JP2005063691A - 加熱装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】基体2および電力供給時に発熱する加熱素子を備える加熱装置において、基体2の加熱面2aの温度分布を小さくできるようにする。
【解決手段】加熱装置1は、基体2、電力供給時に発熱する第一の加熱素子4および電力供給時に発熱する第二の加熱素子3を備えている。第一の加熱素子3が発熱線からなる。第二の加熱素子3が帯状成形物からなる。帯状成形物は好ましくは網状物である。発熱線はコイルスプリング状に成形されていてよい。
【選択図】図4
【解決手段】加熱装置1は、基体2、電力供給時に発熱する第一の加熱素子4および電力供給時に発熱する第二の加熱素子3を備えている。第一の加熱素子3が発熱線からなる。第二の加熱素子3が帯状成形物からなる。帯状成形物は好ましくは網状物である。発熱線はコイルスプリング状に成形されていてよい。
【選択図】図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は加熱装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体製造装置においては、熱CVDなどによってシランガスなどの原料ガスから半導体薄膜を製造するに当たって、基板であるウエハーを加熱するためのセラミックヒーターが使用されている。セラミックヒーターとしては、いわゆる2ゾーンヒーターと呼ばれるものが知られている。2ゾーンヒーターにおいては、セラミック基体中に、高融点金属の線材からなる内周側抵抗発熱体と外周側抵抗発熱体とを埋設し、これらの抵抗発熱体にそれぞれ別個の電流導入端子を接続し、各抵抗発熱体にそれぞれ独立して電圧を印加することにより、内周抵抗発熱体および外周側抵抗発熱体を独立に制御する。
【0003】一方、本出願人による特開平11−204238号公報においては、導電性金属の線材からなるメッシュを帯状に切断し、セラミック基体中にこのメッシュを埋設し、メッシュに対して電力を供給して発熱させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】例えば、半導体ウエハーを加熱する用途においては、目的温度において、加熱面の温度を全体に均一に制御することが必要であり、使用条件下で例えば加熱面の全体にわたって±10℃以下といった厳格な仕様を満足することが要求されている。
【0005】この観点からは、前述したように、セラミック基体内部に高融点金属の線材を埋設し、2ゾーン制御することは有用である。なぜなら、セラミック基体の周縁部から雰囲気へと熱放射されたときに、周縁部の線材への供給電力を増加させることによって熱放射による損失を補償し、基体の内周部と周縁部との間の温度差を小さく保持できるからである。しかし、本発明者が更に検討を進めたところ、基体の加熱面の温度を高くすると、基体内の高融点金属線材のバターンが加熱面に転写されやすくなることが分かった。加熱面の平均温度(目的温度)が上昇すると、この傾向が一層強くなった。このため、特に高温領域においては、加熱面の温度分布をある程度以上小さくすることは難しかった。
【0006】一方、メッシュ帯状成形物を発熱体として基体中に埋設した場合には、発熱体のパターンの加熱面への転写はそれほど大きくない。しかし、その代わり、発熱体における発熱量をある程度以上大きくすることが難しく、このために加熱面の温度の均一性を制御することが困難であった。即ち、加熱面の目的温度が高温になると、発熱体への供給電力を増大させて発生熱量を増加させる必要がある。しかし、発熱体への供給電力を増大させるのにつれて、加熱面の一部にホットスポットが生じやすくなった。これは発熱体の一部領域に電流集中が生じやすいためと考えられる。更に、基体の例えば周縁部においては、前述のように熱放射量が多く、この熱放射による熱損失を補償する必要がある。しかし、この目的で周縁部の発熱体への供給電力を増大させると、周縁部の発熱体において、一層ホットスポットが発生し易くなり、かえって温度分布が大きくなる傾向が見られた。
【0007】本発明の課題は、基体および電力供給時に発熱する加熱素子を備える加熱装置において、加熱面の温度分布を小さくできるようにすることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、基体、電力供給時に発熱する第一の加熱素子および電力供給時に発熱する第二の加熱素子を備えており、第一の加熱素子が発熱線からなり、第二の加熱素子が帯状成形物からなることを特徴とする、加熱装置に係るものである。
【0009】本発明者は、加熱素子として、発熱線からなる第一の加熱素子と、帯状成形物からなる第二の加熱素子とを併用することを想到した。この結果、帯状成形物からなる第二の加熱素子を採用することによって、基体の加熱面への加熱素子の平面的パターンの影響を小さくできる。これと共に、加熱面温度の目的温度への上昇に必要な熱量の多くは、発熱線からなる第一の加熱素子に担持させることとした。これによって、帯状成形物からなる加熱素子へと供給される電力を、顕著な電流集中が生じにくい程度に抑えることができ、これによって帯状成形物における電流集中に起因するホットスポットも防止できる。これらの作用が相乗的に働くことによって、加熱面の温度分布を一層低減することが可能となった。
【0010】以下、適宜図面を参照しつつ、本発明を更に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る加熱装置1を概略的に示す断面図である。本例の基体2は盤状、例えば円盤状である。基体2には、加熱面2a、底面2bおよび側面2cが設けられている。基体2中には、第一の加熱素子4および第二の加熱素子3が埋設されている。各加熱素子3、4は、加熱面2aと略平行に延びている。各加熱素子3、4は、それぞれ電力供給装置に接続されており、各加熱素子3、4への供給電力を独立して制御できる。加熱面2aには例えば半導体ウエハーWを載置し、加熱することができる。
