JP2005091135A - 液体クロマトグラフィー用部材、及び液体クロマトグラフィーによる処理方法 - Google Patents

液体クロマトグラフィー用部材、及び液体クロマトグラフィーによる処理方法 Download PDF

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哲生 高田
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Abstract

【課題】 展開液を低い圧力で流しても高速分析が可能な液体クロマトグラフィー用部材、及びそれを用いた液体クロマトグラフィーによる分離方法を提供すること。
【解決手段】 内壁面の少なくとも一部が多孔質層である分離カラムを有する液体クロマトグラフィー部材、好ましくは、該多孔質層に、特定の物質とアフィニティーを有するプローブが固定された分離カラムを有する液体クロマトグラフィー部材を用いることにより、充填剤を充填する必要がなく、低い圧力で展開液を送液することができ、正確かつ迅速な分析が可能となる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、液体クロマトグラフィー用部材及び液体クロマトグラフィーによる分離方法に関し、より詳しくは、内表面に多孔質層が形成された非充填式の毛細管状液体クロマトグラフィー用部材及びそれを用いた液体クロマトグラフィーによる分離方法に関する。
液体クロマトグラフィーは、高い分離能が得られるため、溶質の高精度の同定や高度の分離に有用である。従来の液体クロマトグラフィー用の分離カラムとしては、粉末状の充填剤が充填された管が広く用いられている。このようなカラムで迅速に分析するためには展開液を高い圧力で導入する必要があった。また、極微少量の試料の分析のためにはカラムを小さくする必要があるが、例えばマイクロ・トータル・アナリティカル・システム(μ−TAS)に組み込めるような微少な分離カラム内に充填剤を充填させることは困難であるため製造が困難であった。
また、微量の試料を分析する液体クロマトグラフィー用の分離カラムとして、ガラス製の多孔質体を毛細管の中で形成した多孔質充填カラムが開示されている(例えば特許文献1参照。)。しかしながらこの多孔質充填カラムは、上記の充填カラムと同様に圧力損失が大きく、展開液を流すために高い圧力を必要とした。このため、展開液の導入配管との接続に耐圧の高い大型のフィッティングを必要としたり、μ−TASに組み込む場合にμ−TASのデバイス全体を頑丈な構造にする必要があり、小形化が困難であるなどの不都合があるとともに、高価となり、ディスポーザブルの用途に使用することは困難であった。さらに、毛細管状の多孔質充填カラムを形成するには、毛細管状の空洞内で相分離させた一方の成分を洗浄除去する必要があり、極めて長時間の洗浄が必要なため、生産性に劣るものであった。
特開平11−287791
本発明は、展開液を低い圧力で流しても高速分析が可能な液体クロマトグラフィー用分離カラム、及びそれを用いた液体クロマトグラフィーによる分離方法を提供することを目的とする。
本発明においては、内壁面の少なくとも一部が多孔質層である分離カラムを有する液体クロマトグラフィー部材、好ましくは、該多孔質層に、特定の物質とアフィニティーを有するプローブが固定された分離カラムを有する液体クロマトグラフィー部材を用いることにより、充填剤を充填することなく、低い圧力で展開液を送液することができ、正確かつ迅速な分析が可能となる。
すなわち本発明は、毛細管状の分離カラムを有し、かつ前記分離カラムの内壁面の少なくとも一部が多孔質層である液体クロマトグラフィー用部材、該部材を用いた液体クロマトグラフィーによる処理方法を提供することにある。
本発明の液体クロマトグラフィー用部材は、該部材の有する毛細管状の分離カラムの内壁面の少なくとも一部に多孔質層を有することから、カラムを閉塞することなく、微細な領域においても多量のプローブ固定量を実現できる。さらに、前記分離カラムの多孔質層を有する部分における流体の流動方向と垂直な方向の断面において、該断面中の任意の点をx、該任意の点と直線距離で最も近い多孔質層の部分をy、xy間の直線距離をrとし、rが該断面内でとり得る最大距離をrmaxとした際の、該rmaxを1〜50μmの範囲とすることで、該多孔質部分を移動する分析対象物質とプローブとの間に有効にアフィニティーを生じさせることができる。このため、本発明のクロマトグラフィー用カラムを使用すると、正確で迅速な処理(分離、分析)が可能となる。なかでも、プローブ化合物をオリゴヌクレオチドとすることによりDNA分析にも好適に利用できる。
本発明の液体クロマトグラフィー用部材を使用した場合には、展開液を低い圧力で流しても高速分析が可能であるため、分離カラムや、展開液の導入配管との接続部分などに高い耐圧性を持たせる必要が無く、また、μ−TASに組み込むことが容易で、その場合にμ−TASのデバイス全体を頑丈な構造にする必要もないため、試料が極微量の場合にも好適に分離対象物質を分離できる。さらに生産性が高く、安価に製造できるため、ディスポーザブル用途にも使用可能である。
本発明の液体クロマトグラフィー用部材は、内壁面の少なくとも一部が多孔質層である毛細管状の分離カラムを有する部材である。
本発明の液体クロマトグラフィー用部材の形状は任意であり、例えばチューブ状の毛細管であって良い。また、塊状や棒状、または板状などの任意の形状であってよく、いわゆるマイクロ流体デバイスであって良い。なかでも形状が板状のものは、良好な寸法精度で毛細管状の分離カラム(以下、該分離カラムを単に「分離カラム」または「カラム」と略記する場合がある。)を形成でき、また、マイクロ流体デバイスの他の構造と一体化することが容易であるため好ましい。ここで、マイクロ流体デバイスとは、マイクロ・フルイディック・デバイス、マイクロ・ファブリケイテッド・デバイス、ラボ・オン・チップ、又はマイクロ・トータル・アナリティカル・システム(μ−TAS)とも呼ばれるものを指し、該流路内で、流体の温度変化を調整する機構、濃度を調整する機構、化学反応を行う機構、流体の流速、流動の分岐、合流(混合)若しくは分離などの制御を行う機構、又は電気的、光学的な測定を行う機構等を設けた毛細管状の流路を有するデバイスである。
本発明の液体クロマトグラフィー用部材を構成する材料は、分離カラムを形成することができれば、特に限定する必要がなく、例えば、ガラス、水晶等の結晶、シリコンなどの半導体、金属、セラミック、炭素、有機重合体(ポリジメチルシロキサンのように、無機元素を含有するものも含む。)、あるいはこれらの発泡体などを使用できる。また、有機重合体などの上に金属やその他の物質を蒸着した複合材料なども使用できる。
本発明の液体クロマトグラフィー用部材の有する分離カラムは、部材中において流体が流れる毛細管状の流路部分である。分離カラムの流体の流動方向と垂直な方向の断面(以下、該方向の断面を単に「分離カラム断面」と略記する。)形状は、特に限定されないが、矩形であると、分離カラム内を流れる分析対象物質と多孔質層との間に均一に相互作用を生じさせやすいため好ましい。
