JP2005052090A - 発酵乳製品およびそれを含有する食品 - Google Patents
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Abstract
【課題】 乳酸発酵後、加熱殺菌処理を行い乳酸菌が死滅した発酵乳製品であるにもかかわらず発酵乳製品中のペプチドおよび発酵産物を有効成分とする抗菌作用による整腸効果と血圧降下作用を併せ持つ発酵乳製品を提供する。
【解決手段】 ラクトバチルス・ヘルベティクスK−4(Lactobacillus helveticus K-4、産業技術総合研究所特許生物寄託センターFERM P-12249)を用いて発酵して得られる発酵産物であるペプチドにより、乳酸菌の腸管への定着はなくとも整腸作用が得られることとさらに発酵産物により血圧降下作用も併せて得られる。
【選択図】 なし。
【解決手段】 ラクトバチルス・ヘルベティクスK−4(Lactobacillus helveticus K-4、産業技術総合研究所特許生物寄託センターFERM P-12249)を用いて発酵して得られる発酵産物であるペプチドにより、乳酸菌の腸管への定着はなくとも整腸作用が得られることとさらに発酵産物により血圧降下作用も併せて得られる。
【選択図】 なし。
Description
本発明は整腸作用と血圧降下作用を併せ持つ発酵乳製品およびそれを含有する食品に関するものである。
乳酸菌は整腸作用をはじめとする各種生理機能を有することが報告されている。それらの機能を付加した発酵乳が製品化され、その消費を伸ばしている。乳酸菌および発酵乳製品の整腸作用機序として第1に摂取された乳酸菌の腸内への定着があげられる。その後、定着菌による腸内フローラの改善と胃腸症状の改善がある。発酵乳製品の血圧降下作用については、ホエーを乳酸発酵したホエー飲料が高いアンジオテンシン変換酵素(以下ACEと略称する)阻害活性を有し、血圧降下作用が示されている(特許文献1参照。)。またACE阻害ペプチドを高濃度で含む発酵乳及び乳清の製造法が示されている(特許文献2参照。)。
また、本出願人は、ラクトバチルス・ヘルベティクスK−4(Lactobacillus helveticus K-4、産業技術総合研究所特許生物寄託センターFERM P-12249)について、該ラクトバチルス・ヘルベティクスK−4株自体、この乳酸菌株を用いて発酵させた発酵液、前記発酵液を乾燥してなる発酵粉末および前記乳酸菌株、発酵液または発酵粉末を含有する食品(特許文献3参照。)、並びに前記乳酸菌株ラクトバチルス・ヘルベティクスK−4の産生する抗菌物質、H-Arg-Pro-Lys-His-Pro-Ile-Lys-His-Gln-OHの構造であるペプチド及びその複合体である前記抗菌物質、前記構造を含むペプチドを合成して得られた抗菌物質およびこれらの抗菌物質を配合してなる配合物質(特許文献4参照。)を先に特許出願しているが、整腸作用および血圧降下作用を併せ持つことは記載されていない。
整腸作用を訴求している食品ではオリゴ糖などの腸内のビフィズス菌活性素材を添加したものを除けば、全て乳酸菌が腸内に定着し腸内フローラの改善を作用機序としている。食品加工業界にとっては、発酵乳を添加した飲料、デザート類では非加熱食品では保存性が悪く賞味期限も短い。加熱食品では乳酸菌の死滅により上記作用機序による整腸作用が得られない。一方、血圧降下作用については、ACE阻害ペプチドを作用機序とする場合、ペプチドは耐熱性を有することが多く加熱殺菌食品においても血圧降下作用が得られる。
しかし現状では、加熱殺菌された発酵乳製品で、乳酸菌が死滅しても整腸作用と血圧降下作用を併せ持つ発酵乳製品はない。これらの複合機能を有する殺菌された発酵乳製品があれば二次加工食品への発酵乳の生理機能の付与が可能になり、その素材の提供が望まれている。
