JP2005086408A - 無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】 複数のチャネルが用意されている通信環境下において、通信局同士が干渉し合うことなく適当なアドホック・ネットワークを好適に形成する。
【解決手段】 各通信局は、周辺局が受けている干渉の平均レベルをチャネル毎に求め、該平均干渉レベルが最も低くなるチャネルを送信チャネルとして決定する。ここで、送信パケット量の多い相手局など、自局にとって優先度の高い周辺局の干渉に重み付けをしてチャネル毎の加重平均を求めることにより、自局から見て優先される周辺局にとって干渉の少ないチャネルが送信チャネルとして選択されるようになり、システム全体のスループットが向上する。
【選択図】 図15
【解決手段】 各通信局は、周辺局が受けている干渉の平均レベルをチャネル毎に求め、該平均干渉レベルが最も低くなるチャネルを送信チャネルとして決定する。ここで、送信パケット量の多い相手局など、自局にとって優先度の高い周辺局の干渉に重み付けをしてチャネル毎の加重平均を求めることにより、自局から見て優先される周辺局にとって干渉の少ないチャネルが送信チャネルとして選択されるようになり、システム全体のスループットが向上する。
【選択図】 図15
Description
本発明は、無線LAN(Local Area Network)のように複数の無線局間で相互に通信を行なう無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムに係り、特に、制御局となる装置を特に配置せずにアドホック(Ad−hoc)通信により無線ネットワークが構築される無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムに関する。
さらに詳しくは、本発明は、複数のチャネルが用意されている通信環境下において、近隣の無線システムが干渉し合うことなく特定の制御局の介在なしに自律分散型の無線ネットワークを形成する無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムに係り、特に、各通信局が適切な通信チャネルを自律的に選択してマルチチャネル自律分散型の無線ネットワークを形成する無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムに関する。
有線方式によるLAN配線からユーザを解放するシステムとして、無線LANが注目されている。無線LANによれば、オフィスなどの作業空間において、有線ケーブルの大半を省略することができるので、パーソナル・コンピュータ(PC)などの通信端末を比較的容易に移動させることができる。近年では、無線LANシステムの高速化、低価格化に伴い、その需要が著しく増加してきている。特に最近では、人の身の回りに存在する複数の電子機器間で小規模な無線ネットワークを構築して情報通信を行なうために、パーソナル・エリア・ネットワーク(PAN)の導入が検討されている。例えば、2.4GHz帯や、5GHz帯など、監督官庁の免許が不要な周波数帯域を利用して、異なった無線通信システム並びに無線通信装置が規定されている。
無線ネットワークに関する標準的な規格の1つにIEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11(例えば、非特許文献1を参照のこと)や、HiperLAN/2(例えば、非特許文献2又は非特許文献3を参照のこと)やIEEE302.15.3、Bluetooth通信などを挙げることができる。IEEE802.11規格については、無線通信方式や使用する周波数帯域の違いなどにより、IEEE802.11a規格、IEEE802.11b規格…などの各種無線通信方式が存在する。
無線技術を用いてローカル・エリア・ネットワークを構成するために、エリア内に「アクセス・ポイント」又は「コーディネータ」と呼ばれる制御局となる装置を1台設けて、この制御局の統括的な制御下でネットワークを形成する方法が一般的に用いられている。
アクセス・ポイントを配置した無線ネットワークでは、ある通信装置から情報伝送を行なう場合に、まずその情報伝送に必要な帯域をアクセス・ポイントに予約して、他の通信装置における情報伝送と衝突が生じないように伝送路の利用を行なうという、帯域予約に基づくアクセス制御方法が広く採用されている。すなわち、アクセス・ポイントを配置することによって、無線ネットワーク内の通信装置が互いに同期をとるという同期的な無線通信を行なう。
ところが、アクセス・ポイントが存在する無線通信システムで、送信側と受信側の通信装置間で非同期通信を行なう場合には、必ずアクセス・ポイントを介した無線通信が必要になるため、伝送路の利用効率が半減してしまうという問題がある。
これに対し、無線ネットワークを構成する他の方法として、端末同士が直接非同期的に無線通信を行なう「アドホック(Ad−hoc)通信」が考案されている。とりわけ近隣に位置する比較的少数のクライアントで構成される小規模無線ネットワークにおいては、特定のアクセス・ポイントを利用せずに、任意の端末同士が直接非同期の無線通信を行なうことができるアドホック通信が適当であると思料される。
ところで、パーソナル・コンピュータ(PC)などの情報機器が普及し、オフィス内に多数の機器が混在する作業環境下では、通信局が散乱し、複数のネットワークが重なり合って構築されていることが想定される。このような状況下では、単一チャネルを使用した無線ネットワークの場合、通信中に他のシステムが割り込んできたり、干渉などにより通信品質が低下したりしても、事態を修復する余地はない。
このため、従来の無線ネットワーク・システムでは、他のネットワークとの共存のために周波数チャネルを複数用意しておき、アクセス・ポイントとなる無線通信装置において利用する周波数チャネルを1つ選択して動作を開始する方法が一般に採用されている。例えば、IEEE802.11hなどの標準規格では、チャネルを動的に変更する仕組み(DFS:Dynamic Frequency Select)が検討されている。
このようなマルチチャネル通信方式によれば、通信中に他のシステムが割り込んできたり、干渉などにより通信品質が低下したりしたときに、利用する周波数チャネルを切り替えることにより、ネットワーク動作を維持し、他のネットワークとの共存を実現することができる。
例えば、IEEE802.15.3の高速無線PANシステムにおいても、システムで利用可能な周波数チャネルが複数用意され、無線通信デバイスは電源投入後に周囲にピコネット・コーディネータ(PNC)としてビーコン信号を送信しているデバイスの有無を確認するため、すべての利用可能なチャネルにわたってスキャン動作を行なうことで利用する周波数チャネルを選択する、というアルゴリズムが採用されている。
制御局を配置しない自律分散型のアドホック・ネットワークにおいては、近隣で稼動中の異なる無線ネットワークとの干渉を極力抑えるために、周波数チャネルに関するリソース管理は重要である。しかしながら、ネットワークで使用する周波数チャネルを一斉に切り替えるためには、コーディネータあるいはアクセス・ポイントと呼ばれる代表局が各端末局に利用チャネルの指示を行なう必要がある。言い換えれば、アドホック・ネットワークにおいて周波数チャネルを切り替えることは困難である。
HiperLAN/2を例にとると、複数の周波数チャネルを使い分けるために、一斉にチャネルを切り替える方法が考えられている。例えば、中央制御局であるAP(基地局)が、周波数チャネルを変更する旨を繰り返し報知し、あるタイミングで、APと、APに接続しているMT(移動局)が一斉にチャネルを切り替える。切り替えるべきか否かの判断はAP主導で決定される。判断する上での情報は、以下に示すような処理手順を踏むことで集積している。すなわち、
(1)APの指示により、接続中のMTが通信を一時的に休止し、別の周波数チャネルをスキャンしてチャネル品質評価をし、その結果をAPに報告する。
(2)APの指示により、APが一時的に報知チャネルの送信を停止し、接続中のMTが現在使用中の周波数チャネルをスキャン並びにチャネル品質評価をし、その結果をAPに報告する。
(2)APの指示により、APが一時的に報知チャネルの送信を停止し、接続中のMTが現在使用中の周波数チャネルをスキャン並びにチャネル品質評価をし、その結果をAPに報告する。
