JP2005051133A - プリント配線基板 - Google Patents

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康宏 澤田
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Abstract

【課題】 スルーホールに挿入した挿入部品の接合部において発生する応力の影響を緩和したプリント配線基板を得る。
【解決手段】 プリント基板101には、ランド1、配線パターン2、スルーホール3から構成される複数の回路が列状に配置されている。また、複数の回路の配線パターンは、ランドから引き出され、任意の回路へと接続されている。上記の配線パターンの形状は、配線太幅部11、12、13、14、15が太く構成され、また、配線パターン列の中央部から外に向かうに従い、徐々に太くなっている。プリント配線基板は、各複数のランドから引き出された配線パターンにティアドロップが形成され、このティアドロップの形状は、挿入部品の端部に行くに従い大きくなる。本構成で、ハンダ接合時や製品使用時の熱サイクルによるパターン切れやランド剥離の発生を防止する。このため、接合部の信頼性の高いプリント配線基板を供給でき、寿命を延ばすことが出来る。
【選択図】 図1

Description

本発明は、プリント配線基板に関し、とくに、ランド形状及び、パターン引き出し部の形状およびそれらの構造にかかわるプリント配線基板に関する。
特開平09−293955号公報 特開平11−54859号公報 特開2000−243775号公報 特開平07−147479号公報
従来、プリント配線基板は一般に、配線接合にハンダが広く用いられている。図7および図8は、従来の配線基板の構成例を示している。これらの従来例において、配線はより配線幅が小さくなり、搭載部品も小型化され、配線間隔も狭小化の傾向にある。この様な状況において、従来の鉛共晶ハンダの使用は、ハンダ自身がクリープすることにより応力緩和が発生し、ランドや配線パターンに大きな応力が加わることを避ける効果が有る。
図7の従来例において、ランド201と配線パターン202との間では、配列の一番外側に位置しているため、最も応力が高くなる。このため、配線パターン引き出し部が破断する率が高い。この問題点に対応した図8の従来例は、応力が集中することを避けるため、ランド221と配線パターン222の間に、ティアドロップ224を設け、応力の低減化を図っている。しかし、前述のように鉛フリーハンダ化や挿入部品の大型化に伴い、発生応力も大きくなってきている。
従来例1の特開平09−293955号に記載された発明では、端部のランド形状を大きくし、ハンダ量を増やすことによって、線膨張係数差の一番大きな端部のハンダ接合部の強度を増す方法を開示している。
また、ランドにティアドロップを設け、その形状を変えるものとしては、従来例2の特開平11−54859号等に記載されているものが知られている。
さらに、表面実装部品において、最も大きな応力が加わるハンダ接合部の形状を大きくするものとしては、特開2000−243775号などが知られている。
さらに、本発明と技術分野の類似する先願発明例4として、特開平07−147479号公報の「印刷配線基板用導電箔」がある。本先願発明例4では、ブリッジの発生を防止し、ハンダ付けの信頼性を向上させると共に生産コストを低減することを目的としている。本目的において、 印刷配線基板上に電子部品のリードをハンダ付けするために、基板上に付設される導電箔をティアドロップ形状とし、このティアドロップ形状の導電箔を互い違いに配することを特徴としている。
しかしながら、上記の通り挿入部品とプリント配線基板相互間で線膨張係数が異なる。このため、熱が加わるとそれぞれ膨張率が異なり、接合部であるハンダやランドに応力が加わる。特に、ランドからのパターン引き出し部には、構造上大きな応力が加わり、パターン切れやランド剥離が発生する可能性が有る。
また、従来の鉛共晶ハンダの使用は、応力緩和を発生してランドや配線パターンに大きな応力が加わることを避ける効果が有ったものが、ハンダの鉛フリー化によりハンダがクリープし難くなった。このことで、上記の効果が薄れると言う問題が生じている。
上記従来例のうち、特許文献1の特開平09−293955号公報記載の、端部のランド形状を大きくするものは、配線パターンが表記されておらず、従来の太さのままランドから引き出された場合には、パターン引き出し部に大きな応力が加わる問題が依然残されたままである。
また、特許文献2の時開平11−54859号に記載の、ランドからの配線パターンに、ティアドロップを設け、その形状を変えるものは、他の配線パターンとの干渉を避けるためであり、応力に応じて形状を変えた構成とはなっていない。
さらに、特許文献3の特開2000−243775号に記載の表面実装部品と、本発明の挿入部品間では、ハンダ接合部に発生する応力のメカニズムが相違している。本従来例において、ハンダと違いクリープが発生しないピンをスルーホールに挿入した挿入部品の接合部には、遙かに大きな応力が作用する。
本発明は、スルーホールに挿入した挿入部品の接合部において発生する応力の影響を緩和したプリント配線基板を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するため、本発明のプリント配線基板は、挿入部品を実装するための複数のランドが形成されたプリント配線基板であり、複数のランドから引き出された配線パターンを、ランドと配線パターンとの間で発生する応力に対応し、各々独立した形状としたことを特徴としている。本構成により、ランドと配線パターンとの間で発生する応力に対する強度を均一化することが可能となる。
また、上記配線パターンの形状を、この配線パターンへ実装される挿入部品の中心から端部に行くに従い順次に太くし、さらに、発生する応力は、プリント基板と挿入部品との間の、線膨張係数差から発生する応力であることとするとよい。
請求項4に記載のプリント配線基板は、挿入部品を実装するための複数のランドが形成されているプリント配線基板であり、複数のランドから引き出された各配線パターンには、ティアドロップ形状部が形成され、このティアドロップの形状は、ランドと配線パターンとの間で発生する発生応力の大きさに対応して、形状の形態を変えたことを特徴とする。
上記複数の各ランドから引き出された配線パターンには、ティアドロップが形成され、このティアドロップの形状は、挿入部品の端部に行くに従い大きくし、発生応力は、プリント基板と挿入部品との間の線膨張係数差から発生する応力であることとするとよい。
以上の説明より明らかなように、本発明のプリント配線基板は、挿入部品を実装するための複数のランドから引き出された各々の配線パターンの形状を、ランドと配線パターンとの間で発生する応力に対応し、相違した構成としている。本構成で、ハンダ接合時や製品使用時の熱サイクルによるパターン切れやランド剥離の発生を防止する。このため、接合部の信頼性の高いプリント配線基板を供給でき、寿命を延ばすことが出来る。
