JP2005058084A - 冷菓およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルおよびショ糖脂肪酸エステルを含有することを特徴とする冷菓。
【選択図】 なし
Description
アイスクリーム類は、一般に、乳脂肪、植物脂肪、又はこれらを混合した油脂3〜20%、無脂乳固形分3〜12%、糖類8〜20%、その他必要に応じ少量の安定剤、乳化剤、色素、香料等を含む殺菌した原料混合液に、 オーバーランを10〜150%に調整しながら連続式フリーザーで空気を吹き込み、凍結し、容器に充填し、硬化して製造される。
ここで、オーバーランとは、原料混合液の容量に対する含有空気容量の百分率である。例えばオーバーラン100%のアイスクリームは、原料混合液と同容量の空気が含まれていることを意味する。オーバーランは冷菓の品質を判定する一指標として用いることができる値である。
ジャパンフードサイエンス 第41巻 第5号 5月号 日本食品出版株式会社 2002年5月5日発行、第45〜51頁
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、組織の緻密さが良好であるとともに、滑らかな食感を有する冷菓を実現することを目的とする。
また、本発明者らは、乳化剤の配合の選択を工夫するとともに、フリーザーからの排出温度についても検討し、これらの条件を組み合わせることによって、より緻密な組織を有し、より滑らかな食感を有する冷菓を製造できることを見出した。
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルにおけるグリセリンの重合度が3〜7量体であることが好ましい。
前記ショ糖脂肪酸エステルのHLBが11〜16であることが好ましい。
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルにおけるグリセリンの重合度が3〜7量体であることが好ましい。
前記ショ糖脂肪酸エステルのHLBが11〜16であることが好ましい。
前記フリーザーの排出温度条件が−5.8℃〜−7.2℃であることが好ましい。
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、これまでは冷菓の実生産上はあまり使われてこなかったが、これとショ糖脂肪酸エステルを組み合わせて配合することにより、冷菓の良好な組織の緻密さおよび食感の滑らかさを同時に達成することができる。
また、乳化剤として、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよびショ糖脂肪酸エステルを用いるとともに、フリーザーの排出温度(フリージング温度)条件を所定の範囲で低くすることにより、組織がより緻密で、より滑らかな食感を有する冷菓が得られる。
具体的には、従来のフリーザー排出温度が、一般に−3.5〜−5.5℃程度であるのに対して、本発明ではフリーザー排出温度を上記の温度範囲とすることによって、組織の緻密さと食感の滑らかさがより優れた冷菓を製造することができる。
さらに、本発明の冷菓の製造方法は、通常の冷凍設備(フリーザー)を利用して実現することができるので、新たな設備投資を必要とせず、実用性が高い。
本発明は、特に乳化剤を含む原料混合液をフリーザーでフリージングする工程を経て製造される冷菓に好適であり、代表的な例はアイスクリーム類である。
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、食品添加用の乳化剤として指定されているものを使用できるが、グリセリンの数平均重合度(本明細書では、単に重合度という)が3〜7量体のものが好ましい。該グリセリンの重合度を上記範囲内とすると組織の緻密さと、食感の滑らかさの点で好ましい。
また、ポリグリセリン脂肪酸エステルは、グリセリンの重合度の分布が、狭く調整されたものを用いることが好ましい。グリセリンの重合度の分布が広いと、分布が狭いものに比べて、ポリグリセリン脂肪酸エステルの添加効果がやや得難くなる。具体的には、グリセリンの重合度の分布は、中心となるポリグリセリンの純度が40%以上のものが好ましい。より好ましい純度は50%以上である。ポリグリセリン脂肪酸エステルは1種でもよく、2種以上を用いてもよい。
ショ糖脂肪酸エステルは、食品添加用の乳化剤として指定されているものを使用できるが、HLB(親水親油バランス)が11〜16であるものが好ましい。ショ糖脂肪酸エステルのHLBが上記範囲内であると、組織の緻密さや、口溶けなどの点で好ましい。ショ糖脂肪酸エステルは1種でもよく、2種以上を用いてもよい。
また、ポリグリセリン脂肪酸エステルとショ糖脂肪酸エステルの配合割合は、乳化剤の合計質量を100質量%とすると、ポリグリセリン脂肪酸エステルが20〜80質量%、ショ糖脂肪酸エステルが80〜20質量%の範囲内であることが好ましい。
