JP2005099701A - 画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ - Google Patents

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Abstract

【目的】 感光体の繰り返し使用での帯電ハザードを考慮し、帯電均一性を確保しつつ、感光体の摩耗量低減を抑えることが出来、繰り返し使用しても安定な画像形成を行うことの出来る画像形成装置を提供することにある。
【構成】 少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体を具備してなる電子写真装置において、該帯電手段に用いられる帯電部材が感光体に接触するローラー形状の帯電部材であり、帯電部材と感光体との間に形成される帯電ニップにおける帯電時に感光体に衝突する荷電粒子の有するエネルギー総和量が、1.2×10-4≦荷電粒子の有するエネルギー総和量/感光体周長(J/m2・mm)≦2.5×10-4を満足する条件下で、帯電部材に直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加することにより感光体に帯電を施すことを特徴とする画像形成装置である。
【選択図】 図10

Description

本発明は、ローラー形状の接触方式帯電部材に直流電圧に交流電圧を重畳し、感光体に帯電を施し画像形成を行う画像形成装置に関する。詳しくは、感光体の高画質化と高耐久化を考慮し、繰り返し使用においても安定な画像を出力することの出来る画像形成装置に関する。具体的には、交流重畳の帯電による画質の高品質化ならびに安定化と、感光体への帯電ハザード低減を両立させた画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジに関する。
画像形成装置は、感光体の周りに少なくとも帯電部材、露光部材(書き込み部材)、現像部材、転写部材が配置された構成から成り、その他に転写紙に転写されたトナーを定着する定着装置からなる。この他に、未転写の感光体表面に残留するトナーをクリーニングするクリーニング部材、感光体未露光部の残留電荷をうち消すための除電部材が用いられることもある。
このような画像形成装置の帯電部材には、ワイヤー形状の帯電チャージャー、ブレード形状の帯電ブレード、ブラシ形状の帯電ブラシ、ローラー形状の帯電ローラー等が用いられている。このうち、コロトロン、スコロトロン方式の帯電チャージャーは簡便的な装置であり、特にスコロトロン方式を用いた帯電チャージャーは、有機感光体の帯電極性である負極性でも、帯電が安定するため過去に数多くの装置で使用されてきた。しかしながら、帯電に伴い副生する酸性ガス(オゾンガスやNOxガス)が、画像形成装置の使用環境を悪化したり、画像形成装置内に搭載される有機感光体を化学的に劣化させたりすることから、画像形成装置からの排気や感光体周りの気流設計を必要とし、一部の高速機や大口径の感光体を使用する装置以外での使用は少なくなってきた。また、チャージャーの使用は感光体表面との距離が大きく(およそ数mm離れている)、使用する電源も大きな出力のものが必要となる。このため、装置が高価になったり、装置の大型化にも結びつき、これが帯電チャージャーを敬遠する一つの要因でもある。
このような点に対し、感光体と帯電部材が接触し、感光体に帯電を施す接触帯電部材(帯電ブレード、帯電ブラシ、帯電ローラー)は、前記酸性ガスの発生も少なく、またこれらに用いられる電源の容量も小さくて済むことから、小型機を中心として、帯電部材の中核を占めるようになってきた。中でも、ローラー形状の帯電ローラーは感光体と当接させ、連れ周り方向(場合により逆回り)に回転させるだけで位置制御することが可能であり、またローラーを回転させて使用できるため帯電ブレード等と比較して表面積が稼げることから、実質的に耐久性を高めることが出来る。このため、現在の画像形成装置に用いられる帯電部材のうち、過半数はこの帯電ローラーで占める。
このような接触型の帯電部材は、感光体と帯電部材が接触した状態で配置されるが、帯電の本質は帯電部材から感光体への放電現象である。帯電部材及び感光体表面の抵抗が著しく小さい場合には、接触領域での電荷注入も起こりえるが、感光体表面の抵抗が小さい場合には、繰り返し使用における像流れの問題等を生じるため、使用する制約が大きく、制御が極めて難しい。このため、通常は感光体の抵抗を大きなもの(少なくとも1010Ω.cm以上)とし、感光体表面での電荷の水平方向への移動(拡散)を避けるものである。このような設計の画像形成装置(帯電方式)では、帯電ローラーと感光体の接触部分ではなく、接触しておらず、かつ100μm以内程度の微小ギャップにおいて放電現象が起こり、結果として感光体に帯電を施すものである。
このような微小ギャップにおける帯電は、通常の感光体膜厚範囲ではパッシェンの放電特性に従い行われる。このため直流成分のみによる帯電(以下、DC帯電と呼ぶことがある)では、ローラーに印加バイアスとして電圧を印加しても0Vからは感光体表面電位は立ち上がらず、放電開始電圧より高い電圧を印加した場合に感光体に帯電が施される。放電開始電圧より高い電圧印加では、印加電圧に対してほぼ傾き1の直線関係で感光体の表面電位が得られる。しかしながら、このような直流成分のみによる帯電では、公知の現像方式を用いて現像を行った場合に、斑点状のムラや帯状のムラ、即ち帯電ムラが認められることがある。
このような欠点に対して、例えば特許文献1では、DC帯電における放電開始電圧の2倍以上のピーク間電圧を有する交流電圧を重畳印加し、このムラを防ぐ旨の記載がある。このような交流電圧の重畳した帯電(以下、AC帯電と呼ぶことがある)は、DC帯電に比べ、感光体への帯電均一性が向上するものであるが、画像形成装置の実使用状態において感光体の摩耗量が大きいという問題があり、感光体の耐久性を低下させ、画像形成装置の信頼性を低下させるものであった。
このように感光体への帯電均一性と、感光体の長寿命化にはトレード・オフの関係が成立し、画像形成装置より出力される画像の高画質化と画像形成装置の高耐久化・高安定化との両立を難しくしていた。
一方、帯電ローラーは位置制御を簡便にするため、通常は感光体と接触させて使用するが、感光体に転写残トナーが存在し、更にクリーニング残トナーが存在する場合には、これが帯電ローラー表面に転写されローラーが汚れてしまい、その結果、帯電不良が起こるという欠点を有している。また、帯電ローラーがトナーにより汚れると、ローラー表面のひび割れ等が発生し、帯電ローラーの寿命が低下する場合がある。
AC帯電を用いた帯電部材による帯電均一性の確保に関しては、AC帯電条件であるピーク間電圧(以下、Vppと呼ぶことがある)、周波数、DC成分のオフセット電圧(以下、Vdcと呼ぶことがある)等をそれぞれ独立に制御することで行われる。
例えば、特許文献1〜3には、帯電時に直流成分に帯電開始電圧の2倍以上のVppを重畳し、感光体の帯電を安定させる旨の記載がある。
また、特許文献4及び5には、感光体の線速に応じた周波数を印加することにより、帯電安定化(均一化)させる旨の記載がある。
このように、AC帯電に関しては、感光体への帯電均一性に注目され、感光体への帯電ハザードを考慮した技術は殆ど無い。
唯一、特許文献6には、Vppを制御することにより、放電電流を制御し、画像流れや感光体の摩耗を低減する旨の記載がある。しかしながら、周波数が小さい場合や線速が非常に早い場合などの個別AC条件が振れた場合に、電流の測定が難しいことも含め、完全に制御することは出来なかった。
以上のことから、感光体への帯電均一性を確保し、感光体への帯電ハザード低減を加味した帯電条件の設定方法と、これを用い、繰り返し使用においても安定して高画質な画像が得られる画像形成装置の開発が望まれていた。
また、ローラー形状の帯電部材と感光体間の帯電状態を解析する技術が、特許文献7に開示されている。この技術は、帯電部材と感光体の形状、物性値、またプロセス条件(帯電ローラーへの印加バイアス、感光体線速)などを考慮し、帯電現象をシミュレーションすることで、帯電部材や感光体を実際に試作し、帯電実験を行わずとも、感光体への帯電状態(帯電電位など)を計算により求めるものである。
しかしながら、この技術も先に示した公知技術と同様に、初期状態(未使用状態)の感光体の均一帯電性を議論するために開発された技術であり、感光体の画像形成装置における繰り返し使用における劣化に関して考慮されたものではない。
この点から、感光体の繰り返し使用を含めた感光体へのハザードをシミュレーションする技術、また帯電ハザードを低減化する技術、更には帯電均一性とのトレード・オフを解消する技術が望まれていた。
特開平5−27556号公報 特開2001−109235号公報 特開2001−109238号公報 特開平5−150564号公報 特開2002−55512号公報 特開2002−214888号公報 特開2001−33502号公報 特開昭52−36016号公報 特開平3−109406号公報 特開2000−206723号公報 特開2001−34001号公報 特開平5−94049号公報(図1) 特開平5−113688号公報(図1)
帯電ローラーによる感光体への帯電において、感光体への帯電均一性は最も重要な特性項目の1つである。これを制御するためには、帯電ローラー側の因子としては、帯電ローラーの構成(例えば、帯電ローラーの層厚、層の材料等)、ローラー径、ローラーに印加するバイアス(Vpp、周波数、Vdc)等が関係する。一方、感光体側では感光体のプロセススピード(線速)、感光体径、層厚、層の抵抗、層の誘電率等が挙げられる。
このような因子を独立に制御し、帯電ローラーや感光体を試作して、実際の画像形成装置もしくは帯電実験用の単体機に搭載して、感光体への帯電電荷量や表面電位を調べる必要がある。更に、上述のように感光体への悪影響(摩耗量の増大)を調べるためには、帯電に関する初期特性の試験の他に、経時変化を含めたランニングテストが必要となる。このために、画像形成装置にマッチした帯電部材(帯電条件)を開発するために、膨大な時間と手間を要するものであった。
本発明の目的は、感光体の繰り返し使用での帯電ハザードを考慮し、帯電均一性を確保しつつ、感光体の摩耗量低減を抑えることが出来、繰り返し使用しても安定な画像形成を行うことの出来る画像形成装置を提供することにある。
画像形成装置において、ローラー形状の帯電部材により感光体へ帯電を施す場合、AC重畳により帯電の均一性が向上する。この際、DC帯電に比べ、繰り返し使用により感光体の摩耗が大きいことは知られている。しかしながら、この主たる原因については、分かっていなかった。
そこで本発明者らは、AC帯電の条件因子(Vpp、周波数、Vdc等)の影響を調べるため、帯電部材と感光体を固定して、AC帯電の条件を独立に変化させた場合の感光体摩耗量に与える影響を調べた。結果を図1〜図3に示す。影響の大小の差はあるが、いずれの因子を独立に変更しても摩耗量が変化してしまうことが分かった。
このことは、帯電均一安定化のために、AC帯電条件を独立に変化させていた過去の技術では、各々の因子を変えることで感光体の摩耗量を変化させてしまっていたことを示している。これでは、画像形成装置のシステムとしての耐久性がコントロールできず、これらを独立あるいは同時に変化させても、感光体の摩耗量が制御できるようなコントロール方法が必要であることが理解される。
次に、本発明者らはDC帯電に対して、AC帯電により感光体の摩耗量が大きくなる事実について、そのメカニズムを検討した。
画像形成装置における感光体の摩耗は、クリーニング部材による機械的ストレスが主たる要因であることが分かっている。このストレスに対しては、感光体の表面層(電荷輸送層や表面保護層)の構成を工夫することにより対策が講じられている。例えば、バインダー樹脂を高分子量化して主鎖の絡み合いを大きくする、架橋型ポリマーを使用して分子鎖の欠落を少なくする、高分子電荷輸送物質を用いることで低分子成分を極力少なくする、フィラーなどを使用して機械的強度を大きくする等である。しかしながら、これらはあくまでも表面層に使用される材料が、繰り返し使用によってもその構造・組成などを変えないという前提の基に設計がなされているものである。
そこで本発明者らは、AC帯電における感光体表面層の劣化に関して化学的な分析を行った。その結果、感光体の初期状態(使用前)と比較して、帯電ハザードを印加した後の感光体は、表面が化学的に劣化している事実を突き止めた。即ち、(i)表面層に用いられているバインダー樹脂の分子量が低下していること、(ii)分子鎖が切断され、有機カルボン酸が生成されていること、(iii)これら化学的劣化度合いがDC帯電時に比べAC帯電時には大きいこと、(iv)劣化度合いはAC帯電条件によっても変化すること、等である。
これらの事実から、AC帯電使用時の感光体の摩耗量がDC帯電に対して大きくなる理由は、DC帯電時に比べAC帯電時には、上述のような化学的劣化が大きくなり、その結果として機械的強度を著しく低下させていることによるものであることが分かった。
次に、感光体の化学的劣化の影響度合いが、DC帯電とAC帯電において極端に異なる原因について検討した。帯電の機構を考えると、DC帯電はローラーに印加するDC電圧が高く、感光体とのバイアス差により生じる放電現象により、イオン(負イオン、正イオン)を生み出し、これが帯電ローラーと感光体の間に生じた電界に沿って、感光体表面に降り注ぐ(衝突する)。その結果、帯電ローラーに印加する極性と同極性の電位が感光体表面に帯電される。そして、感光体表面電位と帯電ローラーの印加電圧の差が、帯電開始電圧以下になったときに、放電が停止し、感光体の帯電が終了する。従って、基本的にはイオンの流れる方向は一方通行になる。
一方、AC帯電の場合には、感光体に帯電させたい電位に相当する電圧をオフセット成分(Vdc)として印加し、更にAC成分としてのVpp、周波数を重畳することにより、感光体表面に蓄積された電荷を再び放電領域(帯電部材と感光体間の微小空間)に戻し、これを繰り返すことで表面電位をならすことを行っている。従って、DC帯電の場合にはイオンの流れが一方通行であるのに対して、AC帯電の場合には相互通行(最終的には、DCと同じ方向)になり、放電領域で次々と生成されるイオンは、感光体表面に何度も降り注ぐことになる。
このように、DC帯電とAC帯電では、少なくとも帯電ニップ中の放電領域で生成されるイオンの感光体表面への衝突回数が明らかに異なる(AC帯電が、DC帯電の数倍〜数十倍)ことにより、この衝突が感光体への帯電ハザードの差を生みだしていると推測される。
ところで、上述のような感光体へのイオン衝突回数の差が、DC帯電とAC帯電の違いであるという認識は、ここまでの画像形成装置開発の中で存在していたと思われる。しかしながら、本質的にこの衝突回数がどのように変化するかということに関しては、全く触れられてこなかった。帯電均一性の確保という点から、行われてきたAC重畳であるが、過去の検討におけるほとんどの場合において、AC条件の独立的な可変によりその制御を行ってきた。その結果、先の図1〜図3に示すような摩耗量の変動という現象が起こってきた。
本発明者らは更なる検討を重ね、後に示すように、帯電部材と感光体との間に形成される帯電ニップ(両者の微小ギャップにおいて、放電が発生する領域と定義される)において発生し、感光体表面に衝突するイオンの有するエネルギーの総和量(以降、荷電粒子の有するエネルギー総和量と呼ぶ場合がある)に着目した。詳細な説明は次節に譲るが、これを決める因子は非常に多く、帯電部材の種類(径、層厚、抵抗など)、感光体の種類(径、層厚、抵抗、誘電率など)、帯電条件(Vpp、周波数、Vdcなど)、プロセス条件(感光体線速)によって決定される。
従って、過去の検討のように上記因子のうち、単一条件を変更して帯電均一性を議論する検討の範疇では、この衝突イオンの有するエネルギーの総和量に基づく感光体への帯電ハザードを一義的に求めることは出来ない。
上述の説明から、2つの重要なことが理解される。それは、(i)AC重畳は感光体の均一帯電性を決める重要な技術であるが、感光体への帯電ハザードを促進させるものであり、AC条件を変えることは、原理的に感光体への衝突イオンの有するエネルギーの総和量を増減させるものである。しかしながら、イオンの有するエネルギーの総和量を低減することは、同時に表面電位のならし効果を低減させることに繋がり、帯電均一性と帯電ハザード低減は本質的にトレード・オフの関係を生じ、これを回避することは不可能である。(ii)帯電ハザードである衝突イオンの有するエネルギーの総和量は、AC条件により異なるが、これを決定するパラメータは非常に多く、各因子を独立に制御する範疇では、これをコントロールすることは出来ない。従って、パラメータを同時に可変し、これを制御することが、上記トレード・オフの関係をなるべく両立できる最適条件を選定する唯一の手段である。
上記の指針に基づき、本発明者らは、帯電ニップにおけるイオンの有するエネルギーの総和量の最適化を簡便的に求める方法を模索し、次節に述べる帯電解析手段を開発し、これを用いることにより、感光体に衝突するイオンの有するエネルギーの総和量を求め、帯電均一性が悪化しない範囲で出来る限り、感光体の帯電ハザードの小さい範囲を見いだした。これにより、帯電均一性の確保と帯電ハザード低減というトレード・オフの両立を達成できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
