JP2005099780A - 放射線像変換パネルおよび放射線画像情報読取方法 - Google Patents

放射線像変換パネルおよび放射線画像情報読取方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 感度および鮮鋭度の向上した放射線像変換パネルおよび放射線画像情報読取方法を提供する。
【解決手段】 放射線像変換パネルに放射線を照射したのち励起半値幅50μmの励起光で励起したときに、該変換パネルから発せられる発光光の発光幅dが150乃至395μmの範囲にある、気相堆積法により形成された蓄積性蛍光体層を有する放射線像変換パネルは、ラインスキャン読取方法において、主走査方向の画素サイズD(μm)が25≦D≦400かつ0.5≦d/D≦4を満足する光検出手段を用いる放射線画像情報読取方法により、高い感度で鮮鋭度の高い放射線再生画像を与える。
【選択図】 図1






Description

本発明は、蓄積性蛍光体を利用する放射線画像記録再生方法に用いられる放射線像変換パネル、および該放射線像変換パネルに記録蓄積された放射線画像情報を読み取る方法に関するものである。
X線などの放射線が照射されると、放射線エネルギーの一部を吸収蓄積し、そののち可視光線や赤外線などの電磁波(励起光)の照射を受けると、蓄積した放射線エネルギーに応じて発光を示す性質を有する蓄積性蛍光体(輝尽発光を示す輝尽性蛍光体等)を利用して、この蓄積性蛍光体を含有するシート状の放射線像変換パネルに、被検体を透過したあるいは被検体から発せられた放射線を照射して被検体の放射線画像情報を一旦蓄積記録した後、この放射線像変換パネルにレーザ光などの励起光を走査して順次発光光として放出させ、そしてこの発光光を光電的に読み取って画像信号を得ることからなる、放射線画像記録再生方法が広く実用に供されている。読み取りを終えた放射線像変換パネルは、残存する放射線エネルギーの消去が行われた後、次の撮影のために備えられて繰り返し使用される。
放射線画像記録再生方法に用いられる放射線像変換パネル(蓄積性蛍光体シートともいう)は、基本構造として、支持体とその上に設けられた蛍光体層とからなる。ただし、蛍光体層が自己支持性である場合には必ずしも支持体を必要としない。また、蛍光体層の上面(支持体に面していない側の面)には通常、保護層が設けられていて、蛍光体層を化学的な変質あるいは物理的な衝撃から保護している。
蛍光体層としては、蓄積性蛍光体とこれを分散状態で含有支持する結合剤とからなるもの、気相堆積法や焼結法によって形成される結合剤を含まないで蓄積性蛍光体の凝集体のみから構成されるもの、および蓄積性蛍光体の凝集体の間隙に高分子物質が含浸されているものなどが知られている。
また、上記放射線画像記録再生方法の別の態様として特許文献1には、従来の蓄積性蛍光体における放射線吸収機能とエネルギー蓄積機能とを分離して、少なくとも蓄積性蛍光体(エネルギー蓄積用蛍光体)を含有する放射線像変換パネルと、放射線を吸収して紫外乃至可視領域に発光を示す蛍光体(放射線吸収用蛍光体)を含有する蛍光スクリーンとの組合せを用いる放射線画像形成方法が提案されている。この方法は、被検体を透過などした放射線をまず、該蛍光スクリーンまたは変換パネルの放射線吸収用蛍光体により紫外乃至可視領域の光に変換した後、その光を変換パネルのエネルギー蓄積用蛍光体にて放射線画像情報として蓄積記録する。次いで、この変換パネルに励起光を走査して発光光を放出させ、この発光光を光電的に読み取って画像信号を得るものである。
放射線画像記録再生方法(および放射線画像形成方法)は上述したように数々の優れた利点を有する方法であるが、この方法に用いられる放射線像変換パネルにあっても、できる限り高感度であってかつ画質(鮮鋭度、粒状性など)の良好な画像を与えるものであることが望まれている。
感度および画質を高めることを目的として、放射線像変換パネルの蛍光体層を気相堆積法により形成する方法が提案されている。気相堆積法には蒸着法やスパッタ法、化学蒸着(CVD)法などがあり、例えば蒸着法は、蛍光体またはその原料からなる蒸発源を抵抗加熱器や電子線の照射により加熱して蒸発源を蒸発、飛散させ、金属シートなどの基板表面にその蒸発物を堆積させることにより、蛍光体の柱状結晶からなる蛍光体層を形成するものである。
気相堆積法により形成された蛍光体層は、結合剤を含有せず、蛍光体のみからなり、蛍光体の柱状結晶と柱状結晶の間には空隙が存在する。このため、励起光の進入効率や発光光の取出し効率を上げることができるので高感度であり、また励起光の平面方向への散乱を防ぐことができるので高鮮鋭度の画像を得ることができる。
一方、放射線像変換パネルから放射線画像情報を読み取る方法として、ラインスキャン読取方法が提案されている。この読取方法によれば、発光光の読取時間の短縮、装置の小型化およびコストの低減を図ることができる。特許文献2には、ラインスキャン読取方法に用いられる放射線画像情報読取装置が開示され、読取装置は、変換パネルに線状の励起光を照射するライン光源、放射線像変換パネルの線状に照射された部分から発光された輝尽発光光を受光して光電変換を行う輝尽発光光検出手段、ライン光源および輝尽発光光検出手段と変換パネルの一方を他方に対して相対的に、照射部分の長さ方向(主走査方向)と異なる方向(副走査方向)に移動させる走査手段、および輝尽発光光検出手段の出力を移動に応じて読み取る読取手段を備え、そして輝尽発光光検出手段の受光部の該長さ方向と直交する方向(通常は、副走査方向に等しい)の幅が、輝尽発光光の広がり光の光量の30%までを受光可能な幅以上で、かつ該光量の90%までを受光可能な幅以下に規定されている。また、特許文献2の輝尽発光光の広がりと広がり光量の分布率との関係を表すグラフには、この読取装置に掛けられる放射線像変換パネルから発せられる輝尽発光光の発光幅(半値全幅)は約400μmであることが示されている。
特開2001−255610号公報 特開2001−350230号公報
本発明は、感度および鮮鋭度の向上した放射線像変換パネルを提供することにある。また、本発明は、高画質の放射線画像を与える放射線画像情報読取方法を提供することにもある。
本発明者は、気相堆積法により形成した蛍光体層を有する放射線像変換パネルについて検討を重ねた結果、放射線像変換パネルから発せられる発光光を検出するためのラインスキャン読取用の画素分割された光検出手段に、医療診断に要求される画素サイズを設定したときに、放射線像変換パネルからの発光光には、検出感度と画像鮮鋭度の両方を高めることができる特定の範囲の発光幅が存在することを見い出し、本発明に到達したものである。また、この放射線像変換パネルから放射線画像情報を読み取る場合に、光検出手段の主走査方向の画素サイズを特定の範囲に設定したときに高画質の放射線画像が得られることを見い出し、本発明に至ったものである。
本発明は、気相堆積法により形成された蓄積性蛍光体層を有する放射線像変換パネルであって、該放射線像変換パネルの蓄積性蛍光体層に放射線を照射したのち、励起半値幅50μmの励起光で励起したときに、該放射線像変換パネルの蓄積性蛍光体層から発せられる発光光の発光幅dが150乃至395μmの範囲にあることを特徴とする放射線像変換パネルにある。
本発明において、発光光の発光幅とは、放射線像変換パネルにX線を照射したのち励起光を励起幅約50μmで、放射線像変換パネル面の法線に対して約15度の角度で照射したときに、変換パネルから発せられる発光光を、放射線像変換パネル面の法線に対して垂直に位置するセルフォックレンズアレイで結像し、発光光を透過して励起光はカットする光学フィルタを通し、そして画素サイズ約7μmで画素数約800×800の二次元CCDセンサアレイで検出して、発光プロファイルを求め、その発光プロファイルから決定した発光光の半値全幅を意味する。
また、本発明は、放射線画像(放射線画像情報)が記録蓄積された前記本発明の放射線像変換パネル、該変換パネルに線状の励起光を照射する励起手段、及び該放射線像変換パネルの表面及び/又は裏面の近傍に配置された、正立等倍光学系を備え、パネル照射部分からの発光光を受光して光電変換を行う画素に分割され、該照射部分の直線パターン方向の画素サイズD(μm)が25≦D≦400かつ0.5≦d/D≦4を満足する光検出手段を用意し、該励起手段と光検出手段とを、該変換パネルの平面方向に該変換パネルに対して相対的に移動させながら、該変換パネルの表面に励起光を、該移動方向と異なる方向に延びる線状に照射し、該変換パネルの励起光照射部分及び/又は照射部分の裏面から発せられる発光光を、正立等倍光学系を通して該光検出手段で受光して光電変換により電気信号を出力させ、そして該電気信号と、該変換パネルと光検出手段との間の相対的な移動を示す信号とから、放射線画像を電気的画像信号として得ることからなる放射線画像(放射線画像情報)読取方法にもある。
発光幅が特定の範囲にある本発明の放射線像変換パネルは、高感度であって、かつ高鮮鋭度の放射線画像を与え、従って医療診断に適したバランスの良い性能を示す放射線像変換パネルである。また、光検出手段の画素サイズを特定の範囲に設定して行う本発明の放射線画像読取方法は、高感度であってかつ高画質の放射線再生画像を与える。
本発明の放射線像変換パネルにおいて、蓄積性蛍光体は、次に示す基本組成式(I)を有するアルカリ金属ハロゲン化物系の輝尽性蛍光体であることが好ましい。基本組成式(I)においてMIはCsであって、XはBrであり、AはEuであり、そしてzは1×10-4≦z≦0.1の範囲内の数値であることが好ましい。

