JP2005099790A - 乾燥機 - Google Patents

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Abstract

【課題】 熱風温度を高精度で調節可能であり、設備コスト・維持管理費を削減可能な乾燥装置を提供する。
【解決手段】 第2乾燥機14Bは、バーナー絞りが調節可能なガスバーナー間接熱交換器(GHE)34を備えている。このGHE34は、筐体内にガスバーナーと熱交換器とが収納されている。ガスバーナーの燃焼ガスは、熱交換器に供給される。筐体内に入った空気は、ガスバーナーの外面を通るときに加熱され、そして熱交換器を通過するときに更に加熱される。筐体は、送風ダクト40で第2乾燥部13Bにつながっている。この送風ダクト40の途中に設けた送風ファン35は、GHE34で加熱された熱風を第2乾燥部13Bに供給する。この第2乾燥部13B内には、塗布液が塗布されたアルミウェブが移動している。熱風は、アルミウェブの塗布面に当てられ、塗布液を乾燥させる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、乾燥機に関するもので、特に平版印刷版(以下PS版と称する)製造ライン等の乾燥工程に好適な乾燥機に関するものである。
PS版製造ラインでは、アルミウェブに塗布液を塗布してから、乾燥室内で乾燥させる。この乾燥後に、塗布層が形成されたアルミウェブを所定サイズに切断してPS版としている。このアルミウェブの塗布面に熱風を当てることにより、塗布面の乾燥を行う乾燥機は広く知られている(例えば、特許文献1参照)。コンベンショナルタイプ、或いはデジタル対応タイプ(CTPとも呼ばれる)等のPS版は品種によって使用される塗布液が異なり、その塗布液の物性によって乾燥のためのウェブ温度が大きく変化する。このため、全品種のPS版の乾燥に対応させるために、乾燥風として広い温度領域(例えば、約50℃〜200℃程度)の熱風を送風する必要があった。
特開2003−98685号公報
上記特許文献1に記載のPS版乾燥機では、高温の熱風を生成するために、熱交換器にボイラーからの蒸気を供給している。高温の熱風温度を得るためには高圧蒸気が必要で、例えば200℃の高温風を得るためには2Mpa(20kg/cm2)の高圧蒸気が必要となる。また、50℃の低温風を作ろうとすると、蒸気量あるいは蒸気圧力を落とす必要があり、蒸気量を落とす場合は、複数の蒸気流量制御バルブを並列に設けて対応し、蒸気圧力を落とす場合は、減圧制御弁を介して配管すること等により対応可能である。しかし、PS版の乾燥のように設定温度±1℃の高精度を必要とするものに対しては、温度制御が困難になるという問題があった。
また、熱交換器に蒸気を供給して、50℃〜200℃までの広い温度領域の熱風をPS版製造ラインの乾燥室内に送風するためには、高圧ボイラーや、高圧配管の設備が必要となり、また、熱風の風量の変化に伴う温度精度の確保等が必要である。これは、設備コスト・維持管理コストが高くなるという問題を招く。これに対処するためには、オイルヒータや電気ヒータ等を使用して生成した熱風をアルミウェブに当てて乾燥させる方式や、ヒートロールや、コイルによる誘導加熱を利用して直接アルミウェブを加熱して乾燥させる方式も考えられるが、設備コスト・維持管理コストが高くなるという問題は同じく残る。
本発明は、熱風温度を高精度で調節可能であり、設備コスト・維持管理費の削減が図れる乾燥機を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の乾燥機は、塗布液が塗布され、乾燥室内に搬送されたウェブに対して熱風を吹き付けることにより、前記ウェブの塗布面を乾燥させる乾燥機において、バーナー絞りを調節可能なガスバーナー間接熱交換器と、前記ガスバーナー間接熱交換器で加熱された空気を前記熱風として前記乾燥室に向けて送風する送風器と、前記ガスバーナー間接熱交換器及び前記乾燥室間に配置され、前記送風器からの前記熱風を前記乾燥室内に導くための送風ダクトとを備えていることを特徴とするものである。
また、前記ガスバーナー間接熱交換器は、可燃性ガスを燃焼させるガスバーナーと、前記ガスバーナーの燃焼ガスで前記空気を加熱する熱交換器とを備えていることを特徴とするものである。
