JP2005060895A - ステープルファイバー、その製造方法およびこれを用いた不織布 - Google Patents

ステープルファイバー、その製造方法およびこれを用いた不織布 Download PDF

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Abstract

【課題】 柔軟性に優れ、べたつきがない高収縮性のステープルファイバー、このようなステイプルファイバーを容易に得ることができるステイプルファイバーの製造方法およびこのステープルファイバーを用いた不織布を提供する。
【解決手段】 (a)密度が0.86〜0.97g/cm3 、(b)メルトフローレートが1〜200g/10分、(c)分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜4.5であり、(d)TREFによる溶出温度−溶出量曲線の積分溶出曲線から求めたT25とT75との差および密度dがT75−T25≦−670×d+644の関係を満足する(A)エチレン(共)重合体を含む樹脂材料からなるステープルファイバー、その製造方法およびその不織布。
【選択図】 図1

Description

本発明は、高収縮性を有するステープルファイバーに関し、詳しくは、柔軟性に優れ、べたつきがないステープルファイバーであって、このようなステープルファイバーを容易に得ることができるステープルファイバーの製造方法および柔軟性に優れ、風合いがよく、高収縮性で肌触りの良好な不織布に関する。
従来より、使い捨ておむつ等の衛生用品には、繊維を短く切断したステープルファイバーからなる不織布がよく用いられている。不織布に用いられるステープルファイバーには、不織布に嵩高さを付与する性能が要求される。ファイバーに嵩高性を付与する手段としては、連続捲縮繊維(BCF)に代表される機械的加工法と、繊維の収縮を利用した自己捲縮加工法などの方法が挙げられる。自己捲縮加工法から得られる嵩高性のステープルファイバーからなる不織布は、透湿性や保温性が高いものとなる。また、衛生用品等のように直接人の肌に触れる不織布には、肌触りがよいことが求められ、このような不織布を構成するステープルファイバーには、高収縮性の他に、柔軟性が必要とされている。
従来のステープルファイバーの材料としては、紡糸性、延伸性に優れ、得られるステープルファイバーが収縮性を有することからポリプロピレンや高密度ポリエチレンが用いられてきた。
しかしながら、ポリプロピレンや高密度ポリエチレンは結晶性が高いため、および収縮性を発現させるには高延伸倍率となり付随してモジュラスが高くなる。これらから得られるステープルファイバーは硬く、柔軟性が不十分であった。
これらステープルファイバーの柔軟性を改良するために、柔軟性に優れている、高圧ラジカル重合法による分岐状低密度ポリエチレンやチーグラー型触媒によって得られた線状低密度ポリエチレンを用いる試みもなされている。
しかしながら、分岐状低密度ポリエチレンやチーグラー型触媒によって得られた線状低密度ポリエチレンは、結晶性が低いため、延伸性が低く、高収縮性のステープルファイバーを得にくいという問題を有していた。また、分岐状低密度ポリエチレンやチーグラー型触媒によって得られた線状低密度ポリエチレンは、比較的分子量分布が広く、低分子量成分を多く含んでいるため、得られるステープルファイバーにべたつきがあるという問題を有していた。
これらの問題を解決するものとしては、チーグラー型触媒またはメタロセン系触媒によって得られた、分子量分布の比較的狭いエチレン−α−オレフィン共重合体からなるステープルファイバーが、特開平7−278949号公報(特許文献1)に提案されている。メタロセン系触媒によって得られた線状低密度ポリエチレンは、比較的結晶性が高く、延伸性に優れ、これからなるステープルファイバーは、収縮性に優れているとされている。
しかしながら、このエチレン−α−オレフィン共重合体から得られるステープルファイバーは、ポリプロピレンや高密度ポリエチレンから得られるステープルファイバーと比べれば柔軟性が改良されているもののいまだ不十分であり、さらなる柔軟性の向上が求められている。
特開平7−278949号公報
よって、本発明の目的は、柔軟性に優れ、べたつきがない、高収縮性のステープルファイバー、このようなステープルファイバーを容易に製造できるステープルファイバーの製造方法および該ステープルファイバーを用いた不織布を提供することにある。
本発明のステープルファイバーは、下記(a)から(d)の要件を満足する(A)エチレン(共)重合体100〜20質量%と、(B)他のオレフィン系重合体0〜80質量%とを含む樹脂材料からなり、単糸繊度が1〜30デニールであることを特徴とする。
(a)密度が0.86〜0.97g/cm3
(b)メルトフローレートが1〜200g/10分、
(c)分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜4.5、
(d)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線の積分溶出曲線から求めた全体の25%が溶出する温度T25と全体の75%が溶出する温度T75との差T75−T25および密度dが、下記(式1)の関係を満足すること
(式1) T75−T25≦−670×d+644
また、前記(A)エチレン(共)重合体は、さらに下記(e)の要件を満足することが望ましい。
(e)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線の積分溶出曲線から求めた全体の25%が溶出する温度T25と全体の75%が溶出する温度T75との差T75−T25および密度dが、下記(式2)の関係を満足すること
(式2)d<0.950g/cm3 のとき
75−T25≧−300×d+285
d≧0.950g/cm3 のとき
75−T25≧0
また、前記(A)エチレン(共)重合体は、さらに下記(f)および(g)の要件を満足する(A1)エチレン(共)重合体、または、さらに下記(h)および(i)の要件を満足する(A2)エチレン(共)重合体であることが望ましい。
(f)25℃におけるオルソジクロロベンゼン(ODCB)可溶分量X(質量%)、密度dおよびメルトフローレート(MFR)が下記(式3)および(式4)の関係を満足すること
(式3)d−0.008logMFR≧0.93の場合
X<2.0
(式4)d−0.008logMFR<0.93の場合
X<9.8×103×(0.9300−d+0.008logMFR)2+2.0
(g)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線のピークが複数個存在すること
(h)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線のピークが一つであること
(i)融点ピークを1ないし複数個有し、かつそのうち最も高い融点Tmlと密度dが、下記(式5)の関係を満足すること
(式5) Tml≧150×d−19
また、前記(A2)エチレン(共)重合体は、さらに下記(j)の要件を満足することが望ましい。
(j)メルトテンション(MT)とメルトフローレート(MFR)が、下記(式6)を満足すること
(式6) logMT≦−0.572×logMFR+0.3
また、前記(A)エチレン(共)重合体は、少なくとも共役二重結合を持つ有機環状化合物と周期律表4族の遷移金属化合物を含む触媒の存在下に製造されたものであることが望ましい。
また、前記樹脂材料中のハロゲン濃度は、10ppm以下であることが望ましい。