IX・aMIIX’2・bMIIIX”3:zA ‥‥(I)
[ただし、MIはLi、Na、K、Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属を表し;MIIはBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、Cu、Zn及びCdからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属又は二価金属を表し;MIIIはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga及びInからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素又は三価金属を表し;X、X’及びX”はそれぞれ、F、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンを表し;AはY、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Cu、Ag、Tl及びBiからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素又は金属を表し;そしてa、b及びzはそれぞれ、0≦a<0.5、0≦b<0.5、0<z<1.0の範囲内の数値を表す]
本発明の放射線画像情報読取方法において、光検出手段は、複数の光電変換素子を線状に配列してなるラインセンサであることが好ましい。また、光検出手段の各画素は1個の光電変換素子から構成されることが好ましい。
以下に、本発明の放射線像変換パネルについて、添付図面を参照しながら詳細に述べる。
本発明の放射線像変換パネルは、気相堆積法により形成された蓄積性蛍光体からなる層を有し、そしてこの変換パネルから発せられる発光光の発光幅dが150乃至380μmの範囲にある。発光幅(半値全幅)dは、図1に示すような発光プロファイルから決定することができる。
図1は、発光分布幅と発光強度の関係を表すグラフ、すなわち発光プロファイルの一例である。図1の発光プロファイルは、次の方法を利用して求めたものである。支持体上に蒸着法により形成されたCsBr:Eu輝尽性蛍光体の層からなる放射線像変換パネルに、管電圧80kVpのX線(線量100mR)を照射する。続いて、半導体レーザ光(波長:660nm)をレンズにより50μmの励起半値幅に集光した後、図2に示すように、このレーザ光Jを変換パネル10の表面(蛍光体層側)にその法線aに対して角度b=約15度で照射したときに、変換パネル10から発せられる発光光Kを、法線aに対して垂直(パネル10に対して平行)に位置したセルフォックレンズアレイ11で結像し、発光光を透過して励起光のみカットする光学フィルタ(B410、HOYA製)12を通し、そして画素サイズ約7μmで画素数約800×800の二次元CCDセンサアレイ13で検出して、発光プロファイルを求める。
本発明において、上記発光幅(半値全幅)dが150乃至395μm(好ましくは、150乃至380μm、更に好ましくは290乃至380μm)の範囲にあるとき、放射線像変換パネルは感度および鮮鋭度が共に高い。
図3は、蒸着法により形成されたCsBr:Eu輝尽性蛍光体層を有する各種の放射線像変換パネル(後述の実施例)について、輝尽発光光を検出するための光検出手段の画素サイズを医療診断に要求される一般的な画素サイズである200μmとしたときの、上記発光幅dと得られた輝尽発光量(相対値)との関係を示すグラフである。図3のグラフから、発光幅dが150〜600μmの範囲にあるときに輝尽発光量、すなわち感度が高いことが分かる。
図4は、上記放射線像変換パネル(実施例)について、光検出手段の画素サイズを同じく200μmとしたときの、上記発光幅dと得られた放射線画像の変調伝達関数(MTF)との関係を示すグラフである。図4のグラフから、発光幅dが395μm以下(特に380μm以下)であるときにMTF、すなわち鮮鋭度が高いことが分かる。
次に、本発明の放射線像変換パネルを製造する方法について、気相堆積法として抵抗加熱方式による蒸着法を用いる場合を例にとって詳細に述べる。抵抗加熱方式は、中程度の真空度で蒸着を行うことができ、柱状結晶の良好な蒸着膜を容易に得られる利点がある。
蒸着膜形成のための基板は通常、放射線像変換パネルの支持体を兼ねており、従来の放射線像変換パネルの支持体として公知の材料から任意に選ぶことができるが、好ましい基板は、石英ガラスシート、サファイアガラスシート;アルミニウム、鉄、スズ、クロムなどからなる金属シート;アラミドなどからなる樹脂シートである。特に好ましいのはアルミニウム基板である。公知の放射線像変換パネルにおいて、パネルとしての感度もしくは画質(鮮鋭度、粒状性)を向上させるために、二酸化チタンなどの光反射性物質からなる光反射層、もしくはカーボンブラックなどの光吸収性物質からなる光吸収層などを設けることが知られている。本発明で用いられる基板についても、これらの各種の層を任意に設けることができ、それらの構成は所望の放射線像変換パネルの目的、用途などに応じて任意に選択することができる。さらに、蒸着膜の柱状結晶性を高める目的で、基板の蒸着膜が形成される側の表面(基板の表面に下塗層(接着性付与層)、光反射層あるいは光吸収層などの補助層が設けられている場合には、それらの補助層の表面であってもよい)には微小な凹凸が形成されていてもよい。
蓄積性蛍光体は、波長が400〜900nmの範囲の励起光の照射により、300〜500nmの波長範囲に輝尽発光を示す輝尽性蛍光体が好ましい。
なかでも、基本組成式(I):

