JP2005063791A - 色素増感型光電変換素子用電解質高分子添加剤、それを用いた光電変換素子、及び電解質の製造方法 - Google Patents

色素増感型光電変換素子用電解質高分子添加剤、それを用いた光電変換素子、及び電解質の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光電変換効率、特に短絡電流密度を向上させる光電変換素子用電解質を提供することを目的とする。
【解決手段】ヨウ化物イオンと対になっているカチオン部位A、ヨウ素と電荷移動錯体を構成させることができる部位B、及び前記AとBとを直接連結する炭素数が2個以上である連結部位Cを側鎖に有する高分子を含んで成る色素増感型光電変換素子用電解質高分子添加剤。
上記高分子添加剤0.1〜50重量%、有機溶融塩化合物99.8〜49.9%、および、ヨウ素0.1〜10重量%を含んでなる色素増感型光電変換素子用電解質。
【選択図】なし

Description

本発明は、色素増感型光電変換素子の電解質として有用な高分子電解質に関する。さらには、さらにはこれを用いた光電変換素子に関する。
環境問題を考慮した発電システム、もしくは可搬型携帯用電源として有用な光電変換素子、いわゆる太陽電池の開発が近年盛んである。これらは現在単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン等の無機物からなる素子が中心である。これらは、現在実用化されているものもあるが、家庭用電源として広く普及させるためには、製造コストが高いこと、原材料の確保が困難であること、またエネルギーペイバックタイム、即ち製造するために要した電気量を自らの発電によって賄うために要する時間が長いこと等の問題が多く、これらの解決が望まれていた。また小型携帯型情報機器用電源として用いようとする場合には、無機物であるために柔軟なセルを構成することは困難であり、実装上の問題を有していた。
これらの問題を解決するため、有機材料を用いた光電変換素子の検討が行われている。しかしながら、一般にはこの様な光電変換素子は、光電変換効率が低く、また耐久性も良くなかった。
このなかでヨウ素化合物の酸化還元を利用した電解質を用いて成る色素増感型光電変換素子(非特許文献1参照)の報告がなされており、これは光電変換効率が高いという特徴を有している。しかしながら、この方法では、例えばプロピレンカーボネート等の低分子量カーボネート類、もしくはテトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル等の低分子量エーテル類、アセトニトリル、プロピオニトリル等の低分子量ニトリル類等の低分子量有機液体に、電極活物質としてヨウ素、もしくはヨウ素イオンを溶解させた電解質が用いられている。しかしながら低分子量有機液体では素子外部への電解液の漏洩、電極活物質の揮発、溶出等による長期信頼性に問題があった。
このため、近年高分子化合物を主体とした高分子ゲル電解質、もしくはいわゆる有機溶融塩もしくはイオン性液体と称される有機液体を電解質に用いる検討がなされている。
特に高分子化合物を主成分とした各種高分子ゲル電解質の検討が行われている(特許文献1〜9参照)。これら高分子ゲル電解質からなる光電変換素子は、電解液の漏洩や枯渇といった問題を解決するだけではなく、素子の柔軟性付与や、種々の形状に加工できる等の利点もある。しかしながら高分子ゲル電解質の機械的強度を持たせるために多くのゲル化剤を導入するとイオン伝導度が低下し、逆にイオン伝導度を向上させるためにゲル化剤を減量すると、機械的強度が保てないという本質的な問題を抱えていた。
一方、イミダゾリウム塩やピリジニウム塩を利用した有機溶融塩を主体とした電解質の検討も進められている(特許文献10〜13参照)。これら有機溶融塩からなる光電変換素子は、不揮発性の有機溶融塩を用いているため電解液の枯渇という問題はない。しかしながら、有機溶融塩は粘凋であるために、イオン伝導度の低下はさけられなかった。即ち、光電変換効率、とくに短絡電流密度(その素子が発生させることが出来る素子面積あたりの最大電流)の低下が著しいという問題があった。
