本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、システム全体の処理を複雑にすることなく、かつ、一カ所(例えば、サーバー、クライアント等)にかかる負担を大きくすることなく、サーバーに蓄積されたコンテンツに処理を実行して、クライアントに転送する機能分散型コンテンツ再生システムを提供することにある。
本発明の好ましい実施形態によるコンテンツ再生システムは、コンテンツを提供するコンテンツ提供手段と、該コンテンツに処理を実行し、かつ、自身が実行できる処理機能を機能管理手段に通知する一または複数のコンテンツ処理手段と、該コンテンツ処理手段が実行できる処理機能を記憶することにより、該コンテンツに処理を実行するコンテンツ処理手段を決定する機能管理手段と、該コンテンツを再生する再生手段とを備える。
好ましい実施形態においては、上記再生手段は、上記機能管理手段に、コンテンツの転送、および該コンテンツに希望する処理を実行することを要求し、該機能管理手段が、該再生手段からの要求に基づいて、該コンテンツに処理を実行するコンテンツ処理手段を決定し、該コンテンツを該決定したコンテンツ処理手段に転送するよう前記コンテンツ提供手段に指示する。
好ましい実施形態においては、上記機能管理手段は、コンテンツ、および該コンテンツに処理を実行するコンテンツ処理手段の転送経路を指定するコンテンツ転送・処理コマンドを上記コンテンツ提供手段に送信し、該コンテンツ提供手段が、該コンテンツ転送・処理コマンドに基づいて、指定されたコンテンツおよび該コンテンツ転送・処理コマンドを、該機能管理手段が指定するコンテンツ処理手段に転送し、該コンテンツ処理手段が、該コンテンツ転送・処理コマンドに基づいて、該コンテンツに該機能管理手段が指定する処理を実行し、処理を実行したコンテンツを上記再生手段に送信する。
好ましい実施形態においては、上記コンテンツ処理手段は、上記機能管理手段に、自身の特性情報を通知し、該機能管理手段が、該コンテンツ処理手段の特性情報を記憶することにより、該コンテンツ処理手段の特性情報に基づいて、コンテンツに処理を実行するコンテンツ処理手段を決定する。
好ましい実施形態においては、上記再生手段は、上記機能管理手段に、自身の特性情報を通知し、該機能管理手段が、該再生手段の特性情報を記憶することにより、該再生手段の特性情報に基づいて、コンテンツに処理を実行するコンテンツ処理手段を決定する。
好ましい実施形態においては、上記特性情報は、対応プロトコルまたは対応フォーマットに関する情報を含み、上記機能管理手段は、コンテンツを転送する際のプロトコルまたはフォーマットに前記コンテンツ処理手段または上記再生手段が対応していない場合、該コンテンツ処理手段または該再生手段が対応するプロトコルまたはフォーマットに変換するコンテンツ処理手段を転送経路として決定する。
本発明の別の局面においては、コンテンツ再生プログラムが提供され得る。当該コンテンツ再生プログラムは、コンテンツ処理手段が、自身が実行できる処理機能を機能管理手段に通知するステップと、該機能管理手段が、該コンテンツ処理手段から通知された処理機能を記憶するステップと、再生手段が、コンテンツの転送を該機能管理手段に要求するステップと、該機能管理手段が、該再生手段からの要求および自身が記憶している該処理機能に基づいて、コンテンツ提供手段およびコンテンツ処理手段を決定し、該決定したコンテンツ提供手段に該コンテンツに処理を実行して転送するよう指示するステップと、該コンテンツ提供手段が、該機能管理手段からの指示を受けて、該コンテンツ処理手段に該コンテンツおよび該機能管理手段からの指示を転送するステップと、該コンテンツ処理手段が、該コンテンツ提供手段から受信したコンテンツに、該機能管理手段が指示する処理を実行し、該再生手段に転送するステップと、該再生手段が該コンテンツ処理手段から受信したコンテンツを再生するステップとを含む。
