以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、この実施の形態にかかるスロットマシンの全体構造を示す正面図である。スロットマシン1の前面扉は、施錠装置19にキーを差し込み、時計回り方向に回動操作することにより開放状態とすることができる。このスロットマシン1の上部前面側には、可変表示装置2が設けられている。可変表示装置2の内部には、3つのリール3L、3C、3Rから構成されるリールユニット3が設けられている。リール3L、3C、3Rは、それぞれリールモータ3ML、3MC、3MR(図2参照)の駆動によって回転/停止させられる。
リール3L、3C、3Rの外周部には、それぞれ「色なし7」、「色つき7」、「BAR」、「JAC」、「スイカ」、「チェリー」、「ベル」といった互いに識別可能な複数種類の図柄が所定の順序で描かれている。リール3L、3C、3Rの外周部に描かれた図柄は、可変表示装置2において上中下三段に表示される。また、リールユニット3内には、リール3L、3C、3Rのそれぞれに対して、その基準位置を検出するリールセンサ3SL、3SC、3SR(図2参照)と、背面から光を照射するリールランプ3LPとが設けられている。
また、可変表示装置2の周囲には、各種表示部が設けられている。可変表示装置2の下側には、ゲーム回数表示部21と、クレジット表示部22と、ペイアウト表示部23とが設けられている。ゲーム回数表示部21は、7セグメント表示器によるゲーム回数表示器51(図2参照)によって構成され、後述するビッグボーナスやレギュラーボーナス時にゲーム数、入賞数をカウントするカウンタの値を表示する。
クレジット表示部22は、7セグメント表示器によるクレジット表示器52(図2参照)によって構成され、後述するようにメダルの投入枚数及び払い出し枚数に応じてデータとして蓄積されたクレジットの数を表示する。ペイアウト表示部23は、7セグメント表示器によるペイアウト表示器53(図2参照)によって構成され、入賞が成立した場合に払い出されるメダルの枚数を表示する。
可変表示装置2の左側には、1枚賭け表示部24、2枚賭け表示部25、26、及び3枚賭け表示部27、28が設けられている。1枚、2枚、3枚賭け表示部24〜28は、賭け数(1、2または3)に応じて有効化されたライン(以下、有効ラインという)に対応してそれぞれ1枚、2枚、3枚賭けランプ54〜58(図2参照)が点灯状態となることで、各ゲームにおける有効ラインを遊技者に示す。1枚、2枚、3枚賭け表示部24〜28は、また、後述する役への入賞があった場合に1枚、2枚、3枚賭けランプ54〜58が点滅状態となることで、後述する役に入賞した有効ラインを遊技者に示す。
可変表示装置2の右側には、投入指示表示部29と、スタート表示部30と、ウェイト表示部31と、リプレイ表示部32と、ゲームオーバー表示部33とが設けられている。投入指示表示部29は、投入指示ランプ59(図2参照)が点灯状態となることで、メダルが投入可能なことを示す。スタート表示部30は、スタートランプ60(図2参照)が点灯状態となることで、スタート可能、すなわちスタートレバー11の操作受付可能であることを示す。ウェイト表示部31は、ウェイトランプ61(図2参照)が点灯状態となることで、後述するウェイトがかかっていることを示す。リプレイ表示部32は、リプレイランプ62(図2参照)が点灯状態となることで、後述するリプレイ入賞をしたことを示す。ゲームオーバー表示部33は、ゲームオーバーランプ63(図2参照)が点灯状態となることで、スロットマシン1が打ち止めになったことを示す。
可変表示装置2の上側には、演出手段としての液晶表示器4が設けられている。液晶表示器4は、遊技状態に応じた様々な演出用の画像を表示する。また、液晶表示器4には、遊技に直接的または間接的に関わる様々な情報を表示することが可能である。
また、可変表示装置2の下方に設けられた台状部分の水平面には、メダル投入口13と、1枚BETボタン14と、MAXBETボタン15と、精算ボタン16とが設けられている。1枚BETボタン14及びMAXBETボタン15には、データとして蓄積されたクレジット(最大50)から賭け数の設定を可能としているときに点灯するBETボタンランプ70a、70b(図2参照)が内部に配されている。
メダル投入口13は、遊技者がここからメダルを投入するものであり、投入指示部29が点灯しているときにメダルの投入が投入メダルセンサ44によって検出されると、賭け数が設定され、或いはクレジットがデータとして蓄積される。1枚BETボタン14及びMAXBETボタン15は、データとして蓄積されているクレジットから賭け数(それぞれ1、3)を設定する際に遊技者が操作するボタンであり、遊技者によって操作されたことが1枚BETスイッチ45(図2参照)またはMAXBETスイッチ46(図2参照)によって検出されると、クレジットからの賭け数の設定が行われる。精算ボタン16は、クレジットの払い出しを指示するためのボタンであり、精算スイッチ47(図2参照)によって操作が検出されると、データとして蓄積されたクレジットに応じたメダルが払い出される。
その台状部分の垂直面には、スタートレバー11と、停止ボタン12L、12C、12Rとが設けられている。スタートレバー11は、ゲームを開始する際に遊技者が操作するもので、その操作がスタートスイッチ41(図2参照)によって検出されると、リール駆動モータ3ML、3MC、3MRが駆動開始され、リール3L、3C、3Rが回転開始する。
停止ボタン12L、12C、12Rは、それぞれ遊技者が所望のタイミングでリール3L、3C、3Rの回転を停止させるべく操作するボタンであり、その操作がストップスイッチ42L、42C、42R(図2参照)で検出されると、リール3L、3C、3Rの回転が停止される。停止ボタン12L、12C、12Rの操作が可能となっていることを、その内部に備えられた操作有効ランプ63L、63C、63R(図2参照)が点灯状態となることにより、遊技者に示す。
さらに、停止ボタン12L、12C、12Rを覆うパネルが、ボーナス告知部36として適用されている。ボーナス告知部36は、ボーナス告知ランプ66(図2参照)が点灯状態となることで、後述するビッグボーナス当選フラグまたはレギュラーボーナス当選フラグが100%の確率で設定されていることを遊技者に告知する。また、停止ボタン12Rの右側には、メダルが詰まったときなどにおいてスロットマシン1に機械的に振動を与えるメダル詰まり解消ボタン18が設けられている。
スロットマシン1の下部前面側には、メダル払い出し口71と、メダル貯留皿72とが設けられている。メダル払い出し口71は、ホッパー80(図2参照)によって払い出しが行われたメダルを外部に排出するものである。メダル貯留皿72は、払い出されたメダルを貯めておくためのものである。メダル貯留皿72の上の前面パネルには、内部に設置された蛍光灯6(図2参照)が発した光が照射される。
スロットマシン1の下部前面側と、上部前面側の左右とには、それぞれ演出手段としてのスピーカ7U、7L、7Rが設けられている。スピーカ7U、7L、7Rは、入賞時及びビッグボーナス、レギュラーボーナス突入時の効果音の出力や、異常時における警報音の出力を行うと共に、遊技状態に応じた様々な演出用の音声の出力を行う。