さらに、前記ガスバーナー間接熱交換器は、前記ガスバーナー及び前記熱交換器を収納する筐体と、前記筐体の一面に取り付けられた入口ダクトと、前記筐体の他面に取り付けられ、前記送風ダクトの一部を構成する出口ダクトとをさらに備え、前記入口ダクトから前記筐体内に入った前記空気は、前記ガスバーナーの周囲を通ってから、前記熱交換器を通過することで加熱され、前記出口ダクトから前記送風器に向かって送出されることを特徴とするものである。また、前記燃焼ガスは、前記熱交換器を経てから、その一部が前記ガスバーナーに戻されることが好ましい。
また、前記乾燥室内では、塗布液が塗布されたウェブが移動しており、前記ウェブの塗布面に前記熱風が当てられて前記塗布液が乾燥されることが好ましい。さらに、前記ウェブは、アルミニウム製であり、前記塗布液が塗布されて表面に塗布層が形成されたウェブは、PS版であることが好ましい。
また、前記送風ダクトは、10m以上の長さを有することが好ましい。さらに、前記送風ダクトには、攪拌機が設けられており、この攪拌機によって前記ガスバーナー間接熱交換器から送出された熱風の前記送風ダクト断面に対する温度分布が均一にされることが好ましい。
また、前記バーナー絞りは、全開から1/20までの範囲内で調節可能であることが好ましい。さらに、前記バーナー絞りは、単位時間あたりの発熱量を6,300〜15,750kcal/hの範囲内で制御することにより、可変乾燥風量40〜360m3/minのもとで、熱風温度を50〜200℃の範囲内で、設定温度±1℃の高精度で制御することが好ましい。
また、前記乾燥室の入口付近には、温度センサが配置されており、この温度センサによって測定された前記熱風の測定温度に基づいて、前記バーナー絞りが調節されることが好ましい。
さらに、前記熱交換器の表面温度は、可燃性ガスが発火しないように400℃以下に制御されていることが好ましい。また、前記熱交換器に亀裂があった場合に、燃焼ガスが前記筐体内に漏れないように、前記熱交換器内が負圧に保たれていることが好ましい。
本発明の乾燥機によれば、熱風温度を50℃〜200℃までの広い温度領域で、温度を高精度で制御して、例えばPS版の塗布乾燥条件を満足し、さらに設備コスト・維持管理コストの低減を図ることが可能である。このため、PS版等の塗布乾燥物の製造コストを低減することができる。
本発明の乾燥機を適用した平版印刷版(PS版)製造ラインを図1に示す。表面処理装置(図示せず)により表面処理されたアルミウェブ10が、複数のローラ11により塗布装置12に搬送される。アルミウェブ10は、この塗布装置12によって表面に塗布液が塗布されて、塗布層が形成される。その後、搬送ローラ11によって、アルミウェブ10の搬送路に沿って乾燥室に順次搬送される。この乾燥室は、第1乾燥部13A、第2乾燥部13B、第3乾燥部13C、第4乾燥・冷却部13Dで構成されている。
これらの第1〜第3乾燥部13A〜13C,第4乾燥・冷却部13Dには、それぞれに第1乾燥機14A,第2乾燥機14B,第3乾燥機14C,第4乾燥・冷却機14Dが設けられている。これらの乾燥機14A〜14Dから、乾燥部13A〜13Dの各々に熱風が送風されて、アルミウェブ11に形成された塗布層が乾燥される。さらに、アルミウェブ10は、ローラ11によって次の工程に搬送される。次工程では、アルミウェブ10に、再び塗布層を形成して乾燥・冷却を行う。その後、裁断装置(図示せず)によって、所定サイズのPS版に裁断される。また、第4乾燥・冷却部14Dとは、別に冷却機を設けてアルミウェブ10を冷却しても良い。
PS版は、長方形の板状に形成された薄いアルミニウム製の支持体上に、塗布層(感光性PS版の場合には感光層、感熱性PS版の場合には感熱層、さらに必要に応じて、オーバーコート層やマット層等)を形成したものである。この塗布層に、露光、現像処理、ガム引き等の製版処理が行われ、印刷機にセットされてインクが塗布されることで、紙面に文字、画像等が印刷される。なお、本実施形態におけるPS版は、印刷に必要な処理(露光や現像等)が施される前段階のものであり、平版印刷版原版あるいは平版印刷版材と称されることもある。また、PS版の具体的構成は特に限定されないが、例えば、ヒートモード方式およびフォトン方式のレーザ刷版用のPS版とすることによって、露光や現像等の処理を施すことなく、デジタルデータから直接製版可能なPS版とすることができる。
