JP2005096089A - 透明蒸着ポリエステルフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、食品、医薬品、医療機器、電子部品などの包装フィルムにおいて重要な特性とされる酸素、水蒸気などに対する高度のガスバリア性を有し、透明性、耐ピンホール性や耐湿性に優れる透明蒸着ポリエステルフィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】10%伸び時の伸び強度が100MPa以下であるポリエステル系フィルム基材の少なくとも片面に、無機化合物からなる蒸着薄膜層を第1層とし、水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシド及びその加水分解物又は(b)塩化錫の少なくとも一方を含む水溶液、あるいは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を塗布し、加熱乾燥してなるガスバリア性被膜を第2層として積層してなることを特徴とする透明蒸着ポリエステルフィルムである。
【選択図】図1
【解決手段】10%伸び時の伸び強度が100MPa以下であるポリエステル系フィルム基材の少なくとも片面に、無機化合物からなる蒸着薄膜層を第1層とし、水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシド及びその加水分解物又は(b)塩化錫の少なくとも一方を含む水溶液、あるいは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を塗布し、加熱乾燥してなるガスバリア性被膜を第2層として積層してなることを特徴とする透明蒸着ポリエステルフィルムである。
【選択図】図1
Description
本発明は、食品、医薬品、医療機器、電子部品などの包装フィルムにおいて重要な特性とされる酸素、水蒸気に対する高度のガスバリア性を有し、透明性、耐ピンホール性や耐湿性に優れる透明蒸着ポリエステルフィルムに関する。
近年、食品、医薬品等の包装に用いられる包装材料は、内容物の変質、とくに食品においては蛋白質や油脂等の酸化、変質を抑制し、さらに味、鮮度を保持するために、また無菌状態での取扱いが必要とされる医薬品においては有効成分の変質を抑制し、効能を維持するために、包装材料を透過する酸素、水蒸気、その他内容物を変質させる気体による影響を防止する必要があり、これら気体(ガス)を遮断するガスバリア性を備えることが求められている。
食品、医薬品、化学薬品等の包装材料に用いられる透明なプラスチックフィルムは、包装された内容物の変質を防ぐために、水蒸気や酸素などのガス透過率の小さい材質のものが用いられている。そして、さらに高度のガスバリヤ性が必要な包装材料の場合は、フィルムにアルミニウム箔を貼り合せたものや、フィルムの表面にアルミニウムを蒸着させたものが用いられててきた。しかし、このような金属箔等を用いた包装材料は、水蒸気や酸素などに対するガスバリヤ性には優れているものの、不透明であり、内容物を外から見ることができないという欠点があって、包装材料としては適当でない面があった。
一方、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデンを主成分とし、これと共重合可能な他の化合物、例えば塩化ビニル、メチルアクリレート、メチルメタアクリレート、アクリロニトリルなどの共重合物等の塩化ビニリデン系樹脂よりなるフィルム、及びこれらの塩化ビニリデン系樹脂をポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド等よりなるフィルムにコーティングした塩化ビニリデン系樹脂コートフィルムも、ガスバリヤ性を備えた包装材料として用いられている。これらのは、フィルム自体が水蒸気や酸素などに対するガスバリヤ性を備えており、湿度依存性は小さいが、酸素バリア性を1cm3/m2・day・atm以下とする高度のガスバリア材(ハイガスバリア材)を実現することは、困難であるという問題がある。また、被膜中に塩素を多量に含むため、焼却処理やリサイクリングなど廃棄物処理の面で問題がある。
さらに、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体など一般にガスバリア性が比較的高いと言われる高分子樹脂組成物をラミネート又はコーティングによりガスバリア性積層体として包装材料に用いた包装フィルムが一般的に使用されてきた。また、適当な高分子樹脂組成物(単独では、高いガスバリア性を有していない樹脂であっても)にAlなどの金属又は金属化合物を蒸着した金属蒸着フィルムや、最近では、一酸化珪素(SiO)などの珪素酸化物(SiOX)薄膜、酸化マグネシウム(MgO)薄膜を透明性を有する高分子材料からなる基材上に蒸着などの形成手段により形成された蒸着フィルムが開発されており、これらは高分子樹脂組成物からなるガスバリア材より優れたガスバリア特性を有しており、高湿度下での劣化も少なく、包装材料に用いた包装フィルムが一般的に使用され始めている。
ところが、上述のポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体の高分子樹脂組成物を用いてなるガスバリア性積層体は、温度依存性及び湿度依存性が大きいため、高温又は高湿下においてガスバリア性の低下が見られ、とくに水蒸気バリア性がなく、包装の用途によっては煮沸処理やレトルト処理を行うとガスバリア性が著しく低下する