分離カラム断面の大きさとしては、カラムを流動する流体に含まれる分離対象物質が多孔質層と相互作用を生じる大きさであればよく、前記分離カラムの多孔質層を有する部分における分離カラム断面において、該断面中の任意の点をx、該任意の点と直線距離で最も近い多孔質層の部分をy、xy間の直線距離をrとし、rが該断面内でとり得る最大距離をrmaxとした際に、該rmaxが1〜50μmの範囲となるように設計することが好ましい。ここで定義したrmaxが、50μm以下であると、分離カラム内を流動する流体に含まれる分離対象物質が、分離カラム内壁の多孔質層と良好に相互作用を生じることができる。また、rmaxを1μm以上とすることにより、流体を流動させるのに必要な圧力が過度に大きくならない。
分離カラム断面におけるrmaxを前記範囲内とするには、多孔質層の配置や、分離カラムの断面形状により適宜設計すればよい。例えば、内壁全面に多孔質層を有する矩形形状のカラムの場合には、分離カラム断面の幅または高さの少なくとも一方を100μm以下とすればよく、内壁の一面にのみ多孔質層を有する矩形形状のカラムの場合には、該多孔質層と、該多孔質層に対向する面との距離を1〜50μmとすればよい。分離カラム断面の形状が円形や三角形の場合にも同様に、内壁の多孔質層に応じて適宜設計すればよい。
一方、分離カラム内を流れる分析対象物質スポットの光学的な読み取りの容易さ、流速及び温度などの制御のし易さ、並びに製造しやすさの点から、分離カラム断面の最大幅と最大高さとの比が、(最大幅)/(最大高さ)で表される比で、1/20〜20/1の範囲であることが好ましく、1/10〜10/1であることが特に好ましい。
なお、上記断面形状、寸法は、本発明の液体クロマトグラフィーによる処理を行う分離カラムについてのものであり、その他の部分、例えば該液体クロマトグラフィーによる処理を行う分離カラム部分への導入用流路部分や、他の処理を行う部分への連絡用流路については任意である。
分離カラムの長さは任意であり、用途目的により好適な長さをとり得るが、1mm〜500mmが好ましく、5mm〜200mmが更に好ましい。上記下限以上とすることで、十分な分離能を得ることができ、上記上限以下とすることで、必要な送液速度の低下、分離時間の短縮、分離カラムの小型化が計れる。
また分離カラムの流体の流動方向と平行な方向の形態も任意であり、直線であっても、曲線であっても、それらの組み合わせであっても、分岐していても構わない。分離カラムの幅も一定でなくてもよい。また本カラムの開口部の位置、および個数は任意であり、一本の分離カラムに複数の開口部があっても構わない。また、一つの部材中に存在する独立したカラムの本数も任意である。
本発明の液体クロマトグラフィーによる処理を行う分離カラムは、その内壁面の少なくとも一部に、多孔質層を有する。ここでいう多孔質層とは、層内に、表面まで連通し、表面に開口している多数の細孔、即ち、連通細孔を有するものをいう。細孔の形状は任意であり、例えば三次元網目状(スポンジ状)、凝集粒子状、井戸状、不織布や編織布の繊維間状等であり得る。
上記多孔質層は、分離カラム内壁面の少なくとも一部に形成されており、分離カラム内部を流れる分析対象物質は該多孔質層と相互作用しつつカラム内を移動することによって分離される。また、該多孔質層にプローブが固定されている場合には、該プローブと相互作用しつつカラム内を移動することによって分離される。特に良好な相互作用を得るためには、内壁の一部のみが多孔質層である場合よりも、内壁の全面が多孔質層である方が、好ましいが、内壁の一部に多孔質層を形成する方が、製造は容易である。内壁の一部のみを多孔質層とする場合には、その断面の周囲の1/4以上が多孔質層であることが好ましい。
分離カラム断面が矩形である場合にも、上記したように分離カラム内全面に多孔質層が形成されていることが好ましいが、一面のみ、特に底面のみに多孔質層を有する構造は作製が容易であるため、一面のみに多孔質層を形成することも好ましい。このとき、分離カラム内壁の多孔質層と該多孔質層と対向する面までの距離を調節することにより分離対象物質と多孔質層との間に十分な相互作用を得ることができる。
分離カラムの流体の流動方向と平行方向における、多孔質層の形成部位は、カラムの全体であっても、途切れていてもよいが、途切れずに形成されていることが、分離能が向上するため好ましい。
上記多孔質層の厚みは、0.5μm〜30μmが好ましく、1μm〜20μmが更に好ましく、2μm〜10μmが最も好ましい。この下限以上とすることで、分析対象物質と相互作用するための表面積が十分に大きくなり、分離能が高くなる。また、プローブを固定する場合には、十分に多量のプローブを固定可能となり、分離能が高くなる。一方、この上限以下とすることで、溶液中の分離対象物質が、深い細孔の内部にまで入り込んで移動速度が低下することを防止し、分離や分析の時間短縮が計れる。
上記多孔質層の細孔の孔径も任意であるが、0.05μm〜3μmが好ましく、0.1μm〜1μmが更に好ましい。この下限以上とすることで、十分な量のプローブが固定可能となる。また、前記上限以下とすることで、タンパクのような巨大分子もプローブとして固定可能である上、多孔質層の深い部分と表面間の物質移動速度が高くなり、迅速な分離が可能になる。なお、前記細孔径は、多量に存在する細孔の孔径であり、必ずしも平均径とは限らない。前記孔径は分布が狭い方が、分離効率が高くなり、好ましい。
上記多孔質層の素材は、本部材の素材や製造方法に応じて、また、分離対象化合物の種類によって任意に選定できる。多孔質層にプローブを固定しない場合には、公知のクロマトグラフィーと同様にして選定できる。例えば、無機物の場合には、活性炭、ゼオライト、酸化アルミニウムを例示できる。しかし、有機重合体であることが、製造が容易であり好ましく、紫外線硬化性樹脂であることが、形成が容易であるため更に好ましい。プローブを固定する場合には、固定が容易な素材を任意に選択できるが、有機重合体であることが、製造が容易であり好ましく、紫外線硬化性樹脂であることが、形成が容易であり更に好ましい。
また、上記多孔質層には任意の官能基を導入できる。親水性官能基としては、例えば水酸基、ポリエチレングリコール基、アミド基、カルボン酸エステル基、スルホン酸エステル基、(亜)硝酸エステル基、(亜)リン酸エステル基などのノニオン性の官能基、カルボキシル基、スルホン基、硝酸基、亜硝酸基、リン酸基、亜リン酸基、(置換)ヒドロキシフェニル基、シラノール基などのアニオン性の官能基、(N置換)アミノ基、4級アンモニウム塩基、ホスホニウム塩基などのカチオン性官能基などを挙げることが出来る。疎水性官能基としては、例えばフッ素、塩素、ポリシロキサン構造、アルキル基、フェニル基、エーテル基などを挙げることが出来る。両性官能基としてはアミノ酸残基を挙げることが出来る。その他に、両親媒性基などを挙げることが出来る。なお、これらの官能基は下記のプローブとなる場合もある。
