JP2019155845A - ラミネート積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 バリア性、耐破袋性、耐屈曲性に優れ、かつ水が存在する湿潤状態において十分な手切れ性を有すると共に、乾物包装のように硬い内容物の包装に使用したり、レトルト処理のような過酷な湿熱処理が施される用途に使用しても、優れたバリア性を維持することが出来、かつ内容物への残留溶剤の移行が少ない積層体を提供すること。【解決手段】 ポリエステルフィルム、基材積層フィルム、ヒートシール性樹脂がこの順にラミネートされてなるラミネート積層体であって、前記基材積層フィルムは、基材層の少なくとも片面に無機薄膜層が、他の層を介して又は介さずに積層されてなる積層フィルムであって、前記基材層は少なくともポリブチレンテレフタレートを60質量%以上含む樹脂組成物からなる二軸延伸ポリエステルフィルム基材であり、かつ、下記(a)及び(b)を同時に満足することを特徴とするラミネート積層体。(a)基材層の長手方向及び幅方向の150℃における熱収縮率がいずれも4.0%以下である。(b) TMA(サーマルメカニカルアナライザー)を用いて測定した温度寸法変化曲線の基材層原長に対する200℃での寸法変化率が基材層の長手方向において2%以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、食品、医薬品、工業製品等の包装分野に用いられる積層体に関する。更に詳しくは、ガスバリア性、寸法安定性、加工性、耐破袋性、耐屈曲性に優れ、かつ、乾物包装のような硬い内容物によってダメージを受けやすい用途やレトルト殺菌のような過酷な湿熱処理後が施される用途においても、優れたガスバリア性を有するガスバリア性ラミネート積層体に関する。
食品、医薬品等に用いられる包装材料は、蛋白質、油脂の酸化抑制、味、鮮度の保持、医薬品の効能維持のために、酸素や水蒸気等のガスを遮断する性質、すなわちガスバリア性を備えることが求められている。また、太陽電池や有機EL等の電子デバイスや電子部品等に使用されるガスバリア性材料は、食品等の包装材料以上に高いガスバリア性を必要とする。
従来から、水蒸気や酸素等の各種ガスの遮断を必要とする食品用途においては、プラスチックからなる基材フィルムの表面に、アルミニウム等からなる金属薄膜、酸化ケイ素や酸化アルミニウム等の無機酸化物からなる無機薄膜を形成したガスバリア性積層体が、一般的に用いられている。中でも、酸化ケイ素や酸化アルミニウム、これらの混合物等の無機酸化物の薄膜(無機薄膜層)を形成したものは、透明であり内容物の確認が可能であることから、広く使用されている。また、無機酸化物からなる無機薄膜層は電子レンジで加熱することが可能であるため、特にレンジ対応のレトルトパウチでの需要が伸びている。
レンジ対応のレトルトパウチは、袋の耐水性、耐熱性、強靭性(耐破袋性や耐ピンホール性)が同時に求められることから、袋の外側にポリエステルフィルム、中間層にポリアミドフィルム、内側(内容物側)にヒートシール性樹脂を接着剤を介してドライラミネートした少なくとも3層以上の構成が一般的である。
前述のレトルトパウチ構成において、ガスバリア層は、生産性や品質安定性の面から袋の外側に位置するポリエステルフィルム上に積層されることが一般的であり、そのバリア性能も非常に良好なものとなる(例えば特許文献1)。しかし、ポリアミドフィルムとヒートシール性樹脂を貼り合せて3層構成とした際に、ガスバリア層より内側に少なくとも2層以上の接着剤層、また場合によっては印刷層が存在することになり、かつポリエステルフィルム側にはガスの遮断性に優れるバリア層が存在することから、接着剤やインキ中の残留溶剤が一方通行で内容物側に移行しやすくなるという問題があった。さらに、バリア層を積層したポリエステルフィルムは硬く脆いため、袋の落下時に破袋して内容物が漏れる、耐ピンホール性が悪いという課題もあった。
他方、中間層としてのポリアミドフィルム上にガスバリア層を積層する従来技術もある(例えば特許文献2)。この場合、バリア層がより内側に来るため、内容物への溶剤移行を低減できるという利点がある。しかし、ポリアミドフィルムを基材とするガスバリア積層フィルムは、ポリアミドフィルムの特性による耐湿熱接着性の弱さや、基材の吸湿に伴う伸縮やシワによりバリア層が物理的ダメージを受けることで、ポリエステルフィルム上に積層する場合に比べバリア性(特に防湿性)が不十分となったり、耐湿熱接着性が弱いことで水分が存在する湿潤状態における手切れ性が不十分になるおそれがあった。また、ポリアミドフィルムはポリエステルフィルムに比べ耐熱性の面で劣り、コート塗布・乾燥時に熱収縮シワが入りやすい等の加工上の問題もあった。
これに対し、ポリエステル系樹脂層及びポリアミド系樹脂層を有する多層フィルムを二軸延伸することにより得られる二軸延伸多層フィルムを有する層を透明ガスバリア性フィルムの基材層とすることにより、安価で、且つ低溶出性及び透明性に優れた、ボイル処理用またはレトルト処理用の包装材料が得られるという技術が提案されている(例えば特許文献3)が、かかる従来技術はポリエステル系樹脂層とポリアミド系樹脂層の間の界面で剥離しやすいため、袋の落下時に破袋し、内容物が漏れやすいという問題点があった。
さらに、少なくともポリブチレンテレフタレート樹脂、またはポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂に対してポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を30重量%以下の範囲で配合したポリエステル系樹脂組成物のいずれかからなる二軸延伸ポリブチレンテレフタレート系フィルムに、無機酸化物からなる蒸着膜を形成することにより、130℃以上の過酷なレトルト条件においても使用可能な耐圧縮性、耐衝撃性、および耐熱水性に優れた二軸延伸ポリブチレンテレフタレート系フィルムが得られるという技術が知られていた(例えば特許文献4)。しかし、かかる従来技術で開示されているチューブラー同時二軸延伸による製膜方法はその製造方法に起因して厚み精度が悪く、また、面配向係数が高くならないことから、耐衝撃性に劣るばかりか、フィルムへの接着剤塗布工程などの加工を行う際に伸びやすく、加工性に劣るという問題点があった。また、PBTは、PETと比べてガラス転移温度が低いため高温下で張力がかかると、フィルムが伸びやすくなるといった特性がある。このため、各加工工程において加熱されながら張力がかかると、フィルム基材が伸び、先に形成された無機薄膜層にクラックが入る結果、得られたバリアフィルムのバリア性が低下してしまうという問題があった。
上記特許文献1、3、4では、耐レトルトバリア性能については検討されているが、最適なフィルム構成や加工安定性については検討されていなかった。また特許文献2でも、耐レトルトバリア性能について検討されているが、耐湿熱接着性については検討されていなかった。
このように、製造時の生産安定性、加工安定性および経済性に優れ、かつレトルト処理のような過酷な湿熱処理を行っても優れたバリア性・接着性・強靭性を維持でき、さらに内容物への溶剤移行も抑制でき、手切れ性も良好なフィルム構成を有したガスバリア性ラミネート積層体は得られていないのが現状であった。
国際公開WO2016/136768号 特許第4857482号公報 特開2013−154605号公報 特開2012−214248号公報
本発明は、かかる従来技術の問題点を背景になされたものであり、バリア性、耐破袋性、耐屈曲性に優れ、かつ水が存在する湿潤状態において十分な手切れ性を有すると共に、乾物包装のように硬い内容物の包装に使用したり、レトルト処理のような過酷な湿熱処理が施される用途に使用しても、優れたバリア性を維持することが出来、かつ内容物への残留溶剤の移行が少ない積層体を提供することを課題として掲げた。
前記課題を解決してなる本発明のラミネート積層体は、以下の態様を有する。