IX・aMIIX’2・bMIIIX”3:zA ‥‥(I)

で代表されるアルカリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体は特に好ましい。ただし、MIはLi、Na、K、Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属を表し、MIIはBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、Cu、Zn及びCdからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属又は二価金属を表し、MIIIはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga及びInからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素又は三価金属を表し、そしてAはY、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Cu、Ag、Tl及びBiからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素又は金属を表す。X、X’およびX”はそれぞれ、F、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンを表す。a、bおよびzはそれぞれ、0≦a<0.5、0≦b<0.5、0<z<1.0の範囲内の数値を表す。
上記基本組成式(I)において、zは1×10-4≦z≦0.1の範囲内にあることが好ましい。MIとしては少なくともCsを含んでいることが好ましい。Xとしては少なくともBrを含んでいることが好ましい。AとしてはEu又はBiであることが好ましく、そして特に好ましくはEuである。また、基本組成式(I)には、必要に応じて、酸化アルミニウム、二酸化珪素、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物を添加物として、MIX1モルに対して、0.5モル以下の量で加えてもよい。
また、基本組成式(II):

IIFX:zLn ‥‥(II)

で代表される希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体も好ましい。ただし、MIIはBa、Sr及びCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属を表し、LnはCe、Pr、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Nd、Er、Tm及びYbからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素を表す。Xは、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンを表す。zは、0<z≦0.2の範囲内の数値を表す。
上記基本組成式(II)中のMIIとしては、Baが半分以上を占めることが好ましい。Lnとしては、特にEu又はCeであることが好ましい。また、基本組成式(II)では表記上F:X=1:1のように見えるが、これはBaFX型の結晶構造を持つことを示すものであり、最終的な組成物の化学量論的組成を示すものではない。一般に、BaFX結晶においてX-イオンの空格子点であるF+(X-)中心が多く生成された状態が、600〜700nmの光に対する輝尽効率を高める上で好ましい。このとき、FはXよりもやや過剰にあることが多い。
なお、基本組成式(II)では省略されているが、必要に応じて下記のような添加物を一種もしくは二種以上を基本組成式(II)に加えてもよい。