なお、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよびショ糖脂肪酸エステル以外のその他の乳化剤を添加してもよいが、その含有量は乳化剤の合計のうちの0〜20質量%の範囲内とすることが好ましい。
すなわち、まず、原料を混合溶解して原料混合液を調製する。そして、必要に応じて、ろ過、均質化、殺菌を行なった後、冷却してエージングする。
エージングを終えた原料混合液をフリーザーに投入してフリージングする。原料混合液はフリージングされることにより、適度の空気と微細な氷結晶を含有する半凍結状態となる。フリーザーは特に限定されるものでなく、既存の装置を適宜用いることができる。
本発明において、フリーザーの排出温度条件は、−5.8℃より低い温度とすることが好ましく、具体的には−5.8〜−7.2℃、より好ましくは−6.5〜−7.2℃である。
またフリーザーで原料混合液に空気を混合させる際のオーバーラン値は30〜100%程度が好ましく、より好ましくは30〜70%程度である。該オーバーラン値が前記の範囲より下回ると滑らかさがやや劣り、前記範囲を超えると緻密さがやや劣り、風味も弱くなる。
フリージング後、充填、包装、硬化等の周知の工程を経て最終製品の冷菓が得られる。
下記表1の配合でアイスクリームを製造する際に、乳化剤の種類およびフリーザーの排出温度条件を下記表2に示すように変え、得られたアイスクリームを評価した。アイスクリームの製造は常法の手順に基づいて行った。
すなわち、まず原料を70℃に加温した溶解水に混合溶解し、二段均質機(Sanmaru社製)を使用して、2次圧:5MPa、全圧:18MPaで均質化した。これを、連続式プレート殺菌機(MD−Plate Exchager、森永エンジニアリング社製)にて、85℃−15秒で殺菌したものを、5℃で1昼夜エージングした後に、フレーバーを添加した。こうして得られた原料混合液を、連続式フリーザーを使用してフリージングした。フリーザーは、クレパコ社製 CP−KWALT―110で、15ダッシャーを使用した。フリーザーの排出温度は、−5.5℃〜−7.2℃の範囲で変化させた。オーバーランはいずれも40%とした。
このようにしてフリージングしたものを130mlのカップに入れ、−40℃の急速冷凍庫で硬化させてアイスクリームを得た。得られたアイスクリームの組成は、乳脂肪分8.5%、無脂乳固形分8.8%、全固形分38%である。
得られたアイスクリームを−30℃の冷凍庫で48時間保存した後、−20℃に調温したサンプルについて、組織の緻密さ、滑らかな食感について官能評価を行った。
下記サンプル(3)〜(6)では、乳化剤として、HLB16のショ糖脂肪酸エステル(SE)0.12%と、5量体グリセリンとステアリン酸のエステル重合体(ペンタグリセリンモノステアレート:PG、太陽化学社製、サンソフトA−181E)0.08%を併用した。
下記サンプル(7)では、乳化剤としてHLB16のショ糖脂肪酸エステル(SE)0.20%を使用した。
下記サンプル(8)では、乳化剤として5量体グリセリンとステアリン酸のエステル重合体(ペンタグリセリンモノステアレート:PG、太陽化学社製、サンソフトA−181E)0.20%を使用した。
なお、サンプル(1)(乳化剤:モノグリセリド、排出温度−5.5℃)が、従来技術によるアイスクリームの例である。
乳化剤の種類による効果を評価するために、下記表3、4に示すように対比すべき2種のサンプルを選んで官能検査を行った。その結果を各表に合わせて示す。
表内の数字は各サンプルを各項目について「良好」と判断したパネラーの人数を示す。*は5%水準にて有意差あり、**は1%水準にて有意差ありを示す(以下、同様。)
(1)<(3)、(1)<(4)、(1)<(5)、(1)<(6)であった。
(<の場合は有意差有りを意味し、≦の場合は有意差なしを意味する。以下、同様。)
このことから、乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルおよびショ糖脂肪酸エステルを併用したサンプル(3)〜(6)は、従来法で製造したサンプル(1)に比べて、組織がより緻密でより滑らかな食感を有することが認められる。
また、表4の結果より、組織の緻密さ、食感の滑らかさとも
(2)<(3)、(2)<(4)、(2)<(5)であった。
このことから、乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルおよびショ糖脂肪酸エステルを併用することにより、従来法において排出温度条件を低下させた場合よりも、優れた組織の緻密さおよび食感の滑らかさが得られることが認められる。