【0011】本加熱装置1においては、第一の加熱素子4を発熱線によって形成し、第二の加熱素子3を帯状成形物によって形成する。
【0012】加熱素子3、4の平面的な埋設パターンは特に限定されず、目的の加熱特性に応じて設計される。例えば、図2に示すパターンでは、加熱素子3が渦巻き状に埋設されており、加熱素子3の両端が端子5に接続されている。6は、加熱素子3のギャップである。加熱素子4の平面的パターンも同様とすることができる。
【0013】このように、発熱線からなる加熱素子4と帯状成形物からなる加熱素子3とを併用することによる作用効果について更に説明する。
【0014】図3(a)に示すように、基体2の内部に、発熱線からなる加熱素子4を埋設したものとする。この場合には、加熱素子4からの発熱量は、設計値とほぼ同じとなり、制御しやすい。また、加熱素子4の周囲の熱放射量が大きい場合には、加熱素子4への供給電力を増大させることによって、加熱素子4からの発熱量を増加させ、熱放射を補償することができる。そして、加熱素子4への供給電力を増加させても、加熱素子4からの発熱量の分布が設計値から大きくはずれることはない。
【0015】しかし、加熱素子4が発熱線からなっているので、加熱素子4のギャップ7は大きくなり易い。特に、加熱素子4がコイルスプリング形状を有している場合には、ギャップ7が小さいと、基体2の焼結時に欠陥が生じ易い。従って、ギャップ7をある程度以上小さくすることは困難である。この結果、加熱素子4のギャップ7内、特にギャップ7の中央部において、加熱面2aにコールドスポット8が生じ易くなる。特に、基体2からの熱放射を補償するために、加熱素子4への供給電力を増大させると、コールドスポット8は顕著となる。これは、基体2内の加熱素子4の平面的パターンが加熱面2aに転写されやすいことを意味している。
【0016】メッシュ帯状成形物を発熱体として基体中に埋設した場合には、発熱体のパターンの加熱面への転写はそれほど大きくない。これは、図1に示すように、帯状成形物3は発熱線4よりも一般に幅広く、帯状成形物3のギャップ6は、発熱線4のギャップ7に比べて小さいからである。
【0017】しかし、帯状成形物3における発熱量をある程度以上大きくすることが難しく、このために加熱面の温度の均一性を制御することが困難であった。加熱面の目的温度が高温の場合には、帯状成形物3への供給電力を増大させて発生熱量を増加させる必要がある。しかし、帯状成形物3への供給電力を増大させるのにつれて、加熱面の一部にホットスポットが生じやすくなる。例えば、図3(b)に示すように、帯状成形物3が直線部分3aとコーナー部3bとを有しているものとする。電流経路の中心Aは、直線部分3aにおいては帯状成形物のほぼ中央を通る。しかし、コーナー部3bにおいては、コーナー部の内側エッジの近辺に電流集中する。これは、コーナー部の内側エッジ付近が最短経路だからである。コーナー部3bの外周側を流れる電流は少ない。この結果、コーナー部3bの内側湾曲部9に、斜線で示すように電流が集中し、発熱も集中する。この発熱の集中によって、基体表面にホットスポットが生ずる。
【0018】更に、基体の周縁部においては、前述のように熱放射量が多く、この熱放射による熱損失を補償する必要がある。しかし、この目的で外周側の帯状成形物への供給電力を増大させると、外周側の帯状成形物において、一層ホットスポットが発生し易くなり、かえって温度分布が大きくなる。このような帯状成形物のコーナー部3bでの発熱の集中が強まると、コーナー部3bの周辺で基体の破損が生じやすくなる。このため、帯状成形物への供給電力を、ある程度以上大きくすることは難しい。この結果、帯状成形物3からの発熱量をある程度以上大きくして、加熱面の温度分布を縮小させることは困難となる。
【0019】これに対して、本実施形態においては、例えば図1、4に示すように、基体2内に帯状成形物3と発熱線4とを積層する。この場合には、図4に示すように、発熱線4から矢印Bのように発熱すると、この熱が、より幅広い帯状成形物3に達し、帯状成形物3内で横方向に拡散し、次いで帯状成形物3から矢印Cのように加熱面2aへと向かって伝導する。発熱線4からの熱がいったん帯状成形物3によって横方向に拡散され、次いで帯状成形物3から加熱面2aへと向かって伝導するので、加熱素子4のパターンが加熱面2aに転写しにくい。これと共に、加熱面2aの温度を目的温度に上昇させるのに必要な熱量の多くは、発熱線4からの発熱によって主として供給可能である。これによって、帯状成形物からなる加熱素子3へと供給される電力を、帯状成形物3内において顕著な電流集中が生じにくい程度に抑えることができ、これによって帯状成形物における電流集中に起因するホットスポットも防止できる。これらの作用が相乗的に働くことによって、加熱面2aの温度分布を低減することができる。
【0020】基体の材質は特に限定されない。汚染防止の観点からセラミックスが好ましく、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化珪素、窒化ホウ素(p−BN)、炭化珪素が特に好ましい。
【0021】第一の加熱素子は発熱線からなる。発熱線は、圧延引き抜き加工によって発熱線として成形された金属線が特に好ましい。
【0022】発熱線の線径は特に限定されず、例えば1mm以下のものを好適に利用できる。また発熱線の断面形状は限定されず、真円形、楕円形や、四辺形、三角形等の多角形であってよい。発熱線は、素線であってよいが、好ましくはコイルスプリング状に成形あるいは巻回されている。また、発熱線は、好ましくは編組されていないものである。ただし、複数本の発熱線を束ねたものも加熱素子として使用可能である。
