しかし、ダイクロイックプリズムを用いて光を分離すると、光はほぼ直角に分離されることになる。また、一般に、波長ごとに分離されたあとの光は、さらに偏光ビームスプリッタで直角に光路が分けられる。
これらの光学素子は、光が干渉しないように配置する必要がある。また、光信号を正しく検出できるように、レーザ光源や受光素子は、位置調整可能に取り付ける必要があり、調整し易さを考えると、光ピックアップの外壁に取り付けることが望ましい。
ところが、複数の光学素子でそれぞれ直角に光路を分け、かつ干渉させないようにするのは難しい。さらに、レーザ光源や受光素子を光ピックアップの外壁に取り付けるように構成すると、光ピックアップが大型化し、結果として、光ディスクドライブ装置も大型化してしまうという問題がある。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、3つの波長の光に対応でき、しかも小型化が図れる光ピックアップおよび光ディスクドライブ装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成する請求項1に係る発明は、記録媒体に集光するための1個の対物レンズと、レンズアクチュエータを備えて記録媒体のトラックを横切る方向に移動可能に支持されたキャリッジと、上記対物レンズを経て記録媒体に照射する波長の異なる3つの光を発光する3個の発光素子とを有する光ピックアップにおいて、
上記波長の異なる3つの光を波長の短い方から第1の光、第2の光、第3の光として、上記第1の光と上記第2の光および上記第3の光とを波長の違いによる屈折率の違いを利用して合致および/または分離する屈折光学手段と、
上記第2の光と上記第3の光とを合致および/または分離するダイクロイックプリズムとを有することを特徴とするものである。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の光ピックアップにおいて、上記屈折光学手段はビーム整形プリズムを含むことを特徴とするものである。
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の光ピックアップにおいて、上記第1の光は波長400nm付近であり、上記第2の光は波長660nm付近であり、上記第3の光は波長780nm付近であることを特徴とするものである。
請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光ピックアップにおいて、上記ダイクロイックプリズムと上記屈折光学手段との間の光路中に、反射前後の光路のなす角が45度以下で光路を反射させる反射素子を有することを特徴とするものである。
請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光ピックアップにおいて、上記記録媒体はディスク状であり、上記屈折光学手段によって曲げられる光路の180度より小さい角が、上記記録媒体の中心側に位置するように構成したことを特徴とするものである。
請求項6に係る発明は、請求項5に記載の光ピックアップにおいて、上記3個の発光素子と上記屈折光学手段との間の光路が、上記キャリッジの移動方向に関して上記対物レンズよりも上記記録媒体の中心側に位置するように構成したことを特徴とするものである。
請求項7に係る発明は、請求項6に記載の光ピックアップにおいて、上記3個の発光素子と上記屈折光学手段との間の光路が、上記レンズアクチュエータよりも上記記録媒体の中心側に位置するように構成したことを特徴とするものである。
請求項8に係る発明は、請求項7に記載の光ピックアップにおいて、上記3個の発光素子と上記屈折光学手段との間の光路が、上記記録媒体の垂直方向から見て、上記レンズアクチュエータを1/2周以上取り囲むように構成したことを特徴とするものである。
請求項9に係る発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の光ピックアップにおいて、上記第1の光が、上記ダイクロイックプリズムを透過するように構成したことを特徴とするものである。
請求項10に係る発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の光ピックアップにおいて、上記ダイクロイックプリズムの上記第2の光および上記第3の光が透過しない面で、上記第1の光を反射させるように構成したことを特徴とするものである。
請求項11に係る発明は、請求項10に記載の光ピックアップにおいて、上記ダイクロイックプリズムは複数のプリズムを接合してなり、その第1の面を上記第2の光および上記第3の光の一方を反射させるダイクロイック面とし、第2の面を上記第2の光および上記第3の光の他方を反射させて上記ダイクロイック面を透過させる第1の反射面とし、第3の面を上記第1の光を反射させる第2の反射面としたことを特徴とするものである。
請求項12に係る発明は、請求項11に記載の光ピックアップにおいて、上記ダイクロイックプリズムは、第1のプリズム、第2プリズムおよび第3のプリズムを接合してなり、上記第1プリズムと上記第2のプリズムとの接合面を上記ダイクロイック面とし、上記第2のプリズムと上記第3のプリズムとの接合面を上記第1の反射面とし、上記第3のプリズムの外側面を上記第2の反射面としたことを特徴とするものである。
さらに、請求項13に係る発明は、記録媒体に集光するための1個の対物レンズと、レンズアクチュエータを備えて記録媒体のトラックを横切る方向に移動可能に支持されたキャリッジと、上記対物レンズを経て記録媒体に照射する波長の異なる3つの光を発光する3個の発光素子とを有する光ピックアップにおいて、
