JP2005061450A - 自動変速機の潤滑油供給構造及び自動変速機用の環状レシーバ - Google Patents

自動変速機の潤滑油供給構造及び自動変速機用の環状レシーバ Download PDF

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Abstract

【課題】環状レシーバと油流出孔との相対回転位置に拘らず、ピニオン軸等の回転部材の回転摺接部分への潤滑油供給を常時確保し得る自動変速機の潤滑油供給構造及び自動変速機用の環状レシーバを提供する。
【解決手段】環状レシーバ49に備えた油取り込み凹部49c及び油通過切欠き49gが、入力軸11を中心とする所定ピッチにて交互に、かつ内径側開口端49k,49mを互いに近接させるように配置され、油取り込み凹部49cの円周方向寸法Lが、油通過切欠き49gの円周方向寸法Lに比して長く形成されている。これにより、ニードルベアリング33に潤滑油を供給する際に、環状レシーバ49と油流出孔47bとの相対回転位置に拘らず、円周方向寸法が油通過切欠き49gに比して長い油取り込み凹部49cを油流出孔47bに常に近接させて、潤滑油を有効に取り込むことができる。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動変速機の潤滑油供給構造及び自動変速機用の環状レシーバに係り、詳しくはプラネタリギヤの所定の回転要素に一体的に支持された環状レシーバを備える自動変速機の潤滑油供給構造、及び環状レシーバの油取り込み構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に自動変速機は、プラネタリギヤにおける複数の回転要素の係脱にて動力伝達経路を変えてギヤ比を適時変更することで、複数の変速段を達成するように構成されている。その実現のため、上記プラネタリギヤには、サンギヤと、出力部材となるリングギヤと、これらサンギヤとリングギヤとに共通に噛合するピニオンギヤを支持するキャリヤと、が具備されている。
【0003】
ところで、上記のようなプラネタリギヤでは、キャリヤに対してピニオンギヤがピニオン軸を介して回転自在に設けられる関係上、ピニオン軸とピニオンギヤ内周面との間の摺接部分に介在されるニードルベアリングに対する常に良好な潤滑が必要となる。そこで、ピニオン軸を、軸方向に沿って油路を有するスリーブ状に形成すると共に、当該軸方向油路と直交する方向に径方向油路を形成して、自動変速機の油圧制御装置から供給される油を上記軸方向油路に積極的に取り込みつつ、上記径方向油路を介して上記ニードルベアリングに送り込むように構成した自動変速機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
上記特許文献1に記載の自動変速機では、上記ニードルベアリングへの円滑な潤滑油供給を実現するため、複数のピニオン軸の各一端面間に亘るように環状の油受け部材(以下、環状レシーバと言う)を装着している。該環状レシーバは、その内径側に向かってピニオン軸の上記一端面から離れる方向に膨出するように形成されており、中心側に位置する入力軸内の油路から該入力軸回転時の遠心力で径方向に流出してくる潤滑油を、上記膨出部分によって上記軸方向油路に取り込みつつ、径方向油路を介して上記ニードルベアリングに供給する。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−220704号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したように環状レシーバを使用して、各ピニオンギヤの中心側から入力軸の遠心力で流動してくる潤滑油を単に受け止めてピニオン軸内の油路に導くだけの構成では、環状レシーバにて潤滑油をニードルベアリング側に絶えず取り込むことになり、キャリヤ外径側に配置される多板式クラッチ等の被潤滑要素に対する潤滑油が減少してしまう。
【0007】
そこで、環状レシーバの上記膨出部分における円周方向の複数箇所に、入力軸側から取り込んだ潤滑油を、ピニオン軸内の油路には送らずにキャリヤ外径方向に単に通過させるだけの切欠き(以下、油通過切欠きと言う)を形成し、環状レシーバの回動位置に応じて、上記ピニオン軸内の油路とキャリヤ外径側とに適宜分配しながら潤滑油供給し得るような構成が考えられる。
【0008】
しかし、上記のような分配給油構造にあっては、上記プラネタリギヤユニットのキャリヤの回転を規制し得るブレーキの係合によって該キャリアが固定された際に、該キャリアに支持された環状レシーバもその回転位置が固定される。このため、入力軸の遠心力で流動する潤滑油が自動変速機側の所定の油流出孔から流出するような構成の場合、該油孔、上記油通過切欠き、及び該油通過切欠き以外の上記膨出部分(ピニオン軸の軸方向油路)の位置関係によっては、係合状態の上記ブレーキへの潤滑油供給はそれほど必要でないにも拘らず、潤滑油が全て油通過切欠きへ流動するような状況が現出し、その場合、ニードルベアリングのための潤滑油が不足してしまう。
【0009】
そこで本発明は、環状レシーバにピニオン軸等の回転部材の回転摺接部分への油供給部分とキャリヤ等の回転要素外径側への油通過切欠きとを備えた構成でありながら、環状レシーバと油流出孔との相対回転位置(位相)に拘らず、上記回転摺接部分への潤滑油供給を常に確保し得るように構成し、もって上述した課題を解決した自動変速機の潤滑油供給構造及び自動変速機用の環状レシーバを提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る本発明は(例えば図1乃至図8参照)、軸(11)を中心に所定の関係にて配置された複数の回転要素(S2,S3,R2,CR2)を有するプラネタリギヤ(7b)を備え、前記軸(11)側から供給される潤滑油を所定の前記回転要素(CR2)に支持された回転部材(P2,P3)の回転摺接部分(33)に取り込み得る環状レシーバ(49)を備えてなる自動変速機(1)の潤滑油供給構造において、