さらに、この様な有機溶融塩構造を高分子内に有する構造をもつ高分子を添加する、さらにはそれを架橋部位として利用した電解質についての検討がなされている。(特許文献14〜19、及び非特許文献2参照)。しかしながら、これらの先行技術には同一高分子内にカチオン部、それに対をなすヨウ化物イオン、及びその化学的に結合したヨウ素会合体を併せてなる高分子に関しての言及はなく、さらに、この三者の集合形態を制御し、伝導性を高める工夫についても言及はなされていない。
ヨウ素の電荷移動錯体の構成については、従来より既知である(非特許文献3参照)しかしながら、この錯体を活用して光電変換素子の特性を高める手法については、言及されてはいない。
特開平5-120912号公報 特開平9-27352号公報 特開平8-236165号公報 特開2001-210390号公報 特開2002-216845号公報 特開2002-289272号公報 特開2003-68137号公報 特開2003-68138号公報 特開2000-150006号公報 特開2000-53662号公報 特開2000-58891号公報 特開2000-90991号公報 特開2001-35253号公報 特開2000-86724号公報 特開2000-100485号公報 特開2001-23705号公報 特開2001-35550号公報 特開2001-160427号公報 特開2002-50414号公報 B.Oregan, M.Gratzel, Nature. 1991年, 第353巻, 737ページ 早瀬 修二ら,Chemistry Letters, 2002年, 9月号, 918ページ A.Zewailら,J. Phys. Chem. A, 1998年,第102巻, 4082ページ
本発明は、色素増感型光電変換素子に好適に用いられるヨウ素を活物質とした電解質に関し、イオン伝導性を向上させる添加物を提供することを目的にしている。即ち、高い光電変換効率、特には高い短絡電流密度を発揮させる電解質、さらにはこれを用いた光電変換素子を提供することを課題としている。
本発明者は、高分子内にカチオンとヨウ化物イオン、及びヨウ素会合部位を同一高分子内に含んでなる高分子化合物を電解質中に添加することで、優れたイオン伝導性向上効果を示すことを見出し本発明に至った。即ち、一分子内にカチオンとそれに対をなすヨウ化物イオン、それに特定の間隔をもって構成されるヨウ素会合部位を有している高分子化合物が、カチオンと対ヨウ化物イオン、会合したヨウ素の間で、ヨウ素の酸化還元反応が効率的に進行し、高い伝導性、ひいては、高い光電変換効率、短絡電流密度を発揮するものである。
即ち本発明は、ヨウ化物イオンと対になっているカチオン部位A、ヨウ素と電荷移動錯体を構成させることができる部位B、及び前記AとBとを直接連結する炭素数が2個以上である連結部位Cを側鎖に有する高分子を含んで成る色素増感型光電変換素子用電解質高分子添加剤に関する。
また、本発明は、上記高分子添加剤0.1〜50重量%、有機溶融塩化合物99.8〜49.9%、および、ヨウ素0.1〜10重量%を含んでなる色素増感型光電変換素子用電解質に関する。
また、本発明は、上記電解質を用いてなる光電変換素子に関する。
また、本発明は、上記高分子添加剤とヨウ素とを、有機溶融塩化合物中で反応させることを特徴とする電解質の製造方法に関する。
さらに、本発明は、カチオン部位Aを反応によって形成させることが出来る部位を持つ高分子(a)と、高分子(a)と反応して錯体構成部位Bと連結部位Cを構成することが出来る化合物(b)と、ヨウ素とを有機溶融塩化合物中で反応させることを電解質の製造方法に関する。
本発明の電解質は、優れたイオン伝導性向上効果を示し、ヨウ素の酸化還元反応が効率的に進行し、高いイオン伝導性、ひいては、高い光電変換効率、短絡電流密度を発揮した。
特に、電解質中に含まれる、いわゆる有機溶融塩が主成分として用いられる電解質においては、イオン伝導性の低下に伴う伝導性の悪化が問題になっていた。この場合に、本発明における高分子添加剤を添加することで、高いイオン伝導性を発揮させることが出来る。
本発明におけるカチオン部位Aは、酸化還元により電子伝導を担うヨウ化物イオンを固定させることを目的としている。さらに高分子中にカチオン部を配置することによって、近隣のヨウ素イオンとの相互関係を強め伝導性を高くすることができる。
