JP2005063715A - 燃料電池用水素貯蔵供給装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 水素吸蔵合金を収容する水素吸蔵タンクを加熱する際に、燃料電池の冷却水と熱交換させて空気を加熱して供給しているため、熱伝達の効率が悪く、かつ、装置構成の複雑化を招く。
【解決手段】 燃料電池1に水素を供給するための燃料電池用水素貯蔵供給装置において、水素吸蔵合金を収容し、冷却されて水素を吸収し、加熱されて放出する水素を燃料電池1に供給する水素吸蔵タンク2と、水素吸蔵タンク2に燃料電池1の気体状態の運転排出熱を送り込んで水素吸蔵タンク2を加熱し、水素吸蔵合金からの水素放出を促進させる加熱手段(5,6)と、水素吸蔵タンク2に外気を送り込んで水素吸蔵タンク2を冷却し、水素吸蔵合金への水素吸収を促進させる冷却手段(5)と、加熱手段(5,6)からの運転排出熱と冷却手段(5)からの外気とを切り換えて、水素吸蔵タンク2に送り込むための切換手段(V3,V4)とを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】 燃料電池1に水素を供給するための燃料電池用水素貯蔵供給装置において、水素吸蔵合金を収容し、冷却されて水素を吸収し、加熱されて放出する水素を燃料電池1に供給する水素吸蔵タンク2と、水素吸蔵タンク2に燃料電池1の気体状態の運転排出熱を送り込んで水素吸蔵タンク2を加熱し、水素吸蔵合金からの水素放出を促進させる加熱手段(5,6)と、水素吸蔵タンク2に外気を送り込んで水素吸蔵タンク2を冷却し、水素吸蔵合金への水素吸収を促進させる冷却手段(5)と、加熱手段(5,6)からの運転排出熱と冷却手段(5)からの外気とを切り換えて、水素吸蔵タンク2に送り込むための切換手段(V3,V4)とを備える。
【選択図】 図1
Description
本発明は、燃料電池用水素貯蔵供給装置に関し、詳しくは、水素を水素吸蔵合金に吸蔵させて貯蔵し、水素吸蔵合金から放出させる水素を燃料として供給する燃料電池用水素貯蔵供給装置に関するものである。
従来の燃料電池システムとして、水素吸蔵合金に吸蔵させた水素を燃料として燃料電池に供給するものが知られている。この水素吸蔵合金への水素の吸蔵は、発熱反応であり、また、水素吸蔵合金からの水素の放出は、吸熱反応である。このため、水素吸蔵合金による水素吸蔵及び水素放出に際し、水素吸蔵合金を外部熱源によつて加熱及び冷却する必要がある。
例えば特許文献1(特開2002−252008)では、水素吸蔵合金の冷却を行うに際し、外気ダクトから外気を取り入れることに加え、クーラーユニットを用いて冷気ダクトから冷気を取り込み、また、水素吸蔵合金の加熱を行うに際し、外気ダクトから外気を取り入れることに加え、燃料電池の運転排出熱、具体的には燃料電池の冷却水を利用している。
すなわち、水素吸蔵合金の冷却を行うに際し、外気温度が所定温度t1以下のときには、外気ダクトから取り入れた外気だけで水素吸蔵合金の冷却を行い、外気温度が所定温度t1を越えたときには、クーラーユニットの蒸発器で冷却した外気によつて水素吸蔵合金の冷却を行い、外気温度が所定温度t1よりも高温の所定温度t2(t1<t2)以上になつたときには、噴霧器から水を外気中に噴霧し、気化潜熱を用いて水素吸蔵合金の冷却を行う。
また、水素吸蔵合金の加熱を行うに際し、燃料電池を冷却することによつて加熱された冷却水と空気とを熱交換させ、昇温した空気を水素吸蔵合金を収容する水素吸蔵合金タンクに向けて流している。
特開2002−252008公報
しかしながら、このような従来の燃料電池システムにおける燃料電池用水素貯蔵供給装置にあつては、次の技術的課題を有している。
