JP2015145715A - 変速機の油圧回路 - Google Patents

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真男 瀧口
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Abstract

【課題】簡単な構成で、通常時の潤滑油による摩擦係合装置の摩擦抵抗の増加を防止しながらも、摩擦係合装置の係合状態を切り替える際の潤滑油の十分な供給量を確保でき、摩擦係合装置に焼けなどの不具合が発生することを効果的に防止できる変速機の油圧回路を提供すること。
【解決手段】運転者によるシフトレバー200の操作でR−D操作が行われたときに、マニュアルバルブ100で元圧供給油路95が前進クラッチ用作動油路101に連通すると共に、後進ブレーキ用作動油路102が前進クラッチ用潤滑油路105に連通するように構成し、D−R操作が行われたときに、マニュアルバルブ100で元圧供給油路95が後進ブレーキ用作動油路102に連通すると共に、前進クラッチ用作動油路101が後進ブレーキ用潤滑油路106に連通するように構成した。
【選択図】図5

Description

本発明は、変速機が備える前後進切替機構などの摩擦係合機構に作動油の油圧を供給するための油圧回路に関する。
車両用の変速機には、車両の前後進を切り替えるための前後進切替機構を備えたものがある。この前後進切替機構は、変速機の入力軸又は出力軸上に設置した前進クラッチ(前進用摩擦係合装置)及び後進ブレーキ(後進用摩擦係合装置)と、前進クラッチ及び後進ブレーキに供給する作動油の油圧を切り替えるためのバルブ(マニュアルバルブ)とを備える。そして、運転者によってDポジションなど前進用のシフトポジションが選択されると、それに応じてマニュアルバルブのスプールが移動して、後進ブレーキから作動油が排出される一方、前進クラッチに油圧が供給されて前進クラッチが係合(締結)される。また、運転者によってRポジションなど後進用のシフトポジションが選択されると、前進クラッチから作動油が排出される一方、後進ブレーキに油圧が供給されて後進ブレーキが係合(締結)する。
ところで、上記のような前後進切替機構では、急激な前後進の切替操作を行った場合などに、前進用クラッチ又は後進用ブレーキへの潤滑油の供給量が不足する場合がある。この場合、潤滑油の供給量が極度に不足すると、クラッチ焼けやブレーキ焼けが生じるおそれがある。このようなクラッチ焼けやブレーキ焼けは、特にR−D(D−R)の急激な切替操作(誤操作による切替操作を含む)を行うときに生じるおそれが高い。
しかしながら、前進用クラッチ又は後進用ブレーキに供給する潤滑油の量を定常的に増加させる対策を行うと、前進用クラッチ又は後進用ブレーキの締結時の摩擦抵抗(フリクション)が増加することで、車両の燃料消費率(燃費)が悪化する原因となる。また、前進用クラッチ又は後進用ブレーキの非締結時の摩擦抵抗が増加することで、前進用クラッチ又は後進用ブレーキに引きずりが生じるおそれもある。
そこで、前後進の切替操作を行ったときに、それまで前進用クラッチと後進用ブレーキの一方を係合していた係合用の作動油を他方の潤滑用に供給できるように構成すれば、前後進の切替操作に応じてタイミング良く潤滑油を供給することができが、従来は、そのような構成の油圧回路が無かった。
なお、上記のような摩擦係合装置への潤滑油の供給量に関連する従来技術として、特許文献1,2に記載の従来技術がある。特許文献1に記載の潤滑装置は、ブレーキへ潤滑油を流動させる大流量回路と小流量回路とを備えている。そして、通常時には、小流量回路を選択してブレーキへ小流量の潤滑油を供給し、ブレーキの制御中又は高速走行が所定時間継続した場合は、大流量回路を選択してブレーキに大流量の潤滑油を供給するようにしている。この場合、ドレン回路から所定のブレーキへの潤滑油の供給を行っている。
また、特許文献2に記載の動力伝達装置では、エンジンの停止中にNポジションにシフト操作して車両を牽引する場合、電磁ポンプを駆動することにより、車両の潤滑対象(ギヤ機構やデファレンシャルギヤ、ベアリングなど)に潤滑油を供給することようにしている。
