JP2005089813A - 耐食性に優れた亜鉛系めっき鋼板 - Google Patents
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Abstract
【課題】 めっき層と樹脂皮膜の間に、密着性と耐食性に優れる緻密な皮膜を介在させて耐食性を向上させた亜鉛系めっき鋼板を提供する。
【解決手段】 亜鉛系めっき鋼板の表面上に、Si酸化物とポリフェノールが共存する下地皮膜層を形成した後、樹脂皮膜層を形成する。
下地皮膜層としては、C/Siのモル比が0.001〜10の範囲で形成されたものが好ましい。
【効果】 ポリフェノールの優れた密着性によりSi酸化物同士を結合させるとともに亜鉛めっき層並びに塗膜樹脂層との密着性を高め、Si酸化物の優れた防食作用を活用して、亜鉛系めっき鋼板の耐食性を一段と高くすることができる。
【選択図】 なし
【解決手段】 亜鉛系めっき鋼板の表面上に、Si酸化物とポリフェノールが共存する下地皮膜層を形成した後、樹脂皮膜層を形成する。
下地皮膜層としては、C/Siのモル比が0.001〜10の範囲で形成されたものが好ましい。
【効果】 ポリフェノールの優れた密着性によりSi酸化物同士を結合させるとともに亜鉛めっき層並びに塗膜樹脂層との密着性を高め、Si酸化物の優れた防食作用を活用して、亜鉛系めっき鋼板の耐食性を一段と高くすることができる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、緻密な皮膜を形成して耐食性を向上させた亜鉛系めっき鋼板に関する。
耐食性の良好な鋼材として亜鉛めっき,亜鉛合金めっき等を施した亜鉛めっき鋼板が多用されているが、湿潤雰囲気,排ガス雰囲気,海塩粒子飛散雰囲気等に亜鉛めっき鋼板を長期間放置すると、鋼板表面に白錆が発生し外観が劣化する。
白錆の発生は亜鉛めっき鋼板をクロメート処理することにより防止できるが、Crイオンを含む排液の処理に多大な負担がかかる。そこで、クロムを使用しない表面処理技術が数多く提案されている。
例えば、特許文献1では、金属体の表面にポリタンニン酸からなるプライマー層を形成し、その上に熱可塑性樹脂被覆層を形成して耐食性,接着性を向上させた積層体が提案されている。
白錆の発生は亜鉛めっき鋼板をクロメート処理することにより防止できるが、Crイオンを含む排液の処理に多大な負担がかかる。そこで、クロムを使用しない表面処理技術が数多く提案されている。
例えば、特許文献1では、金属体の表面にポリタンニン酸からなるプライマー層を形成し、その上に熱可塑性樹脂被覆層を形成して耐食性,接着性を向上させた積層体が提案されている。
タンニン酸は上層樹脂被覆層と下地金属との密着性を高める点では優れた効果を示している。しかしながら、タンニン酸自体、単体では耐食性、耐水性が乏しいため、上層の樹脂皮膜の膜厚が薄い亜鉛めっき鋼板では必ずしも十分な耐食性が得られていない。樹脂被覆層を透過してきた水等の腐食因子に対して十分な防食を発揮することができないために、クロメート皮膜ほどの優れた耐食性は発揮されない。また、めっき鋼板を加工する際に、使用した油の除去や加工後表面洗浄のためにアルカリ脱脂が行われる場合があり、その際、界面部の耐水性が不十分であると、上層皮膜の剥離やアルカリ脱脂後の耐食性の低下を引き起こす可能性がある。
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、タンニン酸等のポリフェノールを用いても、上層の樹脂皮膜層との間に緻密で耐食性に優れる接着層を形成・介在させて耐食性を向上させた亜鉛系めっき鋼板を提供することを目的とする。
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、タンニン酸等のポリフェノールを用いても、上層の樹脂皮膜層との間に緻密で耐食性に優れる接着層を形成・介在させて耐食性を向上させた亜鉛系めっき鋼板を提供することを目的とする。
