[フッ素原子含有重合性不飽和単量体]
本発明のフッ素原子含有重合性不飽和単量体は前記式(1a)又は(1b)で表されるアクリル酸エステル系化合物である。この単量体は不飽和アシル基(R−)の不飽和部位において重合して高分子化合物を与える。この単量体は分子内にフッ素原子を有しているため、波長300nm以下の光、特に真空紫外光に対する高い透明性をポリマーに付与するとともに、分子内に脂環式炭素環を有しているので、優れた耐エッチング性を付与できる。また、この単量体は、不飽和アシルオキシ基(RO−基)が結合している炭素原子の隣接位に少なくとも1つの水素原子が結合した炭素原子が存在するので、酸により脱離反応が進行して前記不飽和アシルオキシ基に相当するカルボン酸とオレフィン化合物とが生成しアルカリ可溶性となることから、酸脱離性付与機能を有している。さらに、本発明の単量体は、フォトレジストとして要求される諸機能(例えば、基板密着性、透明性、耐エッチング性等)を付与するために用いられる各種単量体、例えば他のアクリル系単量体やビニルエーテル系単量体、環状不飽和単量体などと共重合しやすい。そのため、例えば真空紫外光等に対する透明性に優れ、しかも酸脱離性、基板密着性、耐エッチング性等の特性をバランスよく具備した高分子化合物を容易に調製することができる。
式(1a)において、環Z1は脂環式炭素環を示す。脂環式炭素環としては、特に限定されず、単環(3〜20員の単環等)及び多環(橋架け環)(2〜5環を有する多環等)の何れであってもよい。但し、該脂環式炭素環が多環である場合には、環を構成する原子の一部(例えば、1〜3程度の炭素原子)が酸素原子、硫黄原子又は窒素原子で置換されていてもよい。この場合、式(2)で表される不飽和アシル基を含む基が結合している環は少なくとも炭素環を構成しているのが好ましい。
環Z1の代表的な例として、前記式(3a)、(3b)又は(3c)で表される環が挙げられる。式中、Y1はアルキレン基、酸素原子又は硫黄原子を示し、Y2、Y3は、それぞれ、アルキレン基、酸素原子、硫黄原子又は無結合を示す。アルキレン基としては、例えば、メチレン、エチレン、ジメチルメチレン、プロピレン、トリメチレン基などの直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜3程度(好ましくは1又は2)のアルキレン基などが挙げられる。Y1、Y2としては、特にメチレン基等の炭素数1〜3のアルキレン基又は酸素原子が好ましい。Y3としては、特にメチレン基等の炭素数1〜3のアルキレン基、酸素原子又は無結合であるのが好ましい。k、nは、それぞれ0〜3の整数を示し、好ましくは0〜2、特に好ましくは0又は1である。mは1又は2を示す。式(3a)〜(3c)中の環を構成する原子は置換基を有していてもよい。
式(3a)で表される環(以下の括弧内は環式基名)には、例えば、ノルボルナン環(ノルボルナン−2−イル基など)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン環(テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン−3−イル基など)、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン環(7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル基など)などが含まれる。
式(3b)で表される環(以下の括弧内は環式基名)には、例えば、シクロペンタン環(シクロペンチル基)、シクロヘキサン環(シクロヘキシル基)、パーヒドロインデン環(パーヒドロインデン−1−イル基など)、デカリン環(デカリン−1−イル基など)、パーヒドロフルオレン環(パーヒドロフルオレン−1−イル基など)、パーヒドロアントラセン環(パーヒドロアントラセン−1−イル基など)、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環(トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−3−イル基など)、トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン環(トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン−3−イル基など)などが含まれる。
式(3c)で表される環(以下の括弧内は環式基名)には、アダマンタン環(アダマンタン−1−イル基、アダマンタン−2−イル基など)が含まれる。
環Z1を構成する原子は置換基を有していてもよい。該置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、ハロアルキル基、アリール基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシ(ハロ)アルキル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基、保護基で保護されていてもよいスルホ基、オキソ基、ニトロ基、シアノ基、保護基で保護されていてもよいアシル基などが挙げられる。
前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素原子などが挙げられる。アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル基などのC1-10アルキル基(好ましくは、C1-5アルキル基)などが挙げられる。ハロアルキル基としては、例えば、クロロメチル基などのクロロアルキル基;トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル基などのフルオロアルキル基(例えばC1-10フルオロアルキル基、好ましくはC1-5フルオロアルキル基)などが挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル、ナフチル基などが挙げられる。アリール基の芳香環は、例えば、フッ素原子などのハロゲン原子、メチル基などのC1-4アルキル基、トリフルオロメチル基などC1-5ハロアルキル基、ヒドロキシル基、メトキシ基などのC1-4アルコキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、メトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、アセチル基などのアシル基等の置換基を有していてもよい。ヒドロキシ(ハロ)アルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチル−1−ヒドロキシエチル基など[好ましくは、ヒドロキシ−C1-4アルキル基、ヒドロキシ−C1-4ハロアルキル基等]が挙げられる。
前記ヒドロキシル基や、ヒドロキシ(ハロ)アルキル基におけるヒドロキシル基の保護基としては、有機合成の分野で慣用の保護基、例えば、アルキル基(例えば、メチル、t−ブチル基などのC1-4アルキル基など)、アルケニル基(例えば、アリル基など)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基など)、アリール基(例えば、2,4−ジニトロフェニル基など)、アラルキル基(例えば、ベンジル基など);置換メチル基(例えば、メトキシメチル、メチルチオメチル、ベンジルオキシメチル、t−ブトキシメチル、2−メトキシエトキシメチル基など)、置換エチル基(例えば、1−エトキシエチル基など)、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、1−ヒドロキシアルキル基(例えば、1−ヒドロキシエチル基など)等の、ヒドロキシル基とアセタール又はヘミアセタール基を形成可能な基;アシル基(例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、ピバロイル基などのC1-6脂肪族アシル基;アセトアセチル基;ベンゾイル基などの芳香族アシル基など)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基などのC1-4アルコキシ−カルボニル基など)、アラルキルオキシカルボニル基、置換又は無置換カルバモイル基、置換シリル基(例えば、トリメチルシリル基など)など、及び、分子内にヒドロキシル基(ヒドロキシメチル基を含む)が2以上存在するときには、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基(例えば、メチレン、エチリデン、イソプロピリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、ベンジリデン基など)などが例示できる。
前記アミノ基の保護基としては、例えば、前記ヒドロキシル基の保護基として例示したアルキル基、アラルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基などが挙げられる。また、カルボキシル基、スルホ基の保護基としては、例えば、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ基などのC1-6アルコキシ基など)、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、トリアルキルシリルオキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、ヒドラジノ基、アルコキシカルボニルヒドラジノ基、アラルキルカルボニルヒドラジノ基などが挙げられる。
前記アシル基としては、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、ピバロイル基などのC1-6脂肪族アシル基;アセトアセチル基;ベンゾイル基などの芳香族アシル基などが挙げられる。アシル基の保護基としては有機合成分野で慣用の保護基を使用できる。アシル基の保護された形態としては、例えば、アセタール(ヘミアセタールを含む)などが挙げられる。
環Z1の置換基が2以上の場合、それらが互いに結合して、環Z1を構成する炭素原子と共に4員以上の環、例えばシクロアルカン環、ラクトン環などを形成していてもよい。これらの環は、フッ素原子等のハロゲン原子などの置換基(前記環Z1を構成する原子が有していてもよい置換基と同様の置換基)を有していてもよい。
上記の置換基の中でも、フッ素原子、フルオロアルキル基(例えば、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル基などのC1-10フルオロアルキル基、特にC1-5フルオロアルキル基等)、アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル基などのC1-10アルキル基等)などが好ましい。環Z1における置換基の数は、0〜5程度、好ましくは0〜3程度である。
式(1a)中、R1、R2は、それぞれ、アルキル基又はフルオロアルキル基を示す。なお、本明細書では、アルキル基とフルオロアルキル基とをまとめて「フッ素化されていてもよいアルキル基」と称することがある。R1及びR2は同一の基であっても異なる基であってもよい。前記アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル基などの炭素数1〜15程度(好ましくは1〜12程度)の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基などが挙げられる。
前記フルオロアルキル基としては、例えば、前記アルキル基の少なくとも1つの水素原子がフッ素原子に置換された、炭素数1〜15程度(好ましくは1〜12程度、さらに好ましくは2〜10程度)の直鎖状又は分岐鎖状のフルオロアルキル基などが挙げられる。このようなフルオロアルキル基の代表的な例として、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチル、ヘプタフルオロプロピル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、ノナフルオロブチル、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロブチル、ウンデカフルオロペンチル、2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチル、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル、トリデカフルオロヘキシル、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6−ウンデカフロオロヘキシル、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−デカフロオロヘキシル、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフロオロヘキシル、ペンタデカフルオロヘプチル、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフロオロヘプチル、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフロオロヘプチル、ヘプタデカフルオロオクチル、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフロオロオクチル、ノナデカフルオロノニル、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−ヘプタデカフロオロノニル、ヘンイコサフルオロデシル、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ノナデカフロオロデシル基などが挙げられる。