また、前記(B)他のオレフィン系重合体は、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンから選択される少なくとも1種であることが望ましい。
また、本発明のステープルファイバーの製造方法は、上記(a)から(d)の要件を満足する(A)エチレン(共)重合体100〜20質量%と(B)他のオレフィン系重合体0〜80質量%とを含む樹脂材料を紡糸し、所望により延伸して単糸繊度1〜30デニールとすることを特徴とする。
また、本発明の不織布は、上記ステープルファイバーからなる不織布である。
本発明のステープルファイバーは、上述の(a)から(d)の要件を満足する(A)エチレン(共)重合体を含む樹脂材料からなるものであるので、柔軟性に優れ、べたつきがなく、高収縮性を有する。
また、前記樹脂材料が、(A)エチレン(共)重合体100〜20質量%と、(B)他のオレフィン系重合体0〜80質量%とを含有しているので、柔軟性と、紡糸性および延伸性とのバランスが良好となる。
また、本発明のステープルファイバーの製造方法は、上述の(a)から(d)の要件を満足する(A)エチレン(共)重合体を含む樹脂材料を紡糸し、延伸する方法であるので、柔軟性に優れ、べたつきがない高収縮性のステープルファイバーを容易に得ることができる。
さらに本発明のステープルファイバーは、上述の(a)から(d)の要件を満足する(A)エチレン(共)重合体を含む樹脂材料からなるものであるので、他のオレフィン系重合体からなるステープルファイバーに混合することにより、他のオレフィン系重合体からなるステープルファイバーで作製された不織布の性能を改良することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
前記(A)エチレン(共)重合体は、エチレンを単独重合、もしくは、エチレンと炭素数3〜20、好ましくは炭素数3〜12のα−オレフィンとを共重合させることにより得られるものである。
炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンなどが挙げられる。また、これらα−オレフィンの含有量は、合計で通常30モル%以下、好ましくは3〜20モル%以下の範囲で選択されることが望ましい。
(A)エチレン(共)重合体の(a)密度は、0.86〜0.97g/cm3 の範囲であり、好ましくは0.91〜0.96g/cm3 の範囲である。密度が0.86g/cm3 未満では、紡糸性、延伸性が劣るものとなる。また、密度が0.97g/cm3 を超えると、柔軟性、得られるステープルファイバーの収縮性が不十分となる。
(A)エチレン(共)重合体の(b)メルトフローレート(以下、MFRと記す)は、1〜200g/10分の範囲であり、好ましくは5〜100g/10分、さらに好ましくは5〜50g/分の範囲である。MFRが1g/10分未満では、紡糸性、柔軟性等が劣るものとなる虞が生じる。また、MFRが200g/10分を超えると、延伸性および強度が劣るものとなる虞が生じる。
(A)エチレン(共)重合体の(c)分子量分布(Mw/Mn)は、1.5〜4.5の範囲であり、より好ましくは2.0〜4.0、さらに好ましくは2.5〜3.0の範囲である。Mw/Mnが1.5未満では、紡糸性等に劣るものとなる。Mw/Mnが4.5を超えると、延伸性、べたつきが生じ、また、得られるステープルファイバーの収縮性等が劣るものとなる。
ここで、エチレン(共)重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により質量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を求め、それらの比(Mw/Mn)を算出することにより求めることができる。
(A)エチレン(共)重合体は、例えば、図1に示すように、(d)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線の積分溶出曲線から求めた全体の25%が溶出する温度T25と全体の75%が溶出する温度T75との差T75−T25および密度dが、下記(式1)の関係を満足するものである。
(式1) T75−T25≦−670×d+644
75−T25と密度dが上記(式1)の関係を満足しない場合には、柔軟性、紡糸性、延伸性、べとつき等に難点あるものとなる虞が生じる。
このTREFの測定方法は下記の通りである。まず、試料を酸化防止剤(例えば、ブチルヒドロキシトルエン)を加えたODCBに試料濃度が0.05質量%となるように加え、140℃で加熱溶解する。この試料溶液5mlを、ガラスビーズを充填したカラムに注入し、0.1℃/分の冷却速度で25℃まで冷却し、試料をガラスビーズ表面に沈着する。次に、このカラムにODCBを一定流量で流しながら、カラム温度を50℃/hrの一定速度で昇温しながら、試料を順次溶出させる。この際、溶剤中に溶出する試料の濃度は、メチレンの非対称伸縮振動の波数2925cm-1に対する吸収を赤外検出機で測定することにより連続的に検出される。この値から、溶液中のエチレン(共)重合体の濃度を定量分析し、溶出温度と溶出速度の関係を求める。
TREF分析によれば、極少量の試料で、温度変化に対する溶出速度の変化を連続的に分析出来るため、分別法では検出できない比較的細かいピークの検出が可能である。
また、(A)エチレン(共)重合体は、さらに、(e)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線の積分溶出曲線から求めた全体の25%が溶出する温度T25と全体の75%が溶出する温度T75との差T75−T25および密度dが、下記(式2)の関係を満足することが好ましい。
(式2)d<0.950g/cm3 のとき
75−T25≧−300×d+285
d≧0.950g/cm3 のとき
75−T25≧0
75−T25と密度dが上記(式2)の関係を満足する場合には、柔軟性、耐熱性等のバランスのとれた繊維・不織布となる。
(A)エチレン(共)重合体は、さらに後述の(f)および(g)の要件を満足する(A1)エチレン(共)重合体、または、さらに後述の(h)および(i)の要件を満足する(A2)エチレン(共)重合体のいずれかであることが好ましい。
(A1)エチレン(共)重合体の(f)25℃におけるODCB可溶分の量X(質量%)と密度dおよびMFRは、下記(式3)および(式4)の関係を満足しており、
(式3)d−0.008logMFR≧0.93の場合、
X<2.0
(式4)d−0.008logMFR<0.93の場合、
X<9.8×103×(0.9300−d+0.008logMFR)2+2.0
好ましくは、
d−0.008logMFR≧0.93の場合、
X<1.0
d−0.008logMFR<0.93の場合、
X<7.4×103×(0.9300−d+0.008logMFR)2+2.0
の関係を満足しており、さらに好ましくは、
d−0.008logMFR≧0.93の場合、
X<0.5
d−0.008logMFR<0.93の場合、
X<5.6×103×(0.9300−d+0.008logMFR)2+2.0
の関係を満足している。
ここで、上記25℃におけるODCB可溶分の量Xは、下記の方法により測定される。試料0.5gを20mlのODCBにて135℃で2時間加熱し、試料を完全に溶解した後、25℃まで冷却する。この溶液を25℃で一晩放置後、テフロン(登録商標)製フィルターでろ過してろ液を採取する。試料溶液であるこのろ液を赤外分光器によりメチレンの非対称伸縮振動の波数2925cm-1付近の吸収ピーク強度を測定し、予め作成した検量線により試料濃度を算出する。この値より、25℃におけるODCB可溶分量が求まる。
