JP2005072058A - 洗浄装置および洗浄方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】超音波を用いずに、従来の技術による洗浄装置よりも微細なパーティクルを除去することができる洗浄装置および洗浄方法を提供する。さらに、大型の基板に対しても、粒径が1μm以下のサブミクロンサイズのパーティクルを均一に除去することができる洗浄装置および洗浄方法を提供する。
【解決手段】洗浄装置は、基板1に衝突させる第1洗浄液を噴射するための第1ノズル3と、第1洗浄液の基板1と接する側と反対側に接するように第1洗浄液より温度の低い第2洗浄液を配置するための第2ノズル4とを備える。好ましくは、第1ノズル口12における第1洗浄液と第2ノズル口13における第2洗浄液との温度差が25℃以上になるように形成されている。
【選択図】 図1
【解決手段】洗浄装置は、基板1に衝突させる第1洗浄液を噴射するための第1ノズル3と、第1洗浄液の基板1と接する側と反対側に接するように第1洗浄液より温度の低い第2洗浄液を配置するための第2ノズル4とを備える。好ましくは、第1ノズル口12における第1洗浄液と第2ノズル口13における第2洗浄液との温度差が25℃以上になるように形成されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体の部品などの洗浄装置および洗浄方法に関する。特に、洗浄液を被洗浄物に衝突させて洗浄を行なう洗浄装置および洗浄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気製品などの製造工程の一つに、汚染物を除去するために部品を洗浄する洗浄工程がある。たとえば、半導体装置の製造工程には半導体ウエハの洗浄工程があり、液晶表示装置やPDP(プラズマディスプレイパネル)などのフラットパネルディスプレイの製造工程にはガラス基板の洗浄工程がある。これらの洗浄工程で用いられる従来の洗浄方法としては、回転するブラシを被洗浄物にこすりつけるブラシ洗浄、洗浄液に超音波を照射して発生したキャビティ崩壊時の衝撃力を利用したキャビテーション洗浄、高周波の振動加速度を利用する高周波超音波洗浄、洗浄液を高速で噴射して流れの剪断応力を利用する高速流れ洗浄などがある。
【0003】
また上記の洗浄方法の組み合わせとして、高速流れ洗浄と超音波洗浄とを組み合わせる装置などがある。たとえば、特開2000−188273号公報(特許文献1参照)には、回転している6インチ程度の小型のシリコン基板に、円筒形ノズルから洗浄液を高速に噴射して、キャビティによって発生する高周波を用いてパーティクルを除去する装置が開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−188273号公報(第6,7頁、第1,2,5図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
たとえば、液晶表示装置、PDPなどのフラットパネルディスプレイにおいては、市場のニーズとして表示精度の高密度、高精細化が要求されている。一方で生産工程においては、製品自体の大型化や多面取りによる生産性向上のために基板の大型化が進んでいる。表示精度の高密度、高精細化のためには、洗浄工程において、粒径が1μm以下のサブミクロンサイズのパーティクルの除去が要求される。しかし、ブラシ洗浄、キャビテーション洗浄、高周波超音波洗浄または高速流れ洗浄では、粒径が1μm以下の微細のパーティクルを除去することは困難である。
【0006】
また、上記の洗浄方法を組み合わせる方法については、大型化する基板の洗浄に関して洗浄装置の問題がある。たとえば、特許文献1に記載の洗浄装置では、フラットパネルディスプレイなどに用いられる対角が1mを超えるような大型基板の主表面を均一に洗浄することは困難であり、さらに、非常に時間がかかる。この洗浄装置自体を大型化した場合は、少なくとも被洗浄物の基板の短辺の長さよりも長い超音波発振器が必要になり、洗浄装置が非常に高価なものになるという問題がある。メンテナンスについても、洗浄装置が複雑化して作業者の負担が大きくなるという問題点がある。
【0007】
このように、サブミクロンサイズの微細なパーティクルを除去することは難しく、特に大型の基板に対しては、被洗浄物の表面全体を均一に洗浄することが困難であるという問題があった。
【0008】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、超音波を用いずに、従来の技術による洗浄装置よりも微細なパーティクルを除去することができる洗浄装置および洗浄方法を提供することを目的とする。さらに、大型の基板に対しても、粒径が1μm以下のサブミクロンサイズのパーティクルを均一に除去することができる洗浄装置および洗浄方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に基づく洗浄装置は、被洗浄物に衝突させる第1洗浄液を噴射するための第1ノズルと、上記第1洗浄液の上記被洗浄物と接する側と反対側に接するように上記第1洗浄液より温度の低い第2洗浄液を配置するための、第2ノズルとを備える。この構成を採用することにより、超音波を用いずに、従来の技術による洗浄装置で除去が可能なパーティクルより、微細なパーティクルを除去できる洗浄装置を提供することができる。
【0010】
上記発明において好ましくは、上記第1ノズルのノズル口における上記第1洗浄液と上記第2ノズルのノズル口における上記第2洗浄液との温度差が25℃以上になるように形成されている。この構成を採用することにより、粒径が1μm以下のサブミクロンサイズの上記パーティクルの除去が可能な洗浄装置を提供することができる。
【0011】
上記発明において好ましくは、略同一平面上に形成されており、板状の上記被洗浄物を運搬するための搬送ローラを備え、上記第1ノズルは、薄膜状に上記第1洗浄液を噴射するためのスリット口を含む。上記第1ノズルおよび上記第2ノズルは、上記被洗浄物の運搬方向と反対向きに洗浄液を噴射するように配置されている。この構成を採用することにより、スリットノズルを有する洗浄装置に上記発明を適用することができる。
【0012】
上記発明において好ましくは、噴射された上記第1洗浄液の中心面と上記被洗浄物の運搬経路の上面とが交差する線が、噴射された上記第2洗浄液の中心面と上記被洗浄物の運搬経路の上面とが交差する線より、10mm以上20mm以下離れた上記運搬方向の下流側になるように形成されている。この構成を採用することにより、上記パーティクルを除去する能力が向上する。
【0013】
上記発明において好ましくは、上記第1洗浄液の上記被洗浄物の表面での流速が、150m/s以上200m/s以下になるように形成されている。この構成を採用することにより、上記被洗浄物の表面を傷つけることなく、高い洗浄能力を確保することができる。
【0014】
上記発明において好ましくは、上記第2洗浄液の上記第1洗浄液の上面での流速が、0.1m/s以上1m/s以下になるように形成されている。この構成を採用することにより、上記第1洗浄液の内部に適切な温度勾配を形成して、洗浄能力を向上させることができる。
【0015】
上記発明において好ましくは、上記被洗浄物の運搬経路の上面に対する上記第1洗浄液の衝突角度が、10°以上20°以下になるように形成されている。この構成を採用することにより、上記第1洗浄液が上記被洗浄物に衝突する際のエネルギー損失を小さくすることができる。また、上記第1洗浄液と上記被洗浄物とを十分に接触させることができる。
【0016】
上記発明において好ましくは、上記被洗浄物の運搬経路に対する上記第1洗浄液の衝突角度と、上記運搬経路に対する上記第2洗浄液の衝突角度とが、略同じになるように形成されている。この構成を採用することにより、上記第2ノズルから噴射される上記第2洗浄液が上記第1洗浄液に接触する際に、上記第1洗浄液の流れが乱れることを防止できる。
