JP2005097423A - 水素化脂環式オレフィン重合体の製造方法とその利用 - Google Patents

水素化脂環式オレフィン重合体の製造方法とその利用 Download PDF

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Abstract

【課題】 比誘電率、透明性、耐熱寸法安定性、耐溶剤性、平坦性に優れるばかりでなく、良好な透明性で低脱ガス量の透明樹脂膜を提供する。
【解決手段】 ルテニウムカルベン錯体と脂環式オレフィンモノマーとを含有する酸素濃度1重量%以下の重合性溶液を用いて、不活性ガス存在下で開環メタセシス重合し、得られた重合体を水素添加することを特徴とする、水素化脂環式オレフィン重合体の製造方法により得られる水素化脂環式オレフィン重合体に、架橋剤と溶剤とを配合してなる重合体組成物を用いて、透明樹脂膜を形成する。更に感光剤を配合することによりパターン状の透明樹脂膜を形成することもできる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、優れた透明性を持つ透明樹脂膜を与えることのできる水素化脂環式オレフィン重合体の製造方法とその利用に関し、詳しくは、ルテニウム触媒を用いた開環メタセシス重合による水素化脂環式オレフィン重合体の製造方法に関する。
液晶表示素子、集積回路素子、固体撮像素子等の電子部品や、液晶ディスプレイ用カラーフィルタなどには、その劣化や損傷を防止するための保護膜、素子表面や配線を平坦化するための平坦化膜、電気絶縁性を保つための電気絶縁膜等、機能性の電子部品用樹脂膜が設けられている。また、薄膜トランジスタ型液晶表示素子や集積回路素子には、層状に配置される配線の間を絶縁するために層間絶縁膜が機能性の電子部品用樹脂膜として設けられている。
これらの平坦化膜や絶縁膜のような樹脂膜には、配線やデバイスの高密度化にともない、樹脂膜材料に低誘電性が求められるばかりでなく、透明性の要求される場合がある。透明性を有する樹脂膜を形成する材料としては、例えば、エステル基含有ノルボルネン系モノマーを開環重合し、水素添加した後、エステル基部分を加水分解して得られるカルボキシル基が結合したアルカリ可溶性脂環式オレフィン重合体と、酸発生剤と、架橋剤とを含有する組成物が提案されている(特開平10−307388号公報、特開平11−52574号公報)。この組成物は、感光性材料であり、パターン状に加工された透明樹脂膜を与えることができる。
また、国際公報第WO03/056391号には、酸性基を有する脂環式オレフィン重合体、酸発生剤、架橋剤及び溶剤を含有する感放射線性重合体組成物であって、重合体として、重量平均分子量と酸性基の割合と分子量分布と重合体の炭素数の関係が特定の式で表される重合体を用いると、解像度や残膜率に優れ、良好なパターン形状の透明樹脂膜が得られることが記載されている。
特開平10−307388号公報 特開平11−52574号公報 国際公報第WO03/056391号
しかしながら、本発明者らは、前記いずれの公報記載の感放射線性重合体組成物を用いても、必ずしも透明性に優れた樹脂膜が得られるとは限らないことを確認した。
かかる知見の下、本発明者らは、透明性に優れた樹脂膜を与える感放射線性重合体組成物を得ることを目的として、鋭意検討した結果、脂環式オレフィンモノマーを開環重合する際の、反応液に溶存する酸素濃度が一定の割合以下である場合に得られる重合体を用いると、透明性に優れるばかりでなく、脱ガスの少ない樹脂膜が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、ルテニウムカルベン錯体と脂環式オレフィンモノマーとを含有する酸素濃度1重量%以下の重合性溶液を用いて、不活性ガス雰囲気下で開環メタセシス重合し、得られた重合体を水素添加することを特徴とする、水素化脂環式オレフィン重合体の製造方法が提供され、また、当該方法により得られる水素化脂環式オレフィン重合体が提供される。
本発明によれば、当該水素化脂環式オレフィン重合体と架橋剤と溶剤とを含有してなる重合体組成物が提供され、また当該重合体組成物を、基板上に塗布し、乾燥して得られる透明樹脂膜が提供される。
更に、本発明によれば、当該透明樹脂膜を有する電子部品が提供される。
本発明の製造方法は、脂環式オレフィンモノマーの開環重合に関するものであり、触媒としてルテニウムカルベン錯体を用いるものである。そして、この重合時の重合性溶液中の酸素濃度が1重量%以下であることが特徴である。開環重合後は水素添加する。
本発明において用いられる脂環式オレフィンモノマーは、脂環式構造内に炭素−炭素二重結合を有する重合性モノマーである。脂環式構造は、単環であっても、多環(縮合多環、橋架け環、これらの組み合わせ多環等)であってもよい。機械的強度、耐熱性などの観点から多環が好ましい。脂環式構造を構成する炭素原子数に、格別な制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個の範囲であるときに、耐熱性、及びパターン性などの諸特性が高度にバランスされ好適である。