カチオン部位Aを構成する形態は塩形成であり、カチオン部がヨウ化物イオンと対をなす能力を有していれば特に限定はないが、例えば、四級アンモニウム塩がある。具体的には、例えばピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、オキサゾリウム塩、N-アルキル置換ピロール塩等の芳香族塩類としても良く、またN-置換モルホリノ塩、ピペリジン塩、ピロリドン塩等環状脂肪族塩類、もしくはN,N,N-メチルエチルプロピル塩等の直鎖脂肪族塩類、N,N-アルキルアニリノ塩等芳香族脂肪族塩類としても良い。好ましくは、全ての結合が炭素と共有結合しているアミンの四級塩である。
カチオン部位Aを構成するヨウ化物イオンは、酸化還元により電子伝導を担う活物質として必須である。
本発明におけるヨウ素と電荷移動錯体を構成させることができる部位Bは、ヨウ素錯体形成部位であり、ヨウ素と電荷移動錯体を形成し、そのヨウ素と、カチオン部位Aを構成するヨウ化物イオンとの間で、酸化還元反応を誘起して伝導性の向上を図ることを目的としている。なお、芳香族化合物とヨウ素は電荷移動錯体を形成することは、既知である。
錯体形成部位Bとしては、具体的にはフェニル基、トルイル基、キシリル基、ビフェニル基等の芳香族炭化水素類、及び前記芳香族炭化水素類の置換誘導体等からなる錯体が挙げられる。
錯体形成部位Bを構成する芳香族炭化水素に含んで良い置換基としては、メチル基、エチル基、ノルマル及びイソプロピル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基、ステアリル基、シクロヘキシル基等の直鎖、及び分岐アルキル基、フロロ基、クロル基、ブロモ基、ヨード基等のハロゲン基、メトキシ基、エトキシ基、水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、カルボン酸エステル基等の酸素含有基、ニトロ基、アミノ基等の窒素含有基等が挙げられる。また、置換数においても特に限定はない。
連結部位Cは、カチオン部位Aと錯体形成部位Bとを結合し、ある特定の間隔を持たせることを目的としている。これを含ませることで、カチオン部位Aのヨウ化物イオンと、錯体形成部位Bと錯体を形成しているヨウ素との間で起こる酸化還元反応を制御していると考えられる。
連結部位Cの大きさ、即ち炭素数としては、2以上であることが必要である。炭素数が1である場合、アルキル基による立体的な回り込みが不十分で、本発明の効果が発揮できない。また、連結部位Cの炭素数が8以下さらに好ましくは6以下であることが好ましい。この場合の分岐については特に限定はない。
また、連結部位Cを構成する元素や結合様式については特に限定はなく、炭化水素のアルキル基だけではなく、例えばジエチレングリコール基等のエーテル結合系、エステル結合系、ウレタン結合系、カーボナート結合系も含まれる。
ら有利である。
本発明の高分子添加剤である高分子の合成法を挙げれば、カチオン部位Aを反応によって形成させることが出来る部位を持つ高分子(a)と、高分子(a)と反応して錯体構成部位Bと連結部位Cを構成することが出来る化合物(b)とを反応させることによって得ることができる。
ここで、カチオン部位Aを反応によって形成させることが出来る部位として、例えば三級窒素原子等が挙げられる。
ここで示される高分子(a)としては、例えばポリビニルピリジン、ポリビニルN-メチルイミダゾリウム等の芳香族系ポリアミン類、ポリメチルアリルアミン等の脂肪族ポリアミン類等が挙げられる。無論ホモポリマーである必要はなく、それぞれの共重合体、もしくはその他単量体との共重合体であっても良い。
ここで、化合物(b)の高分子(a)と反応する部位としては、例えばハロゲン基等が挙げられる。
ここで示される化合物(b)としては、例えば、(2-ヨードエチル)ベンゼン、(3-ヨードプロピル)ベンゼン、(4-ヨードブチル)ベンゼン、(2-ヨードエチル)トルエン、(2-ヨードエチル)キシレン等のヨウ素化合物等が挙げられる。
高分子(a)と化合物(b)とが反応することによって、カチオン部位Aが形成されると同時に錯体構成部位Bと連結部位Cを構成することが出来る部位も導入できる。
さらには、化合物(b)として、例えば(2-ブロモエチル)ベンゼン等の臭素化合物を用いて、本発明における高分子添加剤と同骨格の臭化物塩を構成させた後、ヨウ素イオンで交換しても良い。即ち、電解質中に含まれるヨウ素、もしくは有機溶融塩の対イオンとして含まれるヨウ化物イオンと電解質中で自ずとイオン交換するために、ヨウ素を添加、もしくは有機溶融塩がヨウ化物塩である場合には実際の使用上特に問題は無い。
高分子(a)に含まれるカチオン部を反応によって形成させることが出来る部位の総モル量に対して、化合物(b)は、0.1〜5モル当量添加することが好ましく、更に好ましくは0.5〜3モル当量である。
