JP2005079164A - n型熱電変換材料 - Google Patents

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信彦 池田
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Abstract

【課題】 毒物等による環境負荷が小さく、かつ安価な酸化物原料から作製され、非常に高い出力因子を有するn型熱電変換材料を提供する。
【解決手段】 チタンとストロンチウムを主成分とし、そのストロンチウムの9mol%から15mol%がセリウムまたはプラセオジウムで置換されており、ゼーベック係数が−70μV/Kから−100μV/Kの範囲内の値を示す酸化物で、特に、Aをストロンチウムおよびセリウム、またはストロンチウムおよびプラセオジウム、Bをチタンとするとき、一般式ABO3 、A3 2 7 、またはA2 BO4 で示されるペロブスカイト構造またはペロプスカイト構造に関連した結晶構造を有する酸化物が最適である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電気を熱エネルギーに直接変換、あるいは熱を電気に直接変換できる熱電変換素子に使用する酸化物熱電変換材料、特にn型熱電変換材料に関するものである。
近年、環境負荷の低減が世界的に励行される傾向にあり、エネルギーの合理的な利用技術の一つとして、空調機器あるいは熱機関などから発生する低品位廃熱の一部を回収し、電気へ変換する技術、あるいは蓄熱し適時熱源として利用する技術について研究開発が盛んに行われている。
熱電変換材料は、熱を電気に直接変換する材料であり、p型半導体材料とn型半導体材料を組み合わせ、一つの熱電変換素子が形成される。熱電変換素子を使用すれば、従来利用価値がないとされてきた低品位廃熱を電気に変換できるだけでなく、空調機器などに使用されているヒートポンプに代わる省スペース型の冷温熱源として利用が可能である。
熱電変換材料の性能は、ゼーベック係数α、熱伝導率κ、および電気抵抗率ρから次式で表される性能指数Zで評価される。
Z=α2 /κρ・・・・・・・(1)
ゼーベック係数α、熱伝導率κ、および電気抵抗率ρの単位は、それぞれμV/K、W/mK、およびΩmであるので、性能指数Zの単位は1/Kである。
(1)式から、優れた熱電変換材料は、性能指数Zの大きい材料、すなわちゼーベック係数αが大きく、熱伝導率κおよび電気抵抗率ρが小さい材料である。なお、熱伝導率κが小さい場合は、出力因子P=α2 /ρで熱電変換材料の性能を評価することもできる。 また、熱電変換材料の最大変換効率μmax は、次式で示される。
μmax ={(Th−Tc)/Th}[(M−1)/{M+(Tc/Th)}]・・・ ・・・・(2)
M=[{1+Z(Th+Tc)}/2]0.5 ・・・・・・・(3)
ここで、ThとTcはそれぞれ高温端と低温端の温度であり、性能指数Zおよび高温端と低温端の温度の差(Th−Tc)が大きいほど熱電変換効率は向上する。
これまで研究されてきた熱電変換材料には、Bi2 Te3 系、Fe2 Si系、CoSb3 系、B4 C系などがあり、この中で実用化されているのはBi2 Te3 系のみである。 Bi2 Te3 系熱電変換材料は、特性上低温域で用途開発されているが、熱電変換効率が10%未満と低いため、温冷庫用冷温熱源あるいはレーザーダイオード用冷却素子など設置スペースに制約がある製品あるいは可搬性が要求される製品に適用が限定されている。
一方で、中温域から高温域の範囲で使用可能な熱電変換材料として、酸化物熱電変換材料の開発が進められている。
1997年には、寺崎らにより一般式NaCo2 4 で表されるp型熱電変換材料が発明され、低温域から高温域までを網羅できる高効率熱電変換の可能性が見出されるようになった(特許文献1参照)。
NaCo2 4 の性能指数は、低温域でBi2 Te3 系より劣るが、低温域から高温域まで一様に上昇し、800K程度付近では無次元性能指数が1を超える非常に優れた材料である。この熱電特性から勘案すると、室温付近の性能指数の改善がなされれば、低温域から高温域に至る様々な温度の廃熱を高効率で電気に変換できる可能性がある。