脂環式オレフィンモノマーは、酸性基などの極性基を有していてもよい。特に酸性基を有する脂環式オレフィンモノマーを用いて得られた水素化環状オレフィン重合体は、感光剤とともに用いて、パターン状の透明樹脂膜を得るのに好適である。酸性基を有する脂環式オレフィンモノマーの使用割合は、耐熱性などの観点から、全重合性モノマー量に対して、通常30〜100重量%、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは70〜100重量%である。
脂環式オレフィンモノマーとしては、以下のものが例示される。
極性基として酸性基を有する脂環式オレフィンモノマーとしては、8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、5−ヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−ヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシメチル−5−ヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−メチル−8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−カルボキシメチル−8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンなどの1つのカルボキシル基を有する脂環式オレフィンモノマー;5−エキソ−6−エンド−ジヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−エキソ−9−エンド−ジヒドロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン−8,9−ジカルボン酸無水物、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]ヘプタデカ−4−エン−11,12−ジカルボン酸無水物などの2つのカルボキシル基を有する脂環式オレフィンモノマー;8−(4−ヒドロキシフェニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、5−(4−ヒドロキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−(4−ヒドロキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシメチル−5−(4−ヒドロキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−メチル−8−(4−ヒドロキシフェニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−カルボキシメチル−8−(4−ヒドロキシフェニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンなどの1つのヒドロキシフェニル基を有する脂環式オレフィンモノマーが挙げられる。
酸性基以外の極性基を有する脂環式オレフィンモノマーとしては、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シアノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンなどが挙げられる。
極性基を有さない脂環式オレフィンモノマーとしては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ビニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、テトラシクロ[8.4.0.111,14.03,7]テトラデカ−3,5,7,12,11−テトラエン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]デカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、8−メチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチリデン−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチリデン−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−ビニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−プロペニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカ−3,10−ジエン、ペンタシクロ[7.4.0.13,6.110,13.02,7]ペンタデカ−4,11−ジエン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセン、8−フェニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンなどが挙げられる。
脂環式オレフィンの開環重合に際して、ビニル化合物又はジエン化合物のような分子量調整剤を、モノマー全量に対して0.1〜10モル%程度を添加すると開環重合体の分子量の調整が容易になる。用いる分子量調整剤の量が少ない場合は比較的高いMwの重合体が得られ、逆に多い場合は、比較的低いMwの重合体が得られる。
