JP2005069405A - 無段変速機 - Google Patents

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修司 北澤
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Abstract

【課題】 出力軸乃至入力軸と連動する伝動車に対して、多点で転がり接触する摺動車を設けることで、大動力を高効率で伝達することができ、かつ長寿命の無段変速機を提供すること。
【解決手段】 出力軸乃至入力軸と連動する伝動車に摺動車を転がり接触させ、その接触点を変位することで変速比を制御可能とした無段変速機において、上記摺動車71は、一つの回転軸の周りを異なる角速度で回転可能で回転軸方向に一体的に連繋された複数の摺動車部分72…で形成し、これら各摺動車部分をそれぞれ上記伝動車3に転がり接触させた。
【選択図】図10

Description

本発明は、無段変速機、特に自動車などの動力伝達機構の始動時や運転中の自由な速度・動力の制御に好適な無段変速機に関する。
摩擦式の無段変速機の原理は、図18に示すように相互に交差する回転軸を有する2つの円板形の摩擦車101,102を、その原動側の摩擦車101の摩擦面101aに従動側の摩擦車102の周縁を転がり接触させ、この転がり接触を維持しながら原動側摩擦車の半径方向に移動させて従動側摩擦車を変位させて変速比を変更するものである。
しかしながら、原動側の機構と従動側の機構とが一点接触している構成では、伝達動力を大としたときに、その接触点での接触圧力が大きくなり、過度のヘルツ応力が生じて摩擦車の転がり面の寿命が著しく短くなる。
この不具合を軽減するために、実際の無段変速機では、一つの摩擦車に対して多数の摩擦車を転がり接触させたものが多い。
この様な無段変速機として、入力軸回りを公転する複数の円錐摩擦車と、出力軸と連動させて各円錐摩擦車の円錐底面に内側から接触する摩擦ディスクと、上記円錐摩擦車の公転軌道の外側に沿って、その摩擦面側に点接触させて周設した回動不能の摺動リングと具備し、この摺動リングを入力軸方向へ変位して変速比を変更させることが可能としたものが知られている(特許文献1)。
この無段変速機では、入力軸の回りを公転する円錐摩擦車を回動不能な摺動リング内周縁に摩擦接触させると、その摺動リングから採った摩擦力の反力により円錐摩擦車が自転し、この自転力を摩擦ディスクを介して出力している。
これに対して、上記摺動リングと摩擦ディスクとの役割を置き換えたもの、即ち、上記摺動リングを回動可能、かつ摩擦ディスクを回動不能に設け、摩擦ディスクからとった摩擦力の反力により円錐摩擦車を自転させ、この自転力を摺動リングを介して出力するように設けたものも知られている(特許文献2)。
特開平7−133854号 特開昭61−228155号
上記特許文献2のものでは、各円錐摩擦車と摺動リングとが点接触しているということでは原理図のものと変わりなく、入力軸の回りに設けることができる円錐摩擦車の数には限りがあるので、伝達動力を大幅に増大することは期待できない。又、入力軸回りに設ける円錐摩擦車の個数をあまりに多くすると、無段変速機のサイズが大きくなってしまうという問題もあった。
円錐摩擦車の数を増やすという方法以外では、円錐摩擦車と摺動リングとを線状接触させることができれば、ヘルツ応力は軽減するが、そうすると線状の接触箇所において滑りを生じ、変速機の効率を低下させる。
又、一点接触の機構で接触圧力を高くすることで接触面積を増大させることもできるが、この場合には、過大な応力が機械寿命を短くさせるとともに、発熱によってトラクション油の粘性を低下させ、これにより、トラクション係数が低下して接触圧力を更に高くする必要が生ずるという悪循環を生ずる。従って接触圧力の増大には実用上限界がある。
本発明の第1の目的は、出力軸乃至入力軸と連動する伝動車に対して、多点で転がり接触する摺動車を設けること、具体的には、この摺動車を、一つの周りで異なる角速度で回転できかつ回転軸方向には一体的に変位する複数の摺動車部分で形成することで、大動力を高効率で伝達することができ、かつ長寿命の無段変速機を提供することにある。
本発明の第2の目的は、層状乃至多重筒状に重ねてそれぞれ回転自在に形成された摺動車部分から、効率良く伝達動力を取出して、各動力を一つの合力として外部へ出力可能な各種の合力機構を提案することである。
本発明の第3の目的は、上記合力機構を、動力伝達軸を兼ねる支持軸に支承され、かつ、各摺動車部分の表面にそれぞれ摩擦接触させた支持回転子として構成した場合において、この支持回転子に対する摺動車の滑りを防止するために上記支持軸の基端側に、摺動車の回転軸方向への支持回転子の揺動を可能とする首振り機構を設けることを提案することである。
本発明の第4の目的は、上記無段変速機を、積層リング状に形成された各摺動車部分の内周側乃至外周側のうち一方側に伝動車を、他方側に合力機構を配置して、これら伝動車乃至合力機構のうちの一方から他方へ各摺動車部分を介在して動力の伝達するように設けた場合において、その動力の伝達効率を高めるために、各摺動車部分に切割りを穿設することを提案することである。
本発明の他の目的は、後述の課題を解決する手段などの欄において明らかにする。
上記目的を達成するため、本発明では、次の課題解決手段を提案している。
第1の手段は、出力軸乃至入力軸と連動する伝動車に摺動車を転がり接触させ、その接触点を変位することで変速比を制御可能とした無段変速機において、
上記摺動車71は、一つの回転軸の周りを異なる角速度で回転可能で回転軸方向に一体的に連繋された複数の摺動車部分72…で形成し、これら各摺動車部分をそれぞれ上記伝動車3に転がり接触させている。
この構成により、回転軸方向に対して一個の摺動車として機能する摩擦車と、伝動車との間に多数の転がり接触点を形成することができる。
尚、上記構成中、「一体的に連繋され」とは、如何なる手段によるかを問わずに各摺動車部分が回転軸方向に対して一体として変位する(又は静止状態を保つ)ようにすることをいい、特に、摺動車部分全体を束ねたり、或いは、各摺動車部分相互を嵌合等によって連結させることを含むものとする。又、「摺動車」とは、伝動車に対して摺接状態を保って相対的に移動するものをいう。
第2の手段は、上記第1の手段を有し、かつ上記摺動車71は、各摺動車部分72…と伝動車3との接触点が摺動車71の摺動方向へ並ぶように各摺動車部分72…を重ね合わせて、各接触点における各摺動車部分の周速度が上記摺動方向に徐々に大となるように形成するとともに、
これら摺動車部分72…を、伝動車3へ圧接させた状態でそれぞれ回転自在に支える支持体31を設け、
これら摺動車71と支持体31との間に、この支持体31に対する各摺動車部分72…の回転駆動力を一つの合力に合成することが可能な合力機構51を形成して、支持体と摺動車との間に作用する回転駆動力を外部へ出力するように構成している。
この構成により、相互に異なる角速度で回転する各摺動車部分の回転駆動力を一つの合力にまとめて効率良く出力することができる。
尚、上記構成中、「各摺動車部分72…の回転駆動力を一つの合力に合成することが可能な合力機構」とは、伝動車3を入力軸に、かつ支持体31を出力軸にそれぞれ連動させたときには、上記の如く各摺動車の回転駆動力を合成する手段として機能すると同時に、支持体31を入力軸に、かつ伝動車3を出力軸にそれぞれ連動させたときに、上記支持体31から伝達された一つの回転駆動力を分解して各摺動車部分へ伝達する分力手段としても機能するものであっても良い。即ち、この分力手段は、構造的に合力機構と同じであり、上記課題解決手段中の「合力機構」の概念に含まれるものとする。
又、「支持体31と摺動車71との間に作用する回転駆動力」とは、後述の第9の手段で述べる通り、摺動車71の回転に従動させて支持体31を回転させる場合において摺動車71側から支持体31へ付与される駆動力と、後述の第10、第11手段で述べる通り、回動不能に設けた支持体から、摺動車との摩擦力の反力としてとった回転駆動力で伝動車を自転乃至公転させる場合における当該回転駆動力をも含むものとする。
第3の手段は、上記第2の手段を有し、かつ、上記各摺動車部分72…は、車軸方向へ層状に或いは半径方向へ多重筒状に重ねられた複数の同心状回転体として形成され、かつその重ね方向と直角方向に離れて具備する第1、第2周縁部73,74を、それぞれ支持体31側及び伝動車3側に当接しており、
上記支持体31は、摺動車71の第1周縁部73側を保持しており、かつ上記伝動車3との間に各摺動車部分72…を挟持するように設けている。
