JP2005050645A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】電解質膜のドライアウトを抑制することができる燃料電池システムを提供する。
【解決手段】燃料ガスと酸化剤ガスを用いて発電を行うスタック1と、スタック1に供給する水素ガスを加温する水素温調器42と、水素温調器42の機能欠陥を検出する温度センサ119,120を備える。水素温調器42に欠陥が生じた場合には、スタック1の運転を停止する。または、冷媒目標温度Tsouprとして、水素温調器42が正常な場合に比べて比較的低温の所定値Tsolim-fを採用する。または、無加湿運転を継続する制限時間として、水素温調機42が正常な場合に比べて比較的短時間のtmr-lim-fを採用する。
【選択図】 図6

Description

本発明は、燃料電池システムに関する。特に燃料ガスの温度調整手段を備えた燃料電池システムに関する。
従来の燃料電池システムとして、スタックに供給する水素を加温する手段(熱交換器)を有するものが知られている。例えば、燃料電池のカソード極に対して供給空気を供給する空気供給手段と、燃料電池のアノード極に対して供給水素を供給する水素供給手段を備える。空気供給手段は、供給空気を圧送する空気圧縮器を有するとともに、空気圧縮器と燃料電池のカソード極を繋ぐ空気通路を有する。水素供給手段は、供給水素を供給するアノード供給装置と燃料電池のアノード極を繋ぐ水素通路を有する。空気通路と水素通路との間に、供給空気の熱を供給水素に伝達する熱交換器が介在されている(例えば、特許文献1、参照。)。
特開2002−305013号公報
しかしながら、上記燃料電池システムにおいては、熱交換器の機能欠陥時には燃料電池への供給水素が加温されないという状態が発生する可能性がある。特に、低温環境下において、燃料電池の運転温度が上昇した場合、燃料電池から排出されるアノード排気ガス中には多くの水蒸気が含有される。アノード循環型の燃料電池システムにおいては、このアノード排ガスと、熱交換器により温度調整された供給水素とが混合されてから、燃料電池に導入される。このような燃料電池システムにおいて、熱交換器の機能失陥が生じると、温度が調整されていない供給水素とアノード排気ガスとが混合されるため、アノード排気ガスと共に燃料電池から排出された水分の多くが凝縮されてしまう。これにより、燃料電池の供給ガスの加湿不足が発生し、燃料電池の耐久性低下が起こる可能性がある。
また、燃料電池内部に加湿用純水を循環し、多孔質部材を介して燃料電池内のガスを加湿する燃料電池システムの場合、特に氷点下から起動した場合には、外気温度も低い上、燃料電池加湿用の水が凍結している可能性がある。この純水を解凍するまでの間、加湿用の液水を循環させることができない。この場合、加湿用純水を循環できるようになるまでの間は燃料電池外部からの加湿水なしで運転を行う必要が生じる。燃料電池は、運転温度が低い場合、外部からの加湿がなくてもある程度の運転は可能であるが、温度が高いと燃料電池内の高分子膜が乾いてしまうため発電が困難となる。また、温度が低くても、無加湿で運転可能な時間は限度がある。その運転温度上限や運転可能時間は、燃料電池に供給されるガス内に含まれる水分量に左右されるが、水素温度調節器機能失陥時には、燃料電池供給水素に燃料電池のアノードから排気される水蒸気の多くを燃料電池入口に供給することができず、加湿用水を供給する前に多孔質がドライアウトしてしまい、運転が継続できないだけでなく、ドライアウトした多孔質部材を再び湿潤状態にすることが困難になる可能性がある。
そこで本発明は、電解質膜のドライアウトを抑制し、燃料電池に大きなダメージを与えるのを抑制することができる燃料電池システムを提供することを目的とする。
本発明は、燃料ガスと酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池と、前記燃料電池に供給する燃料ガスを加温する燃料温度調整手段と、前記燃料温度調整手段の機能欠陥を検出する検出手段と、を備える。前記燃料温度調整手段に欠陥が生じた場合には、前記燃料電池の運転を抑制する。
または、燃料ガスと酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池と、前記燃料電池へ供給する燃料ガスを加温する燃料温度調整手段と、前記燃料温度調整手段の機能欠陥を検出する検出手段を備える。また、前記燃料温度調整手段の下流側で加湿水を供給することにより燃料ガスを加湿する加湿手段と、加湿用の液水が不足する場合には加湿水の供給を停止した状態で運転を行い、制限時間内に加湿水の供給が為されない場合には運転を停止する制御手段と、を備える。前記燃料温度調整手段に欠陥が生じた場合には、前記制限時間を短く設定する。
燃料温度調整手段に欠陥が生じた場合には、燃料電池の運転を抑制する。これにより、燃料電池のドライアウトを生じ難くすることができるので、燃料電池の劣化を抑制することができる。
または、加湿用の液水が不足する場合には加湿水の供給を停止した状態で運転を行い、制限時間内に加湿水の供給が為されない場合には運転を停止する制御手段を備え、燃料温度調整手段に欠陥が生じた場合には、制限時間を短く設定する。これにより、燃料電池でドライアウトが生じやすい状態において、燃料電池にドライアウトが生じる前に停止することができるので、燃料電池の劣化を抑制することができる。
第1の実施形態について説明する。ここでは、例えば車両の動力源として用いる燃料電池システムについて説明する。スタック1としては、固体高分子型燃料電池を用いる。図1に、燃料電池システムの概略構成図を示す。
まず、カソードに、酸化剤ガスとしての空気を供給・排出する空気系について説明する。ここでは酸化剤ガスとして空気を用いるがこの限りではない。
燃料電池システムに空気を導入するコンプレッサ20を備える。コンプレッサ20の吸気側にはエアクリーナ10、ケミカルフィルタ11、フローメータ12、サイレンサ13を、吐出側には、サイレンサ14、空気温調器15、マイクロフィルタ16を備える。また、スタック1に供給する空気を加湿するWRD(Water Recovery Device)21を備える。WRD21を、加湿対象となるガスが流れる被加湿側と、加湿源となる水含有ガスが流れる加湿側を備える主加湿手段とする。コンプレッサ20により導入した空気をWRD21の被加湿側に流通させ、後述するようにスタック1からのカソード排ガスを用いて加湿する。このように加湿した空気を、スタック1のカソードに備えるカソードマニホールド1aから導入する。WRD21とカソードマニホールド1aの間には、圧力センサ101と温度センサ111を備え、スタック1に供給される空気の圧力、温度を検出可能とする。
カソードでは発電反応(1/2O2+2H++2e-→H2O)により生成水が生じる。カソード出口側にはカソードマニホールド1dを備え、さらにカソード排ガス中の水を分離・回収する水セパレータ17を備える。また、カソード排ガスの温度を検出する温度センサ112を備える。
カソード排ガスは、ガス中の凝縮水を水セパレータ17により分離された後、WRD21の加湿側に導入される。前述したように、カソード排ガスはWRD21の加湿側を流れる際に、被加湿側を流通する空気の加湿を行う。WRD21の加湿側の下流には、燃焼器熱交換ASSY(燃焼装置)30を備える。WRD21と燃焼装置30との間には、カソードの圧力を調整する圧力制御弁(PCV)18を備える。燃焼装置30には、電熱触媒(EHC)30a、触媒燃焼器(CAT)30b、熱交換器(HE)30cを備える。EHC30aに温度センサ113を、HE30cの燃焼ガス出口部に温度センサ114を備える。カソード排ガスを燃焼装置30において燃焼した後、マフラー19を介して外部に排出する。
次に、アノードに水素を供給・排出する水素系について説明する。ここでは燃料ガスとして水素を用いるがこの限りではない。