上記多孔質層には、分析対象物質の分離能が向上し、ごく僅かな違いしかない分析対象物質が分離可能となるため、分析対象物質とアフィニティーを有するプローブを固定することが好ましい。プローブとしては、分析対象物質に応じて適宜選択すればよく、各種の触媒、酵素・抗体・抗原その他の蛋白、DNA・RNAなどのオリゴヌクレオチド、糖鎖、糖脂質、細胞などの生体組織などが挙げられる。もちろん、これらは化学修飾体であっても良い。なかでも、プローブとしてオリゴヌクレオチドを使用した場合には、遺伝子の分離や検出が可能であり、遺伝子の一塩基変異の検出にも有効に使用できる。
プローブとしてオリゴヌクレオチドを使用する場合、オリゴヌクレオチドの長さは、塩基数にして5〜30が好ましく、5〜20がさらに好ましく、5〜10が最も好ましい。オリゴヌクレオチドの長さをこの範囲とすることによって、室温〜60℃という実施が容易な温度で、十分な信頼性と高い分離速度を、得ることが出来る。また、同じ目的で、プローブのオリゴヌクレオチドは、分析対象のポリヌクレオチドやオリゴヌクレオチドに対して意図的にミスマッチを有する塩基配列のオリゴヌクレオチドを用いることも好ましい。
カラムの表面に固定されるプローブの量は、プローブとのアフィニティーを有する分析対象物質の量に対して過剰量であることが好ましい。プローブ量が過剰量である場合には、過少量である場合と比較して、プローブとの相互作用に関与する分析対象物質の量が増え、局所的に分析対象物質濃度が高くなるために、分析対象物質を高感度に検出することが可能となる。このような理由から、多孔質層に固定されるプローブの量は多い方が好ましい。
本発明の液体クロマトグラフィー用部材の作製方法について、以下に好ましい例を挙げて説明する。本発明の液体クロマトグラフィー用部材は、例えば、以下の(1)〜(3)の工程により作製できる。
(1)部材を形成する支持体の表面に多数の細孔を有する多孔質層を形成する工程、
(2)該多孔質層の上に活性エネルギー線重合性の化合物(a)を含有する活性エネルギー線硬化性の組成物(X)を塗工し、該組成物(X)の未硬化塗膜を形成し、カラムと成すべき部分以外の前記未硬化塗膜に活性エネルギー線を照射して前記組成物(X)の硬化又は半硬化塗膜を形成し、非照射部分の未硬化の前記組成物(X)を除去して、多孔質層が底面に露出した凹部を形成する工程、
(3)前記凹部を有する部材の凹部に蓋となる他の部材を固着して前記凹部を空洞状のカラムと成す工程。
工程(1)において多数の細孔を有する多孔質層を形成する方法としては、多孔質層が形成できれば任意であり、例えば下記の三つの方法を好適に使用することができる。
多孔質層を形成する第一の方法は、支持体上に活性エネルギー線重合性の化合物(b)(以下、該化合物を重合性化合物(b)と称する。)と、重合性化合物(b)とは相溶するが、重合性化合物(b)の重合体とは相溶しない貧溶剤(R)とを含有する活性エネルギー線硬化性の製膜液(Y)(以下、該製膜液を製膜液(Y)と称する。)を塗布した後、該製膜液(Y)に活性エネルギー線を照射し、重合性化合物(b)を重合させると共に相分離を生じさせることにより、多孔質層を形成する方法(以下、該方法を反応誘発型相分離法と称する。)である。該方法では、重合性化合物(b)の重合により生成した重合体が、貧溶剤(R)と相溶しなくなり、重合体と貧溶剤(R)とが相分離を生じ、重合体内部や重合体間に貧溶剤(R)が取り込まれた状態になる。この貧溶剤(R)を除去することにより、貧溶剤(R)が占めていた領域が孔となり多孔質層を形成できる。
重合性化合物(b)としては、重合開始剤の存在下または非存在下で活性エネルギー線により重合するものであり、付加重合性の化合物や、活性エネルギー線重合性官能基として重合性の炭素−炭素二重結合を有するものが好ましく、なかでも、反応性の高い(メタ)アクリル系化合物やビニルエーテル類、また光重合開始剤の不存在下でも硬化するマレイミド系化合物が好ましい。さらに、半硬化の状態で形状保持性を高くでき、硬化後の強度も高くできることから、重合して架橋重合体を形成する化合物であることが好ましい。そのために、1分子中に2つ以上の重合性の炭素−炭素二重結合を有する化合物(以下、「1分子中に2つ以上の付加重合性の官能基を有する」ことを「多官能」と称する。)であることが更に好ましい。
このような重合性化合物(b)としては、例えば、(メタ)アクリル系モノマー、マレイミド系モノマー、あるいは、分子鎖に(メタ)アクリロイル基やマレイミド基を有する重合性のオリゴマー(プレポリマーともいう。)などが使用できる。
反応誘発型相分離法で使用する貧溶剤(R)としては、重合性化合物(b)とは相溶するが、重合性化合物(b)から生成する重合体は溶解(相溶)しないものを使用する。貧溶剤(R)と重合性化合物(b)との相溶の程度は、均一な製膜液(Y)が得られればよい。貧溶剤(R)は、単一溶剤であっても混合溶剤であってもよく、混合溶剤の場合には、その構成成分単独では重合性化合物(b)と相溶しないものや、重合性化合物(b)の重合体を溶解させるものであっても良い。このような貧溶剤(R)としては、例えば、デカン酸メチル、ラウリル酸メチル、アジピン酸ジイソブチルなどの脂肪酸のアルキルエステル類;ジイソブチルケトンなどのケトン類;デカノールなどのアルコール類;2−プロパノールと水との混合物などのアルコールと水との混合物などが挙げられる。
反応誘発型相分離法においては、製膜液(Y)に含まれる重合性化合物(b)の含有量によって、得られる多孔質層の孔径や強度が変化する。重合性化合物(b)の含有量が多いほど多孔質層の強度が向上するが、孔径は小さくなる傾向にある。重合性化合物(b)の好ましい含有量としては15〜50質量%の範囲、更に好ましくは25〜40質量%の範囲が挙げられる。重合性化合物(b)の含有量が15質量%以下になると、多孔質層の強度が低くなり、重合性化合物(b)の含有量が50質量%以上になると、多孔質部の孔径の調整が難しくなる。
製膜液(Y)には、重合速度や重合度、あるいは孔径分布などを調整するために、重合開始剤、溶剤、界面活性剤、重合禁止剤、あるいは重合遅延剤などの各種添加剤を添加してもよい。また、塗工性、平滑性などの機能付与、フォトリソグラフィーによるパターン形成時のパターンの解像度や親水性の度合いの調整などの目的で、公知慣用の界面活性剤、疎水性化合物、増粘剤、改質剤、着色剤、蛍光色素、紫外線吸収剤、酵素、蛋白、細胞、触媒などを添加することもできる。
反応誘発型層分離法において使用できる支持体は、活性エネルギー線硬化性の組成物(X)(以下、該組成物を組成物(X)と称する。)や使用する活性エネルギー線によって実質的に侵されず、例えば、溶解、分解、重合などが生じず、かつ、組成物(X)を実質的に侵されないものであればよい。また、製膜液(Y)によっても実質的に侵されないものを使用できる。
このような支持体としては、例えば、重合体、ガラス、石英などの結晶、セラミック、シリコンなどの半導体、金属などが挙げられるが、これら中でも、重合体が特に好ましい。支持体に使用する重合体は、単独重合体であっても、共重合体であっても良く、熱可塑性重合体であっても、熱硬化性重合体であっても良い。また、支持体は、ポリマーブレンドやポリマーアロイで構成されていても良いし、積層体その他の複合体であっても良い。更に、支持体は、改質剤、着色剤、充填材、強化材などの添加物を含有しても良い。