以下、本発明の作用について説明する。機能管理手段は、分散して存在するコンテンツ処理手段の処理機能を記憶しており、その記憶内容を用いて、コンテンツを転送する経路(すなわち、処理を実行するコンテンツ処理手段およびその順番)を決定する。そして、機能管理手段は、転送経路として決定したコンテンツ提供手段(およびコンテンツ処理手段)に、コンテンツに処理を実行して、転送するように指示する。そして、コンテンツ処理手段は、コンテンツ提供手段が提供するコンテンツに処理を実行し、再生手段に転送する。そのため、処理の負荷が大きい場合であっても、分散して存在するコンテンツ処理手段が当該処理を実行するので、負荷が一カ所(例えば、サーバーまたはクライアント等)に集中することを防止することができる。その上、再生手段は、コンテンツ処理手段を認識および指定する必要がないので、処理をきわめて簡素化することができる。従って、ユーザは、機能処理手段の複雑な指定をする必要がなくなる。さらに、コンテンツ提供手段も、コンテンツ処理手段を認識および指定する必要がないので、処理をきわめて簡素化することができる。さらに、機能管理手段がコンテンツ処理手段の処理機能を記憶しているので、適切なコンテンツ処理手段を選択することができる。
好ましくは、再生手段がコンテンツに自身が希望する処理を実行することのみを要求し、機能管理手段が、再生手段の要求に基づいて、処理を実行するコンテンツ処理手段を決定する。従って、再生手段は、希望する処理を実行することを要求するだけで、所望の処理を実行したコンテンツを受信し、再生することができる。
好ましくは、機能管理手段は、コンテンツ転送・処理コマンドをコンテンツ提供手段に送信し、コンテンツ提供手段は、指定されたコンテンツおよびコンテンツ転送・処理コマンドを指定されたコンテンツ処理手段に送信し、コンテンツ処理手段は、指定された処理をコンテンツに実行し、再生手段に送信する。従って、機能管理手段が作成するコンテンツ転送・処理コマンドを参照することにより、コンテンツ提供手段およびコンテンツ処理手段は、それぞれ、機能管理手段の指示するコンテンツの提供またはコンテンツの処理を実行することができる。
好ましくは、機能管理手段は、コンテンツ処理手段の特性(好ましくは、対応プロトコルまたは対応フォーマット)情報に基づいて、コンテンツに処理を実行するコンテンツ処理手段を選択する。すなわち、再生手段が要求する処理(例えば、音場処理とする)を実行できるコンテンツ処理手段が、コンテンツのフォーマットに対応していない場合には、機能管理手段は、当該コンテンツ処理手段が対応するフォーマットにコンテンツを変換するコンテンツ処理手段を選択する。そのため、コンテンツは、フォーマット変換するコンテンツ処理手段を経由して、音場処理を実行するコンテンツ処理手段に転送される。従って、コンテンツ処理手段がコンテンツのフォーマットに対応していなくても、きわめて確実にコンテンツに処理を実行して、再生することができる。
好ましくは、機能管理手段は、再生手段の特性(好ましくは、対応プロトコルまたは対応フォーマット)情報に基づいて、コンテンツに処理を実行するコンテンツ処理手段を選択する。すなわち、再生手段がコンテンツのフォーマットに対応していない場合には、再生手段が対応するフォーマットにコンテンツを変換するコンテンツ処理手段が選択される。そのため、コンテンツは、コンテンツ処理手段でフォーマット変換されてから、再生手段に転送される。従って、再生手段がコンテンツのフォーマットに対応していなくても、きわめて確実にコンテンツを再生することができる。さらに、機能管理手段が、再生手段の特性情報に基づいて、コンテンツ処理手段を選択しているので、再生手段は、コンテンツに処理を実行することを要求する必要がなく、処理が非常に簡素化される。
本発明のコンテンツ再生システムは、機能管理手段が、コンテンツ処理手段が実行できる処理機能を管理し、コンテンツに処理を実行するコンテンツ処理手段を指定するので、クライントがコンテンツ処理手段を認識および指定する必要なく、システム全体の処理を非常に簡素化することができる。
