JP5600613B2 - 色素増感太陽電池用電解質および色素増感太陽電池 - Google Patents
色素増感太陽電池用電解質および色素増感太陽電池 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5600613B2 JP5600613B2 JP2011011894A JP2011011894A JP5600613B2 JP 5600613 B2 JP5600613 B2 JP 5600613B2 JP 2011011894 A JP2011011894 A JP 2011011894A JP 2011011894 A JP2011011894 A JP 2011011894A JP 5600613 B2 JP5600613 B2 JP 5600613B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- electrolyte
- dye
- solar cell
- sensitized solar
- ionic
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E10/00—Energy generation through renewable energy sources
- Y02E10/50—Photovoltaic [PV] energy
- Y02E10/542—Dye sensitized solar cells
Description
このうち特に太陽電池は、すでにシリコン系を中心に実用化され、店舗・住宅の屋根への搭載などが一般的になっている。しかしながら、シリコン系太陽電池は、その製造のために必要な高純度シリコン原料が高価格であり、真空プロセスを多用する製造方法である等のためコストが高くなる。さらなる普及のためには、安価・製造容易で高効率な新規太陽電池が望まれている。
これに対応する一つの技術として、有機太陽電池があげられ、そのうち、特に効率が高い色素増感太陽電池が注目を集めている。色素増感太陽電池は1991年にスイス連邦工科大学ローザンヌ校のグレッツェルらが報告し、比較的簡易な製造方法、安価な原材料、高い変換効率が得られることから、次世代太陽電池の有力候補と考えられている(非特許文献1)。色素増感太陽電池の一般的概略構造、および発電の原理は、非特許文献1に記載されている。
3I− → I3 − + 2e−(色素に注入) ・・・(A)
I3 − + 2e−(対極より注入) → 3I− ・・・(B)
電解液中での、式(A)のヨウ化物イオンの酸化による三ヨウ化物イオンの生成、式(B)の三ヨウ化物イオンの還元によるヨウ化物イオンの生成、すなわち、酸化還元反応の繰り返しにより色素増感太陽電池は動作する。色素増感太陽電池を高性能化、すなわち、光電変換効率向上のためには、この酸化還元反応を速やかに行うことが重要である。
(i)ヨウ化物イオン、三ヨウ化物イオンを高濃度で溶解すること
(ii)多孔質酸化チタン電極の微細な表面、及び電極に担持された色素の表面に追随すること
(iii)ヨウ化物イオン、三ヨウ化物イオンの拡散が充分に速いこと
(1)低粘度の液体であるため、色素増感太陽電池の封止剤のわずかな欠陥あるいは分子間隙より電解液が漏れ出し、最終的には電解液枯渇により発電が不可能となる。
(2)有機溶媒は低沸点であるために高温では加圧状態となり、太陽電池の破損や電解液の漏れ・揮発の原因となり、発電が不可能となる。
(3)有機溶媒は一般的に有毒であるため、電解液の漏れや揮発は太陽電池としての機能を損なうだけではなく、環境負荷要因となる可能性が高く、また、多くの場合有機溶媒は可燃性であるため、火災などの原因ともなりうる。
このような柔粘性結晶をリチウムイオン二次電池に適用した例として、コハク酸ニトリルにリチウム塩化合物をドープした電解質を用いた技術が開示されている(特許文献2)。
上記柔粘性結晶は電解質成分の担体(電解質マトリクス)として機能して電解質の漏出を抑制しうるが、イオン拡散速度は不充分である。
本発明の請求項2に記載の色素増感太陽電池用電解質は、請求項1において、前記イオン性柔粘性結晶化合物の融点が40℃以上である。
本発明の請求項3に記載の色素増感太陽電池用電解質は、請求項1又は2において、前記イオン性柔粘性結晶化合物のガラス転移温度が−10℃以下である。
本発明の請求項4に記載の色素増感太陽電池用電解質は、請求項1〜3のいずれか一項において、前記イオン性柔粘性結晶化合物を構成するカチオンがアルキルアンモニウムである。
本発明の請求項5に記載の色素増感太陽電池用電解質は、請求項4において、前記アルキルアンモニウムが、少なくともピロリジニウム又はピペリジニウムのいずれか一種を含む。
本発明の請求項6に記載の色素増感太陽電池用電解質は、請求項5において、前記イオン性柔粘性結晶化合物を構成するカチオンの主成分として、下記一般式(1−1)で表されるカチオンを含み、前記イオン性柔粘性結晶化合物を構成するアニオンの主成分として、ヨウ化物イオン(I−)を含む。
本発明の請求項8に記載の色素増感太陽電池用電解質は、請求項1〜7のいずれか一項において、前記イオン性柔粘性結晶化合物、及び無機もしくは有機のヨウ化物塩を含む。
本発明の請求項9に記載の色素増感太陽電池用電解質は、請求項1〜8のいずれか一項において、前記イオン性柔粘性結晶化合物を構成するアニオンの一部が三ヨウ化物イオンで置換されたものである。
本発明の請求項10に記載の色素増感太陽電池用電解質は、請求項1において、前記非プロトン性溶媒が前記イオン性柔粘性結晶化合物に対して80質量%以下で含有される。
本発明の請求項11に記載の色素増感太陽電池用電解質は、請求項1において、前記イオン液体がアンモニウム塩系イオン液体である。
本発明の請求項12に記載の色素増感太陽電池用電解質は、請求項1において、前記イオン液体がイミダゾリウム塩系イオン液体である。
本発明の請求項13に記載の色素増感太陽電池用電解質は、請求項9〜12のいずれか一項において、前記イオン性柔粘性結晶化合物を構成するアニオンの一部が三ヨウ化物イオンで置換されており、前記電解質中のアニオンのうち、三ヨウ化物イオン以外のアニオンと、三ヨウ化物イオンとのモル比が100:1〜100:50の範囲である。