本発明の耐食性に優れた亜鉛系めっき鋼板は、その目的を達成するため、亜鉛系めっき鋼板の表面上に、Si酸化物とポリフェノールが共存する下地皮膜層と樹脂皮膜層が順次形成されていることを特徴とする。
下地皮膜層は、C/Siのモル比が0.001〜10の範囲で形成されているものが好ましい。
さらに、下地皮膜層の付着量はSi換算で5〜500mg/m2にすることが、上層樹脂皮膜層の乾燥後の付着量は0.1〜10g/m2にすることが好ましい。
下地皮膜層は、C/Siのモル比が0.001〜10の範囲で形成されているものが好ましい。
さらに、下地皮膜層の付着量はSi換算で5〜500mg/m2にすることが、上層樹脂皮膜層の乾燥後の付着量は0.1〜10g/m2にすることが好ましい。
本発明者等は、ポリタンニン酸からなるプライマー層を介して樹脂被覆層を形成した鋼板が必ずしも十分な耐食性が発揮できない原因を検討した。
ポリフェノールは、分子内に多数の水酸基(官能基)を有しているため、めっき鋼板と上層の皮膜との密着性を向上させている。しかし水には弱く、皮膜層を透過した水等によりポリフェノールは溶解され、上記密着性が次第に低下して化成処理鋼板の耐食性を低下させる、と推測した。
そして、本発明者等は、ポリタンニン酸に代わって密着性に優れるとともに耐食性も備えた介在層として、Si酸化物とポリフェノールが共存した皮膜層を用いることに到達した。
ポリフェノールは、分子内に多数の水酸基(官能基)を有しているため、めっき鋼板と上層の皮膜との密着性を向上させている。しかし水には弱く、皮膜層を透過した水等によりポリフェノールは溶解され、上記密着性が次第に低下して化成処理鋼板の耐食性を低下させる、と推測した。
そして、本発明者等は、ポリタンニン酸に代わって密着性に優れるとともに耐食性も備えた介在層として、Si酸化物とポリフェノールが共存した皮膜層を用いることに到達した。
Siは、その酸化物が高い絶縁抵抗を示す元素である。したがって、その酸化物からなる皮膜は、電子の移動に対する抵抗体として働き、雰囲気中の水分に含まれている溶存酸素による還元反応(下地鋼との酸化反応)が抑えられる。その結果、下地鋼からの金属成分の溶出(腐食)が防止される。
Si酸化物が連続皮膜として鋼板表面に形成されている場合、電子移動に対する抵抗体として有効に作用して優れた耐食性を発揮するが、Si酸化物からなる薄膜では、ミクロ的にみて皮膜厚みが極端に不足する部分やピンホール等の皮膜欠陥が生じやすくなる。この問題は厚膜化により解消できるが、Si酸化物からなる皮膜は硬質で延性に乏しいため、当該皮膜を有する鋼板を成形加工する際に処理皮膜が伸びに追従できず、クラックやカジリ等の欠陥を発生させることになる。
また、下地めっき鋼板との反応が不十分な場合には、下地めっき鋼板との密着性が十分に得られないこともある。
Si酸化物が連続皮膜として鋼板表面に形成されている場合、電子移動に対する抵抗体として有効に作用して優れた耐食性を発揮するが、Si酸化物からなる薄膜では、ミクロ的にみて皮膜厚みが極端に不足する部分やピンホール等の皮膜欠陥が生じやすくなる。この問題は厚膜化により解消できるが、Si酸化物からなる皮膜は硬質で延性に乏しいため、当該皮膜を有する鋼板を成形加工する際に処理皮膜が伸びに追従できず、クラックやカジリ等の欠陥を発生させることになる。
また、下地めっき鋼板との反応が不十分な場合には、下地めっき鋼板との密着性が十分に得られないこともある。
ポリフェノールは、上記したように分子内に多数の官能基を有しているために、Si酸化物同士を密着させるバインダーとしての効果がある。このため、Si酸化物とポリフェノールが共存した皮膜は緻密で、薄膜でもピンホール等の欠陥が無く、延性も優れている。