【0017】
上記目的を達成するため、本発明に基づく洗浄方法は、被洗浄物に、第1洗浄液を衝突させて洗浄する方法であって、上記第1洗浄液の上記被洗浄物と接する側と反対側に、上記第1洗浄液より温度の低い第2洗浄液を噴射しながら洗浄を行なう。この方法を採用することにより、従来の技術による洗浄方法で除去が可能なパーティクルより微細な上記パーティクルを除去することができる。
【0018】
上記発明において好ましくは、上記被洗浄物に向けて噴射された直後の前記第1洗浄液の温度と、上記第1洗浄液に向けて噴射された直後の上記第2洗浄液の温度との差を25℃以上にして洗浄を行なう。この方法を採用することにより、粒径が1μm以下のサブミクロンサイズの上記パーティクルを除去することができる洗浄方法を提供することができる。
【0019】
上記発明において好ましくは、上記第1洗浄液を薄膜状に噴射して洗浄を行なう。この構成を採用することにより、上記発明をスリットノズルを用いた洗浄方法に適用することができる。
【0020】
上記発明において好ましくは、上記第1洗浄液によって、上記被洗浄物表面に付着しているパーティクルを回転移動させる工程と、上記第1洗浄液と上記第2洗浄液との温度差によって、上記パーティクルを上記被洗浄物の表面に形成されている上記第1洗浄液の境界層より上側に浮上させる工程と、上記パーティクルを上記第1洗浄液と共に上記被洗浄物の上方から排除する工程とを含む。この方法を採用することにより、粒径が1μm以下のサブミクロンサイズの上記パーティクルを除去することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
(構成)
図1から図6を参照して、本発明に基づく実施の形態1における洗浄装置および洗浄方法について説明する。
【0022】
図1は、本実施の形態における洗浄装置の主要部の斜視図である。板状の被洗浄物である基板1は、一列に並べられた搬送ローラ2によって運搬される。基板1は搬送ローラ2の上に配置される。搬送ローラ2は、図示しない搬送ローラ駆動手段によって回転するように形成されている。基板1は矢印20の向きに運搬される。基板1の上方には、第1ノズル3および第2ノズル4が形成されている。
【0023】
第1ノズル3は、被洗浄物に衝突させる第1洗浄液を噴射するためのものである。第1ノズル3は、内部に空洞の部分が形成されており、この空洞は、第1洗浄液供給口9および第1ノズル口12と連通している。第1洗浄液供給口9は、第1ノズル3の上面に2つ形成されており、それぞれが内部の空洞に連通している。
【0024】
第1ノズル口12は、第1ノズル口12を正面から見た時に、細長の長方形に形成されている。また、第1ノズル口12は、基板1の運搬経路に向かうように、かつ基板1の運搬経路に対して傾斜するように形成されている。すなわち、第1ノズル口12から噴射される薄膜状の第1洗浄液が、傾斜して基板1に衝突するように形成されている。また、本実施の形態においては、第1ノズル口12が形成されている面は、基板1の幅方向と平行になるように配置されているが、特に平行でなく、基板1の幅方向に対して斜めに形成されていてもよい。第1ノズル口12の長手方向の長さは、基板1の幅より長くなるように形成されている。
【0025】
基板1の上方であって、基板1の運搬方向の上流側には、第2洗浄液を噴射するための第2ノズル4が形成されている。第2ノズル4の内部には、空洞が形成されており、この空洞は第2洗浄液供給口10および第2ノズル口13に連通している。第2洗浄液供給口10は、第2ノズル4の上面に2つ形成されており、それぞれが内部の空洞に連通している。
【0026】
第2ノズル口13は、第2ノズル口13を正面から見た時に、長方形に形成されている。また、第2ノズル口13は、基板1の運搬経路に向かうように、かつ基板1の運搬経路に対して傾斜するように形成されている。すなわち、第2洗浄液は、第2ノズル口13から基板1の運搬経路に向けて傾斜して噴射されるように形成されている。第2ノズル口13が形成されている向きは、第2洗浄液が噴射される向きが第1ノズルから噴射される第1洗浄液の向きと同じになるように形成されている。また、第2ノズル口13が形成されている面は、基板1の幅方向と平行になるように配置されている。第2ノズル口13の長手方向の長さは、基板1の幅方向より長くなるように形成されている。本実施の形態においては、第2ノズル口13の長手方向の長さは、第1ノズル口12の長手方向の長さと同じになるように形成されている。
【0027】
本実施の形態においては、第2洗浄液の噴射口として、正面から見た形状が長方形となるノズル口が1つ形成されているが、特にこの形態に限られず、内部の空洞と連通して第2洗浄液を噴射できればよい。たとえば、第2ノズル口13は、正面からみた形状が円となるノズル口が複数個形成されていてもよいし、第1ノズル口12のように、スリット状のノズル口が形成されていてもよい。
【0028】
本発明に基づく洗浄装置の概略断面図を図2に示す。図1に示した主要部は、箱型の洗浄槽5の内部に配置されている。洗浄槽5の内部には、被洗浄物を運搬するための搬送ローラ2が同一平面上に形成されている。搬送ローラ2は、図示しない回転駆動装置に接続されている。洗浄槽5の底部には、洗浄が完了した洗浄液を排出するための排液管6が形成されている。
【0029】
第1ノズル3および第2ノズル4は、洗浄槽5の上部に配置されている。第1ノズル3および第2ノズル4は、それぞれ、第1洗浄液または第2洗浄液を基板1の運搬経路に対して角度θで傾斜して噴射するように形成されている。本明細書においては、この角度θを衝突角度という。本実施の形態においては、第1洗浄液と第2洗浄液の衝突角度が同じになるように、すなわち、第1洗浄液の噴射方向と第2洗浄液の噴射方向とが同じになるように形成されている。また、第1ノズル3と第2ノズル4とは、矢印20に示す被洗浄物の基板1の運搬方向と反対の向きに洗浄液を噴射するように形成されている。
【0030】
第1ノズル3の第1洗浄液供給口9には第1洗浄液供給パイプ7が接続され、また、第2ノズル4の第2洗浄液供給口10には第2洗浄液供給パイプ8が接続されている。第1洗浄液供給パイプ7は、図示しない第1洗浄液供給ポンプ、第1洗浄液タンクおよび洗浄液加熱手段を含む第1洗浄液供給手段に接続されている。一方で、第2洗浄液供給パイプ8は、図示しない第2洗浄液供給ポンプおよび第2洗浄液タンクを含む第2洗浄液供給手段に接続されている。
【0031】
(作用・効果)
図3に、被洗浄物である基板を洗浄している様子を示す洗浄装置の主要部の概略断面図を示す。基板1は、搬送ローラ2の上側に配置され、搬送ローラ2が回転することによって、矢印20の向きに移動する。基板1の運搬経路に向けて、運搬方向と逆の向きに、洗浄液が噴射される。第1ノズル3からは第1洗浄液15が、第2ノズル4からは第2洗浄液16が噴射される。
【0032】
第1洗浄液15は、第1洗浄液供給手段によって、加圧、加熱された状態で、連続的に第1ノズル3に供給される。第1洗浄液15は、第1洗浄液供給口9および第1ノズル3の内部の空洞を通って、第1ノズル口12から高速で噴射される。第1洗浄液15は薄膜状に、高速で噴射されて基板1に衝突して、パーティクル11を除去する。第1洗浄液15は連続的に噴射され、運搬されている基板1の上面に第1洗浄液15の層が形成される。
【0033】
第2洗浄液供給手段から供給された第2洗浄液16は、第2ノズル4の内部の空洞を通って、第2ノズル口13から噴射される。第2洗浄液16も連続的に噴射される。第2洗浄液16は、第1洗浄液15の層と接触して、第1洗浄液15の上側に第2洗浄液16の層を形成する。
【0034】
