JP2005076658A - 転がり軸受用保持器 - Google Patents
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Abstract
【課題】冠形保持器において、アキシアル方向における転動体の転動面とポケット面との間に設けたアキシアルすきまδと転動体の回転直径Daの関係を最適範囲に設定し、動トルクの上昇と保持器音の発生を抑制することである。
【解決手段】円周方向複数箇所にポケット面で玉Bを収容保持するポケット2を形成し、かつ各ポケット2のアキシアル方向の一方側に前記玉Bの直径より開口幅が小さい開口部を設けた転がり軸受用保持器において、前記アキシアル方向における玉Bの転動面とポケット面との間に設けたアキシアルすきまδと玉Bの回転直径Daの関係を、δ/Da=0.0025〜0.04の範囲に設定した。
【選択図】 図2
【解決手段】円周方向複数箇所にポケット面で玉Bを収容保持するポケット2を形成し、かつ各ポケット2のアキシアル方向の一方側に前記玉Bの直径より開口幅が小さい開口部を設けた転がり軸受用保持器において、前記アキシアル方向における玉Bの転動面とポケット面との間に設けたアキシアルすきまδと玉Bの回転直径Daの関係を、δ/Da=0.0025〜0.04の範囲に設定した。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低振動、低騒音が要求されるモータなどに使用されている深溝玉軸受などの転がり軸受用保持器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、転動体に対する保持器のアキシアル方向の挙動を抑制して保持器音の発生を防止し、潤滑性も向上できる転がり軸受の提供が望まれていた。
そこで本願出願人は、上述の要望に応えるべく新規有用な転がり軸受用保持器について先に出願した(例えば、特許文献1を参照)。
この先行技術は、円周方向複数箇所にポケット面で転動体を収容保持するポケットを形成し、かつ各ポケットのアキシアル方向の一方側に前記転動体の直径より開口幅が小さい開口部を設けた転がり軸受用保持器において、前記アキシアル方向における前記転動体の転動面と前記ポケット面との間に設けたアキシアルすきまδと前記転動体の回転直径Daの関係を、δ/Da=−0.01〜0.02の範囲に設定したものである。
このように、アキシアル方向における前記転動体の転動面と前記ポケット面との間に設けたアキシアルすきまδと前記転動体の回転直径Daの関係を、δ/Da=−0.01〜0.02の範囲に設定したことにより、開口部の内側と底のポケット面とで保持器のアキシアル方向の移動を制限して転動体とポケット面との衝突力が小さくなり、しかも潤滑剤溜まりが十分得られるので、動トルクや騒音(保持器音)レベルの上昇を抑制することができる。
【0003】
【特許文献1】特開2000−337387号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の先行技術にあっては、図5に示すように、δ/Daの関係が負になると軸受の動トルクが大きくなり、また、転動体径が小さいと保持器のアキシアルすきまδを上述レンジ範囲に納めることは実質的に難しいという課題も有った。
本発明は、従来技術の有するこのような問題点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、冠形保持器における各ポケットのアキシアルすきまδと転動体の回転直径Daの関係を最適範囲に設定し、動トルクの上昇と保持器音の発生を抑制することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明がなした技術的手段は、円周方向複数箇所にポケット面で転動体を収容保持するポケットを形成し、かつ各ポケットのアキシアル方向の一方側に前記転動体の直径より開口幅が小さい開口部を設けた転がり軸受用保持器において、前記アキシアル方向における前記転動体の転動面と前記ポケット面との間に設けたアキシアルすきまδと前記転動体の回転直径Daの関係を、δ/Da=0.0025〜0.04の範囲に設定した。
上記技術的手段によると、δ/Daの下限を0.0025とすることにより動トルクの上昇を押えることが出来る。また、保持器音については、δ/Daが0.04以下であれば聴感で著しくは確認出来ない。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る転がり軸受用保持器の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、本実施形態は、本発明転がり軸受用保持器の一実施形態にすぎず、何等これらに限定して解釈されるものではなく、本発明の範囲内において適宜設計変更可能である。