水素を貯蔵する水素タンク40、水素の供給を遮断するシャット弁41を備える。また、供給される水素の温度を調整する水素温調器42を備える。ここでは、後述するように冷媒との熱交換により水素の温度を調整する。水素温調器42の出口側に水素の温度を検出する温度センサ120を備える。また、水素ガス圧力を調整する圧力調整弁(PCV)43、水素ガス流量を検出するフローメータ44を備える。温度および圧力を調整した水素ガスは、後述するようにアノード排ガスを再循環させるイジェクタ45を介してスタック1に供給される。スタック1の入口には、アノードマニホールド1bを備える。また、スタック1に導入される水素ガスの圧力および温度を検出する圧力センサ102、温度センサ115を備える。
アノードに供給された水素ガスは、発電反応(H2→2H++2e-)に用いられて消費される。このとき、全ての水素ガスが発電反応により消費されるわけではなく、一部の水素ガスは、スタック1の出口側に配置したアノードマニホールド1eを介して排出される。アノード排ガスは、アノードの下流側に備えられた水セパレータ46、シャット弁47を介してイジェクタ45の吸込み口に供給され、アノード循環路を形成する。
水セパレータ46とシャット弁47の間には分岐部49を備え、流量制御弁(FCV)48を介して燃焼装置30に接続する。アノード循環路から排出されたアノード排ガスはCAT30bに供給され、燃焼処理されてから外部に排出される。
次に、スタック1の温度調整を行う冷媒系について説明する。ここでは、システム停止中の凍結を防ぐため、冷媒として不凍液を用いる。
冷媒を循環させる冷媒ポンプ52と、その吸入側に接続された冷媒の貯蔵手段である冷媒リザーバタンク51を備える。また、冷媒ポンプ52の吐出側を、分岐部58を経て、冷媒の放熱を行うラジエータ50と、冷媒の加熱を行う燃焼装置30に接続する。つまり分岐部58は、燃焼装置30を循環する暖機ループとラジエータ50を循環する冷機ループの分岐点となる。
暖機ループ側は、燃焼装置30のHE30cに接続され、冷媒とCAT30bで生成された燃焼ガスとの間で熱交換を行う。HE30cから排出された冷媒は三方弁53に流入する。一方、冷機ループ側は、ラジエータ50に接続され、冷媒の放熱を行う。ラジエータ50にはラジエータファン50aを備え、通過風流量を調整することによりラジエータ50の冷却性能を制御する。冷却された冷媒は三方弁53に流入する。
暖機ループ、冷機ループに接続される三方弁53の残りのポートを、スタック1に備えた冷媒マニホールド1cに接続する。三方弁53とスタック1の間には、電気伝導度計121、シャット弁54、温度センサ116、圧力センサ103を備える。電気伝導度計121とシャット弁54の間に、前述した空気温調器15、水素温調器42に分岐する分岐部57を構成する。空気温調器15では、冷媒とスタック1に供給される空気との間で熱交換を行うことにより外部より供給される空気温度を上昇させる。さらに水素温調器42において、冷媒とスタック1に供給される水素ガスとの間で熱交換を行うことにより外気温度等に影響される水素ガス温度を調整する。空気および水素の温度調整を行った冷媒を、冷媒中のイオンを除去するために備えられたイオンフィルタ56を介してシャット弁54の下流側の合流部59に流入させる。なお、水素温調器42の上流には、水素温調器42に供給される冷媒温度を検出する温度センサ119を備える。
冷媒マニホールド1cから導入された冷媒によりスタック1の温度を調整する。その後、スタック1に備えた冷媒マニホールド1fから排出された冷媒は、冷媒ポンプ52により再び冷媒系を循環する、または、冷媒リザーバタンク51に回収される。スタック1から排出される冷媒温度を検出する温度センサ117と、冷媒の圧力を調整する圧力制御弁(PCV)55を備える。
次に、スタック1の加湿に用いる純水系について説明する。
水タンク60内には、水ポンプ61、タンク内の水量を示す水レベルLwを検出する水レベルセンサ151、温度センサ118を備え、さらに水ポンプ61の吸込み口には、水中の粒子等を濾別するストレーナ62を備える。水ポンプ61の吐出側を吐出流路72に接続する。吐出流路72には、電気伝導度計122、イオンフィルタ63を備える。
さらに、補助加湿手段として、吐出流路72を介して加湿水を供給するインジェクタ75、76を備える。主加湿手段であるWRD21は、カソード排ガスの含有水分が十分でないと、供給空気を十分に加湿することができない。そこで、WRD21の上流側でカソード排ガスに水を噴射するインジェクタ75と、スタック1に供給される以前の水素ガスに水を噴射するインジェクタ76を備える。さらに、インジェクタ75、76から噴射される水量を調整する供給圧力制御弁(PRV)64を備える。PRV64は、カソード排ガスの状態に応じて水インジェクタ75、76に加える圧力、ひいては水インジェクタ75、76から噴射される水量を調整する。ここでは、WRD21の上流側からPRV64に延びる配管22を備え、カソード排ガスの圧力を参照圧としてPRV64を調整する。なお、水インジェクタ75、76からの水の噴出量をそれぞれ独立に制御する場合には、それぞれに独立した吐出流路72およびPRV64を備えればよい。
また、PRV64と水タンク60とを連通する戻り流路71を備え、吐出流路72の圧力調整のためにPRV64を介して吐出流路72から取り除かれる水を回収可能とする。さらに、吐出流路72にはシャット弁66を、戻り流路71にはシャット弁67を備え、それぞれを開放することにより、吐出流路72、戻り流路71から水が排出可能とする。
さらに、カソード出口に設けた水セパレータ17と水タンク60を連通し、この間にシャット弁68を備える。これとは別に、水セパレータ17と外部とを連通する流路を設け、これにシャット弁69を備える。これにより、水セパレータ17で回収された水は、選択的に水タンク60に貯蔵される。例えば、スタック1の運転中、定期的に、または、水セパレータ17に溜まった水量に応じてシャット弁68の開閉を制御して水タンク60に水を回収、蓄積する。また、アノードマニホールド1e側に設けた水セパレータ46と外部とを連通する流路を設け、これにシャット弁70を備える。水セパレータ46で多くの水が回収される場合には、水セパレータ46から水タンク60に水を回収する流路を設けてもよい。さらに、水タンク60と外部とを連通する流路を設け、これにシャット弁74を備え、タンク内の水を選択的に排出可能とする。
純水系では、スタック1停止時に凍結が予測される場合には、系内の水を排出して凍結を防止する。つまり、停止時に低温環境下に晒された場合には、純水系内に水が無い状態で起動が開始される。また、図示しない加熱手段を備え、外部からのエネルギにより純水系を加熱可能に構成する。ここでは、水タンク60、水セパレータ17、スタック1から水を回収する配管やその配管に備えたシャット弁68を加熱する電気ヒータを備え、低温環境下における水の再凍結を防止可能に構成する。
また、このような燃料電池システムを制御するコントローラ80を備える。コントローラ80は複数のコントローラを組み合わせたコントロールユニットにより構成してもよいし、また、車輌を制御するコントロールユニットの一部としてもよい。コントローラ80には、各センサの出力に応じて燃料電池システムの運転を制御する。
また、コントローラ80において、スタック1に供給する水素の温度調整が適切に行われているか否かを判断し、その判断結果に基づいてスタック1の運転を制御する。例えば、水素温調器42を介して供給される水素が十分に加温されない場合には、供給される水素ガスと再循環する水素ガスとの温度差が大きく、混合されることにより再循環する水素ガス中の水分が凝縮・除去されてスタック1でドライアウトを生じる可能性がある。特に、低温起動時に無加湿運転を行う場合には、水素系に凝縮水が生じることによりドライアウトが生じ易くなる。
