JP2005071570A - 2光子吸収光記録材料及び2光子吸収光記録再生方法。 - Google Patents

2光子吸収光記録材料及び2光子吸収光記録再生方法。 Download PDF

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Abstract

【課題】2光子吸収断面積が大きい2光子吸収化合物を少なくとも有し、2光子吸収化合物の2光子吸収を利用して記録を行った後、光を記録材料に照射してその反射率または透過率の違いを検出することにより再生する2光子吸収光記録材料及び2光子吸収光記録方法及び再生方法を提供する。特に、反射率または透過率の違いが屈折率差、吸収率差いずれかによる2光子吸収光記録材料及び2光子吸収光記録方法及び再生方法を提供する。
【解決手段】少なくとも1種の2光子吸収化合物と記録成分とを有する2光子吸収光記録材料であって、該2光子吸収化合物の2光子吸収を利用して記録を行った後、光を照射して記録部と非記録部の反射率または透過率の違いを検出することにより再生する2光子吸収光記録材料。
【選択図】 なし

Description

本発明は、非共鳴2光子吸収断面積が大きい非共鳴2光子吸収化合物を少なくとも有し、2光子吸収化合物の2光子吸収を利用して記録を行った後、光を記録材料に照射してその反射率の違いを検出することにより再生することを特徴とする2光子吸収3次元光記録材料及び2光子吸収3次元光記録方法及び再生方法に関するものであり、特に、反射率の違いが屈折率差、吸収率差いずれかによることを特徴とする2光子吸収3次元光記録材料及び2光子吸収3次元光記録方法及び再生方法に関するものである。
一般に、非線形光学効果とは、印加する光電場の2乗、3乗あるいはそれ以上に比例する非線型な光学応答のことであり、印加する光電場の2乗に比例する2次の非線形光学効果としては、第二高調波発生(SHG)、光整流、フォトリフラクティブ効果、ポッケルス効果、パラメトリック増幅、パラメトリック発振、光和周波混合、光差周波混合などが知られている。また印加する光電場の3乗に比例する3次の非線形光学効果としては第三高調波発生(THG)、光カー効果、自己誘起屈折率変化、2光子吸収などが挙げられる。
これらの非線形光学効果を示す非線形光学材料としてはこれまでに多数の無機材料が見い出されてきた。ところが無機物においては、所望の非線形光学特性や、素子製造のために必要な諸物性を最適化するためのいわゆる分子設計が困難であることから実用するのは非常に困難であった。一方、有機化合物は分子設計により所望の非線形光学特性の最適化が可能であるのみならず、その他の諸物性のコントロールも可能であるため、実用の可能性が高く、有望な非線形光学材料として注目を集めている。
近年、有機化合物の非線形光学特性の中でも3次の非線形光学効果が注目されており、その中でも特に、非共鳴2光子吸収が注目を集めている。2光子吸収とは、化合物が2つの光子を同時に吸収して励起される現象であり、化合物の(線形)吸収帯が存在しないエネルギー領域で2光子の吸収が起こる場合を非共鳴2光子吸収という。なお、以下の記述において特に明記しなくても2光子吸収とは非共鳴2光子吸収を指す。
ところで、非共鳴2光子吸収の効率は印加する光電場の2乗に比例する(2光子吸収の2乗特性)。このため、2次元平面にレーザーを照射した場合においては、レーザースポットの中心部の電界強度の高い位置のみで2光子の吸収が起こり、周辺部の電界強度の弱い部分では2光子の吸収は全く起こらない。一方、3次元空間においては、レーザー光をレンズで集光した焦点の電界強度の大きな領域でのみ2光子吸収が起こり、焦点から外れた領域では電界強度が弱いために2光子吸収が全く起こらない。印加された光電場の強度に比例してすべての位置で励起が起こる線形吸収に比べて、非共鳴2光子吸収では、この2乗特性に由来して空間内部の1点のみで励起が起こるため、空間分解能が著しく向上する。
通常、非共鳴2光子吸収を誘起する場合には、化合物の(線形)吸収帯が存在する波長領域よりも長波でかつ吸収の存在しない、近赤外領域の短パルスレーザーを用いることが多い。いわゆる透明領域の近赤外光を用いるため、励起光が吸収や散乱を受けずに試料内部まで到達でき、非共鳴2光子吸収の2乗特性のために試料内部の1点を極めて高い空間分解能で励起できる。
一方、従来から、レーザー光により一回限りの情報の記録が可能な光情報記録媒体(光ディスク)が知られており、追記型CD(いわゆるCD−R)、追記型DVD(いわゆるDVD−R)などが実用化されている。
例えば、DVD−Rの代表的な構造は、照射されるレーザー光のトラッキングのための案内溝(プレグルーブ)がCD−Rに比べて半分以下(0.74〜0.8μm)と狭く形成された透明な円盤状基板上に、色素からなる記録層、そして通常は該記録層の上に光反射層、そして更に必要により保護層からなる。
DVD−Rへの情報の記録は、可視レーザー光(通常は630nm〜680nmの範囲)を照射し、記録層の照射部分がその光を吸収して局所的に温度上昇し、物理的あるいは化学的変化(例えば、ピットの生成)が生じてその光学的特性を変えることにより行われる。一方、情報の読み取り(再生)もまた記録用のレーザー光と同じ波長のレーザー光を照射することにより行われ、記録層の光学的特性が変化した部位(記録部分)と変化しない部位(未記録部分)との反射率の違いを検出することにより情報が再生される。この反射率の違いはいわゆる「屈折率の変調」に基づくものであり、記録部分と非記録部分の屈折率差が大きい程、光の反射率の比が大きい、すなわち再生のS/N比が大きくなり好ましい。
最近、インターネット等のネットワークやハイビジョンTVが急速に普及している。また、HDTV(High Definition Television)の放映も間近にひかえて、民生用途においても50GB以上、好ましくは100GB以上の画像情報を安価簡便に記録するための大容量記録媒体の要求が高まっている。
さらにコンピューターバックアップ用途、放送バックアップ用途等、業務用途においては、1TB程度あるいはそれ以上の大容量の情報を高速かつ安価に記録できる光記録媒体が求められている。
そのような中、DVD−Rのような従来の2次元光記録媒体は物理原理上、たとえ記録再生波長を短波長化したとしてもせいぜい25GB程度で、将来の要求に対応できる程の充分大きな記録容量が期待できるとは言えない状況である。
そのような状況の中、究極の高密度、高容量記録媒体として、3次元光記録媒体が俄然注目されてきている。3次元光記録媒体は、3次元(膜厚)方向に何十、何百層もの記録を重ねることで、従来の2次元記録媒体の何十、何百倍もの超高密度、超高容量記録を達成しようとするものである。3次元光記録媒体を提供するためには、3次元(膜厚)方向の任意の場所にアクセスして書き込みできなければならないが、その手段として、2光子吸収材料を用いる方法とホログラフィ(干渉)を用いる方法とある。
2光子吸収材料を用いる3次元光記録媒体では、上記で説明した物理原理に基づいて何十、何百倍にもわたっていわゆるビット記録が可能であって、より高密度記録が可能であり、まさに究極の高密度、高容量光記録媒体であると言える。
2光子吸収材料を用いた3次元光記録媒体としては、記録再生に蛍光性物質を用いて蛍光で読み取る方法(レウ"ィッチ、ユージーン、ポリス他、特表2001−524245号[特許文献1]、パベル、ユージエン他、特表2000−512061号[特許文献2])、フォトクロミック化合物を用いて吸収または蛍光で読み取る方法(コロティーフ、ニコライ・アイ他、特表2001−522119号[特許文献3]、アルセノフ、ウ"ラディミール他、特表2001−508221号[特許文献4])等が提案されているが、いずれも具体的な2光子吸収材料の提示はなく、また抽象的に提示されている2光子吸収化合物の例も2光子吸収効率の極めて小さい2光子吸収化合物を用いており、さらに、非破壊読み出し、記録の長期保存性、再生のS/N比等に問題があり、光記録媒体として実用性のある方式であるとは言えない。
特に非破壊読出し、記録の長期保存性等の点では、不可逆材料を用いて反射率(屈折率または吸収率)の変化で再生するのが好ましいが、このような機能を有する2光子吸収材料を具体的に開示している例はなかった。
また、河田聡、川田善正、特開平6−28672号[特許文献5]、河田聡、川田善正他、特開平6−118306号[特許文献6]には、屈折率変調により3次元的に記録する記録装置、及び再生装置、読み出し方法等が開示されているが、2光子吸収3次元光記録材料を用いた方法についての記載はない。
特表2001−524245号公報 特表2000−512061号公報 特表2001−522119号公報 特表2001−508221号公報 特開平6−28672号公報 特開平6−118306号公報
上に述べたように、非共鳴2光子吸収により得た励起エネルギーを用いて反応を起こし、その結果レーザー焦点部と非焦点部で屈折率または吸収率を変調することができれば、3次元空間の任意の場所に極めて高い空間分解能で屈折率または吸収率変調による光の反射率または透過率変調を起こすことができ、究極の高密度記録媒体と考えられる3次元光記録媒体への応用が可能となる。さらに、非破壊読み出しが可能で、かつ不可逆材料であるため良好な保存性も期待でき実用的である。
しかし、現時点で利用可能な2光子吸収化合物では、2光子吸収能が低いため、光源としては非常に高出力のレーザーが必要で、かつ記録時間も長くかかる。
特に3次元光記録媒体に使用するためには、速い転送レート達成のために、高感度にて2光子吸収による屈折率または吸収率変調を行うことができる2光子吸収3次元光記録材料の構築が必須である。そのためには、高効率に2光子を吸収し励起状態を生成することができる2光子吸収化合物と、2光子吸収化合物励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより化学反応し、屈折率差または吸収率差を記録することができる記録成分を含む材料が有力であるが、そのような材料は今まで全く開示されておらず、そのような材料の構築が望まれていた。
本発明の目的は、2光子吸収断面積が大きい2光子吸収化合物を少なくとも有し、2光子吸収化合物の2光子吸収を利用して記録を行った後、光を記録材料に照射してその反射率または透過率の違いを検出することにより再生することを特徴とする2光子吸収3次元光記録材料及び2光子吸収3次元光記録方法及び再生方法を提供するものである。特に、反射率または透過率の違いが屈折率差、吸収率差いずれかによることを特徴とする2光子吸収3次元光記録材料及び2光子吸収3次元光記録方法及び再生方法を提供するものである。
発明者らの鋭意検討の結果、本発明の上記目的は、下記の手段により達成された。
(1)少なくとも1種の2光子吸収化合物と記録成分とを有する2光子吸収光記録材料であって、該2光子吸収化合物の2光子吸収を利用して記録を行った後、光を照射して記録部と非記録部の反射率または透過率の違いを検出することにより再生することを特徴とする2光子吸収光記録材料。
(2)該2光子吸収光記録材料がライトワンス方式、つまり書き換えできない方式であることを特徴とする(1)記載の2光子吸収光記録材料。
(3)該反射率または透過率の違いが屈折率差、吸収率差、発泡、散乱、反射、回折および干渉のいずれかにより起こることを特徴とする(1)または(2)に記載の2光子吸収光記録材料。
(4)該反射率または透過率の違いが屈折率差、吸収率差いずれかによることを特徴とする(3)記載の2光子吸収光記録材料。
(5)(1)〜(4)にて、2光子吸収による屈折率差または吸収率差記録が可能である化合物群として、少なくとも2光子を吸収し励起状態を生成することができる2光子吸収化合物と、2光子吸収化合物励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより化学反応し、屈折率差または吸収率差を記録することができる記録成分を含むことを特徴とする(1)〜(4)記載の2光子吸収光記録材料。
(6)該記録成分が、発色体となることができる色素前駆体を含むことを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料。
(7)(6)にて、該記録成分は、2光子吸収化合物励起状態からの電子移動またはエネルギー移動により、元の状態から吸収が長波長化した発色体となることができる色素前駆体を含むことを特徴とする(6)記載の2光子吸収光記録材料。
(8)(5)、(6)または(7)にて、記録成分は屈折率差記録成分であり、屈折率差記録成分に含まれる色素前駆体は、2光子吸収化合物励起状態からの電子移動またはエネルギー移動により、元の状態から吸収が長波長化した発色体となることができ、かつ2光子吸収による記録を行った後、反射率または透過率の違いを検出するために照射する光の波長に吸収を有さずに、それよりも短波長側に吸収を有する発色体となることによって記録部と非記録部にて屈折率変調を行い、光照射時の反射率または透過率を変化させることができることを特徴とする(5)、(6)または(7)記載の2光子吸収光記録材料及び2光子吸収光記録方法及び再生方法。
(9)(8)にて、屈折率差記録成分に含まれる色素前駆体は、2光子吸収化合物励起状態からの電子移動またはエネルギー移動により、元の状態から吸収が長波長化した発色体となることができ、かつ2光子吸収による記録を行った後、反射率または透過率の違いを検出するために照射する光の波長に吸収を有さずに、その再生時の光の波長とその波長から200nm短波長な波長の間の領域に吸収極大を有する発色体となることによって記録部と非記録部にて屈折率変調を行い、光照射時の反射率または透過率を変化させることができることを特徴とする(8)記載の2光子吸収光記録材料及び2光子吸収光記録方法及び再生方法。
(10)(9)にて、屈折率差記録成分に含まれる色素前駆体は、2光子吸収化合物励起状態からの電子移動またはエネルギー移動により、元の状態から吸収が長波長化した発色体となることができ、かつ2光子吸収による記録を行った後、反射率または透過率の違いを検出するために照射する光の波長に吸収を有さずに、その再生時の光の波長とその波長から100nm短波長な波長の間の領域に吸収極大を有する発色体となることによって記録部と非記録部にて屈折率変調を行い、光照射時の反射率または透過率を変化させることができることを特徴とする(9)記載の2光子吸収光記録材料及び2光子吸収光記録方法及び再生方法。
(11)(5)、(6)または(7)にて、記録成分は吸収率差記録成分であり、吸収率差記録成分に含まれる色素前駆体は、2光子吸収化合物励起状態からの電子移動またはエネルギー移動により、元の状態から吸収が長波長化した発色体となることができ、かつ2光子吸収による記録を行った後、反射率または透過率の違いを検出するために照射する光の波長に吸収を有する発色体となることによって記録部と非記録部にて吸収率変調を行い、光照射時の反射率または透過率を変化させることができることを特徴とする(5)、(6)または(7)記載の2光子吸収光記録材料及び2光子吸収光記録方法及び再生方法。
(12)(1)〜(11)にて、2光子吸収による記録を行う際に照射する光の波長と、再生時に反射率または透過率の違いを検出するために照射する光の波長が同じであることを特徴とする(1)〜(11)記載の2光子吸収光記録材料及び2光子吸収光記録方法及び再生方法。
(13)(5)〜(12)の屈折(吸収)率記録成分が、少なくとも色素前駆体としての酸発色型色素前駆体と、さらに酸発生剤を含むことを特徴とする請求項(5)〜(12)記載の2光子吸収光記録材料。
(14)(13)にて、酸発生剤がジアリールヨードニウム塩、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、金属アレーン錯体、トリハロメチル置換トリアジンまたはスルホン酸エステルであることを特徴とする(13)記載の2光子吸収光記録材料。
(15)(14)にて、酸発生剤がジアリールヨードニウム塩、スルホニウム塩、またはスルホン酸エステルであることを特徴とする(14)記載の2光子吸収光記録材料。
(16)(13)にて、酸発色型色素前駆体から生成する発色体がキサンテン(フルオラン)色素またはトリフェニルメタン色素であることを特徴とする(13)〜(15)記載の2光子吸収光記録材料。
(17)(13)にて、屈折(吸収)率記録成分が、少なくとも色素前駆体としての酸発色型色素前駆体と、酸発生剤、さらに酸増殖剤を含むことを特徴とする(13)〜(16)記載の2光子吸収光記録材料。
(18)(17)にて、酸増殖剤が下記一般式(34−1)〜(34−6)で表されることを特徴とする(17)記載の2光子吸収光記録材料。
Figure 2005071570
一般式(34−1)〜(34−6)中、R101はR101OHがpKa5以下の酸となる基を表す。R102は2−アルキル−2−プロピル基、2−アリール−2−プロピル基、シクロヘキシル基、テトラヒドロピラニル基、ビス(p−アルコキシフェニル)メチル基のいずれかを表す。R103、R104、R115、R117はそれぞれ独立に置換基を表し、R105、R106、R107、R110、R113、R116はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。R118、R119はアルキル基を表し、互いに連結して環を形成しても良い。R111、R112は互いに連結して環を形成するアルキル基を表し、R114は水素原子またはニトロ基を表す。n101は0〜3の整数を表す。
(19)一般式(34−1)〜(34−6)にて、R101はR101OHがスルホン酸、電子求引性基置換カルボン酸のいずれかである基であることを特徴とする(18)記載の2光子吸収光記録材料。
(20)(5)〜(12)の屈折(吸収)率記録成分が、少なくとも色素前駆体としての塩基発色型色素前駆体と、さらに塩基発生剤を含むことを特徴とする(5)〜(12)記載の2光子吸収光記録材料。
(21)(20)にて、塩基発生剤が下記一般式(31−1)〜(31−4)で表されることを特徴とする(20)記載の2光子吸収光記録材料。
Figure 2005071570
一般式(31−1)〜(31−4)中、R201、R202、R213、R214、R215はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基のいずれかを表し、R201、R202は互いに連結して環を形成しても良く、R213、R214、R215は互いに連結して環を形成しても良い。R203、R206、R207、R209はそれぞれ独立に置換基を表し、R204 、R205、R208、R210、R211はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R210、R211は互いに連結して環を形成しても良い。R216、R217、R218、R219はそれぞれ独立にアルキル基またはアリール基を表し、R212はアリール基またはヘテロ環基を表す。n201は0または1の整数を表し、n202〜n204はそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。
(22)一般式(31−1)、(31−2)にて、n201が1であることを特徴とする(21)記載の2光子吸収光記録材料。
(23)一般式(31−1)にて、R203が2位または2,6位に置換したニトロ基、あるいは3、5位に置換したアルコキシ基のいずれかであることを特徴とする(21)または(22)記載の2光子吸収光記録材料。
(24)一般式(31−2)にて、R206が3、5位に置換したアルコキシ基であることを特徴とする(21)または(22)記載の2光子吸収光記録材料。
(25)(20)にて、塩基発色型色素前駆体が解離型アゾ色素、解離型アゾメチン色素、解離型オキソノール色素、解離型キサンテン(フルオラン)色素、解離型トリフェニルメタン型色素の非解離体であることを特徴とする(20)〜(24)記載の2光子吸収光記録材料。
(26)(20)にて、屈折(吸収)率記録成分が、少なくとも色素前駆体としての塩基発色型色素前駆体と、塩基発生剤、さらに塩基増殖剤を含むことを特徴とする(20)〜(25)記載の2光子吸収光記録材料。
(27)(26)にて、塩基増殖剤が下記一般式(35)で表されることを特徴とする(26)記載の2光子吸収光記録材料。
Figure 2005071570
一般式(35)中、R121、R122はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基のいずれかを表し、R121、R122は互いに連結して環を形成しても良く、R123、R124はそれぞれ独立に置換基を表し、R123、R124は互いに連結して環を形成しても良く、R125、R126はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。n102は0または1の整数を表す。
(28)一般式(35)にて、n102が1であることを特徴とする(27)記載の2光子吸収光記録材料。
(29)一般式(35)の塩基増殖剤が一般式(36−1)または(36−2)で表されることを特徴とする(27)または(28)記載の2光子吸収光記録材料。
Figure 2005071570
一般式(36−1)、(36−2)中、R121、R122は一般式(35)と同義である。
(30)(5)〜(12)の屈折(吸収)率記録成分が、少なくとも下記一般式(32)にて表される色素前駆体を含むことを特徴とする(5)〜(12)記載の2光子吸収光記録材料。
Figure 2005071570
一般式(32)中、A1とPDは共有結合しており、A1は2光子吸収化合物励起状態との電子移動またはエネルギー移動によりPDとの共有結合を切断する機能を有する有機化合物部位であり、PDはA1と共有結合している際とA1との共有結合が切断されて放出された際に発色体となる特徴を有する有機化合物部位を表す。
(31)一般式(32)の色素前駆体が一般式(33−1)〜(33−6)のいずれかで表されることを特徴とする(30)記載の2光子吸収光記録材料。
Figure 2005071570
一般式(33−1)〜(33−6)中、PDは一般式(32)と同義であり、R71、R80、R81は水素原子または置換基を表し、R72、R73、R78、R79、R82 、R83は置換基を表し、a71、a72、a74、a75はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、a73、a76はそれぞれ独立に0または1を表す。a71、a72、a74、a75が2以上の時、複数のR72、R73、R78、R79は同じでも異なっても良く、互いに連結して環を形成しても良い。また、R80とR81、R82とR83は互いに連結して環を形成しても良い。
(32)一般式(32)または(33−1)〜(33−6)にて、PDが解離型アゾ色素、解離型アゾメチン色素、解離型オキソノール色素、トリフェニルメタン色素、キサンテン色素のいずれかから成る基であり、クロモフォア上でA1と共有結合で連結していることを特徴とする(30)または(31)記載の2光子吸収光記録材料。
(33)(1)〜(32)において、2光子吸収化合物が有機色素であることを特徴とする(1)〜(32)記載の2光子吸収光記録材料。