本発明者らは上記課題を解決するため、乳を基質とした乳酸発酵時に生成されるペプチドの各種機能に着目し抗菌性、耐熱性、ACE阻害活性等を、調製した発酵乳製品について鋭意検討を重ねた結果、前記の問題点が解決できることを見出し本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第1は、乳を基質とした原料を、乳酸発酵後、特にラクトバチルス・ヘルベティクスK−4(Lactobacillus helveticus K-4、産業技術総合研究所特許生物寄託センターFERM P-12249)で発酵させた後、加熱殺菌してなる、整腸作用と血圧降下作用を有する発酵乳製品を提供するものである。また、本発明の第2は、上記発酵乳製品を含有してなる、整腸作用と血圧降下作用を有する食品を提供するものである。
本発明は、加熱殺菌された発酵乳製品で、乳酸菌が加熱殺菌で死滅しても整腸作用と血圧降下作用を併せもつ食品を提供するもので、これにより殺菌工程をもつ二次加工食品への発酵乳製品の生理機能の付与が可能になる。
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。乳酸菌を用いた発酵乳製品が大腸菌などの有害菌に対する抗菌性を示し及びACE阻害活性を有しかつそれらの機能が耐熱性を示すものであれば乳酸菌として広く使用できる。乳酸菌の一例として、ラクトバチルス・ヘルベティクスK−4(Lactobacillus helveticus K-4(L.jugurti K-4) 産業技術総合研究所特許生物センター:FERM P-12249)がある。乳を基質とした原料としては、例えば、獣乳、脱脂乳、脱脂粉乳、全粉乳、ホエー、ホエーパウダーなどが挙げられる。また、本発明の発酵乳製品としては、例えば、ヨーグルト、乳性飲料、サワークリームなどが挙げられる。さらに、本発明の食品としては、例えば、乳性飲料、デザート、ゼリー、飴菓子などが挙げられる。前記食品中の前記発酵乳製品の含有量としては、例えば、乳性飲料においては2〜20%、デザートやゼリーでは4〜30%などであるが、特に限定されるものではない。
ラクトバチルス・ヘルベティクスK−4およびプロバイオティクス菌株として整腸作用が確認されているラクトバチルス・ラムノサスATCC53103(Lactobacillus rhamnosus ATCC53103)、ラクトバチルス・ロイテリATCC55730(Lactobacillus reuteri ATCC55730)を用い、10%還元脱脂乳を滴定酸度1.2%まで発酵させ、乳酸菌K−4発酵乳については90℃で10分間加熱殺菌し他の2株の発酵乳は殺菌を行わず、それぞれの発酵液についてマーシュ(Marth)らの方法〔ジャーナル・オブ・デアリー・サイエンス(J.Dairy Sci.),46,1033,1963〕に準じて抗菌力を測定した。また、最小発育阻止濃度(以下、「MIC」を略記する。)は、山本らの方法〔日本食品工業学会誌,Vol.31,No.8,525-530,(1983)〕に準じて測定した。その結果を表1に示す。
既存の生菌であるATCC53103、ATCC55730、2株に比べK−4殺菌発酵液の有害菌に対する抗菌力は高く、有用腸内定着乳酸菌であるラクトバチルス・プランタラムDSM9843(Lactobacillus plantarum DSM9843)に対する抗菌性は示さず、腸内フローラの有用菌の優勢、整腸作用が認められる結果であった。
ACE活性の測定は鈴木らの方法〔日本農芸化学会誌,Vol.57,No.11,1143-1146(1983)〕に準じて測定した。発酵液は11000rpm,20分間遠心分離し、その上清を測定に供した。その結果を表2に示す。
鈴木らによるとACE活性を50%以上減少させた食品を、血圧降下作用が得られる目安としている。プロバイオティクス乳酸菌、2株および既存菌株ラクトバチルス・ヘルベティクスIFO3809(Lactobacillus helveticus IFO3809)に比べK−4殺菌発酵液のACE阻害活性は高く、また特定保健用食品であるイワシのたんぱく質より調製されたペプチドを含有する血圧降下作用を有するドリンク剤とほぼ同等の活性であった。また、表2には、ACE阻害活性として、次式による酵素活性を示した。
酵素活性1unit=一定温度下で1分間に1μmolの基質を分解する酵素量
この結果、K−4殺菌発酵液で高いACE阻害活性が得られた。