25℃におけるODCB可溶分は、エチレン共重合体に含まれる高分岐度成分および低分子量成分であり、耐熱性の低下やステープルファイバーのべたつきの原因となり、衛生性の問題やブロッキングの原因となるため、この含有量は少ないことが望ましい。ODCB可溶分の量は、共重合体全体のα−オレフィンの含有量および分子量、即ち、密度とMFRに影響される。従ってこれらの指標である密度およびMFRとODCB可溶分の量が上記の関係を満たすことは、共重合体全体に含まれるα−オレフィンの偏在が少ないことを示す。
また、(A1)エチレン(共)重合体は、(g)連続昇温溶出分別法(TREF)により求めた溶出温度−溶出量曲線において、ピークが複数個存在するものである。この複数のピーク温度の高温度側のピークは85℃から100℃の間に存在することが特に好ましい。このピークが存在するエチレン共重合体は、融点が高くなり、また結晶化度が上昇するので、耐熱性および剛性が向上し、また、延伸性に優れる。
ここで、(A1)エチレン(共)重合体は、図2に示されるように、連続昇温溶出分別法(TREF)により求めた溶出温度−溶出量曲線において実質的にピークが複数個の特殊なエチレン−α−オレフィン共重合体である。一方、図3のエチレン共重合体は、連続昇温溶出分別法(TREF)により求めた溶出温度−溶出量曲線において実質的にピークを1個有するエチレン−α−オレフィン共重合体であり、従来の典型的なメタロセン系触媒によるエチレン共重合体がこれに該当する。
本発明における(A2)エチレン(共)重合体は、図4に示すように、(h)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線のピークが一つである。
TREFによる溶出温度−溶出量曲線のピークが一つである(A2)エチレン(共)重合体は、柔軟性、耐熱性のバランスのよいものが得られる。
また、本発明における(A2)エチレン(共)重合体は、(i)融点ピークを1ないし複数個有し、かつそのうち最も高い融点Tmlと密度dが、下記(式5)の関係を満足するものである。
(式5) Tml≧150×d−19
融点Tm1と密度dが上記(式5)の関係を満足することにより、耐熱性の優れたものとなる。
また、(A2)エチレン(共)重合体の中でも、さらに下記(j)の要件を満足するエチレン(共)重合体が好適である。
(j)メルトテンション(MT)とメルトフローレート(MFR)が、下記(式6)の関係を満足すること
(式6) logMT≦−0.572×logMFR+0.3
MTとMFRが上記(式6)の関係を満足することにより、紡糸性等の成形性が良好なものとなる。
ここで、(A2)エチレン(共)重合体は、図4に示されるように、TREFピークが1つであるものの、従来の典型的なメタロセン系触媒によるエチレン共重合体は上記(式2)を満足せず、従来の典型的なメタロセン系触媒によるエチレン共重合体とは区別されるものである。
本発明における(A)エチレン(共)重合体は、前記特定のパラメーターを満足すれば触媒、製造方法等に特に限定されるものではないが、少なくとも共役二重結合を持つ有機環状化合物と周期律表4族の遷移金属化合物を含む触媒の存在下に、エチレンを単独重合、もしくは、エチレンとα−オレフィンとを共重合させて得られる直鎖状のエチレン(共)重合体であることが好ましい。このような直鎖状のエチレン(共)重合体は、チーグラー型触媒による線状低密度ポリエチレンに比べ、分子量分布および組成分布が狭いため、機械的特性、紡糸性、延伸性に優れ、べたつきが少なく、しかも耐熱性の良い重合体である。また、このような直鎖状のエチレン(共)重合体は、従来のメタロセン系触媒によるエチレン共重合体に比べ、分子量分布および組成分布が広く、耐熱性、柔軟性に優れている。
また、(A)エチレン(共)重合体は、特に以下のa1〜a4の化合物を混合して得られる触媒で製造することが望ましい。
a1:一般式Me11 p2 q(OR3r1 4-p-q-r で表される化合物(式中Me1 はジルコニウム、チタン、ハフニウムを示し、R1 およびR3 はそれぞれ炭素数1〜24の炭化水素基、R2 は、2,4−ペンタンジオナト配位子またはその誘導体、ベンゾイルメタナト配位子、ベンゾイルアセトナト配位子またはその誘導体、X1 はハロゲン原子を示し、p、qおよびrはそれぞれ0≦p≦4、0≦q≦4、0≦r≦4、0≦p+q+r≦4の範囲を満たす整数である)
a2:一般式Me24 m(OR5n2 z-m-n で表される化合物(式中Me2 は周期律表1、2、12、13族元素、R4 およびR5 はそれぞれ炭素数1〜24の炭化水素基、X2 はハロゲン原子または水素原子(ただし、X2 が水素原子の場合はMe2 は周期律表13族元素の場合に限る)を示し、zはMe2 の価数を示し、mおよびnはそれぞれ0≦m≦z、0≦n≦zの範囲を満たす整数であり、かつ、0≦m+n≦zである)
a3:共役二重結合を持つ有機環状化合物
a4:Al−O−Al結合を含む変性有機アルミニウムオキシ化合物および/またはホウ素化合物
以下、さらに詳説する。
上記触媒成分a1の一般式Me11 p2 q(OR3r1 4-p-q-r で表される化合物の式中、Me1 はジルコニウム、チタン、ハフニウムを示し、これらの遷移金属の種類は限定されるものではなく、複数を用いることもできるが、ジルコニウムが含まれることが特に好ましい。R1 およびR3 はそれぞれ炭素数1〜24の炭化水素基で、好ましくは炭素数1〜12、さらに好ましくは1〜8である。具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、インデニル基、ナフチル基などのアリール基;ベンジル基、トリチル基、フェネチル基、スチリル基、ベンズヒドリル基、フェニルブチル基、ネオフイル基などのアラルキル基などが挙げられる。これらは分岐があってもよい。R2 は、2,4−ペンタンジオナト配位子またはその誘導体、ベンゾイルメタナト配位子、ベンゾイルアセトナト配位子またはその誘導体を示す。X1 はフッ素、ヨウ素、塩素および臭素などのハロゲン原子を示す。p、qおよびrはそれぞれ、0≦p≦4、0≦q≦4、0≦r≦4、0≦p+q+r≦4の範囲を満たすを整数である。
上記触媒成分a1の一般式で示される化合物の例としては、テトラメチルジルコニウム、テトラエチルジルコニウム、テトラベンジルジルコニウム、テトラプロポキシジルコニウム、トリプロポキシモノクロロジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム、テトラブトキシチタン、テトラブトキシハフニウムなどが挙げられ、特にテトラプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウムなどのZr(OR)4 化合物が好ましく、これらを2種以上混合して用いても差し支えない。また、前記2,4−ペンタンジオナト配位子またはその誘導体、ベンゾイルメタナト配位子、ベンゾイルアセトナト配位子またはその誘導体の具体例としては、テトラ(2,4−ペンタンジオナト)ジルコニウム、トリ(2,4−ペンタンジオナト)クロライドジルコニウム、ジ(2,4−ペンタンジオナト)ジクロライドジルコニウム、(2,4−ペンタンジオナト)トリクロライドジルコニウム、ジ(2,4−ペンタンジオナト)ジエトキサイドジルコニウム、ジ(2,4−ペンタンジオナト)ジ−n−プロポキサイドジルコニウム、ジ(2,4−ペンタンジオナト)ジ−n−ブトキサイドジルコニウム、ジ(2,4−ペンタンジオナト)ジベンジルジルコニウム、ジ(2,4−ペンタンジオナト)ジネオフイルジルコニウム、テトラ(ジベンゾイルメタナト)ジルコニウム、ジ(ジベンゾイルメタナト)ジエトキサイドジルコニウム、ジ(ジベンゾイルメタナト)ジ−n−プロポキサイドジルコニウム、ジ(ジベンゾイルメタナト)ジ−n−ブトキサイドジルコニウム、ジ(ベンゾイルアセトナト)ジエトキサイドジルコニウム、ジ(ベンゾイルアセトナト)ジ−n−プロポキサイドジルコニウム、ジ(ベンゾイルアセトナト)ジ−n−ブトキサイドジルコニウム等があげられる。
