JP2005048492A - 間仕切りパネル用の下部取付金具および間仕切りパネルの下部取付固定方法 - Google Patents

Abstract

【課題】 床スラブの表面に取付金具が露出することがなく、間仕切パネル下部を取付固定することができる間仕切パネル用の下部取付金具およびその固定方法の提供。
【解決手段】間仕切パネル下部小口面の長手方向両側に延びる固定部１１と、この固定部１１の中間に挿通部１３を有する隆起部１２と挿通用の孔１４とからなるベース部１０、間仕切パネル下部小口面の支持板２１と、この支持板２１から上方に突出し、下部小口面に設けた固定孔に挿入される支持柱２４と、支持板２１の両側に下方へ突出し、ベース部材１０の挿通部１３と連通可能な中空部２３を有する一対の逆段差部２２とからなるパネル支持部材２０、およびベース部材１０の隆起部１２の挿通部１３と、パネル支持部材２０の逆段差部２２の中空部２３とに挿入され、ベース部材１０とパネル支持部材２０とを連結する固定プレート３０とから構成される。
【選択図】 図１

Description

本発明は、建築物の間仕切りを構成する間仕切りパネルを床スラブ上に固定するために使用する下部取付金具およびその取付金具を使用して間仕切りパネルの下部を取付固定する方法に関するものであり、さらに詳しくは、床スラブの表面に取付金具が露出することがなく、例えば床スラブの立上り部にも間仕切りパネル下部を取付固定可能で、しかも優れた施工能率で間仕切りパネルを床スラブ上に確実に取付固定することができる間仕切りパネル用の下部取付金具および間仕切りパネルの下部取付固定方法に関するものである。

従来から、建物の床面に建て込まれて一つの部屋を複数の部屋に仕切るために、複数の間仕切りパネルが使用されており、この種の間仕切りパネルとしては、一般に軽量気泡コンクリートバネル（ＡＬＣパネル）が適用されている。

そして、これらの間仕切りパネルの床面に対する取付固定構造としては、間仕切りパネルの下面に形成された溝部およびこの溝部に挿入するパネル係止片部と水平な固定片部とからなるパネル取付金具によって、間仕切りパネルを床面に取付固定する技術（例えば、特許文献１参照）が知られている。

この技術によれば、施工効率が高く、かつ取付金具が外部から見えないために、外観の見栄えが良好な取付構造が得られるという利点を有するものの、実際に多くの施工を試みてみると、前記溝部の存在に起因して、間仕切りパネルの一部分が欠けてしまうため、取付固定強度の信頼性が損なわれるという問題があった。

また、他の間仕切りパネルの床面に対する取付固定構造としては、間仕切りパネルの下部小口面にその面と垂直方向に孔を穿設しておき、支持板とこの支持板から垂直に突設された支持棒を有する取付金具と、挿通孔を設けた押さえ板とこの押さえ板から延長された延長部とを有する取付プレートを使用して、取付金具の支持棒を間仕切りパネルの孔に挿入すると共に、取付プレートの押さえ板により取付金具の支持板を押さえて床スラブ上に載置し、さらに取付プレートの延長部を床スラブ上に固定することにより、間仕切りパネルを床スラブ上に取付固定する技術（例えば、特許文献２参照）が知られている。

この技術によれば、施工効率が高く、外観が良好な取付構造が得られるという利点を有するものの、取付プレートの延長部が床スラブの表面に露出するため、上部から見た外観に難があるばかりか、取付プレートの延長部に取付固定の支点が集中するため、例えば床スラブの立ち上がり部に間仕切りパネルを取付固定することが不可能であるという問題があった。
実開平４−９８９１２号公報 特開平６−８８３９０号公報

本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。

したがって、本発明の目的は、床スラブの表面に取付金具が露出することがなく、例えば床スラブの立上り面にも間仕切りパネル下部を取付固定可能で、しかも優れた施工能率で間仕切りパネルを床スラブ上に確実に取付固定することができる間仕切りパネル用の下部取付金具および間仕切りパネルの下部取付固定方法を提供することにある。

