JP2006181481A - 一酸化炭素選択酸化触媒およびその製造方法 - Google Patents

一酸化炭素選択酸化触媒およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 白金原子を含有するCO選択酸化触媒において、担体上の一の成分が他の成分により被覆されることにより生じる触媒活性の低下といった問題を解決する手段を提供する。
【解決手段】 一酸化炭素および水を含むガス中の一酸化炭素を選択的に酸化するためのCO選択酸化触媒であって、白金原子を含有する白金粒子が第1の無機担体に担持されてなる白金触媒粉末を含む白金触媒部と、コバルト、マンガン、ニッケル、および銅からなる群から選択される1種または2種以上の助触媒原子を含有する助触媒原子粒子が第2の無機担体に担持されてなる助触媒粉末を含む助触媒部とが前記ガスの流通方向に直列に配置されてなる、CO選択酸化触媒、並びに、一酸化炭素および水を含むガス中の一酸化炭素を選択的に酸化するためのCO選択酸化触媒。
【選択図】図1

Description

本発明は、一酸化炭素(以下、「CO」とも称する)を選択的に酸化するための、CO選択酸化触媒に関する。詳細には、本発明は、低温においても高いCO選択酸化活性を示すCO選択酸化触媒に関する。
近年、種々の水素−酸素燃料電池が開発されており、中でも、低温(通常100℃以下)で作動可能な固体高分子型燃料電池が注目を集め、自動車用低公害動力源としての実用化が検討されている。
固体高分子型燃料電池は、純粋な水素を燃料源として用いることがエネルギー効率の観点からは好ましいが、安全性やインフラの普及等を考慮すると、アルコール、ガソリン、軽油等の液体を燃料源として用い、これらを改質装置において水素リッチな改質ガスに転換する方法も有望な候補である。
炭化水素系液体燃料を燃料源として用いた場合、改質ガス中にはある程度の量のCOが残存する。ところが、このCOは、燃料電池の電極に用いられている白金系触媒に対し、触媒毒として作用する。このため、このCOを例えばCOに転化するなどして除去し、白金系電極触媒に対する被毒を防止する必要がある。具体的には、まずシフト反応(CO+HO→CO+H)を利用し、改質ガス中に含まれるCO濃度を1体積%程度にまで低減する。そして、貴金属等が無機担体に担持されてなるCO選択酸化触媒を用い、COを酸化除去(COに転化)する方法が提案されている。
この場合、CO選択酸化触媒においては、酸化反応の進行に伴い触媒温度が上昇する。その結果、逆シフト反応(CO+H→CO+HO)によるCO濃度の増加や、メタン化反応(CO+3H→CH+HO、CO+4H→CH+2HO)による水素の消費、といった問題が生じる。このため、熱交換器などを用いてCO選択酸化触媒の温度を比較的低い温度範囲に維持し、上記の好ましくない反応を抑制する工夫が施されるのが一般的である。
上記の好ましくない反応は、低温条件ほど効果的に抑制されうる。このため、低温活性に優れる触媒が望まれている。また、自動車に搭載する改質装置を考えると、頻繁な起動停止や激しい負荷変動があることから、雰囲気変動に強い触媒が望まれる。以上の観点からは、貴金属系、とりわけ白金系の触媒が有望である。反面、白金系触媒の欠点として、低温条件下では白金原子にCOが強く吸着するという吸着被毒現象により、COの除去効率が低下するという問題がある。
かような問題に鑑み、白金原子の他に、コバルト原子や銅原子などの遷移金属原子を低温活性化成分としてさらに添加して、低温領域におけるCO選択酸化活性を向上させる試みがなされている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2001−149781号公報
ここで、前記文献1には、含浸や蒸発乾固といった手段を用いてコバルト原子や銅原子などの低温活性化成分と白金原子とを担体に同時に担持させることにより、CO選択酸化触媒を調製することが好ましい旨が記載されている。
しかしながら、かような手法により触媒を調製すると、場合によっては、白金成分と低温活性化成分とのいずれか一方の成分が他方の成分により被覆されてしまう虞がある。その結果、被覆された成分が活性を充分に発揮できず、最終的なCO選択酸化活性が低下してしまうという問題がある。
そこで本発明は、担体上の一の成分が他の成分により被覆されることにより生じる上記のような問題を解決する手段を提供することを目的とする。
本発明は、一酸化炭素および水を含むガス中の一酸化炭素を選択的に酸化するためのCO選択酸化触媒であって、白金原子を含有する白金粒子が第1の無機担体に担持されてなる白金触媒粉末を含む白金触媒部と、コバルト、マンガン、ニッケル、および銅からなる群から選択される1種または2種以上の助触媒原子を含有する助触媒原子粒子が第2の無機担体に担持されてなる助触媒粉末を含む助触媒部とが前記ガスの流通方向に直列に配置されてなる、CO選択酸化触媒である。
また本発明は、一酸化炭素および水を含むガス中の一酸化炭素を選択的に酸化するためのCO選択酸化触媒であって、モノリス担体の内表面に、白金原子を含有する白金粒子が第1の無機担体に担持されてなる白金触媒粉末を含む白金触媒層と、コバルト、マンガン、ニッケル、および銅からなる群から選択される1種または2種以上の助触媒原子を含有する助触媒原子粒子が第2の無機担体に担持されてなる助触媒粉末を含む助触媒層とが形成されてなる、CO選択酸化触媒である。
本発明のCO選択酸化触媒にあっては、白金成分と助触媒成分とが互いに被覆されることが防止される。このため、被覆により生じる触媒活性の低下が抑制されうる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
上述したように、従来、貴金属原子である白金原子を含有する白金粒子が無機担体に担持されてなるCO選択酸化触媒において、コバルト原子や銅原子などの遷移金属原子をさらに含有させると、低温領域におけるCO選択酸化活性が向上することが知られている。本発明者は、遷移金属原子であるコバルト、マンガン、ニッケル、および銅の4種を助触媒原子として含有させることで、CO選択酸化触媒の触媒活性のさらなる向上を図るべく、鋭意研究を行った。
なお、これらの助触媒原子の添加によりCO選択酸化活性が向上するメカニズムはいまだ明らかとはなっていない。ただし、助触媒原子の存在により、改質ガス中の酸素や水などが活性化されて何らかの活性種(本明細書中、「CO酸化活性種」とも称する)が生成し、この活性種がCOのCOへの酸化に何らかの関与をしているものと推測される。また、助触媒原子の作用によってCOがより酸化されやすい形態へと変化し、これによりCOへの酸化が促進されるというメカニズムも推定されている。ただし、これらのメカニズムはいずれも推測に基づくものであり、COのCOへの酸化が上記のメカニズム以外のメカニズムにより促進されていたとしても、本発明の技術的範囲は何ら影響を受けない。
ここで、前記文献1に好ましい調製方法として記載されているように、白金原子と助触媒原子とを同時に無機担体に担持させることによって、CO選択酸化触媒を製造する場合を考えてみる。かような調製方法によれば、白金原子は、例えば白金金属の粒子または白金酸化物の粒子(白金粒子)として無機担体の表面に担持される。一方、助触媒原子も同様に、例えば助触媒原子の金属粒子または酸化物(例えば、コバルト酸化物(Co)など)の粒子(助触媒原子粒子)として無機担体の表面に担持される。この際、無機担体の1個の粒子に着目すると、この無機担体粒子の表面には、白金成分と助触媒成分とが共存している。多くの場合には、白金金属の粒子と、助触媒原子の酸化物の粒子とが、無機担体粒子の表面に同時に存在していると考えられる。
従って、場合によっては、無機担体に担持された白金成分が、助触媒原子の酸化物などの助触媒成分により被覆されてしまう虞がある。あるいは逆に、無機担体に担持された助触媒成分が白金成分により被覆されてしまう虞もある。その結果、被覆された成分が活性を充分に発揮できず、最終的なCO選択酸化活性が低下してしまうという問題がある。
本発明者は、上記の問題を解決してCO選択酸化触媒の触媒活性を向上させるためのアプローチとして、白金成分および助触媒成分の触媒中での存在状態を制御することを試みた。具体的には、白金成分を含む触媒と、助触媒成分を含む触媒とを別々に調製し、これらを含む触媒部を改質ガスの流通方向に沿って直列に配置することで、またはこれらを含む触媒層をモノリス担体上に2層状に形成することで、上述した被覆による問題の解決を図った。