前記軸(11)側から供給される潤滑油を前記環状レシーバ(49)側に流出させ得る複数の油流出孔(47b)を備え、該油流出孔(47b)側に開口して前記回転摺接部分(33)に向けて潤滑油を取り込み得る複数の油取り込み孔(34a)を備え、
前記環状レシーバ(49)は、前記複数の油取り込み孔(34a)に連通する複数の連通油路(49e)と、該各連通油路(49e)に連通した複数の油取り込み凹部(49c)と、前記複数の油流出孔(47b)から流出する潤滑油を前記所定の回転要素(CR2)外径方向に通過させるように前記複数の油取り込み凹部(49c)の間に形成された複数の油通過切欠き(49g)と、を備え、
前記油取り込み凹部(49c)及び前記油通過切欠き(49g)は、前記軸(11)を中心とする所定ピッチにて交互に、かつ内径側開口端(49k,49m)を互いに近接させるように配置されると共に、前記油取り込み凹部(49c)の円周方向寸法(L)が前記油通過切欠き(49g)の円周方向寸法(L)に比して長く形成されてなる、ことを特徴とする自動変速機の潤滑油供給構造(1)にある。
【0011】
請求項2に係る本発明(例えば図1及び図3参照)は、前記複数の回転要素が、サンギヤ(S2,S3)、リングギヤ(R2)、及びこれら両ギヤ(S2,S3,R2)に噛合する前記回転部材である複数のピニオンギヤ(P2,P3)を支持するキャリヤ(CR2)であり、
前記環状レシーバ(49)は、前記キャリヤ(CR2)に一体的に支持されてなる、請求項1記載の自動変速機(1)の潤滑油供給構造にある。
【0012】
請求項3に係る本発明(例えば図3乃至図5参照)は、前記複数の油取り込み凹部(49c)が、前記軸(11)を中心に内周面を外径方向に窪ませるように前記環状レシーバ(49)に形成されてなる、請求項1又は2記載の自動変速機(1)の潤滑油供給構造にある。
【0013】
請求項4に係る本発明(例えば図3乃至図5参照)は、前記油取り込み凹部(49c)の円周方向寸法(L)が、前記油通過切欠き(49g)の円周方向寸法(L)の3倍以上かつ4倍以下に設定されてなる、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の自動変速機(1)の潤滑油供給構造にある。
【0014】
請求項5に係る本発明(例えば図4及び図6参照)は、前記複数の油流出孔(47b)のうちの隣り合う油流出孔間の円周方向寸法(L,L)が、前記油取り込み凹部(49c)の円周方向寸法(L)の範囲内に設定されてなる、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の自動変速機(1)の潤滑油供給構造にある。
【0015】
請求項6に係る本発明(例えば図3参照)は、前記所定の回転要素(CR2)の外周に多板式クラッチ(C−2)を備え、該多板式クラッチ(C−2)の内径側に該多板式クラッチ(C−2)作動用の油圧サーボ(29)を備え、かつ該油圧サーボ(29)の内径側にキャンセルプレート(47)を備えてなり、
前記複数の油流出孔(47b)は前記キャンセルプレート(47)の内径側に配置され、かつ、
前記環状レシーバ(49)は、前記複数の油流出孔(47b)から流出する潤滑油を前記キャンセルプレート(47)に対向した状態にて前記油取り込み凹部(49c)及び前記油通過切欠き(49g)から取り込んでなる、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の自動変速機(1)の潤滑油供給構造にある。
【0016】
請求項7に係る本発明(例えば図1乃至図8参照)は、軸(11)を中心に所定の関係にて配置された複数の回転要素(S2,S3,R2,CR2)を有するプラネタリギヤ(7b)と、前記軸(11)側から供給される潤滑油を流出させ得る複数の油流出孔(47b)と、該油流出孔(47b)側に開口して前記軸(11)側から供給される潤滑油を所定の前記回転要素(CR2)に支持された回転部材(P2,P3)の回転摺接部分(33)に取り込み得る複数の油取り込み孔(34a)と、を備えた自動変速機(1)に用いられる環状レシーバ(49)であって、
前記複数の油取り込み孔(34a)に連通する複数の連通油路(49e)と、該各連通油路(49e)に連通した複数の油取り込み凹部(49c)と、前記複数の油流出孔(47b)から流出する潤滑油を前記所定の回転要素(CR2)外径方向に通過させるように前記複数の油取り込み凹部(49c)の間に形成された複数の油通過切欠き(49g)と、を備え、
前記油取り込み凹部(49c)及び前記油通過切欠き(49g)は、前記軸(11)を中心とする所定ピッチにて交互に、かつ内径側開口端(49k,49m)を互いに近接させるように配置されると共に、前記油取り込み凹部(49c)の円周方向寸法(L)が前記油通過切欠き(49g)の円周方向寸法(L)に比して長く形成されてなる、ことを特徴とする自動変速機(1)用の環状レシーバ(49)にある。
【0017】
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これは、発明の理解を容易にするための便宜的なものであり、特許請求の範囲の構成に何等影響を及ぼすものではない。
【0018】
