JP2005095633A - 機能性成形物およびその製造法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 溶融成形に際して機能性成分が揮発により失われがたく、そして練り込んだカ
テキン類等の機能性成分の耐水化固定がなされ、水洗を行ってもその機能性成分が容易に
は溶出せず、従って抗微生物性や脱臭性などの機能性が長期にわたり持続する機能性成形
物およびその製造法を提供することを目的とする。
【解決手段】 カテキン類、サポニン類、茶葉粉末および茶葉抽出物よりなる群から選ば
れた抗微生物性または脱臭性を有する機能性成分(a) とセラミックス成分(b) とを、好ま
しくはこれらの成分(a), (b)が複合した複合体粒子(X) の形で、成形用樹脂(Y) に配合し
、溶融成形して、フィラメントやフィルムなどの機能性成形物を得る。
【選択図】 なし

Description

本発明は、水洗を行っても機能性成分(カテキン類、サポニン類など)の溶出が抑制さ
れ、その機能(抗微生物性または脱臭性)が長期間にわたり持続する機能性成形物および
その製造法に関するものである。
衛生性、健康志向、環境改善意識の浸透につれ、身近な物品に抗菌性を付与することが
なされている。抗菌性の付与のための抗菌剤としては、銀成分を有する無機系抗菌剤や、
各種の有機系(合成系や天然物系)抗菌剤が知られているが、安全性が高く、抗菌作用が
あり、しかも脱臭作用もあるカテキン類を抗菌剤として用いることが注目されている。
「ポピュラーサイエンス、お茶の科学、1992年6月10日第1版発行、発行所:株
式会社裳華書房、184〜185頁、210〜211頁」には、茶カテキンなど茶由来の
成分が、良好な抗菌性、抗ウイルス性、脱臭性を有することが示されている。「緑茶カテ
キンの凄い健康パワー、1997年4月25日初版発行、発行所:株式会社二見書房」の
各所にも、緑茶カキキンがすぐれた抗菌作用(抗カビ作用を含む)、抗ウイルス作用、脱
臭作用を有していることが示されている。
空調機や空気清浄機のフィルターとして、抗菌剤を配合(つまり内添ないし練り込み)
したものを用いることも知られている。たとえば特開平1−99656号公報には、 0.1
%以上の抗菌剤を練り込んだポリプロピレン繊維からなる抗菌エレクトレットフィルタに
つき言及がある。ただし、この公報の実施例で使用している抗菌剤は、合成系の抗菌剤で
あるチアベンダゾールである。
そして特開平7−148407号公報には、茶の抽出成分を有効成分とするウイルス不
活性剤をフィルター素材に練り込んだ抗ウイルスフィルターが示されている。茶の抽出成
分とは、茶ポリフェノール、具体的には、エピガロカテキンガレート、エピカテキンガレ
ート、エピガロカテキン、エピカテキンなどである。フィルター素材の例はポリプロピレ
ンであり、実施例においては、ポリプロピレンに茶の抽出成分を 0.1%以上混合して20
0〜250℃で溶融し、フィルム状に成形し、カッティングし、不織布化して、フィルタ
ーに成形している。
「ポピュラーサイエンス、お茶の科学、1992年6月10日第1版発行、発行所:株式会社裳華書房、184〜185頁、210〜211頁」 特開平1−99656号公報 特開平7−148407号公報
しかしながら、カテキン類等の茶由来の抗菌または脱臭性成分は、本来水溶性または水
となじみがあることが多いので、そのような抗菌または脱臭性成分を練り込んだフィラメ
ントから作られたフィルターを水洗すると、抗菌または脱臭性成分が溶出し、効果が損な
われてしまうという問題点がある。
すなわち、本発明者らの実験によれば、たとえばポリプロピレンにカテキン類を練り込
んで溶融成形して得たフィラメントを空調機や空気清浄機のフィルターとして用いた場合
、当初は良好な抗微生物性や脱臭性を示すものの、カテキン類が親水性基を有する水溶性
の化合物であるため(加えてポリプロピレンが極性のないポリマーであることもあり)、
汚れてきたフィルターを水中に浸漬したり中性洗剤を含む水で洗ったりすると、練り込ま
れているカテキン類の相当割合が溶出し、抗菌性や脱臭性が大きく低下することが判明し
た。フィルターは定期的に洗浄するものであるので、水洗により有効成分が溶出すること
は大きな欠点になる。
また抗菌または脱臭性成分が一定温度以上で揮発するものであるときは、それを樹脂材
料に練り込んで溶融成形する段階において、比較的高価な抗菌または脱臭性成分の相当量
が揮発して目減りすることを免れない。そこで揮発により失われる分を見込んで抗菌また
は脱臭性成分の配合割合を多くすると、今度は溶融成形性が低下する上、得られる溶融成
形物の強度が低下したり、溶融成形物の表面が肌荒れしたりすることがある。
本発明は、このような背景下において、溶融成形に際して機能性成分が揮発により失わ
れがたく、そして練り込んだカテキン類等の機能性成分の耐水化固定がなされ、水洗を行
ってもその機能性成分が容易には溶出せず、従って抗微生物性や脱臭性などの機能性が長
期にわたり持続する機能性成形物およびその製造法を提供することを目的とするものであ
る。
本発明の機能性成形物は、
