JP2005096270A - 樹脂材料廃棄物の表面塗膜剥離装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 連続的な樹脂廃棄物の処理が可能な樹脂材料廃棄物の表面塗膜剥離装置を提供する。
【解決手段】 投入口18及び排出口30を備えた剥離筒6にロール自転手段を有する剥離ロール3を内蔵してなり、表面に熱硬化性の樹脂塗膜を形成した樹脂廃棄物Pを投入口18から剥離筒6内へ投入し、剥離筒6の内面と剥離ロール3との間で前記樹脂廃棄物Pを擦り、表面から樹脂塗膜を剥離した樹脂材料Pを排出口30から剥離筒6外へ回収する表面塗膜剥離装置1において、加温手段を設けた剥離筒6に、複数の擦り突起4をロール軸5に螺旋並びで突設した剥離ロール3を内蔵してなり、前記擦り突起4は剥離筒6の内面に近接した擦り頂上面9と剥離ロール3の自転方向上流側に上り傾斜前面8とを有し、剥離筒6の内面と剥離ロール3の擦り頂上面9との間で樹脂廃棄物Pを擦り合わせる樹脂材料廃棄物の表面塗膜剥離装置1である。
【選択図】 図1
【解決手段】 投入口18及び排出口30を備えた剥離筒6にロール自転手段を有する剥離ロール3を内蔵してなり、表面に熱硬化性の樹脂塗膜を形成した樹脂廃棄物Pを投入口18から剥離筒6内へ投入し、剥離筒6の内面と剥離ロール3との間で前記樹脂廃棄物Pを擦り、表面から樹脂塗膜を剥離した樹脂材料Pを排出口30から剥離筒6外へ回収する表面塗膜剥離装置1において、加温手段を設けた剥離筒6に、複数の擦り突起4をロール軸5に螺旋並びで突設した剥離ロール3を内蔵してなり、前記擦り突起4は剥離筒6の内面に近接した擦り頂上面9と剥離ロール3の自転方向上流側に上り傾斜前面8とを有し、剥離筒6の内面と剥離ロール3の擦り頂上面9との間で樹脂廃棄物Pを擦り合わせる樹脂材料廃棄物の表面塗膜剥離装置1である。
【選択図】 図1
Description
本発明は、投入口及び排出口を備えた剥離筒に剥離ロールを内蔵してなり、表面に熱硬化性の樹脂塗膜を形成した樹脂廃棄物を投入口から剥離筒内へ投入し、剥離筒の内面と剥離ロールとの間で前記樹脂廃棄物を擦り、表面から樹脂塗膜を剥離した樹脂材料を排出口から剥離筒外へ回収する表面塗膜剥離装置に関する。
工業製品に用いられる各種樹脂製品は、表面に樹脂塗膜(以下塗膜と略する)を形成するものが多い。例えば、自動車のバンパ(正確にはバンパを構成するバンパ化粧材)は、厚さ2.5〜5.0mmのポリプロピレン基材表面上に、膜厚15〜30μmのアクリルウレタン系熱硬化性の塗膜を形成している。近年、環境問題や省資源問題の観点から、使用済みの各種樹脂製品、すなわち樹脂廃棄物を回収し、新たな樹脂材料として再生するという要請が高まっている。このためには、前記樹脂材料表面に形成した塗膜を除去しなければならない。
塗膜は、高温(例えば後掲特許文献1では80℃以上)になると、樹脂材料から剥離する。しかし、あまり高温になり過ぎる(例えば後掲特許文献1では115℃以上)と樹脂材料そのものが溶融してしまう。これから、樹脂廃棄物を一定の温度範囲(例えば後掲特許文献1では80℃〜115℃)で加熱した状態で物理的衝撃を与えると、樹脂材料を溶融させずに表面の塗膜のみを除去できることになる。
特許文献1は、突条を外周に有する剥離ロールにより衝撃作用及び撹拌作用を与えながら、破砕して粒状の粗粉砕体とした樹脂廃棄物を送り、剥離筒の吐出口を塞ぐように配設した押え板からなる圧力調節部で前記樹脂廃棄物の送り圧力を調節することで、樹脂廃棄物に生ずる摩擦熱を加減して一定の温度を保つ構成の樹脂材料を再生する表面塗膜分離装置を提案している。圧力調節部は、剥離筒内の粗粉砕体の品温を80℃〜115℃に調整可能としている。剥離した塗膜は、剥離筒に多数穿設した排出孔から適宜排出する。