【発明の効果】
請求項1に係る本発明によると、環状レシーバの円周方向に油取り込み凹部と油通過切欠きとを交互に設けると共に、これら油取り込み凹部と油通過切欠きそれぞれの内径側開口端を互いに近接させ、かつ油取り込み凹部の円周方向寸法を油通過切欠きの円周方向寸法に比して長く形成したので、回転部材の回転摺接部分に潤滑油を供給する際に、環状レシーバと油流出孔との相対回転位置に拘らず、円周方向寸法が油通過切欠きに比して長い油取り込み凹部を油流出孔に常に近接させて、該油流出孔からの潤滑油を有効に取り込むことができる。
【0019】
請求項2に係る本発明によると、環状レシーバがプラネタリギヤのキャリヤに一体的に支持されるので、該キャリヤに支持されたピニオンギヤの回転摺接部分、例えば該ピニオンギヤと該ギヤの中心を貫通するピニオン軸との間に介在されるニードルベアリングに対する潤滑油の供給を安定して行うことができる。
【0020】
請求項3に係る本発明によると、複数の油取り込み凹部が、軸を中心に内周面を外径方向に窪ませるように環状レシーバに形成されるので、軸側から該軸の遠心力で流動してくる潤滑油を、各油取り込み凹部により良好に取り込むことができる。
【0021】
請求項4に係る本発明によると、油取り込み凹部の円周方向寸法が、油通過切欠きの円周方向寸法の3倍以上かつ4倍以下に設定されるので、環状レシーバと油流出孔との相対回転位置に拘らず油取り込み凹部から潤滑油を取り込み得る状態の実現を確実にすることができる。
【0022】
請求項5に係る本発明によると、複数の油流出孔のうちの隣り合う油流出孔間の円周方向寸法が、油取り込み凹部の円周方向寸法の範囲内に設定されるので、回転部材の回転摺接部分への潤滑油供給を確実に行うことができる。
【0023】
請求項6に係る本発明によると、キャンセルプレートの内径側に複数の油流出孔が配置され、環状レシーバが、各油流出孔から流出する潤滑油をキャンセルプレートに対向した状態で油取り込み凹部及び油通過切欠きに取り込むように構成されるので、環状レシーバによる潤滑油供給が安定して行われる。
【0024】
請求項7に係る本発明によると、環状レシーバが、円周方向に油取り込み凹部と油通過切欠きとを交互に有すると共に、これら油取り込み凹部と油通過切欠きそれぞれの内径側開口端が互いに近接し、かつ油取り込み凹部の円周方向寸法が油通過切欠きの円周方向寸法に比して長く形成されるので、回転部材の回転摺接部分に潤滑油を供給する際に、当該環状レシーバは、油流出孔との相対回転位置に拘らず、円周方向寸法が油通過切欠きに比して長い油取り込み凹部を油流出孔に常に近接させて、該油流出孔からの潤滑油を有効に取り込むことができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図面に沿って、本発明に係る実施の形態について説明する。図1は本発明を適用した自動変速機の実施の形態におけるギヤトレインを示すスケルトン図、図2は本発明に係る自動変速機を一部省略して示す断面図、図3は本発明に係る自動変速機の一部を拡大して示す断面図、図4は本自動変速機におけるキャンセルプレートと環状レシーバの組み合わせ構造をキャリアCR2側から見た状態で示す正面図、図5は図6におけるV−V線矢視方向に見た状態での断面図、図6は環状レシーバを単体で示す正面図、図7は環状レシーバを単体で示す背面図、図8はキャンセルプレートを単体で示す正面図、図9は本自動変速機の作動状況を示す作動表、図10は本発明に係る実施形態に対する比較例を示す正面図である。
【0026】
本自動変速機1は、図1に示すように、ロックアップクラッチ5aを有するトルクコンバータ5、プラネタリギヤユニット7、カウンタ軸20、及びディファレンシャル装置3を備えており、これら各部を互いに接合して一体に構成するケース10(図2も併せて参照)に収納されている。該ケース10の外側には、上記クラッチやブレーキの締結(係合・係止)及び解放を自在に制御する油圧制御装置(図示せず)が配設されている。
【0027】
上記プラネタリギヤユニット7は、入力軸11及び出力部19を有しており、該入力軸11は、上記トルクコンバータ5内の油流を介して、或いは上記ロックアップクラッチ5aを介して、エンジン出力軸6に連結されている。また上記出力部19は、カウンタ軸20に固定・支持された伝達ギヤ21,22、及びディファレンシャル装置3のデフケースの外周側に設けられたファイナルリングギヤ31を介して、左右駆動車軸30,30に連動・連結されている。
【0028】
プラネタリギヤユニット7は、第1のギヤユニット7a及び第2のギヤユニット(プラネタリギヤ)7bを備えている。第1のギヤユニット7aは、サンギヤS1、リングギヤR1、及びこれらに噛合するピニオンギヤP1を支持するキャリアCR1を備えたシンプルプラネタリギヤからなる。第2のギヤユニット7bは、大径のサンギヤ(回転要素)S3、リングギヤ(回転要素)R2、これらに噛合するロングピニオンギヤ(回転部材)P3からなるシンプルプラネタリギヤと、サンギヤS3より小径のサンギヤ(回転要素)S2、及び該サンギヤS2と上記ロングピニオンギヤP3に噛合するショートピニオンギヤ(回転部材)P2からなるデュアルプラネタリギヤと、を備えている。上記ロングピニオンギヤP3及びショートピニオンギヤP2は、1つのキャリア(回転要素)CR2に共通に支持されている。また、上記ロングピニオンギヤP3に外接するようにリングギヤR2が噛合しており、該リングギヤR2は上記シンプルプラネタリギヤとデュアルプラネタリギヤとに対して共通に機能する。
【0029】