ことがある。
ことがある。
したがって、このような積層フィルムに、高度のガスバリヤ性を付与させるためには、積層フィルムの厚さを増大させねばならず、フィルムの厚さを増大すると、積層フィルムの透明性や柔軟性が損なわれ、包装材料として好ましい性質が失われるという欠点があった。
以下に特許文献を示す。
特公昭53−12953号公報、
特開昭60−27532号公報 また、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリアミド系フィルムなどにケイ素酸化物やマグネシウム酸化物を蒸着したフィルムも提案されている(特許文献1および特許文献2参照)が、これらのフィルムも高度のガスバリヤ性が必要とされる用途には不充分である。
また、ポリアミド系フィルムにケイ素酸化物やマグネシウム酸化物を蒸着したフィルムも、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリプロピレンフィルムにケイ素酸化物やマグネシウム酸化物を蒸着したフィルムよりもガスバリヤ性が劣り、高度のガスバリヤ性が必要とされる用途には適用し難いものであった。
さらに、上述の金属又は金属化合物を蒸着した金属蒸着フィルムや一酸化珪素(SiO)などの珪素酸化物薄膜、酸化マグネシウム(MgO)薄膜を蒸着した蒸着フィルムは、ガスバリア層に用いられる無機化合物の薄膜が可撓性に欠けており、揉みや折り曲げに弱く、また基材との密着性が悪いため、取り扱いに注意を要し、とくに印刷、ラミネート、製袋など包装材料の後加工の際に、クラックを発生しガスバリア性が著しく低下する問題がある。また、形成方法に真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ化学気相成長法などの真空プロセスを用いて形成するため、装置が高価であり、また形成工程において局部的に高温となり、基材に損傷を生じたり、低分子量部或いは可塑剤などの添加剤部などの分解、脱ガスなどを起因とする無機薄膜中に欠陥、ピンホール等を発生することがあり、高いガスバリア性を達成できないこと、コスト的に高価となるという問題を有している。
以下に特許文献を示す。
特開昭62−295931号公報 そのため、上記問題に対して、特許文献3に記載されているように、基材に金属アルコキシドの被膜を形成してなるガスバリア材が提案されている。このガスバリア材は、ある程度の可撓性を有するとともに、液相コーティング法による製造ができるため、コスト的にも安価とすることができる。
しかしながら、上記ガスバリア材は、基材単体の場合に比べて、ガスバリア性が向上すると言えるが、絶対的なガスバリア性を有するとは言えないものであった。
以下に特許文献を示す。
特開平5−9317号公報 さらに、特許文献4に記載されているように、ガスバリア性の付与された樹脂成形品の製造方法として、基材に酸化珪素(SiOX)の蒸着薄膜を形成し、その蒸着薄膜上にSiO2粒子と水溶性樹脂あるいは水性エマルジョンの混合溶液をコーティングした後、乾燥する方法が提案されている。この製造方法による樹脂成形品は、外部応力による変形の際に、SiOX蒸着薄膜上にコーティングされたSiO2粒子と樹脂との混合層がSiOX蒸着薄膜に生じるマイクロクラックの広がりを抑え、クラック部位を保護することにより、ガスバリア性の低下を抑制することができるものである。しかしながら、この構成からなる樹脂成形品は、SiOX蒸着薄膜に生じるマイクロクラックの広がりを抑え、ガスバリア性の低下を抑制するのみであり、その効果は単なる蒸着薄膜の保護層としての役割に過ぎない。上記構成の樹脂成形品のガスバリア性は蒸着層の上に形成されるコーティング層が単なるSiO2粒子と樹脂の混合被膜であるため、基材に単に蒸着薄膜を形成した蒸着フィルムのガスバリア性を示す程度であり、より高いガスバリア性を得ることは不可能であった。
以下に特許文献を示す。
特開平7−164591号公報 そこで、特許文献5に記載されているように、可撓性を有するとともに酸素、水蒸気などに対するガスバリア性に優れ、耐熱性、耐湿性、耐水性を有し、かつ製造が容易なガスバリア性積層フィルムを提供することを目的として、ポリエステルやナイロンなどのポリアミド等の高分子樹脂組成物からなる基材上に、無機化合物からなる蒸着層を第1層とし、水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシド及びその加水分解物又は(b)塩化錫の少なくとも一方を含む水溶液、或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を塗布し、加熱乾燥してなるガスバリア性被膜を第2層として積層してなることを特徴とするガスバリア性積層フィルムが提案されている。
しかしながら、従来のポリエステルやナイロンなどのポリアミド等の高分子樹脂組成物からなる基材として、ナイロンなどのポリアミドフィルムは、特性上の問題があり、特に吸湿率および湿度膨張係数が大きいという本質的な性質は、フィルムをロール状で保存する場合に平面性が悪化する、蒸着加工が困難である、吸湿時に印刷・ラミネート層の接着力が低下するなどの点で問題である。これに対し、従来のポリエステルフィルムは吸湿率、湿度膨張係数ともに非常に小さく、湿度特性上の問題はないが、突刺強度や耐衝撃性、耐ピンホール性に問題があり、特に、耐ピンホール性が要求される分野の包装材料としては問題があった。