bA, wNI, xNII, yNIII

ただし、AはAl23、SiO2及びZrO2などの金属酸化物を表す。MIIFX粒子同士の焼結を防止する上では、一次粒子の平均粒径が0.1μm以下の超微粒子でMIIFXとの反応性が低いものを用いることが好ましい。NIは、Li、Na、K、Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属の化合物を表し、NIIは、Mg及び/又はBeからなるアルカリ土類金属の化合物を表し、NIIIは、Al、Ga、In、Tl、Sc、Y、La、Gd及びLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属の化合物を表す。これらの金属化合物としてはハロゲン化物を用いることが好ましいが、それらに限定されるものではない。
また、b、w、x及びyはそれぞれ、MIIFXのモル数を1としたときの仕込み添加量であり、0≦b≦0.5、0≦w≦2、0≦x≦0.3、0≦y≦0.3の各範囲内の数値を表す。これらの数値は、焼成やその後の洗浄処理によって減量する添加物に関しては最終的な組成物に含まれる元素比を表しているわけではない。また、上記化合物には最終的な組成物において添加されたままの化合物として残留するものもあれば、MIIFXと反応する、あるいは取り込まれてしまうものもある。
その他、上記基本組成式(II)には必要に応じて、Zn及びCd化合物;TiO2、BeO、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、Y23、La23、In23、GeO2、SnO2、Nb25、Ta25、ThO2等の金属酸化物;Zr及びSc化合物;B化合物;As及びSi化合物;テトラフルオロホウ酸化合物;ヘキサフルオロケイ酸、ヘキサフルオロチタン酸、及びヘキサフルオロジルコニウム酸の1価又は2価の塩からなるヘキサフルオロ化合物;V、Cr、Mn、Fe、Co及びNiなどの遷移金属の化合物などを添加してもよい。さらに、本発明においては上述した添加物を含む蛍光体に限らず、基本的に希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体とみなされる組成を有するものであれば如何なるものであってもよい。
基本組成式(III):

IIS:A,Sm ‥‥(III)

で代表される希土類付活アルカリ土類金属硫化物系輝尽性蛍光体も好ましい。ただし、MIIはMg、Ca及びSrからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属を表す。Aは、Eu及び/又はCeを表す。
基本組成式(IV):

IIIOX:Ce ‥‥(IV)