プラネタリギヤユニット7において、入力軸11は第1のギヤユニット7aのリングギヤR1に連結されており、かつ該第1のギヤユニット7aのサンギヤS1はケース10に固定されている。また、第1のギヤユニット7aのキャリアCR1は、クラッチC−1を介して第2のギヤユニット7bのサンギヤS2に連結されていると共に、クラッチC−3を介して第2のギヤユニット7bのサンギヤS3に連結されている。該サンギヤS3は、バンドブレーキからなるブレーキB−1により係止・解放自在に構成されている。
【0030】
また上記入力軸11は、クラッチC−2を介して、第2のギヤユニット7bのキャリアCR2に対し連結可能に構成されている。該キャリアCR2は、ケース10に設けられたブレーキB−2及びワンウェイクラッチF−1により自在に係止又は解放され得るように構成されている。そして、第2のギヤユニット7bのリングギヤR2が出力部19に連結されている。
【0031】
次いで、図1及び図9を併せて参照しつつ、自動変速機1の作用について説明する。すなわち、ドライブレンジ(前進走行レンジ)における1速(1ST)では、クラッチC−1が係合し、かつワンウェイクラッチF−1が作動し、キャリアCR2の逆回転がワンウェイクラッチF−1により阻止される。この状態では、入力軸11の回転は、第1のギヤユニット7aのリングギヤR1に伝達され、サンギヤS1が固定される該第1のギヤユニット7aによって減速された回転が、キャリアCR1及びクラッチC−1を介して第2のギヤユニット7bの小径のサンギヤS2に入力される。そして、該第2のギヤユニット7bは、キャリアCR2が停止状態にあるため、大径のサンギヤS3を空転させながら、該リングギヤR2を正方向に大幅減速した状態で回転させ、この減速回転が出力部19に出力される。
【0032】
2速(2ND)にあっては、1速時のクラッチC−1の係合に加えて、ブレーキB−1が係止すると共に、ワンウェイクラッチF−1が作動解除される。この状態では、空転状態であった大径のサンギヤS3がブレーキB−1によって係止される。リングギヤR1の回転は、クラッチC−1を介して小径のサンギヤS2に入力されるが、サンギヤS3が停止状態にあるので、リングギヤR2の減速された回転が出力部19に出力される。
【0033】
3速(3RD)にあっては、1、2速時のクラッチC−1の係合に加えて、クラッチC−3が係合すると共にブレーキB−1が解放される。この状態では、入力軸11の回転が、それまでのリングギヤR1及びクラッチC−1を介した小径のサンギヤS2への入力に加え、クラッチC1を介して大径のサンギヤS3にも入力され、従って第2のギヤユニット7b全体が直結状態となり、該直結回転がリングギヤR2を介して出力部19に出力される。
【0034】
4速(4TH)にあっては、1、2、3速時のクラッチC−1の係合に加えて、クラッチC−2が係合すると共にクラッチC−3が解放される。この状態では、リングギヤR1の回転は、それまでのクラッチC−1を介した小径のサンギヤS2への入力に加え、クラッチC−2を介してキャリアCR2にも入力される。従って、第2のギヤユニット7bでは、大径のサンギヤS3を空転させつつ、リングギヤR2から僅かに増速された回転が出力部19に出力される。これにより、第1のギヤユニット7aによる減速回転が、第2のギヤユニット7bにより僅かに増速されて、4速回転が得られる。
【0035】
5速(5TH)にあっては、クラッチC−1が解放されると共に、クラッチC−2が係合状態をそのまま維持され、クラッチC−3が係合する。この状態では、入力軸11の回転は、それまでのクラッチC−2を介したキャリアCR2への直接入力に加え、第1のギヤユニット7aによるリングギヤR1から減速回転が、クラッチC−3を介して大径のサンギヤS3にも入力される。これにより、第2のギヤユニット7bでは、大径のサンギヤS2を空転させつつ、リングギヤR2の僅かに増速された回転が出力部19に出力される。
【0036】
6速(6TH)にあっては、クラッチC−3が解放されると共に、クラッチC−2が係合状態をそのまま維持され、ブレーキB−1が係止される。この状態では、入力軸11の回転は、クラッチC−2を介してキャリアCR2に入力されるが、サンギヤS3が停止状態にあるので、第2のギヤユニット7bでは、増速した回転がリングギヤR2から出力部19に出力される。
【0037】
リバース(REV)レンジにあっては、クラッチC−3が係合されると共に、ブレーキB−2が係止される。この状態では、リングギヤR1の回転は、クラッチC−3を介して大径のサンギヤS3に入力され、キャリアCR2がブレーキB−2により係止されているので、リングギヤR2が逆回転して、該逆回転が出力部19に出力される。
【0038】
なお、エンジンブレーキ(コースト)時にあっては、通常の動作に加え、1速時にはブレーキB−2が係止され、キャリアCR2の回転が確実に阻止されることになる。
【0039】
次に、図2及び図3に沿って、本発明を適用した自動変速機1をより詳細に説明する。本自動変速機1は、特にFF(フロントエンジン・フロントドライブ)車輌に用いて好適であり、図2に示すように、ハウジングケース10a及びミッションケース10bからなるケース10を有している。該ハウジングケース10a内には、トルクコンバータ5(図1参照)が配置されている。また、上記ミッションケース10b内には、プラネタリギヤユニット7(図1参照)を有する自動変速機構、カウンタ軸20(図1参照)を有するカウンタシャフト部、及びディファレンシャル装置3(図1参照)が配置されている。図2では、同図後部(図の左側)に配置されたプラネタリギヤユニット7の第2のギヤユニット7bは具体的に示しているが、他の部分は図示省略している。