しかしながら、特許文献1,2に記載の従来技術では、上記の前後進切替機構が備える前進用クラッチと後進用ブレーキのように2つの摩擦係合装置の係合を切り替える場合の潤滑についての技術ではない。そのため、2つの摩擦係合装置のいずれか一方を係合していた係合用の作動油を他方の潤滑用に供給できるように構成したものではない。
特開2003−42186号公報 特許第5177123号公報
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な構成で、通常時の潤滑油による摩擦係合装置の摩擦抵抗の増加を防止しながらも、摩擦係合装置の係合状態を切り替える際に作動油の油圧をタイミング良く供給できるようにすることで、潤滑油の十分な供給量を確保でき、摩擦係合装置に焼けなどの不具合が発生することを効果的に防止できる変速機の油圧回路を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明にかかる変速機の油圧回路は、変速機が備える第1摩擦係合装置(70)及び第2摩擦係合装置(80)に作動油の油圧を供給するための油圧回路(90)であって、油圧供給源(130)からの作動油が供給される元圧油路(95)と、前記元圧油路(95)からの作動油の供給先として前記第1摩擦係合装置(70)と前記第2摩擦係合装置(80)のいずれかを選択するためのバルブ装置(100)と、前記バルブ装置(100)と前記第1摩擦係合装置(70)の作動室(78)とを連通する第1作動油路(101)と、前記バルブ装置(100)と前記第2摩擦係合装置(80)の作動室(88)とを連通する第2作動油路(102)と、前記バルブ装置(100)から前記第1摩擦係合装置(70)の摩擦係合部(75)へ潤滑用の作動油を供給する第1潤滑油路(105)と、前記バルブ装置(100)から前記第2摩擦係合装置(80)の摩擦係合部(85)へ潤滑用の作動油を供給する第2潤滑油路(106)と、を備え、前記バルブ装置(100)が第1の状態のときに、前記元圧油路(95)が前記第1作動油路(101)に連通すると共に、前記第2作動油路(102)が前記第1潤滑油路(105)に連通し、前記バルブ装置(100)が第2の状態のときに、前記元圧油路(95)が前記第2作動油路(102)に連通すると共に、前記第1作動油路(101)が前記第2潤滑油路(106)に連通するように構成したことを特徴とする。
本発明にかかる変速機の油圧回路によれば、バルブ装置が第1の状態のときに、元圧油路が第1作動油路に連通すると共に第2作動油路が第1潤滑油路に連通し、バルブ装置が第2の状態のときに、元圧油路が第2作動油路に連通すると共に第1作動油路が第2潤滑油路に連通するように構成したことで、バルブ装置を第2の状態から第1の状態に切り替えて、第1摩擦係合装置の作動室に油圧を供給して第1摩擦係合装置の作動(係合)させたときに、第2摩擦係合装置の作動室から排出された作動油が第1摩擦係合装置の摩擦係合部に潤滑油として供給されるようになる。同様に、バルブ装置を第1の状態から第2の状態に切り替えて、第2摩擦係合装置の作動室に油圧を供給して第2摩擦係合装置の作動(係合)させたときに、第1摩擦係合装置の作動室から排出された作動油が第2摩擦係合装置の摩擦係合部に潤滑油として供給されるようになる。
すなわち、バルブ装置を介して第1、第2摩擦係合装置で互いの作動室から排出された作動油を相手側の摩擦係合部に潤滑油として供給するように構成したことで、第1摩擦係合装置又は第2摩擦係合装置の係合用の作動油と潤滑用の作動油(潤滑油)を相互に交換するようにした。これにより、第1、第2摩擦係合装置の係合・非係合の切替時に潤滑油をタイミング良く供給できるので、潤滑油の十分な供給量を確保することができ、摩擦係合装置の摩擦係合部に焼けなどの不具合が生じることを効果的に防止できる。