上記の目的を達成するために、本発明の間仕切りパネル用の下部取付金具は、間仕切りパネルの下部を床スラブ上に取付け固定するために使用する取付金具であって、
前記間仕切りパネル下部小口面の少なくとも長手方向両側に延びる固定部と、この固定部の中間に位置し前記パネル下部小口面の幅方向に延びる挿通部を有する隆起部と、前記固定部に設けた挿通用の孔とからなるベース部材、
前記間仕切りパネル下部小口面の幅方向に延びる支持板と、この支持板の中央から上方に突出し、前記パネル下部小口面に設けた固定孔に挿入される支持柱と、前記支持板の両側から下方へ突出し、前記ベース部材の隆起部に形成した挿通部と連通可能な中空部を有する一対の逆段差部とからなるパネル支持部材、および 前記ベース部材の隆起部に設けた挿通部と、前記パネル支持部材の逆段差部に設けた中空部とに挿入され、これらベース部材とパネル支持部材とを連結する固定プレートとから構成されることを特徴とする。

なお、本発明の間仕切りパネル用の下部取付金具においては、
前記ベース部材の固定部が、前記間仕切りパネル下部小口面の長手方向と幅方向の両方へ延びていること、
前記ベース部材およびパネル支持部材の各最大長さが、いずれも前記間仕切りパネル下部小口面の幅よりも小さいこと、および
前記パネル支持部材の支持柱の直径が、前記間仕切りパネル下部小口面に設けた固定孔の直径よりも大きいこと
が、いずれも好ましい条件として挙げられる。

また、本発明の間仕切りパネルの下部取付固定方法は、
上記の間仕切りパネル用の下部取付金具を用いて間仕切りパネル下部小口面を床スラブ上に取付け固定するに際し、
まず、前記床スラブ上に固定部が前記パネル下部小口面の長手方向に沿うようにベース部材を配置して、前記固定部に位置する各孔にコンクリート釘を打ち込むことにより、前記ベース部材を床スラブ上に固定し、
次いで、前記パネル下部小口面に設けた固定孔に、パネル支持部材の支持柱を挿入すると共に、このパネル支持部材の逆段差部を前記ベース部材の隆起部に重ねて両者を位置合わせした後、
前記ベース部材の隆起部と前記パネル支持部材の逆段差部との間に連通した挿通部および中空部へ、固定プレートを挿入することにより、前記ベース部材と前記パネル支持部材とを連結することを特徴とする。

そして、本発明の間仕切りパネルの下部取付固定方法においては、
前記床スラブ上にフラットバーが設置してあり、このフラットバー上に前記ベース部材の固定部を溶接固定すること、および
前記ベース部材を床スラブの立ち上がり部に固定すること
が、いずれも好ましい条件として挙げられる。

本発明によれば、床スラブの表面に取付金具が露出することがなく、例えば床スラブの立上り部にも間仕切りパネル下部を取付固定可能で、しかも優れた施工能率で間仕切りパネルを床スラブ上に確実に取付固定することができる。

以下に、本発明の間仕切りパネル用の下部取付金具および間仕切りパネルの下部取付固定方法について、図面を参照しつつ詳細に説明する。

図１は本発明で使用する下部取付金具の一例を示す分解斜視説明図、図２は下部取付金具のベース部材の他の一例を示す斜視説明図、図３は同じくベース部材の他の一例を示す斜視説明図、図４、図５、図６は本発明の間仕切りパネルの下部取付固定方法の一例を工程順に示す斜視説明図、図７は本発明により完成した取付構造の一例を示す断面説明図である。

まず、図１〜図３にしたがって、本発明で使用する下部取付金具の一例について説明する。

図１に示したように、本発明の下部取付金具は、ベース部材１０と、パネル支持部材２０と、固定プレート３０とから構成されるものであり、これらの各部材を組立てて一体化することにより、間仕切りパネルの下部を床スラブ上に取付固定するために使用されるものである。

ベース部材１０は、間仕切りパネル下部小口面の少なくとも長手方向両側に延びる固定部１１と、この固定部１１の中間に位置しパネル下部小口面の幅方向に延びる挿通部１３を有する隆起部１２と、前記固定部１１に設けた挿通用の孔１４とからなるフランジ状を呈している。

また、図２に示したように、ベース部材１０の固定部１１は、間仕切りパネル下部小口面の長手方向と幅方向の両方へ延びていてもよい。

さらに、図２および図３に示したように、ベース部材１０の隆起部１２は、固定部１１から隆起したものではなく、固定部１１上に中空立方体を溶接固定することにより形成されたものであってもよい。

前記ベース部材１０のパネル下部小口面の幅方向長さを、間仕切りパネル下部小口面の幅よりも小さくすることにより、取付金具が床スラブの表面に露出することがなく、外観の見栄えを改善することが可能となる。