そこで、本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、食品、医薬品、医療機器、電子部品などの包装フィルムにおいて重要な特性とされる酸素、水蒸気などに対する高度のガスバリア性を有し、透明性、耐ピンホール性や耐湿性に優れる透明蒸着ポリエステルフィルムを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、すなわち
請求項1に係る発明は、
10%伸び時の伸び強度が100MPa以下であるポリエステル系フィルム基材の少なくとも片面に、無機化合物からなる蒸着薄膜層を第1層とし、水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシド及びその加水分解物又は(b)塩化錫の少なくとも一方を含む水溶液、あるいは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を塗布し、加熱乾
燥してなるガスバリア性被膜を第2層として積層してなることを特徴とする透明蒸着ポリエステルフィルムである。
請求項1に係る発明は、
10%伸び時の伸び強度が100MPa以下であるポリエステル系フィルム基材の少なくとも片面に、無機化合物からなる蒸着薄膜層を第1層とし、水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシド及びその加水分解物又は(b)塩化錫の少なくとも一方を含む水溶液、あるいは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を塗布し、加熱乾
燥してなるガスバリア性被膜を第2層として積層してなることを特徴とする透明蒸着ポリエステルフィルムである。
請求項2に係る発明は、
前記無機化合物からなる蒸着薄膜層の厚さが、5〜300nmの範囲を満たすことを特徴とする請求項1記載の透明蒸着ポリエステルフィルムである。
前記無機化合物からなる蒸着薄膜層の厚さが、5〜300nmの範囲を満たすことを特徴とする請求項1記載の透明蒸着ポリエステルフィルムである。
請求項3に係る発明は、
前記無機化合物からなる蒸着層が、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムのいずれか、もしくは、それらの混合物であることを特徴とする請求項1または2記載の透明蒸着ポリエステルフィルムである。
前記無機化合物からなる蒸着層が、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムのいずれか、もしくは、それらの混合物であることを特徴とする請求項1または2記載の透明蒸着ポリエステルフィルムである。
請求項4に係る発明は、
前記金属アルコキシドが、テトラエトキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウムのいずれか、もしくは、それらの混合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明蒸着ポリエステルフィルムである。
前記金属アルコキシドが、テトラエトキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウムのいずれか、もしくは、それらの混合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明蒸着ポリエステルフィルムである。
請求項5に係る発明は、
前記水溶性高分子がポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明蒸着ポリエステルフィルムである。
<作用>
本発明によれば、10%伸び時の伸び強度が100MPa以下であるポリエステル系フィルム基材上に、無機化合物からなる蒸着層を第1層とし、水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシド及びその加水分解物又は(b)塩化錫の少なくとも一方を含む水溶液、或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を塗布し、加熱乾燥してなるガスバリア性被膜を第2層として積層してなることにより、第2層が反応性に富む無機成分を含有し、水溶性高分子との複合被膜がガスバリア性に優れることから第1層と第2層との界面に両層の反応層を生じるか、あるいは第2層が第1層に生じるピンホール、クラック、粒界などの欠陥或いは微細孔を充填、補強することで、緻密構造が形成されるため、高度のガスバリア性、耐水性、耐湿性を有するとともに、変形に耐えられる可撓性を有する。また、10%伸び時の伸び強度が100MPa以下であるポリエステルフィルムを基材として使用することで、従来のポリエステルフィルムには無い、2軸延伸ナイロンフィルムのような、強度が大きく、突刺強度、耐衝撃性、耐ピンホール性を有する。したがって、高度のガスバリア性を有し、特に耐ピンホール性、耐湿性が要求される、食品、医薬品、医療機器、電子部品などの包装フィルム分野に好適に用いられる。
前記水溶性高分子がポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明蒸着ポリエステルフィルムである。
<作用>