なお、本願において「CO選択酸化触媒」とは、少なくともCOおよびOを含有するガスに接触することにより、前記ガス中のCOのCOへの酸化反応を選択的に促進する触媒をいう。また、本願において「低温」とは、例えば、200℃程度以下の温度を指し、より詳細には、100〜180℃程度の温度を指す。以下、図面を参照しながら、本発明のCO選択酸化触媒の形態について説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきであり、以下に記載する形態のみには制限されない。
[CO選択酸化触媒]
(第1形態)
本発明の第1は、一酸化炭素および水を含むガス中の一酸化炭素を選択的に酸化するためのCO選択酸化触媒であって、白金原子を含有する白金粒子が第1の無機担体に担持されてなる白金触媒粉末を含む白金触媒部と、コバルト、マンガン、ニッケル、および銅からなる群から選択される1種または2種以上の助触媒原子を含有する助触媒原子粒子が第2の無機担体に担持されてなる助触媒粉末を含む助触媒部と、が前記ガスの流通方向に直列に配置されてなる、CO選択酸化触媒である。
[構成]
図1は、第1形態のCO選択酸化触媒を示す模式斜視図である。図2は、図1に示す2−2線に沿った断面図である。なお、説明の便宜上、図1および図2に示すCO選択酸化触媒の各構成成分の寸法比率は誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。このことは、以下の各図面についても同様である。
図1および図2に示すように、第1形態のCO選択酸化触媒10は、白金触媒部20と助触媒部30とを有する。そして、これらが改質ガスの流通方向(図1に示す矢印の方向)に直列に配置されている点に特徴を有する。ここで、第1形態において、白金触媒部20は、第1のモノリス担体22の内表面に白金触媒粉末を含む白金触媒層が形成されたモノリス触媒の形態で、改質ガスの流通方向(図1および図2中の矢印の方向)の下流側に配置される。一方、助触媒部30は、第2のモノリス担体32の内表面に助触媒粉末を含む助触媒層が形成されたモノリス触媒の形態で、改質ガスの流通方向の上流側に配置される。なお、本明細書において、上記の「第1の」および「第2の」という語は、白金触媒部20を構成する白金触媒層および助触媒部30を構成する助触媒層が別々のモノリス担体に形成されていることを示すために便宜的に用いられる。従って、「第1の」および「第2の」という序列自体に格別な意味はない。
以下、第1形態のCO選択酸化触媒10の好ましい構成について、白金触媒部20、助触媒部30、およびこれらが配置されてなるCO選択酸化触媒の順に、詳細に説明する。
[白金触媒部]
白金触媒部20は、白金原子を含有する白金触媒粉末を含む触媒部である。前記白金触媒粉末中に含有される白金原子は、改質ガス中のCOを選択的に吸着する。従って、白金触媒部20は、主にCOを選択的に吸着するための触媒部として機能する。
白金触媒粉末は、白金粒子が第1の無機担体に担持された構成を有する。なお、ここでも、前記の「第1の」という語、および、後述する助触媒粉末用の無機担体に冠せられる「第2の」という語は、白金粒子および助触媒原子粒子が別々の無機担体に担持されていることを示すために便宜的に用いられる。従って、ここでも「第1の」および「第2の」という序列自体に格別な意味はない。
白金粒子は、白金原子を含有する粒子である。第1形態において、白金粒子は、白金原子のみからなる粒子である。ただし、白金粒子は白金原子のみからなる粒子に限られず、例えば、白金酸化物(一酸化白金(PtO)、二酸化白金(PtO)など)からなる粒子、白金と白金酸化物との混合物からなる粒子、白金合金からなる粒子などであってもよい。
白金粒子が担持される無機担体(第1の無機担体)の種類は、特に制限されず、触媒用の無機担体として従来公知の化合物が用いられうる。例えば、アルミナ(αアルミナ、θアルミナ、γアルミナ、δアルミナ、βアルミナなど)、チタニア、シリカ、シリカアルミナ、ジルコニア、マグネシア、ゼオライトなどの金属酸化物が例示される。なかでも、触媒活性に優れ、原料の入手、担体の製造および取扱いが容易であるという観点から、アルミナが好ましく用いられる。なお、これらは1種のみが単独で用いられてもよく、これらの混合物が用いられてもよい。ここで、金属酸化物の混合物には、2種以上の無機担体が物理的に混合された形態のほか、粒子のある部分と他の部分とで結晶性の異なる金属酸化物も含まれる。かような形態としては、例えば、ある部分がγ型で他の部分がθ型のアルミナが挙げられる。
第1の無機担体の比表面積は、好ましくは35〜250m/g、より好ましくは50〜220m/g、さらに好ましくは70〜220m/gである。第1の無機担体の比表面積がかような範囲内の値であると、第1の無機担体の表面に白金粒子が高分散に担持され、触媒活性に優れる。かような観点から、第1の無機担体としては、γアルミナ、θアルミナ、またはこれらの混合物が好ましく用いられる。なお、本明細書に記載の「比表面積」は、例えば、窒素吸着によるBET比表面積を測定することにより算出されうる。
第1の無機担体の平均粒子径についても、特に制限はない。ただし、第1の無機担体の平均粒子径は、好ましくは0.8〜3.5μm、より好ましくは1.5〜2.5μmである。この平均粒子径が小さすぎると、飛散性が上昇して取扱いが煩雑となる場合がある。一方、この平均粒子径が大きすぎると、無機担体の比表面積の減少に伴って白金粒子の分散性が悪化し、触媒性能が低下する虞がある。また、触媒の成形性が悪化し、例えば触媒をモノリス担体に塗布して使用する場合などに剥離し易くなる虞がある。
白金触媒粉末における白金粒子および第1の無機担体のそれぞれの含有量は、所望の触媒性能や製造コスト、後述の[CO選択酸化触媒]の欄で説明する白金と助触媒との含有量の関係などを考慮することにより、適宜調整されうる。一例を挙げると、白金原子の含有量は、白金触媒粉末の全量に対して、好ましくは0.2〜3.0質量%程度であり、より好ましくは0.5〜2.5質量%である。白金原子の含有量が少なすぎると、触媒活性が充分に得られない虞がある。一方、白金原子の含有量が多すぎると、含有量の増加に見合った触媒活性が得られなくなり、触媒の製造コストが高騰する虞がある。なお、本願における白金原子や助触媒原子の含有量とは、特に断りのない限り、金属原子に換算した量をいう。また、本明細書中の白金原子および助触媒原子の含有量に関連する種々の値は、触媒を製造する際に用いられる白金原料および助触媒原料の量から算出され、これらの原料の量を調節することにより制御されうる。
第1形態において、白金触媒部20は、上記の白金触媒粉末が第1のモノリス担体32にコーティングされてなるモノリス触媒の形態を有する。モノリス触媒の形態によれば、後述するCO濃度低減装置の触媒充填部への触媒の充填が容易である。また、モノリス担体の有するハニカム構造により、改質ガスの通気性が確保されうる。さらに、触媒反応による熱が効率よく放散しうるため、触媒の耐久性が向上しうる。
白金触媒部20を構成する第1のモノリス担体22の具体的な形態は特に制限されず、従来公知のモノリス担体が適宜用いられうる。モノリス担体の一例としては、セラミツクハニカム、メタルハニカム、セラミックフォーム、メタルフォーム、などが挙げられる。これらのモノリス担体を用いるとコーティングが容易であり、圧力損失の観点からも好ましい。
白金触媒部20の厚さは特に制限されず、用いられる白金触媒粉末の量や第1のモノリス担体22の形態に応じて適宜調節されうる。白金触媒部20の厚さは、通常50〜200μm程度であり、好ましくは100〜150μmである。この厚さが50μm未満であると、反応分子が捉えられず吹き抜けが多くなるという虞がある。一方、この厚さが200μmを超えると、触媒層内での反応・生成分子の拡散律速によりCO酸化反応が阻害されるという虞がある。
白金触媒部20における、白金触媒粉末のコーティング量についても特に制限はないが、第1のモノリス担体22の単位体積あたりにコーティングされる白金触媒粉末の質量が、40〜250g/L程度であるとよく、60〜200g/Lであるとより好ましい。この値が小さすぎると、触媒層厚が薄くなり、上記と同様に反応分子が捉えられず吹き抜けが多くなるという虞がある。一方、この値が大きすぎると、同じく上記と同様に触媒層厚が厚くなり、触媒層内での反応・生成分子の拡散律速によりCO酸化反応が阻害されるという虞がある。なお、ここで「白金触媒粉末の質量」には、コーティング時に添加されるバインダ等の質量は含まないものとする。
[助触媒部]