(1)ポリエステルフィルム、基材積層フィルム、ヒートシール性樹脂がこの順にラミネートされてなるラミネート積層体であって、前記基材積層フィルムは、基材層の少なくとも片面に無機薄膜層が、他の層を介して又は介さずに積層されてなる積層フィルムであって、前記基材層は少なくともポリブチレンテレフタレートを60質量%以上含む樹脂組成物からなる二軸延伸ポリエステルフィルム基材であり、かつ、下記(a)及び(b)を同時に満足することを特徴とするラミネート積層体。
(a)基材層の長手方向及び幅方向の150℃における熱収縮率がいずれも4.0%以下である。
(b) TMA(サーマルメカニカルアナライザー)を用いて測定した温度寸法変化曲線の基材層原長に対する200℃での寸法変化率が基材層の長手方向において2%以下である。
(2) 前記基材層と前記無機薄膜層の間に、被覆層を有することを特徴とする、(1)に記載のラミネート積層体。
(3) 前記無機薄膜層が酸化ケイ素と酸化アルミニウムの複合酸化物からなる層であることを特徴とする(1)または(2)に記載のラミネート積層体。
(4) 前記被覆層がオキサゾリン基を有する樹脂を含有する樹脂組成物からなることを特徴とする、(2)または(3)に記載のラミネート積層体。
本発明のラミネート積層体は、バリア性、耐破袋性、耐屈曲性に優れ、かつ水が存在する湿潤状態において十分な手切れ性を有すると共に乾物包装のように硬い内容物の包装に使用することができる。また、優れた耐水接着性を有するため、レトルト処理等の過酷な湿熱処理を行っても剥離が生じず、バリア性が劣化したり、内容物が漏れ出たりする問題がない。また、中間層がポリアミドではなく耐湿性に優れるPBTであるため、湿熱処理後のバリア性や防湿性、手切れ性にすぐれ、かつ基材としての強靭性にも優れている。さらに、中間層がバリア層となるため、内容物への残留溶剤の移行が少ない。しかも、本発明の積層フィルムは加工工程が少なくかつ容易に製造できるので、経済性と生産安定性の両方に優れており、均質な特性のガスバリア性フィルムを提供することができる。
本発明のラミネート積層体は、ポリブチレンテレフタレート系基材積層フィルムを中間層として、一方の面にはポリエステルフィルムを、もう一方の面にはヒートシール性樹脂層をラミネートした少なくとも3層以上の構成を有する。また、ポリブチレンテレフタレート系基材フィルムの少なくとも片面に無機薄膜層が設けられる。この積層フィルムを、ポリブチレンテレフタレート系基材積層フィルムと称する。
本発明者らは、基材層としてポリブチレンテレフタレート系二軸延伸ポリエステルフィルムを用い、該基材層に無機薄膜層を積層して基材積層フィルムとした場合において、該基材層の熱収縮率及び一定荷重、温度下における寸法変化率を特定の範囲とすることにより、加工工程でかかる張力、加熱温度に対しても変形しにくく、無機薄膜層へのダメージを抑制することができることを見出した。また、前記の3層以上の構成として、中間層としてポリアミド層ではなく、耐湿性に優れるポリブチレンテレフタレート系二軸延伸ポリエステルフィルムを用いることにより、湿熱処理後のバリア性や防湿性、手切れ性にすぐれ、かつ基材としての強靭性にも優れるとともに、中間層をバリア層とすることにより、内容物への残留溶剤の移行が少なくなる効果をも奏することを本発明者らは見出して、本発明を完成するに至った。
以下、基材積層フィルムおよびこれに積層する各層について順に説明する。
[ポリエステルフィルム]
本発明で用いるポリエステルフィルムとしては、例えば、プラスチックポリエステルを溶融押出しし、必要に応じ、長手方向および/または幅方向に延伸、冷却、熱固定を施したフィルム(1軸延伸フィルムまたは2軸延伸フィルム)を用いることができる。これらの中でも、耐熱性、寸歩法安定性、透明性の点でポリエチレンテレフタレートあるいはポリエチレンテレフタレートに他の成分を共重合した共重合体が好ましく、特に、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
ポリエステルフィルムとしては、機械強度、透明性等所望の目的や用途に応じて任意の膜厚のものを使用することができ、その膜厚は特に限定されないが、5〜250μmであることが好ましく、包装材料として用いる場合は10〜60μmであることが好ましい。
ポリエステルフィルムの透明度は、特に限定されるものではないが、透明性が求められる包装材料として使用する場合には、50%以上の光線透過率をもつものが好ましい。
ポリエステルフィルムは、1種のポリエステルからなる単層型フィルムであってもよいし、2種以上のポリエステルフィルムが積層された積層型フィルムであってもよい。積層型フィルムとする場合の積層体の種類、積層数、積層方法等は特に限定されず、目的に応じて公知の方法から任意に選択することができる。
またポリエステルフィルムには、本発明の目的を損なわない限りにおいて、コロナ放電処理、グロー放電、火炎処理、表面粗面化処理等の表面処理が施されていてもよく、また、公知のアンカーコート処理、印刷、装飾等が施されてもよい。
[基材層]
本発明に用いられる基材層とは、PBTを60質量%以上含む樹脂組成物からなる二軸延伸フィルムである。PBTの含有率は、70質量%以上が好ましい。PBTの含有率が60質量%未満であると衝撃強度又は耐ピンホール性が低下してしまい、フィルム特性としては十分なものでなくなってしまう。
PBTは、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸が90モル%以上であることが好ましく、より好ましくは95モル%以上であり、さらに好ましくは98モル%以上であり最も好ましくは100モル%である。グリコール成分として1,4−ブタンジオールが90モル%以上であることが好ましく、より好ましくは95モル%以上であり、さらに好ましくは97モル%以上であり、最も好ましくは重合時に1,4−ブタンジオールのエーテル結合により生成する副生物以外は含まれないことである。
本発明に用いられる樹脂組成物は二軸延伸時の製膜性や得られたフィルムの力学特性を調整する目的でPBT以外のポリエステルを含有することができる。
PBT以外のポリエステルとしては、PET、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート及びポリプロピレンテレフタレートからなる群から選ばれる少なくとも1種のポリエステル、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸及びセバシン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のジカルボン酸が共重合されたPBT、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール及びポリカーボネートジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種のジオール成分が共重合されたPBTが挙げられる。
これらPBT以外のポリエステル樹脂の添加量の上限としては、40質量%以下が好ましく、より好ましくは30質量%以下である。PBT以外のポリエステルの添加量が40質量%を超えると、ポリブチレンテレフタレートとしての力学特性が損なわれ、衝撃強度、耐ピンホール性、又は耐破袋性が不十分となるほか、透明性やガスバリア性が低下するなどの不具合が起こることがある。
本発明に用いるポリブチレンテレフタレート(PBT)の固有粘度の下限は好ましくは0.9dl/gであり、より好ましくは0.95dl/gであり、更に好ましくは1.0dl/gである。
原料であるポリブチレンテレフタレート(PBT)の固有粘度が0.9dl/g未満の場合、製膜して得られるフィルムの固有粘度が低下し、突き刺し強度、衝撃強度、耐ピンホール性、又は耐破袋性などが低下するとなることがある。
ポリブチレンテレフタレートの固有粘度の上限は好ましくは1.3dl/gである。上記を越えると延伸時の応力が高くなりすぎ、製膜性が悪化するとなることがある。固有粘度の高いポリブチレンテレフタレートを使用した場合、樹脂の溶融粘度が高くなるため押出し温度を高温にする必要があるが、ポリブチレンテレフタレートをより高温で押出しすると分解物が出やすくなることがある。
前記樹脂組成物は必要に応じ、従来公知の添加剤、例えば、滑剤、安定剤、着色剤、静電防止剤、紫外線吸収剤等を含有していてもよい。