基板の洗浄を行なっている際のパーティクルの動きを説明する拡大断面図を図4に示す。除去すべき汚染物であるパーティクル11は、基板1の表面に付着している。パーティクル11は、高速な第1洗浄液15の流れの剪断応力によって、矢印21の向きに回転して、矢印22に示すように基板1の主表面を回転しながら移動する。パーティクル11を移動させるために必要な外力は、パーティクル11と基板1との間に作用する摩擦力に比例する。一般的に、転がり摩擦係数は、すべり摩擦係数より3〜4桁は小さい。このため、パーティクル11を回転移動させるのに必要な外力は、すべり移動をさせるのに必要な外力と比較して桁違いに小さい。よって、高速で流れる第1洗浄液15の流れでパーティクル11を容易に回転移動させることができる。
【0035】
第1洗浄液15は加熱されており、第2洗浄液16より温度が高い。すなわち、高温の第1洗浄液15の層の上面に低温の第2洗浄液16の層が形成される。よって、第1洗浄液15の内部においては、第2洗浄液16が接触している側が温度が低く、基板1に接触している側が温度が高くなるように、温度勾配が生じる。図4においては、下側が温度が高く、上側に向かうほど温度が低くなり、下側の密度は小さく、上側に向かうほどその密度は大きくなる。パーティクル11は上に向かうほどその浮力が大きくなる。このように、第1洗浄液15の層の上側に温度の低い第2洗浄液16を形成することによって、基板1の主表面から浮上したパーティクル11が再び降下して再付着することを抑制し、基板1の上方から第1洗浄液と共に排除する能力が向上する。
【0036】
また、パーティクル11を除去する第1洗浄液の温度が高いことによって第1洗浄液15の化学反応が促進され、または、界面活性効果が向上することによってパーティクル11を除去する能力が従来の技術による洗浄装置よりも向上する。
【0037】
本発明では、基板1の主表面に第1洗浄液15が配置され、その上に第2洗浄液16が配置されている2層構造となっている。第1洗浄液15の温度は、第2洗浄液16の温度より高い。洗浄条件一定下でその温度差を大きくすると矢印19に示す流れが生じる。この上昇流に伴って、パーティクル11に浮力が働く。よって、パーティクル11は矢印23に示すように基板1の主表面から引き離される。
【0038】
矢印18は第1洗浄液15のそれぞれの位置における流速を示しており、第1洗浄液の流速分布41は、液の粘性によって基板表面で0となり、上側に向かうにつれて境界層42の領域で急激に速度が増したのち一定流速になる。浮力によって基板1の表面から浮上したパーティクル11は、境界層42より上側に浮上した後に、矢印24に示すように第1洗浄液15の高速流に乗って、すみやかに基板1の上方から排除される。よって、パーティクル11が基板1の上方に滞留した後に再付着することを防止できる。
【0039】
従来の技術における洗浄装置では、第1洗浄液15の下流においては流速が小さくなり、パーティクル11の回転移動が停止してしまい基板1の主表面に残留する可能性があるが、本発明における洗浄装置は、この場合も矢印23,24に示すように、第1洗浄液の厚さ方向の温度差によってパーティクルが上昇して、基板1の主表面からパーティクル11を除去することができる。
【0040】
第1洗浄液15および第2洗浄液16が基板1に向けて噴射されて、洗浄が行なわれている間も、基板1は矢印20の運搬方向に移動している。よって、基板1は、進行方向の先端から後端に至るまで、均一に洗浄を行なうことができる。
【0041】
このように、第1洗浄液の上に温度の低い第2洗浄液を配置して、第1洗浄液の内部に温度勾配を形成することによって、洗浄能力を向上させることができる。本発明における洗浄装置は、粒径が1μm以下のサブミクロンサイズのパーティクルを除去することができ、さらに、大型の基板に対しても同様の洗浄能力で均一に洗浄を行なうことができる。また、超音波を併用する洗浄装置と比較して、装置の構造が容易であり、洗浄装置のメンテナンスも容易に行なうことができる。
【0042】
第1洗浄液15と第2洗浄液16との温度差を大きくしていくと内部に対流が生じる現象に関して、本発明に示すような下方が高温で上方が低温の液体に発生する対流は流体力学的には「ベナール対流」と呼ばれる。このベナール対流が発生するための条件は、次に示すレイリー数Ra(無次元数)により定まる。
【0043】
Ra=αg△Td3/κν ・・・(1)
αは第1洗浄液の熱膨張係数、gは重力加速度、△Tは第1洗浄液の上面と下面との温度差、dは第1洗浄液の液膜の厚さ、κは第1洗浄液の温度伝導率、νは第1洗浄液の動粘性係数である。ベナール対流が発生する閾値である臨界レイリー数は1100であるので、本発明の場合に適用するとベナール対流の発生に必要な温度差△Tは約23℃となる。仮に、第2洗浄液の温度を常温の25℃とすると、ベナール対流を発生させるのに必要な第1洗浄液の温度は、25℃程度加算した50℃程度である。よって、加熱手段としては、通常のヒーターを用いて第1洗浄液を加熱することで、十分に本発明を実施することができる。このように、ベナール対流を発生させることを考慮して、第1ノズルのノズル口における第1洗浄液と第2ノズルのノズル口における第2洗浄液との温度差は、25℃以上であることが好ましい。より厳密には、洗浄を行なっている第1洗浄液のレイリー数が1100(臨界レイリー数)以上の状態であることが好ましい。
【0044】
ここでパーティクルの除去に必要な第1洗浄液の流速について説明する。サブミクロンサイズのパーティクルを除去する洗浄力を実現するためには、被洗浄基板の主表面における第1洗浄液の流速は150m/s以上が望ましい。パーティクルは、粒径が小さくなるのに反比例して基板への付着力は増大する。一方で、パーティクルを回転移動させるための洗浄液の剪断応力は速度勾配に比例するので、微細な粒子に対して付着力よりも剪断応力を大きくするためには、第1洗浄液の流速を上昇させる必要がある。
【0045】
たとえば、従来のアモルファス・シリコン液晶の洗浄においては、粒径が3μm以上のパーティクルを除去できればよいので、第1洗浄液の流速は100m/s程度で十分である。これに対して、低温ポリシリコン液晶、CGシリコン液晶などの洗浄では、設計で要求される基準がより厳しく、粒径が0.5μm以上のパーティクルを除去する必要があり、第1洗浄液の流速は150m/s以上が好ましい。第1洗浄液の流速が大きくなるほど流れの剪断応力による洗浄力は向上するが、その反面、第1洗浄液の流れの抵抗に逆らって、基板を搬送ローラで搬送することが困難になる。また、基板の主表面に薄膜などが形成されている場合には、形成されている薄膜が損傷する可能性がある。さらには、流れの摩擦力により静電気が発生するという問題がある。これらの問題を考慮して、第1洗浄液の流速は200m/s以下であることが望ましい。
【0046】
基板としてガラス基板(大きさは320mm×400mm、厚さ0.7mm)、洗浄液として超純水(流量は10〜20リットル/分)を用いて洗浄試験を行なった結果、第1洗浄液の最大流速が200m/s以下の場合には、基板が搬送できること、成膜(金属膜または樹脂膜)の損傷などがないこと、および静電気に関して問題がないことが確認できている。
【0047】
第2洗浄液は、第1洗浄液の上面に低温の層を形成することが目的である。第2洗浄液の流速は、遅すぎると安定した低温層が形成されず、速すぎると使用する第2洗浄液の量が徒に増大するという問題がある。第2洗浄液の好ましい速度の範囲は第1洗浄液の流速に依存するが、上記の第1洗浄液の流速が150m/s以上200m/s以下の範囲に対しては、第2洗浄液の流速が0.1m/s以上1m/s以下の範囲内であることが好ましい。
【0048】
