JP2015152061A - スラストワッシャ - Google Patents
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Abstract
【課題】相対回転する2つの部材の間に介設されるスラストワッシャおよびそれに摺接する部材を良好に潤滑・冷却すると共に、両者の間に引き摺りが発生するのを抑制する。【解決手段】スラストワッシャ60の摺接面60aには、内周縁60iから外周縁60oまで延びる第1油溝101と、第1油溝101よりもスラストワッシャ60の回転方向Rの進行方向側で内周縁60iから外周縁60o側に延びる第2油溝102と、第1油溝101と第2油溝102とを連通させる連通油溝103とを含む潤滑油路100が複数形成されており、第1油溝101の回転方向Rの進行方向反対側の側縁102aは、他の油溝と交差することなく内周縁60iから外周縁60oまで延びており、連通油溝103は、第2油溝102の進行方向反対側の側縁102aから第1油溝101の進行方向側の側縁102bまで延びる。【選択図】図5
Description
本発明は、相対回転する2つの部材の間に介設されるスラストワッシャに関する。
従来、この種のスラストワッシャとして、樹脂により形成されると共に相手材と滑り接触(摺接)する滑り面(摺接面)に形成された内周から外周に通じる複数の油溝を有し、当該複数の溝を介して滑り面に潤滑流体を供給するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1のスラストワッシャにおいて、複数の油溝は、スラストワッシャの軸を中心として放射状に延びたり、隣り合う2本の油溝が平行にならないように延びたり、隣り合う2本の油溝が外周面に対して垂直でなく傾斜したり、隣り合う2本の油溝同士が中途で交差したりするように滑り面に形成される。
しかしながら、上記従来スラストワッシャのように、滑り面に複数の油溝を放射状に配設したり、隣り合う2本の油溝同士を交差させたりしても、各油溝に流入した潤滑油は、スラストワッシャの回転に伴って発生する遠心力により当該スラストワッシャの滑り面と相手材の表面との間に流入する前に各油溝の外周側の開口部から流出しがちとなる。このため、スラストワッシャの滑り面と相手材の表面との間に潤滑油を充分に行き渡らせることができなくなってしまい、スラストワッシャおよび相手材の特に周速度の高い外周部を充分に潤滑・冷却し得なくなる。また、スラストワッシャ(滑り面)と相手材との間に介在する潤滑流体が不足することで、スラストワッシャと相手材とを充分に引き離すことができなくなり、スラストワッシャと相手材との間で引き摺りが発生してしまうおそれもある。
そこで、本発明は、相対回転する2つの部材の間に介設されるスラストワッシャの摺接面に潤滑油を充分に行き渡らせ、スラストワッシャおよびそれに摺接する部材を良好に潤滑・冷却すると共に、両者の間に引き摺りが発生するのを良好に抑制することを主目的とする。
本発明によるスラストワッシャは、上記主目的を達成するために以下の手段を採っている。
本発明によるスラストワッシャは、
相対回転する2つの部材の間に介設され、前記2つの部材の一方と共に回転するスラストワッシャにおいて、
前記2つの部材の他方と摺接する環状の摺接面を有し、
前記摺接面には、該摺接面の内周縁から外周縁まで延びる第1油溝と、該第1油溝よりも前記2つの部材の他方に対する前記スラストワッシャの主回転方向の進行方向側で前記内周縁から前記外周縁に向けて延びる第2油溝と、前記スラストワッシャの周方向に沿って延びると共に前記第1油溝と前記第2油溝とを連通させる連通油溝とを含む潤滑油路が前記スラストワッシャの周方向に間隔をおいて複数形成されており、
前記第1油溝の前記主回転方向の進行方向反対側の側縁は、他の油溝と交差することなく前記内周縁から前記外周縁まで延びており、
前記連通油溝は、前記第2油溝の前記進行方向反対側の側縁から前記第1油溝の前記進行方向側の側縁まで延びることを特徴とする。
相対回転する2つの部材の間に介設され、前記2つの部材の一方と共に回転するスラストワッシャにおいて、
前記2つの部材の他方と摺接する環状の摺接面を有し、
前記摺接面には、該摺接面の内周縁から外周縁まで延びる第1油溝と、該第1油溝よりも前記2つの部材の他方に対する前記スラストワッシャの主回転方向の進行方向側で前記内周縁から前記外周縁に向けて延びる第2油溝と、前記スラストワッシャの周方向に沿って延びると共に前記第1油溝と前記第2油溝とを連通させる連通油溝とを含む潤滑油路が前記スラストワッシャの周方向に間隔をおいて複数形成されており、
前記第1油溝の前記主回転方向の進行方向反対側の側縁は、他の油溝と交差することなく前記内周縁から前記外周縁まで延びており、
前記連通油溝は、前記第2油溝の前記進行方向反対側の側縁から前記第1油溝の前記進行方向側の側縁まで延びることを特徴とする。
