JP2005058972A - 炭化水素部分酸化用触媒、その製造方法および水素含有ガスの製造方法 - Google Patents

炭化水素部分酸化用触媒、その製造方法および水素含有ガスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 高活性かつ耐久性に優れた炭化水素の部分酸化用触媒、その製造方法およびこの触媒を用いて水素含有ガスを製造する方法を提供する。
【解決手段】 この部分酸化用触媒は、モノリス担体に触媒成分を担持させてなり、この触媒成分が(A)白金族元素、(B)ジルコニウム−セリウム複合酸化物および(C)耐火性無機酸化物を含有し、またジルコニウム−セリウム複合酸化物中のジルコニウムとセリウムとの割合が、酸化ジルコニウム(ZrO):酸化セリウム(CeO)(質量比)として、100:2〜100:100の範囲にある。
【選択図】 なし

Description

本発明は炭化水素部分酸化用触媒、その製造方法および水素含有ガスの製造方法に関し、詳しくは炭化水素を部分酸化して水素含有ガスを製造するに好適な触媒およびその製造方法、ならびにこの触媒を用いて水素含有ガスを効率よく製造する方法に関する。
主に水素と一酸化炭素とからなる水素含有ガスは、水素ガスの製造のほかに、還元用ガスや各種化学製品の原料などして広く活用されている。最近では、燃料電池用燃料などとしても実用化研究が進められている。炭化水素の改質による水素含有ガスの製造方法としては、炭化水素の部分酸化法、水蒸気改質法、あるいは部分酸化と水蒸気改質とを組み合わせた自熱式接触蒸気改質法(オートサーマルリフォーミング法)などが知られている。
炭化水素の部分酸化法とは、触媒の存在下に炭化水素を部分的に酸化して水素含有ガスを製造するものであり、例えば、炭化水素がメタンの場合、次式で表すことができる。CH+1/2O → CO+2H
炭化水素の部分酸化に用いる触媒としては、例えば、以下のような触媒が提案されている。
特許文献1には、モノリス担体上に、ランタンやセリウムなどの酸化物を安定剤として含有する活性アルミナで被覆層を形成するとともに、触媒成分として白金とパラジウムなどを含有させた部分酸化用触媒が提案されている。
特許文献2には、触媒成分として、貴金属やニッケル、クロム、コバルト、セリウムまたはランタンをハニカム状担体に担持させた部分酸化用触媒が提案されている。
特許文献3には、セリウムとジルコニウムとを含む耐火性酸化物、詳しくはセリウム酸化物とジルコニウム酸化物との混合物からなる耐火性無機酸化物担体にロジウムを担持させた部分酸化用触媒が提案されている。この部分酸化触媒は、水蒸気を加えない条件、例えば、メタンと空気とからなる原料ガスを部分酸化反応させる場合、メタンの転化率は45%程度の低レベルに留まるものである。
特許文献4には、酸素(または空気)、必要に応じて水蒸気を添加した原料ガスを部分酸化反応させて低級炭化水素燃料を改質するための触媒であって、ハニカム支持体に100μm程度のアルミナをコートし、その上に白金族元素を担持させた触媒が開示されている。この触媒の場合、ハニカム支持体1L(リットル)当たり白金族元素5〜20gを担持させることが必要とされている。
また、特許文献5には、炭化水素、酸素、および水または水蒸気からなる原料ガスの自己熱式接触蒸気改質法に用いる触媒であって、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化チタンまたはこれらの混合酸化物、およびゼオライトから群から選ばれる酸化物担体に少なくとも一種の白金族元素を含有させた触媒成分をセラミックハニカムなどの支持体に被覆した触媒が開示されている。
特開昭59−97501号公報
特開平1−145301号公報 特表2002−507535号公報(請求項10、段落0019参照) 特開平7−187605号公報 特開2002−12408号公報
本発明者らが炭化水素を部分酸化して水素含有ガスを製造するための触媒について鋭意研究を重ねた結果、従来技術には次のような問題点があることがわかった。
(1)炭化水素として汎用されているメタンあるいは天然ガスを部分酸化する場合、高いメタン転化率を得るためには、800℃以上の高温で部分酸化反応を行うのがよいとされているが、部分酸化反応時の反応熱により触媒層が著しく熱的負荷を受けるため経時的に触媒活性が低下する。
(2)部分酸化反応に伴って炭素生成反応(副反応)が生じ、この生成した析出炭素によって触媒活性が低下する。なお、このような炭素析出を防止するには、原料ガス中に水蒸気を添加すればよいが、水蒸気の添加は製造コストの上昇という問題を生じる。
(3)天然ガスの場合、原料ガス中に不可避的に硫黄分などの触媒毒が含まれているため、触媒が被毒されて経時的に触媒活性が低下する。なお、このような触媒被毒を防止するには、天然ガスを脱硫装置などで予め処理し、触媒毒を除去してから部分酸化反応を行うことが考えられるが、脱硫装置などの触媒毒除去装置を設けると部分酸化反応システム全体の構成が複雑化し、またメインテナンスコストも上昇するなどの問題が生じる。
かくして、本発明の目的の一つは、高活性で、しかも耐久性に優れた、炭化水素の部分酸化用触媒(以下、単に「部分酸化用触媒」ということもある。)を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記部分酸化用触媒を製造する方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記部分酸化用触媒を用いて炭化水素を部分酸化し水素含有ガスを製造する方法を提供することにある。
本発明者らの研究により、上記目的は下記発明によって達成されることがわかった。
(1)モノリス担体に触媒成分を担持させてなる炭化水素部分酸化用触媒であって、該触媒成分が(A)白金族元素、(B)ジルコニウム−セリウム複合酸化物および(C)耐火性無機酸化物を含有し、また該ジルコニウム−セリウム複合酸化物中のジルコニウムとセリウムとの割合が、酸化ジルコニウム(ZrO):酸化セリウム(CeO)(質量比)として、100:2〜100:100であることを特徴とする炭化水素部分酸化用触媒。
(2)上記(1)の炭化水素部分酸化用触媒を製造するにあたり、白金族元素を耐火性無機酸化物の一部または全部に担持して白金族元素担持耐火性無機酸化物を調製した後、該担持耐火性無機酸化物を残余の未担持耐火性無機酸化物およびジルコニウム−セリウム複合酸化物と、またはジルコニウム−セリウム複合酸化物と混合してスラリーを調製し、該スラリーをモノリス担体と接触させた後、乾燥、焼成することを特徴とする炭化水素部分酸化用触媒の製造方法。
(3)炭化水素と酸素とを含有する混合ガスを上記(1)の炭化水素部分酸化用触媒に接触させて炭化水素を部分酸化し水素含有ガスを製造することを特徴とする水素含有ガスの製造方法。
