JP2005051821A - レベルシフト回路 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】各可制御半導体素子の電位基準電極と共通電位との間にそれぞれ電流負帰還用の抵抗(40,41など)を挿入し、各可制御半導体素子の導通時における制御電極と共通電位との間の電圧を前記直流電源の電圧より小さい所定値とする。
【選択図】図5
Description
図7は、この種の従来のレベルシフト回路の構成例を示す。同図において、17と18は、例えば400Vの高圧の主直流電源Vdc(正極側)と、この電源の負極側である共通電位COMとの間に、直列に接続されてPWMインバータの電力逆変換用ブリッジ回路の例えば一相分を形成する出力用IGBTである。
そしてOUTは、ブリッジ回路の上側アームのIGBT17のエミツタと、同じく下側アームのIGBT18のコレクタとの接続点であり、IGBT17と18の交互のオン/オフによって生成される交流電力の出力端子である。
その他の回路部分はブリッジ回路の上側アームのIGBT17を駆動するためのレベルシフト回路であり、1は図外の回路で作られたパルスのオン信号25を入力して導通し、これによる負荷抵抗3の電圧降下を信号としてIGBT17をオンさせる高耐圧MOSFET、2は同じく図外の回路で作られたパルスのオフ信号26を入力して導通し、これによる負荷抵抗4の電圧降下を信号としてIGBT17をオフさせる高耐圧MOSFETである。
ここで、高耐圧MOSFET1と2、及び負荷抵抗3と4は通常、それぞれ互いに等しく構成されている。なお、負荷抵抗3,4にそれぞれ並列接続された定電圧ダイオード5,6は、負荷抵抗3,4の過大な電圧降下を制限し、以下で述べるNOT回路8,9等を保護する役割を持つ。
なお、破線で囲まれた回路内のE1は、正極がラインVcc1に接続され、負極が交流出力端子OUTに接続された例えば15Vの補助直流電源(ドライバ電源ともいう)であり、NOT回路8,9及びその後段の回路〔ローパスフィルタ回路(LPFとも略記する)30,31、RSフリップフロップ(RSラッチ、RS−FFとも略記する)15、ドライバ16等からなる〕は補助直流電源E1を電源として動作する。
次に、このレベルシフト回路の動作を述べる。MOSFET1のゲートに印加されたオン信号25によりMOSFET1に電流が流れ、負荷抵抗3に電圧降下が発生し、負荷抵抗3の下端の電位がNOT回路8のしきい値以下になると、NOT回路8の出力はHiとなる。
次に、MOSFET2のゲートにオフ信号26が印加されてMOSFET2に電流が流れ、負荷抵抗4に電圧降下が発生し、負荷抵抗4の下端の電位がNOT回路9のしきい値以下になると、NOT回路9の出力はHiとなる。
このHiのレベルはLPF31を介して、RSラッチ15のリセット端子Rに加わり、RSラッチ15の出力QはLoとなり、出力IGBT17はドライバ16を介してオフされる。同時に(厳密にはアーム間短絡防止のため、このオフ時点の僅か後の時点に)IGBT18はドライバ20を含む図外の回路を介してオンされる。
この時の充電電流により、負荷抵抗3と4に真のオン信号やオフ信号と異なる電圧降下が発生し、RSラッチ15を誤動作させ、IGBT17を誤ってオンし、ブリッジ回路のアーム間短絡を惹起したり、あるいはIGBT17を不必要にオフしたりするおそれがある。
同様な負荷抵抗3,4の異常電圧降下は、IGBT17,18のスイッチング以外に外来ノイズによっても発生する可能性がある。
ローパスフィルタ回路(LPF)30と31は、このようなRSラッチ15の誤動作を防止するために挿入されており、スイッチングや外来ノイズに基づくパルス幅の小さい(高い周波数の)入力信号を異常信号として取り除く役割を持っている。
そこで、レベルシフト回路を高速で動かすためには、レベルシフト回路用高耐圧MOSFET1,2に比較的大きな電流を流す必要がある。特に図7の破線部分のような電位変動する回路部分が高い電位にある場合、この電流による損失が増大する。
例えば高耐圧MOSFETに電流を10mA流すとして、主直流電源Vdcの電圧を400Vとし、仮に高耐圧MOSFETをオンする信号をパルスでない状態信号とした場合(この時、MOSFETは1個のみ使用することになる)、高耐圧MOSFETのオン/オフのデューティサイクルが平均50%であるとすると、コレクタ電位が高い状態での高耐圧MOSFETの平均損失は約2Wと大きな値になる。