このように構成されるスラストワッシャが主回転方向に回転する際には、摺接面の内周縁側から潤滑油路の第2油溝に流入した潤滑油が連通油溝を介して上記主回転方向の進行方向反対側に位置する第1油溝に流れ込む。そして、連通油溝内を進行方向反対側に向けて流れる潤滑油は、第1油溝と連通油溝との合流部で当該第1油溝内を内周縁から外周縁に向けて流れる潤滑油と衝突する。これにより、主回転方向の進行方向反対側の側縁で他の油溝と交差しない第1油溝を外周縁に向けて流通する潤滑油や連通油溝からの潤滑油が、当該第1油溝から摺接面の当該第1油溝よりも進行方向反対側の領域へと乗り上げる(送り込まれる)。また、連通油溝を流通する潤滑油の一部は、スラストワッシャの回転に伴って発生する遠心力により摺接面の当該連通油溝よりも外周縁側の領域へと乗り上げる(送り込まれる)。この結果、このスラストワッシャによれば、摺接面の第1油溝よりも進行方向反対側の領域や、摺接面の連通油溝よりも外周縁側の領域に潤滑油を充分に行き渡らせることができる。従って、相対回転する2つの部材の間に介設されるスラストワッシャの摺接面の全体に潤滑油を充分に行き渡らせ、スラストワッシャおよびそれに摺接する上記他方の部材を良好に潤滑・冷却すると共に、両者の間に引き摺りが発生するのを良好に抑制することが可能となる。
次に、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るスラストワッシャ60を含む動力伝達装置20の概略構成図である。同図に示す動力伝達装置20は、前輪駆動式の車両に搭載される図示しないエンジンのクランクシャフトに接続されると共にエンジンからの動力を図示しない左右の駆動輪(前輪)に伝達可能なものである。図示するように、動力伝達装置20は、トランスミッションケース22や、流体伝動装置(発進装置)23、オイルポンプ24、トランスミッションケース22内に収容される自動変速機25、ギヤ機構(ギヤ列)40、デファレンシャルギヤ(差動機構)50等を含む。
流体伝動装置23は、エンジンのクランクシャフトに接続される入力側のポンプインペラ23pや、自動変速機25の入力軸26に接続された出力側のタービンランナ23t、ポンプインペラ23pおよびタービンランナ23tの内側に配置されてタービンランナ23tからポンプインペラ23pへの作動油の流れを整流するステータ23s、ステータ23sの回転方向を一方向に制限するワンウェイクラッチ23o、ロックアップクラッチ23c等を有するトルクコンバータとして構成される。ただし、流体伝動装置23は、ステータ23sを有さない流体継手として構成されてもよい。
オイルポンプ24は、ポンプボディとポンプカバーとを含むポンプアッセンブリ、ハブを介して流体伝動装置23のポンプインペラ23pに接続された外歯ギヤ、当該外歯ギヤに噛合する内歯ギヤ等を有するギヤポンプとして構成されている。オイルポンプ24は、エンジンからの動力により駆動され、図示しないオイルパンに貯留されている作動油(ATF)を吸引して流体伝動装置23や自動変速機25により要求される油圧を生成する図示しない油圧制御装置へと圧送する。
自動変速機25は、8段変速式の変速機として構成されており、図1に示すように、ダブルピニオン式の第1遊星歯車機構30と、ラビニヨ式の第2遊星歯車機構35と、入力側から出力側までの動力伝達経路を変更するための4つのクラッチC1,C2,C3およびC4、2つのブレーキB1およびB2、並びにワンウェイクラッチF1とを含む。
第1遊星歯車機構30は、外歯歯車であるサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置される内歯歯車であるリングギヤ32と、互いに噛合すると共に一方がサンギヤ31に、他方がリングギヤ32に噛合する2つのピニオンギヤ33a,33bの組を自転自在(回転自在)かつ公転自在に複数保持するプラネタリキャリア34とを有する。図示するように、第1遊星歯車機構30のサンギヤ31は、トランスミッションケース22に固定されており、第1遊星歯車機構30のプラネタリキャリア34は、入力軸26に一体回転可能に接続されている。また、第1遊星歯車機構30は、いわゆる減速ギヤとして構成されており、入力要素であるプラネタリキャリア34に伝達された動力を減速して出力要素であるリングギヤ32から出力する。
第2遊星歯車機構35は、外歯歯車である第1サンギヤ36aおよび第2サンギヤ36bと、第1および第2サンギヤ36a,36bと同心円上に配置される内歯歯車であるリングギヤ37と、第1サンギヤ36aに噛合する複数のショートピニオンギヤ38aと、第2サンギヤ36bおよび複数のショートピニオンギヤ38aに噛合すると共にリングギヤ37に噛合する複数のロングピニオンギヤ38bと、複数のショートピニオンギヤ38aおよび複数のロングピニオンギヤ38bを自転自在(回転自在)かつ公転自在に保持するプラネタリキャリア39とを有する。第2遊星歯車機構35のリングギヤ37は、自動変速機25の出力部材として機能し、入力軸26からリングギヤ37に伝達された動力は、ギヤ機構40、デファレンシャルギヤ50およびドライブシャフト51を介して左右の駆動輪に伝達される。また、プラネタリキャリア39は、ワンウェイクラッチF1を介してトランスミッションケース22により支持され、当該プラネタリキャリア39の回転方向は、ワンウェイクラッチF1により一方向に制限される。