しかも、Si酸化物とポリフェノールが共存した皮膜はその表層部にポリフェノールが存在するので、下地めっき層との密着性、および樹脂皮膜との密着性も、Si酸化物を含まない皮膜と同様に優れている。
したがって、Si酸化物とポリフェノールが共存した膜層を形成・介在させることにより、めっき鋼板と上層の樹脂皮膜の優れた密着性を維持しつつ、腐食因子に対するバリアー効果を格段に高めることができたものである。
しかも、Si酸化物とポリフェノールが共存した皮膜はその表層部にポリフェノールが存在するので、下地めっき層との密着性、および樹脂皮膜との密着性も、Si酸化物を含まない皮膜と同様に優れている。
したがって、Si酸化物とポリフェノールが共存した膜層を形成・介在させることにより、めっき鋼板と上層の樹脂皮膜の優れた密着性を維持しつつ、腐食因子に対するバリアー効果を格段に高めることができたものである。
本発明の処理皮膜が形成される原板としては、電気めっき法,溶融めっき法,蒸着めっき法で製造された亜鉛又は亜鉛合金めっき鋼板が使用される。亜鉛合金めっきには、Zn−Al,Zn−Mg,Zn−Ni,Zn−Al−Mg等がある。また、溶融めっきした後で合金化処理を施した合金化亜鉛めっき鋼板も本発明の原板として使用できる。
Si酸化物とポリフェノールが共存した膜層を形成するためのSi酸化物源としては、コロイド(ゾル)で用いることが好ましく、シリカゾルや乾式シリカ等、SiO2粒子を使用する。
ポリフェノールとしては、フラボノール類,アントシアニジン類,タンニン類等が挙げられ、特に好ましくはタンニン類が良好な特性を示す。
ポリフェノールとしては、フラボノール類,アントシアニジン類,タンニン類等が挙げられ、特に好ましくはタンニン類が良好な特性を示す。
Si酸化物とポリフェノールの比率は、形成された皮膜の状態で、Si/Cのモル比で0.001〜10の範囲にすることが好ましい。
Si/Cのモル比が0.001に満たないと、下地めっき鋼板および樹脂皮膜との密着性は十分得られるが、下地処理皮膜中にフリーのポリフェノールが多くなり、皮膜の耐水性が低下して所望の耐食性が得られない。逆に、Si/Cのモル比が10を超えると、密着性に寄与する官能基数が少なくなり、下地めっき鋼板および樹脂皮膜との密着性が低下するばかりでなく、Si酸化物のバインダーとしての効果も不十分となる。
Si/Cのモル比が0.001に満たないと、下地めっき鋼板および樹脂皮膜との密着性は十分得られるが、下地処理皮膜中にフリーのポリフェノールが多くなり、皮膜の耐水性が低下して所望の耐食性が得られない。逆に、Si/Cのモル比が10を超えると、密着性に寄与する官能基数が少なくなり、下地めっき鋼板および樹脂皮膜との密着性が低下するばかりでなく、Si酸化物のバインダーとしての効果も不十分となる。
Si酸化物源とポリフェノールを含む処理液をロールコーター法,スピンコート法,スプレー法等で、乾燥後の付着量がSiとして5〜500mg/m2になるように塗布することが好ましい。塗布後乾燥されてSi酸化物とポリフェノールが共存した膜層が原板に固着・形成される。乾燥は常温でも可能であるが、操業性を考慮すると、50℃に保持、例えば80℃以下の温風乾燥を行うことにより乾燥時間を短縮することが好ましい。ただし、100℃を超える乾燥温度では、皮膜に含まれているポリフェノールが加熱分解し、耐食性が低下する虞がある。
上記Si付着量が5mg/m2に満たないと、下地めっき鋼板を十分に覆うことができず、耐食性向上効果は乏しい。逆にSi付着量が500mg/m2を超えるとその効果が飽和するばかりでなく、加工性が低下することになる。
上記Si付着量が5mg/m2に満たないと、下地めっき鋼板を十分に覆うことができず、耐食性向上効果は乏しい。逆にSi付着量が500mg/m2を超えるとその効果が飽和するばかりでなく、加工性が低下することになる。
Si酸化物とポリフェノールが共存した処理膜が形成された亜鉛めっき鋼板には、通常の樹脂皮膜が形成される。