本発明の請求項14に記載の色素増感太陽電池は、請求項1〜13のいずれか一項に記載の電解質が用いられたものである。
本発明の色素増感太陽電池用電解質は、色素が担持された酸化金属を含む光電極、酸化還元反応可能な化学種を含む電解質、及び対極を少なくとも備えてなる色素増感太陽電池に使用されるものである。
前記電解質は、酸化還元反応可能な化学種およびイオン性柔粘性結晶化合物を含む。
本発明の電解質で用いるイオン性柔粘性結晶化合物は、柔粘性結晶を形成しうるカチオン及びアニオンからなるイオン化合物である。
前記カチオンは窒素を有するカチオンである。窒素を有するカチオンは種々のカチオンを用いることが可能であり、電気化学安定性、耐光性に優れており、本発明において好ましく用いることが出来る。
本発明の電解質で用いるイオン性柔粘性結晶化合物の融点は、40℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましく、80℃以上であることが更に好ましい。特に、室内など比較的穏和な環境下で用いる場合、イオン性柔粘性結晶化合物の融点は40℃以上であることが好ましく、屋外などの過酷な条件下で用いる場合、イオン性柔粘性結晶化合物の融点は80℃以上であることが好ましい。
従って、本発明の電解質に用いるイオン性柔粘性結晶のガラス転移温度としては−10℃以下が好ましく、−20℃以下がより好ましく、−40℃以下が更に好ましい。通常、室内などで使用する場合、イオン性柔粘性結晶のガラス転移温度は−10℃以下が好ましく、屋外などで用いる場合、イオン性柔粘性結晶のガラス転移温度は−40℃以下が好ましい。寒冷地等では室内でも−10℃程度になる可能性があり、この温度以下でも電解質として充分なイオン伝導度が確保出来ることが好ましい。とくに極寒地帯での屋外使用を考えると、−40℃以下のガラス転移温度が好ましい。前記ガラス転移温度の下限値は特に制限されず、より低くなっても特に物性上、工程上の問題はない。
前記アルキルアンモニウムとしては、例えば、ピロリジニウム、ピペリジニウム等の4級アルキルアンモニウムや、ピリジニウム、イミダゾリウム等の芳香族アルキルアンモニウムが用いられる。なかでも、4級アルキルアンモニウムが好ましく、ピロリジニウム及びピペリジニウムがより好ましい。前記電解質を柔粘性結晶状態とすることが容易であり、その結果、凝固体でありながら、高いイオン伝導度を得ることができる。
前記ピロリジニウムは下記一般式(1)で表されるカチオンから選ばれるいずれか1種である。
R1及びR2の組み合わせとしては、本発明の効果が優れることから、R1及びR2のいずれか一方がメチル基であることが好ましい。
R1がメチル基の場合、R2は炭素数2〜12のアルキル基であることが好ましい。この組み合わせを有するピロリジニウムが、前記イオン性柔粘性結晶化合物を構成することにより、該イオン性柔粘性結晶化合物が柔軟性を有する結晶状態を維持することがより容易となる。この結果、凝固体でありながら、高いイオン伝導度を得ることができる。
R3及びR4の組み合わせとしては、本発明の効果が優れることから、R3及びR4のいずれか一方がメチル基であることが好ましい。
R3がメチル基の場合、R4は炭素数2〜8のアルキル基であることが好ましい。この組み合わせを有するピペリジニウムが、前記イオン性柔粘性結晶化合物を構成することにより、該イオン性柔粘性結晶化合物が柔軟性を有する結晶状態を維持することがより容易となる。この結果、凝固体でありながら、高いイオン伝導度を得ることができる。
ここで「イオン性柔粘性結晶化合物を構成するカチオンの主成分」とは、イオン性柔粘性結晶化合物を構成するカチオン全体に対して50モル%以上含まれているカチオンをいう。
「イオン性柔粘性結晶化合物を構成するアニオンの主成分」とは、イオン性柔粘性結晶化合物を構成するアニオン全体に対して50モル%以上含まれているアニオンをいう。
5員環の窒素に結合しているアルキル基鎖(CnH2n+1及びCmH2m+1)の炭素数を変化させることにより、電解質の融点の調整が可能である。例えばmが1の場合、nを8〜12とすることにより、電解質の融点を、特に好ましい60〜120℃の範囲に容易に制御できる。また、m及びnの数を変えることにより、結晶の柔軟性、結晶性、及び融点を比較的自由に設計することが出来る。通常、nの数を大きくすると、結晶の柔軟性を高めて(結晶性を低めて)、融点を低下させることができ、mの数で融点を微調整できる。mの数が増えると融点は若干上昇する。
また、前記式(1−1)で表されるカチオンを、その他のカチオンと混合して該融点を調整することも可能である。加えて、結晶性が高まることにより、電子が移動しやすくなって酸化還元反応効率が高まる。
前記式(1−1)で表されるカチオンの含有割合は、前記イオン性柔粘性結晶化合物を構成するカチオン全体に対して50モル%以上であり、60モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、80〜100モル%が更に好ましい。このカチオンの含有割合が50モル%以上であることにより、電解質の融点を容易に調整できると共に、室温付近で固体又は凝固体状態になりやすい。
このようにして得られたヨウ化ジアルキルピロリジニウムが、前記イオン性柔粘性結晶状態を発現することにより、凝固体でありながら、高いイオン伝導度を得ることができる。
例えば、イオン性柔粘性結晶化合物であるN−メチル−N−アルキルピリジニウムヘキサフルオロホスフェートを構成するアニオン(ヘキサフルオロホスフェート)の一部を三ヨウ化物イオンで置換したものが好ましい。また、ヨウ化N−メチル−N−アルキルピリジニウムを構成するアニオン(I−)の一部を三ヨウ化物イオンで置換したものも好ましい。ヨウ素レドックス系の濃度を高くすることが可能となり、より高いイオン伝導度、ひいてはより高い光電変換効率を実現することが出来る。
電解質の構成として好ましくは、前記イオン性柔粘性結晶化合物、及び、ヨウ化物イオン源となりうる成分を含むものが挙げられる。
ヨウ化物イオン源としては、ヨウ化リチウム、ヨウ化カリウム、及びヨウ化ナトリウムなどの無機ヨウ化物塩(アルカリ金属塩)、並びにイミダゾリウム塩(たとえばメチルプロピルイミダゾリウム、ジメチルプロピルイミダゾリウム等)、アルキルアンモニウム塩(たとえばテトラアルキルアンモニウム塩など)、ピロリジニウム塩、ピペリジニウム塩などの有機ヨウ化物塩が挙げられる。
