JP2005055745A - 走査型光学顕微鏡 - Google Patents

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Abstract

【課題】 所望する波長成分のレーザ光を選択的に得られ、しかも光学調整が簡単で、小型にして、価格的にも安価な走査型光学顕微鏡を提供する。
【解決手段】 2以上の波長帯で発振し、それぞれの波長成分を内包するレーザ光を出力するファイバレーザユニット1から出力される複数の波長を内包するレーザ光の中から、標本内の少なくとも1つの蛍光物質を励起する少なくとも1つの励起波長を選択する音響光学素子6を設け、この音響光学素子6で選択されたレーザ光をガルバノ8により標本10上で走査するとともに、標本10から発せられる蛍光を光電検出器13,15で検出する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、標本に対して点光源からの光を2次元走査し、標本からの光を検出する走査型光学顕微鏡に関するものである。
走査型光学顕微鏡は、点光源からの光を対物レンズにより標本上に集光させ、その集光点をスキャナを用いて光学的に2次元走査し、標本からの光を対物レンズを通して光検出器で検出し、2次元の画像情報を得るようにしている。
ところで、このような共焦点顕微鏡では、複数の蛍光色素を励起するような場合、励起波長域毎にレーザ光源を用意する必要があり、これら複数のレーザ光源からのレーザ光を走査光学系に導入し、それぞれ励起波長域毎に光学系を介して対物レンズより標本上に集光させるようにしている。
しかし、このような方法では光学系にばらつきがあると、標本上の集光位置にずれを発生することがあり、このずれを調整するのに精度の高い調整が必要となって、多大な手間と時間がかかってしまう。
そこで、従来、特許文献1に開示されるように複数のレーザ光源からのレーザ光を光路合成により1本の光ファイバに入射し、光ファイバからの出射光を顕微鏡本体に伝送するようにしたものが考えられている。
特開2002-267933号公報 特開平10−335734号公報
ところが、このように構成された顕微鏡の点光源には、アルゴンレーザやヘリウムネオンレーザ等のレーザ光源が用いられているが、これらガスレーザは、数種類の波長のレーザ光を一軸上で出射できる反面、ガスを封入してあるため、ガスの経時劣化や特定波長の出力変動が生じやすく、また、発熱を抑制するため設けられる水冷、空冷による振動が原因する発振の不安定や、筐体が大型であるため、設置スペースが大きくなるなどの問題があった。
また、ガスレーザに代わって単一波長発振のレーザ光源を用いたものもあるが、多重染色を行なう場合は、レーザ光源を複数並べることになり、この場合も、同軸上に光を置くための光軸調整に高い精度を要求され、高価な微動機構を必要とし、また、振動などの外乱に弱く、さらに、光ファイバを介して光軸を合わせるとしても、ファイバでの光伝送損失は免れず、さらに設置スペースを多く必要とするという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、所望する波長成分のレーザ光を選択的に得られ、しかも光学調整が簡単で、小型にして、価格的にも安価な走査型光学顕微鏡を提供することを目的とする。
請求項1記載の発明は、2以上の波長帯で発振し、それぞれの波長成分を内包するレーザ光を出力するファイバレーザユニットと、前記ファイバレーザユニットから出力される複数の波長を内包するレーザ光の中から、標本内の少なくとも1つの蛍光物質を励起する少なくとも1つの励起波長を選択するとともに任意の光量に調整可能にした光変調手段と、前記光変調手段で選択されたレーザ光を標本上で走査する光走査手段と、前記標本から発せられる蛍光を検出する少なくとも1つの光検出手段とを具備したことを特徴としている。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、光変調手段は、音響光学素子からなることを特徴としている。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記ファイバレーザユニットは、前記光走査手段および光検出手段とともにスキャナユニットを構成することを特徴としている。
本発明によれば、2種類以上の蛍光色素を励起するための2種類以上の励起波長を内包するレーザ光を一つの出射口から出力することが可能なファイバレーザユニットを用いることにより、各レーザ光の光軸のずれを生じることがなくなり、光学調整に要する面倒な作業に要する手間と時間を無くすことができる。また、精度の高い光軸調整のための高価な微動機構を使用する必要もないので、価格的にも安価にでき、さらに、出力変動の少ない安定したレーザ光を確保できるとともに、設置スペースも最小限に抑えることができる。
また、光変調手段を用いて、ファイバレーザユニットから出力される複数の波長を内包するレーザ光の中から、標本内の少なくとも1つの蛍光物質を励起する少なくとも1つの励起波長を選択するようにしているので、標本に多重染色された蛍光色素に応じて最適な波長成分のレーザ光を選択的に使用することができる。