特許文献1は、剥離ロールによる衝撃作用及び撹拌作用に基づいて樹脂廃棄物に発生する摩擦熱により、上記塗膜のみが剥離する温度範囲(例えば特許文献1では80℃〜115℃)を実現する。ここで、前記温度範囲は、送り板による送り圧力の加減により摩擦力を加減して調節するとしているが、温度と物理量の異なる送り圧力を媒介とする温度調節は難しい。なぜなら、樹脂廃棄物の種類や大きさ、全体の量等、処理条件によって温度と送り圧力との関係が一様に決まらないからである。
また、樹脂材料からの塗膜の剥離を促したり、剥離残しを防止するためには、剥離ロールによる衝撃作用(擦り合わせ等)を強くすればよいが、衝撃作用を強くすれば当然に摩擦熱も上がり、上記温度調節は更に難しくなることになる。単に剥離残しを防止するには、剥離ロールによる衝撃作用は小さくしながら、前記衝撃作用を与える延べ時間を長くすればよい。しかし、特許文献1が示す螺旋状の突条からなる剥離ロールは、突条を密にすると送り圧力が増加して樹脂廃棄物を高温にしてしまうし、突条を粗にすると送り速度が高まり、結果として衝撃作用の延べ時間を減らしてしまう問題がある。
このように、特許文献1が示す装置構成では、温度管理が難しいことが分かる。このほか、連続的な突条を有する剥離ロールは製造段階で長さが画一的に決定され、処理対象である樹脂廃棄物の種類、大きさ又は量によって適宜設計仕様を変更することが難しい等、製造上の問題もある。そこで、基本的には特許文献1記載の構成を用いながら、特許文献1に見られた温度管理の難しさを解消し、連続的な樹脂廃棄物の処理が可能な樹脂材料廃棄物の表面塗膜剥離装置を開発するため、検討した。
検討の結果開発したものが、投入口及び排出口を備えた剥離筒にロール自転手段を有する剥離ロールを内蔵してなり、表面に熱硬化性の樹脂塗膜を形成した樹脂廃棄物を投入口から剥離筒内へ投入し、剥離筒の内面と剥離ロールとの間で前記樹脂廃棄物を擦り、表面から樹脂塗膜を剥離した樹脂材料を排出口から剥離筒外へ回収する表面塗膜剥離装置において、加温手段を設けた剥離筒に、複数の擦り突起をロール軸に螺旋並びで突設した剥離ロールを内蔵してなり、前記擦り突起は剥離筒の内面に近接した擦り頂上面と剥離ロールの自転方向上流側に上り傾斜前面とを有し、剥離筒の内面と剥離ロールの擦り頂上面との間で樹脂廃棄物を擦り合わせる樹脂材料廃棄物の表面塗膜剥離装置である。
本発明は、剥離ロールの各擦り突起が有する擦り頂上面と剥離筒の内面との間に樹脂廃棄物を潜り込ませ、前記擦り頂上面により樹脂廃棄物を剥離筒の内面に対して擦り合わせる。これから、樹脂廃棄物は予め破砕して数mm角の小片にし、擦り頂上面と剥離筒の内面との隙間は、前記小片が移動可能なように、小片の平均的な大きさより若干大きな程度にするとよい。これにより、発生する摩擦熱を最低にしながら、擦りあわせによる衝撃作用のみを樹脂廃棄物に与えることができる。擦り潰した樹脂廃棄物が剥離筒内面に付着、塊状化しないようにするには、筒自転手段を有する剥離筒を用い、この筒自転手段により剥離ロールと逆方向に自転させるとよい。
本発明は、剥離ロールの衝撃作用による摩擦熱を利用して樹脂廃棄物を昇温させるのではなく、剥離筒に設けた加温手段により昇温させる。加温手段は直接温度を調節できるため、目標とする温度範囲を実現しやすい。具体的な加温手段は、剥離筒の外面に覆設した断熱ジャケットが前記剥離筒の外面に対して形成する加温空間と、この加温空間へ温風を送り込む剥離筒送風部とから構成する。温風は、本発明が目標とする樹脂塗膜の剥離に適した昇温が可能で、急激な温度変化を招かない利点がある。装置作動直後、必要十分な温度を実現するため、電熱ヒータを併用してもよい。