これらのヨウ化物塩は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、無機塩と有機塩とを併用してもよい。
この場合、前記有機塩を構成するカチオンとしては前記窒素を有するカチオンが好ましい。その有機塩の好適な具体例としては、ピペリジニウム塩、ピロリジニウム塩が挙げられる。三ヨウ化物イオンとサイズが近く、形状が球形に近いため、前記イオン性柔粘性結晶化合物がより柔粘性結晶状態となりやすいためである。
また、あらかじめピペリジニウム、ピロリジニウムのヨウ素塩に対し、たとえば等量のヨウ素を加えることにより、三ヨウ化物イオンの塩を形成しておいてもよい。
このピペリジニウム、ピロリジニウムの三ヨウ化物塩は、ピペリジニウムあるいはピロリジニウムの窒素上の置換基の長さ(アルキル基の炭素数)を調整することにより、特定の温度においてイオン性柔粘性結晶状態となるため、本発明に使用することが好ましい。
電解質中のヨウ素(I2)は、ヨウ化物イオン(I−)と以下のような反応により三ヨウ化物イオン(I3 −)を形成する。
I− + I2 → I3 −
前述したように、色素増感太陽電池用電解質では、ヨウ素イオンが3I−の形態、I3 −の形態を取りながら酸化還元反応が可逆的に繰り返されているため、あらかじめ適した濃度のヨウ化物イオン(I−)と三ヨウ化物イオン(I3 −)を存在させておく必要がある。
加えるヨウ素(I2)が0.5モル%未満では、三ヨウ化物イオン(I3 −)が充分に形成されず、酸化還元サイクルが非効率となりやすい。一方、加えるヨウ素(I2)が50モル%を超えると、三ヨウ化物イオン(I3 −)の光吸収が無視出来ない量となり、酸化還元サイクルの効率が低下しやすくなる。
前記イオン性柔粘性結晶化合物を構成するアニオンと、該アニオンを置換した前記三ヨウ化物イオンとのモル比は100:1〜100:50の範囲が好ましく、100:3〜100:30の範囲がより好ましい。この範囲に調整することにより、本発明の電解質中の三ヨウ化物イオンとそれ以外のアニオンとの比率を前述の好ましい範囲に調整することができる。
たとえば、グアニジウムチオシアナート、N−アルキルベンズイミダゾール、デオキシコール酸、酢酸などのカルボン酸類、シリカ、チタニア、クレイなどの無機物、分散安定剤などを含んでいてもよい。これら添加剤は、いずれも本発明の電解質の主たる特徴である凝固体状態、すなわち室温付近での柔粘性結晶状態を損なわない範囲で加えることができる。
前記非プロトン性溶媒の含有量が80質量%を超えると、イオン性柔粘性結晶を含む電解質が柔らかくなりすぎ、流動性を有する可能性が高いためである。ただし、この溶媒含有量の制限はイオン性柔粘性結晶の物性にもよるため一概に言えず、当該電解質の流動性が無く、適度な柔軟性・可塑性を付与出来る範囲内であれば問題なく用いることが出来る。
これらの中でもイオン液体は、ほとんど揮発性が無く、化学的に安定であるため、好適に用いることが出来る。イオン液体は、融点が−10℃以下のものが好ましい。
また、イミダゾリウム塩系以外でも、ピペリジニウム系、たとえば1−メチル−1−ブチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドなどを用いてもよい。
また、イミダゾリウム塩系以外でも、ピロリジニウム系、たとえば1−メチル−1−ブチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドなどを用いてもよい。
一般的に、高分子ゲルや常温溶融塩(イオン液体)等を用いた従来の凝固体電解質は、色素増感太陽電池セルへの導入が困難である。液体状態でセル内に導入し、導入後に化学反応等にて凝固体化させる従来方法が知られているが、セル内で凝固体化させることは、ヨウ素の存在下であるために反応が阻害され困難であった。また、液体の電解液をあらかじめ光電極(酸化チタン電極)に含浸させ、その上に凝固体電解質を積層する従来方法も知られているが、液体電解液と凝固体電解質の併用は、液体電解液のセル外への漏洩が本質的に解決できていないため、好ましくない。
柔粘性結晶中の分子が三次元的に規則配列した結晶状態であるにもかかわらず、柔粘性結晶自体は柔軟性を示す理由は、それぞれの分子が配列した重心の周りで回転運動をすることが可能であり、さらには配向の自由度も有するためである。これは、分子形状が球形または円盤状であって、分子同士の相互作用が低い場合や、結晶内での回転や配向の変化によるエネルギー変化が少ない場合に、容易に回転・配向変化が可能であるためである。
N−メチルピロリジン(アルドリッチ社製)4.3g(50mmol)をとり、15gのイソプロパノールに溶解し、1−ヨードプロパン8.5g(50mmol)を、室温にてゆっくりと加えた。混合物をそのまま室温にて1時間撹拌した後、60℃オイルバスにて加熱し、8時間撹拌した。得られた反応混合物は、減圧にて溶媒および過剰の原料を留去した。得られた固体を、石油エーテルにて3回洗浄し、減圧乾燥した。9.9gの固体が得られた(収率77%)。固体はNMRにより、ヨウ化1−メチル−1−n−プロピルピロリジニウムであると同定された。
1−ヨードプロパンの換わりに1−ヨードブタン9.2g(50mmol)を用いたこと以外は、合成例1と同様にして反応を行った。9.9gの固体が得られた(収率73%)。固体は、NMRにより、ヨウ化1−メチル−1−n−ブチルピロリジニウムであると同定された。
1−ヨードプロパンの換わりに1−ヨードヘプタン11.3g(50mmol)を、用いたこと以外は、合成例1と同様にして反応を行った。8.5gの固体が得られた(収率54%)。固体は、NMRにより、ヨウ化1−メチル−1−n−ヘプチルピロリジニウムであると同定された。
N−メチルピロリジンの換わりにN−メチルピペリジン5.0g(50mmol)を、1−ヨードプロパンの換わりに1−ヨードエタン7.8g(50mmol)を用いたこと以外は、合成例1と同様にして反応を行った。8.4gの固体が得られた(収率66%)。固体は、NMRにより、ヨウ化1−メチル−1−エチルピペリジニウムであると同定された。