図1は、本発明に係る転がり軸受用保持器1を示したものである。
この保持器1は、合成樹脂等を材料として射出成形により成形した、いわゆる冠形保持器であり、この保持器1は、その軸方向Pの一方側に、円周方向に所定間隔をあけて複数のポケット2が形成されている。各ポケット2の間は柱部3で仕切られており、柱部3の先端から円弧状に延びている一対の爪4の間でポケット入口(開口部)5が開口している。
【0007】
「第一実施形態」
図2は、図1の保持器1が、ポケット2内に転動体(以下、玉ともいう)Bを無負荷状態で収納保持している状態を示す本発明の第一実施形態である。
ここで、図2の上下方向に延在している破線Aを保持器1の軸方向Pに沿うアキシアル方向と称し、図2の左右方向に延在している破線Cを円周方向と称する。また、アキシアル方向Aにおいて玉Bの外周面とポケット2のポケット面との間に設けた隙間をアキシアル隙間δと称する。また、玉Bの直径は寸法Daに設定されているとともに、一対の爪4間に設けたポケット入口5の開口幅は寸法kDaに設定されている。ここで、ポケット入口5の開口幅を決定する定数kは既知の値、例えばk=0.85〜0.95の範囲に設定されており、所定値の定数kを使用することによってポケット入口5の開口幅が玉Bの回転直径Daより小さく設定されている。
ポケット2のポケット面は、一対の爪4の内壁の第1のポケット面6と、これら第1のポケット面6との間に位置する第2のポケット面7とで構成されている。第2のポケット面7は、無負荷状態の玉Bの回転中心O0を曲率中心とした以下の(1)式に示す曲率半径Rを有した球状凹面として形成されている。
【0008】
【数1】
【0009】
また、第1のポケット面6は、その曲率中心O1が、第2のポケット面7の曲率中心O0からポケット入口5に対して逆側に離れたアキシアル方向Aに寸法h1(以下、アキシアル偏在量h1と称する)だけ偏在した位置であり、その曲率中心O1から第2のポケット面7の曲率半径Rより大きな曲率半径Ra(Ra>R)を有した球状凹面として形成されている。
なお、前述したアキシアル偏在量h1、第1のポケット面6の曲率半径Raの式を(2)、(3)式に示す。
【0010】
【数2】
【0011】
【数3】
【0012】
ここで、前述した(1)式、(2)式及び(3)式から明らかなように、本実施形態の保持器1は、アキシアル隙間δ、玉Bの回転直径Da及び定数k(k=0.85〜0.95)によって第1のポケット面6の曲率半径Ra、第2のポケット面7の曲率半径R及びアキシアル偏在量h1を設定するが、そのアキシアル隙間δ及び玉Bの直径Daを最適な値に設定しないと、動トルクが急増したり、保持器音(騒音レベル)が上昇するおそれがある。これは、玉に対する保持器のアキシアル方向Aの移動量が大きくなり、ポケット面や爪が玉に大きな力で衝突して保持器音(騒音レベル)が上昇するからである。 そこで本実施形態では、アキシアル隙間δ及び玉Bの回転直径Daの比を、δ/Da=0.0025〜0.04の範囲とする。
このように玉Bに対して保持器1がアキシアル方向に移動しようとする場合に、一対の爪4の内壁に形成した第1のポケット面6と、これら第1のポケット面6との間に位置する第2のポケット面7とで保持器1の移動を制限して玉Bとポケット面6、7との衝突力が小さくなり、しかも、潤滑剤溜まりが確実に得られるので、動トルクを低くし、保持器音の発生を抑制することができる。
すなわち、本実施形態の保持器1は、アキシアル隙間δ及び玉Bの回転直径Daの比をδ/Da=0.0025〜0.04の範囲とし、δ/Daの下限を0.0025とすることにより、動トルクの上昇を押えることが出来る(図5参照)。
又、保持器音については、δ/Daが0.04以下であれば、聴感で著しくは確認出来ない(図6参照)ため、保持器音の発生を抑制することができる。
図2に示すように、本実施形態の保持器1は、一対の爪4の内壁に設けた第1のポケット面6を、第2のポケット面7より大きな曲率半径でアキシアル方向にアキシアル偏在量h1だけ偏在させて形成しているので、円周方向C側に比較的大きな潤滑剤溜まり8が形成され、ポケット2内に潤滑剤が流入・保持され易くなるので、潤滑性の向上を図ることができる。