滑剤種としてはシリカ、炭酸カルシウム、アルミナなどの無機系滑剤のほか、有機系滑剤が好ましく、シリカ、炭酸カルシウムがより好ましく、中でもシリカがヘイズを低減する点で特に好ましい。これらにより透明性と滑り性と発現することができる。
滑剤濃度の下限は好ましくは100ppmであり、より好ましくは500ppmであり、さらに好ましくは800ppmである。上記未満であると基材フィルム層の滑り性が低下となることがある。滑剤濃度の上限は好ましくは20000ppmであり、より好ましくは10000ppmであり、さらに好ましくは1800ppmである。上記を越えると透明性が低下となることがある。
本発明における基材層は全域に亘って同一組成の樹脂からなることが好ましい。
本発明における基材層では、基材層厚みの下限は好ましくは3μmであり、より好ましくは5μmであり、さらに好ましくは8μmである。3μm以上であると基材フィルム層としての強度が十分となる。
基材フィルム層厚みの上限は好ましくは100μmであり、より好ましくは75μmであり、さらに好ましくは50μmである。100μm以下であると本発明の目的における加工がより容易となる。
本発明における基材層を構成する二軸延伸ポリエステルフィルムの縦延伸(長手)方向(MD)及び横延伸(幅)方向(TD)における150℃で15分間加熱後の熱収縮率の上限は好ましくは4.0%であり、より好ましくは3.0%であり、さらに好ましくは2%である。上限を越えると保護膜の形成工程や、レトルト殺菌処理のような高温処理において生じる基材フィルム層の寸法変化により無機薄膜層に割れが生じ、ガスバリア性が低下する恐れがあるばかりか、印刷などの加工時の寸法変化により、ピッチズレなどが起こるとなることがある。
本発明における基材層を構成する二軸延伸ポリエステルフィルムの縦延伸方向(MD)及び横延伸方向(TD)における150℃で15分間加熱後の熱収縮率の下限は好ましくは−2.0%である。上記下限を下回っても改善の効果がそれ以上得られない(飽和する)ほか、力学的に脆くなってしまうことがある。
本発明における基材層を構成する二軸延伸ポリエステルフィルムのTMA(サーマルメカニカルアナライザー)を用いて測定した長手方向の温度寸法変化曲線において、フィルムの原長に対する200℃での寸法変化率が2%以下であることが好ましい。2%を超えると、レトルト殺菌処理のような高温処理において生じる基材層の寸法変化により無機薄膜層に割れが生じ、ガスバリア性が低下する恐れがあるばかりか、印刷などの加工時の寸法変化により、ピッチズレなどが起こるとなることがある。
より好ましくは1.5%以下であり、さらに好ましくは1.0%以下であり、よりさらに好ましくは0.5%以下であり、特に好ましくは0%以下である。
本発明における基材層を構成する二軸延伸ポリエステルフィルムの衝撃強度の下限は好ましくは0.05J/μmである。0.05J/μm以上であると袋として用いる際に強度が十分となる。
本発明における基材層を構成する二軸延伸ポリエステルフィルムの衝撃強度の上限は好ましくは0.2J/μmである。前記上限を上回っても改善の効果がそれ以上得られない(飽和する)。
本発明における基材層を構成する二軸延伸ポリエステルフィルムの縦配向度(ΔNx)の下限は、好ましくは0.04であり、より好ましくは0.045であり、さらに好ましくは0.05である。上記未満であると配向が弱いため、基材層として十分な衝撃強度が得られず、耐破袋性が低下することがあるばかりか、基材層上に無機薄膜層を設けて積層フィルムとした場合に、無機薄膜層形成時にかかる張力と温度によって伸び易くなり、無機薄膜層が割れてしまうために、ガスバリア性が低下することがある。
本発明における基材層を構成する二軸延伸ポリエステルフィルムの縦配向度(ΔNx)の上限は好ましくは0.09であり、より好ましくは0.085であり、さらに好ましくは0.08である。上記範囲内であると基材層の力学特性、直進引裂き性がより好ましいものとなる。
本発明における基材層を構成する二軸延伸ポリエステルフィルムの厚みあたりのヘイズの上限は好ましくは0.66%/μmであり、より好ましくは0.60%/μmであり、更に好ましくは0.53%/μmである。0.66%/μm以下である基材層に印刷を施した際に、印刷された文字や画像の品位が向上する。
また本発明における基材層を構成する二軸延伸ポリエステルフィルムには、本発明の目的を損なわない限りにおいて、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、表面粗面化処理が施されてもよく、また、公知のアンカーコート処理、印刷、装飾などが施されてもよい。
次に、本発明にかかる基材層を構成する二軸延伸ポリエステルフィルムを得るため製造方法を具体的に説明する。これらに限定されるものではない。
まず、前述の樹脂組成物からなるフィルム原料を乾燥あるいは熱風乾燥する。次いで、原料を計量、混合して押し出し機に供給し、加熱溶融して、シート状に溶融キャスティングを行う。
さらに、溶融状態の樹脂シートを、静電印加法を用いて冷却ロール(キャスティングロール)に密着させて冷却固化し、未延伸シートを得る。静電印加法とは、溶融状態の樹脂シートが回転金属ロールに接触する付近で、樹脂シートの回転金属ロールに接触した面の反対の面の近傍に設置した電極に電圧を印加することによって、樹脂シートを帯電させ、樹脂シートと回転冷却ロールを密着させる方法である。
樹脂の加熱溶融温度の下限は好ましくは200℃であり、より好ましくは250℃であり、さらに好ましくは260℃である。上記未満であると吐出が不安定となることがある。樹脂溶融温度の上限は好ましくは280℃であり、より好ましくは270℃である。上記を越えると樹脂の分解が進行し、フィルムが脆くなってしまう。
溶融したポリエステル樹脂を押出し冷却ロール上にキャスティングする時に、幅方向の結晶化度の差を小さくすることが好ましい。このための具体的な方法としては、溶融したポリエステル樹脂を押出し、キャスティングする時に同一の組成の原料を多層化してキャスティングすること、またさらに冷却ロール温度を低温とすることが挙げられる。
PBT樹脂は結晶化速度が速いため、キャスティング時にも結晶化が進行する。
このとき、多層化せずに単層でキャストした場合には、結晶の成長を抑制しうるような障壁が存在しないために、サイズの大きな球晶へと成長してしまう。その結果、得られた未延伸シートの降伏応力が高くなり、二軸延伸時に破断しやすくなるばかりでなく、得られた二軸延伸フィルムの衝撃強度、耐ピンホール性、又は耐破袋性が不十分なフィルムとなってしまう。一方、同一の樹脂を多層積層することで、未延伸シートの延伸応力を低減でき、その後の二軸延伸を安定して行うことが可能となる。
溶融したポリエステル樹脂を押出し、キャスティングする時に同一の組成の原料を多層化してキャスティングする方法は、具体的にはPBT樹脂を60重量%以上含む樹脂組成物を溶融して溶融流体を形成する工程(1)、形成された溶融流体からなる積層数60以上の積層流体を形成するする工程(2)、形成された積層流体をダイスから吐出し、冷却ロールに接触させて固化させ積層未延伸シートを形成する工程(3)、前記積層未延伸シートを二軸延伸する工程(4)を少なくとも有する。
工程(1)と工程(2)、工程(2)と工程(3)の間には、他の工程が挿入されていても差し支えない。例えば、工程(1)と工程(2)の間には濾過工程、温度変更工程等が挿入されていても良い。また、工程(2)と工程(3)の間には、温度変更工程、電荷付加工程等が挿入されていても良い。但し、工程(2)と工程(3)の間には、工程(2)で形成された積層構造を破壊する工程があってはならない。
工程(1)において、ポリエステル樹脂組成物を溶融して溶融流体を形成する方法は特に限定されないが、好適な方法としては、一軸押出機や二軸押出機を用いて加熱溶融する方法を挙げることができる。