合成例1で得たヨウ化1−メチル−1−n−プロピルピロリジニウム2.6g(10mmol)を3mLの水に溶かした。一方、ヘキサフルオロリン酸カリウム(KPF6)1.9g(10.5mmol)を2mLの水に溶かした。ピロリジニウム水溶液に、ヘキサフルオロリン酸カリウムの溶液をゆっくり加え、そのまま室温にて1時間撹拌した。生じた沈殿を水で3回洗浄し、濾取した。固体は減圧下100℃にて乾燥した。2.1gの固体を得た(収率76%)。固体は、NMRおよびIRにてヘキサフルオロリン酸1−メチル−1−n−プロピルピロリジニウムと同定した。
合成例2で得たヨウ化1−メチル−1−n−ブチルピロリジニウム2.7g(10mmol)を用いたこと以外は合成例5と同様にして固体を得た。2.0gの固体を得た(収率68%)。固体は、NMRおよびIRにてヘキサフルオロリン酸1−メチル−1−n−ブチルピロリジニウムと同定した。
合成例3で得たヨウ化1−メチル−1−n−ヘプチルピロリジニウム3.1g(10mmol)を用いたこと以外は合成例5と同様にして固体を得た。1.9gの固体を得た(収率58%)。固体は、NMRおよびIRにてヘキサフルオロリン酸1−メチル−1−n−ヘプチルピロリジニウムと同定した。
合成例4で得たヨウ化1−メチル−1−エチルピペリジニウム2.6g(10mmol)を用いたこと以外は合成例5と同様にして固体を得た。2.1gの固体を得た(収率76%)。固体は、NMRおよびIRにてヘキサフルオロリン酸1−メチル−1−エチルピペリジニウムと同定した。
合成例1で得たヨウ化1−メチル−1−n−プロピルピロリジニウム2.6g(10mmol)を10mLのアセトニトリルに溶かした。一方、ヨウ素2.5g(10mmol)を10mLのアセトニトリルに溶かした。ピロリジニウム塩の溶液にヨウ素をゆっくり加え、そのまま室温にて16時間撹拌した。反応溶液をそのまま減圧にて溶媒を留去した。得られた固体を、水で3回洗浄し、濾取した。固体は減圧下100℃にて乾燥した。3.2gの固体を得た(収率62%)。固体は、NMRおよびIRにて三ヨウ化1−メチル−1−n−プロピルピロリジニウムと同定した。
合成例2で得たヨウ化1−メチル−1−n−ブチルピロリジニウム2.7g(10mmol)を用いたこと以外は合成例9と同様にして固体を得た。3.4gの固体を得た(収率66%)。固体は、NMRおよびIRにて三ヨウ化1−メチル−1−n−ブチルピロリジニウムと同定した。
合成例3で得たヨウ化1−メチル−1−n−ヘプチルピロリジニウム3.1g(10mmol)を用いたこと以外は合成例5と同様にして固体を得た。3.1gの固体を得た(収率55%)。固体は、NMRおよびIRにて三ヨウ化1−メチル−1−n−ヘプチルピロリジニウムと同定した。
合成例4で得たヨウ化1−メチル−1−エチルピペリジニウム2.6g(10mmol)を用いたこと以外は合成例5と同様にして固体を得た。3.9gの固体を得た(収率76%)。固体は、NMRおよびIRにて三ヨウ化1−メチル−1−エチルピペリジニウムと同定した。
合成例2で得たヨウ化1−メチル−1−n−ブチルピロリジニウム1.5g(5.6mmol)を水2gに溶解し、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム1.66g(5.6mmol)の2g水溶液を加えた。生じた有機層(下層)と水を分離し、水で3回洗浄した後、乾燥した。2.1gの1−メチル−1−ブチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを得た。得られたイオン液体は、室温において液体であった。
1−ヨードプロパンの換わりに1−ヨードエタン6.9gを用いたこと以外は、合成例1と同様にして反応を行った。6.31gの固体が得られた(収率98%)。固体は、NMRにより、ヨウ化1−メチル−1−エチルピロリジニウムであると同定された。
合成例14で得たヨウ化1−メチル−1−エチルピロリジニウム6.8g(28mmol)を水5gに溶解し、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム8.0g(28mmol)の水溶液5gを加えた。生じた沈殿をこしとり、水で洗浄後乾燥した。9.8g(25mmol)の1−メチル−1−エチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを得た。
1−メチルピロリジン(東京化成(株)社製)6.3g(74mmol)を15mLの2−プロパノールに溶解した溶液に、1−ヨードノナン(東京化成(株)社製)18.8g(74mmol)を10mLの2−プロパノール溶液に溶解した溶液を30分かけて滴下した。得られた溶液を室温にて1時間撹拌した後、80℃オイルバスにて8時間加熱した。得られた淡黄色溶液をそのまま減圧にて濃縮したところ、淡褐色ゲル状体を得た。このゲル状体をヘキサンに入れて砕き、固体とした後、遠心分離を行い、固体を分離した。さらにこの固体を3回ヘキサン洗浄−遠心分離を繰り返し、最終的に得られた淡褐色固体を減圧にて乾燥することにより、23.8gの潮解性がある柔軟性固体を得た(収率95%)。
該柔軟性固体をNMR(日本電子(株)社製JEM−ECX400、重水)にて測定したところ、ヨウ化1−メチル−1−ノニルピロリジニウムと矛盾のないスペクトルが得られた。該柔軟性固体の融点を示差走査熱量計(TAインスツルメント社製Q2000、窒素下)にて測定したところ、融点は79℃であった。更に、該柔軟性固体は、融点以外の構造転移温度が−1℃、10℃、18℃、69℃の少なくとも4点存在する中間相状態を示す物質であることが明らかとなった。
1−ヨードノナンの換わりに1−ヨードドデカン21.9g(74mmol)を用いたこと以外は合成例16と同様にして反応を行い、16.0gの淡黄色粉体を得た(収率57%)。
該淡黄色粉体をNMR(CDCl3)にて測定したところ、ヨウ化1−メチル−1−ドデシルピロリジニウムと矛盾のないスペクトルが得られた。該淡黄色粉体の融点を示差走査熱量計にて測定したところ、融点は101℃であった。更に、該淡黄色粉体は、融点以外に、68℃に構造転移温度を示す中間相状態を示す物質であることが明らかとなった。