クラッチC1は、ピストン、複数の摩擦プレートやセパレータプレート、作動油が供給される油室等により構成される油圧サーボを有し、第1遊星歯車機構30のリングギヤ32と第2遊星歯車機構35の第1サンギヤ36aとを互いに接続すると共に両者の接続を解除することができる多板摩擦式油圧クラッチである。クラッチC2は、ピストン、複数の摩擦プレートやセパレータプレート、作動油が供給される油室等により構成される油圧サーボを有し、入力軸26と第2遊星歯車機構35のプラネタリキャリア39とを互いに接続すると共に両者の接続を解除することができる多板摩擦式油圧クラッチである。クラッチC3は、ピストン、複数の摩擦プレートやセパレータプレート、作動油が供給される油室等により構成される油圧サーボを有し、第1遊星歯車機構30のリングギヤ32と第2遊星歯車機構35の第2サンギヤ36bとを互いに接続すると共に両者の接続を解除することができる多板摩擦式油圧クラッチである。クラッチC4は、ピストン、複数の摩擦プレートやセパレータプレート、作動油が供給される油室等により構成される油圧サーボを有し、第1遊星歯車機構30のプラネタリキャリア34と第2遊星歯車機構35の第2サンギヤ36bとを互いに接続すると共に両者の接続を解除することができる多板摩擦式油圧クラッチである。
ブレーキB1は、複数の摩擦プレートやセパレータプレート、作動油が供給される油室等により構成される油圧サーボを有し、第2遊星歯車機構35の第2サンギヤ36bをトランスミッションケース22に回転不能に固定すると共に第2サンギヤ36bのトランスミッションケース22に対する固定を解除することができる多板摩擦式油圧ブレーキである。ブレーキB2は、複数の摩擦プレートやセパレータプレート、作動油が供給される油室等により構成される油圧サーボを有し、第2遊星歯車機構35のプラネタリキャリア39をトランスミッションケース22に回転不能に固定すると共にプラネタリキャリア39のトランスミッションケース22に対する固定を解除することができる多板摩擦式油圧ブレーキである。
また、ワンウェイクラッチF1は、第2遊星歯車機構35のプラネタリキャリア39に連結(固定)されるインナーレースや、アウターレース、複数のスプラグ、複数のスプリング(板バネ)、保持器等を含み、インナーレースに対してアウターレースが一方向に回転した際に各スプラグを介してトルクを伝達すると共に、インナーレースに対してアウターレースが他方向に回転した際に両者を相対回転させるものである。ただし、ワンウェイクラッチF1は、ローラ式といったようなスプラグ式以外の構成を有するものであってもよい。
これらのクラッチC1〜C4、ブレーキB1およびB2は、図示しない油圧制御装置による作動油の給排を受けて動作する。図2に、自動変速機25の各変速段とクラッチC1〜C4、ブレーキB1およびB2、並びにワンウェイクラッチF1の作動状態との関係を表した作動表を示す。自動変速機25は、クラッチC1〜C4、ブレーキB1およびB2を図2の作動表に示す状態とすることで前進1〜8速の変速段と後進1速および2速の変速段とを提供する。なお、クラッチC1〜C4、ブレーキB1およびB2の少なくとも何れかは、ドグクラッチといった噛み合い係合要素とされてもよい。
ギヤ機構40は、自動変速機25の第2遊星歯車機構35のリングギヤ37に連結されるカウンタドライブギヤ41と、自動変速機25の入力軸26と平行に延在するカウンタシャフト42に固定されると共にカウンタドライブギヤ41に噛合するカウンタドリブンギヤ43と、カウンタシャフト42に形成(あるいは固定)されたドライブピニオンギヤ44と、ドライブピニオンギヤ44に噛合すると共にデファレンシャルギヤ50に連結されたデフリングギヤ45とを有する。
続いて、図3から図5を参照しながら、動力伝達装置20に含まれるスラストワッシャ60について説明する。図3は、動力伝達装置20においてスラストワッシャ60が配置されるギヤ機構40のカウンタドライブギヤ41や第2遊星歯車機構35の周辺の構造を示すものである。
図3に示すように、ギヤ機構40のカウンタドライブギヤ41は、トランスミッションケース22に連結されたセンタサポート70により軸受80を介して回転自在に支持されている。センタサポート70は、自動変速機25の入力軸26の径方向に延びると共に外周部がトランスミッションケース22に連結(固定)される壁部71と、壁部71の内周部から第2遊星歯車機構35側(図3における左側)に向けて入力軸26の軸方向に延出されたボス部72とを有する。軸受80は、センタサポート70のボス部72の外周面に嵌合され、ボス部72の第2遊星歯車機構35側の端部に形成されたネジ部72aに螺合されたナット90とセンタサポート70の壁部71とにより保持される。
スラストワッシャ60は、樹脂により形成された環状部材であり、ナット90と、当該ナット90に対して相対回転する第2遊星歯車機構35のプラネタリキャリア39との間に配置される。ただし、スラストワッシャ60は、例えば金属といった樹脂以外の材料により成形されてもよい。図3に示すように、スラストワッシャ60の内周部からは、プラネタリキャリア39に形成された複数の切欠部39sにそれぞれ嵌まり込む複数の突出部60tが軸方向に延出されている。これにより、スラストワッシャ60は、プラネタリキャリア39と一体に回転する。なお、本実施形態において、プラネタリキャリア39は、自動変速機25の作動中に一方向にのみ回転する。
また、スラストワッシャ60は、当該スラストワッシャ60がプラネタリキャリア39と一体に回転する際に、センターサポート70(トランスミッションケース22)に螺合(固定)されたナット90の端面に摺接する環状の摺接面60aを有する。図4に示すように、摺接面60aには、それぞれ複数の油溝を含む潤滑油路100(破線で囲んだ部分参照)がスラストワッシャ60の周方向に沿って等間隔に複数形成されている。なお、複数の潤滑油路100の個数や形成位置は、図4に示すものに限られず、必ずしも周方向に沿って等間隔に形成されなくてもよい。また、各潤滑油路100の間に他の形態の油路((例えば径方向に真っ直ぐ延びる油溝)が形成されてもよい。