一般的なNaCo2 4 多結晶体の室温における出力因子は約33×10-5W/mK2 、また性能指数は約30×10-5-1であり、単結晶ではそれぞれ約10倍の値を示す。
また、酸化物熱電変換材料は、材料を作製する際に特別な環境を必要とせず、Bi2 Te3 系でn型半導体に添加するSeのような毒物を使用しないため、理想的な材料であると考えられる。
ところで、高い熱電変換効率を示す熱電変換素子を作るには、NaCo2 4 と同程度の熱電特性を有するn型熱電変換材料が必要不可欠である。特に、酸化物熱電変換材料は、熱伝導率が比較的低いので、NaCo2 4 と同程度の出力因子を有するn型熱電変換材料が求められている。
しかし、現時点ではNaCo2 4 と同程度の出力因子を有するn型熱電変換材料は見出されていない。
従来のn型熱電変換材料には、一般式(Lp 1-p )(Cox Niq 1-x-q x y および(Lp 1-p )(Cox Niq 1-x-q-r x y 、但し、Lはランタノイド、AはBa、Sr、CaおよびMgから選ばれた一種または2種以上の元素であり、xは0.5≦x≦1.5、yは2≦y≦4、pは0≦p≦1、zは0<z<1、qは0<q<1、rは0<r<1であり、0≦1−z−q−r<1、で示される材料がある(特許文献2参照)。
特許文献2の実施例で示されているLa0.5 Sr0.5 Co0.8 Ni0.1 Cu0.1 3 は、抵抗率が極めて小さく、出力因子として21×10-5W/mK2 が得られているが、実用化するには更なる出力因子の向上が必要である。
また、In2 3 を主体とするn型熱電変換材料として、基本酸化物In2 3 に対してZr、Sn、Ti、Ce、V、Hf、OsおよびIrから選ばれた少なくとも1種の4価の元素をドープしてなるIn2 3 を主体とするn型熱電変換材料がある(特許文献3参照)。
しかし、特許文献3に挙げられるn型熱電変換材料の性能指数は14×10K-1程度であり、その出力因子は19×10-5W/mK2 程度で十分とは言い難い値である。
さらに、特許文献2および特許文献3で示されるn型熱電変換材料は、原料供給が不安定で、かつ比較的高価な酸化コバルト、水酸化コバルト、又は酸化インジウムを使うためn型熱電変換材料が高価になる欠点がある。
安価な原料としてチタン酸化物を使用したn型熱電変換材料には、ストロンチウム酸化物とチタン酸化物、あるいはストロンチウム酸化物、バリウム酸化物とチタン酸化物からなる複合酸化物(特許文献4参照)、また、ストロンチウム酸化物とチタン酸化物を主構成分とする複合酸化物に希土類元素、Nb、Ta、Sb、W、Si、Al、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Znから選ばれる少なくとも1種の特定元素を加えた複合酸化物(特許文献5参照)がある。
特許文献4の実施例で示される材料、例えばSr0.996 Nb0.006 Ti0.998 3 は、性能指数が150×10-5-1を示している。この試料のゼーベック係数は、−203μV/K、電気抵抗率0.9×10-5Ωmであるため、出力因子は458×10-5W/mK2 に達している。
しかし、実施例を参考に種々の製法で複合酸化物を作製したところ、実際に作製した複合酸化物ではゼーベック係数の増加と共に電気抵抗率が急激に増加し、電気抵抗率を小さくする目的で還元処理を進めるとゼーベック係数の低下が著しく、その出力因子の最高値は1×10-5W/mK2 程度であった。さらに、ストロンチウムの一部を置換する元素種によって熱電特性は大きく変化し、詳細な調査、再検討が必要であると考えられた。
特開平09−321346号公報 特開平2003−8086号公報 特開平2001−127350号公報 特開平08−231223号公報 特開平08−236818号公報