又、帯電ローラーや感光体を数多く試作し、これらを組み合わせ、更にプロセス条件(帯電条件を含む)を種々変更してランニング試験を行うことなく、感光体の劣化(摩耗量)を予測できるようになった。
従って、上記課題は、以下の本発明によって解決される。
(1)少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体を具備してなる電子写真装置において、該帯電手段に用いられる帯電部材が感光体に接触するローラー形状の帯電部材であり、該電子写真感光体が、帯電部材と感光体との間に形成される帯電ニップにおける帯電時に感光体に衝突する荷電粒子の有するエネルギー総和量が、下記(1)式を満足する条件下で、帯電部材に直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加することにより帯電を施された感光体であることを特徴とする画像形成装置である。
1.2×10-4≦荷電粒子の有するエネルギー総和量
/感光体周長(J/m2・mm)≦2.5×10-4・・・(1)
ここで、荷電粒子の有するエネルギー総和量とは、感光体のある点が、帯電部材が動作した状態で感光体が1回転する中で帯電ニップを通過する際に、帯電部材から受ける単位面積当たりの荷電粒子の有する衝突エネルギーの積分値を表す。
(2)前記荷電粒子のうち、3×10-19(J)以上の運動エネルギーを有する荷電粒子数が、下記(2)式を満足する条件下で帯電を施すことを特徴とする上記(1)に記載の画像形成装置である。
1.0×10-4≦3×10-19(J)以上のエネルギーを有する
荷電粒子の有するエネルギー総和量/感光体周長(J/m2・mm)
≦2.0×10-4・・・(2)
(3)前記帯電手段に用いられる帯電部材の外径が、感光体の外径の1/2以下であることを特徴とする上記(1)乃至(3)の何れかに記載の画像形成装置である。
(4)前記帯電部材において、少なくとも帯電部材と感光体との間に形成される帯電ニップが覆われる形状のシールドを有し、帯電ニップにおける雰囲気を大気下よりも酸素濃度を低下させることを特徴とする上記(1)乃至(3)の何れかに記載の画像形成装置である。
(5)前記画像形成装置において、シールド内の酸素濃度が10vol%以下であることを特徴とする上記(4)に記載の画像形成装置である。
(6)前記画像形成装置において、シールド内に外部より酸素濃度が10vol%以下のガスを導入して、帯電ニップにおける雰囲気の酸素濃度を10vol%以下にコントロールすることを特徴とする上記(4)又は(5)の何れかに記載の画像形成装置である。
(7)前記画像形成装置において、外部より導入されるガスが、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスより選ばれる1種の不活性ガスであることを特徴とする上記(6)に記載の画像形成装置である。
(8)前記画像形成装置に搭載される感光体の感光層に、高分子電荷輸送物質を含有してなることを特徴とする上記(1)乃至(7)の何れかに記載の画像形成装置である。
(9)前記高分子電荷輸送物質が、トリアリールアミン構造を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボネートであることを特徴とする上記(8)に記載の画像形成装置である。
(10)前記画像形成装置に搭載される感光体が、感光層上に保護層を設けてなることを特徴とする上記(1)乃至(9)の何れかに記載の画像形成装置である。
(11)前記保護層に比抵抗1010Ω・cm以上の無機顔料又は金属酸化物を含有することを特徴とする上記(10)に記載の画像形成装置である。
(12)前記金属酸化物が、比抵抗1010Ω・cm以上のアルミナ、酸化チタン、シリカのいずれかであることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置である。
(13)前記金属酸化物が、比抵抗1010Ω・cm以上のα−アルミナであることを特徴とする上記(12)に記載の画像形成装置である。
(14)前記保護層に高分子電荷輸送物質を含有することを特徴とする上記(10)乃至(13)の何れかに記載の画像形成装置である。
(15)前記保護層のバインダー樹脂が、架橋構造を有することを特徴とする上記(10)乃至(13)の何れかに記載の画像形成装置である。
(16)前記架橋構造を有するバインダー樹脂の構造中に、電荷輸送部位を有することを特徴とする上記(15)に記載の画像形成装置である。
(17)前記電子写真感光体に含有される電荷発生物質が、下記(XI)式で表されるアゾ顔料であることを特徴とする上記(1)乃至(16)の何れかに記載の画像形成装置である。
Figure 2005099701
式中、Cp1,Cp2はカップラー残基を表す。 R201,R202はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基のいずれかを表し、同一でも異なっていても良い。またCp1,Cp2は下記(XII)式で表され、
Figure 2005099701
式中、R203は、水素原子、メチル基、エチル基などのアルキル基、フェニル基などのアリール基を表す。R204,R205,R206,R207,R208はそれぞれ、水素原子、ニトロ基、シアノ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子、トリフルオロメチル基、メチル基、エチル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、水酸基を表し、Zは置換もしくは無置換の芳香族炭素環または置換もしくは無置換の芳香族複素環を構成するのに必要な原子群を表す。
(18)前記アゾ顔料のCp1とCp2が互いに異なるものであることを特徴とする上記(17)に記載の画像形成装置である。
(19)前記電子写真感光体に含有される電荷発生物質が、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンであることを特徴とする上記(1)乃至(16)の何れかに記載の画像形成装置である。
(20)前記チタニルフタロシアニンが、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、かつ26.3゜にピークを有さないことを特徴とする上記(19)に記載の画像形成装置である。
(21)前記電子写真感光体の導電性支持体表面が、陽極酸化皮膜処理されたものであることを特徴とする上記(1)乃至(20)の何れかに記載の画像形成装置である。
(22)少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体からなる画像形成要素を複数配列したことを特徴とする上記(1)乃至(21)の何れかに記載の画像形成装置である。
(23)前記画像形成装置において、感光体と少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、クリーニング手段から選ばれる1つの手段とが一体となった装置本体と着脱自在なカートリッジを搭載していることを特徴とする上記(1)乃至(22)の何れかに記載の画像形成装置である。
(24)感光体と少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、クリーニング手段から選ばれる1つの手段とを有する上記(1)乃至(23)の何れかに記載の画像形成装置に用いられることを特徴とする画像形成用プロセスカートリッジである。
以上の記載から明らかなように、本発明によれば、種々の試作実験を行わなくとも、繰り返し使用における感光体への帯電ハザード量を把握でき、これにより帯電均一性と感光体摩耗量を推定することが出来、画像形成装置における帯電条件の設計が事前に予測可能
になる。また、この技術を用いることにより、直流に交流を重畳した電圧により感光体に帯電を行う画像形成装置において、帯電における帯電ニップでの感光体表面に衝突する荷電粒子数を特定の範囲で使用することにより、帯電均一性と帯電ハザード低減のトレード・オフの関係を両立させることが出来、高画質で、繰り返し使用においても感光体の摩耗量が少なく、安定した画像を形成できる画像形成装置および、画像形成装置用プロセスカートリッジが提供される。
始めに本発明のポイントである帯電ニップにおける荷電粒子数および衝突エネルギー(併せて帯電ハザード量と記載する場合有り)の求め方について述べる。上記帯電ハザード量の算出は、放電電荷量の算出と、荷電粒子エネルギーの算出からなる。以降、計算のステップについて記述する。
(1)放電電荷量の算出
放電電荷量の算出は、下記の通り、3つのステップ(電位分布計算、抵抗と回転による電荷移動の計算、放電による電荷移動の計算)からなる。
(i)電位分布計算
図4に示すように、帯電ローラと感光体のニップ近傍を直交座標上でメッシュ分割し、一般座標に変換した後、ガウスの法則から得られたポアソン方程式を解くことにより、電位分布を得る。
ポアソン方程式は下記(3)〜(5)式で表される。
Figure 2005099701
Figure 2005099701
Figure 2005099701
ここで
Figure 2005099701
は計算テンソル、
Figure 2005099701
は座標変換のヤコビアン、qは体積電荷密度、Φは電位、εは帯電ローラー表面層の誘電率を示している。また、
Figure 2005099701
はxのξによる偏微分、
Figure 2005099701
はyのξによる偏微分を表す。
図4に示すメッシュの作成時に、感光体及び帯電ローラーの径[m]、および感光体(感光層)の膜厚および帯電ローラーの膜厚[m]を考慮して作成する。
(ii)抵抗と回転による電荷移動の計算
メッシュ上の各時刻での電界計算の後に、移流項を加えたオームの法則を計算する。これにより、抵抗による電荷の移動とローラ・感光体の回転による電荷の移動を同時に考慮する。
Figure 2005099701
ここで、Vは感光体(および帯電ローラー)の線速度[m/s]、σは電気伝導度(体積抵抗率の逆数)である。
(iii)放電による電荷移動の計算
放電は電気力線に沿って起こるので、図5に示すように帯電ローラー中心から帯電ローラー上の点Aを通る直線と感光体表面が交わる点Bの間(A−B間)で、放電が起こる。更に、A−B間の電位差VABが、パッシェンの放電開始電圧VPaを超えた場合に放電が発生し、感光体表面にΔqの電荷が移動する(同時に、−Δqの逆電荷がローラー表面に移動する)。
電荷量(Δq):
Figure 2005099701
ここで、VABは、A−B間の電位差[V]、VPaはパッシェンの法則から求まる放電開始電圧[V]、Gは帯電ローラーと感光体間の空隙(m)である。また、Dは下記(8)式で表されるように、帯電ローラーと感光体の厚さを各々の誘電率で割った誘電厚みの和である。
Figure 2005099701
ここで、diは各層(感光体および帯電ローラー)の厚み[m]、ε’i は感光体及び帯電ローラーの比誘電率である。
下記(9)〜(11)式はパッシェンの放電開始電圧を示している。ただしG=4.8μm以下での電荷移動は放電とは異なる機構であるから、前記(5)式に従わず、移動する電荷量は前記(5)式よりも少ない。本解析では4.8μm以下での放電は実質上ないと取り扱う。ただし、4.8μm以下の空隙での電荷移動が前記(7)式に従うと仮定して計算を行っても、同様の傾向を得ることが可能であることは確認済みである。
G>8×10-6[m]のとき
Figure 2005099701
8×10-6[m]≧G≧4.8×10-6[m]のとき
Figure 2005099701
4.8×10-6[m]>Gのとき
Figure 2005099701
上述のような3つのステップを繰り返すことで、感光体上に蓄積される電荷密度q[C/m2]を計算する。感光体帯電電位Vは、単位面積当たりの感光体静電容量C[F/m2]=ε’1×ε0/di、計算領域最左点の表面電荷密度をqL[C/m2]としたとき、V[V]=qL/Cで算出される。
上記の計算において、対象とする荷電粒子(イオン)は下記の通りである。
負イオン: 電子 [ e- ]
正イオン: H+(H2O)n n=4〜8
(2)帯電ハザードの算出
次に、帯電ニップ中の感光体のある点が受ける帯電ハザード量を算出する。算出方法は、以下の4つのステップからなる。
(i)放電電荷数の算出
第1ステップの計算によって、作成されたメッシュの各時刻での帯電ローラーと感光体の各空隙で発生する放電電荷量が得られる。荷電粒子は1価の正イオンおよび電子であるから、各空隙で移動する荷電粒子の単位面積当たりの個数は下式で得られる。
個数(n):
Figure 2005099701
ここで、Δq は放電電荷量[C/m2]、e は素電荷量(1.602×10-19C)である。
(ii)空隙(ギャップ)での放電による荷電粒子の平均速度の算出
正放電(電子が感光体に向かう放電)と、逆放電(正イオンが感光体に向かう放電)の際の、電子及び正イオンの平均速度をそれぞれ下記式より求める。
電子の平均速度(Ve):
Figure 2005099701
正イオンの平均速度(Vp):
Figure 2005099701
ここで、Eは電界強度(V/cm)、μは正イオンの移動度(1.32×10-4[m/s]/[V/m])である。
更に、荷電粒子の平均運動エネルギーを下記式より求める。
電子の運動エネルギー(μe):
Figure 2005099701
正イオンの運動エネルギー(μp):
Figure 2005099701
ここで、m、mはそれぞれ電子、正イオンの質量である。
(iii)感光体のある点が放電領域を通過するときに受けるエネルギーの算出
次に感光体が放電領域を通過する際に、荷電粒子から受け取るエネルギーを算出する。
T=0(sec)で計算領域の上流(図6の右端)にあった感光体上のある点Aに注目する。時間とともにA点は、感光体線速度Vの速度で左に移動する。シミュレーションで各時刻にA点がどのメッシュに存在しているかは容易に算出できる。電界計算を行い、A点が滞在しているメッシュで放電が発生していれば、そこでA点に衝突する荷電粒子の極性、個数、速度、エネルギーを算出する。
ある時刻での空隙での放電による衝突エネルギーは、荷電粒子数×1個の運動エネルギーであり、下記(17)式で表される。
ある時刻での衝突エネルギー(U):
Figure 2005099701
次に衝突正イオン個数ΣNp、衝突負イオン個数ΣNe、ある時刻での全衝突エネルギーΣ(U)をそれぞれ積算する。
ある時刻での全衝突エネルギー(ΣU):
Figure 2005099701
次いで、感光体をV×△Tだけ移動させ、ふたたび電界計算を行いA点での放電の有無を調べる。ここで△Tは計算のタイムステップである。図7のようにA点が計算領域の左端に到達すると計算を終了する。
図8はこのようにして得られた荷電粒子のエネルギー分布である。横軸はlogスケールでプロットしている。
(vi)エネルギー分布の考慮
上述までの計算は、空隙gでの放電で移動する荷電粒子のエネルギーは、全て等しいと仮定している。しかしながら個々の荷電粒子は、現実には 1/e 半径で kt程度の幅をもって分布している。各空隙gでの平均運動エネルギーをUg、荷電粒子数Ngとすると、エネルギーUをもつ荷電粒子の分布は、幅dUの中に下式で与えられる個数存在する。
Figure 2005099701
エネルギーUにおけるΦ(U)dUを、全Ugで積算することで、放電領域全体でのエネルギーUをもつ荷電粒子数N(U)を積算することができる[下記(20)式]。ただし荷電粒子数Ngは図8に示すように平均運動エネルギーUgの関数である。
Figure 2005099701
Figure 2005099701
上式は、U1以上のエネルギーを有する荷電粒子数NU>U1を求める式である。ここでU1は、計算の下限値を示すものであり、最小値は0である。実際にはシミュレーションより得られた粒子の有する最低の運動エネルギーの値をU1として定義するものである。
図9はこのようにして得られた個数分布である。正イオンの個数(Np)、電子の個数(Ne)と荷電粒子の総数(Np+Ne)をプロットしている。
更に、図9より求められる荷電粒子のエネルギー量を積分することで、エネルギーの総和量Utotalを求る[下記(22)式]。
Figure 2005099701
AC条件を独立に可変し、それ以外の条件を固定した時の実機での感光体摩耗量と、上記の計算により得られた荷電粒子のエネルギー総和量(帯電ハザード量)との関係を図10に示す。図から明らかなように、AC条件および帯電部材と感光体の間のギャップ(空隙)を独立に可変した場合、感光体摩耗量が変化するが、これを下記(1)で表される帯電ハザード量として捉えると、変動する因子にかかわらず、帯電ハザード量と膜厚減少量に相関関係が認められることが分かる。
上記の計算は、帯電ローラーの層厚、層の抵抗、層の誘電率、ローラー径、ローラーに印加するバイアス(Vpp、周波数、Vdc)、帯電ローラーと感光体間の空隙、感光体のプロセススピード(線速)、感光体径、層厚、層の抵抗、層の誘電率等の因子を全て考慮したものであるが、荷電粒子の有するエネルギー総和量の定義が「荷電粒子の有するエネルギー総和量とは、感光体のある点が、帯電部材が動作した状態で感光体が1回転する中で帯電ニップを通過する際に、帯電部材から受ける単位面積当たりの荷電粒子の有する衝突エネルギーの積分値を表す」であるため、実際の画像形成装置で用いられる感光体の径(周長)によって、一定枚数の画像出力に対して、感光体単位面積当たりの帯電ハザード量が異なる。
