JP2007216158A - 過熱蒸気を利用した基板洗浄方法と装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】
基板洗浄において、薬液、エキシマUV、APプラズマ、超音波、ブラッシング、高圧水などの技術や装置を用いないで、界面活性剤と過熱蒸気などを組み合わせ、クリーンで装置ラインが短縮化された非接触の洗浄技術を提供する。
【解決手段】
本発明の洗浄方式は、基板上に界面活性剤水をシャワーノズルで散水し、次に蒸気ノズルから過熱蒸気を噴射させ、界面活性剤水の高温化と水蒸気の爆縮現象で有機物などを除去し、さらに水蒸気直下の基板上に微噴霧水を噴射して水蒸気化爆発現象でパーティクルを除去し、洗浄物を洗浄ノズルで排出搬送させ、噴霧水で基板前面を覆うことでウォーターマークを防止し、エアーノズルで乾燥させる機能を備えていることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、液晶用基板、マスク基板、シリコン基板、LCD実装基板、半導体基板などの製造工程で使用する受け入れ洗浄機、現像装置、エッチング装置、成膜装置、薄膜剥離装置、CMP後洗浄、レジスト剥離装置において基板表面の有機物・無機物やパーティクルを除去する方法と装置に関する。
<従来の技術>
従来、LCD・半導体基板の製造工程では基板表面の有機物除去のため、エキシマUV・APプラズマなどのドライ洗浄技術やSC−1・SC−2などの薬液洗浄、さらに高圧水シャワーやブラッシング洗浄などが組み合わされている。
これらの技術では、単体ユニットの高コスト化、薬液排液処理、超純水の大量使用、ブラシでの擦過傷や剥離物再付着などの問題や大型基板では装置ラインの短縮対応不可および搬送速度の高速化不可などの問題がある。
従来技術として、例えば、特許文献1による半導体基板の処理方法は、従来のブラシスクラバー洗浄での洗浄問題点を解決するための発明であって、蒸気(10バール以下、183℃以下)と水膜を利用した新しい提案をしている。しかし、最近のライン高速搬送での処理では性能不足であり、複合機能による高速処理化が必要となっている。
特許文献2によるガラスカレット除去の処理方法は、アルカリ液でのブラッシング洗浄の提案であるが、擦過傷や小さなカレットが除去しにくい問題点を抱えており、非接触での除去が期待されている。
特許文献3によるウォータマーク防止の処理方法は、レジスト剥離での撥水性ガラス基板での問題点を解決するための発明でエアーナイフ直前にリンス液を吐出させているが、大型薄板ガラス基板では水重量の負荷軽減が必要となっている。
特許第3299281号
特願平9−255929
特願平7−40189
上述の如く、従来技術に係る基板の洗浄工程では薬液廃液処理での環境負荷の増大、超純水の大量使用、剥離物再付着、擦過傷、装置ラインの短縮対応不可、単体ユニットの高コスト化、高速搬送不可などの問題があり、クリーンで低コスト化された高速生産が不可能である。
本発明は、このような問題状況に対応するために、界面活性剤水、高温過熱蒸気、微噴霧水、洗浄水、噴霧水、エアー乾燥などを組み合わせ、環境負荷が少なく、装置ラインが短縮化され、ブラシ類を使用しない高速搬送対応の非接触型洗浄技術を提供することにある。
上述の目的を達成する本発明の洗浄方式は、まず初めに基板上に界面活性剤水をシャワーノズルで散水し、次に蒸気ノズルから過熱蒸気を噴射させ、界面活性剤水の高温化と水蒸気の爆縮現象で有機物などを除去し、さらに水蒸気直下の基板上に微噴霧水を噴射して水蒸気化爆発現象でパーティクルを除去し、洗浄物を洗浄ノズルで排出搬送させ、噴霧水でウォーターマークを防止し、エアーノズルで乾燥させる機能を備えていることを特徴とする。
本発明の洗浄方式では、界面活性剤水シャワーノズル、蒸気ノズル、微噴霧水ノズル、洗浄水ノズル、噴霧水ノズル、エアーナイフが最少のノズルセットになるが、汚染度によってはこれらのセットを部分的に多段にすることで高速洗浄効果に有効である。
以上説明したように本発明によれば、従来より高温の過熱蒸気を利用することにより、界面活性剤の高温度による瞬時での有機物除去、水蒸気爆縮、水蒸気化爆発による剥離作用、水蒸気のイオン化効果、噴霧によるウォーターマーク防止などが複合的に作用し、簡便な機構の非接触状態で、大型基板のクリーン洗浄が高速度搬送条件で実現できる。
これまでの諸実験により、8m/minの高速度搬送条件で、水滴の接触角が0度に近い超清浄面を得ることができた。これは、従来の低速洗浄技術でも煩雑で高負荷環境下でしか実現できなかった洗浄面と同等な清浄面である。
本発明では従来工程、例えば、(1)搬送⇒(2)洗剤ディスクブラシ⇒(3)ロールブラシ⇒(4)高圧シャワー⇒(5)メガソニックシャワー⇒(6)純水シャワー⇒(7)エアーナイフ⇒(8)搬出の計8ユニットの構成ラインの内、(2)(3)(4)(5)を省略化でき、省略部に本発明での洗浄ユニットを使用するとライン長さを大幅に短縮化することができる。