従来の酸化物系のn型熱電変換材料は、出力因子が小さく、その主な原因は電気抵抗率が高いことにあり、電気抵抗率を低減することを目的として還元処理あるいは他元素ドープを行うとゼーベック係数が極端に低下するため、結果的に出力因子の向上が難しいという欠点があった。
本発明は、n型熱電変換材料における上記問題を解決するものであって、毒物等による環境負荷が小さく、かつ安価な酸化物原料を使用し、電気抵抗率を低減するための還元処理を行ってもゼーベック係数の低下を殆ど伴わず、非常に高い出力因子を有するn型熱電変換材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、プロブスカイト構造に類するチタンとストロンチウムを主成分とする酸化物が、n型熱電変換材料として有望であることを認識し、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、チタンとストロンチウムを主成分とし、そのストロンチウムの9mol%から15mol%がセリウムまたはプラセオジウムで置換されており、ゼーベック係数が−70μV/Kから−100μV/Kの範囲内の値を示す酸化物が優れたn型熱電変換材料となることを見出した。
特に、チタンとストロンチウムを主成分とする酸化物は、Aをストロンチウムおよびセリウム、またはストロンチウムおよびプラセオジウム、Bをチタンとするとき、一般式、ABO3 、A3 2 7 、またはA2 BO4 で示されるペロプスカイト構造またはペロブスカイト構造に関連した結晶構造を有する酸化物であることが望ましく、その金属原子濃度に対する酸素原子濃度比が、
ABO3 の場合:1.45≦O/(A+B)≦1.54、
3 2 7 の場合:1.36≦O/(A+B)≦1.45、
2 BO4 の場合:1.30≦O/(A+B)≦1.39、
に制御された酸化物が高い出力因子を示す。
本発明のn型熱電変換材料は、毒物等による環境負荷が小さく、かつ安価な酸化物原料で作製され、非常に高い出力因子を発現するため、高い熱電変換性能を有するp型熱電変換材料と組み合わせて、安価で環境負荷の小さい酸化物熱電変換素子を提供することが可能となる。
チタンとストロンチウムを主成分とする酸化物の導電機構は、Ti−O結合で形成されるネットワーク上を電子が伝導することによって行われる。従って、チタンを他の元素で置換するとイオン半径の違い、イオンの価数の違いから電子がトラップされる原因となり電気抵抗率の増加を引き起こすため、ストロンチウムの一部をセリウムまたはプラセオジウムで置換する。
ストロンチウムの一部をセリウムまたはプラセオジウムで置換すると抵抗率が低下する理由は、セリウムまたはプラセオジウムが他の希土類元素と異なり+3と+4の高いイオンの価数を有し、4f電子が酸化物結晶中で有効な伝導電子供給源として働くためと考えられる。
+3と+4の価数を有する希土類元素にはテルビウムもあるが、イオンの半径がストロンチウムより約16%以上小さく、結晶格子に大きな歪みが発生するため電気抵抗率の増加を引き起し、出力因子は低下する。
チタンとストロンチウムを主成分とする酸化物には、SrTi2138、SrTiO3 、Sr3 Ti2 7 、Sr4 Ti3 10、SrTi1219、Sr2 TiO4 などが知られており、これら酸化物におけるストロンチウムの9mol%から15mol%をセリウムまたはプラセオジウムで置換した酸化物の中から熱電特性に優れる酸化物を任意に選択すれば良いが、既知のチタンとストロンチウムを主成分とする酸化物に適用範囲を限定するものではない。
ストロンチウムをセリウムまたはプラセオジウムで置換する量が9mol%より小さい場合は、セリウムまたはプラセオジウムから供給される伝導電子が不足しているため、電気抵抗率は十分低下せず、大きな出力因子は得られない。
また15mol%より大きい場合は、セリウムまたはプラセオジウムの固溶限を超えるため、第2相として酸化セリウムまたは酸化プラセオジウムが混入するため電気抵抗率は増加する。
セリウムは、プラセオジウムよりもそのイオン半径がストロンチウムに近いため元素置換されたときに結晶格子の歪みが小さく、さらにペロブスカイト構造の中でストロンチウムと同様に配位を取ることができることから、セリウムで置換した場合がより安定な結晶構造を構築でき、優れた出力因子を発現する。
