JP2005049262A - 磁気センサおよび磁気センサユニット - Google Patents

磁気センサおよび磁気センサユニット Download PDF

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英謙 西脇
Kazuhiro Onaka
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Abstract

【課題】温度変化が大きくても安定した出力が得られ、これにより、磁気センサまたは磁気センサを用いた機器における設計の自由度が広くなる磁気センサを提供することを目的とする。
【解決手段】T1℃で印加磁界Haのときの磁気抵抗効果素子の抵抗値変化率をΔRa1、T2℃で印加磁界Haのときの磁気抵抗効果素子の抵抗値変化率をΔRa2、T2℃で印加磁界Hbのときの磁気抵抗効果素子の抵抗値変化率をΔRb2とした特性の磁気抵抗効果素子と、発生する磁界がT1℃のときにHa、T2℃のときにHbとなるバイアス磁界発生手段とにより構成したものである。
【選択図】図5

Description

本発明は回転や位置検出等に用いられる磁気センサおよび磁気センサユニットに関するものである。
一般に、磁気抵抗効果素子は磁界の方向と強さの変化に応じて抵抗値が変化するため、バイアス磁石を磁気抵抗効果素子の近傍に設置するとともに、この磁気抵抗効果素子を直列に2個接続して電圧を印加し、その近傍で磁性体を回転させたり、動かしたりすると、磁気抵抗効果素子の抵抗値が変化するため、直列に接続した中点の電圧が変化する。この中点電圧を取り出して外部回路により信号処理をすることによって回転体の回転数や物体の位置を検出することができる。
磁気抵抗効果素子としては、ホールICやNi−Fe,Ni−Co等の強磁性体を用いたもの、InSb等の半導体磁気抵抗体を用いたものがあるが、近年、より磁気抵抗効果の大きなものとして、数10Åの磁性薄膜と金属非磁性薄膜とを交互に積層した巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)が回転検出センサや位置検出センサに用いられるようになってきた。
巨大磁気抵抗効果素子は、基板上にスパッタなどにより磁性薄膜と金属非磁性薄膜とを交互に積層した多層膜からなる金属人工格子膜をフォトリソグラフィー等により所定のパターン形状に形成し、そしてこの金属人工格子膜の一端部に電圧印加と中点電位取り出しのための電極を形成し、さらにこの金属人工格子膜を覆うように保護膜を形成してなるものである。磁性薄膜と金属非磁性薄膜が適当な厚みの場合、金属非磁性膜を介して隣り合う磁性薄膜間に反強磁性結合が働くもので、このとき磁性薄膜の磁化方向は互いに逆方向となっている。金属人工格子膜に平行に磁界が印加されると、磁性薄膜の磁化の方向は印加された磁界の方向と同じになり、金属人工格子膜の抵抗値は低くなる。
このような磁気抵抗効果素子を用いた磁気センサによって回転を検出する場合の動作原理について説明する。被検出手段である歯車状の磁性回転体に近接して、ハーフブリッジまたはフルブリッジ状に接続した磁気抵抗効果素子と永久磁石を設置し、そして歯車状の磁性回転体が回転すると、永久磁石から発生する磁界の向きが変化するため、磁気抵抗効果素子に印加される磁界の向きや大きさが変化する。これにより、磁気抵抗効果素子の抵抗値が変化し、ブリッジの中点の電圧が変化する。そしてこの電圧の変化を外部に接続した処理回路で処理することにより、パルス状の信号として取り出し、回転数を検知するものである。
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。この特許文献1に記載された発明は、磁気抵抗効果素子の抵抗値変化率の温度依存性の低い磁界範囲で磁気センサを動作させ、ノイズ耐量を向上させるものである。すなわち、磁気抵抗効果素子の抵抗値変化率は温度に依存するもので、温度変化が大きな使用条件下では出力に支障が出るため、抵抗値変化率の温度特性の少ない磁界範囲で使用することにより、温度変化が大きくても出力に支障が出ない磁気センサを得ようとするものである。
特開平11−325814号公報
しかしながら、上記した特許文献1においては、使用できる磁界範囲が極めて限定されてしまうため、上記従来の磁気センサまたは磁気センサを用いた機器における設計の自由度が狭くなるという課題を有していた。
本発明は上記従来の課題を解決するもので、温度変化が大きくても安定した出力が得られ、これにより、磁気センサまたは磁気センサを用いた機器における設計の自由度が広くなる磁気センサを提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有するものである。
