JP2017045683A - アルカリ二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 充放電サイクル特性に優れたアルカリ二次電池を提供する。【解決手段】 本発明のアルカリ二次電池は、正極、負極、セパレータおよびアルカリ電解液を有しており、前記正極は、銀酸化物およびマンガン酸化物を含む正極合剤を含有しており、前記正極合剤における前記マンガン酸化物の含有量が、0.3〜40質量%であることを特徴とするものである。前記正極合剤が含有する銀酸化物は、平均粒子径が0.01〜0.5μmであることが好ましい。【選択図】 図2

Description

本発明は、充放電サイクル特性に優れたアルカリ二次電池に関するものである。
銀酸化物を含有する正極とアルカリ電解液とを有するアルカリ電池(酸化銀電池)は、一次電池として広く一般に使用されている。
この種の一次電池では、比較的高価な銀酸化物の使用量を減らしつつ容量低下を抑制する目的や、更には、放電終期の状態検知を可能とする目的で、銀酸化物と共に二酸化マンガンを含有する正極が使用されることもある(特許文献1)。
また、銀酸化物を正極に使用したアルカリ電池を、二次電池に利用することも検討されている(特許文献2)。
ところが、前記のようなアルカリ電池で充放電を繰り返すと、僅かな繰り返し数で電池容量が低下してしまうといった問題があった。
特開2010−218710号公報(段落[0019]) 特開2001−202958号公報(段落[0007])
こうしたことから、銀酸化物を含有する正極を有するアルカリ二次電池においては、前記のような問題を解消して充放電サイクル特性を高めるための技術開発が求められていた。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、充放電サイクル特性に優れたアルカリ二次電池を提供することにある。
前記目的を達成し得た本発明のアルカリ二次電池は、正極、負極、セパレータおよびアルカリ電解液を有しており、前記正極は、銀酸化物およびマンガン酸化物を含む正極合剤を含有しており、前記正極合剤における前記マンガン酸化物の含有量が、0.3〜40質量%であることを特徴とするものである。
本発明によれば、充放電サイクル特性に優れたアルカリ二次電池を提供することができる。
本発明のアルカリ二次電池の一例を模式的に表す側面図である。 図1に表すアルカリ二次電池の要部断面図である。
銀酸化物を含有する正極を有するアルカリ二次電池において放電を行うと、正極の銀酸化物から銀が生成するが、この電池を充電すると銀の周りに銀酸化物の結晶が生成することにより実質的に正極活物質の反応面積を減少させ、その後の電池反応を阻害する。よって、この種のアルカリ二次電池では、充放電に伴って正極の利用率が低下するため、十分な充放電サイクル特性を確保し得なかった。
そこで、本発明のアルカリ二次電池では、銀酸化物と共に特定量のマンガン酸化物を含む正極合剤を含有する正極を使用することにした。正極合剤中にマンガン酸化物も含有する正極の場合には、このマンガン酸化物が電池の充電時に溶解してマンガン酸イオンなどのMnのイオンが生成し、前記Mnのイオンが正極に吸着することにより、銀酸化物の結晶成長を抑えて、形成される銀酸化物の結晶を微細化する。そのため、電池の充電時に生成する銀酸化物の結晶が電池反応を阻害する問題の発生を抑制して、充放電を繰り返しても正極の利用率の低下を抑え得ることから、このような正極を使用することで、充放電サイクル特性に優れたアルカリ二次電池とすることが可能となる。
本発明のアルカリ二次電池に係る正極は、銀酸化物およびマンガン酸化物を含む正極合剤を含有しており、例えば、銀酸化物およびマンガン酸化物の他に導電助剤を含有する正極合剤の成形体や、銀酸化物、マンガン酸化物および導電助剤を含有する正極合剤層を、集電体の片面または両面に形成した構造のものなどが挙げられる。
正極の活物質は銀酸化物であり、AgOやAgOを使用することができる。
銀酸化物は、平均粒子径が、0.5μm以下であることが好ましく、0.2μm以下であることがより好ましい。このようなサイズの銀酸化物を用いた場合には、充電時の利用率がより向上し、充電終止電圧を比較的低くしても大きな充電容量が得られるため、電池の充放電サイクル特性を更に高めることができ、また、例えば、充電終止電圧を高めることによって生じ得る電池の膨れを抑えることが可能となる。
ただし、あまり粒径の小さい銀酸化物は製造やその後の取り扱いが困難となることから、銀酸化物の平均粒子径は、0.01μm以上であることが好ましく、0.03μm以上であることがより好ましい。