また、Bluetooth通信においては、マスタと呼ばれる中央制御局が基準となってランダムに周波数ホッピングすることで各周波数チャネルを公平に利用する方法が採られている。ネットワークを構成するためにはマスタと呼ばれる中央制御局の存在が必須で、周波数チャネルのホッピング・パターンと時間軸方向の同期の基準になっている。マスタが消失した場合は、それまで形成されたネットワークは一旦切断状態となり、新たなマスタを選択する処理が必要になる。
また、IEEE802.11系の無線LANシステムにおいては、最初にアクセス・ポイントが設定した周波数チャネルを利用してネットワークが形成されるので、基地局を配置せずにアドホック・ネットワークを構築することが困難である。他の周波数チャネルで動作するAPに収容されている無線通信装置(端末)と通信を行なう場合には、AP同士を例えば有線LANのケーブルなどで接続しておかなければならない。つまり、収容されたAP同士が接続されていなければ、物理的に隣接して存在する無線通信装置(端末)同士が異なるAPに収容されていても通信が行なえない。
また、IEEE802.15.3の高速無線PANシステムにおいても、最初にすべての周波数チャネルのスキャンを行ない、周辺に存在するコーディネータの探索を行なうことは可能であるが、一旦特定の周波数チャネルでの運用が開始されてしまうと、他の周波数チャネルの利用状況を把握することができない。このため、近隣に利用している周波数チャネルの異なるピコネットが存在しても、そのピコネットに接続されている無線通信装置との通信が行なえない。
このように従来の方法では、周波数チャネル切り替えのタイミング、参入している端末が相互に同期して周波数チャネル切り替え動作を開始するためにメッセージ交換などによって実現するセットアップ処理、周波数チャネル切り替えを決定する為の調停処理などといった複雑な機構が必要になる。また、制御を主体的に行なう、IEEE802.11やHiperLAN/2におけるAP、Bluetooth通信におけるマスタといった中央制御局の存在が必須である。仮にAPやマスタなどの中央制御局が消失した場合には、その代わりになる中央制御局を選択する何らかのプロトコル処理若しくは人為的な設定変更作業が必要になり、その処理の間は通信が途絶えるという問題点がある。
また、端末により使用される場所は異なるため、受ける干渉も端末毎に異なることが予想される。この場合、すべての端末が一斉に1つの共通チャネルに移動する方式では、ある端末にとっては干渉が多くて不都合なチャネルが選択されている可能性もある。
例えば、自チャネルの干渉の測定だけでなく隣接チャネルを使用した場合の干渉を測定して周波数チャネルを決定する無線通信システムについても提案がなされているが(例えば、特許文献1を参照のこと)、これは基地局の介在によりマルチチャネルが実現されるシステムである。
また、通信局が自局にとって最適なチャネルでビーコンを送信することによって、トラフィック受信チャネルを指定するという方法が考えられる。しかしながら、自局にとって最適なチャネルでも、そのビーコンを受信する通信局にとっては干渉を受けているチャネルである可能性がある。例えば、一方の局のビーコン送信チャネルが他方の局では干渉チャネル若しくは通信品質が劣化し使用不能なチャネルであった場合には、これらの通信局は、仮に他のチャネル上では通信し合うことができたとしても、お互いの存在を永遠に認識することができないというデッドロックの状態に陥ってしまう。
例えば、各通信局がそれぞれに最適なチャネルを選択するマルチチャネル通信システムでは、通信局の置かれた場所により異なる干渉を受けていても、干渉を避けたチャネルが選ばれていることが期待される。
しかしながら、干渉が問題になるのは受信側であるのに対し、通信チャネルを選ぶのは送信側である。このため、送信端末が選択したチャネルは、ある受信端末にとっては最適なチャネルであっても、他の受信端末にとっては干渉の大きいチャネルである可能性もある。つまり、送信端末がどのように送信チャネルを選ぶのが最適なのかという問題が依然として残る。
本発明の目的は、複数のチャネルが用意されている通信環境下において、通信局同士が干渉し合うことなく適当なアドホック・ネットワークを好適に形成することができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
本発明のさらなる目的は、特定の制御局を必要としない自律分散型の無線ネットワークにおいて、複数の周波数チャネルを効果的に利用してチャネル・アクセスを行なうことができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
本発明のさらなる目的は、各通信局が互いの存在を認識できないというデッドロック状態を回避して、自律分散型のマルチチャネル無線ネットワークを形成することができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
本発明のさらなる目的は、各通信局が受信側におけるチャネル干渉情報を考慮して、適切な通信チャネルを自律的に選択してマルチチャネル自律分散型の無線ネットワークを形成することができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
本発明は、上記課題を参酌してなされたものであり、その第1の側面は、複数のチャネルが用意されている通信環境下において、制御局を配置せずに複数の無線通信装置に自律分散的にネットワークを形成する無線通信システムであって、
各通信局は、周辺局におけるチャネル干渉情報に基づいて前記複数のチャネルの中からチャネルを選択して通信を行なう、
ことを特徴とする無線通信システムである。
各通信局は、周辺局におけるチャネル干渉情報に基づいて前記複数のチャネルの中からチャネルを選択して通信を行なう、
ことを特徴とする無線通信システムである。
但し、ここで言う「システム」とは、複数の装置(又は特定の機能を実現する機能モジュール)が論理的に集合した物のことを言い、各装置や機能モジュールが単一の筐体内にあるか否かは特に問わない。
ここで、各通信局は、互いのチャネル品質情報を考慮するために、複数のチャネルの各々についての通信品質を取得し、各チャネルの通信品質を記述したチャネル品質情報を所定の時間間隔で送信するビーコン又はその他の形式で報知し合うようになっている。
各通信局は、周辺局が受けている干渉の平均レベルをチャネル毎に求め、該平均干渉レベルが最も低くなるチャネルを送信チャネルとして決定する。
ここで、自局にとって優先度の高い周辺局の干渉に重み付けをしてチャネル毎の加重平均を求めることにより、自局から見て優先される周辺局にとってより干渉の少ないチャネルを送信チャネルとして選択するようにする。ここで言う周辺局の優先度は、例えば、所定期間における送信データ量に応じて決定することができる。
また、通信局は、ある周辺局において信号を復元できないほど大きな干渉を受けているチャネルがある場合には、当該周辺局の該大きな干渉を受けているチャネルの干渉レベルより大きな重みを付加して加重平均を求めるようにしてもよい。
また、本発明の第2の側面は、複数のチャネルが用意されている無線通信環境下で自律分散的に無線通信を行なうための処理をコンピュータ・システム上で実行するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムであって、
自局の送信信号の送信チャネルを設定する通信チャネル設定ステップと、
前記通信チャネル設定ステップにより設定されたチャネル上で通信動作を制御する制御ステップと、
を備え、
前記通信チャネル設定ステップでは、周辺局におけるチャネル干渉情報に基づいて前記複数のチャネルの中からチャネルを選択する、
ことを特徴とするコンピュータ・プログラムである。
自局の送信信号の送信チャネルを設定する通信チャネル設定ステップと、
前記通信チャネル設定ステップにより設定されたチャネル上で通信動作を制御する制御ステップと、
を備え、
前記通信チャネル設定ステップでは、周辺局におけるチャネル干渉情報に基づいて前記複数のチャネルの中からチャネルを選択する、
ことを特徴とするコンピュータ・プログラムである。
