JP2005071726A - アルミニウム負極電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】
アルミニウム及びアルミニウム合金のうちの少なくとも一方を含有する負極と、少なくとも水を含む電解液を用いたアルミニウム負極電池において生じる漏液量を減少させるとともに貯蔵特性を向上させることを目的とする。
【解決手段】
本発明は、表面の片面もしくは両面のすべてが使用電解液に対しJIS規定(P8137−1976)によるR8以上の撥水性を有しかつポアサイズが2〜15μmであるセパレータを使用することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、正極と、アルミニウムまたはアルミニウム合金を含む負極と水を含む電解液により構成されるアルミニウム負極電池に関するものである。
現在、携帯機器には、マンガン電池やアルカリ電池などが広く使用されている。マンガン電池とアルカリ電池は、それぞれ、亜鉛からなる負極と、二酸化マンガンからなる正極とを備え、起電力が1.5Vである。近年の携帯機器の発達に伴い、高電圧、高容量かつ軽量な一次電池や二次電池が要望されている。
現在までに多種多様な電池系が試されており、高電圧、高容量、軽量化が図られてきたが、信頼性上の不安から商品に至らないケースがとても多い。
信頼性上で最も問題となるのは、漏液問題と発熱問題および貯蔵特性である。
たとえば、負極としてアルミニウムを使用する一次電池は、亜鉛を負極として用いる一次電池に比べ、高電圧、高容量、軽量化が期待できるため、古くから検討されている。例えば特許文献1の特許請求の範囲には二酸化マンガンを含む正極と、アルミニウムからなる負極と、塩化アルミニウムの弱酸性水溶液からなる電解液とを備えた電池が開示されている。しかしながら、この電池は、負極に使用されるアルミニウムと電解液との反応性に問題があるため、自己放電が大きく、水素ガス発生量が多く、容量が小さいなどの問題点を有する。
近年になって、例えば特許文献2の特許請求の範囲のように実用性の高いアルミニウム負極電池が提案されている。しかしながら、外部短絡や異常高温などの水素ガス発生を誘発する要因がなくても、貯蔵時をはじめ定常的に、負極と電解液とが反応して水素ガスが多量に発生する自己放電反応が生じる。また、放電中にも大きな水素ガス発生や、負極の放電生成物の電解液への溶解に由来する浸透圧現象から引き起こされる漏液を伴うことが予想され、商品化には至っていない。
米国特許公報第2838591号公報 特開2001−319662号公報
放電時の漏液量を減少させるとともに貯蔵特性に優れたアルミニウム負極電池を提供する。
本発明は、正極と、アルミニウムまたはアルミニウム合金を含有する負極と、水溶液系電解液と、前記正極及び負極を隔て、前記水溶液系電解液に対し片面もしくは両面がJIS規定(P8137−1976)によるR8以上の撥水性を有し、かつポアサイズが2μm以上15μm以下であるセパレータとを具備することを特徴とするアルミニウム負極電池である。
本発明において、前記セパレータの保水率が0%以上500%以下であることが望ましい。また、前記セパレータ表面に飽和直鎖第一アミン類、飽和直鎖第二アミン類、飽和直鎖第三アミン類、芳香族アミン、チオ尿素類、ピリジン類から選ばれる少なくとも1種類の有機インヒビターが結合していることが望ましい。また、前記セパレータは、両面で異なる撥水性を有し、撥水性の高い面が前記負極に面していることがのぞましい。また、前記水溶液系電解液は、電解質として、硫酸イオン及び硝酸イオンのうちの少なくとも1種類のイオンを溶媒中に供給する化合物を用いることが望ましい。
従来、水溶液系の電解液を用いた電池にはもっぱら親水性のセパレータを使用するのが一般的であった。しかしながら本発明に係るアルミニウム負極電池は、セパレータに特定範囲の撥水性を有するものを用いることを特徴とする。
従来、例えば負極にアルミニウムを用い、正極に二酸化マンガンを用いたアルミニウム負極電池においては下記(1)、(2)に示すような放電反応を生じる。
負極:Al+3HO→Al(OH)+3H+3e (1)
正極:MnO+H+e→MnOOH (2)
このようなアルミニウム負極電池では、放電中の負極の放電生成物の電解液への溶解に由来し、負極表面では電解液中の水素イオンが水素ガスに変化する現象が生じやすい。(2H+2e→H↑)
そのため負極表面にて消費される電解液を補うため正極側から負極側に向かって浸透圧現象が生じ、それに従い電解液は負極とセパレータの界面に流出し漏液に至る。
この放電中の浸透圧現象による負極とセパレータ界面への電解液の流出を緩和するために、発明者は鋭意研究した結果、撥水性を有するセパレータを用いると電解液の流出が緩和されることを見出した。つまり、従来の親水性のセパレータでは、セパレータを電解液が容易に通過することができるので、浸透圧現象による電解液の流出をより助ける方向に働くが、撥水性のセパレータでは、電解液がセパレータを通過しにくくなるので、浸透圧現象による電解液の流出をセパレータが疎外する方向に働くと考えられる。