また、剥離ロールは連続した突条を設けるのではなく、複数の擦り突起をロール軸に螺旋並びで突設した。各擦り突起は、それぞれに、剥離筒の内面に近接した擦り頂上面と剥離ロールの自転方向上流側に上り傾斜前面とを有する。これにより、樹脂廃棄物を剥離筒の内面に対して擦り合わせる(衝撃作用)擦り頂上面の総面積に比例して、衝撃作用にかかる延べ時間を増やすことができる。ここで、上り傾斜前面は、樹脂廃棄物を円滑に擦り頂上面へ導く働きを有する。
樹脂材料の表面から剥離した塗膜は、粉砕され、通常樹脂廃棄物より小さくなる。そこで、剥離筒は、鉛直方向に樹脂材料から剥離した樹脂塗膜を落下分離する塗膜回収孔を多数穿孔しておき、剥離した塗膜は適宜剥離筒から落下分離させるとよい。塗膜回収孔は、筒自転手段を有さない固定した剥離筒では下面側にだけ穿孔し、筒自転手段を有する自転する剥離筒では周方向全域に穿孔する。塗膜回収孔は、樹脂廃棄物又は塗膜を剥離した樹脂材料より小さく、粉砕された塗膜より大きければ、大きさ又は形状を問わない。これにより、粉砕された塗膜のみが塗膜回収孔より落下分離し、樹脂廃棄物又は塗膜を剥離した樹脂材料のみが剥離ロールにより送られる。
本発明の剥離ロールによれば、樹脂廃棄物又は塗膜を剥離した樹脂材料は螺旋並びする擦り突起の隙間を縫うように送られる。これから、前記隙間に対する絞り突起の送り方向の長さ=幅が大きくなると、樹脂廃棄物の送りが遅くなり、送り時間を増やすことができる。これは、剥離筒の内面と擦り頂上面との間で樹脂廃棄物に衝撃作用を加える時間、具体的には樹脂廃棄物を擦り合わせる延べ時間を増やすことを意味する。逆に、隙間に対する絞り突起の幅を小さくする、すなわち絞り突起の数を増やすと、樹脂廃棄物の送りが速くなり、送り時間を短縮できる。この場合、送り時間が短くなっても、樹脂廃棄物を剥離筒に対して擦り合わせる絞り突起の数が増えるので、樹脂廃棄物を擦り合わせる延べ時間はそれほど短くならない。
このように、擦り突起を螺旋並びでロール軸に多数設けた剥離ロールが本発明の特徴であり、前記特徴に基づく作用及び効果を有している。しかし、前述のような構造の剥離ロールは、長尺のロール軸に多数の擦り突起を固着する構成で製造することが難しい。そこで、剥離ロールは、各擦り突起の幅で輪切りにしたスクリュー単位を複数連結して構成するとよい。前記構成は、連結するスクリュー単位の数によって剥離ロールの長さを自由に加減できる利点を有し、設計自由度を高める効果がある。
更に、上記スクリュー単位を連結する剥離ロールは、各スクリュー単位の擦り突起を周方向にずらしながら複数連結する構成にするとより好ましい。周方向にずれながら並ぶ各スクリュー単位の擦り突起は、全体として滑らかな螺旋並びとなり、樹脂廃棄物又は樹脂材料を確実に送ることができる。この場合、各スクリュー単位毎に複数の擦り突起を周方向に等間隔で設けておくと、螺旋並びが複数条形成され、樹脂廃棄物又は樹脂材料の送りがより確実となる。
上述の通り、本発明の剥離ロールは、樹脂廃棄物を擦り合わせる擦り突起の擦り頂上面における摩擦熱の発生を抑制しているが、それでも摩擦熱をなくすことはできない。そこで、剥離ロールは、擦り突起の擦り頂上面に向けて内側から温風を送り込む擦り突起送風部を設け、擦り頂上面の温度調整を図るようにするとよい。擦り頂上面の内側へ送り込む温風が、(1)剥離筒内の温度より低ければ冷却、逆に(2)剥離筒内の温度より高ければ加温となり、擦り頂上面の定温を可能にする。
ここで、擦り突起を中空で形成しておけば、送り込む温風により、擦り突起全体の温度調整を図ることができる。また、擦り突起送風部が各擦り突起の擦り頂上面宛に送り込む温風は、ロール軸を通して送り込まれることになるから、ロール軸を中空にするとロール軸の温度調整も図ることができる。そして、各擦り突起は、擦り頂上面に向けて内側から送り込まれた温風を擦り突起外へと排出する噴出孔を開孔しておくと、ロール軸又は擦り突起の温度調整を果たした温風により、更に剥離筒内の温度調整をも図ることができるようになる。