式(1a)中、Wは単結合又は連結基を示す。連結基としては、例えば、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、エーテル結合(酸素原子)、チオエーテル結合(硫黄原子)、カルボニル基、チオカルボニル基、置換されていてもよい−NH−基、これらが複数個結合した2価の基などが挙げられる。
前記2価の炭化水素基には、2価の脂肪族炭化水素基、2価の脂環式炭化水素基、2価の芳香族炭化水素基及びこれらが2以上結合した炭化水素基が含まれる。これらの炭化水素基には1価の炭化水素基(脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基又はこれらが2以上結合した炭化水素基)が1又は2以上結合していてもよい。また、2価の炭化水素基には置換基を有する炭化水素基も含まれる。置換基としては、前記環Z1の置換基と同様の基が挙げられる。
2価の炭化水素基の代表的な例として、例えば、メチレン、メチルメチレン、エチルメチレン、ジメチルメチレン、エチルメチルメチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン基などのアルキレン基;プロペニレン基などのアルケニレン基;1,3−シクロペンチレン、1,2−シクロへキシレン、1,3−シクロへキシレン、1,4−シクロへキシレン基などのシクロアルキレン基;シクロプロピレン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン基などのシクロアルキリデン基;フェニレン基などのアリーレン基;ベンジリデン基;及びこれらの基が有する水素原子のうち少なくとも1つがフッ素原子で置換された基などが挙げられる。
−NH−基の置換基としては、メチル、エチル基などのアルキル基(C1-4アルキル基など)、アセチル基などのアシル基(C1-6アシル基など)、メトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基(C1-6アルコキシ−カルボニル基など)などが挙げられる。2価の炭化水素基等が複数個結合した2価の基としては、例えば、2価の炭化水素基と酸素原子とが結合した基、2以上の2価の炭化水素基が酸素原子を介して結合した基、エステル基、アミド基などが挙げられる。
式(1a)において、Rは前記式(2)で表される不飽和アシル基を示す。式(2)中、R4、R5、R6は、それぞれ、水素原子、フッ素原子、アルキル基又はフルオロアルキル基を示す。アルキル基及びフルオロアルキル基としては、前記R1、R2において例示した基が挙げられる。R4としては、フッ素原子又は炭素数1〜3のフルオロアルキル基が好ましく、中でもトリフルオロメチル基が好ましい。R5、R6としては、それぞれ、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のフルオロアルキル基が好ましく、中でも水素原子が好ましい。
式(2)で表される不飽和アシル基の代表的な例として、2−トリフルオロメチル−2−プロペノイル基(=α−トリフルオロメチルアクリロイル基)、2−フルオロ−2−プロペノイル基(=α−フルオロアクリロイル基)、アクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられる。なお、式(1a)においては、R1、R2、R4、R5、R6の少なくとも1つはフッ素原子又はフルオロアルキル基である。
式(1a)で表されるフッ素原子含有重合性不飽和単量体において、RO−基が結合している炭素原子の隣接位(α位)の炭素原子にフッ素原子が結合していると酸脱離性が低下するため、RO−基が結合している炭素原子の隣接位(α位)の何れの炭素原子にもフッ素原子が結合していないのが好ましい。
また、式(1a)で表されるフッ素原子含有重合性不飽和単量体の中でも、好ましい単量体として、(i)環Z1にフッ素原子又はフルオロアルキル基(例えばC1-10フルオロアルキル基、特にC1-5フルオロアルキル基)が結合している単量体、(ii)R1及びR2のうち少なくとも一方が1位に水素原子を有するフルオロアルキル基である単量体、(iii)R1及びR2が共に1位に水素原子を有するフッ素化されていてもよいアルキル基である単量体、又は(iv)R1及びR2のうち少なくとも一方が炭素数3以上のフッ素化されていてもよいアルキル基である単量体が挙げられる。
前記環Z1にフッ素原子又はフルオロアルキル基が結合している単量体(i)に対応する繰り返し単位(モノマー単位)を含む高分子化合物は、波長300nm以下の光、とりわけ真空紫外光に対する透過性に特に優れ、レジストの感度や解像度を一層向上できる。環Z1に結合するフッ素原子及びフルオロアルキル基の数は1つでもよく2以上であってもよい。
前記R1及びR2のうち少なくとも一方が1位に水素原子を有するフルオロアルキル基である単量体(ii)に対応する繰り返し単位を含む高分子化合物は、光透過性及び酸脱離性に特に優れ、そのためレジストの感度や解像性をより向上させることができる。1位に水素原子を有するフルオロアルキル基としては、前記フルオロアルキニル基として例示した基のうち1位に水素原子を有する直鎖状又は分岐鎖状のフルオロアルキル基、例えば、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロブチル、2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチル、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6−ウンデカフロオロヘキシル、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−デカフロオロヘキシル、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフロオロヘキシル、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフロオロヘプチル、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフロオロヘプチル、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフロオロオクチル、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−ヘプタデカフロオロノニル、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ノナデカフロオロデシル基などが挙げられる。該フルオロアルキル基の炭素数は、例えば2〜15、好ましくは2〜12、さらに好ましくは2〜10程度である。前記(ii)の単量体において、R1及びR2の両方が1位に水素原子を有するフルオロアルキル基であってもよい。その場合、R1及びR2は同一の基であっても異なる基であってもよい。
前記R1及びR2が共に1位に水素原子を有するフッ素化されていてもよいアルキル基である単量体(iii)に対応する繰り返し単位を含む高分子化合物は、酸脱離性が極めて良好であり、レジストの感度や解像性を一層向上できる。1位に水素原子を有するフッ素化されていてもよいアルキル基としては、前記アルキル基及びフルオロアルキル基として例示した基のうち1位に水素原子を有する直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基(例えば炭素数1〜15のアルキル基、好ましくは炭素数1〜12のアルキル基)及びフルオロアルキル基(例えば炭素数2〜15のフルオロアルキル基、好ましくは炭素数2〜12のフルオロアルキル基、さらに好ましくは2〜10のフルオロアルキル基)が挙げられる。この場合、R1及びR2は同一の基であっても異なる基であってもよい。
前記R1及びR2のうち少なくとも一方が炭素数3以上(例えば3〜15程度、好ましくは3〜10程度、さらに好ましくは4〜10程度)のフッ素化されていてもよいアルキル基である単量体(iv)に対応する繰り返し単位を含む高分子化合物は酸脱離性が特に良好であり、レジストの感度や解像性の点で有利である。炭素数3以上のフッ素化されていてもよいアルキル基には、前記アルキル基及びフルオロアルキル基として例示した基のうち炭素数が3以上のものが含まれる。R1及びR2が共に炭素数3以上のフッ素化されていてもよいアルキル基であってもよい。その場合、R1及びR2は同一の基であっても異なる基であってもよい。
式(1a)で表されるフッ素原子含有重合性単量体の代表例として以下の化合物が例示される。環Z1が式(3a)で表される環である代表的な化合物としては、例えば、2−[1−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−1−メチルエチル]ノルボルナン、2−[1−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−1,2−ジメチルプロピル]ノルボルナン、2−[1−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−1−メチルブチル]ノルボルナン、2−[1−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−1−メチルペンチル]ノルボルナン、2−[1−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−1−メチルヘプチル]ノルボルナン、2,3−ビス(トリフルオロメチル)−5−[1−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−1−メチルペンチル]ノルボルナン、1,2,3,3,4,5,5,6,6,7,7−ウンデカフルオロ−2−[1−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−1−メチルペンチル]ノルボルナン、2−[3,3,3−トリフルオロ−1−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−1−メチルプロピル]ノルボルナン、2−[3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−ウンデカフルオロ−1−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−1−メチルヘプチル]ノルボルナン、2−[3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−ペンタデカフルオロ−1−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−1−メチルノニル]ノルボルナン、2−[3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロ−1−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−1−メチルデシル]ノルボルナン、2−[3,3,3−トリフルオロ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)−1−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)プロピル]ノルボルナン、2−[3,3,3−トリフルオロ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)−1−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)プロピル]−2−トリフルオロメチルノルボルナン、3−[3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロ−1−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−1−メチルデシル]−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、2−[1−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−1−メチルペンチル]−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタンなどの式(2)におけるR4がトリフルオロメチル基である化合物、及びR4がフッ素原子である前記化合物に対応する化合物などが挙げられる。