皮膜形成のための処理液としては、ウレタン系,エポキシ系,ポリプロピレンやエチレン−アクリル共重合体等のオレフィン系,ポリスチレン系,ポリエステル系あるいは、これらの共重合体または変性物,アクリル系等の有機樹脂が使用される。なかでも、ウレタン系樹脂で有機ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られる、水溶性または水分散性のウレタン樹脂、特に自己乳化型ウレタン樹脂が望ましい。有機ポリイソシアネート化合物としては、フェニレンジイソシアネート,トリレンジイソシアネート,ジフェニルメタンジイソシアネート,ナフタレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート,イソホロンジイソシアネート,ノルボルナンジイソシアネート,キシレンジイソシアネート,テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネートが挙げられる。他方、ポリオール化合物としては、ポリエステルポリオール,ポリエーテルポリオール,ポリカルボネートポリオール,ポリアセタールポリオール,ポリアクリレートポリオール,ポリブタジエン系のポリオレフィンポリオールが挙げられる。
後塗装性を向上させるために、処理液中にシランカップリング剤を添加しても良い。シランカップリング剤としては、官能基として、アミノ基,エポキシ基,ビニル基,メルカプト基,アクリロイルオキシ基,アルコキシ基等を有する公知のものを広く使用することができる。
皮膜形成のための処理液としては、ウレタン系,エポキシ系,ポリプロピレンやエチレン−アクリル共重合体等のオレフィン系,ポリスチレン系,ポリエステル系あるいは、これらの共重合体または変性物,アクリル系等の有機樹脂が使用される。なかでも、ウレタン系樹脂で有機ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られる、水溶性または水分散性のウレタン樹脂、特に自己乳化型ウレタン樹脂が望ましい。有機ポリイソシアネート化合物としては、フェニレンジイソシアネート,トリレンジイソシアネート,ジフェニルメタンジイソシアネート,ナフタレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート,イソホロンジイソシアネート,ノルボルナンジイソシアネート,キシレンジイソシアネート,テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネートが挙げられる。他方、ポリオール化合物としては、ポリエステルポリオール,ポリエーテルポリオール,ポリカルボネートポリオール,ポリアセタールポリオール,ポリアクリレートポリオール,ポリブタジエン系のポリオレフィンポリオールが挙げられる。
後塗装性を向上させるために、処理液中にシランカップリング剤を添加しても良い。シランカップリング剤としては、官能基として、アミノ基,エポキシ基,ビニル基,メルカプト基,アクリロイルオキシ基,アルコキシ基等を有する公知のものを広く使用することができる。
樹脂皮膜には、さらなる耐食性向上のために、金属塩を含有させても良い。金属塩としては、Si,Ti,Zr,Mo,V,Al,Mg,Ca,Sr,Hf,Fe,Co,Ni,Mn,Zn等が挙げられ、これらの酸化物,水酸化物、リン酸塩,硝酸塩,フッ化物等を含有させることにより、樹脂皮膜の密着性が高くなり、耐食性が向上する。
また樹脂皮膜には、潤滑性の向上に有効なワックスを含有させても良い。ワックスとしては、フッ素系,ポリエチレン系,スチレン系等の有機ワックスや二硫化モリブデン,タルク等の無機系潤滑剤があり、低融点の有機ワックスは、皮膜乾燥時に表面にブリードし、潤滑性を発現すると考えられる。また高融点有機ワックスや無機系潤滑剤は皮膜中に分散状態で存在するが、処理皮膜の表面では島状分布で表面に露出することで潤滑性が発現するものと考えられる。