で代表されるセリウム付活三価金属酸化ハロゲン化物系の輝尽性蛍光体も好ましい。ただし、MIIIはPr、Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びBiからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素又は三価金属を表す。Xは、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンを表す。
多元蒸着(共蒸着)により蒸着膜を形成する場合には、蒸発源として、上記蓄積性蛍光体の母体成分を含むものと付活剤成分を含むものからなる少なくとも二個の蒸発源を用意する。多元蒸着は、蛍光体の母体成分と付活剤成分の融点や蒸気圧が大きく異なる場合に、その蒸発速度を各々制御して蛍光体母体中に付活剤を均一に含有させることができるので好ましい。各蒸発源は、所望とする蓄積性蛍光体の組成に応じて、蛍光体の母体成分および付活剤成分それぞれのみから構成されていてもよいし、添加物成分などとの混合物であってもよい。また、蒸発源は二個に限定されるものではなく、例えば別に添加物成分などからなる蒸発源を加えて三個以上としてもよい。
蛍光体の母体成分は、母体を構成する化合物それ自体であってもよいし、あるいは反応して母体化合物となりうる二以上の原料の混合物であってもよい。また、付活剤成分は、一般には付活剤元素を含む化合物であり、例えば付活剤元素のハロゲン化物や酸化物が用いられる。
付活剤がEuである場合に、付活剤成分のEu化合物におけるEu2+化合物のモル比が70%以上であることが好ましい。一般に、Eu化合物にはEu2+とEu3+が混合して含まれているが、所望とする輝尽発光(あるいは瞬時発光であっても)はEu2+を付活剤とする蛍光体から発せられるからである。Eu化合物はEuXm(Xはハロゲン)であることが好ましく、その場合には、mは2.0≦m≦2.3の範囲内の数値であることが好ましい。mは、2.0であることが望ましいが、2.0に近づけようとすると酸素が混入しやすくなる。よって、実際にはmは2.2付近でXの比率が比較的高い状態が安定している。
蒸発源は、その含水量が0.5重量%以下であることが好ましい。蒸発源となる蛍光体母体成分や付活剤成分が、例えばEuBr、CsBrのように吸湿性である場合には特に、含水量をこのような低い値に抑えることは突沸防止などの点から重要である。蒸発源の脱水は、上記の各蛍光体成分を減圧下で100〜300℃の温度範囲で加熱処理することにより行うことが好ましい。あるいは、各蛍光体成分を窒素ガス雰囲気などの水分を含まない雰囲気中で、該成分の融点以上の温度で数十分乃至数時間加熱溶融してもよい。
さらに、本発明において、蒸発源、特に蛍光体母体成分を含む蒸発源は、アルカリ金属不純物(蛍光体の構成元素以外アルカリ金属)の含有量が10ppm以下であって、そしてアルカリ土類金属不純物(蛍光体の構成元素以外のアルカリ土類金属)の含有量が5ppm(重量)以下であることが望ましい。とりわけ、蛍光体が前記基本組成式(I)を有するアルカリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体である場合には望ましい。このような蒸発源は、アルカリ金属やアルカリ土類金属など不純物の含有量の少ない原料を使用することにより調製することができる。
上記複数の蒸発源および基板を蒸着装置内に配置し、装置内を排気して0.05〜10Pa程度の中真空度とする。前記発光幅dを狭くするためには、真空度は低い方が好ましく、よって0.05〜5Paの真空度にすることが好ましい。更に好ましくは、装置内を排気して1×10-5〜1×10-2Pa程度の高真空度とした後、Arガス、Neガス、N2ガスなどの不活性ガスを導入して上記中真空度にする。これにより、装置内の水分圧や酸素分圧等を下げることができる。排気装置としては、ロータリーポンプ、ターボ分子ポンプ、クライオポンプ、ディフュージョンポンプ、メカニカルブースタ等を適宜組み合わせて用いることができる。
次に、各抵抗加熱器に電流を流すことにより蒸発源を加熱する。蒸発源である蓄積性蛍光体の母体成分や付活剤成分等は加熱されて蒸発、飛散し、そして反応を生じて蛍光体を形成するとともに基板表面に堆積する。このとき、基板のサイズ等によっても異なるが、各蒸発源と基板との距離は一般に10乃至1000mmの範囲にある。前記発光幅dを狭くするためには、蒸発源と基板との距離は小さい方が好ましく、よって50乃至500mmの範囲にあることが好ましい。また、各蒸発源間の距離は一般に10乃至1000mmの範囲にある。また、基板を加熱してもよいし、あるいは冷却してもよい。基板温度は、一般には20乃至350℃の範囲にある。前記発光幅dを狭くするためには、基板温度は低い方が好ましく、よって20乃至250℃の範囲にあることが好ましい。各蒸発源の蒸着速度は、加熱器の抵抗電流などを調整することにより制御することができる。蛍光体の堆積する速度、すなわち蒸着速度は、一般には0.1乃至1000μm/分の範囲にあり、好ましくは1乃至100μm/分の範囲にある。
なお、抵抗加熱器による加熱を複数回に分けて行って二層以上の蛍光体層を形成することもできる。また、蒸着終了後に蒸着膜を熱処理(アニール処理)してもよい。熱処理は、一般には100℃乃至300℃の温度で0.5乃至3時間かけて行い、好ましくは150℃乃至250℃の温度で0.5乃至2時間かけて行う。熱処理雰囲気としては、不活性ガス雰囲気、もしくは少量の酸素ガス又は水素ガスを含む不活性ガス雰囲気が用いられる。
上記蛍光体からなる蒸着膜を形成するに先立って、蛍光体母体化合物のみからなる蒸着膜を形成してもよい。この母体化合物の蒸着膜は、一般に柱状結晶構造または球状結晶の凝集体からなり、この上に形成される蛍光体蒸着膜の柱状結晶性をより一層良好にすることができる。同時に、母体化合物の蒸着膜は光反射層としても機能して蛍光体層表面から取り出される発光量を増加させることができる。さらに、母体化合物の蒸着膜の相対密度が80乃至98%の範囲にある場合には、応力緩和層としても機能して支持体と蛍光体層との接着性を高めることができる。なお、蒸着時の基板加熱および/または蒸着後の熱処理によっては、蛍光体蒸着膜中の付活剤など添加物が母体化合物蒸着膜中に拡散するために両者の境界は必ずしも明確ではないこともある。
一元蒸着の場合には、蒸発源として蛍光体自体または蛍光体原料混合物を用いてこれを単一の抵抗加熱器で加熱する。蒸発源は予め、所望の濃度の付活剤を含有するように調製する。もしくは、蛍光体母体成分と付活剤成分との蒸気圧差を考慮して、蒸発源に蛍光体の母体成分を補給しながら蒸着を行うことも可能である。
このようにして、蓄積性蛍光体の柱状結晶がほぼ厚み方向に成長した蛍光体層が得られる。蛍光体層は、結合剤を含有せず、蛍光体のみからなり、蛍光体の柱状結晶と柱状結晶の間には空隙が存在する。
放射線像変換パネルから発せられる発光光の発光幅dは一般に、蓄積性蛍光体層の層厚が薄いほど狭く、また密度が低いほど狭い。発光幅の狭い蛍光体層の形成は、例えば蒸着の際に基板温度を低くする、装置内の真空度を低くする(ガス圧を高くする)、蒸発源と基板との距離を小さくすることなどにより実施することができる。蛍光体層の層厚は、目的とする放射線像変換パネルの特性、蒸着法の実施手段や条件などによっても異なるが、好ましくは130μm〜800μmの範囲にある。蓄積性蛍光体層の充填率は80乃至90%の範囲にあることが好ましく、また密度は3.6乃至4.0g/cm3の範囲にあることが好ましい。
本発明に用いられる気相堆積法は、上記の抵抗加熱方式による蒸着法に限定されるものではなく、電子線照射方式による蒸着法、スパッタ法、CVD法など公知の各種の方法を利用することができる。
なお、基板は必ずしも放射線像変換パネルの支持体を兼ねる必要はなく、蛍光体層形成後、蛍光体層を基板から引き剥がし、別に用意した支持体上に接着剤を用いるなどして接合して、支持体上に蛍光体層を設ける方法を利用してもよい。あるいは、蛍光体層に支持体(基板)が付設されていなくてもよい。
蛍光体層の表面には、放射線像変換パネルの搬送および取扱い上の便宜や特性変化の回避のために、保護層を設けることが望ましい。保護層は、励起光の入射や発光光の出射に殆ど影響を与えないように、透明であることが望ましく、また外部から与えられる物理的衝撃や化学的影響から放射線像変換パネルを充分に保護することができるように、化学的に安定で防湿性が高く、かつ高い物理的強度を持つことが望ましい。