(34)(33)において、2光子吸収化合物がメチン色素またはフタロシアニン色素で表されることを特徴とする(1)〜(33)記載の2光子吸収光記録材料。
(35)(34)において、2光子吸収化合物がシアニン色素、メロシアニン色素、オキソノール色素、フタロシアニン色素または下記一般式(1)にて表されることを特徴とする、(34)記載の2光子吸収光記録材料。
Figure 2005071570
式中、R1、R2、R3、R4はそれぞれ独立に、水素原子、または置換基を表し、R1、R2、R3、R4のうちのいくつかが互いに結合して環を形成してもよい。nおよびmはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、nおよびmが2以上の場合、複数個のR1、R2、R3およびR4は同一でもそれぞれ異なってもよい。ただし、n、m同時に0となることはない。X1およびX2は独立に、アリール基、ヘテロ環基、または一般式(2)で表される基を表す。
Figure 2005071570
式中、R5は水素原子または置換基を表し、R6は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基を表し、Z1は5または6員環を形成する原子群を表す。
(36)一般式(1)で表される化合物において、R1 とR3 が連結して環を形成することを特徴とする(35)記載の2光子吸収光記録材料。
(37)一般式(1)で表される化合物において、R1 とR3 が連結して、カルボニル基と共にシクロペンタノン環を形成することを特徴とする(36)記載の2光子吸収光記録材料。
(38)一般式(1)で表される化合物のX1、X2が一般式(2)にて表されることを特徴とする(35)〜(37)記載の2光子吸収光記録材料。
(39)一般式(1)で表される化合物において、X1 、X2 が一般式(2)で表され、R6 はアルキル基であり、Z1 で形成される環が、インドレニン環、アザインドレニン環、ピラゾリン環、ベンゾチアゾール環、チアゾール環、チアゾリン環、ベンゾオキサゾール環、オキサゾール環、オキサゾリン環、ベンゾイミダゾール環、チアジアゾール環、キノリン環のいずれかで表されることを特徴とする(38)記載の2光子吸収光記録材料。
(40)一般式(1)で表される化合物において、X1 、X2 が一般式(2)で表され、R6 はアルキル基であり、Z1 で形成される環が、インドレニン環、アザインドレニン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイミダゾール環のいずれかで表されることを特徴とする(39)記載の2光子吸収光記録材料。
(41)(34)にて、シアニン色素が下記一般式(3)にて、メロシアニン色素が下記一般式(4)にて、オキソノール色素が一般式(5)にて表されることを特徴とする、(35)記載の2光子吸収光記録材料。
Figure 2005071570
一般式(3)〜(5)中、Za1、Za2及びZa3はそれぞれ5員または6員の含窒素複素環を形成する原子群を表わし、Za4、Za5及びZa6はそれぞれ5員または6員環を形成する原子群を表わす。Ra1、Ra2及びRa3はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。
Ma1〜Ma14はそれぞれ独立にメチン基を表わし、置換基を有していても良く、他のメチン基と環を形成しても良い。na1、na2及びna3はそれぞれ0または1であり、ka1、及びka3はそれぞれ0〜3の整数を表わす。ka1が2以上の時、複数のMa3、Ma4は同じでも異なってもよく、ka3が2以上の時、複数のMa12、Ma13は同じでも異なってもよい。ka2は0〜8の整数を表わし、ka2が2以上の時、複数のMa10、Ma11は同じでも異なってもよい。
CIは電荷を中和するイオンを表わし、yは電荷の中和に必要な数を表わす。
(42)(1)〜(41)にて2光子吸収化合物が少なくとも1個の水素結合性基を有することを特徴とする(1)〜(41)記載の2光子吸収光記録材料。
(43)(42)にて、水素結合性基が−COOH基または−CONH2基であることを特徴とする(42)記載の2光子吸収光記録材料。
(追加)
(44)(1)〜(43)記載の2光子吸収光記録材料が2光子吸収化合物のラジカルカチオンを還元する能力を有する電子供与性化合物もしくは2光子吸収化合物のラジカルアニオンを酸化する能力を有する電子受容性化合物を含むことを特徴とする(1)〜(43)記載の2光子吸収光記録材料
(45)(44)にて、2光子吸収光記録材料が電子供与性化合物を含み、電子供与性化合物がアルキルアミン類、アニリン類、フェニレンジアミン類、トリフェニルアミン類、カルバゾール類、フェノチアジン類、フェノキサジン類、フェナジン類、ハイドロキノン類、カテコール類、アルコキシベンゼン類、アミノフェノール類、イミダゾール類、ピリジン類、メタロセン類、金属錯体類、半導体微粒子のいずれかであることを特徴とする(44)記載の2光子吸収光記録材料。
(46)(45)にて、電子供与性化合物がフェノチアジン類であることを特徴とする(45)記載の2光子吸収光記録材料。
(47)(44)にて、2光子吸収光記録材料が電子受容性化合物を含み、電子受容性化合物がジニトロベンゼン、ジシアノベンゼン等、電子求引性基が導入された芳香族化合物、ヘテロ環化合物または電子求引性基が導入されたヘテロ環化合物、N−アルキルピリジニウム塩類、ベンゾキノン類、イミド類、金属錯体類、半導体微粒子のいずれかであることを特徴とする(44)記載の2光子吸収光記録材料。
(48)(1)〜(47)記載の2光子吸収光記録材料から成る2光子吸収3次元光記録媒体及び2光子吸収3次元光記録方法及び再生方法。
(49)(1)〜(48)記載の2光子吸収光記録材料または2光子吸収3次元光記録媒体が保存時に遮光カートリッジ内に保存されていることを特徴とする2光子吸収光記録媒体または2光子吸収3次元光記録媒体。
(50)(1)〜(49)記載の2光子吸収光記録材料を用いた光記録媒体及び光記録方法及び再生方法。
(51)(50)記載の光記録媒体を用いた近接場光記録媒体及び近接場記録方法及び再生方法。
(52)(1)〜(51)の2光子吸収光記録材料に、2光子吸収化合物の有する線形吸収帯よりも長波長でかつ線形吸収の存在しない波長のレーザー光を照射して誘起された2光子吸収を利用して記録を起こすことを特徴とする2光子吸収光記録方法。
(53)(5)〜(51)記載の、2光子を吸収し励起状態を生成することができる2光子吸収化合物と、2光子吸収化合物励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより元の状態から吸収が長波長化した発色体となることができる色素前駆体を含む記録成分を有する2光子吸収光記録材料において、2光子吸収化合物の有する線形吸収帯よりも長波長でかつ線形吸収の存在しない波長のレーザー光を照射して2光子吸収を誘起することにより生成する発色体の線形吸収が、2光子吸収化合物線形吸収の長波長側吸収端よりも長波長側に現われることを用いて、屈折率差または吸収率差記録を行うことを特徴とする2光子吸収光記録方法。
本発明の2光子吸収光記録材料を用いることで、レーザー焦点部(記録部)と非焦点部(非記録部)にて屈折率または吸収率を3次元的に変調でき、その結果光の反射率または透過率を変えることができて3次元光記録媒体及びその記録再生方法に応用が可能である。
以下に本発明の2光子吸収光記録材料について詳しく説明する。
本発明の2光子吸収光記録材料は、少なくとも2光子吸収化合物および記録成分を有し、2光子吸収化合物の2光子吸収を利用して記録成分を変化させて記録を行った後、光を記録材料に照射してその反射率または透過率の違いを検出することにより再生することを特徴とする。
なお、本発明の2光子吸収光記録材料は、湿式処理を行わないことが好ましい。
また、記録がライトワンス方式、つまり書き換えできない方式であることが好ましい。
本発明の2光子吸収光記録材料において、2光子吸収化合物の2光子吸収を利用して記録を行った後、光を記録材料に照射してその反射率または透過率の違いを検出することにより再生する際、反射率または透過率の違いが屈折率差、吸収率差、発泡、散乱、金属反射、回折、干渉のいずれかにより起こることが好ましい。照射する光に対し、記録部と非記録部の反射率または透過率の相対的な違いは、好ましくは0.1%以上、より好ましくは1%以上、更に好ましくは10以上である。
ここで、反射率または透過率の違いが2光子吸収化合物の2光子吸収による発泡により起こる際は、例えば、特願2003−274096号記載の化合物群を用いることが好ましい。その際、発泡のサイズとしては50nm〜5μmであることがより好ましい。
また、反射率または透過率の違いが散乱により起こる際は、例えば2光子吸収化合物の2光子吸収により無機化合物または有機化合物の粒子が形成されることなどが好ましい。その際、粒子形成のサイズとしては50nm〜5μmであることがより好ましい。
反射率または透過率の違いが金属反射により起こる際は、例えば2光子吸収化合物の2光子吸収により金属イオンが金属に還元されたり、あるいは金属が金属イオンに酸化されたりして反射率または透過率が変化することが好ましい。
なお、本発明の2光子吸収光記録材料において、2光子吸収化合物の2光子吸収を利用して記録を行った後、光を記録材料に照射してその反射率または透過率の違いを検出することにより再生する際、反射率または透過率の違いは屈折率差または吸収率差により起こることが好ましい。
屈折率差の違いは、例えば、特願2003−146527記載されているように、2光子吸収化合物の2光子吸収により起こる重合により形成する方法も好ましいが、より好ましくは、2光子吸収による屈折率差または吸収率差記録が可能である化合物群として、少なくとも2光子を吸収し励起状態を生成することができる2光子吸収化合物と、2光子吸収化合物励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより化学反応し、屈折率差または吸収率差を記録することができる記録成分を含むことが好ましい。
さらに、その記録成分は、2光子吸収化合物励起状態からの電子移動またはエネルギー移動により、元の状態から吸収が長波長化した発色体となることができる色素前駆体を含むことがより好ましい。
ここで、色素の屈折率は一般に、線形吸収極大波長(λmax)付近からそれより長波長な領域で高い値を取り、特にλmaxからλmaxより200nm程長波長な領域において非常に高い値を取り、色素によっては2を超え、場合によっては2.5を超えるような高い値をとる。その一方で、バインダーポリマー等の色素ではない有機化合物は通常1.4〜1.6程度の屈折率である。
よって、2光子吸収化合物の2光子吸収により色素前駆体を発色させることは、吸収率差だけでなく、大きな屈折率差も好ましく形成できることがわかる。
本発明の2光子吸収光記録材料においては、記録成分から形成される色素の屈折率は再生に用いるレーザー波長付近で最大となることが好ましい。さらに、記録と再生は同じレーザーを用いることが好ましい。
なお、記録成分から形成される色素の色素単独膜において、記録波長での屈折率は1.8以上であることがより好ましく、2以上であることがさらに好ましく、2.2以上であることが最も好ましい。
以上より、本発明の2光子吸収光記録材料及びその記録再生方法としては、記録成分は屈折率差記録成分であり、屈折率差記録成分に含まれる色素前駆体は、2光子吸収化合物励起状態からの電子移動またはエネルギー移動により、元の状態から吸収が長波長化した発色体となることができ、かつ2光子吸収による記録を行った後、反射率または透過率の違いを検出するために照射する光の波長に吸収を有さずに、それよりも短波長側に吸収を有する発色体となることによって記録部と非記録部にて屈折率変調を行い、光照射時の反射率または透過率を変化させることができることが好ましい。
さらにその際、屈折率差記録成分に含まれる色素前駆体は、2光子吸収化合物励起状態からの電子移動またはエネルギー移動により、元の状態から吸収が長波長化した発色体となることができ、かつ2光子吸収による記録を行った後、反射率または透過率の違いを検出するために照射する光の波長に吸収を有さずに、その再生時の光の波長とその波長から200nm、より好ましくは100nm短波長な波長の間の領域に吸収極大を有する発色体となることによって記録部と非記録部にて屈折率変調を行い、光照射時の反射率または透過率を変化させることができることがより好ましい。
また一方で、本発明の2光子吸収光記録材料及びその記録再生方法としては、記録成分は吸収率差記録成分であり、吸収率差記録成分に含まれる色素前駆体は、2光子吸収化合物励起状態からの電子移動またはエネルギー移動により、元の状態から吸収が長波長化した発色体となることができ、かつ2光子吸収による記録を行った後、反射率または透過率の違いを検出するために照射する光の波長に吸収を有する発色体となることによって記録部と非記録部にて吸収率変調を行い、光照射時の反射率または透過率を変化させることができることもより好ましい。
なお、反射率または透過率の違いが屈折率差及び吸収率差どちらで起こる際も、2光子吸収による記録を行う際に照射する光の波長と、再生時に反射率または透過率の違いを検出するために照射する光の波長が同じであることがより好ましい。
よって、反射率または透過率の違いが屈折率差による時は、記録再生波長付近で、記録部と非記録部の屈折率差が最大となるように記録材料を設計することが好ましく、反射率または透過率の違いが吸収率差による時は、記録再生波長付近で、記録部と非記録部の吸収率差が最大となるように記録材料を設計することが好ましい。
本発明の2光子吸収光記録材料の記録にはレーザーを用いることが好ましい。本発明に用いる光は好ましくは波長200〜2000nmの紫外光、可視光、赤外光のいずれかであり、より好ましくは波長300〜1000nmの紫外光、可視光または赤外光であり、さらに好ましくは400〜800nmの可視光または赤外光である。
用いることができるレーザーは特に限定されないが、具体的には、中心波長1000nm付近に発振波長を有するTi−サファイア等の固体レーザーやファイバーレーザー、780nm付近の発振波長を有するCD-Rなどでも用いられている半導体レーザーや固体レーザー、ファイバーレーザー、620〜680nmの範囲の発振波長を有するDVD-Rなどでも用いられている半導体レーザーや固体レーザー、400〜415nm付近の発振波長を有するGaNレーザーなどを好ましく用いることができる。
また他にも、可視光域に発振波長を有するYAG・SHGレーザーなどの固体SHGレーザー、半導体SHGレーザーなども好ましく用いることができる。
本発明に用いるレーザーはパルス発振レーザーであってもCWレーザーであっても良い。
再生の際使用する光もレーザー光であることが好ましく、パワーまたはパルス形状は同じか異なるものの、記録時と同じレーザーを用いて再生することがより好ましい。
なお、本発明の2光子吸収光記録材料に記録を行う際は、2光子吸収化合物の有する線形吸収帯よりも長波長でかつ線形吸収の存在しない波長のレーザー光を照射して誘起された2光子吸収を利用して記録を起こすことが好ましい。
したがって、2光子吸収化合物の有する線形吸収帯よりも長波長でかつ線形吸収の存在しない波長のレーザー光を照射して2光子吸収を誘起することにより生成する発色体の線形吸収が、2光子吸収化合物線形吸収の長波長側吸収端よりも長波長側に現われることを用いて、屈折率差または吸収率差記録を行うことがより好ましい。
本発明の2光子吸収光記録材料は、2光子吸収化合物、記録成分に加えて、好ましくはさらにバインダーを用い、さらに必要に応じて電子供与性化合物、電子受容性化合物、重合性モノマー、重合性オリゴマー、重合開始剤、架橋剤、熱安定剤、可塑剤、溶媒等の添加物を用いることができる。
本発明の2光子吸収光記録材料にて、記録により生成する反応部または発色部の大きさは10nm〜100μmの範囲内であることが好ましく、50nm〜5μmの範囲であることがより好ましく、50nm〜2μmの範囲であることがさらに好ましい。
また、記録材料の再生を可能にするためには、反応部または発色部の大きさは照射光波長の1/20〜20倍の大きさであることが好ましく、1/10〜10倍の大きさであることがより好ましく、1/5〜5倍の大きさであることが最も好ましい。
本発明の2光子吸収光記録材料においては、2光子記録の後に、光(通常の1光子)または熱、あるいはその両方により定着工程を行っても良い。
特に本発明の2光子吸収光記録材料に酸増殖剤または塩基増殖剤を用いる場合、酸増殖剤または塩基増殖剤を有効に機能させる点においても定着に加熱を用いることが好ましい。
光定着の場合は、2光子吸収光記録材料全域に紫外光または可視光を全面照射(非干渉露光)する。用いる光源として好ましくは、可視光レーザー、紫外光レーザー、カーボンアーク、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステンランプ、LED、有機ELなどが挙げられる。
なお、光定着の光源に記録に用いるレーザーをそのまま、あるいはパワー、パルス、集光度、波長などを変えて用いることも好ましい。
熱定着の場合は、好ましくは40℃〜160℃、より好ましくは60℃〜130℃にて定着工程を行うことが好ましい。
光定着と熱定着を両方行う際は、光と熱を同時に加えても、光と熱を別々に加えてもよい。
なお、本発明の2光子吸収光記録材料において、2光子吸収を行うことにより起こる化学反応、発色反応等は熱分解によらない反応、すなわちフォトンモードにて起こることが特に高感度化の点で好ましい。
すなわち、既存のCD−RやDVD−Rにて実用されている方法とは異なる機構で記録することが、特に記録材料における書き込み転送速度を考える際に好ましい。
本発明の2光子吸収光記録材料は、DVD−R、DVD−BL(BR)のような光記録媒体、近接場光記録媒体、3次元光記録媒体等に用いることが好ましいが、より好ましくは3次元光記録媒体に用いることが好ましい。すなわち、本発明の2光子吸収光記録材料は、2光子吸収3次元光記録材料であることが好ましい。
なお、本発明の2光子吸収光記録材料を光記録媒体に用いる際は、保存時2光子吸収光記録材料は遮光カートリッジ内に保存されていることが好ましい。
また、本発明の2光子吸収化合物及び2光子吸収光記録材料は3光子以上の多光子吸収を行っても構わない。
以下に、本発明の2光子吸収光記録材料に用いる各成分について詳しく説明する。
まず本発明の2光子吸収光記録材料における2光子吸収化合物について説明する。
本発明の2光子吸収化合物は、非共鳴2光子吸収(化合物の(線形)吸収帯が存在しないエネルギー領域で2つの光子を同時に吸収して励起される現象)を行う化合物である。
2光子吸収光記録材料、特に2光子吸収3次元光記録材料に応用する際は、速い転送(記録)速度達成のために、高感度にて2光子吸収を行って励起状態を効率良く生成することができる2光子吸収化合物が必要である。
2光子吸収化合物が2光子吸収を行う効率は2光子吸収断面積δで表され、1GM=1×10-50 cm4 s/photonで定義される。本発明の2光子吸収光記録材料における2光子吸収化合物の2光子吸収断面積δは100GM以上であることが、書き込み速度向上、レーザー小型化・安価化等の点で好ましく、1000GM以上であることがより好ましく、5000GM以上であることがより好ましく、10000GM以上であることが最も好ましい。
なお、本発明において、特定の部分を「基」と称した場合には、特に断りの無い限りは、一種以上の(可能な最多数までの)置換基で置換されていても、置換されていなくても良いことを意味する。例えば、「アルキル基」とは置換または無置換のアルキル基を意味する。また、本発明における化合物に使用できる置換基は、どのような置換基でも良い。
また、本発明において、特定の部分を「環」と称した場合、あるいは「基」に「環」が含まれる場合は、特に断りの無い限りは単環でも縮環でも良く、置換されていても置換されていなくても良い。
例えば、「アリール基」はフェニル基でもナフチル基でも良く、置換フェニル基でも良い。
なお、ここで色素とは紫外域(好ましくは200〜400nm)可視光領域(400〜700nm)または近赤外領域(好ましくは700〜2000nm)に吸収の一部を有する化合物に対する総称であり、より好ましくは可視域に吸収の一部を有する化合物の総称である。
本発明における2光子吸収化合物としてはいかなるものでも良いが、例えば、シアニン色素、ヘミシアニン色素、ストレプトシアニン色素、スチリル色素、ピリリウム色素、メロシアニン色素、3核メロシアニン色素、4核メロシアニン色素、ロダシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、アロポーラー色素、アリーリデン色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素、スクアリウム色素、クロコニウム色素、アズレニウム色素、クマリン色素、ケトクマリン色素、スチリルクマリン色素、ピラン色素、アントラキノン色素、キノン色素、トリフェニルメタン色素、ジフェニルメタン色素、キサンテン色素、チオキサンテン色素、フェノチアジン色素、フェノキサジン色素、フェナジン色素、アゾ色素、アゾメチン色素、フルオレノン色素、ジアリールエテン色素、スピロピラン色素、フルギド色素、ペリレン色素、フタロペリレン色素、インジゴ色素、ポリエン色素、アクリジン色素、アクリジノン色素、ジフェニルアミン色素、キナクリドン色素、キノフタロン色素、ポルフィリン色素、アザポルフィリン色素、クロロフィル色素、フタロシアニン色素、縮環芳香族系色素、スチレン系色素、メタロセン色素、金属錯体色素、フェニレンビニレン色素、スチルバゾリウム色素であり、より好ましくは、シアニン色素、ヘミシアニン色素、ストレプトシアニン色素、スチリル色素、ピリリウム色素、メロシアニン色素、3核メロシアニン色素、4核メロシアニン色素、ロダシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、アロポーラー色素、アリーリデン色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素、スクアリウム色素、クロコニウム色素、アズレニウム色素、クマリン色素、ケトクマリン色素、スチリルクマリン色素、ピラン色素、アントラキノン色素、キノン色素、トリフェニルメタン色素、ジフェニルメタン色素、チオキサンテン色素、フェノチアジン色素、フェノキサジン色素、フェナジン色素、アゾ色素、アゾメチン色素、ペリレン色素、フタロペリレン色素、インジゴ色素、ポリエン色素、アクリジン色素、アクリジノン色素、ジフェニルアミン色素、キナクリドン色素、キノフタロン色素、ポルフィリン色素、アザポルフィリン色素、クロロフィル色素、フタロシアニン色素、縮環芳香族系色素、スチレン系色素、メタロセン色素、金属錯体色素、スチルバゾリウム色素であり、さらに好ましくはシアニン色素、ヘミシアニン色素、ストレプトシアニン色素、スチリル色素、ピリリウム色素、メロシアニン色素、3核メロシアニン色素、4核メロシアニン色素、ロダシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、アロポーラー色素、アリーリデン色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素、スクアリウム色素、クロコニウム色素、アズレニウム色素、ケトクマリン色素、スチリルクマリン色素、ピラン色素、アントラキノン色素、キノン色素、トリフェニルメタン色素、ジフェニルメタン色素、チオキサンテン色素、フェノチアジン色素、フェノキサジン色素、フェナジン色素、アゾ色素、アゾメチン色素、インジゴ色素、ポリエン色素、アクリジン色素、アクリジノン色素、ジフェニルアミン色素、キナクリドン色素、キノフタロン色素、アザポルフィリン色素、クロロフィル色素、フタロシアニン色素、縮環芳香族系色素、メタロセン色素、金属錯体色素であり、さらに好ましくはシアニン色素、ヘミシアニン色素、ストレプトシアニン色素、スチリル色素、ピリリウム色素、メロシアニン色素、アリーリデン色素、オキソノール色素、スクアリウム色素、ケトクマリン色素、スチリルクマリン色素、ピラン色素、チオキサンテン色素、フェノチアジン色素、フェノキサジン色素、フェナジン色素、アゾ色素、ポリエン色素、アザポルフィリン色素、クロロフィル色素、フタロシアニン色素、金属錯体色素であり、さらに好ましくはシアニン色素、メロシアニン色素、アリーリデン色素、オキソノール色素、スクアリウム色素、アゾ色素、フタロシアニン色素であり、さらに好ましくはシアニン色素、メロシアニン色素、、オキソノール色素であり、最も好ましくはシアニン色素である。