工程(2)における積層流体を形成する方法は特に限定されないが、設備の簡便さや保守性の面から、スタティックミキサーおよび/または多層フィードブロックがより好ましい。また、シート幅方向の均一性の面から、矩形のメルトラインを有するものがより好ましい。矩形のメルトラインを有するスタティックミキサーまたは多層フィードブロックを用いることがさらに好ましい。なお、複数の樹脂組成物を合流させることによって形成された複数層からなる樹脂組成物を、スタティックミキサー、多層フィードブロックおよび多層マニホールドのいずれか1種または2種以上に通過させてもよい。
工程(2)における理論積層数は60以上であることが好ましい。理論積層数の下限は、より好ましくは500である。理論積層数が少なすぎると、あるいは、層界面間距離が長くなって結晶サイズが大きくなりすぎ、本発明の効果が得られない傾向にある。また、シート両端近傍での結晶化度が増大し、製膜が不安定となるほか、成型後の透明性が低下することがある。工程(2)における理論積層数の上限は特に限定されないが、好ましくは100000であり、より好ましくは10000であり、さらに好ましくは7000である。理論積層数を極端に大きくしてもその効果が飽和する場合がある。
工程(2)における積層をスタティックミキサーで行う場合、スタティックミキサーのエレメント数を選択することにより、理論積層数を調整することができる。スタティックミキサーは、一般的には駆動部のない静止型混合器(ラインミキサー)として知られており、ミキサー内に入った流体は、エレメントにより順次撹拌混合される。ところが、高粘度流体をスタティックミキサーに通過させると、高粘度流体の分割と積層が生じ、積層流体が形成される。スタティックミキサーの1エレメントを通過するごとに、高粘度流体は2分割され次いで合流し積層される。このため、高粘度流体をエレメント数nのスタティックミキサーに通過させると、理論積層数N=2nの積層流体が形成される。
典型的なスタティックミキサーエレメントは、長方形の板を180度ねじる構造を有し、ねじれの方向により、右エレメントと左エレメントがあり、各エレメントの寸法は直径に対して1.5倍の長さを基本としている。本発明に用いることのできるスタティックミキサーはこの様なものに限定されない。
工程(2)における積層を多層フィードブロックで行う場合、多層フィードブロックの分割・積層回数を選択することによって、理論積層数を調整することができる。多層フィードブロックは複数直列に設置することが可能である。また、多層フィードブロックに供給する高粘度流体自体を積層流体とすることも可能である。例えば、多層フィードブロックに供給する高粘度流体の積層数がp、多層フィードブロックの分割・積層数がq、多層フィードブロックの設置数がrの場合、積層流体の積層数Nは、N=p×qrとなる。
工程(3)において、積層流体をダイスから吐出し、冷却ロールに接触させて固化させる。
冷却ロール温度の下限は好ましくは−10℃である。上記未満であると結晶化抑制の効果が飽和することがある。冷却ロール温度の上限は好ましくは40℃である。上記を越えると結晶化度が高くなりすぎて延伸が困難となることがある。冷却ロール温度の上限は好ましくは25℃である。また冷却ロールの温度を上記の範囲とする場合、結露防止のため冷却ロール付近の環境の湿度を下げておくことが好ましい。冷却ロール表面の幅方向の温度差は少なくすることが好ましい。このとき、未延伸シートの厚みは15〜2500μmの範囲が好適である。
上述における多層構造の未延伸シートは、少なくとも60層以上、好ましくは250層以上、更に好ましくは1000層以上である。層数が少ないと、延伸性の改善効果が失われる。
次に延伸方法について説明する。延伸方法は、同時二軸延伸でも逐次二軸延伸でも可能であるが、突き刺し強度を高めるためには、面配向度を高めておく必要があるほか、製膜速度が速く生産性が高いという点においては逐次二軸延伸が最も好ましい。二軸延伸後に、熱固定(熱処理)及びリラックス(緩和)の工程を設けることが好ましい。
縦延伸方向(以下、MDと略記する)延伸温度の下限は好ましくは55℃であり、より好ましくは60℃である。55℃以上であると破断が起こりにくい。また、フィルムの縦配向度が強くなり過ぎないため、熱固定処理の際の収縮応力を抑えられ、幅方向の分子配向の歪みの少ないフィルムが得られる。MD延伸温度の上限は、好ましくは100℃であり、より好ましくは95℃である。100℃以下であるとフィルムの配向が弱くなり過ぎないためフィルムの力学特性が低下しない。
MD延伸倍率の下限は好ましくは2.8倍であり、特に好ましくは3.0倍である。2.8倍以上であると縦配向度が大きくなり、200℃での寸法変化率が小さくなるため、基材フィルム層上に無機薄膜層と保護層を設けた場合に、保護膜の形成時に基材フィルム層にかかる張力によっても伸びにくくなり、無機薄膜層が割れにくくなるために、ガスバリア性が向上する。また、フィルムの力学特性や厚みムラが向上する。
MD延伸倍率の上限は好ましくは4.3倍であり、より好ましくは4.0倍であり、特に好ましくは3.8倍である。4.3倍以下であると、フィルムの横方向の配向度が強くなり過ぎず、熱固定処理の際の収縮応力が大きくなり過ぎず、フィルムの横方向の分子配向の歪みが小さくなり、結果として長手方向の直進引裂き性が向上する。また、力学強度や厚みムラの改善の効果はこの範囲では飽和する。
横延伸方向(以下、TDと略記する)延伸温度の下限は好ましくは60℃であり、60度以上であると破断が起こりにくくなることがある。TD延伸温度の上限は好ましくは100℃であり、100℃以下であると横配向度が大きくなるため力学特性が向上する。
TD延伸倍率の下限は好ましくは3.5倍であり、より好ましくは3.6倍であり、特に好ましくは3.7倍である。3.5倍以上であると横配向度が弱くなり過ぎず、力学特性や厚みムラが向上する。TD延伸倍率の上限は好ましくは5倍であり、より好ましくは4.5倍であり、特に好ましくは4.0倍である。5.0倍以下であると力学強度や厚みムラ改善の効果はこの範囲でも最大となる(飽和する)。
TD熱固定温度の下限は好ましくは200℃であり、より好ましくは205℃である。200℃以上であるとフィルムのMD方向及びTD方向の熱収縮率を小さくできて、レトルト処理後においても、無機薄膜層がダメージを受けにくいため、ガスバリア性が向上する。TD熱固定温度の上限は好ましくは240℃であり、240℃以下であると基材フィルム層が融けることがなく、脆くなり難い。
TDリラックスによりTD方向の熱収縮率を小さくすることができる。TDリラックス率の下限は好ましくは0.5%である。0.5%以上であると熱固定時に破断が起こりにくくなることがある。TDリラックス率の上限は好ましくは5%である。5%以下であると熱固定時の長手方向への収縮が小さくなる結果、フィルム端部の分子配向の歪みが小さくなり、直進引裂き性が向上する。また、フィルムのたるみなどが生じにくく、厚みムラが発生しにくい。
また、本発明における基材フィルム層に他素材の層を積層しても良く、その方法として、基材フィルム層を作製後に貼り合わせるか、製膜中に貼り合わせることができる。
本発明のラミネート積層体は、レトルト処理後のバリア性やラミネート強度を確保することを目的として、前記基材層と前記無機薄膜層との間に被覆層を設けることができる。
前記基材層と前記無機薄膜層との間に設ける被覆層としては、ウレタン系、ポリエステル系、アクリル系、チタン系、イソシアネート系、イミン系、ポリブタジエン系等の樹脂に、エポキシ系、イソシアネート系、メラミン系等の硬化剤を添加したものが挙げられる。前記溶媒(溶剤)としては、例えば、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤;メタノール、エタノール等のアルコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコール誘導体等が挙げられる。これらの被覆層に用いる樹脂組成物は、有機官能基を少なくとも1種類以上有するシランカップリング剤を含有することが好ましい。前記有機官能基としては、アルコキシ基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基等が挙げられる。前記シランカップリング剤の添加によって、レトルト処理後のラミネート強度がより向上する。