図2は、各乾燥機14A〜14Dの構成を示すものである。乾燥機14A〜14Cは、略同じ構成であるので、乾燥機14Bを代表例として説明する。
乾燥機14Bは、熱交換器であるヒートパイプ30と、複数の手動ダンパ31と、複数の制御ダンパ32と、流体の流速を測るための装置であるピトー管33と、ガスバーナー間接熱交換器であるGHE(Gas burning Heat Exchanger)34と、送風器である送風ファン35と、排気ファン36と、除塵を行うフィルタ37と、温度センサ38と、送風ダクト40と、排出ダクト41と、第1循環ダクト42と、第2循環ダクト43とで構成されている。
送風ダクト40の入口及び排出ダクト41の出口の近傍には、ヒートパイプ30が設けられている。このヒートパイプ30は、排出ダクト41から排出される空気の熱を送風ダクト40に伝達して、送風ダクト40から流入する空気を加熱するためのものである。このヒートパイプ30により、排出空気の熱を利用して、送風ダクト40に流入する空気を加熱することができるので、エネルギー効率が向上する。
この送風ダクト40には、ヒートパイプ30の下流側に手動ダンパ31と、制御ダンパ32が設けられている。手動ダンパ31は、操作者により操作されて送風ダクト40内の流量が調節される。制御ダンパ32の下流側には、ピトー管33が設けられており、このピトー管33は、空気導入路40内の空気の流速を測定する。制御ダンパ32は、ピトー管33と電気的に接続されており、ピトー管33により測定された流速値に基づいて制御される。
さらに、ピトー管33の下流にはGHE34が設けられており、このGHE34の下流には送風ファン35が設けられている。GHE34は、後述するようにガスバーナーにより空気を加熱して熱風を送出する。この熱風は送風ファン35により、さらに下流側に導かれる。
この送風ファン35の下流には、手動ダンパ31と、制御ダンパ32と、ピトー管33とが設けられており、前述のものと同様に作用して、GHE34にて加熱された空気の流速が制御される。また、これらの下流には、フィルタ37が設けられており、このフィルタ37により除塵された加熱空気が送風ダクト40の出口を通って第2乾燥部13B内に送風される。
また、フィルタ37と第2乾燥部13Bとの間には、温度センサ38が設けられ、GHE34と電気的に接続されている。この温度センサ38により取得された温度測定値がGHE34に送られる。GHE34は、この測定値に基づいてガスバーナーを制御して、加熱空気の温度を制御する。なお、この温度センサ38を設けなくても良い。この場合、GHE34は、GHE34の出入口付近の温度測定値等に基づいてガスバーナーを制御すれば良い。
第2乾燥部13Bに送出された加熱空気は、排出ダクト41を介して第2乾燥部13Bから排出される。この排出ダクト41には、手動ダンパ31、制御ダンパ32、ピトー管33が配置されており、前述の送風ダクト40に設けられたものと同様に作用し、排出ダクト41内の空気の流速が制御される。また、これらの下流には、排気ファン36が設けられており、この排気ファン36により第2乾燥部13B内の空気が排出ダクト41に吸引される。
また、この排気ファン36の上流側と、送風ファン35の下流側との間には、送風ダクト40と排出ダクト41とを結ぶ第1循環ダクト42が設けられている。この第1循環ダクト42には、ピトー管33と、制御ダンパ32と、手動ダンパ31とが設けられており、前述の送風ダクト40に設けたものと同様に作用して、第1循環ダクト42内の空気の流速が制御される。排出ダクト41から第1循環ダクト42に流入した空気は、再び送風ダクト40に入り、手動ダンパ31と、制御ダンパ32と、ピトー管33と、フィルタ37とを介して、再び第2乾燥部13Bに送風される。
