JP2019155845A - ラミネート積層体 - Google Patents
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Abstract
Description
(a)基材層の長手方向及び幅方向の150℃における熱収縮率がいずれも4.0%以下である。
(b) TMA(サーマルメカニカルアナライザー)を用いて測定した温度寸法変化曲線の基材層原長に対する200℃での寸法変化率が基材層の長手方向において2%以下である。
本発明で用いるポリエステルフィルムとしては、例えば、プラスチックポリエステルを溶融押出しし、必要に応じ、長手方向および/または幅方向に延伸、冷却、熱固定を施したフィルム(1軸延伸フィルムまたは2軸延伸フィルム)を用いることができる。これらの中でも、耐熱性、寸歩法安定性、透明性の点でポリエチレンテレフタレートあるいはポリエチレンテレフタレートに他の成分を共重合した共重合体が好ましく、特に、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
ポリエステルフィルムの透明度は、特に限定されるものではないが、透明性が求められる包装材料として使用する場合には、50%以上の光線透過率をもつものが好ましい。
またポリエステルフィルムには、本発明の目的を損なわない限りにおいて、コロナ放電処理、グロー放電、火炎処理、表面粗面化処理等の表面処理が施されていてもよく、また、公知のアンカーコート処理、印刷、装飾等が施されてもよい。
本発明に用いられる基材層とは、PBTを60質量%以上含む樹脂組成物からなる二軸延伸フィルムである。PBTの含有率は、70質量%以上が好ましい。PBTの含有率が60質量%未満であると衝撃強度又は耐ピンホール性が低下してしまい、フィルム特性としては十分なものでなくなってしまう。
PBTは、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸が90モル%以上であることが好ましく、より好ましくは95モル%以上であり、さらに好ましくは98モル%以上であり最も好ましくは100モル%である。グリコール成分として1,4−ブタンジオールが90モル%以上であることが好ましく、より好ましくは95モル%以上であり、さらに好ましくは97モル%以上であり、最も好ましくは重合時に1,4−ブタンジオールのエーテル結合により生成する副生物以外は含まれないことである。
PBT以外のポリエステルとしては、PET、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート及びポリプロピレンテレフタレートからなる群から選ばれる少なくとも1種のポリエステル、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸及びセバシン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のジカルボン酸が共重合されたPBT、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール及びポリカーボネートジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種のジオール成分が共重合されたPBTが挙げられる。
原料であるポリブチレンテレフタレート(PBT)の固有粘度が0.9dl/g未満の場合、製膜して得られるフィルムの固有粘度が低下し、突き刺し強度、衝撃強度、耐ピンホール性、又は耐破袋性などが低下するとなることがある。
ポリブチレンテレフタレートの固有粘度の上限は好ましくは1.3dl/gである。上記を越えると延伸時の応力が高くなりすぎ、製膜性が悪化するとなることがある。固有粘度の高いポリブチレンテレフタレートを使用した場合、樹脂の溶融粘度が高くなるため押出し温度を高温にする必要があるが、ポリブチレンテレフタレートをより高温で押出しすると分解物が出やすくなることがある。
滑剤種としてはシリカ、炭酸カルシウム、アルミナなどの無機系滑剤のほか、有機系滑剤が好ましく、シリカ、炭酸カルシウムがより好ましく、中でもシリカがヘイズを低減する点で特に好ましい。これらにより透明性と滑り性と発現することができる。
滑剤濃度の下限は好ましくは100ppmであり、より好ましくは500ppmであり、さらに好ましくは800ppmである。上記未満であると基材フィルム層の滑り性が低下となることがある。滑剤濃度の上限は好ましくは20000ppmであり、より好ましくは10000ppmであり、さらに好ましくは1800ppmである。上記を越えると透明性が低下となることがある。
本発明における基材層では、基材層厚みの下限は好ましくは3μmであり、より好ましくは5μmであり、さらに好ましくは8μmである。3μm以上であると基材フィルム層としての強度が十分となる。
基材フィルム層厚みの上限は好ましくは100μmであり、より好ましくは75μmであり、さらに好ましくは50μmである。100μm以下であると本発明の目的における加工がより容易となる。
より好ましくは1.5%以下であり、さらに好ましくは1.0%以下であり、よりさらに好ましくは0.5%以下であり、特に好ましくは0%以下である。
本発明における基材層を構成する二軸延伸ポリエステルフィルムの衝撃強度の上限は好ましくは0.2J/μmである。前記上限を上回っても改善の効果がそれ以上得られない(飽和する)。
さらに、溶融状態の樹脂シートを、静電印加法を用いて冷却ロール(キャスティングロール)に密着させて冷却固化し、未延伸シートを得る。静電印加法とは、溶融状態の樹脂シートが回転金属ロールに接触する付近で、樹脂シートの回転金属ロールに接触した面の反対の面の近傍に設置した電極に電圧を印加することによって、樹脂シートを帯電させ、樹脂シートと回転冷却ロールを密着させる方法である。
PBT樹脂は結晶化速度が速いため、キャスティング時にも結晶化が進行する。
このとき、多層化せずに単層でキャストした場合には、結晶の成長を抑制しうるような障壁が存在しないために、サイズの大きな球晶へと成長してしまう。その結果、得られた未延伸シートの降伏応力が高くなり、二軸延伸時に破断しやすくなるばかりでなく、得られた二軸延伸フィルムの衝撃強度、耐ピンホール性、又は耐破袋性が不十分なフィルムとなってしまう。一方、同一の樹脂を多層積層することで、未延伸シートの延伸応力を低減でき、その後の二軸延伸を安定して行うことが可能となる。
工程(1)と工程(2)、工程(2)と工程(3)の間には、他の工程が挿入されていても差し支えない。例えば、工程(1)と工程(2)の間には濾過工程、温度変更工程等が挿入されていても良い。また、工程(2)と工程(3)の間には、温度変更工程、電荷付加工程等が挿入されていても良い。但し、工程(2)と工程(3)の間には、工程(2)で形成された積層構造を破壊する工程があってはならない。
冷却ロール温度の下限は好ましくは−10℃である。上記未満であると結晶化抑制の効果が飽和することがある。冷却ロール温度の上限は好ましくは40℃である。上記を越えると結晶化度が高くなりすぎて延伸が困難となることがある。冷却ロール温度の上限は好ましくは25℃である。また冷却ロールの温度を上記の範囲とする場合、結露防止のため冷却ロール付近の環境の湿度を下げておくことが好ましい。冷却ロール表面の幅方向の温度差は少なくすることが好ましい。このとき、未延伸シートの厚みは15〜2500μmの範囲が好適である。
上述における多層構造の未延伸シートは、少なくとも60層以上、好ましくは250層以上、更に好ましくは1000層以上である。層数が少ないと、延伸性の改善効果が失われる。
MD延伸倍率の上限は好ましくは4.3倍であり、より好ましくは4.0倍であり、特に好ましくは3.8倍である。4.3倍以下であると、フィルムの横方向の配向度が強くなり過ぎず、熱固定処理の際の収縮応力が大きくなり過ぎず、フィルムの横方向の分子配向の歪みが小さくなり、結果として長手方向の直進引裂き性が向上する。また、力学強度や厚みムラの改善の効果はこの範囲では飽和する。
前記基材層と前記無機薄膜層との間に設ける被覆層としては、ウレタン系、ポリエステル系、アクリル系、チタン系、イソシアネート系、イミン系、ポリブタジエン系等の樹脂に、エポキシ系、イソシアネート系、メラミン系等の硬化剤を添加したものが挙げられる。前記溶媒(溶剤)としては、例えば、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤;メタノール、エタノール等のアルコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコール誘導体等が挙げられる。これらの被覆層に用いる樹脂組成物は、有機官能基を少なくとも1種類以上有するシランカップリング剤を含有することが好ましい。前記有機官能基としては、アルコキシ基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基等が挙げられる。前記シランカップリング剤の添加によって、レトルト処理後のラミネート強度がより向上する。
本発明の基材積層フィルムは、無機薄膜層が積層されている。無機薄膜層は無機酸化物からなる薄膜である。無機薄膜層を形成する材料は、薄膜にできるものなら特に制限はないが、ガスバリア性の観点から、酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの混合物(複合酸化物)等の無機酸化物が好ましく挙げられる。特に、薄膜層の柔軟性と緻密性を両立できる点からは、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの複合酸化物が好ましい。この複合酸化物において、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの混合比は、金属分の質量比でAlが20〜70質量%の範囲であることが好ましい。Al濃度が20質量%未満であると、バリア性が低くなる場合があり、一方、70質量%を超えると、無機薄膜層が硬くなる傾向があり、印刷やラミネートといった二次加工の際に膜が破壊されてバリア性が低下する虞がある。なお、ここでいう酸化ケイ素とはSiOやSiO2等の各種珪素酸化物又はそれらの混合物であり、酸化アルミニウムとは、AlOやAl2O3等の各種アルミニウム酸化物又はそれらの混合物である。
本発明のラミネート積層体には、シーラントと呼ばれるヒートシール性樹脂層を含むことが必要となる。ヒートシール性樹脂層は通常、無機薄膜層側(無機薄膜層上に保護層を形成する場合は保護層面上)に設けられるが、基材フィルムの外側(被覆層形成面の反対側の面)に設けることもある。ヒートシール性樹脂層の形成は、通常押出しラミネート法あるいはシーラントフィルムを用いたドライラミネート法によりなされる。ヒートシール性樹脂層を形成する熱可塑性重合体としては、シーラント接着性が十分に発現できるものであればよく、HDPE、LDPE、LLDPEなどのポリエチレン樹脂類、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体、アイオノマー樹脂等を使用できる。ヒートシール性樹脂層の厚みは、好ましくは20μm以上、より好ましくは25μm以上、さらに好ましくは30μm以上であり、好ましくは80μm以下、より好ましくは75μm以下、さらに好ましくは70μm以下である。厚みが20μm以下であると、生産性が悪くなる。一方、80μm以上であると、コストアップになり、また透明性も悪くなる。
本発明のラミネート積層体には、ポリエステルフィルムと基材層との間に、印刷層や他のプラスチック基材および/または紙基材を少なくとも1層以上積層していてもよい。
本発明で用いられる接着剤層は、汎用的なラミネート用接着剤が使用できる。たとえば、ポリ(エステル)ウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、エポキシ系、ポリ(メタ)アクリル系、ポリエチレンイミン系、エチレン−(メタ)アクリル酸系、ポリ酢酸ビニル系、(変性)ポリオレフィン系、ポリブタジェン系、ワックス系、カゼイン系等を主成分とする(無)溶剤型、水性型、熱溶融型の接着剤を使用することができる。この中でも、レトルト処理に耐え得る耐湿熱性と、各基材の寸法変化に追随できる柔軟性を考慮すると、ウレタン系またはポリエステル系が好ましい。上記接着剤層の積層方法としては、たとえば、ダイレクトグラビアコート法、リバースグラビアコート法、キスコート法、ダイコート法、ロールコート法、ディップコート法、ナイフコート法、スプレーコート法、フォンテンコート法、その他の方法で塗布することができ、レトルト後に十分な接着性を発現するため、乾燥後の塗工量は1〜8g/m2が好ましい。より好ましくは2〜7g/m2、さらに好ましくは3〜6g/m2である。塗工量が1g/m2未満であると、全面で貼り合せることが困難になり、接着力が低下する。また、8g/m2以上を超えると、膜の完全な硬化に時間がかかり、未反応物が残りやすく、接着力が低下する。
本発明で用いた評価方法は以下の通りである。
JIS K7130−1999 A法に準拠し、ダイアルゲージを用いて測定した。
サンプルについてJIS K 7142−1996 A法により、ナトリウムD線を光源としてアッベ屈折計によりフィルム長手方向の屈折率(Nx)、幅方向の屈折率(Ny)を測定し、式(2)の計算式により縦配向度ΔNxを算出した。
縦配向度(ΔNx)=Nx−(Ny+Nz)/2 (1)
基材層を構成するポリエステルフィルムの熱収縮率は試験温度150℃、加熱時間15分間とした以外は、JIS−C−2151−2006.21に記載の寸法変化試験法で測定した。試験片は21.1(a)に記載に従い使用した。
島津製作所社製のTMA(サーマルメカニカルアナライザー)を用いて室温から200℃まで昇温して基材層を構成するポリエステルフィルムの長手方向を測定した。ただし、昇温速度は10℃/分、測定サンプルの幅は4mm、測定サンプルの長さは10mm、初期張力は100mNとした。
得られた温度変化曲線の200℃における寸法変化率(%)を読み取った。
実施例1〜6、比較例1〜5で得られた基材積層フィルムの無機薄膜層面とは反対側の面に、ウレタン系2液硬化型接着剤(三井化学社製「タケラック(登録商標)A525S」と「タケネート(登録商標)A50」とを13.5:1(質量比)の割合で配合)を用いて、厚さ12μmのポリエステルフィルム(東洋紡社製「E5100」)をドライラミネート法により貼り合せ、さらに積層フィルムの無機薄膜層面に、同様の接着剤を用いてヒートシール性樹脂層として厚さ70μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡社製「P1147」)をドライラミネート法により貼り合わせ、40℃で4日間エージングを施すことによって、評価用のラミネート積層体(以下「ラミネート積層体A」と称することもある)を得た。なお、ウレタン系2液硬化型接着剤で形成された接着剤層の乾燥後の厚みはいずれも約4μmであった。
一方、比較例6で得られた基材積層フィルムの無機薄膜層面に、前述の接着剤を用いて、厚さ12μmのポリエステルフィルム(東洋紡社製「E5100」)をドライラミネート法により貼り合せ、さらにポリエステルフィルムの反対面に、同様の接着剤を用いてヒートシール性樹脂層として厚さ70μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡社製「P1147」)をドライラミネート法により貼り合わせ、40℃で4日間エージングを施すことによって、評価用のラミネート積層体(以下「ラミネート積層体B」と称することもある)を得た。
前述のラミネート積層体を20.3cm(8インチ)×27.9cm(11インチ)の大きさに切断し、その切断後の長方形テストフィルムを、温度23℃の相対湿度50%の条件下に、24時間以上放置してコンディショニングした。しかる後、その長方形テストフィルムを巻架して長さ20.32cm(8インチ)の円筒状にする。そして、その円筒状フィルムの一端を、ゲルボフレックステスター(理学工業社製、NO.901型)(MIL−B−131Cの規格に準拠)の円盤状固定ヘッドの外周に固定し、円筒状フィルムの他端を、固定ヘッドと17.8cm(7インチ)隔てて対向したテスターの円盤状可動ヘッドの外周に固定した。
そして、可動ヘッドを固定ヘッドの方向に、平行に対向した両ヘッドの軸に沿って7.6cm(3.5インチ)接近させる間に440゜回転させ、続いて回転させることなく6.4cm(2.5インチ)直進させた後、それらの動作を逆向きに実行させて可動ヘッドを最初の位置に戻すという1サイクルの屈曲テストを、1分間あたり40サイクルの速度で、連続して2000サイクル繰り返した。実施は5℃で行った。
しかる後に、テストしたフィルムの固定ヘッドおよび可動ヘッドの外周に固定した部分を除く17.8cm(7インチ)×27.9cm(11インチ)内の部分に生じたピンホール数を計測した(すなわち、497cm2 (77平方インチ)当たりのピンホール数を計測した)。
上記(5)で作製したラミネート積層体を基材フィルムの幅方向(TD方向)と長さ方向(MD方向)に対してそれぞれ幅25mm、長さ300mmに切り出して試験片とし、温度23℃、相対湿度65%の条件下で、テンシロン万能材料試験機(東洋ボールドウイン社製「テンシロンUMT−II−500型」)を用いて引裂き強度を測定した。なお、引裂き強度の測定は、引裂き速度を50mm/分とし、巾12.5mm位置に長さ方向に10mmの切込みを入れ、測定直前に水に10秒間浸した後に引裂き強度測定を行った。
上記(5)で作製したラミネート積層体について、JIS−K7126 B法に準じて、酸素透過度測定装置(MOCON社製「OX−TRAN(登録商標)1/50」)を用い、温度23℃、湿度65%RHの雰囲気下で、常態の酸素透過度を測定した。なお、酸素透過度の測定は、ラミネート積層体の基材フィルム側からヒートシール性樹脂層側に酸素が透過する方向で行った。他方、上記(5)で作製したラミネート積層体に対して、120℃の熱水中に30分間保持する湿熱処理を行い、40℃で1日間(24時間)乾燥し、得られた湿熱処理後のラミネート積層体について上記と同様にして酸素透過度(レトルト後)を測定した。
上記(5)で作成したラミネート積層体について、JIS−K7129 B法に準じて、水蒸気透過度測定装置(MOCON社製「PERMATRAN−W 3/33MG」)を用い、温度40℃、湿度90%RHの雰囲気下で、常態での水蒸気透過度を測定した。なお、水蒸気透過度の測定は、ラミネート積層体のヒートシール性樹脂層側から基材フィルム側に向けて水蒸気が透過する方向で行った。
他方、上記(5)で作製したラミネート積層体に対して、120℃の熱水中に30分間保持する湿熱処理を行い、40℃で1日間(24時間)乾燥し、得られた湿熱処理後のラミネート積層体について上記と同様にして水蒸気透過度(レトルト後)を測定した。
上記で作製したラミネート積層体を幅15mm、長さ200mmに切り出して試験片とし、温度23℃、相対湿度65%の条件下で、テンシロン万能材料試験機(東洋ボールドウイン社製「テンシロンUMT−II−500型」)を用いてラミネート強度(常態)を測定した。なお、ラミネート強度の測定は、引張速度を200mm/分とし、実施例および比較例で得られた各積層フィルムの積層フィルム層とヒートシール性樹脂層との層間に水をつけて剥離角度90度で剥離させたときの強度を測定した。
他方、上記で作製したラミネート積層体に対して、温度120℃の加圧熱水中に保持するレトルト処理を30分間施した後、直ちに、得られたレトルト処理後のラミネート積層体から上記と同様にして試験片を切り出し、上記と同様にしてラミネート強度(レトルト処理後)を測定した。
1)ポリブチレンテレフタレート(PBT):後述する基材フィルム層A−1〜A−11のフィルム作製において使用するポリブチレンテレフタレートは1100−211XG(CHANG CHUN PLASTICS CO.,LTD.、固有粘度1.28dl/g)を用いた。
2)ポリエチレンテレフタレート(PET):後述する基材層A−1〜A−13のフィルム作製において使用するポリエチレンテレフタレートはテレフタル酸//エチレングリコール=100//100(モル%)(東洋紡社製、固有粘度0.62dl/g)を用いた。
下記の配合比率で各材料を混合し、塗布液(被覆層用樹脂組成物)を作成した。
水 54.40質量%
イソプロパノール 25.00質量%
オキサゾリン基含有樹脂 (A) 15.00質量%
アクリル樹脂 (B) 3.60質量%
ウレタン樹脂 (C) 2.00質量%
<基材フィルム層A−1>
一軸押出機を用い、ポリブチレンテレフタレートを70質量%とポリエチレンテレフタレートを30質量%混合したものに、不活性粒子として平均粒径2.4μmのシリカ粒子をシリカ濃度として混合樹脂に対して1600ppmとなるように配合したものを290℃で溶融させた後、メルトラインを12エレメントのスタティックミキサーに導入した。これにより、ポリブチレンテレフタレート溶融体の分割・積層を行い、同一の原料からなる多層溶融体を得た。265℃のT−ダイスからキャストし、15℃の冷却ロールに静電密着法により密着させて未延伸シートを得た。
次いで、60℃で縦方向(MD)に3.8倍ロール延伸し、次いで、テンターに通して90℃で横方向(TD)に4.0倍延伸し、210℃で3秒間の緊張熱処理と1秒間1%の緩和処理を実施した後、両端の把持部を10%ずつ切断除去して厚みが15μmのポリブチレンテレフタレート系二軸延伸ポリエステルフィルムのミルロールを得た。得られたフィルムの製膜条件、物性および評価結果を表1に示した。
一軸押出機を用い、ポリブチレンテレフタレートを70質量%とポリエチレンテレフタレートを30質量%混合したものに、不活性粒子として平均粒径2.4μmのシリカ粒子をシリカ濃度として混合樹脂に対して1600ppmとなるように配合したものを290℃で溶融させた後、メルトラインを12エレメントのスタティックミキサーに導入した。これにより、ポリブチレンテレフタレート溶融体の分割・積層を行い、同一の原料からなる多層溶融体を得た。265℃のT−ダイスからキャストし、15℃の冷却ロールに静電密着法により密着させて未延伸シートを得た。
次いで、60℃で縦方向(MD)に3.8倍ロール延伸し、次いで、テンターに通して90℃で横方向(TD)に4.0倍延伸し、210℃で3秒間の緊張熱処理と1秒間1%の緩和処理を実施した後、両端の把持部を10%ずつ切断除去して厚みが15μmのポリブチレンテレフタレート系二軸延伸ポリエステルフィルムのミルロールを得た。得られたフィルムの製膜条件、物性および評価結果を表1に示した。
基材フィルム層A−1の二軸延伸フィルムの製膜工程において、MD延伸後に被覆層用樹脂組成物(塗布液1)をファウンテンバーコート法により塗布した。その後、乾燥しながらテンターに導き、予熱温度70℃で溶媒を揮発、乾燥させた。次いで、表1に示した製膜条件にて横方向に延伸、熱処理及びリラックスを行い、厚さ15μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(プラスチック基材フィルム層)の片面に0.020g/m2の被覆層が形成された2層フィルム(プラスチック基材フィルム層/被覆層)を得た。
基材フィルム層A−2の二軸延伸フィルムの製膜工程において、横延伸方向(TD)のリラックッス率を2%に変更した以外は、基材フィルム層A−2と同様に行った。
基材フィルム層A−2の二軸延伸フィルムの製膜工程において、横延伸後の熱処理温度を205℃に変更した以外は、基材フィルム層A−2と同様に行った。
基材フィルム層A−2の二軸延伸フィルムの製膜工程において、縦方向の延伸倍率を3.3倍に変更した以外は、基材フィルム層A−2と同様に行った。
基材フィルム層A−2の原料をポリブチレンテレフタレートを100質量%に、不活性粒子として平均粒径2.4μmのシリカ粒子をシリカ濃度として樹脂に対して1600ppmとなるように配合したものとした以外は、基材フィルム層A−2と同様に行った。
基材フィルム層A−2の原料をポリブチレンテレフタレートを60質量%とポリエチレンテレフタレートを40質量%を混合したものに、不活性粒子として平均粒径2.4μmのシリカ粒子をシリカ濃度として樹脂に対して1600ppmとなるように配合したものとした以外は、基材フィルム層A−2と同様に行った。
基材フィルム層A−2の二軸延伸フィルムの製膜工程において、縦方向の延伸倍率を2.5倍に変更した以外は、基材フィルム層A−1と同様に行った。
基材フィルム層A−2の二軸延伸フィルムの製膜工程において、横延伸後の熱処理温度を190℃に変更した以外は、基材フィルム層A−2と同様に行った。
基材フィルム層A−2の原料をポリブチレンテレフタレート樹脂を50質量%とポリエチレンテレフタレート樹脂を50質量%を混合したものに、不活性粒子として平均粒径2.4μmのシリカ粒子をシリカ濃度として樹脂に対して1600ppmとなるように配合したものとした以外は、基材フィルム層A−2と同様に行った。
ポリエステル基材フィルム層の製造および塗工液1のコート(被覆層の積層)
ポリエチレンテレフタレートを予備結晶化後、本乾燥し、Tダイを有する押出し機を用いて280℃で押出し、表面温度40℃のドラム上で急冷固化して無定形シートを得た。次に得られたシートを加熱ロールと冷却ロールの間で縦方向に100℃で4.0倍延伸を行った。そして、得られた一軸延伸フィルムの片面に、上記塗工液1をファウンテンバーコート法によりコートした。乾燥しつつテンターに導き、100℃で予熱、120℃で4.0倍横方向に延伸し、6%の横方向の弛緩を行いながら225℃で熱処理を行い、厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルムに0.020g/m2の被覆層が形成された積層フィルムを得た。
ポリアミド基材フィルムの製造および塗工液1のコート(被覆層の積層)
ポリカプロアミドをスクリュー式押出し機で260℃に加熱溶融し、Tダイよりシート状に押出し、次いで、この未延伸シートを加熱ロールと冷却ロールの間で、80℃で3.3倍縦延伸した。そして、得られた一軸延伸フィルムの片面に,上記塗布液1をファウンテンバーコート法により塗布した。次にテンターに導き、120℃で4.0倍横方向に延伸後、215℃で熱固定を行い、厚さ15μmの二軸延伸ポリアミドフィルムに0.020g/m2の被覆層が形成された積層フィルムを得た。
以下に各実施例及び比較例での無機薄膜層の形成方法を記す。
無機薄膜層M−1として、基材フィルム層A−1〜13、基材フィルム層Bに、二酸化ケイ素と酸化アルミニウムの複合酸化物層を電子ビーム蒸着法で形成した。蒸着源としては、3mm〜5mm程度の粒子状SiO2(純度99.9%)とA12O3(純度99.9%)とを用いた。このようにして得られたフィルム(無機薄膜層/被覆層含有フィルム)における無機薄膜層(SiO2/A12O3複合酸化物層)の膜厚は13nmであった。またこの複合酸化物層の組成は、SiO2/A12O3(質量比)=60/40であった。
Claims (4)
- ポリエステルフィルム、基材積層フィルム、ヒートシール性樹脂がこの順にラミネートされてなるラミネート積層体であって、前記基材積層フィルムは、基材層の少なくとも片面に無機薄膜層が、他の層を介して又は介さずに積層されてなる積層フィルムであって、前記基材層は少なくともポリブチレンテレフタレートを60質量%以上含む樹脂組成物からなる二軸延伸ポリエステルフィルム基材であり、かつ、下記(a)及び(b)を同時に満足することを特徴とするラミネート積層体。
(a)基材層の長手方向及び幅方向の150℃における熱収縮率がいずれも4.0%以下である。
(b) TMA(サーマルメカニカルアナライザー)を用いて測定した温度寸法変化曲線の基材層原長に対する200℃での寸法変化率が基材層の長手方向において2%以下である。 - 前記基材層と前記無機薄膜層の間に、被覆層を有することを特徴とする、請求項1に記載のラミネート積層体。
- 前記無機薄膜層が酸化ケイ素と酸化アルミニウムの複合酸化物からなる層であることを特徴とする請求項1または2に記載のラミネート積層体。
- 前記被覆層がオキサゾリン基を有する樹脂を含有する樹脂組成物からなることを特徴とする、請求項2または3に記載のラミネート積層体。
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