さらに、ファイバレーザユニットを光走査手段および光検出手段とともにスキャナユニット内部に組み込む構成として、全体をコンパクト化し、スキャンユニット内部での光路を極力短く設定することができるので、光学的損失を最小限にして良好な画像情報を取得することができる。
以下、本発明の一実施例を図面に従い説明する。
図1は、本発明が適用される走査型光学顕微鏡の概略構成を示している。
図1において、1はファイバレーザユニットで、このファイバレーザユニット1は、カスケード発振方式により2以上の波長帯で発振し、それぞれの波長成分を内包する1つのレーザ光を発生するものである。つまり、ファイバレーザユニット1は、光ファイバ3を具備している。この光ファイバ3の一方端には、全反射素子であるダイクロイックミラー4が接合されている。また、このダイクロイックミラー4を介して励起光発光手段であるレーザダイオード2が接続されている。さらに、光ファイバ3の他方端には、他の全反射素子であるダイクロイックミラー5が接合されている。
レーザダイオード2は、ある特定の波長のレーザ光を発するもので、このレーザ光を光ファイバ3に入射するようにしている。ダイクロイックミラー4は、レーザダイオード2から発生するある特定の波長の光線を高効率に透過するが、光ファイバ3で共振される発振波長の光線を高効率に一律に反射するようにしている。ダイクロイックミラー5は、ダイクロイックミラー4と対となってレーザ発振器を構成するもので、光ファイバ3の他方端において、フレネル反射を行うようにしている。
なお、ファイバレーザユニット1の基本構造および原理は、特許文献2に開示されている。
このようなファイバレーザユニット1は、一つの出射口から、複数の波長成分を内包する1つのレーザ光を出力する。この場合、ファイバレーザユニット1から出射されるレーザ光の波長成分は、例えば、491nm、635nmの複数の波長を内包しているものとする。
ファイバレーザユニット1から出射されるレーザ光の光路、ここでは、ファイバレーザユニット1の一つの出射口には、光変調手段として、AOTFなどの音響光学素子6が配置されている。音響光学素子6は、ファイバレーザユニット1から出射される複数の波長を内包するレーザ光の中から、任意の波長のものを選択するとともに、任意の光量に調整可能にしている。なお、音響光学素子6に代えて、波長選択フィルタや出力調整フィルタなどを用いてもよい。
音響光学素子6から出射されるレーザ光の光路には、励起ダイクロイックミラー7が配置されている。この場合、励起ダイクロイックミラー7は、例えば、図2に示すように491nm近傍及び635nm近傍の波長を励起光として反射するが、これら491nm及び635nmの励起光により励起される蛍光波長を透過するような特性を有している。
励起ダイクロイックミラー7の励起光の反射光路には、光走査手段としてのガルバノ8が配置されている。このガルバノ8は、励起ダイクロイックミラー7で反射された励起光を、例えば2次元方向に走査し、顕微鏡本体9へ入射するようにしている。そして、顕微鏡本体9は、2次元走査される励起光を標本10に照射するようにしている。
この場合、標本10には、2種類の蛍光色素に染色されているものとし、これら蛍光色素は、照射される励起光のそれぞれの励起波長よりわずかに長い蛍光波長を発する。例えば、Cy2からなる蛍光色素は、図3(a)に示す491nmの光で励起される励起特性を有するとともに、同図(b)に示す510nm近傍の蛍光を発するような蛍光特性を有している。また、Cy5からなる蛍光色素は、図4(a)に示す635nmの光で励起される励起特性を有するとともに、同図(b)に示す666nm近傍の蛍光を発するような蛍光特性を有している。
標本10から発せられた2種類の波長を含む蛍光は、上述の光路を逆に辿り、顕微鏡本体9、ガルバノ8を通って励起ダイクロイックミラー7に入る。
励起ダイクロイックミラー7の蛍光の透過光路には、共焦点ピンホール11および分光ダイクロイックミラー12が配置されている。
共焦点ピンホール11は、顕微鏡本体9の不図示の対物レンズの焦点と光学的に共役な位置に配置され、標本10からの蛍光のうち合焦の成分を通過させるが、非合焦の成分を透過できないようにしている。分光ダイクロイックミラー12は、共焦点ピンホール11を通過した蛍光を分光するもので、例えば、図5に示すように、510nm近傍の波長を透過し、666nm近傍の波長を反射するような波長特性を有している。
分光ダイクロイックミラー12を透過した蛍光の光路には、光検出手段としての光電検出器13が配置され、また、分光ダイクロイックミラー12を反射した蛍光の光路には、反射ミラー14および光電検出器15が配置されている。
光電検出器13、15は、受光した蛍光を光電変換し、その後、各波長ごとの蛍光を画像化する。
このように構成される各部材は、スキャンユニット16として一体化されている。
次に、このように構成された実施例の作用を説明する。