本発明の第2の側面に係るコンピュータ・プログラムは、コンピュータ・システム上で所定の処理を実現するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムを定義したものである。換言すれば、本発明の第2の側面に係るコンピュータ・プログラムをコンピュータ・システムにインストールすることによってコンピュータ・システム上では協働的作用が発揮され、無線通信装置として動作する。このような無線通信装置を複数起動して無線ネットワークを構築することによって、本発明の第1の側面に係る無線通信システムと同様の作用効果を得ることができる。
本発明によれば、特定の制御局を必要としない自律分散型の無線ネットワークにおいて、複数の周波数チャネルを効果的に利用してチャネル・アクセスを行なうことができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。
また、本発明によれば、各通信局が互いの存在を認識できないというデッドロック状態を回避して、自律分散型のマルチチャネル無線ネットワークを形成することができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。
また、本発明によれば、各通信局が受信側におけるチャネル干渉情報を考慮して、適切な通信チャネルを自律的に選択してマルチチャネル自律分散型の無線ネットワークを形成することができる、優れた無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。
本発明によれば、各通信局は、周辺局におけるチャネル干渉情報を考慮し、周辺局が受けている干渉の平均レベルをチャネル毎に求め、該平均干渉レベルが最も低くなるチャネルを送信チャネルとして決定する。ここで、自局にとって優先度の高い周辺局の干渉に重み付けをしてチャネル毎の加重平均を求めることにより、自局から見て優先される周辺局にとって干渉の少ないチャネルが送信チャネルとして選択されるようになり、システム全体のスループットが向上する。
例えば、所定期間における送信データ量に応じた重みを各周辺局に与えて加重平均計算を行なうことにより、送信量の多い送信先ほど干渉の少ないチャネルが選択されることになる。この結果、送信量の多いところほど誤りの発生や再送が起こる可能性が小さくなり、さらに速い変調速度を使用してデータ通信を行なうことができるようになるので、システム全体のスループットが向上する。
また、通信局は、ある周辺局において信号を復元できないほど大きな干渉を受けているチャネルがある場合、当該チャネルに対しより大きな重みを付加して加重平均を求めるようにすることで、優先度が低い端末であった場合であっても、優先して干渉チャネルが避けられるようになり、ネットワークから切断されてしまうのを防ぐことができる。
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳解する。
A.システム構成
本発明において想定している通信の伝搬路は無線であり、且つ複数の周波数チャネルからなる伝送媒体を用いて、複数の通信局間でネットワークを構築する。また、本発明で想定している通信は蓄積交換型のトラヒックであり、パケット単位で情報が転送される。
本発明において想定している通信の伝搬路は無線であり、且つ複数の周波数チャネルからなる伝送媒体を用いて、複数の通信局間でネットワークを構築する。また、本発明で想定している通信は蓄積交換型のトラヒックであり、パケット単位で情報が転送される。
本発明に係る無線ネットワーク・システムは、コーディネータを配置しない自律分散型のシステム構成であり、緩やかな時分割多重アクセス構造を持った伝送(MAC)フレームにより複数のチャネルを効果的に利用した伝送制御が行なわれる。また、各通信局は、CSMA(Carrier Sense Multiple Access:キャリア検出多重接続)に基づくアクセス手順に従い直接非同期的に情報を伝送するアドホック通信を行なうこともできる。
このように制御局を特に配置しない無線通信システムでは、各通信局は適宜選択されるビーコン送信チャネル上でビーコン情報を報知することにより、近隣(すなわち通信範囲内)の他の通信局に自己の存在を知らしめるとともに、ネットワーク構成を通知する。また、ある通信局の通信範囲に新規に参入する通信局は、ビーコン信号を受信することにより、通信範囲に突入したことを検知するとともに、ビーコンに記載されている情報を解読することによりネットワーク構成を知ることができる。また、通信局は伝送フレーム周期の先頭でビーコンを送信するので、各通信局が利用する各チャネルにおける伝送フレーム周期はビーコン間隔によって定義される。
ここで、マルチチャネル通信環境下では、各通信装置が特定のチャネル上でしかビーコンの送信を行なわない場合、ビーコンを送信することができない通信局が出現するという問題がある。例えば、通信局が自局にとって通信品質が良好であるなど自局を基準にしてビーコン送信チャネルを選択する場合、自局にとって最適なチャネルでも、そのビーコンを受信する通信局にとっては干渉を受けているチャネルである可能性がある。これらの通信局は、仮に他のチャネル上では通信し合うことができたとしても、お互いの存在を永遠に認識することができないというデッドロックの状態に陥ってしまう。
例えば、各無線通信装置が、利用可能なチャネルのうち1つを基準チャネルとして任意に決定し、基準チャネル上でのみビーコン信号を報知して所定の伝送フレーム周期を規定するものとする。この基準チャネルは、自局にとって通信品質が良好であるなど自局を基準にしてマルチチャネルの中から選択される。このような場合、自局にとって最適なチャネルでも、そのビーコンを受信する通信局にとっては干渉を受けているチャネルである可能性がある。
そこで、本実施形態では、各無線通信装置は、周辺局の情報や周辺環境を把握し、受信側におけるチャネル干渉情報を考慮した結果に基づいて、適切な通信チャネルを自律的に選択することにより、通信局間のデッドロック状態を回避するようにした。この仕組みの詳細については後述に譲る。
以下に説明する各通信局での処理は、基本的に、本発明に係るアドホック・ネットワークに参入するすべての通信局で実行される処理である。但し、場合によっては、ネットワークを構成するすべての通信局が、以下に説明する処理を実行するとは限らない。
図1には、本発明の一実施形態に係る無線通信システムを構成する通信装置の配置例を示している。この無線通信システムでは、特定の制御極を配置せず、各通信装置が自律分散的に動作し、アドホック・ネットワークが形成されている。同図では、通信装置#0から通信装置#6までが、同一空間上に分布している様子を表わしている。
また、同図において各通信装置の通信範囲を破線で示してあり、その範囲内にある他の通信装置と互いに通信ができるのみならず、自己の送信した信号が干渉する範囲として定義される。すなわち、通信装置#0は近隣にある通信装置#1、#4、と通信可能な範囲にあり、通信装置#1は近隣にある通信装置#0、#2、#4、と通信可能な範囲にあり、通信装置#2は近隣にある通信装置#1、#3、#6、と通信可能な範囲にあり、通信装置#3は近隣にある通信装置#2、と通信可能な範囲にあり、通信装置#4は近隣にある通信装置#0、#1、#5、と通信可能な範囲にあり、通信装置#5は近隣にある通信装置#4、と通信可能な範囲にあり、通信装置#6は近隣にある通信装置#2、と通信可能な範囲にある。
ある特定の通信装置間で通信を行なう場合、通信相手となる一方の通信装置からは聞くことができるが他方の通信装置からは聞くことができない通信装置、すなわち「隠れ端末」が存在する。
図2には、本発明の一実施形態に係る無線ネットワークにおいて通信局として動作する無線通信装置の機能構成を模式的に示している。図示の無線通信装置は、複数のチャネルが用意されている通信環境下において、同じ無線システム内では効果的にチャネル・アクセスを行なうことにより、他の無線システムと干渉し合うことなく自律分散的なネットワークを形成することができる。
図示の通り、無線通信装置100は、インターフェース101と、データ・バッファ102と、中央制御部103と、ビーコン生成部104と、無線送信部106と、タイミング制御部107と、チャネル設定部108と、アンテナ109と、無線受信部110と、チャネル品質測定部111と、ビーコン解析部112と、情報記憶部113とで構成される。