上記触媒成分a2の一般式Me24 m(OR5n2 z-m-n で表される化合物の式中Me2 は周期律表1、2、12、13族元素を示し、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ホウ素、アルミニウムなどである。R4 およびR5 はそれぞれ炭素数1〜24の炭化水素基、好ましくは炭素数1〜12、さらに 好ましくは1〜8であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、インデニル基、ナフチル基などのアリール基;ベンジル基、トリチル基、フェネチル基、スチリル基、ベンズヒドリル基、フェニルブチル基、ネオフイル基などのアラルキル基などが挙げられる。これらは分岐があってもよい。X2 はフッ素、ヨウ素、塩素および臭素などのハロゲン原子または水素原子を示すものである。ただし、X2 が水素原子の場合はMe2 はホウ素、アルミニウムなどに例示される周期律表13族元素の場合に限るものである。また、zはMe2 の価数を示し、mおよびnはそれぞれ、0≦m≦z、0≦n≦zの範囲を満たす整数であり、かつ、0≦m+n≦zである。
上記触媒成分a2の一般式で示される化合物の例としては、メチルリチウム、エチルリチウム、ブチルリチウムなどの有機リチウム化合物;ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、メチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムクロライド、ブチルエチルマグネシウムなどの有機マグネシウム化合物;ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛などの有機亜鉛化合物;トリメチルボロン、トリエチルボロンなどの有機ボロン化合物;トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリデシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウムエトキサイド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどの有機アルミニウム化合物等の誘導体が挙げられる。
上記触媒成分a3の共役二重結合を持つ有機環状化合物は、環状で共役二重結合を2個以上、好ましくは2〜4個、さらに好ましくは2〜3個有する環を1個または2個以上もち、全炭素数が4〜24、好ましくは4〜20である環状炭化水素化合物;前記環状炭化水素化合物が部分的に1〜6個の炭化水素残基(典型的には、炭素数1〜12のアルキル基またはアラルキル基)で置換された環状炭化水素化合物;共役二重結合を2個以上、好ましくは2〜4個、さらに好ましくは2〜3個有する環を1個または2個以上もち、全炭素数が4〜24、好ましくは4〜20である環状炭化水素基を有する有機ケイ素化合物;前記環状炭化水素基が部分的に1〜6個の炭化水素残基またはアルカリ金属塩(ナトリウムまたはリチウム塩)で置換された有機ケイ素化合物が含まれる。特に好ましくは分子中のいずれかにシクロペンタジエン構造をもつものが望ましい。
上記の好適な化合物としては、シクロペンタジエン、インデン、アズレンまたはこれらのアルキル、アリール、アラルキル、アルコキシまたはアリールオキシ誘導体などが挙げられる。また、これらの化合物がアルキレン基(その炭素数は通常2〜8、好ましくは2〜3)を介して結合(架橋)した化合物も好適に用いられる。
環状炭化水素基を有する有機ケイ素化合物は、下記一般式で表示することができる。
LSiR4-L
ここで、Aはシクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換インデニル基で例示される前記環状水素基を示し、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基;フェニル基などのアリール基;フェノキシ基などのアリールオキシ基;ベンジル基などのアラルキル基で示され、炭素数1〜24、好ましくは1〜12の炭化水素残基または水素を示し、Lは1≦L≦4、好ましくは1≦L≦3である。
上記成分a3の有機環状炭化水素化合物の具体例として、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、エチルシクロペンタジエン、プロピルシクロペンタジエン、ブチルシクロペンタジエン、1,3−ジメチルシクロペンタジエン、1−メチル−3−エチルシクロペンタジエン、1−メチル−3−プロピルシクロペンタジエン、1−メチル−3−ブチルシクロペンタジエン、1,2,4−トリメチルシクロペンタジエン、ペンタメチルシクロペンタジエン、インデン、4−メチル−1−インデン、4,7−ジメチルインデン、シクロヘプタトリエン、メチルシクロヘプタトリエン、シクロオクタテトラエン、アズレン、フルオレン、メチルフルオレン、1H−シクロペンタ[l]フェナントレンのような炭素数5〜24のシクロポリエンまたは置換シクロポリエン、モノシクロペンタジエニルシラン、ビスシクロペンタジエニルシラン、トリスシクロペンタジエニルシラン、モノインデニルシラン、ビスインデニルシラン、トリスインデニルシランなどが挙げられる。
これらの配位子となる化合物は単独でもよいが、複数を組み合わせて用いてもよい。また、これらを配位子として有する錯体または触媒を複数組み合わせてもよい。
触媒成分a4のAl−O−Al結合を含む変性有機アルミニウムオキシ化合物とは、アルキルアルミニウム化合物と水とを反応させることにより、通常アルミノキサンと称される変性有機アルミニウムオキシ化合物が得られ、分子中に通常1〜100個、好ましくは1〜50個のAl−O−Al結合を含有する。また、変性有機アルミニウムオキシ化合物は線状でも環状でもいずれでもよい。
有機アルミニウムと水との反応は通常不活性炭化水素中で行われる。該不活性炭化水素としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素が好ましい。
水と有機アルミニウム化合物との反応比(水/Alモル比)は通常0.25/1〜1.2/1、好ましくは0.5/1〜1/1であることが望ましい。