上記波長の異なる3つの光を波長の短い方から第1の光、第2の光、第3の光として、上記第1の光と上記第2の光および上記第3の光とを波長の違いによる回折の違いを利用して合致および/または分離する回折光学素子と、
上記第2の光と上記第3の光とを合致および/または分離するダイクロイックプリズムとを有することを特徴とするものである。
請求項14に係る発明は、請求項13に記載の光ピックアップにおいて、上記第1の光は波長400nm付近であり、上記第2の光は波長660nm付近であり、上記第3の光は波長780nm付近であることを特徴とするものである。
請求項15に係る発明は、請求項13または14に記載の光ピックアップにおいて、上記3個の発光素子と上記回折光学素子との間の光路中に、反射前後の光路のなす角が45度以下で光路を反射させる反射素子を有することを特徴とするものである。
請求項16に係る発明は、請求項13〜15のいずれか一項に記載の光ピックアップにおいて、上記記録媒体はディスク状であり、上記回折光学素子によって曲げられる光路の180度より小さい角が、上記記録媒体の中心側に位置するように構成したことを特徴とするものである。
請求項17に係る発明は、請求項16に記載の光ピックアップにおいて、上記3個の発光素子と上記回折光学素子との間の光路が、上記キャリッジの移動方向に関して上記対物レンズよりも上記記録媒体の中心側に位置するように構成したことを特徴とするものである。
請求項18に係る発明は、請求項17に記載の光ピックアップにおいて、上記3個の発光素子と上記回折光学素子との間の光路が、上記レンズアクチュエータよりも上記記録媒体の中心側に位置するように構成したことを特徴とするものである。
請求項19に係る発明は、請求項18に記載の光ピックアップにおいて、上記3個の発光素子と上記回折光学素子との間の光路が、上記記録媒体の垂直方向から見て、上記レンズアクチュエータを1/2周以上取り囲むように構成したことを特徴とするものである。
請求項20に係る発明は、請求項13〜19のいずれか一項に記載の光ピックアップにおいて、上記第1の光が、上記ダイクロイックプリズムを透過するように構成したことを特徴とするものである。
請求項21に係る発明は、請求項13〜19のいずれか一項に記載の光ピックアップにおいて、上記ダイクロイックプリズムの上記第2の光および上記第3の光が透過しない面で、上記第1の光を反射させるように構成したことを特徴とするものである。
請求項22に係る発明は、請求項21に記載の光ピックアップにおいて、上記ダイクロイックプリズムは複数のプリズムを接合してなり、その第1の面を上記第2の光および上記第3の光の一方を反射させるダイクロイック面とし、第2の面を上記第2の光および上記第3の光の他方を反射させて上記ダイクロイック面を透過させる第1の反射面とし、第3の面を上記第1の光を反射させる第2の反射面としたことを特徴とするものである。
請求項23に係る発明は、請求項22に記載の光ピックアップにおいて、上記ダイクロイックプリズムは、第1のプリズム、第2プリズムおよび第3のプリズムを接合してなり、上記第1プリズムと上記第2のプリズムとの接合面を上記ダイクロイック面とし、上記第2のプリズムと上記第3のプリズムとの接合面を上記第1の反射面とし、上記第3のプリズムの外側面を上記第2の反射面としたことを特徴とするものである。
請求項24に係る発明は、請求項1〜23のいずれか一項に記載の光ピックアップにおいて、上記第1の光を発光する発光素子と上記第1の光を整形あるいは分離する光学素子とを含む光学系を、上記キャリッジと異なるハウジングに取り付けて、該ハウジングを上記キャリッジに取り付けたことを特徴とするものである。
請求項25に係る発明は、請求項1〜24のいずれか一項に記載の光ピックアップにおいて、上記波長の異なる3つの光の光路の内、少なくとも2つの光の光路を、それらを反射させる同一の反射素子による反射前後以外の部分で交差させるように構成したことを特徴とするものである。
さらに、請求項26に係る発明は、波長の異なる3つの光ディスクに対応する光ディスクドライブ装置において、請求項1〜24のいずれか一項に記載の光ピックアップを搭載したことを特徴とするものである。
請求項1の発明によると、一番波長の短い第1の光と、それよりも波長の長い第2の光および第3の光との合致/分離を波長の違いによる屈折率の違いを利用した屈折光学手段で行い、第2の光と第3の光との合致/分離をダイクロイックプリズムで行うようにしたので、3つの波長の光に対応する光ピックアップを小型化することができる。
請求項2の発明によると、屈折光学手段がビーム整形プリズムを含んでなるので、部品点数を少なくでき、安価にできる。
請求項3の発明によると、望ましい3つの波長に対応する光ピックアップを実現することができる。
請求項4〜12の各発明によると、光ピックアップのより小型化が可能となる。
請求項13の発明によると、一番波長の短い第1の光と、それよりも波長の長い第2の光および第3の光との合致/分離を波長の違いによる回折の違いを利用した回折光学素子で行い、第2の光と第3の光との合致/分離をダイクロイックプリズムで行うようにしたので、3つの波長の光に対応する光ピックアップを小型化することができる。
請求項14の発明によると、望ましい3つの波長に対応する光ピックアップを実現することができる。
請求項15〜23の各発明によると、光ピックアップのより小型化が可能となる。
請求項24の発明によると、第1の光に関する光学系をキャリッジと異なるハウジングに取り付け、これをキャリッジに取り付けるので、小型化と同時に、組み立て性を向上できると共に、部品の製作も容易になり、歩留まりも向上することができる。
請求項25の発明によると、少なくとも2つの光の光路を同一の反射素子による反射前後以外の部分で交差させるので、光ピックアップのより小型化が可能となる。