水と接触する使い方をしても機能性成分(a) の溶出が抑制され、その抗微生物性または
脱臭性の機能が長期間にわたり持続する機能性成形物であって、
カテキン類、サポニン類、茶葉粉末および茶葉抽出物よりなる群から選ばれかつ植物の
乾留物ではない抗微生物性または脱臭性を有する機能性成分(a) と粒子状のセラミックス
成分(b) とが配合された成形用樹脂(Y) の溶融成形物からなること、
成形用樹脂(Y) に配合されている前記の機能性成分(a) およびセラミックス成分(b) の
少なくとも一部は、これらの成分(a), (b)が複合した複合体粒子(X) の形で成形用樹脂(Y
) 相に存在していること、および、
セラミックス成分(b) 100重量部に対する機能性成分(a) の割合が1〜130重量部
であり、かつ成形用樹脂(Y) 100重量部に対する機能性成分(a) とセラミックス成分(b
) との合計量が 0.1〜30重量部であること、
を特徴とするものである。
本発明の機能性成形物の製造法は、
水と接触する使い方をしても機能性成分(a) の溶出が抑制され、その抗微生物性または
脱臭性の機能が長期間にわたり持続する機能性成形物であって、
カテキン類、サポニン類、茶葉粉末および茶葉抽出物よりなる群から選ばれかつ植物の
乾留物ではない抗微生物性または脱臭性を有する機能性成分(a) と粒子状のセラミックス
成分(b) とが配合された成形用樹脂(Y) の溶融成形物からなること、
成形用樹脂(Y) に配合されている前記の機能性成分(a) およびセラミックス成分(b) の
少なくとも一部は、これらの成分(a), (b)が複合した複合体粒子(X) の形で成形用樹脂(Y
) 相に存在していること、および、
セラミックス成分(b) 100重量部に対する機能性成分(a) の割合が1〜130重量部
であり、かつ成形用樹脂(Y) 100重量部に対する機能性成分(a) とセラミックス成分(b
) との合計量が 0.1〜30重量部であること、
を満足する機能性成形物を製造するにあたり、
前記の機能性成分(a) と前記のセラミックス成分(b) とが配合された成形用樹脂(Y) を
溶融成形することを特徴とするものである。
本発明の機能性成形物は、カテキン類等の機能性成分(a) およびセラミックス成分(b)
(殊にこれらからできた複合体粒子(X) )が配合された成形用樹脂(Y) を溶融成形するこ
とにより得られる。得られた機能性成形物にあっては、カテキン類等の機能性成分(a) が
セラミックス成分(b) と共存して(成分(a), (b)の少なくとも一部が複合体粒子(X) の形
となって)耐水化固定がなされているので、水洗を行ったり水と接触する用途に用いたり
しても、その機能性成分(a) が容易には溶出せず、従って抗微生物性や脱臭性などの機能
性が長期にわたり持続する。人体と接触する用途に用いたときは、生理活性(抗アレルギ
ー性や抗酸化性)も奏される。
また、機能性成分(a) が一定温度以上で揮発する性質を有するものであっても、セラミ
ックス成分(b) と共存しているため(成分(a), (b)の少なくとも一部が複合体粒子(X) の
形となっているため)、成形用樹脂(Y) に配合して溶融成形に供したときに機能性成分(a
) が揮発により失われがたく、溶融成形性の確保および比較的高価な機能性成分(a) の節
約の点でも有利である。そのほか、セラミックス成分(b) の存在は、温湿度変化などの環
境変化に対する成形物の耐性向上(寸法安定性や耐熱性の向上)に貢献するという利点も
ある。
以下本発明を詳細に説明する。
〈機能性成分(a) 、セラミックス成分(b) 、複合体粒子(X) 〉
(機能性成分(a) )
まず機能性成分(a) とセラミックス成分(b) とについて説明する。これらの機能性成分
(a) およびセラミックス成分(b) は、それらが複合した複合体粒子(X) の形にした状態で
成形用樹脂(Y) に配合し、溶融成形に供することが特に好ましい。
ここで機能性成分(a) としては、カテキン類、サポニン類、茶葉粉末および茶葉抽出物
よりなる群から選ばれかつ植物の乾留物ではない抗微生物性または脱臭性を有する少なく
とも1種の成分が用いられる。抗微生物性とは、抗菌性、静菌性、防カビ性、抗ウイルス
性などを包含する概念である。「植物の乾留物ではない」とは、そのような特殊な成分は
本発明の対象とする機能性成分(a) ではないことを念のために明確にしたものである。
カテキン類(その属性体も含まれるものとする)としては、モノマー状のものやオリゴ
マー状のものが用いられる(テアフラビンも含まれる)。カテキン類として特に重要性の
高いものは、カテキンの濃度を高めた茶由来のカテキン製剤である。茶カテキンの主たる
成分は、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、エピカテキン、エピカテキンガ
レートなどであるが、個々の成分に単離する必要はないので、これらの混合物からなる茶
カテキンを濃厚に含む製剤(殊に20%以上、好ましくは25%以上含むもの)をそのま
ま好適に用いることができる。市販の茶由来のカテキン製剤には30%品、50%品、6