1−ヨードノナンの換わりに1−ヨードブタン13.6g(74mmol)を用いたこと、及び反応温度を80℃から60℃へ変更したこと以外は合成例16と同様にして反応を行い、19.4gの白色粉体を得た(収率98%)。
該白色粉体をNMR(重水)にて測定したところ、ヨウ化1−メチル−1−ブチルピロリジニウムと矛盾のないスペクトルが得られた。該白色粉体の融点を示差走査熱量計にて測定したところ、融点は150℃以上であった。更に、該白色粉体は、融点以外に、10℃付近に構造転移による吸熱ピークが存在する中間相状態を示す物質であることが明らかとなった。
合成例16において、1−メチルピロリジンのかわりに1−ブチルピロリジン(アルドリッチ社製)6.4g(25mmol)、1−ヨードノナンを3.2g(25mmol)を用いたこと以外は合成例16と同様にして反応を行い、8.3gの淡黄色結晶を得た(収率87%)。
該淡黄色粉体をNMR(CDCl3)にて測定したところ、ヨウ化1−ブチル−1−ノニルピロリジニウムと矛盾のないスペクトルが得られた。該淡黄色粉体の融点を示差走査熱量計にて測定したところ、融点は93℃であった。更に、該淡黄色粉体は、融点以外に、−41℃、−16℃、54℃の少なくとも3点に構造転移温度を示す中間相状態を示す物質であることが明らかとなった。
合成例16で得られた柔軟性固体(融点79℃)をガラスサンプル瓶に入れ、100℃ホットプレート上に置いたところ、すぐに溶解して茶色液体となり、室温に冷却すると褐色で透明な柔軟固体となった。
合成例17で得られた淡黄色粉体(融点101℃)をガラスサンプル瓶に入れ、120℃ホットプレート上に置いたところ、徐々に溶解して淡黄色透明液体となり、室温に冷却すると白濁した黄色柔軟固体となった。
合成例18で得られた白色粉体(融点150℃以上)をガラスサンプル瓶に入れ、150℃ホットプレート上に置いたところ、10分以上が経過しても溶融しなかった。
合成例19で得られた柔軟性固体(融点93℃)をガラスサンプル瓶に入れ、110℃ホットプレート上に置いたところ、すぐに溶解して淡黄色液体となり、室温に冷却すると白濁した淡黄色柔軟固体となった。
以上の評価結果より、合成例16〜19で得られたイオン性柔粘性結晶は、いずれも、室温付近で固体又は凝固体状態であることが分かる。
合成例16、17、19で得られたイオン性柔粘性結晶は、融点が約120℃以下であり、合成例18で得られたイオン性柔粘性結晶(融点150℃以上)に比べて、電解質をセルに容易に注入することができると共に、その際にセルの劣化も少ないと云える。
(実施例1)
合成例5で得たヘキサフルオロリン酸1−メチル−1−n−プロピルピロリジニウム100gを100mLのアセトニトリルに溶解し、ヨウ化リチウム6.7g、ヨウ素1.3g、t−ブチルピリジン6.8gを加え、室温にて1夜撹拌した。得られた混合物を減圧にて溶媒(アセトニトリル)を取り除き、室温にて柔粘性結晶状態である電解質を得た。
得られた電解質における三ヨウ化物イオン以外のアニオンと、三ヨウ化物イオンとのモル比は、100:3であると考えられる。
また、得られた電解質におけるヨウ化物イオンと三ヨウ化物イオンの比は100:10であると考えられる。
この電解質の伝導度を23℃にて測定したところ、1.8×10−3S/cmであり、凝固体状態であるにもかかわらず、高いイオン伝導度を示した。
得られた電解質(イオン性柔粘性結晶化合物)の融点は約95℃であり、Tgは−80℃以下であった。
なお、実施例における試料の融点及びTg測定は、示差走査熱量測定装置(TAインスツルメンツ社製;Q2000)を使用して行った。
ヨウ化リチウムを4.0gとし、合成例1で得たヨウ化1−メチル−1−n−プロピルピロリジニウムを7.7g加えたこと以外は実施例1と同様にして、室温にて柔粘性結晶状態である電解質を得た。
得られた電解質における三ヨウ化物イオン以外のアニオンと、三ヨウ化物イオンとのモル比は、100:3であると考えられる。
また、得られた電解質におけるヨウ化物イオンと三ヨウ化物イオンの比は100:10であると考えられる。
この電解質の伝導度を23℃にて測定したところ、9.8×10−4S/cmであり、凝固体状態であるにもかかわらず、高いイオン伝導度を示した。
得られた電解質(イオン性柔粘性結晶化合物)の融点は約95℃であり、Tgは−80℃以下であった。
ヨウ化リチウムを1.3gとし、合成例1で得たヨウ化1−メチル−1−n−プロピルピロリジニウムを12.8g加え、ヨウ素の換わりに合成例9で得た三ヨウ化1−メチル−1−n−プロピルピロリジニウム5.1gを加えたこと以外は、実施例1と同様にして、室温にて柔粘性結晶状態である電解質を得た。
得られた電解質における三ヨウ化物イオン以外のアニオンと、三ヨウ化物イオンとのモル比は、100:5であると考えられる。
また、得られた電解質におけるヨウ化物イオンと三ヨウ化物イオンの比は100:20であると考えられる。
この電解質の伝導度を23℃にて測定したところ、1.0×10−3S/cmであり、凝固体状態であるにもかかわらず、高いイオン伝導度を示した。
得られた電解質(イオン性柔粘性結晶化合物)の融点は約90℃であり、Tgは−80℃以下であった。
合成例6で得たヘキサフルオロリン酸1−メチル−1−n−ブチルピロリジニウム100gをアセトニトリル100mLに溶かし、ヨウ化リチウム1.3g、合成例2で得たヨウ化1−メチル−1−n−ブチルピロリジニウムを13.5g、合成例10で得た三ヨウ化1−メチル−1−n−ブチルピロリジニウム5.2g、t−ブチルピリジン6.8gを加え、室温にて1夜撹拌した。得られた混合物を減圧にて溶媒(アセトニトリル)を取り除き、室温にて柔粘性結晶状態である電解質を得た。
得られた電解質における三ヨウ化物イオン以外のアニオンと、三ヨウ化物イオンとのモル比は、100:5であると考えられる。
また、得られた電解質におけるヨウ化物イオンと三ヨウ化物イオンの比は100:17であると考えられる。
この電解質の伝導度を23℃にて測定したところ、2.5×10−3S/cmであり、凝固体状態であるにもかかわらず、高いイオン伝導度を示した。
得られた電解質(イオン性柔粘性結晶化合物)の融点は約65℃であり、Tgは−80℃以下であった。