本発明の請求項1に記載の発明は、発生する磁界が温度に依存するバイアス磁界発生手段と、このバイアス磁界発生手段で発生した磁界によって抵抗値が変化するとともに温度にも依存して抵抗値が変化する磁気抵抗効果素子とを備え、前記磁気抵抗効果素子の抵抗値に影響を与える磁界は磁気抵抗効果素子の近傍に設けられた被検出手段の状態によって変化を生じるものであり、かつ前記磁気抵抗効果素子の抵抗値は、磁界が強くなるにつれて無磁界のときに比べて抵抗値の変化が大きくなる領域を有するものであり、T1℃で無磁界時における前記磁気抵抗効果素子の抵抗値をR1Ω、T2℃で無磁界時における前記磁気抵抗効果素子の抵抗値をR2Ω、T1℃における前記磁気抵抗効果素子の抵抗値変化を寄与する前記バイアス磁界発生手段からの磁界をHa、T1℃において磁界Haを受けたときの前記磁気抵抗効果素子の抵抗値をRa1Ω、T2℃において磁界Haを受けたときの前記磁気抵抗効果素子の抵抗値をRa2Ω、T2℃における前記磁気抵抗効果素子の抵抗値変化に寄与する前記バイアス磁界発生手段からの磁界をHbとしたとき、|R1−Ra1|/R1>|R2−Ra2|/R2の関係が成立するときに前記バイアス磁界発生手段からの磁界がHa<Hbとなる領域が存在するような関係に設定したもので、この構成によれば、T1℃における磁気抵抗効果素子の抵抗値と、T2℃における磁気抵抗効果素子の抵抗値との間において、|R1−Ra1|/R1>|R2−Ra2|/R2の関係が成立するときに前記バイアス磁界発生手段からの磁界がHa<Hbとなる領域が存在するような関係に設定しているため、磁気センサとしての抵抗値変化率の温度依存性を小さくすることができ、安定した出力を得ることができるという作用を有するものである。
本発明の請求項2に記載の発明は、発生する磁界が温度に依存するバイアス磁界発生手段と、このバイアス磁界発生手段で発生した磁界によって抵抗値が変化するとともに温度にも依存して抵抗値が変化する磁気抵抗効果素子とを備え、前記磁気抵抗効果素子の抵抗値に影響を与える磁界は磁気抵抗効果素子の近傍に設けられた被検出手段の状態によって変化を生じるものであり、無磁界時と前記被検出手段が第1の状態にあるときの前記磁気抵抗効果素子の抵抗値の変化が、無磁界時と前記被検出手段が第2の状態にあるときの前記磁気抵抗効果素子の抵抗値の変化より大きいものにおいて、α℃で無磁界時における前記磁気抵抗効果素子の抵抗値をRαΩ、β℃で無磁界時における前記磁気抵抗効果素子の抵抗値をRβΩ、前記被検出手段が第1の状態にあるときにα℃における前記磁気抵抗効果素子の抵抗値変化に寄与する前記バイアス磁界発生手段からの磁界をHc、前記被検出手段が第2の状態にあるときにα℃における前記磁気抵抗効果素子の抵抗値変化に寄与する前記バイアス磁界発生手段からの磁界をHe、前記被検出手段が第1の状態にあるときにβ℃における前記磁気抵抗効果素子の抵抗値変化に寄与する前記バイアス磁界発生手段からの磁界をHd、前記被検出手段が第2の状態にあるときにβ℃における前記磁気抵抗効果素子の抵抗値変化に寄与する前記バイアス磁界発生手段からの磁界をHf、α℃において磁界Hcを受けたときの前記磁気抵抗効果素子の抵抗値をRcΩ、α℃において磁界Heを受けたときの前記磁気抵抗効果素子の抵抗値をReΩ、β℃において磁界Hdを受けたときの前記磁気抵抗効果素子の抵抗値をRdΩ、β℃において磁界Hfを受けたときの前記磁気抵抗効果素子の抵抗値をRfΩとしたとき、
|0.7×(Rα−Rc)/Rα|≦|Rβ−Rd|/Rβ≦|1.3×(Rα−Rc)/Rα|で、かつ|0.7×(Rβ−Re)/Rα|≦|Rβ−Rf|/Rβ≦|1.3×(Rβ−Re)/Rα|の関係が成立するようにしたもので、この構成によれば、|0.7×(Rα−Rc)/Rα|≦|Rβ−Rd|/Rβ≦|1.3×(Rα−Rc)/Rα|で、かつ|0.7×(Rβ−Re)/Rα|≦|Rβ−Rf|/Rβ≦|1.3×(Rβ−Re)/Rα|の関係が成立するため、磁気センサとしての抵抗値変化率の温度依存性を小さくすることができ、これにより、安定した出力を得ることができるという作用を有するものである。
本発明の請求項3に記載の発明は、発生する磁界が温度に依存するバイアス磁界発生手段と、このバイアス磁界発生手段で発生した磁界によって抵抗値が変化するとともに温度にも依存して抵抗値が変化する磁気抵抗効果素子とを備え、前記磁気抵抗効果素子の抵抗値に影響を与える磁界は磁気抵抗効果素子の近傍に設けられた被検出手段の状態によって変化を生じるものであり、無磁界時と前記被検出手段が第1の状態にあるときの前記磁気抵抗効果素子の抵抗値の変化が、無磁界時と前記被検出手段が第2の状態にあるときの前記磁気抵抗効果素子の抵抗値の変化より大きいものにおいて、α℃で無磁界時における前記磁気抵抗効果素子の抵抗値をRαΩ、β℃で無磁界時における前記磁気抵抗効果素子の抵抗値をRβΩ、前記被検出手段が第1の状態にあるときにα℃における前記磁気抵抗効果素子の抵抗値変化に寄与する前記バイアス磁界発生手段からの磁界をHc、前記被検出手段が第2の状態にあるときにα℃における前記磁気抵抗効果素子の抵抗値変化に寄与する前記バイアス磁界発生手段からの磁界をHe、前記被検出手段が第1の状態にあるときにβ℃における前記磁気抵抗効果素子の抵抗値変化に寄与する前記バイアス磁界発生手段からの磁界をHd、前記被検出手段が第2の状態にあるときにβ℃における前記磁気抵抗効果素子の抵抗値変化に寄与する前記バイアス磁界発生手段からの磁界をHf、α℃において磁界Hcを受けたときの前記磁気抵抗効果素子の抵抗値をRcΩ、α℃において磁界Heを受けたときの前記磁気抵抗効果素子の抵抗値をReΩ、β℃において磁界Hdを受けたときの前記磁気抵抗効果素子の抵抗値をRdΩ、β℃において磁界Hfを受けたときの前記磁気抵抗効果素子の抵抗値をRfΩとしたとき、
|0.7×(Re−Rc)/Rα|≦|Rf−Rd|/Rβ≦|1.3×(Re−Rc)/Rα|の関係が成立するようにしたもので、この構成によれば、|0.7×(Re−Rc)/Rα|≦|Rf−Rd|/Rβ≦|1.3×(Re−Rc)/Rα|の関係が成立するため、磁気センサとしての抵抗値変化率の温度依存性を小さくすることができ、これにより、安定した出力を得ることができるという作用を有するものである。