また、第1、第2摩擦係合装置の作動室から単一のバルブ装置のみを介して潤滑油路への供給経路を設けることで、簡単な構成で、第1、第2摩擦係合装置の係合状態の切り替えに合わせてタイミング良く必要量の潤滑油を供給することが可能となる。したがって、通常時の潤滑油による第1、第2摩擦係合装置の摩擦抵抗の増加を防止しながらも、第1、第2摩擦係合装置の係合状態を切り替える際の潤滑油の十分な供給量を確保でき、第1、第2摩擦係合装置に焼けなどの不具合が発生することを効果的に防止できる。
またこの場合、前記変速機は、車両の駆動輪側に駆動力を伝達するための回転軸(9,13,14)と、前記回転軸(9,13,14)の回転方向を車両の前進用の回転方向と後進用の回転方向とで切り替えるための前後進切替機構(4)と、を備え、前記第1摩擦係合装置(70)は、前記前後進切替機構(4)において前記回転軸(9,13,14)の回転方向を車両の前進用の回転方向に切り替えるための前進用摩擦係合装置であり、前記第2摩擦係合装置(80)は、前記前後進切替機構(4)において前記回転軸(9,13,14)の回転方向を車両の後進用の回転方向に切り替えるための後進用摩擦係合装置(80)であり、車両の運転者によるシフト装置(200)の操作で、前進用のシフトポジション(D)が選択されたときに、前記バルブ装置(100)が前記第1の状態となり、後進用のシフトポジション(R)が選択されたときに、前記バルブ装置(100)が前記第2の状態となるようにしてよい。
上記構成のような前進用摩擦係合装置と後進用摩擦係合装置とを備えた前後進切替機構では、車両の運転者によるシフト装置の操作で車両の前後進を急激に切り替える操作を行ったときに、切替先の摩擦係合装置への潤滑油の供給量が不足する懸念がある。これに対して、本発明にかかる油圧回路では、前進用摩擦係合装置と後進用摩擦係合装置とで互いの作動室から作動油が排出される排出油路を、相手側の摩擦係合部に潤滑油を供給する潤滑油路へ接続するように構成したことで、前後進を急激に切り替える操作を行った場合でも、切替先の摩擦係合装置への潤滑油の供給量が不足することを効果的に防止できる。したがって、前後進切替機構による前後進切替操作の安定性の向上、及び前後進切替機構が備える前進用摩擦係合装置及び後進用摩擦係合装置の耐久性の向上を図ることができる。
なお、上記の括弧内の符号は、後述する実施形態における構成要素の符号を本発明の一例として示したものである。
本発明かかる変速機の油圧回路によれば、簡単な構成で、通常時の潤滑油による摩擦係合装置の摩擦抵抗の増加を防止しながらも、摩擦係合装置の係合状態を切り替える際に作動油の油圧をタイミング良く供給できるようにすることで、潤滑油の十分な供給量を確保でき、摩擦係合装置に焼けなどの不具合が発生することを効果的に防止できる。
本発明の一実施形態にかかる変速機の油圧回路を備えた車両の駆動系の全体構成例を示すスケルトン図である。 前後進切替機構を示す部分拡大断面図である。 前後進切替機構に作動油の油圧を供給するための油圧回路を示す図である。 変速機のケーシング内の構成部品の配置構成を概略的に示す図である。 R−D操作時及びD−R操作時の油圧の切り替えについて説明するための図である。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる変速機の油圧回路を備えた車両の駆動系の全体構成例を示すスケルトン図である。図1に示すように、車両は、エンジン(駆動源)1と、トルクコンバータ2と、無段変速機(以下、「CVT」ともいう)3と、前後進切替機構4と、ディファレンシャル機構6とを備える。
エンジン1の駆動力は、クランクシャフト11に出力される。この駆動力によるクランクシャフト11の回転は、トルクコンバータ2を介してCVT3に入力される。トルクコンバータ2は流体(作動油)を介してトルクの伝達を行うものであり、フロントカバー21と、このフロントカバー21と一体に形成されたポンプ翼車(ポンプインペラ)22と、フロントカバー21とポンプ翼車22との間でポンプ翼車22に対向配置されたタービン翼車(タービンランナ)23と、ステータ24とを有する。図1に示すように、クランクシャフト11はトルクコンバータ2のポンプ翼車22に接続され、タービン翼車23はメインシャフト12に接続される。なお、タービン翼車23とフロントカバー21との間には、ロックアップクラッチ25が設けられている。