剥離ロールに設ける各擦り突起は、摩擦熱を極力発生させずに物理的な衝撃作用、すなわち擦りを樹脂廃棄物に与えることのできる構成が好ましい。これから、擦り突起は、上り傾斜前面を有する擦り本体に、剥離筒の内面に向けて付勢した擦り頂上面を弾支する構成にするとよい。すなわち、擦り頂上面を可動式にし、小さな樹脂廃棄物は付勢により剥離筒内面に押し付け、大きな樹脂廃棄物は押しつけを強くし過ぎないように擦り頂上面を下げて、摩擦熱の発生を抑制するわけである。擦り本体と擦り頂上面との隙間は、温度調整のために吹き込んだ温風を剥離筒へと排出する排気孔を担うこともできる。
また、擦り突起は、樹脂廃棄物に対し、上り傾斜前面が摩擦抵抗の小さな円滑面で、擦り頂上面が摩擦抵抗の大きな粗雑面であるとよい。樹脂廃棄物をすりつぶすのはあくまで擦り頂上面であるから、この擦り頂上面へ至る上り傾斜前面を円滑面とし、擦り合わせ中に樹脂廃棄物が滑落しないように擦り頂上面を粗雑面とするわけである。このほか、上り傾斜前面以外の擦り突起の側面及び背面は、擦り突起の螺旋並びによる樹脂廃棄物又は樹脂材料の送りを妨げないように、円滑面とすることが好ましい。
本発明により、塗膜のみを剥離する温度範囲で樹脂廃棄物を擦りあわせて塗膜を剥離し、樹脂材料のみを回収できるようになる。ここで、本発明の表面塗膜剥離装置は、温度調整のために別途剥離筒に加温手段を設けるため、従来に比べて高い目標温度を設定し、より狭い温度範囲での温度調整が可能になる効果がある。摩擦熱による擦り頂上面の局部的昇温は、各擦り頂上面に吹き付ける温風による冷却や、擦り本体に弾支した擦り頂上面に樹脂廃棄物を強く押し付けないようにすることで、抑制できる。これらにより、より確実に樹脂廃棄物から塗膜のみを剥離して、有用な樹脂材料の回収が可能になる。
また、本発明では、剥離ロールによる衝撃作用を小さくしながら、前記衝撃作用を与える延べ時間を長くしている。具体的には、断続的な擦り突起を螺旋並びにした剥離ロールにより樹脂廃棄物の送りを緩慢にし、更に各個独立した擦り突起を用いることで、樹脂廃棄物の擦りあわせに必要な擦り頂上面の延べ面積を増やしている。また、上り傾斜前面を円滑面とし、擦り頂上面を粗雑面とすることで、樹脂廃棄物を速やかに擦り頂上面へ導き、樹脂廃棄物が擦り合わされる機会を増やしている。これらにより、樹脂廃棄物を擦りあわせる機会(延べ時間)を増やすことができ、剥離残しを防止できる効果を得る。ここで、剥離した塗膜は、剥離筒に穿孔した塗膜回収孔から適宜回収できるので、樹脂材料に再付着する虞れがない。
このほか、各個独立した擦り突起を螺旋並びにする剥離ロールは、擦り突起の長さで輪切りにしたスクリュー単位の連結によって構成でき、処理対象である樹脂廃棄物の種類、大きさ又は量による設計仕様の変更を容易にする効果がある。例えば、擦り突起の螺旋並びは、スクリュー単位を周方向にずらしながら連結することで容易に実現できる。このように、本発明は従来同種の装置における問題を解消し、連続的に樹脂廃棄物から確実に塗膜を剥離できる表面塗膜剥離装置を提供することができる。
以下、本発明に実施形態について図を参照しながら説明する。図1は本発明の表面塗膜剥離装置1を表す断面図、図2はスクリュー単位2を連結した剥離ロール3を表す斜視図、図3は本例の表面塗膜剥離装置1の断面図、図4は別例の表面塗膜剥離装置1の断面図であり、図5は擦り突起4による擦り合わせ手順を説明する断面図である。本発明の表面塗膜剥離装置1は、樹脂廃棄物から塗膜を剥離する処理のみを担う。これから、前記表面塗膜剥離装置の前工程では裁断装置により樹脂廃棄物を小片化し、また後工程では洗浄装置を用いて剥離した塗膜Tを樹脂材料Pから完全に分離することで、樹脂廃棄物の再生ラインを構成する。