【0023】第二の加熱素子は帯状成形物からなる。帯状成形物とは、横断面が細長い形状を有する長尺の成形物である。電流は帯状成形物をその長手方向へと向かって流れる。帯状成形物の横断面形状は特に限定されないが、略長方形であることが好ましい。また、帯状成形物は、網状物、箔、リボン状物、印刷物であることが好ましいが、抵抗発熱性を有する限り、これらに限定はされない。
【0024】加熱素子の材質は特に限定されず、金属、導電性セラミックス、金属−セラミックス複合材料であってよい。具体的な材質としては、タンタル、タングステン、モリブデン、白金、レニウム、ハフニウムからなる群より選ばれた純金属、あるいは、タンタル、タングステン、モリブデン、白金、レニウム、ハフニウムからなる群より選ばれた二種以上の金属の合金が好ましい。基板を窒化アルミニウムから構成した場合においては、抵抗発熱体の材質はモリブデン及びモリブデン合金であることが好ましい。また、ニクロム線などの公知の抵抗発熱体や、カーボン、TiN、TiCなどの導電性材料を使用することもできる。
【0025】特に好ましくは帯状成形物が網状体である。この場合、網状体を構成する素材の形態は、繊維ないし線材が好ましい。この際繊維ないし線材の断面を円形にすると、熱膨張に起因する応力集中の低減の効果が特に大きい。
【0026】網状物を構成する線の線径は特に限定しない。この線は、圧延引き抜き加工によって線材として成形された、純度99%以上の純金属からなる金属線が特に好ましい。また、金属線を構成する金属の抵抗値は、室温で1.1×10−6Ω・cm以下とすることが好ましく、6×10−6Ω・cm以下とすることが更に好ましい。
【0027】また、網状電極を構成する金属線の線幅が0.8mm以下であり、1インチ当たり8本以上の線交差を有していることが好ましい。線幅を0.8mm以下とすることによって、線の発熱速度が早く、発熱量が適切になる。また、線幅を0.02mm以上とすることによって、線の過剰な発熱による電流集中も生じにくくなる。網状物を構成する線材の直径は0.013mm以上のものが好ましく、0.02mm以上が更に好ましい。
【0028】また、1インチ当たりの線交差を8本以上とすることによって、網状物の全体に均一に電流が流れやすくなり、網状物を構成する線の内部における電流集中が生じにくくなった。実際の製造上の観点から見ると、1インチ当たりの線交差の数は100本以下とすることが好ましい。
【0029】網状電極を構成する線材の幅方向断面形状は、円形の他、楕円形、長方形等、種々の圧延形状であってよい。
【0030】好適な実施形態においては、図1〜4に示すように、第一の加熱素子と第二の加熱素子とが基体中に埋設されている。しかし、一方または双方の加熱素子が基体表面に設けられていてもよい。
【0031】また、好適な実施形態においては、第一の加熱素子と第二の加熱素子とが積層されている。ここで、各加熱素子が基体内に埋設されていてよいが、一方または双方の加熱素子が基体表面に設けられていてもよい。
【0032】好適な実施形態においては、図1〜図4に示すように、基体が加熱面を有しており、第一の加熱素子と第二の加熱素子とが加熱面に対して略平行に延びている。これによって加熱面の温度の均一性を一層向上させることができる。
【0033】第一の加熱素子と第二の加熱素子とが基体内に埋設されている場合には、図1に示すように、第一の加熱素子4よりも第二の加熱素子3が加熱面2aに近いことが好ましい。これによって、第一の加熱素子4からの熱を第二の加熱素子3によって、加熱面と水平な方向へと向かって伝導し、第一の加熱素子4の平面的パターンの加熱面への影響を一層低減することができる。
【0034】好適な実施形態においては、第一の加熱素子が、基体からの熱放射量の多い領域に設けられている。これは、第一の加熱素子が発熱線からなり、加熱素子への供給電力を多くしてもほぼ設計どおりの発熱量が得られるので、基体からの熱放射量の多い領域において、熱放射による熱損失を補償できるからである。
【0035】基体からの熱放射量の多い領域とは、他の領域よりも単位面積当たりの熱放射量の多い領域のことを意味している。基体が盤状をなしている場合には、基体の周縁部は熱放射量の多い領域に該当する。これは、周縁部の側面から雰囲気への熱放射があるためである。
【0036】図5は、この実施形態に係る加熱装置11における加熱素子の埋設パターンを模式的に示す平面図である。本例においては、基体2内に、略同一平面に沿って、発熱線からなる第一の加熱素子4と、帯状成形物からなる第二の加熱素子3とが埋設されている。この際、基体2の側面2cに近い周縁部2dは、内周部2eに比べて、外部雰囲気に接触する露出面が多く、従って外部への熱放射量が内周部に比べて大きい。従って、本実施形態においては、周縁部2d中に、発熱線からなる第一の加熱素子4を埋設した。第一の加熱素子4の両端は端子5に接続されている。そして、第一の加熱素子4の内側に、帯状成形物からなる第二の加熱素子3を埋設し、包囲した。
【0037】このような形態においては、内周部2eからの熱放射量が相対的に少なく、周縁部2dからの熱放射量が相対的に多い。従って、加熱面の温度をその全体にわたって一定に保持するためには、内周部に埋設された加熱素子3の発熱量よりも、周縁部2dに埋設された加熱素子4の発熱量を多くする必要がある。ここで、本実施形態では、発熱量の多い周縁部2d内の加熱素子4を発熱線によって構成する。これと共に、発熱量の相対的に少ない内周部2eの加熱素子は帯状成形物から形成する。加熱素子3においては、要求される発熱量が少ないことから、供給電力を、帯状成形物3内において顕著な電流集中が生じにくい程度に抑えることができ、これによって帯状成形物における電流集中に起因するホットスポットも防止できる。これらの作用が相乗的に働くことによって、加熱面2aの温度分布を低減することができる。