前後進切替機構4は、エンジン1側のメインシャフト12と無段変速機3側のインプットシャフト9との間に設けられた機構で、メインシャフト12の回転方向に対するインプットシャフト9の回転方向を切り替えることで、インプットシャフト9の回転を車両の前進用の回転方向と後進用の回転方向とで切り替えるための機構である。前後進切替機構4の構成については、後述する。
無段変速機3は、インプットシャフト9上に配置されたドライブプーリ31と、メインシャフト12及びインプットシャフト9に平行なカウンタシャフト13上に配置されたドリブンプーリ35と、ドライブプーリ31およびドリブンプーリ35の間に掛け回される金属製のベルト39とを有する。
ドライブプーリ31は、インプットシャフト9上に固定して配置された固定プーリ半体32と、この固定プーリ半体32に対して軸方向に相対移動可能な可動プーリ半体33とからなる。可動プーリ半体33の側方には、ドライブ側シリンダ室(油室)34が形成されている。ドリブンプーリ35は、カウンタシャフト13に固定して配置された固定プーリ半体36と、この固定プーリ半体36に対して軸方向に相対移動可能な可動プーリ半体37とからなる。可動プーリ半体37の側方には、ドリブン側シリンダ室(油室)38が形成されている。ドライブ側シリンダ室34およびドリブン側シリンダ室38に油圧制御装置7(図4参照)により作動油を供給することにより、可動プーリ半体33および37をそれぞれ軸方向に移動させることができ、これにより、ベルト39のドライブ側圧およびドリブン側圧が発生される。
無段変速機3では、ドライブプーリ31とドリブンプーリ35との間で変速制御が行われ、カウンタシャフト13が回転駆動される。カウンタシャフト13の回転は、減速ギヤ51、52を介してセカンダリシャフト14に伝達される。そして、セカンダリシャフト14の回転は、減速ギヤ53、54を介してディファレンシャル機構6に伝達され、ディファレンシャル機構6により分割されて左右のドライブシャフト15、16を介して左右の駆動輪(図示せず)に伝達される。
図2は、前後進切替機構4を示す部分拡大断面図である。前後進切替機構4は、前進クラッチ70と、後進ブレーキ80と、それらの間に配置される遊星歯車機構41とを備える。遊星歯車機構41は、サンギヤ42とリングギヤ45とキャリア43とを備える。遊星歯車機構41のサンギヤ42は、インプットシャフト9の外周にスプライン嵌合していると共に、前進クラッチ70のクラッチハブ(クラッチインナー)73が一体に形成されている。リングギヤ45には、後進ブレーキ80のブレーキハブ(ブレーキインナー)83が一体に形成されている。また、プラネタリキャリア43の先端部が前進クラッチ70のクラッチドラム71に係合している。これにより、サンギヤ42と一体のクラッチハブ73と、プラネタリキャリア43と一体のクラッチドラム71とが前進クラッチ70を介して結合可能である。また、リングギヤ45と一体のブレーキハブ83と変速機のケーシング10と一体のブレーキドラム81とが後進ブレーキ80を介して結合可能である。
前進クラッチ70は、メインシャフト12の外周にスプライン嵌合する有底円筒状のクラッチドラム71と、クラッチドラム71の内周に係合する円形環状の平板からなる複数のクラッチプレート(摩擦材)75aと、クラッチドラム71に対して同心状に配置されて相対回転可能なクラッチハブ73と、クラッチハブ73の外周に係合する円形環状の平板からなる複数のクラッチディスク(摩擦材)75bとを備える。クラッチプレート75aとクラッチディスク75bは、軸方向で交互に重ね合わされて配列されており、それらで摩擦係合部75を構成している。
クラッチドラム71内には、略円板状のクラッチピストン(押圧部材)76が収容されている。クラッチピストン76とクラッチドラム71の隙間には、シリンダ室(作動室)78が画成されている。シリンダ室78には、クラッチドラム71に形成した油路71aが連通しており、この油路12aを介して作動油が導入されるようになっている。また、クラッチドラム71には、環状のスプリング受部79が取り付けられており、スプリング受部79とクラッチピストン76との間にリターンスプリング77が介装されている。クラッチピストン76は、クラッチドラム71に対して軸方向に沿って相対移動可能に設置されている。