また樹脂皮膜には、潤滑性の向上に有効なワックスを含有させても良い。ワックスとしては、フッ素系,ポリエチレン系,スチレン系等の有機ワックスや二硫化モリブデン,タルク等の無機系潤滑剤があり、低融点の有機ワックスは、皮膜乾燥時に表面にブリードし、潤滑性を発現すると考えられる。また高融点有機ワックスや無機系潤滑剤は皮膜中に分散状態で存在するが、処理皮膜の表面では島状分布で表面に露出することで潤滑性が発現するものと考えられる。
所定組成に調合した処理液は、ロールコート,フローコート,カーテンフロー,スプレー等の方法で、乾燥付着量が0.1〜10g/m2の範囲になるような塗布量で上記下地処理皮膜が形成された亜鉛めっき鋼板上に塗布される。付着量が0.1〜10g/m2に満たないと皮膜のバリアー効果が不十分となり、所望の耐食性は得難い。逆に10g/m2を超える皮膜を形成してもバリアー効果は飽和し、コストが嵩むだけである。
処理液塗布後の乾燥は常温でも可能であるが、操業性を考慮すると、50℃に保持、例えば120〜180℃の炉内乾燥を行うことにより乾燥時間を短縮することが好ましい。ただし、200℃を超える乾燥温度では、有機樹脂が分解し始めて、耐食性が低下する虞がある。
処理液塗布後の乾燥は常温でも可能であるが、操業性を考慮すると、50℃に保持、例えば120〜180℃の炉内乾燥を行うことにより乾燥時間を短縮することが好ましい。ただし、200℃を超える乾燥温度では、有機樹脂が分解し始めて、耐食性が低下する虞がある。
板厚0.5mm,片面当りめっき付着量20g/m2の電気亜鉛めっき鋼板を脱脂,酸洗することにより処理用原板として準備した。
この原板に、表1に示す下地処理液を塗布した後、水洗することなく電気オーブンに装入し、50〜80℃で加熱乾燥した。その後、表2に示す処理液塗料を塗布した後、水洗することなく電気オーブンに装入し、120〜180℃で加熱乾燥した。なお、シリカゾルとしては日産化学株式会社製のST−O,ST−20を、シランカップリング剤としてはチッソ株式会社製のエポキシ系であるS510を使用した。
比較材として、同じ電気亜鉛めっき鋼板に、市販のクロメート処理液(日本パーカライジング社製ZM−3387)を塗布した後、水洗することなく電気オーブンに装入し、150℃で加熱乾燥したものを使用した。
この原板に、表1に示す下地処理液を塗布した後、水洗することなく電気オーブンに装入し、50〜80℃で加熱乾燥した。その後、表2に示す処理液塗料を塗布した後、水洗することなく電気オーブンに装入し、120〜180℃で加熱乾燥した。なお、シリカゾルとしては日産化学株式会社製のST−O,ST−20を、シランカップリング剤としてはチッソ株式会社製のエポキシ系であるS510を使用した。
比較材として、同じ電気亜鉛めっき鋼板に、市販のクロメート処理液(日本パーカライジング社製ZM−3387)を塗布した後、水洗することなく電気オーブンに装入し、150℃で加熱乾燥したものを使用した。
皮膜形成処理が施された各電気亜鉛めっき鋼板から試験片を切り出し、次の耐食性試験に供した。
平坦部の耐食性試験では、試験片の端面をシールし、JIS Z2371に準拠して35℃の5%NaCl水溶液を噴霧した。塩水噴霧を所定時間継続した後、試験片表面を観察し、試験片表面に発生している白錆の面積率を測定した。白錆発生面積率が5%以下を◎,5〜10%を○,10〜30%を△,30〜50%を▲,50%以上を×としての耐食性を評価した。
平坦部の耐食性試験では、試験片の端面をシールし、JIS Z2371に準拠して35℃の5%NaCl水溶液を噴霧した。塩水噴霧を所定時間継続した後、試験片表面を観察し、試験片表面に発生している白錆の面積率を測定した。白錆発生面積率が5%以下を◎,5〜10%を○,10〜30%を△,30〜50%を▲,50%以上を×としての耐食性を評価した。