助触媒部30は、助触媒原子を含有する助触媒粉末を含む触媒部である。前記助触媒粉末中に含有される助触媒原子は、改質ガス中の酸素や水に作用し、CO酸化活性種を生成させる。また、COに直接作用し、COへと酸化されやすい形態に変化させる。従って、助触媒部30は、主にCOのCOへの酸化を促進するための触媒部として機能する。
助触媒粉末は、助触媒原子粒子が第2の無機担体に担持された構成を有する。
第1形態において、助触媒原子粒子は、助触媒原子(コバルト、マンガン、ニッケル、および銅)のみからなる粒子である。助触媒原子粒子は、単独の助触媒原子のみからなる粒子であってもよく、2種以上の助触媒原子の合金からなってもよい。ただし、かような形態のみに制限されず、助触媒原子粒子は、例えば、助触媒原子の酸化物(例えば、Co、MnO、NiO、CuOなど)からなる粒子、助触媒原子とその酸化物とからなる粒子などであってもよい。
本発明においては、助触媒原子として4種の原子を採用したが、なかでも、低温領域と高温領域との双方における活性を両立させるという観点からは、助触媒原子としてコバルト原子が含まれることが好ましい。
助触媒原子粒子が担持される無機担体(第2の無機担体)の種類は、特に制限されず、白金触媒粉末用の第1の無機担体として上述した形態が同様に採用されうる。
ただし、第2の無機担体の比表面積は、上記の第1の無機担体よりも小さいほうがよく、好ましくは10〜120m/g、より好ましくは35〜120m/g、さらに好ましくは45〜80m/gである。第2の無機担体の比表面積がかような範囲内の値であると、白金原子に吸着したCOのCOへの酸化が効果的に促進されうる。かような観点から、第2の無機担体としては、αアルミナとθアルミナとの混合物が好ましく用いられる。
第2の無機担体の平均粒子径についても、特に制限はなく、上記の第1の無機担体の好ましい形態と同様である。
助触媒粉末における助触媒原子粒子および第2の無機担体のそれぞれの含有量は、所望の触媒性能や製造コスト、後述の[CO選択酸化触媒]の欄で説明する白金と助触媒との含有量の関係などを考慮することにより、適宜調整されうる。一例を挙げると、助触媒原子の含有量は、助触媒粉末の全量に対して、好ましくは0.6〜14質量%程度であり、より好ましくは3〜8質量%である。また、助触媒原子としてコバルト原子が含有される場合、コバルト原子の含有量は、助触媒粉末の全量に対して、好ましくは1.2〜14質量%である。助触媒原子の含有量が少なすぎると、触媒活性が充分に得られない虞がある。一方、助触媒原子の含有量が多すぎると、含有量の増加に見合った触媒活性が得られなくなり、触媒の製造コストが高騰する虞がある。
第1形態において、助触媒部30は、上記の助触媒粉末が第2のモノリス担体32にコーティングされてなるモノリス触媒の形態を有する。
助触媒部30を構成する第2のモノリス担体32の具体的な形態についても特に制限はなく、上記の[白金触媒部]の欄において列挙した形態のような従来公知のモノリス担体が同様に用いられうる。なお、白金触媒部20に用いられる第1のモノリス担体22と助触媒部30に用いられる第2のモノリス担体32とは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
助触媒部30のコーティング厚さは特に制限されず、用いられる助触媒粉末の量や第2のモノリス担体32の形態に応じて適宜調節されうる。このコーティング厚さは、通常50〜200μm程度であり、好ましくは100〜150μmである。この厚さが50μm未満であると、反応分子が捉えられず吹き抜けが多くなるという虞がある。一方、この厚さが200μmを超えると、触媒層内での反応・生成分子の拡散律速によりCO酸化反応が阻害されるという虞がある。
助触媒部30における、助触媒粉末のコーティング量についても特に制限はないが、第2のモノリス担体32の単位体積あたりにコーティングされる助触媒粉末の質量が、40〜250g/L程度であるとよく、60〜200g/Lであるとより好ましい。この値が小さすぎると、触媒層厚が薄くなり、上記と同様に反応分子が捉えられず吹き抜けが多くなるという虞がある。一方、この値が大きすぎると、同じく上記と同様に触媒層厚が厚くなり、触媒層内での反応・生成分子の拡散律速によりCO酸化反応が阻害されるという虞がある。なお、ここで「助触媒粉末の質量」には、コーティング時に添加されるバインダ等の質量は含まないものとする。
[CO選択酸化触媒]
第1形態のCO選択酸化触媒10は、上述したように白金触媒部20と助触媒部30とを含み、これらが改質ガスの流通方向に沿って直列に配置されている。具体的には、図1および図2に示すように、助触媒部30が改質ガスの流通方向の上流側に配置され、白金触媒部20が改質ガスの流通方向の下流側に配置されている。かような構成によれば、助触媒部30において生成した酸化されやすい形態のCOやCO酸化活性種が白金触媒部20において効率よく用いられ、COのCOへの酸化の促進に効果的に寄与しうる。ただし、かような形態のみには制限されず、場合によっては、白金触媒部20が上流側に配置され、助触媒部30が下流側に配置される形態もまた、採用されうる。
なお、図1および図2に示す第1形態においては、白金触媒部20と助触媒部30とが接触するように配置されているが、かような形態のみに制限されない。例えば、白金触媒部20と助触媒部30とが完全に分離されて配置されてもよく、その際には、改質ガスの流通方向の上流側に配置される触媒部(例えば、助触媒部30)から流出したガスが、下流側に配置される触媒部(例えば、白金触媒部20)に流入しうるように、分離している2つの触媒部を接続するための流路が設けられるべきである。
CO選択酸化触媒10に含まれる白金触媒部20および助触媒部30のそれぞれの具体的な形態については、上述した通りであるため、ここでは説明を省略する。
上記のような構成を有する本発明のCO選択酸化触媒10の作用は、概説すれば、白金触媒部20の白金触媒粉末に含まれる白金原子にCOが吸着され、助触媒部30の助触媒粉末に含まれる助触媒原子が、白金原子に吸着されたCOのCOへの酸化を促進することにより、COが酸化除去されるというものである。
上記の点に鑑みれば、白金触媒部20の白金触媒粉末と助触媒部30の助触媒粉末との配合量のバランス、さらに言えば、前記白金触媒粉末に含まれる白金原子と前記助触媒粉末に含まれる助触媒原子との配合量のバランスが良好に保たれると、触媒のCO選択酸化活性の向上に寄与しうる。
かような観点から、本発明のCO選択酸化触媒10において、白金触媒部20に含まれる白金原子(Pt)と助触媒部30に含まれる助触媒原子(以下、「Me」とも記載する)との合計量に対する、前記助触媒原子の質量比(Me/Pt+Me)は、好ましくは70質量%超100質量%未満であり、より好ましくは80〜90質量%であり、さらに好ましくは80〜85質量%である。また、別の表現を用いれば、本発明のCO選択酸化触媒において、白金触媒部20に含まれる白金原子の含有量に対する、助触媒部30に含まれる助触媒原子の含有量のモル比(Me/Pt)は、好ましくは9〜70であり、より好ましくは12〜40である。これらの値が上記の範囲内であると、白金原子によるCO吸着効果と助触媒原子によるCO酸化促進効果とのバランスが良好に保たれ、その結果、触媒のCO除去性能が向上しうる。また、従来のCO選択酸化触媒よりも白金原子の含有量が比較的少ないため、コストの面でも有利である。
本発明の作用および効果が損なわれないのであれば、白金原子および助触媒原子以外の金属原子が触媒金属として触媒中に含有されてもよい。例えば、白金原子以外にも、ルテニウム、ロジウム、パラジウムなどの他の貴金属原子が含有されうる。これらの貴金属原子は、図1に示す白金粒子と同様の粒子、または白金原子との合金の粒子として、第1の無機担体に担持されることが好ましい。さらに、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジムなどの希土類原子や、鉄などの遷移金属原子が含有されてもよい。これらの原子は、助触媒原子粒子と同様の粒子、または助触媒原子との合金の粒子として、第2の無機担体に担持されることが好ましい。なお、白金原子および助触媒原子以外の金属原子の無機担体への担持量は、特に制限されない。
[作用および効果]
図1および図2に示す第1形態のCO選択酸化触媒10においては、上述したように、助触媒粉末を含む助触媒部30が改質ガスの流通方向の上流側に配置され、白金触媒粉末を含む白金触媒部20が改質ガスの流通方向の下流側に配置されている。
かような構成によれば、白金成分と助触媒成分とが互いに被覆されることが防止される。このため、被覆により生じる触媒活性の低下が抑制されうる。
