JP2012069501A - 色素増感太陽電池用高分子電解質とその用途 - Google Patents

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Shigeto Iwasa
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Abstract

【課題】作業性に優れ、良好な光電変換効率を有し、耐久性、形状安定性にも優れた色素増感太陽電池用高分子電解質を工業的に効率良く提供する。
【解決手段】(i)式(1)に示した側鎖にニトリル基を有するポリエーテル重合体と、
Figure 2012069501

[式中、Aは活性水素含有化合物残基、mは1〜1,200の整数、nは0〜25の整数、pは1〜12の整数をそれぞれ表わす。]
(ii)酸化還元対を含む電解液、
からなることを特徴とする、色素増感太陽電池用高分子電解質組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、色素増感太陽電池に用いられる高分子電解質とその用途に関する。
従来、クリーンなエネルギーである太陽光で発電する太陽電池には、単結晶シリコンあるいは多結晶シリコン太陽電池やアモルファスシリコン太陽電池が市販されているが、それぞれ製造コストが高いという問題がある。
一方、これらのシリコン系の太陽電池以外では、光電変換層の電解質に有機化合物を用いた太陽電池がある。その中で色素増感太陽電池は、有機色素を利用して光起電力を得るもので、代表的な型式はグレッツエル型と呼ばれる。
このグレッツエル型太陽電池は、2枚の透明電極の間に微量のルテニウム錯体などの色素を吸着させた二酸化チタン層あるいは酸化亜鉛層と、電解質を挟み込んだ構造のものである。
このグレッツエル型太陽電池は軽量で着色可能であることや、構造が単純で材料も広く開発されて比較的安価であるなどの利点があるため、現在最も多く利用されている多結晶シリコン太陽電池と比較して生産コストを大幅に低くできることが期待されている。
このような理由から、色素増感太陽電池に用いられる有機化合物の電解質には電解液を用いた湿式のものなどが広く研究されている(例えば、「非特許文献1」)。この色素増感太陽電池に用いられる電解液には、非プロトン性溶媒であるニトリル化合物や環状炭酸エステル、環状エステル等を用いた場合に光電変換率が高いことが知られており一般的には使用されている。
しかしながら、この湿式の太陽電池は電解液の液漏れや揮発が比較的起こりやすく、これによって光電変換効率が著しく低下すること、破損した場合には可燃性の電解液が漏洩するため危険であること、電解液の蒸散のため電池セル内圧の上昇による破損の危険があるなどの欠点がある。
そこで、この液漏れを防止するためにポリマーに電解液を含浸させたポリマー電解質が検討されている。そして、光電変換効率の向上に有効と思われるニトリル基を有するポリマーであるポリアクリロニトリルを擬固体化して固体電解質として用いた例があるが、光電変換効率は低く、十分な光電変換効率を発現するものが得られていない(例えば、「特許文献1」)。
また、このようなポリマーをそのまま電解質に用いる場合は、通常は高粘度のポリマー溶液を直接電極に塗布する等の方法によって電極間に電解質層を形成させるが、溶液粘度を低くすれば直接電池セルに注入することも可能となる。しかしながら、この直接電池セルに注入する場合、酸化物半導体微粒子が用いられた電極の細孔内部へうまく含侵できないと導電特性が発現しない等の問題が生じる。
特開2002−289270号公報
ネイチャー,353(24)、737〜740(1991)
以上のような事情を鑑み、本発明の課題は、作業性に優れ、良好な光電変換効率を有し、耐久性、形状安定性にも優れた色素増感太陽電池用高分子電解質を工業的に効率良く提供することにある。
本発明は、以下の式(1)のポリマーと酸化還元対を含む電解液からなる色素増感太陽電池用高分子電解質用組成物、そこにさらに架橋剤を共存させた架橋能力を有する色素増感太陽電池用高分子電解質組成物、およびそれらを用いてなる色素増感太陽電池を提供する。
本願発明の項1は、
(i)式(1)に示した側鎖にニトリル基を有するポリエーテル重合体と、
Figure 2012069501
[式中、Aは活性水素含有化合物残基、mは1〜1,200の整数、nは0〜25の整数、pは1〜12の整数をそれぞれ表わす。]
(ii)酸化還元対を含む電解液、
からなることを特徴とする、色素増感太陽電池用高分子電解質組成物である。