本明細書でいう銀酸化物の平均粒子径は、レーザー散乱粒度分布計(例えば、堀場製作所製「LA−920」)を用い、粒子を溶解しない媒体に、これらの粒子を分散させて測定した、重量累積頻度50%における粒径(D50)である。
正極合剤中の銀酸化物の含有量は、例えば、容量を確保するために、60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。
また、前記の通り、正極合剤にはマンガン酸化物を含有させる。マンガン酸化物としては、Mn、Mn、MnOOH、MnO、ZnMn、LiMnなど、Mnを含有する酸化物または複酸化物を用いることができ、Mnの平均価数が3価以上であるものが好ましく、MnOがより好ましい。
正極合剤中のマンガン酸化物の含有量は、マンガン酸化物による前記の作用を良好に発揮させる観点から、0.3質量%以上であり、0.7質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることが特に好ましい。ただし、正極合剤中のマンガン酸化物の量が多すぎると、例えば銀酸化物の量が少なくなりすぎてアルカリ二次電池の容量が小さくなる虞がある。よって、アルカリ二次電池の容量をより大きくする観点から、正極合剤中のマンガン酸化物の含有量は、40質量%以下であり、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることが特に好ましい。
なお、マンガン酸化物の粒子径は特に限定されるものではなく、例えば、平均粒子径が1〜50μm程度のものを用いればよい。
正極の導電助剤としては、カーボンブラック、黒鉛などの炭素質材料などが挙げられる。
正極合剤中の導電助剤の含有量は、導電性の点から0.2質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることが特に好ましく、一方、容量低下や充電時のガス発生を防ぐため、7質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることが特に好ましい。
正極は、正極合剤の成形体の場合には、例えば、銀酸化物、マンガン酸化物および導電助剤、更には必要に応じてアルカリ電解液(電池に注入するアルカリ電解液と同じものが使用できる)などを混合して調製した正極合剤を所定の形状に加圧成形することで製造することができる。
また、正極合剤層と集電体とを有する形態の正極の場合には、例えば、銀酸化物、マンガン酸化物および導電助剤などを水またはN−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの有機溶媒に分散させて正極合剤含有組成物(スラリー、ペーストなど)を調製し、これを集電体上に塗布し乾燥し、必要に応じてカレンダ処理などのプレス処理を施す工程を経て製造することができる。
ただし、正極は、前記の各方法で製造されたものに限定されず、他の方法で製造したものであってもよい。
正極合剤の成形体の場合、その厚みは、0.15〜4mmであることが好ましい。他方、正極合剤層と集電体とを有する形態の正極の場合、正極合剤層の厚み(集電体の片面あたりの厚み)は、30〜300μmであることが好ましい。
正極に集電体を用いる場合には、その集電体としては、例えば、SUS316、SUS430、SUS444などのステンレス鋼;アルミニウムやアルミニウム合金;を素材とするものが挙げられ、その形態としては、平織り金網、エキスパンドメタル、ラス網、パンチングメタル、金属発泡体、箔(板)などが例示できる。集電体の厚みは、例えば、0.05〜0.2mmであることが好ましい。このような集電体の表面には、カーボンペーストや銀ペーストなどのペースト状導電材を塗布しておくことも望ましい。
アルカリ二次電池の負極には、例えば、亜鉛粒子または亜鉛合金粒子(以下、両者を纏めて「亜鉛系粒子」という場合がある)を含有するものが使用される。このような負極では、前記粒子中の亜鉛が活物質として作用する。亜鉛合金粒子の合金成分としては、例えば、インジウム(例えば含有量が質量基準で50〜500ppm)、ビスマス(例えば含有量が質量基準で50〜500ppm)などが挙げられる(残部は亜鉛および不可避不純物である)。負極の有する亜鉛系粒子は、1種単独でもよく、2種以上であってもよい。
ただし、亜鉛系粒子には、合金成分として水銀を含有しないものを使用することが好ましい。このような亜鉛系粒子を使用している電池であれば、電池の廃棄による環境汚染を抑制できる。また、水銀の場合と同じ理由から、亜鉛系粒子には、合金成分として鉛を含有しないものを使用することが好ましい。