図5は、潤滑油路100を示す拡大図である。図示するように、潤滑油路100は、摺接面60aの内周縁60iから外周縁60oまで延びる第1油溝101と、第1油溝101よりもスラストワッシャ60の回転方向R(ナット90に対するプラネタリキャリア39の回転方向、以下、単に「回転方向R」という。)の進行方向側(下流側)で内周縁60iから外周縁60o側に延びると共に当該外周縁60oでは開口しない第2油溝102と、第1および第2油溝101,102を連通させる連通油溝103とを含む。なお、自動変速機25の作動中にプラネタリキャリヤ39が双方向に回転する場合には、上記回転方向Rは、自動変速機25の作動中におけるプラネタリキャリヤ39およびスラストワッシャ60の主たる回転方向、例えば、発生頻度が高い回転方向や、プラネタリキャリヤ39およびスラストワッシャ60の回転速度がより高くなる回転方向を示す。
第1油溝101は、内周縁60iで開口する内側開口部101iと、摺接面60aの外周縁60oで開口する外側開口部101oとを有する。第1油溝101の回転方向Rの進行方向反対側(上流側)の側縁(側壁)101aは、他の油溝と交差することなく摺接面60aの内周縁60i(内側開口部101i)から外周縁60o(外側開口部101o)まで延びるように形成される。また、第1油溝101の内側開口部101iは、内周縁60iに近づくにつれて回転方向Rの進行方向反対側に拡がるように形成される。すなわち、内周縁60i近傍における第1油溝101の側縁101aは、内周縁60iに近づくにつれてスラストワッシャ60の径方向に対して回転方向Rの進行方向反対側に傾斜する。
更に、第1油溝101は、内周縁60iから外周縁60oに向けてスラストワッシャ60の径方向に対して回転方向Rの進行方向反対側に傾斜するように延びると共に、中途に形成された屈曲部101c,101dで向きを変えて外周縁60oまで回転方向Rの進行方向側に傾斜するように延びる。第1油溝101の側縁101aにおける屈曲部101cは、摺接面60aの内周縁60iと外周縁60oとの間を延びる中心線C(図5における一点鎖線参照)よりもわずかに外周縁60o側に形成される。また、第1油溝101の回転方向Rの進行方向側の側縁(側壁)101bにおける屈曲部101dは、屈曲部101cよりも外周縁60o側に形成され、側縁101bは、屈曲部101dよりも外周縁60o側で回転方向Rの進行方向反対側の側縁101aと平行に延びる。この結果、図示するように、屈曲部101dよりも外周縁60o側を延びる第1油溝101の溝幅や外側開口部101oの開口幅Loは、屈曲部101cよりも内周縁60i側を延びる第1油溝101の溝幅L1よりも狭くなる。
第2油溝102は、摺接面60aの内周縁60iで開口する内側開口部102iを有し、内側開口部102iからスラストワッシャ60の径方向に概ね沿って上記中心線Cよりもわずかに外周縁60o側まで延びる。内側開口部102iは、第1油溝101の内側開口部101iと同様に、内周縁60iに近づくにつれて回転方向Rの進行方向反対側に拡がるように形成される。すなわち、内周縁60i近傍における第2油溝102の回転方向Rの進行方向反対側の側縁102aは、内周縁60iに近づくにつれてスラストワッシャ60の径方向に対して回転方向Rの進行方向反対側に傾斜する。また、第2油溝102は、内周縁60iから外周縁60o側に近づくにつれてスラストワッシャ60の径方向に対して回転方向Rの進行方向反対側に傾斜するように延びる。
連通油溝103は、第2油溝102の回転方向Rの進行方向反対側の側縁102aから第1油溝101の回転方向Rの進行方向側の側縁101bまでスラストワッシャ60の周方向に沿って延びる。本実施形態において、連通油溝103の内周縁60i側の側縁103aは、摺接面60aの上記中心線C上を延びるように形成される。これにより、本実施形態において、連通油溝103は、摺接面60aの上記中心線Cから外周縁60oまでの間(外周縁60oよりも内周側)を延びることになる。また、本実施形態において、連通油溝103と第1油溝101の側縁101aにおける屈曲部101cとは、スラストワッシャ60の周方向に並ぶように形成されている。すなわち、第1油溝101の側縁101aにおける屈曲部101cは、連通油溝103の延長線上(例えば、連通油溝103の中心線上)に形成される。
更に、潤滑油路100は、外周縁60oで開口すると共にスラストワッシャ60の径方向に沿って延びるエア抜き溝104を含む。エア抜き溝104は、第2油溝102や連通油溝103よりも細幅に形成されており、第2油溝102と連通油溝103との合流部で両者と連通する。エア抜き溝104は、潤滑油路100内に潤滑油が供給され始める際に主に第2油溝102内に滞留している空気をスラストワッシャ60の外方に排出するための経路を形成する(図5に示す破線矢印参照)。これにより、第2油溝102内へと潤滑油を速やかに流入させることができる。なお、エア抜き溝104は、スラストワッシャ60の径方向に対して傾斜するように延びるものであってもよい。また、エア抜き溝104は、第2油溝102の回転方向Rの進行方向側の側縁102bで当該第2油溝102と連通するように形成されてもよいし、連通油溝103の外周縁60o側の側縁103bで当該連通油溝103と連通するように形成されてもよい。