これらの色素の詳細については、エフ・エム・ハーマー(F.M.Harmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズーシアニンダイズ・アンド・リレィティド・コンパウンズ(Heterocyclic Compounds−Cyanine Dyes and Related Compounds)」、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社ーニューヨーク、ロンドン、1964年刊、デー・エム・スターマー(D.M.Sturmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズースペシャル・トピックス・イン・ヘテロサイクリック・ケミストリー(Heterocyclic Compounds−Special topics in heterocyclic chemistry)」、第18章、第14節、第482から515頁、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons) 社−ニューヨーク、ロンドン、1977年刊、「ロッズ・ケミストリー・オブ・カーボン・コンパウンズ(Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds)」2nd.Ed.vol.IV,partB,1977刊、第15章、第369から422頁、エルセビア・サイエンス・パブリック・カンパニー・インク(Elsevier Science Publishing Company Inc.)社刊、ニューヨーク、などに記載されている。
シアニン色素、メロシアニン色素またはオキソノール色素の具体例としては、F.M.Harmer著、Heterocyclic Compounds−Cyanine Dyes and Related Compounds、John&Wiley&Sons、New York、London、1964年刊に記載のものが挙げられる。
シアニン色素、メロシアニン色素の一般式は、米国特許第5,340,694号第21及び22頁の(XI)、(XII)に示されているもの(ただしn12、n15の数は限定せず、0以上の整数(好ましくは0〜4の整数)とする)が好ましい。
本発明の2光子吸収化合物がシアニン色素の時、好ましくは一般式(3)にて表わされる。
一般式(3)中、Za1及びZa2はそれぞれ5員または6員の含窒素複素環を形成する原子群を表わす。形成される5員または6員の含窒素複素環として好ましくは炭素原子数(以下C数という)3〜25のオキサゾール核(例えば、2−3−メチルオキサゾリル、2−3−エチルオキサゾリル、2−3,4−ジエチルオキサゾリル、2−3−メチルベンゾオキサゾリル、2−3−エチルベンゾオキサゾリル、2−3−スルホエチルベンゾオキサゾリル、2−3−スルホプロピルベンゾオキサゾリル、2−3−メチルチオエチルベンゾオキサゾリル、2−3−メトキシエチルベンゾオキサゾリル、2−3−スルホブチルベンゾオキサゾリル、2−3−メチル−β−ナフトオキサゾリル、2−3−メチル−α−ナフトオキサゾリル、2−3−スルホプロピル−β−ナフトオキサゾリル、2−3−スルホプロピル−β−ナフトオキサゾリル、2−3−(3−ナフトキシエチル)ベンゾオキサゾリル、2−3,5−ジメチルベンゾオキサゾリル、2−6−クロロ−3−メチルベンゾオキサゾリル、2−5−ブロモ−3−メチルベンゾオキサゾリル、2−3−エチル−5−メトキシベンゾオキサゾリル、2−5−フェニル−3−スルホプロピルベンゾオキサゾリル、2−5−(4−ブロモフェニル)−3−スルホブチルベンゾオキサゾリル、2−3−メチル−5,6−ジメチルチオベンゾオキサゾリル、2−3−スルホプロピルオキサゾリル、2−3−スルホプロピル−γ−ナフトオキサゾリル、2−3−エチル−α−ナフトオキサゾリル、2−5−クロロ−3−エチル−α−ナフトオキサゾリル、2−5−クロロ−3−エチルベンゾオキサゾリル、2−5−クロロ−3−スルホプロピルベンゾオキサゾリル、2−5、6−ジクロロ−3−スルホプロピルベンゾオキサゾリル、2−5−ブロモ−3−スルホプロピルベンゾオキサゾリル、2−3−エチル−5−フェニルベンゾオキサゾリル、2−5−(1−ピロリル)−3−スルホプロピルベンゾオキサゾリル、2−5,6−ジメチル−3−スルホプロピルベンゾオキサゾリル、2−3−エチル−5−スルホベンゾオキサゾリルなどが挙げられる)、C数3〜25のチアゾール核(例えば、2−3−メチルチアゾリル、2−3−エチルチアゾリル、2−3−スルホプロピルチアゾリル、2−3−スルホブチルチアゾリル、2−3,4−ジメチルチアゾリル、2−3,4,4−トリメチルチアゾリル、2−3−カルボキシエチルチアゾリル、2−3−メチルベンゾチアゾリル、2−3−エチルベンゾチアゾリル、2−3−ブチルベンゾチアゾリル、2−3−スルホプロピルベンゾチアゾリル、2−3−スルホブチルベンゾチアゾリル、2−3−メチル−β−ナフトチアゾリル、2−3−スルホプロピル−γ−ナフトチアゾリル、2−3−(1−ナフトキシエチル)ベンゾチアゾリル、2−3,5−ジメチルベンゾチアゾリル、2−6−クロロ−3−メチルベンゾチアゾリル、2−6−ヨード−3−エチルベンゾチアゾリル、2−5−ブロモ−3−メチルベンゾチアゾリル、2−3−エチル−5−メトキシベンゾチアゾリル、2−5−フェニル−3−スルホプロピルベンゾチアゾリル、2−5−(4−ブロモフェニル)−3−スルホブチルベンゾチアゾリル、2−3−メチル−5,6−ジメチルチオベンゾチアゾリル、2−5−クロロ−3−エチルベンゾチアゾリル、2−5−クロロ−3−スルホプロピルベンゾチアゾリル、2−3−エチル−5−ヨードベンゾチアゾリルなどが挙げられる)、C数3〜25のイミダゾール核(例えば、2−1,3−ジエチルイミダゾリル、2−1,3−ジメチルイミダゾリル、2−1−メチルベンゾイミダゾリル、2−1,3,4−トリエチルイミダゾリル、2−1,3−ジエチルベンゾイミダゾリル、2−1,3,5−トリメチルベンゾイミダゾリル、2−6−クロロ−1,3−ジメチルベンゾイミダゾリル、2−5,6−ジクロロ−1,3−ジエチルベンゾイミダゾリル、2−1,3−ジスルホプロピル−5−シアノ−6−クロロベンゾイミダゾリル、2−5、6−ジクロロ−3−エチル−1−スルホプロピルベンゾイミダゾリル、2−5−クロロ−6−シアノ−1,3−ジエチルベンゾイミダゾリル、2−5−クロロ−1,3−ジエチル−6−トリフルオロメチルベンゾイミダゾリルなどが挙げられる)、C数10〜30のインドレニン核(例えば、3,3−ジメチル−1−ペンチルインドレニン、3,3、−ジメチル−1−スルホプロピルインドレニン、5−カルボキシ−1、3,3−トリメチルインドレニン、5−カルバモイル−1、3,3−トリメチルインドレニン、1,3,3,−トリメチル−4,5−ベンゾインドレニンなどが挙げられる)、C数9〜25のキノリン核(例えば、2−1−メチルキノリル、2−1−エチルキノリル、2−1−メチル6−クロロキノリル、2−1,3−ジエチルキノリル、2−1−メチル−6−メチルチオキノリル、2−1−スルホプロピルキノリル、4−1−メチルキノリル、4−1−ペンチルキノリル、4−1−スルホエチルキノリル、4−1−メチル−7−クロロキノリル、4−1,8−ジエチルキノリル、4−1−メチル−6−メチルチオキノリル、4−1−スルホプロピルキノリルなどが挙げられる)、C数3〜25のセレナゾール核(例えば、2−3−メチルベンゾセレナゾリルなどが挙げられる)、C数5〜25のピリジン核(例えば、2−ピリジルなどが挙げられる)などが挙げられ、さらに他にチアゾリン核、オキサゾリン核、セレナゾリン核、テルラゾリン核、テルラゾール核、ベンゾテルラゾール核、イミダゾリン核、イミダゾ[4,5−キノキザリン]核、オキサジアゾール核、チアジアゾール核、テトラゾール核、またはピリミジン核を挙げることができる。
これらは置換されても良く、置換基として好ましくは例えば、アルキル基(好ましくはC数1〜20、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ペンチル、ベンジル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、カルボキシメチル、5−カルボキシペンチル)、アルケニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、1,3−ブタジエニル)、シクロアルキル基(好ましくはC数3〜20、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル)、アリール基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニル、2−クロロフェニル、4−メトキシフェニル、3−メチルフェニル、1−ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくはC数1〜20、例えば、ピリジル、チエニル、フリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ)、アルキニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、エチニル、2−プロピニル、1,3−ブタジイニル、2−フェニルエチニル)、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br、I)、アミノ基(好ましくはC数0〜20、例えば、アミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジブチルアミノ、アニリノ)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホン酸基、アシル基(好ましくはC数1〜20、例えば、アセチル、ベンゾイル、サリチロイル、ピバロイル)、アルコキシ基(好ましくはC数1〜20、例えば、メトキシ、ブトキシ、シクロヘキシルオキシ)、アリールオキシ基(好ましくはC数6〜26、例えば、フェノキシ、1−ナフトキシ)、アルキルチオ基(好ましくはC数1〜20、例えば、メチルチオ、エチルチオ)、アリールチオ基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニルチオ、4−クロロフェニルチオ)、アルキルスルホニル基(好ましくはC数1〜20、例えば、メタンスルホニル、ブタンスルホニル)、アリールスルホニル基(好ましくはC数6〜20、例えば、ベンゼンスルホニル、パラトルエンンスルホニル)、スルファモイル基(好ましくはC数0〜20、例えばスルファモイル、N−メチルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、カルバモイル基(好ましくはC数1〜20、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N、N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル)、アシルアミノ基(好ましくはC数1〜20、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ)、イミノ基(好ましくはC数2〜20、例えばフタルイミノ)、アシルオキシ基(好ましくはC数1〜20、例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、アルコキシカルボニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、メトキシカルボニル、フェノキシカルボニル)、カルバモイルアミノ基(好ましくはC数1〜20、例えばカルバモイルアミノ、N−メチルカルバモイルアミノ、N−フェニルカルバモイルアミノ)、であり、より好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、アルコキシ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基である。
これらの複素環はさらに縮環されていてもよい。縮環する環として好ましくはベンゼン環、ベンゾフラン環、ピリジン環、ピロール環、インドール環、チオフェン環等が挙げられる。
Za1及びZa2により形成される5員または6員の含窒素複素環としてより好ましくは、オキサゾール核、イミダゾール核、チアゾール核、インドレニン環であり、さらに好ましくはオキサゾール核、イミダゾール核、インドレニン環であり、最も好ましくはオキサゾール核である。
Ra1及びRa2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基(好ましくはC数1〜20、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ペンチル、ベンジル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、3−メチル−3−スルホプロピル、2’−スルホベンジル、カルボキシメチル、5−カルボキシペンチル)、アルケニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、ビニル、アリル)、アリール基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニル、2−クロロフェニル、4−メトキシフェニル、3−メチルフェニル、1−ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくはC数1〜20、例えば、ピリジル、チエニル、フリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ)であり、より好ましくはアルキル基(好ましくはC数1〜6のアルキル基)またはスルホアルキル基(好ましくは3−スルホプロピル、4−スルホブチル、3−メチル−3−スルホプロピル、2’−スルホベンジル)である。
Ma1〜Ma7はそれぞれメチン基を表わし、置換基を有していても良く(好ましい置換基の例はZa1及びZa2上の置換基の例と同じ)、置換基として好ましくはアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アルコキシ基、アリール基、ニトロ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、スルホ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルキルチオ基、シアノ基などが挙げられ、置換基としてより好ましくはアルキル基である。
Ma1〜Ma7は無置換メチン基またはアルキル基(好ましくはC数1〜6)置換メチン基であることが好ましく、より好ましくは無置換、エチル基置換、メチル基置換のメチン基である。
Ma1〜Ma7は互いに連結して環を形成しても良く、形成する環として好ましくはシクロヘキセン環、シクロペンテン環、ベンゼン環、チオフェン環等が挙げられる。
na1及びna2は0または1であり、好ましくは共に0である。
ka1は0〜3の整数を表わし、より好ましくはka1は1〜3を表し、さらに好ましくはka1は1または2を表す。
ka1が2以上の時、複数のMa3、Ma4は同じでも異なってもよい。
CIは電荷を中和するイオンを表わし、yは電荷の中和に必要な数を表わす。
本発明の2光子吸収化合物がメロシアニン色素の時、好ましくは一般式(4)で表わされる。
一般式(4)中、Za3は5員または6員の含窒素複素環を形成する原子群を表わし(好ましい例はZa1、Za2と同じ)、これらは置換されても良く(好ましい置換基の例はZa1、Za2上の置換基の例と同じ))、これらの複素環はさらに縮環されていてもよい。
Za3により形成される5員または6員の含窒素複素環としてより好ましくは、オキサゾール核、イミダゾール核、チアゾール核、インドレニン環であり、さらに好ましくはオキサゾール核、インドレニン環である。
Za4は5員または6員環を形成する原子群を表わす。Za4から形成される環は一般に酸性核と呼ばれる部分であり、James 編、The Theory of the Photographic Process、第4版、マクミラン社、1977年、第198頁により定義される。Za4として好ましくは、2−ピラゾロン−5−オン、ピラゾリジン−3,5−ジオン、イミダゾリン−5−オン、ヒダントイン、2または4−チオヒダントイン、2−イミノオキサゾリジン−4−オン、2−オキサゾリン−5−オン、2−チオオキサゾリン−2,4−ジオン、イソローダニン、ローダニン、インダン−1,3−ジオン、チオフェン−3−オン、チオフェン−3−オン−1,1−ジオキシド、インドリン−2−オン、インドリン−3−オン、2−オキソインダゾリウム、5,7−ジオキソ−6,7−ジヒドロチアゾロ〔3,2-a 〕ピリミジン、3,4−ジヒドロイソキノリン−4−オン、1,3−ジオキサン−4,6−ジオン、バルビツール酸、2−チオバルビツール酸、クマリン−2,4−ジオン、インダゾリン−2−オン、ピリド[1,2-a]ピリミジン−1,3−ジオン、ピラゾロ〔1,5-b〕キナゾロン、ピラゾロピリドンなどの核が挙げられる。
Za4から形成される環としてより好ましくは、2−ピラゾロン−5−オン、ピラゾリジン−3,5−ジオン、ローダニン、インダン−1,3−ジオン、チオフェン−3−オン、チオフェン−3−オン−1,1−ジオキシド、1,3−ジオキサン−4,6−ジオン、バルビツール酸、2−チオバルビツール酸、またはクマリン−2,4−ジオンであり、さらに好ましくは、ピラゾリジン−3,5−ジオン、インダン−1,3−ジオン、1,3−ジオキサン−4,6−ジオン、バルビツール酸、または2−チオバルビツール酸であり、最も好ましくはピラゾリジン−3,5−ジオン、バルビツール酸、または2−チオバルビツール酸である。
Za4から形成される環は置換されても良く、(好ましい置換基の例はZa3上の置換基の例と同じ)置換基としてより好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、アルコキシ基、スルファモイル基、カルバモイル基、またはアルコキシカルボニル基である。
これらの複素環はさらに縮環されていてもよい。縮環する環として好ましくはベンゼン環、ベンゾフラン環、ピリジン環、ピロール環、インドール環、チオフェン環等が挙げられる。
Ra3はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、またはヘテロ環基であり(以上好ましい例はRa1、Ra2と同じ)、より好ましくはアルキル基(好ましくはC数1〜6のアルキル基)またはスルホアルキル基(好ましくは3−スルホプロピル、4−スルホブチル、3−メチル−3−スルホプロピル、2’−スルホベンジル)である。
Ma8〜Ma11はそれぞれメチン基を表わし、置換基を有していても良く(好ましい置換基の例はZa1及びZa2上の置換基の例と同じ)、置換基として好ましくはアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アルコキシ基、アリール基、ニトロ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、スルホ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルキルチオ基、シアノ基などが挙げられ、置換基としてより好ましくはアルキル基である。
Ma8〜Ma11は無置換メチン基またはアルキル基(好ましくはC数1〜6)置換メチン基であることが好ましく、より好ましくは無置換、エチル基置換、メチル基置換のメチン基である。
Ma8〜Ma11は互いに連結して環を形成しても良く、形成する環として好ましくはシクロヘキセン環、シクロペンテン環、ベンゼン環、チオフェン環等が挙げられる。
na3は0または1であり、好ましくは0である。
ka2は0〜8の整数を表わし、好ましくは0〜4の整数を表し、より好ましくは1〜3の整数を表す。
ka2が2以上の時、複数のMa10、Ma11は同じでも異なってもよい。
CIは電荷を中和するイオンを表わし、yは電荷の中和に必要な数を表わす。
本発明の2光子吸収化合物がオキソノール色素の時、好ましくは一般式(5)で表わされる。
一般式(5)中、Za5及びZa6は各々5員または6員環を形成する原子群を表わし(好ましい例はZa4と同じ)、これらは置換されても良く(好ましい置換基の例はZa4上の置換基の例と同じ)、これらの複素環はさらに縮環されていてもよい。
Za5及びZa6から形成される環としてより好ましくは、2−ピラゾロン−5−オン、ピラゾリジン−3,5−ジオン、ローダニン、インダン−1,3−ジオン、チオフェン−3−オン、チオフェン−3−オン−1,1−ジオキシド、1,3−ジオキサン−4,6−ジオン、バルビツール酸、2−チオバルビツール酸、またはクマリンー2,4−ジオンであり、さらに好ましくはバルビツール酸、または2−チオバルビツール酸であり、最も好ましくはバルビツール酸である。
Ma12〜Ma14は各々メチン基を表わし、置換基を有していても良く、(好ましい置換基の例はZa5及びZa6上の置換基の例と同じ)、置換基として好ましくはアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アルコキシ基、アリール基、ニトロ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、スルホ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルキルチオ基、シアノ基などが挙げられ、より好ましくはアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリール基、ヘテロ環基、カルバモイル基、またはカルボキシ基であり、さらに好ましくはアルキル基、アリール基、またはヘテロ環基である。