亜鉛系粒子の粒度としては、例えば、全粉末中、粒径が75μm以下の粒子の割合が50質量%以下のものが好ましく、30質量%以下のものがより好ましく、また、粒径が100〜200μmの粉末の割合が、50質量%以上、より好ましくは90質量%以上であるものが挙げられる。ここでいう亜鉛系粒子における粒度は、前記の「銀酸化物」の平均粒子径測定法と同じ測定方法により得られる値である。
負極には、例えば、前記の亜鉛系粒子の他に、必要に応じて添加されるゲル化剤(ポリアクリル酸ソーダ、カルボキシメチルセルロースなど)を含んでもよく、これにアルカリ電解液を加えることで構成される負極剤(ゲル状負極)を使用してもよい。負極中のゲル化剤の量は、例えば、0.5〜1.5質量%とすることが好ましい。
また、負極は、前記のようなゲル化剤を実質的に含有しない非ゲル状の負極とすることもできる(なお、非ゲル状負極の場合、亜鉛系粒子近傍に存在するアルカリ電解液が増粘しなければゲル化剤を含有しても構わないので、「ゲル化剤を実質的に含有しない」とは、アルカリ電解液の粘度への影響がない程度に含有していてもよい、という意味である)。ゲル状負極の場合には、亜鉛系粒子の近傍に、ゲル化剤と共にアルカリ電解液が存在しているが、ゲル化剤の作用によってこのアルカリ電解液が増粘しており、アルカリ電解液の移動、ひいては電解液中のイオンの移動が抑制されている。このため、負極での反応速度が抑えられ、これが電池の負荷特性(特に重負荷特性)の向上を阻害しているものと考えられる。これに対し、負極を非ゲル状として、亜鉛系粒子近傍に存在するアルカリ電解液の粘度を増大させずにアルカリ電解液中のイオンの移動速度を高く保つことで、負極での反応速度を高めて、負荷特性(特に重負荷特性)をより高めることができる。
負極に含有させるアルカリ電解液には、電池に注入するものと同じものを使用することができる。
負極における亜鉛系粒子の含有量は、例えば、60質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがより好ましく、また、75質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましい。
負極は、インジウム化合物を含有していることが好ましい。負極がインジウム化合物を含有することによって、亜鉛系粒子とアルカリ電解液との腐食反応によるガス発生をより効果的に防ぐことができる。
前記のインジウム化合物としては、例えば、酸化インジウム、水酸化インジウムなどが挙げられる。
負極に使用するインジウム化合物の量は、0.003〜0.05質量%であることが好ましい。
アルカリ二次電池に使用するアルカリ電解液(電池内に注入するアルカリ電解液、負極に含有させるアルカリ電解液および正極合剤の成形時に使用するアルカリ電解液を含む)としては、アルカリ金属の水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなど)などが好適に用いられ、水酸化カリウムが特に好ましい。アルカリ電解液の濃度は、例えば、水酸化カリウムの水溶液の場合、水酸化カリウムが、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上であって、好ましくは40質量%以下、より好ましくは38質量%以下である。水酸化カリウムの水溶液の濃度をこのような値に調整することで、導電性に優れたアルカリ電解液とすることができる。
アルカリ電解液には、前記の各成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて公知の各種添加剤を添加してもよい。例えば、アルカリ二次電池の負極に用いる亜鉛系粒子の腐食(酸化)を防止するために、酸化亜鉛を添加するなどしてもよい。
また、アルカリ電解液には、マンガン化合物、スズ化合物およびインジウム化合物よりなる群から選択される1種以上が溶解していることが好ましい。アルカリ電解液中にこれらの化合物が溶解している場合には、これらの化合物由来のイオン(マンガンイオン、スズイオン、インジウムイオン)が、正極合剤中にマンガン酸化物を含有させた場合に溶出するMnのイオンと同じ効果を奏するため、電池の充放電サイクル特性がより向上する。