さらに、スロットマシン1の前面側には、可変表示装置2及び液晶表示器4の周囲を取り囲むように、演出手段としての遊技効果ランプ75A〜75M(図2参照)の発光により光による演出を行う遊技効果表示部5A〜5Mが設けられている。遊技効果表示部5A〜5Mは、遊技の進行状況に応じた様々なパターンで光による演出を行うものである。なお、遊技効果表示部5A〜5Mの発光色は、単色からなるものであっても、複数色からなるものであっても構わない。
図2は、このスロットマシン1の制御回路の構成を示す図である。図示するように、このスロットマシン1の制御回路は、電源基板100、遊技制御基板101、演出制御基板102、リール中継基板103、リールランプ中継基板104及び外部出力基板105に大きく分けて構成される。
電源基板100は、AC100Vの外部電源電圧を変圧し、遊技制御基板101その他のスロットマシン1の各部に動作電力を供給する。図2では、遊技制御基板101、ホッパー80、各スイッチ91〜94にのみ接続されているように示しているが、電源基板101は、他の各部への電力の供給も行っている。電源基板100は、スロットマシン1の内部に設けられ、メダルの払い出し動作を行うホッパーモータ82と、メダルの払い出しを検知する払い出しセンサ81とから構成されるホッパー80に接続されている。
電源基板100は、後述する内部抽選への当選確率を設定し、これに基づいて算出されるメダルの払出率の設定値(設定1〜設定6)を変更するための設定スイッチ91、設定スイッチ91を操作有効とする設定キースイッチ92、内部状態(RAM112)をリセットする第2リセットスイッチ93、及び電源のON/OFF切り替えを行うメインスイッチ94にもそれぞれ接続されてており、これらのスイッチの検出信号を遊技制御基板101へと送る。これらのスイッチ91〜94は、スロットマシン1の内部に設けられている。
遊技制御基板101は、スロットマシン1における遊技の進行全体の流れを制御するメイン側の制御基板であり、CPU111、RAM112、ROM113及びI/Oポート114を含む1チップマイクロコンピュータからなる制御部110を搭載している。また、乱数発生回路115、サンプリング回路116その他の回路を搭載している。
CPU111は、計時機能、タイマ割り込み機能を備え、ROM113に記憶されたプログラム(後述)を実行して、遊技の進行に関する処理を行うと共に、スロットマシン1内の制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。RAM112は、CPU111がプログラムを実行する際のワーク領域として使用される。ROM113は、CPU111が実行するプログラムや固定的なデータを記憶する。I/Oポート114は、遊技制御基板101に接続された各回路との間で制御信号を入出力する。
乱数発生回路115は、例えばシステムクロックが所定数のパルスを発生する度にカウントアップして値を更新するカウンタによって構成され、サンプリング回路116は、乱数発生回路115がカウントしている数値を取得する。乱数発生回路115は、遊技の進行に使用される乱数の種類毎に設けられていて、乱数の種類毎にカウントする数値の範囲が定められている。CPU111は、その処理に応じてサンプリング回路116に指示を送ることで、乱数発生回路115が示している数値を乱数として取得する(以下、この機能をハードウェア乱数機能という)。
CPU111は、また、タイマ割り込み処理により、RAM112の特定アドレスの数値を更新し、こうして更新された数値を乱数として取得する機能も有する(以下、この機能をソフトウェア乱数機能という)。CPU111は、I/Oポート114を介して演出制御基板102に、各種のコマンドを送信する。なお、遊技制御基板101から演出制御基板102へ情報(コマンド)は一方向のみで送られ、演出制御基板102から遊技制御基板101へ向けて情報(コマンド)が送られることはない。
遊技制御基板101には、1枚BETスイッチ45、MAXBETスイッチ46、スタートスイッチ41、ストップスイッチ42L、42C、42R、精算スイッチ47、第1リセットスイッチ48、投入メダルセンサ44が接続されており、これらのスイッチ/センサ類の検出信号が入力される。また、リール中継基板103を介して、リールセンサ3SL、3SC、3SRの検出信号が入力される。I/Oポート114を介して入力されるこれらスイッチ/センサ類の検出信号、或いは前述したように電源基板100を介して入力される各種スイッチの検出信号に従って、遊技制御基板101上のCPU111は、処理を行っている。
遊技制御基板101には、また、流路切り替えソレノイド49、ゲーム回数表示器51、クレジット表示器52、ペイアウト表示器53、投入指示ランプ59、1枚賭けランプ54、2枚賭けランプ55、56、3枚賭けランプ57、58、ゲームオーバーランプ63、スタートランプ60、リプレイランプ62、BETボタンランプ70a、70b、操作有効ランプ63L、63C、63Rが接続されており、CPU111は、遊技の進行状況に従ってこれらの動作を制御している。
また、遊技制御基板101には、リール中継基板103を介してリールモータ3ML、3MC、3MRが接続されている。CPU111は、ROM113内の遊技状態に対応したリール制御テーブルを参照して、リール中継基板103を介してリールモータ3ML、3MC、3MLを制御して、リール3L、3C、3Rを停止させる。なお、遊技状態が後述するRT(Replay Time)にあるときに参照されるリール制御テーブルによっては、ボーナス入賞がされないようになっている。
演出制御基板102は、スロットマシン1における演出の実行を制御するサブ側の制御基板であり、CPU121、RAM122、ROM123及びI/Oポート124を含む1チップマイクロコンピュータからなる制御部120を搭載している。また、乱数発生回路125及びサンプリング回路126を搭載しており、CPU121は、サンプリング回路126により乱数発生回路125がカウントしている値を取得することにより、遊技制御基板101と同様のハードウェア乱数機能を形成している。割り込み処理によるソフトウェア乱数機能も有している。
CPU121は、ROM123に記憶されたプログラム(後述)を実行して、演出の実行に関する処理を行うと共に、演出制御基板102内の各回路及びこれに接続された各回路を制御する。演出の実行は、バッファ回路127及びI/Oポート124を介して遊技制御基板101から受信したコマンドに基づいて行われる。RAM122は、CPU121がプログラムを実行する際のワーク領域として使用される。ROM123は、CPU121が実行するプログラムや固定的なデータを記憶する。I/Oポート124は、演出制御基板102に接続された各回路との間で制御信号を入出力する。
演出制御基板102には、遊技効果ランプ75A〜75M、液晶表示器4、スピーカ7L、7R、7U、蛍光灯6、ウェイトランプ61、ボーナス告知ランプ66が接続されている。また、リールランプ中継基板104を介してリールランプ3LPが接続されている。演出制御基板102の制御部は、これら各部をそれぞれ制御して、演出を行っている。
リール中継基板103は、遊技制御基板101と外部出力基板105及びリールユニット3との間を中継している。リール中継基板103には、また、満タンセンサ90が接続されており、その検出信号が入力される。満タンセンサ90は、スロットマシン1の内部に設けられ、ホッパー80からオーバーフローしたメダルを貯留するオーバーフロータンク内のメダルが満タンになったことを検知するものである。