図5および図6を参照して、第1ノズルと第2ノズルとの位置関係について説明する。本発明では第1ノズル3から噴射された第1洗浄液15の流れの剪断応力によってパーティクルを回転移動させ、さらに、上昇流によって浮力を与えてパーティクルを基板の主表面から浮上させることが重要である。第1洗浄液15の中心面30が基板1の運搬経路の上面32と交わる線25(図5においては、紙面の垂直方向の線)の近辺においては、第1洗浄液15の流れが安定しておらず、第2洗浄液16を第1洗浄液15の上面に配置しにくい状態となっている。また、パーティクルが回転する助走距離も必要である。よって、第2ノズル4は、第1ノズル3からある程度距離を開けて配置した方が好ましい。逆に、第1ノズル3と第2ノズル4との距離を開けすぎると、第1洗浄液の流速が遅くなり好ましくない。このように、パーティクルが回転移動する助走距離と第1洗浄液の流れが安定するまでの距離とを考慮して、第2洗浄液16の中心面31が基板1の上面32と交差する線26と線25との距離40は、10mm以上20mm以下にすることが好ましい。
【0049】
噴射された第1洗浄液と基板の運搬方向とがなす角度、すなわち衝突角度は、第1洗浄液15が基板1に衝突した際のエネルギー損失を小さくするために小さい方が好ましい。すなわち、第1洗浄液が噴射される方向は水平に近いほうが好ましいが、衝突角度を小さくしすぎると、第1洗浄液と基板との衝突が不十分で洗浄能力が低下する。洗浄液の基板の主表面に平行な方向の流速成分(以下、「表面流速」という。)は噴射された流速のコサイン成分になる。衝突角度が20°以下の場合には表面流速の減衰は10%以下と小さいが、衝突角度が20°以上になると表面流速の減衰は10%以上になり洗浄力が低下する。一方で衝突角度が10°以下になると、基板1と第1洗浄液15との接触が不十分で洗浄力が低下し、また、洗浄装置内部に配置するスペースも大きくなる。このように、第1洗浄液の衝突角度は10°以上20°以下が好ましい。
【0050】
本実施の形態においては、第2洗浄液の衝突角度(第2洗浄液が噴射される方向と基板の運搬方向とがなす角度。図2参照。)は、第1洗浄液の衝突角度と同じになるように形成されている。これらの2つの衝突角度を略同じにすることによって、第1洗浄液15と第2洗浄液16とが衝突した際に、互いの流れを打ち消すことを回避できる。
【0051】
図6に示すように、本実施の形態においては、第1ノズル口および第2ノズル口の長手方向(運搬方向と垂直な方向)の長さは基板1の幅より長い。この構成を採用することによって、基板1の幅方向全体を一度に洗浄することができる。また基板の主表面に加えて外周面(端面)も同時に洗浄することができる。
【0052】
本実施の形態においては、第1洗浄液と第2洗浄液とは同一の洗浄液である。第1洗浄液と第2洗浄液を同一の洗浄液にすることによって、第1洗浄液の化学洗浄力の低下を避けたり、洗浄液給水手段の機器を簡略化したりすることができる。洗浄液としては、超純水、アルカリ水素水、オゾン水、過酸化水素水、硫酸、塩酸、亜臨界水、超臨界水などを使用することができる。さらに、磁気水(磁化水とも言われ、磁場空間に対して垂直に移動させて、水分子クラスタ同士の結合が切離されて浸透力が高まったもの)なども使用することができる。
【0053】
本実施の形態においては、第1洗浄液供給手段に加熱手段を形成して、第2洗浄液より第1洗浄液を高温にしたが、この形態に限られず、第1洗浄液を第2洗浄液より高温にできればよい。たとえば、第2洗浄液を冷却する洗浄液冷却手段を接続してもよい。また、被洗浄物についても板状のものに限られず、多面体のような立体的な形状の被洗浄物であってもよい。
【0054】
上記の実施の形態においては、第1洗浄液を噴射するノズル口の形状が、細長の長方形である、いわゆるスリットノズルについて、説明を行なったが、この形態に限られず、任意の形状を有する噴射された第1洗浄液に温度の低い第2洗浄液を接触させることによって、洗浄能力を向上させることができる。
【0055】
上記の実施の形態においては、主に、洗浄装置について説明を行なったが、本発明に基づく洗浄方法についても同様である。すなわち、図3に示すように、第1洗浄液の基板と接する側と反対側に、第1洗浄液より温度の低い第2洗浄液を噴射しながら洗浄を行なうことによって、従来の洗浄方法より、洗浄能力を向上させることができる。また、基板に向けて噴射された直後の第1洗浄液の温度と第1洗浄液に向けて噴射された直後の第2洗浄液の温度との差を25℃以上にして洗浄を行なうことによって、ベナール対流を発生させ、粒径がサブミクロンの汚染物の除去も行なうことができる。また、第1洗浄液を薄膜状に噴射して洗浄を行なうことによって、本実施の形態における洗浄装置のようなスリットノズルを備える洗浄装置に本発明を適用することができる。
【0056】
また、図4に示すように、第1洗浄液によって基板表面に付着しているパーティクルを回転移動させる工程と、第1洗浄液と第2洗浄液との温度差によって、パーティクルを基板表面に形成されている第1洗浄液の境界層より上側に浮上させる工程と、パーティクルを第1洗浄液と共に基板の上方から排除する工程とを含むことによって、粒径がサブミクロンの汚染物の除去も行なうことができる。その他の作用および効果については、洗浄装置における作用および効果と同様であるので、ここでは、説明を繰返さない。
【0057】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、超音波を用いずに従来の技術による洗浄装置よりも微細なパーティクルを除去することができる洗浄装置および洗浄方法を提供することができる。さらに、大型の基板に対しても、粒径が1μm以下のサブミクロンサイズのパーティクルを均一に除去することができる洗浄装置および洗浄方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく実施の形態1における洗浄装置の主要部の概略斜視図である。
【図2】本発明に基づく実施の形態1における洗浄装置の概略断面図である。
【図3】本発明に基づく実施の形態1における洗浄装置で基板を洗浄している状態の主要部の概略断面図である。
【図4】本発明に基づく実施の形態1における洗浄装置の作用および効果の説明図である。
【図5】本発明に基づく実施の形態1における洗浄装置の主要部の概略断面図である。
【図6】本発明に基づく実施の形態1における洗浄装置の主要部の概略平面図である。
【符号の説明】
1 基板、2 搬送ローラ、3 第1ノズル、4 第2ノズル、5 洗浄槽、6 排液管、7 第1洗浄液供給パイプ、8 第2洗浄液供給パイプ、9 第1洗浄液供給口、10 第2洗浄液供給口、11 パーティクル、12 第1ノズル口、13 第2ノズル口、15 第1洗浄液、16 第2洗浄液、18,19,20,21,22,23,24 矢印、25,26 線、30,31 中心面、32 上面、40 距離、41 速度分布、42 境界層、θ 衝突角度。
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体の部品などの洗浄装置および洗浄方法に関する。特に、洗浄液を被洗浄物に衝突させて洗浄を行なう洗浄装置および洗浄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気製品などの製造工程の一つに、汚染物を除去するために部品を洗浄する洗浄工程がある。たとえば、半導体装置の製造工程には半導体ウエハの洗浄工程があり、液晶表示装置やPDP(プラズマディスプレイパネル)などのフラットパネルディスプレイの製造工程にはガラス基板の洗浄工程がある。これらの洗浄工程で用いられる従来の洗浄方法としては、回転するブラシを被洗浄物にこすりつけるブラシ洗浄、洗浄液に超音波を照射して発生したキャビティ崩壊時の衝撃力を利用したキャビテーション洗浄、高周波の振動加速度を利用する高周波超音波洗浄、洗浄液を高速で噴射して流れの剪断応力を利用する高速流れ洗浄などがある。
【0003】
また上記の洗浄方法の組み合わせとして、高速流れ洗浄と超音波洗浄とを組み合わせる装置などがある。たとえば、特開2000−188273号公報(特許文献1参照)には、回転している6インチ程度の小型のシリコン基板に、円筒形ノズルから洗浄液を高速に噴射して、キャビティによって発生する高周波を用いてパーティクルを除去する装置が開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−188273号公報(第6,7頁、第1,2,5図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