環Z1が式(3b)で表される環である代表的な化合物としては、例えば、1−[3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロ−1−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−1−メチルデシル]シクロヘキサン、3−[3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロ−1−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−1−メチルデシル]−トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカンなどの式(2)におけるR4がトリフルオロメチル基である化合物、及びR4がフッ素原子である前記化合物に対応する化合物などが挙げられる。
環Z1が式(3c)で表される環である代表的な化合物としては、例えば、1−フルオロ−3−[1−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−1−メチルエチル]アダマンタン、1,3−ジフルオロ−5−[1−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−1−メチルエチル]アダマンタン、1,3,5−トリフルオロ−7−[1−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−1−メチルエチル]アダマンタン、2,2,3,4,4,5,6,6,7,8,8,9,9,10,10−ペンタデカフルオロ−1−[1−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−1−メチルエチル]アダマンタン、1−[3,3,3−トリフルオロ−1−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−1−メチルプロピル]アダマンタン、1−[3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−ドデカフルオロ−1−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−1−メチルオクチル]アダマンタン、1−[3,3,3−トリフルオロ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)−1−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)プロピル]アダマンタンなどの式(2)におけるR4がトリフルオロメチル基である化合物、及びR4がフッ素原子である前記化合物に対応する化合物などが挙げられる。
前記式(1b)において、環Z2は脂環式炭素環を示す。脂環式炭素環としては前記環Z1における脂環式炭素環と同様のものが挙げられる。環Z2を構成する原子は置換基を有していてもよい。該置換基としては、前記環Z1を構成する原子が有していてもよい置換基と同様である。また、環Z2の置換基が2以上の場合、それらが互いに結合して、環Z2を構成する炭素原子と共に4員以上の環、例えばシクロアルカン環、ラクトン環などを形成していてもよい。これらの環は、フッ素原子等のハロゲン原子などの置換基(前記環Z1を構成する原子が有していてもよい置換基と同様の置換基)を有していてもよい。R3はアルキル基又はフルオロアルキル基を示す。アルキル基及びフルオロアルキル基としては、前記R1、R2において例示した基と同様の基が挙げられる。Rは前記式(1a)の場合と同様である。R4としては、フッ素原子、炭素数1〜3のフルオロアルキル基、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、中でもトリフルオロメチル基などが好ましい。R5、R6としては、それぞれ、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のフルオロアルキル基が好ましく、中でも水素原子が好ましい。式(1b)中に示されるRO−基が結合している炭素原子の隣接位(例えばR3の1位)には、少なくとも1つの水素原子が結合した炭素原子が存在している。
式(1b)で表されるフッ素原子含有重合性不飽和単量体において、RO−基が結合している炭素原子の隣接位(α位)の炭素原子にフッ素原子が結合していると酸脱離性が低下するため、RO−基が結合している炭素原子の隣接位(α位)の何れの炭素原子にもフッ素原子が結合していないのが好ましい。
式(1b)においては、(i)環Z2にフッ素原子又はフルオロアルキル基が結合しているか、又は(ii)R3がフルオロアルキル基(好ましくは、1位に水素原子を有するフルオロアルキル基)である。このため、式(1b)で表される単量体に対応する繰り返し単位を含む高分子化合物は、波長300nm以下の光、特に真空紫外光に対する透明性に特に優れ、レジストの感度や解像度を大幅に向上できる。(i)の場合、環Z2に結合するフッ素原子及びフルオロアルキル基の数は1つでもよく2以上であってもよい。環Z2に結合するフルオロアルキル基としては、前記環Z1が有していてもよいフルオロアルキル基と同じものが挙げられる。R3におけるフルオロアルキル基としては、前記R1、R2におけるフルオロアルキル基と同様の基が挙げられる。
式(1b)で表されるフッ素原子含有重合性不飽和単量体の代表例として以下の化合物が例示される。環Z2が式(3a)で表される環である代表的な化合物としては、例えば、2−(2,2,2−トリフルオロエチル)−2−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)ノルボルナン、2−ノナフルオロブチル−5−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−5−メチルノルボルナン、2−(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−2−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)ノルボルナン、2,3,3,4,4,5,5,6−オクタフルオロ−8−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−8−メチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカンなどの式(2)におけるR4がトリフルオロメチル基である化合物、及びR4がフッ素原子、水素原子又はメチル基である前記化合物に対応する化合物などが挙げられる。
環Z2が式(3b)で表される環である代表的な化合物としては、例えば、1−(2,2,2−トリフルオロエチル)−1−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)シクロヘキサン、1−ノナフルオロブチル−4−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−4−メチルシクロヘキサン、1−(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−1−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)シクロヘキサン、1,1,2,2,3,3,3a,7a−オクタフルオロ−5−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−5−メチルパーヒドロインデンなどの式(2)におけるR4がトリフルオロメチル基である化合物、及びR4がフッ素原子、水素原子又はメチル基である前記化合物に対応する化合物などが挙げられる。
環Z2が式(3c)で表される環である代表的な化合物としては、例えば、2−(2,2,2−トリフルオロエチル)−2−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)アダマンタン、2−(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)−2−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)アダマンタン、1−フルオロ−4−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−4−メチルアダマンタン、1,3−ジフルオロ−6−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−6−メチルアダマンタンなどの式(2)におけるR4がトリフルオロメチル基である化合物、及びR4がフッ素原子、水素原子又はメチル基である前記化合物に対応する化合物などが挙げられる。
[フッ素原子含有重合性不飽和単量体の製造]
本発明のフッ素原子含有重合性不飽和単量体のうち、式(1a)で表される化合物は、例えば、下記式に従って製造することができる。
[式中、Mは金属原子又は−MgX
1基(X
1はハロゲン原子を示す)を示す。X
2はハロゲン原子を示す。環Z
1、R、R
1、R
2、Wは前記に同じ。但し、R
1、R
2、R
4、R
5、R
6の少なくとも1つはフッ素原子又はフルオロアルキル基である]
すなわち、式(4a)で表されるカルボニル化合物と式(5)で表される(フルオロ)アルキル化剤とを、テトラヒドロフランなどの適当な溶媒中で反応させ、次いで、得られた反応生成物に式(6)で表される不飽和カルボン酸ハライドを反応させることにより、対応する式(1a)で表される化合物を得ることができる。式中、Mにおける金属原子としては、リチウムなどが挙げられる。該金属原子は配位子を有していてもよい。式(5)で表される(フルオロ)アルキル化剤は反応系内で発生させてもよい。例えば、R2−Liで表される化合物は、R2−X3で表される化合物(X3はハロゲン原子を示す)とメチルリチウムとを系内で反応させて生成させることができる。式(5)で表される化合物のうち、Mが−MgX1基である化合物は、一般にグリニヤール試薬と称される。グリニヤール試薬は通常の方法により調製できる。X1、X2、X3におけるハロゲン原子としては、それぞれ、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
式(5)の化合物及び式(6)の化合物の使用量は、それぞれ、式(4a)で表される化合物1モルに対して、1〜1.5モル程度である。反応温度は、原料の種類によっても異なるが、通常30〜120℃程度である。反応生成物は、抽出、水洗、濃縮、蒸留、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段により分離精製できる。
上記方法において原料として用いる式(4a)で表されるカルボニル化合物は、例えば、特開2002−338514号公報に記載の反応を利用することにより得ることができる。すなわち、下記式に示されるように、式(13)で表されるアルデヒドと式(14)で表されるオレフィンとを、N−ヒドロキシフタルイミドなどのイミド系化合物触媒の存在下で反応させることにより、対応する付加生成物である式(15)で表されるカルボニル化合物を得ることができる。
上記反応式において、R1は前記と同じくアルキル基又はフルオロアルキル基を示し、Ra、Rb、Rc、Rdは、同一又は異なって、水素原子又は有機基を示す。Ra、Rb、Rc、Rdのうち少なくとも2つが互いに結合して、隣接する炭素原子又は炭素−炭素結合と共に環を形成してもよい。式(15)で表される化合物の基「−C(Ra)(Rb)−CH(Rc)(Rd)」が、式(4a)で表される化合物の基「−W−環Z1」に相当する。従って、例えば、式(4a)で表されるカルボニル化合物のうち、Wが単結合であり、環Z1がノルボルナン環である化合物は、R1−CHOとノルボルネン類とを反応させることにより製造することができる。
上記反応においては、過酸化ベンゾイルなどのラジカル発生剤を系内に存在させるのが好ましい。ラジカル発生剤の使用量は、例えば、式(13)で表される化合物及び式(14)で表される化合物のうち少量用いる方の成分1モルに対して、通常0.001〜0.5モル程度である。反応は芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル類などの適当な溶媒中、又は溶媒の非存在下で行うことができる。式(13)で表される化合物と式(14)で表される化合物との比率は特に限定されず、等モルで反応してもよく、何れかを過剰量用いて反応してもよい。反応温度は、通常40〜125℃程度である。
式(1a)で表される化合物のうち、Wが単結合であり、Z1がアダマンタン環である化合物は、例えば、国際公開第99/54271号パンフレットに記載の反応を利用して得ることもできる。
また、式(1a)で表される化合物のうち、R
1とR
2とが同一である化合物(1a′)は、下記式に従って製造することもできる。
(式中、Xはハロゲン原子を示す。環Z
1、R、R
2、W、X
2、Mは前記に同じ。但し、R
1、R
2、R
4、R
5、R
6の少なくとも1つはフッ素原子又はフルオロアルキル基である)