Ma12〜Ma14は無置換メチン基であることが好ましい。
Ma12〜Ma14は互いに連結して環を形成しても良く、形成する環として好ましくはシクロヘキセン環、シクロペンテン環、ベンゼン環、チオフェン環等が挙げられる。
ka3は0から3までの整数を表わし、好ましくは0から2までの整数を表し、より好ましくは1または2を表す。
ka3が2以上の時、Ma12、Ma13は同じでも異なってもよい。
CIは電荷を中和するイオンを表わし、yは電荷の中和に必要な数を表わす。
また、本発明の化合物は一般式(1)にて表されることも好ましい。
一般式(1)において、R1、R2、R3、R4はそれぞれ独立に、水素原子または置換基を表し、置換基として好ましくは、アルキル基(好ましくはC数1〜20、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ペンチル、ベンジル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、3−メチル−3−スルホプロピル、2’−スルホベンジル、カルボキシメチル、5−カルボキシペンチル)、アルケニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、ビニル、アリル)、シクロアルキル基(好ましくはC数3〜20、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル)、アリール基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニル、2−クロロフェニル、4−メトキシフェニル、3−メチルフェニル、1−ナフチル)、またはヘテロ環基(好ましくはC数1〜20、例えば、ピリジル、チエニル、フリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ)である。
1、R2、R3、R4として好ましくは水素原子またはアルキル基である。R1、R2、R3、R4のうちのいくつか(好ましくは2つ)が互いに結合して環を形成してもよい。特に、R1 とR3 が結合して環を形成することが好ましく、その際カルボニル炭素原子と共に形成する環が6員環または5員環または4員環であることが好ましく、5員環または4員環であることがより好ましく、5員環であることが最も好ましい。
一般式(1)において、nおよびmはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、好ましくは1〜4の整数を表す。ただし、n、m同時に0となることはない。
nおよびmが2以上の場合、複数個のR1、R2、R3およびR4は同一でもそれぞれ異なってもよい。
1およびX2は独立に、アリール基[好ましくはC数6〜20、好ましくは置換アリール基(例えば置換フェニル基、置換ナフチル基、置換基の例として好ましくはMa1〜Ma7の置換基と同じ)であり、より好ましくはアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルアミノ基が置換したアリール基を表し、さらに好ましくはアルキル基、アミノ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アシルアミノ基が置換したアリール基を表し、最も好ましくは4位にジアルキルアミノ基またはジアリールアミノ基が置換したフェニル基を表す。その際複数の置換基が連結して環を形成しても良く、形成する好ましい環としてジュロリジン環が挙げられる]、ヘテロ環基(好ましくはC数1〜20、好ましくは3〜8員環、より好ましくは5または6員環、例えばピリジル、チエニル、フリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリル、インドリル、カルバゾリル、フェノチアジノ、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、より好ましくはインドリル、カルバゾリル、ピロリル、フェノチアジノ。ヘテロ環は置換していても良く、好ましい置換基は前記アリール基の際の例と同じ)、または一般式(2)で表される基を表す。
一般式(2)中、R5は水素原子または置換基(好ましい例はR1〜R4と同じ)を表し、好ましくは水素原子またはアルキル基であり、より好ましくは水素原子である。
6は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、またはヘテロ環基(これらの置換基の好ましい例はR1〜R4と同じ)を表し、好ましくはアルキル基(好ましくはC数1〜6のアルキル基)である。
1は5または6員環を形成する原子群を表す。
形成されるヘテロ環として好ましくは、インドレニン環、アザインドレニン環、ピラゾリン環、ベンゾチアゾール環、チアゾール環、チアゾリン環、ベンゾオキサゾール環、オキサゾール環、オキサゾリン環、ベンゾイミダゾール環、イミダゾール環、チアジアゾール環、キノリン環、ピリジン環であり、より好ましくはインドレニン環、アザインドレニン環、ピラゾリン環、ベンゾチアゾール環、チアゾール環、チアゾリン環、ベンゾオキサゾール環、オキサゾール環、オキサゾリン環、ベンゾイミダゾール環、チアジアゾール環、キノリン環であり、最も好ましくは、インドレニン環、アザインドレニン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイミダゾール環である。
1により形成されるヘテロ環は置換基を有しても良く(好ましい置換基の例はZa1、Za2上の置換基の例と同じ)、置換基としてより好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、アルコキシ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基である。
1およびX2として好ましくはアリール基または一般式(2)で表される基で表され、より好ましくは4位にジアルキルアミノ基またはジアリールアミノ基が置換したアリール基または一般式(2)で表される基で表される。
本発明の2光子吸収化合物は水素結合性基を分子内に有することも好ましい。 ここで水素結合性基とは、水素結合における水素を供与する基または水素を受容する基を表し、そのどちらの性質も有している基がより好ましい。
また本発明の水素結合性基を有する化合物は溶液または固体状態にて水素結合性基同士の相互作用により会合的相互作用することが好ましく、分子内相互作用でも分子間相互作用でも良いが、分子間相互作用である方がより好ましい。
本発明の水素結合性基としては、好ましくは、−COOH、−CONHR11、−SO3H、−SO2NHR12、−P(O)(OH)OR13、−OH、−SH、−NHR14、−NHCOR15、−NR16C(O)NHR17のいずれかで表される。ここで、R11、R12はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基(好ましくは炭素原子数(以下C数という)1〜20、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ペンチル、ベンジル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、カルボキシメチル、5−カルボキシペンチル)、アルケニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、ビニル、アリル)、アリール基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニル、2−クロロフェニル、4−メトキシフェニル、3−メチルフェニル、1−ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくはC数1〜20、例えば、ピリジル、チエニル、フリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ)、−COR18または−SO219を表し、R13〜R19はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはヘテロ環基を表す(以上好ましい例はR11、R12と同じ)。
11として好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、−COR18基−SO219基を表し。その際R18、R19としてはアルキル基またはアリール基が好ましい。
11としてより好ましくは水素原子、アルキル基、−SO219基を表し、最も好ましくは水素原子を表す。
12として好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、−COR18基−SO219基を表し。その際R18、R19としてはアルキル基またはアリール基が好ましい。
12としてより好ましくは水素原子、アルキル基、−COR18基を表し、最も好ましくは水素原子を表す。
13として好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基を表し、より好ましくは水素原子を表す。
14として好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基を表す。
15として好ましくはアルキル基、アリール基を表す。
16として好ましくは水素原子を表し、R17として好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基を表す。
水素結合性基としてより好ましくは、−COOH、−CONHR11、−SO2NHR12、−NHCOR15、−NR16C(O)NHR17のいずれかであり、さらに好ましくは−COOH、−CONHR11、−SO2NHR12のいずれかであり、最も好ましく−COOH、−CONH2のいずれかである。
本発明の2光子吸収化合物はモノマー状態で用いても良いが、会合状態で用いても良い。
ここで、色素発色団同士が特定の空間配置に、共有結合又は配位結合、あるいは種々の分子間力(水素結合、ファン・デル・ワールス力、クーロン力等)などの結合力によって固定されている状態を、一般的に会合(又は凝集)状態と称している。
本発明の2光子吸収化合物は、分子間会合状態で用いても、2光子吸収を行うクロモフォアを分子内に2個以上有し、それらが分子内会合状態にて2光子吸収を行う状態で用いても良い。
参考のため、以下に会合体の説明を行う。会合体については、例えばジェイムス(James)編「ザ・セオリー・オブ・ザ・フォトグラフィック・プロセス」(The Theory of the Photographic Process)第4版、マクミラン出版社、1977年、第8章、第218〜222頁、及び小林孝嘉著「J会合体(J-Aggregates)」ワールド・サイエンティフィック・パブリッシング社(World Scientific Publishing Co. Pte. Ltd.)、1996年刊)などに詳細な説明がなされている。
モノマーとは単量体を意味する。会合体の吸収波長の観点では、モノマー吸収に対して、吸収が短波長にシフトする会合体をH会合体(2量体は特別にダイマーと呼ぶ)、長波長にシフトする会合体をJ会合体と呼ぶ。
会合体の構造の観点では、レンガ積み会合体において、会合体のずれ角が小さい場合はJ会合体と呼ばれるが、ずれ角が大きい場合はH会合体と呼ばれる。レンガ積み会合体については、ケミカル・フィジックス・レター(Chemical Physics Letters)、第6巻、第183頁(1970年)に詳細な説明がある。また、レンガ積み会合体と同様な構造を持つ会合体として梯子または階段構造の会合体がある。梯子または階段構造の会合体については、Zeitschrift fur Physikalische Chemie、第49巻、第324頁、(1941年)に詳細な説明がある。
また、レンガ積み会合体以外を形成するものとして、矢はず(Herringbone)構造をとる会合体(矢はず会合体と呼ぶことができる)などが知られている。
矢はず(Herringbone)会合体については、チャールズ・ライヒ(Charles Reich)著、フォトグラフィック・サイエンス・アンド・エンジニアリング(Photographic Science and Engineering)第18巻、第3号、第335頁(1974年)に記載されている。矢はず会合体は、会合体に由来する2つの吸収極大を持つ。
会合状態を取っているかどうかは、前記の通りモノマー状態からの吸収(吸収λmax、ε、吸収形)の変化により確認することができる。
本発明の化合物は会合により短波長化(H会合)しても長波長化(J会合)してもその両方でもいずれでも良いが、J会合体を形成することがより好ましい。
化合物の分子間会合状態は様々な方法に形成することができる。
例えば溶液系では、ゼラチンのようなマトリックスを添加した水溶液(例えばゼラチン0.5wt%・化合物10-4M水溶液)、KClのような塩を添加した水溶液(例えばKCl5%・化合物2×10-3M水溶液)に化合物を溶かす方法、良溶媒に化合物を溶かしておいて後から貧溶媒を加える方法(例えばDMF−水系、クロロホルム−トルエン系等)等が挙げられる。
また膜系では、ポリマー分散系、アモルファス系、結晶系、LB膜系等の方法が挙げられる。
さらに、バルクまたは微粒子(μm〜nmサイズ)半導体(例えばハロゲン化銀、酸化チタン等)、バルクまたは微粒子金属(例えば金、銀、白金等)に吸着、化学結合、または自己組織化させることにより分子間会合状態を形成させることもできる。カラー銀塩写真における、ハロゲン化銀結晶上のシアニン色素J会合吸着による分光増感はこの技術を利用したものである。
分子間会合に関与する化合物数は2個であっても、非常に多くの化合物数であっても良い。
以下に、本発明で用いられる2光子吸収化合物の好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
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次に、本発明の2光子吸収光記録材料において、反射率または透過率の違いが屈折率差、吸収率差いずれかによる場合の、好ましい記録成分について詳しく説明する。
本発明の記録成分は、2光子吸収化合物が2光子吸収することにより生成した励起状態とエネルギー移動または電子移動することにより化学反応し、屈折率差または吸収率差による記録を行うことができる成分を含むことが好ましい。
その際、化学反応が起こる所(記録部またはレーザー焦点部)と起こらない所(非記録部またはレーザー非焦点部)にて屈折率または吸収率が異なることが重要である。
先述したように色素の屈折率は一般に、吸収極大波長(λmax)付近からそれより長波長な領域で高い値を取り、特にλmaxからλmaxより200nm程長波長な領域において非常に高い値を取り、色素によっては2を超え、さらには2.5を超えるような高い値をとる。
一方で、バインダーポリマー等の色素ではない有機化合物は通常1.4〜1.6程度の屈折率である。
したがって、本発明の記録成分は、2光子吸収化合物励起状態から直接電子移動またはエネルギー移動することにより、あるいは2光子吸収化合物励起状態から酸発生剤または塩基発生剤に電子移動またはエネルギー移動することにより発生した酸または塩基により、元の状態から吸収が変化した発色体となることができる色素前駆体を含むことが好ましい。
本発明の2光子吸収光記録材料における記録成分として好ましくは、以下の組み合わせが挙げられる。
A)少なくとも色素前駆体としての酸発色型色素前駆体と、さらに酸発生剤を含む組み合わせ。必要によりさらに酸増殖剤を含む組み合わせ。
B)少なくとも色素前駆体としての塩基発色型色素前駆体と、さらに塩基発生剤含む組み合わせ、必要によりさらに塩基増殖剤を含む組み合わせ。
C)2光子吸収化合物励起状態との電子移動またはエネルギー移動により共有結合を切断する機能を有する有機化合物部位と、共有結合している際と放出された際に発色体となる特徴を有する有機化合物部位が共有結合している化合物を含む場合。必要によりさらに塩基を含む組み合わせ。
D)2光子吸収化合物励起状態との電子移動により反応し、吸収形を変化させることができる化合物を含む場合。
いずれの場合も2光子吸収化合物励起状態からのエネルギー移動機構による場合は、2光子吸収化合物1重項励起状態からエネルギー移動が起こるフェルスター型機構でも、3重項励起状態からエネルギー移動が起こるデクスター型機構でもどちらでも良い。
その際、エネルギー移動が効率良く起こるためには、2光子吸収化合物の励起エネルギーが、色素前駆体の励起エネルギーよりも大きいことが好ましい。
一方、2光子吸収化合物励起状態からの電子移動機構の場合は、2光子吸収化合物1重項励起状態から電子移動が起こる機構でも、3重項励起状態から電子移動が起こる機構でもどちらでも良い。
また、2光子吸収化合物励起状態が色素前駆体、酸発生剤または塩基発生剤に電子を与えても、電子を受け取っても良い。2光子吸収化合物励起状態から電子を与える場合、電子移動が効率良く起こるためには、2光子吸収化合物の励起状態における励起電子の存在する軌道(LUMO)エネルギーが、色素前駆体、酸発生剤または塩基発生剤のLUMO軌道のエネルギーよりも高いことが好ましい。
2光子吸収化合物励起状態が電子を受け取る場合、電子移動が効率良く起こるためには、2光子吸収化合物の励起状態におけるホールの存在する軌道(HOMO)エネルギーが、色素前駆体、酸発生剤または塩基発生剤のHOMO軌道のエネルギーよりも低いことが好ましい。
以下に本発明の2光子吸収光記録材料及びその組成物における記録成分の好ましい組み合わせについて詳しく説明していく。
まず、本発明の2光子吸収光記録材料及びその組成物における記録成分が少なくとも色素前駆体としての酸発色型色素前駆体と、さらに酸発生剤を含む場合について説明する。
その際、酸発生剤とは、2光子吸収化合物励起状態からのエネルギー移動または電子移動により酸を発生することができる化合物である。酸発生剤は暗所では安定であることが好ましい。本発明における酸発生剤は2光子吸収化合物励起状態からの電子移動により酸を発生することができる化合物であることが好ましい。
本発明の酸発生剤として好ましくは、以下の6個の系が挙げられる。
なお、これらの酸発生剤は、必要に応じて任意の比率で2種以上の混合物として用いてもよい。
1)トリハロメチル置換トリアジン系酸発生剤
2)ジアゾニウム塩系酸発生剤
3)ジアリールヨードニウム塩系酸発生剤
4)スルホニウム塩系酸発生剤
5)金属アレーン錯体系酸発生剤
6)スルホン酸エステル系酸発生剤
以下に好ましい上記の系について具体的に説明していく。
1)トリハロメチル置換トリアジン系酸発生剤
トリハロメチル置換トリアジン系酸発生剤は好ましくは以下の一般式(11)にて表される。
Figure 2005071570
一般式(11)中、R21、R22、R23はそれぞれ独立にハロゲン原子を表し、好ましくは塩素原子を表す。R24、R25はそれぞれ独立に水素原子、−CR21R22 R23、またはその他の置換基を表す。
置換基として好ましい例は例えば、アルキル基(好ましくはC数1〜20、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ペンチル、ベンジル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、カルボキシメチル、5−カルボキシペンチル)、アルケニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、1,3−ブタジエニル)、シクロアルキル基(好ましくはC数3〜20、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル)、アリール基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニル、2−クロロフェニル、4−メトキシフェニル、3−メチルフェニル、1−ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくはC数1〜20、例えば、ピリジル、チエニル、フリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ)、アルキニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、エチニル、2−プロピニル、1,3−ブタジイニル、2−フェニルエチニル)、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br、I)、アミノ基(好ましくはC数0〜20、例えば、アミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジブチルアミノ、アニリノ)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホン酸基、アシル基(好ましくはC数1〜20、例えば、アセチル、ベンゾイル、サリチロイル、ピバロイル)、アルコキシ基(好ましくはC数1〜20、例えば、メトキシ、ブトキシ、シクロヘキシルオキシ)、アリールオキシ基(好ましくはC数6〜26、例えば、フェノキシ、1−ナフトキシ)、アルキルチオ基(好ましくはC数1〜20、例えば、メチルチオ、エチルチオ)、アリールチオ基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニルチオ、4−クロロフェニルチオ)、アルキルスルホニル基(好ましくはC数1〜20、例えば、メタンスルホニル、ブタンスルホニル)、アリールスルホニル基(好ましくはC数6〜20、例えば、ベンゼンスルホニル、パラトルエンンスルホニル)、スルファモイル基(好ましくはC数0〜20、例えばスルファモイル、N−メチルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、カルバモイル基(好ましくはC数1〜20、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N、N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル)、アシルアミノ基(好ましくはC数1〜20、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ)、イミノ基(好ましくはC数2〜20、例えばフタルイミノ)、アシルオキシ基(好ましくはC数1〜20、例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、アルコキシカルボニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、メトキシカルボニル、フェノキシカルボニル)、またはカルバモイルアミノ基(好ましくはC数1〜20、例えばカルバモイルアミノ、N−メチルカルバモイルアミノ、N−フェニルカルバモイルアミノ)、であり、より好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、アルコキシ基、スルファモイル基、カルバモイル基、またはアルコキシカルボニル基である。