前記被覆層に用いる樹脂組成物の中でも、オキサゾリン基を含有する樹脂を用いることが好ましい。オキサゾリン基は無機薄膜との親和性が高く、また無機薄膜層形成時に発生する無機酸化物の酸素欠損部分や金属水酸化物とが反応することができ、無機薄膜層と強固な密着性を示す。また被覆層中に存在する未反応のオキサゾリン基は、基材フィルムおよび被覆層の加水分解により発生したカルボン酸末端と反応し、架橋を形成することができる。
前記被覆層には、基材層との密着を向上させる目的で、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂のいずれかの樹脂を混合してもよい。特に、密着の面からはウレタン樹脂が。耐水性の面からはアクリル樹脂が好ましい。
前期被覆層を形成するための方法としては、特に限定されるものではなく、例えばコート法など従来公知の方法を採用することができる。コート法の中でも好適な方法としては、オフラインコート法、インラインコート法を挙げることができる。例えば基材層を構成する二軸延伸ポリエステルフィルム基材を製造する工程で行うインラインコート法の場合、コート時の乾燥や熱処理の条件は、コート厚みや装置の条件にもよるが、コート後直ちに直角方向の延伸工程に送入し延伸工程の予熱ゾーンあるいは延伸ゾーンで乾燥させることが好ましく、そのような場合には通常50〜250℃程度の温度とすることが好ましい。逐次二軸延伸法を採用し、MD延伸後のフィルムにコート後、TD延伸をする方法がより好ましい。
本発明においては、被覆層の付着量を0.010〜0.200g/mとすることが好ましい。これにより、被覆層を均一に制御することができるため、結果として無機薄膜層を緻密に堆積させることが可能になる。また、被覆層内部の凝集力が向上し、基材層−被覆層−無機薄膜層の各層間の密着性も高くなるため、被覆層の耐水接着性を高めることができる。被覆層の付着量は、好ましくは0.015g/m2以上、より好ましくは0.020g/m以上、さらに好ましくは0.025g/m以上であり、好ましくは0.190g/m以下、より好ましくは0.180g/m以下、さらに好ましくは0.170g/m以下である。被覆層の付着量が0.200g/mを超えると、被覆層内部の凝集力が不充分となり、良好な密着性を発現できない場合がある。また、被覆層の均一性も低下するため、無機薄膜層に欠陥が生じて、ガスバリア性が低下するおそれがある。しかも、製造コストが高くなり経済的に不利になる。一方、被覆層の膜厚が0.010g/m未満であると、基材を十分に被覆することが出来ず、充分なガスバリア性および層間密着性が得られないおそれがある。
なお、被覆層用樹脂組成物には、必要に応じて、本発明を損なわない範囲で、静電防止剤、滑り剤、アンチブロッキング剤等の公知の無機、有機の各種添加剤を含有させてもよい。
[無機薄膜層]
本発明の基材積層フィルムは、無機薄膜層が積層されている。無機薄膜層は無機酸化物からなる薄膜である。無機薄膜層を形成する材料は、薄膜にできるものなら特に制限はないが、ガスバリア性の観点から、酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの混合物(複合酸化物)等の無機酸化物が好ましく挙げられる。特に、薄膜層の柔軟性と緻密性を両立できる点からは、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの複合酸化物が好ましい。この複合酸化物において、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの混合比は、金属分の質量比でAlが20〜70質量%の範囲であることが好ましい。Al濃度が20質量%未満であると、バリア性が低くなる場合があり、一方、70質量%を超えると、無機薄膜層が硬くなる傾向があり、印刷やラミネートといった二次加工の際に膜が破壊されてバリア性が低下する虞がある。なお、ここでいう酸化ケイ素とはSiOやSiO2等の各種珪素酸化物又はそれらの混合物であり、酸化アルミニウムとは、AlOやAl23等の各種アルミニウム酸化物又はそれらの混合物である。
無機薄膜層の膜厚は、通常1〜100nm、好ましくは5〜50nmである。無機薄膜層の膜厚が1nm未満であると、満足のいくガスバリア性が得られ難くなる場合があり、一方、100nmを超えて過度に厚くしても、それに相当するガスバリア性の向上効果は得られず、耐屈曲性や製造コストの点でかえって不利となる。
無機薄膜層を形成する方法としては、特に制限はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理蒸着法(PVD法)、あるいは化学蒸着法(CVD法)など、公知の蒸着法を適宜採用すればよい。以下、無機薄膜層を形成する典型的な方法を、酸化ケイ素・酸化アルミニウム系薄膜を例に説明する。例えば、真空蒸着法を採用する場合は、蒸着原料としてSiO2とAl23の混合物、あるいはSiO2とAlの混合物等が好ましく用いられる。これら蒸着原料としては通常粒子が用いられるが、その際、各粒子の大きさは蒸着時の圧力が変化しない程度の大きさであることが望ましく、好ましい粒子径は1mm〜5mmである。加熱には、抵抗加熱、高周波誘導加熱、電子ビーム加熱、レーザー加熱などの方式を採用することができる。また、反応ガスとして酸素、窒素、水素、アルゴン、炭酸ガス、水蒸気等を導入したり、オゾン添加、イオンアシスト等の手段を用いた反応性蒸着を採用することも可能である。さらに、被蒸着体(蒸着に供する積層フィルム)にバイアスを印加したり、被蒸着体を加熱もしくは冷却するなど、成膜条件も任意に変更することができる。このような蒸着材料、反応ガス、被蒸着体のバイアス、加熱・冷却などは、スパッタリング法やCVD法を採用する場合にも同様に変更可能である。
本発明においては、必要に応じて、前記無機薄膜層の上に保護層を有してもよい。無機薄膜層は完全に密な膜ではなく、微小な欠損部分が点在している。無機薄膜層上に保護層用樹脂組成物を塗工して保護層を形成することにより、無機薄膜層の欠損部分に保護層用樹脂組成物中の樹脂が浸透し、結果としてガスバリア性が安定するという効果が得られる。また、印刷層を積層した際のバリア性の劣化を抑制できるため、印刷が可能となる。加えて、保護層そのものにもガスバリア性を持つ材料を使用することで、積層フィルムのガスバリア性能も大きく向上することができる。
本発明の積層フィルムの表面に形成する保護層としては、ウレタン系、ポリエステル系、アクリル系、チタン系、イソシアネート系、イミン系、ポリブタジエン系等の樹脂に、エポキシ系、イソシアネート系、メラミン系等の硬化剤を添加したものが挙げられる。前記溶媒(溶剤)としては、例えば、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤;メタノール、エタノール等のアルコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコール誘導体等が挙げられる。
[ヒートシール性樹脂層との積層]
本発明のラミネート積層体には、シーラントと呼ばれるヒートシール性樹脂層を含むことが必要となる。ヒートシール性樹脂層は通常、無機薄膜層側(無機薄膜層上に保護層を形成する場合は保護層面上)に設けられるが、基材フィルムの外側(被覆層形成面の反対側の面)に設けることもある。ヒートシール性樹脂層の形成は、通常押出しラミネート法あるいはシーラントフィルムを用いたドライラミネート法によりなされる。ヒートシール性樹脂層を形成する熱可塑性重合体としては、シーラント接着性が十分に発現できるものであればよく、HDPE、LDPE、LLDPEなどのポリエチレン樹脂類、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体、アイオノマー樹脂等を使用できる。ヒートシール性樹脂層の厚みは、好ましくは20μm以上、より好ましくは25μm以上、さらに好ましくは30μm以上であり、好ましくは80μm以下、より好ましくは75μm以下、さらに好ましくは70μm以下である。厚みが20μm以下であると、生産性が悪くなる。一方、80μm以上であると、コストアップになり、また透明性も悪くなる。