また、負極にアルミニウムを用い、正極に二酸化マンガンを用いた電池において電解液として硫酸水溶液を使用した場合、下記式(3)に示す腐食反応により負極のアルミニウムが硫酸によって腐食(自己放電)されやすい。
2Al+3HSO→Al(SO+3H↑ (3)
ところが、撥水性のセパレータを用いることで、電解液と負極との接触を低減させることにより自己放電反応が抑制され貯蔵特性も向上することも明らかになった。
一方、撥水性のセパレータを使用する際にはセパレータの平均孔径が適度な範囲に調整されていることが重要となる。平均孔径が小さすぎると水素イオンの移動も起こりにくくなり放電特性が悪くなり、一方、平均孔径が大きすぎるとセパレータの役割が十分でなくなりショートの危険が生じる。
セパレータの平均孔径の好ましい値は2μm以上15μm以下であり、更に好ましい範囲は2.8μm以上11μm以下である。平均空孔径の測定は走査電子顕微鏡でセパレータを観察しイメージアナライザで統計的に処理して求めた孔径分布より求める。
また、本発明においてセパレータの保水率は0%以上500%以下の間であることが好ましい。保水率は0%でも問題はないが、保水度を持たせたほうがイオンの移動が容易になり放電に有利となる。一方、保水率が大きすぎると撥水性とした効果が十分得られない可能性がある。保水率の更に好ましい範囲は1%以上400%以下である。保水率の測定は、一定の大きさのセパレータのサンプルを用いて一定時間水に浸した後、一定時間自然水切りを行い、水切り後の保水量を測定した結果より得る。
また、本発明に係る電池における疎水性セパレータ表面には飽和直鎖第一アミン類、飽和直鎖第二アミン類、飽和直鎖第三アミン類、芳香族アミン、チオ尿素類、ピリジン類から選ばれる少なくとも1種類の有機インヒビターが結合していることが好ましい。セパレータ表面に有機インヒビターを存在させることで、自己放電反応は更に抑制され貯蔵特性が飛躍的に向上するからである。
アルミニウム及びアルミニウム合金のうちの少なくとも一方を含有する負極と、水溶液系電解液を用いたアルミニウム負極電池において、放電時に生じる漏液量を減少させるとともに貯蔵特性を向上させることができる。
アルミニウム負極電池の形状の一例を図1、図2を参照して説明する。図1はアルミニウム負極電池の一例であるアルカリ乾電池構造のアルミニウム負極電池を示す部分断面図で、図2は図1のアルミニウム負極電池の要部拡大断面図である。
図1、図2に示すように円筒状の外装体1は少なくとも内面が樹脂から形成されている。この外装体1の開口部下端が内方に折り曲げられており、この折り曲げ部が負極端子をかねる底板2の周縁に接着性の絶縁材料(例えばタール、ピッチ)により接着されている。底板2にはガス抜き孔3aが開口されている。
負極ガスケット4は、円筒状の支持部4aと、この支持部4aの周囲に形成された鍔部4bとを備える。この負極ガスケット4は鍔部4bの周縁を下方に折り曲げた状態で前記外装体1内に挿入されている。負極ガスケット4の鍔部4bには円形溝5を加工することにより形成された最薄肉部6が存在する。最薄肉部の厚さtは5〜300μmの範囲内にすることが望ましい。
負極集電棒7は、負極ガスケット4の支持部4aに挿入され、かつ下端が前記底板2の内面に溶接されている。金属製ワッシャー8は、負極ガスケット4の支持部4aと鍔部4bの折り曲げ部との間に挿入されている。この金属製のワッシャー8の一部にはガス抜き孔3bが形成されている。
有底円筒形のセパレータ9は、前記負極集電棒7を囲むように前記負極ガスケット4上に配置されている。負極合剤10は、前記セパレータ9と前記ガスケット4とにより囲まれた空間に充填されている。円筒状の正極合剤11は前記セパレータ9の側周面と前記外装体1の内壁との間に配置されている。有底円筒形の正極缶12は、前記セパレータ9の上面、前記正極合剤11の上面及び前記正極合剤11の側周面を被覆している。電解液は、前記負極合剤10、前記セパレータ9及び前記正極合剤11に保持されている。正極端子をかねる帽子形状の封口板(正極端子板)13は前記正極缶12の上面に配置されている。外装体1の開口部上端は、内方に折り曲げられ、折り曲げ部内面が前記封口板13の周縁に接着性の絶縁材料(例えばタール、ピッチ)により接着されている。例えば金属箔からなる外装チューブ14は、前記外装体1を被覆している。
このような構成のアルミニウム負極電池では、外装体1、底板2、負極ガスケット4及び封口板13により形成された密閉空間内に、負極集電棒7と負極合剤10とセパレータ9と正極合剤11とを含む発電要素が収納されている。
アルミニウム負極電池の形状の別の例を図3を参照して説明する。図3はアルミニウム負極電池の一例であるマンガン乾電池構造のアルミニウム負極電池を示す部分断面図である。
図3に示すようにアルミニウムあるいはアルミニウム合金からなる有底円筒形の負極容器31内には、セパレータ32および底紙33を介して、正極活物質と導電剤と電解液を含む正極合剤34が充填されている。つば紙35は正極合剤34上に配置されている。ワックス層36は、つば紙35上に配置されている。
絶縁性ワッシャー37の一部を切り欠くことにより最薄肉部が形成されている。最薄肉部の厚さtは、5〜300μmの範囲にすることが望ましい。