従って、感光体が受ける単位表面積当たりの帯電ハザード量を正確に記せば、下記の通りになる。
1.2×10-4≦荷電粒子の有するエネルギー総和量
/感光体周長(J/m2・mm)≦2.5×10-4・・・(1)
以上のことから、感光体の径を含めた感光体摩耗量と荷電粒子の有するエネルギー総和量との関係は(1)式を用いれば、表せることが分かった。
ところで、図10における荷電粒子は、1つ1つの荷電粒子の有するエネルギーの大きさ(運動エネルギーの大きさ)を考慮せずに、帯電ニップで発生する全個数を考慮した場合の結果である。しかしながら、本発明者らの検討によれば、図10に示したAC帯電条件の範囲では、荷電粒子の有するエネルギー分布はほぼ相似形であった。このため、全エネルギー範囲の荷電粒子の有するエネルギー総和量を求め、それを条件によって相対的に比較することにより、AC条件による感光体への帯電ハザード量を比較することができる。
一方、荷電粒子の衝突が分子鎖を切断することが、帯電ハザードに繋がるのであって、より正確に記述するためには、感光体表面層を構成する分子の結合解離エネルギーとの大小関係を考慮する必要がある。
一般に有機物の結合解離エネルギーは、結合種により異なるが、概ね3×10-19(J)程度である。これは、表面層を構成する分子のC−C結合(単結合)の解離エネルギーに代表される。これは、通常表面層のバインダー樹脂に用いられる高分子の主鎖結合が、この結合に代表されるからである。従って、全荷電粒子のうち、この結合解離エネルギー、3×10-19(J)よりも大きなエネルギーを有する荷電粒子を対象にして、荷電粒子の有するエネルギー総和量を前記(1)式に代入することが、感光体摩耗量と荷電粒子数との関係をより正確に記述することになる。
その場合には、(1)式は下記(2)式に変形される。
1.0×10-4≦3×10-19(J)以上のエネルギーを有する荷電粒子
の有するエネルギー総和量/感光体周長(J/m2・mm)
≦2.0×10-4・・・(2)
初めに図面を用いて本発明の画像形成装置を詳しく説明する。
図11は、本発明の画像形成装置を説明するための概略図であり、下記に示すような変形例も本発明の範疇に属するものである。
図11において、感光体1は導電性支持体上に少なくとも電荷発生物質、電荷輸送物質を含む感光層が設けられてなる。感光体1はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。
帯電ローラー3には接触帯電方式の帯電ローラーが用いられる。接触帯電方式の帯電部材においては、スコロトロン方式の帯電部材と比べて、帯電効率が高くオゾン発生量が少ない、装置の小型化が可能である等のメリットを有する。
ここでいう接触方式の帯電部材とは、感光体表面に帯電部材の表面が接触するタイプのものであり、帯電ローラー、帯電ブレード、帯電ブラシの形状がある。このうち、帯電ローラーが良好に使用される。
また、帯電ローラーの外径を感光体の外径に対して1/2以下にすることは、帯電ニップ幅を狭め、帯電ハザードを低減させる効果を発現できるため、有効に使用できる。しかしながら、外径が細すぎる場合には、帯電ローラの耐久性が極端に短くなる場合が存在するため、感光体の外径に対して1/10以上、好ましくは1/5以上であることが必要である。
更に印加方式としては、交流重畳(AC帯電)を用いることでより帯電ムラが生じにくい等の利点を有し、良好に使用される。特に、後述のタンデム型のフルカラー画像形成装置においては、モノクロ画像形成装置の場合に発生する帯電ムラによるハーフトーン画像の濃度ムラの問題に加え、カラーバランス(色再現性)の低下という大きな問題につながる。直流成分に交流成分を重畳することにより、前記問題点は大きく改善されるものであるが、交流成分の条件(周波数、ピーク間電圧)が大きすぎる場合には、感光体への帯電ハザードが大きくなり、感光体の劣化を早めてしまう場合がある。このため、交流成分の重畳は必要最低限にとどめるべきである。
この必要最低限のAC重畳の条件としては、前述の如き、帯電ローラーの層厚、層の抵抗、層の誘電率、ローラー径、ローラーに印加するバイアス(Vpp、周波数、Vdc)、感光体のプロセススピード(線速)、感光体径、層厚、層の抵抗、層の誘電率等の因子により、その帯電ハザード量(帯電ニップにおいて感光体表面に衝突する荷電粒子のエネルギー総和量/感光体周長)が、1.2×10-4〜2.5×10-4(J/m2・mm)の範囲で使用することが望ましい。1.2×10-4(J/m2・mm)以下の範囲では、帯電ムラが大きく、ハーフトーン画像等での画像ムラが激しく、実使用に耐えない。一方、2.5×10-4(J/m2・mm)以上の範囲では良好な画像を形成できる均一帯電が施されるものの、感光体へのダメージが大きすぎて、感光体の耐久性を著しく低下させてしまう。また、高湿時での画像ボケ、画像流れも著しいものとなってしまう。
このような荷電粒子数の適正範囲を決定するための条件は、前記のように画像形成装置を構成する帯電部材の形状・物性、感光体の形状・物性により変化するものであり、一概には述べることは出来ない。
仮に一般的な例を挙げるとすれば、以下のような条件の組み合わせにより、適正化が図られるものであるがこの限りではない。交流成分の周波数に関しては感光体線速等により変化するものであるが、3kHz以下、好ましくは2kHz以下が妥当である。ピーク間電圧に関しては、帯電部材への印加電圧と感光体への帯電電位の関係をプロットすると、電圧を印加しているにもかかわらず感光体が帯電しない領域があり、ある点から帯電が立ち上がる電位が認められる。この立ち上り電位の2倍程度がピーク間電圧としては最適な電位(通常、1200〜1500V程度)になる。しかしながら、感光体の帯電能が低かったり、線速が非常に大きい場合には、前記の如く立ち上り電位の2倍のピーク間電圧では不足する場合がある。逆に帯電性が良好な場合には、2倍以下でも充分に電位安定性を示すことがある。従って、ピーク間電圧は立ち上り電位の3倍以下、好ましくは2倍以下が好ましい。ピーク間電圧を絶対値として書き直せば、3kV以下、好ましくは2kV以下、より好ましくは1.5kV以下で使用されることが望ましい。
上記の組み合わせの範疇において、前記(1)式もしくは(2)式を満足する条件に設定することにより、本発明の目的である帯電均一性の確保と帯電ハザード低減の両立が出来るものである。
また、画像露光部5には、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの高輝度を確保できる光源が使用される。これらの光源のうち、発光ダイオード、及び半導体レーザーは照射エネルギーが高く、良好に使用される。
現像ユニット6は、使用するトナーの帯電極性により、正規現像にも反転現像にも対応可能である。感光体の帯電極性と逆極性のトナーを使用した場合には正規現像が使用され、同極性のトナーを用いた場合には反転現像によって、静電潜像が現像される。先の画像露光部に使用する光源によっても異なるが、近年使用するデジタル光源の場合には、一般的に画像面積率が低いことに対応して、書込部分にトナー現像を行う反転現像方式が光源の寿命等を考慮すると有利である。また、トナーのみで現像を行う1成分方式と、トナーおよびキャリアからなる2成分現像剤を使用した2成分方式の2通りの方法があるが、いずれの場合にも良好に使用できる。
また、感光体上の形成されたトナー像は、転写紙に転写されることで転写紙上の画像となるものであるが、この際、2つの方法がある。1つは図1に示すような感光体表面に現像されたトナー像を転写紙に直接転写する方法と、もう1つはいったん感光体から中間転写体にトナー像が転写され、これを転写紙に転写する方法である。いずれの場合にも本発明において用いることが出来る。
図11には転写部材として、転写ベルト10が記載されているが、このほかに転写チャージャー、転写ローラーを用いることも可能である。中でも、オゾン発生量の少ない転写ベルトや転写ローラー等の接触型を用いることが望ましい。このような転写部材は、構成上、本発明の構成を満足できるものであれば、いずれも公知のものを使用することが出来る。
なお、転写時の電圧/電流印加方式としては、定電圧方式、定電流方式のいずれの方式も用いることが可能であるが、転写電荷量を一定に保つことができ、安定性に優れた定電流方式がより望ましい。特に、転写部材に電荷を供給する電源供給用部材(高圧電源)から出力された電流のうち、転写部材に関連する部分に流れ、感光体に流れ込まない電流を差し引くことにより、感光体への電流値を制御する方法が好ましい。具体的には、転写ベルトを保持するローラーなどに流れる電流を求めるため、ローラーなど関連部材をアースに直接落とすのではなく、関連部材に流れた電流を高圧電源に戻すような構成とし、高圧電源の出力との差を求め、この差が一定値となるようなフィードバック機能を有する高圧電源を用い、定電流制御することが望ましい。
転写電流は大きいほど、感光体−トナー間の静電付着力を上回る電荷量を与えられるため有利であるが、ある閾値を越えると転写部材−感光体間で放電現象を生じてしまい、微細に現像されたトナー像を散らせる結果になる。このため、上限値としてはこの放電現象を起こさない範囲ということになる。この閾値は転写部材−感光体間の空隙(距離)、両者を構成する材料などによって変わるものであるが、概ね200μA以下程度で使用することにより、放電現象を回避できる。従って、転写電流の上限値は200μA程度である。
除電ランプ2等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
かかる光源等は、図11に示される工程の他に光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光などの工程を設けることにより、感光体に光が照射される。
先の帯電方式においてAC成分を重畳して使用する場合や、感光体の残留電位が小さい場合等は、この除電機構を省略することもできる。また、光学的な除電ではなく静電的な除電機構(例えば、逆バイアスを印加したあるいはアース接地した除電ブラシなど)を用いることもできる。
また、現像ユニット6により感光体1上に現像されたトナーは、転写紙7に転写されるが、感光体1上に残存するトナーが生じた場合、ファーブラシ14およびブレード15により、感光体より除去される。クリーニングは、クリーニングブラシだけで行なわれることもあり、クリーニングブラシにはファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知のものが用いられる。
上述の帯電部材に関しては、更に、帯電部材と感光体との間に形成される帯電ニップが覆われる形状のシールドを有し、帯電ニップにおける雰囲気を大気下の状態よりも酸素濃度を低下させることは有効な手段である。このような状態を達成できる帯電部材の構成の一例を図12に示す。
感光体36に接触した帯電ローラー37を覆うようにシールド38が配置され、シールド38上部には低酸素濃度のガス39を導入する部位が付いている。シールド38は感光体36に接触していても接触していなくても低酸素濃度状態が維持できれば、どちらでも構わない。接触する場合には、シールド38が感光体36表面を摩耗しないように、少なくとも感光体36との接触部をゴムやスポンジといった弾性体で構成されることが望ましい。接触しない場合には、低酸素状態が維持できるように極力シールド38と感光体36間の隙間を狭め、導入するガスの流量を大きめに設定する必要がある。
このようなシールドは図12に示すように、帯電部材及び帯電ニップ部を最低限覆う必要があるが、電子写真要素全体を覆う状態でも構わない。ただし、その場合には導入するガス量が大きくなるので、可能は範囲でコンパクト化する必要がある。
帯電ニップを低酸素濃度状態にすることの効用は、次の通りである。帯電ハザードにより生じる感光体表面層を構成する材料の分子鎖切断が、雰囲気の酸素やオゾンと反応して、カルボン酸を生成する。この反応は、活性化状態(ラジカル状態)が維持できる範囲で連鎖的に起こり、分子鎖を順次切断する。この酸化反応は固体−気体であるが、連鎖反応は固体−固体間で起こるものであり、反応速度(効率)は前者のそれよりも遙かに小さい。従って、後続の酸化反応を緩和することにより、連鎖反応を非常に小さくできる。酸化反応は前述のように、固体−気体間の反応であり、酸素濃度が反応速度を決定する。酸素濃度を低減すると、酸化分解が極端に抑えられることは実験的にも確認され、10vol%以下ではその効果は絶大である。
シールド38中の酸素濃度を低減するためには、低酸素濃度のガスを導入することが最も効率的であり、不活性ガスであることが重要である。このようなガスとしては、窒素ガスや希ガス(アルゴンガス、ヘリウムガス)が挙げられる。このようなガスを画像形成装置が動作している間(厳密には、帯電部材が動作する間)、帯電ニップにおける酸素濃度が大気中以下、好ましくは10vol%以下、更に好ましくは限りなく0%に近づけるように、導入することにより、本発明の効果はより顕著に発現される。
以上に示すような画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段等を含んだ1つの装置(部品)である。プロセスカートリッジの形状等は多く挙げられるが、一般的な例として、図13に示すものが挙げられる。図において、41は感光体、43は帯電手段(帯電ローラ)、45が画像露光、46が現像手段、47は転写手段、48はクリーニング手段、49が転写体である。感光体41は導電性支持体上に少なくとも電荷発生物質、電荷輸送物質を含む感光層が設けられてなる。また、図13に示すプロセスカートリッジには、接触方式の帯電部材43が搭載され、AC帯電が行われ、その印加条件は使用する帯電部材43の形状・物性、感光体の形状・物性により、前記(1)式もしくは(2)式に従って、その適正範囲が決定されるものである。
図14は、本発明のタンデム方式のフルカラー画像形成装置を説明するための概略図であり、下記するような変形例も本発明の範疇に属するものである。
図14において、符号51C,51M,51Y,51Kはドラム状の感光体であり、感光体は導電性支持体上に少なくとも電荷発生物質、電荷輸送物質を含む感光層が設けられている。この感光体51C,51M,51Y,51Kは図中の矢印方向に回転し、その周りに少なくとも回転順に帯電部材52C,52M,52Y,52K、現像部材54C,54M,54Y,54K、クリーニング部材55C,55M,55Y,55Kが配置されている。帯電部材52C,52M,52Y,52Kは、感光体表面を均一に帯電するための帯電装置を構成する帯電部材である。この帯電部材は前述の通り、感光体に近接し非接触配置された帯電部材であって、前記(1)式もしくは(2)式を満足する条件にて、感光体表面に帯電を施すものである。この帯電部材52C,52M,52Y,52Kと現像部材54C,54M,54Y,54Kの間の感光体裏面側より、図示しない露光部材からのレーザー光53C,53M,53Y,53Kが照射され、感光体51C,51M,51Y,51Kに静電潜像が形成されるようになっている。そして、このような感光体51C,51M,51Y,51Kを中心とした4つの画像形成要素56C,56M,56Y,56Kが、転写材搬送手段である転写搬送ベルト60に沿って並置されている。転写搬送ベルト60は各画像形成ユニット56C,56M,56Y,56Kの現像部材54C,54M,54Y,54Kとクリーニング部材55C,55M,55Y,55Kの間で感光体51C,51M,51Y,51Kに当接しており、転写搬送ベルト60の感光体側の裏側に当たる面(裏面)には転写バイアスを印加するための転写ブラシ61C,61M,61Y,61Kが配置されている。各画像形成要素56C,56M,56Y,56Kは現像装置内部のトナーの色が異なることであり、その他は全て同様の構成となっている。
図14に示す構成のカラー電子写真装置において、画像形成動作は次のようにして行なわれる。まず、各画像形成要素56C,56M,56Y,56Kにおいて、感光体51C,51M,51Y,51Kが矢印方向(感光体と連れ周り方向)に回転する帯電部材52C,52M,52Y,52Kにより帯電され、次に感光体の内側に配置された露光部(図示しない)でレーザー光53C,53M,53Y,53Kにより、作成する各色の画像に対応した静電潜像が形成される。次に現像部材(54C,54M,54Y,54Kにより潜像を現像してトナー像が形成される。現像部材54C,54M,54Y,54Kは、それぞれC(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)のトナーで現像を行なう現像部材で、4つの感光体51C,51M,51Y,51K上で作られた各色のトナー像は転写紙上で重ねられる。転写紙57は給紙コロ58によりトレイから送り出され、一対のレジストローラ59で一旦停止し、上記感光体上への画像形成とタイミングを合わせて転写搬送ベルト60に送られる。転写搬送ベルト60上に保持された転写紙57は搬送されて、各感光体51C,51M,51Y,51Kとの当接位置(転写部)で各色トナー像の転写が行なわれる。感光体上のトナー像は、転写ブラシ61C,61M,61Y,61Kに印加された転写バイアスと感光体51C,51M,51Y,51Kとの電位差から形成される電界により、転写紙57上に転写される。そして4つの転写部を通過して4色のトナー像が重ねられた記録紙57は定着装置62に搬送され、トナーが定着されて、図示しない排紙部に排紙される。また、転写部で転写されずに各感光体51C,51M,51Y,51K上に残った残留トナーは、クリーニング装置55C,55M,55Y,55Kで回収される。なお、図14の例では画像形成要素は転写紙搬送方向上流側から下流側に向けて、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(ブラック)の色の順で並んでいるが、この順番に限るものではなく、色順は任意に設定されるものである。また、黒色のみの原稿を作成する際には、黒色以外の画像形成要素(56C,56M,56Y)が停止するような機構を設けることは本発明に特に有効に利用できる。
