JP2005073509A - ヒトアンチトロンビンの生産方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ヒトアンチトロンビンを細胞培養法にて高濃度で取得する。
【解決手段】 ヒトアンチトロンビンをコードする遺伝子およびジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子を発現可能な状態で有するプラスミドをCHO細胞に形質転換して得られた細胞を、浮遊化して培養可能な無血清培地を入れたホローファーバー型細胞培養器で培養して、ヒトアンチトロンビンを製造する。このとき、ヒトアンチトロンビンの濃度が細胞培養液中、少なくとも1IU/mL以上となるように、細胞培養液の一部を新鮮培養液と交換しながら連続培養する。
【選択図】なし
【解決手段】 ヒトアンチトロンビンをコードする遺伝子およびジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子を発現可能な状態で有するプラスミドをCHO細胞に形質転換して得られた細胞を、浮遊化して培養可能な無血清培地を入れたホローファーバー型細胞培養器で培養して、ヒトアンチトロンビンを製造する。このとき、ヒトアンチトロンビンの濃度が細胞培養液中、少なくとも1IU/mL以上となるように、細胞培養液の一部を新鮮培養液と交換しながら連続培養する。
【選択図】なし
Description
本発明は、ヒトアンチトロンビンの生産方法に関する。具体的には、ホローファイバー型細胞培養器を用いたヒトアンチトロンビンの生産方法に関する。
ヒトアンチトロンビンはヒト血漿中に150mg/L程度(この濃度は、約1IU/mLに相当する。)含まれている分子量約58,000の生体内タンパク質である。ヒトアンチトロンビンは、セリンプロテアーゼ阻害剤の一種であり、ヘパリンの存在下において強いトロンビンの阻害活性を有する。したがって、その生理学的な重要性は高く、その製剤は臨床上、先天性アンチトロンビン欠損症および汎発性血管内凝固症候群(DIC)の治療に使用されている。
アンチトロンビン製剤は、他の生体内活性物質、例えばサイトカイン製剤等と比較すれば、多量のヒトアンチトロンビンが必要となる。したがって、効率よく大量のアンチトロンビンを生産する方法が求められる。
アンチトロンビン製剤は、他の生体内活性物質、例えばサイトカイン製剤等と比較すれば、多量のヒトアンチトロンビンが必要となる。したがって、効率よく大量のアンチトロンビンを生産する方法が求められる。
ところが、ヒトタンパク質は、通常翻訳後に高度な修飾が施されている例が多く、そのため、組換え遺伝子を導入する宿主細胞として、産生量の低い哺乳類系の細胞、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞やベイビーハムスター腎臓(BHK)細胞、ヒト胎児腎臓(HEK293)細胞、ヒト肝癌(HepG2)細胞、ヒト子宮頸部癌(HeLa)細胞などを選択しているのが現状である。
しかし、これらの細胞は付着性細胞であって、組織培養フラスコを使用した培養では、浮遊性細胞と比較して同一のスペースで培養できる細胞数は少なく、維持管理する手間も多い。そこで、これらの付着性細胞を無血清培地にて培養することにより浮遊化して、培養フラスコと同様な条件下で培養する方法が、例えば特公平8−4495号公報や特許第2990805号公報に開示されている。これらの方法によれば、付着性細胞を浮遊性細胞と同様な培養条件下で培養することが可能となり、生産効率の向上を図ることができる。
そして、さらにその生産性を高めるべく、特許第2798659号公報には、pBR322配列およびアンチトロンビンcDNAを発現可能に含むベクターおよびジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子(dhfr)を発現可能に含むベクターを共形質転換した哺乳動物細胞を用いる方法、さらに特許第2576200号公報には、生理活性タンパク質をコードする遺伝子およびジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子(dhfr)を発現可能な状態で有するプラスミドをチャイニーズ・ハムスターオバリージヒドロ葉酸還元酵素欠損株(CHO dhfr-)に形質転換して得られた浮遊攪拌培養に適した細胞を用いる方法が開示されている。