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照して具体的に説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。図1は、本発明の好ましい実施形態によるコンテンツ再生システム1を示すブロック図である。コンテンツ再生システム1は、コンテンツ提供手段2、再生手段3、一または複数のコンテンツ処理手段4(4a〜4f)および機能管理手段5を備える。これらは、ネットワーク6(例えば、LAN、IEEE1394等)を介して接続されている。
コンテンツ提供手段2は、再生手段3にコンテンツを提供する。コンテンツ提供手段2は、1または複数のコンテンツ提供装置を有する。コンテンツ提供装置は、例えば、コンテンツを蓄積しているコンテンツサーバー2aおよび2b、CDプレーヤー、DVDプレーヤー等の記録媒体再生装置2c、ラジオチューナー、TVチューナー等の受信装置2d、あるいはインターネットラジオ等のインターネット経由でコンテンツを送信する外部サーバーを含む。コンテンツサーバー2a、2bは、図2に示すとおり、コンテンツが蓄積されたハードディスクドライブ201と、後述する動作プログラムが格納されたROM202と、RAM203と、ROMに格納されたプログラムを実行するCPU204と、LAN6との間で信号を送受信するLANコントローラ205とを有する。コンテンツは、音楽データ、映像データ、静止画データなどの任意の適切なものが採用され得る。
再生手段3は、コンテンツ提供手段2からコンテンツを受けて、コンテンツを再生する。あるいは、再生手段3は、コンテンツ処理手段4から、処理が実行されたコンテンツを受けて、当該コンテンツを再生する。再生手段3は、1または複数のクライアント3a、3bを有する。クライアントは、図3に示す通り、後述する動作プログラムが格納されたROM301と、RAM302と、ROMに格納されたプログラムを実行するCPU303と、圧縮デジタル音楽データをデコードして非圧縮デジタル音楽データを生成する音声処理部304と、デジタルアナログ変換器305と、LAN6との間で信号を送受信するLANコントローラ306とを有する。
コンテンツ処理手段4a〜4fは、コンテンツ提供手段2が提供するコンテンツに、処理を実行し、処理を実行したコンテンツを再生手段3に与える。コンテンツに処理を実行するとは、コンテンツを加工または変換することをいう。コンテンツ処理装置が実行する処理は、用途、目的に応じて任意の適切な処理が採用され得るが、AVシステムの場合、信号処理(例えば、音場処理)、プロトコル変換またはフォーマット変換等が採用され得る。音場処理は、例えば、仮想音像定位処理またはサラウンド処理(ホール、シアター、スタジアム等の各種効果)を含む。プロトコル変換は、コンテンツ提供手段2がコンテンツを送信する際に採用するプロトコルを、再生手段3またはコンテンツ処理手段4が対応可能なプロトコルに変換する処理である。フォーマット変換は、コンテンツ提供手段2が提供するコンテンツのフォーマットを、再生手段3またはコンテンツ処理手段4が対応可能なフォーマットに変換する処理である。コンテンツ処理手段は、さらに、自身が実行できる処理機能を機能管理装置に通知する。処理機能とは、コンテンツを加工または変換するための機能をいう。
コンテンツ処理手段4a〜4fは、コンテンツ処理装置を有する。コンテンツ処理装置は、図4に示す通り、後述する動作プログラムが格納されたROM401と、RAM402と、ROMに格納されたプログラムを実行するCPU403と、LAN6との間で信号を送受信するLANコントローラ404とを有する。すなわち、ROM401には、各種処理プログラムが格納されている。あるいは、コンテンツ処理装置は、各種処理を実行するDSPを有していてもよい(図示せず)。