請求項26の発明によると、光ディスクドライブ装置を小型化することができる。
以下、本発明実施の形態について図面を参照して説明する。なお、各図において、説明に不要な部品等は省略していると共に、ハッチングについても図が煩雑なるため一部省略している。
(第1実施の形態)
図1〜図4は本発明による光ピックアップの第1実施の形態を示すもので、図1は要部断面図、図2は上面図、図3は図1のA−A線断面図、図4は光学系説明図である。
図1において、対物レンズ1はホルダ2に装着され、このホルダ2にフォーカスコイル3、トラッキングコイル4a、4bが接着されている。また、ホルダ2には、ベリリウム銅製の4本のワイヤバネ5a〜5d(5cは図3に図示、5dは図示せず)の一端が装着され、これらワイヤバネ5a〜5dにフォーカスコイル3、トラッキングコイル4a、4bの端末が接続されている。ワイヤバネ5a〜5dの他端はバネウケ6に接着され、これによりホルダ2はワイヤバネ5a〜5dを介して図示しないディスク状の記録媒体の垂直方向(Z方向)およびトラックを横切る半径方向(X方向)に移動可能に支持されている。ワイヤバネ5a〜5dは、図示しないフレキシブル基板を介して、さらに外部の電気回路に接続される。バネウケ6は、鉄製のベース7に固定されている。ベース7の曲げ立ち上げ部9a、9bには、磁界を発生させる磁石8a、8bも固定されている。以上のベース7上に組み立てられた対物レンズ1を駆動するための機構をレンズアクチュエータ10と呼ぶ。
レンズアクチュエータ10は、キャリッジ21に固定されている。キャリッジ21は、軸受部22a、22b、22cを介して軸23a、23bに支持されている。これにより、キャリッジ21は、図示しない記録媒体の半径方向(X方向)に移動可能に支持されていることになる。キャリッジ21は、図示しない記録媒体の最内周に移動したときに、記録媒体を回転させるモータ24(2点鎖線で外形を示す)に干渉しないように、X(−)端に円弧状形状25を有している。
キャリッジ21には、波長405nmのレーザ光を発光するレーザダイオード31が、イタ32を介して取り付けられている。イタ32を介するのは、イタ32の平面内(光軸に垂直な平面内)でレーザダイオード31を位置調整可能とするためである。イタ32は、ネジ33a,33bによってキャリッジ21に固定される。
レーザダイオード31から対物レンズ1までの光路には、図4に明瞭に示すように、ビーム整形レンズ34、回折格子36、偏光ビームスプリッタ38、1/4波長板39、コリメータレンズ40、3個のプリズム71,72,73からなるダイクロイックプリズム70、反射ミラー15、屈折光学手段であるプリズム11、収差補正素子12および反射ミラー14がこの順序で配置されている。なお、図4では、理解を容易にするため、対物レンズ1および反射ミラー14を90度回転して示している。
図1に示すように、ビーム整形レンズ34は鏡筒35を介してキャリッジ21に固定され、回折格子36はホルダ37を介してキャリッジ21に固定され、偏光ビームスプリッタ38、ダイクロイックプリズム70、反射ミラー15、プリズム11および反射ミラー14は、それぞれキャリッジ21に直接固定され、1/4波長板39は偏光ビームスプリッタ38に接合され、コリメータレンズ40は鏡筒41を介してキャリッジ21に固定され、収差補正素子12はホルダ13を介してキャリッジ21に固定されている。
レーザダイオード31から出射される波長405nmのレーザ光は、ビーム整形レンズ34および回折格子36を経て偏光ビームスプリッタ38に入射し、その透過光が、1/4波長板39およびコリメータレンズ40を経てダイクロイックプリズム70に入射し、そのプリズム73の外面76で全反射されて、図4に示すように光路79から光路19に向きが変えられ、さらに反射ミラー15で反射されることにより、光路16に向きが変えられ、さらにプリズム11を屈折透過することにより、光路20に向きが変えられて、収差補正素子12および反射ミラー14を経て対物レンズ1により図示しない記録媒体に照射されるようになっている。また、偏光ビームスプリッタ38では、一部の光が反射され、その反射光の光路には、キャリッジ21に固定されたフォトディテクタ43が配置されている。
なお、反射ミラー15は、キャリッジ21の移動方向であるX方向に関して、図示しない記録媒体の中心26側、すなわちX(−)方向の位置で、光路16と光路19とのなす角84が45度よりも小さくなるように配置されている。また、プリズム11は、光路16と光路20とのなす角の内、180度より小さい角86側が記録媒体の中心26側となるように配置されている。
また、記録媒体で反射される波長405nmのレーザ光の戻り光は、往路とは逆の経路を辿って偏光ビームスプリッタ38で反射される。この偏光ビームスプリッタ38で反射される戻り光の光路には、集光レンズ44が鏡筒45を介してキャリッジ21に固定されていると共に、フォトディテクタ46がイタ47を介してキャリッジ21に固定されている。なお、フォトディテクタ46は、イタ47の平面内(光軸に垂直な平面内)で位置調整可能となっており、調整後に、イタ47がキャリッジ21に接着固定される。
ここで、ビーム整形レンズ34を保持する鏡筒35は、外形円筒状に形成されて、キャリッジ21に形成された円筒状穴部に光軸方向にスライド可能に装填され、これによりビーム整形レンズ34は光軸方向に位置調整可能となっている。また、回折格子36を保持するホルダ37も、外形円筒状に形成されて、キャリッジ21に形成された円筒状穴部に光軸を中心に回転可能に装填され、これにより回折格子36は光軸に対して回転調整可能となっている。