(1)水素吸蔵合金を収容する水素吸蔵タンクを加熱する際に、燃料電池の冷却水と熱交換させて空気(外気)を加熱して供給しているため、装置構成の複雑化を生ずるのみならず、熱伝達の効率が悪い。
(1)水素吸蔵合金を収容する水素吸蔵タンクを加熱する際に、燃料電池の冷却水と熱交換させて空気(外気)を加熱して供給しているため、装置構成の複雑化を生ずるのみならず、熱伝達の効率が悪い。
(2)水素吸蔵合金を収容する水素吸蔵タンクを冷却する際に、クーラーユニットを用いており、熱交換させて空気(外気)を冷却して供給しているため、装置構成の複雑化を生ずるのみならず、熱伝達の効率が悪く、かつ、消費電力の増大を招く。
本発明は、このような従来の燃料電池システムの水素吸蔵タンクの加熱及び冷却の両者に空気(外気)を使用することに伴う技術的課題に鑑みてなされたものであり、燃料電池の気体状態の運転排出熱(廃熱)と外気とを切り換えて水素吸蔵タンクに送り込むための切換手段を備えさせ、燃料電池用水素貯蔵供給装置の構造の簡素化及び水素放出の高効率化を実現することを目的としている。
また、水素吸蔵合金を収容する水素吸蔵タンクに、燃料電池で生成される温水(生成水)を供給して、水素を放出する際の加熱供給源として利用することにより、燃料電池用水素貯蔵供給装置の構造の簡素化及び水素放出の高効率化を実現することを目的としている。
更には、燃料電池で発生する生成水が廃棄されることに着目し、加熱供給源として利用した後の生成水を溜め、該水を冷却供給源となし、水素吸蔵合金に水素を吸収させ、燃料電池用水素貯蔵供給装置の構造の簡素化及び水素吸収の高効率化を実現することを目的としている。
本発明は、このような従来の技術的課題に鑑みてなされたもので、その構成は、次の通りである。
請求項1の発明は、水素及び酸素を燃料として発電する燃料電池1に水素を供給するための燃料電池用水素貯蔵供給装置において、
水素吸蔵合金を収容し、冷却されて水素を吸収し、加熱されて放出する水素を燃料電池1に供給する水素吸蔵タンク2と、
水素吸蔵タンク2に燃料電池1の気体状態の運転排出熱を送り込んで水素吸蔵タンク2を加熱し、水素吸蔵合金からの水素放出を促進させる加熱手段(5,6)と、
水素吸蔵タンク2に外気を送り込んで水素吸蔵タンク2を冷却し、水素吸蔵合金への水素吸収を促進させる冷却手段(5)と、
前記加熱手段(5,6)からの運転排出熱と前記冷却手段(5)からの外気とを切り換えて、水素吸蔵タンク2に送り込むための切換手段(V3,V4)とを備えることを特徴とする燃料電池用水素貯蔵供給装置である。
請求項2の発明は、前記水素吸蔵タンク2の付近に、切換手段(V3,V4)によつて切り換えられる燃料電池の運転排出熱及び外気を送る送気手段7を備えることを特徴とする請求項1又は2の燃料電池用水素貯蔵供給装置である。
請求項3の発明は、前記水素吸蔵タンク2に燃料電池1の生成水を送り込み、水素吸蔵タンク2を加熱し、水素吸蔵合金からの水素放出を促進させる温水供給手段(9)を備えることを特徴とする請求項1の燃料電池用水素貯蔵供給装置である。
請求項4の発明は、前記温水供給手段(9)によつて送り込まれて水素吸蔵タンク2の加熱に使用された水を溜める水冷ジャケット8を備え、該水冷ジャケット8に溜めた水によつて水素吸蔵タンク2を冷却し、水素吸蔵合金への水素吸収を促進させることを特徴とする請求項3の燃料電池用水素貯蔵供給装置である。
請求項5の発明は、水素を気体状態で貯え、前記加熱手段(5,6)によつて水素吸蔵タンク2から水素を放出させることが不可能な場合に、水素を燃料電池1に送り込むことが可能な水素タンク3を備えることを特徴とする請求項1,2,3又は4の燃料電池用水素貯蔵供給装置である。
請求項1の発明は、水素及び酸素を燃料として発電する燃料電池1に水素を供給するための燃料電池用水素貯蔵供給装置において、
水素吸蔵合金を収容し、冷却されて水素を吸収し、加熱されて放出する水素を燃料電池1に供給する水素吸蔵タンク2と、