本発明の請求項4に記載の発明は、特に、バイアス磁界発生手段として、永久磁石を用いたもので、この構成によれば、バイアス磁界発生手段として、永久磁石を用いているため、バイアス磁界を発生させるために電力を必要とせず、低消費電力の磁気センサが得られるという作用効果を有するものである。
本発明の請求項5に記載の発明は、特に、永久磁石として、フェライト系磁石または希土類系磁石のいずれかを用いたもので、この構成によれば、永久磁石として、フェライト系磁石または希土類系磁石のいずれかを用いているため、温度変化に対応して永久磁石が発する磁界も変化することになり、これにより、この磁界の変化を、磁気抵抗効果素子の温度変化に対する抵抗値変化率の影響を相殺する方向に設定することが可能になるという作用効果を有するものである。
本発明の請求項6に記載の発明は、特に、バイアス磁界発生手段として、電磁石を用いたもので、この構成によれば、バイアス磁界発生手段として、電磁石を用いているため、電磁石に流す電流値を変化させて使用温度において最適なバイアス磁界を発生させることが可能になるという作用効果を有するものである。
本発明の請求項7に記載の発明は、特に、バイアス磁界発生手段として、薄膜からなる磁性体を用いたもので、この構成によれば、バイアス磁界発生手段として、薄膜からなる磁性体を用いているため、磁界の特性は薄膜の厚みにより変化することになり、そして薄膜の厚みを任意に設定して製造することは容易であるため、所望の温度特性の磁界を有するバイアス磁界発生手段も容易に得ることができるという作用効果を有するものである。
本発明の請求項8に記載の発明は、特に、バイアス磁界発生手段として、薄膜からなるコイルを用いたもので、この構成によれば、バイアス磁界発生手段として、薄膜からなるコイルを用いているため、このコイルに電流を流すと電磁石として用いることができ、そしてこのコイルに流す電流値を変化させることにより、使用温度において最適なバイアス磁界を発生させることが可能になるとともに、電磁石の特性は薄膜の厚みによって変化するため、所望の温度特性の磁界を有するバイアス磁界発生手段も容易に得ることかできるという作用効果を有するものである。
本発明の請求項9に記載の発明は、特に、バイアス磁界発生手段に金属磁性体からなる集磁ヨークを付加したもので、この構成によれば、バイアス磁界発生手段に金属磁性体からなる集磁ヨークを付加しているため、磁気抵抗効果素子へ効果的に磁界を印加することが可能になるという作用効果を有するものである。
本発明の請求項10に記載の発明は、特に、磁気抵抗効果素子とこの磁気抵抗効果素子を上面に形成した基板とからなる磁気検出素子を備え、前記磁気抵抗効果素子を磁性薄膜と金属非磁性薄膜とを交互に積層した金属人工格子膜で構成したもので、この構成によれば、磁気抵抗効果素子を磁性薄膜と金属非磁性薄膜とを交互に積層した金属人工格子膜で構成しているため、使用温度、磁界範囲において十分な出力および抵抗値変化率を得ることができるという作用効果を有するものである。
本発明の請求項11に記載の発明は、特に、磁性薄膜を、Ni,Fe,Coの合金で構成し、かつ金属非磁性薄膜をCuまたはAuのいずれかで構成したもので、この構成によれば、磁性薄膜をNi,Fe,Coの合金で構成し、かつ金属非磁性薄膜をCuまたはAuのいずれかで構成しているため、使用温度、磁界範囲において十分な出力および抵抗値変化率を得ることができるという作用効果を有するものである。
本発明の請求項12に記載の発明は、特に、磁性薄膜として、原子数比でNiが1〜5%、Coが50〜95%、残りがFeである組成のものを用いたもので、この構成によれば、磁性薄膜として、原子数比でNiが1〜5%、Coが50〜95%、残りがFeである組成のものを用いているため、使用温度、磁界範囲において十分な出力および抵抗値変化率を得ることができるという作用効果を有するものである。
本発明の請求項13に記載の発明は、特に、磁性薄膜として、磁歪が生じないものを用いたもので、この構成によれば、磁性薄膜に磁歪が生じないため、ヒステリシスが生じ難い磁気センサを得ることができるという作用効果を有するものである。
本発明の請求項14に記載の発明は、特に、磁気抵抗効果素子の温度特性を、磁性薄膜または金属非磁性薄膜の膜厚によって制御するようにしたもので、この構成によれば、磁気抵抗効果素子の温度特性を、磁性薄膜または金属非磁性薄膜の膜厚によって制御するようにしているため、磁気抵抗効果素子の温度特性を任意に変化させることにより、使用温度範囲において安定な動作が得られるという作用効果を有するものである。
本発明の請求項15に記載の発明は、特に、基板としてセラミックを用いたもので、この構成によれば、基板がセラミックであるため、安価であり、かつ形状が安定しており、その結果、安定した使用ができるという作用効果を有するものである。
本発明の請求項16に記載の発明は、特に、基板表面のうち、金属人工格子膜が形成されている面にガラスグレーズ層を形成したもので、この構成によれば、金属人工格子膜が形成されている面にガラスグレーズ層が形成されているため、金属人工格子膜が形成される面は平滑となり、これにより、基板表面の平滑性を気にすることなく金属人工格子膜を形成することができるという作用効果を有するものである。
本発明の請求項17に記載の発明は、特に、請求項1〜16のいずれかに記載の磁気センサに被検出手段を付加して磁気センサユニットを構成したもので、この構成によれば、温度が変化しても安定した出力が得られる磁気センサユニットを提供できるという作用効果を有するものである。