本例が示す表面塗膜剥離装置1は、図1及び図2に見られるように、中空のロール軸5を擦り突起4の幅で輪切りにしたスクリュー単位2を12基連結した剥離ロール3を円筒状の剥離筒6に内蔵した構成である。各スクリュー単位2は、周方向に等間隔(本例では120度間隔)で3個の擦り突起4を設けている。スクリュー単位2相互は、前記擦り突起4を40度ずつずらした位置関係で連結し、擦り突起4を螺旋並びにする。こうして形成される擦り突起4の螺旋並びが、樹脂廃棄物の緩やかな送りを実現する(図2中破線矢印参照)。こうした擦り突起4をずらしながらのスクリュー単位2の連結を図るため、各スクリュー単位2に位置合わせのキー溝7を設けている。
擦り突起4は、図3に見られるように、自転方向上流側にロール軸5の接線に近似した上り傾斜前面8と、剥離筒6の内面に倣った擦り頂上面9と、自転方向下流側に擦り頂上面9から略垂直にロール軸5へ降ろす垂直背面10とからなる側面視略台形の突起物である。本例の擦り突起4は、前記上り傾斜前面8、擦り頂上面9及び垂直背面10を連続する1枚の金属板で形成し、側面を塞いで中空な略台形突起に仕上げている。また、本例では、連続する1枚の金属板から形成した上り傾斜前面8は円滑面に、擦り頂上面9を粗雑面に加工している。
本例の擦り突起4は中空であり、中空のロール軸5に開孔した流風孔11を介してロール軸5及び擦り突起4は連通している。ロール軸5は、下流に延長して剥離筒6から突出し、擦り突起送風部12からの温風を軸端送風口13から送り込むようにしている。この温風は、流風孔11から擦り突起4内へ吹き込んで、擦り頂上面9に向けて内側から当たり、擦り頂上面9に発生する樹脂廃棄物との摩擦熱を奪い、垂直背面10に設けた噴出孔14から剥離筒6内へと排気する。
樹脂廃棄物は、上り傾斜前面8に沿って擦り頂上面9へ至り、この擦り頂上面9と剥離筒6の内面との間に挟まれて、擦り合わされる。ここで、例えば樹脂廃棄物を3〜5mm角程度の小片に裁断し、前記隙間は6〜8mm程度にすると、樹脂廃棄物は前記隙間に挟まれながらほとんど摩擦熱を発生させることなく擦り合わすことができる。本例では、上述のように相対的に温度が低い温風を擦り頂上面9に向けて内側から吹き当てることにより、摩擦熱による擦り頂上面9の局部的昇温を防止している。
しかし、樹脂廃棄物の大きさ又は形状は不均一で、隙間につっかえる可能性もある。そこで、例えば図4に見られるように、上り傾斜前面8を有する擦り本体15に、剥離筒6の内面に向けて付勢した擦り頂上面9を弾支して擦り突起4を構成するとよい。本例では、上り傾斜前面8上縁に設けた揺動軸16を介して軸着した擦り頂上面9へ、ロール軸5に固着したコイルスプリング17により、剥離筒6の内面に向けた付勢(半径方向外向きの付勢)を与えている。これにより、小片とした樹脂廃棄物の大きさ又は形状に合わせて擦り頂上面9が揺動するため、樹脂廃棄物は必要十分に擦りあわせることができ、かつ詰まることなく隙間を抜けていくことができる。
本例の剥離ロール3は、ロール軸5を上流へ延長し、剥離筒6の投入口18直下付近に食い込ませスクリュー19を設けている。この食い込ませスクリュー19は、前記投入口18から投入した樹脂廃棄物を剥離ロール3へと導くもので、必須ではない。しかし、連続する螺旋条20を有する食い込ませスクリュー19は、樹脂廃棄物に若干の送り圧力を加えることができる利点があり、樹脂廃棄物の送りが弱い剥離ロール3に対して、補助的に併用すると好ましい。例えば、剥離ロールが長尺な場合、剥離ロールの中間に適宜食い込ませスクリューを介在させることもできる。ロール軸5は、更に上流側へ延長して剥離筒6から突出させて駆動プーリ21を設け、前記駆動プーリ21とモータ22との間に駆動ベルト23を掛け回して、ロール自転手段であるモータ22から自転動力を受けている。剥離筒6は、前記モータ22からの自転動力を分岐して自転させることができ、この場合、モータ22が筒自転手段を兼ねることになる。