リールランプ中継基板104は、演出制御基板102とリールユニット3との間を中継している。外部出力基板105は、ホールの管理コンピュータなどの外部装置に接続されており、遊技制御基板101からリール中継基板103を介して入力されたビッグボーナス中信号、レギュラーボーナス中信号、リール制御信号、ストップスイッチ信号、メダルIN信号、メダルOUT信号を、当該外部装置に出力する。
上記スロットマシン1においては、可変表示装置2の賭け数に応じて設定された有効ライン上に役図柄が揃うと、入賞となる。入賞が発生するためには、当該役の内部当選フラグが設定されている必要があるが、その詳細については後述する。入賞の際には、メダルの払い出しが行われ、また、入賞に伴って遊技状態が変化させられる(但し、RTへの制御は、入賞の発生に伴って行われるものではない)。以下、これらの入賞と判定される“役”について説明する。
通常の遊技状態において、賭け数に応じた有効ライン上に、例えば「BAR」が3つ揃った場合、遊技状態がレギュラーボーナスに移行する。レギュラーボーナスは、レギュラーボーナスゲーム(JACゲーム)と称されるゲームを所定回(例えば、12回)だけ行うこと、または所定回(例えば、8回)だけ入賞する(有効ライン上に「JAC」が揃う:JAC入賞)ことにより終了する。
遊技制御基板101には、レギュラーボーナスゲームの回数及びその入賞回数をカウントするカウンタが設けられている。なお、このレギュラーボーナスに移行した状態、すなわちレギュラーボーナスゲームが提供されている遊技状態を第1の特別遊技状態といい、遊技制御基板101内のRAM112にレギュラーボーナス中フラグが設定される。
賭け数に応じた有効ライン上に、例えば「色つき7」が3つ、または「色なし7」が3つ揃った場合には、遊技状態がビッグボーナスに移行する。ビッグボーナスにおいては、小役ゲームと称されるゲームを最大30ゲーム行うことができる。この小役ゲームでは、比較的高い確率で有効ライン上に「JAC」が揃い(JACIN)、JACINすると、前述したレギュラーボーナス(JACゲーム)が提供される(最大3回)。ビッグボーナスは、30回の小役ゲームが終了するか、3回目のJACINに基づいたレギュラーボーナスが終了することにより終了する。
遊技制御基板101には、小役ゲーム回数、JACINの回数、レギュラーボーナスゲームのゲーム数及びその入賞数をカウントするカウンタが設けられている。なお、このビッグボーナスに移行した状態を第2の特別遊技状態といい、遊技制御基板101内のRAM112にビッグボーナス中フラグが設定される。
また、レギュラーボーナスゲームまたはJACゲーム以外のゲームで、有効ライン上に「スイカ」または「ベル」が揃った場合、或いは左のリール3Lについて「チェリー」が現れた場合には、小役入賞となる。ビッグボーナス期間中において提供される小役ゲーム及びJACゲーム、並びにレギュラーボーナスゲームを除き、有効ライン上に「JAC」が揃った場合には、リプレイ入賞となる。それ以外の表示態様が可変表示装置2に導出表示された場合には、いずれの役にも入賞しなかったこと、すなわちハズレとなる。
なお、リプレイ入賞は、厳密な意味での小役入賞ではないが、遊技状態の移行を伴わない点では他の小役入賞と変わりがないので、特に断りがない限り、この実施の形態において「小役」といった場合には、リプレイを含むものとする。また、ビッグボーナス時におけるJACINや、JACゲーム中及びレギュラーボーナスゲーム中の役についても、「小役」に含まれるものとする。また、単に「ボーナス」といった場合は、ビッグボーナスとレギュラーボーナスの両方を含むものとする。
ビッグボーナスまたはレギュラーボーナスの入賞により、遊技状態がビッグボーナスまたはレギュラーボーナスに移行されると、その期間において遊技者が獲得できるメダルの枚数(払い出し枚数から設定した賭け数を減算したもの)の期待値がプラスとなる。これに対して、遊技状態がボーナスにないときの通常の遊技状態かRTのときに遊技者が獲得できるメダルの枚数の期待値はマイナスとなる。
以上説明した役への入賞があった場合には、リプレイ入賞であった場合を除いて、それぞれの役に応じた枚数のメダルが払い出される(但し、クレジット数が50に達するまでは、役に応じた数のクレジットがデータとして蓄積され、この場合もメダルと同様に有価価値を払い出したこととなる)。また、メダルの払い出しの枚数は、ベルの小役が8枚、チェリーの小役が2枚である他は、全て15枚である。
次に、内部抽選とボーナス当選のストック及びその放出について、さらに詳細に説明する。内部抽選は、後述する各役への入賞を許容するかどうかを事前に決定するものであり、ゲーム毎にハードウェア乱数機能を用いて取得した内部抽選用の乱数、設定スイッチ91による設定値、遊技者が設定した賭け数、及び現在の遊技状態に基づいてROM113内に用意された当選判定用テーブルを参照し、CPU111が行うことで、このような事前決定のための手段が構成される。内部抽選における当選は、排他的なものであり、1ゲームにおいて複数が同時に当選することはない。
小役(リプレイ等を含む)に当選した場合は、当該ゲームにおいて当選役に対応した当選フラグがRAM112に設定される。小役のうちで、本発明の実現に関わるチェリーとスイカの内部抽選における当選確率は、設定スイッチ91による設定値に関わらず、賭け数が3であれば、いずれも128分の1となっている。賭け数が2、1のときは、当選確率が低くなる。RAM112に小役当選フラグが設定されていると、該当する小役に入賞可能となる。なお、小役当選フラグは、各ゲームの終了時において消去され、次ゲーム移行に持ち越されることはない。
ビッグボーナスまたはレギュラーボーナスに当選した場合は、RAM112のストック数記憶部にその当選が一旦ストックされる。ここで、いずれの種類のボーナス当選フラグも設定されていない初当たりの状態であれば、ストックされたボーナス当選がシフトされ、該当するボーナス当選フラグがRAM112に設定されると共に、当該ボーナス当選のストック数が1だけマイナスされる。
ボーナス入賞によりボーナス当選フラグが消去されても、その時点でストックされたボーナス当選がボーナス当選フラグとしてシフトされるのではなく、当該ボーナス入賞に基づくボーナス終了時においてさらにボーナス当選がストックされていれば、その時点でストックされたボーナス当選がシフトしてRAM112にボーナス当選フラグとして設定される。ボーナス当選のストックから当選フラグへシフトする場合、当選がストックされているのがビッグボーナスとレギュラーボーナスの一方だけであれば、必然的にストックされている種類のものが選ばれてシフトされるが、両方がストックされている場合には、抽選によりいずれかが選択されてシフトされる。
もっとも、ボーナス当選フラグが設定されたからといって、ボーナス入賞が可能になるというものではない。ボーナス当選フラグが設定されるときには、RAM112のRT中フラグが設定されて遊技状態がRTに制御され、ボーナス入賞が不可能となるリール制御テーブルが選ばれてリール3L、3C、3Rの停止制御が行われるからである。このRTへの制御によりボーナス当選フラグが設定されていてボーナス入賞が不可能となっている状態は、さらなるボーナス当選のストックがない場合であっても、ボーナス当選がストックされている状態として扱われる。RTが解除され、通常の遊技状態に戻ると、RAM112に設定されたボーナス当選フラグに基づいて、ボーナス入賞が可能となる。