さらに、排気ファン36の下流とGHE34の上流側との間にも、送風ダクト40と排出ダクト41とを結ぶ第2循環ダクト43が設けられている。この第2循環ダクト43にも、手動ダンパ31と、制御ダンパ32と、ピトー管33とが設けられており、前述のものと同様に作用して、第2循環ダクト43内の空気の流速が制御される。排出ダクト41から第2循環ダクト43に流入した空気は、再び送風ダクト40に入り、送風ダクト40の入口から流入した空気と混合される。
さらに、排気ファン36のさらに下流側には、手動ダンパ31と制御ダンパ32とが2組設けられており、排出ダクト41内の空気の流速が制御される。制御ダンパ32を通った空気は、ヒートパイプ30を介して第2乾燥機14Bの外部に排出される。この時、前述したように、排出空気の熱がヒートパイプ30によって吸引空気に与えられる。また、これら各ダクト40〜43に設けられる各ファン35,36の回転数、各ダンパ31,32の開度を制御することにより、40〜360m3/minの可変乾燥風量が保たれる。
図3に示すように、GHE34は、燃焼炉と熱交換器とを筐体内にコンパクトに納めて熱交換効率を高めたものである。GHE34は、筐体49と、ガスバーナー50と、ダクト51と、熱交換器52と、内部循環用ファン53と、ダクト54とで構成されている。ガスバーナー50には、液化天然ガスであるLNG(Liquefied Natural Gas)が供給され、このLNGを燃料として燃焼する。
筐体49の背面には、入口ダクト40aが接続され、そして筐体49の前面には出口ダクト40bが接続されている。これらの入口ダクト40aと出口ダクト40bは、図2に示す送風ダクト40の一部を構成している。また、筐体49内には、ガスバーナー50、ダクト51、熱交換器52、及び内部循環用ファン53が収納されている。
LNGに加圧空気を混合した可燃性ガスは、パイプ50aを通ってガスバーナー50に供給され、ガスバーナー50内で燃焼する。この燃焼ガスは、ダクト51を通って熱交換器52に送られる。熱交換器52を経た燃焼ガスは、内部循環用ファン53により、ダクト54を通ってガスバーナー50に戻され、再び加熱される。また、ダクト54には、排出穴54aが形成されており、燃焼ガスの一部が外部へ放出される。
前述の筐体49内には、入口ダクト40aからの空気が流れ込んでおり、この空気がガスバーナー50の周囲を通ってから、熱交換器52を通過することで加熱されて高温空気となる。この高温空気は、出口ダクト40bを介して送風ファン35に吸引される。
ガスバーナー50の発熱量は、コントロールバルブによって、可燃性ガス(LNGと空気の混合ガス)の流量を変えることで制御される。このコントロールバルブは、絞り比が1(全開)〜1/20の間で調節される。また、LNG又は空気の一方を絞っても良い。この場合、他方は比例追従で絞られる。
前述のように、ガスバーナー50は、絞り比が1(全開)〜1/20までの間で選択され、単位時間当たりの発熱量が、6,300〜15,750kcal/hの範囲内で制御される。これにより、可変乾燥風量40〜360m3/minのもとで、熱風温度を50℃〜200℃の範囲内で、設定温度±1℃の高精度で制御することが可能である。
このGHE34では、ガスバーナー50の安全性を確保するために、各燃焼安全装置(安全制御リレー、プレパージ、パイロットバーナー、メインバーナー、アフターパージ、インターロック、緊急遮断弁、ウルトラビジョン、圧力スイッチ、風圧スイッチ、回転スイッチ、バーナーとのインターロック、ベント弁)を制御している。
GHE34の熱交換器52の表面温度は、可燃性ガスのいかなる濃度においても発火しない400℃以下の温度に制御されている。また、万一、熱交換器52に亀裂が生じても燃焼ガスが筐体49内に漏れないように、熱交換器52内が負圧になる構造にされている。さらに、亀裂の有無を定期点検で目視点検できるように、点検窓(図示せず)を設けて発見できるようにされている。
次に、上記構成の第2乾燥機14Bの作用について説明する。送風ダクト40の入口から流入した空気は、手動ダンパ31、及び制御ダンパ32により流速が制御されながら、送風ファン35により送風ダクト40内を送風される。この熱風は、50℃〜200℃の範囲内の設定温度に設定され、設定温度±1℃の高精度で制御される。さらに、GHE34と第2乾燥部13Bとの間の送風ダクト40の長さは10m以上にされており、送風ファン35により送風される熱風の温度分布が、送風ダクト40の断面に対して均一となる。また、送風ファン35の下流に攪拌機を設けて、送風ダクト40内の温度分布をより一層均一にしても良いが、送風ファン35によって熱風が充分に攪拌されて、送風ダクト40内の温度分布が均一になる場合には攪拌機を省略できる。