【0040】
ついで、上記第2のギヤユニット7bの詳細を、図3に沿って説明する。即ち、同図に示すように、入力軸11が、トルクコンバータ5(図1参照)の出力部にスプライン係合した状態でケース10の後部(図3の左方)側に延設されている。該入力軸11の周囲には、その内径側から順に、第2のギヤユニット7b、クラッチC−2、及びブレーキB−2等が配置されている。
【0041】
上記第2のギヤユニット7bは、ケース10の図3左右方向に延びる入力軸11に所定の空隙を存して回転自在に被嵌する中空軸状のサンギヤS2と、該サンギヤS2に所定の空隙を存して回転自在に被嵌する筒状のサンギヤS3と、これらサンギヤS2,S3の外周に被嵌されるドラム状のキャリアCR2に回転自在に支持されたショートピニオンギヤP2及びロングピニオンギヤP3と、を備えている。そして、上記キャリアCR2外周におけるショートピニオンギヤP2側にはクラッチC−2が配置され、上記キャリアCR2の前部(図3の右方)側に接続されたハブ部59外周におけるショートピニオンギヤP2と逆側には、ブレーキB−2及びワンウェイクラッチF−1が配置されている。つまり、キャリヤCR2がリングギヤR2の外周を覆うように延びるハブ部59を備え、該ハブ部59の外周面とケース10bの内周面との間に上記ブレーキB−2及びワンウェイクラッチF−1が軸方向に並べて介在されている。
【0042】
上記キャリアCR2は、キャリヤカバーとなるハブ部59を一体に有すると共に、軸方向後端部(図3の左側端部)における複数箇所にピニオン軸が軸方向に沿って植設されている。該複数のピニオン軸にはそれぞれ、ショートピニオンギヤP2又はロングピニオンギヤP3がニードルベアリング33を介して回転自在に被嵌している。
【0043】
また、上記クラッチC−2は、ドラム状部材27の外径端部の内周に形成されたスプライン溝53にスプライン係合した複数の摩擦板52と、これら複数の摩擦板52の間にそれぞれ介在される、キャリアCR2外周面のスプライン溝51にスプライン係合した複数の摩擦板54とから構成されている。
【0044】
上記キャリアCR2の後部(図3の左方)側には、ミッションケース10bの後部内周形状に沿うように形成されたドラム状部材27と、該ドラム状部材27の内面形状に沿うように形成されたピストン部材28と、シリンダ部材としての上記ドラム状部材27と該ピストン部材28との間の油室44と、を有する油圧サーボ29が配置されている。該油圧サーボ29は、ミッションケース10b後部にて入力軸11の後端部外周に位置する支持部材42の油路42aを介して作動油が油室44に供給された際、ピストン部材28とキャリアCR2の間に介在されたキャンセルプレート47と該ピストン部材28内径部との間に縮設されたリターンスプリング48に抗してピストン部材28を移動させ、該ピストン部材28外周端にて上記クラッチC−2を押圧して係合作動させる。
【0045】
また、ピストン部材28とキャンセルプレート47との間にキャンセル油室18が形成されている。ドラム状部材27のボス部46には、キャンセル油室18に常時油を供給するための油孔46aが形成されている。そして、キャンセルプレート47におけるボス部46に近接する内径側には、上記油孔46aから供給される油をキャリアCR2側に分配するための油流出孔47b(図8参照)が形成されている。なお、図8において、符号47cは、キャンセルプレート47の内径部分にて円周方向に所定長さ突出するように形成された突出部である。そして、上記油流出孔47bは、各突出部47c間に2個ずつが所定の間隔をあけて形成され、全体として該2個ずつの油流出孔47bが入力軸11を中心とした所定ピッチで配列されている。また、図8中の符号47eは、環状レシーバ49を収納するための内径凹部である。
【0046】
ところで、ドラム状部材27及びピストン部材28が高速回転している際に、油室44に作動油を供給して油圧サーボ29を作動させてクラッチC−2を係合させようとすると、油室44内の残油に遠心力が加わって残圧が発生しクラッチC−2が引き摺りを起こす等の現象の発生が考えられるが、このような現象を防止するなどのため、油室44に対向するようにキャンセル油室18が設けられる。該キャンセル油室18は、ピストン部材28の前方側(図3の右方)における該ピストン部材28自体の内径屈曲部と上記ボス部46との間に上記キャンセルプレート47を介在し、該キャンセルプレート47の外周縁部と内周縁部とをそれぞれシール部材でシールすることによって形成されている。なお、該キャンセル油室18の内周縁部は、ボス部46の外周面に嵌着されたスナップリング16によって軸方向移動を規制されている。
【0047】
上記構成により、ドラム状部材27及びピストン部材28が高速で回転する際、油孔46aからキャンセル油室18内に進入した油にも遠心力が加わり、これによりピストン部材28が後方(図3の左方)に押圧され、該ピストン部材28のバランスが保たれ、その円滑な移動が確保される。
【0048】
また、上記キャンセルプレート47の内周縁近傍には、キャンセル油室18の内部と外部とを連通する潤滑油供給部としての油流出孔47bが貫通穿設されており、キャンセル油室18からオーバーフローした油が該油流出孔47bを介してキャリアCR2側に排出される。
【0049】
また上記ブレーキB−2は、ハブ部59外周面のスプライン溝55にスプライン係合した複数枚の摩擦板58と、ミッションケース10b内面のスプライン溝56にスプライン係合すると共に複数の摩擦板58それぞれの間に介在される複数枚の摩擦板57と、を備えている。複数の摩擦板58にはそれぞれ、軸方向に貫通する油流動孔58aが形成されている。