負極容器(負極缶)31の開口部上端に絶縁性ワッシャー37が載置され、かつ負極容器31の底面に負極端子板38が配置されている。熱収縮チューブ39は、負極容器31の周囲を被覆すると共に、絶縁性ワッシャー37を負極容器31に固定し、かつ負極端子板38を負極容器31に固定している。
正極40は、つば紙35、ワックス層36および絶縁性ワッシャー37の開口部に挿入され、上端が絶縁性ワッシャー37から突出している。ワックス層36と絶縁性ワッシャ−37の間の空間は空気室41として機能する。
円筒形の外装体42は、熱収縮チューブ39を被覆している。正極端子をかねる帽子型の封口板(正極端子板)43は正極集電棒40の上端を覆うように、外装体42の上部開口部内に配置されており、封口板43の一部にはガス抜き孔45が形成されている。絶縁リング44は、外装体42と封口板43との間に介装されている。
図3に示すような構成のアルミニウム負極電池では、負極容器31、絶縁性ワッシャ−37、熱収縮チューブ39、外装体42および封口板43で形成された密閉空間内に、セパレータ32と正極合剤34と正極集電棒35とを含む発電要素が収納されている。
電池構成部材を詳しく例を挙げて説明する。
1)正極
正極は、正極活物質を少なくとも含み、望ましくは正極活物質及び導電剤を含む正極合剤とを備える。正極合剤には、必要に応じてバインダーが添加される。正極は集電体表面に前記正極合剤が形成されてなることが望ましい。
正極活物質としては、金属酸化物、金属硫化物、導電性ポリマ−などが挙げられる。
前記金属酸化物としては、例えば、二酸化マンガン(MnO)、二酸化鉛(PbO)、水酸化ニッケル{NiOOHまたはNi(OH)}、酸化銀(AgO)、例えばFeO、Fe、FeO(但しxは、x>1.5)、MFeO(但しMは、Li、K、SrおよびBaから選ばれる少なくとも1種、xはx≧1)などの酸化鉄等を挙げることができる。
前記金属硫化物としては、FeS、FeS、CuS、TiSなどを挙げることができる。
前記導電性ポリマ−としては、ポリアニリン、ポリピロ−ル、例えばジスルフィド化合物、有機硫黄化合物等が挙げられる。
正極活物質としては中でも二酸化マンガンが電池反応が効率よく生じる点で好ましい。
導電剤としては、例えば、黒鉛、アセチレンブラック、カ−ボンブラックを挙げることができる。
正極合剤中に導電剤を含有させることで、正極合剤と集電体との間の電子伝導性を向上させることができる。正極合剤中の導電剤の含有量は、1〜20重量%の範囲にすることが好ましい。すなわち、正極合剤中の導電剤の含有量を1重量%より少なくすると、正極合剤中の電子伝導性を十分に高めることができない恐れがある。一方、正極合剤中の導電剤の含有量が20重量%を超えると、正極活物質の含有量が低下して正極反応を十分なものとすることができなくなる恐れがある。
正極合剤は、例えば、粉末状の正極活物質および導電剤を混合した後、ペレット状に加圧成形することにより作製される。また、必要に応じ正極合剤中にバインダ−を混合することで、集電体表面に正極活物質を固定しても良い。
正極合剤中に含有させるバインダ−としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライドを挙げることができる。
正極集電体は、正極合剤を支持することができると共に、正極合剤と正極端子との間の電子伝導性を向上させることが可能である。
正極集電体は、多孔質か、あるいは無孔質にすることができる。
正極集電体を形成する材料としては、例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、鉛(Pb)及び窒化チタン(TiN)よりなる群から選ばれる1種類以上の材料、炭素質物などの導電材料等を挙げることができる。
前記正極集電体において、タングステン(W)、モリブデン(Mo)及び鉛(Pb)は単体の状態で存在していてもいいが、タングステン、モリブデン及び鉛から選ばれる2種以上からなる合金として含まれても良い。
また、窒化チタン(TiN)を含む正極集電体としては、窒化チタンからなる正極集電体か、ニッケル板等の金属板の表面が窒化チタンで被覆(メッキ)されたものを挙げることができる。
集電体としては特に、タングステン(W)及びモリブデン(Mo)よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の金属か、若しくは炭素質物が好ましい。
正極集電体が、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、鉛(Pb)及び窒化チタン(TiN)から選ばれる一種類以上からなる導電材料を含有する場合、正極集電体中の導電材料の含有量は、99重量%以上にすることが好ましい。さらに好ましい範囲は、99.9重量%以上である。
炭素質物を含む正極集電体は、例えば、炭素質物粉末及びバインダ−を混合した後、加圧成型することにより作製される。
前記炭素質物粉末としては、例えば、黒鉛粉末、炭素繊維を挙げることができる。
前記正極集電体中の炭素質物の含有量は、80wt%以上にすることが好ましい。さらに好ましくは90wt%以上である。