次に、添付図面を参照して本発明によるプリント配線基板の実施の形態を詳細に説明する。図1から図6には、本発明のプリント配線基板の一実施形態が示されている。図1は、本発明のプリント基板の、挿入部品に対する配線パターンの一部を見た平面図である。また、図2から図4は、プリント基板と挿入部品との係わりを示した図である。この関係において、図2がプリント基板に挿入部品を実装するところを、図3が挿入部品を実装した後の断面を、図4が挿入部品を実装した後の断面を拡大して、それぞれ示している。さらに、図5は、プリント基板が熱変形を起こした状態を示し、図6は、プリント基板の第2の実施例を示す図である。これらの図を用いて、プリント基板の構成例を以下に説明する。
本発明のプリント基板101には、ランド1、配線パターン2、スルーホール3から構成される複数の回路が配置されている。これらの複数の回路は、列状に配置されている。また、複数の回路の配線パターンは、ランド1から引き出され、図示しない任意の回路へと接続されている。
上記の配線パターンの形状は、配線太幅部11、12、13、14、15が、各々異なった大きさの太さで構成されている。また、この配線太幅部11、12、13、14、15は、配線パターン列の中央部から外に向かうに従い、徐々に太くなっている。よって、挿入部品を実装するための複数のランドが形成されている本実施形態のプリント配線基板は、各複数のランドから引き出された配線パターンにティアドロップが形成され、このティアドロップの形状は、挿入部品の端部に行くに従い大きくなる構成とされる。
本実施例では、複数の回路が、一対に成るように配置された図で説明しているが、挿入部品の複数のピン配置と合わせるため、1列の場合や3列以上の場合もある。また、回路の個数も10個で書き表しているが、必ずしも10個に限るものでは無い。さらに、配線パターン列の中央部を対称に配線の幅を太くしているが、配置が対称でなくても良いことは言うまでもない。
図2は、本発明のプリント基板101に、挿入部品105を実装する前の状態を示した図である。この挿入部品105は、例えば、図2に示するようにコネクタである。複数の回路は、挿入部品の複数のピン106と一致する位置に同一個数配置される。挿入部品105の複数のピン106を、スルーホール3に挿入後に、フロー工程などでハンダ付けする。
図3は、本発明のプリント基板101に、挿入部品を実装した後の断面を示した図、図4は、本発明のプリント基板101に挿入部品を実装した後のハンダ接合部の断面を拡大した図である。
前記複数のピン106と前記複数のランド1とは、ハンダ110によって接合されている。このハンダ110は、例えばSn−Ag−Cu系の鉛フリーハンダである。
上記のハンダ110は、凝固後に図4に示すように、フィレットが概略円錐形状をなし、ランド1とピン106とを結合している。また、フィレットは、プリント基板の上下のランドで形成される。
次に、コネクタと上記プリント基板101が、熱で変形する現象を説明する。
図5は、本発明のプリント基板101が、熱変形を起こした状態を示した図である。
上記コネクタなどの挿入部品と、プリント基板101の線膨張係数を比較する。両者は、同一物性で構成されていないため、当然線膨張係数が異なっている。一例を挙げると、コネクタ本体を形成する物性は、例えば、PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂やポリアミド樹脂が使われている。また、プリント基板101の物性は、例えば、ガラスエポキシ樹脂である。
さらに、接合部のランドは銅、ピンは青銅や黄銅、ハンダはスズ(主成分)なる物性である。このため、接合部においても、線膨張係数は異なっている。故に、ハンダ付けにおいて、ハンダが溶融状態から凝固し常温に戻って来た時に、上記線膨張係数差により、図5に示すような反りが発生する。また、ハンダ付け以外に、製品の電源オン・オフに伴う熱疲労サイクルによっても、線膨張係数差によって、繰り返し反りが発生する。
このとき、ハンダ接合部に大きな応力が働き、ランド1と配線パターン引き出し部等の、構造的に弱い部分が切れたりランド1が剥離する現象が、最悪の場合発生する。従来から使用してきた鉛共晶ハンダは、クリープし易く、ハンダ自身が応力緩和することで、他の接合部に大きな応力が働くことを避ける作用を持っている。
しかし、鉛フリーハンダは比較的クリープがし難いため、上記作用による応力緩和はあまり期待できない。また、Sn−Ag−Cu系の鉛フリーハンダは、鉛共晶ハンダに比べ融点が高いため、発生応力が高くなる傾向にある。さらに、挿入部品の大型化、つまり多ピンコネクタの採用により、線膨張係数差がより大きくなる。
上記の応力は、線膨張係数差によって発生するため、挿入部品の中央部の接合部から離れるほど大きくなってくる。そのため、配線太幅部の幅を順次太くしている。このとき、すべての発生応力が同じになるように、配線太幅部の幅形状を決定できれば材料的にもスペース的にも効率が良い。
図6は、本発明に係わる第2の実施例のプリント基板の、挿入部品に対する配線パターンの一部を示した平面図である。本図を用いて、プリント基板の構成例を以下に説明する。
本発明のプリント基板(図示せず)には、ランド21、配線パターン22、スルーホール23、ティアドロップ24から構成される複数の回路が配置されている。なお、複数の回路は、列状に配置されている。
上記複数の回路の配線パターンは、ランド21から引き出され、図示しない任意の回路へと接続されている。
上記ティアドロップ部31、32、33、34、35の形状は、上記配線パターン列の中央部から外に向かうに従い、徐々に大きくなっている。
本実施例では、上記複数の回路が、一対に成るように配置された図で説明しているが、挿入部品の複数のピン配置と合わせるため、1列の場合や3列以上の場合もある。また、上記回路の回路の個数も、10個で書き表しているが、必ずしも10個に限るものでは無い。さらに、配線パターン列の中央部を対称に、配線の幅を太くしているが、配置が対称でなくても良いことは、言うまでもない。
コネクタ等の挿入部品のピン配置及び、ランド、スルーホール、ティアドロップ、配線パターンの配置は、挿入部品の使用によって決まるため、必ずしも本実施例で示した配置でなくても良い。
尚、本発明は、その主旨を免脱しない範囲で、上記実施例を修正または変形したものに適用可能であり、具体的には、ランド、ティアドロップ、配線パターンを、厚くする場合である。
本発明のプリント配線基板の実施形態を示す挿入部品に対する配線パターンの一部を見た平面図である。 プリント基板に挿入部品を実装するところを示した図である。 プリント基板に挿入部品を実装した後の断面を示した図である。 プリント基板に挿入部品を実装した後の断面を示した拡大図である。 プリント基板が熱変形を起こした状態を示した図である。 プリント基板の第2の実施例を示す図である。 従来例1示した図である。 従来例2示した図である。
符号の説明
1、21 ランド
2、22 配線パターン
3、23 スルーホール
11、12、13、14、15 配線太幅部
24、31、32、33、34、35 ティアドロップ
101 プリント基板
105 挿入部品(コネクタ)
106 ピン
110 ハンダ
201、221 従来のランド
202、222 従来の配線パターン
223 従来のスルーホール
224 従来のティアドロップ