たとえば、液晶表示装置、PDPなどのフラットパネルディスプレイにおいては、市場のニーズとして表示精度の高密度、高精細化が要求されている。一方で生産工程においては、製品自体の大型化や多面取りによる生産性向上のために基板の大型化が進んでいる。表示精度の高密度、高精細化のためには、洗浄工程において、粒径が1μm以下のサブミクロンサイズのパーティクルの除去が要求される。しかし、ブラシ洗浄、キャビテーション洗浄、高周波超音波洗浄または高速流れ洗浄では、粒径が1μm以下の微細のパーティクルを除去することは困難である。
【0006】
また、上記の洗浄方法を組み合わせる方法については、大型化する基板の洗浄に関して洗浄装置の問題がある。たとえば、特許文献1に記載の洗浄装置では、フラットパネルディスプレイなどに用いられる対角が1mを超えるような大型基板の主表面を均一に洗浄することは困難であり、さらに、非常に時間がかかる。この洗浄装置自体を大型化した場合は、少なくとも被洗浄物の基板の短辺の長さよりも長い超音波発振器が必要になり、洗浄装置が非常に高価なものになるという問題がある。メンテナンスについても、洗浄装置が複雑化して作業者の負担が大きくなるという問題点がある。
【0007】
このように、サブミクロンサイズの微細なパーティクルを除去することは難しく、特に大型の基板に対しては、被洗浄物の表面全体を均一に洗浄することが困難であるという問題があった。
【0008】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、超音波を用いずに、従来の技術による洗浄装置よりも微細なパーティクルを除去することができる洗浄装置および洗浄方法を提供することを目的とする。さらに、大型の基板に対しても、粒径が1μm以下のサブミクロンサイズのパーティクルを均一に除去することができる洗浄装置および洗浄方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に基づく洗浄装置は、被洗浄物に衝突させる第1洗浄液を噴射するための第1ノズルと、上記第1洗浄液の上記被洗浄物と接する側と反対側に接するように上記第1洗浄液より温度の低い第2洗浄液を配置するための、第2ノズルとを備える。この構成を採用することにより、超音波を用いずに、従来の技術による洗浄装置で除去が可能なパーティクルより、微細なパーティクルを除去できる洗浄装置を提供することができる。
【0010】
上記発明において好ましくは、上記第1ノズルのノズル口における上記第1洗浄液と上記第2ノズルのノズル口における上記第2洗浄液との温度差が25℃以上になるように形成されている。この構成を採用することにより、粒径が1μm以下のサブミクロンサイズの上記パーティクルの除去が可能な洗浄装置を提供することができる。
【0011】
上記発明において好ましくは、略同一平面上に形成されており、板状の上記被洗浄物を運搬するための搬送ローラを備え、上記第1ノズルは、薄膜状に上記第1洗浄液を噴射するためのスリット口を含む。上記第1ノズルおよび上記第2ノズルは、上記被洗浄物の運搬方向と反対向きに洗浄液を噴射するように配置されている。この構成を採用することにより、スリットノズルを有する洗浄装置に上記発明を適用することができる。
【0012】
上記発明において好ましくは、噴射された上記第1洗浄液の中心面と上記被洗浄物の運搬経路の上面とが交差する線が、噴射された上記第2洗浄液の中心面と上記被洗浄物の運搬経路の上面とが交差する線より、10mm以上20mm以下離れた上記運搬方向の下流側になるように形成されている。この構成を採用することにより、上記パーティクルを除去する能力が向上する。
【0013】
上記発明において好ましくは、上記第1洗浄液の上記被洗浄物の表面での流速が、150m/s以上200m/s以下になるように形成されている。この構成を採用することにより、上記被洗浄物の表面を傷つけることなく、高い洗浄能力を確保することができる。
【0014】
上記発明において好ましくは、上記第2洗浄液の上記第1洗浄液の上面での流速が、0.1m/s以上1m/s以下になるように形成されている。この構成を採用することにより、上記第1洗浄液の内部に適切な温度勾配を形成して、洗浄能力を向上させることができる。
【0015】
上記発明において好ましくは、上記被洗浄物の運搬経路の上面に対する上記第1洗浄液の衝突角度が、10°以上20°以下になるように形成されている。この構成を採用することにより、上記第1洗浄液が上記被洗浄物に衝突する際のエネルギー損失を小さくすることができる。また、上記第1洗浄液と上記被洗浄物とを十分に接触させることができる。
【0016】
上記発明において好ましくは、上記被洗浄物の運搬経路に対する上記第1洗浄液の衝突角度と、上記運搬経路に対する上記第2洗浄液の衝突角度とが、略同じになるように形成されている。この構成を採用することにより、上記第2ノズルから噴射される上記第2洗浄液が上記第1洗浄液に接触する際に、上記第1洗浄液の流れが乱れることを防止できる。
【0017】
上記目的を達成するため、本発明に基づく洗浄方法は、被洗浄物に、第1洗浄液を衝突させて洗浄する方法であって、上記第1洗浄液の上記被洗浄物と接する側と反対側に、上記第1洗浄液より温度の低い第2洗浄液を噴射しながら洗浄を行なう。この方法を採用することにより、従来の技術による洗浄方法で除去が可能なパーティクルより微細な上記パーティクルを除去することができる。
【0018】
上記発明において好ましくは、上記被洗浄物に向けて噴射された直後の前記第1洗浄液の温度と、上記第1洗浄液に向けて噴射された直後の上記第2洗浄液の温度との差を25℃以上にして洗浄を行なう。この方法を採用することにより、粒径が1μm以下のサブミクロンサイズの上記パーティクルを除去することができる洗浄方法を提供することができる。
【0019】
上記発明において好ましくは、上記第1洗浄液を薄膜状に噴射して洗浄を行なう。この構成を採用することにより、上記発明をスリットノズルを用いた洗浄方法に適用することができる。
【0020】
上記発明において好ましくは、上記第1洗浄液によって、上記被洗浄物表面に付着しているパーティクルを回転移動させる工程と、上記第1洗浄液と上記第2洗浄液との温度差によって、上記パーティクルを上記被洗浄物の表面に形成されている上記第1洗浄液の境界層より上側に浮上させる工程と、上記パーティクルを上記第1洗浄液と共に上記被洗浄物の上方から排除する工程とを含む。この方法を採用することにより、粒径が1μm以下のサブミクロンサイズの上記パーティクルを除去することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
(構成)
図1から図6を参照して、本発明に基づく実施の形態1における洗浄装置および洗浄方法について説明する。
【0022】
図1は、本実施の形態における洗浄装置の主要部の斜視図である。板状の被洗浄物である基板1は、一列に並べられた搬送ローラ2によって運搬される。基板1は搬送ローラ2の上に配置される。搬送ローラ2は、図示しない搬送ローラ駆動手段によって回転するように形成されている。基板1は矢印20の向きに運搬される。基板1の上方には、第1ノズル3および第2ノズル4が形成されている。
【0023】
第1ノズル3は、被洗浄物に衝突させる第1洗浄液を噴射するためのものである。第1ノズル3は、内部に空洞の部分が形成されており、この空洞は、第1洗浄液供給口9および第1ノズル口12と連通している。第1洗浄液供給口9は、第1ノズル3の上面に2つ形成されており、それぞれが内部の空洞に連通している。
【0024】