0%品、70%品、80%品、90%品などがあるので、その入手は容易である。なおカ
テキン類は、阿仙薬をはじめ茶以外の多種の植物にも含まれているので、それらの植物由
来のカテキンを用いることもできる。
サポニン類のうち茶サポニンは、有機溶剤や水を用いて茶葉や茶の種子からサポニンを
含む成分を抽出し、ついでカラムクロマトなどの手段を用いて繰り返し精製を行うことに
より取得できる。茶サポニンには、ステロイド系サポニン、トリテルペノイド系サポニン
などがあるが、本発明の目的にはこれらをいずれも使用することができる。サポニンは、
茶以外の多種の植物、たとえば、ニンジン、チクセツニンジン、ダイズ、サイコ、アマチ
ャヅル、ヘチマ、オンジ、キキョウ、セネガ、バクモンドウ、モクツウ、チモ、ゴシツ、
カンゾウ、サンキライなどにも含まれているので、そのような植物からのサポニンを用い
ることもできる。ただし、入手の容易さ、夾雑物の少なさなどの点から、先に述べた茶由
来の茶サポニンが特に好適である。
茶葉粉末または茶葉抽出物としては、たとえば、一番茶・二番茶・三番茶、深むし、か
ぶせなどの茶の粉末または抽出物を用いることができる。
(セラミックス成分(b) )
セラミックス成分(b) としては、各種の粒子状のセラミックスが用いられるが、好まし
いものの第1の例は、
・セラミックス粒子(b1)、無機質焼結助剤(b2)および無機質凝集剤(b3)の組み合わせ、
または、
・無機質焼結助剤(b2)および無機質凝集剤(b3)の組み合わせ
である。
セラミックス粒子(b1)としては、各種の粘土鉱物や、酸化物、水酸化物、複合酸化物、
窒化物、炭化物、ケイ化物、ホウ化物などがあげられ、ゼオライト、クリストバライト、
ケイ藻土なども用いることができる。これらの中では、ケイ酸アルミニウム、アルミナ、
チタニア、シリカ、ジルコニア、マグネシア、水酸化アルミニウムなどが重要である。
セラミックス粒子(b1)は、100メッシュ(0.147mm) アンダー、通常は200メッシュ
(0.074mm) アンダー、さらにはもっと微粒ないし超微粒というように、できるだけ細かい
粒子の形態で用いることが望ましい。この場合、平均粒径の異なる2種以上の粒子を併用
することも好ましい。
無機質焼結助剤(b2)としては、リン酸、硫酸、硝酸、炭酸などの無機酸の多価金属塩が
あげられ、殊に、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、リン酸マグネシウム、リン酸マンガ
ン、リン酸カルシウムなどリン酸の多価金属塩が重要であり、特にリン酸アルミニウムが
好適である。これらは通常は含水塩ないし水和物を水に溶解した形で使用に供される。無
機質焼結助剤(b2)は、混合操作中にセラミックス粒子(b1)を分散させる役割を果たす成分
である。
無機質凝集剤(b3)としては、ゾル状または溶液状の無機質凝集剤、殊に、ゾル状の無水
ケイ酸または溶液状のケイ酸塩(ケイ酸ナトリウムやケイ酸カリウム)が好適に用いられ
る。ゾル状の無水ケイ酸には、水を媒体とする通常のコロイダルシリカのほか、アルコー
ル等の有機溶媒を媒体とするオルガノシリカゾルがある。無機質凝集剤(b3)としては、そ
のほか、アルミン酸カルシウム、酸化マグネシウムなども用いられる。無機質凝集剤(b3)
は、凝集剤の役割を果たすのみならず、結合剤の役割も果たす。
セラミックス成分(b) のうち好ましいものの第2の例は、含水ケイ酸ゲルを経て得られ
るシリカゲルである。このときには、ケイ酸塩の水溶液を酸と混合することによりpHを
調整して含水ケイ酸ゲルとなし、さらにこの含水ケイ酸ゲルを水洗してイオンを除去して
から乾燥することによりシリカゲルを得る。ケイ酸塩としては、Na2O・n SiO2で表わされ
るケイ酸ナトリウムや、 K2O・n SiO2で表されるケイ酸カリウムが用いられ、特に前者の
ケイ酸ナトリウムが重要である。ケイ酸塩の濃厚水溶液は一般に水ガラスと呼ばれる。市
販の代表的な水ガラスのSiO2含有量は22〜38重量%程度、Na2O含有量は5〜19重量
%程度である。
(複合体粒子(X) )
上述の機能性成分(a) およびセラミックス成分(b) は、成形用樹脂(Y) に配合される。
この場合、機能性成分(a) とセラミックス成分(b) とを成形用樹脂(Y) にそれぞれ配合し
てもよいが、予め機能性成分(a) とセラミックス成分(b) とが複合した複合体粒子(X) を
製造しておいてから、その複合体粒子(X) を成形用樹脂(Y) に配合することが好ましい。
そして複合体粒子(X) は、コロイダルシリカ等の無機質凝集剤(b3)のコロイド液と機能
性成分(a) とを混合して凝集させたり、ケイ酸塩と酸との混合前、混合時または混合後の
ゲル化反応完了前に機能性成分(a) を系に添加したりするなどの方法により、製造するこ
とが特に好ましい。そのようにした方が、単に機能性成分(a) とセラミックス成分(b) と
を成形用樹脂(Y) にそれぞれ配合したり、多孔質の粒子状のセラミックス成分(b) に機能
性成分(a) を含浸担持させたりするよりも、目的物の効果の持続性の点や、機能性成分(a
) の割合を高めることができる点で、有利であるからである。