Claims (6)

  1. 挿入部品を実装するための複数のランドが形成されたプリント配線基板において、
    前記複数のランドから引き出された配線パターンを、前記ランドと前記配線パターンとの間で発生する応力に対応し、各々独立した形状としたことを特徴とするプリント配線基板。
  2. 前記配線パターンの形状を、該配線パターンへ実装される前記挿入部品の中心から端部に行くに従い順次に太くしたことを特徴とする請求項1に記載のプリント配線基板。
  3. 前記発生する応力は、前記プリント基板と前記挿入部品との間の、線膨張係数差から生ずる応力であることを特徴とする請求項1または2に記載のプリント配線基板。
  4. 挿入部品を実装するための複数のランドが形成されているプリント配線基板において、
    前記複数のランドから引き出された各配線パターンには、ティアドロップ形状部が形成され、該ティアドロップの形状は、前記ランドと前記配線パターンとの間で発生する発生応力の大きさに対応して、形状の形態を変えたことを特徴とするプリント配線基板。
  5. 前記複数の各ランドから引き出された配線パターンには、ティアドロップが形成され、該ティアドロップの形状は、前記挿入部品の端部側へ行くに従い大きくしたことを特徴とする請求項4に記載のプリント配線基板。
  6. 前記発生応力は、前記プリント基板と前記挿入部品との間の線膨張係数差から発生する応力であることを特徴とする請求項4または5に記載のプリント配線基板。
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