また、送風ダクト40から第2乾燥部13Bに送風された熱風は、第1循環ダクト42、第2循環ダクト43によって、再び送風ダクト40に導かれるので、排出ダクト41内の熱風を再利用するため、エネルギー効率が向上する。
なお、乾燥風を循環させる第1循環ダクト42、第2循環ダクト43によって循環される循環空気は、有機溶剤ガス濃度が爆発下限界である25%以下にされており、安全性を確保している。特に、塗布直後の有機溶剤ガス濃度が高い乾燥系、例えば、第1乾燥部13A内には、新鮮な空気(循環風ではなく、乾燥機の外部から流入した空気)のみをGHE34で加熱するようにして、安全を確保している。
以上、第2乾燥機14Bの構成及び作用について説明を行ったが、第1乾燥機14A、第3乾燥機14Cも略同様の構成であり、同じ装置については同一の符号を付して説明を省略する。第1乾燥機14A、第3乾燥機14Cは、第2乾燥機14Bと同様に作用する。
次に第4乾燥・冷却機14Dの構造を説明する。この乾燥・冷却機14Dは、第2乾燥機14Bの第1循環路42及びヒートパイプ30を省略し、複数の手動ダンパ31及び複数の制御ダンパ32の一部を省略した構造となっている。この乾燥・冷却機14Dにおいて、前述の第1〜第3乾燥機14A〜14Cと同様の装置には、同一符号を付して説明を省略する。また、この乾燥・冷却機14Dでは、GHE34の下流側には、熱交換器44が設けられている。
第4乾燥・冷却部13Dに冷却風を送風してアルミウェブ10を冷却する場合、GHE34の作動を停止させて、熱交換器44内の冷却コイルに冷却水を循環させる。これにより、第4乾燥・冷却機14Dの外部から流入した空気が、熱交換器44にて冷却されて、第4乾燥・冷却部13Dに送出される。
第4乾燥・冷却部13Dに加熱された空気を送風してアルミウェブ10を乾燥させる場合は、GHE34を作動させて、熱交換器44の作動を停止させる。これにより、第4乾燥・冷却機14Dの外部から流入した空気が、GHE34で加熱されて第4乾燥・冷却部13Dに熱風が送風される。第4乾燥・冷却機14Dは、選択的に冷風と熱風を第4乾燥・冷却部13Dに送風することが可能であるので、必要に応じて乾燥と冷却の機能を切り換えることができる。
なお、本実施形態においては、PS版製造ラインの乾燥工程に本発明の乾燥機を使用する場合について説明したが、これに限るものではなく、例えば、写真フイルム用基材、印画紙用のバライタ紙、録音テープ用基材、ビデオテープ用基材、フロッピー(登録商標)ディスク用基材など、連続した帯状で可撓性を有するものの塗布乾燥工程に適用可能である。
本発明の乾燥機におけるダクト内の温度分布を調べるために、図4に示す実験装置を用いて温度分布を測定した。なお、前述の各乾燥機14A〜14Dにて用いた装置と同様のものには、同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
図4に示すように、実験装置60は、外気を送風ダクト61内に流入させる外調機62を備えている。外気は、送風ダクト61に設けられた送風ファン63によって吸引され、送風ダクト61の下流に送風される。この送風ダクト61の下流には、熱交換器64が設けられている。この熱交換器64は、温水を使用して空気を加熱する熱交換器である。また、この送風ダクト61には、外気を熱交換器64に通さずに迂回させるためのダクト65が設けられている。
また、送風ダクト61は、熱交換器64のさらに下流側で循環ダクト66に接続されている。送風ダクト61を介して循環ダクト66内に流入した空気は、循環ダクト66内の空気と混合されてGHE34の入口に導かれる。
GHE34に流入した空気は、GHE34によって加熱されて下流に導かれる。また、循環ダクト66には、GHE34の入口と出口とを結ぶダクト67が設けられており、このダクト67によって、GHE34によって加熱された空気が再びGHE34に導かれて加熱される。