この構成によれば、支持体31と伝動車3との間に各摺動車部分72…を挟持しているので、それぞれの摺動車部分を介して動力を確実に伝達できる。
尚、明細書において、「回転体」とは、本来の回転体の概念(平面図形が同一平面上にある軸の周りを回転して生ずる立体形状)の他、摺動車の機能を損なわない範囲でこれを変形したものを含むものとし、特に後述の第8手段で述べる如く、リング状板などに切割りを穿設したものを含むものとする。
第4の手段は、上記第3の手段を有し、かつ、上記合力機構51は、支持体31側から摺動車71側へ突出させた支持軸52の先端部側に、少なくとも一つの支持回転子53を付設してなり、この支持回転子は、各摺動車部分72…の回転に連動して支持軸52の周りを連動し、かつ伝動車3の定常速度回転時に各摺動車部分72…から支持回転子53に付与される、支持軸52の周りのトルクの総和がほぼ零となるように形成している。
この構成によれば、各摺動車部分72…からの回転駆動力の全てが支持体31側へ伝達され、摺動車部分72及び支持回転子53の無駄な回転が防止される。
上記第5の手段は、上記第4の手段を有し、かつ、上記支持回転子53を、先端面を摩擦面53bとする回転摩擦子とし、その摩擦面53bを、上記各摺動車部分72…の第1周縁部73周面に摩擦接触させることでこれら両面間の摩擦力を合成するように構成している。
この構成によれば、各摺動車部分72…と支持回転子53との間の摩擦力を合成するように設けたから、動力を円滑に伝達することができる。尚、上述の回転摩擦子とは、例えば支持軸の軸方向に対して垂直に付設した摩擦円板などをいう。
第6の手段は、上記第5の手段を有し、かつ、上記支持軸52の基端部側に、支持軸軸線上の一点Kを定点としてこの定点を中心に各摺動車部分72…の重ね方向への支持回転子53の傾動を可能とする揺動手段55を形成している。
この構成によれば、各摺動車部分72…の第1周縁部73周面間に微小な段差が生じても、この段差に対応して支持回転子53が傾動して各摺動車部分72…との間の滑りが最小となるような姿勢を保持する。又、上記揺動は定点を中心としているので、支持軸52の傾斜角度が大きくなり過ぎない限り、上述の如く各摺動車部分72…から支持回転子53に付与されるトルクの総和はほぼ零のままである。
第7の手段は、上記第3の手段を有し、かつ、上記支持回転子53を、支持軸52に取り付けた連動歯車とし、この連動歯車の両側部のうち一方を、支持体31に対して正方向に回転する摺動車部分72…に、他方を、支持体31に対して逆方向に回転する摺動車部分72に、それぞれ差動ギア81…を介して連動させ、これら差動ギアと各連動歯車との噛合い力を合成するように構成している。
この構成によれば、支持回転子53である連動歯車と差動ギア81との噛合い力を合成するので、この作動ギア部との間で滑りのない確動的な動力伝達を可能とする。
第8の手段は、上記第3の手段を有し、かつ、上記各摺動車部分72…を、積層リング板形に付形するとともに、その周方向一部への切割り75穿設により撓み変形可能に形成している。
この構成によれば、上記切割り75穿設により各摺動車部分72…が撓み変形可能に形成しているから、伝動車3及び支持体31の一方から他方へ各摺動車部分72…を介して動力を伝達するときに、その動力に対してこの摺動車自身が作用する反力が低減される。
第9の手段は、上記第3の手段乃至第7の手段のいずれかを有し、かつリング状に形成された摺動車部分72…の内外両周面S1,S2のうち一方を伝動車3に、他方を、合力機構51を介して支持体31にそれぞれ連係させるとともに、この支持体31を回動自在に設け、上記伝動車3乃至支持体31のうち一方に入力された回転駆動力を上記摺動車71及び合力機構51を介して他方から出力するように構成している。
この構成によれば、伝動車3から摺動車71を介して支持体31側に、或いは反対向きに動力を伝達するタイプの無段変速機において、この動力を複数の接触点を介して伝達する本発明を適用できる。
第10の手段は、上記第3の手段乃至第7の手段のいずれかを有し、かつ上記伝動車3を、公転軸12から斜めに突設する自転軸11に支承させた遊星コーンで形成するとともに、この伝動車の公転軌道の外側に、公転軸方向に重ねたリング板状の摺動車部分72…を、かつこの摺動車部分外側に、合力機構51を介して回動不能に設置した支持体31をそれぞれ囲成してなり、
上記公転軸12は入力軸を兼ねており、この入力軸側からの回転駆動力を公転力として伝動車3に付加し、伝動車の公転に追動する各摺動車部分72…からの回転力を上記合力機構51で一つの合力に合成して支持体31へ伝達するとともに、この支持体からとった上記合力の反力で、伝動車3を自転させ、この自転に連動する動力伝達手段を介して上記反力を出力するように設けた。
この構成によれば、遊星コーン型の伝動車を、支持体からとった反力で自転させることで動力を出力するタイプの無段変速機において、本発明を適用できる。
第11の手段は、上記第3の手段乃至第7の手段のいずれかを有し、かつ 上記伝動車3を、公転軸12から斜めに突設する自転軸11に軸止させた遊星コーンで形成するとともに、この伝動車の公転軌道の外側に、公転軸方向に重ねたリング板状の摺動車部分72…を、かつこの摺動車部分外側に、合力機構51を介して回動不能に設置した支持体31をそれぞれ囲成してなり、
上記公転軸と別個に入力軸を設け、この入力軸側からの回転駆動力を自転力として伝動車3に付加し、伝動車の自転に追動する各摺動車部分72…からの回転力を上記合力機構51で一つの合力に合成して支持体31へ伝達するとともに、この支持体からとった上記合力の反力で、伝動車3を公転させ、この公転に連動する動力伝達手段を介して上記反力を出力するように設けている。
この構成によれば、遊星コーン型の伝動車を、支持体からとった反力で公転させることで動力を出力するタイプの無段変速機において、本発明を適用できる。
第12の手段は、上記第2の手段を有し、かつ上記摺動車71は、全体として円盤形であってこの円盤の中心部から突出した車軸85の先端部を支持体31側へ固定するとともに、摺動車71外周部を、複数の伝動車3…との当接により支持してなり、
又、上記車軸85は、相互に重なり合う棒状乃至管状の複数の車軸部分85a,85b…で形成するとともに、外側の車軸部分になるほど各車軸部分の基端部eが支持体31側に位置するように設け、かつこれら車軸部分基端部eに、それぞれ外向きフランジ状の摺動車部分72…を付設している。
この構成によれば、摺動車71を、伝動車3と支持体31との間に挟持させることなく支持する手段が提案されている。
第13の手段は、上記第2の手段を有し、かつ上記摺動車71は、全体としてリング板形であってこのリング板の外周部から車軸方向へ突出した連結筒86の先端部を支持体31側へ固定するとともに、摺動車71の内周部を複数の伝動車3…との当接により支持させてなり、
又、上記連結筒86は、相互に重なり合う連結筒部分86a…で形成するとともに、内側の連結筒部分になるほど各連結筒部分の基端部eが支持体31側に位置するように設け、かつこれら連結筒部分の基端部eに、それぞれ内向きフランジ状の摺動車部分72…を付設している。
この構成によれば、摺動車71を、伝動車3と支持体31との間に挟持させることなく支持する他の手段が提案されている。
本発明は上記構成のものであり、上記第1の手段に係る発明によれば次の効果を奏する。
○摺動車71は、一つの回転軸の周りを異なる角速度で回転可能で回転軸方向に一体的に連繋された複数の摺動車部分72…で形成したから、回転軸方向に対しては一個の摺動車として変位しながら伝動車との間で多数の転がり接触点を有することとなり、これら各点に摺動車全体の伝達動力が分散するため、摩擦による転がり接触点の磨耗が少なく、長い寿命の無段変速機を提供できる。
○又、上記転がり接触点に作用する摩擦力を従来の一点接触型の摺動車の場合と同様の大きさとすれば、より大きな動力を伝達することができる。
第2の手段に係る発明によれば、上記各摺動車部分72…を、伝動車3へ圧接させた状態でそれぞれ回動自在に支える支持体31と、この支持体31に対する各摺動車部分72…の回転駆動力を一つの合力に合成することが可能な合力機構51とを設けたから、これら支持体31及び合力機構51を介して相互に異なる角速度で回転する各摺動車部分72…の回転力を一つにまとめて効率良く外部へ出力することができ、各摺動車部分の転がり接点の一つにおいて滑りを生じても他の転がり接点を介して動力を伝達することができるので、一点接触型の従来の摺動車を用いたものと比較して伝達効率の高い無段変速機を提供することができる。