機能管理手段5は、コンテンツ処理手段4が実行する処理機能を記憶して、コンテンツに処理を実行するコンテンツ処理装置(およびその順番)を決定する。機能管理手段5は、さらに、コンテンツ提供装置2が所有するコンテンツの種類を記憶して、コンテンツを提供するコンテンツ提供装置を決定する。言い換えれば、機能管理装置5は、コンテンツの転送経路を決定する。機能管理手段5は、代表的には、機能管理装置を有する。機能管理装置5は、図5に示すとおり、後述する動作のプログラムを格納するROM501と、図6に示す機能管理テーブルを格納するRAM502と、ハードディスクドライブ503と、ROMに格納されたプログラムを実行するCPU504と、LAN6との間で信号を送受信するLANコントローラ505とを有する。
機能管理装置5は、図6に示す機能管理テーブルを有する。機能管理テーブルは、作動中のコンテンツ処理装置4およびコンテンツ提供装置2の処理機能(コンテンツ提供装置の場合は、コンテンツの種類)を機能管理装置5が管理するためのテーブルである。機能管理テーブルは、さらに、コンテンツ提供装置またはコンテンツ処理装置を識別するための識別情報(例えば、識別ID、アドレス、名称など)と、コンテンツ提供装置またはコンテンツ処理装置の特性を表す特性情報とを含む。特性情報は、例えば、対応プロトコルまたは対応フォーマットに関する情報を含む。1つの識別IDの欄には、1つのIDが記憶されてもよく、複数のIDが記憶されてもよい。複数のIDが記憶される場合は、当該処理を実行できるコンテンツ処理装置が複数存在することを意味する。さらに、機能管理テーブルには、機能管理装置およびクライアントについても、同様に、識別情報(識別ID)、特性(対応プロトコル、対応フォーマット)が記憶される。
以上の構成を有するコンテンツ再生システムの動作を、図7、図8Aおよび図8Bのフローチャートを参照して説明する。まず、図7を参照して、コンテンツ処理装置4および/またはコンテンツサーバー2の処理機能(コンテンツサーバーの場合は、コンテンツの種類)を機能管理テーブルに登録する動作を説明する。ステップS701において、機能管理装置5は、作動中であるコンテンツ処理装置および/またはコンテンツサーバーに対して、ブロードキャストし、自身の処理機能および特性情報を通知するよう要求する。ステップS702において、機能管理装置5は、コンテンツ処理装置から処理機能の通知を待ち受けている。
ステップS706において、コンテンツ処理装置4(またはコンテンツサーバー2)は、機能管理装置5からのブロードキャストに応答して、自身が実行できる処理機能、および特性(対応プロトコル、対応フォーマット)情報を通知する。ステップS703において、機能管理装置5は、コンテンツ処理装置4から処理機能の通知を受信したか否かを判断する。処理機能の通知を受信した場合には、機能管理装置5は、ステップS704において、コンテンツ処理装置4から受信した処理機能および特性情報を、図6(a)に示す通り、識別IDと対応づけて、機能管理テーブルに記憶する。ステップS705において、機能管理装置5は、自身の起動を終了するか否かを判断し、終了しなければS703に戻り、引き続き処理機能の登録処理を継続する。
コンテンツ処理装置(またはコンテンツサーバー)は、機能管理装置5からブロードキャストを受信した場合だけでなく、自身が起動した場合にも、ステップS707において、自身が実行できる処理機能を機能管理装置5に通知する。そして、機能管理装置5は、上記と同様にS703〜S705の処理を実行し、処理機能を登録する。従って、機能管理装置5がブロードキャストした(S701)あとに、コンテンツ処理装置(またはコンテンツ提供装置)が起動した場合にも、それらの処理機能を登録することができる。以上のようにして、機能管理装置は、作動中の全てのコンテンツ処理装置またはコンテンツサーバーについて、その処理機能を記憶することができる。一方、機能管理装置は、作動していないコンテンツ処理装置またはコンテンツサーバーについては、その処理機能を記憶しないので、作動していないコンテンツ処理装置またはコンテンツサーバーに誤ってコンテンツ転送またはコンテンツ処理を指示することを防止できる。
