらの各層はそれぞれ他の機能を備えたものであってもよい。各層の形成にはそれぞれ種々の材料を用いることができる。
(陽極)
陽極は正孔注入層、正孔輸送層、発光層などに正孔を供給するものであり、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、またはこれらの混合物などを用いることができ、好ましくは仕事関数が4eV以上の材料である。具体例としては酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)等の導電性金属酸化物、あるいは金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物または積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、およびこれらとITOとの積層物などが挙げられ、好ましくは、導電性金属酸化物であり、特に、生産性、高導電性、透明性等の点からITOが好ましい。
陽極の膜厚は材料により適宜選択可能であるが、通常10nm〜5000nmの範囲のものが好ましく、より好ましくは50nm〜1000nmであり、更に好ましくは100nm〜500nmである。
陽極は通常、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、透明樹脂基板などの上に層形成したものが用いられる。ガラスを用いる場合、その材質については、ガラスからの溶出イオンを少なくするため、無アルカリガラスを用いることが好ましい。また、ソーダライムガラスを用いる場合、シリカなどのバリアコートを施したものを使用することが好ましい。基板の厚みは、機械的強度を保つのに十分であれば特に制限はないが、ガラスを用いる場合には、通常0.2mm以上、好ましくは0.7mm以上のものを用いる。
陽極の作製には材料によって種々の方法が用いられるが、例えばITOの場合、電子ビーム法、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、化学反応法(ゾル−ゲル法など)、酸化インジウムスズの分散物の塗布などの方法で膜形成される。陽極は洗浄その他の処理により、素子の駆動電圧を下げたり、発光効率を高めることも可能である。例えばITOの場合、UV−オゾン処理、プラズマ処理などが効果的である。
(陰極)
陰極は電子注入層、電子輸送層、発光層などに電子を供給するものであり、電子注入層、電子輸送層、発光層などの負極と隣接する層との密着性やイオン化ポテンシャル、安定性等を考慮して選ばれる。陰極の材料としては金属、合金、金属ハロゲン化物、金属酸化物、電気伝導性化合物、またはこれらの混合物を用いることができ、具体例としてはアルカリ金属(例えばLi、Na、K、Cs等)及びそのフッ化物、酸化物、アルカリ土類金属(例えばMg、Ca等)及びそのフッ化物、酸化物、金、銀、鉛、アルニウム、ナトリウム−カリウム合金またはそれらの混合金属、リチウム−アルミニウム合金またはそれらの混合金属、マグネシウム−銀合金またはそれらの混合金属、インジウム、イッテリビウム等の希土類金属等が挙げられ、好ましくは仕事関数が4eV以下の材料であり、より好ましくはアルミニウム、リチウム−アルミニウム合金またはそれらの混合金属、マグネシウム−銀合金またはそれらの混合金属等である。陰極は、上記化合物及び混合物の単層構造だけでなく、上記化合物及び混合物を含む積層構造を取ることもできる。
陰極の膜厚は材料により適宜選択可能であるが、通常10nm〜5000nmの範囲のものが好ましく、より好ましくは50nm〜1000nmであり、更に好ましくは100nm〜1000nmである。
陰極の作製には電子ビーム法、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、コーティング法などの方法が用いられ、金属を単体で蒸着することも、二成分以上を同時に蒸着することもできる。さらに、複数の金属を同時に蒸着して合金電極を形成することも可能であり、またあらかじめ調整した合金を蒸着させてもよい。陽極及び陰極のシート抵抗は低い方が好ましく、数百Ω/□以下が好ましい。
(発光層)
発光層の材料は、本発明に用いられるラダーポリマーおよび前記の発光材料を適当な比率で適当な溶媒中で混合することによって得られる。混合の発光材料/本発明に用いられるラダーポリマー比率は、質量比で1/1000〜1、好ましくは1/500〜1/2、さらに好ましくは1/100〜1/5である。さらに、電子輸送材料を添加する場合、電子輸送材料/本発明に用いられるラダーポリマーの比率は、質量比で1/1000〜10/1、好ましくは1/500〜1/2、更に好ましくは1/5である。混合する溶媒は、両者を溶かす有機溶媒であれば特に限定されない。例えば、トルエンなどの炭化水素系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、酢酸エチルなどのエステル系溶媒、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、クロロホルム、ジクロロエタンなどのハロゲン系溶媒、アセトニトリルなどのニトリル系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒、メタノール、エタノールなどのアルコール系溶媒などが挙げられるが、好ましくは、炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒もしくはハロゲン系溶媒であり、さらに好ましくは、炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒もしくはケトン系溶媒である。また電荷の輸送を補うために、低分子の電子輸送材料もしくはホール輸送材料を添加してもよい。