【0038】また、加熱装置を設置するべきチャンバーの形態によっては、他の原因によって、加熱素子からの熱放射量が局所的に増大する場合がある。この場合には、熱放射量が増大する領域に、発熱線からなる第一の加熱素子を設けることによって、上述の作用効果を得ることができる。
【0039】基体からの熱放射量を増大させる原因は特に限定されず、例えば真空吸引装置やゲートバルブを例示できる。
【0040】図6はこの実施形態に係る加熱装置12を示す。図6には、基体2内に埋設された各加熱素子の平面的パターンを模式的に示す。本加熱装置12の基体2の周囲には、例えばゲートバルブ13や真空吸引装置14が設置されている。ここで、基体2を複数個の領域に分割し、ゲートバルブや真空吸引装置に近い領域(つまり熱放射量の多い領域)に、発熱線からなる第一の加熱素子を設置する。
【0041】基体2を例えば6個の領域15A、15B、16A、16B、16C、16Dに分割したものとする。本例では各領域は扇形をしている。ここで、ゲートバルブ13に近い領域15Bおよび真空吸引装置14に近い領域15Aは、他の領域に比べて熱放射量が大きい。従って、領域15A、15B内には、発熱線からなる第一の加熱素子4を埋設する。また、他の領域16A、16B、16C、16Dには、帯状成形物からなる加熱素子3を埋設する。
【0042】本発明の加熱装置の用途は特に限定されないが、化学的気相成長装置、エッチング装置、ベーキング装置、コータ用のキュアリング装置を例示できる。また本発明の加熱装置は、シリコンウエハーなどの半導体の加熱に特に好適である。
【0043】
【実施例】(実施例1)
図1、図4に示す形態の加熱装置1を製造した。ただし、基体2を構成するセラミックスはAlNである。基体2の加熱面2aの直径は350mmであり、基体2の厚さは17 mmである。加熱素子4は、コイルスプリング状の発熱線からなる。加熱素子4を構成する発熱線の線径は0.5mmであり、コイルスプリングのらせん径は3mmである。加熱素子3は、網状物からなる帯状成形物である。網状物の材質は純モリブデンであり、網状物を構成する線材の線径は0.5mmであり、1インチ当たりの線材の交差本数は50本とした。帯状成形物の直径は330mmとし、ギャップ3は10mmとした。
【0044】こうして得られた加熱装置1の加熱素子3、4に電力を供給し、700℃まで昇温した。700℃に達したところで、加熱面2aの温度分布をRTDウエハーによって観測し、最高温度と最低温度との差を測定したところ、5.4℃であった。
【0045】(比較例1)
実施例1と同様にして加熱装置を製造した。ただし、基体2は実施例1と同じである。加熱素子3、4はコイルスプリング状の発熱線によって形成した。加熱素子4を構成する発熱線の線径は0.5mmであり、コイルスプリングのらせん径は3.0mmである。
【0046】こうして得られた加熱装置の加熱素子3、4に電力を供給し、700℃まで昇温した。700℃に達したところで、加熱面2aの温度分布をRTDウエハーによって観測し、最高温度と最低温度との差を測定したところ、
℃であった。また、加熱面には、加熱素子の平面的な埋設パターンが転写されており、加熱素子のギャップ7の大きい部分にコールドスポットが見られた。
【0047】(比較例2)
実施例1と同様にして加熱装置を製造した。ただし、基体2は実施例1と同じである。加熱素子3、4は網状物の帯状成形物からなる。網状物の材質は純モリブデンであり、網状物を構成する線材の線径は0.5mmであり、1インチ当たりの線材の交差本数は50本とした。帯状成形物の直径は330mmとし、ギャップ6は15mmとした。
【0048】こうして得られた加熱装置の加熱素子3、4に電力を供給し、700℃まで昇温した。700℃に達したところで、加熱面2aの温度分布をRTDウエハーによって観測し、最高温度と最低温度との差を測定したところ、
℃であった。また、加熱面には多数のホットスポットが見られた。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、基体および電力供給時に発熱する加熱素子を備える加熱装置において、加熱面の温度分布を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る加熱装置1を概略的に示す断面図である。
【図2】加熱装置1における第二の加熱素子3の平面的パターンを模式的に示す図である。
【図3】(a)は、基体2内に発熱線からなる加熱素子4を埋設したときのコールドスポット8の発生状況を示す模式図であり、(b)は、帯状成形物からなる加熱素子3における電流集中の状況を示す模式図である。
【図4】加熱装置1における熱の伝導を説明するための模式図である。
【図5】他の実施形態に係る加熱装置11における各加熱素子3、4の平面的パターンを模式的に示す図である。基体2の内周部2eには、帯状成形物からなる加熱素子3が埋設されており、基体2の周縁部2dには、発熱線からなる加熱素子4が埋設されている。
【図6】更に他の実施形態に係る加熱装置12における各加熱素子3、4の平面的パターンを模式的に示す図である。
【符号の説明】1、11、12 加熱装置 2 基体 2a 加熱面 2b 底面 2c 側面 2d 周縁部 2e 内周部 3 帯状成形物からなる第二の加熱素子 4 発熱線からなる第一の加熱素子 5 端子 6 第二の加熱素子のギャップ 7 第一の加熱素子のギャップ 8 コールドスポット 9電流集中部分 15A、15B 熱放射の多い領域 16A、16B、16C、16D 熱放射の少ない領域 A 電流経路の中心 B 第一の加熱素子4からの熱伝導 C 第二の加熱素子3からの熱伝導