合成例7で得たヘキサフルオロリン酸1−メチル−1−n−ヘプチルピロリジニウム100gをアセトニトリル100mLに溶かし、ヨウ化リチウム1.3g、合成例3で得たヨウ化1−メチル−1−n−ヘプチルピロリジニウムを15.6g、合成例11で得た三ヨウ化1−メチル−1−n−ヘプチルピロリジニウム5.6g、t−ブチルピリジン6.8gを加え、室温にて1夜撹拌した。得られた混合物を減圧にて溶媒(アセトニトリル)を取り除き、室温にて柔粘性結晶状態である電解質を得た。
得られた電解質における三ヨウ化物イオン以外のアニオンと、三ヨウ化物イオンとのモル比は、100:5であると考えられる。
また、得られた電解質におけるヨウ化物イオンと三ヨウ化物イオンの比は100:17であると考えられる。
この電解質の伝導度を23℃にて測定したところ、3.8×10−3S/cmであり、凝固体状態であるにもかかわらず、高いイオン伝導度を示した。
得られた電解質(イオン性柔粘性結晶化合物)の融点は約55℃であり、Tgは−80℃以下であった。
合成例8で得たヘキサフルオロリン酸1−メチル−1−エチルピペリジニウム100gをアセトニトリル100mLに溶かし、ヨウ化リチウム1.3g、合成例4で得たヨウ化1−メチル−1−エチルピペリジニウムを12.8g、合成例12で得た三ヨウ化1−メチル−1−エチルピペリジニウム5.1g、t−ブチルピリジン6.8gを加え、室温にて1夜撹拌した。得られた混合物を減圧にて溶媒(アセトニトリル)を取り除き、室温にて柔粘性結晶状態である電解質を得た。
得られた電解質における三ヨウ化物イオン以外のアニオンと、三ヨウ化物イオンとのモル比は、100:5であると考えられる。
また、得られた電解質におけるヨウ化物イオンと三ヨウ化物イオンの比は100:17であると考えられる。
この電解質の伝導度を23℃にて測定したところ、2.1×10−3S/cmであり、凝固体状態であるにもかかわらず、高いイオン伝導度を示した。
得られた電解質(イオン性柔粘性結晶化合物)の融点は80℃であり、Tgは−80℃以下であった。
実施例5にて得られた凝固体状態の電解質を80℃に熱し、液状化させた。これを、透明電極(ソラロニクス社製)上に酸化チタンペースト(ソラロニクス社製)を塗布し、色素(N−719;ソラロニクス社製)を吸着させた光電極、スペーサーを介して白金対極を積層した簡易セルに対し、液状化させた実施例5の電解質を注入し、注入口をエポキシ接着剤にて封止した。
得られたセルを、ソーラーシミュレーターを用い、発電効率を測定したところ、光電変換効率は7.0%を記録し、凝固体電解質を用いた色素増感太陽電池としてはトップレベルの性能を示した。
また、当該セルの使用時に、凝固体状の電解質がセル外へ漏れ出すことや揮発することは一切なかった。
合成例15で得たイオン性柔粘性結晶1−メチル−1−エチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド1.6gに、合成例14で得たヨウ化1−メチル−1−エチルピロリジニウムを0.4g、ヨウ素を50mg、N−メチルベンズイミダゾール32mg、グアニジンチオシアネート120mgを加え、150℃ホットプレート上で加熱撹拌し、電解質を得た。
得られた電解質における三ヨウ化物イオン以外のアニオンと、三ヨウ化物イオンとのモル比は、100:10である。
また、得られた電解質におけるヨウ化物イオンと三ヨウ化物イオンの比は100:20であると考えられる。
この電解質の伝導度を23℃にて測定したところ、0.8×10−3S/cmであり、凝固体状態であるにもかかわらず、高いイオン伝導度を示した。
得られた電解質(イオン性柔粘性結晶化合物)の融点は65℃であり、Tgは−80℃以下であった。
実施例8にて得られた電解質に、該電解質中のイオン性柔粘性結晶に対し20質量%の1−メチル−1−ブチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(合成例13で得たイオン液体)を加えた。実施例8と同様にして混合し、電解質を得た。
この電解質の伝導度を23℃にて測定したところ、2.3×10−3S/cmであり、凝固体状態であるにもかかわらず、高いイオン伝導度を示した。
得られた電解質(イオン性柔粘性結晶化合物)の融点は約65℃であり、Tgは−80℃以下であった。
実施例8にて得られた電解質に、イオン性柔粘性結晶に対し20質量%の3−メトキシプロピオニトリルを加えた。実施例8と同様にして混合し、電解質を得た。
この電解質の伝導度を23℃にて測定したところ、3.4×10−3S/cmであり、凝固体状態であるにもかかわらず、高いイオン伝導度を示した。
得られた電解質(イオン性柔粘性結晶化合物)の融点は約65℃であり、Tgは−80℃以下であった。
実施例8にて得られた電解質に、イオン性柔粘性結晶に対し20質量%の1−メチル−3−エチルイミダゾリウムテトラシアノボレート(市販イオン液体、メルク社製)を加えた。実施例8と同様にして混合し、電解質を得た。
この電解質の伝導度を23℃にて測定したところ、4.1×10−3S/cmであり、凝固体状態であるにもかかわらず、高いイオン伝導度を示した。
得られた電解質(イオン性柔粘性結晶化合物)の融点は約65℃であり、Tgは−80℃以下であった。
合成例16で得たヨウ化1−メチル−1−ノニルピロリジニウム2gに対し、N−メチルベンズイミダゾール130mgと、グアニジンチオシアナート30mgと、ヨウ素(I2)100mg(ヨウ化物イオン(I−)に対して約7モル%)とを加え、100℃ホットプレート上にて撹拌して均一化し、電解質組成物を調製した。
ITOガラス上に、酸化チタン(ソラロニクス社製、Ti−Nanoxide D/SP)を20μmの厚みとなるように塗布し、500℃で30分加熱した。その後、色素(ソラロニクス社製、Ruthenizer535)のt−ブタノール溶液に室温にて1夜浸せきし、色素吸着電極付きガラスを作製した。
得られた色素吸着電極付きガラスに20μmのスペーサーを置き、その上に白金板を置き密着させて簡易セルを作製した。白金板に小径の孔を2カ所設け、簡易セルを80℃に予熱し、片方から均一化・液化した電解質組成物を入れ、そのままゆっくり冷却させたところ、簡易セル内で電解質組成物は固化し、電解質部分が形成された。
そのまま続けて、ソーラーシミュレーターにて光を照射し、変換効率を測定したところ、3.5%の変換効率を達成出来た。これは、固体の変換効率としては高い値であり、色素増感太陽電池に使用される電解質として有用であると云える。