インターフェース101は、この無線通信装置100に接続される外部機器(例えば、パーソナル・コンピュータ(図示しない)など)との間で各種情報の交換を行なう。
データ・バッファ102は、インターフェース101経由で接続される機器から送られてきたデータや、無線伝送路経由で受信したデータをインターフェース101経由で送出する前に一時的に格納しておくために使用される。
中央制御部103は、無線通信装置100における一連の情報送信並びに受信処理の管理と伝送路のアクセス制御(マルチチャネルにおけるスキャン設定やチャネル設定など)を一元的に行なう。
ビーコン生成部104は、近隣にある無線通信装置との間で周期的に交換されるビーコン信号を生成する。無線通信装置100が無線ネットワークを運用するためには、各チャネルにおける自己のビーコン送信スロット位置や、各チャネルにおける自己の受信スロット位置、各チャネルにおける近隣の通信装置からのビーコン受信スロット位置、各チャネルにおける自己のスキャン動作周期などを規定する。これらの情報は、情報記憶部113に格納されるとともに、ビーコン信号の中に記載して周囲の無線通信装置に報知する。また、本実施形態では、自局において測定された各チャネルの通信品質に関するチャネル品質情報や、さらには隣接局のビーコン信号から取り出されたチャネル品質情報も、併せてビーコン中に記載するようになっている。ビーコン信号の構成については後述する。無線通信装置100は、伝送フレーム周期の先頭でビーコンを送信するので、無線通信装置100が利用する各チャネルにおける伝送フレーム周期はビーコン間隔によって定義されることになる。
無線送信部106は、データ・バッファ102に一時格納されているデータやビーコン信号を無線送信するために、所定の変調処理を行なう。
アンテナ109は、他の無線通信装置宛に信号を選択された周波数チャネル上で無線送信し、あるいは他の無線通信装置から送られる信号を収集する。本実施形態では、単一のアンテナを備え、送受信をともに並行しては行なえないものとする。また、同時刻に複数の周波数チャネルをハンドルすることはできないものとする。
無線受信部110は、所定の時間に他の無線通信装置から送られてきた情報やビーコンなどの信号を受信処理する。無線送信部106及び無線受信部110における無線送受信方式は、例えば無線LANに適用可能な、比較的近距離の通信に適した各種の通信方式を適用することができる。具体的には、UWB(Ultra Wide Band)方式、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)方式、CDMA(Code Division Multiple Access:符号分割多元接続)方式などを採用することができる。
チャネル品質測定部111は、例えば隣接局から受信した信号を解析して、自局における各チャネルの通信品質を測定し、測定結果をチャネル品質情報として情報記憶部113に格納する。例えば、物理(Phy)層プロトコルにおいて、以下の方法によりチャネルの通信品質を測定することができる。
(1)無信号時の受信信号レベルの測定結果に基づいた干渉レベルを与える。
(2)各チャネルでの誤り率に基づいた干渉レベルを与える。
(2)各チャネルでの誤り率に基づいた干渉レベルを与える。
チャネル設定部108は、マルチチャネル方式の無線信号を実際に送受信する際における利用チャネルを選択する。本実施形態では、周辺局が受けている干渉の平均レベルをチャネル毎に求め、該平均干渉レベルが最も低くなるチャネルを送信チャネルとして決定する。
ここで、自局にとって優先度の高い周辺局の干渉に重み付けをしてチャネル毎の加重平均を、自局から見て優先される周辺局にとって干渉の少ないチャネルが送信チャネルとして選択することにより、システム全体のスループットが向上する。例えば、所定期間における送信データ量に応じた重みを各周辺局に与えて加重平均計算を行なうことにより、送信量の多い送信先ほど干渉の少ないチャネルが選択されることになる。この結果、送信量の多いところほど誤りの発生や再送が起こる可能性が小さくなり、さらに速い変調速度を使用してデータ通信を行なうことができるようになるので、システム全体のスループットが向上する。データやビーコン送信時におけるチャネル設定手順の詳細については、後述に譲る。
タイミング制御部107は、チャネル設定部108において設定されたチャネル上で無線信号を送信並びに受信するためのタイミングの制御を行なう。例えば、ビーコン送信チャネルにおける伝送フレーム周期の先頭における自己のビーコン送信タイミングや、各チャネルにおける他の通信装置からのビーコン受信タイミング、他の通信装置とのデータ送受信タイミング、並びに各チャネルにおけるスキャン動作周期などを制御する。
ビーコン解析部112は、隣接局から受信できたビーコン信号を解析し、近隣の無線通信装置の存在などを解析する。例えば、隣接局のビーコンの受信タイミングや初期チャネル情報、近隣ビーコン受信タイミングなどの情報は近隣装置情報として情報記憶部113に格納される。また、ビーコンに記述されているチャネル品質情報も情報記憶部113に格納される。
情報記憶部113は、中央制御部103において実行される一連のアクセス制御動作などの実行手順命令(スキャン設定やチャネル設定などを行なうプログラム)や、他の通信局のビーコン送信タイミングや、チャネル品質情報、近隣装置情報などを蓄えておく。
B.チャネル上でのアクセス動作
本実施形態では、通信局として動作する無線通信装置100は、複数のチャネルが用意され、特定の制御局を配置しない通信環境下で、緩やかな時分割多重アクセス構造を持った伝送(MAC)フレームにより複数のチャネルを効果的に利用した伝送制御、又はCSMA/CAに基づくランダム・アクセスなどの通信動作を行なう。
本実施形態では、通信局として動作する無線通信装置100は、複数のチャネルが用意され、特定の制御局を配置しない通信環境下で、緩やかな時分割多重アクセス構造を持った伝送(MAC)フレームにより複数のチャネルを効果的に利用した伝送制御、又はCSMA/CAに基づくランダム・アクセスなどの通信動作を行なう。
各通信局は、特定のチャネル上で所定の時間間隔でビーコン情報を報知することにより、近隣(すなわち通信範囲内)の他の通信局に自己の存在を知らしめるとともに、ネットワーク構成を通知する。また、ある通信局の通信範囲に新規に参入する通信局は、ビーコン信号を受信することにより、通信範囲に突入したことを検知するとともに、ビーコンに記載されている情報を解読することによりネットワーク構成を知ることができる。ビーコン送信チャネルはチャネル設定部108により設定される。チャネル設定部108では、周辺局が受けている干渉の平均レベルをチャネル毎に求め、該平均干渉レベルが最も低くなるチャネルを送信チャネルとして決定するので、より多くの周辺局がビーコン信号を聞くことができる。
本実施形態に係る各通信局のビーコン送信手順について、図3を参照しながら説明する。但し、ここではまず単一チャネル上で各通信局のビーコンが配置されている場合について説明する。
ビーコンで送信される情報が100バイトであるとすると、送信に要する時間は18マイクロ秒となる。40ミリ秒に1回の送信なので、通信局毎のビーコンのメディア占有率は2222分の1と十分小さい。
各通信局は、周辺で発信されるビーコンを聞きながら、ゆるやかに同期する。新規に通信局が現われた場合、新規通信局は既存の通信局のビーコン送信タイミングと衝突しないように、自分のビーコン送信タイミングを設定する。
周辺に通信局がいない場合、通信局01は適当なタイミングでビーコンを送信し始めることができる。ビーコンの送信間隔は40ミリ秒である(前述)。図2中の最上段に示す例では、B01が通信局01から送信されるビーコンを示している。
以降、通信範囲内に新規に参入する通信局は、既存のビーコン配置と衝突しないように、自己のビーコン送信タイミングを設定する。このとき、各通信局はビーコン送信の直後に優先利用領域(TGP)を獲得することから、1つのチャネル上では各通信局のビーコン送信タイミングは密集しているよりも伝送フレーム周期内で均等に分散している方が伝送効率上より好ましい。したがって、本実施形態では、基本的に自身が聞こえる範囲でビーコン間隔が最も長い時間帯のほぼ真中でビーコンの送信を開始するようにしている。