【0013】
また、本実施形態では、第1及び第2のポケット面6、7の変曲点高さを、無負荷状態の玉Bの回転中心O0の高さに一致させており(図2で示すようにb=0)、本実施形態の保持器1を成形する金型を設計する場合に原点の決定を容易に設定することができ、金型制作を容易に行うことができる。
【0014】
「第二実施形態」
図4は、図2で示した構成と異なる第二実施形態のポケット9を示すものであり、図2に示した第一実施形態の構成と同一構成部分には、同一符号を付してその説明を省略する。
玉Bを収納している本実施形態のポケット9のポケット面は、一対の爪4の内壁に形成した第1のポケット面10と、これら第1のポケット面10との間に位置する第2のポケット面11とで構成されている。第2のポケット面11は、無負荷状態の玉Bの回転中心O0を曲率中心とした前述した(1)式に示す曲率半径Rを有した球状凹面として形成されている。
また、第1のポケット面10は、その曲率中心O2が、第2のポケット面11の曲率中心O0から円周方向Cに寸法h2(以下、円周偏在量h2と称する)だけ偏在した位置であり、その曲率中心O1から第2のポケット面11の曲率半径Rより小さな曲率半径Ra(Ra<R)を有した球状凹面として形成されている。なお、前述した円周偏在量h2、第1のポケット面10の曲率半径Raの式を(4)、(5)式に示す。
【0015】
【数4】
【0016】
【数5】
【0017】
ここで、本実施形態でも、アキシアル隙間δ及び玉Bの回転直径Daの比をδ/Da=0.0025〜0.04の範囲とし、この範囲内のアキシアル隙間δ及び玉Bの回転直径Daの値を使用して第1のポケット面10の曲率半径Ra、第2のポケット面11の曲率半径R及び円周偏在量h2を決定している。これにより、玉Bに対して保持器1がアキシアル方向に移動しようとする場合に、一対の爪4の内壁に形成した第1のポケット面10と、これら第1のポケット面10との間に位置する第2のポケット面11とで保持器1の移動を制限して玉Bとポケット面10、11との衝突力が小さくなり、動トルクを低くし、保持器音の発生を抑制することができる。
【0018】
また、本実施形態では、一対の爪4の内壁に設けた第1のポケット面10を、第2のポケット面11を、第2のポケット面11より小さな曲率半径で円周方向Cに偏在させて形成しているので、第1実施形態と同様に、円周方向C側に比較的大きな潤滑剤溜まりが形成される。
したがつて、この第2実施形態でも、アキシアル隙間δ及び玉Bの回転直径Daの比をδ/Da=0.0025〜0.04の範囲とすることで動トルクを低くし、保持器音の発生を抑制することができるとともに、円周方向C側に比較的大きな潤滑剤溜まりが形成され、ポケット9内に潤滑剤が流入・保持されやすくなるので、潤滑性の向上を図ることができる。
また、第1のポケット面10の曲率半径Raを第2のポケット面11の曲率半径Rより小さな値(Ra<R)に設定したことから、第1のポケット面10の玉Bに対する接触角度、すなわちアキシアル方向Aの玉Bに対する抱え込み方を自由に設定することができるという効果も奏する。
【0019】
「第三実施形態」
図4は、第三実施形態のポケット12を示すものであり、図2に示した第一実施形態の構成と同一構成部分には、同一符号を付してその説明を省略する。
玉Bを収納している本実施形態のポケット12のポケット面は、一対の爪4の内壁に形成した第1のポケット面13と、これら第1のポケット面13との間に位置する第2のポケット面14とで構成されている。第2のポケット面14は、無負荷状態の玉Bの回転中心O0を曲率中心とした前述した(4)式に示す曲率半径Rを有した球状凹面として形成されている。
また、第1のポケット面13は、その曲率中心O3が、第2のポケット面14の曲率中心O0からアキシアル方向Aに寸法h3(以下、アキシアル偏在量h3と称する)だけ偏在した位置であり、その曲率中心O3から第2のポケット面14の曲率半径Rと等しい曲率半径Ra(Ra=R)を有した球状凹面として形成されている。なお、前述したアキシアル偏在量h3、第1のポケット面13の曲率半径Raの式を(6)、(7)式に示す。
【0020】
【数6】
【0021】
【数7】
【0022】