本発明の部分酸化用触媒は高活性で、しかも耐久性に優れている。より具体的には、本発明の部分酸化用触媒は、高温下でも触媒活性の劣化が抑制され、また炭素の析出も抑制され、さらには耐被毒性にも優れている。このように、本発明の部分酸化用触媒を用いることにより、炭化水素の部分酸化による水素含有ガスの製造を高収率、かつ長期にわたり安定して実施することができる。
また、本発明の部分酸化用触媒を用いることにより、原料ガス中に水蒸気を加えることなく、高転化率で炭化水素の部分酸化を行うことができる。もちろん、原料ガスに水蒸気を加えてもよく、炭化水素、酸素および水蒸気の混合割合を調整することにより、例えば、反応システムの熱バランスの調整、生成ガス中の水素と一酸化炭素との組成比の調整、あるいは目的とする炭化水素転化率を達成することができる。
また、本発明の部分酸化用触媒は、硫黄分などの触媒毒に対して優れた耐久性を有しているので、硫黄分などを含む原料ガスをそのまま使用しても、触媒毒による触媒の劣化が抑制され、長期にわたり安定して部分酸化反応を実施することができる。このため、本発明によれば、脱硫装置などの触媒毒除去装置を設ける必要がなく、安価な天然ガスをそのまま原料ガスとして使用することができるので製造コストを低減できる。
本発明の「モノリス担体」については、特に制限はなく、触媒成分を担持した担持触媒の調製に用いることが一般に知られているモノリス担体であればいずれも使用することができる。
モノリス担体の材料としては、部分酸化反応時の高温下でも担体の形状を維持するという点から、耐熱強度、耐粉化性などに優れた材料が好ましく、例えば、コージェライト、ムライト、α−アルミナ、ジルコニア、チタニア、アルミナ・シリケート、ケイ酸マグネシウムなどの酸化物や、ケイ酸塩、ステンレス鋼、Fe−Cr−Al合金などの耐熱合金が好適に用いられる。これらは単独でも、あるいは2種以上を組み合わせてモノリス担体としてもよい。なかでも、高い耐熱強度を有し、また耐熱衝撃性にも優れているコージェライトを主体(50質量%以上)とするモノリス担体が好適に用いられる。
モノリス担体には、平行方向に貫通した孔(セル)が形成されているが、孔の形状は円形、あるいは3角、4角、6角などの多角形など任意の形状でよく、また孔の大きさも適宜決定することができる。
モノリス担体のセル密度についても特に制限はなく、原料ガスとの接触効率を高めるために、150〜600セル/平方センチ、好ましくは250〜600セル/平方センチとするのがよい。なお、セル密度が大きくなりすぎると個々のセルが小さくなり目詰まりが生じることがあり、またセル密度が小さすぎると接触面積が減少し、十分な触媒効率が得られないことがある。
モノリス担体は、ペレット状担体、球状担体などの粒状担体などの他の形状の担体に比べて、低圧損性、耐粉化性などに優れている、取り扱いが容易であるなどの有利な点を有している。また、モノリス担体は、上記したような材料を用い、鋳込み成型、プレス成型、押出成型、シート成型など公知の方法により容易に製造することができる。
本発明の部分酸化用触媒は、上記モノリス担体に、(A)白金属元素、(B)ジルコニウム−セリウム複合酸化物および(C)耐火性無機酸化物(以下、それぞれ、「成分(A)」、「成分(B)」および「成分(C)」ということもある。)を含有する触媒成分を担持してなるものである。
成分(A)の白金族元素の代表例としては、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウムおよびイリジウムが挙げられる。なかでも、白金、ロジウムおよびイリジウムが好適に用いられる。これらは単独でも、あるいは2種以上組み合わせて使用することもできる。好ましい組み合わせとしては、白金−ロジウム、ロジウム−イリジウム、白金−イリジウムおよび白金−ロジウム−イリジウムの組み合わせを挙げることができる。なかでも、白金−ロジウムの組み合わせが好適に用いられる。これら組み合わせにおける各元素の割合については特に制限はなく、適宜、最適な割合を決定することができる。
成分(B)は、ジルコニウムおよびセリウムが、それぞれ、酸化ジルコニウム(ZrO)および酸化セリウム(CeO)として換算して、100:2〜100:100(質量比)、好ましくは100:10〜100:60(質量比)、より好ましくは100:20〜100:40(質量比)(すなわち、酸化ジルコニウム(ZrO):酸化セリウム(CeO)(質量比)=100:2〜100:100、好ましくは100:10〜100:60、より好ましくは100:20〜100:40)の割合で含まれているジルコニウム−セリウム複合酸化物である。
成分(B)に関し、ジルコニウムとセリウムとが複合酸化物を形成していることは、基本的には、X線回折分析において酸化セリウムのピークが検出されないことで確認することができる。しかし、調製条件によっては、酸化ジルコニウム(ZrO):酸化セリウム(CeO)(質量比)が100:50を超えると、結晶度の低い酸化セリウムのブロードなピークがX線回折で認められることがある。そこで、本発明においては、このような一部酸化セリウムが緊密に混合した状態の酸化物(intimate mixture)も含めて「ジルコニウム−セリウム複合酸化物」という。ただし、本発明で使用するジルコニウム−セリウム複合酸化物としては、X線回折分析において酸化セリウムの結晶ピークが現れないものが好ましく、この点において、酸化ジルコニウム(ZrO)と酸化セリウム(CeO)との質量比は100:20〜100:40であることが好ましい。
ジルコニウム−セリウム複合酸化物において、酸化ジルコニウム(ZrO)と酸化セリウム(CeO)との割合(質量比)を100:2〜100:100の範囲に調整することにより、高活性で、耐久性に優れた部分酸化用触媒を得ることができる。
酸化セリウムは酸素吸蔵能を有し、酸素の放出あるいは取り込みを行うことにより活性成分である白金族元素の電子状態を変化させる効果を有することから、酸化セリウムの含有量が少なすぎると、その添加効果が不十分となり、一方、酸化セリウムの含有量が多すぎると、高温下で長期使用すると酸化セリウムの表面積が減少し、その効果が低下するものと考えられている。
ジルコニウム−セリウム複合酸化物は、セリウム以外の希土類元素およびアルカリ土類元素(以下、それぞれ、「成分(D)」および「成分(E)」ということもある。)から選ばれる少なくとも1種の元素を含有しているのが、部分酸化用触媒の耐久性の向上などの点において、好ましいものである。なかでも、成分(D)を含むものが好適に用いられる。
成分(D)のセリウム以外の希土類元素としては、Sc、Y、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、TmおよびYbが挙げられる。また、成分(E)のアルカリ土類元素としては、Mg、Ca、SrおよびBaが挙げられる。これらは単独でも、あるいは2種以上組み合わせて使用してもよい。