例えば、図3中の最上段に示すように、通信局01のみが存在するチャネル上において、新たな通信局02が現われたとする。このとき、通信局02は、通信局01からのビーコンを受信することによりその存在とビーコン位置を認識し、図3の第2段目に示すように、通信局01のビーコン間隔のほぼ真中に自己のビーコン送信タイミングを設定して、ビーコンの送信を開始する。
さらに、新たな通信局03が現われたとする。このとき、通信局03は、通信局01並びに通信局02のそれぞれから送信されるビーコンの少なくとも一方を受信し、これら既存の通信局の存在を認識する。そして、図3の第3段に示すように、通信局01及び通信局02から送信されるビーコン間隔のほぼ真中のタイミングで送信を開始する。
以下、同様のアルゴリズムに従って近隣で通信局が新規参入する度に、ビーコン間隔が狭まっていく。例えば、図3の最下段に示すように、次に現われる通信局04は、通信局02及び通信局01それぞれが設定したビーコン間隔のほぼ真中のタイミングでビーコン送信タイミングを設定し、さらにその次に現われる通信局05は、通信局02及び通信局04それぞれが設定したビーコン間隔のほぼ真中のタイミングでビーコン送信タイミングを設定する。
但し、帯域(伝送フレーム周期)内がビーコンで溢れないように、最小のビーコン間隔Bminを規定しておき、Bmin内に2以上のビーコン送信タイミングを配置することを許容しない。例えば、40ミリ秒の伝送フレーム周期でミニマムのビーコン間隔Bminを2.5ミリ秒に規定した場合、電波の届く範囲内では最大で16台の通信局までしか収容できないことになる。
図4には、1チャネル上におけるビーコン送信タイミングの一例を示している。但し、同図に示す例では、40ミリ秒からなる伝送フレーム周期における時間の経過を、円環上で時針が右回りで運針する時計のように表している。
図4に示す例では、通信局0から通信局Fまでの合計16台の通信局がネットワークのノードとして構成されている。図3を参照しながら説明したように、既存の通信局が設定したビーコン間隔のほぼ真中のタイミングで新規参入局のビーコン送信タイミングを順次設定していくというアルゴリズムに従って、ビーコン配置が行なわれたものとする。Bminを2.5ミリ秒と規定した場合には、これ以上の通信局は該ネットワークに参入できない。
IEEE802.11方式などの場合と同様に、本実施形態においても複数のパケット間隔を定義する。ここでのパケット間隔の定義を、図5を参照して説明する。ここでのパケット間隔は、Short Inter Frame Space(SIFS)とLong Inter Frame Space(LIFS)を定義する。より高いプライオリティが与えられたパケットに限りSIFSのパケット間隔で送信を許容し、それ以外のパケットは(LIFS+ランダムに値を得るランダム・バックオフ)のパケット間隔だけメディアがクリアであることを確認した後に送信を許容する。ランダム・バックオフ値の計算方法は既存技術で知られている方法を適用する。
さらに本実施形態においては、上述したパケット間隔である「SIFS」と「LIFS+バックオフ」の他、「LIFS」と「FIFS+バックオフ」(FIFS:Far Inter Frame Space)を定義する。通常は「SIFS」と「LIFS+バックオフ」のパケット間隔を適用するが、ある通信局に送信の優先権が与えられている時間帯においては、他局は「FIFS+バックオフ」のパケット間隔を用い、優先権が与えられている局はSIFSあるいはLIFSでのパケット間隔を用いるというものである。
各通信局はビーコンを一定間隔で送信しているが、ビーコンを送信した後しばらくの間は、該ビーコンを送信した局に送信の優先権を与えられる。図6には、ビーコン送信局に優先権が与えられる様子を示している。本明細書では、この優先区間をTransmission Guaranteed Period(TGP)と定義する。また、TGP以外の区間をFairly Access Period(FAP)と定義され、通信局間ではCSMA/CA方式により通信が行なわれる。図7には、伝送フレーム周期(T_SF)の構成を示している。同図に示すように、各通信局からのビーコンの送信に続いて、そのビーコンを送信した通信局のTGPが割り当てられ、TGPの長さ分だけ時間が経過するとFAPになり、次の通信局からのビーコンの送信でFAPが終わる。なお、ここではビーコンの送信直後からTGPが開始する例を示したが、これには限定されるものではなく、例えば、ビーコンの送信時刻から相対位置(時刻)でTGPの開始時刻を設定してもよい。
ここで、1チャネル上のパケット間隔について再度考察すると、下記のようになる。各通信局は、FAPにおいてはLIFS+バックオフの間隔での送信を行なう。また、ビーコン並び自局のTGP内でのパケットの送信に関しては、SIFS間隔での送信を許容する。また、自局のTGP内でのパケットの送信に関してはLIFSの間隔での送信をも許容する。さらに、他局のTGP内でのパケットの送信に関してはFIFS+バックオフの間隔での送信とするということになる。IEEE802.11方式においては、常にパケット間隔としてFIFS+バックオフがとられていたが、本実施形態の構成によれば、この間隔を詰めることができて、より効果的なパケット伝送が可能となる。
上記では、TGP中の通信局にのみ優先送信権が与えられるという説明を行なったが、TGP中の通信局に呼び出された通信局にも優先送信権を与える。基本的にTGPにおいては、送信を優先するが、自通信局内に送信するものはないが、他局が自局宛てに送信したい情報を保持していることが判っている場合には、その「他局」宛てにページング(Paging)メッセージあるいはポーリング(Polling)メッセージを投げたりしてもよい。
逆に、ビーコンを送信したものの、自局には何も送信するものがない場合でかつ他局が自局宛てに送信したい情報を保持していることを知らない場合、このような通信局は、通信動作を行なわず、TGPで与えられた送信優先権を放棄し、何も送信しない。すると、LIFS+バックオフあるいはFIFS+バックオフ経過後に他局がこの時間帯でも送信を開始する。
図7に示したようにビーコン送信した直後にTGPが続くという構成を考慮すると、各通信局のビーコン送信タイミングは密集しているよりも伝送フレーム周期内で均等に分散している方が伝送効率上より好ましい。したがって、本実施形態では、基本的に自身が聞こえる範囲でビーコン間隔が最も長い時間帯のほぼ真中でビーコンの送信を開始するようにしている。勿論、各通信局のビーコン送信タイミングを集中して配置し、残りの伝送フレーム周期では受信動作を停止して装置の消費電力を低減させるという利用方法もある。
図8には、ビーコン信号フォーマットの構成例を示している。同図に示すように、ビーコン信号は、当該信号の存在を知らしめるためのプリアンブルに、ヘディング、ペイロード部PSDUが続いている。ヘディング領域において、該パケットがビーコンである旨を示す情報が掲載されている。また、PSDU内にはビーコンで報知したい以下の情報が記載されている。
TX.ADDR:送信局(TX)のMAC アドレス
TOI:TBTTオフセット・インジケータ(TBTT Offset Indicator )
NBOI:近隣ビーコンのオフセット情報(Neighbor Beacon Offset Information)
TIM:トラフィック・インジケーション・マップ(Traffic Indication Map)
PAGE:ページング(Paging)
TOI:TBTTオフセット・インジケータ(TBTT Offset Indicator )
NBOI:近隣ビーコンのオフセット情報(Neighbor Beacon Offset Information)
TIM:トラフィック・インジケーション・マップ(Traffic Indication Map)
PAGE:ページング(Paging)
TIMとは、現在この通信局がどの通信局宛てに情報を有しているかの報知情報であり、TIMを参照することにより、受信局は自分が受信を行なわなければならないことを認識することができる。また、Pagingは、TIMに掲載されている受信局のうち、直後のTGP において送信を予定していることを示すフィールドであり、このフィールドで指定された局はTGPでの受信に備えなければならない。その他のフィールド(ETCフィールド)も用意されている。ETCフィールドは、用意されている各周波数チャネルにおけるチャネル品質情報として、例えば干渉を受けている度合いすなわち干渉度レベル(IntLCH)を記述するフィールドを含んでいてもよい。各チャネルの干渉度レベルは、無信号時の受信信号レベルの測定結果、あるいはチャネル上での通信時の誤り率に基づいて求められる(前述)。