以上のように本発明によれば、磁気抵抗効果素子の抵抗値変化率が温度により変化をするのに対応して、所定の関係を持ってバイアス磁界発生手段から発生する磁界も温度により変化をするようにしているため、温度変化が生じても安定した出力を得ることができる磁気センサおよび磁気センサユニットを提供することができるものである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における磁気センサユニットの平面図、図2は本発明の実施の形態1における磁気センサに用いられる磁気検出素子の断面図、図3は同磁気検出素子の主要部の断面図である。
図1において、1は側面に凹凸が設けられた円板状の形状を有し、かつ中心周りに回転可能に保持されている磁性回転体で、この磁性回転体1は被検出手段を構成するものである。2は前記磁性回転体1と一定の間隔をおいて設置されている磁気検出素子である。3は前記磁性回転体1と磁気検出素子2の延長線上に配置されているバイアス磁界発生手段としてのバイアスマグネットである。そして前記磁気検出素子2とバイアスマグネット3により磁気センサを構成し、かつこの磁気センサと前記磁性回転体1とにより磁気センサユニットを構成している。
図2において、4は板状の形状を有する基板で、セラミックにより構成されている。5は前記基板4の一方の面に20μmの厚みで形成されたガラスグレーズ層である。6は前記ガラスグレーズ層5の上の一部に形成されたNiCr等からなる取り出し用電極である。7は前記ガラスグレーズ層5上の他の一部に形成された金属人工格子膜よりなる磁気抵抗効果素子で、前記取り出し用電極6と電気的に接続されている。8は金属人工格子膜よりなる磁気抵抗効果素子7を覆うようにガラスグレーズ層5上に形成された保護膜で、SiO,SiO2,SiN,SiONから選択された材料により形成されている。また、この保護膜8は使用条件によってはポリイミドで形成しても良く、あるいは、前記SiO,SiO2,SiN,SiONから選択された材料による層を下層にし、かつポリイミドからなる層を上層にした2層膜で形成しても良い。この場合、いずれの場合も保護膜8には残留応力が生じないように形成している。そしてまた、この保護膜8の形状は、外部の電気回路(図示せず)との接続方法によって、取り出し用電極6の全部を覆う、一部のみを覆う、あるいは全く覆わないといった異なった形状とすることができる。
図3において、9は磁性薄膜、10は金属非磁性薄膜である。そしてこれらの磁性薄膜9と金属非磁性薄膜10とを交互に複数層積層して金属人工格子膜よりなる磁気抵抗効果素子7を構成している。ここで、磁性薄膜9は、Ni,Fe,Coの合金からなり、その組成比は原子数割合でCoが50%〜95%、Niが1%〜5%、残りがFeである。なお、Niは好ましくは1%〜4%が良い。また、この組成比は磁歪が生じないように設定することが好ましい。そしてまた、Ni,Fe,Coの原子数組成比は、Ni:Fe:Co=4:6:90の原子数組成比が良い。また、金属非磁性薄膜10はCuからなるものであるが、Auからなるものであっても良い。なお、図3においては、磁性薄膜9と金属非磁性薄膜10の積層数はそれぞれ2層で表しているが、3層以上であっても良い。
図4は本発明の構成要素である金属人工格子膜よりなる磁気抵抗効果素子7を用いたブリッジ回路図である。
図4において、6a〜6dは取り出し用電極で、6aは第1の出力電極、6bは印加電極、6cはグランド電極、6dは第2の出力電極である。また、7a〜7dは金属人工格子膜よりなる磁気抵抗効果素子で、7aは第1の磁気抵抗効果素子、7bは第2の磁気抵抗効果素子、7cは第3の磁気抵抗効果素子、7dは第4の磁気抵抗効果素子である。
次に、上記取り出し用電極6と磁気抵抗効果素子7の接続関係について説明する。
第1の磁気抵抗効果素子7aと第3の磁気抵抗効果素子7cは印加電極6bとグランド電極6cとの間に電気的に直列に接続している。同様に、第2の磁気抵抗効果素子7bと第4の磁気抵抗効果素子7dも印加電極6bとグランド電極6cとの間に電気的に直列に接続している。そして、第1の磁気抵抗効果素子7aおよび第3の磁気抵抗効果素子7cと、第2の磁気抵抗効果素子7bおよび第4の磁気抵抗効果素子7dとは電気的に並列に接続されている。また、第1の磁気抵抗効果素子7aと第3の磁気抵抗効果素子7cとの接続部は、第1の出力電極6aに接続しており、かつ第2の磁気抵抗効果素子7bと第4の磁気抵抗効果素子7dとの接続部は第2の出力電極6dと接続している。そして、この第1の出力電極6aと第2の出力電極6dは磁性回転体1の回転数等の検出を行うための電位を検出するものである。以上のように、金属人工格子膜よりなる磁気抵抗効果素子7はブリッジ回路状に接続されているものである。
次に本発明の実施の形態1における磁気センサに用いられる磁気検出素子の製造方法について、図2、図3を用いて説明する。
まず、基板4の表面に印刷によりガラスグレーズを塗布し、かつこれを焼成してガラスグレーズ層5を形成する。このガラスグレーズ層5は基板4の全面に形成してもよいが、基板4の側面に実装用の電極を形成する場合には、この実装用の電極が形成される領域を除いてガラスグレーズ層5を形成すればよい。
次に、ガラスグレーズ層5上に取り出し用電極6を所定のパターン形状にマスク蒸着により形成する。なお、取り出し用電極6のパターン形状が複雑な場合は、マスクを用いずに全面に取り出し用電極6を蒸着した後、レジスト塗布、露光、現像をし、その後、イオンミリング等によって所定パターン形状を得る方法により形成してもよい。また、取り出し用電極6はスパッタにより形成してもよい。