【0050】
上記ワンウェイクラッチF−1は、ハブ部59におけるインナレースを兼用する部分と、該ハブ部59外周面の、貫通油路59bが開口する部分に固定・支持されたロック部材(スプラグ、ローラ等)40と、該ロック部材40に対向するミッションケース10b内面に固定・支持されたアウタレース45と、から構成されている。上記ロック部材40は、アウタレース45に対するインナレース(即ちハブ部59)の一方向の回転のみを許容する。なお、符号63で示す部材はリテーナである。
【0051】
また、上記キャンセルプレート47とキャリアCR2との間には、入力軸11を中心として該プレート47の内径凹部47eに介在される環状レシーバ49が位置している。つまり、キャリアCR2に対してショートピニオンギヤP2及びロングピニオンギヤP3が回転自在に支持されるため、該キャリアCR2に植設された複数のピニオン軸34とその対応するピニオンギヤP2,P3の内周面との間の摺接部分に介在されたニードルベアリング33への潤滑油供給が常時必要となっている。このニードルベアリング33への潤滑油供給を円滑に行うようにするため、ピストン部材28とキャリアCR2との間におけるピニオンギヤP2,P3の上記ピストン部材28側に向いた一端面に、上記油流出孔47bを介してキャンセル油室18から排出される潤滑油を取り込み得るように、油受材として上記環状レシーバ49が配置されている。
【0052】
ついで、本発明の特徴である上記環状レシーバ49及び該環状レシーバ49を用いた潤滑油供給構造の詳細について、図3乃至図8を併せて参照しつつ説明する。
【0053】
すなわち、上記環状レシーバ49は、キャリアCR2に一体的に支持された状態で、油圧サーボ29側にて対向するキャンセルプレート47との間で相対回転し得るように構成されたもので、図3に示すように、入力軸11を中心に、キャリアCR2の図3右方側に突出する複数のピニオン軸34それぞれに形成された軸方向油路(油取り込み孔)34aに連通するように嵌着される複数(本実施の形態では3個)の突出部49fを有している。各突出部49fには、上記各軸方向油路34aに嵌合した状態で該軸方向油路34aに連通する連通油路49eが形成されている(図4乃至図6も併せて参照)。なお、図3において、環状レシーバ49はキャンセルプレート47に対して接触していないように図示されているが、これは断面位置に依るものであり、実際には、外周縁部の円周方向に亘って設けられる後述する多数のワッシャ面49i…(図7参照)がリターンスプリング48の前部(図3右側)に向いた内径凹部47eに摺動自在に接触している。
【0054】
そして上記環状レシーバ49は、図5に示すように、表裏一体的に重ね合わされて互いの外周縁部を接合された第1環状部材12及び第2環状部材13から構成されている。これら第1環状部材12及び第2環状部材13は、中心側にて軸方向に貫通する共通の穴部49aを有すると共に、第1環状部材12の外周縁部が第2環状部材13の外周縁部側から軸方向後方(図3左方)側に膨出しつつ内径方向に向くように形成されている。
【0055】
更に上記環状レシーバ49は、上記各軸方向油路34aに連通し、かつ入力軸11を中心に内周面を外径方向に窪ませるように形成した複数(本実施の形態では3個)の油取り込み凹部49cと、上記複数の油流出孔47bから流出する潤滑油をキャリヤ外径方向に通過させるように油取り込み凹部49cの間に形成された複数の油通過切欠き49gと、を有している。上記油取り込み凹部49cは、環状レシーバ49の円周方向に所定のピッチ(即ち120°の等角度間隔)で3個形成されており、図5では、図6に示す油取り込み凹部49cのうちV−V線に沿った断面に現れる2個のみを図示している。
【0056】
また、上記第1環状部材12は、図7に示すように、キャンセルプレート47に対して摺接し得るように該プレート47側に円周方向所定ピッチで突出形成された多数のワッシャ面49i…と、各ワッシャ面49iの間に位置して該ワッシャ面49iより所定距離後退するように形成された多数の溝形成面49j…と、を有している。該溝形成面49j…は、ワッシャ面49i…がキャンセルプレート47の内径凹部47eに接触した状態で、該内径凹部47eとの間で油通過用の溝を形成する。そして、上記第1環状部材12における溝形成面49j…の内径側は、後方(図3の左方)側に向かって溝形成面49j…と略々面一になるように膨出する、上記油取り込み凹部49cの後部面49hを形成している。
【0057】
上記油取り込み凹部49cは、図4、図6及び図7に示すように、正面視略々山型状に形成されている。上記第2環状部材13には、上記突出部49fが、各油取り込み凹部49cの頂部(つまり、切欠き部分における底部)にそれぞれ対応して突出形成(図6では紙面手前方向に突出)されている。そして、上記油取り込み凹部49c同士の間における中間に位置するように油通過切欠き49gが形成されている。該油通過切欠き49gは、環状レシーバ49の内径側から図7の後部面49hを介して各溝形成面49j…に連通するように構成される。そして、山型状の油取り込み凹部49cにおける頂部の突出部49fから下方側(内径側)に向かって末広がり状になるように、油取り込み傾斜面49dが形成されている。
【0058】