本願発明の項2は、上記本願発明の項1に記載の組成物に、更に、(iii)イソシアネート基を2個以上有する化合物から選ばれる少なくともひとつの架橋剤を含むことを特徴とする、請求項1に記載の色素増感太陽電池用高分子電解質組成物である。
本願発明の項3は、活性水素含有化合物残基Aが多価アルコールから誘導されたものであることを特徴とする、項1または2に記載の色素増感太陽電池用高分子電解質組成物である。
本願発明の項4は、架橋剤が、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、トリメチロールプロパンTDI3モル付加体または、これらの任意の混合物からなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする、請求項2または3に記載の色素増感太陽電池用高分子電解質組成物である。
本願発明の項5は、酸化還元対が、ヨウ素とヨウ素化合物または臭素と臭素化合物の対であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の色素増感太陽電池用高分子電解質組成物である。
本願発明の項6は、電解液が、非プロトン性有機溶媒であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の色素増感太陽電池用高分子電解質組成物である。
本願発明の項7は、請求項1〜6のいずれかに記載の色素増感太陽電池用高分子電解質組成物を用いた色素増感太陽電池である。
本発明を用いることにより、得られる色素増感太陽電池用高分子電解質組成物は作業性に優れ、良好な光電変換効率を保持する。特に該組成物が架橋剤を含む場合のその架橋体は、良好な光電変換効率を維持しつつ、耐久性および形状安定性に優れる。
以下、本発明の構成につき詳細に説明する。
式(1)の化合物は、例えば適当な触媒の存在下、活性水素化合物と式(2)のニトリル基を有するグリシジルエーテルを公知の方法で重合することにより容易に得ることができる。また、この式(2)の化合物自体はエピハロヒドリンとアルコールからの一般的なエーテル合成法等により容易に合成が可能である。合成によって得られる式(2)で表される単量体では、nは0〜25であって、0〜5が好ましい。nが25より大きいとCN基による電荷移動への効果が薄れるので好ましくない。
Figure 2012069501
式(1)で示される骨格を有するポリエーテル重合体としては、活性水素含有化合物にニトリル基を有するグリシジルエーテル類を、触媒存在下で、分子量が1,000〜100,000、すなわち、式(1)のmが1〜1,200となるように反応させて得たものである。中でも分子量が1,000〜5,000で式(1)のmが1〜50のものが好ましい。mが1,200を超えると溶液粘度が高くなり電極の細孔内部へ含浸が不十分になる。
活性水素含有化合物としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース、ポリグリセリン等の多価アルコール;ブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、アニリン、ベンジルアミン、フェニレンジアミン等のアミン化合物;ビスフェノール−A、ハイドロキノン、ノボラック等のフェノール性活性水素化合物;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等の一分子中に異種の活性水素含有基を有する化合物等が挙げられるが、多価アルコールが好ましく、特にグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールの3価あるいは4価のアルコールがより好ましい。
重合反応は次のようにして行える。開環重合触媒として有機アルミニウムを主体とする触媒系、有機亜鉛を主体とする触媒系、有機錫-リン酸エステル縮合物触媒系などの配位アニオン開始剤、または対イオンにKを含むカリウムアルコキシド、ジフェニルメチルカリウム、水酸化カリウムなどのアニオン開始剤を用いて、活性水素含有化合物と式(2)のモノマーを溶媒の存在下又は不存在下、反応温度10〜120℃、撹拌下で反応させることによって式(1)のポリエーテル重合体が得られる。重合度、あるいは得られる共重合体の性質などの点から、対イオンにKを含むカリウムアルコキシド、ジフェニルメチルカリウム、水酸化カリウムなどのアニオン開始剤が好ましく、なかでもt−ブトキシカリウムが取り扱い易く特に好ましい。
本発明で使用するニトリル基を有するポリエーテル重合体は電解質全体に対して2〜60重量%が好ましく、更に好ましいのは5〜30重量%の範囲である。
