JP2005058826A - スクラップ溶解用電気炉の操業方法 - Google Patents

スクラップ溶解用電気炉の操業方法 Download PDF

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Hiroshi Takeuchi
博 竹内
Ryoji Hayashi
亮二 林
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Sanyo Special Steel Co Ltd
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Sanyo Special Steel Co Ltd
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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)

Abstract

【課題】廃棄タイヤの燃焼熱を、スクラップ予熱に利用することによりスクラップ溶解用の電気炉操業における、特に連続操業1チャージ目の溶解電力を大幅に低減する方法を提供する。
【解決手段】スクラップ11の溶解用の電気炉1の操業法において、連続操業1チャージ目の操業前に、電気炉1内にスクラップ11と共にジャイアントタイヤ10を装入し、酸素吹精装置7のランスパイプ6によりジャイアントタイヤ10に酸素の吹付けを行い、ジャイアントタイヤ10を燃焼させ、その燃焼熱を利用してスクラップ11を予熱する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スクラップ溶解用の電気炉の操業方法に関し、ジャイアントタイヤへの酸素吹付けによる燃焼熱を利用することで、スクラップ溶解用の電力を大幅に低減することができるスクラップ溶解用電気炉の操業方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、スクラップ溶解用電気炉の操業方法は、クズ鉄を主原料とするスクラップを溶解用電気炉内に装入し、重油またはLNGを主燃料とするバーナからの火炎によって、あるいは、電気炉の電極と上記スクラップとの間で生じるアーク熱によってスクラップを溶解している。そして、スクラップの溶解性を促進させるために、これまで種々の技術的改良が施されてきた。特に、このスクラップ溶解促進のための技術として、電気炉操業中において電気炉内で発生する廃熱をスクラップの予熱へ利用する方法が挙げられる。すなわち、電気炉の連続操業中においては、炉内で発生する廃熱を、予熱装置にて次チャージに装入するスクラップの予熱に利用することができる。しかしながら、操業1チャージ目のスクラップに対して1チャージ目操業前に予熱を施すには、まだ、電気炉操業は開始されていないので、当然廃熱を利用することは不可能である。このため、予熱を施していない冷材であるスクラップを電気炉に装入して操業開始するのが一般的であった。
【0003】
このため操業1チャージ目においては、通常、スクラップ溶解に多大な電力を要してしまう問題があった。併せて、1チャージ目は電気炉内に残湯が存在しない状況でスクラップを溶解しなければならないことも多大な電力を要する大きな要因であると考えられる。そしてこのスクラップ溶解用の電気炉における操業1チャージ目の多大の電力を必要とする問題を改善するためには、別途に予熱装置などにおいて1チャージ目のスクラップを装入して電力を伴う予熱方法を取らざるを得なかった。
【0004】
一方、近年の環境意識の向上により、各種の廃棄物の処理も大きな問題となっている。特に、ゴム製の廃棄タイヤは、無害化して廃棄処分するために多大のコストを要する。例えば、廃棄タイヤを燃やすと焼却炉を損傷したり、焼却場の周囲に悪臭を拡散しつつ放出するといった問題がある。従って、産業廃棄物処分場などに廃棄された状態のまま積み上げられるといったことも考えられ、場合によっては、不法に原野などに廃棄され野積みされるため、一層環境を悪化させるという悪循環に陥るという問題もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、地球温暖化をも促進させる恐れのある廃棄タイヤの燃焼熱を、スクラップ予熱に利用することによりスクラップ溶解用の電気炉操業における、特に連続操業1チャージ目の溶解電力を大幅に低減する方法を提供することである。さらにこれに伴い近年問題になっている大気汚染および環境悪化にも配慮することも本発明の課題である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための本発明の手段は、請求項1の発明では、スクラップ11の溶解用の電気炉1の操業法において、連続操業1チャージ目の操業前に、電気炉1内にスクラップ11と共にジャイアントタイヤ10を装入し、酸素吹精装置7のランスパイプ6によりジャイアントタイヤ10に酸素の吹付けを行い、ジャイアントタイヤ10を燃焼させ、その燃焼熱を利用してスクラップ11を予熱することを特徴とするスクラップ溶解用電気炉の操業方法である。
【0007】
もちろん、後続の2チャージ目、3チャージ目などの前にも廃棄のジャイアントタイヤ10をスクラップ11と共に装入して以後の溶解電力も低減することができる。
【0008】
請求項2の発明では、請求項1の手段において、ジャイアントタイヤ10の燃焼の際に電気炉1の炉壁に設置したガスバーナー8によって電気炉1内を助燃することを特徴とするスクラップ溶解用電気炉の操業方法である。
【0009】
