JP2005097673A - 連続酸洗設備における超音波印加方法および印加装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】酸洗槽内の鋼板と酸との反応により発生する気泡の量に応じて効率的な超音波酸洗を行うことができる連続酸洗設備における超音波印加方法および印加装置を提供する。
【解決手段】走行する金属帯板を複数の酸洗槽中の酸液に順次浸漬する連続酸洗設備における超音波印加方法であって、前記複数の酸洗槽の内、酸液中の気泡濃度が0.15(vol%)以下の酸洗槽に選択的に超音波を印加することにより金属帯板の脱スケール性を向上させることを特徴とする連続酸洗設備における超音波印加方法および超音波印加装置。
【選択図】図3

Description

本発明は、金属帯板を酸液中で超音波印加のもとで走行させ酸洗処理する酸洗設備に関する。
具体的には、走行する金属帯板を複数の酸洗槽中の酸液に順次浸漬する連続酸洗設備における超音波印加方法および印加装置に関する。
近年、酸洗液を満たした複数の酸洗槽に熱延鋼板を連続的に浸漬し、その熱延鋼板の表面スケールを溶解させる熱延鋼板の連続酸洗設備における生産性を向上させるため、酸洗槽内に超音波振動子を設置し酸洗液を介して超音波を熱延鋼板表面に印加して脱スケール効果を向上させた超音波酸洗方法が検討されている。
例えば、特開平5―78874号公報には、図1に示すように金属帯板2を連続して酸洗処理する装置において、酸液3中に超音波を印加して、その酸洗効果を向上させる超音波式酸洗装置が開示されている。
この超音波式酸洗装置を示す図1において、1は酸洗槽、2は金属帯板、3は酸洗液、4は超音波振動板、5は超音波振動子、6は超音波発振子を示しており、酸洗槽1内に充満された酸洗液3中を走行する金属帯板2に超音波振動子6から超音波を印加している。
また、このような超音波を利用した酸洗技術において、酸洗液中に含まれる気泡が超音波の伝播を阻害することが知られており、その対策として、例えば、特開平5−78871号公報には、酸洗槽(タンク)に給水される水を脱気させることにより酸洗液中の気泡を除去する方法が開示されている。
しかし、酸洗槽においては、特開平5−78871号公報に開示されている給水される水中の気泡だけでなく、酸洗槽内の鋼板と酸との反応により気泡が発生しており、この鋼板と酸との反応による気泡への対策については、これまで十分な検討がなされていなかった。
特開平5―78874号公報 特開平5−78871号公報
そこで、本発明は、前述のような従来技術の問題点を解決し、酸洗槽内の鋼板と酸との反応により発生する気泡の量に応じて効率的な超音波酸洗を行うことができる連続酸洗設備における超音波印加方法および印加装置を提供することを課題とする。
本発明は、酸洗槽内の鋼板と酸との反応により発生する気泡の量に応じて選択的に超音波を印加することにより、効率的な超音波酸洗を行うことができる連続酸洗設備における超音波印加方法および印加装置を提供するものであり、その要旨とするところは、特許請求の範囲に記載した通りの下記内容である。
(1)走行する金属帯板を複数の酸洗槽中の酸液に順次浸漬する連続酸洗設備における超音波印加方法であって、前記複数の酸洗槽の内、酸液中の気泡濃度が0.15(vol%)以下の酸洗槽に選択的に超音波を印加することにより金属帯板の脱スケール性を向上させることを特徴とする連続酸洗設備における超音波印加方法。
(2)走行する金属帯板を複数の酸洗槽中の酸液に順次浸漬する連続酸洗設備における超音波印加装置であって、前記酸洗槽の各々に、超音波振動を印加する超音波振動子と、操業条件により変動する酸洗槽内の気泡濃度を測定する気泡濃度計とを設け、該気泡濃度が0.15(vol%)以下の酸洗槽に選択的に超音波を印加することにより金属帯板の脱スケール性を向上させることを特徴とする連続酸洗設備における超音波印加装置。