また、第1形態においては、改質ガスはまず助触媒部30を流通する。この際、改質ガス中のCOは、助触媒部30に含まれる助触媒粉末(助触媒原子)の作用によって、COへと酸化されやすい形態へと変化しうる。また、改質ガス中の酸素および水は、助触媒粉末(助触媒原子)の作用によって、CO酸化活性種へと変換されうる。
助触媒部30において生成した、酸化されやすい形態のCOやCO酸化活性種を含有する改質ガスは、続いて助触媒部30の下流に配置された白金触媒部20を流通する。この際、改質ガス中のCOは、白金触媒部20に含まれる白金原子に吸着され、吸着されたCOは、助触媒部30において生成したCO酸化活性種の作用によって、COへと酸化される。
従って、本発明のCO選択酸化触媒10によれば、白金原子によるCOの吸着と、助触媒原子によるCO酸化の促進との双方の機構が効率よく進行しうる。その結果、触媒活性に優れるCO選択酸化触媒が提供されうる。
[製造方法]
以下、第1形態のCO選択酸化触媒の製造方法の一形態について説明するが、以下の方法のみに制限されることはない。
第1形態のCO選択酸化触媒は、例えば、白金粒子を第1の無機担体に担持させることにより白金触媒粉末を調製し、助触媒原子粒子を第2の無機担体に担持させることにより助触媒粉末を調製し、これらの粉末をそれぞれモノリス担体にコーティングし、コーティングされたモノリス担体を直列に配置することによって、製造されうる。以下、無機担体としてアルミナが用いられる場合を例に挙げて、上記の製造方法を工程順に説明する。ただし、アルミナ以外の無機担体が用いられてもよいことは、上述した通りである。
[白金触媒粉末調製工程]
まず、白金触媒粉末を調製する。この工程において調製される白金触媒粉末は、後述するコーティング工程において第1のモノリス担体にコーティングされ、モノリス触媒とされる。なお、調製される白金触媒粉末の好ましい構成については、上記の[構成]の欄において既に説明した通りであるため、ここでは説明を省略する。
白金触媒粉末としては、自ら調製したものを用いてもよいし、商品が市販されている場合には、その商品を購入して用いてもよい。
白金触媒粉末を自ら調製する場合には、例えば、無機担体(第1の無機担体)であるアルミナに白金原子を担持させ、焼成することにより、アルミナの表面に白金粒子を成長させて、白金触媒粉末とするとよい。以下、かような手法により白金触媒粉末を調製する具体的な方法を説明する(後述する実施例も参照)。ただし、その他の手法により白金触媒粉末を調製しても、勿論よい。
初めに、白金原子を担持させるための無機担体(第1の無機担体)として、アルミナを準備する。ここで、準備されるアルミナ(第1の無機担体)の好ましい構成については、上記の[構成]の欄において既に説明した通りであるため、ここでは説明を省略する。
アルミナとしては、自ら調製したものを用いてもよいし、商品が市販されている場合には、その商品を購入して用いてもよい。ここでは、第1の無機担体としてのアルミナを自ら調製する場合の一手法について説明する。
まず、アルミナ原料を準備する。アルミナ原料は、焼成によりアルミナとなりうる原料であれば特に制限されない。アルミナ原料としては、例えば、ベーマイトアルミナ、ギブサイトなどの水酸化アルミニウムのほか、γアルミナ、δアルミナ、θアルミナ、αアルミナなどが挙げられる。新たに開発された材料がアルミナ原料として用いられてもよい。
続いて、アルミナ原料を焼成する。これにより、アルミナが得られる。
焼成の具体的な手法や焼成条件については特に制限はなく、触媒調製分野において従来公知の知見が適宜参照されうる。ここで、焼成条件を調節することによって、得られるアルミナの比表面積や結晶状態を制御可能である。例えば、焼成温度を低くするか、または焼成時間を短くすることによって、比表面積が比較的大きいアルミナが得られる。一方、焼成温度を高くするか、または焼成時間を長くすることによって、比表面積が比較的小さいアルミナが得られる。好ましい焼成条件として、焼成温度は、好ましくは500〜1100℃、より好ましくは800〜1100℃であり、焼成時間は、好ましくは0.5〜10時間、より好ましくは2〜8時間である。かような焼成条件によれば、好ましい構成として上述した、比較的大きい比表面積(35〜250m/g程度)を有するアルミナが得られる。場合によっては、異なる温度で2回以上焼成を行ってもよい。焼成雰囲気についても特に制限はなく、例えば、空気雰囲気や窒素雰囲気の下で焼成が行われうる。
必要であれば、焼成後に、得られたアルミナを粉砕し、篩分けすることで、所望の粒子径を有するアルミナのみを選別してもよい。
次に、上記で準備したアルミナ(第1の無機担体)に、白金原子を担持させる。
まず、白金イオンが溶解した溶液(以下、単に「白金原子含有溶液」とも称する)を調製する。この白金原子含有溶液は、白金原子をアルミナ(第1の無機担体)に担持させる目的で、後述する担持工程において用いられる。
この白金原子含有溶液を調製する工程では、まず、白金原料である白金化合物を準備する。さらに、この白金化合物を溶解させるための溶媒を準備する。その後、準備した溶媒に白金原料である白金化合物を添加し、必要に応じて撹拌して、白金原子含有溶液を調製する。
白金原料である白金化合物としては、金属塩の形態の化合物が挙げられ、例えば、ジニトロジアンミン白金、塩化白金酸などが挙げられる。これらの化合物は、入手が容易で触媒調製時の原料として広く用いられており、アルミナ(第1の無機担体)へ担持する際の取扱いも簡便である。
白金原子含有溶液の調製に用いられる溶媒としては、水やエタノール等が例示されるが、これらに制限されることはない。
白金原子含有溶液中の白金の濃度は特に制限されず、上記で準備したアルミナ(第1の無機担体)の量や得られる白金触媒粉末における所望の含有量、担持方法などを考慮して、適宜調節されうる。
得られる白金触媒粉末において、白金原子以外の金属原子(特に、貴金属原子)をアルミナ(第1の無機担体)に担持させたい場合には、本工程において、白金原子含有溶液中に所望の成分を所望の量だけ添加するとよい。この際、所望の成分は、やはり金属塩の形態で溶媒中に添加し、必要に応じて撹拌して、溶解させるとよい。
その後、上記で調製した白金原子含有溶液に溶解している白金原子を、上記で準備したアルミナ(第1の無機担体)に担持させる。
担持させるための具体的な手法としては、例えば、含浸法、共沈法、競争吸着法などの触媒調製分野において従来公知の手法が採用されうる。処理条件は、採用される手法に応じて適宜選択されうるが、通常は、常温〜80℃にて0.5〜4時間程度、アルミナ(第1の無機担体)と白金原子含有溶液とを接触させればよい。
アルミナ(第1の無機担体)に白金原子を担持させた後、必要に応じてこれを乾燥させる。乾燥させるための具体的な手法としては、例えば、自然乾燥、蒸発乾固のほか、ロータリーエバポレータや送風乾燥機等を用いた乾燥などが採用されうる。乾燥時間は、採用される手法に応じて適宜設定されうる。場合によっては、この乾燥段階を省略し、後述する焼成工程において乾燥させることとしてもよい。
続いて、白金原子が担持されたアルミナ(第1の無機担体)を焼成する。これにより、アルミナ(第1の無機担体)の表面において白金粒子が成長し、白金触媒粉末が得られる。
焼成の具体的な手法や焼成条件については特に制限はなく、触媒調製分野において従来公知の知見が適宜参照されうる。焼成条件について一例を挙げると、焼成温度は、好ましくは400〜600℃、より好ましくは450〜550℃であり、焼成時間は、好ましくは1〜4時間、より好ましくは2〜3時間である。場合によっては、異なる温度で2回以上焼成を行ってもよい。焼成雰囲気についても特に制限はなく、例えば、空気雰囲気や窒素雰囲気の下で焼成が行われうる。
必要であれば、焼成後に、得られた白金触媒粉末を粉砕し、篩分けすることで、所望の粒子径を有する粉末のみを選別してもよい。
[助触媒粉末調製工程]
一方、助触媒粉末を調製する。この工程において調製される助触媒粉末は、後述するコーティング工程において第2のモノリス担体にコーティングされ、モノリス触媒とされる。なお、調製される助触媒粉末の好ましい構成については、上記の[構成]の欄において既に説明した通りであるため、ここでは説明を省略する。
助触媒粉末としては、自ら調製したものを用いてもよいし、商品が市販されている場合には、その商品を購入して用いてもよい。
助触媒粉末を自ら調製する場合には、例えば、無機担体(第2の無機担体)であるアルミナに助触媒原子を担持させ、焼成することにより、アルミナの表面に助触媒原子粒子を成長させて、助触媒粉末とするとよい。以下、かような手法により助触媒粉末を調製する具体的な方法を説明する(後述する実施例も参照)。ただし、その他の手法により助触媒粉末を調製しても、勿論よい。
