JP4875295B2 - 部分酸化用改質触媒および改質方法 - Google Patents

部分酸化用改質触媒および改質方法 Download PDF

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Description

本発明は、硫黄化合物を含有する炭化水素系化合物を改質する部分酸化用改質触媒および改質方法に関する。
主に水素と一酸化炭素からなる水素含有ガスは、水素ガス製造用の他に還元用ガス、更には各種化学製品の原料等として広く活用されており、最近では、燃料電池用燃料等としても実用化研究が進められている。このような水素含有ガスは、炭化水素系化合物の改質によって得られ、改質方法には下記式で示される炭化水素の部分酸化法がある。
Figure 0004875295
炭化水素の部分酸化法は、触媒の存在下に炭化水素を空気などの酸素含有ガスにより部分的に酸化して水素含有ガスを製造するものであり、上記式は炭化水素がメタンの場合の部分酸化反応式である。
このような改質反応には、メタノール、LPガス、天然ガス、ガソリン、軽油、灯油等から水素を取りだして使う方法があるが、インフラの点で都市ガスは実用化に近い燃料の一つと考えられる。しかしながら、都市ガスやLPガスには、メルカプタンなどの硫黄分が含まれるため、これらの直接導入による改質触媒、CO変成触媒等の被毒、性能劣化が問題となっている。
硫黄分による問題を回避するための手段として、脱硫装置を併設し、原料ガスから予め硫黄分を除去してから部分酸化法に供するなど、各種防止策が提案されている。しかしながらこれら防止策を講じる場合、併設する装置の設置コストやメンテナンスコストが生じるため、製造コストが上昇するという問題が新たに生じてくる。
これに対し、硫黄系化合物含有炭化水素の改質反応において、硫黄被毒による触媒劣化を抑制した触媒として、ジルコニア系複合化合物酸化物に白金を担持した触媒が提案されている(特許文献1)。該文献では、部分酸化反応では、性能劣化が著しく原料ガスに水および空気を含有することが、硫黄被毒に対する触媒の耐久性を確保する点で必須であると述べている。
特開2002−121006号公報
改質反応は高温で実施する必要があり、触媒の耐久性が問題となり、特に原料ガスに硫黄を含む場合には、触媒寿命が問題となる。
この触媒寿命は、改質時の温度にも依存し、低温で効率的な改質が行われると触媒寿命を延長することができる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、含硫黄成分を含有する炭化水素化合物を原料とする場合であっても、触媒活性の劣化を抑止し、耐被毒性にも優れ、高活性で、しかも長期耐久性を有する部分酸化用改質触媒、およびその改質方法を提供することである。
本発明者らは、含硫黄化合物を含む炭化水素系化合物の改質反応について詳細に検討した結果、白金とロジウムとの含む触媒を用いると触媒層の温度の上昇を抑制でき、熱的負荷を抑制し、この結果、耐久性を向上させて触媒寿命を延長できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の部分酸化用改質触媒によれば、原料ガスが硫黄化合物を含む場合であっても、低温で改質反応を行うことができ、かつ硫黄化合物による被毒を抑制できる。このため、本発明の部分酸化用改質触媒は、長期使用が期待される燃料電池、例えば固体酸化物型燃料電池、固体高分子型燃料電池への組み込みに適する。
本発明の第一は、硫黄化合物を含有する炭化水素系化合物を改質する改質触媒であって、白金およびロジウムを含有することを特徴とする部分酸化用改質触媒である。以下本発明を詳細に説明する。
本発明ではパラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、オスミウム、イリジウムなどの白金族元素の中から、白金およびロジウムを含有することが不可欠である。後記する実施例に示すように、硫黄化合物を含有する場合であっても、ロジウム単独の場合よりも触媒層最高温度が有意に低下した条件で部分酸化反応を進行させることができる。
ロジウムに対する白金の質量比(ロジウム:白金質量比)は好ましくは5:100〜100:10であり、より好ましくは5:100〜100:50、特に好ましくは5:100〜100:100である。100:10よりも白金が少なくなると触媒層最高温度の低減が不十分となり耐久性向上効果がない場合があり、不利である。一方、5:100よりも多く白金を添加しても白金使用によるコスト上昇に対する効果が十分に得られない場合がある。
本発明では、上記白金およびロジウムに加えて、更に酸化セリウムを含むことが好ましい。より好ましくは酸化セリウムおよび酸化ジルコニウムを含み、かつ酸化セリウムと酸化ジルコニウムが、セリウム−ジルコニウム複合酸化物として含まれていることが望ましい。酸化セリウムと酸化ジルコニウムの含有量比は、酸化セリウム(CeO)および酸化ジルコニウム(ZrO)に換算して、100:2〜2:100(質量比)である。酸化セリウムの含有量が酸化ジルコニウムよりも多い場合、酸化セリウムと酸化ジルコニウムの含有量比は100:2〜100:60であることが好ましく、より好ましくは100:4〜100:40である。酸化ジルコニウムの含有量が酸化セリウムよりも多い場合は、酸化セリウムと酸化ジルコニウムの含有量比は2:100〜100:100であることが好ましく、より好ましくは10:100〜60:100、特に好ましくは20:100〜40:100である。