この正極は、あらかじめ後述する電解液と混合して用いても良い。
2)負極
負極は、負極活物質として金属アルミニウムか、アルミニウム合金を使用する。アルミニウム合金としては、アルミニウムを50wt%以上含むものである。金属アルミニウムやアルミニウム合金を負極に使用することにより重量あたりの電池容量が高くすることができる。負極活物質として金属アルミニウム若しくはアルミニウム合金以外に亜鉛、鉛、銀、マグネシウムから選択される少なくとも1種を混合したものであっても良い。
前記アルミニウム合金としては、たとえば、Mn、Cr、Sn、Ca、Mg、Pb、Si、In及びZnよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属とAlとを含む合金を挙げることができる。中でも、Mg、Mn、Zn、Pb及びCrよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属とAlとを含有する合金が望ましい。
前記アルミニウム合金としては、例えばMn、Cr、Sn、Ca、Mg、Pb、Si、In、Znよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属が0.01wt%〜30wt%、残部Alの組成範囲が放電中の水素ガス発生を緩和し漏液量を減少させる点で望ましい。前記アルミニウム合金の具体的な組成としては、例えば、94.5wt%Al−2wt%Mg−3.5wt%Cr、95%Al−5wt%Mg、99.5%Al−0.3wt%Mn−0.2wt%Zn、95%Al−5wt%Pb、94.95%Al−5wt%Mn−0.05wt%Inなどを挙げることができる。
アルミニウムを用いる場合の純度は、99.5wt%以上、すなわち不純物が0.5wt%以下のアルミニウムを使用することが好ましい。不純物が0.5wt%を超えて含有されていると、電解液により腐食されやすくなるため、激しい自己放電、又はガス発生を生じる恐れがある。純度のさらに好ましい範囲は、99.9wt%以上である。
この負極は、後述する電解液とあらかじめ混合して用いても良い。すなわち、負極活物質と電解液とこの電解液を保持するポリマーを含む負極ゲルを用いることができる。
3)セパレータ
セパレータは、絶縁材料で構成される。また、電解液中でイオン化した電解質が移動可能である必要があるため、セパレータには、多孔質体を使用する。
セパレータとしては、表面の片面もしくは両面のすべてが使用電解液に対しJIS規定(P8137−1976)によるR8以上の撥水性を有し、かつポアサイズが2μm以上15μm以下であるセパレータを使用する。JIS規定において撥水度はR10が最大値であり、R10の撥水性であってももちろん良い。
セパレータの平均孔径の好ましい値は2μm以上15μm以下である。ポアサイズが2μmより小さいとセパレータ抵抗が大きくなりイオンのセパレータ内の移動度が下がり電池特性に悪影響を与える。一方、ポアサイズが15μmより大きいとショートの確率が高くなる。更に好ましい範囲は2.8μm以上11μm以下である。
平均空孔径の測定は走査電子顕微鏡でセパレータを観察しイメージアナライザで統計的に処理して求めた孔径分布より求める。後述する実施例においては、平均空孔径の測定は走査電子顕微鏡でセパレータを観察し、それをデジタルイメージとして取り込みイメージアナライザーにより画像におけるセパレータ表面の空孔部分が暗部になるように明部と暗部に二分化し、そこから暗部の面積を算出し、それを暗部の数(ここで空孔の形は円であると仮定)より平均空孔径を求めた。
また、セパレータの保水率は0%以上500%以下の間であることが好ましい。保水率は0%でも問題はないが、保水度を持たせたほうがイオンの移動が容易になり放電に有利となる。一方、保水率が大きすぎると撥水性とした効果が十分得られない可能性がある。保水率の更に好ましい範囲は1%以上400%以下である。
保水率の測定は、一定の大きさのセパレータのサンプルを用いて一定時間水に浸した後、一定時間自然水切りを行い、水切り後の保水量を測定した結果より得る。
後述する実施例においては保水率の測定は、大きさ50×50mmの試験片をイオン交換水に10分間浸漬して45度に傾斜したガラス板に3分間放置した後、液滴を取り除き重量を測定し、次式によって算出した。
保液率(%)=(W2−W1)/W1×100
W1=浸漬前の重量,W2=浸漬後の重量
また、セパレータ表面には飽和直鎖第一アミン類、飽和直鎖第二アミン類、飽和直鎖第三アミン類、芳香族アミン、チオ尿素類、ピリジン類から選ばれる少なくとも1種類の有機インヒビターが結合していることが好ましい。セパレータ表面に有機インヒビターを存在させることで、自己放電反応は更に抑制され貯蔵特性が飛躍的に向上するからである。
有機インヒビターのより具体的な例としては、飽和直鎖第一アミン類として、セチルアミン、n―オクタデシルアミン、n−ドデシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−デシルアミン、n−ノニルアミン、n−オクチルアミンなどが挙げられる。
飽和直鎖第二アミン類としては、N−メチルーn−オクタデシルアミン、ジーn−ドデシルアミン、ジーn−ヘキシルアミンなどが挙げられる。