保護層としては、セルロース誘導体、ポリメチルメタクリレート、有機溶媒可溶性フッ素系樹脂などのような透明な有機高分子物質を適当な溶媒に溶解して調製した溶液を蛍光体層の上に塗布することで形成されたもの、あるいはポリエチレンテレフタレートなどの有機高分子フィルムや透明なガラス板などの保護層形成用シートを別に形成して蛍光体層の表面に適当な接着剤を用いて設けたもの、あるいは無機化合物を蒸着などによって蛍光体層上に成膜したものなどが用いられる。また、保護層中には酸化マグネシウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、アルミナ等の光散乱性微粒子、パーフルオロオレフィン樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末等の滑り剤、およびポリイソシアネート等の架橋剤など各種の添加剤が分散含有されていてもよい。保護層の層厚は一般に、高分子物質からなる場合には約0.1〜20μmの範囲にあり、ガラス等の無機化合物からなる場合には100〜1000μmの範囲にある。
保護層の表面にはさらに、保護層の耐汚染性を高めるためにフッ素樹脂塗布層を設けてもよい。フッ素樹脂塗布層は、フッ素樹脂を有機溶媒に溶解(または分散)させて調製したフッ素樹脂溶液を保護層の表面に塗布し、乾燥することにより形成することができる。フッ素樹脂は単独で使用してもよいが、通常はフッ素樹脂と膜形成性の高い樹脂との混合物として使用する。また、ポリシロキサン骨格を持つオリゴマーあるいはパーフルオロアルキル基を持つオリゴマーを併用することもできる。フッ素樹脂塗布層には、干渉むらを低減させて更に放射線画像の画質を向上させるために、微粒子フィラーを充填することもできる。フッ素樹脂塗布層の層厚は通常は0.5μm乃至20μmの範囲にある。フッ素樹脂塗布層の形成に際しては、架橋剤、硬膜剤、黄変防止剤などのような添加成分を用いることができる。特に架橋剤の添加は、フッ素樹脂塗布層の耐久性の向上に有利である。
上述のようにして本発明の放射線像変換パネルが得られるが、本発明のパネルの構成は、公知の各種のバリエーションを含むものであってもよい。例えば、画像の鮮鋭度を向上させることを目的として、上記の少なくともいずれかの層を励起光を吸収し発光光は吸収しないような着色剤によって着色してもよい。
次に、本発明の放射線画像情報読取方法について、図面を参照しながら説明する。
図5は、本発明の方法に用いられる放射線画像情報読取装置の例を示す構成図であり、図6は、図5のI−I線に沿った断面図であり、そして図7は、ラインセンサ28の詳細を示す図である。
図5及び図6において、放射線像変換パネル20は、支持体と気相堆積法によりその上に形成された蓄積性蛍光体層とからなり、変換パネルから発せられる発光光の発光幅dが150〜395μmの範囲にあり、そして被検体を透過したX線等の放射線が照射されるなどして被検体の放射線画像情報が蓄積記録されている。走査ベルト40上に蓄積性蛍光体層側を上にして載置された放射線像変換パネル20は、走査ベルト40が矢印Y方向に移動することにより矢印Y方向に搬送される。従って、変換パネル20の搬送速度はベルト40の移動速度に等しく、ベルト40の移動速度は画像情報読取手段30に入力される。あるいは、ベルト40の移動速度は予め決められていて、画像情報読取手段30に記録されている。
一方、ブロードエリアレーザ(以下、BLDという)21から、放射線像変換パネル20の表面に対して略平行に線状に発せられた励起光Lは、その光路上に設けられたシリンドリカルレンズ22により集光され、変換パネル20に対して45度の角度で傾けて配置された、励起光を反射し発光光を透過するように設定されてなるダイクロイックミラー24により反射されて、変換パネル20表面に対して垂直に入射する方向に進行し、屈折率分布形レンズアレイ(多数の屈折率分布形レンズが配列されてなるレンズであり、以下、第一のセルフォックレンズアレイという)25により、変換パネル20上に矢印X方向に沿って延びる線状に集光される。励起光Lの変換パネル20上におけるビーム幅は、一般に10〜200μmの範囲にある。また、変換パネル20上の励起光Lにより照射された部分の長さは、変換パネル20の一辺よりも長いかまたは同等であることが望ましい。
変換パネル20に垂直に入射した線状の励起光Lの励起により、変換パネル20の集光域およびその近傍から、蓄積記録されている放射線画像情報に応じた強度の発光光Mが発せられる。この発光光Mは、第一のセルフォックレンズアレイ25により平行光束とされ、ダイクロイックミラー24を透過し、第二のセルフォックレンズアレイ26により、励起光Lの集光域の真上に配置されたラインセンサ28を構成する各光電変換素子29の受光面に集光される。すなわち、変換パネル20上の像は1対1の大きさで素子29の受光面に結像する。
ラインセンサ28は、図7に示すように、矢印X方向に沿って多数(例えば1000個以上)の光電変換素子29が直線状に配列された構成を有する。光電変換素子29としては具体的には、アモルファスシリコンセンサ、CCDセンサ、バックイルミネータ付きのCCD、MOSイメージセンサ等を用いることができ、各素子が一画素に対応している。各素子は例えば、200μm×200μm程度の大きさの受光面を有している。
本発明においては、画質の点から、ラインセンサの一画素の矢印X方向(主走査方向)におけるサイズD(μm)は、25≦D≦400であって、かつ前記発光幅dに対して0.5≦d/D≦4を満足する。図7に示したラインセンサ28では、各光電変換素子29の受光面の矢印X方向の大きさが画素サイズDに相当し、上記の関係式を満足する。なお、一画素(すなわち、各素子29の受光面)の矢印Y方向(副走査方向)におけるサイズ(μm)も同様であることが好ましい。
ラインセンサ28を励起光Lの集光域の真上に配置することにより、ほぼ垂直方向に出射する発光光Mを効率良く集光することができる。光電変換素子29は受光面積が小さいので、とりわけ集光効率の向上が著しい。
なおこの際、第二のセルフォックレンズアレイ26を透過した発光光Mに僅かに混在する、変換パネル20表面で反射した励起光Lは、励起光をカットし発光光を透過する励起光カットフィルタ27によりカットされる。
各光電変換素子29により受光された発光光Mは光電変換され、そして光電変換して得られた各信号Sは、画像情報読取手段30に入力される。画像情報読取手段20にて各信号Sは、走査ベルト40の移動速度に基づき、変換パネル20の部位に対応して演算処理され、画像データとして画像処理装置(図示なし)に出力される。
なお、本発明に用いる放射線画像情報読取装置は、図5〜図7に示した態様に限定されるものではなく、光源、光源と放射線像変換パネルとの間の集光光学系、放射線像変換パネルとラインセンサとの間の光学系、およびラインセンサはそれぞれ、公知の種々の構成を採用することができる。
ラインセンサは、矢印Y方向に光電変換素子が一列だけ配列されたもののみならず、複数列で配列されたものであってもよい。そして、各素子の受光面の大きさ、および所望とする画素サイズに応じて、複数個の素子が一画素に対応していてもよい。
ライン光源は、光源自体がライン状であってもよく、蛍光灯、冷陰極蛍光灯、LED(発光ダイオード)アレイなども用いることができる。ライン光源から発せられる励起光は、連続的に出射するものであってもよいし、あるいは出射と停止を繰り返すパルス光であってもよい。ノイズ低減の観点からは、高出力のパルス光であることが好ましい。
放射線像変換パネルを移動させる方向は、ライン光源およびラインセンサの長さ方向に略直交する方向であることが望ましいが、例えば放射線像変換パネルの略全面にわたって均一に励起光を照射することができる範囲内で、長さ方向から外れた斜め方向やジグザグ状に方向を変化させて移動させてもよい。
また、上記態様では励起光Lの光路と発光光Mの光路とが一部分重複するような構成として、装置のコンパクト化を図ったが、励起光Lの光路と発光光Mの光路が全く異なる構成を採用してもよい。