次に、本発明に用いられる電子写真感光体を図面に沿って説明する。
図15は、本発明の電子写真感光体を表わす断面図であり、導電性支持体70上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層65と電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層67とが設けられている。図15においては、感光層が電荷発生層と電荷輸送層の積層構成からなる例を示してあるが、電荷発生物質と電荷輸送物質が同一の層に含有されてなる単層感光層からなる感光体も本発明で使用される感光体の範疇に属するものである。
図16は、本発明の電子写真感光体の別の構成例を示す断面図であり、電荷発生層65と電荷輸送層67の上に、保護層69が積層された構成をとっている。
導電性支持体70としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などを使用することができる。また、特許文献8に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体70として用いることができる。
また、これらの中でも陽極酸化皮膜処理を簡便に行うことのできるアルミニウムからなる円筒状支持体が最も良好に使用できる。ここでいうアルミニウムとは、純アルミ系あるいはアルミニウム合金のいずれをも含むものである。具体的には、JIS1000番台、3000番台、6000番台のアルミニウムあるいはアルミニウム合金が最も適している。陽極酸化皮膜は各種金属、各種合金を電解質溶液中において陽極酸化処理したものであるが、中でもアルミニウムもしくはアルミニウム合金を電解質溶液中で陽極酸化処理を行ったアルマイトと呼ばれる被膜が本発明に用いる感光体には最も適している。特に、反転現像(ネガ・ポジ現像)に用いた際に発生する点欠陥(黒ポチ、地汚れ)を防止する点で優れている。
陽極酸化処理は、クロム酸、硫酸、蓚酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸などの酸性浴中において行われる。このうち、硫酸浴による処理が最も適している。一例を挙げると、硫酸濃度:10−20%、浴温:5−25℃、電流密度:1−4A/dm2、電解電圧:5−30V、処理時間:5−60分程度の範囲で処理が行われるが、これに限定するものではない。このように作製される陽極酸化皮膜は、多孔質であり、又絶縁性が高いため、表面が非常に不安定な状況である。このため、作製後の経時変化が存在し、陽極酸化皮膜の物性値が変化しやすい。これを回避するため、陽極酸化皮膜を更に封孔処理することが望ましい。封孔処理には、フッ化ニッケルや酢酸ニッケルを含有する水溶液に陽極酸化皮膜を浸漬する方法、陽極酸化皮膜を沸騰水に浸漬する方法、加圧水蒸気により処理する方法などがある。このうち、酢酸ニッケルを含有する水溶液に浸漬する方法が最も好ましい。封孔処理に引き続き、陽極酸化皮膜の洗浄処理が行われる。これは、封孔処理により付着した金属塩等の過剰なものを除去することが主な目的である。これが支持体(陽極酸化皮膜)表面に過剰に残存すると、この上に形成する塗膜の品質に悪影響を与えるだけでなく、一般的に低抵抗成分が残ってしまうため、逆に地汚れの発生原因にもなってしまう。洗浄は純水1回の洗浄でも構わないが、通常は多段階の洗浄を行う。この際、最終の洗浄液が可能な限りきれい(脱イオンされた)ものであることが好ましい。また、多段階の洗浄工程のうち1工程に接触部材による物理的なこすり洗浄を施すことが望ましい。以上のようにして形成される陽極酸化皮膜の膜厚は、5−15μm程度が望ましい。これより薄すぎる場合には陽極酸化皮膜としてのバリア性の効果が十分でなく、これより厚すぎる場合には電極としての抵抗が大きくなりすぎて、残留電位の発生や感光体のレスポンスが低下する場合がある。
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものも、本発明の導電性支持体70として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
更に、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体70として良好に用いることができる。
次に感光層について説明する。感光層は単層でも積層でもよいが、説明の都合上、先ず図16に示される電荷発生層65と電荷輸送層67で構成される場合から述べる。
電荷発生層65は、電荷発生物質を主成分とする層である。
電荷発生層65には、公知の電荷発生物質を用いることが可能であり、その代表として、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、キナクリドン系顔料、キノン系縮合多環化合物、スクアリック酸系染料、他のフタロシアニン系顔料、ナフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩系染料等が挙げられ用いられる。これら電荷発生物質は単独でも、2種以上混合してもかまわない。
特に前記(XI)式で表わされるアゾ顔料や特定の結晶型を有する(CuKαの特性X線(波長 1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有する)チタニルフタロシアニンは高感度で耐久性が高く、特に光疲労に強いため、本発明のフルカラー画像形成装置には有効に用いることができる。
また、前記(XI)式において、Cp1とCp2が異なるものは前記(XI)式で表される材料の中でも特に高感度を示し、本発明の感光体の電荷発生物質として良好に使用される。
また、27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンの中でも、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3゜にピークを有さないチタニルフタロシアニン結晶は、特に高感度を示し、また感光体繰り返し使用における帯電性の低下も小さく、本発明の感光体の電荷発生物質として良好に使用できる。
電荷発生層65は、必要に応じて結着樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより形成される。
必要に応じて電荷発生層65に用いられる結着樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。結着樹脂の量は、電荷発生物質100重量部に対し0〜500重量部、好ましくは10〜300重量部が適当である。
ここで用いられる溶剤としては、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等が挙げられるが、特にケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒が良好に使用される。塗布液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法を用いることができる。
電荷発生層65の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.1〜2μmである。
電荷輸送層67は、電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。電子輸送物質としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。
正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等その他公知の材料が挙げられる。これらの電荷輸送物質は単独、または2種以上混合して用いられる。
結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。更に、後述する高分子電荷輸送物質も電荷輸送層の結着樹脂として好適に用いられる。高分子電荷輸送物質からなる電荷輸送層を用いた場合には、後述の表面保護層を積層する際に、高分子からなる故、電荷輸送物質の上層への溶け出しが少なく良好な結果を得る場合が多い。
電荷輸送物質の量は結着樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。また、電荷輸送層の膜厚は5〜100μm程度とすることが好ましい。ここで用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが用いられる。
本発明の感光体において電荷輸送層67中に可塑剤やレベリング剤を添加してもよい。可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなど一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、結着樹脂に対して0〜30重量%程度が適当である。レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどのシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいは、オリゴマーが使用され、その使用量は結着樹脂に対して、0〜1重量%が適当である。
本発明は、AC帯電による感光体表面への帯電ハザード増大に対する、帯電均一性の確保と帯電ハザード低減の両立に関するものである。前述の通り、帯電ハザードの増大は、感光体表面を構成する成分(特に高分子成分)の分子鎖切断による機械的耐性の低下に伴う摩耗量の増大を引き起こす。
これに対して感光体の種類(径、組成等による物性)を考慮した上で、帯電条件を決定することにより、前記の目的を達成するものである。しかしながら、帯電ハザードによる耐摩耗性の低下に対しては、感光体表面層を構成する材料や構成によっても、初期状態の耐摩耗性を改良することが出来る。言い換えれば、初期状態で耐摩耗性を大きなもので設計しておけば、帯電ハザードに基づく耐摩耗性の低下が起こっても、ポテンシャルの高い感光体になり、このような感光体は本発明において有効に使用される。
例えば、大きく2つの方法がある。1つは保護層を用いない場合であり、感光体表面層にあたる感光層あるいは電荷輸送層の耐摩耗性を大きくすることである。この方法としては後述のように感光層あるいは電荷輸送層のバインダー樹脂として、高分子電荷輸送物質を用いるなど、低分子成分の使用を極力排除することである。このようにして、分子鎖切断が起こったとしても、なるべく分子鎖の絡み合い密度を維持できるようにして、耐摩耗性の低下を防ぐものである。もう1つは、保護層の採用である。構成等の詳細に関しては後述するが、フィラー等の使用によりクリーニング部材等の当接部材による耐摩耗性を向上したり、感光層の場合と同様に高分子電荷輸送物質の使用により耐摩耗性の低下を防いだり、更には3次元架橋構造を有するバインダー樹脂を使用し分子鎖切断による分子の欠落を防止することにより、耐摩耗性の低下度合いを緩和することで、耐摩耗性の低下を抑制することが出来る。この様な技術は、本発明の効果をサポートする意味でも有効に使用できる。
また、電荷輸送層には電荷輸送物質としての機能とバインダー樹脂の機能を持った高分子電荷輸送物質も良好に使用される。これら高分子電荷輸送物質から構成される電荷輸送層は機械的強度(耐摩耗性)に優れるだけでなく、繰り返し使用における画像ボケの発生を低減化させる効果もあり、本発明において非常に有用である。高分子電荷輸送物質としては、公知の材料が使用できるが、特に、トリアリールアミン構造を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボネートが良好に用いられる。中でも、(I)〜(X)式で表される高分子電荷輸送物質が良好に用いられ、これらを以下に例示し、具体例を示す。
Figure 2005099701
式中、R1、R2、R3はそれぞれ独立して置換もしくは無置換のアルキル基又はハロゲン原子、R4は水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基、R5、R6は置換もしくは無置換のアリール基、o、p、qはそれぞれ独立した0〜4の整数、k、jは組成を表し、0.1≦k≦1、0≦j≦0.9、nは繰り返し単位数を表し5〜5000の整数である。Xは脂肪族の2価基、環状脂肪族の2価基、または下記一般式で表される2価基を表す。尚、(I)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 2005099701
101、R102は各々独立して置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基またはハロゲン原子を表す。l、mは0〜4の整数、Yは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−CO−O−Z−O−CO−(式中Zは脂肪族の2価基を表す。)または、
Figure 2005099701
(aは1〜20の整数、bは1〜2000の整数、R103、R104は置換または無置換のアルキル基又はアリール基を表す)を表す。ここで、R101とR102、R103とR104は、それぞれ同一でも異なってもよい。)
Figure 2005099701
式中、R7, R8は置換もしくは無置換のアリール基、Ar1, Ar2, Ar3は同一又は異なるアリレン基を表す。 X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。尚、(II)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 2005099701
式中、R9, R10は置換もしくは無置換のアリール基、Ar4,Ar5,Ar6は同一又は異なるアリレン基を表す。 X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。尚、(III)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 2005099701
式中、R11, R12は置換もしくは無置換のアリール基、Ar7, Ar8, Ar9は同一又は異なるアリレン基、pは1〜5の整数を表す。 X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。尚、(IV)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 2005099701
式中、R13,R14は置換もしくは無置換のアリール基、Ar10,Ar11,Ar12は同一又は異なるアリレン基、 X1,X2は置換もしくは無置換のエチレン基、又は置換もしくは無置換のビニレン基を表す。 X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。尚、(V)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 2005099701
式中、R15,R16,R17,R18は置換もしくは無置換のアリール基、Ar13, Ar14,Ar15,Ar16は同一又は異なるアリレン基、 Y1,Y2,Y3は単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表し同一であっても異なってもよい。 X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。尚、(VI)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 2005099701
式中、R19,R20は水素原子、置換もしくは無置換のアリール基を表し,R19とR20は環を形成していてもよい。Ar17,Ar18,Ar19 は同一又は異なるアリレン基を表す。 X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。尚、(VII)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 2005099701
式中、R21は置換もしくは無置換のアリール基、Ar20,Ar21,Ar22,Ar23は同一又は異なるアリレン基を表す。 X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。尚、(VIII)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 2005099701