そこで、本実施形態では、システム制御時に図2に示すような欠陥診断を行うことにより、ドライアウトの抑制を行う。つまり、水素温調器42の欠陥を水素温調器欠陥検出手段により検出する。ここでは温度センサ119により水素温調器42に供給される冷媒温度を、温度センサ120により水素温調器42から排出される水素ガスの温度を検出することにより水素温調器42の欠陥を判断する。なお、水素温調器42としてヒータ等を用いる場合には、排出される水素ガスの温度を検出することにより欠陥を判断してもよい。欠陥を検知した場合には、水素温調器欠陥信号がコントローラ80に出力され、スタック1の運転を停止する運転停止手段をONにする信号が出力される。これにより、スタック1にドライアウトが生じ易い状態で運転を継続するのを防止して、スタック1の劣化を抑制することができる。
次に、このような燃料電池システムの制御の概略を、図3を用いて説明する。
まず、ステップS1において純水の蓄積が必要であるか否かを判断する。必要ない場合には、ステップS2において冷媒目標温度Tsouprを通常の所定値Tsonormに設定して、通常運転を行う。蓄積する必要がある場合には、ステップS3において、冷媒目標温度Tsouprを制限時の所定値Tsolimに設定して無加湿運転を行う。ステップS4において、冷媒系の冷却性能を調整することにより、スタック1の温度を適温に調整する。
このように、純水を用いた加湿を行うことができない場合には無加湿運転を行うが、この場合にはドライアウトが生じ易い状態となる。このとき、水素温調器42の機能に欠陥が生じた場合には、さらにドライアウトを生じ易い状態となるので、スタック1における発電を停止することによりスタック1の劣化を防止する。
次に、本システム制御の詳細について説明する。図4にシステム起動時の制御フローを示す。燃料電池システムの起動開始を指示する信号が入力されたら本フローを開始する。
ステップS10において、冷媒の供給を開始する。ここでは、図示しない二次電池からの電力により冷媒ポンプ52の駆動を開始する。これと共に、電気伝導度計121により冷媒の電気伝導度をコントローラ80にモニタする。
起動開始直後には、三方弁53を暖機ループ、つまり燃焼装置30とスタック1を連通する側に設定する。また、シャット弁54を閉とする。冷媒の電気伝導度が所定値より大きい場合、シャット弁54を閉に維持して、全冷媒がイオンフィルタ56を流通するように設定し、冷媒中のイオンを除去する。冷媒の電気伝導度が所定値以下であることが確認されたらシャット弁54を開き、冷媒の一部が空気温調器15、水素温調器42を介してイオンフィルタ56に流通するように制御する。
次に、ステップS20において、スタック1から排出される冷媒温度Tsoを温度センサ117により検出する。ステップS30において、冷媒温度Tsoが発進許可可能な出力を発生できる所定温度Ts以上であるか否かを判断する。この判断基準となる所定温度Tsはスタック1の性能により左右されるが、一般には発電による生成水が再凍結しない0℃近傍以上であれば走行に必要な出力性能を確保できる。起動時には、スタック1と冷媒は非常に効率良く熱交換されるため、冷媒マニホールド1f付近では、冷媒温度Tsoはほぼスタック1の温度となる。つまり、起動時に、スタック1が氷点以上でない場合には、冷媒温度Tsoはほぼ氷点以上とならない。言い換えれば、スタック1から排出される冷媒温度Tsoに応じて、スタック1が氷点以上であるか否かを判断することができる。
ステップS30において、冷媒温度Tsoが所定温度Tsに達していなかったら(Tso<Ts)、さらにスタック1の暖機が必要であると判断してステップS40に進み、発進禁止信号を出力・保持する。ステップS50において、スタック暖機制御を行う。
ここで、ステップS50におけるスタック暖機制御について説明する。
スタック暖機制御は、スタック1が低温、例えば0℃より低温の場合に行う制御であり、この間は車両の発進が禁止された状態が維持される。ここでは、燃焼装置30出生じた熱と、スタック1自体における発電に伴って生じた熱と、を用いてスタック1の暖機を行う。
起動後、燃焼装置30のEHC30aに通電し、EHC30aの温度を上昇させる。温度センサ113を用いてEHC30aの温度をモニタし、水素が着火する温度域になったことを検知したら、コンプレッサ20を駆動する。コンプレッサ20の吐出空気は、空気温調器15、WRD21、スタック1を通り、燃焼装置30に供給される。同時に、水素系のシャット弁41を開いて水素をスタック1に供給する。このときシャット弁47を閉じておくことにより、アノード循環路を遮断する。つまり、スタック1から排出された水素ガスは、FCV48を介して燃焼装置30に供給される。供給される水素が、燃焼装置30で所定の発熱を生じるために必要な流量と、スタック1で所定の発電を行うために必要な流量の和となるようにFCV48を制御する。水素流量を、フローメータ44でモニタし、この値を用いてフィードバック制御を行う。
なお、スタック1の発電量は、補機で消費できる分の発電量となる。この際、電気ヒータなどの電気加熱手段を用いると、発電可能量はさらに増大してスタック1の自己発熱が増大する上、電気もスタック1や純水系の加熱に使用できるので、起動時間短縮や起動水素消費量低減に有利となる。
また、CAT30bにおける燃焼温度を調整するため、水素流量に対する空気流量(空燃比)をコンプレッサ20の吐出量により制御する。燃焼温度は温度センサ114でモニタする燃焼ガス温度とする。この温度が所定値となるようにフィードバック制御を行う。このとき、発電で消費される酸素を考慮して、燃焼装置30に供給されるカソード排ガスを用いた燃焼が所定温度となるように制御する。なお、このときの空気流量はフローメータ12によりモニタ可能である。
このように燃焼を開始することにより、HE30cにおいて暖機ループを循環する冷媒と燃焼ガスとの間で熱交換が行われて、冷媒が加温される。その冷媒は三方弁53、シャット弁54を通り、スタック1に導入される。また、一部の冷媒は分岐部57において分岐して、空気温調器15、水素温調器42を経由して合流部59に戻り、スタック1に導入される。その結果、CAT30bで発生した熱が、冷媒を介してスタック1に伝えられる。つまり、スタック1は自己発熱と燃焼装置30の発熱により速やかに温度上昇が可能となる。
また、空気温調器15、水素温調器42において、燃焼装置30において加温された冷媒と空気および水素の熱交換が行われるため、比較的高温の反応ガスがスタック1に供給される。なお、このときスタック1ではインジェクタ75、76から水が供給されない無加湿運転が行われるが、スタック1の温度が低いため、ドライアウトは生じ難い。また、燃焼装置30に水素を供給するため、イジェクタ45を介した水素ガス循環は行われない。そのため、暖機運転時には、特に水素温調器42の欠陥診断を行わない。ただし、この限りではなく、必要に応じて水素温調器42の欠陥診断を行ってもよい。
このような状態を継続することによりスタック1を暖機する。冷媒温度Tsoが所定温度Ts以上となるまでステップS20〜S50を繰り返すことにより、スタック1の暖機を継続する。ステップS30において、冷媒温度Tsoが所定温度Ts以上となったら、ステップS60に進み、車両側に走行可能をドライバに知らせるインフォメーションをReadyランプ等で実行し、発進制御に移行する。
次に、発進制御について説明する。発進制御を示すフローチャートを図5に示す。発進制御時には、アノードの圧力をPCV43の開度により調整する。また、シャット弁47を開とする。つまり、スタック1から排出されたアノード排ガスをイジェクタ45を介して再循環させる。なお、FCV48は、基本的には閉とし、アノード内のパージの必要に応じて開とする。