本発明によれば、10%伸び時の伸び強度が100MPa以下であるポリエステル系フィルム基材上に、無機化合物からなる蒸着層を第1層とし、水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシド及びその加水分解物又は(b)塩化錫の少なくとも一方を含む水溶液、或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を塗布し、加熱乾燥してなるガスバリア性被膜を第2層として積層してなることにより、第2層が反応性に富む無機成分を含有し、水溶性高分子との複合被膜がガスバリア性に優れることから第1層と第2層との界面に両層の反応層を生じるか、あるいは第2層が第1層に生じるピンホール、クラック、粒界などの欠陥或いは微細孔を充填、補強することで、緻密構造が形成されるため、高度のガスバリア性、耐水性、耐湿性を有するとともに、変形に耐えられる可撓性を有する。また、10%伸び時の伸び強度が100MPa以下であるポリエステルフィルムを基材として使用することで、従来のポリエステルフィルムには無い、2軸延伸ナイロンフィルムのような、強度が大きく、突刺強度、耐衝撃性、耐ピンホール性を有する。したがって、高度のガスバリア性を有し、特に耐ピンホール性、耐湿性が要求される、食品、医薬品、医療機器、電子部品などの包装フィルム分野に好適に用いられる。
本発明の透明蒸着ポリエステルフィルムは、透明性に優れ、かつ、極めて優れたガスバリヤ性を発揮するものであり、耐ピンホール性、柔軟性があって、強度、ラミネート強度、耐水性、耐湿性、ボイル・レトルト耐性に優れ、経済性の面でも優れている。また、高湿度の条件下で長期間使用してもガスバリヤ性が損なわれることがなく、さらに他の樹脂と積層しても、その強度は十分実用に耐えるものである。すなわち高温・高湿度雰囲気下においてもガスバリア性を損なうことなく、食品や医薬品など内容物を劣化させることなく長期保存を可能とするものである。また包装材料として印刷やラミネート、製袋など後加工においてもガスバリア性を損なうことがない。したがって、食品、医薬品、化学薬品、医療機器、電子部品等の包装材料をはじめとして、高度のガスバリヤ性が要求される広範囲の用途の包装材料に用いることができ、その工業的利用価値は大きい。
以下、本発明の一実施例としての好ましい実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の透明蒸着ポリエステルフィルムの構成の一例を示す断面図である。
図1に示すように、本発明の透明蒸着ポリエステルフィルム1は、10%伸び時の伸び強度が100MPa以下であるポリエステル系フィルム基材2の少なくとも片面に、無機化合物からなる蒸着薄膜層3を第1層とし、水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシド及びその加水分解物又は(b)塩化錫の少なくとも一方を含む水溶液、あるいは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を塗布し、加熱乾燥してなるガスバリア性被膜4を第2層として積層してなることを特徴とするものである。
上記のポリエステル系フィルム基材2は、フィルムを構成するポリエステル系樹脂組成およびそのフィルムの延伸倍率と熱処理温度などにより、10%伸び時の伸び強度を100MPa以下の物性値を達成することができる。
例えば、ポリエステル系フィルム基材2として、ポリエステルを構成するジカルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、多官能酸などが挙げられる。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸、およびそれらの誘導体などがあり、脂環族ジカルボン酸としては、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸およびその誘導体などがあり、脂肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、エイコ酸、ダイマー酸およびそれらの誘導体などがあり、多官能酸としてはトリメリット酸、ピロメリット酸およびその誘導体などが代表的なものである。アルコール成分としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールおよびそれらの誘導体などが代表的なものである。さらに本発明に用いる柔軟性ポリエステルAは、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールのようなポリエーテルを共重合したポリエステルエーテルや、ポリアミドを共重合したポリエステルアミド、ポリカプロラクトンのような脂肪族ポリエステルとのブロック共重合体なども含むものである。
これらのポリエステルの中で、2軸延伸特性などの製膜性、湿度特性、耐熱性、耐薬品性、低コスト性その他の観点からは、ポリエチレンテレフタレート(PET)を主体とした、好ましくはポリエステルの酸成分およびアルコール成分おのおのの50モル%以上がテレフタル酸、エチレングリコールおよびそれらの誘導体であるポリエステルがポリエステルフィルムとしてに好ましく用いられる。さらに、柔軟性を付与する点では、ガラス転移温度が60℃以下、好ましくは55℃以下、特に好ましくは50℃以下であることが望ましい。