引き続き、上述のように構成されたスラストワッシャ60が回転方向Rに回転する際の潤滑油路100における潤滑油の流れについて説明する。図5における太い実線矢印は、潤滑油路100を流れる潤滑油の主だった経路を示す。オイルポンプ24の作動中には、自動変速機25の入力軸26に形成された油路等を介して図示しない油圧制御装置の潤滑系統からスラストワッシャ60の内側の部材に供給された潤滑油(作動油)が遠心力の作用によりスラストワッシャ60の内周側から当該スラストワッシャ60の摺接面60aとナット90との間に供給される。当該潤滑油は、摺接面60aに形成された各潤滑油路100の第1油溝101および第2油溝102内に内周縁60i側の内側開口部101i,102iを介して流入する。
この際、本実施形態では、第1および第2油溝101,102の内側開口部101i,102iが内周縁60iに近づくにつれて回転方向Rの進行方向反対側へと拡がるように形成されていることから、内側開口部101i,102iから第1および第2油溝101,102へとより多くの潤滑油を流入させることができる。また、当該内側開口部101i,102iに流入した潤滑油の一部を、内周縁60iに近づくにつれて回転方向Rの進行方向反対側に傾斜する第1および第2油溝101,102の側縁101a,102aからそれぞれ摺接面60aへと良好に乗り上げさせる(送り込む)ことが可能となる。
内側開口部101iから第1油溝101に流入した潤滑油は、スラストワッシャ60の回転に伴って発生する遠心力の作用により第1油溝101内を外周縁60o側へと流通し、一部が側縁101a,101bから摺接面60a上へと送り込まれると共に一部が外側開口部101oからスラストワッシャ60の外方へと排出される。また、第1油溝101は、上述のように、内周縁60iから屈曲部101c,101dまでスラストワッシャ60の径方向に対して回転方向Rの進行方向反対側に傾斜するように延びるので、第1油溝101の内周縁60iから屈曲部101cに向けて流れる潤滑油を、屈曲部101cから外周縁60o側に延びる側縁101aから摺接面60aの第1油溝101よりも回転方向Rの進行方向反対側の領域へとより良好に送り込むことができる。
一方、内側開口部102iから第2油溝102に流入した潤滑油は、スラストワッシャ60の回転に伴って発生する遠心力の作用により第2油溝102内を外周縁60o側へと流通し、その多くが連通油溝103に流入する。上述のように、第2油溝102は、内周縁60iから外周縁60o側に向かうにつれてスラストワッシャ60の径方向に対して回転方向Rの進行方向反対側に傾斜するように延びる。従って、第2油溝102を流れる潤滑油を当該第2油溝102の回転方向Rの進行方向反対側の側縁102aから延びる連通油溝103へとスムースに流入させることができる。また、第2油溝102を流通する潤滑油の一部は、側縁102a,102bから摺接面60a上へと乗り上げる(送り込まれる)。更に、第2油溝102内を流通する潤滑油のごく一部はエア抜き溝104に流入し、当該エア抜き溝104からスラストワッシャ60の外方へと排出される。ただし、エア抜き溝104は、第2油溝102よりも細幅に形成されるため、エア抜き溝104からスラストワッシャ60の外方に排出される潤滑油量は、第2油溝102から連通油溝103へと流入する潤滑油量に比して極めて少なくなる。
第2油溝102から連通油溝103へと流入した潤滑油は、連通油溝103内を回転方向Rの進行方向反対側に向けて流通し、第1油溝101と連通油溝103との合流部で当該第1油溝101内を内周縁60iから外周縁60oに向けて流れる潤滑油と衝突する。そして、連通油溝103からの潤滑油と衝突した第1油溝101内を流通する潤滑油は、連通油溝103からの潤滑油と共に回転方向Rの進行方向反対側に流れようとする。この結果、互いに衝突した第1油溝101内の潤滑油と連通油溝103からの潤滑油とを、回転方向Rの進行方向反対側の側縁101aで他の油溝と交差しない第1油溝101から摺接面60aの当該第1油溝101よりも回転方向Rの進行方向反対側の領域へと乗り上げさせることができる。
加えて、本実施形態では、第1油溝101の屈曲部101cが連通油溝103の延長線上に形成される。これにより、第1油溝101と連通油溝103との合流部で衝突して回転方向Rの進行方向反対側に向かって流れようとする潤滑油を、屈曲部101cから外周縁60oまでスラストワッシャ60の径方向に対して回転方向Rの進行方向側、すなわち当該潤滑油の流れとは反対側に傾斜して延びる側縁101aから摺接面60aの第1油溝101よりも回転方向Rの進行方向反対側の領域へとより一層良好に送り込むことが可能となる。
また、連通油溝103を流通する潤滑油の一部は、スラストワッシャ60の回転に伴って発生する遠心力により摺接面60aの当該連通油溝103(側縁103b)よりも外周縁60o側の領域にも乗り上げる(送り込まれる)。そして、連通油溝103は、摺接面60aの内周縁60iと外周縁60oとの間の中心線Cから外周縁60oまでの間でスラストワッシャ60の周方向に沿って延びる。これにより、第1油溝101と連通油溝103との合流部で衝突した潤滑油や、連通油溝103を流通する潤滑油の一部を、特にスラストワッシャ60の外周部における摺接面60a、すなわち摺接面60の外周縁60o側の領域へと良好に送り込むことができる。この結果、周速度が高くなるスラストワッシャ60およびナット90の外周部を充分に潤滑・冷却することが可能となる。