成分(D)および/または成分(E)の使用量については、その酸化物として(成分(D)の場合、D(D:セリウム以外の希土類元素)換算、また成分(E)の場合、EO(E:アルカリ土類元素)換算)、成分(B)の全質量基準で、0.1〜15質量%、好ましくは0.1〜10質量%である。なお、成分(B)中の、成分(D)および/または成分(E)の含有量(D、EO換算)は酸化セリウムの含有量(CeO換算)よりも少なくするのが好ましい。成分(D)および/または成分(E)の含有量が酸化セリウム(CeO)の含有量より大きくなると、これらがジルコニウムとセリウムとの複合効果をかえって阻害することがある。
成分(B)のジルコニウム−セリウム複合酸化物は、例えば、下記の方法に従って容易に調製することができる。
(1)セリウム塩水溶液とジルコニウム塩水溶液とを混合した後、乾燥、焼成する。
(2)セリウム塩水溶液とジルコニウム塩水溶液とを混合し、アンモニウム化合物などを用いて共沈させた後、乾燥、焼成する。
(3)セリウム酸化物とジルコニウム酸化物とを混合した後、固相反応させる。
(4)セリウム酸化物にジルコニウム塩水溶液を浸した後、乾燥、焼成する、あるいはジルコニウム酸化物にセリウム塩水溶液を浸した後、乾燥、焼成する。
(5)活性アルミナなどの耐火性無機酸化物上にセリウム塩水溶液とジルコニウム塩水溶液とを含浸させた後、乾燥、焼成する。
セリウム原料およびジルコニウム原料については特に制限はなく各種化合物を用いることができる。セリウム原料としては、市販の酸化セリウムや酸化セリウムゾル、硝酸セリウム、塩化セリウム、炭酸セリウム、酢酸第一セリウムなどのセリウム塩化合物、またこれらから調製した酸化セリウムや水酸化セリウムを用いることができる。ジルコニウム原料としては、市販の酸化ジルコニウムや酸化ジルコニウムゾル、四塩化ジルコニウムなどの各種のハロゲン化物またはこれらの部分加水分解生成物、塩化ジルコニル(オキシ塩化ジルコニウム)などの各種オキシハロゲン化物、硫酸ジルコニル、硝酸ジルコニウム、硝酸ジルコニルなどの各種酸素酸塩、炭酸ジルコニウム、炭酸ジルコニルなどの炭酸塩、酢酸ジルコニウム、酢酸ジルコニル、シュウ酸ジルコニルなどの各種有機酸塩、ジルコニウムのアルコキシド、各種の錯塩などを用いることができる。
前記方法(1)〜(5)における焼成は、例えば、空気中300〜800℃、好ましくは400〜800℃で0.5〜3時間程度行えばよく、これによってジルコニウム−セリウム複合酸化物が得られる。
なお、成分(D)の希土類元素および/または成分(E)のアルカリ土類元素を含有させるときには、前記方法(1)〜(5)において、成分(D)および/または成分(E)の出発原料を添加すればよい。
成分(C)の耐火性無機酸化物としては、活性アルミナ、ジルコニア、シリカ、チタニア、スピネル、ムライト、アルミナ−シリカ、アルミナ−ジルコニア、チタニア−シリカなどが挙げられる。これらは、単独でも、あるいは2種以上組み合わせて使用することもできる。これらのなかでも、活性アルミナは、比表面積が大きく、反応ガスとの接触面積が大きくなるため、部分酸化効率を向上でき、また高温耐熱性に優れていることから、特に好適に用いられる。また、活性アルミナは、後述するように、白金族元素を担持させると、長期間にわたって白金属元素の特性を保持することができる。活性アルミナとしては、α−アルミナ、γ−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ、η−アルミナなどを挙げることができる。なかでも、比表面積が25〜250m/gの活性アルミナが好適に用いられる。
活性アルミナとしては、通常、市販のアルミナ粉体が用いられる。そのほか、モノリス担体に担持した後、焼成することにより活性アルミナとなる、ベーマイトや擬ベーマイト状態のアルミナ水和物、水酸化アルミニウムなどを用いてもよい。また、硝酸アルミニウムなどのアルミニウム塩水溶液にアルカリを加えて水酸化物の沈殿を生成させ、これを乾燥、焼成して得られる活性アルミナでもよい。また、アルミニウムイソプロポキシドなどのアルコキシドを加水分解してアルミナゲルを調製し、これを乾燥、焼成するゾル・ゲル法によって得られる活性アルミナでもよい。
ジルコニアとしては、市販のジルコニア粉体を用いることができる。そのほか、ジルコニアゾル、四塩化ジルコニウムなどの各種のハロゲン化物またはこれらの部分加水分解生成物、塩化ジルコニル(オキシ塩化ジルコニウム)などの各種オキシハロゲン化物、硫酸ジルコニル、硝酸ジルコニウム、硝酸ジルコニルなどの各種酸素酸塩、炭酸ジルコニウム、炭酸ジルコニルなどの炭酸塩、酢酸ジルコニウム、酢酸ジルコニル、シュウ酸ジルコニルなどの各種有機酸塩、ジルコニウムのアルコキシド、各種の錯塩などを乾燥、焼成して得られるジルコニアでもよい。
本発明の部分酸化用触媒において、成分(A)がどこに担持されているかについては特に制限はなく、成分(A)が成分(B)および成分(C)の全体に担持されていても、あるいは成分(A)が成分(B)の一部または全部に担持されていても、もしくは成分(A)が成分(C)の一部または全部に担持されていてもよい(それぞれ、後記方法1、2および3参照)。なかでも、成分(A)が成分(C)の一部または全部に担持されている形態が好ましい。この場合、成分(C)は活性アルミナであることが好ましい。
成分(A)、成分(B)および成分(C)を含有する触媒成分のモノリス担体への担持量については、高活性かつ高耐久性の部分酸化用触媒が得られる範囲において、適宜選択することができるが、通常、モノリス担体1L当たり35〜400g、好ましくは70〜300gである。担持量が少なすぎると十分な触媒活性が得られず、また多すぎると目詰まりや圧損増加の原因となることがある。
成分(A)の使用量については、通常、モノリス担体1L当たり0.3〜5gであり、好ましくは0.5〜3gである。使用量が少なすぎると十分な触媒活性が得られず、また多量に使用しても、それに見合う効果が得られず、かえってコストが上昇するなどの問題が生じる。
なお、後記の方法2に従って、成分(A)を成分(C)の一部または全部に担持した後、スラリーを調製し、これをモノリス担体に担持することにより本発明の部分酸化用触媒を製造する場合は、成分(A)の担持量を0.4〜40質量%、好ましくは1〜30質量%、更に好ましくは5〜25質量%とするのがよい。なお、本発明の「白金族元素の担持量(あるいは、成分(A)の担持量)」とは、次の式により定義されるものである。
白金属元素の担持量(質量%)=[(成分(A)の質量)/(成分(A)の質量+成分(A)を担持した成分(C)の質量)](×100)
成分(A)を上記範囲で使用することにより、部分酸化用触媒の耐熱性が向上し、触媒活性の低下を防止できるが、その担持量が多すぎると反応に寄与する成分(A)の有効活性点が減少するため、部分酸化反応時の反応効率が低下することがある。
従来、成分(A)のような白金族元素は、他の触媒成分にできるだけ均一に担持させる(高分散担持)ほうが触媒性能がよい触媒が得られると一般に考えられていた。しかし、本発明の部分酸化用触媒においては、成分(A)を成分(C)の一部または全部に上記のような濃度範囲で担持させる(高濃度担持)ことにより、より優れた耐久性などの触媒性能が得られるのであり、本発明はこのような新規な知見に基づいて完成されたものである。