このポリエーテル重合体の架橋は、以下に示す架橋剤を用いることで可能である。
架橋剤としては、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、トリメチロールプロパンTDI3モル付加体等が挙げられ、単独またはこれらの混合物から適宜選択することができる。
この場合、架橋のメカニズムとしては、式(1)の側鎖にニトリル基を有するポリエーテル重合体は、その末端に水酸基を有しているので、架橋剤が有するイソシアネート基との反応により架橋することができる。式(1)のポリエーテル重合体の水酸基に対して架橋剤中のイソシアネート基数が0.1〜5.0、好ましくは0.5〜2.0倍になるように混合し反応するのが好ましい。
架橋反応をより効果的に進行させる場合は、例えば、ジブチルチンジラウレート(DBTDL)、ジブチルチンジアセテート(DBTA)、フェニル水銀プロピオン酸塩、オクテン酸鉛等の有機金属化合物や、トリエチレンジアミン、N,N′−ジメチルピペラジン、N−メチルモルホリン、テトラメチルグアニジン、トリエチルアミン等のアミン系化合物を架橋触媒として用いてもよい。
本発明で用いる酸化還元対としては、電気化学的に酸化還元を起こす酸化還元対であればいずれでもよいが、ヨウ素とヨウ素化合物との組み合わせ、または臭素と臭素化合物との組み合わせが好ましい。中でも、I2とLiIなどのヨウ素塩との組み合わせ、Br2とLiBrなどの臭素塩との組み合わせが好ましい。またLiIの代わりに各種のイオン性液体を用いることもできる。
例えば、1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウムイオダイド、1−メチル−2−エチル−イミダゾリウムイオダイド、1−メチル−2−プロピルイミダゾリウムイオダイド、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムイオダイド、などのイミダゾリウム塩、テトラプロピルアンモニウムアイオダイドなどの4級アンモニウム塩、1−ブチル−4−メチルピリジニウムイオダイドなどのピリジニウム塩などが挙げられる。これらのイオン性液体を用いる場合には溶媒を用いずに使用することも可能である。酸化還元対およびイオン性液体の濃度は、電解質全体に対して0.1重量%〜30重量%であることが好ましいが、さらに好ましくは0.2重量%〜20重量%である。
本発明で使用する電解液は非プロトン性溶媒であってよいが、電解質を溶解し、架橋後のポリエーテルポリマーと分離しないことが条件となる。ニトリル類、環状または鎖状カーボネートおよび環状エステルより選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。ニトリル類としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、メトキシプロピオニトリルが好ましく、環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどが好ましく、環状エステルとしては、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、σ−ブチロラクトンなどのラクトン類が好ましい。これらの溶媒は単独で用いても良いが、2種以上の混合物として用いても良い。電解液の量は、電解質全体に対して10重量%〜98重量%であることが好ましいが、さらに好ましくは50重量%〜95重量%である。
本発明の色素増感太陽電池用高分子電解質は、そのまま太陽電池内部に含浸させて使用できる。また、該電解質が架橋剤を含む場合には含浸後加熱等の適当な架橋手段を用いて架橋体として使用することができる。この場合、ポリエーテル重合体を予め別途合成しているため、ポリエーテル重合時の重合開始剤や、未反応のポリエーテル重合体がほとんど存在しないことから光電変換効率に悪影響を及ぼさないため、高い光電変換効率を維持し、耐久性の高い色素増感太陽電池用高分子電解質組成物とその架橋体を効率よく提供することができる。
本発明の色素増感型太陽電池の構成は、特に限定されることはなく、高分子電解質組成物以外は従来の公知の基本的な色素増感太陽電池の構成で実施できる。その構成の例を挙げると、透明なガラスまたはプラスチックフィルムの片面に透明導電膜をコートした2枚の透明導電基板の一方に、増感色素を担持した金属酸化物の微粒子からなる多孔質の半導体層を設けた電極と、もう一方は表面に導電性物質を導入した対向電極とし、これらの一対の電極間に電解質を配置した構造である。
上記の半導体層には、例を上げるとCd、Zn、In、Pb、Mo、W、Sb、Bi、Cu、Hg、Ti、Ag、Mn、Fe、V、Sn、Zr、Sr、Ga、Si、Crなどの金属酸化物が用いられるが特に、TiO又はZnOが好ましい。半導体層は、例えば電極を有する基板の表面に、半導体微粒子を含有するスラリー液を公知の方法により塗布し、その後、400〜600℃の範囲内の温度で加熱焼結することにより形成させることが可能である。
半導体微粒子に吸着、担持させる色素は、ルテニウムビピリジン系色素、アゾ系色素、キノン系色素、キノンイミン系色素、シアニン系色素、トリフェニルメタン系色素、ポリフィリン系色素、フタロシアニン系色素、インジゴ系色素、ナフタロシアニン系色素等が例として挙げられるが、特にルテニウムビピリジン系色素は可視光域で吸収帯域が広いので特に好ましい。
半導体層への色素の担持方法としては、半導体層を有する電極を備えた基板を、増感色素を溶媒に溶かした色素溶液に浸漬する方法あるいは、色素溶液を半導体層に塗布することで良いが、浸漬中に加熱あるいは超音波をかけることで浸漬の効率を上げることも効果的である。
このときの溶媒としては、アルコール類、ニトリル類、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、ジメチルスルホキシド、アミド類、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、3−メチルオキサゾリジノン、エステル類、炭酸エステル類、ケトン類、炭化水素、水等の溶媒などの増感色素を溶解可能なものであればいずれも使用できる。
上記の半導体層を形成する導電層は、ガラスまたはフィルム等の透明な基板の一方の面に形成し、このように作成した電極は負極として作用させる。
この負極の導電層を形成するために好ましい導電剤としては、例をあげると、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウムなどの金属、または炭素、またはインジウム−錫複合酸化物、フッ素をドープした酸化錫などの導電性の金属酸化物が挙げられる。
もう一方の対極となる電極は太陽電池の正極として作用させる。前記の半導体層が設けられる側の電極と同様に形成することができるが、本発明における色素増感太陽電池の対電極の材料としては、電解質の還元体に電子を与える触媒作用を有する白金やグラファイトなどが好ましく太陽電池の正極として効率よく作用する。
また、本発明では、半導体層から電解質への逆電子移動を防止するなどの目的でtert−ブチルピリジンや2−ピコリン、2,6−ルチジンなどの塩基性化合物を前述の電解質に添加することが好ましい。これら塩基性化合物を添加する場合の好ましい濃度範囲は、電解液に対し0.05〜2mol/Lである。
また、本発明では、光電流を更に増大させるとともに、初期の光電変換効率を更に上昇させる目的で、電解液にグアニジン塩を含むことが好ましい。グアニジン塩としては、チオシアン酸グアニジンが上げられる。グアニジン塩を添加する場合の好ましい濃度範囲は、電解液に対し0.02〜0.5mol/Lである。
実施例
本発明を実施するための具体的な形態を以下に実施例を挙げて説明する。但し、本発明はその要旨を逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
ポリエーテル重合体およびプレポリマーの分子量測定にはゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定を行い、標準ポリスチレン換算により数平均分子量および重量平均分子量を算出した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定は株式会社島津製作所の測定装置RID−6A、昭和電工(株)製カラムのショウデックスKD−807、KD−806、KD−806M及びKD−803、及び溶媒DMFを用いて60℃で行った。
光電変換効率の測定は、以下に記載する組み立て方法に従い作成した色素増感太陽電池を山下電装(株)製ソーターシミュレーター YSS−E40型で、光の強度1Sunになるように調節した後、TiO2極にマイナス(−)、対極にプラス(+)の端子を取り付け、-0.1V〜0.8Vの電圧をかけ、測定を行った。
[合成例:式(1)のポリエーテル重合体の合成]
[合成例1]
式(1a)のポリエーテル重合体の合成は次のとおり行なった。
3つ口フラスコに、グリセリン0.2モル(18.4g)にt-ブトキシカリウム0.03モル(3.4g)を加え攪拌しながら昇温し、120℃で式(2)のn=1のシアノエチルグリシジルエーテル2.3モル(292.4g)を3時間で滴下後120℃のまま3時間加熱後冷却し、精製した。
数平均分子量2,400である下記の式(1a)の骨格を有するポリエーテル重合体を330g得た。
Figure 2012069501
ここで、Aはグリセリン残基である。
[合成例2]
式(1b)のポリエーテル重合体の合成は次のとおり行なった。
3つ口フラスコに、ペンタエリスリトール0.2モル(27.2g)に微分末上の水酸化カリウム0.03モル(1.7g)を加え攪拌しながら昇温し、100℃で式(2)のn=1のシアノエチルグリシジルエーテル2.0モル(254.2g)を3時間で滴下後100℃のまま3時間加熱後冷却し、精製した。
数平均分子量1,200である下記の式(1b)の骨格を有するポリエーテル重合体を238g得た。
Figure 2012069501
ここで、Aはペンタエリスリトール残基である。
[電解液の調整例]
3−メトキシプロピオニトリルを溶媒として、4−t−ブチルピリジン(0.5M)、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムイオダイド(0.6M)、ヨウ素(0.03M)、グアニジンチオシアネート(0.1M)の濃度で溶解させた溶液を、電解液とした。
[色素増感太陽電池セルの組み立て]
色素増感太陽電池セルの組み立ては、Thin Solid Films 516(2008)4613-4619 に従い行なった。具体的には、次のとおりである。
1)酸化物薄膜電極の製造
フッ素ドープ酸化スズ透明導電性ガラスからなる基材(厚さ4mm、抵抗値30Ω/cm)に平均粒子径30nmの酸化チタンペーストを16μm塗布し、さらに平均粒子径400nmの酸化チタンペーストを4μm塗布した後に、空気雰囲気中、325℃から500℃まで段階的に加熱することにより、透明導電性ガラスからなる基材の表面に酸化チタンからなる酸化物薄膜電極を形成した。
2)陽極の製造
酸化物薄膜電極の製造に用いたものと同じ透明導電性ガラスからなる基材の表面に、2mg/mLに調製した塩化白金酸のエタノール溶液を塗布し、400℃で15分間加熱することにより形成した。
3)色素溶液の調製
市販の色素「N719」をアセトニトリル/tert−ブタノール混合溶媒(体積比:50/50)に溶解させ、色素の濃度が0.5mmol/Lである色素溶液を調製した。
4)陰極の製造
前記の酸化物薄膜電極を、前記色素溶液中に室温で20時間浸漬することにより、酸化物薄膜電極に色素を吸着させ、陰極を製造した。
5)色素増感太陽電池の製造
前記陽極の白金焼結面と、前記陰極の酸化物薄膜電極形成面が対向するように配置し、シール材で接着し、空隙中にポリマー電解質溶液を注入して色素増感太陽電池を製造した。
[色素増感太陽電池の評価]
実施例及び比較例の色素増感太陽電池に対し、5mm角の窓をつけた光照射面積規定用マスクを装着させた上で、ソーラーシミュレーターを用いて擬似太陽光を100mW/cmの照度で照射し、開放電圧(以下、Voc)、短絡電流(以下、Jsc)、曲線因子(以下、FF)及び光電変換効率を測定した。
[実施例1]
合成例1で得たポリエーテル重合体0.1gに調整した電解液0.9gを加えて溶液としてポリマー電解質を調整した。この溶液状のポリマー電解質を組み立てた色素増感太陽電池セルの内部に注入し、光電変換効率を測定した。
曲線因子FFは0.62で、光電変換効率は7.3%であった。
[実施例2]
合成例2で得たポリエーテル重合体0.1gに調整した電解液0.9gを加えて溶液としてポリマー電解質を調整した。この溶液状のポリマー電解質を組み立てた色素増感太陽電池セルの内部に注入し、光電変換効率を測定した。
曲線因子FFは0.61で、光電変換効率は7.0%であった。
[実施例3]
合成例1で得たニトリル基を有するポリエーテル重合体0.1gに調整した電解液0.9gを加えてポリマー電解質を調整した。これに架橋助剤2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)0.006gを加えポリマー電解質溶液を調整した。
この溶液状のポリマー電解質を組み立てた色素増感太陽電池セルの内部に注入し、セルを80℃で30分加熱してポリマー電解質を架橋させゲル化させた後、光電変換効率を測定した。
曲線因子FFは0.61で、光電変換効率は7.1%であった。
[実施例4]
合成例2で得たニトリル基を有するポリエーテル重合体0.1gに調整した電解液0.9gを加えてポリマー電解質を調整した。これに架橋助剤ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)0.005gを加えポリマー電解質溶液を調整した。
この溶液状のポリマー電解質を組み立てた色素増感太陽電池セルの内部に注入し、セルを80℃で30分加熱してポリマー電解質を架橋させゲル化させた後、光電変換効率を測定した。
曲線因子FFは0.61で、光電変換効率は6.5%であった。
[比較例1]
[合成例1]と同様の方法によって得られた数平均分子量250,000のニトリル基を有するポリエーテル重合体を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法でポリマー電解質を調整した。この溶液状のポリマー電解質を組み立てた色素増感太陽電池セルの内部に注入し、光電変換効率を測定した。
曲線因子FFは0.59で、光電変換効率は4.5%であった。
[比較例2]
ニトリル基を有するポリエーテル重合体の代わりに、市販のポリアクリロニトリルを使用したこと以外は、実施例1と同様の方法でポリマー電解質を調整した。この溶液状のポリマー電解質を組み立てた色素増感太陽電池セルの内部に注入し、光電変換効率を測定した。
曲線因子FFは0.58で、光電変換効率は1.8%であった。
[比較例3]
[合成例1]と同様の方法によって得られた数平均分子量122,000のニトリル基を有するポリエーテル重合体を使用したこと以外は、実施例2と同様の方法でポリマー電解質を調整した。これに架橋助剤2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)0.001gを加えポリマー電解質溶液を調整した。
この溶液状のポリマー電解質を組み立てた色素増感太陽電池セルの内部に注入し、セルを80℃で30分加熱してポリマー電解質を架橋させゲル化させた後、光電変換効率を測定した。
曲線因子FFは0.58で、光電変換効率は4.1%であった。
上記の実施例および比較例の結果を表1に示す。
Figure 2012069501
本発明の高分子固体電解質用組成物は色素増感太陽電池用途に利用できる。

Claims (7)

  1. (i)式(1)に示した側鎖にニトリル基を有するポリエーテル重合体と、
    Figure 2012069501
    [式中、Aは活性水素含有化合物残基、mは1〜1,200の整数、nは0〜25の整数、pは1〜12の整数をそれぞれ表わす。]
    (ii)酸化還元対を含む電解液、
    からなることを特徴とする、色素増感太陽電池用高分子電解質組成物。
  2. 更に、(iii)イソシアネート基を2個以上有する化合物から選ばれる少なくともひとつの架橋剤を含むことを特徴とする、請求項1に記載の色素増感太陽電池用高分子電解質組成物。
  3. 活性水素含有化合物残基Aが、多価アルコールから誘導されたものであることを特徴とする、項1または2に記載の色素増感太陽電池用高分子電解質組成物。
  4. 架橋剤が、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、トリメチロールプロパンTDI3モル付加体または、これらの任意の混合物からなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする、請求項2または3に記載の色素増感太陽電池用高分子電解質組成物。
  5. 酸化還元対が、ヨウ素とヨウ素化合物または臭素と臭素化合物の対であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の色素増感太陽電池用高分子電解質組成物。
  6. 電解液が、非プロトン性有機溶媒であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の色素増感太陽電池用高分子電解質組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の色素増感太陽電池用高分子電解質組成物を用いた色素増感太陽電池。
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JP2012109189A (ja) * 2010-10-27 2012-06-07 Daiso Co Ltd 色素増感太陽電池用高分子電解質およびその用途
JP2016098370A (ja) * 2014-11-26 2016-05-30 リンテック株式会社 脂肪族ポリカーボネート樹脂、固体電解質、およびリチウムイオン二次電池

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