NBOIは、チャネル上の伝送フレーム内における近隣の通信局のビーコン配置を記述した情報である。本実施形態では、各チャネルにおいて伝送フレーム周期内に最大16個のビーコンを配置することができることから、NBOIを各ビーコン位置に相当する16ビット長のフィールドとして構成し、受信できたビーコンの配置に関する情報をビットマップ形式で記述する。そして、自局のビーコン送信タイミングを基準として、各通信局からのビーコン受信タイミングの相対位置(オフセット)に対応するビットに1を書き込み、ビーコンを受信しないタイミングの相対位置に対応するビット位置は0のままとする。
図9には、利用チャネル数を1つとした場合におけるNBOIの記述例を示している。同図に示す例では、図3に示した通信局0が、「通信局1並びに通信局9からのビーコンが受信可能である」旨を伝えるNBOIフィールドが示されている。NBOIフィールドの最上位ビットを自局のビーコン送信位置に割り当てられ、この位置を基準として受信可能な隣接局のビーコンの相対位置(オフセット)に対応するビットに関し、ビーコンが受信されている場合にはマーク、受信されていない場合にはスペースを割り当てる。なお、これ以外の目的で、ビーコンが受信されていないタイミングに対応するビットに関してマークを行なうようにしてもよい。本実施形態では、利用可能な各周波数チャネルについてのビーコン配置を記述したNBOI情報が必要であるが、この点について後述に譲る。
各通信局は、あるチャネル上でお互いのビーコン信号を受信すると、その中に含まれるNBOIの記述に基づいて、使用可能な各周波数チャネル上でビーコンの衝突を回避しながら自己のビーコン送信タイミングを配置したり周辺局からのビーコン受信タイミングを検出したりすることができる。
図10には、ある周波数チャネル上において、新規参入局がNBOIの記述に基づいて既存のビーコンとの衝突を回避しながら自己のビーコン送信タイミングを配置する様子を示している。同図の各段では、通信局STA0〜STA2の参入状態を表している。そして、各段の左側には各通信局の配置状態を示し、その右側には各局から送信されるビーコンの配置を示している。
図10上段では、通信局STA0のみが存在している場合を示している。このとき、STA0はビーコン受信を試みるが受信されないため、適当なビーコン送信タイミングを設定して、このタイミングの到来に応答してビーコンの送信を開始することができる。ビーコンは40ミリ秒(伝送フレーム)毎に送信されている。このとき、STA0から送信されるビーコンに記載されているNBOIフィールドのすべてのビットが0である。
図10中段には、通信局STA0の通信範囲内でSTA1が参入してきた様子を示している。STA1は、ビーコンの受信を試みるとSTA0のビーコンが受信される。さらにSTA0のビーコンのNBOIフィールドは自局の送信タイミングを示すビット以外のビットはすべて0であることから、上述した処理手順に従ってSTA0のビーコン間隔のほぼ真中に自己のビーコン送信タイミングを設定する。
STA1が送信するビーコンのNBOIフィールドは、自局の送信タイミングを示すビットとSTA0からのビーコン受信タイミングを示すビットに1が設定され、それ以外のビットはすべて0である。また、STA0も、STA1からのビーコンを認識すると、NBOIフィールドの該当するビット位置に1を設定する。
図10の最下段には、さらにその後、通信局STA1の通信範囲にSTA2が参入してきた様子を示している。図示の例では、STA0はSTA2にとって隠れ端末となっている。このため、STA2は、STA1がSTA0からのビーコンを受信していることを認識できず、右側に示すように、STA0と同じタイミングでビーコンを送信し衝突が生じてしまう可能性がある。
NBOIフィールドはこの現象を回避するために用いられる。まず、STA1のビーコンのNBOIフィールドは自局の送信タイミングを示すビットに加え、STA0がビーコンを送信しているタイミングを示すビットにも1が設定されている。そこで、STA2は、隠れ端末であるSTA0が送信するビーコンを直接受信はできないが、STA1から受信したビーコンに基づいてSTA0のビーコン送信タイミングを認識し、このタイミングでのビーコン送信を避ける。
そして、図11に示すように、このときSTA2は、STA0とSTA1のビーコン間隔のほぼ真中にビーコン送信タイミングを定める。勿論、STA2の送信ビーコン中のNBOIでは、STA2とSTA1のビーコン送信タイミングを示すビットを1に設定する。このようなNBOIフィールドの記述に基づくビーコンの衝突回避機能により、隠れ端末すなわち2つ先の隣接局のビーコン位置を把握しビーコンの衝突を回避することができる。
C.送信チャネルの設定手順
上述したように、自律分散型の無線通信システムでは、各通信局は伝送フレーム周期内でビーコン情報を報知するとともに、他局からのビーコン信号のスキャン動作を行なうことにより1チャネル上でのネットワーク構成を認識することができる。ところが、本実施形態に係るマルチチャネル自律分散型ネットワークの場合、図4に示したような伝送フレームが周波数軸上に利用チャネル数分だけ配置された構成となっている(図12を参照のこと)。このため、通信局は他の通信のビーコン送信タイミングにおいて同じチャネル上に移行していなければビーコンを受信することはできず、すべてのチャネル上においてネットワーク構成を把握することは困難である。
上述したように、自律分散型の無線通信システムでは、各通信局は伝送フレーム周期内でビーコン情報を報知するとともに、他局からのビーコン信号のスキャン動作を行なうことにより1チャネル上でのネットワーク構成を認識することができる。ところが、本実施形態に係るマルチチャネル自律分散型ネットワークの場合、図4に示したような伝送フレームが周波数軸上に利用チャネル数分だけ配置された構成となっている(図12を参照のこと)。このため、通信局は他の通信のビーコン送信タイミングにおいて同じチャネル上に移行していなければビーコンを受信することはできず、すべてのチャネル上においてネットワーク構成を把握することは困難である。
また、通信局が自局にとって最適なチャネルであっても、通信相手となる他局にとっては干渉を受けているチャネルである可能性がある。例えば、一方の局のビーコン送信チャネルが他方の局では干渉チャネル若しくは通信品質が劣化し使用不能なチャネルであった場合には、これらの通信局は、仮に他のチャネル上では通信し合うことができたとしても、お互いの存在を永遠に認識することができないというデッドロックの状態に陥ってしまう。
既に述べたように、各通信局は、単一のアンテナを備え、送受信をともに並行しては行なえず、また、同時刻に複数の周波数チャネルをハンドルすることはできないということを想定している。ここで、図13に示すような、干渉環境下で2台の通信局が配置されている状態について考察してみる。
通信局#1は、チャネルCH1では干渉を受けているがチャネルCH2では干渉を受けていない(クリアである)という左斜線が付された通信環境に配置されており、チャネルCH2を自局のビーコン送信チャネルとして設定している。また、通信局#2は、チャネルCH2では干渉を受けているがチャネルCH1では干渉を受けていない(クリアである)という右斜線が付された通信環境に配置されており、チャネルCH1を自局のビーコン送信チャネルとして設定している。このままの状況では、お互いの干渉チャネルでビーコンを送信しているため、永遠に双方の存在に気づくことができない。
各通信局がそれぞれに最適なチャネルを選択するマルチチャネル通信システムでは、通信局の置かれた場所により異なる干渉を受けていても、干渉を避けたチャネルが選ばれていることが期待される。しかしながら、干渉が問題になるのは受信側であるのに対し、通信チャネルを選ぶのは送信側である。このため、送信端末が選択したチャネルは、ある受信端末にとっては最適なチャネルであっても、他の受信端末にとっては干渉の大きいチャネルである可能性もある。