また、コリメータレンズ40を保持する鏡筒41および集光レンズ44を保持する鏡筒45は、図2に示すように、キャリッジ21にネジ49で固定されたイタ48によって、キャリッジ21の異なる壁面に光軸方向にスライド可能に押し付けられるような形で固定され、これによりコリメータレンズ40および集光レンズ44は光軸方向に位置調整可能となっている。これらの調整機能により、フォトディテクタ46において所定の信号が得られるように、各光学素子の位置調整がなされる。
さらに、キャリッジ21には、波長660nmのレーザ光を発光するレーザダイオード51が、イタ52を介して取り付けられている。イタ52は、イタ32と同様に、レーザダイオード51の位置調整をするためのもので、ネジ53a,53bによってキャリッジ21に固定される。
レーザダイオード51から対物レンズ1までの光路には、図4に明瞭に示すように、ビーム整形レンズ54、回折格子56、偏光ビームスプリッタ58、1/4波長板59、コリメータレンズ60、反射ミラー62、ダイクロイックプリズム70、反射ミラー15、プリズム11、収差補正素子12および反射ミラー14がこの順序で配置されており、プリズム11から対物レンズ1に至る光路は、レーザダイオード31の光路と共通となっている。
図1に示すように、ビーム整形レンズ54は鏡筒55を介してキャリッジ21に固定され、回折格子56はホルダ57を介してキャリッジ21に固定され、偏光ビームスプリッタ58および反射ミラー62は、それぞれキャリッジ21に直接固定され、1/4波長板59は偏光ビームスプリッタ58に接合され、コリメータレンズ60は鏡筒61を介してキャリッジ21に固定されている。なお、鏡筒61には、絞り61aが形成されている。
レーザダイオード51から出射されるレーザ光は、ビーム整形レンズ54、回折格子56、偏光ビームスプリッタ58、1/4波長板59、コリメータレンズ60、反射ミラー62を経て、ダイクロイックプリズム70のプリズム71とプリズム72との接合面74に入射する。ここで、接合面74は、波長660nmの光を反射するようなコーティングが施されたダイクロイック面とされており、この接合面74でレーザ光は反射されて光路77から光路18に向きを変えられる。ダイクロイックミラー70で反射されたレーザダイオード51からのレーザ光は、反射ミラー15で反射されて光路18から光路17に向けられ、さらにプリズム11を屈折透過することにより、光路20に向きが変えられて、波長405nmのレーザ光の場合と同様に、収差補正素子12および反射ミラー14を経て対物レンズ1により図示しない記録媒体に照射されるようになっている。また、偏光ビームスプリッタ58で反射される反射光の光路には、キャリッジ21に固定されてフォトディテクタ63が配置されている。
なお、光路16および光路17が、プリズム11を通った後、共通の光路20になるのは、レーザダイオード31からのレーザ光の波長405nmと、レーザダイオード51からのレーザ光の波長660nmとが異なり、その波長の違いによってプリズム11の屈折角が異なるためであり、この波長による屈折角の違いを利用して、プリズム11を通った後の光路20が一致するように、各光学部品が配置されている。また、プリズム11は、光路17と光路20とのなす角の内、180度より小さい角87側が記録媒体の中心26側となるように配置されている。これは、波長405nmに関する光路16と光路20とのなす角86を記録媒体の中心26側とすれば、波長66nmに関する光路17と光路20とのなす角87は、必然的に記録媒体の中心26側に位置することになる。また、反射ミラー15で反射される光路17と光路18とのなす角85も、45度よりも小さくなっている。
また、レーザダイオード51から出射されたレーザ光の記録媒体からの戻り光は、往路とは逆の経路を辿って偏光ビームスプリッタ58で反射される。この偏光ビームスプリッタ58で反射される戻り光の光路には、集光レンズ64が鏡筒65を介してキャリッジ21に固定されていると共に、フォトディテクタ66がイタ67を介してキャリッジ21に固定されている。なお、イタ67は、イタ47と同様に、フォトディテクタ66の調整用のもので、調整後はキャリッジ21に接着固定される。
ここで、ビーム整形レンズ54を保持する鏡筒55は、外形円筒状に形成されて、キャリッジ21に形成された円筒状穴部に光軸方向にスライド可能に装填され、これによりビーム整形レンズ54は光軸方向に位置調整可能となっている。また、回折格子56を保持するホルダ57も、外形円筒状に形成されて、キャリッジ21に形成された円筒状穴部に光軸を中心に回転可能に装填され、これにより回折格子56は光軸に対して回転調整可能となっている。
また、コリメータレンズ60を保持する鏡筒61および集光レンズ64を保持する鏡筒65は、図2に示すように、キャリッジ21にネジ69で固定されたイタ68によって、キャリッジ21の異なる壁面に光軸方向にスライド可能に押し付けられるような形で固定され、これによりコリメータレンズ60および集光レンズ64は光軸方向に位置調整可能となっている。これらの調整機能により、フォトディテクタ66において所定の信号が得られるように、各光学素子の位置調整がなされる。
さらに、キャリッジ21には、波長780nmのレーザ光を発光する集積光学素子81も、イタ82を介して取り付けられている。イタ82は、イタ32と同様に、集積光学素子81の位置調整をするためのもので、ネジ83a,83bによってキャリッジ21に固定される。
集積光学素子81は、レーザダイオードおよびフォトディテクタ、光束分離のためのホログラム素子などの光学素子を1つのパッケージに収容したもので、偏光ビームスプリッタなどの光学素子を外部に必要とせずに、記録再生が可能なものである。