式中、R22,R23,R24,R25は置換もしくは無置換のアリール基、Ar24,Ar25,Ar26,Ar27,Ar28は同一又は異なるアリレン基を表す。 X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。尚、(IX)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 2005099701
式中、R26,R27は置換もしくは無置換のアリール基、Ar29,Ar30,Ar31は同一又は異なるアリレン基を表す。 X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。尚、(X)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
また、電荷輸送層に使用される高分子電荷輸送物質として、上述の高分子電荷輸送物質の他に、電荷輸送層の成膜時には電子供与性基を有するモノマーあるいはオリゴマーの状態で、成膜後に硬化反応あるいは架橋反応をさせることで、最終的に2次元あるいは3次元の架橋構造を有する重合体も含むものである。
これら電子供与性基を有する重合体から構成される電荷輸送層、あるいは架橋構造を有する重合体は耐摩耗性に優れたものである。通常、画像形成装置においては、帯電電位(未露光部電位)は一定であるため、繰り返し使用により感光体の表面層が摩耗すると、その分だけ感光体にかかる電界強度が高くなってしまう。この電界強度の上昇に伴い、地汚れの発生頻度が高くなるため、感光体の耐摩耗性が高いことは、地汚れに対して有利である。これら電子供与性基を有する重合体から構成される電荷輸送層は、自身が高分子化合物であるため成膜性に優れ、低分子分散型高分子からなる電荷輸送層に比べ、電荷輸送部位を高密度に構成することが可能で電荷輸送能に優れたものである。このため、高分子電荷輸送物質を用いた電荷輸送層を有する感光体には高速応答性が期待できる。
その他の電子供与性基を有する重合体としては、公知単量体の共重合体や、ブロック重合体、グラフト重合体、スターポリマーや、また、例えば特許文献9〜12等に開示されているような電子供与性基を有する架橋重合体などを用いることも可能である。この場合にも、先の移動度を満足できるような材料が有効に使用出来る。
次に感光層が単層構成の場合について述べる。上述した電荷発生物質を結着樹脂中に分散した感光体が使用できる。単層感光層は、電荷発生物質および電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することによって形成できる。更に、この感光層には上述した電荷輸送物質を添加した機能分離タイプとしても良く、良好に使用できる。また必要により、可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
結着樹脂としては、先に電荷輸送層67で挙げた結着樹脂をそのまま用いるほかに、電荷発生層65で挙げた結着樹脂を混合して用いてもよい。もちろん、後述の高分子電荷輸送物質も結着樹脂および電荷輸送物質として、良好に使用できる。結着樹脂100重量部に対する電荷発生物質の量は5〜40重量部が好ましく、電荷輸送物質の量は0〜190重量部が好ましくさらに好ましくは50〜150重量部である。単層感光層は、電荷発生物質、結着樹脂を必要ならば電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等の溶媒を用いて分散機等で分散した塗工液を、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコートなどで塗工して形成できる。単層感光層の膜厚は、5〜100μm程度が適当である。
本発明の感光体においては、導電性支持体70と感光層(電荷発生層)との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
これらの下引き層は前述の感光層の如く適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の下引き層には、Al23を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO2、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
また、本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、各層に酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、低分子電荷輸送物質およびレベリング剤を添加することができる。これらの化合物の代表的な材料を以下に記す。
各層に添加できる酸化防止剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)フェノール系化合物
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、トコフェロール類など。
(b)パラフェニレンジアミン類
N−フェニル−N−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N−ジメチル−N,N−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
(c)ハイドロキノン類
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
(d)有機硫黄化合物類
ジラウリル−3,3−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3−チオジプロピオネートなど。
(e)有機燐化合物類
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
各層に添加できる可塑剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)リン酸エステル系可塑剤
リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリクロルエチル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニルなど。
(b)フタル酸エステル系可塑剤
フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸メチルオレイル、フタル酸オクチルデシル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチルなど。
(c)芳香族カルボン酸エステル系可塑剤
トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリ−n−オクチル、オキシ安息香酸オクチルなど。
(d)脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤
アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−n−オクチル、アジピン酸−n−オクチル−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジカプリル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エトキシエチル、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、テトラヒドロフタル酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジ−n−オクチルなど。
(e)脂肪酸エステル誘導体
オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、ペンタエリスリトールエステル、ジペンタエリスリトールヘキサエステル、トリアセチン、トリブチリンなど。
(f)オキシ酸エステル系可塑剤
アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチルなど。
(g)エポキシ可塑剤
エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸デシル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ベンジル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジデシルなど。
(h)二価アルコールエステル系可塑剤
ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラートなど。
(i)含塩素可塑剤
塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、塩素化脂肪酸メチル、メトキシ塩素化脂肪酸メチルなど。
(j)ポリエステル系可塑剤
ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセバケート、ポリエステル、アセチル化ポリエステルなど。
(k)スルホン酸誘導体
p−トルエンスルホンアミド、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンエチルアミド、o−トルエンスルホンエチルアミド、トルエンスルホン−N−エチルアミド、p−トルエンスルホン−N−シクロヘキシルアミドなど。
(l)クエン酸誘導体
クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、アセチルクエン酸−n−オクチルデシルなど。
(m)その他
ターフェニル、部分水添ターフェニル、ショウノウ、2−ニトロジフェニル、ジノニルナフタリン、アビエチン酸メチルなど。
各層に添加できる滑剤としては、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)炭化水素系化合物
流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、低重合ポリエチレンなど。
(b)脂肪酸系化合物
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸など。
(c)脂肪酸アミド系化合物
ステアリルアミド、パルミチルアミド、オレインアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミドなど。
(d)エステル系化合物
脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステルなど。
(e)アルコール系化合物
セチルアルコール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロールなど。
(f)金属石けん
ステアリン酸鉛、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなど。
(g)天然ワックス
カルナバロウ、カンデリラロウ、蜜ロウ、鯨ロウ、イボタロウ、モンタンロウなど。
(h)その他
シリコーン化合物、フッ素化合物など。
各層に添加できる紫外線吸収剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)ベンゾフェノン系
2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2,4,4−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2−ジヒドロキシ4−メトキシベンゾフェノンなど。
(b)サルシレート系
フェニルサルシレート、2,4ジ−t−ブチルフェニル3,5−ジ−t−ブチル4ヒドロキシベンゾエートなど。
(c)ベンゾトリアゾール系
(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、(2−ヒドロキシ5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2−ヒドロキシ5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、
(2−ヒドロキシ3−ターシャリブチル5−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾールなど。
(d)シアノアクリレート系
エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、メチル2−カルボメトキシ3
(パラメトキシ)アクリレートなど。
(e)クエンチャー(金属錯塩系)
ニッケル(2,2チオビス(4−t−オクチル)フェノレート)ノルマルブチルアミン、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケルジブチルジチオカルバメート、コバルトジシクロヘキシルジチオホスフェートなど。
(f)HALS(ヒンダードアミン)
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなど。
更に、本発明で使用される感光体においては、感光層保護の目的で表面保護層69が感光層の上に設けられる。
このような保護層69に使用される材料としてはABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。中でも、ポリカーボネートもしくはポリアリレートが最も良好に使用できる。
また、上記バインダー樹脂の他に、熱硬化型樹脂や光硬化型樹脂を用いることも出来る。熱硬化型樹脂や光硬化型樹脂としては、高い耐摩耗性を発現し、電子写真特性に影響を及ぼさないものであれば、公知のいかなるものを使用できる。特に、分子中に3つ以上の官能基を有する多官能モノマーあるいはオリゴマーを用い、3次元硬化(架橋)させた硬化物からなる保護層は、直鎖状のポリマーに比べて機械的強度が高く、また結合が1つ切断されても、分子そのものが切断されないことから、結果的に耐摩耗性が低下しづらいという利点を有しており、本発明において有効に使用することが出来る。
保護層にはその他、機械的強度を向上する目的でポリテトラフルオロエチレンのような弗素樹脂、シリコーン樹脂、及びこれらの樹脂に酸化チタン、酸化錫、チタン酸カリウム、シリカ等の無機フィラー、また有機フィラーを分散したもの等を添加することができる。
また、感光体の保護層に用いられるフィラー材料のうち有機性フィラー材料としては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、a−カーボン粉末等が挙げられ、無機性フィラー材料としては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、アルミナ、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、チタン酸カリウムなどの無機材料が挙げられる。特に、フィラーの硬度の点からは、この中でも無機材料を用いることが有利である。特に、シリカ、酸化チタン、アルミナが有効に使用できる。更に、この中でも六方ちょう密構造を有するα−アルミナが最も有効に使用できる。
保護層中のフィラー濃度は使用するフィラー種により、また感光体を使用する画像形成プロセス条件によっても異なるが、保護層の最表層側において全固形分に対するフィラーの比で5重量%以上、好ましくは10重量%以上、50重量%以下、好ましくは30重量%以下程度が良好である。
また、使用するフィラーの体積平均粒径は、0.1μm〜2μmの範囲が良好に使用され、好ましくは0.3μm〜1μmの範囲である。この場合、平均粒径が小さすぎると耐摩耗性が充分に発揮されず、大きすぎると塗膜の表面性が悪くなったり、塗膜そのものが形成できなかったりするからである。
尚、本発明におけるフィラーの平均粒径とは、特別な記載のない限り体積平均粒径であり、超遠心式自動粒度分布測定装置:CAPA−700(堀場製作所製)により求めたものである。この際、累積分布の50%に相当する粒子径(Median系)として算出されたものである。また、同時に測定される各々の粒子の標準偏差が1μm以下であることが重要である。これ以上の標準偏差の値である場合には、粒度分布が広すぎて、本発明の効果が顕著に得られなくなってしまう場合がある。
また、本発明で使用するフィラーのpHも解像度やフィラーの分散性に大きく影響する。その理由の一つとしては、フィラー、特に金属酸化物は製造時に塩酸等が残存することが考えられる。その残存量が多い場合には、画像ボケの発生は避けられず、またそれは残存量によってはフィラーの分散性にも影響を及ぼす場合がある。
もう一つの理由としては、フィラー、特に金属酸化物の表面における帯電性の違いによるものである。通常、液体中に分散している粒子はプラスあるいはマイナスに帯電しており、それを電気的に中性に保とうとして反対の電荷を持つイオンが集まり、そこで電気二重層が形成されることによって粒子の分散状態は安定化している。粒子から遠ざかるに従いその電位(ゼータ電位)は徐々に低くなり、粒子から充分に離れて電気的に中性である領域の電位はゼロとなる。従って、ゼータ電位の絶対値の増加によって粒子の反発力が高くなることによって安定性は高くなり、ゼロに近づくに従い凝集しやすく不安定になる。一方、系のpH値によってゼータ電位は大きく変動し、ある pH値において電位はゼロとなり等電点を持つことになる。従って、系の等電点からできるだけ遠ざけて、ゼータ電位の絶対値を高めることによって分散系の安定化が図られることになる。