また、チタンとストロンチウムを主成分とし、ストロンチウムの9mol%から15mol%をセリウムまたはプラセオジウムで置換した酸化物は、ゼーベック係数が−70μV/Kから−100μV/Kの範囲内を示す酸化物でなければならない。
ゼーベック係数が−70μV/Kより負に小さい場合は、p型熱電変換材料であるNaCo2 4 と同等の出力因子あるいは性能指数を得るために電気抵抗率を1.5×10-5Ωm以下にする必要があり、電気抵抗率を低下するための処方に限界があると考えられる。また、−100μV/Kより負に大きい場合には、第2相の混在等が考えられ、そのような状態ではゼーベック係数が負に増加しても電気抵抗率の増加も著しく、出力因子および性能指数は低下する。
チタンとストロンチウムを主成分とし、ストロンチウムの9mol%から15mol%をセリウムまたはプラセオジウムで置換した酸化物の中では、Aをストロンチウムおよびセリウム、またはストロンチウムおよびプラセオジウム、Bをチタンとするとき、一般式、ABO3 、A3 2 7 、またはA2 BO4 で示されるペロブスカイト構造またはペロブスカイト構造に関連した結晶構造を有する酸化物であることが望ましい。
これら結晶構造の酸化物は、作製が容易な上に大気中で安定なため、経時変化による熱電特性の劣化が起こり難い。さらに、これら結晶構造の酸化物では、一般的に良く知られるような電気抵抗率の低下がゼーベック係数の低下を引き起こすという現象が表れない。
ABO3 は、ペロブスカイト構造と呼ばれ、体心立方格子の中心にA元素が、各格子点にB元素が、そして各格子点間に酸素Oが配置される。A3 2 7 またはA2 BO4 は、ペロブスカイト構造ABO3 と岩塩構造AOが積層した結晶構造を有し、これら結晶内部では電子がB−O結合部分を流れるためB−O結合が相対的に少ないA3 2 7 またはA2 BO4 はABO3 よりも電気抵抗率は大きくなる可能性があるが、逆に岩塩構造でフォノンの散乱が起こるため熱伝導率は低下する傾向がある。従って、電気抵抗率の増加と熱伝導率の低下が相殺され、性能指数としてはABO3 、A3 2 7 またはA2 BO4 のいずれかの結晶構造で良く、最も出力因子の大きな結晶構造を任意に選択する。
ただし、同じ結晶構造でも製造方法、製造条件によってA、BおよびOの組成比が微妙に変化し、それによってゼーベック係数、電気抵抗率および熱伝導率が変化するするため製造方法および製造条件の最適化は必須である。
なお、ABO3 、A3 2 7 またはA2 BO4 は単相とすることが必要で、例えばAOまたはBO2 とABO3 、AOまたはBO2 とA3 2 7 、AOまたはBO2 とA2 BO4 、ABO3 とA3 2 7 、またはA3 2 7 2 BO4 などの組み合わせからなる混合物では、粒界抵抗が原因で電気抵抗率の増加を引き起し、出力因子を低下させるので、X線回折で第2相の存在が確認できない程度にしなければならない。
ABO3 、A3 2 7 、またはA2 BO4 で示されるペロプスカイト構造またはペロプスカイト構造に関連した結晶構造を有する酸化物は、金属原子濃度に対する酸素原子濃度比が、一般式で、 ABO3 の場合:1.45≦O/(A+B)≦1.54、
3 2 7 の場合:1.36≦O/(A+B)≦1.45、
2 BO4 の場合:1.30≦O/(A+B)≦1.39、
に制御されると電気抵抗率が一様に低く、高い出力因子を示す。
ABO3 の場合O/(A+B)<1.45、A3 2 7 の場合O/(A+B)<1.36、A2 BO4 の場合O/(A+B)<1.30では、化学量論組成に対して酸素濃度が小さ過ぎ、格子欠陥の導入による散乱源の増加で電気抵抗率は増加する。
一方、ABO3 の場合O/(A+B)>1.54、A3 2 7 の場合O/(A+B)>1.45、A2 BO4 の場合O/(A+B)>1.39では、化学量論組成に対して酸素濃度が高過ぎ、結晶構造の歪みが大きくなるため電気抵抗率が増加する。