更に、本実施形態において、第1油溝101の外周縁60o側における外側開口部101oの開口幅Loは、第1油溝101と連通油溝103との合流部よりも内周縁60i側における第1油溝101の溝幅L1よりも狭い。この結果、第1油溝101の外側開口部101oから潤滑油を流出させにくくして、第1油溝101を内周縁60i側から流通する潤滑油や連通油溝103から流入する潤滑油を第1油溝101から摺接面60aの当該第1油溝101よりも回転方向Rの進行方向反対側の領域により一層良好に送りこむことが可能となる。
上述のように、スラストワッシャ60によれば、摺接面60aの第1油溝101よりも回転方向Rの進行方向反対側の領域や、摺接面60aの連通油溝103(側縁103b)よりも外周縁60o側の領域等に潤滑油を充分に行き渡らせることができる。従って、スラストワッシャ60の摺接面60aの全体に潤滑油を充分に行き渡らせ、スラストワッシャ60およびそれに摺接する上記ナット90を良好に潤滑・冷却することが可能となる。更に、スラストワッシャ60とナット90との間に介在する潤滑油を充分に確保することで、当該潤滑油によりスラストワッシャ60とナット90とのクリアランスをより適正に確保し、両者の間に引き摺りが発生するのを良好に抑制することが可能となる。
なお、上記実施形態は、第2遊星歯車機構35のプラネタリキャリア39と共に回転すると共にナット90と摺接する摺接面60aを有するスラストワッシャ60に本発明を適用したものであるが、本発明は、主に一方向に回転するスラストワッシャであれば、相対回転する2つの部材の双方と摺接するものに適用されてもよい。この場合、2つの摺接面の双方に上述のような潤滑油を設ければよい。また、潤滑流路100の連通油溝103は、スラストワッシャ60の周方向に沿って延びるものでなくてもよく、例えば、スラストワッシャ60の周方向に対して傾斜して延びるものや中途に屈曲部を有するもの等であってもよい。更に、連通油溝103は、摺接面60aの中心線Cから内周縁60iまでの間に形成されてもよく、外周縁60o側の側縁103bが中心線Cよりも外周縁60o側に位置すると共に内周縁60i側の側縁103aが中心線Cよりも内周縁60i側に位置するように形成されてもよい。
また、第1油溝101の屈曲部101c,101dよりも外周縁60o側の部分は、屈曲部101c,101dよりも内周縁60i側の部分よりも回転方向Rの進行方向反対側に傾斜しないように形成されればよく、スラストワッシャ60の径方向に沿って延びるように形成されてもよい。更に、屈曲部101c,101dは、第1油溝101から省略されてもよく、この場合、第1油溝101は、内周縁60iから外周縁60oまでスラストワッシャ60の径方向に沿って、または、当該径方向に対して回転方向Rの進行方向反対側または進行方向側に傾斜して延びるように形成されてもよい。また、第2油溝102は、内周縁60iから外周縁60o側にスラストワッシャ60の径方向に沿って、または、当該径方向に対して回転方向Rの進行方向側に傾斜して延びるように形成されてもよい。
更に、エア抜き溝104は、潤滑流路100から省略されてもよく、この場合、第2油溝102をスラストワッシャ60の外周縁60oまで延びるように形成してもよい。また、内側開口部101i,102iは、何れか一方のみが回転方向Rの進行方向反対側に拡がるように形成されてもよく、双方が回転方向Rの進行方向反対側に拡がらないように形成されなくてもよい。更に、外側開口部101oの開口幅Loは、第1油溝101と連通油溝103との合流部よりも内周縁60i側における第1油溝101の溝幅L1と概ね同一とされてもよい。
以上説明したように、本発明によるスラストワッシャは、相対回転する2つの部材の間に介設され、前記2つの部材の一方と共に回転するスラストワッシャにおいて、前記2つの部材の他方と摺接する環状の摺接面を有し、前記摺接面には、該摺接面の内周縁から外周縁まで延びる第1油溝と、該第1油溝よりも前記2つの部材の他方に対する前記スラストワッシャの主回転方向の進行方向側で前記内周縁から前記外周縁に向けて延びる第2油溝と、前記スラストワッシャの周方向に沿って延びると共に前記第1油溝と前記第2油溝とを連通させる連通油溝とを含む潤滑油路が前記スラストワッシャの周方向に間隔をおいて複数形成されており、前記第1油溝の前記主回転方向の進行方向反対側の側縁は、他の油溝と交差することなく前記内周縁から前記外周縁まで延びており、前記連通油溝は、前記第2油溝の前記進行方向反対側の側縁から前記第1油溝の前記進行方向側の側縁まで延びることを特徴とする。
このスラストワッシャは、相対回転する2つの部材の一方と共に回転するものであり、当該2つの部材の他方と摺接する環状の摺接面を有する。また、摺接面には、当該摺接面の内周縁から外周縁まで延びる第1油溝と、第1油溝よりも上記2つの部材の他方に対するスラストワッシャの主回転方向の進行方向側で内周縁から外周縁に向けて延びる第2油溝と、スラストワッシャの周方向に沿って延びると共に第1油溝と第2油溝とを連通させる連通油溝とを含む潤滑油路がスラストワッシャの周方向に間隔をおいて複数形成されている。更に、第1油溝の主回転方向の進行方向反対側の側縁は、他の油溝と交差することなく内周縁から外周縁まで延びており、連通油溝は、第2油溝の進行方向反対側の側縁から第1油溝の進行方向側の側縁まで延びる。