第1ノズル口12は、第1ノズル口12を正面から見た時に、細長の長方形に形成されている。また、第1ノズル口12は、基板1の運搬経路に向かうように、かつ基板1の運搬経路に対して傾斜するように形成されている。すなわち、第1ノズル口12から噴射される薄膜状の第1洗浄液が、傾斜して基板1に衝突するように形成されている。また、本実施の形態においては、第1ノズル口12が形成されている面は、基板1の幅方向と平行になるように配置されているが、特に平行でなく、基板1の幅方向に対して斜めに形成されていてもよい。第1ノズル口12の長手方向の長さは、基板1の幅より長くなるように形成されている。
【0025】
基板1の上方であって、基板1の運搬方向の上流側には、第2洗浄液を噴射するための第2ノズル4が形成されている。第2ノズル4の内部には、空洞が形成されており、この空洞は第2洗浄液供給口10および第2ノズル口13に連通している。第2洗浄液供給口10は、第2ノズル4の上面に2つ形成されており、それぞれが内部の空洞に連通している。
【0026】
第2ノズル口13は、第2ノズル口13を正面から見た時に、長方形に形成されている。また、第2ノズル口13は、基板1の運搬経路に向かうように、かつ基板1の運搬経路に対して傾斜するように形成されている。すなわち、第2洗浄液は、第2ノズル口13から基板1の運搬経路に向けて傾斜して噴射されるように形成されている。第2ノズル口13が形成されている向きは、第2洗浄液が噴射される向きが第1ノズルから噴射される第1洗浄液の向きと同じになるように形成されている。また、第2ノズル口13が形成されている面は、基板1の幅方向と平行になるように配置されている。第2ノズル口13の長手方向の長さは、基板1の幅方向より長くなるように形成されている。本実施の形態においては、第2ノズル口13の長手方向の長さは、第1ノズル口12の長手方向の長さと同じになるように形成されている。
【0027】
本実施の形態においては、第2洗浄液の噴射口として、正面から見た形状が長方形となるノズル口が1つ形成されているが、特にこの形態に限られず、内部の空洞と連通して第2洗浄液を噴射できればよい。たとえば、第2ノズル口13は、正面からみた形状が円となるノズル口が複数個形成されていてもよいし、第1ノズル口12のように、スリット状のノズル口が形成されていてもよい。
【0028】
本発明に基づく洗浄装置の概略断面図を図2に示す。図1に示した主要部は、箱型の洗浄槽5の内部に配置されている。洗浄槽5の内部には、被洗浄物を運搬するための搬送ローラ2が同一平面上に形成されている。搬送ローラ2は、図示しない回転駆動装置に接続されている。洗浄槽5の底部には、洗浄が完了した洗浄液を排出するための排液管6が形成されている。
【0029】
第1ノズル3および第2ノズル4は、洗浄槽5の上部に配置されている。第1ノズル3および第2ノズル4は、それぞれ、第1洗浄液または第2洗浄液を基板1の運搬経路に対して角度θで傾斜して噴射するように形成されている。本明細書においては、この角度θを衝突角度という。本実施の形態においては、第1洗浄液と第2洗浄液の衝突角度が同じになるように、すなわち、第1洗浄液の噴射方向と第2洗浄液の噴射方向とが同じになるように形成されている。また、第1ノズル3と第2ノズル4とは、矢印20に示す被洗浄物の基板1の運搬方向と反対の向きに洗浄液を噴射するように形成されている。
【0030】
第1ノズル3の第1洗浄液供給口9には第1洗浄液供給パイプ7が接続され、また、第2ノズル4の第2洗浄液供給口10には第2洗浄液供給パイプ8が接続されている。第1洗浄液供給パイプ7は、図示しない第1洗浄液供給ポンプ、第1洗浄液タンクおよび洗浄液加熱手段を含む第1洗浄液供給手段に接続されている。一方で、第2洗浄液供給パイプ8は、図示しない第2洗浄液供給ポンプおよび第2洗浄液タンクを含む第2洗浄液供給手段に接続されている。
【0031】
(作用・効果)
図3に、被洗浄物である基板を洗浄している様子を示す洗浄装置の主要部の概略断面図を示す。基板1は、搬送ローラ2の上側に配置され、搬送ローラ2が回転することによって、矢印20の向きに移動する。基板1の運搬経路に向けて、運搬方向と逆の向きに、洗浄液が噴射される。第1ノズル3からは第1洗浄液15が、第2ノズル4からは第2洗浄液16が噴射される。
【0032】
第1洗浄液15は、第1洗浄液供給手段によって、加圧、加熱された状態で、連続的に第1ノズル3に供給される。第1洗浄液15は、第1洗浄液供給口9および第1ノズル3の内部の空洞を通って、第1ノズル口12から高速で噴射される。第1洗浄液15は薄膜状に、高速で噴射されて基板1に衝突して、パーティクル11を除去する。第1洗浄液15は連続的に噴射され、運搬されている基板1の上面に第1洗浄液15の層が形成される。
【0033】
第2洗浄液供給手段から供給された第2洗浄液16は、第2ノズル4の内部の空洞を通って、第2ノズル口13から噴射される。第2洗浄液16も連続的に噴射される。第2洗浄液16は、第1洗浄液15の層と接触して、第1洗浄液15の上側に第2洗浄液16の層を形成する。
【0034】
基板の洗浄を行なっている際のパーティクルの動きを説明する拡大断面図を図4に示す。除去すべき汚染物であるパーティクル11は、基板1の表面に付着している。パーティクル11は、高速な第1洗浄液15の流れの剪断応力によって、矢印21の向きに回転して、矢印22に示すように基板1の主表面を回転しながら移動する。パーティクル11を移動させるために必要な外力は、パーティクル11と基板1との間に作用する摩擦力に比例する。一般的に、転がり摩擦係数は、すべり摩擦係数より3〜4桁は小さい。このため、パーティクル11を回転移動させるのに必要な外力は、すべり移動をさせるのに必要な外力と比較して桁違いに小さい。よって、高速で流れる第1洗浄液15の流れでパーティクル11を容易に回転移動させることができる。
【0035】
第1洗浄液15は加熱されており、第2洗浄液16より温度が高い。すなわち、高温の第1洗浄液15の層の上面に低温の第2洗浄液16の層が形成される。よって、第1洗浄液15の内部においては、第2洗浄液16が接触している側が温度が低く、基板1に接触している側が温度が高くなるように、温度勾配が生じる。図4においては、下側が温度が高く、上側に向かうほど温度が低くなり、下側の密度は小さく、上側に向かうほどその密度は大きくなる。パーティクル11は上に向かうほどその浮力が大きくなる。このように、第1洗浄液15の層の上側に温度の低い第2洗浄液16を形成することによって、基板1の主表面から浮上したパーティクル11が再び降下して再付着することを抑制し、基板1の上方から第1洗浄液と共に排除する能力が向上する。
【0036】
また、パーティクル11を除去する第1洗浄液の温度が高いことによって第1洗浄液15の化学反応が促進され、または、界面活性効果が向上することによってパーティクル11を除去する能力が従来の技術による洗浄装置よりも向上する。
【0037】
本発明では、基板1の主表面に第1洗浄液15が配置され、その上に第2洗浄液16が配置されている2層構造となっている。第1洗浄液15の温度は、第2洗浄液16の温度より高い。洗浄条件一定下でその温度差を大きくすると矢印19に示す流れが生じる。この上昇流に伴って、パーティクル11に浮力が働く。よって、パーティクル11は矢印23に示すように基板1の主表面から引き離される。
【0038】
矢印18は第1洗浄液15のそれぞれの位置における流速を示しており、第1洗浄液の流速分布41は、液の粘性によって基板表面で0となり、上側に向かうにつれて境界層42の領域で急激に速度が増したのち一定流速になる。浮力によって基板1の表面から浮上したパーティクル11は、境界層42より上側に浮上した後に、矢印24に示すように第1洗浄液15の高速流に乗って、すみやかに基板1の上方から排除される。よって、パーティクル11が基板1の上方に滞留した後に再付着することを防止できる。
【0039】