ここで、本実施形態でも、アキシアル隙間δ及び玉Bの回転直径Daの比をδ/Da=0.0025〜0.04の範囲とし、この範囲内のアキシアル隙間δ及び玉Bの回転直径Daの値を使用して第1のポケット面13の曲率半径Ra、第2のポケット面14の曲率半径R及びアキシアル偏在量h3を決定している。これにより、玉Bに対して保持器1がアキシアル方向に移動しようとする場合に、一対の爪4の内壁に形成した第1のポケット面13と、これら第1のポケット面13との間に位置する第2のポケット面14とで保持器1の移動を制限して玉Bとポケット面13、14との衝突力が小さくなり、動トルクを低くし、保持器音の発生を抑制することができる。
【0023】
【発明の効果】
本発明は、冠形保持器において、アキシアル方向における転動体の転動面とポケット面との間に設けたアキシアルすきまδと転動体の回転直径Daの関係を、δ/Da=0.0025〜0.04と最適範囲に設定したことにより、動トルクの上昇と保持器音の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る転がり軸受用保持器の斜視図。
【図2】本発明に係る転がり軸受用保持器の第一実施形態におけるポケット形状を示す拡大平面図。
【図3】本発明に係る転がり軸受用保持器の第二実施形態におけるポケット形状を示す拡大平面図。
【図4】本発明に係る転がり軸受用保持器の第三実施形態におけるポケット形状を示す拡大平面図。
【図5】δ/Daと動トルクとの関係を示す図。
【図6】保持器音聴覚確認の結果を示す図。
【符号の説明】
1:保持器
2,9,12:ポケット
5:ポケット入口
6,10,13:第1のポケット面
7,11,14:第2のポケット面
8:潤滑剤溜まり
【発明の属する技術分野】
本発明は、低振動、低騒音が要求されるモータなどに使用されている深溝玉軸受などの転がり軸受用保持器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、転動体に対する保持器のアキシアル方向の挙動を抑制して保持器音の発生を防止し、潤滑性も向上できる転がり軸受の提供が望まれていた。
そこで本願出願人は、上述の要望に応えるべく新規有用な転がり軸受用保持器について先に出願した(例えば、特許文献1を参照)。
この先行技術は、円周方向複数箇所にポケット面で転動体を収容保持するポケットを形成し、かつ各ポケットのアキシアル方向の一方側に前記転動体の直径より開口幅が小さい開口部を設けた転がり軸受用保持器において、前記アキシアル方向における前記転動体の転動面と前記ポケット面との間に設けたアキシアルすきまδと前記転動体の回転直径Daの関係を、δ/Da=−0.01〜0.02の範囲に設定したものである。
このように、アキシアル方向における前記転動体の転動面と前記ポケット面との間に設けたアキシアルすきまδと前記転動体の回転直径Daの関係を、δ/Da=−0.01〜0.02の範囲に設定したことにより、開口部の内側と底のポケット面とで保持器のアキシアル方向の移動を制限して転動体とポケット面との衝突力が小さくなり、しかも潤滑剤溜まりが十分得られるので、動トルクや騒音(保持器音)レベルの上昇を抑制することができる。
【0003】
【特許文献1】特開2000−337387号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の先行技術にあっては、図5に示すように、δ/Daの関係が負になると軸受の動トルクが大きくなり、また、転動体径が小さいと保持器のアキシアルすきまδを上述レンジ範囲に納めることは実質的に難しいという課題も有った。
本発明は、従来技術の有するこのような問題点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、冠形保持器における各ポケットのアキシアルすきまδと転動体の回転直径Daの関係を最適範囲に設定し、動トルクの上昇と保持器音の発生を抑制することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明がなした技術的手段は、円周方向複数箇所にポケット面で転動体を収容保持するポケットを形成し、かつ各ポケットのアキシアル方向の一方側に前記転動体の直径より開口幅が小さい開口部を設けた転がり軸受用保持器において、前記アキシアル方向における前記転動体の転動面と前記ポケット面との間に設けたアキシアルすきまδと前記転動体の回転直径Daの関係を、δ/Da=0.0025〜0.04の範囲に設定した。