耐アルカリ性の試験は、50mm×100mmの試験片を40℃のアルカリ脱脂液(日本パーカライジング社製PC−364SをpH12に調整したもの)に2分間浸漬した後、JIS K5400に準拠した基盤目テープ法(すきま1mm)により、上塗り樹脂皮膜の密着性を評価した。95%以上残存を○,95〜50%残存を△,残存率50%未満を×で評価した。
アルカリ脱脂後の耐食性は、70mm×150mmの試験片を40℃のアルカリ脱脂液(日本パーカライジング社製PC−364SをpH12に調整したもの)に2分間浸漬した後、試験片の端面をシールし、JIS Z2371に準拠して35℃の5%NaCl水溶液を噴霧した。塩水噴霧を所定時間継続した後、試験片表面を観察し、試験片表面に発生している白錆の面積率を測定した。白錆発生面積率が5%以下を◎,5〜10%を○,10〜30%を△,30〜50%を▲,50%以上を×として耐食性を評価した。
その結果を表4に示す。
その結果を表4に示す。
表4の結果からわかるように、亜鉛めっき鋼板にシリカゾルとポリフェノールを用いて皮膜を形成した後樹脂皮膜を形成した本発明例(試験No.1〜5)では、クロメート処理を施したもの(試験No.10)以上に優れた耐食性を発揮できている。
これに対して、何れかの処理膜を形成していないもの(試験No.6,7)は耐食性が劣っていた。また、シリカゾルのみで処理したもの(試験No.8)では、その後、樹脂皮膜を形成しても耐食性は低く、特に超時間経過後の耐食性は極めて低下している。また、ポリフェノールのみで処理したもの(試験No.9)では、耐アルカリ性の低下が認められ、また、その後樹脂皮膜を形成しても、耐食性は低く、特に長時間経過後の耐食性は極めて低下している。
これに対して、何れかの処理膜を形成していないもの(試験No.6,7)は耐食性が劣っていた。また、シリカゾルのみで処理したもの(試験No.8)では、その後、樹脂皮膜を形成しても耐食性は低く、特に超時間経過後の耐食性は極めて低下している。また、ポリフェノールのみで処理したもの(試験No.9)では、耐アルカリ性の低下が認められ、また、その後樹脂皮膜を形成しても、耐食性は低く、特に長時間経過後の耐食性は極めて低下している。
以上に説明したように、本発明によれば、樹脂皮膜を形成した亜鉛系めっき鋼板において、めっき層と樹脂皮膜の間に、Si酸化物とポリフェノールを含む緻密で耐食性に優れる緻密な皮膜を介在させることにより、ポリフェノールの優れた密着性とSi酸化物の優れた防食作用を活用して、極めて耐食性に優れる亜鉛めっき鋼板を得ることができる。
したがって、白錆発生がなく、しかも環境に悪影響を及ぼすことのない亜鉛系めっき鋼板が得られるので、従来のクロメート処理鋼板に代わる材料として広範な分野での使用が可能となる。
したがって、白錆発生がなく、しかも環境に悪影響を及ぼすことのない亜鉛系めっき鋼板が得られるので、従来のクロメート処理鋼板に代わる材料として広範な分野での使用が可能となる。
Claims (4)
- 亜鉛系めっき鋼板の表面上に、Si酸化物とポリフェノールが共存する下地皮膜層と樹脂皮膜層が順次形成されていることを特徴とする耐食性に優れた亜鉛系めっき鋼板。
- 下地皮膜層は、C/Siのモル比が0.001〜10の範囲で形成されている請求項1に記載の耐食性に優れた亜鉛系めっき鋼板。
- 下地皮膜層の付着量がSi換算で5〜500mg/m2である請求項1または2に記載の耐食性に優れた亜鉛系めっき鋼板。
- 樹脂皮膜層の乾燥後の付着量が0.1〜10g/m2である請求項1〜3のいずれかに記載の耐食性に優れた亜鉛系めっき鋼板。
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Date | Code | Title | Description |
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