飽和直鎖第三アミン類としては、N,N−ジメチルーn−オクタデシルアミン、トリーnーオクチルアミン、トリーn−デシルアミン、トリーn−ペンチルアミン、N,N−ジメチルーn−ドデシルアミン、N,N−ジメチルオクチルアミンなどが挙げられる。
芳香族アミンとしては、アニリンなどが挙げられる。
チオ尿素類としては、N−メチルチオ尿素、チオ尿素、1−アセチルー2−チオ尿素、1−アリルー2−チオ尿素、1,3−ジエチルー2−チオ尿素、1,3−ジフェニルチオ尿素、1,3ジメチルチオ尿素、テトラメチルチオ尿素などが挙げられる。
ピリジン類としては、ピリジン、2,2−ビピリジル、パソフェナントロリン、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、2−ベンジルアミノピリジン、2−メトキシピリジン、2−アミノー5―メチルピリジン、2−アミノ−6−メチルピリジンなどが挙げられる。
有機インヒビターを表面に有するセパレータを用いる場合、インヒビターを含む溶液にセパレータを浸し乾燥することでセパレータ表面に結合させる。ここでいう結合とは共有結合、イオン結合、配位結合の他に、分子間静電引力、水素結合など分子間の弱い結合も含む。
有機インヒビターはセパレータ表面に結合させる以外に、電解液中にインヒビターを添加する方法がある。両者共に自己放電反応が抑制され貯蔵特性を向上させる作用がある。しかしながら電解液中に有機インヒビターを添加すると電解液のイオン伝導度の低下が生じ放電特性が悪くなると予想される。一方、ここで述べた方法で有機インヒビターを使用すると電極とセパレータ間の反応性を低くするだけ(バルクでのイオン伝導は阻害しない)となるので放電特性に与える影響は小さくなり好ましい。
セパレータとしては、例えば、クラフト紙、合成繊維製シ−ト、天然繊維製シ−ト、不織布、ガラス繊維製シ−ト、ポリオレフィン製の多孔質膜のうち本発明で規定される範疇にあるものを選択して用いる。セパレータは撥水性を有するものであるので、例えばクラフト紙やガラス繊維シートといった親水性のシートを用いる場合、例えばポリテトラフルオロエチレンを塗布または噴霧するといった手段で撥水性を持たせる必要がある。また、疎水性のセパレータと親水性のセパレータを重ね合わせることで、セパレータとして表面は疎水性のセパレータとすることもできる。
また、R8以上の撥水性を有する面はセパレータの両面であっても良いし、片面であっても良い。このときR8以上の撥水性を有する面が片面の場合、負極側に撥水性の高い面を向けることが望ましい。それにより、浸透圧現象による電解液の流出をセパレータが疎外する効果が高くなり漏液防止効果が高くなる。
セパレータの目付は、10g/m以上150g/m以下であることが好ましい。目付が10g/mより小さいと強度が不十分であるためショートしてしまう可能性がある。一方、目付が150g/mより大きいとセパレータの抵抗が大きすぎて放電反応を阻害する可能性があるからである。目付のより好ましい範囲は、25g/m以上70g/m以下である。
また、セパレータの目付が不均一であれば、個々の電池の内部抵抗にバラツキが生じ、電池性能の均一化ができなくなり、さらに短絡の原因にもなりうるため、セパレータの目付けは均一であることが好ましい。
セパレータはセパレータ抵抗が小さく遮蔽性の大きなもの(つまり厚さは薄く空孔径は小さいもの)が好ましいため、セパレータ繊維径は細い方がよい。セパレータ繊維径の好ましい範囲は0.1μm以上50μm以下である。
セパレータは、例えばメルトブロー法により作製されたものが好ましく、さらに形状は不織布であることが好ましいが、均一性が保たれかつセパレータ抵抗が小さく遮蔽性が大きなものであれば、作成法はこれ以外でも構わない。
4)電解液
電解液は、電解質と、電解質を溶解する溶媒とを含有する。この電解液には、電解液と負極との腐食反応を抑制するための有機インイビターを添加することが望ましい。また、電解液には、電解液と負極との腐食反応を抑制する以外を目的とした他の添加物を含有させることができる。
(4−1)電解質
電解質には、硫酸イオン(SO 2−)及び硝酸イオン(NO )のうちの少なくとも1種類のイオン(以下、第1のイオンと称す)を溶媒中に供給する化合物が使用される。このように電解液中に硫酸イオン(SO 2−)あるいは硝酸イオン(NO )などの反応性の高いイオンを供給することで得られる電池の高出力化を可能にする。
硝酸イオンを供給するものとしては、硝酸、硝酸アルミニウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、硝酸リチウムなどを挙げることができる。
電解液中の電解質の量は、第1のイオンの濃度が0.2〜16M/Lの範囲内となるようにすることが好ましい。第1のイオンの濃度を0.2M/L未満にすると、イオン伝導度が小さくなる恐れがある。また、電解液に添加物を含有させる場合には、負極表面に添加物に由来する皮膜を十分に形成することが困難になって負極の腐食反応を十分に抑制できなくなる恐れがある。一方、第1のイオンの濃度が16M/Lを超えると、負極表面の皮膜成長が顕著となり負極の界面抵抗が大きくなり、高電圧を得られなくなる可能性がある。より好ましい範囲は0.5〜10M/Lである。