さらに、フィルムに柔軟性を付与するためには、例えば、PETを主体とするポリエステルに脂肪族ジカルボン酸、ポリエーテル、脂肪族ポリエステルなどを共重合することが効果的であるが、炭素数10以上、好ましくは20以上のアルキレン基を有する長鎖脂肪族ジカルボン酸を共重合することが、耐熱性、品質安定性の点で好ましい。長鎖脂肪族ジカルボン酸としてはドデカンジオン酸、エイコ酸、ダイマー酸およびそれらの誘導体などがあるが、特に本発明ではこれらの中でも分岐状構造を有している分岐脂肪族ジカルボン酸であることが、耐衝撃性を向上させる面で好ましく、その中でもダイマー酸を用いることが耐熱性、透明性を良好にする上で好ましい。
ここでダイマー酸とはオレイン酸メチル等の不飽和脂肪族ジカルボン酸を2量化・水素添加反応によって得られる鎖状分岐構造体と環状分岐構造体との混合物の総称であり、メ
チレン鎖の炭素数が20〜80、好ましくは30〜60のものである。また、通常不飽和結合が残留しているが、ASTM−D−1159で測定した臭素価を0.05〜10(g/100g)、好ましくは0.1〜5(g/100g)としたものが耐熱性、柔軟性に優れるため好ましい。ダイマー酸の共重合量は酸成分について1〜40モル%、好ましくは5〜20モル%である。
チレン鎖の炭素数が20〜80、好ましくは30〜60のものである。また、通常不飽和結合が残留しているが、ASTM−D−1159で測定した臭素価を0.05〜10(g/100g)、好ましくは0.1〜5(g/100g)としたものが耐熱性、柔軟性に優れるため好ましい。ダイマー酸の共重合量は酸成分について1〜40モル%、好ましくは5〜20モル%である。
上記のポリエステルフィルムの延伸倍率と熱処理温度については、逐次2軸延伸プロセス、同時2軸延伸プロセスなどにおいて、本発明における10%伸び時の伸び強度が100MPa以下の物性値を達成するには、延伸倍率と熱処理温度が重要である。実験を重ねた結果、特に突刺強度は延伸倍率と熱処理温度の影響を受け、延伸倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)は5〜25倍、好ましくは6〜20倍、熱処理温度は120〜240℃、好ましくは130〜230℃であることが望ましい。延伸倍率が低い場合も高い場合も突刺強度は急激に低下し、熱処理温度は低い場合突刺強度が低く、高い場合はフィルム破れが生じるため好ましくない。また、ゲルボ特性は、熱処理温度がポリエステルAの融点以下であると良好となるので好ましい。ここで、本発明の熱処理温度とは、示差走査型熱量計を用いて観測される、ポリエステルの熱処理時の熱履歴として残存している熱結晶化に伴うメタクリスタルの融解ピークの温度を意味し、必ずしも製膜中の熱処理ロールあるいはオーブン中の雰囲気温度に一致するものではない。
上記のポリエステルフィルムには、帯電防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、結晶核剤、耐候剤、紫外線吸収剤、顔料、染料などの添加剤を本発明の目的を損なわない程度において用いることができる。また、コロナ放電処理、プラズマ処理、アルカリ処理などの表面処理を必要に応じて施してもよい。
フィルムの厚さは特に限定はないが、1〜1000μm、好ましくは5〜500μmで有効に使用される。
本発明における第1層である無機酸化物からなる蒸着薄膜層3は、珪素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、錫、マグネシウムなどの酸化物、窒化物、弗化物の単体、あるいはそれらの複合物からなり、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ気相成長法(CVD法)などの真空プロセスにより形成される。とくに酸化アルミニウムは、無色透明であり、ボイル・レトルト耐性等の特性にも優れており、広範囲の用途に用いることができる。
無機蒸着層3の膜厚は、用途や第2層の膜厚によって異なるが、数十Åから500nmの範囲が望ましいが、5nm以下では薄膜の連続性に問題があり、また300nmを越えるとクラックが発生しやすく、可撓性が低下するため、好ましくは5〜300nmである。
本発明における第2層であるガスバリア性被膜層4は、水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシド及びその加水分解物又は(b)塩化錫の少なくとも一方を含む水溶液、或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤からなる。水溶性高分子と塩化錫を水系(水或いは水/アルコール混合)溶媒で溶解させた溶液、或いはこれに金属アルコキシドを直接、或いは予め加水分解させるなど処理を行ったものを混合した溶液を基材2上の無機薄膜層3にコーティング、加熱乾燥し、形成したものである。コーティング剤に含まれる各成分について以下に詳述する。
本発明におけるコーティング剤に用いられる水溶性高分子はポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなどが挙げられる、とくにポリビニルアルコール(PVA)を、本発明
の蒸着ポリエステルフィルムのコーティング剤に用いた場合にガスバリア性が最も優れる。ここでいうPVAは、一般にポリ酢酸ビニルをけん化して得られるもので、酢酸基が数十%残存している、いわゆる部分けん化PVAから酢酸基が数%しか残存していない完全けん化PVAまでを含み、とくに限定されるものではない。
の蒸着ポリエステルフィルムのコーティング剤に用いた場合にガスバリア性が最も優れる。ここでいうPVAは、一般にポリ酢酸ビニルをけん化して得られるもので、酢酸基が数十%残存している、いわゆる部分けん化PVAから酢酸基が数%しか残存していない完全けん化PVAまでを含み、とくに限定されるものではない。