以下、本発明の実施の形態について、添付図面に基づき詳細に説明する。
図1〜図10は本発明の第一の実施の形態に係り、図1は洗浄基幹部の装置構成図、図2は界面活性剤の洗浄効果、図3は水蒸気爆縮での洗浄メカニズム、図4は水蒸気爆縮洗浄でのレジスト剥離、図5は水蒸気化爆発モデル、図6は水蒸気化爆発でのレジスト剥離、図7は高温過熱蒸気の帯電除去実験結果、図8は洗浄ラインのノズル配列図、図9は洗浄面の接触角実験結果、図10はガラスカレット除去実験結果である。
図1に示すように、本発明の装置1は基板8表面に界面活性剤水シャワーノズル2で界面活性剤水21を散布し、界面活性剤水膜22に蒸気ノズル3から過熱蒸気31を噴射させ、同時に過熱蒸気噴射直下の基板上に微噴霧水ノズル4より微噴霧水41を噴射することを特徴とする洗浄方法と洗浄装置1であり、基板8は矢印10の方向に搬送できる機構となっている。
本発明では、従来より高温の過熱蒸気を利用することによる、界面活性剤の瞬時有機物除去効果、水蒸気爆縮による剥離効果、水蒸気化爆発による剥離効果、水蒸気のイオン化による電離効果、噴霧によるウォーターマーク防止効果などの各効果が複合的に作用するため、各効果を個別に説明する。
<界面活性剤効果>
図2は界面活性剤の使用温度とガラス基板接触角の基礎実験である。この結果、界面活性剤を蒸気で瞬時に高温化すれば短い反応時間でも、接触角の小さな清浄面を得られることを表している。
<水蒸気爆縮効果>
図3は界面活性剤水22に過熱蒸気31が噴射された場合の洗浄メカニズムをモデル化したものである。過熱蒸気31が冷水状態の界面活性剤水膜22に飛び込むと体積で1/1000以下の収縮32が生じ、水中でキャビテーション23が発生する。このキャビティの崩壊時に衝撃波33が発生し、衝撃作用で超音波洗浄と同等な洗浄作用をおこなう効果がある。
図4は界面活性剤水膜に190℃過熱蒸気をワンショット噴射した時のレジスト薄膜の剥離状態である。中央部が剥離され、周辺部の未剥離部は当初の透明膜が濁面となっており、図3の水蒸気爆縮で薄膜の剥離が可能であることを実証している。
<水蒸気化爆発効果>
図5は基板に過熱蒸気が噴射されている状況下で、微噴霧水粒を過熱蒸気直下に噴射した時の洗浄モデル図である。一例として、φ50μm微噴霧水粒が250℃雰囲気の過熱蒸気に噴射された場合、約4msで蒸発し、体積が1000倍以上に膨張するため、多数の微噴霧水粒が同時に作用した場合は水蒸気化爆発現象が生じる。
図6はレジスト薄膜基板に190℃過熱蒸気を噴射し、噴射直下に微噴霧をワンショット噴射したときのレジスト剥離面である。各所で剥離しており、未剥離部は当初の透明膜が濁面となっており、図5の水蒸気化爆発で薄膜の剥離が可能であることを実証している。
<過熱蒸気の除電効果>
図7は高温過熱蒸気によるガラス基板の帯電除去の実験結果である。プラスチック材の擦過で帯電させた試験片のガラス基板は過熱蒸気で除電され、過熱蒸気が高温になるほど除電効果のあることを示しており、水蒸気のイオン(OH、H)化効果を実証している。
<ウォータマーク防止>
さらに、図8に示したように、洗浄水ノズル5とエアーナイフ7工程の間に噴霧水ノズル6を設置し、基板全表面が噴霧水で覆われ、ウォータマークを防止している。これは従来での洗浄水の水玉現象の状態で乾燥させると基板、空気、洗浄水の三相界面にウォータマークが発生する問題があったが、噴霧水滴による基板の全面濡れ作用によるウォータマークの発生防止と、薄板基板への水重量負荷の軽減効果が実現できる。
以上説明したように本発明によれば、従来より高温の過熱蒸気を利用することにより、水蒸気のイオン化効果、界面活性剤の高温度による瞬時での有機物除去、水蒸気爆縮・爆発による剥離作用、噴霧によるウォーターマーク防止などが複合的に作用し、簡便な機構の非接触状態で、クリーン洗浄が高速度搬送条件で可能となった。
図8は生産ラインに応用するための洗浄ラインのノズル配列図であり、基板8の入り口部より、界面活性剤水シャワーノズル2、蒸気ノズル3、微噴霧水ノズル4、剥離物を水流で排出搬送する洗浄水ノズル5、ウォーターマーク防止用噴霧水ノズル6、水切り用のエアーナイフ7が配列される。基板8の搬送方向10は、搬送ローラー9の回転11でコントロールされる。ノズルの幅寸法は基板の幅と同様であり、400mmの寸法を有している。
図8での界面活性剤にはアルカリ性特殊アニオン系で非イオン系の物を使用し、使用濃度は2%であり、廃液は簡易中和状態で排水可能である。
図9は図8の洗浄ラインで洗浄したガラス基板の4ポイント測定点での水滴接触角である。洗浄対象物はW400mm ×L500mm × t1mmの青板ガラス基板であり、各ノズルの幅は400mm、過熱蒸気温度は190℃、搬送速度は8m/minである。接触角は値が小さい程、清浄面であるとされており、本実験では洗浄前接触角が約15度〜21度の物が洗浄後は測定不能状態の0度を示しており、従来手法での最高品位レベルと同等の超清浄面が実現できる。