集積光学素子81から出射した光は、鏡筒89を介して固定されたコリメータレンズ80を通って、ダイクロイックプリズム70に向かう。ダイタロイックプリズム70のプリズム72とプリズム73との接合面75は反射面(第1の反射面)とされており、ここで光路78から光路18に向きが変わって、ダイクロイック面74に入射する。ダイクロイック面74は、波長660nmの光のみを反射するため、波長780nmの光はダイクロイック面74を透過して光路18を進み、さらに反射ミラー15で光路17に向きを変えられた後、プリズム11で屈折されて光路20を進む。
このように、集積光学素子81から出射した光は、最終的に光路20を進むように、集積光学素子81は位置決めして配置されている。なお、プリズム11は、波長660nmの光と波長780nmの光とで屈折率が異なるため、光路20に至るまでの両者の波長の光路は厳密には一致しないが、図4では図面を簡略化するために、光路18および光路17として一致して示している。
ここで、コリメータレンズ80を保持する鏡筒89は、外形円筒状に形成されて、キャリッジ21に形成された円筒状穴部に光軸方向にスライド可能に装填され、これによりコリメータレンズ80を光軸方向に位置調整可能として、集積光学素子81から出射した光を平行光とするようにしている。なお、図1および図2では、光路16〜19における光束の幅を2点鎖線で示している。
次に、以上のように構成された本実施の形態の動作について説明する。
波長405nmのレーザ光に対応した記録媒体が装置にセットされた場合は、レーザダイオード31を発光させる。レーザダイオード31より発せられたレーザ光は、ビーム整形レンズ34でビーム整形が行われ、さらに、回折格子36に入射して、トラッキング信号検出をディファレンスプッシュプル方式で行うために、0次光と±1次光とに分けられる。次に、偏光ビームスプリッタ38をP偏光で透過して、1/4波長板39を経由してコリメータレンズ40により平行光にされる。平行光となった光は、ダイクロイックプリズム70の外側面の反射面76(第2の反射面)で反射され、さらに反射ミラー15で反射されてプリズム11に入射し、ここで波長405nmの屈折率で屈折され、その際にもビーム整形される。その後、球面収差補正板12で球面収差補正が行われ、反射ミラー14で光路をZ方向に向けられて、対物レンズ1により記録媒体上にスポット状に照射される。
また、偏光ビームスプリッタ38に入射した光の一部は反射されて、フォトディテクタ43で受光され、その出力に基づいてレーザダイオード31の発光量の調整が行われる。
一方、記録媒体で反射される戻り光は、再び対物レンズ1を通り、往路とは逆の経路を辿ってプリズム11に到達し、ここで往路と同じように屈折され、さらに往路とは逆の経路を辿って偏光ビームスプリッタ38に到達する。ここで、戻り光は、往路および復路で1/4波長板39を透過するので、その偏光方向が往路と直交し、偏光ビームスプリッタ38で反射される。この偏光ビームスプリッタ38で反射された戻り光は、集光レンズ44を経てフォトディテクタ46で受光され、その出力に基づいてフォーカスエラー、トラッキングエラーおよび記録信号の検出が行われる。
フォーカスエラーが検出された場合は、フォーカスコイル3に電流を流すことによって、ホルダ2を記録媒体に垂直な方向に駆動する。トラッキングエラーが検出された場合は、トラッキングコイル4a、4bに電流を流すことによって、ホルダ2を記録媒体の半径方向に駆動する。異なるトラックにアクセスする場合は、図示していない駆動手段によって、キャリッジ21ごとホルダ2を記録媒体の半径方向に駆動する。以上のようにして、ホルダ2およびそれに固定された対物レンズ1はフォーカス制御、トラッキング制御、アクセス制御される。
波長660nmのレーザ光に対応した記録媒体が装置にセットされた場合は、レーザダイオード51を発光させる。レーザダイオード51より発せられたレーザ光は、ビーム整形レンズ54でビーム整形が行われ、さらに、回折格子56に入射して、トラッキング信号検出をディファレンスプッシュプル方式で行うために、0次光と±1次光とに分けられる。次に、偏光ビームスプリッタ58をP偏光で透過して、1/4波長板59を経由してコリメータレンズ60により平行光にされる。平行光となった光は、反射ミラー62で反射された後、ダイクロイックプリズム70の波長660nmのレーザ光のみを反射させるダイクロイック面74で反射され、さらに反射ミラー15で反射されてプリズム11に入射し、ここで波長660nmの屈折率で屈折され、その際にもビーム整形される。その後、球面収差補正板12で球面収差補正が行われ、反射ミラー14で光路をZ方向に向けられて、対物レンズ1により記録媒体上にスポット状に照射される。
また、偏光ビームスプリッタ58に入射した光の一部は反射されて、フォトディテクタ63で受光され、その出力に基づいてレーザダイオード51の発光量の調整が行われる。
一方、記録媒体で反射される戻り光は、再び対物レンズ1を通り、往路とは逆の経路を辿ってプリズム11に到達し、ここで往路と同じように屈折され、さらに往路とは逆の経路を辿ってダイクロイックプリズム70のダイクロイック面74で反射されて偏光ビームスプリッタ58に到達する。ここで、戻り光は、往路および復路で1/4波長板59を透過するので、その偏光方向が往路と直交し、偏光ビームスプリッタ58で反射される。この偏光ビームスプリッタ58で反射された戻り光は、集光レンズ64を経てフォトディテクタ66で受光され、その出力に基づいてフォーカスエラー、トラッキングエラーおよび記録信号の検出が行われる。なお、フォーカスエラー、トラッキングエラーが検出された場合の動作などは、上述した波長405nmの場合のときと同じである。