R24は好ましくは−CR21R22R23を、より好ましくは−CCl3基を表し、R25は好ましくは、 −CR21R22R23、アルキル基、アルケニル基、またはアリール基である。
トリハロメチル置換トリアジン系酸発生剤の具体例としては、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4’−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4’−トリフルオロメチルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(p−メトキシフェニルビニル)−1,3,5−トリアジン、2−(4'−メトキシ−1'−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンなどが例示される。好ましい例として、英国特許1388492号および特開昭53−133428号公報記載の化合物も挙げられる。
2)ジアゾニウム塩系酸発生剤
ジアゾニウム塩系酸発生剤は好ましくは以下の一般式(12)にて表される。
Figure 2005071570
R26はアリール基またはヘテロ環基を表し、好ましくはアリール基であり、より好ましくはフェニル基である。
R27は置換基を表し(以上置換基として好ましくはR24にて挙げた置換基の例に同じ)、a21は0〜5の整数を表し、好ましくは0〜2の整数を表す。a21が2以上の時、複数のR27は同じでも異なっても良く、互いに連結して環を形成しても良い。
X21 -は、HX21がpKa4以下(水中、25℃)、好ましくは3以下、より好ましくは2以下の酸となる陰イオンで、好ましくは例えば、クロリド、ブロミド、ヨージド、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、パークロレート、トリフルオロメタンスルホネート、9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホネート、メタンスルホネート、ベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、トシレート、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどである。
ジアゾニウム系酸発生剤の具体例としては例えば、ベンゼンジアゾニウム、4−メトキシジアゾニウム、4−メチルジアゾニウムの上記X21 -塩などが挙げられる。
3)ジアリールヨードニウム塩系酸発生剤
ジアリールヨードニウム塩系酸発生剤は好ましくは以下の一般式(13)にて表される。
Figure 2005071570
一般式(13)中、X21 -は一般式(12)と同義である。R28、R29はそれぞれ独立に置換基を表し(以上置換基として好ましくはR24にて挙げた置換基の例に同じ)、好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基を表す。
a22、a23はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、好ましくは0〜1の整数を表す。a22、a23が2以上の時、複数のR28、R29は同じでも異なっても良く、互いに連結して環を形成しても良い。
ジアリールヨードニウム塩系酸発生剤の具体例としては、ジフェニルヨードニウム、4,4'−ジクロロジフェニルヨードニウム、4,4'−ジメトキシジフェニルヨードニウム、4,4'−ジメチルジフェニルヨードニウム、4,4'−t-ブチルジフェニルヨードニウム、3,3'−ジニトロジフェニルヨードニウム、フェニル(p−メトキシフェニル)ヨードニウム、フェニル(p−オクチルオキシフェニル)ヨードニウム、ビス(p−シアノフェニル)ヨードニウムなどのクロリド、ブロミド、ヨージド、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、パークロレート、トリフルオロメタンスルホネート、9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホネート、メタンスルホネート、ベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、トシレート、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、パーフルオロブタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネートなどが挙げられる。
また、「マクロモレキュールス(Macromolecules)」、第10巻、p1307(1977年)に記載の化合物、特開昭58−29803号公報、特開平1−287105号公報、特願平3−5569号に記載されているようなジアリールヨードニウム塩類も挙げられる。
4)スルホニウム塩系酸発生剤
スルホニウム塩系酸発生剤は好ましくは以下の一般式(14)にて表される。
Figure 2005071570
一般式(14)中、X21 -は一般式(12)と同義である。R30、R31、R32 はそれぞれ独立にアルキル基、アリール基、ヘテロ環基(以上好ましい例はR24に同じ)を表し、好ましくは、アルキル基、フェナシル基、アリール基を表す。
スルホニウム塩系酸発生剤の具体例としては、トリフェニルスルホニウム、ジフェニルフェナシルスルホニウム、ジメチルフェナシルスルホニウム、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム、4−ターシャリーブチルトリフェニルスルホニウム、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウム、4−フェニルチオトリフェニルスルホニウム、ビス−1−(4−(ジフェニルスルホニウム)フェニル)スルフィドなどのスルホニウム塩のクロリド、ブロミド、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、パークロレート、トリフルオロメタンスルホネート、9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホネート、メタンスルホネート、ベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、トシレート、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、パーフルオロブタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネートなどが例示される。
5)金属アレーン錯体系酸発生剤
金属アレーン錯体系酸発生剤としては、金属は鉄またはチタンが好ましい。
具体的には、特開平1−54440号、ヨーロッパ特許第109851号、ヨーロッパ特許第126712号および「ジャーナル・オブ・イメージング・サイエンス(J.Imag.Sci.)」、第30巻、第174頁(1986年)記載の鉄アレーン錯体、「オルガノメタリックス(Organometallics)」、第8巻、第2737頁(1989年)記載の鉄アレーン有機ホウ素錯体、「Prog.Polym.Sci、第21巻、7〜8頁(1996年)記載の鉄アレーン錯体塩、特開昭61−151197号公報に記載されるチタセノン類、などが好ましい例として挙げられる。
6)スルホン酸エステル系酸発生剤
スルホン酸エステル系酸発生剤としては、好ましくはスルホン酸エステル類、スルホン酸ニトロベンジルエステル類、イミドスルホネート類、等を挙げることができる。
スルホン酸エステル類の具体例としては好ましくは、ベンゾイントシレート、ピロガロールトリメシレート、スルホン酸ニトロベンジルエステル類の具体例としては好ましくは、o−ニトロベンジルトシレート、2,6−ジニトロベンジルトシレート、2',6'−ジニトロベンジル−4−ニトロベンゼンスルホネート、p−ニトロベンジル−9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルホネート、2−ニトロベンジルトリフルオロメチルスルホネート、イミドスルホネート類の具体例として好ましくはN−トシルフタル酸イミド、9−フルオレニリデンアミノトシレート、α−シアノベンジリデントシルアミン、等が挙げられる。
他に、酸発生剤としては、例えば「UV硬化;科学と技術(UV CURING;SCIENCE AND TECHNOLOGY)」[p.23〜76、S.ピーター・パーパス(S.PETER PAPPAS)編集、ア・テクノロジー・マーケッティング・パブリケーション(A TECHNOLOGY MARKETING PUBLICATION)]及び「コメンツ・インオーグ.ケム.(Comments Inorg.Chem.)」[B.クリンゲルト、M.リーディーカー及びA.ロロフ(B.KLINGERT、M.RIEDIKER and A.ROLOFF)、第7巻、No.3、p109−138(1988)]などに記載されているものを用いることもできる。
また、上記以外の酸発生剤として、S.Hayaseetal,J.PolymerSci.,25,753(1987)、E.Reichmanisetal,J.PolymerSci.,PolymerChem.Ed.,23,1(1985)、D.H.R.Bartonetal,J.Chem.Soc.3571(1965)、P.M.Collinsetal,J.Chem.Soc.,PerkinI,1695(1975)、M.Rudinsteinetal,TetrahedronLett.,(17),1445(1975)、J.W.Walkeretal,J.Am.Chem.Soc.,110,7170(1988)、S.C.Busmanetal,J.ImagingTechnol.,11(4),191(1985)、H.M.Houlihanetal,Macromolecules,21,2001(1988)、P.M.Collinsetal,J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,532(1972)、S.Hayaseetal,Macromolecules,18,1799(1985)、E.Reichmanisetal,J.Electrochem.Soc.,SolidStateSci.Technol.,130(6)、F.M.Houlihanetal,Macro‐molecules,21,2001(1988)、欧州特許第0290,750号、同046,083号、同156,535号、同271,851号、同0,388,343号、米国特許第3,901,710号、同4,181,531号、特開昭60−198538号、特開昭53−133022号などに開示されているo−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、特開平4−338757号に開示されているハロゲン化スルホラン誘導体(具体的には、3,4−ジブロモスルホラン、3,4−ジクロロスルホランなど)、メチレングリコールビス(2,3−ジブロモプロピル)エーテルなどのハロゲン含有アルキレングリコールエーテル化合物類、1,1,3,3−テトラブロモアセトン、ヘキサクロロアセトンなどのハロゲン含有ケトン類、2,3−ジブロモプロパノールなどのハロゲン含有アルコール類なども挙げることができる。
さらに、本発明の酸発生剤として酸を発生する基を主鎖もしくは側鎖に導入したポリマーを用いることもできる。本発明の酸発生剤が酸を発生する基を主鎖もしくは側鎖に導入したポリマーである場合には、該ポリマーがバインダーの役割を兼ねて行ってもよい。
本発明の酸を発生する基、あるいは化合物をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した化合物として具体的には、M.E.Woodhouseetal,J.Am.Chem.Soc.,104,5586(1982)、S.P.Pappasetal,J.ImagingSci.,30(5),218(1986)、S.Kondoetal.Makromol.Chem.,RapidCommun.,9,625(1988)、J.V.Crivelloetal.J.PolymerSci.,PolymerChem.Ed.,17,3845(1979)、米国特許第3,849,137号、独国特許第3,914,407、特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146037、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号、特開2000‐143796号に開示されている化合物を用いることができる。
本発明の酸発生剤としては、より好ましくは、
3)ジアリールヨードニウム塩系酸発生剤
4)スルホニウム塩系酸発生剤
6)スルホン酸エステル系酸発生剤
が挙げられる。
なお、前述の酸発生剤はすべてカチオン重合開始剤を兼ねることができる。
また、
1)トリハロメチル置換トリアジン系酸発生剤
2)ジアゾニウム塩系酸発生剤
3)ジアリールヨードニウム塩系酸発生剤
4)スルホニウム塩系酸発生剤
5)金属アレーン錯体系酸発生剤
は、カチオン重合開始剤とラジカル重合開始剤を兼ねることができる。
したがって、本発明の2光子吸収光記録材料及びその組成物に、重合性モノマーや重合性バインダー、反応性バインダーや架橋剤を併用して、記録を行いながら、重合、架橋等による膜の硬化等を行うこともできる。
次に、本発明の2光子吸収光記録材料及びその組成物における記録成分が少なくとも色素前駆体としての酸発色型色素前駆体と、さらに酸発生剤を含む場合における酸発色型色素前駆体について説明する。
本発明における酸発色前駆体は、酸発生剤により発生した酸により、元の状態から吸収が変化した発色体となることができる色素前駆体である。本発明の酸発色前駆体としては、酸により吸収が長波長化する化合物が好ましく、酸により無色から発色する化合物がより好ましい。
酸発色型色素前駆体として好ましくは、トリフェニルメタン系、フタリド系(インドリルフタリド系、アザフタリド系、トリフェニルメタンフタリド系を含む)、フェノチアジン系、フェノキサジン系、フルオラン系、チオフルオラン系、キサンテン系、ジフェニルメタン系、クロメノピラゾール系、ロイコオーラミン、メチン系、アゾメチン系、ローダミンラクタム系、キナゾリン系、ジアザキサンテン系、フルオレン系、スピロピラン系の化合物が挙げられる。これらの化合物の具体例は、例えば特開2002−156454号およびその引用特許、特開2000‐281920号、特開平11‐279328号、特開平8‐240908号等に開示されている。
酸発色型色素前駆体としてより好ましくは、ラクトン、ラクタム、オキサジン、スピロピラン等の部分構造を有するロイコ色素であり、フルオラン系、チオフルオラン系、フタリド系、ローダミンラクタム系、スピロピラン系の化合物が挙げられる。
本発明の記録成分にて、酸発色型色素前駆体から生成する色素はキサンテン(フルオラン)色素またはトリフェニルメタン色素であることが好ましい。
なお、これらの酸発色型色素前駆体は、必要に応じて任意の比率で2種以上の混合物として用いてもよい。
以下に、本発明の記録成分として好ましい酸発色型色素前駆体の具体例を挙げるが、本発明は以下の具体例のみに限定されるものではない。
フタリド系色素前駆体として好ましくは下記の一般式(21)にて示される。
Figure 2005071570
一般式(21)中、X41はCHまたはNを表し、R33、R34はそれぞれ独立に炭素数(以下C数という)1〜20のアルキル基、C数6〜24のアリール基、C数1〜24のヘテロ環基または下記の一般式(22)で表される基を表し、R35はそれぞれ独立に置換基を表す(置換基として好ましくはR24にて挙げた置換基の例に同じ)。R35としてより好ましくは塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、C数1〜20のアルキル基、C数1〜20のアルコキシ基、アミノ基、C数1〜20のアルキル基を有するアルキルアミノ基、それぞれ独立してC数1〜20のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、C数6〜24のアリール基を有するアリールアミノ基、それぞれ独立にC数6〜24のアリール基を有するジアリールアミノ基、ヒドロキシル基、C数1〜20のアルコキシ基、ヘテロ環基を表し、k41は0〜4の整数を表し、k41が2以上の整数のとき、複数個のR35はそれぞれ独立して上記の基を表す。これらの基はさらに置換基を有してもよく、好ましい置換基としてR24にて挙げた基を挙げることができる。
Figure 2005071570
一般式(22)中、R36はC数1〜3のアルキレン基を表し、k42は0〜1の整数を表し、R37は置換基を表す(置換基として好ましくはR24にて挙げた置換基の例に同じ)。R37としてより好ましくは、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、C数1〜20のアルキル基、C数1〜20のアルコキシ基、アミノ基、C 数1〜20のアルキル基を有するアルキルアミノ基、それぞれ独立してC数1〜20のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、C数6〜24のアリール基を有するアリールアミノ基、それぞれ独立にC数6〜24のアリール基を有するジアリールアミノ基、ヒドロキシル基、C数1〜20のアルコキシ基、ヘテロ環基を表し、k43は0〜5の整数を表し、k43が2以上の整数のとき、複数個のR37はそれぞれ独立して上記の基を表す。これらの基はさらに置換基を有してもよく、好ましい置換基としてR24にて挙げた基を挙げることができる。
一般式(21)中、R33、R34で表されるヘテロ環基としてさらに好ましくは、下記の一般式(23)で表されるインドリル基である。
Figure 2005071570
一般式(23)中、R38は置換基を表し(置換基として好ましくはR24にて挙げた置換基の例に同じ)、R38としてより好ましくは、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、C数1〜20のアルキル基、C数1〜20のアルコキシ基、アミノ基、C数1〜20のアルキル基を有するアルキルアミノ基、それぞれ独立してC数1〜20のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、C数6〜24のアリール基を有するアリールアミノ基、それぞれ独立にC数6〜24のアリール基を有するジアリールアミノ基、ヒドロキシル基、C数1〜20のアルコキシ基、ヘテロ環基を表し、k44は0〜4の整数を表し、k44が2以上の整数のとき、複数個のR38はそれぞれ独立して上記の基を表す。R39は水素原子またはC数1〜20のアルキル基を表し、R40はC数1〜20のアルキル基、C数1〜20のアルコキシ基を表す。これらの基はさらに置換基を有してもよく、好ましい置換基としてR24にて挙げた基を挙げることができる。
フタリド系色素前駆体(インドリルフタリド系色素前駆体、アザフタリド系色素前駆体を含む)の具体例としては、3,3−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−6−ジエチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1、3−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−6−ヒドロキシフタリド、3,3−ビス(4−ヘキシルオキシフェニル)フタリド、3,3−ビス(4−ヘキシルオキシフェニル)−6−メトキシフタリド、等が挙げられる。
一般式(21)で示されるフタリド系色素前駆体としてさらに好ましくは、下記の一般式(24)にて示されるトリフェニルメタンフタリド系色素前駆体である。
Figure 2005071570
一般式(24)中、R41、R42、R43はそれぞれ独立に置換基を表し(置換基として好ましくはR24にて挙げた置換基の例に同じ)、R41、R42、R43の置換基として好ましくは、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、C数1〜20のアルキル基、C数1〜20のアルコキシ基、アミノ基、C数1〜20のアルキル基を有するアルキルアミノ基、それぞれ独立してC数1〜20のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、C数6〜24のアリール基を有するアリールアミノ基、それぞれ独立にC数6〜24のアリール基を有するジアリールアミノ基、ヒドロキシル基、C数1〜20のアルコキシ基、ヘテロ環基を表し、k45、k46、k47はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、k45、k46、k47のそれぞれが2以上の整数のとき、複数個のk45、k46、k47はそれぞれ独立して上記の基を表す。これらの基はさらに置換基を有してもよく、好ましい置換基としてR24にて挙げた基を挙げることができる。
トリフェニルメタンフタリド系色素前駆体の具体例としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(すなわちクリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3,3−ビス(p−ジヘキシルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジオクチルアミノフェニル)フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジエチルアミノフタリド、4−ヒドロキシ‐4’−ジメチルアミノトリフェニルメタンラクトン、4,4’−ビスジヒドロキシ‐3,3’−ビスジアミノトリフェニルメタンラクトン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−ヒドロキシフタリド、3,3−ビス(4−ヘキシルオキシフェニル)フタリド、3,3−ビス(4−ヘキシルオキシフェニル)−6−メトキシフタリド、等が挙げられる。
フルオラン系色素前駆体として好ましくは下記の一般式(25)にて示される。
Figure 2005071570