次に、RTの解除について説明する。このスロットマシン1におけるRTの解除条件は、RT解除抽選に当選するか、RTにおいて消化したゲーム数(以下、RTゲーム数)がRAM112に設定されたRT天井数(前のゲームで設定された値)以上となったときに成立する。RTゲーム数は、RAM112に設けられたカウンタによりカウントされ、遊技状態がRTとなったときに、初期値として0がセットされる。
RT解除抽選は、内部抽選においてチェリーの小役に当選したゲームにおいて行われるものであり、ソフトウェア乱数機能により抽出したRT解除抽選用の乱数の値に従って、当選かハズレかが決定される。RT解除抽選の当選確率は、2分の1であり、これに当選すると、RAM112のRT中フラグが消去され、RTが解除されて通常の遊技状態に戻る。
RT天井数は、ボーナス当選フラグが設定されるときにおいて初期値がRAM112に設定されるが、RT解除抽選にハズレた場合には、次に説明するように、その初期値に応じて予め定められた減算値だけ減算させられる。また、内部抽選においてチェリーの小役に当選せずにRT解除抽選が行われなくても、スイカの小役に当選している場合には、10だけ減算させられる。
図3は、RT天井数の初期値及び減算値に応じたRT天井数の期待値の変化を説明するテーブルである。RT天井数の初期値としては、1200ゲームか1800ゲームのいずれかが2分の1の確率で選択される。それぞれの初期値に対する減算値の組み合わせは、190ゲーム、413ゲームとなっている。RT天井数の初期値と減算値の組み合わせとしていずれが選択された場合でも、スイカの小役の当選時にもRT天井数が減算させられるが、その確率及び減算される値とも僅かであるため、図3でRT天井数の期待値を示す場合において無視している。また、賭け数が3でゲームが行われる場合が多いので、図3ではこれを前提として説明している。
RT天井数の初期値と減算値の組み合わせとしていずれが選択された場合でも、チェリーの当選確率、すなわちRT解除抽選が行われる確率は128分の1である。このうちで、RT解除抽選にハズレる確率、すなわちRT天井数が減算される確率は2分の1であるので、RT天井数の減算は、256分の1の確率で発生することとなる。すると、1ゲーム当たりにおいてRT天井数が減算される量の期待値は、減算値が190であれば0.7421875(=190/256)、減算値が413であれば1.6132813(=413/256)ということとなる。
すると、RT天井数の初期値が1200ゲームと1800ゲームであった場合において、RTでの1ゲーム目におけるRT天井数の期待値は、それぞれ1200、1800ゲームとなる。RTでの2ゲーム目におけるRT天井数の期待値は、それぞれ1199.2587…、1798.387…ゲームとなる。RTでの3ゲームにおけるRT天井数の期待値は、それぞれ1198.5156…、1796.773…ゲームとなる。
同様に、RTでの689ゲーム目におけるRT天井数の期待値は、それぞれ689.375…、690.0625…ゲームとなる。RTでの690ゲーム目におけるRT天井数の期待値は、それぞれ688.6382…、688.4492…ゲームとなる。RTでの691ゲームにおけるRT天井数の期待値は、それぞれ687.8906…、686.8359…ゲームとなる。
RT天井数の初期値を1200ゲームに設定した場合も1800ゲームに設定した場合も、RTの690ゲーム目ではRTゲーム数がRT天井数の期待値を越えることとなる。このようにRT天井数の初期値を異なる値に設定しても、特定のRTゲーム数まででそれぞれのRT天井数の期待値を越えるようにするためのRTゲーム数の初期値に対する減算値は、数式2の関係を満たす最小の値とすればよい。
(数2)
Y≧(X−G)/(A×(G−1))
数式2において、Xは、RT天井数の初期値、Yは、減算値、Aは、RT天井数の減算を行う確率(特定役の当選によりRT解除抽選を行い、RT解除抽選にハズレたときにRT天井数を減算する場合には、当該特定役の当選確率とRT解除抽選でハズレる確率の積)、Gは、RTゲーム数がRT天井数の期待値を越える特定のゲーム数である。
例えば、図3の例では、RT天井数の初期値Xは、1200または1800、RT天井数の減算を行うAは、1/256(=(1/2)×(1/128))、特定のゲーム数Gは、690となっている。これを数式2の右辺に代入すると、(1200−690)/((1/256)×(690−1))=189.4…、(1800−690)/((1/256)×(690−1))=412.2…となる。従って、減算値Yは、RT天井数の初期値Xが1200と1800のそれぞれの場合において、190、413と求められることになる。
また、スイカの小役に当選した場合のように、他のRT天井数の減算条件が成立したときにRT天井数の初期値に関わらず定数を減算することがある場合には、減算値は、数式3の関係を満たす最小の値とすればよい。数式3において、Bは、他のRT天井数の減算条件が成立する確率、Cは、他のRT天井数の減算条件が成立したときに、RT天井数から減算する定数である。
(数3)
Y≧(X−G−BC(G−1))/(A×(G−1))
なお、RT消化ゲーム数がRT天井数以上となってRTの解除条件が成立したときには、すぐにRTが解除されるのではなく、RAM112に設けられた解除待ちカウンタの値として5が設定され、解除待ち状態に移行される。この解除待ち状態も、RTの一態様として扱われ、ボーナス入賞が不可能となるように制御される。もっとも、5ゲーム以内で確実にRTが解除されるという点で、他の場合におけるRTと区別される。
以下、この実施の形態にかかるスロットマシン1における遊技動作について説明する。なお、以下の説明において“ゲーム”といった場合には、狭義には、スタートレバー11の操作からリール3L、3C、3Rを停止するまでをいうものとする。もっとも、ゲームを行う際には、スタートレバー11の操作前の賭け数の設定や、リール3L、3C、3Rの停止後にメダルの払い出しや遊技状態の移行も行われるので、これらの付随的な処理も広義には“ゲーム”に含まれるものとする。
図4は、遊技制御基板101のCPU111が実行する1ゲーム分の処理を示すフローチャートである。この処理は、電源を投入し、所定のブート処理を行った後、または設定スイッチ91の操作により設定変更を行った直後にも実行される。1ゲームの処理が開始すると、まず、RAM112の所定の領域をクリアする処理を含む初期処理が行われる(ステップS1)。
次に、1枚BETボタン14またはMAXBETボタン15を操作することにより、或いはメダル投入口13からメダルを投入することにより賭け数を設定し、スタートレバー11を操作することにより当該ゲームの実質的な開始を指示するBET処理を行う(ステップS2)。もっとも、前のゲームでリプレイ入賞していた場合には、リプレイフラグにより前のゲームと同じ賭け数が自動設定される(この段階でリプレイフラグが消去される)ので、そのままスタートレバー11を操作してゲームの開始を指示すればよい。