また、GHE34の下流には、攪拌機68が設けられており、この攪拌機68によって循環ダクト66内の空気が攪拌される。この攪拌機68の下流には、循環ファン69が設けられており、循環ダクト66内の空気が循環する。さらに、循環ファン69の下流において、循環ダクト66が分断されており、循環ダクト66から送出された空気が、再び循環ダクト66内に流入して循環する。また、循環ダクト66には、2つの風量計70が設けられており、送風ダクト61には、1つの風量計70が設けられており、ダクト内の風量を測定する。
上記構成の実験装置を用いて、GHE34の入口H、攪拌機68の上流部B、攪拌機68の下流部A、送出部Iの4つの測定部における循環ダクト66内の温度を熱電対によって測定する。なお、各測定部において、循環ダクト66の断面に対する温度分布を調べるために、例えば、図5に示すように、GHE34の入口Hにおける循環ダクト66の断面に対して、H1〜H9の9箇所の温度を測定する。同様に、攪拌機68の上流部Bに対してB1〜B9の9箇所、攪拌機68の下流部Aに対してA1〜A9の9箇所、送気部Iに対してI1〜I9の9箇所について温度を測定する。これら各測定部における温度測定箇所は、図5と同様である。
最初に、実験1について説明する。実験1は、送風の出口温度を200℃、風量100m3 /min、GHE34の入口温度165℃、出入口温度差35℃、加熱負荷36,943kcal/h、外気の温度12℃、外気の流入風量11.2m3 /minの条件で測定を行った。各測定部H,B,A,Iの温度を同一の時間帯で測定した1時間分のデータを図6〜図9に示す。
図6は、GHE34の入口Hにおける循環ダクト66内の温度分布を示すグラフであり、横軸が時刻、縦軸が温度を示している。このグラフより、入口Hにおける循環ダクト66内の温度は、略163℃〜170℃の範囲内にあり、循環ダクト66の断面内の各位置で温度分布にムラがあることが分かる。
図7は、攪拌機68の上流部Bにおける循環ダクト66内の温度分布を示すグラフであり、横軸が時刻、縦軸が温度を示している。このグラフより、上流部Bにおける循環ダクト66内の温度は、略195℃〜210℃の範囲内にあり、GHE34の前後で空気が約35℃上昇していることが分かる。また、循環ダクト66の断面内の各位置で温度分布にムラがあることが分かる。
図8は、攪拌機68の下流部Aにおける循環ダクト66内の温度分布を示すグラフであり、横軸が時刻、縦軸が温度を示している。このグラフにより、下流部Aにおける循環ダクト66内の温度は、略197℃〜206℃の範囲内にあり、攪拌機68によって循環ダクト66内の各位置での温度差が、約15℃から約9℃に収束していることが分かる。
図9は、送出部Iにおける循環ダクト66内の温度分布を示すグラフであり、横軸が時刻、縦軸が温度を示している。このグラフにより、送出部Iにおける循環ダクト66内の温度は、略199.5℃〜202.5℃の範囲内にあり、温度差が約3℃に収束されていることが分かる。また、循環ダクト66内の平均温度は、設定温度200℃に対して、略±1℃の範囲内にあり、設定温度に対して±1℃の精度を得ることができる。また、他の温度差条件(温度差45℃,55℃)においても、設定温度200℃に対して略±1℃の範囲内となり、同様の結果が得られた。
次に、実験2について説明する。実験2は、送風の出口温度を80℃、風量100m3 /min、GHE34の入口温度65℃、出入口温度差15℃、加熱負荷21,215kcal/h、外気の温度12℃、外気の流入風量17.8m3 /minの条件で測定を行った。各測定部H,B,A,Iの温度を同一の時間帯で測定した37分間分のデータを図10〜図13に示す。
図10は、GHE34の入口Hにおける循環ダクト66内の温度分布を示すグラフであり、横軸が時刻、縦軸が温度を示している。このグラフより、入口Hにおける循環ダクト66内の温度は、略64.5℃〜65.5℃の範囲内にあることが分かる。
図11は、攪拌機68の上流部Bにおける循環ダクト66内の温度分布を示すグラフであり、横軸が時刻、縦軸が温度を示している。このグラフより、上流部Bにおける循環ダクト66内の温度は、略76℃〜86℃の範囲内にあり、GHE34の前後で空気が約15℃上昇していることが分かる。また、循環ダクト66の断面内の各位置で温度分布にムラがあることが分かる。