反応誘発型相分離法を使用すると、直径約0.1μm〜1μmの粒子状の重合体が互いに凝集し、この粒子間の隙間が細孔となる凝集粒子構造の多孔質層や、重合体が網目状に凝集した三次元網目構造の多孔質層を形成することができる。また、該反応誘発型相分離法においては、通常、細孔の孔径が膜の厚み方向に均一な、いわゆる等方性膜が形成されるが、製膜液(Y)に揮発性の溶剤を添加し、塗布した後、活性エネルギー線照射前にその一部を揮発除去することで、膜の厚み方向に孔径の分布を有する、いわゆる不均質膜(非対称膜ともいう)を形成することもできる。このとき、揮発性の良溶剤を添加することで、製膜液(Y)を塗工する支持体との接触面に孔径の小さな層(緻密層ともいう)を形成することができ、揮発性の貧溶剤又は非溶剤を添加することで、支持体と反対の面に緻密層を形成することができる。該反応誘発型相分離法により、例えば、孔径が0.05〜5μmの多孔質層を形成できる。
多孔質層を形成する第二の方法は、支持体と、該支持体を溶解あるいは膨潤できる溶剤(S)とを接触させた後、該支持体を溶解あるいは膨潤させないが溶剤(S)とは相溶する溶剤(T)を用いて溶剤(S)を洗浄除去し、多孔質層を形成する方法(以下、該方法を「表面膨潤法」と称する。)である。該方法では、支持体として、溶剤により溶解あるいは膨潤する重合体を使用し、該重合体の表面に溶剤を接触させて、該支持体の一部を溶解または膨潤させた後、該重合体と相溶しない溶剤で洗浄することにより、該重合体が網目状に凝集し多孔質層が形成される。
表面膨潤法における支持体としては、例えば、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、ポリスチレン/マレイン酸共重合体、ポリスチレン/アクリロニトリル共重合体などのスチレン系重合体;ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなどのポリスルホン系重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリルなどの(メタ)アクリル系重合体;ポリマレイミド系重合体;ビスフェノールA系ポリカーボネート、ビスフェノールF系ポリカーボネート、ビスフェノールZ系ポリカーボネートなどのポリカーボネート系重合体;酢酸セルロース、メチルセルロースなどのセルロース系重合体;ポリウレタン系重合体;ポリアミド系重合体;ポリイミド系重合体などが挙げられる。
表面膨潤法における溶剤(S)は、前記支持体を溶解あるいは膨潤できるものであれば、特に限定されず、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶剤、ジメチルスルホキシド、塩化メチレンなどの塩素系溶剤が挙げられる。また、これら溶剤(S)は混合して混合溶剤として使用することもできる。
溶剤(T)としては、溶剤(S)と相溶し、支持体を溶解しないものである。溶剤(T)としては、例えば水、プロパノールなどのアルコール類、水とアルコールの混合物などが挙げられる。
支持体を溶剤(S)と接触させる方法としては、例えば、支持体の溶剤(S)への浸漬、溶剤(S)の支持体表面への噴霧、流延などが挙げられる。
溶剤(T)による溶剤(S)の洗浄方法としては、例えば、溶剤(T)中へ浸漬して洗浄する方法や、あるいは溶剤(T)を噴霧して洗浄する方法などが挙げられるが、支持体ごと溶剤(T)へ浸漬する方法が好ましい。
表面膨潤法で製造された多孔質層は、支持体と一体化されており、三次元網目状構造や凝集粒子構造、あるいはマクロボイドを有する複雑な構造を形成できる。多孔質層の厚みは、支持体と溶剤(S)との接触時間によって制御でき、接触時間が短いほど、多孔質層の厚みが薄くなる。支持体と溶剤(S)との接触時間は、使用する支持体の素材や厚さ、あるいは溶剤の種類などにより適宜調整する必要がある。接触時間が短すぎると、支持体の溶解が十分に進まず孔が十分に形成されない。また、接触時間が長すぎると、支持体の強度が低下する。
多孔質層を形成する第三の方法は、鎖状重合体を溶剤(U)に溶解してなる製膜溶液を支持体に塗布し、該支持体と、該鎖状重合体を溶解または膨潤させず、かつ溶剤(U)とは相溶する溶剤(V)とを接触させることにより、鎖状重合体を多孔質状に凝集させ、支持体表面に多孔質層を形成する方法(以下、該方法を湿式法と称する)である。
湿式法において使用できる鎖状重合体としては、溶剤(U)に溶解して多孔質層を形成するものが使用でき、スチレン系重合体、スルホン系重合体、ビニル系重合体、アミド系重合体、イミド系重合体、セルロース系重合体、ポリカーボネート、アクリル系重合体などの鎖状重合体がコストを低くでき、取り扱いが容易であることから好ましい。
湿式法における溶剤(U)は前記表面膨潤法において使用し得る溶剤(S)と同様の溶剤が使用でき、溶剤(V)としては前記表面膨潤法における溶剤(T)と同様の溶剤が使用できる。
また、必要に応じて、前記した反応誘発型相分離法において使用できる添加剤などの各種添加剤を製膜溶液に添加してもよい。
湿式法において使用できる支持体は、鎖状重合体を溶剤(U)に溶解した製膜溶液によって実質的に侵されないものであれば、特に限定されないが、支持体の強度が極端に低下しなければ、上記製膜溶液にある程度侵されるものを使用しても、多孔質層と支持体との密着性が向上させることができる。このような支持体としては、例えば、重合体;ガラス;石英などの結晶;セラミック;シリコンなどの半導体;金属などが挙げられるが、これらの中でも、重合体が特に好ましい。
湿式法により得られる多孔質の形状は、三次元網目状(スポンジ状)、凝集粒子状、その他、マクロボイドを有する複雑な形状であり得る。
湿式法を使用した場合には、塗工支持体の反対の面に緻密層を有する不均質膜(非対称膜)が形成されることが多いが、製膜溶液への塩やその他の低分子化合物(孔形成剤)の添加、貧溶剤や良溶剤の沸点調整、あるいは製膜溶液中の鎖状重合体を互いに相溶しない複数種の鎖状重合体の混合物とすることなどにより、等方性膜とすることも可能である。また、鎖状重合体の濃度、溶剤の添加量などを調製することにより、孔径が0.005〜2μmの多孔質層を形成できる。
上記3つの方法において使用する支持体の形状は特に限定されず、使用目的に応じて任意の形状のものを使用できる。例えば、シート状(フィルム状、リボン状、ベルト状を含む)、板状、ロール状、球状などの形状が挙げられるが、組成物(X)をその上に塗工し易く、また、活性エネルギー線を照射し易いという観点から、塗工面が平面状または2次曲面状の形状であることが好ましい。
支持体はまた、重合体の場合もそれ以外の素材の場合も、表面処理されていて良い。表面処理は、反応誘発型相分離法、または湿式法の製膜液による溶解防止を目的としたもの、製膜液の濡れ性向上及び多孔質層の接着性向上を目的としたものなどが挙げられる。
支持体の表面処理方法は任意であり、例えば、重合性化合物(b)として列挙した化合物群から選ばれるものを含有する組成物を支持体の表面に塗布し、活性エネルギー線を照射して硬化させる処理、コロナ処理、プラズマ処理、火炎処理、酸又はアルカリ処理、スルホン化処理、フッ素化処理、シランカップリング剤等によるプライマー処理、表面グラフト重合、界面活性剤や離型剤等の塗布、ラビングやサンドブラストなどの物理的処理などが挙げられる。また、多孔質層の素材が有する反応性官能基や上記の表面処理方法によって導入された反応性官能基と反応して表面に固定される化合物を反応させる方法が挙げられる。