【発明の属する技術分野】本発明は加熱装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体製造装置においては、熱CVDなどによってシランガスなどの原料ガスから半導体薄膜を製造するに当たって、基板であるウエハーを加熱するためのセラミックヒーターが使用されている。セラミックヒーターとしては、いわゆる2ゾーンヒーターと呼ばれるものが知られている。2ゾーンヒーターにおいては、セラミック基体中に、高融点金属の線材からなる内周側抵抗発熱体と外周側抵抗発熱体とを埋設し、これらの抵抗発熱体にそれぞれ別個の電流導入端子を接続し、各抵抗発熱体にそれぞれ独立して電圧を印加することにより、内周抵抗発熱体および外周側抵抗発熱体を独立に制御する。
【0003】一方、本出願人による特開平11−204238号公報においては、導電性金属の線材からなるメッシュを帯状に切断し、セラミック基体中にこのメッシュを埋設し、メッシュに対して電力を供給して発熱させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】例えば、半導体ウエハーを加熱する用途においては、目的温度において、加熱面の温度を全体に均一に制御することが必要であり、使用条件下で例えば加熱面の全体にわたって±10℃以下といった厳格な仕様を満足することが要求されている。
【0005】この観点からは、前述したように、セラミック基体内部に高融点金属の線材を埋設し、2ゾーン制御することは有用である。なぜなら、セラミック基体の周縁部から雰囲気へと熱放射されたときに、周縁部の線材への供給電力を増加させることによって熱放射による損失を補償し、基体の内周部と周縁部との間の温度差を小さく保持できるからである。しかし、本発明者が更に検討を進めたところ、基体の加熱面の温度を高くすると、基体内の高融点金属線材のバターンが加熱面に転写されやすくなることが分かった。加熱面の平均温度(目的温度)が上昇すると、この傾向が一層強くなった。このため、特に高温領域においては、加熱面の温度分布をある程度以上小さくすることは難しかった。
【0006】一方、メッシュ帯状成形物を発熱体として基体中に埋設した場合には、発熱体のパターンの加熱面への転写はそれほど大きくない。しかし、その代わり、発熱体における発熱量をある程度以上大きくすることが難しく、このために加熱面の温度の均一性を制御することが困難であった。即ち、加熱面の目的温度が高温になると、発熱体への供給電力を増大させて発生熱量を増加させる必要がある。しかし、発熱体への供給電力を増大させるのにつれて、加熱面の一部にホットスポットが生じやすくなった。これは発熱体の一部領域に電流集中が生じやすいためと考えられる。更に、基体の例えば周縁部においては、前述のように熱放射量が多く、この熱放射による熱損失を補償する必要がある。しかし、この目的で周縁部の発熱体への供給電力を増大させると、周縁部の発熱体において、一層ホットスポットが発生し易くなり、かえって温度分布が大きくなる傾向が見られた。
【0007】本発明の課題は、基体および電力供給時に発熱する加熱素子を備える加熱装置において、加熱面の温度分布を小さくできるようにすることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、基体、電力供給時に発熱する第一の加熱素子および電力供給時に発熱する第二の加熱素子を備えており、第一の加熱素子が発熱線からなり、第二の加熱素子が帯状成形物からなることを特徴とする、加熱装置に係るものである。
【0009】本発明者は、加熱素子として、発熱線からなる第一の加熱素子と、帯状成形物からなる第二の加熱素子とを併用することを想到した。この結果、帯状成形物からなる第二の加熱素子を採用することによって、基体の加熱面への加熱素子の平面的パターンの影響を小さくできる。これと共に、加熱面温度の目的温度への上昇に必要な熱量の多くは、発熱線からなる第一の加熱素子に担持させることとした。これによって、帯状成形物からなる加熱素子へと供給される電力を、顕著な電流集中が生じにくい程度に抑えることができ、これによって帯状成形物における電流集中に起因するホットスポットも防止できる。これらの作用が相乗的に働くことによって、加熱面の温度分布を一層低減することが可能となった。
【0010】以下、適宜図面を参照しつつ、本発明を更に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る加熱装置1を概略的に示す断面図である。本例の基体2は盤状、例えば円盤状である。基体2には、加熱面2a、底面2bおよび側面2cが設けられている。基体2中には、第一の加熱素子4および第二の加熱素子3が埋設されている。各加熱素子3、4は、加熱面2aと略平行に延びている。各加熱素子3、4は、それぞれ電力供給装置に接続されており、各加熱素子3、4への供給電力を独立して制御できる。加熱面2aには例えば半導体ウエハーWを載置し、加熱することができる。
【0011】本加熱装置1においては、第一の加熱素子4を発熱線によって形成し、第二の加熱素子3を帯状成形物によって形成する。
【0012】加熱素子3、4の平面的な埋設パターンは特に限定されず、目的の加熱特性に応じて設計される。例えば、図2に示すパターンでは、加熱素子3が渦巻き状に埋設されており、加熱素子3の両端が端子5に接続されている。6は、加熱素子3のギャップである。加熱素子4の平面的パターンも同様とすることができる。
【0013】このように、発熱線からなる加熱素子4と帯状成形物からなる加熱素子3とを併用することによる作用効果について更に説明する。
【0014】図3(a)に示すように、基体2の内部に、発熱線からなる加熱素子4を埋設したものとする。この場合には、加熱素子4からの発熱量は、設計値とほぼ同じとなり、制御しやすい。また、加熱素子4の周囲の熱放射量が大きい場合には、加熱素子4への供給電力を増大させることによって、加熱素子4からの発熱量を増加させ、熱放射を補償することができる。そして、加熱素子4への供給電力を増加させても、加熱素子4からの発熱量の分布が設計値から大きくはずれることはない。