すなわち、式(4b)で表されるカルボン酸ハライドと式(5)で表される(フルオロ)アルキル化剤とを反応させ、次いで、得られた反応生成物に式(6)で表される不飽和カルボン酸ハライドを反応させることにより、対応する式(1a′)で表される化合物を得ることができる。Xにおけるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。式(5)の化合物の使用量は、式(4b)で表される化合物1モルに対して、2〜3モル程度であり、式(6)の化合物の使用量は、式(4b)で表される化合物1モルに対して、1〜1.5モル程度である。反応温度は、原料の種類によっても異なるが、通常30〜120℃程度である。反応生成物は、抽出、水洗、濃縮、蒸留、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの手段により分離精製できる。なお、原料として用いる式(4b)で表される化合物は、対応するカルボン酸に塩化チオニル等のハロゲン化剤を反応させることにより製造することができる。反応条件は通常のハロゲン化反応と同様である。
本発明のフッ素原子含有重合性不飽和単量体のうち、式(1b)で表される化合物は、例えば、下記式に従って製造することができる。
[式中、環Z
2、R、R
3、X
2、Mは前記に同じ。但し、(i)環Z
2にフッ素原子又はフルオロアルキル基が結合しているか、又は(ii)R
3がフルオロアルキル基である]
すなわち、式(7)で表される環状ケトン化合物と式(8)で表される(フルオロ)アルキル化剤とを、テトラヒドロフランなどの適当な溶媒中で反応させ、次いで、得られた反応生成物に式(6)で表される不飽和カルボン酸ハライドを反応させることにより、対応する式(1b)で表される化合物を得ることができる。式(8)の化合物及び式(6)の化合物の使用量は、それぞれ、式(7)で表される化合物1モルに対して、1〜1.5モル程度である。反応温度は、原料の種類によっても異なるが、通常30〜120℃程度である。反応生成物は、抽出、水洗、濃縮、蒸留、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの手段により分離精製できる。上記方法において原料として用いる式(7)で表されるカルボニル化合物としては市販品を利用できるが、公知の方法又は公知の反応を利用して合成することもできる。
本発明の式(1a)又は(1b)で表されるフッ素原子含有重合性不飽和単量体は、また、式(1a)又は(1b)で表される化合物に対応するアルコール[すなわち、式(1a)又は(1b)においてRが水素原子である化合物]と、式(2)で表される不飽和アシル基に対応する不飽和カルボン酸[すなわち、式 C(R5)(R6)=C(R4)−COOHで表される化合物]又はその反応性誘導体とを反応(エステル化反応)させることにより製造することもできる。前記不飽和カルボン酸の反応性誘導体としては、酸ハライド(酸クロリド、酸ブロミド等)、酸無水物、エステル(メチルエステル、エチルエステル等)などが挙げられる。エステル化反応としては一般的なエステル化反応に準じて行うことができる。
例えば、上記反応において、一方の原料として前記不飽和カルボン酸の酸ハライド又は酸無水物を反応に用いる場合には、通常、塩基の存在下で反応を行う。塩基としては、例えば、トリエチルアミン、ピリジンなどの有機塩基、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどの無機塩基を使用できる。塩基の使用量は、不飽和カルボン酸の酸ハライド又は酸無水物に対して、通常1〜1.5当量程度であるが、大過剰量用いてもよい。反応は、トルエン、塩化メチレン、テトラヒドロフラン等の反応に不活性な溶媒中で行うのが好ましい。不飽和カルボン酸の酸ハライド又は酸無水物の使用量は、式(1a)又は(1b)で表される化合物に対応するアルコール1モルに対して、通常0.9〜1.3モル程度である。反応温度は、反応に用いる原料の種類等によっても異なるが、一般には−10℃〜100℃程度である。
上記反応において、一方の原料として前記不飽和カルボン酸のエステルを反応に用いる場合には、触媒としてエステル交換触媒を用いるのが好ましい。エステル交換触媒としては、アルミニウム化合物やチタン化合物等の金属化合物などの有機合成の分野で慣用のものを使用できる。反応はトルエン等の反応に不活性な溶媒中で行うのが好ましい。反応で副生するアルコールを留去しながら反応を行ってもよい。不飽和カルボン酸のエステルの使用量は、式(1a)又は(1b)で表される化合物に対応するアルコール1モルに対して、通常0.9〜1.3モル程度である。反応温度は、用いる原料によっても異なるが、一般に20〜150℃程度の範囲から適宜選択できる。上記の何れの方法においても、反応生成物は、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の分離手段により分離精製できる。
[高分子化合物]
本発明の高分子化合物は、上記本発明のフッ素原子含有重合性不飽和単量体に対応する繰り返し単位(モノマー単位)を含んでいる。該繰り返し単位は1種であってもよく2種以上であってもよい。このような高分子化合物は、上記フッ素原子含有重合性不飽和単量体を重合に付すことにより得ることができる。
本発明の高分子化合物は、レジストとして要求される諸機能を充分にバランスよく具備するため、上記本発明のフッ素原子含有重合性不飽和単量体に対応する繰り返し単位に加えて、他の繰り返し単位を有していてもよい。このような他の繰り返し単位は、該繰り返し単位に対応する重合性不飽和単量体を本発明のフッ素原子含有重合性不飽和単量体と共重合させることにより形成できる。前記他の繰り返し単位としては、例えば、基板密着性及び/又は親水性機能を有する繰り返し単位、酸脱離性機能を高める繰り返し単位、耐エッチング性機能を高める繰り返し単位、透明性を高める繰り返し単位などが挙げられる。前記親水性機能には、レジスト溶媒やアルカリ現像液に対する溶解性を高める機能が含まれる。また、本発明の高分子化合物の調製に際しては、共重合を円滑に進行させたり、共重合体組成を均一にするために用いる単量体をコモノマーとして用いることもできる。
基板密着性及び/又は親水性機能を有する繰り返し単位は、極性基を有する重合性不飽和単量体をコモノマーとして用いることによりポリマーに導入できる。前記極性基として、例えば、保護基を有していてもよいヒドロキシル基、保護基を有していてもよいカルボキシル基、保護基を有していてもよいアミノ基、保護基を有していてもよいスルホ基、ラクトン環含有基などが挙げられる。前記保護基としては有機合成の分野で慣用のもの(例えば、前記例示の保護基)を使用できる。極性基を有する重合性不飽和単量体としてはレジストの分野で公知の化合物を使用できる。
酸脱離性機能を高める繰り返し単位は、例えば、(1)エステルを構成する酸素原子の隣接位に、第3級炭素を有する炭化水素基や2−テトラヒドロフラニル基、2−テトラヒドロピラニル基などが結合した(メタ)アクリル酸エステル誘導体、(2)エステルを構成する酸素原子の隣接位に炭化水素基(脂環式炭化水素基、脂肪族炭化水素基、これらが結合した基など)を有しており、且つ該炭化水素基に−COORe基(Reは第3級炭化水素基、2−テトラヒドロフラニル基又は2−テトラヒドロピラニル基を示す)が直接又は連結基を介して結合している(メタ)アクリル酸エステル誘導体などをコモノマーとして用いることによりポリマーに導入できる。このような(メタ)アクリル酸エステル誘導体としてはレジストの分野で公知の化合物を使用できる。
透明性を高める繰り返し単位は、例えば分子内にフッ素原子を有する重合性単量体をコモノマーとして用いることによりポリマーに導入することができる。
本発明の高分子化合物にレジストとしての諸機能を付与するために用いられる本発明の単量体以外の重合性不飽和単量体の代表的な例として、前記式(9a)又は(9b)で表されるビニルエーテル系単量体が挙げられる。このようなビニルエーテル系単量体、特に脂環式炭素環を有するビニルエーテル系単量体を共重合させることにより、ポリマーの耐エッチング性を向上させることができる。また、分子内に極性基を有するビニルエーテル系単量体を用いることにより、基板密着性及び/又は親水性を高めることができる。これらのビニルエーテル系単量体は1種又は2種以上組み合わせて使用できる。
式(9a)中、環Z3は前記式(10a)〜(10i)で表される何れかの環を示す。式(10a)〜(10i)中、Y4はアルキレン基、酸素原子又は硫黄原子を示し、Y5、Y6、Y7、Y8は、それぞれ、アルキレン基、酸素原子、硫黄原子又は無結合を示す。アルキレン基としては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン基などの直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜3程度(好ましくは1又は2)のアルキレン基などが挙げられる。Y4、Y5としては、特にメチレン基などの炭素数1〜3のアルキレン基又は酸素原子が好ましい。Y6、Y7、Y8としては、特にメチレン基などの炭素数1〜3のアルキレン基、酸素原子又は無結合であるのが好ましい。a、c、d、eは、それぞれ0〜3の整数を示し、好ましくは0〜2、特に好ましくは0又は1である。bは1又は2を示す。式中の環は置換基を有していてもよい。該置換基としては、前記環Z1が有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
W1は2価の炭化水素基を示す。2価の炭化水素基には、2価の脂肪族炭化水素基、2価の脂環式炭化水素基、2価の芳香族炭化水素基及びこれらが2以上結合した炭化水素基が含まれる。これらの炭化水素基には1価の炭化水素基(脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基又はこれらが2以上結合した炭化水素基)が1又は2以上結合していてもよい。また、2価の炭化水素基には置換基を有する炭化水素基も含まれる。該置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子など)、オキソ基、ヒドロキシル基、置換オキシ基(例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基など)、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基など)、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、置換又は無置換アミノ基、スルホ基、複素環式基などを有していてもよい。前記ヒドロキシル基やカルボキシル基は有機合成の分野で慣用の保護基で保護されていてもよい。また、脂環式炭化水素基や芳香族炭化水素基の環には芳香族性又は非芳香属性の複素環が縮合していてもよい。
2価の炭化水素基の代表的な例として、例えば、メチレン、メチルメチレン、エチルメチレン、ジメチルメチレン、エチルメチルメチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン基などのアルキレン基;プロペニレン基などのアルケニレン基;1,3−シクロペンチレン、1,2−シクロへキシレン、1,3−シクロへキシレン、1,4−シクロへキシレン基などのシクロアルキレン基;シクロプロピレン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン基などのシクロアルキリデン基;フェニレン基などのアリーレン基;ベンジリデン基;及びこれらの基が有する水素原子のうち少なくとも1つがフッ素原子で置換された基などが挙げられる。
W
1の好ましい例には、例えば、下記式(16)
(式中、R
21及びR
22は、同一又は異なって、水素原子又は炭化水素基を示す。R
21及びR
22は、互いに結合して、隣接する炭素原子と共に脂環式環を形成していてもよい)
で表される基が含まれる。
R21、R22における炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基(炭素数1〜20程度のアルキル基、炭素数2〜20程度のアルケニル基、炭素数2〜20程度のアルキニル基など)、脂環式炭化水素基(3〜20員程度のシクロアルキル基、3〜20員程度のシクロアルケニル基、橋架け環式炭化水素基など)、芳香族炭化水素基(炭素数6〜14程度の芳香族炭化水素基など)、及びこれらが2以上結合した基が挙げられる。前記炭化水素基には置換基を有する炭化水素基も含まれる。該置換基としては、前記W1における2価の炭化水素基が有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
好ましいR21、R22には、水素原子;メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル基等のC1-10アルキル基(特に、C1-5アルキル基);シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の置換基を有していてもよいシクロアルキル基;ノルボルナン−2−イル基、アダマンタン−1−イル基などの置換基を有していてもよい橋かけ環式基などが含まれる。シクロアルキル基や橋かけ環式基が有していてもよい置換基として、前記環Z1が有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