水素吸蔵タンク2に燃料電池1の気体状態の運転排出熱を送り込んで水素吸蔵タンク2を加熱し、水素吸蔵合金からの水素放出を促進させる加熱手段(5,6)と、
水素吸蔵タンク2に外気を送り込んで水素吸蔵タンク2を冷却し、水素吸蔵合金への水素吸収を促進させる冷却手段(5)と、
前記加熱手段(5,6)からの運転排出熱と前記冷却手段(5)からの外気とを切り換えて、水素吸蔵タンク2に送り込むための切換手段(V3,V4)とを備えることを特徴とする燃料電池用水素貯蔵供給装置である。
請求項2の発明は、前記水素吸蔵タンク2の付近に、切換手段(V3,V4)によつて切り換えられる燃料電池の運転排出熱及び外気を送る送気手段7を備えることを特徴とする請求項1又は2の燃料電池用水素貯蔵供給装置である。
請求項3の発明は、前記水素吸蔵タンク2に燃料電池1の生成水を送り込み、水素吸蔵タンク2を加熱し、水素吸蔵合金からの水素放出を促進させる温水供給手段(9)を備えることを特徴とする請求項1の燃料電池用水素貯蔵供給装置である。
請求項4の発明は、前記温水供給手段(9)によつて送り込まれて水素吸蔵タンク2の加熱に使用された水を溜める水冷ジャケット8を備え、該水冷ジャケット8に溜めた水によつて水素吸蔵タンク2を冷却し、水素吸蔵合金への水素吸収を促進させることを特徴とする請求項3の燃料電池用水素貯蔵供給装置である。
請求項5の発明は、水素を気体状態で貯え、前記加熱手段(5,6)によつて水素吸蔵タンク2から水素を放出させることが不可能な場合に、水素を燃料電池1に送り込むことが可能な水素タンク3を備えることを特徴とする請求項1,2,3又は4の燃料電池用水素貯蔵供給装置である。
このような本発明に係る燃料電池用水素貯蔵供給装置によれば、次の効果を奏することができる。
請求項1によれば、水素吸蔵タンクの水素放出時の加熱手段として、燃料電池の気体状態の運転排出熱を直接使用し、水素吸蔵時の冷却手段として、外気を直接使用する。このように、加熱手段及び冷却手段の両者に温度調節することなく、気体自体をそのまま使用するので、電力を使用する冷熱供給源及び加熱供給源が必要なくなり、装置の発電効率の増加につながり、燃料電池用水素貯蔵供給装置の構造の簡素化及び水素放出・水素吸蔵の高効率化を実現することができる。
請求項1によれば、水素吸蔵タンクの水素放出時の加熱手段として、燃料電池の気体状態の運転排出熱を直接使用し、水素吸蔵時の冷却手段として、外気を直接使用する。このように、加熱手段及び冷却手段の両者に温度調節することなく、気体自体をそのまま使用するので、電力を使用する冷熱供給源及び加熱供給源が必要なくなり、装置の発電効率の増加につながり、燃料電池用水素貯蔵供給装置の構造の簡素化及び水素放出・水素吸蔵の高効率化を実現することができる。
請求項2によれば、水素吸蔵タンクの付近に、切換手段によつて切り換えられる運転排出熱及び外気を送り込む送気手段を備える。従つて、運転排出熱及び外気を強制的に送り込み、水素吸蔵タンクを加熱又は冷却することが効果的になされる。
請求項3によれば、水素吸蔵タンクに燃料電池の生成水を送り込み、水素吸蔵タンクを直接加熱し、水素吸蔵合金から水素を放出させる。このため、水素吸蔵タンクの水素放出時の加熱供給源として、燃料電池の気体状態の運転排出熱に加え、燃料電池で生成される温水を利用し、排熱と温水をハイブリッド化することになる。これにより、水素吸蔵タンク内の水素圧力を確保し易くなり、水素吸蔵タンクから容易に水素を放出させることができるようになり、電力を使用する別途の加熱供給源を使用することなく、装置の発電効率の更なる増加につながり、また、装置を安価かつコンパクトに製作することができる。