(4−2)有機インヒビター
有機インヒビターとしては、飽和直鎖第一アミン類、飽和直鎖第二アミン類、飽和直鎖第三アミン類、芳香族アミン、チオ尿素類、ピリジン類を挙げることができる。使用する添加剤の種類は、1種類または2種類以上にすることができる。
この有機インヒビターは、有機インヒビターの持つ官能基によって負極表面に存在し、これにより、前記電解質と負極のアルミニウムとの腐食反応を抑制するものと考えられる。添加剤の中には負極に吸着するものもある。また、付着して皮膜のようなものを形成するものもある。また、特定の層を形成するものもある。また、負極近傍に存在するものもある。それぞれの状態にてその性能を発揮する。
負極表面に存在する有機インヒビター成分は、電子伝導率が低いため、前記電解質と負極のアルミニウムとの間の電子の授受を妨げることができ、結果として負極の自己放電反応(腐食反応)を抑制できるものと推測される。
有機インヒビターのより具体的な例としては、3)欄に記載したものと同様なものを使用することができる。
電解液中に有機インヒビターを存在させる場合その濃度は、0.0001〜6M/Lの範囲にすることが好ましい。有機インヒビターの濃度が0.0001M/L未満であると、負極表面への添加剤の効果が満足に得られず、腐食反応を十分に抑制することができない恐れがある。一方、有機インヒビターの濃度が6M/Lを超えると、電解液のイオン伝導度が低下して高電圧が得られなくなる恐れがある。濃度のより好ましい範囲は0.0005〜4M/Lである。
また、有機インヒビターを0.0001M/L以上6M/L以下の範囲内に設定することで、電極表面に存在する添加剤成分は、1×10−20g/cm以上1g/cm以下程度とすることが望ましい。これは、3)セパレータにて前述のセパレータに存在させる方法においても同様である。存在量が1×10−20g/cmよりも小さいと、負極の腐食を十分に抑制することが困難になる恐れがある。一方、存在量を1g/cmよりも多くすると、イオン伝導性が低下する恐れがある。
なお、被膜を形成する添加物の量は、電気化学水晶振動子マイクロバランス法により測定できる。また赤外分光法や核磁気共鳴スペクトル、紫外・可視吸収スペクトルなど、各種分光学的な測定にて添加剤の存在が確認できるような量であれば効果は十分に発揮される。
(4−3)溶媒
溶媒としては、水を必須成分として使用する。さらにメチルエチルカーボネート、γ―ブチロラクトンなどの有機溶媒を添加しても良い。電解液中に有機溶媒を微量添加することでインヒビターとしての働きや放電中のガス発生の抑制がなされる。溶媒中に含まれる有機溶媒の添加量は、0.005wt%以上10wt%以下の範囲であることが望ましい。多すぎると導電率が低下し十分な放電特性を得られなくなり、少なすぎるとインヒビターとしての働きや放電中のガス発生抑制の効果が得られなくなるからである。
(4−4)添加物
電解液中には、さらにハロゲンイオンを含有させることが好ましい。ハロゲンイオンを含有させることによって、電解液のイオン伝導度性を向上させることが可能になる。ひいては電池の電圧を向上させることが可能になる。
ハロゲンイオンを供給する化合物としては、例えば、フッ酸、フッ化ナトリウム、フッ化アンモニウムなどのフッ化物、塩酸、塩化アルミニウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化クロムなどの塩化物、臭化アンモニウム、臭化亜鉛、臭素酸カリウムなどの臭化物そしてヨウ化アンモニウム、ヨウ化ナトリウムなどのヨウ化物が挙げられる。
電解液中のハロゲンイオンの濃度は、0.01M/L以上6M/L以下の範囲内にすることが好ましい。ハロゲンイオンの濃度を0.01M/L未満にすると、ハロゲンイオンを添加することによる効果を十分に得ることができない恐れがある。一方、ハロゲンイオンの濃度が6M/Lを超えると、負極の腐蝕により自己放電の進行が大きくなる恐れがある。より好ましい範囲は、0.05M/L以上4M/L以下である。
5)液体ガスケット
液体ガスケットの材料としてオレフィン、シリコーン、アクリル、エポキシ、フッ素系樹脂のうち少なくとも一つが含まれていることが好ましい。また、不乾性の液体ガスケットが安全作動後の復帰性の面で大変好ましい。
また液体ガスケットの性能はJIS K6820耐圧試験にて測定した際に、接合限界圧が80kgf/cm以下であることが好ましい。より好ましくは30kgf/cm以下、さらに好ましくは10kgf/cm以下が好ましい。
たとえば80kgf/cm以上であれば、耐圧機構としての働きが損なわれるため、異常なガス発生などが生じた際の破裂を食い止めることができない可能性がある。
以下実施例を、図面を参照して詳細に説明する。
(実施例1)
図1および図2に示すようなアルカリ乾電池構造のアルミニウム負極電池を以下に説明する方法で製造した。
<正極の作製>
正極活物質として電解二酸化マンガン(MnO)を用い、この正極活物質に導電剤としてアセチレンブラックを10重量%と、バインダーとしてポリテトラフルオロエチレンを3重量%とを添加して混合した後、円筒状に加圧成形することにより正極合剤を作製した。正極集電体として厚さが100μmの炭素繊維製炭素フィルムを用意した。