本発明によれば、酸洗槽内の鋼板と酸との反応により発生する気泡の量に応じて選択的に超音波を印加することにより、効率的な超音波酸洗を行うことができる連続酸洗設備における超音波印加方法および印加装置を提供することができ、具体的には以下のような産業上有用な著しい効果を奏する。
1)槽内気泡濃度が常時0.15(vol%)を超えるような槽に対する超音波振動子設置を省略することが可能となり設備投資を省くことができる。
2)超音波振動子の最適な使用により振動子メンテナンスコスト、超音波印加時の電力等ランニングコストを低減することができる。
本発明を実施するための最良の形態を図2乃至図4を用いて詳細に説明する。
図2は、本発明における超音波印加方法および印加装置の実施形態を例示する図である。
図2において、1は酸洗槽、2は金属帯板、3は酸洗液、5は超音波振動子、7は気泡濃度計を示す。
金属帯板2は、図2の矢印の方向に走行し、1槽から4槽における酸洗液3に順次浸漬して連続して酸洗処理がなされる。
この1槽から4槽からなる酸洗槽1には、それぞれ超音波振動を印加する超音波振動子5と、操業条件により変動する酸洗槽内の気泡濃度を測定する気泡濃度計7とが設けられており、この気泡濃度が0.15(vol%)以下の酸洗槽に選択的に超音波を印加することにより金属帯板の脱スケール性を向上させることを特徴とする。
即ち、酸洗液3中における超音波伝播は気泡により阻害されるのは従来から知られているが、本発明者等は、この気泡濃度が一定量に達すると、超音波が目標である金属帯板2まで届かなくなり、超音波を印加しても脱スケール性の向上が得られなくなることを見出し、その限界値として気泡濃度が0.15(vol%)以下の酸洗槽3に選択的に超音波を印加することにより金属帯板の脱スケール性を向上させることができることを確認して本発明を完成させた。
金属帯板の種類、サイズにより気泡発生量が異なるため、各酸洗槽に気泡濃度計7を装備し、自動測定することにより超音波が伝播する適正な気泡濃度の酸洗槽を選択し、超音波印加を行うことことができるようにすることが好ましい。
具体的には、図2のような浸漬型連続酸洗槽において操業時に各槽内に設置した気泡濃度計にて常時、槽内気泡濃度を観測し気泡濃度が0.15(vol%)を境としてそれ以下では超音波印加を行い、0.15(vol%)超では超音波印加しない操業を行うことによって、金属帯板の脱スケール性を向上させることができる。
図3は、代表的な酸洗槽(全4槽)の各槽ごとの気泡体積率(vol%)を測定した結果を例示する図である。
金属帯板の種類によって気泡体積率(vol%)の値は異なるが、1槽では金属帯板が昇温され、2槽では表面のスケールが剥離しているので、金属と酸との反応は未だ活発でないことから、酸洗液中の気泡濃度は低くなっているが、3槽および4槽では金属と酸との反応が進み水素ガスなどの気体が発生するため酸洗液中の気泡濃度が高くなり、超音波の伝播可能限界である0.15(vol%)を超えるケースが発生している。
また、例えば、脱スケール性の悪い鋼種Aでは、1槽、2槽で上記限界体積率0.15(vol%)を下回ることが可能となり、良好な超音波音圧伝播性を確保することができる。
図4は、酸洗液中の気泡体積率(vol%)と超音波音圧伝播安定性との関係を示す図である。
図4は、模擬酸液(塩酸濃度6mass%)中の気泡体積率を変更し、酸液中を伝播する超音波を音圧センサーにて測定したものであり、横軸はセンサーのトラバース距離(mm)、縦軸は音圧(MPa)を示す。
狭い酸液槽での試験のため、超音波による定在波が発生し、センサー(ハイドロホン)の測定位置での音圧レベルにばらつきが発生するので、図4の上段に示すようにセンサーを振動子からトラバースして音圧レベルを評価した。