発光層の膜厚は特に限定されるものではないが、通常1nm〜5000nmの範囲のものが好ましく、より好ましくは5nm〜1000nmであり、更に好ましくは10nm〜500nmである。
発光層の形成方法は、特に限定されるものではないが、分子積層法、コーティング法(スピンコート法、キャスト法、ディップコート法など)、LB法、インクジェット法、印刷法、転写法、電子写真法などの方法が用いられ、好ましくはインクジェット法、印刷法もしくは転写法である。
(正孔注入層および正孔輸送層)
正孔注入層、正孔輸送層の材料は、陽極から正孔を注入する機能、正孔を輸送する機能、陰極から注入された電子を障壁する機能のいずれか有しているものであればよい。その具体例としては、カルバゾール、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、イミダゾール、ポリアリールアルカン、ピラゾリン、ピラゾロン、フェニレンジアミン、アリールアミン、アミノ置換カルコン、スチリルアントラセン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベン、シラザン、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物及びこれらの誘導体、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、カーボン膜等が挙げられる。
正孔注入層、正孔輸送層の膜厚は特に限定されるものではないが、通常1nm〜5000nmの範囲のものが好ましく、より好ましくは5nm〜1000nmであり、更に好ましくは10nm〜500nmである。正孔注入層、正孔輸送層は上述した材料の1種または2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成または異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
正孔注入層、正孔輸送層の形成方法としては、真空蒸着法、LB法、インクジェット法、印刷法、転写法、電子写真法、前記正孔注入輸送剤を溶媒に溶解または分散させてコーティングする方法(スピンコート法、キャスト法、ディップコート法など)などが用いられる。コーティング法の場合、樹脂成分と共に溶解または分散することができ、樹脂成分としては例えば、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリブタジエン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などが挙げられる。
(電子注入層および電子輸送層)
電子注入層、電子輸送層の材料は、陰極から電子を注入する機能、電子を輸送する機能、陽極から注入された正孔を障壁する機能のいずれか有しているものであればよい。その具体例としては、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、フルオレノン、アントラキノジメタン、アントロン、ジフェニルキノン、チオピランジオキシド、カルビジイミド、フルオレニリデンメタン、ジスチリルピラジン、トリアジン、ベンズイミダゾール、イミダゾピリジン、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニンおよびこれらの誘導体、8−キノリノールおよびこれらの誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体等が挙げられる。
電子注入層、電子輸送層の膜厚は特に限定されるものではないが、通常1nm〜5000nmの範囲のものが好ましく、より好ましくは5nm〜1000nmであり、更に好ましくは10nm〜500nmである。電子注入層、電子輸送層は上述した材料の1種または2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成または異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
電子注入層、電子輸送層の形成方法としては、真空蒸着法、LB法、インクジェット法、印刷法、転写法、電子写真法、前記電子注入輸送剤を溶媒に溶解または分散させてコーティングする方法(スピンコート法、キャスト法、ディップコート法など)などが用いられる。コーティング法の場合、樹脂成分と共に溶解または分散することができ、樹脂成分としては例えば、正孔注入輸送層の場合に例示したものが適用できる。
(保護層)
保護層の材料としては水分や酸素等の素子劣化を促進するものが素子内に入ることを抑止する機能を有しているものであればよい。その具体例としては、In,Sn,Pb,Au,Cu,Ag,Al,Ti,Ni等の金属、MgO,SiO,SiO2,Al23,GeO,NiO,CaO,BaO,Fe23,Y23,TiO2等の金属酸化物、MgF2,LiF,AlF3,CaF2等の金属フッ化物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリウレア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンとジクロロジフルオロエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとを含むモノマー混合物を共重合させて得られる共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質等が挙げられる。
保護層の形成方法についても特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシ)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、ガスソースCVD法、コーティング法、インクジェット法、印刷法、転写法を適用できる。