以上の結果から、ラクトバチルス・ヘルベティクスK−4を用いて調製した殺菌済み発酵乳製品には、整腸作用と血圧降下作用を併せ持つことを見出した。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
10%還元脱脂乳溶液を90℃で10分間殺菌後、35℃まで冷却しLb.helveticus K-4の前培養スターターを1%接種し、35℃で24時間発酵し、90℃で10分間殺菌したものを発酵乳製品とした。
以下に発酵乳製品を配合したヨーグルトデザートの調製例を示す。
表3にヨーグルトデザートの配合を示す。配合中、砂糖、ゲル化剤、クエン酸ナトリウムを水に攪拌溶解し90℃まで加熱する。pHを50%クエン酸で4.0に調整し発酵乳製品を添加する。攪拌溶解後、容器に充填し90℃で30分間加熱殺菌し、水冷中で冷却を行いデザートを調製した。
前記発酵乳製品を含有するヨーグルトデザートは、発酵液と同様に11000rpm、20分間遠心分離し、その上清を用いて、実施例1と同様にして抗菌性、ACE活性を測定した。抗菌性およびACE活性の測定結果を表4に示す。
表3にヨーグルトデザートの配合を示す。配合中、砂糖、ゲル化剤、クエン酸ナトリウムを水に攪拌溶解し90℃まで加熱する。pHを50%クエン酸で4.0に調整し発酵乳製品を添加する。攪拌溶解後、容器に充填し90℃で30分間加熱殺菌し、水冷中で冷却を行いデザートを調製した。
前記発酵乳製品を含有するヨーグルトデザートは、発酵液と同様に11000rpm、20分間遠心分離し、その上清を用いて、実施例1と同様にして抗菌性、ACE活性を測定した。抗菌性およびACE活性の測定結果を表4に示す。
ヨーグルトデザートの有害菌に対する抗菌性は、発酵乳製品の添加量が20%であるがプロバイオティクス乳酸菌より高い力価を示した。デザートのpHが4.0であることも抗菌性に寄与している。ACE活性を50%以上減少させる活性を得、発酵乳製品を含有する食品も血圧降下作用が期待できる。
Claims (2)
- 乳を基質とした原料を、ラクトバチルス・ヘルベティクスK−4(Lactobacillus helveticus K-4、産業技術総合研究所特許生物寄託センターFERM P-12249)で発酵させ、発酵後、加熱殺菌してなる、整腸作用と血圧降下作用を有する発酵乳製品。
- 請求項1記載の発酵乳製品を含有してなる、整腸作用と血圧降下作用を有する食品。
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---|---|---|---|---|
WO2007094342A1 (ja) | 2006-02-14 | 2007-08-23 | Calpis Co., Ltd. | 動脈硬化予防剤、血管内膜の肥厚抑制剤及び血管内皮機能改善剤 |
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JP2008063289A (ja) * | 2006-09-08 | 2008-03-21 | Snow Brand Milk Prod Co Ltd | 血中アディポネクチン濃度増加促進及び/又は減少抑制剤 |
JP2008156299A (ja) * | 2006-12-25 | 2008-07-10 | Kao Corp | 脂肪分解促進用皮膚外用剤 |
CN102948476A (zh) * | 2012-11-19 | 2013-03-06 | 陕西科技大学 | 一种基于瑞士乳杆菌发酵的含ace抑制肽的羊乳饮料的制备方法 |
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WO2022196488A1 (ja) * | 2021-03-15 | 2022-09-22 | 森永乳業株式会社 | Qolを改善するための組成物 |
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- 2003-08-05 JP JP2003287073A patent/JP2005052090A/ja active Pending
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