また、得られた電解質におけるヨウ化物イオンと三ヨウ化物イオンとの比は100:9であると考えられる。
この電解質の伝導度を23℃にて測定したところ、2.5×10−3S/cmであり、凝固体状態であるにもかかわらず、高いイオン伝導度を示した。
得られた電解質(イオン性柔粘性結晶化合物)の融点は約79℃であり、Tgは−80℃以下であった。
合成例19で得たイオン性柔粘性結晶ヨウ化1−ブチル−1−ノニルピロリジニウム2gを用い、実施例12と同様にして電解質組成物を調整した。
得られた電解質における三ヨウ化物イオン以外のアニオンと、三ヨウ化物イオンとのモル比は、100:9であると考えられる。
また、得られた電解質におけるヨウ化物イオンと三ヨウ化物イオンの比は100:9であると考えられる。
この電解質の伝導度を23℃にて測定したところ、1.9×10−3S/cmであり、凝固体状態であるにもかかわらず、高いイオン伝導度を示した。
得られた電解質(イオン性柔粘性結晶化合物)の融点は85℃であり、Tgは−80℃以下であった。
Claims (14)
- 色素が担持された酸化金属を含む光電極、酸化還元反応可能な化学種を含む電解質、及び対極を少なくとも備えてなる色素増感太陽電池に使用される電解質であって、
該電解質はイオン性柔粘性結晶化合物を含有し、前記イオン性柔粘性結晶化合物を構成するカチオンが窒素を含有し、更に、融点が−10℃以下の非プロトン性溶媒を含み、前記非プロトン性溶媒がイオン液体であることを特徴とする色素増感太陽電池用電解質。 - 前記イオン性柔粘性結晶化合物の融点が40℃以上である、請求項1に記載の色素増感太陽電池用電解質。
- 前記イオン性柔粘性結晶化合物のガラス転移温度が−10℃以下である請求項1又は2に記載の色素増感太陽電池用電解質。
- 前記イオン性柔粘性結晶化合物を構成するカチオンがアルキルアンモニウムである請求項1〜3のいずれか一項に記載の色素増感太陽電池用電解質。
- 前記アルキルアンモニウムが、少なくともピロリジニウム又はピペリジニウムのいずれか一種を含む請求項4に記載の色素増感太陽電池用電解質。
- 前記ヨウ化物イオン(I−)に対して0.5〜50モル%のヨウ素(I2)を加えたものである請求項6に記載の色素増感太陽電池用電解質。
- 前記イオン性柔粘性結晶化合物、及び無機もしくは有機のヨウ化物塩を含む請求項1〜7のいずれか一項に記載の色素増感太陽電池用電解質。
- 前記イオン性柔粘性結晶化合物を構成するアニオンの一部が三ヨウ化物イオンで置換された請求項1〜8のいずれか一項に記載の色素増感太陽電池用電解質。
- 前記非プロトン性溶媒が前記イオン性柔粘性結晶化合物に対して80質量%以下で含有される、請求項1に記載の色素増感太陽電池用電解質。
- 前記イオン液体がアンモニウム塩系イオン液体である、請求項1に記載の色素増感太陽電池用電解質。
- 前記イオン液体がイミダゾリウム塩系イオン液体である、請求項1に記載の色素増感太陽電池用電解質。
- 前記イオン性柔粘性結晶化合物を構成するアニオンの一部が三ヨウ化物イオンで置換されており、前記電解質中のアニオンのうち、三ヨウ化物イオン以外のアニオンと、三ヨウ化物イオンとのモル比が100:1〜100:50の範囲である、請求項9〜12のいずれか一項に記載の色素増感太陽電池用電解質。
- 請求項1〜13のいずれか一項に記載の電解質が用いられた色素増感太陽電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011011894A JP5600613B2 (ja) | 2010-02-26 | 2011-01-24 | 色素増感太陽電池用電解質および色素増感太陽電池 |
Applications Claiming Priority (7)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010042604 | 2010-02-26 | ||
JP2010042604 | 2010-02-26 | ||
JP2010167200 | 2010-07-26 | ||
JP2010167200 | 2010-07-26 | ||
JP2010212338 | 2010-09-22 | ||
JP2010212338 | 2010-09-22 | ||
JP2011011894A JP5600613B2 (ja) | 2010-02-26 | 2011-01-24 | 色素増感太陽電池用電解質および色素増感太陽電池 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2012089465A JP2012089465A (ja) | 2012-05-10 |
JP5600613B2 true JP5600613B2 (ja) | 2014-10-01 |
Family
ID=46260860
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011011894A Active JP5600613B2 (ja) | 2010-02-26 | 2011-01-24 | 色素増感太陽電池用電解質および色素増感太陽電池 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5600613B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP4210078A1 (en) * | 2020-09-04 | 2023-07-12 | Nippon Chemi-Con Corporation | Electrical double layer capacitor |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5607439B2 (ja) * | 2010-06-30 | 2014-10-15 | カーリットホールディングス株式会社 | 色素増感太陽電池用電解液及びそれを備えた色素増感太陽電池 |
JP6044767B2 (ja) * | 2012-08-10 | 2016-12-14 | 株式会社Pgsホーム | 色素増感太陽電池 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