複合体粒子(X) を製造する場合、セラミックス成分(b) がセラミックス粒子(b1)、無機
質焼結助剤(b2)および無機質凝集剤(b3)の組み合わせであるときは、それは典型的には、
セラミックス粒子(b1)、無機質焼結助剤(b2)、機能性成分(a) および媒体からなる混合物
に、ゾル状または溶液状の無機質凝集剤(b3)を混合して凝集させた後、その凝集物を加熱
処理することにより製造される。このときには、まずセラミックス粒子(b1)と無機質焼結
助剤(b2)の水溶液とを混練し、さらにはその混練時またはその混練の前または後に機能性
成分(a) を混合し、ついでゾル状または溶液状の無機質凝集剤(b3)を混合した後、加熱処
理するようにすることが望ましい。
なお上記の混合に際して、銅塩、鉄塩、カルシウム塩、チタン塩、アルミニウム塩、銀
塩、スズ塩、亜鉛塩、クロム塩、コバルト塩など染色の媒染剤として使われるような金属
イオン源を機能性成分(a) に対して適当量共存させると、成形用樹脂(Y) がナイロンのよ
うな極性のあるポリマーである場合のみならず、ポリプロピレンのような極性のないポリ
マーであっても、成形物としたときの機能性成分(a) の耐水化ないし定着化の点で一段と
有利になる。
典型的なケースにおいては、ケイ酸アルミニウム、アルミナ、チタニアなどのセラミッ
クス粒子(b1)に無機質焼結助剤(b2)の一例としてのリン酸アルミニウムの水溶液を硬練り
ペースト程度の粘度になるように加えて混練し、続いて機能性成分(a) を粉末であるいは
水溶液またはアルコール溶液として混合し(あるいは、セラミックス粒子(b1)に機能性成
分(a) を混合しておいてから無機質焼結助剤(b2)を混練し)、また必要に応じてリン酸ア
ルミニウムの水溶液を追加混合し、pHを3〜4に調節する。ついで無機質凝集剤(b3)の
一例としてのコロイダルシリカのコロイド液を混合して系のpHを中性程度にもっていく
と、凝集が起こる。凝集物を得た後は、これをルツボや蒸発皿に移し、乾燥器または電気
炉にて脱水するまで加熱処理する。
各成分の割合は、無機質焼結助剤(b2)はその役割を発揮する量とし、機能性成分(a) は
その効果(抗微生物性や脱臭性)を発揮するに足る有効量とし、無機質凝集剤(b3)はその
役割を発揮する量とする。代表的な例をあげると、セラミックス粒子(b1)を100重量部
とするとき、無機質焼結助剤(b2)が固形分で 0.5〜20重量部程度(殊に1〜20重量部
程度)、機能性成分(a) が粗製物として1〜130重量部(殊に2〜120重量部程度)
、無機質凝集剤(b3)が固形分で 0.5〜25重量部程度(殊に1〜20重量部程度)、媒染
剤(金属イオン源)が機能性成分(a) に対して0〜20重量%程度(殊に 0.1〜10重量
%程度)とする。
上記加熱処理により固形物が得られるので、通常はその固形物を粉砕し、必要に応じ分
級し、複合体粒子(X) とする。
複合体粒子(X) を製造する場合、セラミックス成分(b) が無機質焼結助剤(b2)および無
機質凝集剤(b3)の組み合わせであるときは、たとえば、リン酸アルミニウム等の無機質焼
結助剤(b2)の水溶液に機能性成分(a) を粉末であるいは水溶液またはアルコール溶液とし
て混合し、pHを3〜4に調整して、コロイダルシリカ等の無機質凝集剤(b3)のコロイド
液を混合して系のpHを中性程度にもっていくと、凝集が起こるので、その凝集物をルツ
ボや蒸発皿に移し、乾燥器または電気炉にて脱水するまで加熱処理すればよい。
各成分の割合は、無機質焼結助剤(b2)の固形分100重量部に対し、無機質凝集剤(b3)
は固形分で100〜300重量部程度あるいはそれ以上とすることが多い。機能性成分(a
) はその効果(抗微生物性や脱臭性)を発揮するに足る有効量とするが、無機質焼結助剤
(b2)および無機質凝集剤(b3)の合計量100重量部に対して、粗製物として1〜130重
量部(殊に2〜120重量部程度)とする。
複合体粒子(X) を製造する場合、セラミックス成分(b) が含水ケイ酸ゲルを経て得られ
るシリカゲルであるときは、ケイ酸塩と酸との混合前、混合時または混合後のゲル化反応
完了前に機能性成分(a) を系に添加して、機能性成分(a) をシリカゲル中に含有させるこ
とにより複合体粒子(X) とすることが望ましい。
各成分の割合は、機能性成分(a) はその効果(抗微生物性や脱臭性)を発揮するに足る
有効量とするが、セラミックス成分(b) 100重量部に対して、粗製物として1〜130
重量部(殊に2〜120重量部程度)とする。
〈成形用樹脂(Y) 〉
成形用樹脂(Y) としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重
合体、アイオノマー等のポリオレフィン、ナイロン(ナイロン6、66、6−66、61
0、612、11、12、46等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリ
ブチレンテレフタレート、共重合ポリエステル等)、アクリル系ポリマー、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、ポリカーボネート、ポ