本発明の構成においては、フィラーとしては前述の等電点におけるpHが、少なくとも5以上を示すものが画像ボケ抑制の点から好ましく、より塩基性を示すフィラーであるほどその効果が高くなる傾向があることが確認された。等電点におけるpHが高い塩基性を示すフィラーは、系が酸性であったほうがゼータ電位はより高くなることにより、分散性及びその安定性は向上することになる。
ここで、本発明におけるフィラーのpHは、ゼータ電位から等電点におけるpH値を記載した。この際、ゼータ電位の測定は、大塚電子(株)製レーザーゼータ電位計にて測定した。
更に、画像ボケが発生しにくいフィラーとしては、電気絶縁性が高いフィラー(比抵抗が1010Ω・cm以上)が好ましく、フィラーのpHが5以上を示すものやフィラーの誘電率が5以上を示すものが特に有効に使用できる。また、pHが5以上のフィラーあるいは誘電率が5以上のフィラーを単独で使用することはもちろん、pHが5以下のフィラーとpHが5以上のフィラーとを2種類以上を混合したり、誘電率が5以下のフィラーと誘電率が5以上のフィラーとを2種類以上混合したりして用いることも可能である。また、これらのフィラーの中でも高い絶縁性を有し、熱安定性が高い上に、耐摩耗性が高い六方最密構造であるα型アルミナは、画像ボケの抑制や耐摩耗性の向上の点から特に有用である。
本発明において使用するフィラーの比抵抗は以下のように定義される。フィラーのような粉体は、充填率によりその比抵抗値が異なるので、一定の条件下で測定する必要がある。本発明においては、特許文献12及び13に示された測定装置と同様の構成の装置を用いて、フィラーの比抵抗値を測定し、この値を用いた。測定装置において、電極面積は4.0cm2である。測定前に片側の電極に4kgの荷重を1分間かけ、電極間距離が4mmになるように試料量を調節する。測定の際は、上部電極の重量(1kg)の荷重状態で測定を行ない、印加電圧は100Vにて測定する。106Ω・cm以上の領域は、HIGH RESISTANCE METER(横河ヒューレットパッカード)、それ以下の領域についてはデジタルマルチメーター(フルーク)により測定した。これにより得られた比抵抗値を本発明でいうところの比抵抗値と定義するものである。
フィラーの誘電率は以下のように測定した。上述のような比抵抗の測定と同様なセルを用い、荷重をかけた後に、静電容量を測定し、これより誘電率を求めた。静電容量の測定は、誘電体損測定器(安藤電気)を使用した。
更に、これらのフィラーは少なくとも一種の表面処理剤で表面処理させることが可能であり、そうすることがフィラーの分散性の面から好ましい。フィラーの分散性の低下は残留電位の上昇だけでなく、塗膜の透明性の低下や塗膜欠陥の発生、さらには耐摩耗性の低下をも引き起こすため、高耐久化あるいは高画質化を妨げる大きな問題に発展する可能性がある。表面処理剤としては、従来用いられている表面処理剤すべてを使用することができるが、フィラーの絶縁性を維持できる表面処理剤が好ましい。例えば、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤、高級脂肪酸等、あるいはこれらとシランカップリング剤との混合処理や、Al23、TiO2、ZrO2、シリコーン、ステアリン酸アルミニウム等、あるいはそれらの混合処理がフィラーの分散性及び画像ボケの点からより好ましい。シランカップリング剤による処理は、画像ボケの影響が強くなるが、上記の表面処理剤とシランカップリング剤との混合処理を施すことによりその影響を抑制できる場合がある。表面処理量については、用いるフィラーの平均一次粒径によって異なるが、3〜30wt%が適しており、5〜20wt%がより好ましい。表面処理量がこれよりも少ないとフィラーの分散効果が得られず、また多すぎると残留電位の著しい上昇を引き起こす。これらフィラ−材料は単独もしくは2種類以上混合して用いられる。フィラーの表面処理量に関しては、上述のようにフィラー量に対して使用する表面処理剤の重量比で定義される。
これらフィラー材料は、適当な分散機を用いることにより分散できる。また、保護層の透過率の点から使用するフィラーは1次粒子レベルまで分散され、凝集体が少ないほうが好ましい。
また、保護層69には残留電位低減、応答性改良のため、電荷輸送物質を含有しても良い。電荷輸送物質は、電荷輸送層の説明のところに記載した材料を用いることができる。電荷輸送物質として、低分子電荷輸送物質を用いる場合には、保護層中における濃度傾斜を設けても構わない。耐摩耗性向上のため、表面側を低濃度にすることは有効な手段である。ここでいう濃度とは、保護層を構成する全材料の総重量に対する低分子電荷輸送物質の重量の比を表わし、濃度傾斜とは上記重量比において表面側において濃度が低くなるような傾斜を設けることを示す。
保護層の形成法としては通常の湿式塗工法が採用される。なお保護層の厚さは0.1〜10μm程度が適当である。また、以上のほかに真空薄膜作成法にて形成したa−C、a−SiCなど公知の材料を保護層として用いることができる。
次に本発明に用いられる現像剤(トナーおよびキャリア)について述べる。本発明で使用される現像剤は、トナーのみからなる一成分系現像剤、トナーとキャリアから構成される二成分系現像剤のいずれも良好に使用できる。
本発明の静電潜像現像用キャリアと共に現像剤を構成するトナーとしては、従来公知の方法で製造されたものを使用できる。バインダー樹脂、着色剤及び極性制御剤よりなる混合物を熱ロールミルで溶融混練した後、冷却固化せしめ、これを粉砕分級して得られる。具体的には、バインダー樹脂、着色剤、荷電制御剤、必要に応じて任意の添加物などから構成される。
バインダー樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリ−p−スチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単重合体、スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが、単独あるいは混合して使用できる。
また、トナーに用いられる極性制御剤として、以下のものが挙げられる。
トナーを負荷電性に制御する極性制御剤としては、例えば有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸系金属錯体、芳香族ダイカルボン酸系金属錯体があげられる。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、その無水物、そのエステル類、ビスフェノールの如きフェノール誘導体類がある。
トナーを正荷電性に制御する極性制御剤としては、ニグロシン及び脂肪酸金属塩による変性物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートの如き四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩の如きオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、燐タングステン酸、燐モリブデン酸、燐タングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物)が挙げられる。
トナーに使用される極性制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜20重量部の範囲で用いられる。0.1重量部未満では、トナーの帯電量が不足し実用的でない。また、20重量部を越える場合には、トナーの帯電量が大きすぎ、キャリアとの静電的吸引力の増大のため、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
トナーに含有される黒色の着色剤としては、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、ファーネスブラック、ランプブラック等が使用できる。シアンの着色剤としては、例えば、フタロシアニンブルー、メチレンブルー、ビクトリアブルー、メチルバイオレット、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー等が使用できる。マゼンタの着色剤としては、例えば、ローダミン6Gレーキ、ジメチルキナクリドン、ウォッチングレッド、ローズベンガル、ローダミンB、アリザリンレーキ等が使用できる。イエローの着色剤としては、例えば、クロムイエロー、ベンジジンイエロー、ハンザイエロー、ナフトールイエロー、モリブデンオレンジ、キノリンイエロー、タートラジン等が使用できる。
更にトナーに磁性材料を含有させ、磁性トナーとしても使用し得る。磁性トナー中に含まれる磁性材料としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の酸化鉄、鉄、コバルト、ニッケルのような金属あるいはこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属の合金及びその混合物などが挙げられる。これらの強磁性体は平均粒径が0.05〜2μm程度のものが望ましく、トナー中に含有させる量としては、樹脂成分100重量部に対し約20〜200重量部、特に好ましくは、樹脂成分100重量部に対し40〜150重量部である。
以下、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明が実施例により制約を受けるものではない。なお、部はすべて重量部である。
<チタニルフタロシアニンAの合成>
1、3−ジイミノイソインドリン292gとスルホラン2000mlを混合し、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド20.4gを滴下する。滴下終了後、徐々に180℃まで昇温し、反応温度を170℃〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して反応を行なった。反応終了後、放冷した後析出物を濾過し、クロロホルムで粉体が青色になるまで洗浄し、つぎにメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。粗チタニルフタロシアニンを20倍量の濃硫酸に溶解し、100倍量の氷水に撹拌しながら滴下し、析出した結晶をろ過、ついで洗浄液が中性になるまで水洗いを繰り返し、チタニルフタロシアニン顔料のウェットケーキを得た。得られたこのウェットケーキ20gをテトラヒドロフラン200gに投入し、4時間攪拌を行なった後、濾過を行ない、乾燥して、チタニルフタロシアニンA粉末を得た。
<チタニルフタロシアニンBの合成>
チタニルフタロシアニンAの合成過程と同様に粗チタニルフタロシアニンを得、更に同様に濃硫酸によるアシッドペースト処理により、チタニルフタロシアニン顔料のウェットケーキを得た。得られたウェットケーキ20gを2−ブタノン200gに投入し、4時間の撹拌を行なった後、濾過を行ない、乾燥して、チタニルフタロシアニンB粉末を得た。
<チタニルフタロシアニンCの合成>
上述のように合成したチタニルフタロシアニンB粉末20gを、テトラヒドロフラン200gと共にボールミリング処理を24時間行なった後、濾過を行ない、乾燥して、チタニルフタロシアニンC粉末を得た。
以上のように合成したチタニルフタロシアニンA、B、Cは、下記の測定条件により、X線回折スペクトルを測定した。
(X線回折スペクトル測定条件)
X線管球:Cu
電圧:50kV
電流:30mA
走査速度:2°/分
走査範囲:3°〜40°
時定数:2秒
チタニルフタロシアニンA、B、CのX線回折スペクトルを図17〜19に示す。
図17から、チタニルフタロシアニンAのX線回折スペクトルは、Cu−Kα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θが27.2±0.2°に最大ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.3°のピークと9.3゜のピークの間にピークを有さず、かつ26.3゜にピークを有さないものであることが分かる。
図18から、チタニルフタロシアニンBのX線回折スペクトルは、Cu−Kα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θが27.2±0.2°に最大ピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして 7.5゜にピークを有するものであることが分かる。
図19から、チタニルフタロシアニンBのX線回折スペクトルは、Cu−Kα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θが26.3±0.2°に最大ピークを有するものであることが分かる。
このように、チタニルフタロシアニンA、B、Cは、それぞれ結晶型の異なるチタニルフタロシアニンであることが分かる。
<感光体1の作製>
長さ340mm、直径30mmのアルミニウムシリンダー(JIS3010)上に下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、電荷輸送層塗工液および保護層塗工液を、順次塗布・乾燥し、3.5μmの中間層、0.2μmの電荷発生層、25μmの電荷輸送層からなる電子写真感光体を形成した。
◎下引き層塗工液
二酸化チタン粉末 400部
メラミン樹脂 65部
アルキッド樹脂 120部
2−ブタノン 400部
◎電荷発生層塗工液
下記構造のジスアゾ顔料 8部
Figure 2005099701
ポリビニルブチラール 5部
2−ブタノン 200部
シクロヘキサノン 400部
◎電荷輸送層塗工液
Z型ポリカーボネート(粘度平均分子量が約5万) 10部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
Figure 2005099701
テトラヒドロフラン 80部
以上のように作製した感光体の比誘電率は2.73、体積抵抗は2×1014Ω・cm2であった。
<感光体2の作製>
感光体1の作製において、アルミシリンダーの直径を40mmのものに変更した以外は、感光体1と同様に作製した。
以上のように作製した感光体の比誘電率は2.73、体積抵抗は2×1014Ω・cm2であった。
<感光体3の作製>
感光体1の作製において、アルミシリンダーの直径を60mmのものに変更した以外は、感光体1と同様に作製した。
以上のように作製した感光体の比誘電率は2.73、体積抵抗は2×1014Ω・cm2であった。
<感光体4の作製>
感光体1の作製において、電荷輸送層塗工液を以下のものに変更した以外は、感光体1と同様に感光体を作製した。
◎電荷輸送層塗工液
下記構造式の高分子電荷輸送物質 15部
Figure 2005099701
(GPCで分子量を測定した結果、n=250を得た。)
テトラヒドロフラン 150部
以上のように作製した感光体の比誘電率は2.74、体積抵抗は2.5×1014Ω・cm2であった。
<感光体5の作製>
感光体1の作製において、電荷輸送層の膜厚を20μmに変更し、電荷輸送層上に下記組成の保護層塗工液を塗布・乾燥して、5μmの保護層を積層した以外は、感光体1の作製と同様に感光体を作製した。
◎保護層塗工液
ポリカーボネート(ユーピロンZ300:三菱ガス化学社製) 10部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
Figure 2005099701
α−アルミナ微粒子(比抵抗:2.5×1012Ω・cm、
平均一次粒径:0.4μm) 6部
シクロヘキサノン 150部
テトラヒドロフラン 500部
以上のように作製した感光体の比誘電率は2.86、体積抵抗は1.5×1014Ω・cm2であった。
<感光体6の作製>
感光体5の作製において、保護層塗工液を以下のものに変更した以外は、感光体5と同様に感光体を作製した。
◎保護層塗工液
下記構造式の高分子電荷輸送物質 17部
Figure 2005099701
(GPCで分子量を測定した結果、n=250を得た。)
α―アルミナ微粒子(比抵抗:2.5×1012Ω・cm、
平均一次粒径:0.4μm) 6部
シクロヘキサノン 300部
テトラヒドロフラン 800部
以上のように作製した感光体の比誘電率は2.86、体積抵抗は2×1014Ω・cm2であった。
<感光体7の作製>
感光体5の作製において、保護層塗工液を以下のものに変更した以外は、感光体5と同様に感光体を作製した。
◎保護層塗工液
ポリカーボネート(ユーピロンZ300:三菱ガス化学社製) 10部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
Figure 2005099701
シリカ微粉末(比抵抗:4×1013Ω・cm、
平均一次粒径:0.3μm) 8部
シクロヘキサノン 150部
テトラヒドロフラン 500部
以上のように作製した感光体の比誘電率は2.86、体積抵抗は2×1014Ω・cm2であった。
<感光体8の作製>
感光体5の作製において、保護層塗工液を以下のものに変更した以外は、感光体5と同様に感光体を作製した。
◎保護層塗工液
ポリカーボネート(ユーピロンZ300:三菱ガス化学社製) 10部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
Figure 2005099701