式(9a)において、R7、R8及びR9は、同一又は異なって、水素原子又は有機基を示す。R7、R8、R9における有機基としては、例えば、ハロゲン原子、炭化水素基、複素環式基、置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基など)、カルボキシル基、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、硫黄酸基、硫黄酸エステル基、アシル基(アセチル基等の脂肪族アシル基;ベンゾイル基等の芳香族アシル基など)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基等のC1-6アルコキシ基など)、N,N−ジ置換アミノ基(N,N−ジメチルアミノ基、ピペリジノ基など)など、及びこれらが2以上結合した基などが挙げられ、前記カルボキシル基などは有機合成の分野で公知乃至慣用の保護基で保護されていてもよい。前記ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素原子が挙げられる。これらの有機基のなかでも、炭化水素基、複素環式基などが好ましい。
前記炭化水素基及び複素環式基には、置換基を有する炭化水素基及び複素環式基も含まれる。炭化水素基としては、前記R21、R22における炭化水素基と同様のものが挙げられる。好ましい炭化水素基には、C1-10アルキル基、C2-10アルケニル基、C2-10アルキニル基、C3-15シクロアルキル基、C6-10芳香族炭化水素基、C3-15シクロアルキル−C1-4アルキル基、C7-14アラルキル基等が含まれる。これらの炭化水素基は置換基を有していてもよく、該置換基として、前記W1における2価の炭化水素基が有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
前記R7等における複素環式基を構成する複素環には、芳香族性複素環及び非芳香族性複素環が含まれる。このような複素環としては、例えば、ヘテロ原子として酸素原子、イオウ原子又は窒素原子を含む複素環などが挙げられる。複素環式基は、前記炭化水素基が有していてもよい置換基のほか、アルキル基(例えば、メチル、エチル基などのC1-4アルキル基等)、シクロアルキル基、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル基等)などの置換基を有していてもよい。
好ましいR7、R8、R9には、水素原子及び炭化水素基(例えば、C1-10アルキル基、C2-10アルケニル基、C2-10アルキニル基、C3-15シクロアルキル基、C6-10芳香族炭化水素基、C3-12シクロアルキル−C1-4アルキル基、C7-14アラルキル基など)などが含まれる。R7、R8、R9として、水素原子、メチル基などのC1-3アルキル基が特に好ましい。
式(9a)において、環Z3、W1、R7、R8、R9のうち少なくとも2つは、互いに結合して、隣接する1又は2以上の原子と共に環を形成していてもよい。このような環には、非芳香族性の炭素環又は複素環が含まれる。式(9a)において、pは0又は1を示す。qは1〜8の整数を示し、好ましくは1〜4の整数、さらに好ましくは1〜3の整数である。qが2以上の場合、q個の括弧内の基は同一であってもよく異なっていてもよい。
式(9a)で表されるビニルエーテル化合物の代表的な例には以下の化合物が含まれる。環Z3が式(10a)で表される環であるビニルエーテル化合物として、例えば、2−ビニルオキシノルボルナン、5−メトキシカルボニル−2−ビニルオキシノルボルナン、2−[1−(ノルボルナン−2−イル)−1−ビニルオキシエチル]ノルボルナン、2−(ビニルオキシメチル)ノルボルナン、2−(1−メチル−1−ビニルオキシエチル)ノルボルナン、2−(1−メチル−1−ビニルオキシペンチル)ノルボルナン、3−ヒドロキシ−4−ビニルオキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、3−ヒドロキシ−8−ビニルオキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、3−メトキシカルボニル−8−ビニルオキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、3−メトキシカルボニル−9−ビニルオキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、3−(ビニルオキシメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、3−ヒドロキシメチル−8−ビニルオキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、3−ヒドロキシメチル−9−ビニルオキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、8−ヒドロキシ−3−(ビニルオキシメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、9−ヒドロキシ−3−(ビニルオキシメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、及びこれらに対応するイソプロペニルエーテル類などが挙げられる。
環Z3が式(10b)で表される環であるビニルエーテル化合物として、例えば、ビニルオキシシクロペンタン、ビニルオキシシクロヘキサン、シス−1,1,3−トリメチル−5−ビニルオキシシクロヘキサン、トランス−1,1,3−トリメチル−5−ビニルオキシシクロヘキサン、1−イソプロピル−4−メチル−2−ビニルオキシシクロヘキサン、3−ビニルオキシトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン、4−ビニルオキシトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン、2−ビニルオキシ−7−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−6−オン、(2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチル−1−シクロヘキシルエチル)ビニルエーテル、[2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチル−1−(4−トリフルオロメチルシクロヘキシル)エチル]ビニルエーテル、(1−トリフルオロメチル−1−シクロヘキシルエチル)ビニルエーテル、[1−トリフルオロメチル−1−(4−トリフルオロメチルシクロヘキシル)エチル]ビニルエーテル、及びこれらに対応するイソプロペニルエーテル類などが挙げられる。
環Z3が式(10c)で表される環であるビニルエーテル化合物として、例えば、1−ビニルオキシアダマンタン、2−ビニルオキシアダマンタン、2−メチル−2−ビニルオキシアダマンタン、2−エチル−2−ビニルオキシアダマンタン、1−ヒドロキシ−3−ビニルオキシアダマンタン、1,3−ジヒドロキシ−5−ビニルオキシアダマンタン、1,3,5−トリヒドロキシ−7−ビニルオキシアダマンタン、1,3−ジメチル−5−ビニルオキシアダマンタン、1−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−7−ビニルオキシアダマンタン、1−カルボキシ−3−ビニルオキシアダマンタン、1−アミノ−3−ビニルオキシアダマンタン、1−ニトロ−3−ビニルオキシアダマンタン、1−スルホ−3−ビニルオキシアダマンタン、1−t−ブチルオキシカルボニル−3−ビニルオキシアダマンタン、4−オキソ−1−ビニルオキシアダマンタン、1−(ビニルオキシメチル)アダマンタン、1−(1−メチル−1−ビニルオキシエチル)アダマンタン、1−(1−エチル−1−ビニルオキシエチル)アダマンタン、1−(1−(ノルボルナン−2−イル)−1−ビニルオキシエチル)アダマンタン、及びこれらに対応するイソプロペニルエーテル類などが挙げられる。
環Z3が式(10d)で表される環であるビニルエーテル化合物として、例えば、8−ビニルオキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−3,5−ジオン、4−ビニルオキシ−11−オキサペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン−10,12−ジオン、及びこれらに対応するイソプロペニルエーテル類などが挙げられる。
環Z3が式(10e)で表される環であるビニルエーテル化合物として、例えば、α−ビニルオキシ−γ−ブチロラクトン、β−ビニルオキシ−γ−ブチロラクトン、γ−ビニルオキシ−γ−ブチロラクトン、α−ビニルオキシ−γ,γ−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α,γ,γ−トリメチル−α−ビニルオキシ−γ−ブチロラクトン、γ,γ−ジメチル−β−メトキシカルボニル−α−ビニルオキシ−γ−ブチロラクトン、8−ビニルオキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−3−オン、9−ビニルオキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−3−オン、及びこれらに対応するイソプロペニルエーテル類などが挙げられる。
環Z3が式(10f)で表される環であるビニルエーテル化合物として、例えば、4−ビニルオキシ−2,7−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン−3,6−ジオン、及びこれに対応するイソプロペニルエーテル類などが挙げられる。
環Z3が式(10g)で表される環であるビニルエーテル化合物として、例えば、5−ビニルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン、5−メチル−5−ビニルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン、9−メチル−5−ビニルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン、及びこれらに対応するイソプロペニルエーテル類などが挙げられる。
環Z3が式(10h)で表される環であるビニルエーテル化合物として、例えば、6−ビニルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.3.1.14,8]ウンデカン−2−オン、6−ヒドロキシ−8−ビニルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.3.1.14,8]ウンデカン−2−オン、8−ヒドロキシ−6−ビニルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.3.1.14,8]ウンデカン−2−オン、及びこれらに対応するイソプロペニルエーテル類などが挙げられる。
環Z3が式(10i)で表される環であるビニルエーテル化合物として、例えば、1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−グルシトール 2(又は5)−ビニルエーテル、1,4:3,6−ジアンヒドロ−L−グルシトール 2(又は5)−ビニルエーテル、1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−マニトール モノビニルエーテル、1,4:3,6−ジアンヒドロ−L−マニトール モノビニルエーテル、1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−イディトール モノビニルエーテル、1,4:3,6−ジアンヒドロ−L−イディトール モノビニルエーテルなどが挙げられる。
前記式(9b)中、R10は置換基を有していてもよいアルキル基を示す。該アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル基などの炭素数1〜20(好ましくは、炭素数1〜10)程度の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。アルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)、オキソ基、ヒドロキシル基、置換オキシ基(例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基など)、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基など)、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、置換又は無置換アミノ基、スルホ基、芳香族炭化水素基、複素環式基などを有していてもよい。前記ヒドロキシル基やカルボキシル基は有機合成の分野で慣用の保護基で保護されていてもよい。