そこで、本実施形態では、周辺局におけるチャネル干渉情報を考慮し、周辺局が受けている干渉の平均レベルをチャネル毎に求め、該平均干渉レベルが最も低くなるチャネルを送信チャネルとして決定することにより、より多くの周辺局が送信信号を聞くことができるようにする。
C−1.チャネル設定方法1
ここでは、各通信局が定期的にビーコンを送信し、そのビーコン内の情報の1つとして、その端末が各チャネルに受けている干渉量が記されているとする(前述並びに図8を参照のこと)。各通信局は、定期的に各チャネルを一定時間だけ受信し、無信号時の受信電力レベルの平均値を求めて、これらをそれぞれの端末のチャネル干渉情報とする。各通信局はそれぞれ定期的に周辺端末のビーコンを受信し、周辺局の干渉情報を把握する。
ここでは、各通信局が定期的にビーコンを送信し、そのビーコン内の情報の1つとして、その端末が各チャネルに受けている干渉量が記されているとする(前述並びに図8を参照のこと)。各通信局は、定期的に各チャネルを一定時間だけ受信し、無信号時の受信電力レベルの平均値を求めて、これらをそれぞれの端末のチャネル干渉情報とする。各通信局はそれぞれ定期的に周辺端末のビーコンを受信し、周辺局の干渉情報を把握する。
送信側となる通信局は、ビーコンから得られる周辺局のチャネル干渉情報を基に、送信チャネルを決める必要がある。ここで、送信局にとってそれまでのある一定期間で各端末に送信したパケット数で重みを付けて、干渉レベルの加重平均を計算する。
例えば、通信範囲内に通信局A〜Dが4台だけ存在し、このうち通信局Aが送信チャネルを選択する場合について考える(図14を参照のこと)。通信局Aからは、それまでの一定期間に以下の[表1]のように各周辺局へ送信していたとする。また、各通信局のチャネルCH1とチャネルCH2についての干渉レベルは以下の[表2]に示す通りとする。
この場合、通信局Aにとって各チャネルCH1並びにCH2の加重平均の干渉レベルを計算するとそれぞれ式(1)並びに(2)に示す通りとなる。
上式の計算結果より、CH2の方が干渉レベルが小さいために最適と判断して、通信局AはCH2を送信チャネルとして選択する。
このように、通信局が自局にとって優先度の高い周辺局の干渉に重み付けをしてチャネル毎の加重平均を求めることにより、自局から見て優先される周辺局にとって干渉の少ないチャネルが送信チャネルとして選択されるようになり、システム全体のスループットが向上する。
送信量の多い送信先ほど干渉の少ないチャネルを選択した場合、送信量の多いところほど誤りの発生や再送が起こる可能性が小さくなり、さらに速い変調速度を使用してデータ通信を行なうことができるようになるので、システム全体のスループットが向上する。
このようなチャネル選択は一定期間毎に行ない、周辺環境の変化や優先する端末の変化に応じて送信チャネルを最適化する。
C−2.チャネル設定方法2
前項C−1と同様の無線通信環境において、今度は、通信局BがチャネルCH2で受ける干渉が非常に大きく、受信信号の復調がほとんど不可能な状態について考察する。
前項C−1と同様の無線通信環境において、今度は、通信局BがチャネルCH2で受ける干渉が非常に大きく、受信信号の復調がほとんど不可能な状態について考察する。
このように復調ができないチャネルの干渉レベルに対しては、通常より大きな重みを付けるようにする。例えば、測定値の10倍にすると決める。この場合、各周辺局のチャネル毎の干渉レベルは、以下の[表3]に示す通りとなる。
ここで、通信局Aから周辺局への一定期間での送信パケット数は上記の[表1]の通りとすると、この場合の通信局Aにとっての各チャネルCH1並びにCH2の加重平均の干渉レベルは下式に示す通りになる。
したがって、上記の計算結果よりCH1の方が干渉レベルが小さいと判断して、通信局AはCH1を送信チャネルとして選択する。以上のようにして、通信局Bにとっては復調ができないほど干渉の大きなチャネルであるチャネル2が送信チャネルとして選択されることが避けられる。すなわち、通信局Bがネットワークから切断されてしまうのを防ぐことができる。
図15には、ある周辺局において信号を復元できないほど大きな干渉を受けているチャネルがある場合、当該チャネルに対しより大きな重みを付加して加重平均を求めるための、通信局における処理手順をフローチャートの形式で示している。同図に示す処理手順は、実際には、通信局として動作する無線通信装置100内で中央委制御部103が情報記憶部113に格納されている実行命令手順を実行するという形態で実現される。
まず、カウンタをリセットする(ステップS1)。
ここで、周辺局から受信したビーコン情報を解析し、干渉のための復調が不可能な周辺局があるかどうかを判別する(ステップS2)。
干渉のための復調が不可能な周辺局がある場合には、当該周辺局における各チャネルの干渉レベルに対しそれぞれ10倍にする重み付けを行なう(ステップS3)。
次いで、各チャネルにおける各周辺局が受ける干渉レベルの加重平均を計算する(ステップS4)。
そして、干渉レベルの加重平均が最小となったチャネルを送信チャネルに設定する(ステップS5)。
次いで、カウンタを1だけ増分する(ステップS6)。
カウンタ値が所定の閾値を越えると、ステップS1に戻り(ステップS7)、各チャネルにおける干渉レベルの加重平均値の算出、並びに送信チャネルの選択を繰り返し行なう。
D.マルチチャネル通信環境下における近隣装置情報
図16には、チャネル1〜チャネル4の4チャネルからなるマルチチャネル通信システムにおいて、通信局A〜Dが各チャネル上でビーコン送信タイミングを配置している様子を示している。同図に示すように、各通信局A〜Dは、ビーコン送信タイミングが他局のビーコンと衝突しないように互いにずらして配置している。また、ビーコンが送受信されるチャネルも、通信局毎に周辺局でのチャネル品質情報に基づいてそれぞれ設定される。
図16には、チャネル1〜チャネル4の4チャネルからなるマルチチャネル通信システムにおいて、通信局A〜Dが各チャネル上でビーコン送信タイミングを配置している様子を示している。同図に示すように、各通信局A〜Dは、ビーコン送信タイミングが他局のビーコンと衝突しないように互いにずらして配置している。また、ビーコンが送受信されるチャネルも、通信局毎に周辺局でのチャネル品質情報に基づいてそれぞれ設定される。
仮に、各端末のビーコン間隔の最小ステップをT_SF/8とすると、図16に示したようなビーコン送信時刻、相対的なチャネル配置の場合には、図17に示すように記述されるビーコン位置情報として把握することができる。
図17に示す例では、ビーコン位置情報は、伝送フレーム周期T_SF内に配置可能なビーコンの個数だけカラムが用意されている。その先頭カラムは、自局のビーコン送信位置に割り当てられ、ビーコン送信チャネルが書き込まれる。そして、以降の各カラムは、自局のビーコン送信位置を基準としたT_SF/8毎の送信時刻に割り当てられており、自局のビーコン送信位置から対応する相対位置(オフセット)において受信することができたビーコンのチャネル情報が書き込まれる。
図17に示したようなビーコン位置情報は、それぞれのカラムに該当する送信時刻のビーコンの有無、ビーコンがある場合はそのチャネルが記録されており、マルチチャネル通信環境下における近隣通信装置情報NBOIに相当する。各通信局は、自局が各チャネル上で受信できたビーコンに基づいてビーコン位置情報を作成するとともに、ビーコン内にこれを書き込んで周辺局に報知し合うことで、近隣の通信環境を把握する。また、受信したビーコンからビーコン位置情報を取り出して、自局のビーコン位置情報の内容を更新する。
通信局は、このようなビーコン位置情報の記載内容に基づいて、各伝送フレーム周期において、ビーコン送信チャネルを求め、ビーコン送受信時刻になったら該当のチャネルに切り替えて、送受信を試みる。
ビーコンの相対的なチャネル配置は、各ビーコンの送信時刻が互いにできる限り離れるように配置するのが望ましい。何故ならば、ビーコン送受信後に獲得する優先送信期間TGPにおけるデータ通信はビーコンのチャネルで行なわれるため、できる限りビーコンが離れている方がそれぞれの通信可能時間を長くできるからである。図18には、マルチチャネル上における各通信局のビーコン配置例を示している。
[追補]