また、塩化錫は塩化第一錫(SnCl2)、塩化第二錫(SnCl4)、あるいはそれらの混合物であってもよく、無水物でも水和物でも用いることができる。
さらに、金属アルコキシドは、テトラエトキシシラン〔Si(OC2H5)4〕、トリイソプロポキシアルミニウム〔Al(O−2’−C3 H7 )3 〕などの一般式、
M(OR)n
(M:Si、Ti、Al、Zr等の金属,R:CH3、C2H5等のアルキル基)で表せるものである。なかでもテトラエトキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウムが加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であるので好ましい。
M(OR)n
(M:Si、Ti、Al、Zr等の金属,R:CH3、C2H5等のアルキル基)で表せるものである。なかでもテトラエトキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウムが加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であるので好ましい。
上述した各成分を単独またはいくつかを組み合わせてコーティング剤に加えることができ、さらにコーティング剤のバリア性を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、或いは分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤など公知の添加剤を加えることができる。
例えば、コーティング剤に加えられるイソシアネート化合物は、その分子中に2個以上のイソシアネート基(NCO基)を有するものであり、例えばトリレンジイソシアネート(TDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート(TTI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)などのモノマー類と、これらの重合体、誘導体などがある。
コーティング剤の塗布方法には、通常用いられる、ディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法など従来公知の手段が用いられる。被膜の厚さはコーティング剤の種類によって異なるが、乾燥後の厚さが約0.01〜100μmの範囲であればよいが、50μm以上では、膜にクラックが生じやすくなるため、0.01〜50μmとすることが望ましい。
なお、詳細は不明なところが多いが、この第1層としての無機蒸着層3と第2層としての上記コーティング剤からなる被膜との間に、何らかの反応層が形成されるか、或いは第2層が第1層に生じるピンホール、クラック、粒界などの欠陥或いは微細孔を充填、補強することで、緻密構造が形成され、これがガスバリア性の向上と第1層である蒸着薄膜層の保護層としての役割を果たす。またコーティング剤の組成が、金属アルコキシド或いは塩化錫からなる無機成分とPVA等の水溶性高分子を主剤とするものであることから、ガスバリア性の向上が図れるものである。すなわち金属アルコキシド或いは塩化錫からなる無機成分は溶液中で加水分解、重縮合反応して鎖状或いは三次元樹枝状のポリマーを形成し、乾燥加熱にともなう溶媒の蒸発によってさらに重合が進行する、反応性に富む無機成分であり、水溶性高分子とは分子レベルの複合体を形成していると考えられる。したがって、特定の粒子径からなるシリカ(SiO2)などの微粒子や珪酸ソーダ(水ガラス)から得られるシリカゾル(コロイダルシリカ)など単に微粒子を分散したものとは異なるものである。
さらに、本発明の透明蒸着ポリエステルフィルムの基材1上には、必要に応じてヒートシール可能な熱可塑性樹脂層、印刷層をガスバリア性被膜層4上または基材1上に積層することができ、また複数の樹脂を接着層を介して積層することも可能である。
上記のヒートシール可能な熱可塑性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂素材としては、例えば、加熱によって溶融し相互に融着し得るヒ−トシ−ル性を有する樹脂のフィルムないしシ−トを使用して形成することもできる。一例として、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリブテンポリマ−、その他等の樹脂のフィルムないしシ−トが挙げられる。厚さとしては、数μmないし200μm、好ましくは、20μmないし50μm位が望ましい。