一方、セリウムとジルコニウムとが複合酸化物を形成していることは、基本的にはX線回折分析において含有量の少ない方の酸化物のピークが検出されないことで確認することができる。しかし、調製条件によっては、酸化セリウム(CeO):酸化ジルコニウム(ZrO)(質量比)が100:50〜50:100である場合、含有量が少ない方の酸化物の結晶度の低いブロードなピークがX線回折で認められることがある。そこで、本発明においては、このような緊密に混合した状態の酸化物(intimate mixture)も含めて、「セリウム−ジルコニウム複合化合物」という。セリウム−ジルコニウム複合酸化物において、酸化セリウム(CeO)と酸化ジルコニウム(ZrO)の質量比を100:2〜2:100の範囲に調整することにより、高活性で、耐久性に優れ、かつ炭化水素の分解能および部分酸化機能に優れる改質触媒を得ることができる。このような優れた効果が発揮される理由は明確でないが、酸化セリウムは酸素吸蔵能を有し、酸素の放出あるいは取り込みを行うことにより活性成分である白金族元素の電子状態を変化させる効果を有し、酸化セリウム(CeO)と酸化ジルコニウム(ZrO)の質量比が100:2〜2:100の範囲であるセリウム−ジルコニウム複合酸化物においてはその効果がさらに大きくなるものと考えている。
なお、セリウム−ジルコニウム複合酸化物は、例えば、下記の方法に従って容易に調製することができる。
(1)セリウム塩水溶液とジルコニウム塩水溶液とを混合した後、乾燥、焼成する。
(2)セリウム塩水溶液とジルコニウム塩水溶液とを混合し、アンモニウム化合物などを用いて共沈させた後、乾燥、焼成する。
(3)セリウム酸化物とジルコニウム酸化物とを混合した後、固相反応させる。
(4)セリウム酸化物にジルコニウム塩水溶液を浸した後、乾燥、焼成する、あるいはジルコニウム酸化物にセリウム塩水溶液を浸した後、乾燥、焼成する。
(5)活性アルミナなどの耐火性無機酸化物上にセリウム塩水溶液とジルコニウム塩水溶液とを含浸させた後、乾燥、焼成する。
この際、セリウム原料およびジルコニウム原料については特に制限はなく各種化合物を用いることができる。セリウム原料としては、市販の酸化セリウムや酸化セリウムゾル、硝酸セリウム、塩化セリウム、炭酸セリウム、酢酸第一セリウムなどのセリウム塩化合物、またこれらから調製した酸化セリウムや水酸化セリウムを用いることができる。ジルコニウム原料としては、市販の酸化ジルコニウムや酸化ジルコニウムゾル、四塩化ジルコニウムなどの各種のハロゲン化物またはこれらの部分加水分解生成物、塩化ジルコニル(オキシ塩化ジルコニウム)などの各種オキシハロゲン化物、硫酸ジルコニル、硝酸ジルコニウム、硝酸ジルコニルなどの各種酸素酸塩、炭酸ジルコニウム、炭酸ジルコニルなどの炭酸塩、酢酸ジルコニウム、酢酸ジルコニル、シュウ酸ジルコニルなどの各種有機酸塩、ジルコニウムのアルコキシド、各種の錯塩などを用いることができる。
前記方法(1)〜(5)における焼成は、例えば、空気中300〜800℃、好ましくは400〜800℃で0.5〜3時間程度行えばよく、これによってセリウム−ジルコニウム複合酸化物が得られる。
白金およびロジウムは、耐火性無機酸化物に担持されていることが好ましい。このような耐火性無機酸化物としては、活性アルミナ、ジルコニア、シリカ、チタニア、スピネル、ムライト、アルミナ−シリカ、チタニア−シリカなどが挙げられる。これらは、単独でも、あるいは2種以上組み合わせて使用することもできる。これらのなかでも、活性アルミナは、BET比表面積が大きく、反応ガスとの接触面積が大きくなるため部分酸化反応を向上でき、また高温耐熱性に優れていることから、特に好適に用いられる。また、活性アルミナは、後述するように、白金族元素を担持させると、長期間にわたって白金属元素の特性を保持することができる。活性アルミナとしては、α−アルミナ、γ−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ、η−アルミナなどを挙げることができる。なかでも、比表面積が25〜250m/gの活性アルミナが好適に用いられる。
活性アルミナとしては、通常、市販のアルミナ粉体が用いられる。そのほか、モノリス担体に担持した後、焼成することにより活性アルミナとなるベーマイトや擬ベーマイト状態のアルミナ水和物、水酸化アルミニウムなどを用いてもよい。また、硝酸アルミニウムなどのアルミニウム塩水溶液にアルカリを加えて水酸化物の沈殿を生成させ、これを乾燥、焼成して得られる活性アルミナでもよい。また、アルミニウムイソプロポキシドなどのアルコキシドを加水分解してアルミナゲルを調製し、これを乾燥、焼成するゾル・ゲル法によって得られる活性アルミナでもよい。