ホウ素化合物としてはボレート又はボランが用いられる。ボレートの具体例としては、トリブチルアンモニウムテトラキス(o−フルオロフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラキス(p−フルオロフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラキス(m−フルオロフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラキス(3,5−ジフルオロフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラキス(o−フルオロフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラキス(p−フルオロフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラキス(m−フルオロフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5−ジフルオロフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラキス(o−フルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラキス(p−フルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラキス(m−フルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラキス(o−フルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラキス(p−フルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラキス(m−フルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラキス(3,5−ジフルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが挙げられる。好ましくは、トリブチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが挙げられる。
また、ボラン化合物の具体例としては、トリス(o−フルオロフェニル)ボラン、トリス(p−フルオロフェニル)ボラン、トリス(m−フルオロフェニル)ボラン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランが挙げられ、好ましくはトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランが挙げられる。
上記触媒はa1〜a4を混合接触させて使用しても良いが、好ましくは無機担体および/または粒子状ポリマー担体(a5)に担持させて使用することが望ましい。
該無機物担体および/または粒子状ポリマー担体(a5)とは、炭素質物、金属、金属酸化物、金属塩化物、金属炭酸塩またはこれらの混合物あるいは熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。該無機物担体として好ましいものは金属酸化物(単独酸化物または複酸化物)である。
具体的には、SiO2、Al23、MgO、ZrO2、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、ThO2等またはこれらの混合物が挙げられ、SiO2−Al23、SiO2−V25、SiO2−TiO2、SiO2−V25、SiO2−MgO、SiO2−Cr23等が挙げられる。これらの中でもSiO2およびAl23からなる群から選択された少なくとも1種の成分を主成分とするものが好ましい。
また、有機化合物としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれも使用でき、具体的には、粒子状のポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリノルボルネン、各種天然高分子およびこれらの混合物等が挙げられる。
上記無機物担体および/または粒子状ポリマー担体は、このまま使用することもできるが、好ましくは予備処理としてこれらの担体を有機アルミニウム化合物やAl−O−Al結合を含む変性有機アルミニウム化合物などに接触処理させた後に成分a5として用いることもできる。
(A)エチレン(共)重合体の製造方法は、前記触媒の存在下、実質的に溶媒の存在しない気相重合法、スラリー重合法、溶液重合法等で製造され、実質的に酸素、水等を断った状態で、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素等に例示される不活性炭化水素溶媒の存在下または不存在下で製造される。重合条件は特に限定されないが、重合温度は通常15〜350℃、好ましくは20〜200℃、さらに好ましくは50〜110℃であり、重合圧力は低中圧法の場合通常常圧〜70kg/cm2 G、好ましくは常圧〜20kg/cm2 Gであり、高圧法の場合通常1500kg/cm2 G以下が望ましい。重合時間は低中圧法の場合通常3分〜10時間、好ましくは5分〜5時間程度が望ましい。高圧法の場合、通常1分〜30分、好ましくは2分〜20分程度が望ましい。また、重合は一段重合法はもちろん、水素濃度、モノマー濃度、重合圧力、重合温度、触媒等の重合条件が互いに異なる2段階以上の多段重合法など特に限定されるものではない。特に好ましい製造方法としては、特開平5−132518号公報に記載の方法が挙げられる。
(A)エチレン(共)重合体は、上述の触媒成分の中に塩素等のハロゲンのない触媒を使用することにより、ハロゲン濃度としては多くとも10ppm以下、好ましくは5ppm以下、さらに好ましくは実質的に含まない2ppm以下(ND:Non−Detect)のものとすることが可能である。
このような塩素等のハロゲンフリーのエチレン(共)重合体を用いることにより、従来のような酸中和剤(ハロゲン吸収剤)を使用する必要がなくなり、化学的安定性、衛生性に優れる、クリーンなステープルファイバーを提供することができる。
本発明における(B)他のオレフィン系重合体としては、上述の(A)エチレン(共)重合体とは異なるエチレン(共)重合体、ラジカル重合法によって得られたエチレン(共)重合体、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ4―メチル−ペンテン−1、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(EPR、EPDM等)等が挙げられる。
(A)エチレン(共)重合体とは異なるエチレン(共)重合体は、上述の(A)エチレン(共)重合体で規定される特定のパラメーターを満たさないものである。このようなエチレン(共)重合体としては、従来公知のチーグラー系触媒あるいはフィリップス触媒、あるいはメタロセン系触媒(以下、これらを含めてチーグラー型触媒等と記す)を用いて重合されるエチレン(共)重合体が挙げられる。このようなエチレン(共)重合体としては、(A)エチレン(共)重合体より一般的には分子量分布あるいは組成分布が広く、密度が0.88〜0.97g/cm3 、MFRが1〜50g/10分の範囲のものが好ましく、いわゆる超低密度ポリエチレン(VLDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)が包含される。
チーグラー型触媒等によるエチレン(共)重合体とは、密度0.94〜0.97g/cm3の高密度ポリエチレン(HDPE)および中密度ポリエチレン(MDPE)、密度0.91〜0.94g/cm3の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)であり、これらのMFRは1〜100g/10分、好ましくは1〜50g/10分、さらに好ましくは5〜30g/10分の範囲のものである。