次に、ガラスグレーズ層5上に取り出し用電極6と重なるように磁性薄膜9および金属非磁性薄膜10をスパッタにより交互に積層して金属人工格子膜よりなる磁気抵抗効果素子7を構成する。積層数は全部で10層程度あれば、十分な磁気抵抗変化を得ることができる。ここで、金属人工格子膜よりなる磁気抵抗効果素子7はガラスグレーズ層5上の全面に形成されるのではなく、所定のパターン形状に形成されなければならない。この形成方法としては、磁性薄膜9および金属非磁性薄膜10を形成する際に所定のパターン形状にこれらの薄膜が形成されるようにマスクをする方法や、一度ガラスグレーズ層5上に磁性薄膜9および金属非磁性薄膜10の積層体を形成した後に、エッチング等で不要部分を除去して所定のパターン形状を得る方法がある。また、金属人工格子膜よりなる磁気抵抗効果素子7上にレジストを塗布し、露光し、現像した後イオンミリングによって所定のパターン形状を得る方法でもよい。
次に、スパッタによりSiO2からなる保護膜8を形成する。この時、基板4の温度を200℃から250℃にすることにより、内部の残留応力が除去されたSiO2からなる保護膜8を得ることができる。
さらに保護膜8を2層とする場合には、SiO2上にポリイミド樹脂をスピンコートにより塗布し、300℃で加熱して硬化させることにより、2層からなる保護膜8を得ることができる。
以上のように構成され、かつ製造された磁気センサについて、次にその動作を説明する。金属人工格子膜よりなる磁気抵抗効果素子7は加わった磁界の向きとその大きさによって、電気抵抗値が変わるという特性を有している。したがって、磁気検出素子2に対向する磁性回転体1が凹部か凸部かによって、バイアスマグネット3で発生し磁気検出素子2に印加される磁界の向きや大きさは変化することになり、これにより、金属人工格子膜よりなる磁気抵抗効果素子7の電気抵抗値が変わるので、得られた信号を処理することにより磁性回転体1の回転数検出が可能となる。
図5は本発明の実施の形態1の磁気センサに用いられる磁気抵抗効果素子への印加磁界と抵抗値変化率との関係を示した図である。図5において、横軸は磁気抵抗効果素子への印加磁界であり、縦軸は磁気抵抗効果素子の抵抗値変化率である。また、T1を付した曲線は温度T1℃における特性を示し、T2を付した曲線は温度T2℃における特性を示したものである。
ここで、ΔRa1は、
T1℃で無磁界のときの磁気抵抗効果素子の抵抗値をR1
T1℃でHaの磁界を受けたときの磁気抵抗効果素子の抵抗値をRa1
としたときに、
ΔRa1=|R1−Ra1|/R1
で求まるものである。
このΔRa1に関する式において右辺は絶対値をとっているが、この理由は、一般に磁気抵抗効果素子は磁界が印加されると抵抗値が低下するものではあるが、磁界が印加されると抵抗値が増加する特性の磁気抵抗効果素子があった場合においても、本発明が適用可能であることを考慮したものである。これは、後述するΔRa2,ΔRb2に関する式においても同様である。
まず、ΔRa2は、
T2℃で無磁界のときの磁気抵抗効果素子の抵抗値をR2
T2℃でHaの磁界を受けたときの磁気抵抗効果素子の抵抗値をRa2
としたときに
ΔRa2=|R2−Ra2|/R2
で求まるものである。
また、ΔRb2は、
T2℃で無磁界のときの磁気抵抗効果素子の抵抗値をR2
T2℃でHbの磁界を受けたときの磁気抵抗効果素子の抵抗値をRb2
としたときに、
ΔRb2=|R2−Rb2|/R2
で求まるものである。
なお、HaはT1℃において、バイアスマグネット3から発生し、かつ磁気抵抗効果素子7の抵抗値変化に寄与する磁界の大きさである。またHbはT2℃において、バイアスマグネット3から発生し、かつ磁気抵抗効果素子7の抵抗値変化に寄与する磁界の大きさである。
また、T1℃とT2℃のいずれの曲線においても右上がりの曲線となっているように、本発明の実施の形態1における磁気センサは、印加磁界が大きくなるに従って抵抗値変化率が大きくなるものである。
そしてまた、本発明の実施の形態1における磁気センサにおいては、ΔRa1>ΔRa2の関係が成立するときにバイアスマグネット3からの磁界がHa<Hbとなる領域が存在するような関係に設定したものである。
このような領域が存在する構成の磁気センサにおいては、T2の符号を付した曲線は右上がりの曲線であり、横軸の印加磁界が増加すると縦軸の抵抗値変化率も増加するものであるため、T2の符号を付した曲線においてHa<Hbが成立するならば、ΔRa2<ΔRb2が成立するものである。
ここで、仮にバイアスマグネット3からの印加磁界が温度によって変化しないものであるとすれば、T1℃において得られた抵抗値変化率ΔRa1はT2℃においてΔRa2にまで減少することとなる。
しかしながら、本発明の実施の形態1における磁気センサは、T1℃における印加磁界HaがT2℃においてHbと増加するため、T2℃における抵抗値変化率がΔRa2にまで減少するのではなく、これより大きなΔRb2を得ることができる。すなわち、バイアスマグネット3からの印加磁界が温度によって変化しない場合に比べ、抵抗値変化率の温度依存性が小さくなるため、安定した出力を得ることができる。
従って、このように、ΔRa1>ΔRa2の関係が成立するときにバイアスマグネット3からの磁界がHa<Hbとなる領域が存在するような関係に設定した磁気センサをこの領域内で使用すれば、温度変化による抵抗値変化率の変化を小さくすることができるという効果を得ることができるものである。