各油取り込み凹部49cにおいて内径2方向に広がる油取り込み傾斜面49dの各内径側開口端49kは、隣接する油通過切欠き49gの内径側開口端49mに近接している。つまり、油取り込み凹部49c及び油通過切欠き49gは、入力軸11を中心とする所定ピッチにて交互に、かつ内径側開口端49k,49mを互いに近接させるように配置されている。そして、上記油取り込み凹部49cの円周方向寸法Lが、油通過切欠き49gの円周方向寸法Lに比して長く形成されている。油取り込み凹部4cの上記円周方向寸法Lは、油通過切欠き49gの上記円周方向寸法Lの例えば3.5倍に形成されている。当該油取り込み凹部49cの円周方向寸法Lは、油通過切欠き49gの円周方向寸法Lの3倍以上かつ4倍以下に設定されることが、ピニオン軸34の軸方向油路34aへの円滑な油供給機能上、好ましい。
【0059】
また、図4に示すように、キャンセルプレート47の内径側に形成された上記油流出孔47bは、円周方向の3箇所に設けられた各2個ずつが、相互間の距離Lを、油通過切欠き49gの上記円周方向寸法Lより若干広くして配置されている。従って、キャンセルプレート47と環状レシーバ49が相対回転して図4に示す状態になった際でも、或いは、同図の位置のキャンセルプレート47に対して環状レシーバ49が時計方向又は反時計方向に或る角度回転した状態になった際でも、円周方向における3箇所の等角度間隔位置にて上記距離L離して配置された各油流出孔47bから流出する潤滑油は、環状レシーバ49の油取り込み凹部49cと油通過切欠き49gとに適度に分配されつつ流入される。
【0060】
また、円周方向の3箇所に設けられた各2個ずつの油流出孔47b,47bは、隣り合う油流出孔47b同士の間の円周方向寸法Lが、各2個ずつの油流出孔47b,47b相互間の距離Lと同様、油取り込み凹部49cの円周方向寸法Lの範囲内に収まるように設定されているので、ピニオンギヤP2,P3の回転摺接部分であるニードルベアリング33への潤滑油供給が確実に行われる。
【0061】
本自動変速機1は、以上の構成を有するので、ドライブレンジ或いはリバースレンジにあって入力軸11が回転している際、不図示の油圧制御装置から油路35aに供給される油が、入力軸11回転時の遠心力にて径方向油路36a,36b等から噴出されて、サンギヤS2やピニオンギヤP2,P3等を潤滑しつつキャリアCR2側に流れ込む。この際、環状レシーバ49は、各ピニオン軸34の軸方向油路34aの開口端に複数の突出部49fを嵌合させてキャリアCR2に一体的に支持された状態で、キャンセルプレート47の油流出孔47bを介してキャリアCR2側に流入する潤滑油を、油取り込み凹部49c及び連通油路49eを介して、ピニオン軸34の軸方向油路34aに積極的に取り込むように機能する。
【0062】
即ち、上記環状レシーバ49は、ピニオン軸34とピニオンギヤP2,P3内周面との間のニードルベアリング33に、油流出孔47bから流出される潤滑油を供給する場合に、キャンセルプレート47の油流出孔47bとの相対回転位置(つまり位相)に拘らず、円周方向寸法Lが油通過切欠き49gの円周方向寸法Lに比して長い油取り込み凹部49cを油流出孔47bに常に近接させて、油取り込み凹部49cにより該油流出孔47bからの潤滑油を有効に取り込むことができる。
【0063】
そして、油取り込み凹部49cの円周方向寸法Lが、油通過切欠き49gの円周方向寸法Lの3倍以上かつ4倍以下に設定されていることにより、環状レシーバ49と油流出孔47bとの相対回転位置に拘らず油取り込み凹部49cから潤滑油を取り込み得る状態の実現が、より確実にされる。また、キャンセルプレート47の内径側に複数の油流出孔47bが配置され、環状レシーバ49が、各油流出孔47bから流出する潤滑油をキャンセルプレート47に対向した状態で油取り込み凹部49c及び油通過切欠き49gに取り込むように構成されているので、環状レシーバ49による潤滑油供給がより安定して行われることになる。
【0064】
また、環状レシーバ49が第2のギヤユニット7bのキャリヤCR2に一体的に支持されているので、該キャリヤCR2に支持されたピニオンギヤP2,P3の回転摺接部分、即ち、これらピニオンギヤP2,P3とピニオン軸34との間に介在されるニードルベアリング33に対する潤滑油の供給を安定して行うことができる。更に、複数の油取り込み凹部49cが、入力軸11を中心に内周面を外径方向に窪ませるように環状レシーバ49に形成されるので、入力軸11側から該軸11の遠心力で流動してくる潤滑油を、各油取り込み凹部49cにより良好に取り込むことができる。
【0065】
なお、本実施の形態は、プラネタリギヤユニット7における第2のギヤユニット7bに本発明を適用した構成例を挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、第1のギヤユニット7aに適用することもできる。また、入力軸11に並列する他の軸を中心とするプラネタリギヤユニットを有する副変速機構部を自動変速機に具備する場合に、該副変速機構部に本発明を適用できることは勿論である。
【0066】
ここで、本実施の形態との比較例として、図10に示す構成を挙げる。同図においては、キャンセルプレート47の内径側に組み合わされた環状レシーバ69が、油取り込み傾斜面69d同士の間の距離、即ち油取り込み凹部69cの円周方向寸法を、図4の例に比して短く構成されている。このため、油取り込み凹部69cの内径側開口端69kと油通過切欠き69gの内径側開口端69mとが図4の例のようには近接せずに離れており、例えば、2個の油流出孔47bが油通過切欠き69gの両端に位置した際に、油流出孔47bから流出して図10の矢印A方向に流れる潤滑油は、主に矢印A方向に流動して油通過切欠き69g側に多く取り込まれる。このため、矢印A方向にはあまり流動せず、油取り込み凹部69cからの油取り込みが、本実施の形態に比して困難になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した自動変速機の実施の形態におけるギヤトレインを示すスケルトン図。