初めに、助触媒原子を担持させるための無機担体(第2の無機担体)として、アルミナを準備する。ここで、準備されるアルミナ(第2の無機担体)の好ましい構成については、上記の[構成]の欄において既に説明した通りであるため、ここでは説明を省略する。また、その調製方法としては、第1の無機担体としてのアルミナについて上記の[白金触媒粉末調製工程]の欄で説明した手法が同様に採用されうる。ただし、好ましい焼成条件として、焼成温度は、好ましくは1000〜1200℃、より好ましくは1000〜1100℃であり、焼成時間は、好ましくは2〜10時間である。かような焼成条件によれば、好ましい構成として上述した、比較的小さい比表面積(10〜120m/g程度)を有するアルミナが得られる。
次に、上記で準備したアルミナ(第2の無機担体)に、助触媒原子を担持させる。
まず、助触媒原子のイオンが溶解した溶液(以下、単に「助触媒原子含有溶液」とも称する)を調製する。この助触媒原子含有溶液は、助触媒原子をアルミナ(第2の無機担体)に担持させる目的で、後述する担持工程において用いられる。
この助触媒原子含有溶液を調製する工程では、まず、助触媒原子の原料として、助触媒原子を含有する化合物(以下、単に「助触媒原子化合物」とも称する)を準備する。さらに、この助触媒原子化合物を溶解させるための溶媒を準備する。その後、準備した溶媒に助触媒原子の原料である助触媒原子化合物を添加し、必要に応じて撹拌して、助触媒原子含有溶液を調製する。
助触媒原子の原料である助触媒原子化合物としては、金属塩の形態の化合物が挙げられ、例えば、助触媒原子(コバルト、マンガン、ニッケル、銅)の硝酸塩、硫酸塩、塩化物、炭酸塩、アンモニウム塩などの化合物が例示される。これらの化合物は、入手が容易で触媒調製時の原料として広く用いられており、アルミナ(第2の無機担体)へ担持する際の取扱いも簡便である。
助触媒原子含有溶液の調製に用いられる溶媒としては、水やエタノール等が例示されるが、これらに制限されることはない。
助触媒原子含有溶液中の助触媒原子の濃度は特に制限されず、上記で準備したアルミナ(第2の無機担体)の量や得られる助触媒粉末における所望の含有量、担持方法などを考慮して、適宜調節されうる。
得られる助触媒粉末において、助触媒原子以外の金属原子(例えば、遷移金属原子)をアルミナ(第2の無機担体)に担持させたい場合には、本工程において、助触媒原子含有溶液中に所望の成分を所望の量だけ添加するとよい。この際、所望の成分は、やはり金属塩の形態で溶媒中に添加し、必要に応じて撹拌して、溶解させるとよい。
その後、上記で調製した助触媒原子含有溶液に溶解している助触媒原子を、上記で準備したアルミナ(第2の無機担体)に担持させ、必要に応じて乾燥させる。担持や乾燥の具体的な手法や条件について特に制限はなく、白金触媒粉末について上記の[白金触媒粉末調製工程]の欄で説明した形態が同様に採用されうる。このため、ここでは説明を省略する。
続いて、助触媒原子が担持されたアルミナ(第2の無機担体)を焼成する。これにより、アルミナ(第2の無機担体)の表面において助触媒原子粒子が成長し、助触媒粉末が得られる。
焼成の具体的な手法や焼成条件についても特に制限はなく、上記の[白金触媒粉末調製工程]の欄で説明した形態が同様に採用されうる。このため、ここでは説明を省略する。
必要であれば、焼成後に、得られた助触媒粉末を粉砕し、篩分けすることで、所望の粒子径を有する粉末のみを選別してもよい。
[コーティング工程]
続いて、上記で調製した白金触媒粉末および助触媒粉末を、それぞれモノリス担体にコーティングして、モノリス触媒とする。
まず、それぞれの触媒粉末をコーティングするためのモノリス担体(第1のモノリス担体および第2のモノリス担体)を準備する。準備されるモノリス担体の具体的な形態について特に制限はなく、上記で例示した形態が同様に採用されうる。このため、ここでは説明を省略する。
一方、上記で準備したモノリス担体にそれぞれの触媒粉末をコーティングするためのコーティングスラリーを調製する。
コーティングスラリーの具体的な組成は特に制限されず、モノリス担体への触媒のコーティングの分野において従来公知の知見が適宜参照されうる。一例を挙げると、白金触媒粉末および助触媒粉末のそれぞれに対して、適当な溶媒を添加し、必要であれば適当なバインダをさらに添加して、コーティングスラリーを調製すればよい。コーティングスラリーを調製するための適当な溶媒としては、例えば、水やエタノールなどが例示される。また、適当なバインダとしては、アルミナゾルが例示される。
コーティングスラリー中に含まれる各成分の組成は特に制限されないが、例えば、触媒粉末40〜60質量%、溶媒40〜60質量%、およびバインダ1〜8質量%程度が適当である。
コーティングスラリーをモノリス担体へコーティングするための手法は特に制限されず、従来公知の手法が用いられうる。一例を挙げると、吹き付け法、浸漬法といった手法によりコーティングが可能である。
[配置工程]
最後に、白金触媒粉末がモノリス担体(第1のモノリス担体22)にコーティングされたモノリス触媒(白金触媒部20)と、助触媒粉末がモノリス担体(第2のモノリス担体32)にコーティングされたモノリス触媒(助触媒部30)とを、直列に配置することにより、第1形態のCO選択酸化触媒10が完成する。配置の一例としては、後述するCO濃度低減装置の触媒充填部に、前記の2つのモノリス触媒を直列に配列するように配置する形態が例示される。第1形態では、白金触媒粉末がコーティングされたモノリス触媒(白金触媒部20)を改質ガスの流通方向に沿って上流側に配置し、助触媒粉末がコーティングされたモノリス触媒(助触媒部30)を改質ガスの流通方向に沿って下流側に配置する形態が例示される。
なお、ここでは白金触媒粉末と助触媒粉末とが別々のモノリス担体(第1のモノリス担体22および第2のモノリス担体32)にコーティングされて、それぞれ白金触媒部20および助触媒部30を構成する形態について説明したが、かような形態のみには制限されない。すなわち、場合によっては、単一のモノリス担体を準備し、このモノリス担体の、改質ガスの流通方向に沿って下流側に白金触媒粉末をコーティングして白金触媒部20を形成し、上流側に助触媒粉末をコーティングして助触媒部30を形成することによって、CO選択酸化触媒10を製造してもよい。
(第2形態)
本発明の第2は、一酸化炭素および水を含むガス中の一酸化炭素を選択的に酸化するためのCO選択酸化触媒であって、モノリス担体の内表面に、白金原子を含有する白金粒子が第1の無機担体に担持されてなる白金触媒粉末を含む白金触媒層と、コバルト、マンガン、ニッケル、および銅からなる群から選択される1種または2種以上の助触媒原子を含有する助触媒原子粒子が第2の無機担体に担持されてなる助触媒粉末を含む助触媒層とが形成されてなる、CO選択酸化触媒である。
[構成]
図3は、第2形態のCO選択酸化触媒の、改質ガスの流通方向の上流側から下流側に向かって見た模式断面図である。図4は、図3に示す4−4線に沿った断面図である。
図3および図4に示すように、第2形態のCO選択酸化触媒10’は、モノリス担体40の内表面に、白金触媒層24と助触媒層34とが形成されている点に特徴を有する。ここで、第2形態においては、助触媒層34がモノリス担体40の内表面の下層に形成され、白金触媒層24がモノリス担体40の内表面の上層に形成されている。なお、図3においては、図の中央に示すセルに形成された触媒層のみを示し、当該セルの周囲のセルに形成された触媒層については記載を省略する。
以下、第2形態のCO選択酸化触媒10’の好ましい構成について、白金触媒層24、助触媒層34、およびこれらがモノリス担体40の内表面に形成されてなるCO選択酸化触媒10’の順に、詳細に説明する。
[白金触媒層]
白金触媒層24は、白金原子を含有する白金触媒粉末を含む触媒層である。前記白金触媒粉末中に含有される白金原子は、本形態においても第1形態と同様に、改質ガス中のCOを選択的に吸着する。このため、白金触媒層24は、主にCOを選択的に吸着するための触媒層として機能する。
白金触媒層24に含まれる白金触媒粉末の具体的な形態としては、上記の第1形態の[白金触媒部]の欄において説明した形態が同様に採用されうる。従って、ここでは説明を省略する。
第2形態において、白金触媒層24は、上記の白金触媒粉末がモノリス担体にコーティングされてなる形態を有する。この際、白金触媒層24は、モノリス担体40に直接形成された、後述する助触媒層34の上に、さらにコーティングされている。かようなモノリス触媒の形態とすることで、上記の第1形態の欄で説明したような利点が得られる。なお、モノリス触媒を構成するためのモノリス担体40の具体的な形態は特に制限されず、従来公知のモノリス担体が適宜用いられうる。その一例としては、上記の第1形態の欄で例示した形態が挙げられる。