図12は、攪拌機68の下流部Aにおける循環ダクト66内の温度分布を示すグラフであり、横軸が時刻、縦軸が温度を示している。このグラフにより、下流部Aにおける循環ダクト66内の温度は、略77℃〜82℃の範囲内にあり、攪拌機68によって循環ダクト66内の温度差が、約10℃から約5℃に収束していることが分かる。
図13は、送出部Iにおける循環ダクト66内の温度分布を示すグラフであり、横軸が時刻、縦軸が温度を示している。このグラフにより、送出部Iにおける循環ダクト66内の温度は、略80.6℃〜81.4℃の範囲内にあり、温度差が約0.8℃に収束されていることが分かる。また、循環ダクト66内の平均温度は、設定温度80℃に対して略±1℃の範囲内にあり、設定温度に対して±1℃の精度を得ることができる。また、他の温度差条件(温度差25℃,20℃,10℃)においても、設定温度80℃に対して略±1℃の範囲内となり、同様の結果が得られた。
実験1において、設定温度を200℃に設定し、さらに実験2において、設定温度を80℃に設定して実験を行い、設定温度に対して略±1℃の範囲で送風温度を制御できることが分かった。また、設定温度50℃でも同様の結果が得られたので、本発明の乾燥機では、設定温度50℃〜200℃の範囲において、±1℃の範囲で送風温度を制御可能である。
以上、実験1及び実験2より得られた本発明の乾燥機の特性について、従来から自動車の塗装乾燥ラインに使用されている乾燥機と比較する。なお、塗装乾燥ラインにて使用されている乾燥機も、本発明の乾燥機と同様にGHEを用いている。
表1は、従来の乾燥機と本発明の乾燥機との特性の差異を示す表である。従来の乾燥機は、送風温度が、100℃〜230℃の温度範囲において、一定温度で使用されるのに対して、本発明の乾燥機は、50℃〜200℃の温度範囲で設定温度を変化させて使用することができる。
また、従来の乾燥機は、車体の乾燥に用いるため乾燥室内の負荷変動が大きく、送風温度の精度が±2〜10℃の間で変化する。しかし、本発明の乾燥機は、ウェブ状のアルミ板の乾燥に用いられるので乾燥室内の負荷は安定し、送風温度の精度を±1℃程度で安定する。このため、より精密な温度制御を行うことが可能である。さらに、バーナー制御方式は、従来の乾燥機が、ガスバーナーの絞り1/8が標準で、一定温度条件による燃焼であるのに対して、本発明の乾燥機は、絞りを全開から1/20までの間で制御して、広範囲の温度制御を可能にしている。
さらに、GHE34の熱交換器の表面温度は、従来の乾燥機では、最高約600℃に設定されているのに対して、本発明の乾燥機では、最高約400℃に設定されており、可燃性ガスのいかなる濃度においても発火しない400℃以下の温度に制御される。このため、従来の乾燥機よりも安全性が確保されている。
Figure 2005099790
PS版製造ラインの概略図である。 本発明の乾燥機の構成を示す概略図である。 GHEの構成を示す概略斜視図である。 実験装置の構成を示す概略図である。 温度の測定箇所を示す循環ダクトの断面図である。 実験1のGHEの入口での循環ダクト内の温度分布を示すグラフである。 実験1の攪拌機の上流部での循環ダクト内の温度分布を示す実験1のグラフである。 実験1の攪拌機の下流部での循環ダクト内の温度分布を示す実験1のグラフである。 実験1の送出部での循環ダクト内の温度分布を示すグラフである。 実験2のGHEの入口での循環ダクト内の温度分布を示すグラフである。 実験2の攪拌機の上流部での循環ダクト内の温度分布を示すグラフである。 実験2の攪拌機の下流部での循環ダクト内の温度分布を示すグラフである。 実験2の送出部での循環ダクト内の温度分布を示すグラフである。
符号の説明
10 アルミウェブ
13A 第1乾燥部
13B 第2乾燥部
13C 第3乾燥部
13D 第4乾燥・冷却部
14A 第1乾燥機
14B 第2乾燥機
14C 第3乾燥機
14D 第4乾燥・冷却機
34 GHE
35 送風ファン
36 排気ファン
37 フィルタ
38 温度センサ
40 送風ダクト