請求項4によれば、温水供給手段によつて送り込まれて水素吸蔵タンクから流出する水を溜める水冷ジャケットを備える。このように、水素吸蔵タンクの水素吸蔵時の冷熱供給源として、外気に加え、燃料電池で発生した温水を水冷ジャケットに貯水させて再利用するように構成したので、水素吸蔵タンクへの水素の吸蔵つまり補給に要する時間を短縮し、水素吸蔵の更なる高効率化を実現することができる。少なくとも水素放出時よりも水温が下がつた水冷ジャケット内の水は、水素吸蔵時の水素吸蔵タンクの放出熱を吸収するため、請求項2に示した冷却手段単独の場合と比較して、より効果的に水素吸蔵が促進される。従つて、電力を使用する別途の水供給源や冷熱供給源が必要なくなり、装置の発電効率の増加につながり、かつ、装置を安価かつコンパクトに製作することができる。
請求項5によれば、水素を気体状態で貯え、加熱手段によつて水素吸蔵タンクから水素を放出させることが不可能な場合に、水素を燃料電池に送り込むことが可能な水素タンクを備える。これにより、外気温が低い若しくは水素吸蔵タンク内の圧力が十分でない場合においても、燃料電池を起動させることが可能になる。
図1は、本発明の1実施の形態に係る燃料電池用水素貯蔵供給装置の概略を示す。図中において符号1はスタックである燃料電池を示し、燃料電池1は、水素及び酸素を燃料として発電する。この燃料電池1への水素は、常態で、水素を吸収・放出することが可能な水素吸蔵合金を収容する水素吸蔵タンク2から供給され、補助的に、水素タンク3から供給される。この燃料電池1は、空冷式であり、冷却水は使用していない。
水素吸蔵タンク2は、金属製(アルミニウム製)で、常用耐圧(PO)は例えば1MPaで設計されており、熱交換効率の高い多数のフィンを備える内部に、水素吸蔵合金(MH)が充填されている。また、水素吸蔵タンク2は、水素吸蔵合金による水素吸蔵及び水素放出を行うために、加熱手段及び温水供給手段並びに冷却手段を付属している。加熱手段としては、燃料電池1から気体状態で排出される運転排出熱つまり廃熱を取り込む廃熱ダクト6に加え、送気手段であるファン7を有している。温水供給手段としては、燃料電池1の運転時に酸素と水素とが化合して生成される生成水を取り込む導入管9を有している。冷却手段としては、外気を取り込む外気ダクト5に加え、ファン7を有している。また、補助的な冷却手段として、水冷ジャケット8を有している。廃熱ダクト6に流入させる気体状態の運転排出熱は、燃料電池1において、アノード及びカソードから排出される生成水と気体状態の運転排出熱とを分離させて排出させるタイプのものにおける運転排気熱でよく、アノード及びカソードから排出される廃熱をトラップし、水と気体状態の運転排出熱とを分離して排出させる場合を含むものである。
一方、水素タンク3は、例えば低温起動時のような水素吸蔵タンク2から水素を放出することが不可能な場合に燃料電池1に水素を送り込む機能を有し、常用耐圧は水素吸蔵タンク2に比べて高め(例えば10MPa)にしてある。
そして、水素吸蔵タンク2は、流量計F1及び圧力計PT1を備える第1流路13が、5方切換弁からなる切換弁V1を介して、流量制御弁RG2を備える第2流路11の一端に接続され、第2流路11の他端が燃料電池1に接続されている。また、水素タンク3は、圧力計PT2を備える第3流路12及び切換弁V1を介して、第2流路11の一端に接続され、切換弁V1の切換えによつて燃料電池1に接続可能である。圧力計PT2は、水素タンク3の内部圧力を検出する。また、切換弁V1には、チェックバルブCH1及び流量制御弁RG1を備える第4流路10によつて水素ボンベ15が接続している。チェックバルブCH1は、水素ボンベ15からの水素が水素吸蔵タンク2又は水素タンク3に向けて流れることを許容する。
切換弁V1は、水素吸蔵タンク2のみを燃料電池1に連通させる第1切換位置、水素タンク3のみを燃料電池1に連通させる第2切換位置、水素ボンベ15を水素吸蔵タンク2のみに連通させる第3切換位置、水素ボンベ15を水素タンク3のみに連通させる第4切換位置、及び第1〜第4流路10,11,12,13の全てを閉じる第5切換位置を有している。