[その他の層]
本発明のラミネート積層体には、ポリエステルフィルムと基材層との間に、印刷層や他のプラスチック基材および/または紙基材を少なくとも1層以上積層していてもよい。
[接着剤層]
本発明で用いられる接着剤層は、汎用的なラミネート用接着剤が使用できる。たとえば、ポリ(エステル)ウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、エポキシ系、ポリ(メタ)アクリル系、ポリエチレンイミン系、エチレン−(メタ)アクリル酸系、ポリ酢酸ビニル系、(変性)ポリオレフィン系、ポリブタジェン系、ワックス系、カゼイン系等を主成分とする(無)溶剤型、水性型、熱溶融型の接着剤を使用することができる。この中でも、レトルト処理に耐え得る耐湿熱性と、各基材の寸法変化に追随できる柔軟性を考慮すると、ウレタン系またはポリエステル系が好ましい。上記接着剤層の積層方法としては、たとえば、ダイレクトグラビアコート法、リバースグラビアコート法、キスコート法、ダイコート法、ロールコート法、ディップコート法、ナイフコート法、スプレーコート法、フォンテンコート法、その他の方法で塗布することができ、レトルト後に十分な接着性を発現するため、乾燥後の塗工量は1〜8g/m2が好ましい。より好ましくは2〜7g/m2、さらに好ましくは3〜6g/m2である。塗工量が1g/m2未満であると、全面で貼り合せることが困難になり、接着力が低下する。また、8g/m2以上を超えると、膜の完全な硬化に時間がかかり、未反応物が残りやすく、接着力が低下する。
印刷層を形成する印刷インキとしては、水性および溶媒系の樹脂含有印刷インキが好ましく使用できる。ここで印刷インキに使用される樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル共重合樹脂およびこれらの混合物が例示される。印刷インキには、帯電防止剤、光線遮断剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、フィラー、着色剤、安定剤、潤滑剤、消泡剤、架橋剤、耐ブロッキング剤、酸化防止剤などの公知の添加剤を含有させてもよい。印刷層を設けるための印刷方法としては、特に限定されず、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの公知の印刷方法が使用できる。印刷後の溶媒の乾燥には、熱風乾燥、熱ロール乾燥、赤外線乾燥など公知の乾燥方法が使用できる。
他方、他のプラスチック基材や紙基材としては、充分な積層体の剛性および強度を得る観点から、紙、ポリエステル樹脂および生分解性樹脂等が好ましく用いられる。また、機械的強度の優れたフィルムとする上では、二軸延伸ポリエステルフィルムなどの延伸フィルムが好ましい。
本発明の積層体は、レトルト処理前後の23℃×65%RH条件下における酸素透過度がいずれも20ml/m2・d・MPa以下となりであることが、良好なガスバリア性を発現する点で好ましい。さらに、前述の無機薄膜層成分・付着量を制御することで、好ましくは15ml/m2・d・MPa以下、より好ましくは13ml/m2・d・MPa以下とすることができる。酸素透過度が20ml/m2・d・MPaを超える以上であると、高いガスバリア性が要求される用途に対応することが難しくなる。他方、レトルト処理前後の酸素透過度がいずれも1ml/m2・d・MPa未満であると、バリア性能には優れるが残留溶剤が袋の外側に透過しにくくなり、相対的に内容物への移行量が増えるおそれがあるので好ましくない。酸素透過度の好ましい下限は、1ml/m2・d・MPa以上である。
本発明の積層体は、レトルト処理前後の40℃×90%RH条件下における水蒸気透過度がいずれも2.0g/m2・d以下であることが、良好なガスバリア性を発現する点で好ましい。さらに、前述の無機薄膜層成分・付着量を制御することで、好ましくは1.5g/m2・d以下、より好ましくは1.0g/m2・d以下とすることができる。水蒸気透過度が2.0g/m2・dを超えると、高いガスバリア性が要求される用途に対応することが難しくなる。他方、レトルト処理前後の水蒸気透過度がいずれも0.1g/m2未満であると、バリア性能には優れるが残留溶剤が袋の外側に透過しにくくなり、相対的に内容物への移行量が増えるおそれがあるので好ましくない。水蒸気透過度の好ましい下限は、0.1g/m2・d以上である。
本発明の積層体は、レトルト処理前後の23℃×65%RH条件下における水付けラミネート強度がいずれも2.0N/15mm以上であることが好ましく、より好ましくは2.5N/15mm以上、さらに好ましくは3.0N/15mm以上である。ラミネート強度が2.0N/15mm未満であると、屈曲負荷や液体の内容物によって剥離が生じ、バリア性が劣化したり、内容物が漏れ出たりするおそれがある。さらに、手切れ性が悪化するおそれもある。
本発明の積層体は、手切れ性評価における引裂き強度が2.0N以下であることが好ましく、より好ましくは1.8N以下、さらに好ましくは1.6N以下である。引裂き強度が2.0N以下であると、実際に消費者が手で引き裂いた際に、各層間における応力伝搬がしやすく、安定した力で引裂くことができ、結果として手切れ性の良好なフィルムが得られる。また、引裂き強度が2.0N以上であると、各層間の応力伝搬がされにくく、引裂くにつれて応力がよりかかり、手切れ性が悪くなるおそれがある。
本発明の積層体は、耐ピンホール性評価におけるピンホール数が18個以下であることが好ましく、より好ましくは16個以下、さらに好ましくは14個以下である。ピンホール数が18個以下であると、袋が落下した時や折り曲げられた際に破袋して内容物が漏れる可能性が少なくなる。一方、ピンホール数が18個以上であると、袋の強度が足りず、破袋して内容物が漏れるおそれがある。
次に、実施例および比較例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明は当然以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味する。
本発明で用いた評価方法は以下の通りである。
・ 基材層の厚み
JIS K7130−1999 A法に準拠し、ダイアルゲージを用いて測定した。
・ 基材層の縦配向度ΔNx
サンプルについてJIS K 7142−1996 A法により、ナトリウムD線を光源としてアッベ屈折計によりフィルム長手方向の屈折率(Nx)、幅方向の屈折率(Ny)を測定し、式(2)の計算式により縦配向度ΔNxを算出した。
縦配向度(ΔNx)=Nx−(Ny+Nz)/2 (1)
・ 基材層の熱収縮率
基材層を構成するポリエステルフィルムの熱収縮率は試験温度150℃、加熱時間15分間とした以外は、JIS−C−2151−2006.21に記載の寸法変化試験法で測定した。試験片は21.1(a)に記載に従い使用した。
・ 基材層の200℃での寸法変化率
島津製作所社製のTMA(サーマルメカニカルアナライザー)を用いて室温から200℃まで昇温して基材層を構成するポリエステルフィルムの長手方向を測定した。ただし、昇温速度は10℃/分、測定サンプルの幅は4mm、測定サンプルの長さは10mm、初期張力は100mNとした。
得られた温度変化曲線の200℃における寸法変化率(%)を読み取った。
・ 評価用ラミネート積層体の作製
実施例1〜6、比較例1〜5で得られた基材積層フィルムの無機薄膜層面とは反対側の面に、ウレタン系2液硬化型接着剤(三井化学社製「タケラック(登録商標)A525S」と「タケネート(登録商標)A50」とを13.5:1(質量比)の割合で配合)を用いて、厚さ12μmのポリエステルフィルム(東洋紡社製「E5100」)をドライラミネート法により貼り合せ、さらに積層フィルムの無機薄膜層面に、同様の接着剤を用いてヒートシール性樹脂層として厚さ70μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡社製「P1147」)をドライラミネート法により貼り合わせ、40℃で4日間エージングを施すことによって、評価用のラミネート積層体(以下「ラミネート積層体A」と称することもある)を得た。なお、ウレタン系2液硬化型接着剤で形成された接着剤層の乾燥後の厚みはいずれも約4μmであった。