アルカリ電解液に溶解させるマンガン化合物としては、塩化マンガン、酢酸マンガン、硫化マンガン、硫酸マンガン、水酸化マンガンなどが挙げられる。また、アルカリ電解液に溶解させるスズ化合物としては、塩化スズ、酢酸スズ、硫化スズ、臭化スズ、酸化スズ、水酸化スズ、硫酸スズなどが挙げられる。更に、アルカリ電解液に溶解させるインジウム化合物としては、水酸化インジウム、酸化インジウム、硫酸インジウム、硫化インジウム、硝酸インジウム、臭化インジウム、塩化インジウムなどが挙げられる。
マンガン化合物、スズ化合物およびインジウム化合物のアルカリ電解液中の濃度(これらのうちの1種のみを溶解させる場合は、その濃度であり、2種以上を溶解させる場合は、それらの合計濃度である)は、質量基準で、50ppm以上であることが好ましく、500ppm以上であることがより好ましく、また、10000ppm以下であることが好ましく、5000ppm以下であることがより好ましい。
アルカリ二次電池のセパレータには、ビニロンとレーヨンを主体とする不織布、ビニロン・レーヨン不織布(ビニロン・レーヨン混抄紙)、ポリアミド不織布、ポリオレフィン・レーヨン不織布、ビニロン紙、ビニロン・リンターパルプ紙、ビニロン・マーセル化パルプ紙などを用いることができる。また、親水処理された微孔性ポリオレフィンフィルム(微孔性ポリエチレンフィルムや微孔性ポリプロピレンフィルムなど)とセロファンフィルムとビニロン・レーヨン混抄紙のような吸液層(電解液保持層)とを積み重ねたものをセパレータとしてもよい。セパレータの厚みは、20〜500μmであることが好ましい。
本発明のアルカリ二次電池の形態については特に制限はなく、外装缶と封口板とをガスケットを介してカシメ封口したり、外装缶と封口板とを溶接して封口したりする電池ケースを有する扁平形(コイン形、ボタン形を含む);金属ラミネートフィルムからなる外装体を有するラミネート形;有底筒形の外装缶と封口板とをガスケットを介してカシメ封口したり、外装缶と封口板とを溶接して封口したりする電池ケースを有する筒形〔円筒形、角形(角筒形)〕;など、いずれの形態とすることもできる。
なお、カシメ封口を行う形態の外装体を使用する場合、外装缶と封口板との間に介在させるガスケットの素材には、PP、ナイロンなどを使用できるほか、電池の用途との関係で耐熱性が要求される場合には、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)などのフッ素樹脂、ポリフェニレンエーテル(PEE)、ポリスルフォン(PSF)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルスルフォン(PES)、PPS、PEEKなどの融点が240℃を超える耐熱樹脂を使用することもできる。また、電池が耐熱性を要求される用途に適用される場合、その封口には、ガラスハーメチックシールを利用することもできる。
本発明のアルカリ二次電池は、アルカリ一次電池(酸化銀一次電池)が採用されている用途に使用し得るほか、従来から知られているアルカリ二次電池や非水電解液二次電池が採用されている用途にも適用することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。
実施例1
正極活物質として平均粒子径:10μmの酸化銀(I):97.5質量部、平均粒子径:30μmの二酸化マンガン:0.5質量部、および黒鉛:2質量部を混合して正極合剤を構成し、この正極合剤を金型に充填し、充填密度5.5g/cmで、直径9.05mm、高さ0.93mmの円板状に加圧成形することによって、正極合剤成形体を作製した。
負極活物質には、添加元素としてIn、BiおよびAlを含有する、アルカリ一次電池で汎用されている無水銀の亜鉛合金粒子を用いた。前述した方法により求めた前記亜鉛合金粒子の粒度は、平均粒子径(D50)が120μmであり、粒径が75μm以下の粒子の割合が25質量%以下であった。負極には、この亜鉛合金粒子:88mgを量り取って使用した。
アルカリ電解液としては、酸化亜鉛を5質量%溶解した35質量%濃度の水酸化カリウム水溶液を用いた。
また、セパレータは、厚みが20μmのセロハンフィルムを、ポリエチレン主鎖にアクリル酸をグラフト共重合させた構造を有するグラフト共重合体で構成されたグラフトフィルム(厚みが30μm)で挟んで積層してなるものを用いた。更に、電解液保持層として、厚みが200μmのビニロン−レーヨン混抄紙を用いた。セパレータおよび電解液保持層は、直径9.2mmの円形に打ち抜いて用いた。
前記の正極(正極合剤成形体)、負極、アルカリ電解液、セパレータおよび電解液保持層を、表面にNiメッキを施した鋼板よりなる外装缶と、銅−ステンレス鋼(SUS304)−ニッケルクラッド板よりなる封口板と、ナイロン66製の環状ガスケットとから構成された電池容器内に封止し、図1に示す外観で、図2に示す構造を有し、直径9.5mm、厚さ3.6mmのアルカリ二次電池を作製した。