チーグラー型触媒等による超低密度ポリエチレン(VLDPE)とは、密度が0.88〜0.91g/cm3 未満、好ましくは0.88〜0.905g/cm3 、MFRは1〜100g/10分、好ましくは5〜50g/10分の範囲のものである。該超低密度ポリエチレン(VLDPE)は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)とエチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(EPR、EPDM)との中間の性状を示すものである。また、超低密度ポリエチレン(VLDPE)は、示差走査熱量測定法(DSC)による最大ピーク温度(Tm)が60℃以上、好ましくは100℃以上、かつ沸騰n−ヘキサン不溶分10質量%以上の性状を有する特定のエチレン−α−オレフィン共重合体であり、少なくともチタンおよび/またはバナジウムを含有する固体触媒成分と有機アルミニウム化合物とからなる触媒、メタロセン系触媒等を用いて重合され、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)が示す高結晶部分とエチレン−α−オレフィン共重合体ゴムが示す非晶部分とを合わせ持つ樹脂である。このような超低密度ポリエチレン(VLDPE)は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)の特徴である機械的強度、耐熱性等と、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムの特徴であるゴム状弾性、耐低温衝撃性などがバランスよく共存しているものである。
チーグラー型触媒等によるエチレン−α−オレフィン共重合体のα−オレフィンとしては、炭素数が3〜12、好ましくは3〜10のものであり、具体的には、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンなどが挙げられる。また、これらのα−オレフィンの含有量は、合計で通常3〜40モル%の範囲で選択されることが好ましい。
上記ラジカル重合法によって得られたエチレン(共)重合体としては、高圧ラジカル重合法による低密度ポリエチレン(LDPE)、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレンとα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体などが挙げられる。
低密度ポリエチレン(LDPE)のMFRは、1〜100g/10分、さらに好ましくは5〜70g/10分の範囲である。この範囲であれば、メルトテンションが適切な範囲となり、紡糸性が向上する。また、密度は0.91〜0.94g/cm3 、さらに好ましくは0.912〜0.935g/cm3 の範囲である。この範囲であれば、メルトテンションが適切な範囲となり、紡糸性が向上する。メルトテンションは、1.5〜25g、好ましくは3〜20g、さらに好ましくは3〜15gである。また、分子量分布Mw/Mnは、3.0〜12、好ましくは4.0〜8.0である。メルトテンションは樹脂の弾性項目であり、上記の範囲であれば紡糸性が良好となる。
エチレン−ビニルエステル共重合体とは、高圧ラジカル重合法で製造されるエチレンを主成分とする、エチレンとプロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオル酢酸ビニルなどのビニルエステル単量体との共重合体である。中でも、特に好ましいものとしては、酢酸ビニルを挙げることができる。また、エチレン50〜99.5質量%、ビニルエステル0.5〜50質量%、他の共重合可能な不飽和単量体0〜49.5質量%からなる共重合体が好ましい。特に、ビニルエステルの含有量は3〜30質量%、好ましくは5〜25質量%の範囲である。エチレン−ビニルエステル共重合体のMFRは、1〜80g/10分、さらに好ましくは3〜50g/10分の範囲である。
エチレンとα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体としては、エチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸またはそのアルキルエステル共重合体等が挙げられ、これらのコモノマーとしては、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等を挙げることができる。この中でも特に好ましいものとして、無水マレイン酸や、(メタ)アクリル酸のメチル、エチル等のアルキルエステルを挙げることができる。特に、(メタ)アクリル酸エステルの含有量は3〜30質量%、好ましくは5〜25質量%の範囲である。エチレンとα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体のMFRは1〜100g/10分、さらに好ましくは3〜50g/10分である。
ポリプロピレン系樹脂としては、ホモポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体等が挙げられる。ポリプロピレン系樹脂の密度は、0.88〜0.91g/cm3 、MFRは、2〜100g/10分、好ましくは5〜50g/10分の範囲である。この範囲であれば、メルトテンションが適切な範囲となり、紡糸性が向上する。
エチレン・α−オレフィン共重合体ゴムとしては、エチレンプロピレンゴム(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)、エチレン・ブテン−1共重合ゴム等が挙げられる。
本発明において用いられる(B)他のオレフィン系重合体の種類は、ステープルファイバーに要求される特性によって異なる。これら(B)他のオレフィン系重合体の中でも、(A)エチレン(共)重合体を含む樹脂材料に優れた紡糸性、延伸性を付与する場合においてはポリプロピレン系樹脂を選択し、柔軟性を付与する場合には直鎖状低密度ポリエチレンが好適に用いられる。
本発明における(A)エチレン(共)重合体を含む樹脂材料は、(A)エチレン(共)重合体100〜20質量%と、(B)他のオレフィン系重合体0〜80質量%を含有するものである。より好ましくは、(A)エチレン(共)重合体100〜60質量%と、(B)他のオレフィン系重合体0〜40質量%、好ましくは、(A)エチレン(共)重合体100〜80質量%と、(B)他のオレフィン系重合体0〜20質量%の範囲である。
(A)エチレン(共)重合体が20質量%未満、(B)他のオレフィン系重合体が80質量%を超えると、本発明の特徴である柔軟性、肌合い、風合い等が損なわれるおそれがある。
(A)エチレン(共)重合体を含む樹脂材料には、樹脂材料の特徴を損なわない範囲で各種の添加剤、配合剤、充填剤を使用することが可能である。これらを具体的に示せば、酸化防止剤(耐熱安定剤)、紫外線吸収剤(光安定剤)、帯電防止剤、粘着付与剤、防曇剤、難燃剤、滑剤(スリップ剤、アンチブロッキング剤)、着色剤(染料、顔料)、香料等が挙げられる。
(A)エチレン(共)重合体を含む樹脂材料の調製には、通常知られている種々の樹脂の混合方法を用いることができる。その具体的方法を例示すれば、各成分を溶融状態で混合する方法、すなわち一般に用いられている加圧ニーダー、ロール、バンバリーミキサー、スタティックミキサー、スクリュー式押出機等を用いる方法を挙げることができる。
[製造方法]
本発明のステープルファイバーは、(A)エチレン(共)重合体を含む樹脂材料を紡糸し、ついで延伸することによって得られるものである。