一般式(25)中、R44、R45、R46はそれぞれ独立に置換基を表し(置換基として好ましくはR24にて挙げた置換基の例に同じ)、R44、R45、R46の置換基として好ましくは、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、C数1〜20のアルキル基、C数1〜20のアルコキシ基、アミノ基、C数1〜20のアルキル基を有するアルキルアミノ基、それぞれ独立してC数1〜20のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、C数6〜24のアリール基を有するアリールアミノ基、それぞれ独立にC数6〜14のアリール基を有するジアリールアミノ基、ヒドロキシル基、ヘテロ環基を表し、k48、k49、k50はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、k48、k49、k50のそれぞれが2以上の整数のとき、複数個のR44、R45、R46はそれぞれ独立して上記の基を表す。これらの基はさらに置換基を有してもよく、好ましい置換基としてR24にて挙げた基を挙げることができる。
フルオラン系色素前駆体の具体例としては、3−ジエチルアミノ−6−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチル−6−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ)−7−メチル−6−アニリノフルオラン、3−ジペンチルアミノ−7−メチル−6−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)−7−メチル−6−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチル−6−キシリジノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6,7−ベンゾフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メトキシ−6、7−ベンゾフルオラン、1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−ブロモ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン、2−N,N−ジベンジルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、3−ジメチルアミノ−6−メトシキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチル−6−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メトキシフルオラン、3,6−ビスジエチルアミノフルオラン、3,6―ジヘキシルオキシフルオラン、3,6−ジクロロフルオラン、3,6−ジアセチルオキシフルオラン等が挙げられる。
ローダミンラクタム系色素前駆体の具体例としては、ローダミン−B−アニリノラクタム、ローダミン(p−ニトロアニリノ)ラクタム、ローダミン−B−(p−クロロアニリノ)ラクタム、ローダミン−B−(o−クロロアニリノ)ラクタム等が挙げられる。
スピロピラン系色素前駆体の具体例としては、3−メチル−スピロジナフトピラン、3−エチル−スピロジナフトピラン、3,3’−ジクロロ−スピロジナフトピラン、3−ベンジル−スピロジナフトピラン、3−プロピル−スピロジベンゾピラン、3−フェニル−8’−メトキシベンゾインドリノスピロピラン、8’−メトキシベンゾインドリノスピロピラン、4,7,8’−トリメトキシベンゾインドリノスピロピラン等が挙げられる。
さらには、特開2000-281920号公報に開示されているスピロピラン系色素前駆体も具体例として挙げることができる。
また、本発明の酸発色型色素前駆体としては、特開2000−284475公報に開示されている一般式(6)で示されるBLD化合物や特開2000−144004に開示されているロイコ色素、および下記に示した構造のロイコ色素も好適に用いることができる。
Figure 2005071570
さらに本発明の色素前駆体は、酸(プロトン)付加により発色する一般式(26)にて表される化合物であることも好ましい。
Figure 2005071570
上記式中、Za1、Za2、Ra2、Ma1〜Ma7、na1、na2、及びka1はそれぞれ一般式(3)におけると同義であり、好ましい例も一般式(3)におけると同様である。
本発明の一般式(26)にて表される化合物の好ましい例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005071570
本発明の記録成分が、少なくとも色素前駆体としての酸発色型色素前駆体と、酸発生剤を含む時、さらに酸増殖剤を含んでも良い。
本発明の酸増殖剤は、酸が存在しない場合は安定であるのに対し、酸が存在すると分解して酸を放出し、その酸でまた別の酸増殖剤を分解させてまた酸を放出する、というように酸発生剤により発生した小量の酸をトリガーとして酸を増殖する化合物である。
その際、酸増殖剤としては、前記一般式(34−1)〜(34−6)で表されることが好ましい。
一般式(34−1)〜(34−6)中、R101はR101OHがpKa5以下の酸となる基を表し、好ましくはpKa3以下の酸となる基を表す。
101はR101OHがスルホン酸、カルボン酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸のいずれかである基であることが好ましく、スルホン酸、電子求引性基置換カルボン酸のいずれかであることがより好ましく、その際電子求引性基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロ環基が好ましい。R101はR101OHがスルホン酸である基であることが最も好ましい。
以下にR101の好ましい具体例を挙げるが本発明はこれに限定されるわけではない。
Figure 2005071570
一般式(34−1)中、R102は2−アルキル−2−プロピル基、2−アリール−2−プロピル基、シクロヘキシル基、テトラヒドロピラニル基、ビス(p−アルコキシフェニル)メチル基のいずれかを表し、好ましくは2−アルキル−2−プロピル基、2−アリール−2−プロピル基のいずれかを表し、より好ましくは2−アルキル−2−プロピル基を表し、最も好ましくはt−ブチル基を表す。
一般式(34−1)中、R103、R104はそれぞれ独立に置換基を表し(以上置換基として好ましくはR24にて挙げた置換基の例に同じ)、より好ましくはそれぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し、さらに好ましくはアルキル基またはアリール基を表し、最も好ましくはアルキル基を表す。
一般式(34−1)〜(34−6)中、R105、R106、R107、R110、R113、R116はそれぞれ独立に水素原子または置換基(置換基として好ましくはR24にて挙げた置換基の例に同じ)を表し、より好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し、さらに好ましくは水素原子、アルキル基、またはアリール基を表す。
105、R106、R116は共に水素原子であることがより好ましい。R107、R110、R113はアルキル基であることがより好ましい。
一般式(34−2)中、R108、R109はそれぞれ独立にアルキル基を表し、好ましくはメチル基、またはエチル基であり、また互いに連結して環を形成しても良く、形成する環としてはジオキサール環及びジオキサン環が好ましい。
一般式(34−3)中、R111、R112は互いに連結して環を形成するアルキル基を表す。形成する環としては飽和シクロアルカン環が好ましい。
一般式(34−4)中、R114は水素原子またはニトロ基を表し、ニトロ基であることが好ましい。R115は置換基を表し、n101は0〜3の整数を表し、好ましくはn101は0または1であり、より好ましくは0である。
一般式(34−6)中、R117は置換基を表し(以上置換基として好ましくはR24にて挙げた置換基の例に同じ)、より好ましくはそれぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し、さらに好ましくはアルキル基またはアリール基を表し、最も好ましくはアルキル基を表す。
本発明の酸増殖剤は一般式(34−1)、(34−3)または(34−4)のいずれかで表されることがより好ましく、一般式(34−1)で表されることが最も好ましい。
以下に本発明の酸増殖剤の具体例を示すが本発明はこれに限定されるわけではない。
Figure 2005071570
Figure 2005071570
Figure 2005071570
酸増殖時には加熱することが好ましいため、露光後、加熱処理することが好ましい。
次に、本発明の2光子吸収光記録材料における記録成分が少なくとも色素前駆体としての塩基発色型色素前駆体と、さらに塩基発生剤を含む場合について説明する。
その際、塩基発生剤とは、2光子吸収化合物励起状態からのエネルギー移動または電子移動により塩基を発生することができる化合物である。塩基発生剤は暗所では安定であることが好ましい。本発明における塩基発生剤は2光子吸収化合物励起状態からの電子移動により塩基を発生することができる化合物であることが好ましい。
本発明の塩基発生剤は、光によりブレンステッド塩基を発生することが好ましく、有機塩基を発生することがさらに好ましく、有機塩基としてアミン類を発生することが特に好ましい。
本発明の塩基発生剤として好ましくは、一般式(31−1)〜(31−4)で表される。なお、これらの塩基発生剤は、必要に応じて任意の比率で2種以上の混合物として用いてもよい。
一般式(31−1)または(31−2)にて、R201、R202はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基(好ましくは炭素原子数(以下C数という)1〜20、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−オクタデシル、ベンジル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、カルボキシメチル、5−カルボキシペンチル)、アルケニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、1,3−ブタジエニル)、シクロアルキル基(好ましくはC数3〜20、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル)、アリール基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニル、2−クロロフェニル、4−メトキシフェニル、3−メチルフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくはC数1〜20、例えば、ピリジル、チエニル、フリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ)のいずれかを表し、より好ましくは水素原子、アルキル基、またはシクロアルキル基を表し、さらに好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基、またはシクロペンチル基を表す。
201、R202は互いに連結して環を形成しても良く、形成するヘテロ環として好ましくは、ピペリジン環、ピロリジン環、ピペラジン環、モロホリン環、ピリジン環、キノリン環、またはイミダゾール環であり、より好ましくは、ピペリジン環、ピロリジン環、またはイミダゾール環であり、最も好ましくはピペリジン環である。
201、R202のより好ましい組み合わせとしては、R201が置換しても良いシクロヘキシル基でR202が水素原子、R201が置換しても良いアルキル基でR202が水素原子、R201、R202が連結してピペリジン環またはイミダゾール環を形成、等が挙げられる。
一般式(31−1)または(31−2)にて、n201は0または1であり、好ましくは1である。
一般式(31−1)にて、R203はそれぞれ独立に置換基を表し、置換基として好ましい例は例えば、アルキル基(好ましくはC数1〜20、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ペンチル、ベンジル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、カルボキシメチル、5−カルボキシペンチル)、アルケニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、1,3−ブタジエニル)、シクロアルキル基(好ましくはC数3〜20、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル)、アリール基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニル、2−クロロフェニル、4−メトキシフェニル、3−メチルフェニル、1−ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくはC数1〜20、例えば、ピリジル、チエニル、フリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ)、アルキニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、エチニル、2−プロピニル、1,3−ブタジイニル、2−フェニルエチニル)、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br、I)、アミノ基(好ましくはC数0〜20、例えば、アミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジブチルアミノ、アニリノ)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホン酸基、アシル基(好ましくはC数1〜20、例えば、アセチル、ベンゾイル、サリチロイル、ピバロイル)、アルコキシ基(好ましくはC数1〜20、例えば、メトキシ、ブトキシ、シクロヘキシルオキシ)、アリールオキシ基(好ましくはC数6〜26、例えば、フェノキシ、1−ナフトキシ)、アルキルチオ基(好ましくはC数1〜20、例えば、メチルチオ、エチルチオ)、アリールチオ基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニルチオ、4−クロロフェニルチオ)、アルキルスルホニル基(好ましくはC数1〜20、例えば、メタンスルホニル、ブタンスルホニル)、アリールスルホニル基(好ましくはC数6〜20、例えば、ベンゼンスルホニル、パラトルエンンスルホニル)、スルファモイル基(好ましくはC数0〜20、例えばスルファモイル、N−メチルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、カルバモイル基(好ましくはC数1〜20、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N、N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル)、アシルアミノ基(好ましくはC数1〜20、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ)、イミノ基(好ましくはC数2〜20、例えばフタルイミノ)、アシルオキシ基(好ましくはC数1〜20、例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、アルコキシカルボニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、メトキシカルボニル、フェノキシカルボニル)、またはカルバモイルアミノ基(好ましくはC数1〜20、例えばカルバモイルアミノ、N−メチルカルバモイルアミノ、N−フェニルカルバモイルアミノ)、であり、より好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、カルバモイル基、またはアルコキシカルボニル基である。
一般式(31−1)にて、R203はニトロ基またはアルコキシ基であることが好ましく、ニトロ基またはメトキシ基であることがより好ましく、ニトロ基であることが最も好ましい。
一般式(31−1)にて、n202は0〜5の整数であり、好ましくは0〜3の整数であり、より好ましくは1または2である。n202が2以上の時、複数のR203は同じでも異なっても良く、連結して環を形成しても良く、形成する環として好ましくはベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられる。
一般式(31−1)にて、R203がニトロ基である時、2位または2,6位に置換することが好ましく、R203がアルコキシ基である時、3、5位に置換することが好ましい。
一般式(31−1)にて、R204、R205はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し(置換基として好ましくはR203にて挙げた置換基の例に同じ)、好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基のいずれかを表し、より好ましくは水素原子、メチル基、2−ニトロフェニル基のいずれかを表す。
204、R205のより好ましい組み合わせとしては、R204、R205共水素原子、R204がメチル基でR205が水素原子、R204、R205共メチル基、R204が2−ニトロフェニル基でR205が水素原子、等が挙げられ、さらに好ましくはR204、R205共水素原子である。
一般式(31−2)にて、R206、R207はそれぞれ独立に置換基を表し(置換基として好ましくはR203にて挙げた置換基の例に同じ)、好ましくは、アルコキシ基、アルキルチオ基、ニトロ基、またはアルキル基を表し、より好ましくはメトキシ基を表す。
一般式(31−2)にて、n203、n204はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、好ましくは0〜2の整数を表す。n203、n204が2以上の時、複数のR206、R207は同じでも異なっても良く、連結して環を形成しても良く、形成する環として好ましくはベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられる。
一般式(31−2)にて、R206は3、5位に置換したアルコキシ基であることがより好ましく、3、5位に置換したメトキシ基であることがさらに好ましい。
一般式(31−2)にて、R208は水素原子または置換基を表し(置換基として好ましくはR203にて挙げた置換基の例に同じ)、好ましくは水素原子またはアリール基であり、より好ましくは水素原子である。
一般式(31−3)にて、R209は置換基を表し(置換基として好ましくはR 203にて挙げた置換基の例に同じ)、好ましくはアルキル基、アリール基、ベンジル基、またはアミノ基であり、より好ましくは置換しても良いアルキル基、t−ブチル基、フェニル基、ベンジル基、置換しても良いアニリノ基、またはシクロヘキシルアミノ基を表す。
なお、一般式(31−3)で表される化合物はR209からポリマー鎖に連結した化合物であっても良い。
一般式(31−3)にて、R210、R211はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し(置換基として好ましくはR203にて挙げた置換基の例に同じ)、好ましくはアルキル基またはアリール基を表し、より好ましくはメチル基、フェニル基、または2−ナフチル基を表す。
210、R211は互いに連結して環を形成しても良く、形成する環としては例えばフルオレン環が好ましい。
一般式(31−4)にて、R212はアリール基またはヘテロ環基を表し、より好ましくは下記アリール基またはヘテロ環基である。
Figure 2005071570
一般式(31−4)にて、R213、R214、R215はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基(以上好ましい例はR201、R202に同じ)のいずれかを表し、好ましくはアルキル基を表し、より好ましくはブチル基を表す。なお、R213、R214、R215は互いに連結して環を形成しても良く、形成するヘテロ環として好ましくは、ピペリジン環、ピロリジン環、ピペラジン環、モロホリン環、ピリジン環、キノリン環、またはイミダゾール環であり、より好ましくは、ピペリジン環、ピロリジン環、またはイミダゾール環である。
一般式(31−4)にて、R216、R217、R218、R219はそれぞれ独立にアルキル基またはアリール基を表し、R216、R217、R218は全てフェニル基であり、かつ、R219はn−ブチル基またはフェニル基であることがより好ましい。
本発明の塩基発生剤は一般式(31−1)または(31−3)で表されることが好ましく、一般式(31−1)で表されることがより好ましい。
以下に、本発明の塩基発生剤の好ましい具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2005071570
Figure 2005071570
Figure 2005071570
Figure 2005071570
次に、本発明の2光子吸収光記録材料における記録成分が少なくとも色素前駆体としての塩基発色型色素前駆体と、さらに塩基発生剤を含む場合における塩基発色型色素前駆体について説明する。
本発明における塩基発色型色素前駆体は、塩基発生剤により発生した塩基により、元の状態から吸収が変化した発色体となることができる色素前駆体である。
本発明の塩基発色型色素前駆体としては、塩基により吸収が長波長化する化合物が好ましく、塩基によりモル吸光係数が大きく増加する化合物がより好ましい。
本発明における塩基発色型色素前駆体は好ましくは解離型色素の非解離体である。なお、解離型色素とは、色素クロモフォア上にpKa12以下、より好ましくはpKa10以下の解離してプロトンを放出しやすい解離基を有しており、非解離型から解離型になることにより、吸収が長波長化、あるいは無色から有色となる化合物のことである。解離基として好ましくは、OH基、SH基、COOH基、PO32基、SO3H基、NR9192+基、NHSO293基、CHR9495基、NHR96基が挙げられる。
ここで、R91、R92、R96はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し(以上好ましい例はR203の例と同じ)、好ましくは水素原子またはアルキル基を表す。R93はアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し(以上好ましい例はR203の例と同じ)、好ましくは置換しても良いアルキル基または置換しても良いアリール基を表し、置換しても良いアルキル基であることがより好ましく、その際、置換基としては電子求引性であることが好ましく、フッ素であることが好ましい。
94、R95は、それぞれ独立に置換基を表す(置換基として好ましくはR203にて挙げた置換基の例に同じ)が、電子求引性の置換基が好ましく、シアノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アシル基、アルキルスルホニル基、またはアリールスルホニル基であることが好ましい。