さらに、上記態様では放射線像変換パネルを移動させて読み取りを行なう構成であったが、変換パネルを静置してライン光源とラインセンサを変換パネル表面に沿って移動させる構成を採用してもよい。また、変換パネルの支持体が光透過性である場合には、ラインセンサを変換パネルの表面のみならず変換パネルの裏面にも配置して、変換パネルの表裏両面から発光光を検出することもできる。あるいは、変換パネルの裏面からのみ発光光を検出してもよい。
あるいはまた、画像情報読取手段から出力された画像データ信号に対して種々の信号処理を施す画像処理装置を更に備えた構成や、読み取り終了後の変換パネルになお残存する放射線エネルギーを適切に放出させるための消去手段を更に備えた構成を採用することもできる。
[実施例1]
(1)蒸発源
蒸発源として、純度4N以上の臭化セシウム(CsBr)粉末、及び純度3N以上の臭化ユーロピウム(EuBrm、m≒2.2)粉末を用意した。各粉末中の微量元素をICP−MS法(誘導結合高周波プラズマ分光分析−質量分析法)により分析した結果、CsBr中のCs以外のアルカリ金属(Li、Na、K、Rb)は各々10ppm以下であり、アルカリ土類金属(Mg、Ca、Sr、Ba)など他の元素は2ppm以下であった。また、EuBrm中のEu以外の希土類元素は各々20ppm以下であり、他の元素は10ppm以下であった。これらの粉末は、吸湿性が高いので露点−20℃以下の乾燥雰囲気を保ったデシケータ内で保管し、使用直前に取り出すようにした。
(2)蛍光体層の形成
支持体として、順にアルカリ洗浄、純水洗浄、およびIPA(イソプロピルアルコール)洗浄を施した合成石英基板を用意し、蒸着装置内の基板ホルダーに設置した。上記CsBr蒸発源およびEuBrm蒸発源を装置内の坩堝容器に充填した後、装置内を排気して1×10-3Paの真空度とした。このとき、真空排気装置としてロータリーポンプ、メカニカルブースターおよびターボ分子ポンプの組合せを用いた。その後、装置内にArガス(純度5N)を導入して、Arガス圧を0.8Paにした。各蒸発源と基板の間の距離は200mmであった。基板の蒸着とは反対側に位置したシーズヒータで、基板を100℃に加熱した。蒸発源それぞれを抵抗加熱器で加熱して、基板の表面にCsBr:Eu輝尽性蛍光体を10μm/分の速度で15分間蒸着(堆積)させた。その際、加熱器の抵抗電流を調整して、輝尽性蛍光体におけるEu/Csモル濃度比が0.003/1となるように制御した。CsBrの蒸着開始とEuBrの蒸着開始は、坩堝のシャッタの開閉によって制御した。終了後、装置内を大気圧に戻し、装置から基板を取り出した。基板上には、蛍光体の柱状結晶がほぼ垂直方向に密に林立した構造の蓄積性蛍光体層(層厚:200μm、面積10cm×10cm)が形成されていた。このようにして、共蒸着により支持体と蓄積性蛍光体層とからなる本発明の放射線像変換パネルを製造した。
[実施例2〜7]
実施例1の(2)蛍光体層の形成において、表1に示すように蒸着時間を変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例1の放射線像変換パネルとは蓄積性蛍光体層の層厚が異なる各種の放射線像変換パネルを製造した。
[実施例8]
実施例1の(2)蛍光体層の形成において、Arガスの分圧を0.5Paに、基板温度を30℃に、そして蒸着時間を45分間に変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例1の放射線像変換パネルとは蓄積性蛍光体層の層厚が異なる放射線像変換パネルを製造した。
[実施例9]
実施例1の(2)蛍光体層の形成において、Arガスの分圧を0.5Paに、基板温度を60℃に、そして蒸着時間を60分間に変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例1の放射線像変換パネルとは蓄積性蛍光体層の層厚と密度とが異なる放射線像変換パネルを製造した。
[実施例10]
実施例1の(2)蛍光体層の形成において、Arガスの分圧を1Paに、基板温度を60℃に、そして蒸着時間を50分間に変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例1の放射線像変換パネルとは蓄積性蛍光体層の層厚と密度とが異なる放射線像変換パネルを製造した。
[比較例1、2]
実施例1の(2)蛍光体層の形成において、蒸着時間を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例1の放射線像変換パネルとは蓄積性蛍光体層の層厚が異なる放射線像変換パネルを製造した。
[比較例3]
実施例1の(2)蛍光体層の形成において、Arガスの分圧を0.5Paにしたこと、および蒸着時間を30分間に変えたこと以外は実施例1と同様にして、実施例1の放射線像変換パネルとは層厚と密度とが異なる放射線像変換パネルを製造した。
[比較例4]
実施例1の(2)蛍光体層の形成において、Arガスの分圧を1×10-3Paにしたこと、そして蒸着時間を50分間に変えたこと以外は実施例1と同様にして、実施例1の放射線像変換パネルとは蓄積性蛍光体層の層厚と密度とが異なる放射線像変換パネルを製造した。
[比較例5]
実施例1の(2)蛍光体層の形成において、Arガスの分圧を2Paに変更し、基板温度を30℃に変更し、そして蒸着時間を60分間に変えたこと以外は実施例1と同様にして、実施例1の放射線像変換パネルとは蓄積性蛍光体層の層厚と密度とが異なる放射線像変換パネルを製造した。
[放射線像変換パネルの性能評価]
得られた各放射線像変換パネルについて、蓄積性蛍光体層の密度と充填率を測定し、また変換パネルの発光幅dを前述したようにして求めた。感度および鮮鋭度の評価を以下のようにして行った。
(1)感度
放射線像変換パネルを室内光を遮蔽可能なカセッテに収納し、これに管電圧80kVp、管電流16mAのX線を照射した。次いで、パネルをカセッテから取り出した後、図5〜図7に示した読取装置(励起光:ブロードエリアレーザ光(波長:660nm)、ビーム幅(励起半値幅):50μm、CCDの受光面の大きさ=画素サイズD:約200μm)を用いて、変換パネルから放出される輝尽発光光を検出し、その発光量(相対値)により感度を評価した。
(2)鮮鋭度(MTF)
放射線像変換パネルにCTFチャートを介して上記X線を照射した後、上記と同様にして画像データを得、得られた画像データを画像再生装置により画像フィルムとして出力し、この出力フィルムから空間周波数毎の強度を測定し、空間周波数1c/mmにおける変調伝達関数MTFを算出した。
得られた結果をまとめて表1に示す。
Figure 2005099780
表1の結果から、発光幅dが150〜395μm(特に150〜380μm)の範囲にある本発明の放射線像変換パネル(実施例1〜8)は、発光幅が広い放射線像変換パネル(比較例4)に比べて、顕著に高感度であり、そして高鮮鋭度の画像を与えることが明らかである。また、発光幅が150μm未満の狭い放射線像変換パネル(比較例1、2)や、逆に発光幅が500μmと広い放射線像変換パネル(比較例3、5)と比較して、本発明の放射線像変換パネルは高い感度を示すのみならず、鮮鋭度の高い画像を与えることが分る。
本発明の放射線像変換パネルの発光プロファイルの例を示すグラフである。 発光幅dを決定するための発光光の検出手段を示す概略断面図である。 放射線像変換パネルの発光幅dと輝尽発光量との関係を示すグラフである。 放射線像変換パネルの発光幅dとMTFとの関係を示すグラフである。 本発明の方法に用いられる放射線画像情報読取装置の例を示す構成図である。 図5に示した放射線画像情報読取装置のI−I線に沿った断面図である。 ラインセンサ28の詳細を示す図である。
符号の説明
a 法線
b 角度
d 放射線像変換パネルの発光幅
J レーザ光
K 発光光
10 放射線像変換パネル
11 セルフォックレンズアレイ
12 励起光のみカットする光学フィルタ
13 二次元CCDセンサアレイ
20 放射線像変換パネル
21 ブロードエリアレーザ(BLD)
22 シリンドリカルレンズ
24 ダイクロイックミラー
25、26 セルフォックレンズアレイ
27 励起光カットフィルタ
28 ラインセンサ
29 光電変換素子
30 画像情報読取手段
40 走査ベルト
L 励起光
M 発光光
S 信号