従来の技術における洗浄装置では、第1洗浄液15の下流においては流速が小さくなり、パーティクル11の回転移動が停止してしまい基板1の主表面に残留する可能性があるが、本発明における洗浄装置は、この場合も矢印23,24に示すように、第1洗浄液の厚さ方向の温度差によってパーティクルが上昇して、基板1の主表面からパーティクル11を除去することができる。
【0040】
第1洗浄液15および第2洗浄液16が基板1に向けて噴射されて、洗浄が行なわれている間も、基板1は矢印20の運搬方向に移動している。よって、基板1は、進行方向の先端から後端に至るまで、均一に洗浄を行なうことができる。
【0041】
このように、第1洗浄液の上に温度の低い第2洗浄液を配置して、第1洗浄液の内部に温度勾配を形成することによって、洗浄能力を向上させることができる。本発明における洗浄装置は、粒径が1μm以下のサブミクロンサイズのパーティクルを除去することができ、さらに、大型の基板に対しても同様の洗浄能力で均一に洗浄を行なうことができる。また、超音波を併用する洗浄装置と比較して、装置の構造が容易であり、洗浄装置のメンテナンスも容易に行なうことができる。
【0042】
第1洗浄液15と第2洗浄液16との温度差を大きくしていくと内部に対流が生じる現象に関して、本発明に示すような下方が高温で上方が低温の液体に発生する対流は流体力学的には「ベナール対流」と呼ばれる。このベナール対流が発生するための条件は、次に示すレイリー数Ra(無次元数)により定まる。
【0043】
Ra=αg△Td3/κν ・・・(1)
αは第1洗浄液の熱膨張係数、gは重力加速度、△Tは第1洗浄液の上面と下面との温度差、dは第1洗浄液の液膜の厚さ、κは第1洗浄液の温度伝導率、νは第1洗浄液の動粘性係数である。ベナール対流が発生する閾値である臨界レイリー数は1100であるので、本発明の場合に適用するとベナール対流の発生に必要な温度差△Tは約23℃となる。仮に、第2洗浄液の温度を常温の25℃とすると、ベナール対流を発生させるのに必要な第1洗浄液の温度は、25℃程度加算した50℃程度である。よって、加熱手段としては、通常のヒーターを用いて第1洗浄液を加熱することで、十分に本発明を実施することができる。このように、ベナール対流を発生させることを考慮して、第1ノズルのノズル口における第1洗浄液と第2ノズルのノズル口における第2洗浄液との温度差は、25℃以上であることが好ましい。より厳密には、洗浄を行なっている第1洗浄液のレイリー数が1100(臨界レイリー数)以上の状態であることが好ましい。
【0044】
ここでパーティクルの除去に必要な第1洗浄液の流速について説明する。サブミクロンサイズのパーティクルを除去する洗浄力を実現するためには、被洗浄基板の主表面における第1洗浄液の流速は150m/s以上が望ましい。パーティクルは、粒径が小さくなるのに反比例して基板への付着力は増大する。一方で、パーティクルを回転移動させるための洗浄液の剪断応力は速度勾配に比例するので、微細な粒子に対して付着力よりも剪断応力を大きくするためには、第1洗浄液の流速を上昇させる必要がある。
【0045】
たとえば、従来のアモルファス・シリコン液晶の洗浄においては、粒径が3μm以上のパーティクルを除去できればよいので、第1洗浄液の流速は100m/s程度で十分である。これに対して、低温ポリシリコン液晶、CGシリコン液晶などの洗浄では、設計で要求される基準がより厳しく、粒径が0.5μm以上のパーティクルを除去する必要があり、第1洗浄液の流速は150m/s以上が好ましい。第1洗浄液の流速が大きくなるほど流れの剪断応力による洗浄力は向上するが、その反面、第1洗浄液の流れの抵抗に逆らって、基板を搬送ローラで搬送することが困難になる。また、基板の主表面に薄膜などが形成されている場合には、形成されている薄膜が損傷する可能性がある。さらには、流れの摩擦力により静電気が発生するという問題がある。これらの問題を考慮して、第1洗浄液の流速は200m/s以下であることが望ましい。
【0046】
基板としてガラス基板(大きさは320mm×400mm、厚さ0.7mm)、洗浄液として超純水(流量は10〜20リットル/分)を用いて洗浄試験を行なった結果、第1洗浄液の最大流速が200m/s以下の場合には、基板が搬送できること、成膜(金属膜または樹脂膜)の損傷などがないこと、および静電気に関して問題がないことが確認できている。
【0047】
第2洗浄液は、第1洗浄液の上面に低温の層を形成することが目的である。第2洗浄液の流速は、遅すぎると安定した低温層が形成されず、速すぎると使用する第2洗浄液の量が徒に増大するという問題がある。第2洗浄液の好ましい速度の範囲は第1洗浄液の流速に依存するが、上記の第1洗浄液の流速が150m/s以上200m/s以下の範囲に対しては、第2洗浄液の流速が0.1m/s以上1m/s以下の範囲内であることが好ましい。
【0048】
図5および図6を参照して、第1ノズルと第2ノズルとの位置関係について説明する。本発明では第1ノズル3から噴射された第1洗浄液15の流れの剪断応力によってパーティクルを回転移動させ、さらに、上昇流によって浮力を与えてパーティクルを基板の主表面から浮上させることが重要である。第1洗浄液15の中心面30が基板1の運搬経路の上面32と交わる線25(図5においては、紙面の垂直方向の線)の近辺においては、第1洗浄液15の流れが安定しておらず、第2洗浄液16を第1洗浄液15の上面に配置しにくい状態となっている。また、パーティクルが回転する助走距離も必要である。よって、第2ノズル4は、第1ノズル3からある程度距離を開けて配置した方が好ましい。逆に、第1ノズル3と第2ノズル4との距離を開けすぎると、第1洗浄液の流速が遅くなり好ましくない。このように、パーティクルが回転移動する助走距離と第1洗浄液の流れが安定するまでの距離とを考慮して、第2洗浄液16の中心面31が基板1の上面32と交差する線26と線25との距離40は、10mm以上20mm以下にすることが好ましい。
【0049】
噴射された第1洗浄液と基板の運搬方向とがなす角度、すなわち衝突角度は、第1洗浄液15が基板1に衝突した際のエネルギー損失を小さくするために小さい方が好ましい。すなわち、第1洗浄液が噴射される方向は水平に近いほうが好ましいが、衝突角度を小さくしすぎると、第1洗浄液と基板との衝突が不十分で洗浄能力が低下する。洗浄液の基板の主表面に平行な方向の流速成分(以下、「表面流速」という。)は噴射された流速のコサイン成分になる。衝突角度が20°以下の場合には表面流速の減衰は10%以下と小さいが、衝突角度が20°以上になると表面流速の減衰は10%以上になり洗浄力が低下する。一方で衝突角度が10°以下になると、基板1と第1洗浄液15との接触が不十分で洗浄力が低下し、また、洗浄装置内部に配置するスペースも大きくなる。このように、第1洗浄液の衝突角度は10°以上20°以下が好ましい。
【0050】
本実施の形態においては、第2洗浄液の衝突角度(第2洗浄液が噴射される方向と基板の運搬方向とがなす角度。図2参照。)は、第1洗浄液の衝突角度と同じになるように形成されている。これらの2つの衝突角度を略同じにすることによって、第1洗浄液15と第2洗浄液16とが衝突した際に、互いの流れを打ち消すことを回避できる。
【0051】
図6に示すように、本実施の形態においては、第1ノズル口および第2ノズル口の長手方向(運搬方向と垂直な方向)の長さは基板1の幅より長い。この構成を採用することによって、基板1の幅方向全体を一度に洗浄することができる。また基板の主表面に加えて外周面(端面)も同時に洗浄することができる。
【0052】
本実施の形態においては、第1洗浄液と第2洗浄液とは同一の洗浄液である。第1洗浄液と第2洗浄液を同一の洗浄液にすることによって、第1洗浄液の化学洗浄力の低下を避けたり、洗浄液給水手段の機器を簡略化したりすることができる。洗浄液としては、超純水、アルカリ水素水、オゾン水、過酸化水素水、硫酸、塩酸、亜臨界水、超臨界水などを使用することができる。さらに、磁気水(磁化水とも言われ、磁場空間に対して垂直に移動させて、水分子クラスタ同士の結合が切離されて浸透力が高まったもの)なども使用することができる。