一方、浮遊性細胞や付着性細胞を、中空糸膜をハウジングに納めたいわゆるホローファイバー型細胞培養器(あるいは中空糸膜型バイオリアクターと称される)で大量培養する方法が、例えば、特開平3-103170号公報に開示されている。このようなホローファイバー型細胞培養器によると、培養フラスコを用いた従来の浮遊化培養方法に比べると高密度(約10倍程度)に培養し、かつ中空糸膜を通じて栄養、ガス、老廃物の交換を行いえるので長期間の生育が可能になる一方、細胞によって生産されるタンパク質は高分子であるため中空糸膜を通過できず、チャンバー中に蓄積される。
そして、産生された生産物質を回収するために、培養器(ハウジングと中空糸膜との間の空間)中の細胞培養液を連続的もしくは間歇的に取り出し、取り出した液量とほぼ等しい液量の新鮮培養液を追加供給して、さらに高濃度にしかも長期間に培養するシステムも提供されている(例えば、株式会社京都第一科学製 「高密度細胞培養装置」)。
特公平8−4495号公報
特許第2990805号公報
特許第2798659号公報
特許第2576200号公報
特開平3-103170号公報
株式会社 京都第一科学 「高密度細胞培養装置」販売カタログ
ところが、単に細胞を浮遊培養させた場合で、多くても細胞培養液中のアンチトロンビン濃度は1μg/mL(0.007IU/mL)程度にしかすぎない。また、特許文献2や特許文献3に記載された細胞を用いた場合でも、細胞培養液中のアンチトロンビン濃度は5μg/mL(0.03IU/mL)程度にしかすぎない。
一方、ホローファイバー型細胞培養器を用いたとしても、中空糸膜への細胞付着や生産物質による細胞毒性により、期待する細胞密度で連続培養を確保できるとは限らない。そして、細胞培養器中の培養液を連続的もしくは間歇的に取り出して培地交換を行えば、一度の細胞接種におけるタンパク質の総生産量は増加するが、培地交換により取り出した細胞培養液中のタンパク質濃度が低下すればタンパク質の回収作業が面倒なものになる。
そこで、本願発明者らは、ヒトアンチトロンビンを高濃度で回収するとともにタンパク質の総生産量を向上すべく鋭意検討したところ、ヒトアンチトロンビンをコードする遺伝子を発現可能な状態で有するプラスミドを付着性細胞に形質転換して得られた細胞を、浮遊化、例えば培養可能な無血清培地を用いて浮遊化し、ホローファーバー型細胞培養器にて培養することによって、上記目的が達成できることを見出し、本願発明を完成するに至った。
本発明の生産方法は、細胞培養によりヒトアンチトロンビンを高濃度、具体的には少なくとも1IU/mL以上に生産させる方法であって、ヒトアンチトロンビンをコードする遺伝子を発現可能な状態で有するプラスミドを付着性細胞に形質転換して得られた細胞を、ホローファーバー型細胞培養器にて浮遊化培養することを特徴としている。
そして、この場合に、さらにジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子を発現可能な状態で有するプラスミドを用いることを特徴としている。
また、前記付着性細胞を浮遊化させるには、浮遊化して培養可能な無血清培地を用い、さらに、培養細胞が浮遊する細胞培養液の一部を回収補充しながら連続培養するのがよい。そして、細胞培養液中のヒトアンチトロンビン濃度をより高濃度に維持するべく、細胞培養液の回収(交換)スピードを調整するのが好ましい。
そして、この場合に、さらにジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子を発現可能な状態で有するプラスミドを用いることを特徴としている。
また、前記付着性細胞を浮遊化させるには、浮遊化して培養可能な無血清培地を用い、さらに、培養細胞が浮遊する細胞培養液の一部を回収補充しながら連続培養するのがよい。そして、細胞培養液中のヒトアンチトロンビン濃度をより高濃度に維持するべく、細胞培養液の回収(交換)スピードを調整するのが好ましい。
本発明によれば、ヒトアンチトロンビンが細胞培養液中に従来の方法では想像さえつかない程度の高濃度で生産され、高濃度にヒトアンチトロンビンを含有する培養液を連続的に回収できる。この結果、ヒトアンチトロンビンの精製工程等の後処理を効率よく行うことができる。また、ヒトアンチトロンビンの抗アポトーシス作用によって細胞の寿命が延び、フラスコ培養に比べて非常に長期にわたって連続的にヒトアンチトロンビンを生産、回収できる。こうして、一度の培養、一度の細胞接種によるヒトアンチトロンビンの総生産量が飛躍的に増大する。