外気を取り込む外気ダクト5は、外気用開閉弁V4及びファン7を上流から順次に備えて一端が大気開放され、後記する開閉弁V3を閉じ、かつ、外気用開閉弁V4を開いた状態で、水素吸蔵タンク2の付近に配設したファン7を駆動することにより、他端から水素吸蔵タンク2に外気を供給して水素吸蔵タンク2を冷却する。
廃熱ダクト6は、アノード排ガス及びカソード排ガスの内の少なくとも多量の廃熱を有するカソード排ガスが導入されるものであり、開閉弁V3を備えて外気ダクト5の外気用開閉弁V4とファン7との間に開口している。
従つて、外気ダクト5の外気用開閉弁V4を閉じ、廃熱ダクト6の開閉弁V3を開くと共に、必要に応じてファン7を駆動することにより、水素吸蔵タンク2に燃料電池1の廃熱を供給して加熱することができる。なお、燃料電池1の運転時に開閉弁V3を閉じたとき、廃熱は排気口6aから外部に排出される。この排気口6aに、開閉弁(図示せず)を設けることも可能である。
ファン7によつて送気される燃料電池1の廃熱及び外気は、水素吸蔵タンク2の周辺、具体的には水素吸蔵タンク2に形成した通気孔2aを流れる。開閉弁V3及び外気用開閉弁V4は、加熱手段(5,6)からの気体状態の運転排出熱と冷却手段(5)からの外気とを切り換えて、水素吸蔵タンク2に送り込むための切換手段(V3,V4)を構成している。そして、水素吸蔵タンク2の付近に、切換手段(V3,V4)によつて切り換えられる運転排出熱及び外気を水素吸蔵タンク2に送り込むファン7を備えさせる。
導入管9は、燃料電池1の運転時に酸素と水素とが電気化学反応を行つて生成される生成水を水素吸蔵タンク2内のチューブの一端に供給し、水素吸蔵タンク2の内部の水素吸蔵合金を加熱する。そして、水素吸蔵タンク2内のチューブの他端から流出する生成水は、水素吸蔵タンク2に密着させた水冷ジャケット8に導いて溜め、後述するように水素吸蔵タンク2を冷却するために使用する。水冷ジャケット8の先端には、生成水用開閉弁V2を備え、生成水用開閉弁V2を開くことによつて水冷ジャケット8内の生成水を外部に放出することができるようになつている。このために、水冷ジャケット8の上流端部には、通気孔を形成してある。LS1は、水冷ジャケット8に溜まつた水量を計測する水量計である。
導入管9は、水素吸蔵タンク2に燃料電池1の生成水を送り込み、水素吸蔵タンク2を加熱し、水素吸蔵合金からの水素放出を促進させる温水供給手段を構成している。水冷ジャケット8は、温水供給手段として機能する導入管9によつて送り込まれて水素吸蔵タンク2から流出する水を溜める。導入管9によつて送り込まれる生成水は、水素吸蔵タンク2を加熱し、自らは冷却されながら水冷ジャケット8に流入し、水冷ジャケット8に貯留されている間に更に空冷されて温度が低下する傾向にある。
従つて、燃料電池1の生成水は、導入管9を通して水素吸蔵タンク2に供給されることにより、水素吸蔵タンク2の水素吸蔵合金から水素を放出させる温水供給源となり、また、温度が低下した水冷ジャケット8内の生成水は、水素吸蔵タンク2を冷却し、水素吸蔵合金への水素吸収を促進させる冷熱供給源となる。水量計LS1によつて検出した水冷ジャケット8の水量が所定量以上に増加したとき、生成水用開閉弁V2を開くことによつて水冷ジャケット8内の生成水を外部に放出する。このように、燃料電池1の生成水が、温水供給源及び冷熱供給源の両者の機能を有するので、別途の水供給手段を必要とすることなく、水素吸蔵タンク2を加熱及び冷却することができる。
また、マイクロコンピュータのCPU4は、水素吸蔵タンク2の温度計TE1、圧力計PT1、流量計F1、水素タンク3の圧力計PT2、水冷ジャケット8の水量計LS1などからのアナログ信号をデジタル化して取り込み、各弁V1,V2,V3,V4を開閉制御すると共に、ファン7を駆動する。