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、冒頭に記載した特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、冒頭に記載した特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。
100…無線通信装置
101…インターフェース
102…データ・バッファ
103…中央制御部
104…ビーコン生成部
106…無線送信部
107…タイミング制御部
108…チャネル設定部
109…アンテナ
110…無線受信部
111…チャネル品質測定部
112…ビーコン解析部
113…情報記憶部
101…インターフェース
102…データ・バッファ
103…中央制御部
104…ビーコン生成部
106…無線送信部
107…タイミング制御部
108…チャネル設定部
109…アンテナ
110…無線受信部
111…チャネル品質測定部
112…ビーコン解析部
113…情報記憶部
Claims (25)
- 複数のチャネルが用意されている通信環境下において、制御局を配置せずに複数の無線通信装置に自律分散的にネットワークを形成する無線通信システムであって、
各通信局は、周辺局におけるチャネル干渉情報に基づいて前記複数のチャネルの中からチャネルを選択して通信を行なう、
ことを特徴とする無線通信システム。 - 各通信局は、前記複数のチャネルの各々についての通信品質を取得し、各チャネルの通信品質を記述したチャネル品質情報を所定の時間間隔で送信するビーコン又はその他の形式で報知し合う、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。 - 各通信局は、周辺局が受けている干渉の平均レベルをチャネル毎に求め、該平均干渉レベルが最も低くなるチャネルを送信チャネルとして決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。 - 通信局は、自局にとっての周辺局の優先度に応じた重み付けをしてチャネル毎の加重平均を求める、
ことを特徴とする請求項3に記載の無線通信システム。 - 通信局は、所定期間における送信データ量に応じた重みを各周辺局に与えて前記の加重平均計算を行なう、
ことを特徴とする請求項4に記載の無線通信システム。 - 通信局は、ある周辺局において信号を復元できないほど大きな干渉を受けているチャネルがある場合、当該周辺局の該大きな干渉を受けているチャネルの干渉レベルにより大きな重みを付加して加重平均を求める、
ことを特徴とする請求項3に記載の無線通信システム。 - 複数のチャネルが用意されている無線通信環境下で自律分散的に動作する無線通信装置であって、
各チャネルにおいて無線データを送受信する通信手段と、
前記通信手段において自局の送信信号の送信チャネルを設定する通信チャネル設定手段と、
前記通信チャネル設定手段により設定されたチャネル上で前記通信手段による通信動作を制御する制御手段と、
を備え、
前記通信チャネル設定手段は、周辺局におけるチャネル干渉情報に基づいて前記複数のチャネルの中からチャネルを選択する、
ことを特徴とする無線通信装置。 - 前記複数のチャネルのそれぞれについて自局にとってのチャネル品質を取得するチャネル品質取得手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項7に記載の無線通信装置。 - 自局に関する情報を記載したビーコン信号を生成するビーコン信号生成手段と、
前記通信手段により隣接局から受信したビーコン信号を解析するビーコン信号解析手段と、
をさらに備え
前記ビーコン信号生成手段は、各チャネルの通信品質を記述したチャネル品質情報を含んだビーコンを生成する、
ことを特徴とする請求項8に記載の無線通信装置。 - 前記チャネル品質取得手段は、前記通信手段における無信号時の受信信号レベルの測定結果に基づいて各チャネルの通信品質を取得する、
ことを特徴とする請求項8に記載の無線通信装置。 - 前記チャネル品質取得手段は、前記通信手段における各チャネルでの誤り率を測定し、該測定結果に基づいて各チャネルの通信品質を取得する、
ことを特徴とする請求項8に記載の無線通信装置。 - 前記通信チャネル設定手段は、周辺局が受けている干渉の平均レベルをチャネル毎に求め、該平均干渉レベルが最も低くなるチャネルを送信チャネルとして決定する、
ことを特徴とする請求項7に記載の無線通信装置。 - 前記通信チャネル設定手段は、自局にとっての周辺局の優先度に応じた重み付けをしてチャネル毎の加重平均を求める、
ことを特徴とする請求項12に記載の無線通信装置。 - 前記通信チャネル設定手段は、所定期間における送信データ量に応じた重みを各周辺局に与えて前記の加重平均計算を行なう、
ことを特徴とする請求項13に記載の無線通信装置。 - 前記通信チャネル設定手段は、ある周辺局において信号を復元できないほど大きな干渉を受けているチャネルがある場合、当該周辺局の該大きな干渉を受けているチャネルの干渉レベルにより大きな重みを付加して加重平均を求める、
ことを特徴とする請求項12に記載の無線通信装置。 - 複数のチャネルが用意されている無線通信環境下で自律分散的に動作するための無線通信方法であって、
自局の送信信号の送信チャネルを設定する通信チャネル設定ステップと、
前記通信チャネル設定ステップにより設定されたチャネル上で通信動作を制御する制御ステップと、
を備え、
前記通信チャネル設定ステップでは、周辺局におけるチャネル干渉情報に基づいて前記複数のチャネルの中からチャネルを選択する、
ことを特徴とする無線通信方法。 - 前記複数のチャネルのそれぞれについて自局にとってのチャネル品質を取得するチャネル品質取得ステップをさらに備える、
ことを特徴とする請求項16に記載の無線通信方法。 - 自局に関する情報を記載したビーコン信号を生成するビーコン信号生成ステップと、
隣接局から受信したビーコン信号を解析するビーコン信号解析ステップと、
をさらに備え
前記ビーコン信号生成ステップでは、各チャネルの通信品質を記述したチャネル品質情報を含んだビーコンを生成する、
ことを特徴とする請求項17に記載の無線通信方法。 - 前記チャネル品質取得ステップでは、無信号時の受信信号レベルの測定結果に基づいて各チャネルの通信品質を取得する、
ことを特徴とする請求項17に記載の無線通信方法。 - 前記チャネル品質取得ステップでは、各チャネルでの誤り率を測定し、該測定結果に基づいて各チャネルの通信品質を取得する、
ことを特徴とする請求項19に記載の無線通信方法。 - 前記通信チャネル設定ステップでは、周辺局が受けている干渉の平均レベルをチャネル毎に求め、該平均干渉レベルが最も低くなるチャネルを送信チャネルとして決定する、
ことを特徴とする請求項16に記載の無線通信方法。 - 前記通信チャネル設定ステップでは、自局にとっての周辺局の優先度に応じた重み付けをしてチャネル毎の加重平均を求める、
ことを特徴とする請求項21に記載の無線通信方法。 - 前記通信チャネル設定ステップでは、所定期間における送信データ量に応じた重みを各周辺局に与えて前記の加重平均計算を行なう、
ことを特徴とする請求項21に記載の無線通信方法。 - 前記通信チャネル設定ステップでは、ある周辺局において信号を復元できないほど大きな干渉を受けているチャネルがある場合、当該周辺局の該大きな干渉を受けているチャネルの干渉レベルにより大きな重みを付加して加重平均を求める、
ことを特徴とする請求項21に記載の無線通信方法。 - 複数のチャネルが用意されている無線通信環境下で自律分散的に無線通信を行なうための処理をコンピュータ・システム上で実行するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムであって、
自局の送信信号の送信チャネルを設定する通信チャネル設定ステップと、
前記通信チャネル設定ステップにより設定されたチャネル上で通信動作を制御する制御ステップと、
を備え、
前記通信チャネル設定ステップでは、周辺局におけるチャネル干渉情報に基づいて前記複数のチャネルの中からチャネルを選択する、
ことを特徴とするコンピュータ・プログラム。
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