次に、コンテンツに処理を実行し、クライアントに転送する動作について図8Aおよび図8B(図8Aおよび図8Bは一続きのフローチャートを示す)を参照して説明する。ステップS801において、クライアント3aは、起動時に、機能管理装置5を探索するため、マジックワードを含む探索パケットをLAN上にブロードキャストする。機能管理装置5は、ステップS813において、クライアントからの探索を待ち受けており、探索パケットを受信した場合は、ステップS814において、マッジクワードを検証し、探索パケットをクライアントに応答する。ステップS802において、クライアント3aは、機能管理装置5のIPアドレス等を記憶し、ステップS803において、機能管理装置5と接続する。そして、クライアント3aは、自身の特性(対応プロトコルおよび対応フォーマット)情報を機能管理装置に通知し、機能管理装置は、クライアントの特性情報を図6(a)の機能管理テーブルに記憶する。
ステップS804において、クライアント3aは、機能管理装置5に対して、処理機能リストを要求する。ステップS815において、機能管理装置5は、図6(a)に示す機能管理テーブルから図9に示す処理機能リストを作成し、クライアント3aに返信する。ステップS805において、クライアント3aは、処理機能リストを受信する。処理機能リストは、ネットワーク上に存在するコンテンツの種類、およびコンテンツに実行できる処理をクラインアントが認識するためのリストであり、コンテンツの種類に対応し、当該コンテンツを所有するコンテンツサーバーの識別IDを含む。なお、クライアントは、コンテンツに実行する処理機能を、どのコンテンツ処理装置が所有しているかは認識する必要がないので、処理機能リストには、コンテンツに実行する処理機能に対応する識別IDは含まなくてよい。さらに、機能管理テーブルの情報全てをクライアントが取得することもできるが、必要最低限の情報である処理機能リストを取得することにより、メモリ量を低減でき、かつ、ネットワークトラフィックを低減できる。
ステップS806において、クライアント3aは、図9の処理機能リストを参照して、コンテンツサーバーの識別IDを指定し、当該指定したコンテンツサーバー2aと接続する。そして、クライアント3aは、コンテンツサーバー2aにコンテンツリストを要求する。ステップS819において、クライアント3aからリスト要求を受けたコンテンツサーバー2aは、図10に示すコンテンツリストをクライアント3aに返信する。クライアント3aは、コンテンツリストを受信する。コンテンツリストは、コンテンツサーバーが所有するコンテンツをクライアントが認識するためのリストであり、代表的には、当該コンテンツを所有するコンテンツサーバーの識別ID、コンテンツの識別情報であるコンテンツID(曲ID)、タイトル、およびアーティスト名を含む。好ましくは、コンテンツサーバーは、他のコンテンツサーバーのコンテンツリストを全て取得しており、コンテンツリストには、全てのコンテンツサーバーが所有するコンテンツの情報が含まれている。クライアントがネットワーク上の全コンテンツ情報を認識する際に、各コンテンツサーバーからコンテンツリストを個別に取得する必要がなくなるからである。
ステップS807において、クライアント3aは、再生要求するコンテンツが選択されたか否かを判断する。すなわち、図示しない液晶表示部等に、図10に示すコンテンツリストが表示されており、当該コンテンツリストの中からコンテンツが選択されたか否かを判断する。例えば、ある音楽データ(コンテンツID:abc)が選択された場合には、ステップS808に進み、クライアント3aは、選択された音楽データに処理を実行するか否か判断する。すなわち、液晶表示部等に図9に示す処理機能リスト(処理機能の箇所のみ)が表示されており、処理機能が選択されたか否かを判断する。例えば、音場処理1等が選択された場合には、ステップS809に進み、クライアント3aは、機能管理装置5に、音楽データに音場処理1を実行して転送するよう要求する。具体的には、クライアント3aは、図11に示すコンテンツ要求コマンドを機能管理装置5に送信する。コンテンツ要求コマンドは、要求するコンテンツ、およびコンテンツに実行する処理を指定するコマンドであり、コンテンツ情報および処理を特定する情報を含む。コンテンツ情報は、コンテンツIDと当該コンテンツを所有するコンテンツサーバーの識別IDとを含む。処理を特定する情報は、処理名を含み、複数の処理が実行される場合には、複数の処理名を含む。