酸化チタン微粒子(比抵抗:1.5×1010Ω・cm、
平均一次粒径:0.5μm) 7部
シクロヘキサノン 150部
テトラヒドロフラン 500部
以上のように作製した感光体の比誘電率は2.93、体積抵抗は1×1014Ω・cm2であった。
<感光体9の作製>
感光体5の作製において、保護層塗工液を以下のものに変更した以外は、感光体5と同様に感光体を作製した。
◎保護層塗工液
ポリカーボネート(ユーピロンZ300:三菱ガス化学社製) 10部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
Figure 2005099701
酸化錫−酸化アンチモン粉末(比抵抗:106Ω・cm、
平均1次粒径0.4μm) 6部
シクロヘキサノン 150部
テトラヒドロフラン 500部
以上のように作製した感光体の比誘電率は3.45、体積抵抗は1×1013Ω・cm2であった。
<感光体10の作製>
感光体1の作製において、電荷発生層塗工液を以下のものに変更した以外は、感光体1と同様に感光体を作製した。
◎電荷発生層塗工液
下記構造のジスアゾ顔料 8部
Figure 2005099701
ポリビニルブチラール 5部
2−ブタノン 200部
シクロヘキサノン 400部
以上のように作製した感光体の比誘電率は2.73、体積抵抗は2×1014Ω・cm2であった。
<感光体11の作製>
感光体1の作製において、電荷発生層塗工液を以下のものに変更した以外は、感光体1と同様に感光体を作製した。
◎電荷発生層塗工液
下記構造のジスアゾ顔料 8部
Figure 2005099701
ポリビニルブチラール 5部
2−ブタノン 200部
シクロヘキサノン 400部
以上のように作製した感光体の比誘電率は2.73、体積抵抗は2×1014Ω・cm2であった。
<感光体12の作製>
感光体5の作製において、保護層塗工液を以下のものに変更した以外は、感光体5と同様に感光体を作製した。
◎保護層塗工液
メチルトリメトキシシラン 100部
3%酢酸 20部
下記構造の電荷輸送性化合物 35部
Figure 2005099701
酸化防止剤(サノール LS2626:三共化学社製) 1部
硬化剤(ジブチル錫アセテート) 1部
2−プロパノール 200部
以上のように作製した感光体の比誘電率は2.75、体積抵抗は2×1014Ω・cm2であった。
<感光体13の作製>
感光体5の作製において、保護層塗工液を以下のものに変更した以外は、感光体5と同様に感光体を作製した。
◎保護層塗工液
メチルトリメトキシシラン 100部
3%酢酸 20部
下記構造の電荷輸送性化合物 35部
Figure 2005099701
α−アルミナ粒子(スミコランダム AA−03:住友化学工業製)
15部
酸化防止剤(サノール LS2626:三共化学社製) 1部
ポリカルボン酸化合物 BYK P104:ビックケミー社製 0.4部
硬化剤(ジブチル錫アセテート) 1部
2−プロパノール 200部
以上のように作製した感光体の比誘電率は2.87、体積抵抗は1×1014Ω・cm2であった。
<感光体14の作製>
長さ340mm、直径30mmのアルミニウムシリンダー(JIS3010)上に下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、電荷輸送層塗工液および保護層塗工液を、順次塗布・乾燥し、3.5μmの中間層、0.2μmの電荷発生層、20μmの電荷輸送層、5μmの保護層からなる電子写真感光体を形成した。
◎下引き層塗工液
二酸化チタン粉末 400部
メラミン樹脂 65部
アルキッド樹脂 120部
2−ブタノン 400部
◎電荷発生層塗工液
先に合成したチタニルフタロシアニンA 15部
ポリビニルブチラール 10部
2−ブタノン 280部
◎電荷輸送層塗工液
Z型ポリカーボネート(粘度平均分子量:約5万) 10部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
Figure 2005099701
テトラヒドロフラン 80部
◎保護層塗工液
ポリカーボネート(ユーピロンZ300:三菱ガス化学社製) 10部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
Figure 2005099701
α―アルミナ微粒子(比抵抗:2.5×1012Ω・cm、
平均一次粒径:0.4μm) 6部
シクロヘキサノン 150部
テトラヒドロフラン 500部
以上のように作製した感光体の比誘電率は2.86、体積抵抗は1.5×1014Ω・cm2であった。
<感光体15の作製>
感光体14の作製において、電荷発生層塗工液を以下のものに変更した以外は、感光体14と同様に感光体を作製した。
◎電荷発生層塗工液
先に合成したチタニルフタロシアニンB 15部
ポリビニルブチラール 10部
2−ブタノン 280部
以上のように作製した感光体の比誘電率は2.86、体積抵抗は1.5×1014Ω・cm2であった。
<感光体16の作製>
感光体14の作製において、電荷発生層塗工液を以下のものに変更した以外は、感光体14と同様に感光体を作製した。
◎電荷発生層塗工液
先に合成したチタニルフタロシアニンC 15部
ポリビニルブチラール 10部
2−ブタノン 280部
以上のように作製した感光体の比誘電率は2.86、体積抵抗は1.5×1014Ω・cm2であった。
<感光体17の作製>
感光体14の作製において、アルミニウムシリンダー(JIS1050)を以下の陽極酸化皮膜処理を行い、次いで下引き層を設けずに、感光体14と同様に電荷発生層、電荷輸送層、保護層を設け、感光体を作製した。
◎陽極酸化皮膜処理
支持体表面の鏡面研磨仕上げを行い、脱脂洗浄、水洗浄を行った後、液温20#テ、硫酸15vol%の電解浴に浸し、電解電圧15Vにて30分間陽極酸化皮膜処理を行った。更に、水洗浄を行った後、7%の酢酸ニッケル水溶液(50℃)にて封孔処理を行った。その後純水による洗浄を経て、6μmの陽極酸化皮膜が形成された支持体を得た。
以上のように作製した感光体の比誘電率は2.86、体積抵抗は1.5×1014Ω・cm2であった。
上記感光体の誘電率は、いずれもXerographic法により求めた。具体的には、感光体に帯電を施し、帯電電位とドラム電流を同時に計測し、電流―電圧特性を求め、その傾きから静電容量を計算し、感光層膜厚から誘電率を求めた。
Figure 2005099701
ここで、Cは静電容量、Qは電荷量、Vは表面電位、εは誘電率、ε0は比誘電率、dは膜厚である。
また、感光体表面層の抵抗は、いずれの感光体の表面層と同じ組成の塗膜をITO基板上に設け、対向電極として金を蒸着したサンドイッチセルを作製した。これを用いて、バルク抵抗を測定した。
同様に、帯電ローラーも表面層の膜厚を計測した後、電流−電圧特性を評価し、それより誘電率と抵抗率を求めた。
<黒色トナー現像剤の作製>
(黒色トナー)
ポリエステル樹脂 95部
カーボンブラック 10部
サリチル酸誘導体亜鉛塩 2部
上記組成の混合物を、溶融混練し、その後粉砕、分級し、平均粒径8.0μmのトナーを得た。
また、湿式法により作製したマグネタイト100重量部に対してポリビニルアルコール2重量部、水60重量部をボールミルに入れ12時間混合してマグネタイトのスラリーを調整した。このスラリーをスプレードライヤーにて噴霧造粒し、球形粒子とした。この粒子を窒素雰囲気中で1000℃の温度で3時間焼成後冷却し、核体粒子1を得た。
シリコーン樹脂溶液 100部
トルエン 100部
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン 15部
カーボンブラック 20部
上記混合物をホモミキサーで20分間分散し、被覆層形成液1を調整した。この被覆層形成液1を、流動床型コーティング装置を用いて核体粒子1を1000部の表面にコーティングして、シリコーン樹脂被覆キャリア(磁性キャリア)を得た。
上記磁性キャリアを97.5部に対し、トナー2.5部の割合で混合し、黒色トナー二成分現像剤を作製した。
<イエロートナー現像剤の作製>
(イエロートナー)
ポリエステル樹脂 95部
C.I.ピグメントイエロー180 5部
サリチル酸誘導体亜鉛塩 2部
上記組成の混合物を、溶融混練し、その後粉砕、分級し、平均粒径8.0μmのトナーを得た。このトナー2.5部を、先の磁性キャリア97.5部と混合してイエロートナー2成分現像剤を作製した。
<マゼンタトナー現像剤の作製>
(マゼンタトナー)
ポリエステル樹脂 95部
C.I.ピグメントレッド57:1 5部
サリチル酸誘導体亜鉛塩 2部
上記組成の混合物を、溶融混練し、その後粉砕、分級し、平均粒径8.0μmのトナーを得た。このトナー2.5部を、先の磁性キャリア97.5部と混合してマゼンタトナー2成分現像剤を作製した。
<シアントナー現像剤の作製>
(シアントナー)
ポリエステル樹脂 95部
C.I.ピグメントブルー15:3 5部
サリチル酸誘導体亜鉛塩 2部
上記組成の混合物を、溶融混練し、その後粉砕、分級し、平均粒径8.0μmのトナーを得た。このトナー2.5部を、先の磁性キャリア97.5部と混合してシアントナー2成分現像剤を作製した。
<比較例1>
図13に示すカートリッジに感光体1をセットし、画像形成要素を用意した。これら画像形成要素カートリッジを図11に示す画像形成装置に搭載した。画像形成要素の現像部に、黒色トナー現像剤を投入した(トナーが負帯電され、画像光書き込み部に反転現像される)。帯電部材としては、接触帯電ローラー(直径12mm、表面層の抵抗は1×105Ω・cm2、表面層の比誘電率は2.5)を用い、感光体未露光部の表面電位が−600VになるようにACを重畳した帯電を行った(Vdc:−600V、Vpp:2000V(peak to peak)、周波数:500Hz)。
画像形成用の露光光源として、655nmのLD(感光体表面でのビーム径50μm)を用い、600dpiの書き込み密度で書き込みを行った(ベタ部での照射エネルギーは4.0erg)。いずれの現像も非接触方式の現像を行った。転写用帯電部材としてはスコロトロンチャージャーを用い、転写電流が35μAになるように制御した。クリーニング部材としてはウレタンゴム製のブレードを用いた。
感光体線速を185mm/secに設定して、書き込み率6%の斜め格子が記載されたA4原稿を用いて60000枚の画像出力を行ない、5枚目および60000枚後の画像を評価した。また、60000枚出力後に、白ベタ画像を出力した。更に、カートリッジより感光体を取り出し、感光体長手方向の膜厚分布を測定した。以上の実験は常温常湿(22℃、50%RH)の大気下で行った。以上の結果を表1に示す。
<実施例1>
比較例1における帯電条件を下記のように変更した以外は、比較例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
Vdc:−600V、Vpp:2000V、周波数:900Hz
<実施例2>
比較例1における帯電条件を下記のように変更した以外は、比較例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
Vdc:−600V、Vpp:2000V、周波数:1350Hz
<比較例2>
比較例1における帯電条件を下記のように変更した以外は、比較例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
Vdc:−600V、Vpp:2000V、周波数:1600Hz
<比較例3>
比較例1における帯電条件を下記のように変更した以外は、比較例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
Vdc:−600V、Vpp:1600V、周波数:1350Hz
<実施例3>
比較例1における帯電条件を下記のように変更した以外は、比較例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
Vdc:−600V、Vpp:1800V、周波数:1350Hz
<比較例4>
比較例1における帯電条件を下記のように変更した以外は、比較例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
Vdc:−600V、Vpp:2400V、周波数:1350Hz
<実施例4>
比較例1における帯電条件を下記のように変更した以外は、比較例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
Vdc:−800V、Vpp:2000V、周波数:1350Hz
<実施例5>
実施例2における帯電ローラー径を6mmに変更した以外は、実施例2と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例5>
実施例2における帯電ローラー径を24mmに変更した以外は、実施例2と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例6>
実施例2における感光体の線速を150mm/secに変更した以外は、実施例2と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例7>
実施例2における感光体の線速を350mm/secに変更した以外は、実施例2と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例6>
比較例1における帯電条件を下記のように変更した以外は、比較例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
Vdc:−600V、Vpp:2200V、周波数:900Hz
<比較例8>
比較例1における帯電条件を下記のように変更した以外は、比較例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
Vdc:−600V、Vpp:1800V、周波数:900Hz
<実施例7>
比較例5における帯電条件を下記のように変更した以外は、比較例5と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
Vdc:−600V、Vpp:1800V、周波数:1350Hz
<実施例8>
実施例2において、帯電部材周辺を図12に示すようなシールドを有する構造のものに変更し、画像形成装置の動作中は、シールド内に窒素ガス(純度99.9%)を0.1L/minで流し、シールド内の酸素濃度を10vol%以下(5〜8vol%に維持)になるようにして、評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例9>
実施例2において、帯電部材周辺を図12に示すようなシールドを有する構造のものに変更し、画像形成装置の動作中は、シールド内に窒素ガス(純度99.9%)を0.5L/minで流し、シールド内の酸素濃度を5vol%以下(2〜3vol%に維持)になるようにして、評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例10>
実施例2における感光体を感光体2に変更し、帯電条件を下記のように変更した以外は、実施例2と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
Vdc:−600V、Vpp:1800V、周波数:1350Hz
<実施例11>
実施例2における感光体を感光体3に変更した以外は、実施例2と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例12>
実施例2における感光体を感光体4に変更した以外は、実施例2と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例13>
実施例2における感光体を感光体5に変更した以外は、実施例21と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例14>
実施例2における感光体を感光体6に変更した以外は、実施例2と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例15>
実施例2における感光体を感光体7に変更した以外は、実施例2と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例16>
実施例2における感光体を感光体8に変更した以外は、実施例2と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例17>
実施例2における感光体を感光体9に変更した以外は、実施例2と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例18>
実施例2における感光体を感光体10に変更した以外は、実施例2と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例19>
実施例2における感光体を感光体11に変更した以外は、実施例2と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例20>
実施例2における感光体を感光体12に変更した以外は、実施例2と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例21>