ジルコニアとしては、市販のジルコニア粉体を用いることができる。そのほか、ジルコニアゾル、四塩化ジルコニウムなどの各種のハロゲン化物またはこれらの部分加水分解生成物、塩化ジルコニル(オキシ塩化ジルコニウム)などの各種オキシハロゲン化物、硫酸ジルコニル、硝酸ジルコニウム、硝酸ジルコニルなどの各種酸素酸塩、炭酸ジルコニウム、炭酸ジルコニルなどの炭酸塩、酢酸ジルコニウム、酢酸ジルコニル、シュウ酸ジルコニルなどの各種有機酸塩、ジルコニウムのアルコキシド、各種の錯塩などを乾燥、焼成して得られるジルコニアでもよい。なお、本願では、上記ジルコニウム酸化物としてもジルコニアを使用でき、耐火性無機酸化物としてジルコニアを使用することもできる。ジルコニアの含有量の換算においては、白金およびロジウムを担持させる担体としてジルコニアが使用される場合には、耐火性無機酸化物として算出するものとする。
本発明では、耐火性無機酸化物に対する酸化セリウムの質量比(耐火性無機酸化物:酸化セリウム質量比)は特に限定されないが、耐火性無機酸化物:酸化セリウムの質量比で好ましくは100:15〜100:60、より好ましくは100:20〜100:40とすることが好ましい。上記範囲で、触媒層が約700〜1000℃程度の高温に晒され、原料ガス中に硫黄分が同伴される場合であっても、高温下での触媒活性劣化を抑止し、また耐熱性が良好であり、経時的に長時間安定した触媒活性を維持することができるからである。特に耐火性無機酸化物として活性アルミナを使用する場合に優れる。白金およびロジウムが上記範囲で含まれる場合に高濃度で酸化セリウムが添加されると、熱的な触媒活性の低下抑止効果のみならず、硫黄などの触媒毒成分による被毒の抑止及び炭素析出の抑止にも有効に作用し、長期間安定して優れた触媒作用を維持することができる。
本発明の部分酸化改質触媒が、白金およびロジウムが担持された耐火性無機酸化物を含む場合、前記白金および前記ロジウムを少量の前記耐火性無機酸化物に高い担持率で担持させることが耐久性向上のため好ましい形態である。前記耐火性無機酸化物に担持されている前記白金および前記ロジウムの合計担持量(耐火性無機酸化物および白金族元素の合計量に対する割合)が3〜30質量%、より好ましくは5〜20質量%であることが望ましい。
また、完成触媒において、耐火性無機酸化物の平均粒子径(下記測定方法により求めたものであり、本発明では、「EPMA法平均粒子径」という。)は1〜20μm、好ましくは1〜10μmの範囲にあることが望ましい。
<測定方法>
完成触媒の被覆(コーティング)層をエレクトロン・プルーブ・アナライザー(Electron Probe Micro Analyzer)(EPMA)を用い、3000倍の倍率で、白金族元素のX線像を無作為に30ヶ所撮影し、これらの写真中の粒子径を測定し、その測定値に基づいて平均粒子径を求める。
本発明の改質触媒では、更に、セリウム以外の希土類が含まれていてもよい。このような希土類の添加方法としては、前記方法(1)〜(5)の出発原料に該希土類元素を添加しておけば容易に希土類が含まれるセリウム−ジルコニウム複合酸化物を調整することができる。
本発明では、上記のほかに、更にその他の成分を含んでいてもよく、このような成分としては卑金属がある。卑金属としては、周期表I、II、IIIB、IV、V、VIB、VIIBおよびVIII属に属するNa、K、Cs、Ni、Co、Fe、Cr、Cu、V、Pr、Mg、Mo、W、Mn、Zn、Ga、Y、Ti、Ba、Re、Bi、Nb、Ta、La、Ag、Au等の金属が例示される。これらの卑金属は金属、金属酸化物、あるいは貴金属元素との固溶体等として触媒中に存在し、貴金属の触媒作用を促進させたり、安定化等に寄与したり、水素選択率を高める効果を発揮する。
触媒の形状
本発明の触媒の形状は、球状、粒状、ペレット、モノリスなどの担体に上記成分を担持させたものをはじめ、その他いずれの形状であってもよく、公知の方法で成形することができる。
この中で、モノリス担体を使用すると他の形状の担体よりも低圧損性、耐粉化性に優れ、特に改質装置への充填などの取り扱いが容易となる。また、その素材としては、例えばコージェライト、ムライト、α−アルミナ、ジルコニア、チタニア、アルミナ・シリケート、珪酸マグネシウム等の酸化物や珪酸塩;ステンレス、Fe−Cr−Al合金等の耐熱合金などが好ましいものとして挙げられる。これらを1種、或いは数種組合せてモノリス担体とすることができる。これらの中でも、高い耐熱強度を有し、且つ耐熱衝撃性にも優れているコージェライトを主体とする担体は最も好ましい担体として推奨される。モノリス担体には平行方向に貫通した孔が多数形成されているが、孔の形状は円形、或いは3角、4角、6角などの多角形など任意の形状でよく、また孔の大きさも特に限定されない。
担体のセル密度は特に限定されないが、反応ガスとの接触効率を高めるためには好ましくは150〜600セル/平方インチ、より好ましくは250〜600セル/平方インチであることが推奨される。セル密度が大き過ぎると目詰まりを生じることがある。またセル密度が小さ過ぎると、十分な触媒効率が得られないことがある。
このようなモノリス担体に上記成分を担持させる場合の担持量については特に制限はないが、少なくとも白金およびロジウムの合計が、一般にはモノリス担体1L当たり0.1〜15g、好ましくは0.3〜10gである。0.1gを下回ると十分な触媒活性が得られないことがあり、15gを超えても白金族元素使用によるコスト上昇に対する効果が十分得られない。
触媒の調製方法
本発明の部分改質触媒は、白金とロジウムとを含有すれば特に調製方法に制限はない。改質装置への導入の容易さからモノリス担体に白金とロジウム、複合酸化物その他耐火性無機酸化物を担持させる場合の好ましい調製方法について記載する。