リアセタール、エチレン−ビニルアルコール系共重合体、各種熱可塑性エラストマー、セ
ルロース系ポリマーをはじめとする溶融成形可能な各種の樹脂が用いられ、2種以上の樹
脂を混合して用いることもできる。これらの中では、特にポリオレフィン、ナイロン、ポ
リエステルが重要である。
〈機能性成形物〉
上述の機能性成分(a) およびセラミックス成分(b) (殊にそれらからできた複合体粒子
(X) )を成形用樹脂(Y) に配合(つまり内添ないし練り込み)してから溶融成形すること
により、目的とする機能性成形物が得られる。なお、成形用樹脂(Y) に複合体粒子(X) を
配合して溶融成形に供した場合はもとより、成形用樹脂(Y) に機能性成分(a) とセラミッ
クス成分(b) とを配合して溶融成形に供した場合でも、機能性成分(a) とセラミックス成
分(b) との間の親和性が大きいため、機能性成分(a) およびセラミックス成分(b) の少な
くとも一部はこれらの成分(a), (b)が複合した複合体粒子(X) の形で機能性成形物の成形
用樹脂(Y) 相に存在することになる。
溶融成形法としては、押出成形法、射出成形法、圧縮成形法、カレンダー成形法、エク
ストルージョンコーティング法などが採用される。成形温度は、成形用樹脂(Y) が溶融す
る温度以上とする。溶融成形に際し、予め機能性成分(a) およびセラミックス成分(b) (
殊にそれらからできた複合体粒子(X) )と成形用樹脂(Y) )とを混合して溶融押出および
ペレット化を行って、成形用樹脂(Y) に対する機能性成分(a) およびセラミックス成分(b
) (殊に複合体粒子(X) )の配合濃度の高いマスターバッチを作製しておいてから、その
マスターバッチをペレット状の成形用樹脂(Y) に適量配合して溶融成形に供することによ
り濃度調整する方法を採用すると、円滑成形性、樹脂相への機能性成分(a) およびセラミ
ックス成分(b) (殊にそれらからできた複合体粒子(X) )の均一分散性の点でより好まし
いものとなる。
機能性成分(a) およびセラミックス成分(b) (殊にそれらからできた複合体粒子(X) )
の合計配合量は、成形用樹脂(Y) 100重量部に対し、 0.1〜30重量部、好ましくは 0
.5〜20重量部、さらに好ましくは1〜15重量部とする。機能性成分(a) およびセラミ
ックス成分(b) (殊にそれらからできた複合体粒子(X) )の配合量が余りに少ないときは
、目的の抗微生物性または脱臭性を有する機能性成形物を得ることができず、一方その配
合量が余りに多いときは、成形性が損なわれ、たとえ成形できても成形物の強度が不足す
るようになる。
溶融成形に際しては、必要に応じ、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤
、補強材(短繊維等)、フィラー、着色剤、流動性改良剤、離型剤、難燃剤などを適当量
配合することができる。そのほか、生薬の抽出物などを配合することもできる。
機能性成形物の形状は、フィラメント、フィルム(シート、膜を含む)、ネット、パイ
プ、ロッド、容器、各種部品形状をはじめ任意である。得られた成形物を、延伸、スプリ
ット、真空成形、深絞り成形などの二次加工に供することもできる。フィラメントの場合
には、それを用いて、糸、ロープ、わた(綿)、ネット、不織布、織布、編布、ベルトな
どを製造することができる。
〈用途〉
本発明の機能性成形物は、良好な抗微生物性または脱臭性を有し、しかも水洗や洗濯が
なされたり、水や雨水と接触する使い方をしてもその機能性が長期にわたり維持される。
従って、空調機、空気清浄機、掃除機などの機器のフィルター材として有用であり、また
、衣類、寝具関連材料、衛生材料、履物材料、敷物材料、台所用品、トイレタリー用品、
身回り品、テント地、ホース類、ろ布、建物または乗り物の内装材料、建材、医療用材料
、農業用または園芸用材料、包装材料をはじめとする多種の用途に有用である。
〈作用〉
本発明の機能性成形物は、機能性成分(a) およびセラミックス成分(b) (殊にこれらか
らできた複合体粒子(X) )が配合された成形用樹脂(Y) を溶融成形することにより得られ
る。得られた機能性成形物にあっては、カテキン類等の機能性成分(a) がセラミックス成
分(b) と共存して(好ましくは複合体粒子(X) として)耐水化固定がなされているので、
水洗を行ったり水と接触する用途に用いたりしても、その機能性成分(a) が容易には溶出
せず、従って抗微生物性や脱臭性などの機能性が長期にわたり持続する。
そして機能性成分(a) としてカテキン類、サポニン類、茶葉粉末および茶葉抽出物より
なる群から選ばれた成分を用いているので、好ましい抗微生物性または/および脱臭性が
奏される上、抗アレルギー性や抗酸化性も得られ、かつ安全性が高い。
また、機能性成分(a) が一定温度以上で揮発する性質を有するものであっても、セラミ
ックス成分(b) と共存して(好ましくは複合化して)いるため、成形用樹脂(Y) に配合し
て溶融成形に供したときに機能性成分(a) が揮発により失われがたく、溶融成形性の確保