このように構成されるスラストワッシャが主回転方向に回転する際には、摺接面の内周縁側から潤滑油路の第2油溝に流入した潤滑油が連通油溝を介して上記主回転方向の進行方向反対側に位置する第1油溝に流れ込む。そして、連通油溝内を進行方向反対側に向けて流れる潤滑油は、第1油溝と連通油溝との合流部で当該第1油溝内を内周縁から外周縁に向けて流れる潤滑油と衝突する。これにより、主回転方向の進行方向反対側の側縁で他の油溝と交差しない第1油溝を外周縁に向けて流通する潤滑油や連通油溝からの潤滑油が、当該第1油溝から摺接面の当該第1油溝よりも進行方向反対側の領域へと乗り上げる(送り込まれる)。また、連通油溝を流通する潤滑油の一部は、スラストワッシャの回転に伴って発生する遠心力により摺接面の当該連通油溝よりも外周縁側の領域へと乗り上げる(送り込まれる)。この結果、このスラストワッシャによれば、摺接面の第1油溝よりも進行方向反対側の領域や、摺接面の連通油溝よりも外周縁側の領域に潤滑油を充分に行き渡らせることができる。従って、相対回転する2つの部材の間に介設されるスラストワッシャの摺接面の全体に潤滑油を充分に行き渡らせ、スラストワッシャおよびそれに摺接する上記他方の部材を良好に潤滑・冷却すると共に、両者の間に引き摺りが発生するのを良好に抑制することが可能となる。
また、連通油溝は、前記摺接面の前記内周縁と前記外周縁との間の中心線から前記外周縁までの間で前記スラストワッシャの周方向に沿って延びてもよい。これにより、第1油溝と連通油溝との合流部で衝突した潤滑油や、連通油溝を流通する潤滑油の一部を摺接面の外周縁側の領域へと良好に送り込むことができる。この結果、周速度が高くなるスラストワッシャおよび他方の部材の外周部を充分に潤滑・冷却することが可能となる。
更に、前記第1油溝は、前記内周縁から前記外周縁に向けて前記スラストワッシャの径方向に対して前記進行方向反対側に傾斜するように延びると共に、中途に形成された屈曲部で向きを変えて前記外周縁まで延びてもよい。このように、第1油溝の内周縁から屈曲部までをスラストワッシャの径方向に対して主回転方向の進行方向反対側に傾斜させることで、スラストワッシャが主回転方向に回転する際に、第1油溝の内周縁から屈曲部に向けて流れる潤滑油を屈曲部から外周縁側に延びる側縁から摺接面の第1油溝よりも主回転方向の進行方向反対側の領域へとより良好に送り込むことができる。
また、前記屈曲部は、前記連通油溝の延長線上に形成されてもよい。これにより、第1油溝と連通油溝との合流部で衝突した潤滑油を屈曲部から摺接面の第1油溝よりも主回転方向の進行方向反対側の領域へとより一層良好に送り込むことができる。
更に、前記第2油溝は、前記内周縁から前記外周縁側に向かうにつれて前記スラストワッシャの径方向に対して前記主回転方向の進行方向反対側に傾斜してもよい。このように、第2油溝を内周縁から外周縁側に向かうにつれてスラストワッシャの径方向に対して主回転方向の進行方向反対側に傾斜させることで、スラストワッシャが主回転方向に回転する際に、内周縁側から第2油溝に流入した潤滑油を当該第2油溝の主回転方向の進行方向反対側の側縁から延びる連通油溝へとスムースに流入させることができる。
また、前記第1および第2油溝の少なくとも何れか一方の前記内周縁側の開口部は、該内周縁に近づくにつれて前記主回転方向の進行方向反対側に拡がるように形成されてもよい。これにより、開口部から第1および/または第2油溝に潤滑油を充分に流入させることができる。また、内周縁に近づくにつれて主回転方向の進行方向反対側に拡がるように開口部を形成することで、開口部に流入した潤滑油の一部を当該開口部の主回転方向の進行方向反対側の側縁から摺接面へと良好に送り込むことが可能となる。
更に、前記第2油溝は、前記外周縁で開口していなくてもよく、前記潤滑油路は、前記第2油溝または前記連通油溝と連通すると共に前記外周縁で開口する該第2油溝よりも細幅のエア抜き溝を含んでもよい。これにより、第2油溝から連通油溝を介してより多くの潤滑油を第1油溝に送り込むことができる。そして、第2油溝よりも細幅のエア抜き溝を当該第2油溝または連通油溝と連通させることで、スラストワッシャに潤滑油が供給され始める際に、第2油溝または連通油溝内に滞留する空気をエア抜き溝から外方へと排出して第2油溝内に潤滑油を速やかに流入させることが可能となる。
また、前記第1油溝の前記外周縁側における開口部の開口幅は、前記第1油溝と前記連通油溝との合流部よりも前記内周縁側における前記第1油溝の溝幅よりも狭くてもよい。これにより、第1油溝の外周縁側の開口から潤滑油を流出させにくくして、第1油溝を内周縁側から流通する潤滑油や連通油溝から第1油溝に流入する潤滑油を当該第1油溝から摺接面の当該第1油溝よりも主回転方向の進行方向反対側の領域により一層良好に送りこむことができる。