次に作用について説明する。
先ず、水素吸蔵タンク2及び水素タンク3へ水素を充填する。水素吸蔵タンク2への水素充填時は、切換弁V1を切り換えて第4流路10と第1流路13とを連通させ、水素ボンベ15からの水素を流量制御弁RG1によつて流量を調節しながら水素吸蔵タンク2へ充填する。水素充填の終了は、流量計F1で検出した流量の信号をCPU4で積算し、所定量に達したことを判断して行う。なお、水素吸蔵タンク2への水素充填の終了は、水素吸蔵タンク2に設けた水素残量計(図示せず)によつて検知して行うこともできる。
先ず、水素吸蔵タンク2及び水素タンク3へ水素を充填する。水素吸蔵タンク2への水素充填時は、切換弁V1を切り換えて第4流路10と第1流路13とを連通させ、水素ボンベ15からの水素を流量制御弁RG1によつて流量を調節しながら水素吸蔵タンク2へ充填する。水素充填の終了は、流量計F1で検出した流量の信号をCPU4で積算し、所定量に達したことを判断して行う。なお、水素吸蔵タンク2への水素充填の終了は、水素吸蔵タンク2に設けた水素残量計(図示せず)によつて検知して行うこともできる。
この水素吸蔵タンク2への水素充填は、水素吸蔵合金の発熱反応となるので、外気をファン7で送り込むことに加え、水冷ジャケット8に貯水された燃料電池1で発生した生成水を利用することにより、水素吸蔵タンク2を冷却して行う。
すなわち、外気用開閉弁V4を開いた状態でファン7を駆動することにより、水素吸蔵タンク2の周辺(通気孔2a)に外気を流して冷却する。また、水冷ジャケット8に溜めた生成水により、水素吸蔵タンク2を冷却する。このように、水素吸蔵タンク2の冷却にクーラーユニットを使用しないため、装置の複雑化や巨大化を回避することができる。
水素タンク3への水素充填時は、切換弁V1を切り換えて第4流路10と第3流路12とを連通させ、水素ボンベ15からの水素を流量制御弁RG1によつて流量を調節しながら充填する。水素充填の終了は、圧力計PT2による計測値が所定値を越えたことをCPU4で比較・判断して行う。
一方、燃料電池1の発電時は、通常、切換弁V1を切り換えて第2流路11と第1流路13とを連通させ、水素吸蔵タンク2からの水素を流量制御弁RG2によつて流量を調節しながら燃料電池1に供給する。水素吸蔵タンク2からの水素放出は、水素吸蔵合金の吸熱反応となるので、外部から加熱する必要がある。このため、燃料電池1から排出される気体状の運転排出熱を水素吸蔵タンク2に送り込むことに加え、燃料電池1で発生する生成熱を直接水素吸蔵タンク2に送り込むことにより、水素吸蔵タンク2を効果的に加熱する。
すなわち、外気ダクト5の外気用開閉弁V4を適宜に閉じ、廃熱ダクト6の開閉弁V3を開くと共に、必要に応じてファン7を駆動することにより、水素吸蔵タンク2の周辺(通気孔2a)に燃料電池1の廃熱を直接供給して加熱する。また、燃料電池1の運転時に酸素と水素とが結合して生成される生成水を導入管9から水素吸蔵タンク2内のチューブの一端に直接供給し、水素吸蔵タンク2の内部を加熱する。このように、ヒータを用いたり燃料電池1からの廃熱を外部からの空気と熱交換させて水素吸蔵タンク2に送り込んだりしないので、燃料電池1の運転効率の減少や装置の複雑化を回避することができる。
また、水素吸蔵タンク2の内部の温度T1は、危険温度T0未満に制御し、流量制御弁RG2の耐圧P00以上に水素圧力が上昇し、流量制御弁RG2及び燃料電池1が損傷を受けることを防止する。すなわち、温度計TE1による計測値の上昇をCPU4で判断して温度が上がりすぎて水素吸蔵タンク2からの水素放出圧力P1が耐圧P00以上に上がりすぎる恐れがあるとき、廃熱ダクト6の開閉弁V3を閉じると共に、外気を取り入れる外気用開閉弁V4を適宜に開作動させる。開閉弁V3を閉じたとき、燃料電池1から排出される気体状の運転排出熱は排気口6aから外部に排出される。