なお、T1℃とT2℃の設定によっては、ΔRa1>ΔRa2が成立しない場合も生じるが、この場合にはT1℃とT2℃の設定を逆にして考えればよい。
また、金属人工格子膜よりなる磁気抵抗効果素子7を図4に示すようにブリッジ回路状に接続し、第1の出力電極6aと第2の出力電極6dとの差動出力を得るようにすれば、大きな出力変動を得ることができる。そしてまた、これによれば、ノイズの影響を低減する効果も得ることができるが、上記回路は、図4における第2の磁気抵抗効果素子7b、第4の磁気抵抗効果素子7d、第2の出力電圧6dを省いた回路構成である、いわゆるハーフブリッジ回路であってもよい。
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2について説明する。
本発明の実施の形態2における磁気センサおよび磁気センサユニットは上記した本発明の実施の形態1における磁気センサおよび磁気センサユニットと基本的な構造は同じであり、図1〜図4はそのまま本発明の実施の形態2の構成を示す図として用いることができる。
本発明の実施の形態2における磁気センサおよび磁気センサユニットが上記した本発明の実施の形態1における磁気センサおよび磁気センサユニットと異なる点は、印加磁界と抵抗値変化率の関係である。
図6は本発明の実施の形態2の磁気センサに用いられる磁気抵抗効果素子への印加磁界と抵抗値変化率との関係を示した図である。図6において、横軸は磁気抵抗効果素子への印加磁界であり、縦軸は磁気抵抗効果素子の抵抗値変化率である。また、αを付した曲線は温度α℃における特性を示し、βを付した曲線は温度β℃における特性を示したものである。
ここで、ΔRcは、
α℃で無磁界のときの磁気抵抗効果素子の抵抗値をRα
α℃でHcの磁界を受けたときの磁気抵抗効果素子の抵抗値をRc
としたときに、
ΔRc=|Rα−Rc|/Rα
で求まるものである。
このΔRcに関する式において右辺は絶対値をとっているが、この理由は、一般に磁気抵抗効果素子は磁界が印加されると抵抗値が低下するものではあるが、磁界が印加されると抵抗値が増加する特性の磁気抵抗効果素子があった場合においても、本発明が適用可能であることを考慮したものである。これは、後述するΔRd,ΔRe,ΔRfに関する式においても同様である。
まず、ΔRdは、
β℃で無磁界のときの磁気抵抗効果素子の抵抗値をRβ
β℃でHdの磁界を受けたときの磁気抵抗効果素子の抵抗値をRd
としたときに、
ΔRd=|Rβ−Rd|/Rβ
で求まるものである。
また、ΔReは、
α℃で無磁界のときの磁気抵抗効果素子の抵抗値をRα
α℃でHeの磁界を受けたときの磁気抵抗効果素子の抵抗値をRe
としたときに、
ΔRe=|Rα−Re|/Rα
で求まるものである。
そしてまた、ΔRfは、
β℃で無磁界のときの磁気抵抗効果素子の抵抗値をRβ
β℃でHfの磁界を受けたときの磁気抵抗効果素子の抵抗値をRf
としたときに、
ΔRf=|Rβ−Rf|/Rβ
で求まるものである。
なお、本発明の実施の形態2における磁気センサは、被検出手段である磁性回転体1の状態によって磁気抵抗効果素子の抵抗値が変化するものであり、磁性回転体1が第1の状態にあるときに磁気抵抗効果素子の抵抗値が最小となり、そして磁性回転体1が第2の状態にあるときに磁気抵抗効果素子の抵抗値が最大となるようにしている。なお、ここで言う、「最大」、「最小」とは、磁性回転体1の状態が変化する中での磁気抵抗効果素子の抵抗値の「最大」、「最小」をいうものであり、磁気抵抗効果素子に0から無限大までの磁界を印加したときの抵抗値の「最大」、「最小」をいうものではない。また、本発明の実施の形態2においては、磁界が印加されると抵抗値が低下する磁気抵抗効果素子を用いているが、磁界が印加されると抵抗値が増加する磁気抵抗効果素子を用いる場合には、磁性回転体1が第1の状態にあるときに磁気抵抗効果素子の抵抗値が最大となり、そして磁性回転体1が第2の状態にあるときに磁気抵抗効果素子の抵抗値が最小となるように設定すればよい。
ここで、Hcは磁性回転体1が第1の状態にあるときにα℃におけるバイアスマグネット3から発生し、かつ磁気抵抗効果素子7の抵抗値変化に寄与する磁界の大きさである。また、Hdは磁性回転体1が第1の状態にあるときにβ℃におけるバイアスマグネット3から発生し、かつ磁気抵抗効果素子7の抵抗値変化に寄与する磁界の大きさである。そしてまた、Heは磁性回転体1が第2の状態にあるときにα℃におけるバイアスマグネット3から発生し、かつ磁気抵抗効果素子7の抵抗値変化に寄与する磁界の大きさである。さらに、Hfは磁性回転体1が第2の状態にあるときにβ℃におけるバイアスマグネット3から発生し、かつ磁気抵抗効果素子の抵抗値変化に寄与する磁界の大きさである。
本発明の実施の形態2における磁気センサは、0.7×ΔRc<ΔRd<1.3×ΔRcで、かつ0.7×ΔRe<ΔRf<1.3×ΔReの関係が成立するようにしたものである。
これにより、温度変化に対する抵抗値変化率の変化が少なくなるため、温度変化に対し安定した特性を有する磁気センサおよび磁気センサユニットを得ることができる。
なお、本発明の実施の形態2は、図4に示すような4つの金属人工格子膜よりなる磁気抵抗効果素子7を用いるのでなく、図4中の符号7aと7dを固定抵抗に置き換えたものであってもよい。
(実施の形態3)
以下、本発明の実施の形態3について説明する。