40a 入口ダクト
40b 出口ダクト
41 排出ダクト
42 第1循環ダクト
43 第2循環ダクト
44,52 熱交換器
49 筐体
50 ガスバーナー
50a パイプ
51,54 ダクト
53 内部循環用ファン
54a 排出穴
60 実験装置

Claims (13)

  1. 塗布液が塗布され、乾燥室内に搬送されたウェブに対して熱風を吹き付けることにより、前記ウェブの塗布面を乾燥させる乾燥機において、
    バーナー絞りを調節可能なガスバーナー間接熱交換器と、
    前記ガスバーナー間接熱交換器で加熱された空気を前記熱風として前記乾燥室に向けて送風する送風器と、
    前記ガスバーナー間接熱交換器及び前記乾燥室間に配置され、前記送風器からの前記熱風を前記乾燥室内に導くための送風ダクトとを備えていることを特徴とする乾燥機。
  2. 前記ガスバーナー間接熱交換器は、可燃性ガスを燃焼させるガスバーナーと、前記ガスバーナーの燃焼ガスで前記空気を加熱する熱交換器とを備えていることを特徴とする請求項1記載の乾燥機。
  3. 前記ガスバーナー間接熱交換器は、前記ガスバーナー及び前記熱交換器を収納する筐体と、前記筐体の一面に取り付けられた入口ダクトと、前記筐体の他面に取り付けられ、前記送風ダクトの一部を構成する出口ダクトとをさらに備え、前記入口ダクトから前記筐体内に入った前記空気は、前記ガスバーナーの周囲を通ってから、前記熱交換器を通過することで加熱され、前記出口ダクトから前記送風器に向かって送出されることを特徴とする請求項2記載の乾燥機。
  4. 前記燃焼ガスは、前記熱交換器を経てから、その一部が前記ガスバーナーに戻されることを特徴とする請求項2または請求項3記載の乾燥機。
  5. 前記乾燥室内では、塗布液が塗布されたウェブが移動しており、前記ウェブの塗布面に前記熱風が当てられて前記塗布液が乾燥されることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の乾燥機。
  6. 前記ウェブは、アルミニウム製であり、前記塗布液が塗布されて表面に塗布層が形成されたウェブは、PS版であることを特徴とする請求項5記載の乾燥機。
  7. 前記送風ダクトは、10m以上の長さを有することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の乾燥機。
  8. 前記送風ダクトには、攪拌機が設けられており、この攪拌機によって前記ガスバーナー間接熱交換器から送出された熱風の前記送風ダクト断面に対する温度分布が均一にされることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の乾燥機。
  9. 前記バーナー絞りは、全開から1/20までの範囲内で調節可能であることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の乾燥機。
  10. 前記バーナー絞りは、単位時間あたりの発熱量を6,300〜15,750kcal/hの範囲内で制御することにより、可変乾燥風量40〜360m3/minのもとで、熱風温度を50〜200℃の範囲内で、設定温度±1℃の高精度で制御することを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の乾燥機。
  11. 前記乾燥室の入口付近には、温度センサが配置されており、この温度センサによって測定された前記熱風の測定温度に基づいて、前記バーナー絞りが調節されることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の乾燥機。
  12. 前記熱交換器の表面温度は、可燃性ガスが発火しないように400℃以下に制御されていることを特徴とする請求項2ないし請求項11のいずれか1項に記載の乾燥機。
  13. 前記熱交換器に亀裂があった場合に、燃焼ガスが前記筐体内に漏れないように、前記熱交換器内が負圧に保たれていることを特徴とする請求項2ないし請求項12のいずれか1項に記載の乾燥機。
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