本発明の解離型色素の解離基としては、OH基、COOH基、NHSO293基、NHR96基、CHR9495基がより好ましく、OH基、CHR9495基がさらに好ましく、OH基が最も好ましい。
本発明における塩基発色型色素前駆体として好ましい解離型色素非解離体としては、解離型アゾ色素、解離型アゾメチン色素、解離型オキソノール色素、解離型アリーリデン色素、解離型キサンテン(フルオラン)色素、解離型トリフェニルアミン型色素の非解離体であり、解離型アゾ色素、解離型アゾメチン色素、解離型オキソノール色素、解離型アリーリデン色素の非解離体であることがさらに好ましい。
以下に、本発明の塩基発色型色素前駆体の例として、解離型色素非解離体の例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2005071570
Figure 2005071570
Figure 2005071570
本発明の記録成分が、少なくとも色素前駆体としての塩基発色型色素前駆体と、塩基発生剤を含む時、さらに塩基増殖剤を含んでも良い。
本発明の塩基増殖剤は、塩基が存在しない場合は安定であるのに対し、塩基が存在すると分解して塩基を放出し、その塩基でまた別の塩基増殖剤を分解させてまた塩基を放出する、というように塩基発生剤により発生した小量の塩基をトリガーとして塩基を増殖する化合物である。
その際、塩基増殖剤としては、前記一般式(35)で表されることが好ましい。
一般式(35)中、R121、R122はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し(以上置換基として好ましくはR201にて挙げた置換基の例に同じ)、より好ましくは水素原子、アルキル基、またはシクロアルキル基を表し、さらに好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基、またはシクロペンチル基を表す。
121、R122は互いに連結して環を形成しても良く、形成するヘテロ環として好ましくは、ピペリジン環、ピロリジン環、ピペラジン環、モロホリン環、ピリジン環、キノリン環、またはイミダゾール環であり、より好ましくは、ピペリジン環、ピロリジン環、またはイミダゾール環であり、最も好ましくはピペリジン環である。R121、R122のより好ましい組み合わせとしては、R121が置換しても良いシクロヘキシル基でR122が水素原子、R121が置換しても良いアルキル基でR122が水素原子、R121、R122が連結してピペリジン環またはイミダゾール環を形成、等が挙げられる。
123、R124はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し(置換基として好ましくはR203にて挙げた置換基の例に同じ)、好ましくは水素原子、アリール基またはアリールスルホニル基を表し、より好ましくはアリール基を表す。
123、R124は互いに連結して環を形成しても良く、形成する環として好ましくはフルオレン環が挙げられる。
125、R126はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し(置換基として好ましくはR203にて挙げた置換基の例に同じ)、好ましくは水素原子またはアルキル基を表し、より好ましくは水素原子またはメチル基を表す。
n102は0または1の整数を表し、好ましくは1を表す。
本発明の塩基増殖剤はより好ましくは一般式(36−1)または(36−2)で表される。
一般式(36−1)、(36−2)中、R121、R122は一般式(35)と同義であり、好ましいものも同様である。
本発明の塩基増殖剤は一般式(36−1)で表されることがより好ましい。
以下に本発明の塩基増殖剤の具体例を示すが本発明はこれに限定されるわけではない。
Figure 2005071570
塩基増殖時には加熱することが好ましいため、本発明の2光子吸収光記録材料において塩基増殖剤を用いる場合は、露光後、加熱処理することが好ましい。
次に、本発明の記録成分が、2光子吸収化合物励起状態との電子移動またはエネルギー移動により共有結合を切断する機能を有する有機化合物部位と、共有結合している際と放出された際の吸収形が異なる特徴を有する有機化合物部位が共有結合している化合物を含む場合について説明する。
その際、本発明の記録成分が、少なくとも前記一般式(32)にて表される色素前駆体を含むことが好ましい。
一般式(32)中、A1とPDは共有結合しており、A1は2光子吸収化合物励起状態との電子移動またはエネルギー移動によりPDとの共有結合を切断する機能を有する有機化合物部位であり、PDはA1と共有結合している際とA1との共有結合が切断されて放出された際の吸収形が異なる特徴を有する有機化合物部位を表す。
なお、A1は2光子吸収化合物励起状態との電子移動によりPDとの共有結合を切断する機能を有する有機化合物部位であることがより好ましい。
PDとして好ましくは解離型アゾ色素、解離型アゾメチン色素、解離型オキソノール色素、解離型アリーリデン色素等の解離型色素、またはトリフェニルメタン色素、キサンテン(フルオラン)色素等のいわゆる「ロイコ色素」となりうる色素などのいずれかから成る基であり、これらはクロモフォア上でA1と共有結合で連結している。
PDとしては解離型アゾ色素、解離型アゾメチン色素、解離型オキソノール色素、解離型アリーリデン色素のいずれかであることがより好ましい。
PDとしては、A1と共有結合している際は無色または淡色、あるいは吸収が短波長で、A1との共有結合が切断されて放出された際は強く着色または吸収が長波長化することが好ましい。
以下にPDの好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2005071570
Figure 2005071570
Figure 2005071570
Figure 2005071570
PDはA1と共有結合を作る際、色素クロモフォア上であればA1上のどの部分で共有結合しても良いが、上図で矢印で示した原子でA1と共有結合することが好ましい。
一般式(32)の色素前駆体が一般式(33−1)〜(33−6)のいずれかで表されることがより好ましい。
一般式(33−1)〜(33−6)中、PDは一般式(32)と同義である。
一般式(33−1)にて、R71は水素原子または置換基(置換基として好ましくはR203にて挙げた置換基の例に同じ)を表し、好ましくはアルキル基またはアリール基を表し、より好ましくはt−ブチル基である。
72は置換基(置換基として好ましくはR203にて挙げた置換基の例に同じ)を表し、好ましくは電子吸引性基を表し、より好ましくはニトロ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、またはハロゲン原子を表す。a71はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、a71が2以上の時、複数のR72は同じでも異なっても良く、互いに連結して環を形成しても良い。a71は好ましくは1または2であり、2位か4位にR72が置換することが好ましい。
一般式(33−2)にて、R73は置換基(置換基として好ましくはR203にて挙げた置換基の例に同じ)を表し、好ましくは電子吸引性基を表し、より好ましくはニトロ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、またはハロゲン原子を表し、より好ましくはニトロ基を表す。a72はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、a72が2以上の時、複数のR73は同じでも異なっても良く、互いに連結して環を形成しても良い。a72は好ましくは1または2であり、a72が1の時、2位に置換することが好ましく、a72が2の時、2位、4位または2位、6位に置換することが好ましく、2位、6位に置換することがより好ましい。
a73は0または1を表す。
一般式(33−3)にて、R74〜R77はそれぞれ独立にアルキル基を表し、好ましくはいずれもメチル基を表す。
一般式(33−4)にて、R78、R79はそれぞれ独立に置換基(以上置換基として好ましくはR203にて挙げた置換基の例に同じ)を表し、R79は好ましくはアルコキシ基を表し、より好ましくはメトキシ基を表す。a74、a75はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、a74、a75が2以上の時、複数のR78、R79は同じでも異なっても良く、互いに連結して環を形成しても良い。a74、a75は好ましくは0〜2であり、a74はより好ましくは0または1であり、a75はより好ましくは2である。a75が2の際、3位及び5位にR79が置換することが好ましい。
a76は0または1を表す。
一般式(33−5)にて、R80、R81はそれぞれ独立に水素原子または置換基(以上置換基として好ましくはR203にて挙げた置換基の例に同じ)を表し、R 80とR81は互いに連結して環を形成しても良く、形成する環としてはベンゼン環、ノルボルネン環が好ましい。環を形成しない際はR80、R81共水素原子であることが好ましい。
一般式(33−6)にて、R82、R83はそれぞれ独立に置換基(以上置換基として好ましくはR203にて挙げた置換基の例に同じ)を表し、好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基を表す。R82とR83は互いに連結して環を形成することが好ましく、形成する環としては、フルオレン環、ジベンゾピラン環、テトラヒドロナフタレン環が好ましい。
一般式(32)で表される色素前駆体として好ましくは、一般式(33−1)、(33−2)、(33−4)で表される。
以下に、一般式(33−1)〜(33−6)で表される本発明の色素前駆体の好ましい例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2005071570
Figure 2005071570
Figure 2005071570
なお、本発明の記録成分が、少なくとも前記一般式(32)または(33−1)〜(33−6)にて表される色素前駆体を含むとき、本発明の2光子吸収光記録材料は、生成する解離型色素を解離させる目的で、必要によりさらに塩基を含むことも好ましい。塩基は有機塩基でも無機塩基でも良く、好ましくは例えば、アルキルアミン類、アニリン類、イミダゾール類、ピリジン類、炭酸塩類、水酸化物塩類、カルボン酸塩類、金属アルコキシドなどが挙げられる。あるいは、それらの塩基を含むポリマーも好ましく用いられうる。
次に、本発明の記録成分が2光子吸収化合物励起状態との電子移動により反応し吸収形を変化させることができる化合物を含む場合を説明する。
前記を起こすことができる化合物は、いわゆる「エレクトロクロミック化合物」として総称されている。
本発明で色素前駆体として用いるエレクトロクロミック化合物として好ましくは、ポリピロール類(好ましくは例えばポリピロール、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(N−メチルインドール)、ポリピロロピロール)、ポリチオフェン類(好ましくは例えばポリチオフェン、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリイソチアナフテン、ポリジチエノチオフェン、ポリ(3,4−エチレンジオキシ)チオフェン)、ポリアニリン(好ましくは例えばポリアニリン、ポリ(N−ナフチルアニリン)、ポリ(o−フェニレンジアミン)、ポリ(アニリン−m−スルホン酸)、ポリ(2−メトキシアニリン)、ポリ(o−アミノフェノール))、ポリ(ジアリ−ルアミン)、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、Coピリジノポルフィラジン錯体、Niフェナントロリン錯体、Feバソフェナントロリン錯体である。
またさらに、ビオローゲン類、ポリビオローゲン類、ランタノイドジフタロシアニン類、スチリル色素類、TNF類、TCNQ/TTF錯体類、Ruトリスビピリジル錯体類等のエレクトロクロミック材料も好ましい。
本発明の記録成分は市販品であるか、あるいは公知の方法により合成することができる。
本発明の2光子吸収光記録材料には、2光子吸収化合物のラジカルカチオンを還元する能力を有する電子供与性化合物もしくは2光子吸収化合物のラジカルアニオンを酸化する能力を有する電子受容性化合物を好ましく用いることができる。
電子供与性化合物として好ましくは例えば、アルキルアミン類(好ましくは例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、N、N−ジメチルドデシルアミン、トリエタノールアミン、トリエトキシエチルアミン)、アニリン類(好ましくは例えば、N、N−ジオクチルアニリン、N、N−ジメチルアニリン、4−メトキシ−N、N−ジブチルアニリン、2−メトキシ−N、N −ジブチルアニリン)、フェニレンジアミン類(好ましくは例えば、N、N、N’、N’−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン、N、N、N’、N’−テトラメチル−1,2−フェニレンジアミン、N、N、N’、N’―テトラエチル−1,3−フェニレンジアミン、N,N’−ジブチルフェニレンジアミン)、トリフェニルアミン類(好ましくは例えばトリフェニルアミン、トリ(4−メトキシフェニル)アミン、トリ(4−ジメチルアミノフェニル)アミン、TPD)、カルバゾール類(好ましくは例えば、N−ビニルカルバゾール、N−エチルカルバゾール)、フェノチアジン類(好ましくは例えば、N−メチルフェノチアジン、N−フェニルフェノチアジン)、フェノキサジン類(好ましくは例えば、N−メチルフェノキサジン、N−フェニルフェノキサジン)、フェナジン類(好ましくは例えば、N、N’−ジメチルフェナジン、N、N’−ジフェニルフェナジン)、ハイドロキノン類(好ましくは例えば、ハイドロキノン、2,5−ジメチルハイドロキノン、2,5−ジクロロハイドロキノン、2,3,4,5−テトラクロロハイドロキノン、2、6−ジクロロ−3、5−ジシアノハイドロキノン、2、3−ジクロロ−5、6−ジシアノハイドロキノン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、9,10−ジヒドロキシアントラセン)、カテコール類(好ましくは例えば、カテコール、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン)、アルコキシベンゼン類(好ましくは例えば、1,2−ジメトキシベンゼン、1,2−ジブトキシベンゼン、1,2,4−トリブトキシベンゼン、1,4−ジヘキシルオキシベンゼン)、アミノフェノール類(好ましくは例えば、4−(N、N−ジエチルアミノ)フェノール、N−オクチルアミノフェノール)、イミダゾール類(好ましくは例えば、イミダゾール、N−メチルイミダゾール、N−オクチルイミダゾール、N−ブチル−2−メチルイミダゾール)、ピリジン類(好ましくは例えばピリジン、ピコリン、ルチジン、4−t−ブチルピリジン、4−オクチルオキシピリジン、4−(N、N−ジメチルアミノ)ピリジン、4−(N、N−ジブチルアミノ)ピリジン、2−(N−オクチルアミノ)ピリジン)、メタロセン類(好ましくは例えば、フェロセン、チタノセン、ルテノセン)、金属錯体類(好ましくは例えば、Ruビスビピリジン錯体類、Cuフェナントロリン錯体類、Coトリスビピリジン錯体類、FeEDTA錯体類、他にもRu、Fe、Re、Pt、Cu、Co、Ni、Pd、W、Mo、Cr、Mn、Ir、Ag錯体等)、半導体微粒子(好ましくは例えば、Si、CdSe、GaP、PbS、ZnS)等が挙げられる。電子供与性化合物としてはフェノチアジン類がより好ましく、N−メチルフェノチアジンが最も好ましい。
一方、電子受容性化合物として好ましくは例えば、電子求引性基が導入された芳香族化合物(好ましくは例えば、1,4−ジニトロベンゼン、1,4−ジシアノベンゼン、4,5−ジクロロ−1,2−ジシアノベンゼン、4−ニトロ−1,2−ジシアノベンゼン、4−オクタンスルホニル−1,2−ジシアノベンゼン、1,10−ジシアノアントラセン)、ヘテロ環化合物または電子求引性基が導入されたヘテロ環化合物(好ましくは例えば、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、ジクロロピラジン、3−シアノピラゾール、4,5−ジシアノ−1−メチル−2−オクタノイルアミノイミダゾール、4,5−ジシアノ−イミダゾール、2,4−ジメチル−1,3,4−チアジアゾール、5−クロロ−3−フェニル−1,2,4−チアジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、2−クロロベンゾチアゾール、N−ブチル−1,2,4−トリアゾール)、N−アルキルピリジニウム塩類(好ましくは例えば、N−ブチルピリジニウムヨージド、N−ブチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N−ブチル−3−エトキシカルボニル−ピリジニウムブタンスルホネート、N−オクチル−3−カルバモイルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチルビオローゲンジ(ヘキサフルオロホスフェート)、N,N−ジフェニルビオローゲンビス(ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド))、ベンゾキノン類(好ましくは例えば、ベンゾキノン、2,5−ジメチルベンゾキノン、2,5−ジクロロベンゾキノン、2,3,4,5−テトラクロロベンゾキノン、2、6−ジクロロ−3、5−ジシアノベンゾキノン、2、3−ジクロロ−5、6−ジシアノベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン)、イミド類(好ましくは例えば、N,N’−ジオクチルピロメリットイミド、4−ニトロ−N−オクチルフタルイミド)、金属錯体類(好ましくは例えば、Ruトリスビピリジン錯体類、Ruビスビピリジン錯体類、Coトリスビピリジン錯体類、Crトリスビピリジン錯体類、PtCl6錯体類、他にもRu、Fe、Re、Pt、Cu、Co、Ni、Pd、W、Mo、Cr、Mn、Ir、Ag錯体等)、半導体微粒子(好ましくは例えば、TiO2、Nb25、ZnO、SnO2、Fe23、WO3)等が挙げられる。
電子供与性化合物の酸化電位は2光子吸収化合物の酸化電位または2光子吸収化合物の励起状態の還元電位よりも卑(マイナス側)であることが好ましく、電子受容性化合物の還元電位は2光子吸収化合物の還元電位または2光子吸収化合物の励起状態の酸化電位よりも貴(プラス側)であることが好ましい。
本発明の2光子吸収光記録材料においては、バインダーが好ましく用いられる。バインダーは組成物の成膜性、膜厚の均一性、保存時安定性を向上させる等の目的で通常使用される。バインダーとしては、2光子吸収化合物、記録成分と相溶性の良いものが好ましい。
バインダーとしては、溶媒可溶性の熱可塑性重合体が好ましく、単独又は互いに組合せて使用することができる。
バインダーは反応性部位を有して、架橋剤や重合性モノマーやオリゴマーと反応して架橋、硬膜等されても良い。その際の反応性部位としては、ラジカル反応性部位として、アクリル基、メタクリル基に代表されるエチレン性不飽和基、カチオン反応性部位としてオキシラン化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル基、縮重合反応部位としてカルボン酸、アルコール、アミン等が好ましく挙げられる。
本発明に用いるバインダーとして好ましくは例えば、アクリレート及びアルファ−アルキルアクリレートエステル及び酸性重合体及びインターポリマー(例えばポリメタクリル酸メチル及びポリメタクリル酸エチル、メチルメタクリレートと他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの共重合体)、ポリビニルエステル(例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸/アクリル酸ビニル、ポリ酢酸/メタクリル酸ビニル及び加水分解型ポリ酢酸ビニル)、エチレン/酢酸ビニル共重合体、飽和及び不飽和ポリウレタン、ブタジエン及びイソプレン重合体及び共重合体及びほぼ4,000〜1,000,000の重量平均分子量を有するポリグリコールの高分子量ポリ酸化エチレン、エポキシ化物(例えば、アクリレート又はメタクリレート基を有するエポキシ化物)、ポリアミド(例えば、N−メトキシメチルポリヘキサメチレンアジパミド)、セルロースエステル(例えば、セルロースアセテート、セルロースアセテートサクシネート及びセルロースアセテートブチレート)、セルロースエーテル(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルベンジルセルロース)、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール(ポリビニルブチラール及びポリビニルホルマール)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、適当なバインダーとして機能する酸含有重合体及び共重合体として、米国特許3,458,311中及び米国特許4,273,857中に開示されているものなどが挙げられる。
さらに、ポリスチレン重合体、並びに例えばアクリロニトリル、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸及びそのエステルとの共重合体、塩化ビニリデン共重合体(例えば、塩化ビニリデン/アクリロニトリル共重合体、ビニリデンクロリド/メタクリレート共重合体、塩化ビニリデン/酢酸ビニル共重合体)、ポリ塩化ビニル及び共重合体(例えば、ポリビニルクロリド/アセテート、塩化ビニル/アクリロニトリル共重合体)、ポリビニルベンザル合成ゴム(例えば、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体、メタクリレート/アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体、2−クロロブタジエン−1,3重合体、塩素化ゴム、スチレン/ブタジエン/スチレン、スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体)、コポリエステル(例えば、式HO(CH2)nOH(式中nは、2〜10の整数である)のポリメチレングリコール、並びに(1)ヘキサヒドロテレフタル酸、セバシン酸及びテレフタル酸、(2)テレフタル酸、イソフタル酸及びセバシン酸、(3)テレフタル酸及びセバシン酸、(4)テレフタル酸及びイソフタル酸の反応生成物から製造されたもの、並びに(5)該グリコール及び(i)テレフタル酸、イソフタル酸及びセバシン酸及び(ii)テレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸及びアジピン酸から製造されたコポリエステルの混合物)、ポリN−ビニルカルバゾール及びその共重合体、並びにH.カモガワらによりJournal of Polymer Science:Polymer Chemistry Edition,18巻、9〜18頁(1979)中開示されているようなカルバゾール含有重合体、ビスフェノールと炭酸エステルからなるポリカーボネートなどが挙げられる。