分子量調整剤として用いるビニル化合物としては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどのα−オレフィン化合物;スチレン、ビニルトルエンなどのスチレン化合物;エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、アリルグリシジルエーテルなどのエーテル化合物;アリルクロライドなどのハロゲン含有ビニル化合物;酢酸アリル、アリルアルコール、グリシジルメタクリレートなどの酸素含有ビニル化合物;アクリルアミドなどの窒素含有ビニル化合物;などが挙げられる。ジエン化合物としては、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、2−メチル−1,4−ペンタジエン、2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエンなどの非共役ジエン化合物;1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどの共役ジエン化合物;が挙げられる。これらの中でも、1−ヘキセンのようなα−オレフィン化合物が特に好ましい。
本発明において使用されるルテニウム触媒は、開環重合を促進する、ルテニウムを含有する触媒であり、好ましくは中性の電子供与性配位子が配位している有機ルテニウム化合物を主成分とする触媒である。当該有機ルテニウム化合物を構成する中性の電子供与性配位子は、中心金属(すなわちルテニウム)から引き離されたときに中性の電荷を持つ配位子である。
また、本発明に用いる好適な有機ルテニウム化合物には、アニオン性配位子が配位している。アニオン性配位子は、ルテニウムから引き離されたときに負の電荷を持つ配位子である。また、有機ルテニウム化合物には、さらに対アニオンが存在していてもよい。対アニオンは、ルテニウム陽イオンとイオン対を形成する陰イオンをいい、こうした対を形成できる陰イオンであれば特に限定されない。
本発明に用いる好適な有機ルテニウム化合物の代表例としては、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)−3,3−ジフェニルプロペニリデンルテニウムジクロリド、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)フェニルビニリデンルテニウムジクロリド、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)t−ブチルビニリデンルテニウムジクロリド、ビス(1,3−ジイソプロピルイミダゾリン−2−イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、ビス(1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリン−2−イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリドなどが挙げられる。
また、上述した重合触媒の重合活性を高める方法として、ピリジン類;ホスフィン類;前述の1,3−ジイソプロピルイミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデンなどの、含窒素複素環式カルベン化合物などの中性の電子供与性化合物をルテニウム金属に対して、重量比で1〜100倍の割合で添加することもできる。
さらに、重合触媒を使用する場合には、重合活性を高めるために、例えば、NCHCOOEtなどのジアゾ化合物、フェニルアセチレンなどのアセチレン化合物またはEtSiH、PhMeSiHなどのシリル化合物を、ルテニウム金属に対して、重量比で1〜100倍の割合で添加することもできる。Etはエチル基、Phはフェニル基、Meはメチル基である。
本発明においては、重合反応は、不活性ガス雰囲気下、重合溶媒中で進行させる。不活性ガスは、重合反応性を有さず、また触媒を失活させないものであればよく、例えば、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスなどが挙げられる。
用いられる重合溶媒は、重合性モノマーを溶解し、かつ重合反応を阻害しない溶媒であれば特に限定されない。重合溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ビシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデンシクロヘキサン、シクロオクタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどの含窒素系炭化水素;ジエチルエ−テル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエ−テル類;クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンなどの含ハロゲン系炭化水素が挙げられる。これらの溶媒の中でも、比誘電率が2〜5、好ましくは2.1〜4.5の範囲に含まれる溶媒、又は2種以上の溶媒を混合して上記比誘電率の範囲に含まれるようにした混合溶媒が好ましい。溶媒の比誘電率は”Organic solvent”第2版、John A. Riddick and Emory E. Toops Jr.,1955に開示されている。