BET処理により賭け数が設定され、スタートレバー11が操作されると、上記した各役への入賞を許容するかどうかを決定する抽選処理を行う(ステップS3)。この抽選処理では、それぞれの抽選結果に基づいて小役当選フラグが設定され、ボーナス当選がストックされる。前回のゲーム以前にボーナス当選フラグが設定されていないでボーナス当選がストックされると、ボーナス当選フラグが設定されると共に、RTへ遊技状態が制御される。RT解除に関する処理も、抽選処理において行われる。なお、抽選処理の詳細については後述する。
抽選処理が終了すると、次にリール変動開始処理が行われる(ステップS4)。リール変動開始処理では、前回のゲームでのリール3L、3C、3Rの回転開始から1ゲームタイマが計時する時間が所定時間(例えば、4.1秒)が経過していることを条件に、リールモータ3ML、3MC、3MRを駆動させ、左、中、右の全てのリール3L、3C、3Rを回転開始させる。これにより、可変表示装置2において図柄が変動表示される。ここで、前回のゲームでの回転開始から所定時間が経過していない場合、回転開始待ちとなり、ウェイトランプ61を点灯させることによりその旨をウェイト表示部31で報知する。また、回転開始時にリール停止タイマ及び次回のゲームのための1ゲームタイマの計時を開始する。
その後、リール変動停止処理が行われる(ステップS5)。リール変動停止処理では、リールの回転開始から所定の条件(回転速度が一定速度に達した後、リールセンサ3SL、3SC、3SRにより基準位置を検出すること)が成立した後、停止ボタン12L、12C、12Rを操作有効とし、それぞれ遊技者によって操作されることにより、リールモータ3ML、3MC、3MRを駆動停止させ、リール3L、3C、3Rの回転を停止させる。また、リール停止タイマが計時する時間が所定時間(例えば、30秒)を経過すると、リール3L、3C、3Rの駆動を強制的に停止させる。
このとき、RAM112に設定している遊技状態に応じたリール制御テーブルを参照して、RAM112の各役の当選フラグの設定状況に応じてリール3L、3C、3Rの駆動停止を制御する。RTの遊技状態において参照されるリール制御テーブルでは、ボーナス当選フラグが設定されていても、ボーナス入賞が発生しないようになっている。
リール3L、3C、3Rの駆動がそれぞれ停止すると、その停止時における表示態様において、ステップS2のBET処理で設定した賭け数に応じた有効ライン上に上記したいずれかの役図柄が導出表示されたかどうかを判定する入賞判定処理が行われる(ステップS6)。この入賞判定処理でいずれかの役に入賞したと判定されると、遊技制御基板101において発生した入賞に応じた各種の処理が行われる。このような処理としては、リプレイ入賞した場合のリプレイフラグの設定、リプレイ以外に入賞した場合の払い出し予定数の設定、ボーナス入賞した場合のボーナス当選フラグの消去及びボーナス中フラグの設定が含まれる。また、入賞の有無及び入賞の種類を示す入賞情報コマンドを演出制御基板102に送信する。
入賞判定処理が終了すると、払出処理が行われる(ステップS7)。払出処理では、入賞判定処理において設定した払い出し予定メダル枚数だけだけクレジットを増加させる。但し、データとして蓄積されているクレジットの数が50に達した場合は、ホッパーモータ82を駆動させることにより、超過した枚数のメダルをメダル払い出し口71から払い出させる。また、入賞に関わらない各種の設定も行われ、特にボーナス終了時においてさらにボーナス当選がストックされているときには、ボーナス当選フラグの設定及びRTへの制御も行う。なお、払出処理の詳細については後述する。そして、1ゲーム分の処理が終了し、次の1ゲーム分の処理が開始する。
次に、上記したステップS3の抽選処理について詳しく説明する。図5は、CPU111がステップS3で実行する抽選処理を詳細に示すフローチャートである。まず、RAM112の解除待ちカウンタの値が1以上であるかどうかにより、RT解除待ちの状態にあるかどうかを判定する(ステップS101)。RT解除待ちの状態にあれば、解除待ちカウンタの値を1だけ減算する(ステップS102)。ここで、解除待ちカウンタの値が0となれば、通常の遊技状態に戻る。そして、ステップS103の処理に進む。RT解除待ちでもなければ、そのままステップS103の処理に進む。
ステップS103では、RAM112にRT中フラグが設定されているかどうかにより、現在の遊技状態がRT(解除待ちを除く)にあるかどうかを判定する。現在の遊技状態がRTになければ、そのままステップS108の処理に進む。現在の遊技状態がRTにあれば、RAM112のRTゲーム数の値を1だけ加算する(ステップS104)。
この結果として、RTゲーム数の値がRAM112に設定されているRT天井数以上となったかどうかを判定する(ステップS105)。RTゲーム数の値がRT天井数以上となっていなければ、ステップS108の処理に進む。RTゲーム数の値がRT天井数以上となった場合には、RAM112のRT中フラグを消去する(ステップS106)。また、RAM112の解除待ちカウンタの値として5をセットして、解除待ち状態に移行させる(ステップS107)。そして、ステップS108の処理に進む。
ステップS108では、ハードウェア乱数機能を利用して内部抽選用の乱数を抽出し、当該抽出した乱数の値をRAM112に一時格納する。さらに、RAM112に一時格納した乱数の値を、設定スイッチ91による確率設定、ステップS2のBET処理で設定した賭け数、並びに現在の遊技状態(通常中、RT中、ビッグボーナス中及びレギュラーボーナス中)に応じた当選判定用テーブルと比較する(ステップS109)。
次に、乱数の値を当選判定用テーブルと比較した結果、いずれかの種類の小役(リプレイ等を含む)に当選したかどうかを判定する(ステップS110)。いずれかの種類の小役に当選していた場合には、当該当選した小役の当選フラグをRAM112に設定する(ステップS111)。さらに、RAM112のRTゲーム数の値と解除待ちカウンタの値とにより、RTが解除された状態にあるか解除待ちの状態にあるかを判定する(ステップS112)。RTが解除されているか解除待ちの状態にあれば、そのまま抽選処理を終了して、図4のフローチャートに復帰する。
RTが解除されてなく、解除待ちにもない場合には、ステップS109で乱数の値を当選判定用テーブルと比較した結果、賭け数が3であれば128分の1の確率で当選するチェリーの小役に当選していたかどうかを判定する(ステップS113)。チェリーの小役に当選していれば、ソフトウェア乱数機能によりRT解除抽選用の乱数を抽出し、抽出した乱数の値に従って、当選確率が2分の1のRT解除抽選を行う(ステップS114)。この結果、RT解除抽選に当選したかどうかを判定する(ステップS115)。
RT解除抽選に当選した場合には、RAM112のRT中フラグを消去して、RTから通常の遊技状態に戻す(ステップS116)。そして、抽選処理を終了して、図4のフローチャートに復帰する。RT解除抽選にハズレた場合には、RAM112に現在設定されているRT天井数の値からRAM112に設定されている減算値だけ減算して、新たなRT天井数としてRAM112に設定する(ステップS117)。そして、抽選処理を終了して、図4のフローチャートに復帰する。