上記構成の前進クラッチ70では、油路71aを介してシリンダ室78に作動油が供給されると、リターンスプリング77の付勢力に抗してクラッチピストン76が図2の左方に移動する。すると、摩擦係合部75がクラッチピストン76で押圧され、クラッチプレート75aとクラッチディスク75bが相互に圧接される。これにより、前進クラッチ70が締結状態となる。
一方、シリンダ室78から作動油が排出されると、リターンスプリング77の付勢力によりクラッチピストン76が右方に移動し、クラッチプレート75aとクラッチディスク75bの圧着が解除され、前進クラッチ70の締結が解除される。
後進ブレーキ80は、ケーシング10の内面側に一体形成された略円筒状のブレーキドラム(固定部材)81と、ブレーキドラム81の内周側で遊星歯車機構41のリングギヤ45と一体に形成されたブレーキハブ(駆動部材)83と、ブレーキドラム81内で軸方向に沿って複数を交互に積層したクラッチプレート(摩擦材)85a及びクラッチディスク(摩擦材)85bとを備えている。複数のクラッチプレート85a及びクラッチディスク85bによって摩擦係合部85が構成されている。
ケーシング10内には、略円板状のブレーキピストン(押圧部材)86が収容されている。ブレーキピストン86とケーシング10の隙間には、シリンダ室88が画成されている。シリンダ室88には、ケーシング10に形成した油路10aが連通しており、この油路10aを介して作動油が導入されるようになっている。また、ブレーキドラム81には、環状のスプリング受部89が取り付けられており、スプリング受部89とブレーキピストン86との間にリターンスプリング87が介装されている。ブレーキピストン86は、ブレーキドラム81に対して軸方向に沿って相対移動可能に設置されている。
上記構成の後進ブレーキ80では、シリンダ室88に作動油が導入されると、シリンダ室88から圧力を受けたブレーキピストン86が軸方向に沿って右側に移動する。すると、ブレーキピストン86で摩擦係合部85が押圧される。これにより、クラッチプレート85a及びクラッチディスク85bが互いに係合することで、後進ブレーキ80が締結される。
一方、シリンダ室88から作動油が排出されると、リターンスプリング87の付勢力によりブレーキピストン86が左側に移動し、クラッチプレート85aとクラッチディスク85bの圧着が解除され、後進ブレーキ80の締結が解除される。
前進クラッチ70を締結すると、メインシャフト12の回転がクラッチドラム71→前進クラッチ70クラッチハブ73→サンギヤ42の経路でインプットシャフト9に伝達され、インプットシャフト9は、メインシャフト12と同一回転数で同一方向に回転する。一方、前進クラッチ70及び後進ブレーキ80の締結が共に解除されると、メインシャフト12とインプットシャフト9の間が切り離される。
一方、後進ブレーキ80を締結すると、リングギヤ45がケーシング10に対して回転不能に拘束されるため、メインシャフト12の回転がクラッチドラム71→プラネタリキャリア43→サンギヤ42の経路でインプットシャフト9に伝達され、インプットシャフト9はメインシャフト12に対して減速されて逆方向に回転する。
図3は、前後進切替機構4の前進クラッチ70及び後進ブレーキ80に作動油の油圧を供給するための油圧回路90を示す図である。この油圧回路90は、運転者によるシフトレバー(シフト装置)200の操作に応じて前進クラッチ70と後進ブレーキ80に選択的に作動油の油圧を供給するためのマニュアルバルブ100と、オイルポンプ(油圧供給源)130からの作動油をマニュアルバルブ100に供給する元圧供給油路95と、マニュアルバルブ100と前進クラッチ70のシリンダ室(作動室)76とを連通する前進クラッチ用作動油路(第1作動油路)101と、マニュアルバルブ100と後進ブレーキ80のシリンダ室(作動室)86とを連通する後進ブレーキ用作動油路(第2作動油路)102と、マニュアルバルブ100から前進クラッチ70の摩擦係合部75へ潤滑用の作動油を供給する前進クラッチ用潤滑油路(第1潤滑油路)105と、マニュアルバルブ100から後進ブレーキ80の摩擦係合部85へ潤滑用の作動油を供給する後進ブレーキ用潤滑油路(第2潤滑油路)106とを備える。