重合性溶液の重合性モノマー濃度は、1〜50重量%とすることが好ましく、2〜45重量%とすることがより好ましく、5〜40重量%とすることが特に好ましい。重合性モノマーの濃度が1重量%未満では重合体の生産性が悪くなることがあり、50重量%を超えると共重合後の粘度が高すぎて、その後の水素添加反応が遅くなることがある。
重合触媒の量は、重合触媒中の金属ルテニウムに対する脂環式オレフィンモノマーのモル比(金属ルテニウム:モノマー)で、1:100〜1:2,000,000、好ましくは1:500〜1:1,000,000、より好ましくは1:1,000〜1:500,000である。触媒量が1:100の比よりも多くなると触媒除去が困難となることがある。1:2,000,000の比よりも少なくなると十分な共重合活性が得られないことがある。重合温度は特に制限はないが、通常、−100℃〜200℃、好ましくは−50℃〜180℃、より好ましくは−30℃〜160℃、最も好ましくは0℃〜140℃である。重合時間は、通常1分〜100時間であり、重合の進行状況によって適宜調節することができる。
本発明においてはこの重合性溶液の酸素濃度を1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下である。開環重合時の重合性溶液の酸素濃度がこの範囲であれば、得られる重合体を用いて、極めて透明性の高い樹脂膜を形成することができる。
酸素濃度をこの範囲にする方法に格別な制限はないが、通常、窒素ガスやアルゴンガスのような不活性ガスを重合性溶液にバブリングして吹き込むなどの方法が挙げられる。ここで酸素濃度は、酸素濃度計により測定できる。
このような重合性溶液を用いて、脂環式オレフィンモノマーを開環重合する方法に格別な制限はなく、一般的な開環重合法と同じでよい。例えば、不活性ガス雰囲気下、酸素濃度が上記範囲に調整された重合性溶液を50〜70℃に加熱し、0.5〜2時間攪拌しながら反応させればよい。重合反応終了後は、溶剤を除去して脂環式オレフィン重合体を単離した後、水素添加反応させても良いが、溶剤を除去することなく、必要に応じて水素添加触媒を添加し、水素添加反応させることもできる。
開環重合反応及びその後の水素添加反応によって得られる重合体の重量平均分子量は通常500〜20000、好ましくは1000〜15000、より好ましくは2000〜10000である。
水素添加反応は、通常、水素添加触媒の存在下に水素を導入し、開環重合体の主鎖中の不飽和二重結合を飽和単結合にする反応である。水素添加反応に用いる水素添加触媒は、オレフィン化合物の水素添加に際して一般的に使用されているものであればよい。
水素添加触媒としては、酢酸コバルトとトリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナートとトリイソブチルアルミニウム、チタノセンジクロリドとn−ブチルリチウム、ジルコノセンジクロリドとsec−ブチルリチウム、テトラブトキシチタネートとジメチルマグネシウムのごとき遷移金属化合物とアルカリ金属化合物の組み合わせからなるチーグラー系触媒;上述したような有機ルテニウム化合物、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウムや、特開平7−2929号公報、特開平7−149823号公報、特開平11−209460号公報、特開平11−158256号公報、特開平11−193323号公報、特開平11−209460号公報などに記載されているルテニウム化合物のごとき貴金属錯体触媒などの均一系触媒;ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウムなどの金属を、カーボン、シリカ、ケイソウ土、アルミナ、酸化チタンなどの担体に担持させた不均一触媒;具体的にはニッケル/シリカ、ニッケル/ケイソウ土、ニッケル/アルミナ、パラジウム/カーボン、パラジウム/シリカ、パラジウム/ケイソウ土、パラジウム/アルミナ、ルテニウム/シリカ、ルテニウム/アルミナ、ルテニウム/カーボン、白金/シリカ、白金/アルミナ、ロジウム/アルミナ、ロジウム/カーボンなどが挙げられる。
これらの水素添加触媒のうち、官能基が変性するなどの副反応が起きず、重合体中の炭素−炭素不飽和結合を選択的に水素添加できる点から、ロジウム、ルテニウムなどの貴金属錯体触媒が好ましく、電子供与性の高い含窒素複素環式カルベン化合物若しくはホスフィン類が配位したルテニウム触媒が特に好ましい。
ルテニウム触媒は、前述のごとく重合触媒でもあるので、開環重合反応に引き続いて、水素添加反応を行うことができる。このとき、エチルビニルエーテルなどのビニル化合物やα−オレフィンなどの触媒改質剤を添加してルテニウム触媒の活性を高めることができる。
水素添加反応は、通常、有機溶媒中で実施する。有機溶媒は、生成する水素添加物の溶解性により適宜選択することができ、前記重合溶媒と同様の有機溶媒を使用することができる。したがって、重合反応後、溶媒を入れ替えることなくそのまま水素添加触媒を添加して反応させることもできる。