R11、R12及びR13は、同一又は異なって、水素原子又は有機基を示す。R11、R12、R13における有機基としては、R7、R8、R9における有機基と同様のものが挙げられる。
好ましいR11、R12、R13には、水素原子及び炭化水素基(例えば、C1-10アルキル基、C2-10アルケニル基、C2-10アルキニル基、C3-15シクロアルキル基、C6-10芳香族炭化水素基、C3-12シクロアルキル−C1-4アルキル基、C7-14アラルキル基など)などが含まれる。R11、R12、R13として、水素原子、メチル基などのC1-3アルキル基が特に好ましい。
式(9b)において、R10、R11、R12、R13のうち少なくとも2つは、互いに結合して、隣接する1又は2以上の原子と共に環を形成していてもよい。このような環には、非芳香族性の炭素環又は複素環が含まれる。式(9b)において、rは1〜8の整数をを示し、好ましくは1〜4の整数、さらに好ましくは1〜3の整数である。rが2以上の場合、r個の括弧内の基は同一であってもよく異なっていてもよい。
式(9b)で表されるビニルエーテル化合物の代表的な例として、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、s−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、トリフルオロメチルビニルエーテル、(2,2,2−トリフルオロエチル)ビニルエーテル、(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)ビニルエーテル、(2,2,3,3−テトラフルオロプロピル)ビニルエーテル、(2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル)ビニルエーテル、(2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロブチル)ビニルエーテル、(2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチル)ビニルエーテル、(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)ビニルエーテル、(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロヘプチル)ビニルエーテル、(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプチル)ビニルエーテル、(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシル)ビニルエーテル、(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11−イコサフルオロウンデシル)ビニルエーテル、(2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル)ビニルエーテル、(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル)ビニルエーテル、[1,1−ビス(トリフルオロメチル)エチル]ビニルエーテル、(1−トリフルオロメチル−1−メチルエチル)ビニルエーテル、(2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチル−1−フェニルエチル)ビニルエーテル、(1−トリフルオロメチル−1−フェニルエチル)ビニルエーテル、及びこれらに対応するイソプロペニルエーテル類、ジヒドロピランなどが挙げられる。
前記ビニルエーテル系単量体において、(1)式(9a)で表される化合物のうち環Z3が式(10d)、(10e)、(10f)、(10g)、(10h)又は(10i)で表される環である化合物、(2)式(9a)で表される化合物のうち環Z3が式(10a)、(10b)又は(10c)で表される環であって、且つ環Z3に前記極性基若しくは極性基を含む基が結合しているか、又はW1、R7、R8若しくはR9が極性基を含む基である化合物、及び(3)式(9b)で表される化合物のうちR10、R11、R12若しくはR13が極性基を含む基である化合物は、コモノマーとして共重合に付すことにより基板密着性及び/又は親水性機能を有する繰り返し単位を形成する。
前記ビニルエーテル系単量体は公知の方法により、又は公知の反応を利用することにより製造できる。また、ビニルエーテル系単量体は、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類と、目的のビニルエーテルのうちビニル基以外の部分に対応するヒドロキシ化合物とを、イリジウム化合物触媒の存在下、及び好ましくは塩基の存在下で反応させて、該ヒドロキシ化合物をビニルエーテル化することにより得ることもできる。例えば、酢酸ビニルと2−ヒドロキシノルボルネンから2−ビニルオキシノルボルネンを製造できる。この反応は溶媒の存在下又は非存在下で行われる。ビニルエステル類の使用量は、ヒドロキシ化合物1モルに対して、例えば0.1〜5モル程度である。イリジウム化合物触媒として、例えば、ジ−μ−クロロビス(1,5−シクロオクタジエン)二イリジウム(I)[Ir(cod)Cl]2)などの有機イリジウム触媒が使用できる。イリジウム化合物触媒の使用量は、ヒドロキシ化合物1モルに対して、例えば0.0001〜1モル、好ましくは0.001〜0.3モル程度である。前記塩基として、例えば、炭酸ナトリウムなどの無機塩基等を使用できる。塩基の使用量は、ヒドロキシ化合物1モルに対して、例えば0.001〜3モル、好ましくは0.005〜2モル程度である。反応温度は、反応成分の種類等に応じて適宜選択でき、例えば50〜150℃程度である。反応生成物は、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の分離手段により分離精製できる。
本発明の高分子化合物にレジストとしての諸機能を付与するために用いられる本発明の単量体以外の重合性不飽和単量体の他の代表例として、前記式(11a)、(11b)、(11c)又は(11d)で表されるアクリル系単量体[但し、式(1a)及び式(1b)で表される化合物を除く]が挙げられる。このようなアクリル系単量体によれば、例えば、分子内(例えばアクリル部位等)にフッ素原子を有する場合には、波長300nm以下の光、特に真空紫外光に対する透明性を高めることができ、脂環式炭素環を有するアクリル系単量体を用いる場合には、ポリマーの耐エッチング性を向上させることができ、分子内に極性基を有するアクリル系単量体を用いる場合には、基板密着性及び/又は親水性を高めることができる。さらに、エステル結合を構成する酸素原子に第3級炭素原子が結合しているアクリル系単量体等を用いる場合には、酸脱離性機能を向上できる。これらのアクリル系単量体は1種又は2種以上組み合わせて使用できる。
式(11a)中、環Z4は前記式(10a)〜(10i)で表される何れかの環式基を示す。式(11a)中、W2は2価の炭化水素基を示す。2価の炭化水素基としては前記W1における2価の炭化水素基と同様のものが挙げられる。但し、環Z4及びW2は何れもフッ素原子、フッ素原子含有基を置換基として有していない。R14、R15、R16は、それぞれ、水素原子、フッ素原子、アルキル基又はフルオロアルキル基を示す。アルキル基、フルオロアルキル基はR5、R6におけるアルキル基、フルオロアルキル基と同様である。sは0又は1を示す。tは1〜8の整数を示し、好ましくは1〜4の整数、さらに好ましくは1〜3の整数である。tが2以上の場合、t個の括弧内の基は同一であってもよく異なっていてもよい。
式(11a)で表されるアクリル系単量体の代表的な例として以下のものが挙げられる。例えば、環Z4が式(10a)で表される環である化合物として、2−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)ノルボルナン、3−ヒドロキシ−4−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、3−ヒドロキシ−8−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、3−ヒドロキシメチル−8−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、3−ヒドロキシメチル−9−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、8−ヒドロキシ−3−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、9−ヒドロキシ−3−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカンなどのR14がトリフルオロメチル基である化合物、及びR14がフッ素原子、水素原子又はメチル基である前記化合物に対応する化合物などが挙げられる。
環Z4が式(10b)で表される環である化合物として、例えば、1−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)シクロペンタン、1−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)シクロヘキサン、シス−5−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−1,1,3−トリメチルシクロヘキサン、トランス−5−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−1,1,3−トリメチルシクロヘキサン、2−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−1−イソプロピル−4−メチルシクロヘキサン、3−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン、4−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン、2−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−7−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−6−オンなどのR14がトリフルオロメチル基である化合物、及びR14がフッ素原子、水素原子又はメチル基である前記化合物に対応する化合物などが挙げられる。
環Z4が式(10c)で表される環である化合物として、例えば、1−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)アダマンタン、2−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)アダマンタン、2−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−2−メチルアダマンタン、2−エチル−2−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)アダマンタン、1−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−3−ヒドロキシアダマンタン、1−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−3,5−ジヒドロキシアダマンタン、1−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−3,5,7−トリヒドロキシアダマンタン、5−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−1,3−ジメチルアダマンタン、1−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−3−ヒドロキシ−5,7−ジメチルアダマンタン、1−カルボキシ−3−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)アダマンタン、1−アミノ−3−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)アダマンタン、3−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−1−ニトロアダマンタン、3−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−1−スルホアダマンタン、1−t−ブチルオキシカルボニル−3−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)アダマンタン、1−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−4−オキソアダマンタン、1−[1−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−1−メチルエチル)アダマンタン、1−[1−エチル−1−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)エチル)アダマンタンなどのR14がトリフルオロメチル基である化合物、及びR14がフッ素原子、水素原子又はメチル基である前記化合物に対応する化合物などが挙げられる。