なお、マニュアルバルブ100から前進クラッチ用潤滑油路105に導入された作動油(潤滑油)は、図2に矢印Xで示すように、メインシャフト12の軸内油路12bから径方向油路12aを通って前進クラッチ70の摩擦係合部75へ潤滑油を供給する経路に導かれる。この経路は、前進クラッチ70の摩擦係合部75を潤滑する通常の潤滑油の流通経路である。したがって、前進クラッチ用潤滑油路105に導入された潤滑油は、摩擦係合部75を潤滑する通常の潤滑油の流通経路に合流する。
図4は、ケーシング10内の構成部品の配置構成を概略的に示す図である。同図に示すように、後進ブレーキ80の摩擦係合部85は、メインシャフト12の外周側に環状に配置されている。そして、マニュアルバルブ100が内蔵されている油圧制御装置7は、後進ブレーキ80の摩擦係合部85の上方に配置されている。そして、図3に示す後進ブレーキ用潤滑油路106に導入された作動油(潤滑油)は、図4に示すマニュアルバルブ100が内蔵されている油圧制御装置7から、その下側にある後進ブレーキ80の摩擦係合部85に供給される。
マニュアルバルブ100は、運転者によるシフトレバー200の操作に応じてバルブ穴110内を軸方向に進退移動するスプール120と、バルブ穴110内で上記の各油路95,101,102,105,106に連通する各ポートとを備えている。このマニュアルバルブ100は、車両の運転者によるシフトレバー200の操作に応じてスプール120が移動する。そして、運転者によってシフトレバー200でD(前進)のシフトポジション(Dレンジ)が選択されると、マニュアルバルブ100によって、元圧供給油路95が前進クラッチ用作動油路101と連通する。また、Dレンジでは、マニュアルバルブ100によって、後進ブレーキ用作動油路102と前進クラッチ用潤滑油路105とが連通する。
一方、運転者によってシフトレバー200でR(後進)のシフトポジション(Rレンジ)が選択されると、マニュアルバルブ100によって、元圧供給油路95が後進ブレーキ用作動油路102と連通する。また、Rレンジでは、マニュアルバルブ100によって、前進クラッチ用作動油路101と後進ブレーキ用潤滑油路106とが連通する。
次に、車両の運転者によるシフトレバー200の操作でRポジションからDポジションへの切替操作(以下、「R−D操作」という。)が行われた場合、又はDポジションからRポジションへの切替操作(以下、「D−R操作」という。)が行われた場合の油圧回路90の切り替えについて説明する。
図5は、R−D操作時及びD−R操作時の油圧回路90の切り替えについて説明するための図である。まず、運転者によるシフトレバー200の操作でR―D操作が行われたときには、同図(a)に示すように、マニュアルバルブ100によって、それまで後進ブレーキ用作動油路102と連通していた元圧供給油路95が前進クラッチ用作動油路101と連通する。これにより、前進クラッチ70のシリンダ室78に油圧が供給されて前進クラッチ70が係合(締結)される。また、R―D操作が行われたときには、マニュアルバルブ100によって、それまで閉じられていた前進クラッチ用潤滑油路105が後進ブレーキ用作動油路102と連通する。これにより、後進ブレーキ80のシリンダ室88から排出された作動油が前進クラッチ70の摩擦係合部75に潤滑油として供給される。
一方、運転者によるシフトレバーの操作でD−R操作が行われたときには、図5(b)に示すように、マニュアルバルブ100によって、それまで前進クラッチ用作動油路101と連通していた元圧供給油路95が後進ブレーキ用作動油路102と連通する。これにより、後進ブレーキ80のシリンダ室88に油圧が供給されて後進ブレーキ80が係合(締結)される。また、D−R操作が行われたときには、マニュアルバルブ100によって、それまで閉じられていた後進ブレーキ用潤滑油路106が前進クラッチ用作動油路101と連通する。これにより、前進クラッチ70のシリンダ室78から排出された作動油が後進ブレーキ80の摩擦係合部85に潤滑油として供給される。