ステップS110において、図示しない温度センサにより検出した外気温度Tatm、水タンク60内の水レベルLw、スタック1から排出される冷媒温度Tso、図示しない車両制御コントローラからの出力要求値Pwdを検出する。ステップS120において、水レベルLwが、所定レベルLw1に達しているか否かを判断する。ここで、所定レベルLw1は、循環開始可能な水量を示す値とする。水レベルLwが小さすぎる場合、水ポンプ61により水を循環できないというような不具合を発生する。例えば、停止時に低温環境下に晒された場合には、純水系の水は排出されているので、起動直後の水レベルLwは小さい値となる。そこで、水セパレータ17に回収される水、つまりカソードで生じる生成水を蓄積することにより、必要な純水を確保する必要がある。水タンク60、および水セパレータ17、スタック1から水を回収する配管やその配管に備えたシャット弁68については、図示しない電気ヒータにより加熱して水の再凍結を防止する。
ステップS120において、水レベルLwが所定レベルLw1に達していない場合にはステップS130に進み、水タンク60に溜められた水の循環禁止の状態を維持する。
このとき無加湿運転を継続するため、スタック1ではドライアウトが生じ易い状態となっている。このような状態で水素温調器42に欠陥が生じると、循環するアノード排ガス中の水分が除去されてさらにドライアウトを生じ易い状態となってしまう。そこで、ステップS140において、水素温調器42の欠陥診断を行う。ここで、水素温調器42の欠陥診断について、図16に示したフローチャートを用いて説明する。
ステップS141において、水素温調器42の欠陥を検出する検出手段の出力を読み込む。ここでは、水素温調器42から排出された水素温度を検出する温度センサ120の出力TH2を読み込む。また、冷媒の温度を読み込む。例えば、水素温調器42に導入される冷媒の温度を検出する温度センサ119の出力Tcを読み込む。次に、ステップS142において、水素温度TH2と冷媒温度Tcの温度差ΔT(=Tc−TH2)が、制限値dTlim未満であるか否かを判断する。ここで、温度差ΔTが制限値dTlim未満の場合は、ステップS145に進み、水素温調器42において正常に熱交換が為されていると診断し、水素温調器42の欠陥診断を終了する。一方、ステップS262において、温度差ΔTが制限値dTlim以上の場合には、ステップS143に進み、水素温調器42の機能に欠陥が生じて、スタック1に低温の水素ガスが供給されると診断する。つまり、循環ガス中の水蒸気の多くが凝縮して、スタック1に低露点の水素ガスが供給されていると診断する。そこで、ステップS144に進み、水素温調器42の機能欠陥時制御を行う。
水素温調器42の欠陥時制御を、図7(a)のフローチャートを用いて説明する。
水素温調器42に機能欠陥が生じていると判断されたら、ステップS144−1において、スタック1の運転を停止する信号を出力する。スタック1の運転を停止することによって、スタック1がドライアウトにより劣化するのを防ぐことができる。この場合には、ドライバにスタック1を停止する旨を伝える信号を出力するとともに、反応ガスの供給を停止して発電を停止する。
このように水素温調器42の欠陥診断を行って、機能欠陥はないと判断された場合のみに運転を継続し、ステップS150に進む。ステップS150において、加湿水循環禁止時間の継続を示すタイマー値tmr-cont加算をする。初期値は0とする。ステップS160において、タイマー値tmr-contが継続制限値tmr-limを超えていないか否かを判断する。ここで、継続制限値tmr-limは、WRD21における加湿のみでスタック1において発電を継続できる時間とする。つまり、ドライアウトを生じずにスタック1で無加湿運転を継続することができる時間とする。タイマー値tmr-contが継続制限値tmr-limを超えていたら、ステップS170に進み運転を停止し、その旨をドライバに伝える信号を出力する。これにより、何らかの故障で水が蓄積されずに運転を継続することによりスタック1にダメージが与えられるのを防ぐことができる。
一方、ステップS160において、タイマー値tmr-contが、継続制限値tmr-lim以下の場合にはステップS180に進む。ステップS180において、冷媒目標温度Tsouprを、純水を蓄積するために制限された値である所定値Tsolimに設定する。ここで、冷媒目標温度Tsouprは、スタック1から排出される冷媒の目標温度であり、ひいてはスタック1の目標温度である。また、所定値Tsolimは、必要な水を蓄積するのに必要な時間無加湿運転を継続した場合に、スタック1の破損を防止できる運転温度とする。
図8に、最大出力で運転を行った場合の、冷媒温度Tsoに対する無加湿運転の継続制限時間と、水蓄積に必要な時間を示す。水蓄積に必要な時間が継続制限時間より短くなるように冷媒目標温度Tsouprを設定する。図8に示すように、冷媒温度Tsoが低い、つまりスタック1の運転温度が低いほど、水蓄積に必要な時間を短縮することができる。また、スタック1の運転温度が低いほど、無加湿運転を継続できる時間が長くなる。このため、冷媒目標温度Tsouprを低く制御することにより、ドライアウトを生じずに水を短時間で蓄積することができる。
ただし、外気温度Tatmが高い場合には、スタック1の運転温度を高出力下で低温に保つことは困難であり、冷媒目標温度Tsouprを低い温度に設定することによりスタック1の出力制限を行う必要が生じる可能性がある。これを避けるために、冷媒目標温度Tsouprを、走行に必要な出力を得つつスタック1の温度を制限できる温度以上の値である所定値Tsolimに設定する。起動時の外気温度Tatmが低いと予測される場合には、所定値Tsolimをかなり小さく設定することができる。
なお、ステップS160における制限値tmr-limは、冷媒温度Tsoを所定値Tsolimに設定した際にドライアウトに生じるまでの時間、またはそれ以下の時間となるように設定しておく。
次に、ステップS190に進み、三方弁53の開度制御を行う。つまり、スタック1から排出された冷媒の暖機ループ側と冷却ループ側への分流比Rvoを制御する。三方弁53の開度制御を図9のフローチャートを用いて説明する。
ステップS191において、冷媒温度Tsoと冷媒目標温度Tsouprとの温度偏差dT(=Tsoupr−Tso)を算出する。次に、ステップS192において、温度偏差dTに応じて、分流比Rvoをマップ検索する。ここで用いるマップを図10に示す。横軸を温度偏差dT、縦軸を冷却ループへの分流比Rvoとする。Rvo=100%は、冷媒を全てラジエータ50側の冷却ループに流すことを意味する。
温度偏差dTが大きい場合、分流比Rvoは最小値Rvominとなり、ほぼ全ての冷媒を暖機ループに流すことにより、スタック1の温度上昇を促進する。温度偏差dTが所定値dT1以下になると分流比Rvoを増大し、冷機ループに流れる冷媒流量を増大する。温度偏差dTが所定値dT2で、冷却ループへの分流比Rvoは最大値Rvomaxとなる。つまり、温度偏差dTが所定値dT1から所定値dT2の間に制御された場合は、冷却性能が外気温度に対して十分であることを示し、所定値dT2より小さい、もしくは負の値となる場合は、冷却系の能力が不足して温度を制御できないことを示す。
ステップS190において三方弁53の開度を制御したら、ステップS200に進み、冷媒流量制御を行う。冷媒流量制御のフローチャートを図11に示す。
ステップS201において、冷媒流量ベースQcbマップを検索する。ここでは、スタック1の出力要求値Pwdに対して冷媒流量ベースQcbを予め設定しておき、記憶しておく。図12に示すように、出力要求値Pwdに対して通常必要とされる冷媒流量ベースQcbを、冷媒ポンプ52の最小流量Qcminから最大流量Qcmaxの間で設定しておく。ここでは、定格出力に対して最大流量Qcmaxを設定する。