<方法1>
白金およびロジウムを含む溶液、通常、水溶液とセリウム−ジルコニウム複合酸化物と耐火性無機酸化物とをボールミルなどの粉砕機に供給し、湿式粉砕によってスラリーを調製し、このスラリーにモノリス担体を接触させた後、乾燥し、焼成する。
白金源としては、白金族元素の各種化合物を用いることができる。例えば、白金化合物としては、PtCl、HPtCl、Pt(NHCl、(NHPtCl、HPtBr、NH[Pt(C)Cl]、Pt(NH(OH)、Pt(NH(NOなどを挙げることができる。ロジウム化合物としては、(NHRhCl、Rh(NH)Cl、RhCl、Rh(NOなどを挙げることができる。
スラリーを調製する際には、スラリーの粘度調節や安定性改善のため、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、シュウ酸などの酸類、アンモニアや水酸化テトラアンモニウムなどの塩基性化合物、ポリアクリル酸やポリビニルアルコールなどの高分子化合物などを必要に応じて添加してもよい。
モノリス担体とスラリーとの接触方法としては特に限定されず、含浸法、浸漬法、湿式吸着法、スプレー法、塗布法などの方法が採用できるが、含浸法が好ましい。また接触時の条件も適宜変更できる。例えば接触操作を大気圧下或いは減圧下で行なうことができる。接触時の温度も特に制限はなく、必要により加熱してもよく、好ましくは室温から90℃程度の範囲内で行えばよい。モノリス担体をスラリーに浸漬させると均一に触媒成分を担持させることができるので、この浸漬方法が好適に用いられる。浸漬後は、モノリス担体に付着している過剰なスラリー(例えば、セル内に残存しているスラリー)をエアブローなどの方法によって除去した後、乾燥するのがよい。本発明では白金とロジウム(以下、白金族元素と称する場合もある。)とを耐熱性無機酸化物に担持させることも好ましい。この場合、白金源とロジウム源を含む溶液とを調製し、この溶液に耐熱性無機酸化物を接触させて2種の白金族元素を同時に担持させてもよい。或いは白金族元素源を含む溶液を個別に調製し、該溶液に耐熱性無機酸化物を順次接触させてもよい。
乾燥方法についても特に制限はなく、スラリーの水分を除去し得る方法であればいずれも用いることができる。乾燥は常温下、あるいは高温下のいずれでもよい。乾燥後に焼成すると触媒成分をモノリス担体に強固に定着させることができる。焼成条件については、例えば、空気中または還元雰囲気下に400〜800℃で焼成すればよい。一回の操作で必要量の触媒成分を担持できないときは、上記浸漬−乾燥−焼成の操作を繰り返して行えばよい。
<方法2>
白金族元素を耐火性無機酸化物の一部または全部に担持させた後、この白金族元素を担持した耐火性無機酸化物を、白金族元素を担持させてない残余の耐火性無機酸化物とセリウム−ジルコニウム複合酸化物とともに、あるいはセリウム−ジルコニウム複合酸化物とともにボールミルなどの粉砕機に供給し、湿式粉砕によってスラリーを調製し、このスラリーにモノリス担体を接触させた後、乾燥し、焼成する。
白金族元素を耐火性無機酸化物に担持させるには、前記方法1で説明した操作に準じて、白金族元素源の溶液を耐火性無機酸化物と接触させた後、乾燥、焼成すればよい。具体的に、耐火性無機酸化物として活性アルミナを用いる場合を例に挙げて説明すると、所望の白金族元素の担持量となるように、白金族元素源を溶解した溶液、通常、水溶液に活性アルミナを接触させた後、乾燥、焼成する。
白金族元素源の溶解性の向上、pH調整などを目的として、水溶液に塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸、酢酸、シュウ酸などの有機酸を添加してもよい。
上記白金とロジウム含有水溶液と活性アルミナとを接触させ、乾燥した後、空気中または還元雰囲気下に、例えば、300〜600℃の範囲の温度で2〜6時間程度焼成することにより、白金族元素を担持させた活性アルミナが得られる。
その後のスラリーの調製、モノリス担体との接触、焼成などについては、前記方法1のところで述べた方法に準じて行うことができる。
本発明では、白金およびロジウムを担持した耐火性無機酸化物において、耐火性無機酸化物のEPMA法平均粒子径は、1〜20μmの範囲にあることが望ましい。白金およびロジウムを担持した耐火性無機酸化物は製造条件によっては凝集して粒子径が大きくなることもあるが、例えば、スラリー調整時の湿式粉砕工程での粉砕時間などを調整することにより、例えば1〜20μmの範囲とすることができる。
<方法3>
白金およびロジウムをセリウム−ジルコニウム複合酸化物の一部または全部に担持させた後、この白金およびロジウムを担持したセリウム−ジルコニウム複合酸化物を、白金族元素を担持させてない残余のセリウム−ジルコニウム複合酸化物と耐火性無機酸化物とともに、あるいは耐火性無機酸化物とともにボールミルなどの粉砕機に供給し、湿式粉砕によってスラリーを調製し、このスラリーにモノリス担体を接触させた後、乾燥し、焼成する。方法3は、前記方法2のところで述べた方法に準じて行うことができる。