上記の印刷層としては、本発明の透明蒸着ポリエステルフィルムを包装袋などとして実用的に用いるために形成されるものであり、上記のガスバリア性被膜層4上または基材1上に、例えば、通常のグラビアインキ組成物、オフセットインキ組成物、凸版インキ組成物、スクリ−ンインキ組成物、その他等のインキ組成物を使用し、例えば、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式、凸版印刷方式、シルクスクリ−ン印刷方式、その他等の印刷方式を使用し、例えば、文字、図形、絵柄、記号、その他等からなる所望の印刷絵柄を形成することにより構成することができる。上記において、各種のインキ組成物は、例えば、インキ組成物を構成するビヒクルとしては、例えば、ポリエチレン系樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、フッ化ビニリデン系樹脂、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、ポリビニルアセタ−ル系樹脂、ポリビニルブチラ−ル系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アルキッド系樹脂、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、熱硬化型ポリ(メタ)アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フェノ−ル系樹脂、キシレン系樹脂、マレイン酸樹脂、ニトロセルロ−ス、エチルセルロ−ス、アセチルブチルセルロ−ス、エチルオキシエチルセルロ−ス等の繊維素系樹脂、塩化ゴム、環化ゴム等のゴム系樹脂、石油系樹脂、ロジン、カゼイン等の天然樹脂、アマニ油、大豆油等の油脂類、その他等の樹脂の1種ないし2種以上の混合物を使用することができる。而して、本発明において、上記のようなビヒクルの1種ないし2種以上を主成分とし、これに、染料・顔料等の着色剤の1種ないし2種以上を加え、更に、必要ならば、例えば、充填剤、安定剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の光安定剤、分散剤、増粘剤、乾燥剤、滑剤、帯電防止剤、架橋剤、その他等の添加剤を任意に添加し、溶剤、希釈剤等で充分に混練してなる各種の形態からなるインキ組成物を使用することがてきる。厚さは0.1〜2.0μmでよい。
上記の透明蒸着ポリエステルフィルムの基材1上に積層することができる複数の樹脂としては、特に限定されず、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げられる。
本発明のガスバリア性積層体を具体的な実施例を挙げて説明する。
<実施例1>
ポリエステル基材として、10%伸び時の伸び強度が、MD方向97MPa、TD方向90の厚さ12μmの2軸延伸ポリエステルフィルムの片面に、電子線加熱方式による真空蒸着装置により、金属アルミニウムを蒸発させ、そこに酸素ガスを導入して、厚さ15nmの無機酸化物からなる蒸着薄膜層として、金属アルミニウム蒸着薄膜層を第1層として形成し、次いで、ガスバリア性被膜層として下記組成のコーティング剤をグラビアコート法により、厚さ0.5μmのガスバリア性被膜層を第2層として積層した本発明の透明蒸着ポリエステルフィルムを得た。
<コーティング剤>
(A)テトラエトキシシラン〔Si(OC2H5)410.4gに塩酸(0.1N)89.6gを加え、30分間攪拌し加水分解させた固形分3wt%(SiO2換算)の加水分解溶液。
(B)ポリビニルアルコールの3wt%水/イソプロピルアルコール溶液(水:イソプロピルアルコール重量比で90:10)
上記の(A)液と(B)液を配合比(wt%)60/40で混合したもの。
<実施例1>
ポリエステル基材として、10%伸び時の伸び強度が、MD方向97MPa、TD方向90の厚さ12μmの2軸延伸ポリエステルフィルムの片面に、電子線加熱方式による真空蒸着装置により、金属アルミニウムを蒸発させ、そこに酸素ガスを導入して、厚さ15nmの無機酸化物からなる蒸着薄膜層として、金属アルミニウム蒸着薄膜層を第1層として形成し、次いで、ガスバリア性被膜層として下記組成のコーティング剤をグラビアコート法により、厚さ0.5μmのガスバリア性被膜層を第2層として積層した本発明の透明蒸着ポリエステルフィルムを得た。
<コーティング剤>
(A)テトラエトキシシラン〔Si(OC2H5)410.4gに塩酸(0.1N)89.6gを加え、30分間攪拌し加水分解させた固形分3wt%(SiO2換算)の加水分解溶液。
(B)ポリビニルアルコールの3wt%水/イソプロピルアルコール溶液(水:イソプロピルアルコール重量比で90:10)
上記の(A)液と(B)液を配合比(wt%)60/40で混合したもの。
以下、本発明の比較例につて説明する。
<比較例1>
実施例1において、ポリエステル基材として、10%伸び時の伸び強度が、MD方向114MPa、TD方向108の厚さ12μmの2軸延伸ポリエステルフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして透明蒸着ポリエステルフィルムを得た。
<比較例2>
実施例1において、ポリエステルフィルム基材の代わりに、厚さ12μmの2軸延伸ナイロン6フィルムを用いた以外は実施例1と同様にして透明蒸着ナイロンフィルムを得た。
<比較例1>
実施例1において、ポリエステル基材として、10%伸び時の伸び強度が、MD方向114MPa、TD方向108の厚さ12μmの2軸延伸ポリエステルフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして透明蒸着ポリエステルフィルムを得た。
<比較例2>
実施例1において、ポリエステルフィルム基材の代わりに、厚さ12μmの2軸延伸ナイロン6フィルムを用いた以外は実施例1と同様にして透明蒸着ナイロンフィルムを得た。
上記の実施例1および比較例1〜2で得られた透明蒸着ポリエステルフィルムおよび透明蒸着ナイロンフィルムの基材面に、ヒートシール可能な熱可塑性樹脂層として、厚さ60μmの直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルムを積層して、下記の評価方法に基づいて酸素透過率、水蒸気透過率、耐ピンホール性を評価した。その結果を表1に示す。