次に、ステップS202において、冷媒流量の制限値Qclimを温度偏差dTから求める。ここでは、図13に示すような、温度偏差dTに対する冷媒流量制限値Qclimをマップとして記憶しておく。温度偏差dTを検出し、図13のマップを検索することにより制限値Qclimを設定する。図13では、制限値Qclim=Qcmaxと設定される温度偏差dT4を、冷機ループ側の冷媒が最大となる分流比Rvo=Rvomaxに設定される温度偏差dT2より小さい値に設定される。つまり、分流比Rvoが先に最大値Rvomaxに設定され、それでも冷媒目標温度Tsouprに制御するための冷却能力が不足場合に、循環する冷媒流量Qcを最大値Qcmaxに設定する。
ステップS203において、冷媒流量Qcを決定する。ここでは、冷媒流量ベースQcbと、最小制限値Qclimとを比較し、これらのうち大きい方を選択(セレクトハイ)してセットする。冷媒流量Qcに応じて、冷媒ポンプ52の回転数を設定する。
このように冷媒流量Qcを設定したら、ステップS210においてラジエータファン50aを制御する。ラジエータファン50aの制御方法を図14のフローチャートに示す。
ステップS211において、温度偏差dTに対するラジエータファン50aの動力を設定する。ここでは、予め図15に示すラジエータファン50aの動力Pwradマップを記憶しておく。温度偏差dTを検出しマップ検索することにより動力Pwradを設定する。温度偏差dTが0になる前に、dT=dT6(<dT4)でラジエータファン50aの動力が最大となり、この時点で、ラジエータ50を含む冷媒系の冷却性能が最大の能力を発揮する。例えば、冷媒温度Tsoが冷媒目標温度Tsouprを超える状況においては、冷却系が最大の能力を発揮している状態となる。
次に、ステップS220において、燃料電池運転圧力Poを決定する。ここでは、図16に示すような冷媒温度Tsoに対する液水不足時の運転圧力マップを参照する。通常制御時には、運転圧力Poはスタック1の温度を代表する冷媒温度Tsoに対して水バランスが取れるように設定される。これに対して液水不足時には、通常時より高い運転圧力Poが設定される。つまり、水バランスがプラスとなる、言い換えれば凝縮水を生じ易い圧力に設定される。これにより、スタック1の加湿不足をさらに抑制することができる上、加湿水の蓄積を促進して、蓄積に必要な時間を短縮することができる。その結果、無加湿運転が継続される時間が短縮されるので、ドライアウトをさらに抑制することができる。
次に、ステップS230において、冷媒温度Tsoを検出して冷媒目標温度Tsouprと比較する。ここで、冷媒温度Tsoが冷媒目標温度Tsouprを超えていない場合には、ステップS240に進む。ステップS240においては、スタック1の出力Pwを出力要求値Pwdに設定する。つまり、出力を制限せずに、要求通りの出力を発生する。
一方、ステップS230において、冷媒温度Tsoが冷媒目標温度Tsouprを超えている場合には冷媒系の冷却性能が不足してドライアウトを生じる可能性があると判断する。そこで、ステップS240において、スタック1の出力の出力制限値Pwlimを図17の外気温度Tatmに対する出力上限値を示すマップにより設定する。外気温度Tatmが高く、冷却性能が不足する場合には、冷媒目標温度Tsouprを保持するために出力制限を行う。ここでは、スタック1の出力を外気温度Tatmに応じて設定した出力制限値Pwlim以下に制限することで、冷媒温度Tsoを冷媒目標温度Tsoupr以下に維持することができる。次にステップS260において、運転圧力Pwを決定する。ここでは、出力制限値Pwlimと出力要求値Pwdを比較して、小さい方を選択(セレクトロー)し、セットする。上記の制御を行うことにより、冷媒目標温度Tsoupr(=Tsolim)を超える頻度を最小限としながら、出力制限が必要な状況を最小限としている。
このようにスタック1の出力を設定したら、再びステップS110に戻り、水タンク60に加湿水供給可能な液水が蓄積されるまで、ステップS110〜S260を繰り返す。ステップS120において水レベルLwが所定レベルLw1以上になったら、水循環に必要な液水が確保できたと判断してステップS270に進む。ここで純水ポンプ71を駆動し、加湿水循環を開始する。ステップS280に進み、無加湿運転継続時間tmr-contをリセットし(tmr-cont=0)してから通常運転に移行する。
次に、通常運転について説明する。通常運転の制御方法を図18に示すフローチャートを用いて説明する。通常運転時には、必要に応じて純水系内を純水が循環し、インジェクタ75、76から加湿水が噴射される。これは前述したようにカソード排ガスの圧力に応じて制御される。
ステップS291において、水素温器42の欠陥診断を行う。ここでは、前述した欠陥診断と同様に、図6に示すフローチャートに従って行う。欠陥が検知されなかったら、ステップS292に進む。ステップS292において、外気温度Tatm、冷媒温度Tsoを検出する。ステップS293において、冷媒目標温度Tsouprを所定値Tsonormに設定する。ここで、所定値Tsonormは、熱水バランスが達成可能で、通常の効率を優先した運転温度である。次に、ステップS294において、三方弁53の開度制御を行う。なお、この三方弁53の開度制御はステップS190において、冷媒目標温度Tsouprを制限時の所定値Tsolimから通常時の所定値Tsonormに変えただけのものとする。ステップS295において冷媒流量Qcを、ステップS296においてラジエータファン50aの回転数を制御する。ここでも、ステップS200、S210において、冷媒目標温度Tsouprを制限時の所定値Tsolimから通常時の所定値Tsonormに変えただけのものとする。
このように冷媒の冷却性能を設定したら、ステップS297に進み、ステップS220と同様にスタック1の運転圧力Poを設定する。ただしここでは、図16の通常時参照マップを用いて、冷媒温度Tsoに対して水バランスが取れる圧力を設定する。このようにスタック1の運転圧力Poを決定したら、ステップS298においてスタック1の出力Pwを出力要求値Pwdに設定する。このように出力Pwを設定したら通常運転制御を終了し、所定時間毎に繰り返し行う。
次に、上記のような制御を行った際の、水タンク60内に蓄積される水量の時間変化と、スタック温度変化を図19に示す。起動開始後、スタック1において走行に必要な電力を発電可能となるまで、燃焼および自己発熱によりスタック1の暖機を行う。このとき、スタック1における反応に伴って生成水が生じ、水タンク60に水が蓄積される。走行可能な電力を発電可能となる程度(=所定温度Ts)までスタック1を昇温したら、車輌の走行を開始する。これとともに、スタック温度および生成水量が増大するが、スタック温度が運転目標温度Tsoupr(=Tsolim)を超さないように冷媒系の調整を行う。このとき、冷媒系のみで温度を抑制しきれなくなったら、スタック1の出力を抑制することにより運転温度の抑制を行う。蓄積された水の量が、加湿可能な所定量に達したら、この冷媒目標温度Tsouprを通常時の所定値Tsonormに設定して通常運転を開始する。
走行許可が下りてから純水の供給が開始されるまでの無加湿運転時に、水素温調器42に欠陥が生じた場合には、供給される低温水素ガスにより循環する燃料ガス中の水分が凝縮してスタック1でドライアウトを生じる可能性がある。本実施形態では、このような事態が生じるのを防ぐために水素温調器42に欠陥検出手段を備え、水素温調器42に欠陥が生じた場合には、スタック1の発電を停止する。
なお、本実施形態では、水素温調器42の欠陥時には図17(a)に示すように制御したが、この限りではない。例えば、発進制御のステップS140における水素温調器42の欠陥診断は図17(b)、(c)に示すフローに従って制御してもよい。