支持体は、その表面に形成されたカラム(マイクロ流体素子)と一体化されたものであっても良いし、必要に応じて、カラム形成後、支持体を取り除く一時的なものであっても良い。
上記に例示した方法によれば、支持体の表面に、三次元網目状、凝集粒子状、マクロボイドを有する形状、あるいはこられの混合形状を有する多孔質層を形成できる。また、得られる多孔質層は大きな表面積を有するため、触媒や酵素、あるいはDNA、糖鎖、細胞、タンパク質などを多く固定できる。
分離対象物質とアフィニティーを有するプローブが固定された多孔質層を有する分離カラムを得る場合には、上記方法により形成した多孔質層の表面に分析対象物質とアフィニティーを有するプローブを固定する。多孔質層の細孔表面にプローブを固定する方法は公知慣用の方法を使用することが可能であり、多孔質層の細孔表面を疎水性にすると、細孔の表面に官能基を導入しなくても酵素や抗原などのタンパク質を疎水性相互作用で多孔質層の細孔表面に固定させることができる。一方、タンパク質やDNA、オリゴヌクレオチド、糖鎖などを固定させる場合には、予め多孔質層の細孔表面に反応性を有する官能基(例えばアミノ基、カルボキシ基、水酸基、エポキシ基、アルデヒド基、イソシアナト基、―COCl基等)を導入し、次いで、直接または他の官能基を介して、上記タンパク質やDNA、糖鎖などのアミノ基や水酸基、リン酸基、カルボキシ基を反応させることにより、共有結合で多孔質層の細孔表面に固定することができる。これらの固定化方法のなかでも、結合の安定性を考慮すると共有結合にてプローブがカラム内表面に固定されることが好ましい。また、プローブとの固定に関与する反応部位を複数持つ分岐状の分子を介してカラム表面に固定させることにより、固定面積を変えずにプローブの固定密度を増加させることができる。
工程(2)においては、多孔質層に組成物(X)を塗工することにより、多孔質層内に組成物(X)が含浸された形態で、多孔質層内、および多孔質層上に組成物(X)の未硬化塗膜が形成される。その後、カラムと成すべき部分以外の未硬化塗膜に活性エネルギー線を照射し、非照射部分の未硬化の組成物(X)を除去することにより、底面が多孔質層、壁面が組成物(X)の硬化又は半硬化塗膜からなる凹部が得られる。一方、カラムとなる部分以外の多孔質層は、含浸した組成物(X)の硬化または半硬化物により細孔が閉塞される。
工程(2)において使用する活性エネルギー線重合性の化合物(a)(以下、該化合物を重合性化合物(a)と称する。)は、重合開始剤の存在下、あるいは非存在下で活性エネルギー線により重合し得る化合物であり、付加重合性の化合物や、活性エネルギー線重合性官能基として重合性の炭素−炭素二重結合を有するものが好ましい。なかでも、反応性の高い(メタ)アクリル系化合物やビニルエーテル類や、光重合開始剤の不存在下でも硬化するマレイミド系化合物などが好ましい。また、重合性化合物(a)が多官能の化合物であると、重合して架橋構造となるため、硬化後の強度も高くなる。
このような重合性化合物(a)としては、例えば、前記した反応誘発型相分離法において使用できる重合性化合物(b)と同様の化合物を使用できる。
重合性化合物(a)は単独で、あるいは二種以上を混合して使用することができ、また、粘度の調節や、あるいは接着性、粘着性、親水性などの機能を付与するために、単官能モノマーと混合して使用してもよい。混合できる単官能モノマーとしては、例えば前記した反応誘発型相分離法において使用できる単官能モノマーと同様の化合物を使用できる。
組成物(X)は、少なくとも上記重合性化合物(a)を含有する。該組成物(X)は、重合性化合物(a)の他に、重合性化合物(a)と共重合可能な両親媒性の重合性化合物(以下、該両親媒性の重合性化合物を両親媒性化合物(c)と称する。)を含有することが好ましい。組成物(X)が両親媒性化合物(c)を含有することで、得られる硬化物を水に膨潤しにくくでき、かつ硬化物の表面を生体成分に対して吸着性の低い親水性にすることができる。
両親媒性化合物(c)としては、分子内に親水基と疎水基の両者を含有し、活性エネルギー線の照射により、組成物(X)に含有される活性エネルギー線重合性化合物(a)と共重合可能な重合性官能基を有する化合物を使用できる。両親媒性化合物(c)は、重合性化合物(a)と均一に相溶するものであればよい。ここで相溶とは、巨視的に相分離しないことを言い、ミセルを形成して安定的に分散している状態も含まれる。
重合性化合物(a)が1分子中に2個以上の重合性炭素−炭素不飽和結合を有する化合物である場合には、両親媒性化合物(c)は、1分子中に1個以上の重合性炭素−炭素不飽和結合を有する化合物であることが好ましい。
両親媒性化合物(c)は、分子中に親水基と疎水基を有し、水、あるいは疎水性溶媒のそれぞれに相溶する化合物である。この場合においても、相溶とは巨視的に相分離しないことをいい、ミセルを形成して安定的に分散している状態も含まれる。
両親媒性化合物(c)は、0℃において、水に対する溶解度が0.5質量%以上で、かつ25℃のシクロヘキサンとトルエンの混合溶媒(シクロヘキサン:トルエン=5:1(質量比))に対する溶解度が25質量%以上であることが好ましい。ここで言う溶解度とは、例えば、溶解度が0.5質量%以上であるとは、少なくとも0.5質量%の化合物が溶解可能であることをいう。水に対する溶解度、あるいはシクロヘキサンとトルエンの混合溶媒に対する溶解度の少なくとも一方がこれらの値より低い化合物を使用すると、表面親水性と耐水性の両特性に優れる硬化物を得ることが困難となる。
両親媒性化合物(c)は、ノニオン性親水基、特にポリエーテル系の親水基を有する場合には、親水性と疎水性のバランスが、グリフィンのHLB(エイチ・エル・ビー)値にして11〜16の範囲にあるものが好ましく、11〜15の範囲にあるものが更に好ましい。この範囲外では、高い親水性と耐水性に優れた成形物を得ることが困難であるか、それを得るための化合物の組み合わせや混合比が限定されてしまう。両親媒性化合物(c)が有する親水基は任意であり、例えば、アミノ基、四級アンモニウム基、ホスホニウム基などのカチオン性基;スルホン基、燐酸基、カルボニル基などのアニオン性基;水酸基、ポリエチレングリコール鎖、アミド基などのノニオン基;アミノ酸残基などの両イオン性基であってよい。両親媒性化合物(c)は、親水基としてポリエーテル鎖を有する化合物が好ましく、繰り返し数6〜20のポリエチレングリコール鎖を有する化合物が特に好ましい。
両親媒性化合物(c)の疎水基としては、例えば、アルキル基、アルキレン基、アルキルフェニル基、長鎖アルコキシ基、フッ素置換アルキル基、シロキサン結合を有する基などが挙げられる。両親媒性化合物(c)は、疎水基として炭素数6〜20のアルキル基又はアルキレン基を有する化合物であることが好ましい。炭素数6〜20のアルキル基又はアルキレン基は、例えば、アルキルフェニル基、アルキルフェノキシ基、アルコキシ基、フェニルアルキル基などの形で含有されていてもよい。