上述のように、本発明の部分酸化用触媒のなかでも、成分(A)の使用量がモノリス担体1L当たり0.3〜5gであり、かつ成分(A)を成分(C)の一部または全部に、その担持量が0.4〜40質量%となるように担持した部分酸化用触媒が好適に用いられる。
なお、成分(A)を担持する成分(C)の全成分(C)に対する割合については特に制限はなく、成分(A)の使用量および担持量が前記のような範囲内となるように適宜決定することができる。
本発明の部分酸化用触媒において、成分(A)を担持した成分(C)は、部分酸化用触媒中に均一に分散しているのが好ましい。
成分(B)の使用量については、成分(A)の白金族元素と成分(B)中のセリウムとの質量比(白金族元素:酸化セリウム(CeO)換算)が1:1〜1:200、好ましくは1:3〜1:100、更に好ましくは1:5〜1:50となるようにするのがよい。白金族元素に対するセリウムの割合が少なすぎると十分な耐久性が得られず、一方多すぎると白金族元素とセリウムとが好ましくない相互作用を起こして耐久性を低下させることがある。
成分(C)の使用量については、成分(B)に含まれる酸化セリウム(CeO換算)と成分(C)との質量比が1:0.5〜1:150、好ましくは1:1〜1:80、さらに好ましくは1:1〜1:40となるようにするのがよい。成分(B)中のセリウムに対する成分(C)の割合が多すぎると十分な耐久性が得られず、一方少なすぎると白金族元素とセリウムとが好ましくない相互作用を起こして耐久性を低下させることがある。
本発明の触媒成分は、上記成分(A)、成分(B)および成分(C)のほかに、周期表I、II、IIIB、IV、V、VIB、VIIBおよびVIII族に属する金属元素、例えば、Na、K、Cs、Ni、Co、Fe、Cr、Cu、V、Pr、Mg、Mo、W、Mn、Zn、Ga、Y、Ti、Ba、Re、Bi、Nb、Ta、La、AgおよびAuの1種または2種以上を含んでいてもよい。これら金属元素を金属、金属酸化物、あるいは白金族元素との固溶体などとして触媒成分中に存在させると、成分(A)の触媒作用を促進し、またその安定化などに寄与し、さらには水素選択率を高めるなどの効果が得られる。
本発明の部分酸化用触媒は、モノリス担体に成分(A)、成分(B)および成分(C)を含有する触媒成分を担持することにより得られる。本発明の部分酸化用触媒の調製については特に制限はなく各種方法に従って行うことができる。以下に、その代表的な方法を例に挙げて説明する。
<方法1>
白金族元素源を含む溶液、通常、水溶液とジルコニウム−セリウム複合酸化物と耐火性無機酸化物とをボールミルなどの粉砕機に供給し、湿式粉砕によってスラリーを調製し、このスラリーにモノリス担体を接触させた後、乾燥し、焼成する。
白金族元素源としては、白金族元素の各種化合物を用いることができる。例えば、白金化合物としては、PtCl、HPtCl、Pt(NHCl、(NHPtCl、HPtBr、NH[Pt(C)Cl]、Pt(NH(OH)、Pt(NH(NOなどを挙げることができる。ロジウム化合物としては、(NHRhCl、Rh(NHCl、RhCl、Rh(NOなどを挙げることができる。パラジウム化合物としては、(NHPdCl、Pd(NHCl、PdCl、Pd(NOなどを挙げることができる。ルテニウム化合物としては、RuCl、Ru(NO、Ru(OH)Cl・7NHなどを挙げることができる。また、イリジウム化合物としては、(NHIrCl、IrCl、HIrClなどを挙げることができる。
スラリーを調製する際には、スラリーの粘度調節や安定性改善のため、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、シュウ酸などの酸類、アンモニアや水酸化テトラアンモニウムなどの塩基性化合物、ポリアクリル酸やポリビニルアルコールなどの高分子化合物などを必要に応じて添加してもよい。
モノリス担体とスラリーとの接触方法としては、モノリス担体をスラリーに浸漬させると均一に触媒成分を担持させることができるので、この浸漬方法が好適に用いられる。浸漬後は、モノリス担体に付着している過剰なスラリー(例えば、セル内に残存しているスラリー)をエアブローなどの方法によって除去した後、乾燥するのがよい。
乾燥方法についても特に制限はなく、スラリーの水分を除去し得る方法であればいずれも用いることができる。乾燥は常温下、あるいは高温下のいずれでもよい。乾燥後に焼成すると触媒成分をモノリス担体に強固に定着させることができる。焼成条件については、例えば、空気中または還元雰囲気下に400〜800℃で焼成すればよい。一回の操作で必要量の触媒成分を担持できないときは、上記浸漬−乾燥−焼成の操作を繰り返して行えばよい。
<方法2>
白金族元素を耐火性無機酸化物の一部または全部に担持させた後、この白金族元素を担持した耐火性無機酸化物を、白金族元素(A)を担持させてない残余の耐火性無機酸化物とジルコニウム−セリウム複合酸化物とともに、あるいはジルコニウム−セリウム複合酸化物とともにボールミルなどの粉砕機に供給し、湿式粉砕によってスラリーを調製し、このスラリーにモノリス担体を接触させた後、乾燥し、焼成する。
白金族元素を耐火性無機酸化物に担持させるには、前記方法1で説明した操作に準じて、白金族元素源の溶液を耐火性無機酸化物と接触させた後、乾燥、焼成すればよい。具体的に、耐火性無機酸化物として活性アルミナを用いる場合を例に挙げて説明すると、所望の白金族元素の担持量となるように、白金族元素源を溶解した溶液、通常、水溶液に活性アルミナを接触させた後、乾燥、焼成する。
白金族元素源の溶解性の向上、pH調整などを目的として、水溶液に塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸、酢酸、シュウ酸などの有機酸を添加してもよい。
白金族元素源の水溶液を活性アルミナと接触させるには、含浸法、浸漬法、湿式吸着法、スプレー法、塗布法などの方法を適宜選択することができる。なかでも、含浸法が好適に用いられる。接触条件についても適宜最適な条件を選ぶことができる。例えば、大気圧下、あるいは減圧下に、そして必要に応じて加熱して、好ましくは室温〜90℃程度の温度で接触させればよい。
本発明の部分酸化用触媒においては、前記のとおり、2種類以上の白金族元素を担持させるのが好ましいが、このような場合には、2種類以上の白金族元素源を含む水溶液を調製し、この水溶液に活性アルミナを接触させて、2種類以上の白金族元素を同時に活性アルミナに担持させても、あるいは2種類以上の白金族元素源を個別に含む水溶液を調製し、これら水溶液に活性アルミナを順次接触させてもよい。
上記白金族元素源の水溶液と活性アルミナとを接触させ、乾燥した後、空気中または還元雰囲気下に、例えば、300〜600℃の範囲の温度で2〜6時間程度焼成することにより、白金族元素を担持させた活性アルミナが得られる。
その後のスラリーの調製、モノリス担体との接触、焼成などについては、前記方法1のところで述べた方法に準じて行うことができる。