このように、本実施形態の前後進切替機構4のための油圧回路90によれば、マニュアルバルブ100がDレンジに対応する状態(第1の状態)のときに、元圧供給油路95が前進クラッチ用作動油路101に連通すると共に、後進ブレーキ用作動油路102が前進クラッチ用潤滑油路105に連通するように構成したことで、前進クラッチ70のシリンダ室78に油圧を供給して前進クラッチ70を作動(係合)させた状態で、後進ブレーキ80のシリンダ室88から排出された作動油を前進クラッチ70の潤滑油として用いることができる。
また、マニュアルバルブ100がRレンジに対応する状態(第2の状態)のときに、元圧供給油路95が後進ブレーキ用作動油路102に連通すると共に、前進クラッチ用作動油路101が後進ブレーキ用潤滑油路106に連通するように構成したことで、後進ブレーキ80のシリンダ室88に油圧を供給して後進ブレーキ80を作動(係合)させた状態で、前進クラッチ70のシリンダ室78から排出された作動油を後進ブレーキ80の潤滑油として用いることができる。
これにより、マニュアルバルブ100をRレンジに対応する状態(第2の状態)からDレンジに対応する状態(第1の状態)に切り替えて、前進クラッチ70のシリンダ室78に油圧を供給して前進クラッチ70を作動(係合)させたときに、後進ブレーキ80のシリンダ室88から排出された作動油が前進クラッチ70の摩擦係合部75に潤滑油として供給されるようになる。同様に、マニュアルバルブ100をDレンジに対応する状態(第1の状態)からRレンジに対応する状態(第2の状態)に切り替えて、後進ブレーキ80のシリンダ室88に油圧を供給して後進ブレーキ80を作動(係合)させたときに、前進クラッチ70のシリンダ室78から排出された作動油が後進ブレーキ80の摩擦係合部85に潤滑油として供給されるようになる。
すなわち、マニュアルバルブ100を介して前進クラッチ70と後進ブレーキ80で互いのシリンダ室78,88から排出された作動油を相手側の摩擦係合部85,75に潤滑油として供給するように構成したことで、前進クラッチ70又は後進ブレーキ80の係合用の作動油と潤滑用の作動油(潤滑油)を相互に交換するようにした。これにより、前進クラッチ70と後進ブレーキ80の係合・非係合の切替時に潤滑油をタイミング良く供給できるので、潤滑油の十分な供給量を確保することができ、前進クラッチ70と後進ブレーキ80の摩擦係合部75,85に焼けなどの不具合が生じることを効果的に防止できる。
また、前進クラッチ70と後進ブレーキ80のシリンダ室78,88から単一のマニュアルバルブ100のみを介して潤滑油路105,106への供給経路を設けることで、簡単な構成で、前進クラッチ70と後進ブレーキ80の係合状態の切り替えに合わせてタイミング良く必要量の潤滑油を供給することが可能となる。したがって、通常時の潤滑油による前進クラッチ70と後進ブレーキ80の摩擦抵抗の増加を防止しながらも、前進クラッチ70と後進ブレーキ80の係合状態を切り替える際の潤滑油の十分な供給量を確保でき、前進クラッチ70と後進ブレーキ80に焼けなどの不具合が発生することを効果的に防止できる。
また、既述のように、上記の前進クラッチ70と後進ブレーキ80とを備えた前後進切替機構4では、車両の前後進を急激に切り替える操作(急激なD−R操作又はR−D操作)を行ったときに、切替先の前進クラッチ70又は後進ブレーキ80への潤滑油の供給量が不足する懸念がある。これに対して、本実施形態の油圧回路90では、前進クラッチ70と後進ブレーキ80とで互いのシリンダ室78,88から作動油が排出される排出油路を相手側の潤滑油路へ接続するように構成したことで、前後進を急激に切り替える操作を行った場合でも、切替先の前進クラッチ70又は後進ブレーキ80への潤滑油の供給量が不足することを効果的に防止できる。したがって、前進クラッチ70及び後進ブレーキ80による前後進切替操作の安定性の向上、及び前進クラッチ70と後進ブレーキ80の耐久性の向上を図ることができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、本発明にかかる第1摩擦係合装置が上記の前進クラッチ70であり、第2摩擦係合装置が上記の後進ブレーキ80である場合を説明したが、本発明にかかる第1、第2摩擦係合装置は、これらには限らず、他のクラッチやブレーキであってもよい。