請求項3の発明では、請求項1または2の手段において使用するジャイアントタイヤ10は、直径1m以上、単量200kg以上のものとする。ジャイアントタイヤ10の大きさおよび重量が、直径1m以下で単量200kg以下のものを使用すると、スクラップ11の予熱に十分な燃焼熱を得ることができるタイヤ装入個数は6個以上であるので、これらのタイヤを装入のために多大な作業を必要とする。またタイヤの装入個数が増大するにつれて1箇所に集めて装入することが困難となり、タイヤが散乱してしまう可能性がある。このため、酸素の吹付けランスパイプ6から遠く離れて装入されたタイヤが未燃焼のままの状態で電気炉操業することが考えられる。この未燃焼の結果、タイヤ成分中のCが溶鋼中に溶け込むこととなり、電気炉出鋼後の溶鋼中のC値が増大してしまう可能性がある。したがって使用するジャイアントタイヤ10は好ましくは直径1.5m以上で単量1000kg以上のものを5個以下とし、より好ましくは1個とし、吹付けランスパイプ6に近接して装入する。
【0010】
請求項4の発明では、請求項1の手段における酸素の吹付け時間を15〜45分とする。吹付け時間が15分以内であると、タイヤの十分な燃焼が行えず、スクラップ予熱が不十分となってしまい、電気炉操業時、スクラップの溶解に多大な電力を要してしまう。そして、未燃焼のタイヤに含まれる炭素(C)分が溶鋼中へ溶け込み、電気炉出鋼後の溶鋼中のC値が増大してしまう可能性がある。一方、45分の吹付けを行った時点でジャイアントタイヤ10はほぼ完全に燃焼が終了しており、好ましくは吹付け時間を20〜40分とする。さらに、吹付けランスパイプ6から吹付ける酸素量は800〜3000Nmとすることで、ジャイアントタイヤ10の完全燃焼を図って溶鋼中にC値が増大することを防止する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1に本発明に使用する電気炉1の構造及び酸素吹精装置7を一部断面により模式的に示した図である。電気炉1はレンガ2と耐火物3からなる炉体を構成しており、炉壁にはガスバーナー8を、図1では模式的に1個を示すが、6本設けてある。そして操業口側に除滓口4を、他方に出鋼口5を有する。また除滓口4の側に、大気あるいは酸素吹付け用のランスパイプ6を有する酸素吹精装置7を設置している。そして電気炉1は3本の電極12によりアーク溶解を行う。なお、9は電気炉直引集塵機の摺動管を示す。ジャイアントタイヤ10およびスクラップ11の電気炉1内の装入位置は、図1に示すとおり、スクラップ15トンを装入した上で酸素吹精装置7が設置してある主口側にジャイアントタイヤ10を装入し、さらにその上に約90トンのスクラップ11を装入する。ジャイアントタイヤ10への大気あるいは酸素の吹付けは、電気炉操業開始およそ40分前に開始させ、摺動管9を開けた状態で集塵機を稼動させ、ガスバーナー8を助燃させながら行う。
【0012】
図1に示すように、ジャイアントタイヤ10の側面にランスパイプ6を当て、ジェットランス等で火種を供給し、酸素量で30Nm/minで吹付けを開始すると、ジャイアントタイヤ10が発火し燃焼を開始する。その後、炉壁に設置したガスバーナー8で助燃することにより電気炉1内の燃焼を促進させる。燃焼開始後、摺動管9と電気炉1の隙間より黒煙が発生し始めたら、酸素の流量を70Nm/minへ上げると同時に、摺動管9を徐々に電気炉1側へスライドさせてゆくことで接続し、その黒煙を集塵機13によって吸引させるものとする。
40分経過した時点で酸素吹精を終了し、電極12に通電して電気炉操業を開始する。
【0013】
【実施例】
表1は機械構造用合金鋼において、従来法、及び本発明の方法による電気炉操業を行い、操業後3チャージ目までのスクラップ溶解電力の平均値を示したものである。
【0014】
【表1】
Figure 2005058826
【0015】
表1に示すとおり、ジャイアントタイヤ10の燃焼による操業1チャージ目のスクラップ予熱を行った、本発明による電気炉操業方法を採用することにより、操業後3チャージの合計使用電力がおよそ9000kwh節減された。
【0016】
【発明の効果】
以上に説明したように、ジャイアントタイヤ燃焼熱を利用した操業1チャージ目のスクラップ予熱を行う本発明の電気炉操業方法は、電力原単位を大幅に低減することができ、溶鋼中のC値の増大を防止しながら生産性向上を可能にする効果を持ち、さらに、廃棄タイヤの野積みや自然発火を防ぎ環境を良好に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用する電気炉の構造及び酸素吹精装置を模式的に示した一部断面図である。
【符号の説明】
1 電気炉
2 レンガ
3 耐火物
4 除滓口
5 出鋼口
6 ランスパイプ
7 酸素吹精台車
8 ガスバーナー
9 摺動管
10 ジャイアントタイヤ
11 スクラップ
12 電極
13 集塵機

Claims (4)

  1. スクラップ溶解用の電気炉の操業法において、連続操業1チャージ目の操業前に、電気炉内にスクラップと共に装入したジャイアントタイヤにランスパイプにより酸素を吹付けて燃焼させ、得られる燃焼熱を利用することにより、装入スクラップを予熱することを特徴とするスクラップ溶解用電気炉の操業方法。
  2. ジャイアントタイヤ燃焼の際に電気炉の炉壁に設置したガスバーナーによって電気炉内を助燃することを特徴とする請求項1に記載のスクラップ溶解用電気炉の操業方法。
  3. 使用するジャイアントタイヤは直径1m以上、単量200kg以上のものとすることを特徴とする請求項1または2に記載のスクラップ溶解用電気炉の操業方法。
  4. ランスパイプよりジャイアントタイヤへの酸素吹付け時間は15〜40分とし、吹付ける酸素量は800〜3000Nmとすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のスクラップ溶解用電気炉の操業方法。
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