水素添加反応の好適な条件は、使用する水素添加触媒によって異なるが、開環重合により、脂環式オレフィンモノマーの脂環構造中に存在する炭素−炭素二重結合以外の不飽和結合を水素化しない範囲を選択するのが好ましい。この観点から、反応温度は、通常−20〜250℃、好ましくは−10〜220℃、より好ましくは0〜200℃であり、水素圧力は、通常0.01〜10MPa、好ましくは0.05〜8MPa、より好ましくは0.1〜5MPaである。反応温度が−20℃未満では反応速度が遅くなり、逆に250℃を超えると副反応が起こりやすい。また、水素圧力が0.01MPa未満では水素添加速度が遅くなり、10MPaを超えると高耐圧反応装置が必要となる。水素添加反応時間は、水素添加率をコントロールするために適宜選択される。水素添加反応時間が0.1〜50時間であれば、共重合体中の主鎖の炭素−炭素二重結合のうち、通常50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、最も好ましくは90%以上を水素添加することができる。
このようにして水素化脂環式オレフィン重合体を得ることができる。
得られた水素化脂環式オレフィン重合体は、架橋剤や、必要に応じて他の成分と共に溶剤に溶解して重合体組成物を得、これを任意の基板に塗布し、乾燥して透明樹脂膜を得る。重合体組成物の固形分濃度は、必要な樹脂膜の厚みを考慮して、任意に設定すればよいが、操作性の観点から、通常5〜40重量%である。
調製された重合体組成物は、0.1〜5μm程度のフィルタ等を用いて異物などを除去した後、使用に供することが好ましい。
本発明において溶剤は、重合体組成物に配合される各成分を溶解する溶剤を用いればよい。このような溶剤として、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブタノールなどのアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブエステル類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノt−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどのケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチルなどのエステル類;N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチルラクトンなどの非プロトン性極性溶剤;等が挙げられる。
本発明において架橋剤は、加熱により架橋剤分子間に架橋構造を形成するものや、脂環式オレフィン重合体と反応して脂環式オレフィン重合体間に架橋構造を形成することにより、透明樹脂膜を硬化させることができるものである。具体的には、2以上の反応性基を有する化合物である。かかる反応性基としては、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、イソシアネート基、ビニル基などが好ましい。
架橋剤の具体例としては、ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ポリアミン類;4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルフォンなどの芳香族ポリアミン類;2,6−ビス(4’−アジドベンザル)シクロヘキサノン、4,4’−ジアジドジフェニルスルフォンなどのアジド化合物;ナイロン、ポリヘキサメチレンジアミンテレレフタルアミド、ポリヘキサメチレンイソフタルアミドなどのポリアミド類;N,N,N’,N’,N”,N”−(ヘキサアルコキシメチル)メラミンなどのメラミン類;N,N’,N”,N”’−(テトラアルコキシメチル)グリコールウリルなどのグリコールウリル類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート重合体などのアクリレート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート系ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート系ポリイソシアネート、トリレンジイソシアネート系ポリイソシアネートなどのイソシアネート系化合物;水添ジフェニルメタンジイソシアネート系ポリイソシアネート;1,4−ジ−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ジ−(ヒドロキシメチル)ノルボルナン;1,3,4−トリヒドロキシシクロヘキサン;脂環式構造含有のエポキシ化合物又は重合体などが挙げられる。特に透明性の良好さから脂環式構造含有のエポキシ化合物又は重合体が好ましい。
架橋剤の量は格別制限されず、パターンに求められる耐熱性の程度を考慮して任意に設計すればよいが、水素化脂環式オレフィン重合体100重量部に対して、通常1〜100重量部、好ましくは5〜80重量部、さらに好ましくは10〜70重量部、最も好ましくは20〜50重量部である。架橋剤が多すぎても少なすぎても耐熱性が低下する傾向にある。
重合体組成物には、必要に応じて、他の成分、例えば感光剤やその他の添加剤を配合することができる。特に、感光剤を用いる場合は、露光し、現像してパターン状の透明樹脂膜を得ることができる。