本発明の実施の形態3における磁気センサおよび磁気センサユニットは上記した本発明の実施の形態2における磁気センサおよび磁気センサユニットと基本的な構造は同じであり、図1〜図4はそのまま本発明の実施の形態3の構成を示す図として用いることができる。
本発明の実施の形態3における磁気センサおよび磁気センサユニットが上記した本発明の実施の形態2における磁気センサおよび磁気センサユニットと異なる点は、印加磁界と抵抗値変化率の関係である。
図7は本発明の実施の形態3の磁気センサに用いられる磁気抵抗効果素子への印加磁界と抵抗値変化率との関係を示した図である。図7において、横軸、縦軸は図6と同じ変数をとっており、α,β,ΔRc,ΔRd,ΔRe,ΔRf,Hc,Hd,He,Hfの各符号も本発明の実施の形態2と同じ定義である。さらに、こちらを定義するための第1の状態、第2の状態の定義も本発明の実施の形態2の定義と同じである。
本発明の実施の形態3における磁気センサは、0.7×|ΔRe−ΔRc|≦|ΔRf−ΔRd|≦1.3×|ΔRe−ΔRc|の関係が成立するようにしたものである。
これにより、磁性回転体1が第1の状態と第2の状態にあるときの抵抗値変化率の変化の絶対値の温度依存性が小さくなるため、温度変化に対し安定した特性を有する磁気センサおよび磁気センサユニットを得ることができる。
なお、上記本発明の実施の形態1〜3においては、磁気センサを回転数を検知するセンサ(速度センサ)として用いたが、磁性回転体1の側面の凹凸に応じた信号波形を信号処理することにより位置センサや変位センサとして用いることが可能であり、また、回転速度を時間で微分する信号処理を行うことにより加速度センサとして用いることも可能である。
また、上記本発明の実施の形態1〜3においては、バイアス磁界発生手段として、永久磁石からなるバイアスマグネット3を用いたが、これの代わりに電磁石を用いてもよい。この場合には、あらかじめ、温度と磁気抵抗効果素子との関係を求めておき、そして本発明の実施の形態1〜3の温度による磁気抵抗効果素子の抵抗値と磁力との関係を満たすように、使用時の温度に応じた電流を上記電磁石に流すようにすることで実現が可能となる。この電磁石を用いたバイアスマグネット3は、薄膜からなるコイルであってもよい。また、バイアスマグネット3に永久磁石を用いた場合には、フェライト系磁石または希土類系磁石を用いることが好ましいが、薄膜からなる磁性体で構成してもよい。
そしてまた、バイアスマグネット3からのバイアス磁界を効果的に磁気抵抗効果素子に印加するために、金属磁性体からなる集磁ヨークを磁気検出素子2とバイアスマグネット3との間に設けてもよい。
本発明の磁気センサおよび磁気センサユニットは、温度変化に対する安定した出力を得ることができ、回転検出器や位置検出器等に有用なものである。
本発明の実施の形態1における磁気センサユニットの平面図 本発明の実施の形態1における磁気センサに用いられる磁気検出素子の断面図 同磁気検出素子の主要部の断面図 本発明の実施の形態1の磁気センサにおける磁気抵抗効果素子を用いたブリッジ回路図 本発明の実施の形態1の磁気センサに用いられる磁気抵抗効果素子への印加磁界と抵抗値変化率との関係を示す図 本発明の実施の形態2の磁気センサに用いられる磁気抵抗効果素子への印加磁界と抵抗値変化率との関係を示す図 本発明の実施の形態3の磁気センサに用いられる磁気抵抗効果素子への印加磁界と抵抗値変化率との関係を示す図
符号の説明
1 磁性回転体(被検出手段)
2 磁気検出素子
3 バイアスマグネット(バイアス磁界発生手段)
4 基板
5 ガラスグレーズ層
6 取り出し用電極
7 磁気抵抗効果素子
8 保護膜
9 磁性薄膜
10 金属非磁性薄膜

Claims (17)

  1. 発生する磁界が温度に依存するバイアス磁界発生手段と、このバイアス磁界発生手段で発生した磁界によって抵抗値が変化するとともに温度にも依存して抵抗値が変化する磁気抵抗効果素子とを備え、前記磁気抵抗効果素子の抵抗値に影響を与える磁界は磁気抵抗効果素子の近傍に設けられた被検出手段の状態によって変化を生じるものであり、かつ前記磁気抵抗効果素子の抵抗値は、磁界が強くなるにつれて無磁界のときに比べて抵抗値の変化が大きくなる領域を有するものであり、
    1℃で無磁界時における前記磁気抵抗効果素子の抵抗値をR1Ω、
    2℃で無磁界時における前記磁気抵抗効果素子の抵抗値をR2Ω、
    1℃における前記磁気抵抗効果素子の抵抗値変化に寄与する前記バイアス磁界発生手段からの磁界をHa、
    1℃において磁界Haを受けたときの前記磁気抵抗効果素子の抵抗値をRa1Ω、
    2℃において磁界Haを受けたときの前記磁気抵抗効果素子の抵抗値をRa2Ω、
    2℃における前記磁気抵抗効果素子の抵抗値変化に寄与する前記バイアス磁界発生手段からの磁界をHbとしたとき、|R1−Ra1|/R1>|R2−Ra2|/R2の関係が成立するときに前記バイアス磁界発生手段からの磁界がHa<Hbとなる領域が存在するような関係に設定した磁気センサ。
  2. 発生する磁界が温度に依存するバイアス磁界発生手段と、このバイアス磁界発生手段で発生した磁界によって抵抗値が変化するとともに温度にも依存して抵抗値が変化する磁気抵抗効果素子とを備え、前記磁気抵抗効果素子の抵抗値に影響を与える磁界は磁気抵抗効果素子の近傍に設けられた被検出手段の状態によって変化を生じるものであり、
    無磁界時と前記被検出手段が第1の状態にあるときの前記磁気抵抗効果素子の抵抗値の変化が、無磁界時と前記被検出手段が第2の状態にあるときの前記磁気抵抗効果素子の抵抗値の変化より大きいものにおいて、