両親媒性化合物(c)は、親水基として繰り返し数6〜20のポリエチレングリコール鎖を有し、かつ、疎水基として炭素原子数6〜20のアルキル基又はアルキレン基を有する化合物であることが好ましい。これらの両親媒性化合物(c)の中でも、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(n=8〜17)(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(n=8〜17)(メタ)アクリレートが特に好ましい。
組成物(X)に含まれる、重合性化合物(a)と両親媒性化合物(c)の好ましい割合は、重合性化合物(a)及び両親媒性化合物(c)の種類や組み合わせによって異なるが、重合性化合物(a)1質量部に対して、両親媒性化合物(c)0.1〜5質量部であることが好ましく、0.2〜3質量部であることが更に好ましい。重合性化合物(a)1質量部に対して、両親媒性化合物(c)が0.1質量部未満であると、高い親水性の表面を形成することが困難となり、また、5質量部よりも多いと、水に対して膨潤し、組成物(X)の重合体がゲル化するおそれがある。
重合性化合物(a)と両親媒性化合物(c)との混合比を適宜選択することにより、湿潤状態でゲル化せず、かつ高親水性、および低吸着性を示す硬化物を製造することができる。両親媒性化合物(c)の親水性の度合いが強いほど、例えばグリフィンのHLB値が大きなものほど、両親媒性化合物(c)の添加量を少なくすることが好ましい。組成物(X)には、必要に応じて、光重合開始剤、重合遅延剤、重合禁止剤、溶剤、増粘剤、改質剤、着色剤などを混合して使用することができる。
組成物(X)に添加できる光重合開始剤、重合遅延剤、および重合禁止剤としては、例えば、前記した反応誘発型相分離法において製膜液(Y)の光重合開始剤、重合遅延剤、および重合禁止剤と同様の化合物を好適に使用できる。
溶剤としては、特に限定されないが、使用する重合性化合物(a)や組成物(X)に添加された添加剤、あるいは要求される粘度などによって溶剤の種類や添加量を適宜調整する必要があるが、例えば、エタノールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類、N,N−ジメチルホルムアミドのようなアミド系溶剤、塩化メチレンなどの塩素系溶剤などが挙げられる。
組成物(X)の粘度は、多孔質層の孔径に応じて変わりうるものであるが、多孔質層の上に塗工した際に、組成物(X)が速く多孔質層内へ浸透すること、および活性エネルギー線照射後に、非照射部分の未硬化の組成物(X)を除去する際に、組成物(X)が完全に多孔質層から除去される観点から、組成物(X)の粘度が25℃において30〜3000mPa・sの範囲であることが好ましく、100〜1000mPa・sの範囲であることが更に好ましい。粘度が30mPa・s未満であると、凹部の深さ制御が困難になり、一方、粘度が3000mPa・sより大きいと、組成物(X)の多孔質層内部への浸透が困難になり、また、非照射部分の未硬化の組成物(X)の除去も困難になる。
工程(3)において、多孔質層の上に組成物(X)を塗工する方法としては任意の塗工方法を用いることができ、例えば、スピンコート法、ローラーコート法、流延法、ディッピング法、スプレー法、バーコーター法、X−Yアプリケータ法、スクリーン印刷法、凸版印刷法、グラビア印刷法、ノズルからの押し出しや注型などの方法が挙げられる。また、組成物(X)が高粘度である場合や特に薄く塗工する場合には、組成物(X)に溶剤を含有させて塗工した後、該溶剤を揮発させる方法により塗工することもできる。
組成物(X)を塗工する厚さは、活性エネルギー線照射後に多孔質層の上部に硬化又は半硬化塗膜が得られれば特に制限されないが、例えば底面の多孔質層に特定の物質を固定して、アフィニティー・クロマトグラフィーとして使用する場合には、活性エネルギー線照射後に多孔質層の上部に形成される硬化又は半硬化塗膜の厚さ、すなわち凹部の壁面高さが1μm〜100μmの範囲が好ましく、5μm〜50μmの範囲が更に好ましく、3μm〜30μmの範囲が最も好ましい。3μmより薄いと凹部に蓋となる他の部材を固着して該凹部を空洞状のカラムとする際に、カラムが閉塞するおそれがある。一方、100μmより厚いと、水溶液がカラム内を通過しながら、水溶液中の分析対象物質がプローブと十分に相互作用できないままカラムを通過する割合が無視できるほど増え、アフィニティー・クロマトグラフィーの性能が低下してしまう恐れがある。
照射する活性エネルギー線としては、紫外線、可視光線、赤外線、レーザー光線、放射光などの光線;エックス線、ガンマ線、放射光などの電離放射線;電子線、イオンビーム、ベータ線、重粒子線などの粒子線が挙げられる。これらの中でも、取り扱い性や硬化速度の面から紫外線及び可視光が好ましく、紫外線が特に好ましい。硬化速度を速め、硬化を完全に行う目的で、活性エネルギー線の照射を低酸素濃度雰囲気で行うことが好ましい。低酸素濃度雰囲気としては、窒素気流中、二酸化炭素気流中、アルゴン気流中、真空又は減圧雰囲気中が好ましい。
多孔質層を底面全体または底面の一部に形成された凹部を形成するために、上記活性エネルギー線を照射する際に、活性エネルギー線をパターニング照射する。パターニング照射の方法は任意であり、例えば、活性エネルギー線を照射しない部分をマスキングして照射する、あるいはレーザーなどの活性エネルギー線のビームを走査するなどのフォトリソグラフィーの手法が利用できる。
組成物(X)の未硬化塗膜の硬化を半硬化とすることによって、接着剤を使用することなく蓋となる他の部材と固着することが可能であり、また、接着剤を使用する場合にも接着強度が向上する。組成物(X)の硬化状態を半硬化とした場合には、最終的なマイクロ流体素子と成す前のいずれかの工程において後硬化を行い、完全に硬化させることが好ましいが、本発明のマイクロ流体素子の機能に差し障りがなければ必ずしも完全に硬化させる必要はない。後硬化は、活性エネルギー線による硬化の場合には、半硬化させるのに使用した活性エネルギー線と同じものであっても異なるものであっても良い。後硬化はまた、活性エネルギー線による硬化の他に、熱硬化により硬化してもよい。
工程(3)は、工程(2)において形成された凹部を有する部材の凹部に蓋となる他の部材を固着して前記凹部を空洞状のカラムと成す工程である。蓋となる部材としては、使用目的に応じて適宜選択し得るものであり、カラムに流す流体に侵されないものを使用すればよく、該部材は粘着性を有するテープやシートまたは板状のものであっても良い。
蓋となる部材で凹部に蓋をするには、蓋部材と凹部を有する部材を貼り合わせればよい。上記したように、凹部を有する部材が半硬化塗膜で、蓋部材との接着性が良好で有れば、そのまま貼り付ければよい。また、凹部を有する部材の接着性が低いか、あるいは硬化塗膜である場合には、接着剤などを使用して両部材を貼り合わせればよい。