上記成分のほかに他の成分を含ませる場合には、例えば、各金属元素の塩化合物や酸化物を上記スラリーに混合したり、あるいはセリウム−ジルコニウム複合酸化物や耐火性無機酸化物に予め固定化して使用すればよい。この固定化には、上記耐火性無機酸化物に白金族元素を担持させる場合と同様の方法を採用することができる。
次に、上述した部分酸化用改質触媒を用いて改質する方法について説明する。
本発明によれば、硫黄化合物を含有する炭化水素系化合物の部分酸化反応に適する。
炭化水素系化合物としては、メタン、プロパン、ブタン、ヘプタン、ヘキサンなどの軽質炭化水素、ガソリン、灯油、ナフサなどの石油系炭化水素などを用いることができる。また、原料ガス中に触媒毒となる硫黄分が含まれていても、これを除去することなく、低温で改質反応を行うことができる。都市ガスなどは資源的にも豊富であり、入手が容易であるため好適に用いられる。
都市ガスは、一般的に、ガスタンクに貯蔵した後に圧力を下げて配管などを介して供給される。都市ガスの組成は、メタンを主成分とするガスであり、好ましくはメタンを70wt%、特に好ましくは80wt%以上含む。
硫黄化合物としては、たとえば都市ガスに付臭剤として添加されるメルカプタン、チオフェン、スルフィドなどがある。本発明の方法においては、原料ガス中に触媒毒となる硫黄分が含まれていても、これを除去することなく、低温で改質反応を行うことができる。ロジウムのみを担持した触媒は確かに、脱硫器を設置し硫黄系化合物を除去した場合は良好な性能が得られるが、経時的あるいは何らかのトラブルにより脱硫器の性能が低下し、硫黄系化合物が除去されずに触媒に供給される場合には触媒性能および耐久性の低下が起こる恐れが十分ある。一方、本発明の触媒では、たとえ装着された脱硫器の性能が経時的あるいは何らかのトラブルにより脱硫性能が低下した場合でも触媒性能および耐久性への悪影響は小さいことは明白である。
本発明の改質方法において、原料ガスは、通常、炭化水素含有ガスと酸素含有ガスとを混合して得られる。酸素含有ガスとしては、通常、空気が用いられる。炭化水素含有ガスと酸素含有ガスとの割合については、炭素原子1個当たりの酸素分子のモル数(酸素分子/炭素原子比)が0.45〜0.75、好ましくは0.48〜0.6となるようにするのが、効率的な炭化水素の部分酸化のために好ましい。
圧力は、常圧以上であって5MPa・G以下、好ましくは3MPa・G以下とするのがよい。ガス空間速度(SV)は3,000〜500,000H−1、好ましくは10,000〜300,000H−1とするのがよい。温度については、触媒の熱劣化を防ぎつつ、効率的な改質反応を行うために、触媒層温度が600〜1,000℃、好ましくは700〜950℃の範囲内となるようにするのがよい。
尚、従来の部分酸化反応では、炭素の析出を防止するために水蒸気を添加する必要があるが、本発明の触媒を用いる場合、水蒸気を添加しなくても炭素の析出が実質的に生じない(ゼロ或いは触媒に影響のない極微量)。したがって本発明では水蒸気を添加しなくてもよい。尚、水蒸気を添加すると部分酸化反応時の水素生成比率が上昇する効果が得られる。水蒸気を添加するとコストが上昇するが、本発明の場合、水蒸気の添加によって水素生成比率が向上するため、水蒸気添加によるコスト上昇に見合った効果が得られる。水蒸気を添加した場合、発熱反応(炭化水素の酸化反応)と吸熱反応(炭化水素と水蒸気の反応)が起こるため、水蒸気を添加しない場合と比べて発熱量を抑えることができる。
触媒層温度を上記範囲内に維持して接触部分酸化反応を行うには、例えば、原料ガスを予熱してから触媒層に導入する方法や触媒層を加熱する方法を採用することができる。
原料ガスを予熱する方法の場合、予熱温度は炭化水素の種類、原料ガスの組成、反応条件などによって異なるが、一般的には200〜700℃、好ましくは300〜600℃に加熱するのがよい。触媒層での反応が開始した後は、反応熱によって触媒層温度が上昇し、反応が自立するため、原料ガスを予熱しなくてもよい。もちろん、反応システム全体の熱バランスなどを考慮して、必要に応じて、原料ガスの予熱を継続してもよい。
触媒層を加熱する方法の場合は、原料ガスの導入に先立って、触媒層を200〜700℃、好ましくは300〜600℃に加熱しておき、反応開始後に触媒層の加熱を停止してもよい。
本発明の改質方法によって得られる改質ガスは、このままでも燃料電池の燃料や、化学工業用原料として使用できる。特に燃料電池の中でも、高温作動型と類別される溶融炭酸塩型燃料電池や固体酸化物型燃料電池は、水素以外にも一酸化炭素や炭化水素も燃料として利用できるので、これらの燃料電池に本発明の触媒や該触媒反応によって得られた水素含有ガスを用いることも望ましい。
尚、高温作動型燃料電池は原理的には電極の触媒作用により炭化水素の部分酸化反応を電池の中で行うこと(内部改質)ができるとされている。しかしながら実際は、炭化水素の種類や炭化水素に含まれている不純物によって炭素析出などの問題が生じるため、炭化水素全量を内部改質できないことがある。したがって炭化水素を燃料電池に導入する前に、炭化水素を予備処理する必要があるが、本発明の触媒を使用して該予備改質も好適に行うことができる。