【0015】しかし、加熱素子4が発熱線からなっているので、加熱素子4のギャップ7は大きくなり易い。特に、加熱素子4がコイルスプリング形状を有している場合には、ギャップ7が小さいと、基体2の焼結時に欠陥が生じ易い。従って、ギャップ7をある程度以上小さくすることは困難である。この結果、加熱素子4のギャップ7内、特にギャップ7の中央部において、加熱面2aにコールドスポット8が生じ易くなる。特に、基体2からの熱放射を補償するために、加熱素子4への供給電力を増大させると、コールドスポット8は顕著となる。これは、基体2内の加熱素子4の平面的パターンが加熱面2aに転写されやすいことを意味している。
【0016】メッシュ帯状成形物を発熱体として基体中に埋設した場合には、発熱体のパターンの加熱面への転写はそれほど大きくない。これは、図1に示すように、帯状成形物3は発熱線4よりも一般に幅広く、帯状成形物3のギャップ6は、発熱線4のギャップ7に比べて小さいからである。
【0017】しかし、帯状成形物3における発熱量をある程度以上大きくすることが難しく、このために加熱面の温度の均一性を制御することが困難であった。加熱面の目的温度が高温の場合には、帯状成形物3への供給電力を増大させて発生熱量を増加させる必要がある。しかし、帯状成形物3への供給電力を増大させるのにつれて、加熱面の一部にホットスポットが生じやすくなる。例えば、図3(b)に示すように、帯状成形物3が直線部分3aとコーナー部3bとを有しているものとする。電流経路の中心Aは、直線部分3aにおいては帯状成形物のほぼ中央を通る。しかし、コーナー部3bにおいては、コーナー部の内側エッジの近辺に電流集中する。これは、コーナー部の内側エッジ付近が最短経路だからである。コーナー部3bの外周側を流れる電流は少ない。この結果、コーナー部3bの内側湾曲部9に、斜線で示すように電流が集中し、発熱も集中する。この発熱の集中によって、基体表面にホットスポットが生ずる。
【0018】更に、基体の周縁部においては、前述のように熱放射量が多く、この熱放射による熱損失を補償する必要がある。しかし、この目的で外周側の帯状成形物への供給電力を増大させると、外周側の帯状成形物において、一層ホットスポットが発生し易くなり、かえって温度分布が大きくなる。このような帯状成形物のコーナー部3bでの発熱の集中が強まると、コーナー部3bの周辺で基体の破損が生じやすくなる。このため、帯状成形物への供給電力を、ある程度以上大きくすることは難しい。この結果、帯状成形物3からの発熱量をある程度以上大きくして、加熱面の温度分布を縮小させることは困難となる。
【0019】これに対して、本実施形態においては、例えば図1、4に示すように、基体2内に帯状成形物3と発熱線4とを積層する。この場合には、図4に示すように、発熱線4から矢印Bのように発熱すると、この熱が、より幅広い帯状成形物3に達し、帯状成形物3内で横方向に拡散し、次いで帯状成形物3から矢印Cのように加熱面2aへと向かって伝導する。発熱線4からの熱がいったん帯状成形物3によって横方向に拡散され、次いで帯状成形物3から加熱面2aへと向かって伝導するので、加熱素子4のパターンが加熱面2aに転写しにくい。これと共に、加熱面2aの温度を目的温度に上昇させるのに必要な熱量の多くは、発熱線4からの発熱によって主として供給可能である。これによって、帯状成形物からなる加熱素子3へと供給される電力を、帯状成形物3内において顕著な電流集中が生じにくい程度に抑えることができ、これによって帯状成形物における電流集中に起因するホットスポットも防止できる。これらの作用が相乗的に働くことによって、加熱面2aの温度分布を低減することができる。
【0020】基体の材質は特に限定されない。汚染防止の観点からセラミックスが好ましく、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化珪素、窒化ホウ素(p−BN)、炭化珪素が特に好ましい。
【0021】第一の加熱素子は発熱線からなる。発熱線は、圧延引き抜き加工によって発熱線として成形された金属線が特に好ましい。
【0022】発熱線の線径は特に限定されず、例えば1mm以下のものを好適に利用できる。また発熱線の断面形状は限定されず、真円形、楕円形や、四辺形、三角形等の多角形であってよい。発熱線は、素線であってよいが、好ましくはコイルスプリング状に成形あるいは巻回されている。また、発熱線は、好ましくは編組されていないものである。ただし、複数本の発熱線を束ねたものも加熱素子として使用可能である。
【0023】第二の加熱素子は帯状成形物からなる。帯状成形物とは、横断面が細長い形状を有する長尺の成形物である。電流は帯状成形物をその長手方向へと向かって流れる。帯状成形物の横断面形状は特に限定されないが、略長方形であることが好ましい。また、帯状成形物は、網状物、箔、リボン状物、印刷物であることが好ましいが、抵抗発熱性を有する限り、これらに限定はされない。
【0024】加熱素子の材質は特に限定されず、金属、導電性セラミックス、金属−セラミックス複合材料であってよい。具体的な材質としては、タンタル、タングステン、モリブデン、白金、レニウム、ハフニウムからなる群より選ばれた純金属、あるいは、タンタル、タングステン、モリブデン、白金、レニウム、ハフニウムからなる群より選ばれた二種以上の金属の合金が好ましい。基板を窒化アルミニウムから構成した場合においては、抵抗発熱体の材質はモリブデン及びモリブデン合金であることが好ましい。また、ニクロム線などの公知の抵抗発熱体や、カーボン、TiN、TiCなどの導電性材料を使用することもできる。
【0025】特に好ましくは帯状成形物が網状体である。この場合、網状体を構成する素材の形態は、繊維ないし線材が好ましい。この際繊維ないし線材の断面を円形にすると、熱膨張に起因する応力集中の低減の効果が特に大きい。