なお、電気抵抗率をより一層低下させるには、結晶粒径を大きくすることで粒界抵抗を減少させる方法がある。例えば単結晶であれば電気抵抗率は最も低下し、出力因子あるいは性能指数を最大にすることができ、本発明のn型熱電変換材料にも適用可能である。
チタンとストロンチウムを主成分とし、ストロンチウムの9mol%から15mol%をセリウムまたはプラセオジウムで置換した酸化物の作製方法は、酸化チタン、水酸化チタン、酸化ストロンチウム、炭酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化プラセオジウムなどの原料粉末を所定の組成に合わせて混合した後、圧縮成形し、大気中もしくは酸素気流中、900〜1200℃に加熱することで仮焼成し、その焼成体を一度粉砕した後、再度圧縮成形し900〜1500℃で本焼成を行う。
得られる焼成体には化学量論組成よりも過剰の酸素が結晶に取り込まれるため、結晶格子が歪むだけでなく、セリウムまたはプラセオジウムによって付与される電子が酸素にトラップされるため電子の伝導が不十分で、電気抵抗率は高いままである。従って電気抵抗率を低下させるため、水素等の還元ガス気流中900〜1500℃で24h加熱することで還元処理を行い、過剰の酸素を除去する。
還元処理に際しては、酸素濃度が過不足とならないように金属原子濃度に対する酸素原子濃度比を制御することが重要である。
金属原子濃度に対する酸素原子濃度比は、還元ガス中で加熱する場合、加熱温度、加熱時間および雰囲気ガス濃度を制御すれば目標の値とすることができる。
他の作製方法としては、予め原料粉末である酸化チタン、水酸化チタン、酸化ストロンチウム、炭酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化プラセオジウムなどを水素等の還元ガス気流中900〜1500℃で加熱処理してから、これら粉末を所定の組成に合わせて混合した後、圧縮成形し、不活性ガス中900〜1200℃で加熱して焼成体を作製する方法、あるいは酸化チタン、水酸化チタン、酸化ストロンチウム、炭酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化プラセオジウムなどを所定の組成に合わせて混合した後、圧縮成形し、水素等の還元ガス気流中900〜1500℃で6〜48h加熱し、還元と同時に焼成体を作製する方法などがある。
一般式Sr1-x Prx TiO3 (xは0.09、0.10、0.15、0.30および0.50で示されるABO3 型酸化物を約10g作製できるように、SrCO3 、Pr6 11およびTiO2 を所定量秤量後、乳鉢にて20分間混合した。混合粉末を98MPaの圧力で直径20mm×厚さ2mmの円盤状に成形し、大気中1200℃で10時間加熱することで仮焼成を行った。仮焼成後、円盤状焼成体を乳鉢で粉砕して、再度、98MPaの圧力で直径20mm×厚さ2mmの円盤状に成形し、大気中1400℃で10時間加熱することで本焼成を行った。
本焼成後の円盤状焼成体を水素気流中で1100℃、5時間加熱する還元処理を2回行い、室温で電気抵抗率、ゼーベック係数を測定した。電気抵抗率は四端針法を用い、ゼーベック係数は起電力の温度変化の傾きから求めた。また、金属原子濃度に対する酸素原子濃度比は、金属原子濃度を化学分析から求め、試料全質量から金属成分質量を差し引いた質量を酸素質量とし、算出した。
表1に金属原子濃度に対する酸素原子濃度比(O/(A+B))、電気抵抗率(×10-5Ωm)、ゼーベック係数(μV/K)および出力因子(×10-5W/mK2 )を示す。
Figure 2005079164
一般式Sr0.9 RE0.1 TiO3 (REはPrまたはCe)で示されるABO3 型酸化物を約10g作製できるように、SrCO3 、希土類酸化物(Pr6 11またはCeO2 )およびTiO2 を所定量秤量後、乳鉢にて20分間混合した。混合粉末を98MPaの圧力で直径20mm×厚さ2mmの円盤状に成形し、大気中1200℃で10時間加熱することで仮焼成を行った。仮焼成後、円盤状焼成体を乳鉢で粉砕して、再度、98MPaの圧力で直径20mm×厚さ2mmの円盤状に成形し、大気中1400℃で10時間加熱することで本焼成を行った。