波長780nmのレーザ光に対応した記録媒体が装置にセットされた場合は、集積光学素子81を発光させる。集積光学素子81より発せられたレーザ光は、コリメータレンズ80により平行光にされてダイクロイックプリズム70に入射し、その反射面75で反射された後、ダイクロイック面74を透過し、さらに反射ミラー15で反射されてプリズム11に入射し、ここで波長780nmの屈折率で屈折されて、その際にビーム整形される。その後、球面収差補正板12で球面収差補正が行われ、反射ミラー14で光路をZ方向に向けられて、対物レンズ1により記録媒体上にスポット状に照射される。
また、集積光学素子81には、レーザダイオードの発光量をモニタするためのフォトディテクタが内蔵されており、このモニタ用のフォトディテクタの出力に基づいてレーザダイオードの発光量の調整が行われる。
一方、記録媒体で反射される戻り光は、再び対物レンズ1を通り、往路とは逆の経路を辿ってプリズム11に到達し、ここで往路と同じように屈折され、さらに往路とは逆の経路を辿ってダイクロイックプリズム70に入射する。ダイクロイックプリズム70では、波長660nmの光のみを反射するダイクロイック面74を透過し、さらに反射面75で反射されて集積光学素子81に入射する。集積光学素子81に入射した戻り光は、内蔵されたホログラム素子により光束が分離されてフォトディテクタで受光され、その出力に基づいてフォーカスエラー、トラッキングエラーおよび記録信号の検出が行われる。なお、フォーカスエラー、トラッキングエラーが検出された場合の動作などは、上述した波長405nmの場合のときと同じである。
本実施の形態によれば、一番波長の短い光と他の光との合致、分離を波長の違いによる屈折率の違いを利用したプリズム11で行い、残り2つの光の合致、分離をダイクロイックプリズム70で行うようにしたので、直角方向に分離する光路を少なくでき、光ピックアップを小型化することができる。
また、屈折率の違いを利用して合致、分離する光は、各々違う光学系から出射されるため、プリズム11から発光素子側で離れている必要がある。しかも、プリズム11の波長の違いによる屈折角の差はあまり大きくないので、2つの光を離すためには、プリズム11からの光路を長くとる必要がある。この点に関して、本実施の形態では、波長の組み合わせを、波長が短い方から405nm、660nm、780nmとすることで、波長の差の大きいものを屈折率の違いを利用したプリズム11で合致、分離でき、これにより長くとる必要のある光路を短くでき、より小型化が図れる。
また、屈折率の違いを利用したプリズム11で屈折した光路のなす角度の内、180度より小さい角86,87を、記録媒体を回転させる記録媒体の中心26側にして、光ピックアップをモータ24に巻き付くような形状としたので、光ディスクドライブ装置内のスペースを有効に利用でき、より小型化が図れる。
また、反射ミラー15により光路が45度以下となるように反射させることで、1個の反射ミラー15で光路を出射位置の近傍に戻すことができ、これにより狭いスペースで効率よく光路長を稼ぐことができるので、より小型化を図ることができる。なお、反射ミラー15による光路の反射角を45度以上とすると、光路が出射位置から離れた方向に位置することになるため、光路長を稼ぐという点では、無駄な空間、大きさが必要になる。また、これを避けるため、反射ミラーを複数用いて出射位置の近傍に光路を戻すことも考えられるが、このようにすると反射ミラーが多く必要となって、コストアップを招くことになる。
さらに、反射ミラー15をキャリッジ21の移動方向X方向に関して、対物レンズ1より記録媒体の中心26側(X(−)方向)とすることで、さきの屈折の方向と同様に、光ピックアップをモータ24に巻き付くような形状としたので、光ディスクドライブ装置内のスペースを有効に利用して、より小型化が図れる。
また、ダイクロイックプリズム70は、3個のプリズム71,72,73を接合し、その1つの接合面74をダイクロイック面として波長660nmの光を反射させ、もう1つの接合面75を反射面としてダイクロイック面74を透過する波長780nmの光を反射面75で反射させ、またダイクロイックプリズム70の外面76を全反射面として波長405nmの光を反射させることで、プリズム11から発光素子側で離れている必要がある波長405nmの光、波長660nmの光および波長780nmの光が近い位置にあっても、ダイクロイックプリズム70を配置でき、これにより光路を短くできるので、より小型化が図れる。
なお、同様の作用は、ダイクロイックプリズム70に代えて、図5に示すように、2個のプリズムを接合してなるダイクロイックプリズム70′を用いて、光路79を反射させて光路19に変更し、光路77,78を光路18に変更することもできる。この場合、光路18,77,78は、ダイクロイックプリズム70′に垂直に入射しないことから、ダイクロイックプリズム70′に出入りする際に屈折が生じるので、それを考慮して設計すればよい。
また、同様の作用は、ダイクロイックプリズム70に代えて、一般の平面正方形状のダイクロイックプリズムと反射ミラーとを用いて行うこともできるが、この場合には、これら2つの光学部品を別々にキャリッジ21に固定する際に、固定台や作業スペースの関係で近接して固定できないため、光ピックアップが大型化し、好ましくはない。
(第2実施の形態)
図6は、本発明による光ピックアップの第2実施の形態を示す要部断面図である。
本実施の形態は、プリズム11と、レーザダイオード31,51および集積光学素子81との間の光路の位置が第1実施の形態と異なっている。