一方、比較例6で得られた基材積層フィルムの無機薄膜層面に、前述の接着剤を用いて、厚さ12μmのポリエステルフィルム(東洋紡社製「E5100」)をドライラミネート法により貼り合せ、さらにポリエステルフィルムの反対面に、同様の接着剤を用いてヒートシール性樹脂層として厚さ70μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡社製「P1147」)をドライラミネート法により貼り合わせ、40℃で4日間エージングを施すことによって、評価用のラミネート積層体(以下「ラミネート積層体B」と称することもある)を得た。
(6)ラミネート積層体の耐ピンホール性
前述のラミネート積層体を20.3cm(8インチ)×27.9cm(11インチ)の大きさに切断し、その切断後の長方形テストフィルムを、温度23℃の相対湿度50%の条件下に、24時間以上放置してコンディショニングした。しかる後、その長方形テストフィルムを巻架して長さ20.32cm(8インチ)の円筒状にする。そして、その円筒状フィルムの一端を、ゲルボフレックステスター(理学工業社製、NO.901型)(MIL−B−131Cの規格に準拠)の円盤状固定ヘッドの外周に固定し、円筒状フィルムの他端を、固定ヘッドと17.8cm(7インチ)隔てて対向したテスターの円盤状可動ヘッドの外周に固定した。
そして、可動ヘッドを固定ヘッドの方向に、平行に対向した両ヘッドの軸に沿って7.6cm(3.5インチ)接近させる間に440゜回転させ、続いて回転させることなく6.4cm(2.5インチ)直進させた後、それらの動作を逆向きに実行させて可動ヘッドを最初の位置に戻すという1サイクルの屈曲テストを、1分間あたり40サイクルの速度で、連続して2000サイクル繰り返した。実施は5℃で行った。
しかる後に、テストしたフィルムの固定ヘッドおよび可動ヘッドの外周に固定した部分を除く17.8cm(7インチ)×27.9cm(11インチ)内の部分に生じたピンホール数を計測した(すなわち、497cm2 (77平方インチ)当たりのピンホール数を計測した)。
(7) ラミネート積層体の手切れ性の評価方法(引裂き強度)
上記(5)で作製したラミネート積層体を基材フィルムの幅方向(TD方向)と長さ方向(MD方向)に対してそれぞれ幅25mm、長さ300mmに切り出して試験片とし、温度23℃、相対湿度65%の条件下で、テンシロン万能材料試験機(東洋ボールドウイン社製「テンシロンUMT−II−500型」)を用いて引裂き強度を測定した。なお、引裂き強度の測定は、引裂き速度を50mm/分とし、巾12.5mm位置に長さ方向に10mmの切込みを入れ、測定直前に水に10秒間浸した後に引裂き強度測定を行った。
(8)酸素透過度の評価方法
上記(5)で作製したラミネート積層体について、JIS−K7126 B法に準じて、酸素透過度測定装置(MOCON社製「OX−TRAN(登録商標)1/50」)を用い、温度23℃、湿度65%RHの雰囲気下で、常態の酸素透過度を測定した。なお、酸素透過度の測定は、ラミネート積層体の基材フィルム側からヒートシール性樹脂層側に酸素が透過する方向で行った。他方、上記(5)で作製したラミネート積層体に対して、120℃の熱水中に30分間保持する湿熱処理を行い、40℃で1日間(24時間)乾燥し、得られた湿熱処理後のラミネート積層体について上記と同様にして酸素透過度(レトルト後)を測定した。
(9)水蒸気透過度の評価方法
上記(5)で作成したラミネート積層体について、JIS−K7129 B法に準じて、水蒸気透過度測定装置(MOCON社製「PERMATRAN−W 3/33MG」)を用い、温度40℃、湿度90%RHの雰囲気下で、常態での水蒸気透過度を測定した。なお、水蒸気透過度の測定は、ラミネート積層体のヒートシール性樹脂層側から基材フィルム側に向けて水蒸気が透過する方向で行った。
他方、上記(5)で作製したラミネート積層体に対して、120℃の熱水中に30分間保持する湿熱処理を行い、40℃で1日間(24時間)乾燥し、得られた湿熱処理後のラミネート積層体について上記と同様にして水蒸気透過度(レトルト後)を測定した。
(10) ラミネート強度の評価方法
上記で作製したラミネート積層体を幅15mm、長さ200mmに切り出して試験片とし、温度23℃、相対湿度65%の条件下で、テンシロン万能材料試験機(東洋ボールドウイン社製「テンシロンUMT−II−500型」)を用いてラミネート強度(常態)を測定した。なお、ラミネート強度の測定は、引張速度を200mm/分とし、実施例および比較例で得られた各積層フィルムの積層フィルム層とヒートシール性樹脂層との層間に水をつけて剥離角度90度で剥離させたときの強度を測定した。
他方、上記で作製したラミネート積層体に対して、温度120℃の加圧熱水中に保持するレトルト処理を30分間施した後、直ちに、得られたレトルト処理後のラミネート積層体から上記と同様にして試験片を切り出し、上記と同様にしてラミネート強度(レトルト処理後)を測定した。
以下に本実施例及び比較例で使用する原料樹脂及び塗工液の詳細を記す。なお、実施例1〜7、及び比較例1〜6で使用し、表1及び表2に示した。
1)ポリブチレンテレフタレート(PBT):後述する基材フィルム層A−1〜A−11のフィルム作製において使用するポリブチレンテレフタレートは1100−211XG(CHANG CHUN PLASTICS CO.,LTD.、固有粘度1.28dl/g)を用いた。
2)ポリエチレンテレフタレート(PET):後述する基材層A−1〜A−13のフィルム作製において使用するポリエチレンテレフタレートはテレフタル酸//エチレングリコール=100//100(モル%)(東洋紡社製、固有粘度0.62dl/g)を用いた。
3)オキサゾリン基を有する樹脂(A):オキサゾリン基を有する樹脂として、市販の水溶性オキサゾリン基含有アクリレート(日本触媒社製「エポクロス(登録商標)WS−300」;固形分10%)を用意した。この樹脂のオキサゾリン基量は7.7mmol/gであった。
4)アクリル樹脂(B):アクリル樹脂として、市販のアクリル酸エステル共重合体の25質量%エマルジョン(ニチゴー・モビニール(株)社製「モビニール(登録商標)7980」を用意した。このアクリル樹脂(C)の酸価(理論値)は4mgKOH/gであった。
5)ウレタン樹脂(C):ウレタン樹脂として、市販のポリエステルウレタン樹脂のディスパージョン(三井化学社製「タケラック(登録商標)W605」;固形分30%)を用意した。このウレタン樹脂の酸価25mgKOH/gであり、DSCで測定したガラス転移温度(Tg)は100℃であった。また、1H−NMRにより測定したポリイソシアネート成分全体に対する芳香族または芳香脂肪族ジイソシアネートの割合は、55モル%であった。
6)被覆層に用いる塗工液1
下記の配合比率で各材料を混合し、塗布液(被覆層用樹脂組成物)を作成した。
水 54.40質量%
イソプロパノール 25.00質量%
オキサゾリン基含有樹脂 (A) 15.00質量%
アクリル樹脂 (B) 3.60質量%
ウレタン樹脂 (C) 2.00質量%
以下に各実施例及び比較例で使用する基材フィルム層の作製方法を記す。また、下記基材フィルム層A−1〜A−13、及び基材フィルム層Bの物性を表1及び表2に示した。
<基材フィルム層A−1>
一軸押出機を用い、ポリブチレンテレフタレートを70質量%とポリエチレンテレフタレートを30質量%混合したものに、不活性粒子として平均粒径2.4μmのシリカ粒子をシリカ濃度として混合樹脂に対して1600ppmとなるように配合したものを290℃で溶融させた後、メルトラインを12エレメントのスタティックミキサーに導入した。これにより、ポリブチレンテレフタレート溶融体の分割・積層を行い、同一の原料からなる多層溶融体を得た。265℃のT−ダイスからキャストし、15℃の冷却ロールに静電密着法により密着させて未延伸シートを得た。