図4に示すように、気泡体積率γが上昇すると音圧伝播は不安定となり、その限界は体積率0.15(vol%)であり、気泡体積率が0.15(vol%)を超えると超音波が遮断され音圧が発生しない状態が確認できた。
従って、本発明の選択的に超音波を印加する酸洗槽の気泡体積率を0.15(vol%)以下とすることにより、超音波を金属帯板に確実に伝播させることができ、その結果、は以下のような効果を奏する。
1)槽内気泡濃度が常時0.15(vol%)を超えるような槽に対する超音波振動子設置を省略することが可能となり設備投資を省くことができる。
2)超音波振動子の最適な使用により振動子メンテナンスコスト、超音波印加時の電力等ランニングコストを低減することができる。
本発明の連続酸洗設備における超音波印加方法を、金属帯板として鋼板を下記の条件で酸洗処理した結果を表1に示す。
表1における超音波による脱スケール性向上効果はそれぞれ、△:超音波効果なし、○:超音波効果あり、◎:超音波効果大を示す。
また、超音波設備運転コストは、電力コストとメンテコストを評価し、△:不良、○:良、 ◎:優秀を示す。
<実施条件>
・ 酸洗液:塩酸
・ 酸濃度:0.5〜18(mass%)
・ 酸洗液温:60〜95℃
鋼板板厚:0.3mm〜10mm
表1におけるNo1は、本発明例であり、1槽、2槽の気泡濃度が0.15(vol%)以下なので効果的な超音波印加が実施できたため、脱スケール性向上効果は○、運転コストは◎であった。
No2は、本発明例であり、1槽〜3槽の気泡濃度が0.15(vol%)以下なので効果的な超音波印加が実施できたため、脱スケール性向上効果は◎、運転コストは○であった。
No3は、比較例であり、1槽、2槽はNo1と同じであるが、気泡濃度が0.15(vol%)を超える3槽、4槽に超音波を印加したので、脱スケール性向上効果は○であるが、運転コストは△であった。
No4は、比較例であり、1槽〜3槽はNo2と同じであるが、気泡濃度が0.15(vol%)を超える4槽に超音波を印加したので、脱スケール性向上効果は◎であるが、運転コストは△であった。
No5は比較例であり、気泡濃度が0.15(vol%)を超える1槽〜4槽に超音波を印加したので、脱スケール性向上効果は△であり、運転コストも△であった。
No6は、比較例であり、気泡濃度が0.15(vol%)を超える1槽〜4槽に超音波を印加しなかったので、脱スケール性向上効果は△であり、超音波設備の運転をしなかったので運転コストの評価はしなかった。
Figure 2005097673
本発明に用いる超音波式酸洗装置を例示する図である。 本発明における超音波印加方法および印加装置の実施形態を例示する図である。 代表的な酸洗槽(全4槽)の各槽ごとの気泡体積率(vol%)を測定した結果を例示する図である。 酸洗液中の気泡体積率(vol%)と超音波音圧伝播安定性との関係を示す図である。
符号の説明
1 酸洗槽
2 金属帯板
3 酸洗液
4 超音波振動板
5 超音波振動子
6 超音波発振子
7 気泡濃度計

Claims (2)

  1. 走行する金属帯板を複数の酸洗槽中の酸液に順次浸漬する連続酸洗設備における超音波印加方法であって、前記複数の酸洗槽の内、酸液中の気泡濃度が0.15(vol%)以下の酸洗槽に選択的に超音波を印加することにより金属帯板の脱スケール性を向上させることを特徴とする連続酸洗設備における超音波印加方法。
  2. 走行する金属帯板を複数の酸洗槽中の酸液に順次浸漬する連続酸洗設備における超音波印加装置であって、前記酸洗槽の各々に、超音波振動を印加する超音波振動子と、操業条件により変動する酸洗槽内の気泡濃度を測定する気泡濃度計とを設け、該気泡濃度が0.15(vol%)以下の酸洗槽に選択的に超音波を印加することにより金属帯板の脱スケール性を向上させることを特徴とする連続酸洗設備における超音波印加装置。
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