一方、S808において、コンテンツに処理が実行されない場合には、ステップS810に進み、図11に示すコマンドであって処理名を含まないコンテンツ要求コマンドを、機能管理装置5に送信することにより、コンテンツ転送のみを要求する(この場合は、以下に説明する処理とは異なる処理を実行するが、説明を省略する)。
ステップS816において、機能管理装置5は、クライアント3aからの要求に応じて、コンテンツの転送経路を決定する。具体的には、機能管理装置5は、コンテンツ要求コマンドのコンテンツ情報に基づいて、コンテンツサーバー、および転送するコンテンツを決定する。次に、機能管理装置5は、コンテンツ要求コマンドの処理名に基づいて、音場処理1を実行するコンテンツ処理装置を決定する。すなわち、図6(a)に示す機能管理テーブルを参照し、音場処理1を実行できるコンテンツ処理装置を選択する。本例では、音場処理1を実行できるコンテンツ処理装置4a(識別ID:ID5)が選択される。なお、コンテンツ要求コマンドに複数の処理が指定されている場合には、機能管理装置5は、その処理を実行できるコンテンツ処理装置を選択し、かつ、処理を実行する順番(コンテンツを転送する順番)を決定する。コンテンツに処理を実行する順番は、特に限定されないが、代表的には、コンテンツ処理装置およびクライアントの特性情報に基づいて、決定され得る(詳細は後述する)。また、クライアントが指定する処理に対して、処理を実行できるコンテンツ処理装置が複数存在する場合には、コンテンツ処理装置の処理能力や負荷を考慮して、最適なコンテンツ処理装置が選択され得る。
ステップS817において、機能管理装置5は、転送経路として決定したコンテンツサーバー2aと接続する。ステップS818において、機能管理装置5は、転送経路として決定したコンテンツサーバー(およびコンテンツ処理装置)に対して、音楽データの転送および音場処理1の実行を指示する。具体的には、機能管理装置5は、コンテンツサーバー2aに、図12(a)に示すコンテンツ転送・処理コマンドを送信して、音楽データの転送を指示する。コンテンツ転送・処理コマンドは、コンテンツに処理を実行して転送する転送経路を指定するコマンドであり、コンテンツ情報、クライアント情報および転送経路情報を含む。コンテンツ情報は、選択されたコンテンツのコンテンツIDを含む。クライアント情報は、音楽データを要求したクライアントの特定情報であり、代表的には、クライアントID(またはアドレス)を含む。転送経路情報は、コンテンツを転送する経路、すなわちコンテンツに処理を実行するコンテンツ処理装置およびその順番を示し、コンテンツ処理装置の識別ID(またはアドレス)および処理名を含む。
ステップS820において、コンテンツサーバー2aは、コンテンツ転送・処理コマンドを受信する。コンテンツサーバー2aは、コンテンツ転送・処理コマンドの転送経路情報に示されているコンテンツ処理装置のうち、コンテンツサーバー2aが最初にコンテンツを転送すべき(本例では、一番上に示されている)コンテンツ処理装置4aと接続する。
ステップS821において、コンテンツサーバー2aは、コンテンツ転送・処理コマンドに基づいて、音楽データに最初に処理を実行するコンテンツ処理装置4aに、クライアントが要求した音楽データを転送する。すなわち、コンテンツサーバー2aは、ハードディスクに記録された音楽データを読み出し、コンテンツ処理装置4aに転送する。さらに、コンテンツサーバー2aは、コンテンツ処理装置4aにコンテンツ転送・処理コマンドを転送する。コンテンツ転送・処理コマンドを転送することにより、コンテンツ処理装置4aは自身が実行すべき処理および音楽データの転送経路を認識することができる。