高分子(a)と化合物(b)の反応条件としては、例えば20℃から80℃の範囲において行われることが好ましく、更に好ましくは25℃から40℃の範囲である。この範囲よりも低温である場合には、反応の進行に時間がかかりすぎ、高温である場合には、その他添加剤等の機能が損なわれるため好ましくない。特にこの温度範囲で反応を行った場合には、ヨウ素と会合部位Bとの錯体化が良好に進行し素子特性が向上する。
本発明における高分子添加剤の分子量としては特に限定はないが、高分子添加剤の主鎖部、カチオン部位A、錯体形成部位B、結合部位Cの分子量を合計し、また対イオンを形成しているヨウ化物イオン、錯体を形成しているヨウ素の分子量を除いた分子量において500〜1,000,000、更に好ましくは1,000〜500,000の範囲である。この範囲よりも小さい場合にはヨウ化物イオンの集合による効果が得られにくい。また、大きい場合には電解質の粘度上昇に伴う多孔質層への浸透が困難になり、光電変換素子としての性能に悪影響をもつ。
本発明において用いられる高分子添加剤の添加量としては、好ましくは電解質の総重量に対して0.1〜50重量%、更に好ましくは1〜20重量%である。この範囲よりも添加量が少ない場合には、その有効性が希薄になり、また多い場合には、電解質の粘度向上に伴う伝導性の悪化が見られる。
本発明における有機溶融塩化合物としては、有機カチオン、もしくは有機アニオンから成り融点が室温以上であるものを指す。特に本発明においては、示差熱量計における凝固点熱量ピークが30℃以下のものを指す。これ以上の凝固点を示すものは本発明における光電変換素子として利用した場合、通常の使用状態において固体化してしまい電解質として有効に作用しない。
具体的に有機溶融塩部を構成する有機カチオンとしては、例えば芳香族系カチオン類としてN-メチル-N'-エチルイミダゾリウムカチオン、N-メチル-N'-n-プロピルイミダゾリウムカチオン、N-メチル-N'-n-ヘキシルイミダゾリウムカチオン等のN-アルキル-N'-アルキルイミダゾリウムカチオン類、N-ヘキシルピリジニウムカチオン、N-ブチルピリジニウムカチオン等のN-アルキルピリジニウムカチオン類等が挙げられる。また、脂肪族カチオン類として、N,N,N-トリメチル-N-プロピルアンモニウムカチオン等の脂肪族系カチオン類、N,N-メチルピロリジニウム等の環状脂肪族カチオン類が挙げられる。
具体的に有機溶融塩部を構成する有機アニオンとしては、例えば塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲン化物イオン、六フッ化リンイオン、4フッ化ホウ素イオン、過塩素酸イオン、次塩素酸イオン、塩素酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン等無機アニオン類、ビス(トリフロロメチルスルホニル)イミド等のアミド、イミド系アニオン類等が挙げられる。
本発明において用いられる有機溶融塩化合物の添加量は、好ましくは電解質総重量に対して99.8〜49.9重量%の範囲、更に好ましくは98.0〜80重量%の範囲が好ましい。この範囲をよりも多くの有機溶融塩を添加させることは、その他の構成分を考慮すると実質的に出来ず、またこれよりも少ない添加量では、電解質の性状や電解質の耐久性に悪影響を及ぼすため好ましくない。
本発明において用いられるヨウ素は、電解質内において酸化還元を繰り返すことによって電子の移動を媒介する活物質である。特に有機溶融塩部を構成するアニオンがヨウ化物イオンだった場合には添加しなくても電子の移動を媒介することが出来るが、好ましくは電解質総重量に対し0.1重量%、更に好ましくは1.0重量%程度添加することで、電子の移動を考慮すると好ましい。さらに、添加量が10重量%、更に好ましくは5重量%を超える場合には、ヨウ素の持つ光の吸収によって素子の起電量が減少してしまう。これらのことを勘案し、ヨウ素の添加量はこの範囲が好ましい。
本発明において用いられる電解質の製造方法については特に限定はない。例えば、本発明における高分子添加剤を前もって別個に合成し、それを電解質に調合することは勿論、電解質の調合時に、本発明における高分子電解質を構成する原料を調合し、電解液中で反応させ結果的に本発明における高分子添加剤を電解質中において合成することも可能である。この場合、直接高分子添加剤を電解質中で構成させることが出来るために、高分子添加剤を例えば溶解させる等の手間がかからず、簡便且つ生産性等の観点か