また、フッ素原子含有高分子も低屈折率バインダーとして好ましい。好ましいものとしては、フルオロオレフィンを必須成分とし、アルキルビニルエーテル、アリサイクリックビニルエーテル、ヒドロキシビニルエーテル、オレフィン、ハロオレフィン、不飽和カルボン酸およびそのエステル、およびカルボン酸ビニルエステルから選ばれる1種もしくは2種以上の不飽和単量体を共重合成分とする有機溶媒に可溶性の重合体である。好ましくは、その重量平均分子量が5,000から200,000で、またフッ素原子含有量が5ないし70質量%であることが望ましい。
フッ素原子含有高分子におけるフルオロオレフィンとしては、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどが使用される。また、他の共重合成分であるアルキルビニルエーテルとしては、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテルなど、アリサイクリックビニルエーテルとしてはシクロヘキシルビニルエーテルおよびその誘導体、ヒドロキシビニルエーテルとしてはヒドロキシブチルビニルエーテルなど、オレフィンおよびハロオレフィンとしてはエチレン、プロピレン、イソブチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデンなど、カルボン酸ビニルエステルとしては酢酸ビニル、n−酪酸ビニルなど、また不飽和カルボン酸およびそのエステルとしては(メタ)アクリル酸、クロトン酸などの不飽和カルボン酸、および(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリルなどの(メタ)アクリル酸のC1からC18のアルキルエステル類、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のC2からC8のヒドロキシアルキルエステル類、およびN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらラジカル重合性単量体はそれぞれ単独でも、また2種以上組み合わせて使用しても良く、更に必要に応じて該単量体の一部を他のラジカル重合性単量体、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、(メタ)アクリロニトリルなどのビニル化合物と代替しても良い。また、その他の単量体誘導体として、カルボン酸基含有のフルオロオレフィン、グリシジル基含有ビニルエーテルなども使用可能である。
前記したフッ素原子含有高分子の具体例として、例えば水酸基を有する有機溶媒可溶性の「ルミフロン」シリーズ(例えばルミフロンLF200、重量平均分子量:約50,000、旭硝子社製)が挙げられる。この他にも、ダイキン工業(株)、セントラル硝子(株)、ペンウオルト社などからも有機溶媒可溶性のフッ素原子含有高分子が上市されており、これらも使用することができる。
本発明の2光子吸収光記録材料に用いるバインダーとしては、屈折率が1.5以下のバインダーが好ましい。
本発明の2光子吸収光記録材料は、必要により重合性モノマー、重合性オリゴマー、架橋剤、熱安定剤、可塑剤、溶媒等の添加物を適宜用いることができる。
重合性モノマー、重合性オリゴマー、架橋剤を本発明の2光子吸収光記録材料に用いる際の好ましい例としては例えば、特願2003−82732号に記載のものが挙げられる。
本発明の2光子吸収光記録材料には、保存時の保存性を向上させるために熱安定剤を添加することができる。
有用な熱安定剤にはハイドロキノン、フェニドン、p−メトキシフェノール、アルキルおよびアリール置換されたハイドロキノンとキノン、カテコール、t−ブチルカテコール、ピロガロール、2-ナフトール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、フェノチアジン、およびクロルアニールなどが含まれる。Pazos氏の米国特許第4,168,982号中に述べられた、ジニトロソダイマ類もまた有用である。
可塑剤は2光子吸収光記録材料の接着性、柔軟性、硬さ、およびその他の機械的諸特性を変えるために用いられる。可塑剤としては例えば、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、ジエチルセバケート、ジブチルスベレート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリクレジルホスフェート、ジブチルフタレート等が挙げられる。
本発明の2光子吸収光記録材料中の各成分の割合は、一般的に組成物の全質量を基準に以下の%の範囲内であることが好ましい。
(反応性)バインダー、重合性モノマー、重合性オリゴマー、架橋剤:好ましくは0〜95質量%、より好ましくは30〜95質量%
記録成分:好ましくは3〜80質量%、より好ましくは5〜60質量%
2光子吸収化合物:好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜3質量%
本発明の2光子吸収光記録材料用組成物は通常の方法で調製されてよい。例えば上述の必須成分および任意成分をそのままもしくは必要に応じて溶媒を加えて調製することができる。
溶媒としては例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールジアセテート、乳酸エチル、セロソルブアセテートなどのエステル系溶媒、シクロヘキサン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジメチルセロソルブなどのセロソルブ系溶媒、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール系溶媒、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールなどのフッ素系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、N、N−ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル系溶媒等が挙げられる。
本発明の2光子吸収光記録材料は、スピンコーター、ロールコーターまたはバーコーターなどを用いることによって基板上に直接塗布することも、あるいはフィルムとしてキャストしついで通常の方法により基板にラミネートすることもでき、それらにより2光子吸収光記録材料とすることができる。
ここで、「基板」とは、任意の天然又は合成支持体、好適には柔軟性又は剛性フィルム、シートまたは板の形態で存在することができるものを意味する。
基板として好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、樹脂下塗り型ポリエチレンテレフタレート、火炎又は静電気放電処理されたポリエチレンテレフタレート、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ガラス等である。
使用した溶媒は乾燥時に蒸発除去することができる。蒸発除去には加熱や減圧を用いても良い。
さらに、2光子吸収光記録材料の上に、酸素遮断のための保護層を形成してもよい。保護層は、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレートまたはセロファンフィルムなどのプラスチック製のフィルムまたは板を静電的な密着、押し出し機を使った積層等により貼合わせるか、前記ポリマーの溶液を塗布してもよい。また、ガラス板を貼合わせてもよい。また、保護層と感光膜の間および/または、基材と感光膜の間に、気密性を高めるために粘着剤または液状物質を存在させてもよい。
[実施例]
以下に、本発明の具体的な実施例について実験結果を基に説明する。勿論、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[本発明の光記録材料に用いる2光子吸収化合物の合成]
(1)D−73の合成
本発明の2光子吸収化合物D−73は以下の方法により合成することができる。
Figure 2005071570
4級塩[1]14.3g(40mmol)を水50mlに溶解し、水酸化ナトリウム1.6g(40mmol)を加えて室温にて30分攪拌した。酢酸エチルで3回抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮し、メチレンベース[2]のオイル9.2g(収率100%)を得た。
D−75およびD−77も同様にして合成した。
また、他のシアニン色素、メロシアニン色素、オキソノール色素等については、F.M.Harmer著、Heterocyclic Compounds−Cyanine Dyes and Related Compounds、John&Wiley&Sons、New York、London、1964年刊、D.M.Sturmer著、Heterocyclic Compounds−Special Topics in Heterocyclic Chemistry、第18章、第14節、第482から515頁、John&Wiley&Sons、New York、London等に記載の方法等に準じて合成することができる。
本発明の消色剤前駆体の多くは市販されていたり、既知の方法により合成することができる。
[屈折率変調及び吸収率変調による反射率変化評価]
次に、本発明の2光子吸収光記録材料が2光子吸収して起こる吸収率及び屈折率変調により、光の反射率変調方法について述べる。
以下の組成にて、本発明の2光子吸収3次元光記録材料の試料101〜103及び比較試料1〜3を作成した。
Figure 2005071570
<試料101:本発明の2光子吸収光記録材料>
2光子吸収化合物:D−128 1質量部
電子供与性化合物:ED−1 20質量部
記録成分:酸発生剤I−103 23質量部
酸発色型色素前駆体R−9 10質量部
バインダー:アルドリッチ社製 ポリ(メチルメタクリレート−エチルアクリレート共重合体)(平均分子量101000) 46質量部
溶媒:クロロホルム(必要によりアセトニトリル使用)上記全成分(合計)の3倍質量
<比較試料1>
記録成分:酸発生剤I−103 23質量部
酸発色型色素前駆体R−9 10質量部
バインダー:アルドリッチ社製 ポリメチルメタクリレート−エチルアクリレート共重合体)(平均分子量101000) 67質量部
溶媒:クロロホルム(必要によりアセトニトリル使用)上記全成分(合計)の3倍質量
<試料102:本発明の2光子吸収光記録材料>
2光子吸収化合物:D−128 1質量部
電子供与性化合物:ED−1 20質量部
記録成分:塩基発生剤PB−3 20質量部
塩基発色型色素前駆体DD−17 10質量部
バインダー:アルドリッチ社製 ポリメチルメタクリレート(平均分子量120000) 49質量部
溶媒:クロロホルム 上記全成分(合計)の3倍質量
<比較試料2>
記録成分:塩基発生剤PB−3 20質量部
塩基発色型色素前駆体DD−17 10質量部
バインダー:アルドリッチ社製 ポリメチルメタクリレート(平均分子量120000) 70質量部
溶媒:クロロホルム 上記全成分(合計)の3倍質量
<試料103:本発明の2光子吸収光記録材料>
2光子吸収化合物:D−128 1質量部
電子供与性化合物:ED−1 20質量部
記録成分:色素前駆体E−14 24質量部
塩基:トリオクチルアミン 5質量部
バインダー:アルドリッチ社製 ポリメチルメタクリレート(平均分子量120000) 50質量部
溶媒:クロロホルム 上記全成分(合計)の3倍質量
<比較試料1>
記録成分:色素前駆体E−14 24質量部
塩基:トリオクチルアミン 5質量部
バインダー:アルドリッチ社製 ポリメチルメタクリレート(平均分子量120000) 71質量部
溶媒:クロロホルム 上記全成分(合計)の3倍質量
試料101〜103、比較試料1〜3はプレパラートガラス板上にバーコート塗布し、溶媒乾燥後、プレパラートガラスを載せて評価試料とした。膜厚は約10μmであった。
エリプソメーターにて試料101〜103膜の屈折率を測定した所、720nmにて1.49、1.48、1.49であった。
本発明の2光子吸収記録材料の性能評価には、700nmから1000nmの波長範囲で測定可能なTi:sapphireパルスレーザー(パルス幅:100fs、繰り返し:80MHz、平均出力:1W、ピークパワー:100kW)を用い、本発明の2光子吸収記録材料に該レーザー光をNA0.6のレンズで集光して照射した。
照射波長は2光子吸収化合物の10-4M溶液において、2光子吸収断面積δが最大となる波長付近を用いた。
試料101〜103、比較試料1〜3に対しては740nmのレーザー光を照射して2光子吸収を起こした。その結果、試料101〜103において、光照射部のレーザー焦点部(記録部)にて発色が確認できた。記録部と非記録部の吸収率の変化は目視にて確認することができた。
試料101〜103の屈折率をエリプソメーターにて測定した所、740nmで1.56、1.55、1.56とレーザー非焦点部(非記録部)に比較して増加した。740nmのレーザーを照射した所、本発明の各試料の発色した記録部と非記録部において屈折率の違いによる反射率の違い(約20%)を確認することができた。
また、記録した試料101〜103に660nmのレーザーを照射した所、記録部と非記録部にて吸収率の違いによる反射率の違いを確認することができた。
それに対して、本発明の2光子吸収化合物D−128を含まない比較試料1〜3は740nmのレーザーを照射しても何も変化せず、発色(屈折率変調)は2光子吸収化合物が2光子吸収により励起状態を生成することにより起こることが明らかである。
また、レーザー焦点位置を水平及び深さ方向に走査することにより、3次元方向の任意の場所に発色させることができ、3次元的屈折率変調及び吸収率変調による光の反射率変調が可能であることを確認した。
なお、2光子吸収化合物をD−1、D−5、D−22、D−41、D−56、D−58、D−73、D−75、D−77、D−117、D−118、D−123、D−132、D−142、D−143に変更しても、バインダーをポリビニルアセタール、セルロースアセテートブチレート、ポリメチルフェニルシロキサン等に変更しても同様な効果が得られた。
さらに、試料101にて記録成分の酸発生剤をI−101、I−102、2−(4’−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、4−ジエチルアミノフェニルジアゾニウムテトラフルオロボレート、ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルホニウムメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロペンタノエート、ビス(1−(4−ジフェニルスルホニウム)フェニルスルフィドジトリフラート、ベンゾイントシレート、2,6−ジニトロベンジルトシレート、N−トシルフタル酸イミドに変更しても、試料101にて記録成分の酸発色型色素前駆体をクルスタルバイオレットラクトン、R−7、R−8に変更しても同様な効果が得られた。
また、試料102にて記録成分の塩基発生剤を、PB−4、PB−8、PB−10、PB−12、PB−13、PB−19、PB−22、PB−32、PB−33、PB−52に変更しても、あるいは塩基発色型色素前駆体(解離型色素非解離体)をDD−3、DD−9、DD−12、DD−23、DD−24、DD−30、DD−32、DD−33、DD−34、DD−37、DD−38、DD−43、DD−45、DD−46に変更しても同様な効果が得られた。
また、試料103にて記録成分をE−4、E−5、E−11、E−12、E−13、E−16、E−17、E−18、E−19、E−25、E−26、E−27、E−29、E−32、E−34、E−37、E−38、E−39、E−42に変更しても同様な効果が得られた。
なお、上記の際、2光子吸収を起こす際のレーザー波長、屈折率変調による反射率変化を見る光の波長、吸収率変化による反射率変化を見る光の波長はそれぞれの系の2光子吸収化合物及び記録成分により、最適な波長を用いた。

Claims (21)

  1. 少なくとも1種の2光子吸収化合物と記録成分とを有する2光子吸収光記録材料であって、該2光子吸収化合物の2光子吸収を利用して記録部と非記録部を形成することができ、該記録部と非記録部の反射率または透過率が異なることを特徴とする2光子吸収光記録材料。
  2. 前記2光子吸収光記録材料がライトワンス方式であることを特徴とする請求項1記載の2光子吸収光記録材料。
  3. 前記反射率または透過率の違いが屈折率差、吸収率差、発泡、散乱、金属反射、回折および干渉のいずれかにより起こることを特徴とする請求項1または2に記載の2光子吸収光記録材料。
  4. 前記記録成分が、発色体となることができる色素前駆体を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料。
  5. 前記色素前駆体は、2光子吸収化合物が2光子吸収して生成した励起状態からの電子移動またはエネルギー移動により、元の状態から吸収が長波長化した発色体となることができ、かつ、反射率または透過率の違いを検出するために照射する再生時の光の波長に吸収を有さない発色体となることを特徴とする請求項4記載の2光子吸収光記録材料。
  6. 前記発色体が再生時の光の波長とその波長から200nm短波長である波長の間の領域に吸収極大を有する発色体であることを特徴とする請求項5記載の2光子吸収光記録材料。
  7. 前記色素前駆体は、2光子吸収化合物が2光子吸収して生成した励起状態からの電子移動またはエネルギー移動により、元の状態から吸収が長波長化した発色体となることができ、かつ、反射率または透過率の違いを検出するために照射する再生時の光の波長に吸収を有する発色体となることを特徴とする請求項4記載の2光子吸収光記録材料。
  8. 前記色素前駆体が酸発色型色素前駆体であり、さらに酸発生剤を含むことを特徴とする請求項4〜7記載の2光子吸収光記録材料。
  9. 該酸発生剤がジアリールヨードニウム塩、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、金属アレーン錯体、トリハロメチル置換トリアジンまたはスルホン酸エステルであることを特徴とする請求項8記載の2光子吸収光記録材料。
  10. 酸発色型色素前駆体から生成する発色体がキサンテン色素、フルオラン色素またはトリフェニルメタン色素であることを特徴とする請求項8または9記載の2光子吸収光記録材料。
  11. 該色素前駆体が塩基発色型色素前駆体であり、さらに塩基発生剤を含むことを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料。
  12. 該塩基発生剤が下記一般式(31−1)〜(31−4)で表されることを特徴とする請求項11記載の2光子吸収光記録材料。
    Figure 2005071570
    一般式(31−1)〜(31−4)中、R201、R202、R213、R214、R215はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基のいずれかを表し、R201、R202は互いに連結して環を形成しても良く、R213、R214、R215は互いに連結して環を形成しても良い。R203、R206、R207、R209はそれぞれ独立に置換基を表し、R204 、R205、R208、R210、R211はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R210、R211は互いに連結して環を形成しても良い。R216、R217、R218、R219はそれぞれ独立にアルキル基またはアリール基を表し、R212はアリール基またはヘテロ環基を表す。n201は0または1の整数を表し、n202〜n204はそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。
  13. 塩基発色型色素前駆体が解離型アゾ色素、解離型アゾメチン色素、解離型オキソノール色素、解離型キサンテン色素、解離型フルオラン色素または解離型トリフェニルメタン型色素の非解離体であることを特徴とする請求項11または12記載の2光子吸収光記録材料。
  14. 該色素前駆体が、少なくとも下記一般式(32)にて表される色素前駆体を含むことを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料。
    Figure 2005071570
    一般式(32)中、A1とPDは共有結合しており、A1は2光子吸収化合物励起状態との電子移動またはエネルギー移動によりPDとの共有結合を切断する機能を有する有機化合物部位であり、PDはA1と共有結合している際とA1との共有結合が切断されて放出された際に発色体となる特徴を有する有機化合物部位を表す。
  15. 前記2光子吸収光記録材料が光子吸収化合物のラジカルカチオンを還元する能力を有する電子供与性化合物を含むことを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料。
  16. 前記電子供与性化合物がフェノチアジン類であることを特徴とする請求項15に記載の2光子吸収光記録材料。
  17. 前記2光子吸収吸収化合物がメチン色素またはフタロシアニン色素であることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料。
  18. 請求項1〜17のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料を含む2光子吸収光記録媒体。
  19. 請求項1〜17のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料に、2光子吸収化合物の有する線形吸収帯よりも長波長でかつ線形吸収の存在しない波長のレーザー光を照射して誘起された2光子吸収を利用して記録を行うことを特徴とする2光子吸収光記録再生方法。
  20. 少なくとも1種の2光子吸収化合物と記録成分とを有する2光子吸収光記録材料の記録再生方法であって、該2光子吸収化合物の2光子吸収を利用して記録を行った後、光を照射して記録部と非記録部の反射率または透過率の違いを検出することにより再生することを特徴とする2光子吸収光記録再生方法。
  21. 2光子吸収による記録を行う際に照射する光の波長と、再生時に反射率または透過率の違いを検出するために照射する光の波長が同じであることを特徴とする請求項19または20記載の2光子吸収光記録再生方法。
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