紡糸方法としては、溶融紡糸法、エマルジョン紡糸法など、公知の方法を用いることができる。また、延伸方法としては、乾式延伸、湿式延伸、冷延伸など、公知の方法を用いることができる。
溶融紡糸法の場合、溶融樹脂温度は、通常200〜300℃である。延伸倍率は通常2〜15倍、好ましくは2〜8倍である。必要に応じて、アニール処理を施すことができる。
本発明のステープルファイバーの単糸繊度は、通常は、1〜30デニール、好ましくは1〜20デニール、より好ましくは1〜10デニールである。
このようなステープルファイバーにあっては、その材料として、上述の(a)から(d)の要件を満足する(A)エチレン(共)重合体を含む樹脂材料を用いているので、柔軟性に優れ、べたつきがなく、高収縮性を有する。
また、ステープルファイバーの製造方法にあっては、その材料として、紡糸性、延伸性に優れた(A)エチレン(共)重合体を含む樹脂材料を用いているので、柔軟性に優れ、べたつきがない、高収縮性のステープルファイバーを容易に得ることができる。
本発明の不織布は、上記のようなステープルファイバーからなる不織布、または他の繊維に少なくとも50容積%以上の本発明のステープルファイバーを配合してなる不織布を包含するものであって、高収縮性のステープルファイバーを用いるので柔軟性、風合い、肌触りに優れ、例えば、使い捨ておむつ用の不織布、衛生・医療用品、衣料品など、直接人の肌に触れるものに利用できる。また、不織布の製造方法は特に限定されない。
以下、実施例を示して本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
本実施例における試験方法は以下の通りである。
[密度]
JIS K6922−2に準拠した。
[MFR]
JIS K6922−2に準拠した。
[Mw/Mn]
GPC(ウォータース社製150C型)を用い、溶媒として135℃のODCBを使用した。カラムはショウデックス HT806Mを使用した。
[TREF]
カラムを135℃に保った状態で、カラムに試料を注入して0.1℃/分で25℃まで降温し、ポリマーをガラスビーズ上に沈着させた後、カラムを下記条件にて昇温して各温度で溶出したポリマー濃度を赤外検出器で検出した。(溶媒:ODCB、流速:1ml/分、昇温速度:50℃/hr、検出器:赤外分光器(波長2925cm-1)、カラム:0.8cmφ×12cmL(ガラスビーズを充填)、試料濃度:0.05質量%)
[DSCによるTmlの測定]
厚さ0.2mmのシートを熱プレスで成形し、シートから約5mgの試料を打ち抜いた。この試料を230℃で10分保持後、2℃/分にて0℃まで冷却した。その後、再び10℃/分で170℃まで昇温し、現れた最高温ピークの頂点の温度を最高ピーク温度Tmlとした。
[ODCB可溶分量]
試料0.5gを20mlのODCBに加え、135℃で2時間加熱し、試料を完全に溶解した後、25℃まで冷却した。この溶液を25℃で一晩放置後、テフロン(登録商標)製フィルターでろ過してろ液を採取した。赤外分光器により、試料溶液であるろ液におけるメチレンの非対称伸縮振動の波数2925cm-1付近の吸収ピーク強度を測定し、あらかじめ作成した検量線により、ろ液中の試料濃度を算出した。この値より、25℃におけるODCB可溶分量を求めた。
[メルトテンション(MT)]
溶融させたポリマーを一定速度で延伸したときの応力をストレインゲージにて測定することにより決定した。測定試料は造粒してペレットにしたものを用い、東洋精機製作所製MT測定装置を使用して測定した。使用するオリフィスは穴径2.09mmφ、長さ8mmであり、測定条件は樹脂温度190℃、シリンダー下降速度20mm/分、巻取り速度15m/分である。
[ハロゲン濃度]
蛍光X線法により測定し、10ppm以上の塩素が検出された場合はこれをもって分析値とした。10ppmを下回った場合は、ダイアインスツルメンツ(株)製TOX−100型塩素・硫黄分析装置にて測定し、2ppm以下については、実質的に含まないものとし、ND(non−detect)とした。
[評価方法−1]フィラメントの評価項目と評価法
(ドラフト比:到達d)
紡糸切れ発生時の引取速度(m/min)に対するノズル口金部の樹脂吐出速度(m/min)の比あり、紡糸切れ発生引取速度(m/min)における1ホール当たりの繊度(g/9000m)で表した。
(モジュラス)
上記引張条件下で2%伸度時の強度(g/d)を求め、伸度100%時の強度(g/d)に換算した初期引張抵抗度の値。
(収縮率)
暴露条件80℃×10minにおける初期試料長さに対する収縮長さの比率(%)。
[評価方法−2]不織布の評価項目と評価法
(A不織布)
フィラメントを50mm長にカットしたステープルファイバーを、155mm×215mmの網状の型内に入れ質量2gを積層(60g/m2 )し、風速5.6m/sec、加熱温度130℃、加熱時間5secの条件のもと、エアースルー式で熱融着して不織布を作製した。この不織布の融着強度、風合い等の評価結果を表2に示した。
(融着強度:g/10mm巾)
上記不織布を試料巾10mmの短冊状テープを作成し、テンシロン試験機を用いて、つかみ間隔50m/m、引張速度50mm/min.で測定した。
(風合い等)
上記不織布を触感で評価した。
◎:さらっとした肌ざわり感に富み、かつソフトでボリュームがある。
○:肌ざわり感に富む。
△:ややベタツキ感がある。
×:糸抜け、またはベタツキ、あるいはゴワゴワ感があり硬い。
実施例に用いた各種成分は以下の通りである。
(A)エチレン(共)重合体は次の方法で重合した。
[(A1)エチレン(共)重合体]
(固体触媒の調製)
電磁誘導攪拌機を備えた触媒調製装置に、窒素下で精製したトルエン1000ml、テトラエトキシジルコニウム(Zr(OEt)4 )22gおよびインデン75gおよびメチルブチルシクロペンタジエン88gを加え、90℃に保持しながらトリプロピルアルミニウム100gを100分かけて滴下し、その後、同温度で2時間反応させた。40℃に冷却した後、メチルアルモキサンのトルエン溶液(濃度2.5mmol/ml)を3200ml添加し2時間撹拌した。次にあらかじめ450℃で5時間焼成処理したシリカ(グレース社製、#952、表面積300m2 /g)2000gを加え、室温で1時間攪拌の後、40℃で窒素ブローおよび減圧乾燥を行い、流動性のよい固体触媒を得た。
(気相重合)
連続式の流動床気相重合装置を用い、重合温度65℃、全圧20kgf/cm2 Gでエチレンと1−ヘキセンの共重合を行った。前記固体触媒を連続的に供給し、エチレン、1−ヘキセンおよび水素を所定のモル比に保つように供給して重合を行い、エチレン共重合体(A11)、(A12)、(A13)および(A14)を得た。その物性を表1に示した。
Figure 2005060895
比較用のオレフィン系樹脂としては、以下のものを用いた。
[市販のチーグラー系触媒による線状低密度ポリエチレン(LLDPE)と高密度ポリエチレン(HDPE)、ホモポリプロピレン(PP)]
1)高密度ポリエチレン(略号HD−1)
密度:0.958g/cm3 、MFR:20g/10分、商品名:KL882H、日本ポリオレフイン(株)製。
2)線状低密度ポリエチレン(略号LL−1)
密度:0.925g/cm3 、MFR:20g/10分、商品名:AM83NA、日本ポリオレフイン(株)製。
3)ホモポリプロピレン(略号PP)
MFR:18g/10分(230℃、2.16kg)、密度:0.90g/cm3 、商品名:PL802C、サンアロマー株式会社製。
(B)他のオレフィン系重合体としては、以下のものを用いた。
(B1)ホモポリプロピレン(略号PP)
MFR:18g/10分(230℃、2.16kg)、密度:0.90g/cm3 、商品名:PL802C、サンアロマー株式会社製。