なお、RSラッチ15の、もう1つのリセット入力(リセット端子21が接続されている)Rは、初期状態でのRSラッチ15のリセット、あるいは異常時にIGBT17をオフするためなどに使用される。
図8はレベルシフト回路用高耐圧MOSFET1,2のソース・ドレイン間電圧VDS(横軸)とドレイン電流ID (縦軸)の特性(VDS−ID 特性という)を示したもので、高耐圧MOSFETではドリフト領域の抵抗により図に示すように一般的に定電流性が良くない(ID が増加して定電流IH を示すようになるまでのVDSの値が大きい)。
このため電位変動する回路部分の電位が低い場合、即ち交流出力端子OUTの電位が共通電位COMに近い場合〔本図は端子OUTの電位が共通電位COMに等しい場合を示し、MOSFET1,2の負荷抵抗回路の電源電圧(つまり負荷抵抗3,4が接続された電源ラインVcc1 の電圧)を補助直流電源E1の電圧E1としている〕には、負荷抵抗3または4の負荷直線32で決定されるドレイン電流IL が流れる。
一方、電位変動する回路部分の電位が高い場合、即ち交流出力端子OUTの電位が主電源電圧Vdcに近い場合〔本図は端子OUTの電位が主電源電圧Vdcに等しい場合を示し、電源ラインVcc1 の電圧を(Vdc+E1)としている〕には、負荷抵抗3または4の負荷直線33で決定されるドレイン電流IH が流れる。
このドレイン電流IH はIL に比較して大きい値となり、レベルシフト回路での損失を増加させる原因となっていた。
そこで本発明の目的は、高耐圧MOSFETの定電流性が良くないために生ずるレベルシフト回路の損失の増加を防ぐことができるレベルシフト回路を提供することにある。
レベルシフト回路用高電圧MOSFET1,2(又はバイポーラトランジスタ)のソース(又はエミツタ)に電流負帰還抵抗を挿入する、いわゆるソースフォロア(又はエミツタフォロア)の接続として、ドレイン(又はコレクタ)電流の定電流性を高めると共に、この電流を制限し、且つこの電流に基づく負荷抵抗3,4の電圧降下信号が充分得られるように、この高電圧トランジスタのゲート(又はベース)と共通電位間に印加する電圧を、高電圧トランジスタの負荷抵抗回路の電源電圧の最低値を与える補助電源電圧E1より低い値に設定する。
図5は実施例の構成を示す回路図である。図5と従来回路の図7との相違は、高耐圧MOSFET1,2のソースと共通電位COM間に電流負帰還用の抵抗40,41がそれぞれ接続されて、いわゆるソースフォロア接続になっている点と、高耐圧MOSFET1,2のゲートに定電圧ダイオード42,43、抵抗44,45、同じく抵抗46,47がそれぞれ接続されている点である。
なおこの例では、補助直流電源E1の電圧は15V、定電圧ダイオード42,43のツェナー電圧は5〜7V程度とする。また、高耐圧MOSFET1,2のゲートを駆動するオン信号25,オフ信号26を生成する回路の電源には、共通電位COMを負極とする補助直流電源E2(15V)を共用しており、オン信号25,オフ信号26の入力端子(抵抗44,45の上端)には約15Vのパルス信号が入力されるものとする。
48のVDS−ID 特性は、図8に示した従来のVDS−ID 特性34に比較し、ドレイン電流ID の絶対値は大きく設計されているが定電流を示すVDSの領域は図8とほぼ同じである。これは高耐圧MOSFET1,2のチャネル長を大きくすることで実現できる。
図5のように高耐圧MOSFET1,2のソースと共通電位COMとの間にそれぞれ帰還抵抗40,41を挿入し、且つ高耐圧MOSFET1,2のゲート電圧をそれぞれ定電圧ダイオード42,43でクランプすると、MOSFET1,2がそれぞれ抵抗44,45へのオン信号25,オフ信号26の入力によって導通したとき、
帰還抵抗40,41のドレイン電流ID による電圧降下により高耐圧MOSFET1,2のゲート・ソース間電圧が減少するため、帰還抵抗40,41の電圧降下はそれぞれゲート電圧(即ち定電圧ダイオード42,43のツェナー電圧)から高耐圧MOSFET1,2のゲートしきい値(0.5〜2V程度)を差し引いた値を越えることはできず、