白金触媒層24の厚さは特に制限されず、用いられる白金触媒粉末の量やモノリス担体40の形態、助触媒層34の厚さなどに応じて適宜調節されうる。白金触媒層24の厚さは、通常50〜200μm程度であり、好ましくは100〜150μmである。この厚さが50μm未満であると、反応分子が捉えられず吹き抜けが多くなるという虞がある。一方、この厚さが200μmを超えると、触媒層内での反応・生成分子の拡散律速によりCO酸化反応が阻害されるという虞がある。
白金触媒部20における、白金触媒粉末のコーティング量についても特に制限はないが、第1のモノリス担体22の単位体積あたりにコーティングされる白金触媒粉末の質量が、40〜250g/L程度であるとよく、60〜200g/Lであるとより好ましい。この値が小さすぎると、触媒層厚が薄くなり、上記と同様に反応分子が捉えられず吹き抜けが多くなるという虞がある。一方、この値が大きすぎると、同じく上記と同様に触媒層厚が厚くなり、触媒層内での反応・生成分子の拡散律速によりCO酸化反応が阻害されるという虞がある。なお、ここで「白金触媒粉末の質量」には、コーティング時に添加されるバインダ等の質量は含まないものとする。
[助触媒層]
助触媒層34は、助触媒原子を含有する助触媒粉末を含む触媒層である。前記助触媒粉末中に含有される助触媒原子は、本形態においても第1形態と同様に、改質ガス中の酸素や水に作用し、CO酸化活性種を生成させる。また、COに直接作用し、COへと酸化されやすい形態に変化させる。このため、助触媒層34は、主にCOのCOへの酸化を促進するための触媒層として機能する。
助触媒層34に含まれる助触媒粉末の具体的な形態としては、上記の第1形態の[助触媒部]の欄において説明した形態が同様に採用されうる。従って、ここでは説明を省略する。
第2形態において、助触媒層34は、上記の助触媒粉末がモノリス担体40にコーティングされてなる形態を有する。この際、助触媒層34は、モノリス担体40に直接形成されて下層を構成し、上記の白金触媒層24がその上層にコーティングされる。
助触媒層34の厚さは特に制限されず、用いられる助触媒粉末の量やモノリス担体40の形態、白金触媒層24の厚さなどに応じて適宜調節されうる。助触媒層34の厚さは、通常50〜200μm程度であり、好ましくは100〜150μmである。この厚さが50μm未満であると、反応分子が捉えられず吹き抜けが多くなるという虞がある。一方、この厚さが200μmを超えると、触媒層内での反応・生成分子の拡散律速によりCO酸化反応が阻害されるという虞がある。
助触媒部30における、助触媒粉末のコーティング量についても特に制限はないが、第2のモノリス担体32の単位体積あたりにコーティングされる助触媒粉末の質量が、40〜250g/L程度であるとよく、60〜200g/Lであるとより好ましい。この値が小さすぎると、触媒層厚が薄くなり、上記と同様に反応分子が捉えられず吹き抜けが多くなるという虞がある。一方、この値が大きすぎると、同じく上記と同様に触媒層厚が厚くなり、触媒層内での反応・生成分子の拡散律速によりCO酸化反応が阻害されるという虞がある。なお、ここで「助触媒粉末の質量」には、コーティング時に添加されるバインダ等の質量は含まないものとする。
[CO選択酸化触媒]
第2形態のCO選択酸化触媒10’は、上述したように白金触媒層24と助触媒層34とを含み、これらがモノリス担体40の内表面に2層上に形成(積層)されている。具体的には、図3および図4に示すように、助触媒層34がモノリス担体40の内表面の下層に形成され、白金触媒層24がモノリス担体40の内表面の上層に形成されている。かような形態によれば、助触媒層34において生成した酸化されやすい形態のCOやCO酸化活性種が、白金触媒層24を透過する際に効率よく用いられ、COのCOへの酸化の促進に効果的に寄与しうる。ただし、かような形態のみには制限されず、白金触媒層24が下層に形成され、助触媒層34が上層に形成される形態もまた、採用されうる。
第2形態のCO選択酸化触媒10’において、モノリス担体40の内表面に形成される白金触媒層24および助触媒層34のそれぞれの具体的な形態については、上述した通りであるため、ここでは説明を省略する。
第2形態においても、白金触媒層24に含まれる白金原子と助触媒層34に含まれる助触媒原子との配合量のバランスが良好に保たれると、触媒のCO選択酸化活性の向上に寄与しうることは、上記の第1形態と同様である。
その具体的な形態も上記の第1形態の場合と同様であり、上記の第1形態において説明した白金原子と助触媒原子との含有量の関係は、第2形態に対しても同様に採用されうる。
また、白金触媒層24と助触媒層34との厚さの比についても特に制限はなく、通常は白金触媒層/助触媒層の比で30/70〜70/30程度であり、好ましくは40/60〜60/40である。
[作用および効果]
図3および図4に示す第2形態のCO選択酸化触媒10’においては、上述したように、助触媒粉末を含む助触媒層34がモノリス担体40の下層に形成され、白金触媒粉末を含む白金触媒層24が前記助触媒層の上層に形成されている。
かような構成によれば、白金成分と助触媒成分とが互いに被覆されることが防止される。このため、被覆により生じる触媒活性の低下が抑制されうる。
また、第2形態においては、改質ガスはまず白金触媒層24に流入する。この際、改質ガス中のCOは、この白金触媒層24を構成する白金触媒粉末に含まれる白金原子に吸着される。その後、改質ガスは白金触媒層24を通過して助触媒層34に到達する。この際、この助触媒層34を構成する助触媒粉末に含まれる助触媒原子が改質ガス中の水および酸素に作用することによって、CO酸化活性種が生成する。このCO酸化活性種は、再度白金触媒層24を通過する際に、白金原子に吸着されたCOに作用し、CO2への酸化を促進させる。
従って、本発明のCO選択酸化触媒によれば、助触媒原子によるCO酸化の促進と、白金原子によるCOの吸着との双方の機構が効率よく進行しうる。その結果、触媒活性に優れるCO選択酸化触媒が提供されうる。
[CO濃度低減装置]
本発明のCO選択酸化触媒は、例えば、CO濃度低減装置に配置される。本発明のCO選択酸化触媒が配置されたCO濃度低減装置は、例えば、固体高分子型燃料電池に供給される水素リッチガス中のCOを選択的に酸化除去するために用いられうる。よって、本願では、上記で説明した本発明のCO選択酸化触媒が配置されてなる、固体高分子型燃料電池用CO濃度低減装置が提供される。なお、本発明のCO選択酸化触媒がCO濃度低減装置に配置される際の形態は特に制限されず、従来公知の技術やその改良技術が適宜採用されうる。
以下、本発明のCO濃度低減装置について、図面を用いて詳細に説明する。図5は、本発明のCO選択酸化触媒が配置されたCO濃度低減装置が用いられている燃料電池システム100の概略図である。
まず、改質部110に炭化水素などの燃料を供給する。改質部110においては、通常は水蒸気を用いた水蒸気改質によって、燃料は水素リッチな改質ガスへと改質される。また、水蒸気に加えて、酸素を含むガスを同時に供給し、部分酸化反応を併発させたオートサーマル改質によっても、水素リッチな改質ガスが得られる。
次いで、改質部110において得られた改質ガスをシフト反応部120に送り、改質ガス中のCO濃度を1体積%程度にまで低減させる。CO濃度が1体積%程度にまで低減された改質ガスは、続いて本発明のCO選択酸化触媒(10、10’)が配置された、固体高分子型燃料電池用CO濃度低減装置130に送られ、CO濃度がppmオーダーにまで低減される。
CO濃度低減装置130においてCO濃度がppmオーダーにまで低減された改質ガスと、酸化剤(通常は空気)とを用いて、固体高分子型燃料電池140において発電反応が進行する。固体高分子型燃料電池140からは使用済み燃料および酸化剤が排出される。燃焼部150を設けてこの使用済み燃料および酸化剤を燃焼させ、蒸発部160においてその燃焼熱を利用して水を蒸発させ、改質器110において用いられる水蒸気を発生させることによって、系全体のエネルギー効率を向上させうる。燃焼部150および蒸発部160には、必要に応じて炭化水素などを供給してもよい。
上述したように、本発明のCO選択酸化触媒は、低温領域においても優れたCO除去性能を示す。このような触媒を用いて改質ガス中の微量のCOを酸化除去することによって、燃料電池に供給される燃料ガス中のCO濃度が効率的に低減されうる。その結果、燃料電池に用いられる白金電極の寿命を延ばすことが可能となり、燃料電池自動車の実用化に大きく寄与しうる。