また本発明の改質方法で得られる水素含有ガスを、更にCO変性反応で一酸化炭素濃度を低減したり、深冷分離法、PAS法、水素貯蔵合金或いはパラジウム膜拡散法などにより不純物を除去し、高純度の水素ガスを得ることができる。例えば、一酸化炭素を低減させるには改質ガスに水蒸気を添加し(或いは添加せずに)、一酸化炭素変性器でCO変性反応を行い、一酸化炭素を炭酸ガスに酸化すればよい。CO変性反応に用いる触媒としては、例えば銅主体、或いは鉄主体とする公知の触媒を用いて行えばよい。また、該CO変性反応によって一酸化炭素濃度を1%程度まで低減できるが、一酸化炭素は低温作動型固体高分子燃料電池に使用する電極の触媒作用を被毒する。したがってこの様な触媒の被毒を避けるためには、一酸化炭素濃度を10ppm以下にすることが望ましい。尚、一酸化炭素濃度を10ppm以下にするには、例えば上記CO変性反応後のガスに微量の酸素を添加し、一酸化炭素を選択的に酸化除去すればよい。
参考例1)
担体:断面積1インチ平方当り400個のセルを有するコージェライト製ハニカム担体(日本碍子製)を外径25.4mmφ×長さ77mm(担体容積39.0ml)に切り出し本触媒調製例の担体とした。
ロジウム−白金担持活性アルミナ:ロジウムを0.536g含有する硝酸ロジウム水溶液および白金を0.054g含有するジニトロジアミン白金の硝酸水溶液を混合した。この溶液に比表面積が155m/gの活性アルミナ(150g)を含浸させた後、150℃で一晩(15時間)乾燥させて水分を除去した。乾燥後、該粉体を空気中400℃で2時間焼成することにより、ロジウム(Rh):白金(Pt)(質量比)が100:10の割合で担持された活性アルミナを調製した。
スラリーの調製:上記ロジウム−白金担持活性アルミナ100.00g、純水および酢酸をボールミルに供給して湿式粉砕して水性スラリーを調製した。
触媒の製造:該スラリーに上記担体を浸漬させてスラリーを付着させてから取出し、次いで該担体に圧縮空気を吹付けてセル内に残存する余分なスラリーを除去した後、150℃で乾燥させて触媒成分を担体に付着させた後、空気中で1時間焼成(500℃)することにより、担体に触媒成分を5.5g担持させて触媒(a)を得た。
参考例2)
ロジウム−白金担持活性アルミナ:白金を0.268g含有するジニトロジアミン白金の硝酸水溶液を使用する以外は参考例1と同様にして触媒(b)を調製した。触媒(b)中のロジウム(Rh):白金(Pt)(質量比)は、100:50であった。
参考例3)
ロジウム−白金担持活性アルミナ:白金を0.536g含有するジニトロジアミン白金の硝酸水溶液を使用する以外は参考例1と同様にして触媒(c)を調製した。触媒(c)中のロジウム(Rh):白金(Pt)(質量比)は、100:100であった。
参考例4)
ロジウム−白金担持活性アルミナ:白金を2.679g含有するジニトロジアミン白金の硝酸水溶液を使用する以外は参考例1と同様にして触媒(d)を調製した。触媒(d)中のロジウム(Rh):白金(Pt)(質量比)は、20:100であった。
(実施例5)
ロジウム−白金担持活性アルミナ:白金を5.357g含有するジニトロジアミン白金の硝酸水溶液を使用する以外は参考例1と同様にして触媒(e)を調製した。触媒(e)中のロジウム(Rh):白金(Pt)(質量比)は、10:100であった。
(比較例1)
ロジウム担持活性アルミナ:ロジウムを0.536g含有する硝酸ロジウム水溶液を用い、参考例1と同様にしてロジウム(Rh)のみが担持された活性アルミナを調製した。
上記ロジウム担持活性アルミナを用いて参考例1と同様にして比較用触媒(f)を調製した。
(比較例2)
白金担持活性アルミナ:白金を1.607g含有するジニトロジアミン白金の硝酸水溶液を用い、参考例1と同様にして白金(Pt)のみが担持された活性アルミナを調製した。
上記白金担持活性アルミナを用いて参考例1と同様にして比較用触媒(g)を調製した。
(比較例3)
パラジウム担持活性アルミナ:パラジウムを1.607g含有する硝酸パラジウム水溶液を用い、参考例1と同様にして、パラジウム(Pd)のみが担持された活性アルミナを調製した。
上記パラジウム担持活性アルミナを用いる以外は参考例1と同様にして比較用触媒(h)を得た。
(比較例4)
パラジウム−白金担持活性アルミナ:パラジウムを0.804g含有する硝酸パラジウム水溶液および白金を0.804g含有するジニトロジアミン白金の硝酸水溶液を混合し、参考例1と同様にして、パラジウム(Pd):白金(Pt)(質量比)が100:100の割合で担持された活性アルミナを調製した。
上記パラジウム−白金担持活性アルミナを用いる以外は参考例1と同様にして比較用触媒(i)を得た。
参考例6)
ロジウム−白金担持活性アルミナ:ロジウムを0.268g含有する硝酸ロジウム水溶液および白金を1.339g含有するジニトロジアミン白金の硝酸水溶液を混合し、実施例1と同様にして、ロジウム(Rh):白金(Pt)(質量比)が20:100の割合で、ロジウムおよび白金の合計担持量が1.06質量%で、担持された活性アルミナを調製した。
スラリーの調製:上記ロジウム−白金担持活性アルミナ73.89g、比表面積70m/gの酸化セリウム26.11g、純水および酢酸をボールミルに供給して湿式粉砕して水性スラリーを調製した。
触媒の製造:該スラリーに参考例1で使用した上記担体を浸漬させてスラリーを付着させてから取出し、次いで該担体に圧縮空気を吹付けてセル内に残存する余分なスラリーを除去した後、150℃で乾燥させて触媒成分を担体に付着させた後、空気中で1時間焼成(500℃)することにより、触媒成分を担体に強固に担持させた。この触媒成分が担持された担体をさらに上記スラリーに浸漬し、同じ操作を繰り返して担体に触媒成分を7.5g担持させて触媒(j)を得た。