および比較的高価な機能性成分(a) の節約の点でも有利である。そのほか、セラミックス
成分(b) の存在は、温湿度変化などの環境変化に対する成形物の耐性向上(寸法安定性や
耐熱性の向上)に貢献するという利点もある。
次に実施例をあげて本発明をさらに説明する。以下「部」、「%」とあるのは重量基準
で表わしたものである。
実施例1〜7
〈複合体粒子(X) の作製法1〉
機能性成分(a) として、茶カテキン30%品(エピガロカテキン、エピガロカテキンガ
レート、エピカテキンおよびエピカテキンガレートの合計量が約30%の茶由来のカテキ
ン製剤)、純度70%の茶サポニン、緑茶の熱水抽出物を乾燥した粉末、緑茶粉末、およ
び純度85%のタンニン酸を準備した。
セラミックス粒子(b1)としての平均粒径250メッシュ(0.061mm) アンダーのアルミナ
400部と325メッシュ(0.043mm) アンダーのアルミナ100部とを乾式混合した後、
無機質焼結助剤(b2)の一例としての濃度20%のリン酸アルミニウム水溶液100部を添
加しながら硬めに混練し、ペーストを得た。
この混練ペーストの全量を自動磁製乳鉢に入れ、上記の機能性成分(a) 215部(粗製
物として)を適当量のイソプロパノールに溶解した溶液を添加して、スラリー状になるま
で混練した。pHが3〜4程度になるのを確認してから、このスラリーに無機質凝集剤(b
3)の一例としてのコロイダルシリカのコロイド液(固形分40%)の37.5部を加えて混合
し、pHを中性にもっていった。スラリーは徐々に凝集していったので、ハンドリングが
可能なうちに蒸発皿(またはルツボ)に移し、恒温乾燥器または電気炉で加熱し、100
〜300℃で脱水、加水分解させた。
これにより硬い不定形の複合凝集体が得られたので、それを自動乳鉢(またはボールミ
ル)で微粉砕し、篩で分級して100〜325メッシュの粒度のものを取得した。ついで
この複合凝集体の粒子を、恒温乾燥器または電気炉にて100℃で3時間加熱処理し、機
能性成分(a) とセラミックス成分(b) とが複合化した複合体粒子(X) を得た。複合体粒子
(X) に占める機能性成分(a) の割合は、理論量で28.7%となる。
〈複合体粒子(X) の作製法2〉
セラミックス粒子(b1)として400メッシュのチタニア粒子500部を用いたほかは、
上記と同様にして複合体粒子(X) を作製した。
〈複合体粒子(X) の作製法3〉
セラミックス粒子(b1)としての平均粒径325メッシュアンダーのケイ酸アルミニウム
400部と、機能性成分(a) としての茶カテキン30%品130部とを乾式混合した後、
無機質焼結助剤(b2)の一例としての濃度25%のリン酸アルミニウム水溶液200部を添
加しながら硬めに混練し、さらに硫酸銅7部を上記リン酸アルミニウム水溶液に溶解させ
た状態で一緒に滴下混合し、ペーストを得た。このペーストに無機質凝集剤(b3)の一例と
してのコロイダルシリカのコロイド液(固形分40%)50部を混合して、pHを中性に
もっていった。この時点で徐々に凝集が起きてくるので、ハンドリングできるうちにルツ
ボに移し、乾燥後、100〜300℃で脱水、加水分解させた。これを微粉砕し、複合体
粒子(X) を得た。複合体粒子(X) に占める機能性成分(a) の割合は、理論量で21.4%とな
る。
〈複合体粒子(X) の作製法4〉
0℃に保った1N硫酸溶液に機能性成分(a) としての茶カテキン30%品を添加し、ま
た別途1N水ガラス3号溶液を調製した。ついで、機能性成分(a) を含有する1N硫酸溶
液を激しく撹拌しながら、数分かけて上記の1N水ガラス溶液を滴下した。このときの反
応液の温度は5〜7℃となった。混合物を流水にて1日洗浄してから、水分をよく切り、
ついで細かく砕き、50〜60℃の温度をかけながら乾燥器中で真空乾燥し、粉末状の複
合体粒子(X) を得た。複合体粒子(X) 中の機能性成分(a) の割合は22.0%となるようにし
た。
〈機能性成形物〉
成形用樹脂(Y) の一例としてのポリプロピレンまたは6−ナイロン50部に、上記で得
た複合体粒子(X) 50部を配合してまずマスターバッチを得た。
ついで成形用樹脂(Y) の一例としてのポリプロピレンまたは6−ナイロンのペレット8
4部と、このマスターバッチ16部とを混合してから、溶融押出することにより、モノフ
ィラメント状の機能性成形物を得た。そしてこのモノフィラメントを用いて、空調機また
は空気清浄機の前面フィルターを作製した。なお、成形用樹脂(Y) と複合体粒子(X) との
合計量に占める機能性成分(a) (粗製物として)の割合は、配合時基準で、後述の実施例
1〜5および7が2.30%、実施例6が1.71%、実施例8が1.76%となる。
比較例1〜2
ポリプロピレンに、直接上記の機能性成分(a) を2.30%宛配合して溶融押出することに
よりモノフィラメントを成形し、ついでフィルターを作製した。
〈条件のまとめ〉
条件を表1に示す。表中の略号は次の通りである。PP: ポリプロピレン、Ny:6−ナイ
ロン、Cat : カテキン30%品、Sap : 純度70%茶サポニン、Ext : 茶葉の熱水抽出物