図10はFPD基板上のガラスカレット除去実験結果である。過熱蒸気温度190℃、搬送速度2m/minの条件で、完全に除去されており、非接触状態での除去が可能となった。
以上、本発明の実施の形態及び実施例を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。例えば、基板を両面同時に洗浄する場合は、図8でのノズル配列を基板の裏面側にも設置することができる。
さらに、実施例では矩形基板で直線搬送型の洗浄ラインについて説明しているが、直線洗浄ラインだけに限らず、回転運動による方式でも可能である。例えば、従来のスピン洗浄方式と同様に被洗浄物を回転テーブル上に設置し、ノズルを微小形状としたノズル列をアームに設置し、アームを回転テーブルの中心部より外縁部方向に搬送運動させる方式である。
本発明はFPD用ガラス基板、マスク用石英基板、シリコンウェハー、FPD実装基板、メディア用各種基板などの製造分野での洗浄工程で利用することができる。
本発明の第一の実施の形態に係る洗浄基幹部の界面活性剤水シャワーノズルと蒸気ノズルの配列及び装置構成図である。 本発明の基本的挙動である界面活性剤温度と反応時間を変化させた場合の基板表面の接触角の挙動を表している。 界面活性剤水膜に過熱蒸気が噴射された場合の水蒸気爆縮洗浄メカニズムのモデル図である。 界面活性剤水膜に190℃過熱蒸気をワンショット噴射した時のレジスト薄膜の剥離状態の写真図である。 界面活性剤水膜上で噴霧粒が瞬時に水蒸気化爆発した時の有機物剥離モデル図である。 基板に蒸気を噴射し、噴射直下に微霧をワンショット噴射したときのレジスト剥離面の写真図である。 高温過熱蒸気でのイオン化現象を証明するための帯電除去効果の実験結果である。 図1の基本構成を基にし、基板表面洗浄ラインを構築した時のノズル配列図である。 洗浄面の接触角実験結果の写真図である。 ガラスカレット除去実験結果の写真図である。
符号の説明
1 洗浄装置
2 界面活性剤水シャワーノズル
3 蒸気ノズル
4 微噴霧水ノズル
5 洗浄水ノズル
6 噴霧水ノズル
7 エアーナイフ
8 基板
9 搬送ローラー
10 基板搬送方向
11 搬送ローラーの回転方向
14 水蒸気爆発ゾーン
21 界面活性剤水
22 界面活性剤水膜
23 キャビテーション
31 過熱蒸気
32 過熱蒸気の収縮
33 衝撃波
41 微噴霧水粒

Claims (9)

  1. 基板表面の洗浄方法において、蒸気ノズルを基板表面の近傍に設置し、基板表面上の界面活性剤水膜に噴射させると同時に蒸気噴射直下の基板上に微噴霧水を噴射することを特徴とする洗浄方法と装置。
  2. 蒸気は過熱蒸気を使用されることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 界面活性剤水膜の温度を過熱蒸気でコントロールすることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
  4. 剥離物を排出搬送させる洗浄ノズルの後工程にウォータマークを噴霧水で防止することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
  5. 請求項1〜4に記載の方法を実施するための装置において、基板上に界面活性剤水を注水するシャワーノズル、蒸気を界面活性剤に噴射する蒸気ノズル、蒸気噴射直下の基板上に微噴霧水を噴射させる微噴霧水ノズル、剥離物を排出搬送させる洗浄水ノズル、ウォータマークを防止する噴霧水ノズル、水切り用エアーノズルなどを備えていることを特徴とする装置。
  6. 蒸気は90度以上500度以下の過熱蒸気が基板表面に噴射されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の方法。
  7. 水蒸気のイオン(OH、H)化効果を利用して、帯電除去やパーティクル除去を特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の方法。
  8. 洗浄装置に搭載される各種ノズルが、特に広幅ノズルであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一に記載の装置。
  9. 洗浄プロセスにおいて、基板がローラなどによって通過搬送またはスピン運動していることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の方法。




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