<酸素透過率>
酸素バリア性を評価するために、25℃−100%RH雰囲気下で酸素透過度測定装置(モダンコントロール社製 MOCON OXTRAN 10/40A)を用いて酸素透過率を測定した。
<水蒸気透過率>
水蒸気バリア性を評価するために、40℃−90RH雰囲気下で水蒸気透過度測定装置(モダンコントロール社製 PERMATRAN W6)を用いて水蒸気透過率を測定した。
<耐ピンホール性>
ゲルボテスト(屈曲疲労ピンホール)
ASTM F―392に規定されたゲルボテスターを使用し、280×190mmに切り取ったフィルムを室温下で、2000回の繰り返し折り曲げ試験を実施する。試験後のピンホール数を測定してゲルボ値として表わした。
<酸素透過率>
酸素バリア性を評価するために、25℃−100%RH雰囲気下で酸素透過度測定装置(モダンコントロール社製 MOCON OXTRAN 10/40A)を用いて酸素透過率を測定した。
<水蒸気透過率>
水蒸気バリア性を評価するために、40℃−90RH雰囲気下で水蒸気透過度測定装置(モダンコントロール社製 PERMATRAN W6)を用いて水蒸気透過率を測定した。
<耐ピンホール性>
ゲルボテスト(屈曲疲労ピンホール)
ASTM F―392に規定されたゲルボテスターを使用し、280×190mmに切り取ったフィルムを室温下で、2000回の繰り返し折り曲げ試験を実施する。試験後のピンホール数を測定してゲルボ値として表わした。
以上のことからも、本発明の透明蒸着ポリエステルフィルムは、10%伸び時の伸び強度が100MPa以下であるポリエステルフィルムを基材として使用することで、従来のポリエステルフィルムには無い、2軸延伸ナイロンフィルムのような、強度が大きく、突刺強度、耐衝撃性、耐ピンホール性を有する。したがって、高度のガスバリア性を有し、特に耐ピンホール性、耐湿性が要求される、食品、医薬品、医療機器、電子部品などの包装フィルム分野に好適に用いられる。
高度のガスバリア性、耐ピンホールや耐湿性を要求される、食品、医薬品、医療機器、電子部品などの包装フィルムとして好適に使用される。
1・・・透明蒸着ポリエステルフィルム
2・・・ポリエステルフィルム基材層
3・・・無機酸化物からなる蒸着薄膜層
4・・・ガスバリア性被膜層
2・・・ポリエステルフィルム基材層
3・・・無機酸化物からなる蒸着薄膜層
4・・・ガスバリア性被膜層
Claims (5)
- 10%伸び時の伸び強度が100MPa以下であるポリエステル系フィルム基材の少なくとも片面に、無機化合物からなる蒸着薄膜層を第1層とし、水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシド及びその加水分解物又は(b)塩化錫の少なくとも一方を含む水溶液、あるいは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を塗布し、加熱乾燥してなるガスバリア性被膜を第2層として積層してなることを特徴とする透明蒸着ポリエステルフィルム。
- 前記無機化合物からなる蒸着薄膜層の厚さが、5〜300nmの範囲を満たすことを特徴とする請求項1記載の透明蒸着ポリエステルフィルム。
- 前記無機化合物からなる蒸着層が、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムのいずれか、もしくは、それらの混合物であることを特徴とする請求項1または2記載の透明蒸着ポリエステルフィルム。
- 前記金属アルコキシドが、テトラエトキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウムのいずれか、もしくは、それらの混合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明蒸着ポリエステルフィルム。
- 前記水溶性高分子がポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明蒸着ポリエステルフィルム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003329498A JP2005096089A (ja) | 2003-09-22 | 2003-09-22 | 透明蒸着ポリエステルフィルム |
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---|---|---|---|---|
JP2007216504A (ja) * | 2006-02-16 | 2007-08-30 | Dainippon Printing Co Ltd | ガスバリア性積層フィルムおよびその製造方法 |
JP2013256318A (ja) * | 2012-06-13 | 2013-12-26 | Toppan Printing Co Ltd | 液体用紙容器 |
JP2020015207A (ja) * | 2018-07-25 | 2020-01-30 | 昭和電工パッケージング株式会社 | 包装袋 |
-
2003
- 2003-09-22 JP JP2003329498A patent/JP2005096089A/ja active Pending
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