S822において、コンテンツ処理装置4aは、コンテンツサーバー2aから音楽データを順次受信し、かつ、コンテンツ転送・処理コマンドを受信する。コンテンツ処理装置4aは、コンテンツ転送・処理コマンドの転送経路情報を参照し、自身がコンテンツに音場処理1を実行した後に、別のコンテンツ処理装置4b〜4fが処理を実行するか否かを判断する(図示せず)。本例では、コンテンツ転送・処理コマンドの転送経路情報によれば、音場処理1を実行した後に、別のコンテンツ処理装置は処理を実行しない。この場合、ステップS823において、コンテンツ処理装置4aは、コンテンツ転送・処理コマンドのクライントIDを参照して、コンテンツを要求したクライアントと接続する。
ステップS824において、コンテンツ処理装置4aは、コンテンツ転送・処理コマンドを参照して、受信した音楽データから順番に、指定された処理(音場処理1)を順次実行する。そして、ステップS825において、コンテンツ処理装置4aは、音場処理1を実行した音楽データから順番に、要求したクライアントに転送する。ステップS812において、クライアントは、コンテンツ処理装置4aから順次コンテンツを受信し、音楽データを再生する。
以上のように、機能管理装置が、コンテンツ処理装置が実行できる処理機能およびIDを記憶し、クライアントからのコンテンツ要求に応じて、コンテンツに処理を実行するコンテンツ処理装置およびその転送経路を決定する。従って、クライアントは、コンテンツ処理装置を認識および指定する必要がなく、コンテンツに実行する処理を単に選択するだけで、音場処理などが実行されたコンテンツを再生することができる。
なお、S822の処理において、コンテンツ転送・処理コマンドの転送経路情報を参照して、コンテンツ処理装置4aが音場処理1を実行した後に、別のコンテンツ処理装置が処理を実行する場合には、コンテンツ処理装置は、再生要求したクライアントではなく、当該別のコンテンツ処理装置と接続する。そして、コンテンツ処理装置4aは、当該別のコンテンツ処理装置に、音場処理1を実行したコンテンツを順次転送し、かつ、コンテンツ転送・処理コマンドを転送する。当該別のコンテンツ処理装置は、コンテンツを順次受信し、かつ、コンテンツ転送・処理コマンドを受信する。そして、当該別のコンテンツ処理装置は、S822〜S825と同様の処理を実行する。このように、機能管理装置5が決定した転送経路の順に従い、各コンテンツ処理装置が、要求された処理を実行し、最後には、コンテンツ要求したクライアントにコンテンツを転送する。従って、複数の処理を実行する場合にも、非常に簡便に処理を実行したコンテンツを再生することができる。
好ましくは、コンテンツ処理装置は、別のコンテンツ処理装置にコンテンツ転送・処理コマンドを転送する際に、転送経路情報から自身が実行する処理に関する情報(すなわち、自身のIDおよび自身が実行する処理名)を削除し、転送する。各コンテンツ処理装置がこれを実行することにより、コンテンツ転送・処理コマンドが転送される毎に、転送経路情報が少なくなり、コンテンツ転送・処理コマンドの容量を小さくすることができる。
次に、S816において、他の実施形態における転送経路の決定方法を説明する。本例では、機能管理装置5は、クライアントからの要求だけではなく、コンテンツサーバーおよび/またはコンテンツ処理装置の特性(対応プロトコル、対応フォーマット)情報を参照して、コンテンツの転送経路を決定する。本実施形態は、図6(b)の機能管理テーブルを参照して説明する。例えば、クライアントが、音楽データ(サーバー識別ID:ID1、MP3形式)に音場処理2を実行して転送するよう要求する。機能管理装置5は、転送経路として音場処理2を実行できるコンテンツ処理装置4b(識別ID:ID6)を選択するが、コンテンツ処理装置4bはMP3形式に対応しておらず、WAVE形式のみに対応している。そこで、機能管理装置5は、音楽データをMP3形式からWAVE形式に変換するコンテンツ処理装置4f(識別ID:ID10)を転送経路として選択し、図12bに示すコンテンツ転送・処理コマンドを作成する。従って、MP3形式である音楽データは、コンテンツ処理装置4fにおいてWAVE形式に変換された後、コンテンツ処理装置4bにおいて音場処理2が実行され、クライアントに転送される。以上のように、クライアントが指定した処理を実行するコンテンツ処理装置の対応フォーマットまたは対応プロトコルを参照し、転送するコンテンツのフォーマットまたはプロトコルに対応していない場合には、対応するフォーマットまたはプロトコルに変換してからコンテンツ処理装置に転送するように転送経路を決定する。従って、コンテンツ処理装置がコンテンツのフォーマットまたはプロトコルに対応していない場合でも、好適に、コンテンツに処理を実行し、クライアントに転送することができる。