ドレイン電流ID には負帰還がかかり、図6の49に示すような定電流領域が広い特性となり、従来のレベルシフト回路で問題となった交流出力端子OUTの電位の高,低の違いによるドレイン電流IH ,IL の差を小さくすることができ、 過剰な電流を流す必要がなくなる。
図5の実施例では高耐圧MOSFETとその負荷抵抗からなる組が2組の場合を示したが、この発明はインバータブリッジ回路の出力IGBTに限らず、対グランド電位の変動する他の各種の回路への信号伝達にも適用することができ、高耐圧MOSFETと負荷抵抗の組は1ないし任意の複数組であってよい。
(参考例1)
図1は第1の参考例としての構成を示す回路図である。
同図において図7と異なるのは、NOT回路8,9に追加してNOT回路7,10,11,12及びNOR回路13,14が接続されており、ローパスフィルタが無い点である。
このため、上記dV/dtが大きい場合には、交流出力端子OUTが主直流電源の電圧Vdcに到達する時間が短くて誤動作しないが、逆にdV/dtが小さい場合にはこの到達時間が長くなり誤動作が発生するなどの問題があった。
これを防止するためにローパスフィルタのカットオフ周波数を下げることも可能であるが、その場合、レベルシフト回路での時間遅れが大きくなるとか、オン/オフパルスのパルス幅を大きくする必要が生じてレベルシフト回路での損失が増加する等の問題があった。参考例1と後述の参考例2は上記の課題に対して有効である。
ここで、 NOT回路8,9のしきい値はNOT回路7,10のしきい値より低い値に設定されている。
図2のA〜Lはそれぞれ図1に示すA〜L各点の信号のタイミングおよび波形を示している。次に図2の波形図により図1の回路の動作を説明する。
MOSFET1のゲート(A点)に入力されるオン信号25−1により、MOSFET1に電流が流れ、負荷抵抗3の下端(C点)の電位は補助直流電源E1の正極ラインVcc1 に対して下降するが、このC点の信号波形はA点の波形を反転し、なまらせたような波形になっている。これはNOT回路8の入力容量などによる波形のなまりである。
これにより、RSラッチ15の出力(L点)はHiにセットされ、出力IGBT17はオンする。
MOSFET2のゲート(B点)へのオフ信号26−1も、オン信号25−1の場合と同様に、D点の信号(Lo)に変わり、この信号はNOT回路9からそのしきい値で決まるパルス幅で、I点に示すHiの波形で出力され、NOT回路12を経てNOR回路14の出力(J点)に伝送され、RSラッチ15のリセット信号となる。
今、IGBT18がオンしIGBT17がオフしていた状態から、IGBT18がオフしIGBT17がオンした場合を考える。交流出力端子OUTには、このIGBT17のスイッチングにより正のdV/dtが印加される。このdV/dtにより高耐圧MOSFET1及び2のソース・ ドレイン間容量を充電する電流が負荷抵抗3及び4に流れる。
この場合、高耐圧MOSFET1及び2は同じ大きさの素子を使用することが一般的であるため、MOSFET1と2のソース・ ドレイン間容量を充電する電流はほぼ等しく、 図2におけるC点及びD点に現れる波形は、ノイズ信号27及び28として示すように、タイミングも大きさもほぼ等しい。
ところでNOT回路7の入力しきい値はNOT回路8の入力しきい値よりも高いため、 NOT回路8の出力パルス(F点波形)はNOT回路7の出力パルス(E点波形)の幅の範囲にすべて含まれる。
従って、 NOR回路13を介し、NOT回路8の反転出力(NOT回路11の出力)をNOT回路7の出力でマスクすることにより、RSラッチ15のセット入力(G点)にノイズ信号27が伝送されることを防ぐことができる。
同様に、NOT回路10の入力しきい値はNOT回路9の入力しきい値よりも高いため、 NOR回路14を介し、NOT回路9の出力(I点波形)の反転出力(NOT回路12の出力)をNOT回路10の出力(H点波形)でマスクすることにより、RSラッチ15のリセット入力(J点)にノイズ信号28が伝送されることを防ぐことができる。
なお、図1の23は、レベルシフト回路などの遅れ時間によりIGBT17のスイッチングのタイミングが遅れることを、IGBT18側で補正するために設けられたディレイ回路で、図外の回路からIGBT18をオン/オフ駆動するためにドライバ20へ入力しようとする信号を遅延させる。