触媒(j)でのEPMA法平均粒子径は0.7μmであった。
参考例7)
セリウム−ジルコニウム複合酸化物:炭酸セリウム粉体を400℃で2時間焼成し、次いで粉砕することにより酸化セリウム粉末を得た。この酸化セリウム粉末に酸化セリウム:酸化ジルコニウムの質量比が100:20となるようにオキシ硝酸ジルコニウム水溶液を添加し均一に混合した。得られた混合スラリーを120℃で乾燥させて水溶液を除去した後、空気中500℃で1時間焼成することによりセリウム−ジルコニウム複合酸化物を調製した。
スラリーの調製:参考例6で使用したロジウム−白金担持活性アルミナ70.22g、および上記セリウム−ジルコニウム複合酸化物29.78gと、純水および酢酸をボールミルに供給して湿式粉砕して水性スラリーを調製した。
上記スラリーを用いて参考例6と同様にして担体に触媒成分を7.9g担持させて触媒(k)を得た。
触媒(k)でのEPMA法平均粒子径は0.7μmであった。
(実施例8)
ロジウム−白金担持活性アルミナ:ロジウムを0.208g含有する硝酸ロジウム水溶液および白金を1.042g含有するジニトロジアミン白金の硝酸水溶液を混合させ、この溶液に比表面積が155m/gの活性アルミナ(10g)を含浸させ、参考例1と同様にして、ロジウム(Rh):白金(Pt)(質量比)が20:100の割合で、ロジウムおよび白金の合計担持量が11.11質量%で、担持された活性アルミナを調製した。
スラリーの調製:上記ロジウム−白金担持活性アルミナ6.70g、参考例7で使用した上記セリウム−ジルコニウム複合酸化物29.78gと、および比表面積105m/gの活性アルミナ63.52gと、純水および酢酸をボールミルに供給して湿式粉砕して水性スラリーを調製した。
上記スラリーを用いて参考例6と同様にして担体に触媒成分を7.9g担持させて触媒(l)を得た。
触媒(l)でのEPMA法平均粒子径は4μmであった。
(実施例9)
触媒(a)〜(e)および比較用触媒(f)について、原料炭化水素として都市ガス13A(メタン88容量%、硫黄含有量5ppm)の部分酸化反応を行い、性能を比較した。
耐火物で保温したインコネル製反応管に触媒を充填した。クロメル−アルメル(K)メタルシース熱電対(外径1mm)を触媒層に挿入し、触媒層温度を測定した。酸素含有ガスとして空気を使用し、酸素分子/炭素比が0.54/1となるように調製した混合ガスを反応ガスとして用いた。
反応ガスを400℃に予熱し、空間速度(STP)14,000h−1で触媒層に供給することにより反応を開始させた。反応開始後は反応ガスの予熱を止め、常温の反応ガスを触媒層に供給し、反応開始5時間後、触媒層温度の最高温度を測定した。
(参考例)
比較用触媒(f)について、硫黄分を脱硫した都市ガス13Aを原料炭化水素として実施例9と同様の反応を行った。脱硫剤には東京ガス製脱硫剤TOSPIX・94を使用した。
実施例9および参考例の実験結果を図1に示す。
比較用触媒(f)はロジウムのみを含有した触媒であるが、都市ガス13Aを脱硫処理した原料を使用した場合、触媒層最高温度は820℃であるのに対し、脱硫処理を行わず硫黄系化合物を含んだ都市ガス13Aをそのまま原料として使用した場合、触媒層最高温度は硫黄の影響により982℃まで上昇した。ロジウムに対して白金を添加した触媒(a)〜(e)では比較用触媒(f)よりも触媒層最高温度の上昇が抑制されていることがわかった。部分酸化反応における経時的活性低下は熱的負荷による劣化が支配的であることから、触媒(a)〜(e)は比較用触媒(f)よりも高い耐久性を有することが示唆される。
(実施例10)
触媒(a)、(d)、(j)、(k)、(l)および比較用触媒(f)〜(i)について以下の加速耐久試験を行い、その耐久性を評価した。
各触媒を7×7×10mmのサイズに切出し、耐火物で保温したインコネル製反応管に充填した。クロメル−アルメル(K)メタルシース熱電対(外径1mm)を触媒層に挿入し、触媒層温度を測定した。炭化水素原料ガスとして都市ガス13Aを脱硫処理せずにそのまま使用した。また酸素含有ガスとして空気を使用し、酸素分子/炭素比が0.52/1となるように調製した混合ガスを反応ガスとして使用した。
反応ガスを400℃に予熱しSV=150,000H−1で触媒層に供給することにより反応を開始させた。反応開始後は反応ガスの予熱温度を250℃に設定し、空間速度(STP)370,000h−1で触媒層に供給し、部分酸化反応を行った。
生成ガスをガスクロマトグラフィー(島津製作所:ガスクロマトグラフGC−8A)を用いて分析し、反応初期(反応開始3時間経過後)と100時間経過後の原料転化率を求めた。
Figure 0004875295
なお、上記式において、CO、COおよびCHは、それぞれ、反応管出口での一酸化炭素、二酸化炭素およびメタンの濃度を表す。
比較用触媒(f)および触媒(a)、(d)、(j)、(k)、(l)の結果を表1に示す。
Figure 0004875295
ロジウムに加えて白金を添加した触媒(a)、(d)は、ロジウムのみを担持した比較用触媒(f)と比較して、触媒層最高温度が低く、また経時的な原料転化率の低下も抑制され、触媒の耐久性が向上していることがわかる。