図17(b)において、水素温調器32に機能欠陥が生じていると判断されたら、ステップS144−2に進み、無加湿運転時に冷媒目標温度Tsouprとして採用される所定値TsolimをTsolim-fとする。つまり、ステップS180において、Tsoupr=Tsolim-fとなる。ここで、Tsolim-fを、低露点の水素を供給されても所定時間、例えばtmr-limの間、運転継続が可能となる温度とする。図8に示すように、通常の水素入口露点時の所定値Tsolimより小さい温度となる。つまり、スタック1の温度をさらに抑制することで、ドライアウトを生じやすい状態を抑制し、また短時間で水蓄積を行うように制御する。このように設定することにより、低露点の水素を供給されても、ある程度の時間運転を継続することが可能となる。
この温度に制御するために、外気温度がある程度高くて温度制限が困難な場合には、スタック1の出力を制限することにより対応してもよい。これにより、急にスタック1の運転を停止する必要はなく、連続して運転が可能となる。このように、水素温調器42の欠陥に応じて、ドライアウトを生じ難い状態に設定したら、水素温調器42の欠陥診断を終了しステップS150に進む。
または図17(c)において、水素温調器42に機能欠陥が生じていると判断されたら、ステップS144−3に進み、ステップS160においてタイマー値tmr-contと比較する無加湿運転継続制限時間tmr-limをtmr-lim-fとする。ここで、tmr-lim>tmr-lim-f。このように、無加湿運転の継続時間を通常時より短時間に設定することにより、スタック1がドライアウトする前にスタック1の運転を停止することが可能となる。このように制御することで、スタック1そのものの損傷を抑制することができる。このように、水素温調器42の欠陥に応じた制御を行ったら、水素温調器42の欠陥診断を終了し、ステップS150に進む。
このように、水素温調器42の欠陥が検出された場合には、スタック1の運転を停止したり、スタック1の温度を低く設定したり、無加湿運転時間を継続する時間を短く設定することで、ドライアウトを抑制することができる。
次に、本実施形態の効果を説明する。
燃料ガスと酸化剤ガスを用いて発電を行うスタック1と、スタック1に供給する燃料ガス、ここでは水素ガスを加温する水素温調器42と、水素温調器42の機能欠陥を検出する検出手段を備える。検出手段としては、温度センサ119,120を用いる。水素温調器42に欠陥が生じた場合には、スタック1の運転を抑制する。これにより、スタック1でドライアウトを生じ難くすることができるので、スタック1が劣化するのを抑制することができる。
例えば、水素温調器42に欠陥が生じた場合には、スタック1の運転を停止することによりスタック1の運転を抑制する。これにより、水素温調器42に欠陥が生じたことにより、スタック1に供給される燃料ガス中の水分が低下することによりドライアウトが生じスタック1が劣化するのを防ぐことができる。
または、水素温調器42に欠陥が生じた場合には、スタック1の運転温度を抑制することによりスタック1の運転を抑制する。ここでは、冷媒目標温度Tsouprとして、水素温調器42が正常な場合に比べて比較的低温の所定値Tsolim-fを採用する。これにより、スタック1をドライアウトを生じ難い状態に制御することができる。その結果、スタック1がドライアウトにより劣化するのを抑制することができる。
または、水素温調器42の下流側に加湿水を供給することにより燃料ガスを加湿する加湿手段を備える。ここではインジェクタ76を備える。加湿用の液水が不足する場合には加湿水の供給を停止した状態で運転を行い、制限時間内に加湿水の供給が為されない場合には運転を停止する制御手段(S130〜S260)と、を備える。水素温調器42に欠陥が生じた場合には、制限時間を短く設定する。ここでは、制限時間として、水素温調機42が正常な場合に比べて比較的短時間のtmr-lim-fを採用する。これにより、スタック1がドライアウトを生じる前に運転を停止することができるので、スタック1がドライアウトにより劣化するのを抑制することができる。
水素温調器42、スタック1内を流れる冷媒とスタック1に供給される以前の水素ガスとの熱交換手段とする。また、水素温調器42の機能失陥を検出する検出手段は、冷媒の温度Tcと水素温調器42から排出された水素ガス温度TH2と、を検出する温度センサ119、120とする。冷媒の温度Tcと水素ガスの温度TH2の温度差が所定値dTlim以上となった場合に水素温調器42に欠陥が生じたと判断する。このように、排出される水素ガス温度TH2と冷媒温度Tcとの差が小さい場合には、熱交換が適切になされていないと判断することができるので、水素温調器42の欠陥診断を行うことができる。
また、スタック1から排出された燃料排ガスの少なくとも一部と、水素温調器42により温度調整した水素ガスと、を混合して、スタック1に供給する。このように、アノード循環型の燃料電池システムにおいては、水素温調器42に欠陥が生じることによりドライアウトが特に生じ易くなるので、特にスタック1のドライアウトを抑制する効果を得ることができる。
次に、第2の実施形態について説明する。燃料電池システムの構成を図20を用いて説明する。ここでは、システム停止時にも水タンク60内に純水を保持し、凍結している場合には低電力で解凍を行う燃料電池システムについて説明する。また、補助加湿手段として、インジェクタ75、76の替わりに、スタック1の内部加湿手段を備える。以下、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
まず、カソードに空気を供給・排出する酸化剤系について説明する。
エアクリーナ10、ケミカルフィルタ11、フローメータ12、サイレンサ13を備え、その下流側とコンプレッサ20の吸入側を接続する。コンプレッサ20の吐出側には、サイレンサ14、マイクロフィルタ16を備え、さらに空気温調器15を備える。また、カソード排ガスを加湿源とするWRD21を備え、WRD21の下流側は第1の実施形態と同様に構成する。但し、第2の実施形態では、カソードマニホールド1dに設けられた水セパレータ17の水は、全て水タンク60に送出されるため、シャット弁69を省略する。
次に、アノードに水素ガスを供給・排出する水素系について説明する。
水素タンク40からシャット弁41を経由して水素温調器42に接続する。圧力制御弁PCV43、フローメータ44を経てイジェクタ45に接続する。イジェクタ45からはスタック1のアノードマニホールド1bに接続され、その上流側には水素圧力および温度を検出する圧力センサ102、温度センサ115を備える。アノードマニホールド1eはイジェクタ45の吸気側に接続し水素循環路を形成する。アノードマニホールド1eとイジェクタ45との間に設けた分岐部49からは燃焼装置30に接続する分岐路を構成し、流量制御弁FCV48により燃焼装置30に分岐させるアノード排ガス流量を調整する。以下、水素系については、第1の実施形態と同様に構成する。但し、水セパレータ46、シャット弁70は設けられていない。
次に、スタック1の温度を制御する冷媒系について説明する。
冷媒リザーバタンク51を冷媒ポンプ52の吸入側に接続する。冷媒ポンプ52の吐出側は電気伝導度計121を介して、スタック1の冷媒マニホールド1cに接続する。冷媒マニホールド1cの下流側にはスタック1から排出された冷媒の冷媒温度TSOを検出する温度センサ116を備える。さらにその下流側で、空気温調器15と水素温調器42に分岐し、空気及び水素ガスとそれぞれ熱交換した後、再び合流する。冷媒は冷水タンク60内に配置した熱交換部60aを流通し、水タンク60内に貯蔵された水との間で熱交換を行う。これにより、純水凍結時には、水タンク60内の水が比較的高温の冷媒から熱を受けて、水タンク60内の水が解凍される。熱交換部60aを循環した冷媒はその後、ラジエータ50と燃焼装置30に分岐する三方弁53に接続される。三方弁53からは、第1の実施形態と同様に暖機ループと冷機ループに分岐し、冷媒の温度調整を行う。暖機ループまたは冷機ループを循環した冷媒を再び合流させ、水ポンプ52によって循環する。なお、水ポンプ52と並列に冷媒の電気伝導度を低減するイオンフィルタ56を備える。