【図2】本発明に係る自動変速機を一部省略して示す断面図。
【図3】本発明に係る自動変速機の一部を拡大して示す断面図。
【図4】本自動変速機におけるキャンセルプレートと環状レシーバの組み合わせ構造をキャリアCR2側から見た状態で示す正面図。
【図5】図6におけるV−V線矢視方向に見た状態での断面図。
【図6】環状レシーバを単体で示す正面図。
【図7】環状レシーバを単体で示す背面図。
【図8】キャンセルプレートを単体で示す正面図。
【図9】本発明を適用した自動変速機の作動状況を示す作動表。
【図10】本発明に係る実施形態に対する比較例を示す正面図。
【符号の説明】
1 自動変速機
7b プラネタリギヤ(第2のギヤユニット)
10b ケース(ミッションケース)
11 入力軸
29 油圧サーボ
33 摺接部分(ニードルベアリング)
34 支軸(ピニオン軸)
34a 油取り込み孔(軸方向油路)
47 キャンセルプレート
47b 油流出孔
49 環状レシーバ
49c 油取り込み凹部
49e 連通油路
49g 油通過切欠き
49k 油取り込み凹部の内径側開口端
49m 油通過切欠きの内径側開口端
C−2 多板式クラッチ(クラッチ)
CR2 回転要素(キャリヤ)
油取り込み凹部の円周方向寸法
油通過切欠きの円周方向寸法
P2 回転部材(ショートピニオンギヤ)
P3 回転部材(ロングピニオンギヤ)
R2 回転要素(リングギヤ)
S2,S3 回転要素(サンギヤ)

Claims (7)

  1. 軸を中心に所定の関係にて配置された複数の回転要素を有するプラネタリギヤを備え、前記軸側から供給される潤滑油を所定の前記回転要素に支持された回転部材の回転摺接部分に取り込み得る環状レシーバを備えてなる自動変速機の潤滑油供給構造において、
    前記軸側から供給される潤滑油を前記環状レシーバ側に流出させ得る複数の油流出孔を備え、該油流出孔側に開口して前記回転摺接部分に向けて潤滑油を取り込み得る複数の油取り込み孔を備え、
    前記環状レシーバは、前記複数の油取り込み孔に連通する複数の連通油路と、該各連通油路に連通した複数の油取り込み凹部と、前記複数の油流出孔から流出する潤滑油を前記所定の回転要素外径方向に通過させるように前記複数の油取り込み凹部の間に形成された複数の油通過切欠きと、を備え、
    前記油取り込み凹部及び前記油通過切欠きは、前記軸を中心とする所定ピッチにて交互に、かつ内径側開口端を互いに近接させるように配置されると共に、前記油取り込み凹部の円周方向寸法が前記油通過切欠きの円周方向寸法に比して長く形成されてなる、ことを特徴とする自動変速機の潤滑油供給構造。
  2. 前記複数の回転要素は、サンギヤ、リングギヤ、及びこれら両ギヤに噛合する前記回転部材である複数のピニオンギヤを支持するキャリヤであり、
    前記環状レシーバは、前記キャリヤに一体的に支持されてなる、請求項1記載の自動変速機の潤滑油供給構造。
  3. 前記複数の油取り込み凹部は、前記軸を中心に内周面を外径方向に窪ませるように前記環状レシーバに形成されてなる、請求項1又は2記載の自動変速機の潤滑油供給構造。
  4. 前記油取り込み凹部の円周方向寸法は、前記油通過切欠きの円周方向寸法の3倍以上かつ4倍以下に設定されてなる、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の自動変速機の潤滑油供給構造。
  5. 前記複数の油流出孔のうちの隣り合う油流出孔間の円周方向寸法が、前記油取り込み凹部の円周方向寸法の範囲内に設定されてなる、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の自動変速機の潤滑油供給構造。
  6. 前記所定の回転要素の外周に多板式クラッチを備え、該多板式クラッチの内径側に該多板式クラッチ作動用の油圧サーボを備え、かつ該油圧サーボの内径側にキャンセルプレートを備えてなり、
    前記複数の油流出孔は前記キャンセルプレートの内径側に配置され、かつ、
    前記環状レシーバは、前記複数の油流出孔から流出する潤滑油を前記キャンセルプレートに対向した状態にて前記油取り込み凹部及び前記油通過切欠きから取り込んでなる、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の自動変速機の潤滑油供給構造。
  7. 軸を中心に所定の関係にて配置された複数の回転要素を有するプラネタリギヤと、前記軸側から供給される潤滑油を流出させ得る複数の油流出孔と、該油流出孔側に開口して前記軸側から供給される潤滑油を所定の前記回転要素に支持された回転部材の回転摺接部分に取り込み得る複数の油取り込み孔と、を備えた自動変速機に用いられる環状レシーバであって、
    前記複数の油取り込み孔に連通する複数の連通油路と、該各連通油路に連通した複数の油取り込み凹部と、前記複数の油流出孔から流出する潤滑油を前記所定の回転要素外径方向に通過させるように前記複数の油取り込み凹部の間に形成された複数の油通過切欠きと、を備え、
    前記油取り込み凹部及び前記油通過切欠きは、前記軸を中心とする所定ピッチにて交互に、かつ内径側開口端を互いに近接させるように配置されると共に、前記油取り込み凹部の円周方向寸法が前記油通過切欠きの円周方向寸法に比して長く形成されてなる、ことを特徴とする自動変速機用の環状レシーバ。
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