いま、ファイバレーザユニット1より、例えば491nm、635nmを含む3〜5種類の波長成分を内包したレーザ光が発生すると、音響光学素子6により、例えば491nm、635nmの2種類の波長のものが任意の光量に調整して出力される。
そして、励起ダイクロイックミラー7で反射し、ガルバノ8で、例えば2次元方向に走査され、顕微鏡本体9より2種類以上の蛍光色素で染色された標本10に照射される。
これにより、標本10は、照射される励起光のそれぞれの励起波長よりわずかに長い蛍光波長を発する。この場合、標本10を染色する蛍光色素としてCy2、Cy5が用いられていると、Cy2は、491nmの励起光により、510nm近傍の蛍光が発せられ、また、Cy5は、635nmの励起光により、666nm近傍の蛍光が発せられるようになる。
これら2種類の波長を含む蛍光は、顕微鏡本体9、ガルバノ8を通り励起ダイクロイックミラー7に入射し、今度は、励起ダイクロイックミラー7を透過し、共焦点ピンホール11に入射する。そして、共焦点ピンホール11で合焦成分の蛍光が通過し、分光ダイクロイックミラー12に入射し、波長ごとに分光された後、光電検出器13,15で受光され、光電変換され、それぞれの波長ごとに画像化される。
従って、このようにすると、2種類以上の蛍光色素を励起するための2種類以上の励起波長を内包するレーザ光を一つの出射口から出力することが可能なファイバレーザユニット1を用いることにより、従来の複数のレーザ光源を用いたものと比べて、各レーザ光の光軸のずれを生じることがなくなり、光学調整に要する面倒な作業に要する手間と時間を無くすことができる。また、精度の高い光学調整のための高価な微動機構を使用する必要もないので、価格的にも安価にできる。さらに、複数のガスレーザを並べて用いたものに比べ、出力変動の少ない安定したレーザ光を確保できるとともに、設置スペースも最小限に抑えることができる。
また、ファイバレーザユニット1の一つの出射口に音響光学素子6を配置し、ファイバレーザユニット1から出射される複数の波長を内包するレーザ光の中から、標本10内の蛍光物質を励起するための励起波長を選択するとともに、任意の光量に調整できるようにしているので、標本10に多重染色された蛍光色素に応じて最適な波長成分のレーザ光を選択的に出力することができる。
さらに、ファイバレーザユニット1をスキャンユニット16内部に組み込む構成とし、全体をコンパクト化し、スキャンユニット16内部での光路を極力短く設定することができるので、光学的損失を最小限にできることから良好な画像を取得することができる。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、実施段階では、その要旨を変更しない範囲で種々変形することが可能である。
さらに、上記実施の形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示されている複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出できる。例えば、実施の形態に示されている全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題を解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出できる。
本発明の一実施例が適用される走査型光学顕微鏡の概略構成を示す図。 一実施例に用いられる励起ダイクロイックミラーの特性を説明する図。 一実施例に用いられるCy2からなる蛍光色素の波長特性を説明する図。 一実施例に用いられるCy5からなる蛍光色素の波長特性を説明する図。 一実施例に用いられる分光ダイクロイックミラーの特性を説明する図。
符号の説明
1…ファイバレーザユニット
2…レーザダイオード
3…光ファイバ
4、5…ダイクロイックミラー
6…音響光学素子
7…励起ダイクロイックミラー
8…ガルバノ
9…顕微鏡本体
10…標本
11…共焦点ピンホール
12…分光ダイクロイックミラー
13.15…光電検出器
14…反射ミラー
16…スキャンユニット

Claims (3)

  1. 2以上の波長帯で発振し、それぞれの波長成分を内包するレーザ光を出力するファイバレーザユニットと、
    前記ファイバレーザユニットから出力される複数の波長成分を内包するレーザ光の中から、標本内の少なくとも1つの蛍光物質を励起する少なくとも1つの励起波長を選択するとともに任意の光量に調整可能にした光変調手段と、
    前記光変調手段で選択されたレーザ光を標本上で走査する光走査手段と、
    前記標本から発せられる蛍光を検出する少なくとも1つの光検出手段と
    を具備したことを特徴とする走査型光学顕微鏡。
  2. 光変調手段は、音響光学素子からなることを特徴とする請求項1記載の走査型光学顕微鏡。
  3. 前記ファイバレーザユニットは、前記光走査手段および光検出手段とともにスキャナユニットを構成することを特徴とする請求項1記載の走査型光学顕微鏡。
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