排出温度条件による効果を評価するために、下記表5、6に示すように対比すべき2種のサンプルを選んで官能検査を行った。その結果を各表に合わせて示す。
(3)<(4), (3)<(5), (3)<(6)であった。
また、表5、6の結果より、組織の緻密さ、食感の滑らかさとも、
(3)<(4)<(5)≦(6)であった。
これらの結果より、乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルおよびショ糖脂肪酸エステルを併用するとともに、排出温度を低くすることにより、組織の緻密さおよび食感の滑らかさがより良好になることが認められる。具体的には、排出温度条件は−5.5℃よりも−5.8℃が好ましく、−6.5℃以下がより好ましいことがわかる。
乳化剤を併用することによる効果を評価するために、下記表7に示すように対比すべき2種のサンプルを選んで官能検査を行った。その結果を表に合わせて示す。
(4)>(7)、(4)>(8)であった。
この結果から、乳化剤として、ショ糖脂肪酸エステル(SE)と、ポリグリセリン脂肪酸エステル(PG)を併用することにより、それぞれの乳化剤を単独で使用する場合に比べて、優れた組織の緻密さおよび食感の滑らかさが得られることが認められる。
尚、この試験例では、HLB16のショ糖脂肪酸エステルを使用したが、HLB11〜16の各ショ糖脂肪酸エステルの場合も、同様の結果が得られた。
また、ポリグリセリン脂肪酸エステルも、この試験例では重合度5のものを使用したが、該重合度が3〜7の場合も同様の結果が得られた。
下記表8の配合により、上記試験例1と同様の製造工程でアイスクリームを製造した。ただし、フリーザーの排出温度は、下記表8に示すように実施例1が−5.8℃、実施例2が−6.5℃、実施例3が−7.2℃とし、オーバーランはいずれも40%とした。得られたアイスクリームの組成は、乳脂肪3.1%、植物性脂肪分5.4%、無脂乳固形分8.8%、全固形分約37〜39%であった。
乳化剤は、次のものを使用した。
(実施例1)HLB11のショ糖脂肪酸エステル 0.03%、HLB16のショ糖脂肪酸エステル 0.06%、および5量体グリセリンとステアリン酸のエステル重合体(ペンタグリセリンモノステアレート:太陽化学社製、サンソフトA−181E)0.06%
(実施例2)HLB11のショ糖脂肪酸エステル 0.03%、HLB16のショ糖脂肪酸エステル 0.07%、および高純度の、5量体グリセリンとステアリン酸のエステル重合体(ペンタグリセリンモノステアレート:太陽化学社製、サンソフトA−181E)0.07%
(実施例3)HLB11のショ糖脂肪酸エステル 0.04%、HLB16のショ糖脂肪酸エステル 0.08%、および5量体グリセリンとステアリン酸のエステル重合体(ペンタグリセリンモノステアレート:太陽化学社製、サンソフトA−181E)0.08%
なお、無塩バターの代わりに乳脂肪調整品を使用した場合や、脱脂粉乳の一部をホエイパウダーに置換した場合も、同様に緻密で滑らかなアイスクリームが得られた。
Claims (7)
- 乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルおよびショ糖脂肪酸エステルを含有することを特徴とする冷菓。
- 前記ポリグリセリン脂肪酸エステルにおけるグリセリンの重合度が3〜7量体である請求項1記載の冷菓。
- 前記ショ糖脂肪酸エステルのHLBが11〜16である請求項1又は2に記載の冷菓。
- 原料混合液をフリーザーでフリージングする工程を経て冷菓を製造する方法であって、前記原料混合液に、乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルおよびショ糖脂肪酸エステルを配合することを特徴とする冷菓の製造方法。
- 前記ポリグリセリン脂肪酸エステルにおけるグリセリンの重合度が3〜7量体である請求項4に記載の冷菓の製造方法。
- 前記ショ糖脂肪酸エステルのHLBが11〜16である請求項4又は5に記載の冷菓の製造方法。
- 前記フリーザーの排出温度条件が−5.8℃〜−7.2℃であることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載の冷菓の製造方法。
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JP2008011739A (ja) * | 2006-07-04 | 2008-01-24 | Ezaki Glico Co Ltd | 冷菓、冷菓ミックス及びその製造法 |
JP2010227026A (ja) * | 2009-03-27 | 2010-10-14 | Sanei Gen Ffi Inc | チョコレート冷菓及びその製造方法 |
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