ら有利である。
しかも本法により製造した電解質を用いた素子は、特性にも優れている。これは、電解質中で反応させることでヨウ素、カチオン部位A、錯体構成部位Bとの相互作用がもっとも優れた環境になるためと考えられる。
本発明において用いられる電解質には、これらの成分の他にその素子特性、素子製造時のライン適性、実際の使用時における素子特性等を考慮し、その他の添加剤を加えることも出来る。例えば、粘度調整を目的とした粘度調整剤、電極の特性を高めるその他電極調整剤、難燃性を付与する難燃剤、耐久性向上を目的とする酸化防止剤、電極表面との親和性を制御する目的とする表面張力調整剤、電解質の注入・塗工といった工程上のライン適性を付与を目的とする添加剤、例えば消泡剤等の各種添加剤等が挙げられる。
具体的に調合法を挙げれば、高分子(a)、有機溶融塩、高分子(a)を除くその他添加剤等を調合し、さらに化合物(b)を加え、十分反応させうる温度と時間を保つことで、本発明の高分子添加剤が電解質中において合成される。
本発明における色素増感型光電変換素子とは、非特許文献1に指し示されるような、導電性透明基板状に成形された多孔質半導体層からなる電極と、導電性を有する対極、その間をヨウ化物イオン、及びヨウ素化合物を酸化還元媒体として電解質によって構成される光電変換素子である。好ましくは、多孔質半導体層には増感色素と称される化合物を吸着してなる素子である。
高分子(a)と化合物(b)を調合し素子を構成する順番としては特に限定はないが、例えば調合後短時間のうちにセルを構成し、素子構成後熟成させ高分子(a)と化合物(b)の反応を完結させることも出来る。この場合、反応によって電解質の粘度が上昇するため、多孔質半導体電極への浸透を考慮するとより好ましい。
以下に、本発明における高分子添加剤、及びそれを用いた電解質、さらには素子化についての詳細な実施例を示す。
実施例1 高分子添加剤の調製
攪拌装置、加熱装置、冷却管を装備した25ミリリットル反応容器中に、表中に示す高分子(a)1g、さらにN-メチル-N'-ヘキシルイミダゾリウムヨウ化物塩(HMII)/プロピオニトリル(PCN)=8/2(重量)混合溶媒9gを仕込み、加熱攪拌しながら溶解させた。溶解後さらに化合物(b)を表中記載量添加し、70℃24時間反応を行った。
反応終了後、100ミリリットルのメタノール中に反応液を滴下し、更に沈殿物を四度メタノールで洗浄することで、過剰量の化合物(b)と溶媒を除去し、高分子添加剤を得た。
Figure 2005063791
表中略語の表記、MW:GPCによって示される重量平均分子量、値はk:キロ、例えば60kは平均分子量6万を示す。PVP:ポリ4-ビニルピリジン、PVI:ポリ1-ビニルイミダゾリウム、PMA:ポリ-N-メチルアリルアミン、EBI:(2-ヨードエチル)ベンゼン、PBI:(3-ヨードプロピル)ベンゼン、BBI:(4-ヨードブチル)ベンゼン、HBI:(6-ヨードヘキシル)ベンゼン、OBI:(8-ヨードオクチル)ベンゼン、MBI:ベンジルヨーダイド、HI:ヨウ化ヘキシル
実施例2 高分子添加剤種による光電変換素子特性の評価
電解質の調製
実施例1、及び比較例1にて調製した高分子添加剤を表中記載量(表中記載値は重量%)、ヨウ素を1.5重量%、N-メチル-N'-ヘキシルイミダゾリウムヨウ化物塩(HMII)/プロピオニトリル(PCN)=8/2(重量)混合溶媒中に添加し、十分攪拌し高分子添加剤が完全にするのを確認した。
素子材料の調製(電極の調製)
酸化スズ膜を形成させた導電ガラス上に、酸化チタン分散液をハンドアプリケータにて膜厚およそ10マイクロメートル程度、幅10ミリメートルに塗工し、その後100℃で30分、さらに460℃で40分程度乾燥、焼成を行った。このときの塗膜厚はおおよそ8マイクロメートルであった。こうして得られた多孔質膜を、ルテニウム色素(ソーラロニックス社製ルテニウム535)0.5ミリモル/リットルのエタノール溶液に24時間含浸させた。含浸終了後、エタノールで過剰の色素を洗浄し、60℃で20分間乾燥させた。
光電変換素子の組み立て
前項にて調製した透明電極の酸化チタン焼成部が1センチメートル平方の正方形となるようにもう一辺の酸化チタン焼成膜を削切した。さらに厚さ25マイクロメートルのポリプロピレンフイルムをスペーサーとし、セルを構成した。