環Z4が式(10d)で表される環である化合物として、例えば、8−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−3,5−ジオン、4−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−11−オキサペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン−10,12−ジオンなどのR14がトリフルオロメチル基である化合物、及びR14がフッ素原子、水素原子又はメチル基である前記化合物に対応する化合物などが挙げられる。
環Z4が式(10e)で表される環である化合物として、例えば、α−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−γ−ブチロラクトン、β−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−γ−ブチロラクトン、γ−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−γ−ブチロラクトン、α−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−γ,γ−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−α,γ,γ−トリメチル−γ−ブチロラクトン、8−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−3−オン、9−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−3−オンなどのR14がトリフルオロメチル基である化合物、及びR14がフッ素原子、水素原子又はメチル基である前記化合物に対応する化合物などが挙げられる。
環Z4が式(10f)で表される環である化合物として、例えば、4−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−2,7−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン−3,6−ジオンなどのR14がトリフルオロメチル基である化合物、及びR14がフッ素原子、水素原子又はメチル基である前記化合物に対応する化合物などが挙げられる。
環Z4が式(10g)で表される環である化合物として、例えば、5−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン、5−メチル−5−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン、9−メチル−5−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オンなどのR14がトリフルオロメチル基である化合物、及びR14がフッ素原子、水素原子又はメチル基である前記化合物に対応する化合物などが挙げられる。
環Z4が式(10h)で表される環である化合物として、例えば、6−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−3−オキサトリシクロ[4.3.1.14,8]ウンデカン−2−オン、8−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−6−ヒドロキシ−3−オキサトリシクロ[4.3.1.14,8]ウンデカン−2−オン、6−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−8−ヒドロキシ−3−オキサトリシクロ[4.3.1.14,8]ウンデカン−2−オンなどR14がトリフルオロメチル基である化合物、及びR14がフッ素原子、水素原子又はメチル基である前記化合物に対応する化合物などが挙げられる。
環Z4が式(10i)で表される環である化合物として、例えば、1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−グルシトール 2(又は5)−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノエート)、1,4:3,6−ジアンヒドロ−L−グルシトール 2(又は5)−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノエート)、1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−マニトール モノ(2−トリフルオロメチル−2−プロペノエート)、1,4:3,6−ジアンヒドロ−L−マニトール モノ(2−トリフルオロメチル−2−プロペノエート)、1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−イディトール モノ(2−トリフルオロメチル−2−プロペノエート)、1,4:3,6−ジアンヒドロ−L−イディトール モノ(2−トリフルオロメチル−2−プロペノエート)などのR14がトリフルオロメチル基である化合物、及びR14がフッ素原子、水素原子又はメチル基である前記化合物に対応する化合物などが挙げられる。
式(11b)において、R17は置換基を有していてもよいアルキル基を示す。該置換基を有していてもよいアルキル基は、前記R10における置換基を有していてもよいアルキル基と同様である。R14、R15、R16は前記と同様である。uは1〜8の整数を示し、好ましくは1〜4の整数、さらに好ましくは1〜3の整数である。uが2以上の場合、u個の括弧内の基は同一であってもよく異なっていてもよい。
式(11b)で表されるアクリル系単量体の代表的な例として、例えば、2−トリフルオロメチル−2−プロペン酸メチル、2−トリフルオロメチル−2−プロペン酸エチル、2−トリフルオロメチル−2−プロペン酸プロピル、2−トリフルオロメチル−2−プロペン酸イソプロピル、2−トリフルオロメチル−2−プロペン酸s−ブチル、2−トリフルオロメチル−2−プロペン酸t−ブチル、2−トリフルオロメチル−2−プロペン酸ヘキシル、2−トリフルオロメチル−2−プロペン酸(2−ヒドロキシエチル)、2−トリフルオロメチル−2−プロペン酸トリフルオロメチル、2−トリフルオロメチル−2−プロペン酸(2,2,2−トリフルオロエチル)、2−トリフルオロメチル−2−プロペン酸(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)、2−トリフルオロメチル−2−プロペン酸(2,2,3,3−テトラフルオロプロピル)、2−トリフルオロメチル−2−プロペン酸(2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル)、2−トリフルオロメチル−2−プロペン酸(2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロブチル)、2−トリフルオロメチル−2−プロペン酸(2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチル)、2−トリフルオロメチル−2−プロペン酸(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)、2−トリフルオロメチル−2−プロペン酸(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロヘプチル)、2−トリフルオロメチル−2−プロペン酸(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプチル)、2−トリフルオロメチル−2−プロペン酸(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシル)、2−トリフルオロメチル−2−プロペン酸(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11−イコサフルオロウンデシル)、2−トリフルオロメチル−2−プロペン酸(2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル)、2−トリフルオロメチル−2−プロペン酸(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル)、2−トリフルオロメチル−2−プロペン酸[1,1−ビス(トリフルオロメチル)エチル]、2−トリフルオロメチル−2−プロペン酸(1−トリフルオロメチル−1−メチルエチル)、2−トリフルオロメチル−2−プロペン酸(2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチル−1−フェニルエチル)、2−トリフルオロメチル−2−プロペン酸(1−トリフルオロメチル−1−フェニルエチル)などのR14がトリフルオロメチル基である化合物、及びR14がフッ素原子、水素原子又はメチル基である前記化合物に対応する化合物などが挙げられる。
式(11c)中、環Z5は置換基を有していてもよい脂環式炭素環を示す。該脂環式炭素環としては、前記式(10a)、(10b)又は(11c)で表される環などが挙げられる。脂環式炭素環が有していてもよい置換基としては前記環Z1が有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。R18は水素原子、フッ素原子、アルキル基又はフルオロアルキル基を示す。該アルキル基、フルオロアルキル基はR5、R6におけるアルキル基、フルオロアルキル基と同様である。R19はフルオロアルキル基を示す。該フルオロアルキル基としては前記R1、R2において例示したフルオロアルキル基が挙げられる。R14、R15、R16は前記と同じである。fは1〜6の整数を示す。
式(11c)で表されるアクリル系単量体としては、例えば、1−ノナフルオロブチル−4−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)シクロヘキサン、1−トリデカフルオロヘキシル−4−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)シクロヘキサン、2−ノナフルオロブチル−5−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)ノルボルナン、2−トリデカフルオロヘキシル−5−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)ノルボルナン、2−トリデカフルオロヘキシル−5−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2−トリデカフルオロヘキシル−6−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)パーヒドロナフタレン、3−トリデカフルオロヘキシル−8−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカンなどのR14がトリフルオロメチル基である化合物、及びR14がフッ素原子、水素原子又はメチル基である前記化合物に対応する化合物などが挙げられる。
式(11d)中、環Z6は置換基を有していてもよい脂環式炭素環を示す。該脂環式炭素環としては、前記式(10a)、(10b)又は(10c)で表される環などが挙げられる。脂環式炭素環が有していてもよい置換基としては前記環Z1が有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。R20は水素原子、フッ素原子、アルキル基又はフルオロアルキル基を示す。該アルキル基、フルオロアルキル基はR5、R6におけるアルキル基、フルオロアルキル基と同様である。R14、R15、R16は前記と同じである。gは3又は4を示す。
式(11d)で表されるアクリル系単量体としては、例えば、1,1,2,2,3,3,3a,7a−オクタフルオロ−5−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)パーヒドロインデン、2,3,3,4,4,5,5,6−オクタフルオロ−8−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、2,3,3,4,4,5,5,6−オクタフルオロ−8−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−10−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,1,2,2,3,3,4,4,4a,8a−デカフルオロ−6−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)デカリン、2,3,3,4,4,5,5,6,6,7−デカフルオロ−9−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカンなどのR14がトリフルオロメチル基である化合物、及びR14がフッ素原子、水素原子又はメチル基である前記化合物に対応する化合物などが挙げられる。