本例の剥離筒6は、外面に電熱ヒータ24及び剥離筒送風部25による加温手段を設けた断面円形の筒体である。各面が滑らかに連続していれば断面多角形の剥離筒でもよいが、自転する剥離ロール3の擦り突起4の擦り頂上面9に対して隙間が一定である断面円形の剥離筒6が好ましい。電熱ヒータ24は、剥離筒6を昇温させる主たる熱源で、剥離筒6の外面に断熱ジャケット26を覆設して形成した加温空間27内で剥離筒6の外面へ直接巻回している。本例では、電熱ヒータ24によって剥離筒6を目標温度150℃にまで昇温し、剥離筒送風部25によって温度調整を図る。
剥離筒送風部25は、前記加温空間27に対して設けた送風口28から温風を送り込み、剥離筒6の温度が前記目標温度に近付くように、150℃±5℃の範囲で温度調整する。前記温度調整範囲は、従来(例えば特許文献1)に比べて目標温度が高く、かつ温度範囲も狭いが、本発明のような温風を主体とした温度調整は樹脂廃棄物の摩擦熱を利用した昇温に比べて安定かつ確実であるため、実現可能な制御範囲である。昇温送付部25は、剥離筒6の外面に設けた温度センサ29が検出する剥離筒6の温度を制御変数とし、温風の温度又は量を操作変数とするフィードバック制御により、剥離筒6内の温度調整を図る。
本例の剥離筒6は、樹脂廃棄物の投入口18、樹脂材料Pの排出口30のほか、鉛直方向に樹脂材料Pから剥離した塗膜Tを落下分離する塗膜回収孔31を下面側に多数穿孔している。本例の剥離筒6は筒自転手段を有さないため、塗膜回収孔31は下面側にだけ穿孔しているが、自転する剥離筒では、周方向全域に塗膜回収孔を設けておく。この塗膜回収孔31により、樹脂材料Pから剥離した塗膜Tは、樹前記塗膜回収孔31から断熱ジャケット26の下面側へと落下分離できる。排出口30から排出される樹脂材料Pにもわずかに塗膜Tが残っているが、前記塗膜Tは後工程の洗浄装置により樹脂材料Pと分離できる。また、断熱ジャケット26に蓄積した塗膜Tは、適宜回収すればよい。
本例の表面塗膜剥離装置1による樹脂廃棄物の擦り合わせによる塗膜除去について、説明する。投入口18から投入された3〜5mm角の小片からなる樹脂廃棄物は、まず食い込ませスクリュー19に従って剥離ロール3の擦り突起4へと、弱い送り圧力で送り込まれる。本例の剥離ロール3及び食い込ませスクリュー19の自転は、40〜100rpmである。こうして、樹脂廃棄物は各スクリュー単位2の擦り突起4,4間に入り込み、剥離ロール3の自転に従って擦り突起4によって擦り合わされていく。具体的には、図5に見られるように、擦り突起4,4間に入り込んだ樹脂廃棄物Pは、自転方向(図5では左回転)の下流に位置する擦り突起4(図5中ハッチングにて図示)の上り傾斜前面8によって押し上げられていく(図5(a))。
しかし、擦り突起4と剥離筒6の内面との間には隙間があり、また樹脂廃棄物Pは3〜5mm角の小片の集合物であって流動性を備えるため、上述のように上り傾斜前面8によって押し上げられるにつれて隙間へと侵入していく(図5(b))。この際、樹脂廃棄物Pは、擦り頂上面9によって剥離筒6の内面に対して擦り合わされ、塗膜Tを剥離するに必要な衝撃作用を受ける。