以下に本発明の実施例および比較例を例示して説明するが、本発明はこれらの例により限定されるものではない。なお以下の電子輸送材料ET−1およびET−2は特開2002−100476号公報を参照して合成できる。
Figure 2005100710
以下、実施例1〜5及び比較例1〜5の有機電界発光素子を作製し、それぞれの発光効率および耐久性について評価を行った。評価の結果については後述する表1に示す。
実施例1
25mm×25mm×0.7mmのガラス基板上にITOを150nmの厚さで製膜したもの(東京三容真空(株)製)を透明支持基板とした。まず、この透明支持基板をエッチング、洗浄した。このITOガラス基板上に、ホール輸送層のBaytron PEDOT(商品名)−PSS溶液(ポリエチレンジオキシチオフェン−ポリスチレンスルホン酸ドープ体;バイエル社製)をスピンコートした後、100℃で1時間真空乾燥し、ホール輸送層とした(膜厚約100nm)。この上に発光層の発光材料P−1 40mgを1,2−ジクロロエタン3mLに溶解した溶液をスピンコートし、発光層とした(膜厚約50nm)。次いで、電子輸送材料ET−1(上記化合物)を蒸着し、電子輸送層とした(膜厚約36nm)。さらにLiFを膜厚約3nmを順に10-3〜10-4Paの真空中で、基板温度室温の条件下で蒸着した。この上にパターニングしたマスク(発光面積が5nm×4nmとなるマスク)を設置し、アルミニウムを膜厚約400nm蒸着して素子を作製した。なお、作製した素子は乾燥グローブボックス内で封止した。
実施例2
実施例1の素子において、発光層の組成を、発光層ホスト化合物P−1 40mgおよび発光層発光材料G−1(上記化合物)1mgにしたこと以外は実施例1と全く同様にして素子を作製した。
実施例3
実施例2の素子において、発光層発光材料をG−2(上記化合物)1mgに、電子輸送層の電子輸送材料をET−2にしたこと以外は実施例2と全く同様にして素子を作製した。
実施例4
実施例1の素子において、発光層の組成を、発光層ホスト化合物P−1 40mg、発光層発光材料G−1(上記化合物)1mgおよび発光層電子輸送材料ET−2(上記化合物)6mgにしたこと以外は実施例1と全く同様にして素子を作製した。
実施例5
実施例4の素子において、発光層発光材料をG−2(上記化合物)1mgに、電子輸送層の電子輸送材料をET−2にしたこと以外は実施例4と全く同様にして素子を作製した。
比較例1
実施例1の素子において、発光層発光材料をポリビニルカルバゾール(PVK)にしたこと以外は実施例1と全く同様にして素子を作製した。
比較例2〜5
実施例2〜5の素子において、それぞれ発光層ホストをPVKにしたこと以外は実施例2〜5と全く同様にして素子を作製した。
素子評価
(外部量子効率について)
東陽テクニカ製ソースメジャーユニット2400(商品名)を用いて、直流電圧を各素子に印加し、発光させた。その輝度を、トプコン社製輝度計BM−8(商品名)を用い、発光波長と色度座標を、浜松ホトニクス社製スペクトルアナライザーPMA−11(商品名)を用いて測定した。これらの数値をもとに、輝度換算法により外部量子効率を算出した。
(輝度半減期について)
東陽テクニカ製ソースメジャーユニット2400(商品名)を用いて、直流電圧を各素子に印加し、約200cd/cm2に発光させた。以後約1時間ごとに、トプコン社製輝度計BM−8(商品名)を用い、輝度を測定した。これらの数値をもとに、約100cd/cm2となる時間を算出した。
以上の結果を下記表1に示す。
Figure 2005100710
上記表1から明らかなように、本発明における特定のラダーポリマーを用いた素子(実施例1〜5)は、PVKを用いた素子(比較例1〜5)より、外部量子効率が高いのみならず、輝度半減期が長い。
すなわち、本発明の有機電界発光素子は、従来のPVKを用いた素子より、発光効率、耐久性において優れた特性を示すという優れた効果を奏する。

Claims (6)

  1. 一対の電極間に発光層を含む少なくとも一つの有機層を有する有機電界発光素子であって、前記有機層に、構成単位が下記式(I)で表される化合物を含有することを特徴とする有機電界発光素子。
    Figure 2005100710
    (式(I)において、Xは3価以上の元素または連結基、U、W及びYはそれぞれ独立に単結合又は2価以上の元素もしくは連結基、Zは電荷輸送及び/又は発光を司る基、mは1〜3の整数を表し、YはW及び/又はXと結合する。また発光を司る基がY又はZの中に組み込まれていてもよい。)
  2. 前記式(I)が下記式(II)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
    Figure 2005100710
    (式(II)において、Yは単結合又は二価の元素もしくは連結基、Zは電荷輸送及び/または発光を司る基を表す。また発光材料がYもしくはZの中に組み込まれていてもよい。)
  3. 式(I)又は(II)において、Zがカルバゾール骨格である化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機電界発光素子。
  4. 前記化合物が発光層中のホスト材料であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
  5. 前記発光層にさらに電子輸送材料を含有することを特徴とする請求項4に記載の有機電界発光素子。
  6. 前記発光層にさらにりん光発光材料を含有することを特徴とする請求項4又は5に記載の有機電界発光素子。
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