上記技術的手段によると、δ/Daの下限を0.0025とすることにより動トルクの上昇を押えることが出来る。また、保持器音については、δ/Daが0.04以下であれば聴感で著しくは確認出来ない。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る転がり軸受用保持器の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、本実施形態は、本発明転がり軸受用保持器の一実施形態にすぎず、何等これらに限定して解釈されるものではなく、本発明の範囲内において適宜設計変更可能である。
図1は、本発明に係る転がり軸受用保持器1を示したものである。
この保持器1は、合成樹脂等を材料として射出成形により成形した、いわゆる冠形保持器であり、この保持器1は、その軸方向Pの一方側に、円周方向に所定間隔をあけて複数のポケット2が形成されている。各ポケット2の間は柱部3で仕切られており、柱部3の先端から円弧状に延びている一対の爪4の間でポケット入口(開口部)5が開口している。
【0007】
「第一実施形態」
図2は、図1の保持器1が、ポケット2内に転動体(以下、玉ともいう)Bを無負荷状態で収納保持している状態を示す本発明の第一実施形態である。
ここで、図2の上下方向に延在している破線Aを保持器1の軸方向Pに沿うアキシアル方向と称し、図2の左右方向に延在している破線Cを円周方向と称する。また、アキシアル方向Aにおいて玉Bの外周面とポケット2のポケット面との間に設けた隙間をアキシアル隙間δと称する。また、玉Bの直径は寸法Daに設定されているとともに、一対の爪4間に設けたポケット入口5の開口幅は寸法kDaに設定されている。ここで、ポケット入口5の開口幅を決定する定数kは既知の値、例えばk=0.85〜0.95の範囲に設定されており、所定値の定数kを使用することによってポケット入口5の開口幅が玉Bの回転直径Daより小さく設定されている。
ポケット2のポケット面は、一対の爪4の内壁の第1のポケット面6と、これら第1のポケット面6との間に位置する第2のポケット面7とで構成されている。第2のポケット面7は、無負荷状態の玉Bの回転中心O0を曲率中心とした以下の(1)式に示す曲率半径Rを有した球状凹面として形成されている。
【0008】
【数1】
【0009】
また、第1のポケット面6は、その曲率中心O1が、第2のポケット面7の曲率中心O0からポケット入口5に対して逆側に離れたアキシアル方向Aに寸法h1(以下、アキシアル偏在量h1と称する)だけ偏在した位置であり、その曲率中心O1から第2のポケット面7の曲率半径Rより大きな曲率半径Ra(Ra>R)を有した球状凹面として形成されている。
なお、前述したアキシアル偏在量h1、第1のポケット面6の曲率半径Raの式を(2)、(3)式に示す。
【0010】
【数2】
【0011】
【数3】
【0012】
ここで、前述した(1)式、(2)式及び(3)式から明らかなように、本実施形態の保持器1は、アキシアル隙間δ、玉Bの回転直径Da及び定数k(k=0.85〜0.95)によって第1のポケット面6の曲率半径Ra、第2のポケット面7の曲率半径R及びアキシアル偏在量h1を設定するが、そのアキシアル隙間δ及び玉Bの直径Daを最適な値に設定しないと、動トルクが急増したり、保持器音(騒音レベル)が上昇するおそれがある。これは、玉に対する保持器のアキシアル方向Aの移動量が大きくなり、ポケット面や爪が玉に大きな力で衝突して保持器音(騒音レベル)が上昇するからである。 そこで本実施形態では、アキシアル隙間δ及び玉Bの回転直径Daの比を、δ/Da=0.0025〜0.04の範囲とする。
このように玉Bに対して保持器1がアキシアル方向に移動しようとする場合に、一対の爪4の内壁に形成した第1のポケット面6と、これら第1のポケット面6との間に位置する第2のポケット面7とで保持器1の移動を制限して玉Bとポケット面6、7との衝突力が小さくなり、しかも、潤滑剤溜まりが確実に得られるので、動トルクを低くし、保持器音の発生を抑制することができる。
すなわち、本実施形態の保持器1は、アキシアル隙間δ及び玉Bの回転直径Daの比をδ/Da=0.0025〜0.04の範囲とし、δ/Daの下限を0.0025とすることにより、動トルクの上昇を押えることが出来る(図5参照)。
又、保持器音については、δ/Daが0.04以下であれば、聴感で著しくは確認出来ない(図6参照)ため、保持器音の発生を抑制することができる。
図2に示すように、本実施形態の保持器1は、一対の爪4の内壁に設けた第1のポケット面6を、第2のポケット面7より大きな曲率半径でアキシアル方向にアキシアル偏在量h1だけ偏在させて形成しているので、円周方向C側に比較的大きな潤滑剤溜まり8が形成され、ポケット2内に潤滑剤が流入・保持され易くなるので、潤滑性の向上を図ることができる。
【0013】
また、本実施形態では、第1及び第2のポケット面6、7の変曲点高さを、無負荷状態の玉Bの回転中心O0の高さに一致させており(図2で示すようにb=0)、本実施形態の保持器1を成形する金型を設計する場合に原点の決定を容易に設定することができ、金型制作を容易に行うことができる。
【0014】
「第二実施形態」
図4は、図2で示した構成と異なる第二実施形態のポケット9を示すものであり、図2に示した第一実施形態の構成と同一構成部分には、同一符号を付してその説明を省略する。
玉Bを収納している本実施形態のポケット9のポケット面は、一対の爪4の内壁に形成した第1のポケット面10と、これら第1のポケット面10との間に位置する第2のポケット面11とで構成されている。第2のポケット面11は、無負荷状態の玉Bの回転中心O0を曲率中心とした前述した(1)式に示す曲率半径Rを有した球状凹面として形成されている。
また、第1のポケット面10は、その曲率中心O2が、第2のポケット面11の曲率中心O0から円周方向Cに寸法h2(以下、円周偏在量h2と称する)だけ偏在した位置であり、その曲率中心O1から第2のポケット面11の曲率半径Rより小さな曲率半径Ra(Ra<R)を有した球状凹面として形成されている。なお、前述した円周偏在量h2、第1のポケット面10の曲率半径Raの式を(4)、(5)式に示す。
【0015】
【数4】
【0016】
【数5】
【0017】
ここで、本実施形態でも、アキシアル隙間δ及び玉Bの回転直径Daの比をδ/Da=0.0025〜0.04の範囲とし、この範囲内のアキシアル隙間δ及び玉Bの回転直径Daの値を使用して第1のポケット面10の曲率半径Ra、第2のポケット面11の曲率半径R及び円周偏在量h2を決定している。これにより、玉Bに対して保持器1がアキシアル方向に移動しようとする場合に、一対の爪4の内壁に形成した第1のポケット面10と、これら第1のポケット面10との間に位置する第2のポケット面11とで保持器1の移動を制限して玉Bとポケット面10、11との衝突力が小さくなり、動トルクを低くし、保持器音の発生を抑制することができる。
【0018】
また、本実施形態では、一対の爪4の内壁に設けた第1のポケット面10を、第2のポケット面11を、第2のポケット面11より小さな曲率半径で円周方向Cに偏在させて形成しているので、第1実施形態と同様に、円周方向C側に比較的大きな潤滑剤溜まりが形成される。
したがつて、この第2実施形態でも、アキシアル隙間δ及び玉Bの回転直径Daの比をδ/Da=0.0025〜0.04の範囲とすることで動トルクを低くし、保持器音の発生を抑制することができるとともに、円周方向C側に比較的大きな潤滑剤溜まりが形成され、ポケット9内に潤滑剤が流入・保持されやすくなるので、潤滑性の向上を図ることができる。
また、第1のポケット面10の曲率半径Raを第2のポケット面11の曲率半径Rより小さな値(Ra<R)に設定したことから、第1のポケット面10の玉Bに対する接触角度、すなわちアキシアル方向Aの玉Bに対する抱え込み方を自由に設定することができるという効果も奏する。
【0019】
「第三実施形態」
図4は、第三実施形態のポケット12を示すものであり、図2に示した第一実施形態の構成と同一構成部分には、同一符号を付してその説明を省略する。
玉Bを収納している本実施形態のポケット12のポケット面は、一対の爪4の内壁に形成した第1のポケット面13と、これら第1のポケット面13との間に位置する第2のポケット面14とで構成されている。第2のポケット面14は、無負荷状態の玉Bの回転中心O0を曲率中心とした前述した(4)式に示す曲率半径Rを有した球状凹面として形成されている。
また、第1のポケット面13は、その曲率中心O3が、第2のポケット面14の曲率中心O0からアキシアル方向Aに寸法h3(以下、アキシアル偏在量h3と称する)だけ偏在した位置であり、その曲率中心O3から第2のポケット面14の曲率半径Rと等しい曲率半径Ra(Ra=R)を有した球状凹面として形成されている。なお、前述したアキシアル偏在量h3、第1のポケット面13の曲率半径Raの式を(6)、(7)式に示す。
【0020】
【数6】
【0021】
【数7】
【0022】