<電解液の調製>
1M/LのAlClと、0.1M/Lの2.2−ビピリジルと、0.5M/LのKClと、0.2M/LのAl(NOを含有する水溶液を調製した。
<負極の作製>
純度が99.99%(4N)のアルミニウム粉末を95重量%と、増粘剤としてアクリル酸系ポリマー4重量%とを混合した後、電解液を加えて負極合剤を調製した。また負極集電体として、タングステン製の金属棒を用意した。
<電池組み立て>
有底円筒形の正極集電体内に円筒状の正極合剤と、厚さが40μmでポリプロピレン製の撥水性セパレータを配置し、このセパレータ内に負極合剤を充填した後、正極合剤、セパレータ及び負極合剤に電解液を注入した。次いで、この負極合剤に負極集電体を挿入した後、負極端子を兼ねる底板、正極端子を兼ねる封口板及びポリプロピレン製の外装体を用いて封口処理を行うことにより、前述した図1、2に示した構造を有し、径が14mmで、総高さが50mmの円筒形アルミニウム負極電池を組み立てた。
得られた電池の起電力と、100mAで定電流放電して電圧が0.65Vに低下するまで放電したときの電池容量を測定したところ、起電力1.87V、容量1875mAhと高電圧、高容量であり、かつ18gと軽量であった。
(実施例2〜28、比較例1〜4)
負極とセパレータの材質・ポアサイズ・保水率・撥水度を下記表1に示すように変更すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にしてアルミニウム負極電池を製造した。ただし、セパレータの材質について斜線を介して示しているものはそれぞれの材質のセパレータを重ねて使用していることを示す。
得られた実施例2〜28及び比較例1〜4の電池について、起電力と、100mAで定電流放電して電圧が0.65Vに低下するまで放電したときの電池容量とを測定し、その結果を下記表2に示す。また、電池重量を測定し、その結果を表2に併記する。さらに、それぞれの電池を100本作った際の漏液を生じた電池およびショートの本数もまた表2に併記する。なお、ここでいう漏液とは、放電前後での重量差が0.1g以上の場合漏液あり、0.1g未満では漏液なしとした。また、ショートとは45℃で10日間放置前後の起電力の差が0.4V以上の場合ショート、0.4V未満の場合ショートしていないとした。
なお、表1中のアルミニウム合金は、すべて4N−Alと各添加元素とを用いて作製されたものである。
Figure 2005071726

Figure 2005071726
表1および表2から明らかなように、疎水性であるセパレータを用いた実施例1〜28の電池は、親水性のセパレータを用いた比較例1,2の電池に比較して、放電特性を落とすことなく、耐漏液性を向上させていることがわかる。また、実施例19〜28よりセパレータの撥水性面は負極側に向けた方が漏液防止の効果が得やすいことがわかる。
また、比較例3の電池よりポアサイズを小さくしすぎると放電特性が低下し、比較例4の電池よりポアサイズを大きくしすぎるとショートの可能性が増すことがわかる。
(実施例29)
図3に示すようなマンガン乾電池構造のアルミニウム負極電池を以下に説明する方法で製造した。
まず、電解二酸化マンガン10重量部とアセチレンブラック1重量部の比で混合し、これに電解液として1.5M/LのAlCl3、0.1M/Lの2.2−ビピリジル、0.2M/LのAl(NOおよび0.75M/LのKClを含有する水溶液15重量部を加えて混合し、正極合剤とした。
有底円筒形状で、厚さが0.3mmで、かつ純度が99.99%のアルミニウム製負極容器に、厚さ150μmでポリエチレン製の撥水性セパレータと底紙をセットした。この負極容器内に前記正極合剤9.5gを装填し、正極合剤の上につば紙を配した後、炭素製の正極集電棒を挿入した。次に、つば紙の上にワックス層を設け、絶縁性ワッシャーを装填した後、負極容器に負極端子と絶縁性ワッシャーを熱収縮チューブで固定した。ひきつづき、絶縁リングを配置した後、集電棒に正極端子をかぶせて、径が14mmで総高さが50mmのアルミニウム負極電池を組み立てた。
得られた電池の起電力と、100mAで定電流放電して電圧が0.65Vに低下するまで放電したときの電池容量を測定したところ、起電力1.86V、容量1330mAhと高電圧、高容量であり、かつ13.5gと軽量であった。
(実施例30〜56、比較例5〜8)
負極とセパレータの材質・ポアサイズ・保水率・撥水度を下記表3に示すように変更すること以外は、前述した実施例29で説明したのと同様にしてアルミニウム負極電池を製造した。
得られた実施例30〜56及び比較例6〜10の電池について、起電力と、100mAで定電流放電して電圧が0.65Vに低下するまで放電したときの電池容量とを測定し、その結果を下記表4に示す。また、電池重量を測定し、その結果を表4に併記する。さらに、それぞれの電池を100本作った際の漏液を生じた電池およびショートしていた電池の本数もまた表4に併記する。