図6において、波長405nmのレーザ光を発光するレーザダイオード31から出射した光は、まず、回折格子36を通り、次に、コリメータレンズ40を通って偏光ビームスプリッタ38に入射する。すなわち、本実施の形態は、光学部品の順序およびビーム整形レンズを有していない点で第1実施の形態と異なっている。また、偏光ビームスプリッタ38に入射したレーザ光は、第1実施の形態と異なり、該偏光ビームスプリッタ38で反射されて、1/4波長板39を通って光路79を進み、さらに三角プリズム92で向きを変えられて光路95を進み、さらに反射ミラー90で向きを変えられて光路19を進み、さらに反射ミラー15で向きを変えられて光路16を進んでプリズム11に入射して、第1実施の形態と同様に、球面収差補正板12および反射ミラー14を経て対物レンズ1により記録媒体上にスポット状に照射される。ビーム整形は、プリズム11でのみ行われる形となる。
ここで、光路19は、レンズアタチュエータ10より記録媒体の中心26側を通っており、光路79,95,19,16でレンズアクチュエータ10を半周以上取り巻いている。
また、記録媒体からの戻り光は、往路と逆の経路を辿って偏光ビームスプリッタ38に入射する。偏光ビームスプリッタ38に入射した戻り光は、第1実施の形態と異なり、該偏光ビームスプリッタ38を透過して、集光レンズ44を経てフォトディテクタ46で受光され、その出力に基づいてフォーカスエラー、トラッキングエラーおよび記録信号の検出が行われる。フォーカスエラー、トラッキングエラーが検出された場合の動作などは、第1実施の形態で説明した波長405nmの場合のときと同じである。
波長660nmのレーザ光を発光するレーザダイオード51から出射する光も、レーザダイオード31と同様に、回祈格子56、コリメータレンズ60を通り、偏光ビームスプリッタ58に入射する。偏光ビームスプリッタ58に入射したレーザ光は、第1実施の形態と同様に偏光ビームスプリッタ58を透過し、1/4波長板59を通って、光路77を進み、ダイクロイックプリズム91に入射する。
ダイクロイックプリズム91は、第1実施の形態と異なり、一般的な三角プリズムを2つ合わせた形状となっている。また、波長405nmの光を反射するプリズム92とは別体となっている。ダイクロイックプリズム91は、波長660nmの光のみを反射するように構成されており、このダイクロイックプリズム91で波長660nmの光は反射されて光路77から光路94に進み、さらに反射ミラー90で向きを変えられて光路18に進み、さらに反射ミラー15で向きを変えられて光路17を進んでプリズム11に入射して、第1実施の形態と同様に、球面収差補正板12および反射ミラー14を経て対物レンズ1により記録媒体上にスポット状に照射される。ビーム整形は、プリズム11でのみ行われる形となる。
ここで、光路18は、レンズアタチュエータ10より記録媒体の中心26側を通っており、光路77,94,18,17でレンズアクチュエータ10を半周以上取り巻いている。
また、記録媒体からの戻り光は、往路と逆の経路を辿って偏光ビームスプリッタ58に入射し、該偏光ビームスプリッタ58で反射されて、第1実施の形態と同様に、集光レンズ64を経てフォトディテクタ66で受光され、その出力に基づいてフォーカスエラー、トラッキングエラーおよび記録信号の検出が行われる。フォーカスエラー、トラッキングエラーが検出された場合の動作などは、第1実施の形態で説明した波長405nmの場合のときと同じである。
なお、図6では、光路18とレンズアクチュエータ10とが干渉しているように見えるが、実際にはZ方向にずれがあり、両者は干渉しないようになっている。また、波長405nmの光路95と波長660nmの光路77は、位置97で交差しており、波長405nmの偏光ビームスプリッタ38からフォトディテクタ43への光路98と波長660nmの光路77は、位置99で交差している。
波長780nmのレーザ光を発光する集積光学素子81から出射する光は、コリメータレンズ60を通ってダイクロイックプリズム91に入射して、該ダイクロイックプリズム91を透過する。ここから先の光路は、波長660nmの光路と同じである。
その他の光学系の構成や動作については、第1実施の形態とほぼ同様である。なお、本実施の形態では、波長405nmの戻り光を受光するフォトディテクタ46の近傍のキャリッジ21に、形状的に穴があくため、組み立て後に樹脂製のシート93で穴を塞いでいる。
本実施の形態によれば、異なる波長の光を離すために光路を長く取らなければならない波長の違いによる屈折率の違いを利用して他の光との合致、分離を行うプリズム11と発光素子の間の光路を、レンズアクチュエータ10より記録媒体の中心26側を通すようにしたので、スペースを有効に利用して光路長を稼ぐことができ、小型化が可能になる。しかも、この光路を、レンズアクチュエータ10を1/2周以上取り巻くように形成したので、より一層の小型化を図ることができる。
また、波長405nmの光路95と波長660nmの光路77とを位置97で交差させると共に、波長405nmの偏光ビームスプリッタ38からフォトディテクタ43への光路98と波長660nmの光路77とを位置99で交差させたので、場所を有効利用して光学部品を無駄な場所が生じないように配置でき、小型化が可能になる。なお、反射ミラー90の前後で、波長405nmの光路95と波長660nmの光路18とが位置96で交差しているが、複数の光路を1個の反射ミラーで反射させる場合、光路が交差するのは当然であり、これ以外の場所で光路を交差させることで、場所を有効利用して小型化を図ることができる。
さらに、ビーム整形を、ビーム整形レンズを用いずに、波長の違いによる屈折率の違いを利用して光を合致、分離するプリズム11で行うことで、部品点数を少なくすることができ、より小型化を図ることができると共に、コストダウンを図ることができる。
なお、第2実施の形態では、ダイクロイックプリズム91に、波長660nmの光および波長780nmの光を入射させるようにしたが、図7に示すように、ダイクロイックプリズム91を大きくして、波長405nmの光の光路95を通すようにすることもできる。この場合、当然のことながら、ダイクロイックプリズム91のダイクロイック面は、波長405nmの光をそのまま透過するように構成する。このようにすれば、光路94と光路95とが離れていない位置にダイクロイックプリズム91を配置することが可能となるので、光学部品の配置の自由度が上がり、より小型化が図れる。