なお、白金族元素を担持した耐火性無機酸化物、あるいはジルコニウム−セリウム複合酸化物は製造条件によっては凝集して粒子径が大きくなることもあるが、例えば、スラリー調整時の湿式粉砕工程での粉砕時間などを調整することにより、例えば0.5〜20μmの範囲とすることができる。
<方法3>
白金族元素をジルコニウム−セリウム複合酸化物の一部または全部に担持させた後、この白金族元素を担持したジルコニウム−セリウム複合酸化物を、白金族元素を担持させてない残余のジルコニウム−セリウム複合酸化物と耐火性無機酸化物とともに、あるいは耐火性無機酸化物とともにボールミルなどの粉砕機に供給し、湿式粉砕によってスラリーを調製し、このスラリーにモノリス担体を接触させた後、乾燥し、焼成する。方法3は、前記方法2のところで述べた方法に準じて行うことができる。
成分(A)〜(C)のほかに、成分(F)を使用する場合には、例えば、各金属元素の塩化合物や酸化物を上記スラリーに混合したり、あるいはジルコニウム−セリウム複合酸化物や耐火性無機酸化物に予め固定化して使用すればよい。この固定化には、上記耐火性無機酸化物に白金族元素を担持させる場合と同様の方法を採用することができる。そのほか、成分(A)〜(C)をモノリス担体上に担持、焼成した後に、成分(F)を浸漬法などにより担持させるなど、一般に知られた任意の方法を適宜採用することができる。
上記方法1〜方法3によって得られる部分酸化用触媒のなかでも、方法2によって得られる部分酸化用触媒は活性が高く、耐久性に優れている。このため、本発明の部分酸化用触媒は方法2により有利に製造することができる。
成分(A)は、前記のとおり、成分(B)および/または成分(C)、なかでも成分(C)に予め担持して使用するのが好ましい。成分(A)を担持した成分(B)または成分(C)の、触媒成分をモノリス担体に担持した後の完成触媒中の平均粒子径(下記測定方法により求めたものであり、本発明では、「EPMA法平均粒子径」という。)は0.5〜20μm、好ましくは1〜10μmの範囲にあるのがよい。
<測定方法>
完成触媒の被覆(コーティング)層をエレクトロン・プルーブ・マイクロ・アナライザ(Electron Probe Micro Analyzer)(EPMA)を用い、3000倍の倍率で、白金族元素のX線像を無作為に30ヶ所撮影し、これら写真中の粒子の径を測定し、その測定値に基づいて平均粒子径を求める。
このように成分(A)を担持した成分(B)または成分(C)を比較的大きな平均粒子径を有する凝集粒子として触媒成分中に分散させることにより、部分酸化用触媒としての活性などの触媒性能を維持しながら、高温下でも優れた耐久性を示す、長寿命の部分酸化用触媒を得ることができる。
成分(A)を担持した成分(B)または成分(C)を、上記のような比較的大きな平均粒子径を有する凝集粒子として触媒成分中に分散させるには、粉体状またはペレット状の成分(C)に成分(A)を含浸担持させた後、ボールミルなどに入れて湿式粉砕をして、目的とする平均粒子径に調整すればよい。
次に、上述した部分酸化用触媒は方法を用いて炭化水素を部分酸化して水素含有ガスを製造する方法について説明する。
本発明によれば、炭化水素、詳しくは炭化水素含有ガス、より詳しくは炭化水素と酸素とを含有する原料ガスを上述の部分酸化用触媒に接触させることにより、炭化水素を部分酸化して水素含有ガス、詳しくは水素および一酸化炭素を主とする水素含有ガスを製造する。
炭化水素としては、メタン、プロパン、ブタン、ヘプタン、ヘキサンなどの軽質炭化水素、ガソリン、灯油、ナフサなどの石油系炭化水素などを用いることができる。例えば、メタンを主成分とする天然ガスまたは液化天然ガス、この液化天然ガスを主成分とする都市ガス、またプロパン、ブタンを主成分とするLPG(液化石油ガス)などは資源的にも豊富であり、入手が容易であるため好適に用いられる。さらに、天然ガスを出発原料とするメタノール、あるいはジメチルエーテルなどの各種液体燃料や、メタンを主成分とするバイオガスなども資源の有効利用の面から好ましいものである。本発明の「炭化水素」には、メタン、プロパンなどの炭化水素のほかに、メタノール、ジメチルエーテルなどの部分酸化により水素含有ガスを生成する有機化合物も包含される。
本発明の方法においては、原料ガス中に触媒毒となる硫黄分が含まれていても、これを除去することなく部分酸化反応を行うことができる。例えば、天然ガス中には、メタン、エタン、プロパンなどの炭化水素のほかに、不純物として硫黄分(例えば、全硫黄として5〜30mg/Nm程度)が含まれているので、このような天然ガスを用いる場合、従来は、脱硫処理して硫黄分を除去してから部分酸化反応を行う必要があった。しかし、本発明の部分酸化用触媒は、硫黄分などの触媒毒に対して優れた耐久性を有しているので、硫黄分などを含む原料ガスをそのまま使用しても、触媒毒による触媒の劣化が抑制され、長期にわたり安定して部分酸化反応を実施することができる。
本発明の原料ガスは、通常、炭化水素含有ガスと酸素含有ガスとを混合して得られる。酸素含有ガスとしては、通常、空気が用いられる。炭化水素含有ガスと酸素酸素含有ガスとの割合については、炭素原子1個当たりの酸素分子のモル数(酸素分子/炭素原子比)が0.45〜0.65、好ましくは0.48〜0.6となるようにするのが、効率的な炭化水素の部分酸化のために好ましい。
本発明の部分酸化反応は、触媒として本発明の部分酸化用触媒を用いる点を除けば、炭化水素の部分酸化による水素含有ガスの製造に一般に知られている方法に従って実施することができる。反応方式としては、原料ガスを連続的に触媒に接触させる連続流通式が好ましく用いられる。
部分酸化反応時の圧力は、常圧以上であって5MPa・G以下、好ましくは3MPa・G以下とするのがよい。ガス空間速度(SV)は3,000〜500,000H−1、好ましくは10,000〜300,000H−1とするのがよい。温度については、部分酸化用触媒の熱劣化を防ぎつつ、効率的な部分酸化反応を行うために、触媒層温度が600〜1,000℃、好ましくは700〜950℃の範囲内となるようにするのがよい。
触媒層温度を上記範囲内に維持して部分酸化反応を行うには、例えば、原料ガスを予熱してから触媒層に導入する方法や触媒層を加熱する方法を採用することができる。
原料ガスを予熱する方法の場合、予熱温度は炭化水素の種類、原料ガスの組成、反応条件などによって異なるが、一般的には200〜700℃、好ましくは300〜600℃に加熱するのがよい。触媒層での反応が開始した後は、反応熱によって触媒層温度が上昇し、反応が自立するため、原料ガスを予熱しなくてもよい。もちろん、反応システム全体の熱バランスなどを考慮して、必要に応じて、原料ガスの予熱を継続してもよい。
触媒層を加熱する方法の場合は、原料ガスの導入に先立って、触媒層を200〜700℃、好ましくは300〜600℃に加熱しておき、反応開始後に触媒層の加熱を停止してもよい。触媒層の加熱には、加熱した空気や窒素を触媒層に導入する方法、触媒層を外部から加熱器で加熱する方法、メタノール、水素、ジメチルエーテルなどの、本発明で用いる炭化水素よりも容易に酸化し得る化合物をを含有するガスを触媒層に導入し、その反応熱で触媒層を加熱する方法などを適宜選択することができる。