白金のみを担持した比較用触媒(g)の反応では、初期の原料転化率は60%、触媒層最高温度は955℃であったが、短期間のうちに触媒層最高温度が急激に上昇し、20時間経過後には1057℃に達し、その後徐々に温度が低下する傾向がみられた。原料転化率も30時間経過後に35%以下にまで低下したことから反応を終了した。このことから白金のみを担持した触媒は耐久性が著しく劣っていることがわかる。
パラジウムのみを担持した比較用触媒(h)の反応では、初期から触媒層温度が安定せず振動する現象がみられたため初期段階で反応を終了した。このことからパラジウムのみを担持した触媒は炭化水素の部分酸化反応には適していないことがわかる。
パラジウムと白金を質量比で100:100で担持した比較用触媒(i)の反応では、初期の原料転化率は60%、触媒層最高温度は948℃であったが、比較用触媒(h)と同様に触媒層最高温度が急激に上昇し、その後は徐々に温度が振動しながら低下する傾向が見られた。原料転化率も30時間経過後に35%以下にまで低下したことから反応を終了した。このことからパラジウムと白金を担持した触媒も耐久性が著しく劣っていることがわかる。
触媒成分に酸化セリウムを添加した触媒(j)は、酸化セリウムを添加していない触媒(d)と比較して、白金族元素の含有量が1/2にも関わらず、触媒層最高温度が低く、また経時的な原料転化率の低下も抑制され、触媒の耐久性が著しく向上していることがわかる。
酸化セリウムの代わりにセリウム−ジルコニウム複合酸化物を使用した触媒(k)は、酸化セリウムを使用した触媒(j)よりも高い耐久性を有することがわかった。
さらに、白金族元素を活性アルミナに高い担持率で担持し、白金族元素が担持された活性アルミナの平均粒子径が大きい触媒(l)は触媒(k)よりもさらに高い耐久性を有することがわかった。
(実施例11)
触媒(l)について、上記混合ガスにさらに水蒸気を水分子/炭素比が1/1の割合で添加したものを混合ガスとして用いた以外は、実施例10と同様にして加速耐久試験を行い、その耐久性を評価した。
Figure 0004875295
以上の結果から、水蒸気を添加した反応においても高い耐久性を有することがわかる。
本発明は、含硫黄化合物を含む炭化水素化合物を改質する場合でも、長期にわたり性能劣化の少ない改質触媒であり、特に原料ガスが含硫黄ガスにも好適に適用できる。
実施例9および参考例の結果を示す図である。

Claims (10)

  1. メルカプタン、チオフェン、スルフィドよりなる群から選択される少なくとも一つの硫黄化合物を含有する炭化水素系化合物を改質する部分酸化改質触媒であって、
    前記部分酸化改質触媒は白金、ロジウム、および耐火性無機酸化物をモノリス担体に被覆してなり、
    前記白金および前記ロジウムは前記耐火性無機酸化物の一部または全部に担持されており、
    前記白金および前記ロジウムが担持されている前記耐火性無機酸化物に対して前記白金および前記ロジウムの合計担持量が3〜30質量%であることを特徴とする部分酸化改質触媒。
  2. 前記ロジウムに対する前記白金の質量比(ロジウム:白金)が、5:100〜100:10であることを特徴とする請求項1記載の部分酸化改質触媒。
  3. 酸化セリウムおよび/またはセリウム−ジルコニウム複合酸化物を含有することを特徴とする請求項1または2記載の部分酸化改質触媒。
  4. 前記白金および前記ロジウムを担持させた前記耐火性無機酸化物のEPMA法平均粒子径が1〜20μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の部分酸化改質触媒。
  5. 前記ロジウムに対する前記白金の質量比(ロジウム:白金)が5:100〜20:100であることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の部分酸化改質触媒。
  6. 前記耐火性無機酸化物に対して前記白金および前記ロジウムの合計担持量が11.11〜30質量%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の部分酸化改質触媒。
  7. 前記白金およびロジウムを担持させた耐火性無機酸化物は白金源およびロジウム源を含む溶液と耐火性無機酸化物とを接触させた後、乾燥、焼成することにより得られることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の部分酸化改質触媒。
  8. メルカプタン、チオフェン、スルフィドよりなる群から選択される少なくとも一つの硫黄化合物を含有する炭化水素系化合物と、酸素または酸素含有ガスとの混合ガスとを、請求項1〜のいずれかに記載の部分酸化改質触媒に接触させ、炭化水素系化合物を部分酸化によって改質することを特徴とする、硫黄化合物を含有する炭化水素系化合物の改質方法。
  9. 前記混合ガスが、水蒸気を含むことを特徴とする、請求項8記載の改質方法。
  10. 前記炭化水素化合物が、都市ガスまたはLPガスであることを特徴とする、請求項8または9記載の改質方法。
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