の乾燥粉末、Pow :緑茶粉末、Al: アルミナ、Ti: チタニア、AlSi: ケイ酸アルミニウム
、 Si:シリカゲル。
[表1]

実 施 例 比較例
1 2 3 4 5 6 7 1 2
(X) 作製法 1 1 1 1 3 2 4 − −
(X):(a) Cat Sap Ext Pow Cat Cat Cat Cat Sap
(X):(b1) Al Al Al Al AlSi Ti Si − −
(Y) PP PP PP Ny PP PP PP PP PP
注:(X) は複合体粒子、(a) は機能性成分、(b1)はセラミックス粒子。
(Y) は成形用樹脂。
〈試験〉
実施例1,2,5,6,7および比較例1,2で作製したフィルターを下記の条件で水
洗し、水洗前および後の機能性成分(a) の量を示差熱重量分析計による熱分析(電気炉中
で5℃/minの速度で昇温し、加熱過程における試料の熱収支(吸熱/発熱)とそれに伴う
重量の増減を解析)により測定した。そして、水洗前および後のフィルターにつき、脱臭
試験および抗菌性試験を下記の条件にて行った。結果を表2に示す。
(水洗条件)
家庭用中性洗剤の 0.5%水溶液(温度40℃)に15分間浸漬した後、スポンジで数回
表面を擦り洗いし、陰干しする操作を5回繰り返した。
(脱臭試験)
1m3の容器内には外部から操作できる空気清浄機、内部にはフィルターを設置し、容器
の中でタバコ5本を吸煙機に装着して着火し、最初の1本が燃え尽きた時点で吸煙機を停
止し、最後のタバコが燃え尽きた時点で空気清浄機の運転を開始し、運転5分後および3
0分後にガス検知管を用いてアンモニア濃度を測定し、5分後の濃度(初期濃度)に比し
30分後の濃度がどの程度減少しているかで脱臭率を求めた。
(抗菌性試験)
下記の条件により、各試料の抗菌性を調べた。
・試験項目:菌数減少率試験
・試験方法:統一試験方法(仮称)による。
・試験結果:
植菌数[A] 1.0×105 log A = 5.0
無加工布菌数[B] 1.6×107 log B = 7.2
(無加工布は標準綿布を使用)
log B - log A = 2.2 > 1.5 (試験は有効)
増減値 = log C - log A
増減値差 = (log B - log A) - (log C - log A)
[表2]

実 施 例 比較例
1 2 5 6 7 1 2
水洗前
(A) 含有量 (%) 2.2 2.2 1.6 2.2 1.7 1.8 1.7
NH3 脱臭率 (%) 72 68 77 70 73 62 63
抗菌性
菌数 log C 3.8 4.2 3.8 3.9 3.9 4.1 4.1
増減値 -1.2 -0.8 -1.2 -1.1 -1.1 -0.9 -0.9
増減値差 3.4 3.0 3.4 3.3 3.3 3.1 3.1
5回水洗後
(A) 含有量 (%) 1.9 2.0 1.4 1.9 1.5 0.2 0.1
NH3 脱臭率 (%) 69 63 74 65 66 7 5
抗菌性
菌数 log C 4.0 4.3 3.9 4.0 4.1 7.0 7.1
増減値 -1.0 -0.7 -1.1 -1.0 -0.9 2.0 2.1
増減値差 3.2 2.9 3.3 3.2 3.1 0.2 0.1
(抗菌性試験の試料は 0.2gを採取)
実施例3〜4のフィルターにおける水洗前後の機能性成分(a) の量は次の通りであった

・実施例3: 2.2%→ 2.0%
・実施例4: 2.2%→ 2.0%
比較例1〜2において水洗前の場合の機能性成分(A) 含有量が対応する実施例のそれよ
りも少ないのは、溶融成形中に機能性成分(a) の一部が揮発により失われる度合いが大き
いためと思われる。そして比較例1〜2においては、5回水洗のちには機能性成分(a) の
大部分が溶出し、脱臭性、抗菌性が著しく低下することがわかる。
実施例8〜12
〈複合体粒子(X) の作製法5〉
機能性成分(a) として、茶カテキン30%品、純度70%の茶サポニン、緑茶の熱水抽
出物を乾燥した粉末を準備した。
無機質焼結助剤(b2)の一例としての濃度25%のリン酸アルミニウム水溶液200部に
機能性成分(a) を混合し、pHを3〜4に調整して、無機質凝集剤(b3)の一例としてのコ
ロイダルシリカのコロイド液(固形分40%)130部を混合して、pHを中性にもって
いった。スラリーは徐々に凝集していったので、ハンドリングが可能なうちに蒸発皿(ま
たはルツボ)に移し、恒温乾燥器または電気炉で加熱し、100〜300℃で乾燥し、加
熱処理した。これにより硬い不定形の複合凝集体が得られたので、それを自動乳鉢(また
はボールミル)で微粉砕し、篩で分級して100〜325メッシュの粒度のものを取得し
た。ついでこの複合凝集体の粒子を、恒温乾燥器または電気炉にて100℃で3時間加熱
処理し、複合体粒子(X) を得た。
〈機能性成形物〉
成形用樹脂(Y) の一例としてのポリプロピレン、6−ナイロンまたはポリエステル(ポ
リエチレンテレフタレート)50部に、上記で得た複合体粒子(X) 50部を配合してまず
マスターバッチを得た。
ついで成形用樹脂(Y) の一例としてのポリプロピレン、6−ナイロンまたはポリエステ