本発明の生理活性タンパク質の生産方法は、いわゆるホローファイバー型の細胞培養器を用いて行う方法であって、付着性細胞を細胞培養器内において浮遊培養して、ヒトアンチトロンビンを生産させる方法である。この方法を採用することによって、従来のフラスコ法(浮遊培養法)に比べて格段に高い濃度、少なくとも1IU/mL以上にヒトアンチトロンビンを含有する細胞培養液を回収することができる。
本発明において使用されるホローファイバー型の細胞培養器は、細胞が浮遊する培養液の一部を交換できるシステムであれば特に制約されるものではないが、当該培養液の交換速度を可変できるシステムを用いるのが望ましい。このシステムとしては、例えば、上記非特許文献1に示されたシステムが示され、Bio Best社から上市されている販売名「AcuSyst-Maximizer-1000」が具体的に例示される。また、新鮮な培養液を供給できる限りにおいていかなる細胞培養器でも実施可能で、培養された細胞が浮遊する培養液を交換できない細胞培養器でもアンチトロンビンを高濃度に産生させることは可能であるが、培養できる期間が短くなり一度の培養で多量のヒトアンチトロンビンを得ることが困難になる。
本発明においては、細胞培養器中において付着性細胞を浮遊培養させる必要がある。浮遊培養の方法として、例えば、浮遊化に馴化させた後に浮遊化に適した細胞を選択して培養する方法や付着性細胞を浮遊化できる無血清培地、例えば上記特許文献2,3に記載された無血清培地を用いて培養する方法があるが、本発明においては後者の方法が好ましく採用される。前者では、浮遊培養に馴化させる期間や浮遊化した細胞の選択を行わなければならないが、後者の方法では浮遊化させる手順を省けるとともに無血清培地を用いることによって培地血清由来によるアンチトロンビンの汚染を防げるからである。このような無血清培地として、ASF104N(味の素タカラコーポレーション社製)、CHO−S−SFMII(Invitrogen社製)が具体的に例示される。
次に、タンパク質の産生に用いる細胞は、上記理由から、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞やベイビーハムスター腎臓(BHK)細胞、ヒト胎児腎臓(HEK293)細胞、ヒト肝癌(HepG2)細胞、ヒト子宮頸部癌(HeLa)細胞などの哺乳類系の付着性細胞が好適であり、その中でも特に、CHO細胞やBHK細胞、HEK293細胞が望ましい。
これらの細胞には、目的とするタンパク質をコードする遺伝子が予め導入される。遺伝子の導入には、タンパク質をコードする遺伝子を組み込んだベクターを形質転換して導入する方法、あるいは遺伝子組換えプラスミドを形質導入する方法、直接遺伝子を導入する方法などがあるが、公知のいずれの方法でもよく、具体的には特許文献2に記載開示された方法が参照される。また、形質転換する方法としても、リポフェクション法やリン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法等の公知の方法が例示される。
これらの細胞には、目的とするタンパク質をコードする遺伝子が予め導入される。遺伝子の導入には、タンパク質をコードする遺伝子を組み込んだベクターを形質転換して導入する方法、あるいは遺伝子組換えプラスミドを形質導入する方法、直接遺伝子を導入する方法などがあるが、公知のいずれの方法でもよく、具体的には特許文献2に記載開示された方法が参照される。また、形質転換する方法としても、リポフェクション法やリン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法等の公知の方法が例示される。
さらに、本発明においては、導入された遺伝子の発現量を高めるべく、dhfr遺伝子を挿入されたベクターを、dhfrを欠損した細胞に導入するのが好ましい。このdhfr遺伝子は、特許文献3に記載されたようにヒトアンチトロンビンをコードする遺伝子を発現可能な状態で含むベクターに含ませても、また特許文献2に記載されたようにヒトアンチトロンビンをコードする遺伝子を含むベクターとは異なるベクターに導入して細胞内に共存させても差し支えない。そして、dhfr遺伝子の導入についてもこれらの特許文献2や特許文献3に開示された方法が参照される。そして、メトトレキセートに耐性を示した細胞を選択する。この方法によれば、タンパク質をコードするベクターが高度に複製しており、タンパク質の産生能力が向上する。