透明樹脂膜をパターン状に形成することができる感光剤としては、キノンジアジドスルホン酸エステルが挙げられる。キノンジアジドスルホン酸エステルは、一般的に感光剤として用いられている、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロライドなどのキノンジアジドスルホン酸ハライドとフェノール性水酸基を1つ以上有するフェノール類とのエステル化合物である。フェノール類としては、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン、ノボラック重合体のオリゴマー、フェノール類とジシクロペンタジエンとを共重合して得られるオリゴマー(特許第3090991号公報)などが挙げられる。
感光剤の量は、水素化脂環式オレフィン重合体100重量部に対して、通常0.5〜100重量部であり、好ましくは1〜50重量部、特に好ましくは10〜30重量部である。感光剤が少なすぎると残膜率や解像性が悪くなるおそれがあり、逆に、感光剤が多すぎると、耐熱性や光透過性が低下する可能性がある。
また、その他の添加剤としては、例えば界面活性剤、接着助剤、帯電防止剤、保存安定剤、消泡剤、顔料、染料、酸化防止剤、増感剤が例示される。例えば、ストリエーション(塗布すじあと)の防止、現像性の向上などの目的で、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンジラウレートなどのノニオン系界面活性剤、新秋田化成社製エフトップシリーズ、大日本インキ化学工業社製メガファックシリーズ、住友スリーエム社製フロラードシリーズ、旭硝子社製アサヒガードシリーズなどのフッ素系界面活性剤、信越化学社製オルガノシロキサンポリマーKPシリーズなどのシラン系界面活性剤、共栄社油脂化学工業社製ポリフローシリーズなどのアクリル酸共重合体系界面活性剤などの各種界面活性剤を含有させることができる。界面活性剤は、感放射線性重合体組成物の固形分100重量部に対して、通常2重量部以下、好ましくは1重量部以下の量で必要に応じて用いられる。
さらに基板との接着性を向上させる目的で、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどの官能性シランカップリング剤などを接着助剤として添加しても良い。接着助剤の量は、脂環式オレフィン重合体100重量部に対して、通常20重量部以下、好ましくは0.05〜10重量部、特に好ましくは1〜10重量部である。
上述した水素化脂環式オレフィン重合体を含有する重合体組成物を用いて得られる本発明の透明樹脂膜は、基板全体を覆っているものでも良いが、後に詳述するようなフォトリソグラフィー法を利用して形成されるパターン状など部分的に基板表面を覆うものであってもよい。また、こうして得られる透明樹脂膜を更に加熱することができる。この加熱により、加熱透明樹脂膜内で架橋反応が起こり、膜が硬化される。
基板に透明樹脂膜を形成する方法に格別な制限はなく、例えば基板表面に重合体組成物を塗布、乾燥して基板上に透明樹脂膜を形成する方法などが挙げられる。この透明樹脂膜を加熱すれば、基板上で透明樹脂膜を硬化させることができる。硬化されたパターン状の透明樹脂膜を得る場合、架橋反応をパターン形成後に行うのが良い。
基板は、プリント配線板や液晶ディスプレイ用基板など配線を有するものに限らず、透明樹脂膜を形成した後、適宜、透明樹脂膜と剥離される支持フィルムなどでもよい。
基板表面や支持体に本発明の重合体組成物を塗布する方法としては、例えばスプレー法、ロールコート法、回転塗布法などの各種の方法を採用することができる。次いでこの塗膜を、加熱により乾燥し、透明樹脂膜を得る。これを更に加熱すれば、透明樹脂膜を硬化ことができる。
硬化のための加熱の方法に格別な制限はなく、例えばホットプレート、オーブンなどの加熱装置により行われる。加熱温度に格別な制限はなく、通常150〜300℃、好ましくは200〜250℃である。また、加熱時間に格別な制限はなく、例えばホットプレートを用いる場合、通常5〜60分間であり、オーブンを用いる場合、通常30〜90分間である。
パターン状の透明樹脂膜は、重合体組成物に感光剤を用いて、フォトリソグラフィー法により、基板上に形成することができる。
具体的には、基板上に感光剤を含有する重合体組成物を、上述と同様の要領によって塗布、乾燥(プリベーク)して得られた透明樹脂膜に、必要に応じてマスクパターンを介して、活性放射線を照射して、前記樹脂膜中に潜像パターンを形成し、潜像パターンを有する当該樹脂膜と現像液とを接触させることにより重合体パターンを顕在化させて基板上にパターン状の透明樹脂膜が形成される。更に、パターン状の透明樹脂膜を加熱(ポストベーク)すれば、パターン状の透明樹脂膜を硬化させることもできる。
活性放射線の種類は特に制限されず、例えば可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線、プロトンビーム線などが挙げられ、特に可視光線、紫外線が好ましい。照射する放射線量は、目的の透明樹脂膜の使用目的、膜の厚みなどにより任意に設定することができる。また、パターンの形成は、マスクを介して活性放射線を照射することによっても、電子線などで直接描画することによってもよい。