実施例2における感光体を感光体13に変更した以外は、実施例2と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2005099701
Figure 2005099701
Figure 2005099701
尚、表中の帯電ハザード量とは、前記(1)式および(2)式より求めた、荷電粒子の有するエネルギー総和量/感光体周長(J/m2・mm)あるいは、3×10-19(J)以上のエネルギーを有する荷電粒子の有するエネルギー総和量/感光体周長(J/m2・mm)を表す。
<比較例9>
図13に示すカートリッジに感光体14をセットし、4つの画像形成要素(Y、M、C、K)を用意した。これら画像形成要素カートリッジを図14に示すフルカラー画像形成装置に搭載した。それぞれの画像形成要素の有色トナー用現像部に、黒色トナー現像剤、イエロートナー現像剤、マゼンタトナー現像剤、シアントナー現像剤を投入した(いずれもトナーが負帯電され、画像光書き込み部に反転現像される)。帯電部材としては、接触帯電ローラ(直径12mm、表面層の抵抗は1×105Ω・cm2、表面層の比誘電率は2.5)を用い、感光体未露光部の表面電位が−700VになるようにACを重畳した帯電を行った(DCバイアス:−700V、ACバイアス:2000V(peak to peak)、周波数:500Hz)。画像形成用の露光光源として、780nmのLD(感光体表面でのビーム径50μm)を用い、600dpiの書き込み密度で書き込みを行った(ベタ部での照射エネルギーは4.5erg)いずれの現像も非接触方式の現像を行った。転写用帯電部材としてはスコロトロンチャージャーを用い、転写電流が35μAになるように制御した。クリーニング部材としてはウレタンゴム製のブレードを用いた。
感光体線速を185mm/secに設定して、書き込み率6%の斜め格子が記載されたA4原稿を用いて60000枚の画像出力を行ない、5枚目および60000枚後の画像を評価した。また、60000枚出力後に、白ベタ画像を出力した。更に、カートリッジより感光体を取り出し、シアン現像剤がセットされた画像形成要素に使用された感光体長手方向の膜厚分布を測定した。以上の実験は常温常湿(22℃、50%RH)の大気下で行った。以上の結果を表2に示す。
<実施例22>
比較例9における帯電条件を下記のように変更した以外は、比較例9と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
Vdc:−600V、Vpp:2000V、周波数:900Hz
<実施例23>
比較例9における帯電条件を下記のように変更した以外は、比較例9と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
Vdc:−600V、Vpp:2000V、周波数:1350Hz
<比較例10>
比較例9における帯電条件を下記のように変更した以外は、比較例9と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
Vdc:−600V、Vpp:2000V、周波数:1600Hz
<比較例11>
比較例9における帯電条件を下記のように変更した以外は、比較例9と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
Vdc:−600V、Vpp:1800V、周波数:1350Hz
<実施例24>
比較例9における帯電条件を下記のように変更した以外は、比較例9と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
Vdc:−600V、Vpp:2000V、周波数:1350Hz
<比較例12>
比較例9における帯電条件を下記のように変更した以外は、比較例9と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
Vdc:−600V、Vpp:2400V、周波数:1350Hz
<実施例25>
比較例9における帯電条件を下記のように変更した以外は、比較例9と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
Vdc:−800V、Vpp:2000V、周波数:1350Hz
<実施例26>
実施例23における帯電ローラー径を6mmに変更した以外は、実施例23と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
<比較例13>
実施例23における帯電ローラー径を24mmに変更した以外は、実施例23と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
<比較例14>
実施例23における感光体の線速を150mm/secに変更した以外は、実施例23と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
<比較例15>
実施例23における感光体の線速を350mm/secに変更した以外は、実施例23と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
<実施例27>
比較例9における帯電条件を下記のように変更した以外は、比較例9と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
Vdc:−600V、Vpp:2200V、周波数:900Hz
<比較例16>
比較例9における帯電条件を下記のように変更した以外は、比較例9と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
Vdc:−600V、Vpp:1800V、周波数:900Hz
<実施例28>
比較例13における帯電条件を下記のように変更した以外は、比較例13と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
Vdc:−600V、Vpp:1800V、周波数:1350Hz
<実施例29>
実施例23における感光体を感光体15に変更した以外は、実施例23と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
<実施例30>
実施例23における感光体を感光体16に変更した以外は、実施例23と同様に評価行った。結果を表2に示す。
<実施例31>
実施例23における感光体を感光体17に変更した以外は、実施例23と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2005099701
Figure 2005099701
尚、表中の帯電ハザード量とは、前記(1)式および(2)式より求めた、荷電粒子の有するエネルギー総和量/感光体周長(J/m2・mm)あるいは、3×10-19(J)以上のエネルギーを有する荷電粒子の有するエネルギー総和量/感光体周長(J/m2・mm)を表す。
また実施例31の画像は、実施例23の画像と比較すると、地肌部の汚れが極端に少なかった。
交流ピーク間電圧(Vpp)の変動と感光体摩耗量の関係を表す図である。 周波数の変動と感光体摩耗量の関係を表す図である。 直流オフセット電圧(Vdc)の変動と感光体摩耗量の関係を表す図である。 帯電ローラーと感光体との間の空気層の分割(計算メッシュ)を示した説明図である。 帯電ローラーと感光体との間の空気層における放電の状態を表した図である。 感光体表面のある点(A点)の放電領域入口の状態(計算のスタート地点)を表した図である。 感光体表面のある点(A点)の放電領域出口の状態(計算の終了地点)を表した図である。 荷電粒子のエネルギー分布を表した図(分布幅を考慮しない)である。 荷電粒子のエネルギー分布を表した図(分布幅を考慮した)である。 帯電ハザード量(荷電粒子数/感光体周長)に対する感光体摩耗量の関係を表した図である。 本発明の画像形成装置を説明するための概略図である。 帯電ニップを覆うシールドを有する帯電部材の一例を示した図である。 本発明の画像形成装置用プロセスカートリッジを説明するための図である。 本発明のタンデム方式のフルカラー画像形成装置を説明するための概略図である。 本発明に用いられる電子写真感光体の層構成を表わした図である。 本発明に用いられる別の電子写真感光体の層構成を表わした図である。 チタニルフタロシアニンAのX線回折スペクトルである。 チタニルフタロシアニンBのX線回折スペクトルである。 チタニルフタロシアニンCのX線回折スペクトルである。
符号の説明
1,30,36,41,51C,51M,51Y,51K 感光体
2 除電ランプ
53C,53M,53Y,53K レーザー光
3,37 帯電ローラ
35,52C,52M,52Y,52K 帯電部材
6,34,54C,54M,54Y,54K 現像部材
5 画像露光部
55C,55M,55Y,55K クリーニング部材
56C,56M,56Y,56K 画像形成要素
7,57 転写紙
9,59 レジストローラ
10,60 転写搬送ベルト
11 転写バイアスローラ
13 クリーニング前チャージャー
14 クリーニングブラシ
15 クリーニングブレード
18 分離爪
38 シールド
39 ガス導入部
31 ブラシ状構造部材
32 固形化した帯電ハザード吸収剤
33 ブレード状部材
43 帯電手段(帯電ローラ)
45 画像露光
46 現像手段
47 転写手段
48 クリーニング手段
49 転写体
58 給紙コロ
61C,61M,61Y,61K 転写ブラシ
62 定着装置
65 電荷発生層
67 電荷輸送層
69 保護層
70 導電性支持体

Claims (24)

  1. 少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体を具備してなる電子写真装置において、該帯電手段に用いられる帯電部材が感光体に接触するローラー形状の帯電部材であり、該電子写真感光体が、帯電部材と感光体との間に形成される帯電ニップにおける帯電時に感光体に衝突する荷電粒子の有するエネルギー総和量が、下記(1)式を満足する条件下で、帯電部材に直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加することにより帯電を施された感光体であることを特徴とする画像形成装置。
    1.2×10-4≦荷電粒子の有するエネルギー総和量
    /感光体周長(J/m2・mm)≦2.5×10-4・・・(1)
    ここで、荷電粒子の有するエネルギー総和量とは、感光体のある点が、帯電部材が動作した状態で感光体が1回転する中で帯電ニップを通過する際に、帯電部材から受ける単位面積当たりの荷電粒子の有する衝突エネルギーの積分値を表す。
  2. 前記荷電粒子のうち、3×10-19(J)以上の運動エネルギーを有する荷電粒子数が、下記(2)式を満足する条件下で帯電を施すことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
    1.0×10-4≦3×10-19(J)以上のエネルギーを有する
    荷電粒子の有するエネルギー総和量/感光体周長(J/m2・mm)
    ≦2.0×10-4・・・(2)
  3. 前記帯電手段に用いられる帯電部材の外径が、感光体の外径の1/2以下であることを特徴とする請求項1又は2の何れかに記載の画像形成装置。
  4. 前記帯電部材において、少なくとも帯電部材と感光体との間に形成される帯電ニップが覆われる形状のシールドを有し、帯電ニップにおける雰囲気を大気下よりも酸素濃度を低下させることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の画像形成装置。
  5. 前記画像形成装置において、シールド内の酸素濃度が10vol%以下であることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
  6. 前記画像形成装置において、シールド内に外部より酸素濃度が10vol%以下のガスを導入して、帯電ニップにおける雰囲気の酸素濃度を10vol%以下にコントロールすることを特徴とする請求項4又は5の何れかに記載の画像形成装置。
  7. 前記画像形成装置において、外部より導入されるガスが、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスより選ばれる1種の不活性ガスであることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
  8. 前記画像形成装置に搭載される感光体の感光層に、高分子電荷輸送物質を含有してなることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の画像形成装置。
  9. 前記高分子電荷輸送物質が、トリアリールアミン構造を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボネートであることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
  10. 前記画像形成装置に搭載される感光体が、感光層上に保護層を設けてなることを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の画像形成装置。
  11. 前記保護層に比抵抗1010Ω・cm以上の無機顔料又は金属酸化物を含有することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
  12. 前記金属酸化物が、比抵抗1010Ω・cm以上のアルミナ、酸化チタン、シリカのいずれかであることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
  13. 前記金属酸化物が、比抵抗1010Ω・cm以上のα−アルミナであることを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
  14. 前記保護層に高分子電荷輸送物質を含有することを特徴とする請求項10乃至13の何れかに記載の画像形成装置。
  15. 前記保護層のバインダー樹脂が、架橋構造を有することを特徴とする請求項10乃至13の何れかに記載の画像形成装置。
  16. 前記架橋構造を有するバインダー樹脂の構造中に、電荷輸送部位を有することを特徴とする請求項15に記載の画像形成装置。
  17. 前記電子写真感光体に含有される電荷発生物質が、下記(XI)式で表されるアゾ顔料であることを特徴とする請求項1乃至16の何れかに記載の画像形成装置。
    Figure 2005099701
    式中、Cp1,Cp2はカップラー残基を表す。 R201,R202はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基のいずれかを表し、同一でも異なっていても良い。またCp1,Cp2は下記(XII)式で表され、
    Figure 2005099701
    式中、R203は、水素原子、メチル基、エチル基などのアルキル基、フェニル基などのアリール基を表す。R204,R205,R206,R207,R208はそれぞれ、水素原子、ニトロ基、シアノ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子、トリフルオロメチル基、メチル基、エチル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、水酸基を表し、Zは置換もしくは無置換の芳香族炭素環または置換もしくは無置換の芳香族複素環を構成するのに必要な原子群を表す。
  18. 前記アゾ顔料のCp1とCp2が互いに異なるものであることを特徴とする請求項17に記載の画像形成装置
  19. 前記電子写真感光体に含有される電荷発生物質が、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンであることを特徴とする請求項1乃至16の何れかに記載の画像形成装置。
  20. 前記チタニルフタロシアニンが、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、かつ26.3゜にピークを有さないことを特徴とする請求項19に記載の画像形成装置。
  21. 前記電子写真感光体の導電性支持体表面が、陽極酸化皮膜処理されたものであることを特徴とする請求項1乃至20の何れかに記載の画像形成装置。
  22. 少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体からなる画像形成要素を複数配列したことを特徴とする請求項1乃至21の何れかに記載の画像形成装置。
  23. 前記画像形成装置において、感光体と少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、クリーニング手段から選ばれる1つの手段とが一体となった装置本体と着脱自在なカートリッジを搭載していることを特徴とする請求項1乃至22の何れかに記載の画像形成装置。
  24. 感光体と少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、クリーニング手段から選ばれる1つの手段とを有する請求項1乃至23の何れかに記載の画像形成装置に用いられることを特徴とする画像形成用プロセスカートリッジ。
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