次に、燃料電池1を低温で起動させる場合や、燃料電池1からの廃熱で水素吸蔵タンク2から水素を燃料電池1の運転可能圧力P0で放出させることが不可能な場合(P1<P0)には、切換弁V1を切り換えて第3流路12と第2流路11とを連通させて水素タンク3からの水素を燃料電池1に導入し、燃料電池1の発電を行わせる。その後、燃料電池1からの廃熱又は生成水で水素吸蔵タンク2の温度計TE1による計測値(温度T1)が上昇し、圧力計PT1による検出圧力P1が燃料電池1の運転可能圧力P0以上(P1≧P0)になつたなら、切換弁V1を切り換えて第1流路13と第2流路11とを連通させ、水素吸蔵タンク2からの水素を使用して燃料電池1を発電させる。
しかして、燃料電池1の発電開始時には、図2に示す第1プログラムに基づくフローチャート(I)、第2プログラムに基づくフローチャート(II)及び第3プログラムに基づくフローチャート(III)を次々に実行し、各弁V1,V2,V3,V4を開閉制御すると共に、アンドゲート4aによる発電開始可能状態の充足により、発電が開始される。なお、発電スイッチ(図示せず)がOFFでは、切換弁V1は、第1〜第4流路10,11,12,13の全てを閉じている。
発電スイッチ(図示せず)のONにより、フローチャート(I)によつて燃料電池1の運転可能圧力POと水素吸蔵タンク2側の圧力である水素放出圧力P1との大小を比較する(ステップS11)。P1≧POを満たしYESのときは、水素吸蔵タンク2からの水素を燃料電池1に導入可能であるので、ステップS12で切換弁V1を切り換えて第1流路13と第2流路11とを連通させ、第4流路10及び第3流路12を閉塞すると共に、アンドゲート4aに第1の信号aが入力される。
P1≧POを満たさずNOのときは、水素吸蔵タンク2からの水素を燃料電池1に導入不可能であるので、ステップS13で切換弁V1を切り換えて第4流路10と第1流路13とを連通させ、第2流路11及び第3流路12を閉塞し、ステップS11に戻る。ステップS11及びステップS13を繰り返すうちにステップS11でP1≧POを満たしYESとなり、上述したようにステップS12に進んで燃料電池1の発電が開始される。なお、ステップS11でP1≧POを満たさずNOのとき、水素タンク3内の水素を燃料電池1に導入して燃料電池1の発電を開始させることも可能である。
また、発電スイッチ(図示せず)のONにより、フローチャート(II)によつて温度計TE1による計測値である水素吸蔵タンク2の内部の温度T1と水素吸蔵タンク2の危険温度T0とを比較する。危険温度T0は、水素吸蔵タンク2内の水素圧力が高過ぎて危険といえる状態に対応する温度である。T1<T0を満たしYESのときは、水素吸蔵タンク2の温度T1の方が危険温度T0よりも低く、水素吸蔵タンク2の圧力が安全な状態にあるので、ステップS22で開閉弁V3を開き、かつ、外気用開閉弁V4を閉じると共に、アンドゲート4aに第2の信号bが入力される。
一方、T1<T0を満たさずNOのときは、水素吸蔵タンク2の圧力が高く危険な状態にあるので、ステップS23で開閉弁V3を閉じると共に外気用開閉弁V4を開き、ステップS21に戻る。ファン7は、必要に応じて駆動する。外気用開閉弁V4を通じた外気の導入によつて水素吸蔵タンク2が冷却され、T1<T0を満たすようになつたなら、上記のようにステップS22で開閉弁V3を開く。