炭化水素の部分酸化反応に際しては、通常、炭素の析出を防止するために原料ガスに水蒸気を加えることが行われている。しかし、本発明の部分酸化用触媒は、水蒸気の不存在下においても、炭素の析出はゼロか、あるいは析出しても触媒活性に影響のない極微量であるため、本発明の部分酸化反応は水蒸気の不存在下にも効率よく実施することができる。
なお、本発明の部分酸化用触媒の場合、炭化水素、酸素および水蒸気を含む原料ガスと接触させて炭化水素の部分酸化反応を行うと、水素の生成比率が上昇する。また、発熱反応(炭化水素の部分酸化)と吸熱反応(炭化水素と水蒸気との反応)が起こるため、水蒸気を加えない場合と比べて発熱量を抑えることができる。酸素含有ガスや水蒸気は炭化水素含有ガスと混合してから触媒層に導入しても、あるいは別々に触媒層に導入してもよい。
本発明の方法によって得られる、水素と一酸化炭素とを含有する水素含有ガスは、従来技術によって得られる水素含有ガスと同様の各種用途に用いることができる。
具体的には、例えば、燃料電池用の燃料として好適に用いることができる。燃料電池のなかでも、高温作動型と類別されている溶融炭酸塩型燃料電池および固体酸化物型燃料電池では、水素以外にも一酸化炭素や炭化水素も燃料として利用できるので、これら燃料電池には本発明の方法によって得られる水素含有ガスが好適に用いられる。高温作動型燃料電池は、原理的には、電極の触媒作用により炭化水素の部分酸化反応を電池のなかで行う(内部改質)ができるとされている。しかし、実際は、炭化水素の種類や炭化水素に含まれている不純物によって炭素析出などの問題が生じるため、炭化水素全量を内部改質できないことがある。このため、炭化水素を燃料電池に導入する前に、炭化水素を予備処理する必要があるが、本発明の部分酸化用触媒は、このような炭化水素の予備処理にも好適に用いられる。
また、本発明の方法によって得られる水素含有ガスは、さらにCO変性反応で一酸化炭素濃度を低減したり、あるいは深冷分離法、PAS法、水素貯蔵合金またはパラジウム膜拡散法などにより不純物を除去して高純度の水素とすることもできる。水素ガス中の含まれている一酸化炭素を低減させるには、例えば、水素含有ガスを、水蒸気の存在または不存在下に一酸化炭素変性器に導入し、ここでCO変性反応を行わせて、一酸化炭素を酸化し炭酸ガスに変換すればよい。このCO変性反応には、例えば、銅または鉄を主体とする公知の触媒を用いることができる。CO変性反応により、一酸化炭素濃度を1%程度まで低減できるが、この程度の濃度の一酸化炭素でも、低温作動型固体高分子燃料電池では電極が被毒を受けて、性能が低下する。このため、このような触媒被毒を防止するためには、例えば、CO変性反応後のガスに微量の酸素を添加し、一酸化炭素を選択的に除去することにより、一酸化炭素濃度を100ppm以下とするのがよい。
以下、本発明の有利な実施態様を示している実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。「%」は断りのない限り「質量%」である。
実施例1
(担体)
断面積1平方センチ当たり400個のセルを有するコージェライト製ハニカム担体(日本碍子(株)製)を外径25.4mm、長さ77mm(担体容積39.0ml)に切り出して触媒(a)の担体とした。
(白金族元素担持活性アルミナ)
白金を22.727g含有するジニトロジアミン白金の硝酸水溶液およびロジウムを4.545g含有する硝酸ロジウム水溶液を混合した。この溶液に比表面積が160m/gの活性アルミナ200gを含浸させた後、150℃で一晩(15時間)乾燥させて水分を除去した。乾燥後、粉体を空気中400℃で2時間焼成することにより、白金族元素12%(白金10%、ロジウム2%)を担持した活性アルミナを得た。
(ジルコニウム−セリウム複合酸化物)
市販の酸化ジルコニウム(比表面積100m/g)に、酸化ジルコニウム(ZrO):酸化セリウム(CeO)(質量比)が100:35となるように硝酸セリウム水溶液を添加し、均一に混合した。得られた混合スラリーを120℃で乾燥させて水分を除去した後、空気中500℃で1時間焼成することによりジルコニウム−セリウム酸化物を得た。この酸化物は、X線回折分析の結果、酸化セリウムの結晶ピークは検出されなかったことから、ジルコニウム−セリウム複合酸化物であることを確認した。
上記のようにして得られた白金族元素担持活性アルミナ7.20gおよびジルコニウム−セリウム複合酸化物69.6gに活性アルミナ(比表面積105m/g)69.6g、純水133gおよび酢酸4.2gを加え、ボールミルにて湿式粉砕して水性スラリーを得た。
上記水性スラリーに前記担体を含浸させてスラリーを付着させてから取り出した。次に、この担体に圧縮空気を吹き付けてセル内に残存するスラリーを除去した後、150℃で乾燥させて触媒成分を付着させた後、空気中、500℃で1時間焼成して触媒成分を担体に強固に担持させた。この触媒成分が担持された担体をさらに上記スラリーに浸漬し、同様な操作を繰り返すことにより担体に触媒成分を9.8g担持させて完成触媒(a)を得た。
この触媒(a)の性状は次のとおりであった。
酸化ジルコニウム(ZrO):酸化セリウム(CeO)(質量比)=100:35
モノリス担体1L当たりの触媒成分の使用量:251g
モノリス担体1L当たりの白金族元素の使用量:1.45g(白金1.21g、ロジウム0.24g)
触媒中の白金族元素:酸化セリウム(CeO)の質量比=1:22
触媒中の酸化セリウム(CeO):活性アルミナ質量比=1:4
活性アルミナへの白金族元素の担持量:12%
白金族元素担持活性アルミナのEPMA法測定平均粒子径:4μm
なお、白金族元素担持活性アルミナの分布写真によれば、この活性アルミナ粒子は均一に分散していた。
実施例2
(ジルコニウム−セリウム−イットリウム複合酸化物)
市販の酸化ジルコニウム(比表面積100m/g)に、酸化ジルコニウム:酸化セリウム:酸化イットリウム(Y)(質量比)が100:35:2となるように硝酸セリウム水溶液および硝酸イットリウムを添加し、均一に混合した。得られた混合スラリーを120℃で乾燥させて水分を除去した後、空気中500℃で1時間焼成することによりジルコニウム−セリウム−イットリウム酸化物を得た。この酸化物は、X線回折分析の結果、酸化ジルコニウムの結晶ピークのみが検出されたことから、ジルコニウム−セリウム−イットリウム複合酸化物であることを確認した。
以下、実施例1で調製したと同じ白金族元素担持活性アルミナ7.20g、上記のジルコニウム−セリウム−イットリウム複合酸化物73.2gおよび活性アルミナ(比表面積105m/g)69.6gを用いた以外は実施例1と同様にしてスラリーを調製し、次いで担体上の触媒成分担持量が9.7gとなるようにして完成触媒(b)を得た。
この触媒(b)の性状は次のとおりであった。
酸化ジルコニウム:酸化セリウム:酸化イットリウム(Y)(質量比)=100:35:2