Claims (9)

  1. 気相堆積法により形成された蓄積性蛍光体層を有する放射線像変換パネルであって、該放射線像変換パネルの蓄積性蛍光体層に放射線を照射したのち、励起半値幅50μmの励起光で励起したときに、該放射線像変換パネルの蓄積性蛍光体層から発せられる発光光の発光幅dが150乃至395μmの範囲にあることを特徴とする放射線像変換パネル。
  2. 上記発光光の発光幅dが290〜380μmの範囲にある請求項1に記載の放射線像変換パネル。
  3. 上記蓄積性蛍光体層の充填率が80乃至90%の範囲にあり、かつ層厚が130乃至800μmの間にある請求項1もしくは2に記載の放射線像変換パネル。
  4. 蓄積性蛍光体が、基本組成式(I):

    IX・aMIIX’2・bMIIIX”3:zA ‥‥(I)

    [ただし、MIはLi、Na、K、Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属を表し;MIIはBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、Cu、Zn及びCdからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属又は二価金属を表し;MIIIはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga及びInからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素又は三価金属を表し;X、X’及びX”はそれぞれ、F、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンを表し;AはY、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Cu、Ag、Tl及びBiからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素又は金属を表し;そしてa、b及びzはそれぞれ、0≦a<0.5、0≦b<0.5、0<z<1.0の範囲内の数値を表す]
    を有するアルカリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体である請求項1に記載の放射線像変換パネル。
  5. 基本組成式(I)においてMIがCsであり、XがBrであり、AがEuであり、そしてzが1×10-4≦z≦0.1の範囲内の数値である請求項4に記載の放射線像変換パネル。
  6. 上記蓄積性蛍光体層の密度が3.6乃至4.0g/cm3の範囲にあり、かつ層厚が130乃至800μmの間にある請求項5に記載の放射線像変換パネル。
  7. 放射線画像が記録蓄積された請求項1乃至6のいずれかの項に記載の放射線像変換パネル、該変換パネルに線状の励起光を照射する励起手段、及び該放射線像変換パネルの表面及び/又は裏面の近傍に配置された、正立等倍光学系を備え、パネル照射部分からの発光光を受光して光電変換を行う画素に分割され、該照射部分の直線パターン方向の画素サイズD(μm)が25≦D≦400かつ0.5≦d/D≦4を満足する光検出手段を用意し、該励起手段と光検出手段とを、該変換パネルの平面方向に該変換パネルに対して相対的に移動させながら、該変換パネルの表面に励起光を、該移動方向と異なる方向に延びる線状に照射し、該変換パネルの励起光照射部分及び/又は照射部分の裏面から発せられる発光光を、正立等倍光学系を通して該光検出手段で受光して光電変換により電気信号を出力させ、そして該電気信号と、該変換パネルと光検出手段との間の相対的な移動を示す信号とから、放射線画像を電気的画像信号として得ることからなる放射線画像読取方法。
  8. 光検出手段が、複数の光電変換素子を直線状に配列してなるラインセンサである請求項7に記載の放射線画像情報読取方法。
  9. 光検出手段の各画素のそれぞれが一個の光電変換素子から構成される請求項8に記載の放射線画像情報読取方法。
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