このような培養方法の採用によって、細胞培養液中のアンチトロンビンは比較的高濃度で産生されるが、このままでは連続培養可能な期間が短くなり、一度の接種、培養で得られるタンパク質総量を増やすことができない恐れがある。そこで、本発明においては、細胞培養液の一部を新鮮な培養液と交換しながら連続培養をするのが好ましい。すなわち、細胞が浮遊している培養液を少量ずつ細胞培養器から抜き取るとともに新鮮な培養液を供給する。この場合においても、ホローファイバー内部には新鮮な培養液が供給され、細胞培養液中の老廃物はホローファイバーを通じて培養器外部に排出される。
この交換速度は、細胞培養液中のアンチトロンビン濃度が少なくとも1IU/mL、好ましくは5IU/mL、望ましくは10IU/mL以上となるように調整される。この濃度は、特許文献2の実施例4に記載されている浮遊培養による際の濃度(5〜6μg/mL=0.03〜0.04IU/mL)に比べて、約25〜30倍以上、10IU/mLとした場合にはその約250倍以上の高濃度であって、処理すべき培養液量を従来の方法の約1/25〜1/30以下とすることができる。
より具体的に言えば、この交換速度は、細胞培養器(ホローファイバーの外部)を流れる全流路(新鮮培地タンク→ハウジング→回収タンク)の総容量に応じて異なるが、概ね毎分総容量の10%以下、好ましくは2〜5%程度である。さらに、具体的に言うと上記「AcuSyst-Maximizer-1000」では、20ml/min以下、好ましくは2〜5ml/minの流量で交換するのがよい。なお、培養液の交換は培養開始直後から始めても差し支えないが、培養初期ではヒトアンチトロンビン濃度が低いので、培養開始数日経過後、アンチトロンビン濃度が1IU/mLを超えたところから培地交換を始めるのがよい。また、交換速度は、細胞培養液中のアンチトロンビン濃度により適宜調整され、より高濃度、例えば5IU/mL、望ましくは10IU/mLとなるように交換速度を絞り込んでも差し支えない。
〔遺伝子組換えヒトアンチトロンビン発現ベクターの構築〕
まず、発現ベクターとして、pcDNA3.1-(+)ベクター(invitrogen社製)にマウスdhfr発現カセットを挿入した遺伝子増幅用発現ベクターpcDNA3.1-(+)-dhfrを作製した。マウスdhfr遺伝子発現カセットは、pSV2-dhfr(ATCC 37146)を鋳型とし、PCR法にてクローニングした。このとき、フォワードプライマーは、CCCACGTGTCGCGACAATTAGTCAGCAACCATAGTCCとし、リバースプライマーは、CCCACGTGTCGCGAGGACAAACCACAACTAGAATGCとした。得られたPCR断片は、TAクローニング法によりpCR-2.1ベクター(invitrogen社製)にクローニングし、Nru Iを付加したdhfr遺伝子をクローニングしたベクターpCR-2.1-dhfrを作製した。そして、得られたベクターpcDNA3.1-(+)およびベクターpCR-2.1-dhfrを制限酵素Nru Iで消化し、それぞれの断片をライゲーションして、pcDNA3.1-dhfrを作製した。その経過、結果を図1に示す。
まず、発現ベクターとして、pcDNA3.1-(+)ベクター(invitrogen社製)にマウスdhfr発現カセットを挿入した遺伝子増幅用発現ベクターpcDNA3.1-(+)-dhfrを作製した。マウスdhfr遺伝子発現カセットは、pSV2-dhfr(ATCC 37146)を鋳型とし、PCR法にてクローニングした。このとき、フォワードプライマーは、CCCACGTGTCGCGACAATTAGTCAGCAACCATAGTCCとし、リバースプライマーは、CCCACGTGTCGCGAGGACAAACCACAACTAGAATGCとした。得られたPCR断片は、TAクローニング法によりpCR-2.1ベクター(invitrogen社製)にクローニングし、Nru Iを付加したdhfr遺伝子をクローニングしたベクターpCR-2.1-dhfrを作製した。そして、得られたベクターpcDNA3.1-(+)およびベクターpCR-2.1-dhfrを制限酵素Nru Iで消化し、それぞれの断片をライゲーションして、pcDNA3.1-dhfrを作製した。その経過、結果を図1に示す。