また、活性エネルギー線重合性化合物を含む組成物を高分子のフィルムやシートのような支持体に塗布し、活性エネルギー線を照射して、該組成物の塗膜を半硬化させて、上記凹部を有する部材の凹部に貼り合わせて、再び活性エネルギー線を照射して完全に硬化させる方法もある。ここで使用される活性エネルギー線重合性化合物及びその組成物は、上記工程(2)で使用される重合性化合物(a)及び組成物(X)と同じものが使用できる。また、重合性化合物の塗布方法も工程(2)と同様の方法が使用できる。
蓋部材と凹部を有する部材を貼り合わせる際の接着剤としては、例えば、エポキシ樹脂系接着剤、スチレンブタジエン樹脂系接着剤、(メタ)アクリル系接着剤などが使用できる。
上記製造方法により、内壁面の少なくとも一部が、均一な厚さの多孔質層である毛細管状の分離カラムを有する液体クロマトグラフィー用部材を容易に得ることができる。また、該製造方法により、複数の分離カラムを、一枚の支持体(露光現像版)上に、位置合わせする必要なく容易に作成することができることから、良好な再現性、優れた寸法安定性で多数の分離カラムを有する液体クロマトグラフィー用部材を得ることができる。
本発明はまた、液体クロマトグラフィーによる処理方法を提供する。なお、本発明に於いて、クロマトグラフィーによる「処理」とは、クロマトグラフィーによる分離、分析、濃縮、精製、回収などの総称である。
本発明の液体クロマトグラフィー用部材による処理方法(以下、「処理方法」と略称する場合がある)において、プローブと前記の特定物質(分離または分析対象物質)とのアフィニティーを阻害しないものであれば、公知慣用の展開液(媒体)を使用することが可能である。例えば、緩衝液などの水系溶液、N,N−ジメチルスルホキシドやイソプロピルカーボネートなどの導電性有機溶剤、アンモニア、二酸化炭素、水などの超臨海流体、などであり得る。
該処理方法においては、従来の(粉末状)充填剤を使用しないため、一つのマイクロ流体デバイス内に他の工程、例えば合成工程や精製工程と連結して組み込む場合にも、該反応溶液や精製溶液をクロマトグラフィー用媒体としてそのまま使用できるため、クロマトグラフィー用カラムのみに専用の(粉末状)充填剤を充填するという困難さが排除できる。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、以下の実施例の範囲に限定されるものではない。本実施例における紫外線照射、および蛍光特性測定の方法を以下に示す。
(紫外線ランプ1による照射)
3000Wメタルハライドランプを光源とするアイグラフィックス株式会社製のUE031−353CHC型UV照射装置を用い、365nmにおける紫外線強度が40mW/cmの紫外線を特に指定が無い限り室温、窒素雰囲気中で照射した。
(紫外線ランプ2による照射)
250W高圧水銀ランプを光源とするウシオ電機株式会社製のマルチライト250Wシリーズ露光装置用光源ユニットを用い、365nmにおける紫外線強度が50mW/cmの紫外線を、特に指定が無い限り室温、窒素雰囲気中で照射した。
(蛍光強度測定方法)
ライカ株式会社製の共焦点レーザー顕微鏡TCS−NTを用いて測定した。測定条件はPMT感度520V、ピンホール1.00である。
(実施例1)
本実施例1は、多孔質層を「反応誘発型相分離法」によって製造した例である。
[エネルギー線硬化性製膜液(Y1)の調製]
エネルギー線重合性化合物(b)として、平均分子量2000の3官能ウレタンアクリレートオリゴマー「ユニディックV−4263」(大日本インキ化学工業株式会社製)72質量部、ジシクロペンタニルジアクリレート「R−684」(日本化薬株式会社製)18質量部、メタクリル酸グリシジル(和光純薬工業株式会社製)10質量部、貧溶剤(R)としてデカン酸メチル(和光純薬工業株式会社製)を180質量部、揮発性の良溶剤としてアセトンを10質量部、紫外線重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン「イルガキュアー184」(チバガイギー社製)3質量部を、均一に混合して製膜液(Y1)を調製した。
[組成物(X1)の調製]
エネルギー線重合性化合物(a)として平均分子量2000の3官能ウレタンアクリレートオリゴマー「ユニディックV−4263」(大日本インキ化学工業株式会社製)70部、ヘキサンジオールジアクリレート「ニューフロンティアHDDA」(第一工業製薬株式会社製)30部、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン「イルガキュアー184」(チバガイギー社製)3部、及び重合遅延剤として2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(関東化学株式会社製)0.5部を混合して、組成物(X1)を調製した。
[蓋用組成物の調製]
エネルギー線重合性化合物として平均分子量2000の3官能ウレタンアクリレートオリゴマー「ユニディックV−4263」(大日本インキ化学工業株式会社製)80部、ヘキサンジオールジアクリレート「ニューフロンティアHDDA」(第一工業製薬株式会社製)20部、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン「イルガキュアー184」(チバガイギー社製)2部を混合して、蓋用組成物を調製した。
[工程1:多孔質層の形成]
厚さ1mmのアクリル板を支持体(1)として使用し、該支持体上にスピンコーター(ミカサ株式会社製)を用いて、800rpmの回転で製膜液(Y1)を塗工し、該製膜液(Y1)に紫外線ランプ1により紫外線を40秒照射して製膜液(Y1)を硬化させ、n−ヘキサンで貧溶剤(R)を洗浄除去して多孔質層を形成した。
[工程2:多孔質層が底面に露出した凹部(カラム)(3)の形成]
上記多孔質層の上に、スピンコーター(ミカサ株式会社製)を用いて1000rpmの回転数で組成物(X1)を塗工し、該組成物(X1)の未硬化塗膜を形成し、カラムと成すべき部分以外の該未硬化塗膜にフォトマスクを通して紫外線ランプ2による紫外線照射を120秒行って前記組成物(X1)の半硬化塗膜(2)を形成し、非照射部分の未硬化の前記組成物(X1)をエタノールで除去して、多孔質層が底面に露出した凹部(カラム)(3)を支持体上に形成した。カラムの全長は約160mmであった。
[工程3:プローブDNAの固定]
上記工程2で作製した凹部(カラム)(3)に5質量%ポリアリルアミン(分子量15000、日東紡株式会社製)水溶液を接触させ、60℃、1時間反応させた(ポリアリルアミン中の一部のアミノ基を多孔質層中のエポキシ基と反応させた)後、流水で15分洗浄して、多孔質層へのアミノ基の導入を行った。
上記アミノ基を導入した凹部(カラム)(3)を有する支持体を5質量%のグルタルアルデヒド(和光純薬工業株式会社製)水溶液中に入れ、50℃、2時間反応させた(ポリアリルアミン中のほぼ全てのアミノ基をグルタルアルデヒド中の片方のアルデヒド基と反応させた)後、流水で10分洗浄して、多孔質層へのアルデヒド基の導入を行った。