次に、S816において、さらに別の実施形態における転送経路の決定方法を説明する。本例では、機能管理装置5は、クライアントからの要求だけではなく、クライアントの特性(対応プロトコル、対応フォーマット)情報を参照して、コンテンツの転送経路を決定する。例えば、クライアントが、音楽データ(サーバー識別ID:ID1、WAVE形式)を転送するよう要求する(本例では、処理は要求しない)。クライアントは、WAVE形式には対応しておらず、MP3形式のみに対応しているとする。機能管理装置は、クライアントがMP3形式のみに対応していることを認識すると、転送経路として音楽データをWAVE形式からMP3形式に変換するコンテンツ処理装置4f(ID10)を選択し、図12(c)に示すコンテンツ転送・処理コマンドを作成する。従って、WAVE形式である音楽データは、コンテンツ処理装置4fにおいてMP3形式に変換された後、クライアントに転送される。以上のように、機能管理装置は、クライアントの特性情報を参照し、コンテンツをクライアントが対応するフォーマットまたはプロトコルに変換してクライアントに転送できるよう、転送経路を決定する。従って、クライアントはフォーマット変換を指定しなくても、フォーマット変換したコンテンツを受信し、再生することができる。
また、上記実施形態において、コンテンツ提供装置が全コンテンツ提供装置のコンテンツリストを所有するのではなく、機能管理装置が、全コンテンツ提供装置のコンテンツリストを所有してもよい。この場合、クライアントは、機能管理装置にコンテンツリストを要求し、機能管理装置はクライアントにコンテンツリストを返信する。本例によれば、クライアントは、コンテンツ提供装置を認識する必要がなくなるので、図9の処理機能リストにおいてコンテンツ提供装置に関する情報(識別IDおよびコンテンツの種類)が不要となり、処理を簡素化できる。さらに、各コンテンツサーバは、全コンテンツサーバのコンテンツリストを所有する必要がなく、機能管理装置に自身のコンテンツリストを通知するだけでよいので、処理がさらに簡素化できる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。例えば、選択されるコンテンツの種類に応じて、選択できる処理機能が切り換わってもよい。すなわち、音楽データが選択された場合は、音楽データ用の処理機能のみが液晶表示部に表示され、映像データが選択された場合は、映像データ用の処理機能のみが液晶表示部に表示されてもよい。さらに、コンテンツ処理装置は、コンテンツを全て受信してから、処理を実行し、クライアントに転送してもよい。さらに、コンテンツ提供手段がCDプレーヤまたはラジオチューナーである場合には、アナログデータをA/D変換したあと、MP3などにエンコードして送信することができる。また、CDプレーヤはデジタルデータを出力してもよい。さらに、機能管理手段およびコンテンツ処理手段の構成は特に限定されず、コンテンツサーバーやクライアントに併存していてもよい。
上述した全ての実施形態における各ステップは、コンピュータに実行させるためのプログラムを形成する。よって、この動作プログラムを装置にインストールすることにより、コンテンツ再生システムを構築できる。また、動作プログラムは、そのままインターネットなどの電気通信回線を通じて配信されてもよいが、CD−ROM、DVD−ROM、メモリーカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納されて配布されてもよい。