以上、本発明のCO選択酸化触媒の好ましい用途として、固体高分子型燃料電池用CO濃度低減装置に配置されて燃料電池システムに用いられる場合を例に挙げて説明したが、本発明のCO選択酸化触媒の用途はこれに制限されず、微量のCOを酸化除去するためのあらゆる用途に適用されうる。本発明のCO選択酸化触媒についての上記以外の用途としては、例えば、トンネルのような密閉空間内におけるCO除去、エンジンや燃焼器からの排気中のCO除去等が挙げられる。
以下、実施例を用いて本発明の実施の形態をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は下記の実施例のみには制限されない。
<実施例1:第1形態>
以下の手法により、図1および図2に示すような本発明の第1形態のCO選択酸化触媒を調製した。なお、助触媒原子としてはコバルト原子を採用した。
[白金触媒部の調製]
[白金触媒粉末調製工程]
白金触媒粉末用の無機担体(第1の無機担体)の原料として、ベーマイトアルミナの未焼成粉末を準備した。次いで、準備したベーマイトアルミナの未焼成粉末を電気炉中で600℃にて4時間焼成して、白金触媒粉末用の無機担体(第1の無機担体)であるアルミナを得た。得られたアルミナの比表面積をBET法により測定したところ、134m/gであった。また、得られたアルミナの平均粒子径は3.3μmであった。
一方、白金原料であるジニトロジアンミン白金の所定量を溶媒である蒸留水に添加し、撹拌して、白金原子含有溶液を準備した。
続いて、上記で調製したアルミナ(第1の無機担体)の粉末を、同じく上記で調製した白金原子含有溶液に含浸させて、アルミナに白金原子を担持させた。さらに、白金原子を担持させたアルミナを120℃にて24時間以上乾燥させた後、電気炉中で500℃にて2時間焼成し、アルミナの表面に白金粒子を成長させて、白金触媒粉末を調製した。なお、本工程においては、後述するコーティング工程においてコーティングされるコーティングスラリー中に含有される触媒の全量(バインダとしてのアルミナゾルを除く)に対する白金原子の含有量が1.2質量%となるように、白金原料およびアルミナ(第1の無機担体)の量を調節した。
[コーティングスラリー調製工程]
上記で調製した白金触媒粉末、バインダとしてのアルミナゾル、および溶媒としての蒸留水を、60:37:3の質量比でボールミルに仕込み、1時間混合および粉砕して、コーティングスラリーを調製した。
[コーティング工程]
上記で調製したコーティングスラリーを、モノリス担体であるコージェライト製ハニカム担体(600セル/インチ;30mL)にコーティングし、120℃にて1時間乾燥後、電気炉中で450℃にて1時間焼成することにより、モノリス担体の内表面に白金触媒層を形成して、第1形態における白金触媒部を調製した。この際、コーティングスラリーのコーティング量を、コーティングスラリー中に含有される触媒の全量(バインダとしてのアルミナゾルを除く)がモノリス担体の体積に対して約100g/Lとなるように調節した。
[助触媒部の調製]
[助触媒粉末調製工程]
助触媒粉末用の無機担体(第2の無機担体)の原料として、上記と同様のベーマイトアルミナの未焼成粉末を準備した。次いで、準備したベーマイトアルミナの未焼成粉末を電気炉中で1000℃にて8時間、および1100℃にてさらに2時間焼成して、助触媒粉末用の無機担体(第2の無機担体)であるアルミナを得た。得られたアルミナの比表面積をBET法により測定したところ、65m/gであった。また、得られたアルミナの平均粒子径は3.8μmであった。
一方、コバルト原料である硝酸コバルトの所定量を溶媒である蒸留水に添加し、撹拌して、コバルト原子含有溶液を準備した。
続いて、上記で調製したアルミナ(第2の無機担体)の粉末を、同じく上記で調製したコバルト原子含有溶液に含浸させて、アルミナにコバルト原子を担持させた。さらに、コバルト原子を担持させたアルミナを、上記の[白金触媒粉末調製工程]と同様に乾燥および焼成し、アルミナの表面にコバルト酸化物粒子を成長させて、助触媒粉末(コバルト触媒粉末)を調製した。なお、本工程においては、後述するコーティング工程においてコーティングされるコーティングスラリー中に含有される触媒の全量(バインダとしてのアルミナゾルを除く)に対するコバルト原子の含有量が7.0質量%となるように、コバルト原料およびアルミナ(第2の無機担体)の量を調節した。
[コーティングスラリー調製工程]
上記で調製した助触媒粉末、バインダとしてのアルミナゾル、および溶媒としての蒸留水を、60:37:3の質量比でボールミルに仕込み、1時間混合および粉砕して、コーティングスラリーを調製した。
[コーティング工程]
上記で調製したコーティングスラリーを、モノリス担体であるコージェライト製ハニカム担体(600セル/インチ;30mL)にコーティングし、120℃にて1時間乾燥後、電気炉中で450℃にて1時間焼成することにより、モノリス担体の内表面に助触媒層(コバルト触媒層)を形成して、第1形態における助触媒部を調製した。この際、コーティングスラリーのコーティング量を、コーティングスラリー中に含有される触媒の全量(バインダとしてのアルミナゾルを除く)がモノリス担体の体積に対して約100g/Lとなるように調節した。
[配置工程]
上記の[助触媒部の調製]の欄において調製した助触媒部を、改質ガスの流通方向の上流側に位置するように配置し、上記の[白金触媒部の調製]の欄において調製した白金触媒部を、改質ガスの流通方向の下流側に位置するように配置して、本発明の第1形態のCO選択酸化触媒を完成させた。
上記の白金原子およびコバルト原子の含有量の値を、下記の表1に示す。また、これらの値から算出される、白金原子と助触媒原子(コバルト原子)との合計量に対する、助触媒原子(コバルト原子)の質量比(Me/Pt+Me)の値、および、白金原子の含有量に対する、助触媒原子(コバルト原子)の含有量のモル比(Me/Pt)の値についても、同様に下記の表1に示す。このことは、下記の他の実施例および比較例についても同様である。
<実施例2:第2形態>
以下の手法により、図3および図4に示すような本発明の第2形態のCO選択酸化触媒を調製した。なお、助触媒原子としてはコバルト原子を採用した。
[白金触媒粉末およびコーティングスラリーの調製]
前記実施例1の[白金触媒粉末調製工程]およびその後の[コーティングスラリー調製工程]と同様の手法により、白金触媒粉末および当該白金触媒粉末を含むコーティングスラリーを調製した。
[助触媒粉末およびコーティングスラリーの調製]
前記実施例1の[助触媒粉末調製工程]およびその後の[コーティングスラリー調製工程]と同様の手法により、助触媒粉末(コバルト触媒粉末)および当該助触媒粉末(コバルト触媒粉末)を含むコーティングスラリーを調製した。
[コーティング工程]
まず、上記で調製した助触媒粉末(コバルト触媒粉末)を含むコーティングスラリーを、モノリス担体であるコージェライト製ハニカム担体(600セル/インチ;30mL)にコーティングし、120℃にて1時間乾燥後、電気炉中で450℃にて1時間焼成して、モノリス担体の内表面に助触媒層(コバルト触媒層)を形成した。
続いて、上記で調製した白金触媒粉末を含むコーティングスラリーを、上記の助触媒層が形成されたモノリス担体にさらにコーティングし、120℃にて1時間乾燥後、電気炉中で450℃にて1時間焼成して、助触媒層(コバルト触媒層)の上層に白金触媒層を形成し、本発明の第2形態のCO選択酸化触媒を完成させた。この際、コーティングスラリーのコーティング量を、それぞれのコーティングスラリー中に含有される触媒の全量(バインダとしてのアルミナゾルを除く)がモノリス担体の体積に対して、それぞれ約100g/Lとなるように調節した。従って、コーティングされた触媒の全量では約200g/Lである。
<実施例3〜7:第1形態>
白金原子およびコバルト原子の含有量を、下記の表1に示す値としたこと以外は、実施例1と同様の手法を用いて、本発明の第1形態のCO選択酸化触媒を調製した。
<実施例8〜10:第1形態>
コバルト原子に代えてマンガン原子、ニッケル原子、または銅原子を用いたこと以外は、実施例1と同様の手法を用いて、マンガン原子、ニッケル原子、または銅原子を助触媒原子として含有する本発明の第1形態のCO選択酸化触媒を調製した。なお、マンガン原料、ニッケル原料、および銅原料としては、各金属の硝酸塩を用いた。
<比較例1:白金触媒層のみ>
以下の手法により、モノリス担体の内表面に白金触媒層のみが形成されてなるCO選択酸化触媒(モノリス触媒)を調製した。