モノリス担体1L当たりの触媒成分の使用量:248g
モノリス担体1L当たりの白金族元素の使用量:1.43g(白金1.19g、ロジウム0.24g)
触媒中の白金族元素:酸化セリウム(CeO)の質量比=1:22
触媒中の酸化セリウム(CeO):活性アルミナ質量比=1:4.1
活性アルミナへの白金族元素の担持量:12%
白金族元素担持活性アルミナのEPMA法測定平均粒子径:4μm
なお、白金族元素担持活性アルミナの分布写真によれば、この活性アルミナ粒子は均一に分散していた。
実施例3
実施例2で調製したジルコニウム−セリウム−イットリウム複合酸化物73.2gおよび活性アルミナ(比表面積105m/g)75.6gをボールミルに入れ、これに白金として0.80g含有するジニトロジアミン白金の硝酸水溶液およびロジウムとして0.40g含有する硝酸ロジウム水溶液を加え、さらに純水118gおよび酢酸3.5gを加えた後、20時間湿式粉砕を行い水性スラリーを調製した。
以下、上記水性スラリーを用い、実施例1と同様にして、モノリス担体上の触媒成分担持量が10.0gとなるようにして、触媒(c)を得た。
この触媒(c)の性状は次のとおりであった。
酸化ジルコニウム(ZrO):酸化セリウム(CeO):酸化イットリウム(Y)(質量比)=100:35:2
モノリス担体1L当たりの触媒成分の使用量:256g
モノリス担体1L当たりの白金族元素の使用量:2.05g(白金1.37g、ロジウム0.68g)
触媒中の白金族元素:酸化セリウム(CeO)の質量比=1:16
触媒中の酸化セリウム(CeO):活性アルミナ質量比=1:4
白金族元素の担持量(白金族元素+活性アルミナ+ジルコニウム−セリウム−イットリウム複合酸化物合計量基準):0.8%
実施例4
実施例1で調製した白金族元素担持活性アルミナ7.20gを秤量し、純水70gおよび酢酸4.2gとともにボールミルに入れ、12時間湿式粉砕した。この水性スラリーに、実施例2で調製したジルコニウム−セリウム−イットリウム複合酸化物73.2g、活性アルミナ(比表面積105m/g)69.6gおよび純水63gを加え、さらに湿式粉砕を20時間継続して水性スラリーを調製した。
以下、上記水性スラリーを用い、実施例1と同様にして、モノリス担体上の触媒成分担持量が9.8gとなるようにして触媒(d)を調製した。
この触媒(d)の性状は次のとおりであった。
酸化ジルコニウム:酸化セリウム:酸化イットリウム(Y)(質量比)=100:35:2
モノリス担体1L当たりの触媒成分の使用量:250g
モノリス担体1L当たりの白金族元素の使用量:1.44g(白金1.20g、ロジウム0.24g)
触媒中の白金族元素:酸化セリウム(CeO)の質量比=1:22
触媒中の酸化セリウム(CeO):活性アルミナ質量比=1:4.1
活性アルミナへの白金族元素の担持量:12%
触媒(d)のコーティング層を実施例1と同様にEPMAによって分析したところ、0.5μm以上の白金族元素担持活性アルミナ粒子は検出されなかった。
実施例5
(白金族元素担持活性アルミナ)
実施例1において、塩化イリジウム(HIrCl)水溶液を用い、白金族元素としてイリジウムのみを20%担持した活性アルミナを調製した。
上記イリジウム担持活性アルミナ6.00g、実施例1で調製したジルコニウム−セリウム複合酸化物80.0gおよび活性アルミナ(比表面積105m/g)64.0gをボールミルに入れ、実施例1と同様にして水性スラリーを調製した。この水性スラリーを用い、実施例1と同様にして、モノリス担体上の触媒成分担持量が9.6gとなるように触媒(e)を調製した。
この触媒(e)の性状は次のとおりであった。
酸化ジルコニウム(ZrO):酸化セリウム(CeO)(質量比)=100:35
モノリス担体1L当たりの触媒成分の使用量:246g
モノリス担体1L当たりのイリジウムの使用量:1.97g
触媒中のイリジウム:酸化セリウム(CeO)の質量比=1:17
触媒中の酸化セリウム(CeO):活性アルミナ質量比=1:3.3
活性アルミナへの白金族元素の担持量:20%
イリジウム担持活性アルミナのEPMA法測定平均粒子径:7μm
なお、イリジウム担持活性アルミナの分布写真によれば、イリジウム担持活性アルミナ粒子は均一に分散していた。
比較例1
(ジルコニウム−セリウム複合酸化物)
酸化ジルコニウム:酸化セリウムが100:1となるようにした以外は実施例1と同様にしてジルコニウム−セリウム複合酸化物を調製した。
以下、実施例1で使用したと同じ白金族元素担持活性アルミナ7.20g、上記のジルコニウム−セリウム−イットリウム複合酸化物73.2gおよび活性アルミナ(比表面積105m/g)69.6gを用いた以外は実施例1と同様にしてスラリーを調製し、次いで担体上の触媒成分担持量が9.9gとなるようにして比較用触媒(f)を得た。
この触媒(f)の性状は次のとおりであった。
酸化ジルコニウム:酸化セリウム(質量比)=100:1
モノリス担体1L当たりの触媒成分の使用量:255g
モノリス担体1L当たりの白金族元素の使用量:1.47g(白金1.22g、ロジウム0.25g)
触媒中の白金族元素:酸化セリウム(CeO)の質量比=1:0.8
触媒中の酸化セリウム(CeO):活性アルミナ質量比=1:105
活性アルミナへの白金族元素の担持量:12%
白金族元素担持活性アルミナのEPMA法測定平均粒子径:4μm
なお、白金族元素担持活性アルミナの分布写真によれば、この活性アルミナ粒子は均一に分散していた。
比較例2
(ジルコニウム−セリウム−イットリウム複合酸化物)
酸化ジルコニウム:酸化セリウム:酸化イットリウム(Y)(質量比)が100:150:5となるようにした以外は実施例2と同様にしてジルコニウム−セリウム−イットリウム酸化物を得た。
以下、実施例1で使用したと同じ白金族元素担持活性アルミナ7.20g、上記のジルコニウム−セリウム−イットリウム複合酸化物73.2gおよび活性アルミナ(比表面積105m/g)69.6gを用いた以外は実施例1と同様にしてスラリーを調製し、次いで担体上の触媒成分担持量が9.9gとなるようにして比較用触媒(g)を得た。
この触媒(g)の性状は次のとおりであった。
酸化ジルコニウム:酸化セリウム:酸化イットリウム(Y)(質量比)=100:150:5
モノリス担体1L当たりの触媒成分の使用量:253g
モノリス担体1L当たりの白金族元素の使用量:1.46g(白金1.22g、ロジウム0.24g)
触媒中の白金族元素:酸化セリウム(CeO)の質量比=1:50
触媒中の酸化セリウム(CeO):活性アルミナ質量比=1:1.8
活性アルミナへの白金族元素の担持量:12%
白金族元素担持活性アルミナのEPMA法測定平均粒子径:4μm
なお、白金族元素担持活性アルミナの分布写真によれば、この活性アルミナ粒子は均一に分散していた。
比較例3
(ジルコニウム−セリウム−イットリウム複合酸化物)
酸化ジルコニウム:酸化セリウム:酸化イットリウム(Y)(質量比)が100:1:0.5となるようにした以外は実施例2と同様にしてジルコニウム−セリウム−イットリウム酸化物を得た。