擦り突起4は、ロール軸5に従って旋回していくから、やがて樹脂廃棄物Pは上記隙間を抜けて次の擦り突起4,4間に入り込む。このとき、樹脂廃棄物Pはまとまるのではなくばらけるため、一部はそのまま同一スクリュー単位2の擦り突起4,4間に入り込むが、その他は擦り突起4の螺旋並びに従って下流のスクリュー単位2の擦り突起4,4間に移動し、この下流のスクリュー単位2の擦り突起4によって擦り合わされる(図5(c)、下流のスクリュー単位2おける擦り突起4を仮想線で示す)。このとき、擦り突起4,4間にほぐし突起32(図2中右端のスクリュー単位2中仮想線参照)を設けておくと、樹脂廃棄物がばらけやすくなる利点がある。
本発明の表面塗膜剥離装置は、こうした各擦り突起による樹脂廃棄物の擦り合わせと、擦り合わせ突起の螺旋並びに従った樹脂廃棄物の移動とによって樹脂廃棄物から塗膜を除去した樹脂材料を排出口から排出する。剥離ロールにおける樹脂廃棄物の移動は、各スクリュー単位の擦り突起間での受け渡しによるため、例えば食い込ませスクリューに比べて時間をかけて樹脂廃棄物を移動させることができる。これにより、より長い時間をかけて樹脂廃棄物を擦り合わせ、塗膜を残すことなく剥離できる。
1 表面塗膜剥離装置
3 剥離ロール
4 擦り突起
5 ロール軸
6 剥離筒
8 上り傾斜前面
9 擦り頂上面
18 投入口
24 電熱ヒータ
30 排出口
31 塗膜回収孔
P 樹脂廃棄物又は樹脂材料
T 塗膜
3 剥離ロール
4 擦り突起
5 ロール軸
6 剥離筒
8 上り傾斜前面
9 擦り頂上面
18 投入口
24 電熱ヒータ
30 排出口
31 塗膜回収孔
P 樹脂廃棄物又は樹脂材料
T 塗膜
Claims (10)
- 投入口及び排出口を備えた剥離筒にロール自転手段を有する剥離ロールを内蔵してなり、表面に熱硬化性の樹脂塗膜を形成した樹脂廃棄物を投入口から剥離筒内へ投入し、剥離筒の内面と剥離ロールとの間で前記樹脂廃棄物を擦り、表面から樹脂塗膜を剥離した樹脂材料を排出口から剥離筒外へ回収する表面塗膜剥離装置において、加温手段を設けた剥離筒に、複数の擦り突起をロール軸に螺旋並びで突設した剥離ロールを内蔵してなり、前記擦り突起は剥離筒の内面に近接した擦り頂上面と剥離ロールの自転方向上流側に上り傾斜前面とを有し、剥離筒の内面と剥離ロールの擦り頂上面との間で樹脂廃棄物を擦り合わせることを特徴とする樹脂材料廃棄物の表面塗膜剥離装置。
- 剥離筒は、筒自転手段を有し、該筒自転手段により剥離ロールと逆方向に自転してなる請求項1記載の樹脂材料廃棄物の表面塗膜剥離装置。
- 剥離筒は、剥離筒の外面に覆設した断熱ジャケットが前記剥離筒の外面に対して形成する加温空間と、該加温空間へ温風を送り込む剥離筒送風部とから加温手段を構成してなる請求項1記載の樹脂材料廃棄物の表面塗膜剥離装置。
- 剥離筒は、鉛直方向に樹脂材料から剥離した樹脂塗膜を落下分離する塗膜回収孔を多数穿孔してなる請求項1記載の樹脂材料廃棄物の表面塗膜剥離装置。
- 剥離ロールは、各擦り突起の幅で輪切りにしたスクリュー単位を複数連結してなる請求項1記載の樹脂材料廃棄物の表面塗膜剥離装置。
- 剥離ロールは、各スクリュー単位の擦り突起を周方向にずらしながら複数連結してなる請求項4記載の樹脂材料廃棄物の表面塗膜剥離装置。
- 剥離ロールは、擦り突起の擦り頂上面に向けて内側から温風を送り込む擦り突起送風部を設けてなる請求項1記載の樹脂材料廃棄物の表面塗膜剥離装置。
- 擦り突起は、擦り頂上面に向けて内側から送り込まれた温風を擦り突起外へと排出する噴出孔を開孔してなる請求項6記載の樹脂材料廃棄物の表面塗膜剥離装置。
- 擦り突起は、上り傾斜前面を有する擦り本体に、剥離筒の内面に向けて付勢した擦り頂上面を弾支した請求項1記載の樹脂材料廃棄物の表面塗膜剥離装置。
- 擦り突起は、樹脂廃棄物に対し、上り傾斜前面が摩擦抵抗の小さな円滑面で、擦り頂上面が摩擦抵抗の大きな粗雑面である請求項1記載の樹脂材料廃棄物の表面塗膜剥離装置。
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