また、ヒトアンチトロンビン遺伝子はヒト肝臓cDNAライブラリー(TAKARA社製)を鋳型とし、PCR法にてクローニングした。このとき、フォワードプライマーは、AGCCCTGTGGAAGATTAGCGとし、リバースプライマーはCCAAAAATAGGAAGAGGTGCとした。得られたPCR断片はTAクローニング法によりpCR-2.1ベクター(invitrogen社製)にクローニングし、pCR2.1-rhATIIIを作製した。
そして、pcDNA3.1-dhfrとpCR2.1-rhATIIIをそれぞれ制限酵素EcoR Iで消化した。次いで、各断片をライゲーションし、pcDNA3.1-rhATIII/dhfrを構築した。その過程、結果を図2に示す。
〔遺伝子組換えヒトアンチトロンビン発現細胞の作製〕
pcDNA3.1-rhATIII/dhfrをリポインフェクション法によりCHO/dhfr-株(ATCC CRL−9096)に導入し、rhATIII安定産生株を作製した。次に細胞のクローニングを行い、培養液上清中のアンチトロンビン活性を測定した(テストチームATIII・2キット〔第一化学薬品社製〕を使用した)。細胞培養には、75cm2フラスコ(Iwaki社製)を使用し、37℃、5%CO2条件下で培養を行った。その結果は、1×105cells/mL/5days(以下、同条件)で、0.036IU/mLの遺伝子組換えヒトアンチトロンビン産生量であった。なお、培養は、浮遊化が可能な無血清培地ASF104N(味の素タカラコーポレーション社製)を使用して浮遊化状態で行った。
pcDNA3.1-rhATIII/dhfrをリポインフェクション法によりCHO/dhfr-株(ATCC CRL−9096)に導入し、rhATIII安定産生株を作製した。次に細胞のクローニングを行い、培養液上清中のアンチトロンビン活性を測定した(テストチームATIII・2キット〔第一化学薬品社製〕を使用した)。細胞培養には、75cm2フラスコ(Iwaki社製)を使用し、37℃、5%CO2条件下で培養を行った。その結果は、1×105cells/mL/5days(以下、同条件)で、0.036IU/mLの遺伝子組換えヒトアンチトロンビン産生量であった。なお、培養は、浮遊化が可能な無血清培地ASF104N(味の素タカラコーポレーション社製)を使用して浮遊化状態で行った。
次に、上記の遺伝子組換えヒトアンチトロンビン発現細胞に対してメトトレキセートセレクションを行うことにより、遺伝子増幅を行った。その結果を表1に示す。メトトレキセート濃度を上げるにつれて遺伝子組換えアンチトロンビン産生量は増加し、1000nMメトトレキセートセレクション時では、0.142IU/mLの遺伝子組換えヒトアンチトロンビンを産生する株が得られた。
〔ホローファイバー型細胞培養器を用いた遺伝子組換えヒトアンチトロンビン産生細胞の培養〕
実施例2で得られた1000nMメトトレキセートセレクション後の細胞株を用いて、ASM−1000(AcuSyst Maxmizer-1000;BioBest社製)による培養を行った。培養は、無血清培地ASF104N培地を用いて浮遊化状態で行った。
細胞は初期密度1.2×109cells/100mLで培養器にアプライし、40日間連続培養を行った。ホローファイバー中への培養液速度は250〜750mL/minとして、図3に示すような交換速度となるように細胞培養液の交換を行った。図3に交換により回収された細胞培養液中のアンチトロンビン濃度を示す。この方法によると、培養開始4日目で3IU/mL以上の高濃度のアンチトロンビンを生産することができ、40日間もの長期間に渡って高濃度でアンチトロンビンを含む培養液を回収することができた。さらに、優れたことに、細胞培養液の交換速度を低下させることによって、10IU/mL以上の高濃度でアンチトロンビンを産生させることが可能となった。これは、本発明実施例2で得られたメトトレキセートセレクション後の細胞を浮遊培養した場合の60倍以上もの高濃度であった。しかも、培養開始後36〜40日目の5日間における総ヒトアンチトロンビンの生産量は約1000mg(全回収培養液量約420mL)となり、この5日間だけで、実に約50Lの培養液で浮遊培養したのと同様な生産量を得ることができた。
実施例2で得られた1000nMメトトレキセートセレクション後の細胞株を用いて、ASM−1000(AcuSyst Maxmizer-1000;BioBest社製)による培養を行った。培養は、無血清培地ASF104N培地を用いて浮遊化状態で行った。