[実施例1]
エチレン共重合体(A11)95質量部および(B1)ホモポリプロピレン5質量部を、二軸押出機を用いて200℃の樹脂温度で溶融混練し、樹脂材料を得た。得られた樹脂材料を、特開平5−186908号公報に記載される装置に準拠しておこなった。すなわち溶融紡糸成形機を用い下記の条件で紡糸し、さらに下記の条件で延伸して、繊度180デニール/68フィラメントの連続繊維(マルチフィラメント)を得た。このフィラメントおよびこれから得られるステープルファイバーについて評価をした結果を表2に示す。
[紡糸・延伸条件]
溶融紡糸成形機:40mmφ(L/D=24)、
ノズル径:1.0mmφ、
スピンブロック温度:260℃、
冷却風温度:20℃、
引き取り速度:100m/分、
延伸温度:100〜105℃、
延伸倍率:2〜5倍。
[実施例2〜5、比較例1〜3]
実施例1と同様にしてマルチフィラメント、ステープルファイバーおよび不織布を得た。これらについて評価した。結果を表2に示す。
Figure 2005060895
[実験例1〜3]
また、実施例4にて得たステープルファイバーをバインダー材として、比較例1〜3で得られたステープルファイバーに50容積%混合し、上記と同条件にて不織布を得て、これをB不織布とした。このB不織布の融着強度、風合い等の評価結果を表3に示した。
Figure 2005060895
以上説明したように、本発明のステープルファイバーは、柔軟性に優れ、べたつきがなく、高収縮性を有するので、使い捨ておむつ等の衛生用品に用いられる不織布に好適である。
本発明に係る(A)エチレン(共)重合体の溶出温度−溶出量曲線を示すグラフである。 本発明に係る(A1)エチレン(共)重合体の溶出温度−溶出量曲線を示すグラフである。 メタロセン系触媒によるエチレン共重合体の溶出温度−溶出量曲線を示すグラフである。 本発明に係る(A2)エチレン(共)重合体の溶出温度−溶出量曲線を示すグラフである。

Claims (10)

  1. 下記(a)から(d)の要件を満足する(A)エチレン(共)重合体100〜20質量%と、(B)他のオレフィン系重合体0〜80質量%とを含む樹脂材料からなり、単糸繊度が1〜30デニールであることを特徴とするステープルファイバー。
    (a)密度が0.86〜0.97g/cm3
    (b)メルトフローレートが1〜200g/10分、
    (c)分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜4.5、
    (d)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線の積分溶出曲線から求めた全体の25%が溶出する温度T25と全体の75%が溶出する温度T75との差T75−T25および密度dが、下記(式1)の関係を満足すること
    (式1) T75−T25≦−670×d+644
  2. 前記(A)エチレン(共)重合体が、さらに下記(e)の要件を満足することを特徴とする請求項1記載のステープルファイバー。
    (e)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線の積分溶出曲線から求めた全体の25%が溶出する温度T25と全体の75%が溶出する温度T75との差T75−T25および密度dが、下記(式2)の関係を満足すること
    (式2)d<0.950g/cm3 のとき
    75−T25≧−300×d+285
    d≧0.950g/cm3 のとき
    75−T25≧0
  3. 前記(A)エチレン(共)重合体が、さらに下記(f)および(g)の要件を満足する(A1)エチレン(共)重合体であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のステープルファイバー。
    (f)25℃におけるオルソジクロロベンゼン(ODCB)可溶分量X(質量%)、密度dおよびメルトフローレート(MFR)が下記(式3)および(式4)の関係を満足すること
    (式3)d−0.008logMFR≧0.93の場合
    X<2.0
    (式4)d−0.008logMFR<0.93の場合
    X<9.8×103×(0.9300−d+0.008logMFR)2+2.0
    (g)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線のピークが複数個存在すること
  4. 前記(A)エチレン(共)重合体が、さらに下記(h)および(i)の要件を満足する(A2)エチレン(共)重合体であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のステープルファイバー。
    (h)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線のピークが一つであること
    (i)融点ピークを1ないし複数個有し、かつそのうち最も高い融点Tmlと密度dが、下記(式5)の関係を満足すること
    (式5) Tml≧150×d−19
  5. 前記(A2)エチレン(共)重合体が、さらに下記(j)の要件を満足することを特徴とする請求項4記載のステープルファイバー。
    (j)メルトテンション(MT)とメルトフローレート(MFR)が、下記(式6)を満足すること
    (式6) logMT≦−0.572×logMFR+0.3
  6. 前記(A)エチレン(共)重合体が、少なくとも共役二重結合を持つ有機環状化合物と周期律表4族の遷移金属化合物を含む触媒の存在下に製造されたものであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載のステープルファイバー。
  7. 前記樹脂材料中のハロゲン濃度が、10ppm以下であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載のステープルファイバー。
  8. (B)他のオレフィン系重合体が、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン系樹脂の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載のステープルファイバー。
  9. 下記(a)から(d)の要件を満足する(A)エチレン(共)重合体100〜20質量%と、(B)他のオレフィン系重合体0〜80質量%とを含む樹脂材料を紡糸し、所望により延伸して単糸繊度1〜30デニールとすることを特徴とするステープルファイバーの製造方法。
    (a)密度が0.86〜0.97g/cm3
    (b)メルトフローレートが1〜200g/10分、
    (c)分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜4.5、
    (d)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線の積分溶出曲線から求めた全体の25%が溶出する温度T25と全体の75%が溶出する温度T75との差T75−T25および密度dが、下記(式1)の関係を満足すること
    (式1) T75−T25≦−670×d+644
  10. 請求項1ないし8のいずれか一項に記載のステープルファイバーを用いてなる不織布。
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