次に、スタック1の加湿を行う純水系について説明する。
水タンク60内の水ポンプ61の吸い込み側にはストレーナ62を備え、吐出側は、イオンフィルタ63、電気伝導度計122を介してスタック1に接続する。スタック1内にはアノードおよびカソードと多孔質のプレートを介して水チャネル1gを設ける。水チャネル1g内を純水が流通する際に、多孔質プレートを介して各電極に、ひいては電解質膜に水分が供給されて加湿が行われる。つまり、本実施形態では、主加湿手段としてWRD21を用いるとともに、補助加湿手段としてスタック1内を循環する水チャネル1gを構成する。
スタック1で加湿に使用されなかった純水を水タンク60に回収する流路には、シャット弁81、シャット弁83、圧力制御弁PRV84を備える。PRV84は、シャット弁81、83の間に、シャット弁82を介してカソード排気側に接続する流路を用いることにより、カソード出口圧を参照圧として水チャネル1g内の圧力を制御する。スタック1の水チャネル1g内の圧力を、カソード内の空気圧力より若干低い圧力に制御する。これによりアノード、カソード内で生じた液水を多孔質プレートを介して吸収し、また、アノード、カソード内の反応ガスを加湿可能とする。
さらに、シャット弁82、シャット弁81、シャット弁83を開放した場合には、回路内の水が水タンク60に回収される。また、カソードの出口側に配置した水セパレータ17は、シャット弁68を備えた水配管を介して水タンク60に純水を回収可能に構成する。さらに、水経路およびその水経路中の部品は、図示しない電気ヒータなどの熱源によって加熱可能となっている。ただし、水タンク60内の水は、熱交換部60aを流通する冷媒との熱交換により解凍されるように構成する。
次に、このような燃料電池システムの制御方法を説明する。
なお、本システムでは、発電停止後に、図示しない二次電池からの電力によりコンプレッサ20が駆動される。そしてPCV18により若干加圧されたスタック1の空気圧により、水セパレータ17内の水が水タンク60に集められる。その後、シャット弁68を閉として冷媒マニホールド1f内の水を完全に排出し、凍結防止を行う。また、その他の純水系の経路も、シャット弁81〜83を開とすることにより水タンク60内にドレインし、配管内での凍結を防止する。
このような燃料電池システムの運転制御の概略を図21に示す。
まず、ステップS5において純水の解凍が必要であるか否かを判断する。必要ない場合には、ステップS6において冷媒温度Tsoを通常の所定値Tsonormに設定して、通常運転を行う。解凍する必要がある場合には、ステップS7において、冷媒温度Tsoを制限時の所定値Tsolimに設定して無加湿運転を行う。ステップS8において、三方弁53開度、冷媒ポンプ52の回転数、ラジエータファン50a回転数を制御することにより、冷媒およびスタック1の温度を調整し、水タンク60内の純水の解凍を行うことにより加湿水を確保する。
システム制御の詳細を、第1の実施形態と同様に、図4に示すフローチャートで示す。ただし、ステップS50における暖機制御を以下のように行う。
氷点下における運転始動時、燃焼装置30のECH30aに通電し、加温する。温度センサ113によりモニタしたECH30aの温度が、燃焼可能の温度域となったことを検知したら、コンプレッサ20を運転する。コンプレッサ20の吐出空気は、空気温調器15、WRD21、スタック1を通り、PCV18を介して燃焼装置30に供給される。同時に、水素系のシャット弁41を開き、水素ガスをスタック1に供給する。このときCAT30bにおいて所定の発熱が行われるように、FCV48により水素流量が制御される。この水素流量をフローメータ44でモニタすることにより、フィードバック制御を行う。また、燃焼装置30における燃焼温度を制御するために、温度センサ114により燃焼ガスの温度をモニタし、これが目標温度になるように空気流量のフィードバック制御を行う。
このような暖機制御時に、冷媒ポンプ52を駆動し、燃焼装置30で生じる熱を冷媒に移動させることにより冷媒温度を上昇させる。この冷媒をスタック1に循環させることにより、スタック1を燃焼に伴う熱により加温する。また同時に、スタック1の自己発熱により昇温するので、スタック1を短時間で暖機することができる。
また、発進制御を、図22に示すフローチャートに従って行う。
第1の実施形態においては、スタック1で無加湿運転を行うか通常運転を行うかの判断を、水タンク60内の水レベルLwで行った(S120)のに対し、ここでは、ステップS320に示すように純水温度により判断する。つまり、水タンク60内の液水量を、温度センサ118で求めた水タンク60内の純水温度Twにより判断する。ここで純水温度Twが所定温度Tw1以上となったら、通常運転に移行する。なお、この所定温度Tw1は予め設定しておき、例えば水タンク60内の水が全解凍する温度、または循環するのに十分な液水量を示す温度とする。例えばTw1=0℃とする。
なお、無加湿運転を行うと判断された場合には、スタック1から排出された冷媒は、空気温調器15または水素温調器42を介して水タンク60の熱交換部60aに流通するので、スタック1の温度上昇に伴って純水の解凍が促進される。なお、ここではスタック1の下流側、燃焼装置30の上流側に熱交換部60aを設ける。このため、スタック1の昇温を優先し、無加湿運転が開始されてから、水タンク60内の解凍が行われる。
さらに、無加湿運転を行う際に、ステップS380において、ステップS180と同様に冷媒目標温度Tsouprとして制限時の所定値Tsolimを代入するが、このときTsolimを図23に示すように解凍に必要な時間に応じて設定する。
図23に、冷媒温度Tsoに応じた無加湿運転を継続できる時間と、解凍に必要な時間を示す。解凍に要する時間が、無加湿運転を継続できる時間より短くなるように、冷媒目標温度Tsouprを設定する。図23に示すように、冷媒温度Tsoが低い、つまりスタック1の運転温度が低いほど、解凍に要する時間は長くなる。また、スタック1の運転温度が低いほど、無加湿運転を継続できる時間は長くなる。このため、冷媒目標温度Tsouprを、「解凍に必要な時間<無加湿運転を継続できる時間」となる範囲で制限時の所定値Tsolimを設定する。なお、ステップS360における制限値tmr-limは、冷媒温度Tsoを所定値Tsolimに設定した際にドライアウトに生じるまでの時間、またはそれ以下の時間となるように設定しておく。
また、ステップS340における水素温調器42の欠陥診断においては、欠陥検出手段として、温度センサ119の変わりに、スタック1から排出され、水素温調器42に供給される冷媒温度を検出する温度センサ116を用いる。ここで、温度センサ116の位置は、大きな熱交換要素がない場合には水素温調器42の直前である必要はなく、少し離れて配置してもよい。温度センサ116により検出された水素温調器42に供給される冷媒の温度と、温度センサ120により検出された水素温調器42から排出される水素温度との差を求めて、水素温調器42に欠陥が生じているか否かを判断する。
このように制御することにより、スタック1の温度および解凍された水の量の時間変化は図24に示すようになる。
暖機運転時には、燃焼装置30において冷媒を昇温することにより、スタック1の暖機を行う。スタック1が、再凍結を防ぎ、大きな電力を発生できる温度TS(0℃近傍)まで暖機されたら、燃焼装置30における燃焼を停止して、積極的に発電を行い車輌の走行を開始する。発電に伴ってスタック1温度が上昇する、ひいては冷媒温度が上昇するので、この冷媒を水タンク60の熱交換部60aに流通させて、水タンク60内の解凍を行う。このとき、スタック1では純水系による加湿を行わない運転を行っているため、水素温調器42に欠陥が生じるとスタック1にドライアウトが生じる可能性がある。そこで、水素温調器42の欠陥を検出することによりドライアウトを抑制する。