1 エンジン
2 トルクコンバータ
3 無段変速機
4 前後進切替機構
6 ディファレンシャル機構
7 油圧制御装置
9 インプットシャフト
10 ケーシング
11 クランクシャフト
12 メインシャフト
12a 径方向油路
12a 軸内油路
13 カウンタシャフト
31 ドライブプーリ
35 ドリブンプーリ
39 ベルト
41 遊星歯車機構
42 サンギヤ
43 プラネタリキャリア
45 リングギヤ
70 前進クラッチ(第1摩擦係合装置)
71 クラッチドラム
73 クラッチハブ
75 摩擦係合部
76 クラッチピストン
77 リターンスプリング
78 シリンダ室(作動室)
79 スプリング受部
80 後進ブレーキ(第2摩擦係合装置)
81 ブレーキドラム
83 ブレーキハブ
85 摩擦係合部
86 ブレーキピストン
87 リターンスプリング
88 シリンダ室(作動室)
90 油圧回路
95 元圧供給油路
100 マニュアルバルブ(バルブ装置)
101 前進クラッチ用作動油路(第1作動油路)
102 後進ブレーキ用作動油路(第2作動油路)
105 前進クラッチ用潤滑油路(第1潤滑油路)
106 後進ブレーキ用潤滑油路(第2潤滑油路)
110 バルブ穴
120 スプール
200 シフトレバー(シフト装置)

Claims (2)

  1. 変速機が備える第1摩擦係合装置及び第2摩擦係合装置に作動油の油圧を供給するための油圧回路であって、
    油圧供給源からの作動油が供給される元圧油路と、
    前記元圧油路からの作動油の供給先として前記第1摩擦係合装置と前記第2摩擦係合装置のいずれかを選択するためのバルブ装置と、
    前記バルブ装置と前記第1摩擦係合装置の作動室とを連通する第1作動油路と、
    前記バルブ装置と前記第2摩擦係合装置の作動室とを連通する第2作動油路と、
    前記バルブ装置から前記第1摩擦係合装置の摩擦係合部へ潤滑用の作動油を供給する第1潤滑油路と、
    前記バルブ装置から前記第2摩擦係合装置の摩擦係合部へ潤滑用の作動油を供給する第2潤滑油路と、を備え、
    前記バルブ装置が第1の状態のときに、前記元圧油路が前記第1作動油路に連通すると共に、前記第2作動油路が前記第1潤滑油路に連通し、
    前記バルブ装置が第2の状態のときに、前記元圧油路が前記第2作動油路に連通すると共に、前記第1作動油路が前記第2潤滑油路に連通するように構成した
    ことを特徴とする変速機の油圧回路。
  2. 前記変速機は、車両の駆動輪側に駆動力を伝達するための回転軸と、
    前記回転軸の回転方向を車両の前進用の回転方向と後進用の回転方向とで切り替えるための前後進切替機構と、を備え、
    前記第1摩擦係合装置は、前記前後進切替機構において前記回転軸の回転方向を車両の前進用の回転方向に切り替えるための前進用摩擦係合装置であり、
    前記第2摩擦係合装置は、前記前後進切替機構において前記回転軸の回転方向を車両の後進用の回転方向に切り替えるための後進用摩擦係合装置であり、
    車両の運転者によるシフト装置の操作で、前進用のシフトポジションが選択されたときに、前記バルブ装置が前記第1の状態となり、後進用のシフトポジションが選択されたときに、前記バルブ装置が前記第2の状態となる
    ことを特徴とする請求項1に記載の変速機の油圧回路。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111573543A (zh) * 2020-04-03 2020-08-25 武汉船用机械有限责任公司 离合器推动装置

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