ル(ポリエチレンテレフタレート)のペレット84部と、このマスターバッチ16部とを
混合してから、溶融押出することにより、モノフィラメント状の機能性成形物を得た。そ
してこのモノフィラメントを用いて、空調機または空気清浄機の前面フィルターを作製し
た。なお、成形用樹脂(Y) と複合体粒子(X) との合計量に占める機能性成分(a) (粗製物
として)の割合は、配合時基準で、実施例8〜12とも2.30%となるようにした。
比較例3〜4
ポリプロピレンまたはポリエステルに、直接上記の機能性成分(a) を2.30%宛配合して
溶融押出することによりモノフィラメントを成形し、ついでフィルターを作製した。
〈条件および結果〉
条件および結果を表3に示す。表中の略号は次の通りである。PP: ポリプロピレン、Ny
:6−ナイロン、PET:ポリエステル、Cat : カテキン30%品、Sap : 純度70%茶サポ
ニン、Ext : 茶葉の熱水抽出物の乾燥粉末。
[表3]

実 施 例 比較例
8 9 10 11 12 3 4
(X) 作製法 5 5 5 5 5 − −
(X):(a) Cat Sap Ext Cat Sap Cat Sap
(Y) PP PP Ny PET PET PP PET
(a) 量 (%)
水洗前 2.2 2.2 2.2 2.1 2.0 1.8 1.7
水洗後 2.0 2.0 1.9 1.9 1.8 0.2 0.3
注:(X) は複合体粒子、(a) は機能性成分。
(Y) は成形用樹脂。
本発明の機能性成形物は、空調機、空気清浄機または掃除機から選ばれた機器のフィル
ター材として用いる成形物として特に有用であり、そのほか、抗微生物性、脱臭性、さら
には抗アレルギー性、抗酸化性などの生理活性が要求される種々の用途にも用いることが
できる。

Claims (5)

  1. 水と接触する使い方をしても機能性成分(a) の溶出が抑制され、その抗微生物性または
    脱臭性の機能が長期間にわたり持続する機能性成形物であって、
    カテキン類、サポニン類、茶葉粉末および茶葉抽出物よりなる群から選ばれかつ植物の
    乾留物ではない抗微生物性または脱臭性を有する機能性成分(a) と粒子状のセラミックス
    成分(b) とが配合された成形用樹脂(Y) の溶融成形物からなること、
    成形用樹脂(Y) に配合されている前記の機能性成分(a) およびセラミックス成分(b) の
    少なくとも一部は、これらの成分(a), (b)が複合した複合体粒子(X) の形で成形用樹脂(Y
    ) 相に存在していること、および、
    セラミックス成分(b) 100重量部に対する機能性成分(a) の割合が1〜130重量部
    であり、かつ成形用樹脂(Y) 100重量部に対する機能性成分(a) とセラミックス成分(b
    ) との合計量が 0.1〜30重量部であること、
    を特徴とする機能性成形物。
  2. 機能性成形物が、空調機、空気清浄機または掃除機から選ばれた機器のフィルター材と
    して用いる成形物である請求項1記載の機能性成形物。
  3. 水と接触する使い方をしても機能性成分(a) の溶出が抑制され、その抗微生物性または
    脱臭性の機能が長期間にわたり持続する機能性成形物であって、
    カテキン類、サポニン類、茶葉粉末および茶葉抽出物よりなる群から選ばれかつ植物の
    乾留物ではない抗微生物性または脱臭性を有する機能性成分(a) と粒子状のセラミックス
    成分(b) とが配合された成形用樹脂(Y) の溶融成形物からなること、
    成形用樹脂(Y) に配合されている前記の機能性成分(a) およびセラミックス成分(b) の
    少なくとも一部は、これらの成分(a), (b)が複合した複合体粒子(X) の形で成形用樹脂(Y
    ) 相に存在していること、および、
    セラミックス成分(b) 100重量部に対する機能性成分(a) の割合が1〜130重量部
    であり、かつ成形用樹脂(Y) 100重量部に対する機能性成分(a) とセラミックス成分(b
    ) との合計量が 0.1〜30重量部であること、
    を満足する機能性成形物を製造するにあたり、
    前記の機能性成分(a) と前記のセラミックス成分(b) とが配合された成形用樹脂(Y) を
    溶融成形することを特徴とする機能性成形物の製造法。
  4. 機能性成分(a) とセラミックス成分(b) とをこれらの成分(a), (b)が複合した複合体粒
    子(X) の形で成形用樹脂(Y) に配合して溶融成形に供することを特徴とする請求項3記載
    の製造法。
  5. 成形用樹脂(Y) に対する機能性成分(a) およびセラミックス成分(b) またはこれらの成
    分(a), (b)が複合した複合体粒子(X) の配合濃度の高いマスターバッチを作製しておいて
    から、そのマスターバッチを成形用樹脂(Y) に配合して溶融成形に供することを特徴とす
    る請求項3記載の製造法。
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