(第3実施の形態)
図8は、本発明による光ピックアップの第3実施の形態を示す要部断面図である。
本実施の形態は、第2実施の形態とほぼ同じであるが、波長405nmの光学系と、波長780nmの光学系との位置が入れ替わっている。これに伴って、ダイクロイックプリズム91の位置も変わり、ダイクロイックプリズム91からの光路を曲げるための三角プリズム102が追加されている。逆に、波長405nmの光路にあった三角プリズム92はなくなっている。
また、波長405nmのレーザ光を発光するレーザダイオード31、回折格子36、コリメータレンズ40、偏光ビームスプリッタ38、1/4波長板39、フォトディテクタ43,46は、キャリッジ21ではなく、光学ハウジング100に固定されている。この点が、第2実施の形態と大きく異なっている。光学ハウジング100は、キャリッジ21にネジ101a、101bで固定されている。レーザダイオード31から出射されるレーザ光は、偏光ビームスプリッタ38を透過し、第2実施の形態のような三角プリズム92を経由することなく、直接反射ミラー90に向かう。
その他の光学系の構成や動作については、第2実施の形態とほぼ同様である。
本実施の形態によれば、波長405nmに対応する光学系を光学ハウジング100を介してキャリッジ21に固定するようにしたので、キャリッジ21を小さく、単純な形状にすることができる。また、光学ハウジング100は、波長405nmに対応する光学系だけなので、同様に小さく単純な形状とすることができる。このように、キャリッジ21および光学ハウジング100を小さく単純な形状とすること、組み立て性を良好にできると共に、キャリッジ21および光学ハウジング100の部品自体の製作も容易になる。ちなみに、キャリッジが大きく複雑な形状を有する場合には、光学部品などを取り付ける際に、キャリッジを固定する必要があり、組み立て性が低下するおそれがあると共に、キャリッジの部品自体の製作が難しくなるおそれがある。
また、波長が短くなればなるほど光学系への要求が厳しくなり、光ピックアップの性能をだすのが難しくなるが、光学系と対物レンズや、対物レンズの取り付け時の傾きなどの組み合わせで、同じ光学系でも違う対物レンズおよびそれを備えるレンズアクチュエータと組み合わせると、悪い特性がキャンセルして光ピックアップの特性が良好になることがある。本実施の形態では、特性が悪かった場合、キャリッジ21から光学ハウジング100を交換し、対物レンズ1およびレンズアクチュエータ10との組み合わせを変更することで、特性を良好にできることがあり、光ピックアップの歩留まりを向上させることができる。
さらに、それでも特性が悪い場合には、光学ハウジング100を取り外し、波長660nmおよび波長780nmの2波長に対応した光ピックアップとすることができる。これにより、キャリッジ21の部分を廃棄する必要がなくなり、総合的な歩留まりを向上させることができる。なお、この場合は、光学ハウジング100の装着部分をネジ101a,101bによりイタで覆っておく。
(第4実施の形態)
図9は、本発明による光ピックアップの第4実施の形態を示す要部断面図である。
本実施の形態の光ピックアップは、第1実施の形態の収差補正素子12と反射ミラー15との間にあったプリズム11の代わりに、ホルダ112に取り付けられた回折格子111を有している。この回折格子111により、波長405nmの光は回折して、光路16から光路115の経路を辿り、他の光は直進して光路17から光路115の経路を辿って、全ての光が光路115に一致するようになっている。
回折格子111の前後で、光路16と光路115とのなす角度の内、180度より小さい角116が記録媒体の中心26側とされている。また、反射ミラー15で反射される光路16と光路19とのなす角84は、45度より小さくなっている。同様に、反射ミラー15で反射される光路17と光路18とのなす角85も、角84より大きいが、45度より小さくなっている。また、ダイクロイックプリズム114は、第1実施の形態と異なり、一般的な三角プリズムを2つ合わせた形状となっており、波長405nmの光は、ダイクロイックプリズム114とは別体の反射ミラー113で反射されるようになっている。その他の構成および動作については、第1実施の形態と同様である。
本実施の形態においても、光ピックアップを小型化することができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものでなく、種々の変形または変更が可能である。例えば、波長405nmの光学系は、1つのケース内に種々の光学素子を集積させたいわゆる集積光学系を用いることもできるし、その他、種々の変形が可能である。また、逆に、波長780nmの光学系を、集積光学系81を用いることなく構成することもできる。さらに、各光学系内に、収差補正などの光学素子を加えることもできる。また、波長も、上記以外の波長とすることができる。
さらに、第3実施の形態においては、光学ハウジング100に固定する光学部品は、波長405nmの光学系の一部であってもよい。また、第2および3実施の形態において、波長405nmの光と波長660nmおよび波長780nmの光とを合成するプリズム11に代えて、第4実施の形態と同様に回折格子を用いることもできる。
さらにまた、上記実施の形態の光ピックアップを光ディスクドライブ装置に備えることで、光ディスクドライブ装置を小型化することができると共に、光ディスクドライブ装置の歩留まりを向上でき、コストダウンを図ることができる。