本焼成後の円盤状焼成体を水素気流中で1100℃、5時間加熱する還元処理を2回行い、室温で電気抵抗率、ゼーベック係数を測定した。電気抵抗率は四端針法を用い、ゼーベック係数は起電力の温度変化の傾きから求めた。また、金属原子濃度に対する酸素原子濃度比は、金属原子濃度を化学分析から求め、試料全質量から金属成分質量を差し引いた質量を酸素質量とし、算出した。
表2にSr0.9 Pr0.1 TiO3 の金属原子濃度に対する酸素原子濃度比(O/(A+B))、電気抵抗率(×10-5Ωm)、ゼーベック係数(μV/K)および出力因子(×10-5W/mK2 )を示す。
また、表3にSr0.9 Ce0.1 TiO3 の金属原子濃度に対する酸素原子濃度比(O/(A+B))、電気抵抗率(×10-5Ωm)、ゼーベック係数(μV/K)および出力因子(×10-5W/mK2 )を示す。
Figure 2005079164
Figure 2005079164
一般式Sr2.7 RE0.3 Ti2 O7 (REはPrまたはCe)で示されるA3 B2 O7 型酸化物を約10g作製できるように、SrCO3 、希土類酸化物(Pr6 O11またはCeO2 )およびTiO2 を所定量秤量後、乳鉢にて20分間混合した以外は、実施例2と同様に処理した。
表4にSr2.7 Pr0.3 Ti2 O7 の金属原子濃度に対する酸素原子濃度比(O/(A+B))、電気抵抗率(×10-5Ωm)、ゼーベック係数(μV/K)および出力因子(×10-5W/mK2 )を示す。
また、表5にSr2.7 Ce0.3 Ti2 O7 の金属原子濃度に対する酸素原子濃度比(O/(A+B))、電気抵抗率(×10-5Ωm)、ゼーベック係数(μV/K)および出力因子(×10-5W/mK2 )を示す。
Figure 2005079164
Figure 2005079164
一般式Sr1.8 RE0.2 TiO4 (REはPrまたはCe)で示されるA2 BO4 型酸化物を約10g作製できるように、SrCO3 、希土類酸化物(Pr6 11またはCeO2 )およびTiO2 を所定量秤量後、乳鉢にて20分間混合した以外は、実施例2と同様に処理した。
表6にSr1.8 Pr0.2 TiO4 の金属原子濃度に対する酸素原子濃度比(O/(A+B))、電気抵抗率(×10-5Ωm)、ゼーベック係数(μV/K)および出力因子(×10-5W/mK2 )を示す。
また、表7にSr1.8 Ce0.2 TiO4 の金属原子濃度に対する酸素原子濃度比(O/(A+B))、電気抵抗率(×10-5Ωm)、ゼーベック係数(μV/K)および出力因子(×10-5W/mK2 )を示す。
Figure 2005079164
Figure 2005079164

Claims (3)

  1. チタンとストロンチウムとを主成分とし、
    そのストロンチウムの9mol%から15mol%がセリウムまたはプラセオジウムで置換されており、
    ゼーベック係数が−70μV/Kから−100μV/Kの範囲内の値を示す酸化物であることを特徴とするn型熱電変換材料。
  2. Aをストロンチウムおよびセリウム、またはストロンチウムおよびプラセオジウム、Bをチタンとするとき、
    一般式ABO3 、A3 2 7 、またはA2 BO4 で示されるペロブスカイト構造またはペロプスカイト構造に関連した結晶構造を有する酸化物であることを特徴とする請求項1記載のn型熱電変換材料。
  3. 金属原子濃度に対する酸素原子濃度比が、
    ABO3 の場合:1.45≦O/(A+B)≦1.54、
    3 2 7 の場合:1.36≦O/(A+B)≦1.45、
    2 BO4 の場合:1.30≦O/(A+B)≦1.39、
    に制御された酸化物であることを特徴とする請求項2記載のn型熱電変換材料。
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