細胞は初期密度1.2×109cells/100mLで培養器にアプライし、40日間連続培養を行った。ホローファイバー中への培養液速度は250〜750mL/minとして、図3に示すような交換速度となるように細胞培養液の交換を行った。図3に交換により回収された細胞培養液中のアンチトロンビン濃度を示す。この方法によると、培養開始4日目で3IU/mL以上の高濃度のアンチトロンビンを生産することができ、40日間もの長期間に渡って高濃度でアンチトロンビンを含む培養液を回収することができた。さらに、優れたことに、細胞培養液の交換速度を低下させることによって、10IU/mL以上の高濃度でアンチトロンビンを産生させることが可能となった。これは、本発明実施例2で得られたメトトレキセートセレクション後の細胞を浮遊培養した場合の60倍以上もの高濃度であった。しかも、培養開始後36〜40日目の5日間における総ヒトアンチトロンビンの生産量は約1000mg(全回収培養液量約420mL)となり、この5日間だけで、実に約50Lの培養液で浮遊培養したのと同様な生産量を得ることができた。
Claims (7)
- 細胞培養によりヒトアンチトロンビンを高濃度に生産する方法であって、
ヒトアンチトロンビンをコードする遺伝子を発現可能な状態で有するプラスミドを付着性細胞に形質転換して得られた細胞を、ホローファーバー型細胞培養器にて浮遊化培養することを特徴とするヒトアンチトロンビンの生産方法。 - 前記細胞が浮遊する細胞培養液中のヒトアンチトロンビン濃度が、少なくとも1IU/mL以上であることを特徴とする請求項1に記載のヒトアンチトロンビンの生産方法。
- 前記細胞に、さらにジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子を発現可能な状態で有するプラスミドが形質転換されたことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のヒトアンチトロンビンの生産方法。
- 浮遊化して培養可能な無血清培地を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のヒトアンチトロンビンの生産方法。
- 前記付着性細胞は、CHO細胞、BHK細胞、HEK293細胞のいずれかであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のヒトアンチトロンビンの生産方法。
- 前記付着性細胞が浮遊する細胞培養液の一部を回収補充しながら連続培養することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のヒトアンチトロンビンの生産方法。
- 前記細胞が浮遊する細胞培養液中のアンチトロンビン濃度が、10IU/mL以上となるように、細胞培養液の回収速度を調整することを特徴とする請求項6に記載のヒトアンチトロンビンの生産方法。
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---|---|---|---|---|
JP2016154537A (ja) * | 2005-06-30 | 2016-09-01 | オクタフアルマ・アー・ゲー | ヒト細胞系における組換えヒトタンパク質の無血清安定トランスフェクションおよび製造 |
KR20170020486A (ko) | 2014-06-26 | 2017-02-22 | 니폰 제온 가부시키가이샤 | 접착형 세포의 배양 방법, 배양 용기 및 단백질의 생산 방법 |
WO2017104821A1 (ja) | 2015-12-18 | 2017-06-22 | 日本ゼオン株式会社 | 浮遊培養馴化接着型細胞の調製方法、接着型上皮細胞の上皮間葉転換誘導方法、及びそれらの利用 |
-
2003
- 2003-08-28 JP JP2003304246A patent/JP2005073509A/ja active Pending
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JP2019058173A (ja) * | 2005-06-30 | 2019-04-18 | オクタフアルマ・アー・ゲー | ヒト細胞系における組換えヒトタンパク質の無血清安定トランスフェクションおよび製造 |
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