そして、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の外延の範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。更に、上記発明を実施するための形態は、あくまで課題を解決するための手段の欄に記載された発明の具体的な一形態に過ぎず、課題を解決するための手段の欄に記載された発明の要素を限定するものではない。
本発明は、スラストワッシャやそれを含む変速装置、動力伝達装置の製造産業等において利用可能である。
20 動力伝達装置、22 トランスミッションケース、23 流体伝動装置、23c ロックアップクラッチ、23o ワンウェイクラッチ、23p ポンプインペラ、23s ステータ、23t タービンランナ、24 オイルポンプ、25 自動変速機、26 入力軸、30 第1遊星歯車機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、33a ピニオンギヤ、34 プラネタリキャリア、35 第2遊星歯車機構、36a 第1サンギヤ、36b 第2サンギヤ、37 リングギヤ、38a ショートピニオンギヤ、38b ロングピニオンギヤ、39 プラネタリキャリア、39s 切欠部、40 ギヤ機構、41 カウンタドライブギヤ、42 カウンタシャフト、43 カウンタドリブンギヤ、44 ドライブピニオンギヤ、45 デフリングギヤ、50 デファレンシャルギヤ、51 ドライブシャフト、60 スラストワッシャ、60a 摺接面、60i 内周縁、60o 外周縁、60t 突出部、70 センタサポート、71 壁部、72 ボス部、72a ネジ部、80 軸受、90 ナット、100 潤滑油路、101 外周縁、101 第1油溝、101a,101b 側縁、101c,101d 屈曲部、101i,102i 内側開口部、101o,102o 外側開口部、102 第2油溝、102a,102b 側縁、103 連通油溝、103a,103b 側縁、104 エア抜き溝、B1,B2 ブレーキ、C1,C2,C3,C4 クラッチ、F1 ワンウェイクラッチ。
Claims (8)
- 相対回転する2つの部材の間に介設され、前記2つの部材の一方と共に回転するスラストワッシャにおいて、
前記2つの部材の他方と摺接する環状の摺接面を有し、
前記摺接面には、該摺接面の内周縁から外周縁まで延びる第1油溝と、該第1油溝よりも前記2つの部材の他方に対する前記スラストワッシャの主回転方向の進行方向側で前記内周縁から前記外周縁に向けて延びる第2油溝と、前記スラストワッシャの周方向に沿って延びると共に前記第1油溝と前記第2油溝とを連通させる連通油溝とを含む潤滑油路が前記スラストワッシャの周方向に間隔をおいて複数形成されており、
前記第1油溝の前記主回転方向の進行方向反対側の側縁は、他の油溝と交差することなく前記内周縁から前記外周縁まで延びており、
前記連通油溝は、前記第2油溝の前記進行方向反対側の側縁から前記第1油溝の前記進行方向側の側縁まで延びることを特徴とするスラストワッシャ。 - 前記連通油溝は、前記摺接面の前記内周縁と前記外周縁との間の中心線から前記外周縁までの間で前記スラストワッシャの周方向に沿って延びることを特徴とする請求項1に記載のスラストワッシャ。
- 前記第1油溝は、前記内周縁から前記外周縁に向けて前記スラストワッシャの径方向に対して前記進行方向反対側に傾斜するように延びると共に、中途に形成された屈曲部で向きを変えて前記外周縁まで延びることを特徴とする請求項1または2に記載のスラストワッシャ。
- 前記屈曲部は、前記連通油溝の延長線上に形成されることを特徴とする請求項3に記載のスラストワッシャ。
- 前記第2油溝は、前記内周縁から前記外周縁側に向かうにつれて前記スラストワッシャの径方向に対して前記進行方向反対側に傾斜することを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載のスラストワッシャ。
- 前記第1および第2油溝の少なくとも何れか一方の前記内周縁側の開口部は、該内周縁に近づくにつれて前記進行方向反対側に拡がるように形成されることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載のスラストワッシャ。
- 前記第2油溝は、前記外周縁で開口しておらず、
前記潤滑油路は、前記第2油溝または前記連通油溝と連通すると共に前記外周縁で開口する該第2油溝よりも細幅のエア抜き溝を含むことを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載のスラストワッシャ。 - 前記第1油溝の前記外周縁側における開口部の開口幅は、前記第1油溝と前記連通油溝との合流部よりも前記内周縁側における前記第1油溝の溝幅よりも狭いことを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載のスラストワッシャ。
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US11396907B2 (en) | 2018-12-21 | 2022-07-26 | Tpr Co., Ltd. | Thrust washer |
-
2014
- 2014-02-13 JP JP2014025204A patent/JP2015152061A/ja active Pending
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