なお、表3中のアルミニウム合金は、すべて4N−Alと各添加元素とを用いて作製されたものである。なおここでNとはAlの純度を表す。Nはnineの略で、例えば4Nであれば純度99.99%、6Nであれば純度99.9999%である。
Figure 2005071726

Figure 2005071726
表3および表4から明らかなように、撥水性を有するセパレータを用いた実施例29〜56の電池は、親水性のセパレータを用いた比較例6,7の電池に比較して、放電特性を落とすことなく、耐漏液性を向上させていることがわかる。また、実施例47〜56よりセパレータの撥水性面は負極側に向けた方が漏液防止の効果が得やすいことがわかる。
また、比較例8の電池よりポアサイズを小さくしすぎると放電特性が低下し、比較例9の電池よりポアサイズを大きくしすぎるとショートの可能性が増す。
(実施例57)
図3に示すようなマンガン乾電池構造のアルミニウム負極電池を以下に説明する方法で製造した。
まず、電解二酸化マンガン10重量部とアセチレンブラック1重量部の比で混合し、これに電解液として1.5M/LのAlCl3、0.2M/LのAl(NOおよび0.75M/LのKClを含有する水溶液15重量部を加えて混合し、正極合剤とした。
有底円筒形状で、厚さが0.3mmで、かつ純度が99.99%のアルミニウム製負極容器に、2,2−ビピリジル溶液に含浸させたのち乾燥させた厚さ150μmでポリエチレン製の疎水性セパレータと底紙をセットした。この負極容器内に前記正極合剤9.5gを装填し、正極合剤の上につば紙を配した後、炭素製の正極集電棒を挿入した。次に、つば紙の上にワックス層を設け、絶縁性ワッシャーを装填した後、負極容器に負極端子と絶縁性ワッシャーを熱収縮チューブで固定した。ひきつづき、絶縁リングを配置した後、集電棒に正極端子をかぶせて、径が14mmで総高さが50mmのアルミニウム負極電池を組み立てた。
得られた電池を45℃で60日間貯蔵した後に、100mAで定電流放電して電圧が0.65Vに低下するまで放電したときの電池容量を測定したところ、容量1130mAhと大きな貯蔵劣化は観察されなかった。
(実施例58〜90)
セパレータに担持される有機インヒビターを下記表5に示すように変える以外は前述した実施例57で説明したのと同様にしてアルミニウム負極電池を製造した。
得られた実施例58〜90及び比較例1の電池について、60日間貯蔵した後に、100mAで定電流放電して電圧が0.65Vに低下するまで放電したときの電池容量を測定し、その結果を下記表5に示す。
Figure 2005071726
表5から明らかなように、有機インヒビターを担持させた撥水性セパレータを用いた実施例58〜90の電池は、親水性のセパレータを用いた比較例6の電池に比較して、貯蔵特性が大幅に改善されていることがわかる。また、有機インヒビターを担持していない比較例1の電池に比較して、貯蔵特性が改善されていることがわかる。
アルミニウム負極電池の一例であるアルカリ乾電池構造のアルミニウム負極電池を示す部分断面図。 図1のアルミニウム負極電池の要部拡大断面図。 アルミニウム負極電池の一例であるマンガン乾電池構造のアルミニウム負極電池を示す部分断面図。
符号の説明
1・・・外装体
2・・・負極端子を兼ねる底板
3a、3b・・・ガス抜き孔
4・・・負極ガスケット
4a・・・支持体
4b・・・鍔部
5・・・円形溝
6・・・最薄肉部
7・・・負極集電棒
8・・・金属製ワッシャ−
9・・・セパレータ
10・・・負極合剤
11・・・正極合剤
12・・・正極缶
13・・・封口板
14・・・外装チューブ
31・・・負極容器
32・・・セパレータ
33・・・底紙
34・・・正極合剤
35・・・つば紙
36・・・ワックス層
37・・・絶縁性ワッシャ−
38・・・負極端子板
39・・・熱収縮チューブ
40・・・正極
41・・・空気室
42・・・外装体
43・・・封口板
44・・・絶縁リング
45・・・ガス抜き孔

Claims (5)

  1. 正極と、
    アルミニウムまたはアルミニウム合金を含有する負極と、
    水溶液系電解液と、
    前記正極及び負極を隔て、前記水溶液系電解液に対し片面もしくは両面がJIS規定(P8137−1976)によるR8以上の撥水性を有し、かつポアサイズが2μm以上15μm以下であるセパレータとを具備することを特徴とするアルミニウム負極電池。
  2. 前記セパレータの保水率が0%以上500%以下であることを特徴とする請求項1記載のアルミニウム負極電池。
  3. 前記セパレータ表面に飽和直鎖第一アミン類、飽和直鎖第二アミン類、飽和直鎖第三アミン類、芳香族アミン、チオ尿素類、ピリジン類から選ばれる少なくとも1種類の有機インヒビターが結合していることを特徴とする請求項1又は2記載のアルミニウム負極電池。
  4. 前記セパレータは、両面で異なる撥水性を有し、撥水性の高い面が前記負極に面していることを特徴とする請求項1記載のアルミニウム負極電池。
  5. 前記水溶液系電解液は、電解質として、硫酸イオン及び硝酸イオンのうちの少なくとも1種類のイオンを溶媒中に供給する化合物を用いることを特徴とする請求項1記載のアルミニウム負極電池。
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