図1および図2に示すアルカリ二次電池1は、正極4およびセパレータ6を内填した外装缶2の開口部に、負極5を内填した封口板3が、断面L字状で環状のガスケット(樹脂製ガスケット)7を介して嵌合しており、外装缶2の開口端部が内方に締め付けられ、これにより樹脂製ガスケット7が封口板3に当接することで、外装缶2の開口部が封口されて電池内部が密閉構造となっている。すなわち、図1および図2に示す電池では、外装缶2、封口板3および樹脂製ガスケット7からなる電池容器内の空間(密閉空間)に、正極4、負極5およびセパレータ6を含む発電要素が装填されており、更にアルカリ電解液(図示しない)が注入されている。そして、外装缶2は正極端子を兼ね、封口板3は負極端子を兼ねている。なお、正極4は、前記の通り、酸化銀(I)と二酸化マンガンと黒鉛(導電助剤)とを含有する正極合剤の成形体である。
なお、図2では電解液保持層は図示していないが、実施例1の電池では、電解液保持層はセパレータ6の上面側(負極5側)に配置した。
実施例2〜6および比較例1〜3
正極合剤中の酸化銀(I)および二酸化マンガンの割合を表1のように変化させた以外は、実施例1と同様にしてアルカリ二次電池を作製した。
実施例1〜6および比較例1〜3のアルカリ二次電池に係る正極合剤(正極合剤成形体)中の、各成分の含有割合を表1に示す。
Figure 2017045683
実施例1〜6および比較例1〜3の各アルカリ二次電池について、以下の充放電サイクル特性試験を行った。実施例1〜6および比較例1〜3の各電池に対し、電池電圧が1.85Vに達するまで5mAの定電流で充電を行い、次いで1.85Vの定電圧で充電を行う定電流−定電圧充電(ただし、総充電時間は24時間)と、1kΩの負荷抵抗を接続しての放電(放電終止電圧:1.0V)とによる充放電サイクルを100サイクル繰り返し、1サイクル目と100サイクル目の放電容量を測定した。それぞれの放電容量と、1サイクル目の放電容量に対する100サイクル目の放電容量の割合(容量維持率)とを表2に示す。
Figure 2017045683
正極合剤における二酸化マンガンの含有量を0.5〜30質量%とした実施例1〜6の電池では、1サイクル目の放電容量として、約30mAh以上の容量を確保することができ、また100サイクル経過後の容量維持率も30%以上の高い値となった。特に、二酸化マンガンの含有量を1〜10質量%とした実施例2〜4の電池では、二酸化マンガンの添加効果が十分に発揮されるとともに、二酸化マンガンの添加による放電容量の低下の割合が小さく、より高容量でサイクル特性のより優れた電池を構成することができた。
実施例7〜11
正極活物質として、表3に示す平均粒子径の酸化銀(I)を用いた以外は、実施例3と同様にしてアルカリ二次電池を作製した。
実施例7〜11の各電池に対し、前記と同様の条件で充放電サイクルを100サイクル繰り返し、同様の測定を行った。
実施例7〜11のアルカリ二次電池に係る正極合剤に使用した酸化銀(I)の平均粒子径と、前記の試験結果とを表3に示す。なお、表3には、実施例3の電池に係る正極合剤に使用した酸化銀(I)の平均粒子径と、充放電サイクル特性試験結果も併記する。
Figure 2017045683
銀酸化物の平均粒子径を0.5μm以下とした実施例9〜11の電池では、それよりも平均粒子径を大きくした実施例3、実施例7および実施例8の電池よりも容量維持率が高く、充放電サイクル特性がより優れた電池となった。特に、銀酸化物の平均粒子径が0.2μm以下である実施例10および実施例11の電池では、容量維持率をより高めることができた。
1 アルカリ二次電池
2 外装缶
3 封口板
4 正極(正極合剤の成形体)
5 負極
6 セパレータ
7 ガスケット

Claims (3)

  1. 正極、負極、セパレータおよびアルカリ電解液を有するアルカリ二次電池であって、
    前記正極は、銀酸化物およびマンガン酸化物を含む正極合剤を含有しており、
    前記正極合剤における前記マンガン酸化物の含有量が、0.3〜40質量%であることを特徴とするアルカリ二次電池。
  2. 前記正極が含有する前記銀酸化物は、平均粒子径が0.01〜0.5μmである請求項1に記載のアルカリ二次電池。
  3. 前記負極は、亜鉛または亜鉛合金を含有している請求項1または2に記載のアルカリ二次電池。
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