【0026】網状物を構成する線の線径は特に限定しない。この線は、圧延引き抜き加工によって線材として成形された、純度99%以上の純金属からなる金属線が特に好ましい。また、金属線を構成する金属の抵抗値は、室温で1.1×10−6Ω・cm以下とすることが好ましく、6×10−6Ω・cm以下とすることが更に好ましい。
【0027】また、網状電極を構成する金属線の線幅が0.8mm以下であり、1インチ当たり8本以上の線交差を有していることが好ましい。線幅を0.8mm以下とすることによって、線の発熱速度が早く、発熱量が適切になる。また、線幅を0.02mm以上とすることによって、線の過剰な発熱による電流集中も生じにくくなる。網状物を構成する線材の直径は0.013mm以上のものが好ましく、0.02mm以上が更に好ましい。
【0028】また、1インチ当たりの線交差を8本以上とすることによって、網状物の全体に均一に電流が流れやすくなり、網状物を構成する線の内部における電流集中が生じにくくなった。実際の製造上の観点から見ると、1インチ当たりの線交差の数は100本以下とすることが好ましい。
【0029】網状電極を構成する線材の幅方向断面形状は、円形の他、楕円形、長方形等、種々の圧延形状であってよい。
【0030】好適な実施形態においては、図1〜4に示すように、第一の加熱素子と第二の加熱素子とが基体中に埋設されている。しかし、一方または双方の加熱素子が基体表面に設けられていてもよい。
【0031】また、好適な実施形態においては、第一の加熱素子と第二の加熱素子とが積層されている。ここで、各加熱素子が基体内に埋設されていてよいが、一方または双方の加熱素子が基体表面に設けられていてもよい。
【0032】好適な実施形態においては、図1〜図4に示すように、基体が加熱面を有しており、第一の加熱素子と第二の加熱素子とが加熱面に対して略平行に延びている。これによって加熱面の温度の均一性を一層向上させることができる。
【0033】第一の加熱素子と第二の加熱素子とが基体内に埋設されている場合には、図1に示すように、第一の加熱素子4よりも第二の加熱素子3が加熱面2aに近いことが好ましい。これによって、第一の加熱素子4からの熱を第二の加熱素子3によって、加熱面と水平な方向へと向かって伝導し、第一の加熱素子4の平面的パターンの加熱面への影響を一層低減することができる。
【0034】好適な実施形態においては、第一の加熱素子が、基体からの熱放射量の多い領域に設けられている。これは、第一の加熱素子が発熱線からなり、加熱素子への供給電力を多くしてもほぼ設計どおりの発熱量が得られるので、基体からの熱放射量の多い領域において、熱放射による熱損失を補償できるからである。
【0035】基体からの熱放射量の多い領域とは、他の領域よりも単位面積当たりの熱放射量の多い領域のことを意味している。基体が盤状をなしている場合には、基体の周縁部は熱放射量の多い領域に該当する。これは、周縁部の側面から雰囲気への熱放射があるためである。
【0036】図5は、この実施形態に係る加熱装置11における加熱素子の埋設パターンを模式的に示す平面図である。本例においては、基体2内に、略同一平面に沿って、発熱線からなる第一の加熱素子4と、帯状成形物からなる第二の加熱素子3とが埋設されている。この際、基体2の側面2cに近い周縁部2dは、内周部2eに比べて、外部雰囲気に接触する露出面が多く、従って外部への熱放射量が内周部に比べて大きい。従って、本実施形態においては、周縁部2d中に、発熱線からなる第一の加熱素子4を埋設した。第一の加熱素子4の両端は端子5に接続されている。そして、第一の加熱素子4の内側に、帯状成形物からなる第二の加熱素子3を埋設し、包囲した。
【0037】このような形態においては、内周部2eからの熱放射量が相対的に少なく、周縁部2dからの熱放射量が相対的に多い。従って、加熱面の温度をその全体にわたって一定に保持するためには、内周部に埋設された加熱素子3の発熱量よりも、周縁部2dに埋設された加熱素子4の発熱量を多くする必要がある。ここで、本実施形態では、発熱量の多い周縁部2d内の加熱素子4を発熱線によって構成する。これと共に、発熱量の相対的に少ない内周部2eの加熱素子は帯状成形物から形成する。加熱素子3においては、要求される発熱量が少ないことから、供給電力を、帯状成形物3内において顕著な電流集中が生じにくい程度に抑えることができ、これによって帯状成形物における電流集中に起因するホットスポットも防止できる。これらの作用が相乗的に働くことによって、加熱面2aの温度分布を低減することができる。
【0038】また、加熱装置を設置するべきチャンバーの形態によっては、他の原因によって、加熱素子からの熱放射量が局所的に増大する場合がある。この場合には、熱放射量が増大する領域に、発熱線からなる第一の加熱素子を設けることによって、上述の作用効果を得ることができる。
【0039】基体からの熱放射量を増大させる原因は特に限定されず、例えば真空吸引装置やゲートバルブを例示できる。
【0040】図6はこの実施形態に係る加熱装置12を示す。図6には、基体2内に埋設された各加熱素子の平面的パターンを模式的に示す。本加熱装置12の基体2の周囲には、例えばゲートバルブ13や真空吸引装置14が設置されている。ここで、基体2を複数個の領域に分割し、ゲートバルブや真空吸引装置に近い領域(つまり熱放射量の多い領域)に、発熱線からなる第一の加熱素子を設置する。
【0041】基体2を例えば6個の領域15A、15B、16A、16B、16C、16Dに分割したものとする。本例では各領域は扇形をしている。ここで、ゲートバルブ13に近い領域15Bおよび真空吸引装置14に近い領域15Aは、他の領域に比べて熱放射量が大きい。従って、領域15A、15B内には、発熱線からなる第一の加熱素子4を埋設する。また、他の領域16A、16B、16C、16Dには、帯状成形物からなる加熱素子3を埋設する。