また、チェリーの小役に当選していなかった場合には、さらにステップS109で乱数の値を当選判定用テーブルと比較した結果、賭け数が3であれば128分の1の確率で当選するスイカの小役に当選していたかどうかを判定する(ステップS118)。スイカの小役に当選していれば、RAM112に現在設定されているRT天井数の値から10だけ減算して、新たなRT天井数としてRAM112に設定する(ステップS119)。そして、抽選処理を終了して、図4のフローチャートに復帰する。スイカの小役にも当選していなければ、そのまま抽選処理を終了して、図4のフローチャートに復帰する。
ステップS109で乱数の値を当選判定用テーブルと比較した結果、いずれの種類の小役にも当選していなかった場合には、今度はビッグボーナスに当選していたかどうかを判定する(ステップS120)。ビッグボーナスに当選していた場合には、ビッグボーナスストック数を1だけ加算させる(ステップS121)。そして、ステップS124の処理に進む。
ステップS109で乱数の値を当選判定用テーブルと比較した結果、ビッグボーナスに当選していなければ、今度はレギュラーボーナスに当選していたかどうかを判定する(ステップS122)。レギュラーボーナスに当選していた場合には、レギュラーボーナスストック数を1だけ加算させる(ステップS123)。そして、ステップS124の処理に進む。レギュラーボーナスにも当選していなかった場合には、抽選処理を終了して、図4のフローチャートに復帰する。
ステップS124では、RAM112において前回以前のゲームで既にボーナス当選フラグが設定されているかどうかを判定する。ボーナス当選フラグが既に設定されていれば、既にボーナス当選がストックされている状態で、さらにストックの加算があったこととなる。この場合には、今回の当選に基づいてボーナス当選フラグを設定することはないので、そのまま抽選処理を終了して、図4のフローチャートに復帰する。
ボーナス当選フラグが設定されてなければ、ここでは、今回のゲームでビッグボーナスかレギュラーボーナスの当選が新たにストックされた状態となっている。この場合には、まず、RAM112にRT中フラグを設定し、遊技状態をRTにする(ステップS125)。また、RAM112のRTゲーム数を0に初期化する(ステップS126)。また、ソフトウェア乱数機能により抽出した所定の乱数の値に従って、RT天井数の初期値と減算値との組み合わせを決定する(ステップS127)。
次に、ビッグボーナス当選フラグとレギュラーボーナス当選フラグのうちの今回当選した種類のボーナス当選フラグを、RAM112に設定する(ステップS128)。さらに今回当選した種類のボーナスについてRAM112に記憶されているストック数を1だけ減算する(ステップS129)。そして、抽選処理を終了して、図4のフローチャートに復帰する。
次に、上記したステップS7の払出処理について詳しく説明する。図6は、CPU111がステップS7で実行する払出処理を詳細に示すフローチャートである。まず、払い出し予定数が0となるまで、払い出し予定数を1ずつ減算していきながらホッパー80を制御してメダルを1枚ずつ排出させることで、入賞した役に対応した数のメダルを遊技者に払い出す。但し、クレジットの数が50に達していなければ、メダルを1枚ずつ排出する代わりにクレジットの数を1ずつ加算していく(ステップS201)。また、RAM112に設定された小役当選フラグ(リプレイ等を含む)を消去する(ステップS202)。
次に、RAM112のビッグボーナス中フラグ及びレギュラーボーナス中フラグの状態を参照し、現在の遊技状態がボーナス中となっているかどうかを判定する(ステップS203)。現在の遊技状態がボーナス中となっていなければ、そのまま払出処理を終了して、図4のフローチャートに復帰する。現在の遊技状態がボーナス中となっていれば、RAM112の各種カウンタを用い、当該ボーナスに遊技状態が移行されてからの消化ゲーム数(ビッグボーナスでは、小役ゲーム数とその中のレギュラーボーナスにおけるゲーム数を別々にカウントする。レギュラーボーナスでは、入賞数も)をカウントする(ステップS204)。
このカウント結果として、ボーナス(ビッグボーナス中のレギュラーボーナスを含まず)の終了条件となったかどうかを判定する(ステップS205)。ボーナスの終了条件となっていなければ、そのまま払出処理を終了して、図4のフローチャートに復帰する。ボーナスの終了条件となっていれば、RAM112の対応するボーナス中フラグを消去する(ステップS206)。
その後、ビッグボーナスかレギュラーボーナスの当選がさらにストックされているかどうかを判定する(ステップS207)。ビッグボーナスとレギュラーボーナスのいずれの当選もストックされていなければ、そのまま払出処理を終了し、図4のフローチャートに復帰する。
ビッグボーナスとレギュラーボーナスのいずれかの当選がストックされていれば、RAM112にRT中フラグを設定し、遊技状態をRTにする(ステップS208)。また、RAM112のRTゲーム数を0に初期化する(ステップS209)。また、ソフトウェア乱数機能により抽出した所定の乱数の値に従って、RT天井数の初期値と減算値との組み合わせを決定する(ステップS210)。
次に、ストックされているボーナスのうちでRT終了後に放出することとなるボーナスの種類を、ビッグボーナスかレギュラーボーナスのいずれかから選択する。ここで、ビッグボーナスかレギュラーボーナスのいずれか一方しかストックされていなければ、ストックされている種類のボーナスが放出することとなる種類として選択される。いずれもストックされていれば、ソフトウェア乱数機能による乱数の取得による抽選でボーナスの種類を選択する(ステップS211)。
RT終了後に放出することとなるボーナスの種類が決定されると、ビッグボーナス当選フラグとレギュラーボーナス当選フラグのうちの決定種類に対応したボーナス当選フラグを、RAM112に設定する(ステップS212)。さらに当選した種類のボーナスについてストックされている数を1だけマイナスする(ステップS213)。そして、払出処理を終了し、図4のフローチャートに復帰する。
以上のようなゲームの繰り返しにおいて、遊技制御基板101のCPU111は、通常の遊技状態、レギュラーボーナス及びビッグボーナスの間で遊技状態の移行を行っており、遊技の進行状況に応じてコマンドを演出制御基板102に送信している。これに対して、演出制御基板102のCPU121は、遊技制御基板101から受信したコマンドに基づいて、独自の処理による演出を行っている。演出制御基板102により行われる演出については、本発明とは特に関係がないため、詳細な説明は省略する。
以上説明したように、この実施の形態にかかるスロットマシン1では、ボーナス当選フラグが設定されても、解除条件が成立するまでは遊技状態がRTに制御されて、ボーナス入賞が不可能となるように制御される。ここで、RTを解除してボーナス入賞を可能とするための解除条件としては、RT解除抽選に当選することとRTゲーム数がRT天井数以上となることとが併用されている。
ここで、RT解除抽選に当選すれば、そのままRTが解除されることとなるので、その結果について遊技者が期待感を持てるものとなる。一方、RT解除抽選にハズレても、RT天井数がその初期値に応じて設定された減算値だけ減算させられるので、RTゲーム数がRT天井数以上になり易くなり、こちらの条件でのRTの解除について遊技者が期待を持てるものとなる。このように遊技者の期待感を持たせることにより、遊技の興趣を向上させることができる。