AU2003264556B2 (en) * | 2002-09-25 | 2008-11-06 | Dai-Ichi Kogyo Seiyaku Co., Ltd. | Dye-sensitized solar cell |
US8258344B2 (en) * | 2006-12-28 | 2012-09-04 | National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology | Plastic crystal |
-
2011
- 2011-01-24 JP JP2011011894A patent/JP5600613B2/ja active Active
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP4210078A1 (en) * | 2020-09-04 | 2023-07-12 | Nippon Chemi-Con Corporation | Electrical double layer capacitor |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2012089465A (ja) | 2012-05-10 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Gorlov et al. | Ionic liquid electrolytes for dye-sensitized solar cells | |
TWI345840B (en) | Electrolyte composition and photoelectric conversion element using same | |
CN101630593B (zh) | 一种电解质溶液及其在染料敏化太阳能电池中的应用 | |
CN101241774B (zh) | 一种复合电解质组合物及其制备方法 | |
CN101572192B (zh) | 一种染料敏化太阳能电池用电解质及其制备方法 | |
KR101348391B1 (ko) | 이미다졸륨염이 화학적으로 결합된 나노입자, 이의 제조방법 및 이를 포함하는 염료감응 태양전지용 나노젤형 전해질 | |
JP4515948B2 (ja) | ゲル状電解質用原料キット、ゲル状電解質用電解質組成物及び光増感型太陽電池 | |
Lennert et al. | Efficient and stable solid-state dye-sensitized solar cells by the combination of phosphonium organic ionic plastic crystals with silica | |
EP2572402B1 (en) | Ionic liquid based electrolytes containing sulfide/polysulfide redox couple and uses thereof | |
TW201223961A (en) | Electrolyte formulations | |
CN101694813B (zh) | 染料敏化纳米薄膜太阳电池用液晶电解质溶液 | |
CN101297436B (zh) | 离子性凝胶电解质、色素增感型光电转换元件及太阳能电池 | |
JP4459578B2 (ja) | 色素増感太陽電池 | |
JP5600613B2 (ja) | 色素増感太陽電池用電解質および色素増感太陽電池 | |
CN101719427B (zh) | 用于染料敏化太阳能电池的全固态有机合金电解质 | |
TW201117454A (en) | Gel type electrolyte, method of fabrication thereof and dye-sensitized solar cell using the same | |
JP4420645B2 (ja) | 低温型有機溶融塩、光電変換素子及び光電池 | |
CN101261889B (zh) | 用于染料敏化太阳能电池的胍盐离子液体复合电解质及其制备方法 | |
JP2005097561A (ja) | 光機能材料 | |
JP2008226505A (ja) | フェナントロチオフェン系化合物、および、その用途、ならびに製造方法 | |
Jiang et al. | Plastic–polymer composite electrolytes for solid state dye-sensitized solar cells | |
CN101635204B (zh) | 基于氧化钛凝胶电解质的染料敏化太阳能电池及制备方法 | |
CN101013742A (zh) | 一种固态电解质染料敏化纳米晶太阳能电池及其制备方法 | |
JP2002298935A (ja) | 電解質、及び光電気化学電池 | |
JP2005063791A (ja) | 色素増感型光電変換素子用電解質高分子添加剤、それを用いた光電変換素子、及び電解質の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20130201 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20140226 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20140304 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20140417 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20140722 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20140818 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 5600613 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |