JP2005053505A - 缶 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】缶軸方向下部10aと上部10bとが厚肉部とされ、これら下部10aと上部10bとの間に位置する中間部10cが薄肉部とされた缶10であって、胴体部11に、缶軸方向に連続して、または、2以上に分断されて形成された溝21が、周方向に間隔を置いて複数形成された溝部22を備え、溝部22は、少なくとも下部が前記薄肉部に位置して形成され、溝部22の下部は、この下部を除く他部より溝加工領域を狭く、または溝深さを浅くした溝形状緩和部22aとされている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、飲料水等を充填する缶に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、飲料水等は缶に充填され販売されており、近年においては、着脱可能なキャップを備えたボトル缶に充填されたものも提供されている。ここで、ボトル缶その他の各種缶に充填される飲料水等には、冷却されたもののみならず加熱されたものもあり、一般に、同一種の飲料水等は、冷却、加熱の別を問わず、同一種の缶が使用されている。
【0003】
しかしながら、この種の缶においては、これに充填された飲料水等が加熱した状態で販売される際、缶胴体部表面の温度は約60℃に達することがあり、さらに、この缶胴体部は平滑面とされている。従って、需要者がこの飲料水等を購入し、これを開栓する際、缶胴体部表面の温度がある程度冷却するのを待って開栓せざるを得ない等の問題があった。
【0004】
このような問題を解決する手段として、缶胴体部に溝部を形成する構成が考えられる(例えば特許文献1参照)。
ここで、缶は一般に、まず、円板状のアルミニウム材またはアルミニウム合金材に絞り,しごき加工が施されることにより有底筒状体とされるので、この缶の肉厚は、缶軸方向に一定ではなく、具体的には、缶の缶軸方向下部及び上部が厚肉部とされ、これらの上部と下部との間に位置する中間部が薄肉部とされている。
【0005】
また、内容物として、茶,果汁入り飲料,コーヒー飲料,スポーツ飲料等が充填された缶は、出荷に先立って、液化窒素の充填量が適切か否かを検査するために、この缶内圧を検査することになるが、この検査は、缶胴体部の全周にわたって接触子により押圧し、この接触子と連設されたロードセルにより、この接触子が受ける反力を計測することによりなされているため、この接触子が押圧する部分を前記薄肉部とすることが好ましい。
【0006】
さらに、缶胴体部のうち把持する部分は、自ずと前記中間部となる。
以上により、前記溝部は缶胴体部のうち前記薄肉部に形成する必要があり、かつ、この薄肉部のうち、少なくとも一部は周方向に延在した溝部未加工部とする必要がある。
【0007】
【特許文献1】
特許第2932006号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記従来の缶によれば、薄肉部に前記溝未加工部を形成する必要があり、すなわち、前記溝部の缶軸方向端部を薄肉部に位置させる必要がある。ここで、前記従来の缶として、例えばボトル缶においては、有底筒状体にエンボス加工を施すことにより、前記溝部を形成し、その後、18〜24回ネックイン加工を施して、肩部及び口金部を形成し、さらに、この口金部にねじ成形加工を施しねじ部を形成する等してボトル缶が形成されることになる。この工程を経る過程において、前記有底筒状体には、缶軸方向下方に向った軸力が頻繁に作用することになり、この軸力により、応力集中部としての前記溝部の缶軸方向端部が起点となり、缶が座屈する虞が生ずるという問題があった。
また、前記溝部の缶軸方向端部における缶内周面に塗布された耐腐食性塗料が剥れたり、内容物を缶に充填する際に缶軸方向下方に作用する軸力により、応力集中部としての前記溝部の缶軸方向端部が起点となり、缶が座屈する虞が生ずるという問題があった。
【0009】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、缶に充填された飲料水等を加熱した状態で販売しても、これを購入した需要者が容易に開栓することができるとともに、飲料水等の温度を購入時の温度に維持できる缶を提供し、さらに、このような構成の缶であっても製造上の不具合発生を抑制することができる缶を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明は以下の手段を提案している。
請求項1に係る発明は、缶軸方向下部と上部とが厚肉部とされ、これら下部と上部との間に位置する中間部が薄肉部とされた缶であって、缶胴体部に、缶軸方向に連続して、または、2以上に分断されて形成された溝が、周方向に間隔を置いて複数形成された溝部を備え、該溝部は、少なくとも下部が前記薄肉部に位置して形成され、該溝部の下部は、当該下部を除く他部より溝加工領域を狭く、または溝深さを浅くした溝形状緩和部とされていることを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の缶において、前記溝形状緩和部は、前記溝が、前記溝部の下端に向かうに従い漸次幅が狭くされていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項1記載の缶において、前記溝形状緩和部は、前記溝が、前記溝部の下端に向かうに従い漸次溝深さが浅くされていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項1記載の缶において、前記溝部は、前記複数の溝の缶軸方向上端部位置が略同一とされ、かつ、前記複数の溝の缶軸方向下方に延在する長さが周方向に沿って互い違いに異ならせて形成されていることを特徴とする。
【0014】
これらの発明に係る缶によれば、前記溝部の下部が缶の薄肉部に位置して形成されているので、この缶を把持する際に、この把持部の缶との接触面積の削減を図ることができる。従って、缶に充填された内容物が加熱状態にある場合においても、この缶を容易に把持することができる。
また、前記溝部を備えた構成であっても、缶の薄肉部に、周方向に連続した溝部未加工部を備えた構成となっているので、この溝部未加工部を缶胴体部の全周にわたって押圧し、缶内圧の検査することができ、これにより、この缶内圧検査を確実に行うことができる。
【0015】
さらに、前記溝部の下部は、この下部を除く他部より溝加工領域が狭く、または溝深さが浅くされた溝形状緩和部とされているので、この溝部の下部が缶胴体部の薄肉部に形成され、かつ、前記溝部未加工部を備えた構成であっても、この溝部の下端に作用する負荷を緩和することが可能になる。従って、前記溝部を備えた有底筒状体からネックイン加工やねじ成形加工を施し、ボトル缶を形成する過程において、この有底筒状体に作用する缶軸方向下方に向った軸力により、応力集中部としての前記溝部の下端部が起点となり、この有底筒状体が座屈することを抑制することができる。さらに、前記溝部の下部における缶内周面に塗布された耐腐食性塗料の剥離発生を抑制したり、内容物を缶に充填する際に缶軸方向下方に作用する軸力により、応力集中部としての前記溝部の下端部が起点となり、缶が座屈することをも抑制することができる。
【0016】
請求項5に係る発明は、請求項1から4のいずれかに記載の缶において、少なくとも前記胴体部に、フィルム部材が配設されていることを特徴とする。
【0017】
この発明に係る缶によれば、胴体部にフィルム部材が配設されているので、この缶を把持する際に、この胴体部と直接接触することを回避することができる。従って、缶内容物の熱がこの缶を把持する部位に伝導することを抑制することができ、また、缶胴体部に前記溝部が形成されていることと相俟って、この缶をさらに容易に把持することができるようになる。
また、フィルム部材と前記溝との間に空間が形成されるため、この空間を断熱層として作用させることができる。従って、この缶に、缶内容物を保温する保温効果を具備させることができる。
【0018】
請求項6に係る発明は、請求項5記載の缶において、前記フィルム部材は、断熱効果を有する断熱フィルムであることを特徴とする。
【0019】
この発明に係る缶によれば、前記フィルム部材が断熱フィルムであるので、請求項1記載の構成による作用に加えて、加熱状態にある内容物の熱をこのフィルム部材の表面に伝導することをさらに効果的に抑制することができる。
【0020】
請求項7に係る発明は、請求項6記載の缶において、前記フィルム部材は、加熱により自己収縮する熱収縮フィルムであることを特徴とする。
【0021】
この発明に係る缶によれば、前記フィルム部材が熱収縮フィルムであるため、このフィルム部材の缶の胴体部等への配設を、接着剤を使用しないで、フィルム部材を加熱することによる自己収縮により行うことができる。従って、衛生上良好にこのフィルム部材を配設することができ、このフィルム部材の配設を、内容物を充填する工程の直前直後、あるいは同時に行うことが可能になる。これにより、予め、缶にフィルム部材を配設しておく必要がなく、缶に充填する飲料水等の種類が確定した際に配設することができ、例えば、同一の缶種に対して、その時の内容物の需要量に応じて、充填する内容物の種類を変更することができ、効率的な内容物充填工程を実現することができる。
【0022】
さらに、前記フィルム部材が加熱により自己収縮する性質を有しているため、缶の胴体部のみならず、特にボトル缶の場合、胴体部から上方へ向かうに従い漸次縮径する肩部にも、前記フィルム部材を配設することが可能になる。この場合、前記缶の内容物の保温効果を更に高めることが可能になる。
さらにまた、前記フィルム部材が熱収縮フィルムでない場合には、前記缶胴体部に接着剤を塗布した後、さらに、前記フィルム部材の外表面を押圧し、前記缶胴体部の外表面に前記フィルム部材を密着させる押圧工程を要することになるが、前記フィルム部材を熱収縮フィルムとすることにより、前記押圧工程を削除できるので、缶の製造工数の低減を図ることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。
図1において、ボトル缶10は、純アルミニウムまたはアルミニウム合金材料により形成され、大径の胴体部11と、胴体部11の上端から上方に向かうに従い漸次縮径する肩部12と、肩部12の上端に形成され胴体部11より小径の口金部13とを備えている。口金部13には、雄ねじ部14が形成され、口金部13の上端部には、ボトル缶10の上端縁部を径方向外方へ折り返して形成されたカール部15を備え、この内側は開口している。ここで、雄ねじ部14は、この雄ねじ部14に被着されるキャップのブリッジ切れ等を防止するために巻き数が1.7以上3.0以下とされている。
【0024】
ここで、このボトル缶10は、後述するように、まず、円板状の純アルミニウム材またはアルミニウム合金材に絞り,しごき加工が施され、有底筒状体が形成された後に各種加工が施されて形成されるので、ボトル缶10の肉厚は缶軸方向で異なることになり、ボトル缶10の缶軸方向下部10aと上部10bとが厚肉部とされ、これら下部10aと上部10bとの間に位置する中間部10cが薄肉部とされた構成となっている。
【0025】
なお、前記有底筒状体の高さが約170mmとされた内容量410ml用のボトル缶の場合、このボトル缶10の底面10dから、ボトル缶下部10aとボトル缶中間部10cとの境界部までの距離Aは約25mmとされ、ボトル缶底面10dから、ボトル缶中間部10cとボトル缶上部10bとの境界部までの距離Bは約81mmとされている。そして、ボトル缶下部10aの肉厚は、約0.14mm〜約0.23mmとされ、ボトル缶中間部10cの肉厚は、約0.128mm〜0.13mmとされ、ボトル缶上部10bの肉厚は、約0.14mm〜約0.25mmとされている。
【0026】
また、前記有底筒状体の高さが約145mmとされた内容量310ml用のボトル缶の場合、前記距離Aは約27mmとされ、前記距離Bは約63mmとされている。そして、ボトル缶下部10aの肉厚は、約0.15mm〜約0.33mmとされ、ボトル缶中間部10cの肉厚は、約0.139mm〜0.144mmとされ、ボトル缶上部10bの肉厚は、約0.146mm〜約0.33mmとされている。
【0027】
ここで,胴体部11の上部には、缶軸方向に連続して形成された溝21が、周方向に間隔を置いて複数形成された溝部22を備え、また、胴体部11は、図1に示すように、ボトル缶中間部10cの上端部位置からボトル缶下部10aの一部にかけた領域に位置しており、以上により、溝部22は、ボトル缶中間部10cの薄肉部に形成されている。そして、この溝部22の下端とボトル缶中間部10cの下端との間には所定の間隔を有しており、この領域が、ボトル缶10に内容物を充填した後に、この缶内圧を検査する際に図示しない接触子が押圧する内圧検査領域10eとされている。
【0028】
そして、このボトル缶10の肩部12及び胴体部11に、断熱効果を有するとともに、加熱により自己収縮するフィルム部材16が配設されている。このフィルム部材16には、例えば、PETフィルム、発泡ポリスチレンフィルム、発泡ポリプロピレンフィルム等があり、これらの厚さは5μm以上に設定されている。
【0029】
ここで、溝21は、全長が約32mm、深さが0.1mm以上0.4mm以下とされ、この溝21の缶軸方向下端21a(図2参照)から3mm以上15mm以下缶軸方向上方位置から溝下端21aに向うに従い漸次幅が狭くなるように形成されている。ここで、溝21の深さを0.1mm以上0.4mm以下としたのは、溝21の深さを0.1mm以下とすると、胴体部11を平滑面とした場合と略同様に、ボトル缶10の内容物の熱が、ボトル缶10の把持部へ容易に伝導することになるからであり、一方、溝21の深さを0.4mm以上とすると、このボトル缶10に内容物を充填する際にこの缶10に作用する軸力により容易に座屈が生じる等の強度低下を招来することになるからである。
本実施形態においては、溝下端21aから缶軸方向上方へ12.5mm以上離間した位置での幅が2.7mmとされ、溝下端21aから缶軸方向上方へ12.5mm離間した位置から缶軸方向下方に位置する部分は、この溝21を画成する両側壁が、缶軸方向下方に向うに従い前記幅が狭くなるように、缶軸に対して約3°傾斜した方向に延在し、溝下端21aにおける幅が1.4mmとされている。
また、溝21の缶軸方向下部は、溝下端21aから缶軸方向上方へ2mm離間した位置からこの下端21aに向うに従い漸次深さが浅くなるようにテーパ面21bとされている。
【0030】
ここで、以上のように構成された溝21を有する溝部22は、図1に示すように、この下部が、この下部を除く他部より溝加工領域が狭くされ、これにより、この下部における溝21同士の間隔は、前記他部におけるこの間隔より大きくされているので、いわば、溝部22の下部は、溝形状緩和部22aとされている。
【0031】
以上のように構成されたボトル缶10の製造方法について説明する。
まず、前述したように、円板状の純アルミニウム材またはアルミニウム合金材に絞り,しごき加工を施し、図示しない有底筒状体を形成し、その後、図1に示す溝部22をエンボス加工により形成する。
【0032】
ここで、エンボス加工に供される外側金型30を図3に、内側金型40を図4に各々示す。
図3において、外側金型30は円筒状に形成され、この下部外表面には、図1及び図2に示した、ボトル缶10に形成する溝21と略同形状で、かつ若干小さい寸法で形成された凸部31が、周方向にわたって複数形成されている。また、この凸部31の下端31aと、この金型30の下端30aとの間には、所定の間隔を有しており、本実施形態において、この距離Cは約35mmとされている。
【0033】
一方、図4において、内側金型40は円筒状に形成され、この下部外表面には、外側金型30の凸部31の外形寸法より若干大きく、かつ平面視矩形状に形成された凹部41が、周方向にわたって複数形成されている。また、この凹部41の下端41aと、この金型40の下端40aとの間には、所定の間隔を有しており、本実施形態において、この距離Dは約31mmとされている。
【0034】
以上のように構成された金型30,40は、各々の軸線30b,40bに対して回転可能に支持された状態で、前記有底筒状体の外側に外側金型30が配設され、前記有底筒状体の内側に内側金型40が配設される。そして、外側金型30が前記有底筒状体の外表面を径方向内方へ押圧し、内側金型40が前記有底筒状体の内表面を径方向外方へ押圧することにより、外側金型30の凸部31が、前記有底筒状体を介して内側金型40の凹部41に嵌入することにより溝21が形成される。その後、これらの金型30,40が各々の軸線30b,40bを中心に回転駆動されることにより、順次、前記有底筒状体に溝21を形成し、溝部22を形成する。
【0035】
そして、この有底筒状体の上部に、ネックイン加工を施し、図1に示すボトル缶10の肩部12及び口金部13を形成した後に、口金部13にねじ成形加工を施し、雄ねじ部14を形成し、その後、この上端部を径方向外方へ折り返すことにより、カール部を形成し、そして、このカール部の外表面を径方向内方へ押圧してこのカール部の外表面を平坦面とするスロット加工を施す。
【0036】
その後、この缶の胴体部11から肩部12にかけた領域に、断熱効果を備えるとともに、加熱すると自己収縮するフィルム部材16を配した後に、これらを加熱することにより、フィルム部材16を前記各部位11,12に貼付け、ボトル缶10を形成する。
【0037】
以上説明したように本実施形態によるボトル缶10によれば、溝部22の下部がボトル缶10の薄肉部10cに位置して形成されているので、この缶10を把持する際に、この把持部のボトル缶10との接触面積の削減を図ることができる。従って、ボトル缶10に充填された内容物が加熱状態にある場合においても、このボトル缶10を容易に把持することができる。
また、ボトル缶10の薄肉部10cに、周方向に連続した溝部22の未加工部とされた内圧検査領域10eを備えているので、この領域10eをボトル缶10の全周にわたって押圧し、ボトル缶10の内圧を検査することが可能になり、これにより、この内圧検査を確実に行うことができるようになる。
【0038】
さらに、溝部22の下部は、この下部を除く他部より溝加工領域が狭くされた溝形状緩和部22aとされているので、この溝部22の下部がボトル缶10の薄肉部10cに形成され、かつ、内圧検査領域10eを備えた構成であっても、この溝部22の下端に作用する負荷を緩和することが可能になる。従って、溝部22を備えた有底筒状体からネックイン加工やねじ成形加工を施し、ボトル缶10を形成する過程において、この有底筒状体に作用する缶軸方向下方に向った軸力により、応力集中部としての溝部22の下端部が起点となり、この有底筒状体が座屈することを抑制することができる。さらに、溝部22の下部における缶内周面に塗布された耐腐食性塗料の剥離発生を抑制したり、内容物をボトル缶10に充填する際に缶軸方向下方に作用する軸力により、応力集中部としての溝部22の下端部が起点となり、この缶が座屈することをも抑制することができる。
【0039】
また、胴体部11にフィルム部材16が配設されているので、ボトル缶10を把持する際に、この胴体部11と直接接触することを回避することができる。従って、缶内容物の熱がこの缶10を把持する部位に伝導することを抑制することができ、また、缶胴体部11に溝部22が形成されていることと相俟って、この缶10をさらに容易に把持することができるようになる。
さらに、フィルム部材16の内表面と溝21との間に空間が形成されるため、この空間を断熱層として作用させることができる。従って、この缶10に、缶内容物を保温する保温効果を具備させることができる。特に、フィルム部材16が断熱フィルムであるので、加熱状態にある内容物の熱をこのフィルム部材16の外表面に伝導することをさらに効果的に抑制することができる。
【0040】
また、フィルム部材16が加熱により収縮する熱収縮フィルムであるため、このフィルム部材16の胴体部11等への配設を、接着剤を使用しないで、フィルム部材16を加熱することによる自己収縮により行うことができる。従って、衛生上良好にこのフィルム部材16を配設することができ、このフィルム部材16の配設を、内容物を充填する工程の直前直後、あるいは同時に行うことが可能になる。これにより、予め、ボトル缶10にフィルム部材16を配設しておく必要がなく、ボトル缶10に充填する飲料水等の種類が確定した際に配設することができ、例えば、同一の缶種に対して、その時の内容物の需要量に応じて、充填する内容物の種類を変更することができ、効率的な内容物充填工程を実現することができる。
【0041】
さらに、フィルム部材16が加熱により自己収縮する性質を有しているため、胴体部11のみならず肩部12にも、フィルム部材16を容易に配設することが可能になる。この場合、ボトル缶10の内容物の保温効果を更に高めることが可能になる。さらにまた、フィルム部材16が熱収縮フィルムでない場合には、胴体部11等に接着剤を塗布した後に、この外表面にフィルム部材16を配し、さらに、フィルム部材16の外表面を押圧し、胴体部11の外表面にフィルム部材16を密着させる押圧工程を要することになるが、フィルム部材16を熱収縮フィルムとすることにより、前記押圧工程を削除できるので、ボトル缶10の製造工数の低減を図ることができる。
【0042】
次に、この発明の第二実施形態について説明するが、本実施形態によるボトル缶50の概略構成は、溝の形成位置を含めて、図1に示す前述の第一実施形態と同様であるので、その説明を省略する。本実施形態は、第一実施形態と、ボトル缶の胴体部に形成される溝の形状が異なるのでこの部分について図5に従って説明する。
【0043】
本実施形態によるボトル缶50の溝51は、全長が約32mm、深さが0.1mm以上0.4mm以下とされ、この溝51の缶軸方向下端51aから3mm以上15mm以下缶軸方向上方位置から溝下端51aに向うに従い漸次深さが浅くなるように形成されている。本実施形態においては、溝下端51aから缶軸方向上方へ12.5mm以上離間した位置51bでの深さが0.4mmとされ、溝下端51aから缶軸方向上方へ12.5mm離間した位置から缶軸方向下方に位置する部分51cは、溝下端51aの深さが0.1mmとなるように、漸次深さが浅くなるようにテーパ面形状とされている。
【0044】
以上説明したように本実施形態によるボトル缶50によれば、溝51の深さが0.1mm以上0.4mm以下とされ、この溝51の缶軸方向下端51aから3mm以上15mm以下缶軸方向上方位置から溝下端51aに向うに従い漸次深さが浅くなるように形成されているので、前記第一実施形態と同様に、この溝51を周方向に複数有する溝部52の缶軸方向下部を溝形状緩和部とすることができ、これにより、前記第一実施形態と同様の作用効果を具備させることができる。
【0045】
次に、この発明の第三実施形態について説明するが、本実施形態によるボトル缶60の概略構成は、溝の形成位置を含めて、図1に示す前述の第一実施形態と同様であるので、その説明を省略する。本実施形態は、第一実施形態と、ボトル缶の胴体部に形成される溝の形状が異なるのでこの部分について図6に従って説明する。
【0046】
本実施形態によるボトル缶60の溝61は、胴体部11の表面に、溝61が5つに分断されて形成され、これらの分断された小径の溝61aが、缶軸方向下方に向うに従い漸次小径とされている。
このような構成を採用することにより、溝61を周方向に複数有する溝部62の下部を、前記実施形態と同様に、溝形状緩和部とすることができ、これにより、ボトル缶60に前記実施形態と同様の作用効果を具備させることができる。
【0047】
次に、この発明の第四実施形態について説明するが、本実施形態によるボトル缶70の概略構成は、溝の缶軸方向上端部における形成位置を含めて、図1に示す前述の第一実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
本実施形態によるボトル缶70の溝部72は、缶軸方向に延在する長さが長尺とされた第1の溝71aと、この溝71aより前記長さが短尺とされた第2の溝71bとを備え、これら第1の溝71a及び第2の溝71bは、缶軸方向上端部位置が略同一とされ、かつ、周方向に沿って互い違いに形成されている。これにより、第1の溝71a同士の間と第2の溝71bの缶軸方向下端とにより画成される溝非形成部72a、すなわち溝部72の缶軸方向下部を、前記実施形態と同様に、溝形状緩和部72aとすることができ、これにより、ボトル缶70に前記実施形態と同様の作用効果を具備させることができる。
【0048】
なお、前述した実施形態においては、ボトル缶について説明したが、ボトル缶に限らず、各種缶についても適用可能である。また、本実施の形態においては、断熱効果を有したフィルム部材16を使用したが、断熱効果を有しないものとしてもよい。さらに、溝形状緩和部は、溝部の下部を、この下部を除く他部より溝加工領域を狭く、または溝深さを浅くした構成であれば、溝形状は前記実施形態で示した構成に限らない。
【0049】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係る缶によれば、缶に充填された内容物が加熱状態にある場合においても、この缶を容易に把持することができる。また、前記溝部を備えた構成であっても、缶の薄肉部に、周方向に連続した溝部未加工部を備えているので、この缶内圧検査を確実に行うことができる。
さらに、前記溝部の下部は、この下部を除く他部より溝加工領域が狭く、または溝深さが浅くされた溝形状緩和部とされているので、有底筒状体から缶を形成する過程において、この有底筒状体に座屈が生ずることを抑制することができるとともに、前記溝部の下部における缶内周面に塗布された耐腐食性塗料の剥離発生を抑制したり、内容物を充填する際にこの缶が座屈することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態として示したボトル缶を示す側面図である。
【図2】図1に示す溝の拡大平面図及びX−X線矢視断面図である。
【図3】図1及び図2に示す溝を形成するための内側金型を示す側面図及び凸部の拡大平面図及び断面図である。
【図4】図1及び図2に示す溝を形成するための外側金型を示す側面図及び凸部の拡大平面図及び断面図である。
【図5】本発明の第二実施形態として示したボトル缶の溝の平面図及び断面図である。
【図6】本発明の第三実施形態として示したボトル缶の溝の平面図である。
【図7】本発明の第四実施形態として示したボトル缶の溝の平面図である。
【符号の説明】
10,50,60,70 ボトル缶
10a ボトル缶下部,厚肉部
10b ボトル缶上部,厚肉部
10c ボトル缶中間部,薄肉部
11 胴体部
16 フィルム部材
21,51,61,71a,71b 溝
22,52,62,72 溝部
21a,72a 溝部の下部,溝形状緩和部
Claims (7)
- 缶軸方向下部と上部とが厚肉部とされ、これら下部と上部との間に位置する中間部が薄肉部とされた缶であって、
缶胴体部に、缶軸方向に連続して、または、2以上に分断されて形成された溝が、周方向に間隔を置いて複数形成された溝部を備え、
該溝部は、少なくとも下部が前記薄肉部に位置して形成され、
該溝部の下部は、当該下部を除く他部より溝加工領域を狭く、または溝深さを浅くした溝形状緩和部とされていることを特徴とする缶。 - 請求項1記載の缶において、
前記溝は、前記溝部の下端に向かうに従い漸次幅が狭くされていることを特徴とする缶。 - 請求項1記載の缶において、
前記溝は、前記溝部の下端に向かうに従い漸次溝深さが浅くされていることを特徴とする缶。 - 請求項1記載の缶において、
前記溝部は、前記複数の溝の缶軸方向上端部位置が略同一とされ、かつ、前記複数の溝の缶軸方向下方に延在する長さが周方向に沿って互い違いに異ならせて形成されていることを特徴とする缶。 - 請求項1から4のいずれかに記載の缶において、
少なくとも前記胴体部に、フィルム部材が配設されていることを特徴とする缶。 - 請求項5記載の缶において、
前記フィルム部材は、断熱効果を有する断熱フィルムであることを特徴とする缶。 - 請求項6記載の缶において、
前記フィルム部材は、加熱により自己収縮する熱収縮フィルムであることを特徴とする缶。
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