また、RT解除抽選にハズレたことによってRT天井数を減算させることによって、RT天井数以上となって確実にRTを解除させるまでに消化しなければならないRTゲーム数を少なくさせることができる。このため、確実にRTを解除するまでのRTゲーム数が長くなり過ぎるのを極力防ぐことができるようになり、遊技者の不利益が大きくなり過ぎるのを防ぐことができる。
RT解除抽選に当選したときには、その時点ですぐにRTが解除されることとなるが、RTゲーム数がRT天井数以上となったときには、5ゲームのRT解除待ちを経てからRTが解除されることとなる。このため、実際にはRTが解除されていない状態となっていても、RTの解除条件が既に成立していることを遊技者に期待させることもでき、遊技の興趣を向上させることができる。
RT解除抽選は、チェリーの小役に当選したときに行われるものとしているが、その当選は、可変表示装置2の表示結果に従って遊技者が見た目上で分かるものとなる(100%の確率ではないが)。このような見た目上でも分かることとなるチェリーの小役の当選によってRT解除抽選を行うものとすることで、RT解除抽選を行う契機が分かり易いものとなる。しかも、入賞の発生ではなく、内部抽選の結果を条件としているため、遊技者の技量に左右されることなく、同じ割合でRT解除抽選を行うことができる。
チェリーの小役に当選する確率は、128分の1であるので、RT解除抽選が行われるのは128ゲームに1回の割合ということとなる。これに対して、RT解除抽選にハズレたときにRT天井数が減算させられる減算値は、190か413のいずれかであって、RT解除抽選を1回行うだけの平均ゲーム数より大きくなっている。このため、RT解除抽選にハズレたときであっても、チェリーの小役に当選したときには、遊技者はお得感を感じることができるので、遊技者の期待感を喪失させることがない。
さらに、RT天井数は、チェリーの小役に当選し、且つRT解除抽選にハズレたとき以外であっても、スイカの小役に当選していれば、10ずつ減算されていく。このようにRT解除抽選が行われないときでも、RT天井数が減算される場合があることで、遊技者の期待感を持続させることができる。特にスイカの小役への当選も、チェリーの小役への当選と同様に、可変表示装置2の表示結果に従って遊技者が見た目上で分かるものであるので、遊技者の期待感を高めさせることができる。しかも、入賞の発生ではなく、内部抽選の結果を条件としているため、遊技者の技量に左右されることなく、同じ割合でRT天井数を減少させることができる。
ところで、RT天井数の初期値としては、1200ゲームと1800ゲームの2種類が用意されており、遊技状態がRTに制御される度に、そのいずれかが選択される。RT天井数の初期値に対応して、減算値も190か413のいずれかが選択される。このようにRT天井数の初期値と減算値の組み合わせとして複数種類のものを用意することで、RTが解除されるまでの遊技の進行パターンが増えることとなり、遊技の興趣を向上させることができる。
もっとも、RT天井数の初期値と減算値の組み合わせとして、いずれの種類のものが選ばれた場合であっても、RTゲーム数がRT天井数以上となることによりRTが解除されることとなるRTゲーム数の期待値は同じである。このため、初期値として大きな1800ゲームがRT天井数の期待値として選択されたときであっても、遊技者の期待感を失わせることがない。
さらに、RT天井数の初期値、減算値、RT解除となるまでのRTゲーム数の期待値などには、数式2、数式3に示した関係があるので、複数種類のRT天井数の初期値に対応した減算値が容易に求められるものとなっている。RT天井数の初期値が上記した1200ゲームと1800ゲーム以外であっても、RT解除となるまでのRTゲーム数の期待値を同じとするような減算値を容易に求められるので、さらにそのRT天井数の初期値と減算値との組み合わせが異なる機種への仕様変更も容易に行うことができる。
本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施の形態の変形態様について説明する。
上記の実施の形態では、RT解除抽選にハズレたときは、RAM112のRT天井数を設定された減算値だけ減算させるものとしていた。これに対して、RT解除抽選にハズレたときに、RAM112においてカウントしているRTゲーム数の方を、設定された減算値だけ加算させるものとしてもよい。
また、ダウンカウンタを用いてRTゲーム数の残りゲーム数をカウントし、この値が0になったときにRTを解除する場合には、遊技状態がRTに移行したときに、RT天井数の初期値を当該ダウンカウンタの初期値としてセットすることができる。RT解除抽選にハズレたときには、このダウンカウンタの値を、その初期値に応じて定められた減算値だけ減算させるものとすることができる。もっとも、ダウンカウンタの値を減算せずに、RTを解除するための判定値を初期値に応じて定められた減算値だけ加算させることもできる。
上記の実施の形態では、RT解除抽選に当選したときは、解除待ちに移行させることなく即RTを解除し、RTゲーム数がRT天井数以上となったときには、5ゲームの解除待ちを経てからRTを解除するものとしていた。これに対して、RT解除抽選に当選したときに、解除待ちを経てからRTを解除したり、RTゲーム数がRT天井数以上となったときに、即RTを解除するものとしてもよい。解除待ちの状態も5ゲームで固定とするのでなく、例えば当選確率が5分の1の抽選に当選したときに、RTを解除するものとしてもよい。
また、解除待ちを経てからRTを解除するものとする場合、この解除待ちの期間において所定の演出を行うものとしてもよい。未だ解除待ちとなっていないRTにあるときにも、所定の割合で解除待ちのときと同様の演出を行うものとしてもよい。特にこのような解除待ちの状態にあるときに所定の演出を行うことによって、そのような演出が行われたときには、RTの解除が近いことを遊技者に期待させることができるので、遊技の興趣を向上させることができる。
上記の実施の形態では、RT解除抽選は、当選確率が128分の1のチェリーの小役に当選したときに行われるものとしており、その当選確率は2分の1であった。これに対して、チェリー以外の役の当選など他の条件が成立したときに、RT解除抽選を行うようにしてもよい。また、RT解除抽選を行うための条件を設定せず、遊技状態がRTにあるときの全てのゲームでRT解除抽選を行うようにしてもよい。
全てのゲームでRT解除抽選を行う場合に、RTが解除される確率を上記の実施の形態と同じにするためには、その当選確率は256分の1に設定する必要がある。ここで、RT解除抽選にハズレたときにRT天井数を減算するものとせず、当選確率と同じ256分の1の確率でRT天井数の減算を行うものとすることができる。もっとも、RTが解除される確率と、RT天井数の減算を行う確率とは、必ずしも同一でなくてもよい。
また、チェリーの小役に当選したことではなく、可変表示装置2の表示結果によりチェリーの小役(他の種類の役であっても可)に入賞したときに、RT解除抽選を行うものとすることができる。チェリーの小役の入賞は、その成立が見た目上で確実に判断できるものであるので、チェリーの小役の当選をRT解除抽選を行う条件とした場合よりも、さらにRT解除抽選を行う契機が分かり易くなる。また、スイカの小役の当選ではなく、スイカの小役の入賞が発生したときに、RT天井数を10だけ減算させるものとすることもできる。
上記の実施の形態では、RT解除抽選とRTゲーム数のカウントとは、いずれも遊技状態がRTにあるとき、すなわちボーナス当選がストックされている状態で行われるものとなっていた。しかしながら、ボーナス終了後にさらにボーナス当選がストックされていなかった場合には、そこからゲーム数のカウントを開始するものとしてもよい。すなわち、少なくともRT解除抽選を行い得るときにおいてゲーム数をカウントするのであれば、RT解除抽選を行い得ないときにゲーム数をカウントしてもよい。もっとも、RT解除抽選が行い得ないときには、RT解除抽選にハズレるということがないので、天井数の減算が行われることはない。
上記の実施の形態では、異なるRT天井数の初期値に対して、RT天井数の初期値の減算が行われる確率を同じとしても、数式1または数式2に従ってそれぞれの減算値を設定することによって、RT天井数の初期値が異なってもRTゲーム数がRT天井数に到達するまでの期待ゲーム数が変わらないようにしていた。これに対して、同じRT天井数の初期値に対して、減算値とRT天井数の減算が行われる確率を異なるものとしたり、同じ減算値に対して、RT天井数の初期値と減算が行われる確率を異なるものとしたりしてもよい。これらの場合も、数式2または数式3を満たすように値を設定することで、いずれの組み合わせを選択しても、RT天井数に到達するまでのRTゲーム数の期待値を同じにすることができる。
上記の実施の形態では、ボーナス当選フラグが設定されていても、遊技状態がRTにある場合には、このときに選択されるリール制御テーブルによりボーナス入賞することは完全に不可能となっていた。しかしながら、例えば、RT時に選択するリール制御テーブルとして、完全に正しい手順による場合10分の1の確率でボーナス入賞させられるものを考えると、停止ボタン12L、12C、12Rの押し順として6通り、図柄の組み合わせとして12通りのものがあると、(1/10)×(1/6)×(1/12)=1/720というようにボーナス入賞が困難となるものであってもよい。このようにRT時にボーナス入賞を完全に不可能としなくても、RT時にはボーナス入賞がボーナス当選確率よりも低い確率でしか発生しないほど困難なものとすることで、ボーナス当選のストック機能を実現することもできる。
上記の実施の形態では、ボーナス当選フラグの設定と、さらなるボーナス当選のストックとをRAM112において分けていたが、ストック数のトータルを示す複数ビットのボーナス当選フラグを設けるものとしてもよい。ビッグボーナスとレギュラーボーナスのストックを当選順に記憶しておき、当選した順番でビッグボーナスとレギュラーボーナスのいずれかを放出するようにしてもよい。また、ボーナス当選フラグが設定されている場合に、遊技状態をRTとしてボーナス入賞させないことだけでなく、所定の条件が成立するまでボーナス入賞を不可能とするような制御をすれば、他の方法によりボーナス当選のストックを実現することもできる。ビッグボーナスとレギュラーボーナスのいずれか一方のみの当選をストックするものでもよい。
上記の実施の形態では、ボーナス当選フラグが設定されていてもボーナス入賞を不可能とするRTの解除を、RT解除抽選に当選するか、RTゲーム数がRT天井数以上となったときに行うものとしていた。つまり、抽選の結果とゲーム数の消化に応じて遊技者に付与される特典は、ボーナス入賞を可能とするためのRTの解除ということになっていた。これに対して、AT(Assist Time)、CT(Challenge Time)、RT(上記のストック機におけるものと異なり、純粋にリプレイの当選確率を高くするもの)、AR(AT+RT)などの特定遊技状態への移行についても、上記の実施の形態と同様に抽選の結果とゲーム数の消化に応じて遊技者に付与される特典として適用することができる。
遊技者に付与される特典としては様々な種類のものを適用可能であるので、抽選の結果とゲーム数の消化とのそれぞれに応じて、異なる種類の特典を遊技者に付与するものとしてもよい。例えば、特典の種類としてストック機におけるRTの解除と、ATの発生との2種類が用意されている場合には、RT解除抽選の当選でRTの解除を、RT解除抽選のハズレでATを発生させる条件となるAT条件ゲーム数を、上記したRT天井ゲーム数と同様に減少させるものとすればよい。
このATは、ボーナス終了から消化したゲーム数がAT条件ゲーム数に達することによって発生するもので、AT条件ゲーム数の初期値が、ボーナス終了時にセットされる。ボーナスの終了後、ボーナス当選のストックがなく、RTに制御されない場合であっても、ボーナス終了からのゲーム数をカウントすることができる。もっとも、AT条件ゲーム数が減少される場合が生じるのは、その後にボーナス当選があって、遊技状態がRTに制御された後ということとなる。
また、抽選の結果に基づいて付与される特典(ここでは、RTの解除)は、所定のゲーム数(ここでは、AT条件ゲーム数の消化)によって付与される特典(ここでは、ATの発生)よりも価値の高いものであることが好ましい。この場合には、抽選の結果によって価値の高い特典が付与されなくても、依然として価値の低い方の特典が付与されるまでの期間を短縮させることとなるので、遊技者の期待感を失わせない。一方、複数種類の特典を適用したことで、遊技の展開されるパターンが増えることとなるので、遊技の興趣を向上させることができる。
上記の実施の形態では、RT解除抽選に当選した場合の他、RTゲーム数がRT天井数以上となったときに、RTが解除されるという特典が遊技者に付与されるものとなっていた。これに対して、例えばRTにおけるゲーム数ではなくRTにおいて遊技者が設定した賭け数の合計をカウントし、カウントした賭け数の合計が設定されたRT天井数以上となったときに、RTを解除するという特典を遊技者に付与するものとしてもよい。RT天井数の初期値と減算値とは、ゲーム数の代わりに賭け数の合計を設定したことで、これに応じたものとなる。
さらに、遊技の進行に伴ってその数が変化する指数であれば、ゲーム数や賭け数の代わりのカウント対象として適用することができる。カウント対象として適用した指数が遊技の進行に伴って増加する(増加する傾向にある、すなわち期待値が増加するものを含む)指数であるときには、上記の実施の形態に示した手法を採用することができる。カウント対象として適用した指数が遊技の進行に伴って減少する(減少する傾向にある、すなわち期待値が減少するものを含む)指数であるときには、上記したダウンカウンタを用いた変形例の手法を採用することができる。
上記の実施の形態では、可変表示装置2は、外周部に複数の図柄を所定順に配した3つのリール3L、3C、3Rを備えるものとし、これらのリール3L、3C、3Rの回転駆動によって図柄を可変表示させるものとしていた。しかしながら、液晶表示装置などの表示装置上で仮想的に図柄を可変表示させるものを、上記のような可変表示装置2の代わりに用いてもよい。
上記の実施の形態では、本発明をスロットマシンに適用した場合を例として説明したが、本発明は、パチンコ遊技機などの他の遊技機においても適用することができる。パチンコ遊技機に適用する場合、例えば、特図ゲームにおける大当たりは、始動入賞したときの抽選に当選したときか、前回の大当たりが終了してからの特図ゲームの実行回数が天井数に到達したときに、発生するものとすることができる。始動入賞したときの抽選に当選しなかったときには、(一定の割合で)天井数を所定の減算値だけ減算させるものとすることができる。