前記アクリル系単量体において、(1)式(11a)で表される化合物のうち環Z4が式(10d)、(10e)、(10f)、(10g)、(10h)又は(10i)で表される環である化合物、(2)式(11a)で表される化合物のうち環Z4が(10a)、(10b)又は(10c)で表される環であって、且つ環Z4に前記極性基若しくは極性基を含む基が結合しているか、又はW2が極性基を含む基である化合物、(3)式(11b)で表される化合物のうちR17が極性基を含む基である化合物、(4)式(11c)で表される化合物のうち環Z5に極性基若しくは極性基を含む基が結合している化合物、及び(5)式(11d)で表される化合物のうち環Z6に極性基若しくは極性基を含む基が結合している化合物は、コモノマーとして共重合に付すことにより基板密着性及び/又は親水性機能を有する繰り返し単位を形成する。
前記アクリル系単量体は公知の方法により、又は公知の反応を利用することにより製造できる。例えば、フッ素原子含有又は非含有の不飽和カルボン酸又はその反応性誘導体(酸ハライド、酸無水物、エステル等)とヒドロキシ化合物とを、塩基や酸触媒、エステル交換触媒等を用いた慣用のエステル化法に従って反応させてエステル化することにより、対応する前記アクリル系単量体を得ることができる。
本発明の高分子化合物にレジストとしての諸機能を付与するために用いられる本発明の単量体以外の重合性不飽和単量体の他の例として、前記式(12a)又は(12b)で表される環状不飽和単量体が挙げられる。このような環状不飽和単量体のうち、式(12a)の化合物によればポリマーの耐エッチング性を向上させることができ、式(12b)の化合物によれば基板密着性を高めることができる。また、上記環状不飽和単量体において、環にフッ素原子又はフッ素原子含有基を有する場合には、波長300nm以下の光、特に真空紫外光に対する透明性を高めることができ、環に前記極性基又は極性基を含む基が結合している場合には、基板密着性及び/又は親水性を高めることができる。さらに、エステル結合を構成する酸素原子に第3級炭素原子が結合しているようなエステル基を有する場合には、酸脱離性機能を向上できる。これらの環状不飽和単量体は1種又は2種以上組み合わせて使用できる。
式中、Y9、Y10は、それぞれ、アルキレン基、酸素原子、硫黄原子又は無結合を示す。Y11は酸素原子又は−NH−基を示す。fは0〜3の整数を示す。式(12a)、(12b)中の環を構成する原子は置換基を有していてもよい。前記アルキレン基はY4等におけるアルキレン基と同様である。環が有していてもよい置換基としては、環Z1が有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。環の置換基が2以上の場合、それらが互いに結合して、環を構成する炭素原子と共に4員以上の環、例えばシクロアルカン環、ラクトン環などを形成していてもよい。これらの環は、フッ素原子等の置換基(前記環Z1を構成する原子が有していてもよい置換基と同様の置換基)を有していてもよい。
式(12a)で表される環状不飽和単量体の代表的な例として、例えば、ノルボルネン(=ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン)、5−カルボキシ−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン、5−t−ブトキシカルボニル−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン、7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン、トリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デセン、トリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]−8−デセン−3−オン、4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]−8−デセン−3,5−ジオンなどが挙げられる。
式(12b)で表される環状不飽和単量体の代表的な例として、例えば、無水マレイン酸、2−フルオロ無水マレイン酸、2−トリフルオロメチル無水マレイン酸、マレイミド、N−カルボキシマレイミド、N−メチルマレイミドなどが挙げられる。
前記環状不飽和単量体において、(1)式(12a)で表される化合物のうち、環に前記極性基又は極性基を含む基が結合している化合物、及び(2)式(12b)で表される化合物は、コモノマーとして共重合に付すことにより基板密着性及び/又は親水性機能を有する繰り返し単位を形成する。前記環状不飽和単量体は公知の方法により、又は公知の反応を利用することにより製造できる。
本発明の高分子化合物において、式(1a)又は(1b)で表される化合物に対応する繰り返し単位の割合は特に限定されないが、ポリマーを構成する全モノマー単位に対して、一般には1〜99モル%、好ましくは5〜95モル%、さらに好ましくは10〜80モル%であり、特に20〜70モル%程度が好ましい。酸脱離性機能を有する繰り返し単位の割合は、ポリマーを構成する全モノマー単位に対して、例えば5〜80モル%、好ましくは10〜60モル%程度である。基板密着性機能及び/又は親水性機能を有する繰り返し単位の割合は、ポリマーを構成する全モノマー単位に対して、例えば20〜95モル%、好ましくは40〜90モル%程度である。また、式(9a)又は(9b)で表されるビニルエーテル系単量体に対応する繰り返し単位、式(11a)、(11b)、(11c)又は(11d)で表されるアクリル系単量体に対応する繰り返し単位、式(12a)又は(12b)で表される環状不飽和単量体に対応する繰り返し単位の割合は、各単量体単位の有する機能に応じて適宜選択できる。これらの繰り返し単位の総割合は、ポリマーを構成する全モノマー単位に対して、1〜99モル%、好ましくは5〜95モル%、さらに好ましくは20〜90モル%、特に好ましくは30〜80モル%程度である。
本発明のフッ素原子含有重合性不飽和単量体を(共)重合に付して高分子化合物を得るに際し、重合は、溶液重合、塊状重合、懸濁重合、塊状−懸濁重合、乳化重合など、アクリル系ポリマーを製造する際に用いる慣用の方法により行うことができるが、特に溶液重合が好適である。溶液重合の際、均質なポリマーを得るため滴下重合法を用いてもよい。
重合溶媒としては公知の溶媒を使用でき、例えば、エーテル(ジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等グリコールエーテル類などの鎖状エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテルなど)、エステル(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルエステル類など)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど)、アミド(N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなど)、スルホキシド(ジメチルスルホキシドなど)、アルコール(メタノール、エタノール、プロパノールなど)、炭化水素(ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素など)、これらの混合溶媒などが挙げられる。また、重合開始剤として公知の重合開始剤を使用できる。重合温度は、例えば30〜150℃程度の範囲で適宜選択できる。
重合により得られたポリマーは、沈殿又は再沈殿により精製できる。沈殿又は再沈殿溶媒は有機溶媒及び水の何れであってもよく、また混合溶媒であってもよい。沈殿又は再沈殿溶媒として用いる有機溶媒として、例えば、炭化水素(ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素)、ハロゲン化炭化水素(塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化脂肪族炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素など)、ニトロ化合物(ニトロメタン、ニトロエタンなど)、ニトリル(アセトニトリル、ベンゾニトリルなど)、エーテル(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタンなどの鎖状エーテル;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトンなど)、エステル(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、カーボネート(ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなど)、アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなど)、カルボン酸(酢酸など)、これらの溶媒を含む混合溶媒等が挙げられる。
高分子化合物の重量平均分子量(Mw)は、例えば1000〜500000程度、好ましくは3000〜50000程度であり、分子量分布(Mw/Mn)は、例えば1.5〜2.5程度である。なお、前記Mnは数平均分子量を示し、Mn、Mwともにポリスチレン換算の値である。
[フォトレジスト用樹脂組成物と半導体の製造]
本発明のフォトレジスト用樹脂組成物は、上記本発明の高分子化合物と光酸発生剤とを少なくとも含んでいる。なお、レジスト性能を損なわない範囲で、前記高分子化合物以外のポリマーを含んでいてもよい。
光酸発生剤としては、露光により効率よく酸を生成する慣用乃至公知の化合物、例えば、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩(例えば、ジフェニルヨードヘキサフルオロホスフェートなど)、スルホニウム塩(例えば、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムメタンスルホネートなど)、スルホン酸エステル[例えば、1−フェニル−1−(4−メチルフェニル)スルホニルオキシ−1−ベンゾイルメタン、1,2,3−トリスルホニルオキシメチルベンゼン、1,3−ジニトロ−2−(4−フェニルスルホニルオキシメチル)ベンゼン、1−フェニル−1−(4−メチルフェニルスルホニルオキシメチル)−1−ヒドロキシ−1−ベンゾイルメタンなど]、オキサチアゾール誘導体、s−トリアジン誘導体、ジスルホン誘導体(ジフェニルジスルホンなど)、イミド化合物、オキシムスルホネート、ジアゾナフトキノン、ベンゾイントシレートなどを使用できる。これらの光酸発生剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
光酸発生剤の使用量は、光照射により生成する酸の強度やポリマーおける各繰り返し単位の比率などに応じて適宜選択でき、例えば、高分子化合物100重量部に対して0.1〜30重量部、好ましくは1〜25重量部、さらに好ましくは2〜20重量部程度の範囲から選択できる。
フォトレジスト用樹脂組成物は、必要に応じて、アルカリ可溶性樹脂(例えば、ノボラック樹脂、フェノール樹脂、イミド樹脂、カルボキシル基含有樹脂など)などのアルカリ可溶成分、着色剤(例えば、染料など)、有機溶媒(例えば、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、アルコール類、エステル類、アミド類、ケトン類、エーテル類、セロソルブ類、カルビトール類、グリコールエーテルエステル類、これらの混合溶媒など)、塩基性化合物(ヒンダードアミン化合物など)、界面活性剤、溶解阻止剤、増感剤、安定剤などを含んでいてもよい。
こうして得られるフォトレジスト用樹脂組成物を基材又は基板上に塗布し、乾燥した後、所定のマスクを介して、塗膜(レジスト膜)に光線を露光して(又は、さらに露光後ベークを行い)潜像パターンを形成し、次いで現像することにより、微細なパターンを高い精度で形成できる。
基材又は基板としては、シリコンウエハ、金属、プラスチック、ガラス、セラミックなどが挙げられる。フォトレジスト用樹脂組成物の塗布は、スピンコータ、ディップコータ、ローラコータなどの慣用の塗布手段を用いて行うことができる。塗膜の厚みは、例えば0.01〜20μm、好ましくは0.05〜1μm程度である。
露光には、種々の波長の光線、例えば、紫外線、X線などが利用でき、半導体レジスト用では、通常、g線、i線、エキシマレーザー(例えば、XeCl、KrF、KrCl、ArF、ArCl、F2、Kr2、KrAr、Ar2等)などが使用される。露光エネルギーは、例えば0.1〜1000mJ/cm2程度である。
光照射により光酸発生剤から酸が生成し、この酸により、例えば前記高分子化合物の酸脱離性基の脱離部位が速やかに脱離して、可溶化に寄与するカルボキシル基等が生成する。そのため、水又はアルカリ現像液による現像により、所定のパターンを精度よく形成できる。