現像液はアルカリ性化合物を水に溶解した水性液であり、アルカリ性化合物としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水などの無機アルカリ類;エチルアミン、n−プロピルアミンなどの第一級アミン類;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミンなどの第二級アミン類;トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、N−メチルピロリドンなどの第三級アミン類;ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルコールアミン類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、コリンなどの第四級アンモニウム塩;ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エンなどの環状アミン類;等が挙げられる。これらアルカリ性化合物は1種類を単独で、又は2種類以上を混合して用いることができる。
現像液に、メタノール、エタノールなどの水溶性有機溶剤や界面活性剤を適当量添加することもできる。
現像時間は、特に制限されないが、通常30〜180秒間である。また現像液と潜像パターンを有する樹脂膜との接触方法は特に制限されず、例えば、パドル法、スプレー法、ディッピング法などによればよい。
現像温度は、特に制限されないが、通常15〜35℃、好ましくは20〜30℃である。
基板上にパターン状の透明樹脂膜を形成した後、必要に応じて、基板上、基板裏面、基板端部に残る不要な現像残渣を除去するために、この基板とリンス液とを常法により接触させることができる。リンス液と接触させた基板は、通常、圧縮空気や圧縮窒素で乾燥させることによって、基板上のリンス液を除去する。その後、さらに、必要に応じて、基板の透明樹脂膜が形成されている面に活性放射線を全面照射することもできる。
こうして透明樹脂膜をパターン状に形成した後の加熱(ポストベーク)は、透明樹脂膜の耐熱性向上の観点から好ましい。加熱の方法に格別な制限はなく、上述した硬化のための加熱方法と同様でよい。
以下に実施例、比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、部及び%は、特記のない限り質量基準である。測定法は以下によった。
<実施例1>
8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロドデセン100部、1−ヘキセン1.3部、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−イリデン(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド0.05部、及びテトラヒドロフラン400部を、窒素置換したガラス製耐圧反応器に仕込み、50ml/分の流速で1時間窒素流通した。得られた重合性溶液について、23℃での液中酸素濃度計(東興化学研究所製 TOX−90)で測定したところ、酸素濃度は0.8ppmであった。撹拌しつつ70℃にて2時間反応して重合体溶液を得た。2時間の反応中、数回にわたり反応液中の酸素濃度を測定したところ、常に酸素濃度は0.8±0.1ppmであった。
重合体溶液の攪拌機つきオートクレーブに移し、温度150℃にて水素を圧力4MPaで溶存させて5時間反応させ、水素化された重合体(水素化率100%)を含む重合体溶液を得た。該溶液をエチルアルコール中に注いで凝固させ、生成したクラムを乾燥して水素化脂環式オレフィン重合体(1)を得た。
<実施例2>
窒素流通の時間を短縮して酸素濃度が7.6ppmの重合性溶液を得、これを用いたこと以外は合成例1と同様にして水素化脂環式オレフィン重合体(2)を得た。尚、2時間の反応中、数回にわたり反応液中の酸素濃度を測定したところ、常に酸素濃度は7.6±1ppmであった。
<比較例1>
窒素流通をせず、酸素濃度が126ppmの重合性溶液を得、これを用いたこと以外は合成例1と同様にして水素化脂環式オレフィン重合体(3)を得た。尚、2時間の反応中、数回にわたり反応液中の酸素濃度を測定したところ、常に酸素濃度は126±5ppmであった。
<実施例3>
実施例1で得られた水素化脂環式オレフィン重合体(1)100部と、溶剤としてプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート130部、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル65部、N−メチル−1−ピロリドン65部、キノンジアジド化合物として1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン(1モル)と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド(1.9モル)との縮合物20部、架橋剤としてEHPE3150(ダイセル化学工業社製;脂環式構造含有のエポキシ重合体)25部、接着助剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン5部、界面活性剤としてメガファックF172(大日本インキ化学工業社製)0.05部を混合し溶解させた後、孔径0.45μmのミリポアフィルタでろ過して感放射線性重合体組成物を調製した。
この溶液をシリコン基板上、ガラス基板上、及び1μmの段差を有するシリコン酸化膜基板(以下、段差有基板という)上に、それぞれスピンコートした後、90℃にて2分間ポットプレート上でプリベークして、膜厚3.0μmの塗膜を形成し、塗膜が形成された各基板を得た。