第3の手段に係る発明によれば、各摺動車部分72…は、車軸方向へ層状に或いは半径方向へ多重筒状に重ねられた複数の同心状回転体として形成され、かつ各摺動車部分72…を、上記支持体31と上記伝動車3との間に挟持するように設けているから、それぞれの摺動車部分を介して動力を確実に伝達でき、更に伝達効力の高い無段変速機を提供することができる。
第4の手段に係る発明によれば、伝動車3の定常速度回転時に、上記支持軸52に付設した支持回転子53に対して各摺動車部分72…が付与するトルクの総和がほぼ零となるように形成したから、各摺動車部分72…及び支持回転子53が無駄に回転することなく、動力の伝達効率が高まる。
第5の手段に係る発明によれば、各摺動車部分72…と支持回転子53との間の摩擦力を合成するように設けたから、円滑な動力伝達が可能な無段変速機を提供することができる。
第6の手段に係る発明によれば、上記支持軸52の基端部に、各摺動車部分72…の重ね方向への支持回転子53の傾動を可能とする揺動手段55を具備しているから、例えば各摺動車部分72…の成形誤差などにより各摺動車部分72…の第1周縁部73周面間に僅かな段差が生じてもこの段差に対応して支持回転子53が傾動して各摺動車部分72…との間の無駄な滑りを排除することができるとともに、支持軸52に無用の応力が作用することを防止できる。
第7の手段に係る発明によれば、支持回転子53である連動歯車とリング板状のギアとの噛合い力を合成するから確動的で滑りのない動力伝達が可能な無段変速機を提供することができる。
第8の手段に係る発明によれば、切割り75穿設により各摺動車部分72…が撓み変形可能に形成しているから、伝動車3及び支持体31の一方から他方へ各摺動車部分72…を介して動力を伝達するときに、その動力に対してこの摺動車自身が作用する反力が低減されるので、各摺動車部分と伝動車3又は支持体31の合力機構51との間の滑りが軽減され、動力を効率的に伝達することができる。
第9の手段に係る発明によれば、伝動車3から摺動車71を介して支持体31側に、或いは反対向きに動力を伝達するタイプの無段変速機において、この動力を複数の接触点を介して効率的に伝達することができる。
第10の手段に係る発明によれば、遊星コーン型の伝動車を、支持体からとった反力で自転させることで動力を出力するタイプの無段変速機において、この動力を複数の接触点を介して効率的に伝達することができる。
第11の手段に係る発明によれば、遊星コーン型の伝動車を、支持体からとった反力で公転させることで動力を出力するタイプの無段変速機において、この動力を複数の接触点を介して効率的に伝達することができる。
第12の手段乃至第13の手段に係る発明によれば、上記摺動車部分72…は、ディスク形状に形成され、その外周縁乃至内周縁を、複数の伝動車3を当接させることで固定させているから、上述の伝動車3と支持体31との間に挟持可能な形状に限定されることがなく、構造設計上の自由度が広がる。
図1から図8は、本発明の第1の実施形態に係る無段変速機の主要機構を示している。
この機構は、図1乃至図3に示す如く、伝動部1と、摺動部21とからなる。
伝動部1は、入力軸2と、伝動車3とで構成されている。この図示例では、入力軸を軸受け(図示せず)により鉛直方向に支持している。伝動車3は、入力軸の先端(図示例では上端)に連結された摩擦円板として形成されている。
摺動部21は、出力軸22と、支持体31と、摺動車71とで構成されている。
上記出力軸22は、入力軸2に対して、各軸からの延長線が交差するように、軸受け(図示せず)によって水平方向に支持されており、更に図示しない位置調整装置に連結させてその軸方向へ進退可能としてある。
上記支持体31は、上記摺動車71を支持するためのもので、図2に示す様に出力軸22から放射状に突出された等長の連結棒32…を介して支持筒33を、車輪の如く形成し、かつこの支持筒33の半径方向外方側に複数の合力機構51を付設している。図示例では出力軸22と連結棒32…とを一体成形しているが、例えば出力軸に固嵌めしたボスから複数の連結棒を突出しても良い。
これら連結棒32の先端部には、上記支持筒33の内面を連結する。この支持筒の両端からは、図1に示す如く外向きフランジ状の一対の挟持部34,34を外方突出しており、これら挟持部の内側には、摺動車案内用の複数のローラ36…を付設している。尚、上記両挟持部34,34は必ずしも外向きフランジ状に形成する必要はなく、例えば支持筒33の両端から、互いに対向させた一対の挟持腕として形成しても良い。
上記支持筒33の外面には、周方向に等間隔を存して合力機構51…を装着する。これら合力機構51は、摩擦円板に形成した支持回転子53の基面53a中心に、支持軸52の先端部を直角に連結してなり、この支持軸の基端部側を、上記支持筒33の外面に穿設した取付け穴37…内に回転自在に挿入している。尚、支持回転子53の先端面53bは、外方に凸の部分球面であってその曲率半径を図2に示す如く摺動車71内径(より正確には後述の中心摺動車部分の内径)よりも小さいものとする。
上記摺動車71は、上記支持体31の外側を囲う断面略矩形のリング体であって、支持体31と伝動車3との間に挟まれており、又摺動車71の内周面S1を、上記支持回転子53の先端面53bに対応した断面凹形に形成して、支持回転子先端面53bに線状接触させるとともに、摺動車71の外周面S2を直筒状に形成している。
この摺動車71は、車軸方向に分離した複数のリング板状の摺動車部分72…を同心状に重ねて形成しており、最も外側の摺動車部分72,72の側外面に既述挟持部34,34を当接させることで、出力軸方向に対しては、支持体31とともに摺動車71全体が一体的に変位するともに、周方向に対しては各摺動車部分72…が相互独立に回転するように設ける。図示の摺動車71は、厚さ方向の巾が等しい奇数(3つ)の摺動車部分72…で形成しているが、必ずしも全ての摺動車部分72の厚さを同じとする必要はない。例えば、車軸方向両側の摺動車部分(4つ以上の摺動車部分があるときには、摺動車71の両側から数えて同じ順位にある対応摺動車部分)の厚さを同じとしても良い。
各摺動車部分72…は、上述の如く一個の摩擦車として図2及び図3に示す様に伝動車3から支持回転子53へ動力f1を伝達するものであり、この動力f1は、支持回転子53側への摺動車部分72の圧接力f2と、支持回転子53と摺動車部分72との間の摩擦により周方向に作用する回転駆動力f3との合力として与えられるものである。このf3は上記圧接力に比例するため、支持軸31を介して出力される各摺動車部分の動力f1の和を十分に大きくするためには、それぞれの摺動車部分72…がそれぞれ所要の挟持力で伝動車3と支持回転子53との間に挟持されることが重要である。そのためには、各摺動車部分72の外径を精密に等しい長さとし、各隣接する摺動車部分72…の第2周縁部(この図示例では外縁部)74周面を相互に面一となし、かつ第1周縁部(この図示例では内縁部)73周面を相互に連続させると良い。又各摺動車部分72は互いに隙間なく重ねるとともに、対向する側面部分間の摩擦抵抗が殆どないように形成すると良い。
ここで各摺動車部分72…の回転駆動力f3は、各摺動車部分の第1周縁部73周面の巾及び抵抗係数などに依存するが、図示例では、図4に示す如く各摺動車部分の回転駆動力f3の大きさが等しくなるように設計している。このとき、支持回転子53と各摺動車部分との接触点から支持軸52軸線までの距離をrと表すとすれば、各摺動車部分72…は、支持回転子53に対して、T0=±f3×rで与えられるトルクを付与することとなるが、伝動車3が定常速度で回転しているときに、摺動車71全体が支持回転子53に対して一定方向にある大きさのトルクを与え続けると、支持回転子53の回転速度が徒に増大し、本来摺動車71から支持体31側へ伝達されるはずの動力の一部が支持回転子53の回転を加速することに消費されるので、動力伝達効率が低下することになる。これを防止するためには、支持回転子53に対する摺動車部分72…の回転駆動力の合力が厳密に支持軸に直交すること、換言すれば各摺動車部分が支持回転子53に付与するトルクの総和が零となるようにすることが必要である。具体的には、図1の如く入力軸2に直交する支持軸52と摺動車71の厚さ方向中心線Cとが重なるように摺動車71を設置させるととともに、図示の如く上記中心線Cに対して対応する2つの対応摺動車部分を同形同巾に形成した場合には、各対応摺動車部分の回転駆動力f3の大きさが釣り合うように形成すれば良い。
摺動車部分の材質は、多少の弾性を有する素材とすることが望ましく、それにより、各摺動車部分の外径及び内径に若干の成形誤差があっても一部の摺動車部分72が伝動車3及び支持回転子53に対して空回りすることを防止できる。好適な素材は鋼材であり、特に転がり接触面となる第1、第2周縁部73,74周面に硬度と平滑度を高める表面処理をした鋼とすることが望ましい。