[白金触媒粉末およびコーティングスラリーの調製]
前記実施例1の[白金触媒粉末調製工程]およびその後の[コーティングスラリー調製工程]と同様の手法により、白金触媒粉末および当該白金触媒粉末を含むコーティングスラリーを調製した。
[コーティング工程]
上記で調製した白金触媒粉末を含むコーティングスラリーを、モノリス担体であるコージェライト製ハニカム担体(600セル/インチ;30mL)にコーティングし、120℃にて1時間乾燥後、電気炉中で450℃にて1時間焼成して、モノリス担体の内表面に白金触媒層を形成して、CO選択酸化触媒(モノリス触媒)を完成させた。この際、コーティングスラリーのコーティング量を、コーティングスラリー中に含有される触媒の全量(バインダとしてのアルミナゾルを除く)がモノリス担体の体積に対して約100g/Lとなるように調節した。
<比較例2:同時含浸法>
白金原子およびコバルト原子を同時含浸法によって無機担体に担持させて触媒粉末を調製し、これをコーティングスラリーとしてモノリス担体の内表面にコーティングすることにより、CO選択酸化触媒(モノリス触媒)を調製した。
[触媒粉末調製工程]
まず、実施例1において白金触媒粉末用の無機担体(第1の無機担体)として調製したアルミナを、本比較例における無機担体として準備した。一方、白金原料であるジニトロジアンミン白金およびコバルト原料である硝酸コバルトの所定量を溶媒である蒸留水に添加し、撹拌して、白金−コバルト原子含有溶液を準備した。
続いて、上記で準備したアルミナ(無機担体)の粉末を、同じく上で調製した白金−コバルト原子含有溶液に含浸させて、アルミナに白金原子およびコバルト原子を担持させた。さらに、白金原子およびコバルト原子を担持させたアルミナを120℃にて24時間以上乾燥させた後、電気炉中で500℃にて2時間焼成し、アルミナの表面に白金粒子およびコバルト酸化物を成長させた。その後粉砕することにより、触媒粉末を調製した。なお、本工程においては、後述するコーティング工程においてコーティングされるコーティングスラリー中に含有される触媒の全量(バインダとしてのアルミナゾルを除く)に対する白金原子およびコバルト原子の含有量がそれぞれ1.2質量%および7.0質量%となるように、白金原料、コバルト原料およびアルミナ(無機担体)の量を調節した。
[コーティングスラリー調製工程]
上記で調製した触媒粉末、バインダとしてのアルミナゾル、および溶媒としての蒸留水を、60:37:3の質量比でボールミルに仕込み、1時間混合および粉砕して、コーティングスラリーを調製した。
[コーティング工程]
上記で調製したコーティングスラリーを、モノリス担体であるコージェライト製ハニカム担体(600セル/インチ;30mL)にコーティングし、120℃にて1時間乾燥後、電気炉中で450℃にて1時間焼成することにより、モノリス担体の内表面に触媒層(白金−コバルト触媒層)を形成して、CO選択酸化触媒を調製した。この際、コーティングスラリーのコーティング量を、コーティングスラリー中に含有される触媒の全量(バインダとしてのアルミナゾルを除く)がモノリス担体の体積に対して約100g/Lとなるように調節した。
<試験例>
上記の実施例および比較例で得られたモノリス触媒に対し、モデルガス(H:32体積%、CO:15体積%、HO:33体積%、CO:0.9体積%、O:1.0体積%、He:残り)をガス空間速度(ガスの総流量(cm/h)/モノリス触媒体積(cm))が50000h−1または100000h−1となるように供給し、CO除去試験を行った。反応温度は160℃に維持し、モノリス触媒の出口ガス中のCO濃度を測定した。それをもとに、下記数式1により、CO転化率を算出した。
すなわち、CO転化率が高いほど、CO除去性能に優れる触媒であるといえる。
各実施例および各比較例について算出されたCO転化率の値を、試験時の空間速度の値とともに下記の表2に示す。
表2からわかるように、白金触媒粉末と助触媒粉末とを別途調製し、これらが内表面にコーティングされてなるモノリス触媒が直列に配置された形態、あるいは、これらがモノリス触媒の内表面に2層状に積層されてなる形態のCO選択酸化触媒によれば、CO転化率が著しく向上しうる。また、コバルト以外のマンガン、ニッケル、および銅を助触媒原子として採用した場合であっても、本発明の効果が得られることがわかる。
第1形態のCO選択酸化触媒を示す模式斜視図である。 図1に示す2−2線に沿った断面図である。 第2形態のCO選択酸化触媒の、改質ガスの流通方向の上流側から下流側に向かって見た模式断面図である。 図3に示す4−4線に沿った断面図である。 本発明のCO選択酸化触媒が配置されたCO濃度低減装置が用いられている燃料電池システムの概略図である。
符号の説明
10 第1形態のCO選択酸化触媒、
10’ 第2形態のCO選択酸化触媒、
20 白金触媒部、
22 第1のモノリス担体、
24 白金触媒層、
30 助触媒部、
32 第2のモノリス担体、
34 助触媒層、
40 モノリス担体、
100 燃料電池システム、
110 改質部、
120 シフト反応部、
130 固体高分子型燃料電池用CO濃度低減装置、
140 固体高分子型燃料電池、
150 燃焼部、
160 蒸発部。

Claims (11)

  1. 一酸化炭素および水を含むガス中の一酸化炭素を選択的に酸化するためのCO選択酸化触媒であって、
    白金原子を含有する白金粒子が第1の無機担体に担持されてなる白金触媒粉末を含む白金触媒部と、
    コバルト、マンガン、ニッケル、および銅からなる群から選択される1種または2種以上の助触媒原子を含有する助触媒原子粒子が第2の無機担体に担持されてなる助触媒粉末を含む助触媒部と、
    が前記ガスの流通方向に沿って直列に配置されてなる、CO選択酸化触媒。
  2. 前記助触媒部が前記ガスの流通方向の上流側に配置され、前記白金触媒部が前記ガスの流通方向の下流側に配置されてなる、請求項1に記載のCO選択酸化触媒。
  3. 前記白金触媒部が、第1のモノリス担体の内表面に前記白金触媒粉末を含む白金触媒層が形成されてなるモノリス触媒であり、
    前記助触媒部が、第2のモノリス担体の内表面に前記助触媒粉末を含む助触媒層が形成されてなるモノリス触媒である、請求項1または2に記載のCO選択酸化触媒。
  4. 一酸化炭素および水を含むガス中の一酸化炭素を選択的に酸化するためのCO選択酸化触媒であって、
    モノリス担体の内表面に、
    白金原子を含有する白金粒子が第1の無機担体に担持されてなる白金触媒粉末を含む白金触媒層と、
    コバルト、マンガン、ニッケル、および銅からなる群から選択される1種または2種以上の助触媒原子を含有する助触媒原子粒子が第2の無機担体に担持されてなる助触媒粉末を含む助触媒層と、
    が形成されてなる、CO選択酸化触媒。
  5. 前記助触媒層が下層に形成され、前記白金触媒層が上層に形成されてなる、請求項4に記載のCO選択酸化触媒。
  6. 前記白金触媒粉末の全量に対する前記白金原子の含有量が0.2〜3.0質量%である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のCO選択酸化触媒。
  7. 前記助触媒粉末の全量に対する前記助触媒原子の含有量が0.6〜14質量%である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のCO選択酸化触媒。
  8. 前記助触媒粉末が前記助触媒原子としてコバルト原子を含み、前記助触媒粉末の全量に対する前記コバルト原子の含有量が1.2〜14質量%である、請求項7に記載のCO選択酸化触媒。
  9. 前記白金原子と前記助触媒原子との合計量に対する前記助触媒原子の質量比が70質量%超100質量%未満である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のCO選択酸化触媒。
  10. 前記白金原子の含有量に対する前記助触媒原子の含有量のモル比が9〜70である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のCO選択酸化触媒。
  11. 前記助触媒粉末が前記助触媒原子としてコバルト原子を含み、前記白金原子の含有量に対する前記コバルト原子の含有量のモル比が9〜65である、請求項10に記載のCO選択酸化触媒。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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