    α℃で無磁界時における前記磁気抵抗効果素子の抵抗値をRαΩ、
    β℃で無磁界時における前記磁気抵抗効果素子の抵抗値をRβΩ、
    前記被検出手段が第1の状態にあるときにα℃における前記磁気抵抗効果素子の抵抗値変化に寄与する前記バイアス磁界発生手段からの磁界をHc、
    前記被検出手段が第2の状態にあるときにα℃における前記磁気抵抗効果素子の抵抗値変化に寄与する前記バイアス磁界発生手段からの磁界をHe、
    前記被検出手段が第1の状態にあるときにβ℃における前記磁気抵抗効果素子の抵抗値変化に寄与する前記バイアス磁界発生手段からの磁界をHd、
    前記被検出手段が第2の状態にあるときにβ℃における前記磁気抵抗効果素子の抵抗値変化に寄与する前記バイアス磁界発生手段からの磁界をHf、
    α℃において磁界Hcを受けたときの前記磁気抵抗効果素子の抵抗値をRcΩ、
    α℃において磁界Heを受けたときの前記磁気抵抗効果素子の抵抗値をReΩ、
    β℃において磁界Hdを受けたときの前記磁気抵抗効果素子の抵抗値をRdΩ、
    β℃において磁界Hfを受けたときの前記磁気抵抗効果素子の抵抗値をRfΩとしたとき、
    |0.7×(Rα−Rc)/Rα|≦|Rβ−Rd|/Rβ≦|1.3×(Rα−Rc)/Rα|で、かつ|0.7×(Rβ−Re)/Rα|≦|Rβ−Rf|/Rβ≦|1.3×(Rβ−Re)/Rα|の関係が成立するようにした磁気センサ。
  3. 発生する磁界が温度に依存するバイアス磁界発生手段と、このバイアス磁界発生手段で発生した磁界によって抵抗値が変化するとともに温度にも依存して抵抗値が変化する磁気抵抗効果素子とを備え、前記磁気抵抗効果素子の抵抗値に影響を与える磁界は磁気抵抗効果素子の近傍に設けられた被検出手段の状態によって変化を生じるものであり、
    無磁界時と前記被検出手段が第1の状態にあるときの前記磁気抵抗効果素子の抵抗値の変化が、無磁界時と前記被検出手段が第2の状態にあるときの前記磁気抵抗効果素子の抵抗値の変化より大きいものにおいて、
    α℃で無磁界時における前記磁気抵抗効果素子の抵抗値をRαΩ、
    β℃で無磁界時における前記磁気抵抗効果素子の抵抗値をRβΩ、
    前記被検出手段が第1の状態にあるときにα℃における前記磁気抵抗効果素子の抵抗値変化に寄与する前記バイアス磁界発生手段からの磁界をHc、
    前記被検出手段が第2の状態にあるときにα℃における前記磁気抵抗効果素子の抵抗値変化に寄与する前記バイアス磁界発生手段からの磁界をHe、
    前記被検出手段が第1の状態にあるときにβ℃における前記磁気抵抗効果素子の抵抗値変化に寄与する前記バイアス磁界発生手段からの磁界をHd、
    前記被検出手段が第2の状態にあるときにβ℃における前記磁気抵抗効果素子の抵抗値変化に寄与する前記バイアス磁界発生手段からの磁界をHf、
    α℃において磁界Hcを受けたときの前記磁気抵抗効果素子の抵抗値をRcΩ、
    α℃において磁界Heを受けたときの前記磁気抵抗効果素子の抵抗値をReΩ、
    β℃において磁界Hdを受けたときの前記磁気抵抗効果素子の抵抗値をRdΩ、
    β℃において磁界Hfを受けたときの前記磁気抵抗効果素子の抵抗値をRfΩとしたとき、
    |0.7×(Re−Rc)/Rα|≦|Rf−Rd|/Rβ≦|1.3×(Re−Rc)/Rα|の関係が成立するようにした磁気センサ。
  4. バイアス磁界発生手段として、永久磁石を用いた請求項1〜3のいずれかに記載の磁気センサ。
  5. 永久磁石として、フェライト系磁石または希土類系磁石のいずれかを用いた請求項4記載の磁気センサ。
  6. バイアス磁界発生手段として、電磁石を用いた請求項1〜3のいずれかに記載の磁気センサ。
  7. バイアス磁界発生手段として、薄膜からなる磁性体を用いた請求項1〜3のいずれかに記載の磁気センサ。
  8. バイアス磁界発生手段として、薄膜からなるコイルを用いた請求項1〜3のいずれかに記載の磁気センサ。
  9. バイアス磁界発生手段に金属磁性体からなる集磁ヨークを付加した請求項1〜3のいずれかに記載の磁気センサ。
  10. 磁気抵抗効果素子とこの磁気抵抗効果素子を上面に形成した基板とからなる磁気検出素子を備え、前記磁気抵抗効果素子を磁性薄膜と金属非磁性薄膜とを交互に積層した金属人工格子膜で構成した請求項1〜3のいずれかに記載の磁気センサ。
  11. 磁性薄膜をNi,Fe,Coの合金で構成し、かつ金属非磁性薄膜をCuまたはAuのいずれかで構成した請求項10記載の磁気センサ。
  12. 磁性薄膜として、原子数比でNiが1〜5%、Coが50〜95%、残りがFeである組成のものを用いた請求項10記載の磁気センサ。
  13. 磁性薄膜として、磁歪が生じないものを用いた請求項10記載の磁気センサ。
  14. 磁気抵抗効果素子の温度特性を、磁性薄膜または金属非磁性薄膜の膜厚によって制御するようにした請求項10記載の磁気センサ。
  15. 基板としてセラミックを用いた請求項10記載の磁気センサ。
  16. 基板表面のうち、金属人工格子膜が形成されている面にガラスグレーズ層を形成した請求項10記載の磁気センサ。
  17. 請求項1〜16のいずれかの磁気センサに被検出手段を付加した磁気センサユニット。
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