ここで、本実施形態でも、アキシアル隙間δ及び玉Bの回転直径Daの比をδ/Da=0.0025〜0.04の範囲とし、この範囲内のアキシアル隙間δ及び玉Bの回転直径Daの値を使用して第1のポケット面13の曲率半径Ra、第2のポケット面14の曲率半径R及びアキシアル偏在量h3を決定している。これにより、玉Bに対して保持器1がアキシアル方向に移動しようとする場合に、一対の爪4の内壁に形成した第1のポケット面13と、これら第1のポケット面13との間に位置する第2のポケット面14とで保持器1の移動を制限して玉Bとポケット面13、14との衝突力が小さくなり、動トルクを低くし、保持器音の発生を抑制することができる。
【0023】
【発明の効果】
本発明は、冠形保持器において、アキシアル方向における転動体の転動面とポケット面との間に設けたアキシアルすきまδと転動体の回転直径Daの関係を、δ/Da=0.0025〜0.04と最適範囲に設定したことにより、動トルクの上昇と保持器音の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る転がり軸受用保持器の斜視図。
【図2】本発明に係る転がり軸受用保持器の第一実施形態におけるポケット形状を示す拡大平面図。
【図3】本発明に係る転がり軸受用保持器の第二実施形態におけるポケット形状を示す拡大平面図。
【図4】本発明に係る転がり軸受用保持器の第三実施形態におけるポケット形状を示す拡大平面図。
【図5】δ/Daと動トルクとの関係を示す図。
【図6】保持器音聴覚確認の結果を示す図。
【符号の説明】
1:保持器
2,9,12:ポケット
5:ポケット入口
6,10,13:第1のポケット面
7,11,14:第2のポケット面
8:潤滑剤溜まり
Claims (1)
- 円周方向複数箇所にポケット面で転動体を収容保持するポケットを形成し、かつ各ポケットのアキシアル方向の一方側に前記転動体の直径より開口幅が小さい開口部を設けた転がり軸受用保持器において、
前記アキシアル方向における前記転動体の転動面と前記ポケット面との間に設けたアキシアルすきまδと前記転動体の回転直径Daの関係を、
δ/Da=0.0025〜0.04の範囲に設定したことを特徴とする転がり軸受用保持器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003209820A JP2005076658A (ja) | 2003-08-29 | 2003-08-29 | 転がり軸受用保持器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003209820A JP2005076658A (ja) | 2003-08-29 | 2003-08-29 | 転がり軸受用保持器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2005076658A true JP2005076658A (ja) | 2005-03-24 |
Family
ID=34402629
Family Applications (1)
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Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005076658A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20150002477A (ko) * | 2013-06-28 | 2015-01-07 | 아크티에볼라게트 에스케이에프 | 베어링, 특히 차량의 전기식 조향 시스템의 베어링을 위한 케이지 |
-
2003
- 2003-08-29 JP JP2003209820A patent/JP2005076658A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR20150002477A (ko) * | 2013-06-28 | 2015-01-07 | 아크티에볼라게트 에스케이에프 | 베어링, 특히 차량의 전기식 조향 시스템의 베어링을 위한 케이지 |
JP2015010715A (ja) * | 2013-06-28 | 2015-01-19 | アクティエボラゲット・エスコーエッフ | 軸受、特に自動車の電気的ステアリングシステムの軸受のためのケージ |
KR102148536B1 (ko) * | 2013-06-28 | 2020-08-27 | 아크티에볼라게트 에스케이에프 | 베어링, 특히 차량의 전기식 조향 시스템의 베어링을 위한 케이지 |
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