又、摺動車部分72…の枚数は、摺動車71が伝達すべき動力の大きさに応じて2枚でも4枚以上でも適宜選択することができる。
又、図面上では、構成の理解を容易とするため、各摺動車部分72を、車軸方向(図面では左右方向)の巾が大きい肉厚リング板として描いているが、その巾が大き過ぎると各摺動車部分72と伝動車3との間で滑りを生ずるため、強度的に無理の生じない範囲で車軸方向巾を小とすることが望ましい。この車軸方向巾の好適な例は、変速機の大きさにもよるが、通常は1〜5mm程度である。又、変速機の大きさを考慮すれば、上記車軸方向巾は、転がり接点から入力軸までの距離Laの最大値の1/20程度が好ましい。
上記構成において、図1の状態から伝動部1が回転すると、伝動車3に連動して出力軸22の回りを摺動車71が回転する。図3において摺動車71を構成する各摺動車部分を72B,72A,72B'と表すと、各摺動車部分72A…の転がり接点Pa,Pb,Pb'における周速度は、これら転がり接点Pa,Pb,Pb'から入力軸までの距離La,Lb,Lb'に比例し、又、各摺動車部分72A,72B,72B'の外径は同じであるから、各摺動車部分の角速度ωa, ωb, ωb'も上記距離La,Lb,Lb'に比例することになる。図示例では、各転がり接点Pb, Pa, Pb'間の間隔は同じであるので、中心の摺動車部分72Aを基準とすると、その両側の摺動車部分72B,72B'は、図3に示す如く順逆反対方向に等しい角速度Δω(=ωa−ωb=ωb'−ωa)で回転することになる。このため、支持回転子53は、中心摺動車部分72Aとともに周方向へ公転しながら、両側摺動車部分72B,72B'との接触により支持軸52周りの偶力を受けて自転することとなる。
このとき、中心摺動車部分72A…の回転駆動力f3は、それぞれ支持回転子の先端面53bとの摩擦力に比例して与えられる。これら回転駆動力f3が支持回転子53により合成され、その合力が支持軸52及び支持体31を介して出力軸52へ伝達される。このときの無段変速機の変速比は、摺動車71と伝動車3とが中心摺動車部分72Aでの転がり接触点Paのみで接触している場合と同じである。次に摺動部21が出力軸22方向へ変位すると、変速比が変更される。
又、図示例の入力軸2と出力軸22との役割を入れ替えて、軸22を回転させると、この回転力が上述と逆の順序で軸2に伝達され、かつその変速比を変更することができる。
尚、支持回転子の先端面53bは、中心摺動車部分72Aの内径よりも若干小さい曲率半径を有する凸型部分球面であるため、図2に示す如く、支持軸52の周方向両側で中心摺動車部分72A内面と無理に擦れ合うことがなく支持回転子53の円滑な自転を可能としており、他方、摺動車内周面S1の周方向断面形状は、上記支持回転子の先端面53bと対応した凹型円弧状であるため、両側摺動車部分72B, 72B'と支持回転子との間で確実に動力を伝達することができる。
図5は、第1実施形態の変形例であって、各摺動車部分72…の枚数を5枚とするとともに、幾つかの摺動車部分相互の間に摩擦抵抗軽減用のコロ77を設けたものである。このコロ77は、隣接する摺動車部分72…の側面に、相互に対向させて周設した環状の案内溝78,78の内部に収納すれば良い。尚、図示例では、上記コロ77及び案内溝78を、一番外側の摺動車部分と外側から2番目の摺動車部分との間に設けているが、何れの摺動車部分相互の間に設けても良い。
前述の通り支持回転子53の先端面53bと摺動車の内周面S1とは摺動車71周方向から見た断面上で、相互に対応する円弧状となっているため、各摺動車部分72…に対する伝動車3の押圧力f4…が平行であっても、摺動車内周面S1が支持回転子53の先端面53bへ圧接される際に、その圧接力の反力f5が図5に矢示の通り支持回転子先端面53bから各摺動車部分72…側へ放射状に向かうこととなる。これによって各摺動車部分72…の間に隙間が生じないように摺動車71を挟持部34,34で強く挟持する必要があるが、そうすると各摺動車部分の間で摩擦抵抗を生ずる。上述のコロ及び案内溝は、この摩擦抵抗を軽減するための構成である。特に摺動車の半径に対して車軸方向の巾が大きいとき(例えば摺動車部分72の枚数が多いとき)に採用すると良い。
図6は、第1実施形態の他の変形例であって、上記支持軸52の基端部側に支持回転子53の揺動手段55を設けたものである。この揺動機構は、各摺動車部分72…の成形誤差や変形・磨耗などから摺動車内周面S1に微小な凹凸が生じたときに、この凹凸に対応して摺動車部分の重ね方向(図示例においては摺動車車軸方向)に対して支持回転子53が揺動乃至首振り運動することが可能に構成したものである。
この図示例では、揺動手段55は、上記支持軸52を挿通させたリング状の支承手段56と、この支承手段を、摺動車71の車軸方向(図6では左右方向)及び支持軸52の軸線方向(図6では上下方向)にそれぞれ支える第1、第2支持手段57,58と、揺動代A確保のために支持軸52の基端部と取付け穴37との間に設けた空所59とで形成している。
上記支承手段56は、既述支持回転子53との間に間隙を存して、支持軸52外周面に嵌着させたリング板形のものであり、このリング板の軸方向外面と支持回転子の基面53aとの間にコロ60…を介在させて装着させている。61…はコロ抜出し防止用のリブである。尚、支承手段56は、必ずしもリング形状でなくとも良く、上記支持軸52を回転自在に支承できる構造であれば良い。
上記第1支持手段57は、上記摺動車71車軸方向側から、上記リング状支承手段56の対応両側部分を揺動自在に挟持させて支持するもので、図示例では既述挟持部34,34の各内面から内方突設した突片に形成しているが、反対に上記支承手段56の両側部分から外方突出した突片としても良い。
上記第2支持手段58は、支持体31とリング状支承手段56との間に介在させた緩衝部材であって、支持軸52の両側(摺動車71周方向両側)において上記リング状支承手段56の基端面56aに接触する支点F、Fを有し、リング状支承手段56を、これら両支点を結ぶ線分を中心として摺動車71の車軸方向への揺動が可能に支持している。その線分の中点Kは、支持軸の軸線上にある定点であり、支持回転子56の揺動中心でもある。尚図6上では点FとKとは重なって現われる。図示の第2支持手段58は、図6において摺動車車軸方向の中央部側から両側部側へ次第に肉薄となるリング形の部材として形成しているが、必ずしもこのような形状とする必要はなく、例えば上記支持軸51両側にそれぞれ支点を有する一対の緩衝部材として付設してもよい。
好適な揺動手段55の条件は、この支持回転子が揺動する際、支持回転子53に対する各摺動車部分72…の押圧力(支持回転子の先端面53bに垂直に作用する力)の合力が上記定点Kを通過することであり、この条件が満たされるように第1、第2支持手段57,58が支承手段56を図6の左右及び上下方向に支えている。
上記空所59は、上記取付け穴37の摺動車車軸方向の巾を支持軸52の直径よりも僅かに大きく設けることで支持軸52の摺動車車軸方向両側面及び取付け穴37の対応内面部分に形成している。図面では、これら両面間の間隔、即ち揺動代Aを大きく誇張して描いているが、実際には各摺動車部分の成形誤差の2倍程度の大きさで足りる。図示例では支持軸52の基端面と取付け穴37の上底面との間にも空所を設けている。他方、支持筒33の周方向(図6では紙面に直角な方向)に対しては、取付け穴37内面と支持軸52外周面との各両側部分に揺動代をとらずにこれら両側部分を密接させ、その接触を介して摺動車71の回転力が確実に伝達されるように設ける。
上記構成において、摺動車71の内周面S1が完全に平坦であるときには、支持回転子53の支持軸52も摺動車71の半径方向(図6では上方)に向いている。
次に各摺動車部分72…の外径が成形誤差や磨耗などに不揃いであって、摺動車71内周面S1に微小な凹凸(又は段差)が生じている場合について考察する。図示例では、3つの摺動車部分72のうち左側のものの内周面が他の摺動車部分72より伝動車3側から見て高い場合を想定して想像線で描いている。このとき支持回転子53は図6において左側の摺動車部分72により押上げられて僅かに傾く。ここで各摺動 車部分は多少の弾性変形可能に形成されているため、上記回転支持子53の傾斜状態において、その先端面53bは各摺動車部分の内周面S1にそれぞれ当接している。又、各摺動車部分72…間の段差が摺動車71の周方向の一部にのみ生じている場合には、支持回転子53は、その段差を乗り越えたときには、もとの実線位置に戻る。仮に支持回転子53の揺動機構を設けなかった場合には、上記支持回転子53が上記各摺動車部分72…間の段差箇所を乗り越えているときに、支持回転子の先端面53bと中央及び右側の摺動車部分内周面との接触が不十分となり、従って支持回転子53は、主に左側の摺動車部分72からのみ回転駆動力f3を付与されることとなるため、図4に示すような支持軸52回りのトルクのバランスが維持できず、動力の伝達効率が低下する。これに対して図6の変形例の構成では、各摺動車部分からの回転駆動力f3の変動を抑制することができるので、高い動力の伝達効率を維持できる。