上記ジルコニウム−セリウム−イットリウム複合酸化物120.0gおよび活性アルミナ(比表面積105m/g)28.8gをボールミルに入れ、これに白金として0.80g含有するジニトロジアミン白金の硝酸水溶液およびロジウムとして0.40g含有する硝酸ロジウム水溶液を加え、さらに純水118gおよび酢酸3.5gを加えて20時間湿式粉砕を行い水性スラリーを調製した。以下、この水性スラリーを用い、実施例1と同様にして、担体上の触媒成分担持量が9.8gとなるようにして、比較用触媒(h)を調製した。
この触媒(h)の性状は次のとおりであった。
酸化ジルコニウム:酸化セリウム:酸化イットリウム(Y)(質量比)=100:1:0.5
モノリス担体1L当たりの触媒成分の使用量:252g
モノリス担体1L当たりの白金族元素の使用量:2.02g(白金1.35g、ロジウム0.67g)
触媒中の白金族元素:酸化セリウム(CeO)の質量比=1:1
触媒中の酸化セリウム(CeO):活性アルミナ質量比=1:24
白金族元素の担持量(白金族元素+活性アルミナ+ジルコニウム−セリウム−イットリウム複合酸化物合計量基準):0.8%
白金族元素担持活性アルミナのEPMA法測定平均粒子径:4μm
なお、白金族元素担持活性アルミナの分布写真によれば、この活性アルミナ粒子は均一に分散していた。
比較例4
実施例1において、ジルコニウム−セリウム複合酸化物に替えて酸化ジルコニウムと酸化セリウムの混合物(ZrO:CeO=100:35)を用いた以外は実施例1と同様にして比較用触媒(i)を製造した。
比較例5
実施例1において、ジルコニウム−セリウム複合酸化物を用いなかった以外は実施例1と同様にして比較用触媒(j)を製造した。
実施例6
触媒(a)〜(e)および比較用触媒(f)〜(j)について、以下の加速耐久試験を行い、その耐久性を評価した。
各触媒を7×7×10mmのサイズに切り出し、耐火物で保温したインコネル製反応管に充填した。炭素水素ガスとして都市ガス13A(メタン88容量%、硫黄含有量5ppm)を、また酸素含有ガスとして空気を使用し、酸素/炭素比が0.5/1となるように混合した原料ガスを200℃に予熱した後、空間速度(STP)400,000h−1で触媒層に供給し、部分酸化反応を行った。
部分酸化反応ガスをガスクロマトグラフィー(島津製作所製ガスクロマトグラフィーGC−8A)を用いて分析し、反応初期と150時間経過後のメタン転化率を求めた。また、同様にして、水素選択率を求めた。
メタン転化率(%)=(CO+CO)/(CO+CO+CH))(×100)
(ここで、CO、COおよびCHは、それぞれ、反応管出口での一酸化炭素、二酸化炭素およびメタンの濃度を表す。)
水素選択率(%)=(1/2H)/(CO+CO)(×100)
(ここで、H、COおよびCOは、それぞれ、反応管出口での水素、一酸化炭素および二酸化炭素の濃度を表す。)
結果を表1および表2に示す。
Figure 2005058972
Figure 2005058972
(*):反応開始50時間後にすでにメタン転化率が40%を下回ったので、その時点で反応を終了した。
触媒(a)と触媒(b)との比較により、ジルコニウム−セリウム複合酸化物にイットリウムを添加すると、メタン転化率の低下が抑制され、触媒の耐久性が更に向上することがわかる。
比較用触媒(f)および比較用触媒(g)は、酸化ジルコニウム:酸化セリウム(質量比)が本発明で規定する範囲外にあり、触媒(a)および触媒(b)と比較してメタン転化率の低下が著しく、耐久性が劣っていることがわかる。
触媒(c)は、白金族元素がジルコニウム−セリウム複合酸化物および活性アルミナの全体に担持された触媒であり、触媒(a)および触媒(b)は、白金族元素が活性アルミナの一部に担持されたものである。そして、触媒(c)と触媒(a)、(b)との比較により、白金族元素を活性アルミナの一部に担持させたほうがメタン転化率の低下が少なく、耐久性に優れた触媒が得られることがわかる。しかし、触媒(c)でも、酸化ジルコニウム:酸化セリウム(質量比)を100:1とした比較用触媒(h)に比べると、耐久性は大幅に改善されている。
触媒(d)は、白金−ロジウム担持活性アルミナ粒子のEPMA法平均粒子径は0.5μm未満であり、一方触媒(a)は同組成ではあるが、EPMA法平均粒子径は4μmであり、両者を比較すると、触媒(d)は触媒(a)よりも耐久性が若干劣っている。このことから、白金−ロジウム担持活性アルミナ粒子のEPMA法平均粒子径が0.5μm以上のほうが耐久性に優れていることがわかる。
触媒(e)は、白金族元素としてイリジウムを使用したものであり、白金、ロジウムを用いた触媒(a)および触媒(b)と同様の耐久性を有している。
触媒(a)と比較用触媒(i)との比較により、ジルコニウム−セリウム複合酸化物ではなく、酸化ジルコニウムと酸化セリウムとの混合物を用いたのでは、高活性で耐久性に優れた部分酸化用触媒を得ることができないことがわかる。
また、触媒(a)と比較用触媒(j)との比較により、ジルコニウム−セリウム複合酸化物を含まない触媒成分をモノリス担体に担持しても、高活性で耐久性に優れた部分酸化用触媒を得ることができないことがわかる。

Claims (7)

  1. モノリス担体に触媒成分を担持させてなる炭化水素部分酸化用触媒であって、該触媒成分が(A)白金族元素、(B)ジルコニウム−セリウム複合酸化物および(C)耐火性無機酸化物を含有し、また該ジルコニウム−セリウム複合酸化物中のジルコニウムとセリウムとの割合が、酸化ジルコニウム(ZrO):酸化セリウム(CeO)(質量比)として、100:2〜100:100であることを特徴とする炭化水素部分酸化用触媒。
  2. ジルコニウム−セリウム複合酸化物がさらにセリウム以外の希土類元素の少なくとも1種を含有している請求項1記載の炭化水素部分酸化用触媒。
  3. 白金族元素が耐火性無機酸化物の一部または全部に担持量0.4〜40質量%で担持されている請求項1または2記載の炭化水素部分酸化用触媒。
  4. 白金族元素を担持した耐火性無機酸化物のEPMA法平均粒子径が0.5〜20μmの範囲にある請求項3記載の炭化水素部分酸化用触媒。
  5. 請求項1の炭化水素部分酸化用触媒を製造するにあたり、白金族元素を耐火性無機酸化物の一部または全部に担持して白金族元素担持耐火性無機酸化物を調製した後、該担持耐火性無機酸化物を残余の未担持耐火性無機酸化物およびジルコニウム−セリウム複合酸化物と、またはジルコニウム−セリウム複合酸化物と混合してスラリーを調製し、該スラリーをモノリス担体と接触させた後、乾燥、焼成することを特徴とする炭化水素部分酸化用触媒の製造方法。
  6. 炭化水素と酸素とを含有する原料ガスを請求項1の炭化水素部分酸化用触媒に接触させて炭化水素を部分酸化し水素含有ガスを製造することを特徴とする水素含有ガスの製造方法。
  7. 原料ガスが水蒸気を含む請求項6記載の水素含有ガスの製造方法。

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