上記アルデヒド基を導入した凹部(カラム)(3)に、5’末端にアミノ修飾したDNA(mN+、長さ20塩基、エスペックオリゴサービス株式会社製)水溶液(濃度50μM)を2μL、溝を満たすよう滴下して、湿度100%、50℃にて15時間反応(DNAの末端アミノ基を多孔質層のアルデヒド基と反応)させた後、0.2質量%のテトラヒドロ硼酸ナトリウム水溶液中に入れ、5分間還元反応させ、次いで、0.2×SSC/0.1%SDS溶液でリンスし、次に、0.2×SSCでリンスして、更に蒸留水でリンスして、自然乾燥させて、凹部(カラム)(3)底面の多孔質層にDNAを固定した。(ここで、0.2×SSCは0.03M NaCl,3mMクエン酸ナトリウム水溶液であり、0.1%SDSは0.1質量%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液である。)
[工程4:蓋(4)の固着]
蓋用組成物を、片面がコロナ放電処理された厚さ30μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム(二村化学株式会社製)の上に、塗布厚150μmのバーコーターを用いて塗工した。該未硬化塗膜に、紫外線ランプ1により紫外線を2秒照射し、前記組成物の半硬化塗膜(4)を形成し、上記工程3で作製したDNA固定凹部(カラム)(3)に張り合わせ、再び紫外線ランプ1により、紫外線を40秒照射して完全に硬化させて、多孔質層が底面に露出した凹部(カラム)(3)を有するマイクロ流体素子を製造した。
この後、上記蓋(4)を通過しカラムに通じる直径0.7mmの孔(56)を、ドリルを使用してカラムの両末端に形成し、更に、孔(5)に、厚さ約5mmのアクリル板に縦方向に貫通した直径0.7mmの孔(7)、及び水平方向に左表面から縦孔(7)まで通過した直径2mmの孔(8)を開け、しかも孔(8)にシリコーンゴムで充填したサンプル注入用部材(9)、を接着し、次いで孔(6)と(7)にそれぞれ内径3mm、高さ5mmのポリ塩化ビニル管を接着して開口部(10)、(11)とし、クロマトグラフィー用カラム(12)を製造した。
[多孔質層の構造観察]
上記工程1で作製した多孔質層の表面を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、直径約0.5μmの凝集粒子の間隙として、孔径約0.7μm程度の細孔が観察された。また、多孔質層の断面を観察したところ、断面の厚みは約6μmであった。
[凹部(カラム)の構造観察]
上記工程2で作製した凹部(カラム)(3)の断面を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、凹部の深さは約30μmであった。
[プローブDNAと完全に相補的な配列を持つDNAサンプルの調製]
5’末端をFITCにて修飾し、プローブDNA(mN+)に完全に相補的な配列を持つ(濃度500μMの)DNA(mF0、長さ20塩基、エスペックオリゴサービス株式会社製)を1μL、0.2×SSC溶液を499μL、均一に混合して、濃度1μMのDNA溶液を調製した。さらに、このDNA溶液を30μL、0.2×SSC溶液70μLと混合して、濃度0.3μMのクロマトグラフィー測定用サンプル(F0)とした。
[プローブDNAと一塩基相補しない配列を持つDNA(一塩基多型)サンプルの調製]
5’末端をFITCにて修飾し、プローブDNA(mN+)に一塩基相補しない配列を持つ(濃度500μMの)DNA(mF1、長さ20塩基、エスペックオリゴサービス株式会社製)を1μL、0.2×SSC溶液を499μL、均一に混合して、濃度1μMのDNA溶液を調製した。さらに、このDNA溶液を30μL、0.2×SSC溶液70μLと混合して、濃度0.3μMのクロマトグラフィー測定用サンプル(F1)とした。
[クロマトグラフィー測定1]
まずは、自作のシート状ヒーターを用いて、測定用カラム(12)の支持体(1)側から、カラムが40℃になるように加熱した。
次いで、クロマトグラフィー測定用移動相液体として0.2×SSC溶液を使用して、該溶液を、マイクロシリンジポンプ(KDScientific社製、Fabrique Auxetats−Unis、Model210P)を用いて、2μL/分の流速で開口部(10)より約20分間送液した。
次いで、上記調製した測定用サンプル(F1)を1μL、マイクロシリンジを用いて、サンプル注入口(8)より注入し、クロマトグラフィー測定を行った。溶離されたDNA(mF1)の検出は、ライカ株式会社製の共焦点レーザー顕微鏡TCS−NTを用い、カラムの出口(6)から約10mm離れた位置にて行った。
上記測定の結果、約122秒にピークを持つクロマトグラムが得られ、DNA(mF1)を良好に分析できた。
[クロマトグラフィー測定2]
上記測定終了後のカラムを、移動相液体を送液したまま80℃に昇温し、20分保持した後、再び温度を40℃に下げ、上記調製した測定用サンプル(F0)を1μL、マイクロシリンジを用いて、サンプル注入口(8)より注入し、同様なクロマトグラフィー測定を行った。
上記測定の結果、約209秒にピークを持つクロマトグラムが得られ、DNA(mF0)を良好に分析できた。
実施例に使用した本発明のクロマトグラフィー用カラムの模式図である。
符号の説明
1 支持体
2 半硬化塗膜
3 多孔質層を底面に持つ凹部(カラム)
4 蓋
5 孔
6 孔
7 塗膜
8 孔
9 サンプル注入用部材
10 開口部
11 開口部
12 クロマトグラフィー用カラム

Claims (11)

  1. 毛細管状の分離カラムを有し、かつ前記分離カラムの内壁面の少なくとも一部が多孔質層であることを特徴とする液体クロマトグラフィー用部材。
  2. 前記分離カラムの多孔質層を有する部分における流体の流動方向と垂直な方向の断面において、該断面中の任意の点をx、該任意の点と直線距離で最も近い多孔質層の部分をy、xy間の直線距離をrとし、rが該断面内でとり得る最大距離をrmaxとした際に、該rmaxが1〜50μmの範囲にある請求項1に記載の液体クロマトグラフィー用部材。
  3. 前記分離カラムの流体の流動方向と垂直な方向の断面形状が矩形である請求項1又は2に記載の液体クロマトグラフィー用部材。
  4. 前記多孔質層が、前記分離カラム内壁面の一面にのみ形成された請求項3に記載の液体クロマトグラフィー用部材。
  5. 前記多孔質層と対向する内壁までの平均距離が1〜50μmの範囲にある請求項4に記載の液体クロマトグラフィー用部材。
  6. 前記多孔質層の層厚さが0.5〜30μmの範囲にある請求項1〜5のいずれかに記載の液体クロマトグラフィー用部材。
  7. 前記多孔質層の平均孔径が0.05〜3μmの範囲にある請求項1〜6のいずれかに記載の液体クロマトグラフィー用部材。
  8. 前記多孔質層が、分析対象物質とアフィニティーを有するプローブが固定された多孔質層である請求項1〜7のいずれかに記載の液体クロマトグラフィー用部材。
  9. 前記プローブが、オリゴヌクレオチドである請求項1〜7のいずれかに記載の液体クロマトグラフィー用部材。
  10. 請求項1乃至9のいずれかの液体クロマトグラフィー用部材を用いることを特徴とする液体クロマトグラフィーによる処理方法。
  11. 前記プローブとアフィニティーを有する物質が、オリゴヌクレオチドである請求項10の液体クロマトグラフィーによる処理方法。
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