尚、図示例では、第1支持手段57,57は、既述支承手段56を支持しているが、支承手段56に代えて、支持回転子53を摺動車車軸方向へ支えるように構成してもよい。この場合には、第1支持手段57を、例えば上記支持回転子53の外周面に設けたベアリングとして、支持回転子53を揺動及び回転自在に摺動車車軸方向に支持するように設ける。
この変形例の構造は、後述の他の実施形態にも適用することができる。
図7及び図8は、第1実施形態の他の変形例であって、図7は、相互に反対方向に回転する伝動車3を設け、これらの間に摺動部21を挟持させたもので、この構成により、支持回転子53側への摺動車部分72…の圧接力f2が大となり、これにより大きな回転駆動力を伝達することが可能となる。
もっとも、図7に示す構造そのままでは、その動力伝達性能も幾分損なわれることになる。何故ならば、摺動車71の上下両側を伝動車3で押圧したときに、この押圧力f4に対向して各摺動車部分72の反力f5が生ずるため、支持回転子53側への摺動車部分72…の圧接力はf2=f4−f5となるから、即ち圧接力が各摺動車部分72…自身の反力により減殺されるからである。
図8に示す摺動車71は、各摺動車部分72…の周方向一部を半径方向に断ち切る切割り75を穿設するとともに、この切割りの両端間に摺動車部分の変形代dを形成したものであり、同図に想像線で示す如く2つの伝動車3で上下方向から挟持されたときに、各摺動車部分72…が弾性変形するとともに、上記切割り両端間の隙間が収縮するように構成したものである。図面では切割り部分の動作を強調するために、上記変形代を特に大きく描いているが、好ましい変形代は摺動車部分72の外径の0.5%以下である。尚、図8中、実線で描いた切割り75は中心摺動車部分に穿設したもの、破線で描いた切割り75は側方側の摺動車部分に穿設したものである。又、上記切割り75は、各摺動車部分72の外周面における切り口がその摺動車部分両側面側縁に対して直交するように形成しているが、これら両側縁に対して斜行するように形成しても良く、そうすることで切割り設置箇所での各摺動車部分72と伝動車3との間のがたつきを防止することもできる。
上記構成によれば、摺動車部分の反力f5は摺動車部分の弾性力のみであり、切割りを設けない場合の反力に比べて小さいので支持回転子側への摺動車部分72の圧接力f2が図7の場合に比べて大となり、従ってより大きな回転駆動力f3を伝達することができる。
以下、本発明の他の実施形態について説明する。これらの説明において、第1実施形態と同じ構成の部分については同一の符号を付することで説明を省略する。
図9は、本発明の第2の実施形態を示すものであり、その主たる特徴は、摩擦車を利用した第1実施形態の合力機構を、歯車を用いた他の機構に変更したものである。
本実施形態の無段変速機は、相互に向き合い、かつ入力軸2と連動して反対方向に回転するように設けた2つの伝動車3、3を有し、これら伝動車の間に、積層リング板状の摺動車部分72…からなる摺動車71を挟持させるとともに、この摺動車を、内方側から合力機構51と支持体31とで支持している。
支持体31は、中心軸部35と、この中心軸部の両側から突出する円板形の1対の挟持部34,34とで形成されており、これら両挟持部の間に案内用ローラー36…を介して摺動車71を挟持させるとともに、各摺動車部分72…を合力機構51…を介して中心軸部35に連動させている。尚、この中心軸部35は出力軸22の先端と一体的に連続成形されている。
摺動車71は、奇数個(図示例では5個)の摺動車部分72A…で形成されており、かつ、各摺動車部分の車軸方向巾を同じとすることで、図示の如く、その中心の摺動車部分72Aに隣接する第1の対応摺動車部分72B,72B'が、中心摺動車部分72Aに対して順逆反対向きで大きさの異なる相対速度Δωを有し、又、これら両摺動車部分の両側に存する第2の対応摺動車部分72C, 72C'が相対速度2Δωを有するように設けている。もっとも第1、第2対応摺動車部分の車軸方向巾に差をつけることで、これら第1、第2摺動車部分の相対速度の大きさの比を変えることもできる。尚、図示はしないが、第2対応摺動車部分72C, 72C'の両側に、順次、第3、第4…の対応摺動車部分を設けても良いことはもちろんである。
合力機構51は、支持回転子53付きの支持軸52…と、支持リング80と、差動ギア81, 82とで形成されている。
上記支持軸52…は、上記中心摺動車部分72Aの半径方向に沿って上記中心軸部35から放射状に複数個突出したものである。図示例では、上下1対の支持軸52としているが、その個数は適宜変更することができる。又、各支持軸52には、支持回転子53を付設している。
この支持回転子53は、少なくとも一つの連動歯車で形成している。図示の支持回転子は、第1対応摺動車部分72B,72B'と対応させて支持軸の先端部側に付設した小径連動歯車53Aと、第2対応摺動車部分72C,72C'と対応させて支持軸52の基端部側に付設した大径連動歯車53Bとで形成している。これら連動歯車の歯数は、これと連動する対応摺動車部分の速度(中央摺動車部分に対する相対的な速度成分)と比例するように設ける。これら両歯車は、それぞれ図示の如き斜歯歯車とすることが望ましい。尚、図示はしないが、摺動車71の構成において第3、第4…の対応摺動車部分を設けるときには、これらに対応して合力機構51側にも第3、第4の連動歯車を付設すると良く、反対に、摺動車71の構成中第2対応摺動車部分を省略するときには、合力機構51側でも第2連動歯車を形成しなくて良い。
上記支持リング80は、中心摺動車部分72Aの内周面S1から摺動車71半径方向の内方へ突設しており、その支持リング内周縁を上記支持軸52の先端面へ当接させ、この先端面に連動するように設けている。尚、支持軸52と支持リング80とは一体成形してもよい。
上記差動ギア81は、上記第1対応摺動車部分72B, 72B'の第1周縁部(この図示例では内縁部)73から、各支持軸52…の先端部側の小径連動歯車53A…の両側へ突出され、かつこれら両側部へ噛み合わせた1対のリング板形歯車81a, 81bで形成されている。尚、図示例では、各リング板形歯車81a, 81bの各外周部を、基端部側巾狭のテーパ状部に形成することにより、支持回転子53…の直径が過度に小さくならないようにしている。
差動ギア82は、上記第2対応摺動車部分72C, 72C'の第1周縁部73から、各支持軸52…の基端部側の大径連動歯車53B…の両側へ突出され、かつこれら両側部へ噛み合わせた1対のリング板形歯車82a,82bとして形成されている。その他の構造は上記差動ギア81と同じである。
尚、上記リング板形歯車は必ずしも左右対称の一対として設ける必要はない。
以上の構成において、入力軸2を回転させると、2つの伝動車3が逆向きに回転し、これに連動して、各摺動車部分72A…が、各伝動車3との転がり接点とその伝動車3の回転軸との距離に応じた角速度で回転する。このとき中心摺動車部分72Aから支持リング80を介して支持軸52へ回転力が伝達され、又、第1対応摺動車部分72B,72B'の回転力が作動ギア81を介して小径連動歯車53Aへ、かつ第2対応摺動車部分72c,72c'の回転力が作動ギア82を介して各大径連動歯車53Bへそれぞれ偶力として伝達されるので、これら両連動歯車53A,53Bは支持軸52の周りを自転しながら出力軸22の周りを公転することとなり、このとき各摺動車部分72A,72B,72B',72C,72C'の回転力は連動歯車53A,53B及び支持軸52を介して合成され、この合力により摺動部21全体が回転する。
図10乃至図13は、本発明の第3の実施形態を示すものであり、第1実施形態とは反対に、摺動部21の摺動車71内周に伝動車3が接するように伝動部1を形成したものである。
伝動部1は、入射軸2から、図10に示す如く、伝動車3を先端部に形成した複数(図示例では2つ)の傾斜腕4を、入射軸に対して同じ傾斜角度で突設させている。