参考例1ではローパスフィルタを用いた従来のレベルシフト回路に比べて、レベルシフト回路の遅れ時間を短縮することが可能となり、 ディレイ回路23に使用される容量を少なくすることが可能となり、ICチップの面積を小さくすることが可能となる。
(参考例2)
図3は第2の参考例としての要部の構成を示し、図4は図3内の各部A〜D、F,M,G,I,N,J,Lのタイミングと波形を示す。
図4に示すように、C点,D点に同時に現れたノイズ信号27,28により、NOT回路8,9はそれぞれの出力点F,Iに同波形のHiのパルスを出力する。
F点の波形は一方ではフロントエッジ遅延回路51により、前縁が削られてM点に示す波形となり、NOT回路11を経て反転され、NOR回路13の一方の入力となる。しかし、NOR回路13へはI点の波形の後縁をリヤエッジ遅延回路54により延ばした、N点に示す波形がもう一方の入力となる。
図示してないが同様に、I点からフロントエッジ遅延回路52及びNOT回路12を経てNOR回路14に入力する信号も、F点からリヤエッジ遅延回路53を経てNOR回路14に入力する信号にマスクされ、RSラッチ15のリセット入力(J点)には現れない。
負荷抵抗3と4に同時に出現するパルス信号をマスクする方法としては、以上の実施例の他にも、図1のNOT回路7,10と8,9をそれぞれ異なる参照電位を持つコンパレータに置き換えるとか、 NOT回路7,8,9,10のしきい値を同一とし、7と8の出力同士、及び9と10の出力同士でそれぞれ互いをマスクし、マスクしきれない短いパルスをカットオフ周波数の十分高いローパスフィルタにより除去するとか、さらには図3の遅延回路51〜54を省略してこの遅延回路部分を短絡した結線とし、NOR回路13,14からマスクしきれずに出力される短いパルスをカットオフ周波数の十分高いローパスフィルタにより除去するなど、種々の方法が考えられる。
3,4 負荷抵抗
5,6 定電圧ダイオード
7〜12 NOT回路
13,14 NOR回路
15 RSフリップフロップ(RS−FF,RSラッチ)
16 ドライバ
17,18 出力IGBT
20 ドライバ
21 リセット端子
23 ディレイ回路
25(25−1,25−2) オン信号
26(26−1,26−2) オフ信号
27,28 ノイズ信号
32,33 負荷抵抗3,4の負荷直線
40,41 電流負帰還抵抗
42,43 定電圧ダイオード
44〜47 抵抗
48 高耐圧MOSFETのVDS−ID 特性
49 高耐圧MOSFETの電流負帰還時のVDS−ID 特性
51,52 フロントエッジ遅延回路(DL1)
53,54 リヤエッジ遅延回路(DL2)
COM 共通電位
Vdc 主直流電源
OUT 交流出力端子
E1,E2 補助直流電源(ドライバ電源)
Vcc1 補助直流電源E1の正極ライン
Vcc2 補助直流電源E2の正極ライン
Claims (2)
- 電位の基準となる電極が共通電位に接続され、この電位基準電極と制御電極との間に導通用信号を入力する期間、電位基準電極と主電極との間が導通状態となる1または複数の可制御半導体素子と、
一極が共通電位と所定の高電位との間で変動する外部回路の所定の部位に接続され、この二電位間の電圧より低い電圧を持つ直流電源と、
この直流電源の他極に一端を接続され、他端を1対1で前記可制御半導体素子の主電極に接続された1または複数の負荷抵抗と、
前記直流電源のもとで作動するロジック回路とを備え、
前記の各可制御半導体素子の制御電極にそれぞれパルス状の導通用信号を入力し、このときの各当該の可制御半導体素子の前記導通によってこの可制御半導体素子に対応する前記負荷抵抗に生ずるパルス状の電圧降下を信号として前記ロジック回路に伝えるレベルシフト回路において、
各可制御半導体素子の電位基準電極と共通電位との間にそれぞれ電流負帰還用の抵抗を挿入し、各可制御半導体素子の導通時における制御電極と共通電位との間の電圧を前記直流電源の電圧より小さい所定値とするようにしたことを特徴とするレベルシフト回路。 - 請求項1に記載のレベルシフト回路において、
各可制御半導体素子の制御電極と共通電位との間の電圧をそれぞれ前記所定値に制限する定電圧ダイオードを備えたことを特徴とするレベルシフト回路。
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