得られた塗膜付きのシリコン基板上にについて、次のパターンニング工程を行った。即ち、所定のパターンを有するマスクを置き、波長365nm、光強度5mW/cmの紫外線を空気中で40秒間照射した。次いで0.3%のテトラメチルアンモニウム水溶液を用いて、25℃×60秒間の現像処理を行った。その後、超純水でリンス処理を1分間行い、ポジ型のパターンを有する薄膜を形成した。その後、全面に365nmにおける光強度が5mW/cmである紫外線を60秒間照射して、パターン状の透明樹脂膜が形成された各基板を得た。
次いで、パターン状の透明樹脂膜が形成されたシリコン基板とガラス基板及び1μm段差を有するシリコン酸化膜基板をホットプレート上で200℃、30分間加熱することにより、パターン及び塗膜のポストベークを行い、硬化されたパターン状の透明樹脂膜が形成されたシリコン基板、ガラス基板、及び段差有基板を得た。この透明樹脂膜について、解像性と透明性を評価した。
<実施例4>
重合体として実施例2で得られた水素化脂環式オレフィン重合体(2)用いる以外は、実施例3と同様にして硬化されたパターン状の透明樹脂膜が形成されたシリコン基板、ガラス基板、及び段差有基板を得た。この透明樹脂膜について、解像性と透明性を評価した。
<実施例5>
キノンジアジド化合物である1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン(1モル)と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド(1.9モル)を加えない以外は実施例1と同様に行い、シリコン基板、ガラス基板、及び段差有基板に、塗膜を形成した。塗膜が形成された各基板について、パターンニング工程を行わずに、ポストベーク工程を行い、パターンの形成されていない透明樹脂膜を各基板上に形成した。この透明樹脂膜について透明性を評価した。
<比較例2>
重合体として実施例2で得られた重合体(2)を用いる以外は実施例5と同様に行いパターンの形成されていない透明樹脂膜を各基板上に形成した。この透明樹脂膜について透明性を評価した。
<比較例3>
重合体として比較例1で得られた重合体(3)を用いる以外は実施例5と同様に行いパターンの形成されていない透明樹脂膜を各基板上に形成した。この透明樹脂膜について透明性を評価した。
[評価]
(1)解像度
得られたガラス基板上に形成されたパターン状薄膜を走査型電子顕微鏡にて観察し、ライン・アンド・スペースが1:1の線幅で形成されている、最小のパターン寸法(W)を見つけ出し、◎:W≦5μm、○:5μm<W≦10μm、△:10μm<W≦15μm、×:W>15μmの基準で評価した。
(2)透明性
得られたガラス基板について、日本分光社製紫外可視近赤外分光光度計(V−570)を用いて400〜800nmの波長での最低光線透過率(t)を測定した。
(3)加熱減量
得られたガラス基板について、セイコーインスツルメンツ製TG−DTA8200を用いて300℃での加熱減量(TG%)を測定した。この値が大きいと、脱ガス量が多くなる。
Figure 2005097423
この結果より、本発明によれば、優れた解像度と透明性を両立させることができ、更に加熱減量の少ない安定した透明樹脂膜が得られることが判る。また、感光剤を含まない透明樹脂膜も良好な透明性と少ない加熱減量が実現されている。
本発明によれば、比誘電率、透明性、耐熱寸法安定性、耐溶剤性、平坦性に優れるばかりでなく、良好な透明性と低脱ガス量とを有する透明樹脂膜を得ることができる。また感光剤を配合すれば優れた解像性を示すため、微細なパターン状の透明樹脂膜を得ることができる。
このような透明樹脂膜は、液晶表示素子、集積回路素子、固体撮像素子等の電子部品や、液晶ディスプレイ用カラーフィルタ、保護膜、平坦化膜、電気絶縁膜などの電子部品用樹脂膜であって透明性に優れた透明重合体パターン膜を与えることができる。

Claims (11)

  1. ルテニウムカルベン錯体と脂環式オレフィンモノマーとを含有する酸素濃度100ppm以下の重合性溶液を用いて、不活性ガス雰囲気下で開環メタセシス重合し、得られた重合体を水素添加することを特徴とする、水素化脂環式オレフィン重合体の製造方法。
  2. 請求項1記載の方法により得られる水素化脂環式オレフィン重合体。
  3. 酸性基を有することを特徴とする請求項2記載の水素化脂環式オレフィン重合体。
  4. 脂環式オレフィンモノマーとして、酸性基を有するものを用いて得られたものである請求項3記載の水素化脂環式オレフィン重合体。
  5. 請求項2〜4のいずれかに記載の水素化脂環式オレフィン重合体と架橋剤と溶剤とを含有してなる重合体組成物。
  6. さらに感光剤を含有する請求項5記載の重合体組成物。
  7. 感光剤が、キノンジアジドスルホン酸エステルである請求項6記載の重合体組成物。
  8. 請求項5〜7のいずれかに記載された重合体組成物を、基板上に塗布し、乾燥してなる透明樹脂膜。
  9. 請求項5〜7のいずれかに記載された重合体組成物を、基板上に塗布し、乾燥し、次いで加熱硬化してなる透明樹脂膜。
  10. 透明樹脂膜が、パターン状に形成されたものである請求項8又は9記載の透明樹脂膜。
  11. 請求項8〜10のいずれかに記載の透明樹脂膜を有する電子部品。
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