また、スタック1の温度が過度に上昇するとドライアウトが生じ易くなる。そこで、冷媒流量、ラジエータ50に循環させる冷媒の割合、ラジエータ50の冷却性能を大きくすることで、冷媒系の冷却性能を増大する。さらに、運転圧力を増大することにより、スタック1の水不足をさらに抑制する。さらに温度抑制が必要な場合には、スタック1の出力を制限することによりスタック1の劣化を抑制する。
これにより、冷媒温度Tsoが冷媒目標温度Tsouprを超えるのを防ぎつつ、必要な出力を発生しやすいようにスタック1の温度を調整することができる。このような状態を維持して水タンク60内の解凍を継続し、解凍量が所定量、ここでは水ポンプ61により循環できる量を超えたら通常運転を開始する。
なお、本実施形態では、補助加湿手段としてスタック1の内部加湿手段を採用している。そのため、水素温調器42に欠陥が生じてスタック1に比較的温度が低く、含有水量も小さい燃料ガスが供給される場合にも、スタック1の温度が十分であれば水チャネル1gから加湿水を供給することができる。その結果ドライアウトを抑制することができる。つまり、本実施形態においては、通常運転時の水素温調器42の欠陥診断(S291)は省略することができる。これにより、運転停止となる機会を少なくすることができる。
次に、本実施形態の効果について説明する。以下、第1の実施形態とは異なる効果のみを説明する。
スタック1に、多孔質プレートにより構成した水チャネル1gを備える。ここでは、加湿水を供給することにより燃料ガス、酸化剤ガスの少なくとも一方を加湿する加湿手段として、スタック1に内部加湿手段となる水チャネル1gを多孔質プレートにより構成する。このような構成においても、特に加湿水の循環が為されない場合に水素温調器42に欠陥が生じることによりドライアウトが生じ易くなるが、これを検知して運転を抑制することで、スタック1のドライアウトを抑制することができる。多孔質部材からなる水チャンネル1gを有することで生成水をある程度保持しておくことが可能であり、無加湿運転によるドライアウトまでの時間を延ばすことができる。
また、スタック1で加温された冷媒を、水素温調器42における水素加温の熱源として使用してから、加湿水解凍の熱源として使用する。これにより、スタック1でドライアウトを生じるのを避けることを優先しつつ、加湿水の解凍を行うことができる。
なお、上記実施の形態においては、燃料電池システムの出力および冷媒制御と、水素温調器42の欠陥診断とをシリーズに行っているが、パラレルに行っても良い。つまり、燃料電池システムの運転状態にかかわらず、所定時間毎に水素温調器42の欠陥診断を行ってもよい。
また、水素温調器42に欠陥が生じているか否かを判断する際に、温度センサ120の替わりに、温度センサ115の出力を用いてもよい。つまり、スタック1に供給される燃料ガス温度を検出することにより、水素温調器42の欠陥を判断してもよい。
このように、本発明は、上記発明を実施するための最良の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術思想の範囲内で様々な変更を為し得ることは言うまでもない。
本発明は、固体高分子電解質型の燃料電池を用いた燃料電池システム、特に、アノード側に燃料ガスの循環流路を構成した燃料電池システムに適用することができる。
第1の実施形態に用いる燃料電池システムの概略構成図である。 水素温調器欠陥診断の概略を示すブロック図である。 第1の実施形態に用いる燃料電池システムの概略制御フローチャートである。 第1の実施形態における燃料電池システム起動制御のフローチャートである。 第1の実施形態における燃料電池システム発進制御のフローチャートである。 水素温調器診断のフローチャートである。 水素温調器欠陥時制御のフローチャートである。 スタック温度に応じた無加湿運転継続制限時間・水蓄積時間を示す図である。 三方弁開度制御のフローチャートである。 温度偏差に対する三方弁開度(分流比)を示す図である。 冷媒流量制御のフローチャートである。 出力要求値にたいする冷媒流量ベースを示す図である。 温度偏差に対する冷媒流量制限値を示す図である。 ラジエータファン制御のフローチャートである。 温度偏差に対するラジエータファン動力を示す図である。 スタック温度にたいする通常時および水不足時の運転圧力を示す図である。 外気温度に対する出力制限値を示す図である。 通常運転制御のフローチャートである。 第1の実施形態における発電量・スタック温度の時間変化を示す図である。 第2の実施形態に用いる燃料電池システムの概略構成図である。 第2の実施形態に用いる燃料電池システムの概略制御フローチャートである。 第2の実施形態における燃料電池システム発進制御のフローチャートである。 スタック温度に応じた無加湿運転継続制限時間・解凍時間を示す図である。 第2の実施形態における発電量・スタック温度の時間変化を示す図である。
符号の説明
1 スタック
1g 水チャネル(加湿手段)
42 水素温調器(燃料温度調整手段)
75、76 インジェクタ(加湿手段)
119 温度センサ(検出手段)
120 温度センサ(検出手段)
S130〜S260 制御手段

Claims (7)

  1. 燃料ガスと酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池と、
    前記燃料電池に供給する燃料ガスを加温する燃料温度調整手段と、
    前記燃料温度調整手段の機能欠陥を検出する検出手段と、を備え、
    前記燃料温度調整手段に欠陥が生じた場合には、前記燃料電池の運転を抑制することを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記燃料温度調整手段に欠陥が生じた場合には、前記燃料電池の運転を停止することにより前記燃料電池の運転を抑制する請求項1に記載の燃料システム。
  3. 前記燃料温度調整手段に欠陥が生じた場合には、前記燃料電池の運転温度を抑制することにより前記燃料電池の運転を抑制する請求項2に記載の燃料電池システム。
  4. 燃料ガスと酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池と、
    前記燃料電池へ供給する燃料ガスを加温する燃料温度調整手段と、
    前記燃料温度調整手段の機能欠陥を検出する検出手段と、
    前記燃料温度調整手段の下流側で加湿水を供給することにより燃料ガスを加湿する加湿手段と、
    加湿用の液水が不足する場合には加湿水の供給を停止した状態で運転を行い、制限時間内に加湿水の供給が為されない場合には運転を停止する制御手段と、を備え、
    前記燃料温度調整手段に欠陥が生じた場合には、前記制限時間を短く設定することを特徴とする燃料電池システム。
  5. 前記燃料温度調整手段は、前記燃料電池内を流れる冷媒と前記燃料電池に供給される以前の燃料ガスとの熱交換手段であって、
    前記燃料温度調整手段の機能失陥を検出する検出手段は、冷媒の温度と前記燃料温度調整手段から排出された燃料ガスの温度と、を検出する手段であって、
    前記冷媒の温度と燃料ガスの温度差が所定値以上となった場合に前記燃料温度調整手段に欠陥が生じたと判断する請求項1から4のいずれか一つに記載の燃料電池システム。
  6. 前記燃料電池から排出された燃料排ガスの少なくとも一部と、前記燃料温度調整手段により温度調整した燃料ガスと、を混合して、前記燃料電池に供給する請求項1から4のいずれか一つに記載の燃料電池システム。
  7. 前記燃料電池に、多孔質プレートにより構成した水チャネルを備える請求項1から4のいずれか一つに記載の燃料電池システム。
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