【0042】本発明の加熱装置の用途は特に限定されないが、化学的気相成長装置、エッチング装置、ベーキング装置、コータ用のキュアリング装置を例示できる。また本発明の加熱装置は、シリコンウエハーなどの半導体の加熱に特に好適である。
【0043】
【実施例】(実施例1)
図1、図4に示す形態の加熱装置1を製造した。ただし、基体2を構成するセラミックスはAlNである。基体2の加熱面2aの直径は350mmであり、基体2の厚さは17 mmである。加熱素子4は、コイルスプリング状の発熱線からなる。加熱素子4を構成する発熱線の線径は0.5mmであり、コイルスプリングのらせん径は3mmである。加熱素子3は、網状物からなる帯状成形物である。網状物の材質は純モリブデンであり、網状物を構成する線材の線径は0.5mmであり、1インチ当たりの線材の交差本数は50本とした。帯状成形物の直径は330mmとし、ギャップ3は10mmとした。
【0044】こうして得られた加熱装置1の加熱素子3、4に電力を供給し、700℃まで昇温した。700℃に達したところで、加熱面2aの温度分布をRTDウエハーによって観測し、最高温度と最低温度との差を測定したところ、5.4℃であった。
【0045】(比較例1)
実施例1と同様にして加熱装置を製造した。ただし、基体2は実施例1と同じである。加熱素子3、4はコイルスプリング状の発熱線によって形成した。加熱素子4を構成する発熱線の線径は0.5mmであり、コイルスプリングのらせん径は3.0mmである。
【0046】こうして得られた加熱装置の加熱素子3、4に電力を供給し、700℃まで昇温した。700℃に達したところで、加熱面2aの温度分布をRTDウエハーによって観測し、最高温度と最低温度との差を測定したところ、
℃であった。また、加熱面には、加熱素子の平面的な埋設パターンが転写されており、加熱素子のギャップ7の大きい部分にコールドスポットが見られた。
【0047】(比較例2)
実施例1と同様にして加熱装置を製造した。ただし、基体2は実施例1と同じである。加熱素子3、4は網状物の帯状成形物からなる。網状物の材質は純モリブデンであり、網状物を構成する線材の線径は0.5mmであり、1インチ当たりの線材の交差本数は50本とした。帯状成形物の直径は330mmとし、ギャップ6は15mmとした。
【0048】こうして得られた加熱装置の加熱素子3、4に電力を供給し、700℃まで昇温した。700℃に達したところで、加熱面2aの温度分布をRTDウエハーによって観測し、最高温度と最低温度との差を測定したところ、
℃であった。また、加熱面には多数のホットスポットが見られた。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、基体および電力供給時に発熱する加熱素子を備える加熱装置において、加熱面の温度分布を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る加熱装置1を概略的に示す断面図である。
【図2】加熱装置1における第二の加熱素子3の平面的パターンを模式的に示す図である。
【図3】(a)は、基体2内に発熱線からなる加熱素子4を埋設したときのコールドスポット8の発生状況を示す模式図であり、(b)は、帯状成形物からなる加熱素子3における電流集中の状況を示す模式図である。
【図4】加熱装置1における熱の伝導を説明するための模式図である。
【図5】他の実施形態に係る加熱装置11における各加熱素子3、4の平面的パターンを模式的に示す図である。基体2の内周部2eには、帯状成形物からなる加熱素子3が埋設されており、基体2の周縁部2dには、発熱線からなる加熱素子4が埋設されている。
【図6】更に他の実施形態に係る加熱装置12における各加熱素子3、4の平面的パターンを模式的に示す図である。
【符号の説明】1、11、12 加熱装置 2 基体 2a 加熱面 2b 底面 2c 側面 2d 周縁部 2e 内周部 3 帯状成形物からなる第二の加熱素子 4 発熱線からなる第一の加熱素子 5 端子 6 第二の加熱素子のギャップ 7 第一の加熱素子のギャップ 8 コールドスポット 9電流集中部分 15A、15B 熱放射の多い領域 16A、16B、16C、16D 熱放射の少ない領域 A 電流経路の中心 B 第一の加熱素子4からの熱伝導 C 第二の加熱素子3からの熱伝導
Claims (8)
- 基体、電力供給時に発熱する第一の加熱素子および電力供給時に発熱する第二の加熱素子を備えており、前記第一の加熱素子が発熱線からなり、前記第二の加熱素子が帯状成形物からなることを特徴とする、加熱装置。
- 前記帯状成形物が、網状物、箔、リボン状物または印刷物からなることを特徴とする、請求項1記載の加熱装置。
- 前記第一の加熱素子と前記第二の加熱素子とが前記基体中に埋設されていることを特徴とする、請求項1または2記載の加熱装置。
- 前記第一の加熱素子と前記第二の加熱素子とが積層されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つの請求項に記載の加熱装置。
- 前記基体が加熱面を有しており、前記第一の加熱素子と前記第二の加熱素子とが前記加熱面に対して略平行に延びていることを特徴とする、請求項3または4記載の加熱装置。
- 前記第一の加熱素子が、前記基体からの熱放射量の多い領域に設けられていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つの請求項に記載の加熱装置。
- 前記第一の加熱素子が、前記基体の周縁部に設けられていることを特徴とする、請求項6記載の加熱装置。
- 半導体を加熱する加熱装置である、請求項1〜7のいずれか一つの請求項に記載の加熱装置。
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