更に、発電スイッチ(図示せず)のONにより、フローチャート(III)によつて水量計LS1による水冷ジャケット8の水量の計測値L1と予め設定した基準値L0との大小を比較する(ステップS31)。L1<L0を満たしYESのときは、計測値L1が示す実際の水位が基準値L0が示す基準の水位よりも低く、水冷ジャケット8による水素吸蔵タンク2の過度の冷却の恐れがないので、ステップS32で生成水用開閉弁V2を閉のままとする。L1<L0を満たさずNOのときは、水冷ジャケット8の生成水が多量であるので、ステップS33で生成水用開閉弁V2を開き、ステップS31に戻る。生成水用開閉弁V2を開くことにより、いずれはL1<L0を満たしYESとなるので、ステップS32で生成水用開閉弁V2を閉じると共に、アンドゲート4aに第3の信号cが入力される。
第1の信号a、第2の信号b及び第3の信号cのアンドゲート4aへの入力により、燃料電池1の運転可能状態にあることが確認され、燃料電池1の発電開始となる。
1:燃料電池
2:水素吸蔵タンク
3:水素タンク
5:外気ダクト(冷却手段,加熱手段)
6:廃熱ダクト(加熱手段)
7:ファン(送気手段)
8:水冷ジャケット
9:導入管(温水供給手段)
15:水素ボンベ
V1:切換弁
V2:生成水用開閉弁
V3:開閉弁(切換手段)
V4:外気用開閉弁(切換手段)
2:水素吸蔵タンク
3:水素タンク
5:外気ダクト(冷却手段,加熱手段)
6:廃熱ダクト(加熱手段)
7:ファン(送気手段)
8:水冷ジャケット
9:導入管(温水供給手段)
15:水素ボンベ
V1:切換弁
V2:生成水用開閉弁
V3:開閉弁(切換手段)
V4:外気用開閉弁(切換手段)
Claims (5)
- 水素及び酸素を燃料として発電する燃料電池(1)に水素を供給するための燃料電池用水素貯蔵供給装置において、
水素吸蔵合金を収容し、冷却されて水素を吸収し、加熱されて放出する水素を燃料電池(1)に供給する水素吸蔵タンク(2)と、
水素吸蔵タンク(2)に燃料電池(1)の気体状態の運転排出熱を送り込んで水素吸蔵タンク(2)を加熱し、水素吸蔵合金からの水素放出を促進させる加熱手段(5,6)と、水素吸蔵タンク(2)に外気を送り込んで水素吸蔵タンク(2)を冷却し、水素吸蔵合金への水素吸収を促進させる冷却手段(5)と、
前記加熱手段(5,6)からの運転排出熱と前記冷却手段(5)からの外気とを切り換えて、水素吸蔵タンク(2)に送り込むための切換手段(V3,V4)とを備えることを特徴とする燃料電池用水素貯蔵供給装置。 - 前記水素吸蔵タンク(2)の付近に、切換手段(V3,V4)によつて切り換えられる燃料電池の運転排出熱及び外気を送る送気手段(7)を備えることを特徴とする請求項1又は2の燃料電池用水素貯蔵供給装置。
- 前記水素吸蔵タンク(2)に燃料電池(1)の生成水を送り込み、水素吸蔵タンク(2)を加熱し、水素吸蔵合金からの水素放出を促進させる温水供給手段(9)を備えることを特徴とする請求項1の燃料電池用水素貯蔵供給装置。
- 前記温水供給手段(9)によつて送り込まれて水素吸蔵タンク(2)の加熱に使用された水を溜める水冷ジャケット(8)を備え、該水冷ジャケット(8)に溜めた水によつて水素吸蔵タンク(2)を冷却し、水素吸蔵合金への水素吸収を促進させることを特徴とする請求項3の燃料電池用水素貯蔵供給装置。
- 水素を気体状態で貯え、前記加熱手段(5,6)によつて水素吸蔵タンク(2)から水素を放出させることが不可能な場合に、水素を燃料電池(1)に送り込むことが可能な水素タンク(3)を備えることを特徴とする請求項1,2,3又は4の燃料電池用水素貯蔵供給装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
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- 2003-08-08 JP JP2003289585A patent/JP2005063715A/ja active Pending
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