次いで、60℃で縦方向(MD)に3.8倍ロール延伸し、次いで、テンターに通して90℃で横方向(TD)に4.0倍延伸し、210℃で3秒間の緊張熱処理と1秒間1%の緩和処理を実施した後、両端の把持部を10%ずつ切断除去して厚みが15μmのポリブチレンテレフタレート系二軸延伸ポリエステルフィルムのミルロールを得た。得られたフィルムの製膜条件、物性および評価結果を表1に示した。
<基材フィルム層A−2>
一軸押出機を用い、ポリブチレンテレフタレートを70質量%とポリエチレンテレフタレートを30質量%混合したものに、不活性粒子として平均粒径2.4μmのシリカ粒子をシリカ濃度として混合樹脂に対して1600ppmとなるように配合したものを290℃で溶融させた後、メルトラインを12エレメントのスタティックミキサーに導入した。これにより、ポリブチレンテレフタレート溶融体の分割・積層を行い、同一の原料からなる多層溶融体を得た。265℃のT−ダイスからキャストし、15℃の冷却ロールに静電密着法により密着させて未延伸シートを得た。
次いで、60℃で縦方向(MD)に3.8倍ロール延伸し、次いで、テンターに通して90℃で横方向(TD)に4.0倍延伸し、210℃で3秒間の緊張熱処理と1秒間1%の緩和処理を実施した後、両端の把持部を10%ずつ切断除去して厚みが15μmのポリブチレンテレフタレート系二軸延伸ポリエステルフィルムのミルロールを得た。得られたフィルムの製膜条件、物性および評価結果を表1に示した。
基材フィルム層A−1の二軸延伸フィルムの製膜工程において、MD延伸後に被覆層用樹脂組成物(塗布液1)をファウンテンバーコート法により塗布した。その後、乾燥しながらテンターに導き、予熱温度70℃で溶媒を揮発、乾燥させた。次いで、表1に示した製膜条件にて横方向に延伸、熱処理及びリラックスを行い、厚さ15μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(プラスチック基材フィルム層)の片面に0.020g/mの被覆層が形成された2層フィルム(プラスチック基材フィルム層/被覆層)を得た。
<基材フィルム層A−3>
基材フィルム層A−2の二軸延伸フィルムの製膜工程において、横延伸方向(TD)のリラックッス率を2%に変更した以外は、基材フィルム層A−2と同様に行った。
<基材フィルム層A−4>
基材フィルム層A−2の二軸延伸フィルムの製膜工程において、横延伸後の熱処理温度を205℃に変更した以外は、基材フィルム層A−2と同様に行った。
<基材フィルム層A−5>
基材フィルム層A−2の二軸延伸フィルムの製膜工程において、縦方向の延伸倍率を3.3倍に変更した以外は、基材フィルム層A−2と同様に行った。
<基材フィルム層A−6>
基材フィルム層A−2の原料をポリブチレンテレフタレートを100質量%に、不活性粒子として平均粒径2.4μmのシリカ粒子をシリカ濃度として樹脂に対して1600ppmとなるように配合したものとした以外は、基材フィルム層A−2と同様に行った。
<基材フィルム層A−7>
基材フィルム層A−2の原料をポリブチレンテレフタレートを60質量%とポリエチレンテレフタレートを40質量%を混合したものに、不活性粒子として平均粒径2.4μmのシリカ粒子をシリカ濃度として樹脂に対して1600ppmとなるように配合したものとした以外は、基材フィルム層A−2と同様に行った。
<基材フィルム層A−8>
基材フィルム層A−2の二軸延伸フィルムの製膜工程において、縦方向の延伸倍率を2.5倍に変更した以外は、基材フィルム層A−1と同様に行った。
<基材フィルム層A−9>
基材フィルム層A−2の二軸延伸フィルムの製膜工程において、横延伸後の熱処理温度を190℃に変更した以外は、基材フィルム層A−2と同様に行った。
<基材フィルム層A−10>
基材フィルム層A−2の原料をポリブチレンテレフタレート樹脂を50質量%とポリエチレンテレフタレート樹脂を50質量%を混合したものに、不活性粒子として平均粒径2.4μmのシリカ粒子をシリカ濃度として樹脂に対して1600ppmとなるように配合したものとした以外は、基材フィルム層A−2と同様に行った。
<基材フィルム層A−11>
ポリエステル基材フィルム層の製造および塗工液1のコート(被覆層の積層)
ポリエチレンテレフタレートを予備結晶化後、本乾燥し、Tダイを有する押出し機を用いて280℃で押出し、表面温度40℃のドラム上で急冷固化して無定形シートを得た。次に得られたシートを加熱ロールと冷却ロールの間で縦方向に100℃で4.0倍延伸を行った。そして、得られた一軸延伸フィルムの片面に、上記塗工液1をファウンテンバーコート法によりコートした。乾燥しつつテンターに導き、100℃で予熱、120℃で4.0倍横方向に延伸し、6%の横方向の弛緩を行いながら225℃で熱処理を行い、厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルムに0.020g/mの被覆層が形成された積層フィルムを得た。
<基材フィルム層B−1>
ポリアミド基材フィルムの製造および塗工液1のコート(被覆層の積層)
ポリカプロアミドをスクリュー式押出し機で260℃に加熱溶融し、Tダイよりシート状に押出し、次いで、この未延伸シートを加熱ロールと冷却ロールの間で、80℃で3.3倍縦延伸した。そして、得られた一軸延伸フィルムの片面に,上記塗布液1をファウンテンバーコート法により塗布した。次にテンターに導き、120℃で4.0倍横方向に延伸後、215℃で熱固定を行い、厚さ15μmの二軸延伸ポリアミドフィルムに0.020g/m2の被覆層が形成された積層フィルムを得た。
上記基材フィルム層A−1〜A−11、基材フィルム層B−1の物性を表1及び表2に示す。
以下に各実施例及び比較例での無機薄膜層の形成方法を記す。
<無機薄膜層M−1の形成>
無機薄膜層M−1として、基材フィルム層A−1〜13、基材フィルム層Bに、二酸化ケイ素と酸化アルミニウムの複合酸化物層を電子ビーム蒸着法で形成した。蒸着源としては、3mm〜5mm程度の粒子状SiO(純度99.9%)とA1(純度99.9%)とを用いた。このようにして得られたフィルム(無機薄膜層/被覆層含有フィルム)における無機薄膜層(SiO/A1複合酸化物層)の膜厚は13nmであった。またこの複合酸化物層の組成は、SiO/A1(質量比)=60/40であった。
得られた基材積層フィルムおよびそのラミネート積層体は、合計で13種類であり、これらの評価結果を表1及び表2に示す。
本発明により、バリア性、耐破袋性、耐屈曲性に優れ、かつ水が存在する湿潤状態において十分な手切れ性を有すると共に、乾物包装のように硬い内容物の包装に使用したり、レトルト処理のような過酷な湿熱処理が施される用途に使用しても、優れたバリア性を維持することが出来、かつ内容物への残留溶剤の移行が少ない積層体を提供することができる。また、容易に製造できるので、経済性と生産安定性の両方に優れており、均質な特性のガスバリア性積層体を提供することができる。

Claims (4)

  1. ポリエステルフィルム、基材積層フィルム、ヒートシール性樹脂がこの順にラミネートされてなるラミネート積層体であって、前記基材積層フィルムは、基材層の少なくとも片面に無機薄膜層が、他の層を介して又は介さずに積層されてなる積層フィルムであって、前記基材層は少なくともポリブチレンテレフタレートを60質量%以上含む樹脂組成物からなる二軸延伸ポリエステルフィルム基材であり、かつ、下記(a)及び(b)を同時に満足することを特徴とするラミネート積層体。
    (a)基材層の長手方向及び幅方向の150℃における熱収縮率がいずれも4.0%以下である。
    (b) TMA(サーマルメカニカルアナライザー)を用いて測定した温度寸法変化曲線の基材層原長に対する200℃での寸法変化率が基材層の長手方向において2%以下である。
  2. 前記基材層と前記無機薄膜層の間に、被覆層を有することを特徴とする、請求項1に記載のラミネート積層体。
  3. 前記無機薄膜層が酸化ケイ素と酸化アルミニウムの複合酸化物からなる層であることを特徴とする請求項1または2に記載のラミネート積層体。
  4. 前記被覆層がオキサゾリン基を有する樹脂を含有する樹脂組成物からなることを特徴とする、請求項2または3に記載のラミネート積層体。
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