【0053】
本実施の形態においては、第1洗浄液供給手段に加熱手段を形成して、第2洗浄液より第1洗浄液を高温にしたが、この形態に限られず、第1洗浄液を第2洗浄液より高温にできればよい。たとえば、第2洗浄液を冷却する洗浄液冷却手段を接続してもよい。また、被洗浄物についても板状のものに限られず、多面体のような立体的な形状の被洗浄物であってもよい。
【0054】
上記の実施の形態においては、第1洗浄液を噴射するノズル口の形状が、細長の長方形である、いわゆるスリットノズルについて、説明を行なったが、この形態に限られず、任意の形状を有する噴射された第1洗浄液に温度の低い第2洗浄液を接触させることによって、洗浄能力を向上させることができる。
【0055】
上記の実施の形態においては、主に、洗浄装置について説明を行なったが、本発明に基づく洗浄方法についても同様である。すなわち、図3に示すように、第1洗浄液の基板と接する側と反対側に、第1洗浄液より温度の低い第2洗浄液を噴射しながら洗浄を行なうことによって、従来の洗浄方法より、洗浄能力を向上させることができる。また、基板に向けて噴射された直後の第1洗浄液の温度と第1洗浄液に向けて噴射された直後の第2洗浄液の温度との差を25℃以上にして洗浄を行なうことによって、ベナール対流を発生させ、粒径がサブミクロンの汚染物の除去も行なうことができる。また、第1洗浄液を薄膜状に噴射して洗浄を行なうことによって、本実施の形態における洗浄装置のようなスリットノズルを備える洗浄装置に本発明を適用することができる。
【0056】
また、図4に示すように、第1洗浄液によって基板表面に付着しているパーティクルを回転移動させる工程と、第1洗浄液と第2洗浄液との温度差によって、パーティクルを基板表面に形成されている第1洗浄液の境界層より上側に浮上させる工程と、パーティクルを第1洗浄液と共に基板の上方から排除する工程とを含むことによって、粒径がサブミクロンの汚染物の除去も行なうことができる。その他の作用および効果については、洗浄装置における作用および効果と同様であるので、ここでは、説明を繰返さない。
【0057】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、超音波を用いずに従来の技術による洗浄装置よりも微細なパーティクルを除去することができる洗浄装置および洗浄方法を提供することができる。さらに、大型の基板に対しても、粒径が1μm以下のサブミクロンサイズのパーティクルを均一に除去することができる洗浄装置および洗浄方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく実施の形態1における洗浄装置の主要部の概略斜視図である。
【図2】本発明に基づく実施の形態1における洗浄装置の概略断面図である。
【図3】本発明に基づく実施の形態1における洗浄装置で基板を洗浄している状態の主要部の概略断面図である。
【図4】本発明に基づく実施の形態1における洗浄装置の作用および効果の説明図である。
【図5】本発明に基づく実施の形態1における洗浄装置の主要部の概略断面図である。
【図6】本発明に基づく実施の形態1における洗浄装置の主要部の概略平面図である。
【符号の説明】
1 基板、2 搬送ローラ、3 第1ノズル、4 第2ノズル、5 洗浄槽、6 排液管、7 第1洗浄液供給パイプ、8 第2洗浄液供給パイプ、9 第1洗浄液供給口、10 第2洗浄液供給口、11 パーティクル、12 第1ノズル口、13 第2ノズル口、15 第1洗浄液、16 第2洗浄液、18,19,20,21,22,23,24 矢印、25,26 線、30,31 中心面、32 上面、40 距離、41 速度分布、42 境界層、θ 衝突角度。
Claims (12)
- 被洗浄物に衝突させる第1洗浄液を噴射するための第1ノズルと、
前記第1洗浄液の前記被洗浄物と接する側と反対側に接するように前記第1洗浄液より温度の低い第2洗浄液を配置するための、第2ノズルと
を備える、洗浄装置。 - 前記第1ノズルのノズル口における前記第1洗浄液と前記第2ノズルのノズル口における前記第2洗浄液との温度差が25℃以上になるように形成された、請求項1に記載の洗浄装置。
- 略同一平面上に形成されており、板状の前記被洗浄物を運搬するための搬送ローラを備え、
前記第1ノズルは、薄膜状に前記第1洗浄液を噴射するためのスリット口を含み、
前記第1ノズルおよび前記第2ノズルは、前記被洗浄物の運搬方向と反対向きに洗浄液を噴射するように配置された、請求項1に記載の洗浄装置。 - 噴射された前記第1洗浄液の中心面と前記被洗浄物の運搬経路の上面とが交差する線が、噴射された前記第2洗浄液の中心面と前記被洗浄物の運搬経路の上面とが交差する線より、10mm以上20mm以下離れた前記運搬方向の下流側になるように形成された、請求項3に記載の洗浄装置。
- 前記第1洗浄液の前記被洗浄物の表面での流速が、150m/s以上200m/s以下になるように形成された、請求項3に記載の洗浄装置。
- 前記第2洗浄液の前記第1洗浄液の上面での流速が、0.1m/s以上1m/s以下になるように形成された、請求項5に記載の洗浄装置。
- 前記被洗浄物の運搬経路の上面に対する前記第1洗浄液の衝突角度が、10°以上20°以下になるように形成された、請求項3に記載の洗浄装置。
- 前記被洗浄物の運搬経路に対する前記第1洗浄液の衝突角度と、前記運搬経路に対する前記第2洗浄液の衝突角度とが、略同じになるように形成された、請求項3に記載の洗浄装置。
- 被洗浄物に、第1洗浄液を衝突させて洗浄する方法であって、
前記第1洗浄液の前記被洗浄物と接する側と反対側に、前記第1洗浄液より温度の低い第2洗浄液を噴射しながら洗浄を行なう、洗浄方法。 - 前記被洗浄物に向けて噴射された直後の前記第1洗浄液の温度と、前記第1洗浄液に向けて噴射された直後の前記第2洗浄液の温度との差を25℃以上にして洗浄を行なう、請求項9に記載の洗浄方法。
- 前記第1洗浄液を薄膜状に噴射して洗浄を行なう、請求項9に記載の洗浄方法。
- 前記第1洗浄液によって、前記被洗浄物表面に付着しているパーティクルを回転移動させる工程と、
前記第1洗浄液と前記第2洗浄液との温度差によって、前記パーティクルを前記被洗浄物の表面に形成されている前記第1洗浄液の境界層より上側に浮上させる工程と、
前記パーティクルを前記第1洗浄液と共に前記被洗浄物の上方から排除する工程と
を含む、請求項9に記載の洗浄方法。
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---|---|---|---|
JP2003209079A JP2005072058A (ja) | 2003-08-27 | 2003-08-27 | 洗浄装置および洗浄方法 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007194490A (ja) * | 2006-01-20 | 2007-08-02 | Toshiba Corp | 処理装置及び処理方法 |
JP2007266545A (ja) * | 2006-03-30 | 2007-10-11 | Dainippon Screen Mfg Co Ltd | 基板処理装置 |
CN103028564A (zh) * | 2011-09-30 | 2013-04-10 | 金宝电子(中国)有限公司 | 溶液供应单元、清洁系统及其清洁方法 |
KR101422621B1 (ko) * | 2011-08-04 | 2014-07-24 | 타이완 세미콘덕터 매뉴팩쳐링 컴퍼니 리미티드 | 화학 물질 분사 방법 및 장치 |
-
2003
- 2003-08-27 JP JP2003209079A patent/JP2005072058A/ja not_active Withdrawn
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