そのスペーサーの上から正方形に削切した酸化チタン焼成膜に、調製した電解質溶液20マイクロリットルを塗工し、その上から白金板で覆い治具で固定した。余剰の電解質を除去した後、周囲をエポキシ系封止剤で周囲を覆い素子を得た。
光電変換特性の測定
こうして得られた光電変換素子の透明電極部、及び白金対極部に電極を取り付けた。さらに、AM-1.5条件下における素子特性を、短絡電流密度(Jsc, mA/cm2)、開放電圧(Voc, mV)、光電変換効率(m, %)の面から評価を行った。なお、走査時間は16秒とした。
比較例2−1〜3電解液(有機溶剤系電解質)の調製
プロピオニトリル溶媒中に、ヨウ素1.5重量%、N-メチル-N'-ヘキシルイミダゾリウムヨウ化物塩(HMII)10重量%、t-ブチルピリジン3重量%、ヨウ化リチウム1重量%を溶解させ、比較となる有機溶剤(プロピオニトリル)系電解質を調製した。
Figure 2005063791
実施例3 電解質組成比による光電変換素子特性の評価
電解質の調製
実施例1-1で調製した高分子添加剤5重量%、表中有機溶融塩を表中記載量(重量%)、ヨウ素(I)を表中記載量(重量%)、粘度調製剤としてメトキシプロピオニトリル(MPCN)を表中記載量(重量%)配合し電解質を構成した。
Figure 2005063791
実施例4 電解質の製造方法
攪拌装置を持った混合容器に高分子(a)としてポリビニルピリジン0.2g、ヨウ素0.2gさらにN-メチル-N'-ヘキシルイミダゾリウムヨウ化物塩(HMII)/プロピオニトリル(PCN)=8/2(重量)混合溶媒9.6gを仕込み、完全に溶解するまで攪拌した。
さらに表中記載の化合物(b)を記載量計量(mg)し、全量が100mgになるように上記(a)溶液を加え素早く攪拌した。攪拌終了後配合液の入った容器を密封し、表中記載の温度で表中記載の時間保存し熟成、即ち(a)と(b)を反応させた。
熟成終了後、この配合液を電解質として実施例2記載の方法で光電変換素子を構成し、素子特性を評価した。
Figure 2005063791
EBI:(2-ヨードエチル)ベンゼン、HBI:(6-ヨードヘキシル)ベンゼン、OBI:(8-ヨードオクチル)ベンゼン、EBBr:(2-ブロモエチル)ベンゼン
実施例5 素子構成方法の検討(素子内熟成)
実施例4と同等の方法によって(a)及び(b)を調合し、調合直後に実施例2と同等の方法により封止素子を構成し、恒温槽中25℃7日間熟成した。熟成後の素子特性を実施例2と同等の方法で評価した。
Figure 2005063791
EBI:(2-ヨードエチル)ベンゼン、
実施例2の結果から、明らかなように、連結部位Cの炭素数は重要であり、炭素数1以下のものに比べ、Jscの値の向上が確認された。
本発明において用いられる高分子添加剤は、主に酸化・還元反応を媒体として電子を輸送する電解質の伝導性を向上させる特徴を有している。本発明においてはヨウ素を酸化・還元媒体として電子を輸送する色素増感型光電変換素子用の電解質に添加することで、その特性を最大限発揮させることが出来る特定の構造を有する高分子添加剤である。
このため、その他の酸化還元媒体を用いて電子を輸送する電解質については、その媒体との親和性を保つ部位を有していれば、同等の機能を発揮する可能性がある。

Claims (5)

  1. ヨウ化物イオンと対になっているカチオン部位A、ヨウ素と電荷移動錯体を構成させることができる部位B、及び前記AとBとを直接連結する炭素数が2個以上である連結部位Cを側鎖に有する高分子を含んで成る色素増感型光電変換素子用電解質高分子添加剤。
  2. 請求項1記載の高分子添加剤0.1〜50重量%、有機溶融塩化合物99.8〜49.9%、および、ヨウ素0.1〜10重量%を含んでなる色素増感型光電変換素子用電解質。
  3. 請求項2記載の電解質を用いてなる光電変換素子。
  4. 請求項1記載の高分子添加剤とヨウ素とを、有機溶融塩化合物中で反応させることを特徴とする電解質の製造方法。
  5. カチオン部位Aを反応によって形成させることが出来る部位を持つ高分子(a)と、高分子(a)と反応して錯体構成部位Bと連結部位Cを構成することが出来る化合物(b)と、ヨウ素とを有機溶融塩化合物中で反応させることを電解質の製造方法。
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