上記傾斜腕4は、上記入力軸2に基端部を連係させた軸棒5の先端部に円錐形の伝動車3を一体成形するとともに、上記軸棒5を軸受6により基板96に固定してなり、入力軸2を回転させると、軸棒5の軸線を中心として傾斜腕4自体が自転するように形成している。又、これら傾斜腕4は入射軸2方向から見て相互の間に等角度を存して配置されている。又、各伝動車3は、互いに同形であり、かつその支持体側母線がそれぞれ入力軸2と平行な平行母線Gとなるように形成している。
摺動部21は、上記各伝動車3にそれぞれ内周面S1で内接する摺動車71と、この摺動車を支持する支持体31と、この支持体を出力軸22に連結するリンク部材38と、出力軸22とで形成されている。この出力軸22は、図示しない位置調整装置と連結されており、出力軸22を介して摺動部21全体が伝動車3に対して進退可能に設けている。
上記摺動車71は、内外径同一の複数のリング板状の摺動車部分72…を重ねて構成している。これら各摺動車部分の内周面S1及び外周面S2は、図10に示す如く車軸及び直径を含む切断面で見て平坦となるように形成する。図示した摺動車71は、5枚の摺動車部分72…で構成されているが、その枚数は任意で良い。又、上記各摺動車部分72…は、その周方向一部を断ち切る切割り75をそれぞれ穿設し、伝動車3…により内方から圧接力が加わったときに上記切割り75が拡開するように撓み変形するように形成すると良い。従って、第1実施形態のものと異なり、外力が加わらない成形状態において、切割り両端部間に変形代としての間隙が存する必要はない。
上記支持体31は、摺動車3の周囲を囲む枠体として形成され、支持筒33の両側から中心側へ内向きフランジ状の1対の挟持部34,34を突出し、これら両挟持部が案内用ローラ36を介して摺動車71の両側面を挟持するように設ける。上記支持筒33の内面からは支持軸52を介して支持回転子53を突出する。この支持回転子の先端面53bは、支持軸52に対して垂直な平面形状に形成すれば良い。
上記構成において、入力軸2が回転すると、これに連動して傾斜腕4が図10に矢示の如く軸棒5の軸線周りを自転する。このとき伝動車3と各摺動車部分との転がり接触点での周速度は、その接触点から伝動車3の頂点Tまでの距離(中心摺動車部分72Aについては距離La)に比例する。そして各摺動車部分72…は、その車軸方向巾が等しいので、上記転がり接触点における伝動車3の周速度に比例した角速度で回転することになり、第1実施形態の場合と同様に、中心の摺動車部分72Aの角速度を基準とすると、この中心摺動車部分から数えた順位が同じとなる対応摺動車部分は、順逆反対向きで大きさの等しい速度成分を有することとなる。これにより各摺動車部分72…の回転駆動力は、支持回転子53により合成され、支持軸52、支持体31、リンク部材38を介して出力軸22へ伝達される。このときの回転駆動力の変速比は、中心摺動車部分のみが伝動車3に接触している場合と同じであり、摺動部21が伝動車3に対して進退することで変速比が変わる。
尚、第1実施形態の場合と同様に、上記回転駆動力f3は支持回転子53側への摺動車71の圧接力f2に比例するが、この圧接力は図11に示す如く摺動車71側への伝動車3の押圧力f4と摺動車部分72の反力f5と差で与えられることになる。同図中の摺動部1下半に実線で描いた圧接力f2、回転駆動力f3、押圧力f4、反力f5は、切割り75を穿設した場合のもの、同図の摺動部1上半に想像線で描いたそれぞれの力は切割り75を穿設しない場合のものであり、切割りを穿設することで摺動車部分の反力f5が大きく軽減されるため、大きな回転駆動力を伝達することができる。
図12乃至図13は、第2実施形態の変形例であって、第1実施形態における図6変形例に対応する揺動機構を設けたものである。
図6の例では、支持軸52に取付けた既述支承手段56を揺動自在に支持するために第2支持手段58を設けていたが、本実施形態では、支持回転子53を支持部材の支持筒31内周面側に設けているため、この内周面を上記第2支持手段58として利用している。即ち、図13に示すように支持筒31内周面は摺動車71の周方向に沿って湾曲しているため、上記支承手段56を円盤形に形成すれば、この円盤形支承手段の外面の摺動車周方向両側端部(図13では左右両端部)と支持筒33内周面との接触点F、F(或いは両点を結ぶ線分の中点K)を中心として、上記支承手段56及び支持回転子53の揺動が可能となる。その他、図6の例と同じ構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図14は、本発明の第4の実施形態を示すものである。この実施形態は、第3の実施形態における伝動車3を、自転可能であると同時に入力軸の周りを公転可能な遊星摩擦車(遊星コーン)に形成したものである。
本実施形態の構成中従来公知の部分を説明すると、入力軸2の先端(図面では左端)側から、側外方基端部寄りに傾斜させて複数の傾斜腕4…を突出している。各傾斜腕4は、従来公知であり、入力軸と一体として回転する軸棒5の先端部に、円錐形乃至円錐台形であって基端側小径の第1摩擦面C1及び先端側小径の第2摩擦面C2を有する伝動車3を、傾斜腕4の中心線である自転軸11周りを自転自在に軸止させてなる。第2摩擦面C2の仮想頂点(本明細書において円錐台面の母線の延長線が交差する点をいう)Tは、自転軸11上にあり、又、第1摩擦面C1の仮想頂点は、自転軸11と入力軸2の軸線(公転軸)12との交点Oに一致するように設けることで、この交点を頂点として全ての伝動車3の第1摩擦面C1と包絡する円錐面(出力円錐面という)Eの上での伝動車の角速度が同一となるように設けている。この出力円錐面Eと第2摩擦面C2の平行母線Gとは、点Yで交わっており、この点(速度基準点という)における角速度により、出力軸の速度が与えられる。
図示例では、この伝動車3は、軸棒5先端部へ嵌合させた有頂筒形であって、外周面を第1摩擦面C1とした第1伝動車部分3aと、この第1伝動車部分の先端側へ平行ジョイント8を介して連結した傘形であって、外周面を第2摩擦面C2とした第2伝動車部分3bとで形成している。尚、上記平行ジョイント8は、緩衝円板8aの4辺にそれぞれ切欠き9…を穿設し、これら切欠きのうち相互に対向する一組の切欠き9内へ第1伝動車部分3aの頂板から突出する1対の係合棒8b,8bを、他の組の切欠き9内へ第2伝動車部分3bの内面側から突出する1対の係合棒8c,8cをそれぞれ挟持させ、第1伝動車部分3aから第2伝動車部分3bへ第2伝動車部分の回転力を伝動するとともに、第1伝動車部分3aに対して第2伝動車部分3bが僅かに首振り(或いは歳差)運動することが可能に構成している。又、第2伝動車部分の第2摩擦面C1の先端側からは枢軸部10を突出しており、この枢軸部を、入力軸2の基端部側に軸方向への摺動自在に嵌合させたリング板形の軸受6によって半径方向及び公転軸方向に拘束しかつ支持している。
そして上記伝動車の第1摩擦面C1は、この第1摩擦面と面接可能なテーパ状端面を有する出力筒(動力伝達手段)23を介して出力軸22へ連動させてあり、又、第2摩擦面C2は、各伝動車3周りに回動不能に囲成した摺動部21の摺動車71内周面へ当接させている。第1摩擦面車軸2摺動部21は、位置調整装置97により摺動車71の車軸方向へ進退可能に設ける。
本発明においては、摺動部21は、回動不能の支持体31と、摺動車71とで形成されており、摺動車71は複数の摺動車部分72…で形成するとともに、これら各摺動車部分の各外周面を支持回転子53の先端面53bへ滑らずに摩擦接触させることで、上記第2摩擦面C2上の何処に摺動部21が位置していても摺動車71全体としての角運動量が零となるように形成している。図示例の場合には、奇数枚の摺動車部分のうち支持回転子53の中心と接する中心摺動車部分72Aの角速度は零であり、又、中心摺動車部分72Aから数えた順番が同じ対応摺動車部分については順逆反対向きで大きさの等しい角速度を有する。図示の合力機構51の構成は図11のものと基本的に同じである。
上記構成において、入力軸2を回転させると、伝動車3は、入力軸2に連動して入力軸2の周りを公転するとともに、摺動車71との摩擦接触により公転力と逆向きの反力を受けて、傾斜腕4の中心線を自転軸11として自転し、この自転力が第1摩擦面C1から出力筒23を介して出力軸22へ出力される。
このとき、伝動車第2摩擦面C2の平行母線G上の1点における周速度Vは、図14の上部に示す如く、伝動車3の公転速度をV1、その自転速度をV2とすると、V=V1−V2で与えられる。公転速度V1は第2摩擦面C2の平行母線G上のどこでも一定であるが、自転速度V2は第2摩擦面C2の仮想頂点Tからの距離に比例するため、その周速度Vは、図示の如く第2摩擦面C2の仮想頂点T側から単調減少し、摺動車の中心摺動車部分72Aで零になった後、速度基準点Yでは符号Vyで示すごとくその向きが反対となる。この速度基準点での角速度で出力筒23を介して出力軸22へ回転力が伝達される。次に位置調整装置97を作動させて摺動部21を仮想頂点T側へ移動すると、図6に符号Vy‘として示す如く速度基準点Yでの周速度が大きくなり、これに対応してその角速度も大となるので、出力軸22の回転数が増大する。他方、摺動部21の中心摺動車部分72Aが速度基準点Yに一致すると、出力筒23及び出力軸22は停止する。
尚、上記構成において、入力軸2と出力軸22との役割を入れ替えて、軸22に対して回転動力を入力することもできる。このとき回転動力は、軸22から筒23を介して伝動車3へ伝達され、まず伝動車3が自転軸11の回りを自転する。このとき伝動車の自転に追従して対応摺動車部分も相互に反対向きに回転するが、支持体31が回転不能に設けられているので、摺動車71全体としての角運動量は零であり、支持体31からの反力が摺動車71を介して伝動車3に伝達されて、伝動車3が軸2とともにその軸線上を公転するので、公転軸12(乃至軸2)を動力伝達手段として、上記反力を外部へ出力すれば良い。又、図示はしないが、軸2の代わりの他の動力伝達手段、例えば軸2の周囲を囲む中空軸であって第1伝動車部分3aに連動するように設けたものを用いることもできる。
図15は、本発明の第5の実施形態を示すものであり、この第2実施形態の構成中摺動車部分72…を支持体31と伝動車3との間に挟持した点を、変更するものである。尚、同図は、本実施形態の主要部を大きく表すために上半断面図として描かれており、省略された下半部は図示の上半部と上下対称に現れる。
この実施形態では、入力軸2に補助歯車13を介して連動する2つの伝動車3を相互に対向させて配置させ、かつこれら伝動車の間に全体としてほぼ円盤形状の摺動車71を挟持させるとともに、その摺動車の中心部から車軸85を伝動車3の間より外方へ突出し、この摺動車車軸85の先端部側を支持体31で支持している。この車軸は、棒状の車軸部分85aとその上に順次重なる管状車軸部分85bとで形成している。これら車軸部分の基端部は外側の車軸部分になるほど支持体31の近くに位置するように設けられ、これら各車軸部分の基端部に外向きフランジ状の摺動車部分72…を付設している。図示例では各管状車軸部分85b…の途中部に継手87を設けている。又、各車軸部分85a,85b…の先端部は、合力機構51の連動歯車53A,53B及び支持体31を介して出力軸22に連動させている。図示の連動歯車53A,53Bは、支持軸52の周りを囲む管状連結部材を介して一体的に連結して各連動歯車の空回りを防止するように設けているが、それら両連動歯車を別体として形成してもよい。支持体31は、出力軸22の先端側からフランジ状壁を介して支持筒33を突出してなる。尚、上記支持筒33内面に固定させるとともに、各支持軸52に、それぞれ小径連動歯車53A及び大径連動歯車53Bからなる支持回転子53を付設し、第1対応摺動車部分72B,72B'の車軸部分先端部側に付設した差動ギア81を、上記小径連動歯車53Aの両側へ、又、第2対応摺動車部分72C,72C'の車軸部分先端側に付設した差動ギア82を、上記大径連動歯車53Bの両側へそれぞれ噛み合せたものである。
図16は、上記第6実施形態の変形例を図15と同様の上半断面図で示したものであり、省略した下半部は図示の上半部と上下対称に現れる。この実施形態では、摺動車71は、全体としてリング板状に形成されており、その摺動車の外周部から車軸方向へ突出した連結筒86の先端部側を支持体31側へ固定するとともに、摺動車71の内周部を、複数(図示例では2つ)の伝動車3の当接により固定している。この伝動車3は、基板96から突出した軸に支承され、かつ入力軸2と連動して自転可能に設けられている。
上記連結筒86は、相互に密着させて多重筒状に重なる連結筒部分86a…で形成されており、かつこれら連結筒部分の基端部が内側の連結筒部分になるほど支持体31の近くに位置するように設け、かつこれら基端部から内向きフランジ状に摺動車部分72…を突出している。尚、図示例では連結筒部分の途中に継手部87を形成している。又、連結筒部分の先端部は、図15例における車軸部分の先端部と同様に、合力機構31の支持回転子53の両側に噛み合う差動ギア81に形成している。上記支持回転子53は、図示の通り複数の連動歯車で形成している。
尚、上記摺動車71と連結筒86と合力機構51とは矢示の通り入力軸2の軸線方向へ一体的に変位することが可能に構成されている。
図17は、本発明の第7実施形態を示したものである。本実施形態は、第1乃至第5実施形態における積層リング板形の摺動車部分72…に代えて、多重筒状の摺動車部分72…を設けたものである。
図示例では、大径、中径、小径の3重筒状の摺動車部分72B',72A,72Bを、支持体31の上面側へ取付けるとともに、各摺動車部分上端面に伝動車3を摺接させている。
伝動車3は、可動基板96に対して軸受け6,6で斜めに固定された軸棒5に付設されており、図示しない位置調整装置により可動基板96及び軸棒5とともに矢示の如く水平方向へ進退可能に形成している。軸棒5は入力軸2に連動させている。伝動車3の形状は、図示のような円錐台形或いは円錐形であって、その下側母線が上記伝動車の進退方向と平行な平行母線Gとなるように設ける。
支持体31は、大径円形の装着穴39を上面に開口した基盤形のものである。その装着穴39は、小径の下半部39aと大径の上半部39bとで形成されている。又、装着穴下半部39aの一方側部を切り欠いて凹所40を設け、この凹所下方の底壁部分に貫通孔41を穿設している。
小径摺動車部分72Bは、上記装着穴下半部39a内から支持体31上面の上方へ起立させてほぼ直筒形に形成しており、その下端面はコロ60を介して装着穴39底面へ載置されている。又、小径摺動車部分72Bの下部外面を、側外方へ張出す大外径部に形成して、この大外径部の外面に差動ギア81形成用の歯列83…を設けている。
中径摺動車部分72Aは、第1実施形態における中心摺動車部分に対応するもので、上記小径摺動車部分72B外面へ回動自在に嵌合させた上半筒部と、この上半筒部下端から外向きフランジ88を介して垂下する下半筒部とを有し、この下半筒部下端面を、小径摺動車部分72Bの周りの装着穴39底面部分上にコロ60を介して載置している。又、中径摺動車部分72Aの下半筒部の一部(図示例では左右両側部)には、窓孔89,89を穿設して、これら窓孔の上下両辺間に回動自在に縦設した回転軸52に小径の第1連動歯車53Aと大径の第2摺動歯車53Bとを付設している。又、上記窓孔89下方の中径摺動車部分外面には、出力軸側への動力伝達用歯列84…を設けている。
大径摺動車部分72B'は、上記中径摺動車部分72Aの上半筒部へ回動自在に嵌合させた小外径筒部の下部外面から、肉厚の外方張出し部91を外方突出するとともに、この外方張出し部の下面外周部を、コロ60…を介して上記装着穴39周辺の支持体31上面部分に載置させている。又、外方張出し部91の裏面からは、装着穴上半部39bの内面と中径摺動車部分72Aの下半筒部外面との間に脚筒92を垂下し、かつこの脚筒の内面下端部に差動ギア81形成の歯列83…を周設している。
これら小径・中径・大径の摺動車部分72B,72A,72B'の上端部は同じ巾に形成しており、又、その各上端面は、それぞれ上記伝動車3の平行母線Gと摺接可能な面一に形成している。
上記小径摺動車部分72B下部外面に設けた歯列83…と、大径摺動車部分72B'の脚筒92内面とは歯列83…とは、上記伝動車3と連動して正逆反対向きに回転する差動ギア81として、中径摺動車部分72Aの連動歯車53A,53Bをはさんで対向位置に配置され、この連動歯車の内側及び外側にそれぞれ噛み合せて合力機構51を構成している。更に上記貫通孔41を通って出力軸22を下方から凹所40内へ挿入するとともに、出力軸22上端に付設した補助歯車93を、上記中径摺動車部分72A外面下端の歯列84…に噛み合せている。
尚、この実施形態では、3枚の摺動車部分で摺動車を形成しているが、摺動車部分の数は適宜変更することができる。
上記構成において、入力軸2に連動して伝動車3が軸棒5の周りを自転すると、この伝動車に追従して各摺動車部分72A,72B,72B'が筒軸Qの周りをそれぞれの角速度で自転する。各摺動車部分72A…の角速度は、伝動車の仮想頂点Tから各摺動車部分の転がり接点Pa…までの距離(中心摺動車部分に関してはLa)に比例し、他方、上記摺動車71上端面の中心Oから各摺動車部分の転がり接点までの距離(中心摺動車部分に関してはRa)に反比例する。図示のように仮想頂点Tから各転がり接点Pa…までの距離が、摺動車上端面の中心Oから各転がり接点までの距離よりも大きいときには、内側の摺動車部分ほど速い角速度で自転することとなり、中径摺動車部分72Aの角速度を基準とすると、小径摺動車部分72B及び大径摺動車部分72B'は反対向きの速度を有するが、このときの各摺動車部分の回転駆動力が合力機構51により合成され、補助歯車93を介して出力軸22へ伝達される。伝動車3が摺動車72の直径方向へ進退すると、変速比が変わる。
本発明の第1実施形態に係る無段変速機の主要機構の側面断面図である。 図1の無段変速機の主要機構の正面断面図である。 図1の無段変速機の主要機構の斜視図である。 図1の主要機構の要部拡大図である。 第1実施形態の変形例の要部拡大断面図である。 第1実施形態の他の変形例の要部拡大図である。 第1実施形態の更に他の変形例の要部拡大図である。 第1実施形態の更に他の変形例の要部拡大図である。 本発明の第2実施形態に係る無段変速機の主要機構の側面断面図である。 本発明の第3実施形態に係る無段変速機の主要機構の側面断面図である。 図10の機構の正面断面図である。 第3実施形態の変形例の要部拡大断面図である。 図12の要部をXIII−XIII方向から見た図である。 本発明の第4の実施形態に係る無段変速機の主要機構の半断面図である。 本発明の第5の実施形態に係る無段変速機の主要機構の側断面図である。 本発明の第6実施形態に係る無段変速機の主要機構の側面断面図である。 本発明の第7の実施形態に係る無段変速機の主要機構の側断面図である。 従来の無段変速機の原理図である。
符号の説明
1…伝動部 2…入力軸 3…伝動車 21…摺動部 22…出力軸 31…支持体
51…合力機構 52…支持軸 53…支持回転子 55…揺動手段 56…支承手段
72…摺動車部分 72A…中心摺動車部分 72B,72B'…第1対応摺動車部分
72C,72C'…第2対応摺動車部分 75…切割り

Claims (13)

  1. 出力軸乃至入力軸と連動する伝動車に摺動車を転がり接触させ、その接触点を変位することで変速比を制御可能とした無段変速機において、
    上記摺動車71は、一つの回転軸の周りを異なる角速度で回転可能で回転軸方向に一体的に連繋された複数の摺動車部分72…で形成し、これら各摺動車部分をそれぞれ上記伝動車3に転がり接触させたことを特徴とする無段変速機。
  2. 上記摺動車71は、各摺動車部分72…と伝動車3との接触点が摺動車71の摺動方向へ並ぶように各摺動車部分72…を重ね合わせて、各接触点における各摺動車部分の周速度が上記摺動方向に徐々に大となるように形成するとともに、
    これら摺動車部分72…を、伝動車3へ圧接させた状態でそれぞれ回転自在に支える支持体31を設け、
    これら摺動車71と支持体31との間に、この支持体31に対する各摺動車部分72…の回転駆動力を一つの合力に合成することが可能な合力機構51を形成して、支持体と摺動車との間に作用する回転駆動力を外部へ出力するように構成したことと特徴とする、請求項1記載の無段変速機。
  3. 上記各摺動車部分72…は、車軸方向へ層状に或いは半径方向へ多重筒状に重ねた複数の同心状回転体として形成され、かつその重ね方向と直角方向に離れて具備する第1、第2周縁部73,74を、それぞれ支持体31側及び伝動車3側に当接しており、
    上記支持体31は、摺動車71の第1周縁部73側を保持しており、かつ上記伝動車3との間に各摺動車部分72…を挟持するように設けていることを特徴とする、請求項2記載の無段変速機。
  4. 上記合力機構51は、支持体31側から摺動車71側へ突出させた支持軸52の先端部側に、少なくとも一つの支持回転子53を付設してなり、この支持回転子は、各摺動車部分72…の回転に連動して支持軸52の周りを連動し、かつ伝動車3の定常速度回転時に各摺動車部分72…から支持回転子53に付与される、支持軸52の周りのトルクの総和がほぼ零となるように形成したことを特徴とする、請求項3記載の無段変速機。
  5. 上記支持回転子53を、先端面を摩擦面53bとする回転摩擦子とし、その摩擦面53bを、上記各摺動車部分72…の第1周縁部73周面に摩擦接触させることでこれら両面間の摩擦力を合成するように構成したことを特徴とする、請求項4記載の無段変速機。
  6. 上記支持軸52の基端部側に、支持軸軸線上の一点Kを定点としてこの定点を中心に各摺動車部分72…の重ね方向への支持回転子53の傾動を可能とする揺動手段55を形成したことを特徴とする、請求項5記載の無段変速機。
  7. 上記支持回転子53を、支持軸52に取り付けた連動歯車とし、この連動歯車の両側部のうち一方を、支持体31に対して正方向に回転する摺動車部分72…に、他方を、支持体31に対して逆方向に回転する摺動車部分72に、それぞれ差動ギア81…を介して連動させ、これら差動ギアと各連動歯車との噛合い力を合成するように構成したことを特徴とする、請求項3記載の無段変速機。
  8. 上記各摺動車部分72…を、積層リング板形に付形するとともに、その周方向一部への切割り75穿設により撓み変形可能に形成したことを特徴とする請求項3記載の無段変速機。
  9. リング状に形成された摺動車部分72…の内外両周S1,S2のうち一方を伝動車3に、他方を、合力機構51を介して支持体31にそれぞれ連係させるとともに、この支持体31を回動自在に設け、上記伝動車3乃至支持体31のうち一方に入力された回転駆動力を上記摺動車71及び合力機構51を介して他方から出力するように構成したことを特徴とする、請求項3乃至請求項7のいずれかに記載の無段変速機。
  10. 上記伝動車3を、公転軸12から斜めに突設する自転軸11に支承させた遊星コーンで形成するとともに、この伝動車の公転軌道の外側に、公転軸方向に重ねたリング板状の摺動車部分72…を、かつこの摺動車部分外側に、合力機構51を介して回動不能に設置した支持体31をそれぞれ囲成してなり、
    上記公転軸12は入力軸を兼ねており、この入力軸側からの回転駆動力を公転力として伝動車3に付加し、伝動車の公転に追動する各摺動車部分72…からの回転力を上記合力機構51で一つの合力に合成して支持体31へ伝達するとともに、この支持体からとった上記合力の反力で、伝動車3を自転させ、この自転に連動する動力伝達手段を介して上記反力を出力するように設けたことを特徴とする、請求項3乃至請求項7のいずれかに記載の無段変速機。
  11. 上記伝動車3を、公転軸12から斜めに突設する自転軸11に支承させた遊星コーンで形成するとともに、この伝動車の公転軌道の外側に、公転軸方向に重ねたリング板状の摺動車部分72…を、かつこの摺動車部分外側に、合力機構51を介して回動不能に設置した支持体31をそれぞれ囲成してなり、
    上記公転軸と別個に入力軸を設け、この入力軸側からの回転駆動力を自転力として伝動車3に付加し、伝動車の自転に追動する各摺動車部分72…からの回転力を上記合力機構51で一つの合力に合成して支持体31へ伝達するとともに、この支持体からとった上記合力の反力で、伝動車3を公転させ、この公転に連動する動力伝達手段を介して上記反力を出力するように設けたことを特徴とする、請求項3乃至請求項7にいずれかに記載の無段変速機。
  12. 上記摺動車71は、全体として円盤形であってこの円盤の中心部から突出した車軸85の先端部を支持体31側へ固定するとともに、摺動車71外周部を、複数の伝動車3…との当接により支持してなり、
    又、上記車軸85は、相互に重なり合う棒状乃至管状の複数の車軸部分85a,85b…で形成するとともに、外側の車軸部分になるほど各車軸部分の基端部eが支持体31側に位置するように設け、かつこれら車軸部分基端部eに、それぞれ外向きフランジ状の摺動車部分72…を付設したことを特徴とする、請求項2記載の無段変速機。
  13. 上記摺動車71は、全体としてリング板形であってこのリング板の外周部から車軸方向へ突出した連結筒86の先端部を支持体31側へ固定するとともに、摺動車71の内周部を複数の伝動車3…との当接により支持させてなり、
    又、上記連結筒86は、相互に重なり合う連結筒部分86a…で形成するとともに、内側の連結筒部分になるほど各連結筒部分の基端部eが支持体31側に位置するように設け、かつこれら連結筒部分の基端部eに、それぞれ内向きフランジ状の摺動車部分72…を付設したことを特徴とする、請求項2記載の無段変速機。



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