パネル支持部材２０は、間仕切りパネル下部小口面の幅方向に延びる支持板２１と、この支持板２１の中央から上方に突出し、下部小口面に設けた固定孔４２に挿入される支持柱２４と、前記支持板２１の両側から下方へ突出し、前記ベース部材１０の隆起部１２に形成した挿通部１３と連通可能な中空部２３を有する一対の逆段差部２２とからなるものである。

ここで、パネル支持部材２０の支持板２１のパネル下部小口面の幅方向長さもまた、間仕切りパネル下部小口面の幅よりも小さくすることにより、取付金具が床スラブの表面に露出することがなく、外観の見栄えを改善することが可能となる。

また、前記パネル支持部材２０の支持柱２４の直径が、間仕切りパネル下部小口面に設けた固定孔の直径よりもやや大きいことが好ましく、このようにすることにより、支持柱２４を固定孔へと嵌入させて、間仕切りパネルの取付固定強度を一層確実なものにすることが可能となる。

固定プレート３０は、ベース部材１０およびパネル支持部材２０の各挿通部１３および中空部２３とほぼ同じ厚さを持つプレート状を呈しており、ベース部材１０の隆起部１２にパネル支持部材２０の逆段差部２２を被せることにより連通した挿通部１３および中空部２３に挿入され、これらベース部材１０とパネル支持部材２０とを連結するするために機能する。

したがって、固定プレート３０の長さおよび幅は、それぞれパネル支持部材２０の支持板２１の最大長さおよび各挿通部１３および中空部２３の合計幅とほぼ等しいことが好ましい。

これら各ベース部材１０、パネル支持部材２０および固定プレート３０は、いずれも厚さが３〜６ｍｍ程度のステンレス鋼などの金属から一体加工または溶接加工により構成されたものであり、その組立て後の全体高さは約１００〜２００ｍｍの範囲にあることが望ましい。
また、パネル支持部材２０におけるパネル小口面の長さ方向寸法を８０〜１５０ｍｍとすると、パネルが安定して載置されて好ましい。

次に、上記の取付金具を使用して間仕切りパネルの下部を床スラブ上に取付固定する方法について、図４にしたがって説明する。

まず、図４、図５、図６に示したように、床スラブ５０上に固定部１１がパネル４０の下部小口面４１の長手方向に沿うようにベース部材１０を配置して、固定部１１に位置する各孔１４にコンクリート釘（ヒルティー）１５を打ち込むことにより、ベース部材１０を床スラブ５０上に固定する。
一方、パネル下部小口面４１に設けた固定孔４２に支持柱２４を嵌入させて、パネル支持部材２０をパネル下部小口面４１に固定する。
次いで、間仕切りパネル４０を上方から下ろしながら、ベース部材１０上にその隆起部１２を挟むようにして、パネル支持部材２０の逆段差部２２を重ね、両者を位置合わせして、取付金具の各部材が下部小口面４１から外部へはみださないように調整する。

そして、ベース部材１０の隆起部１２とパネル支持部材２０の逆段差部２２との間に連通した挿通部１３および中空部２３へ固定プレート３０を挿入し、ベース部材１０とパネル支持部材２０とを連結することにより、パネル下部小口面４１の床スラブ５０上への取付固定が完成する。

なお、上記において、例えば床スラブ５０上にフラットバーが設置してある場合には、コンクリート釘１５を使用する代わりに、このフラットバー上にベース部材１０の固定部１１を直接溶接固定することもできる。

かくして取付固定した取付構造は、図７に示したとおりであり、床スラブ５０上に取付固定された取付金具から上方へ直立した支持柱２４に、パネル下部小口面４１に形成した固定孔４２が嵌入された状態で、間仕切りパネル４０が床スラブ５０上に確実に取付固定されており、しかも取付金具は床スラブ５０上に露出することがなく、外部からは見えないため、外観の見栄えが著しく改善されたものとなる。
さらに、取付金具が床スラブ５０上に突出しないため、パネル表面に内装材（ボードなど）を貼着する際に、取付金具が干渉することがなくなり施工性も良くなる。

したがって、本発明の取付け固定方法は、床スラブ５０に形成された立ち上がり部に対して間仕切りパネル４０の下部を取付固定する場合に特に有利であるといえる。
また、取付金具をパネル外部に露出させることなく、１枚の間仕切りパネル単体を、床スラブ上に固定することも可能となる。

なお、このように取付固定された間仕切りパネル４０の外表面には種々の仕上げ加工を任意に施すことができ、また、間仕切りパネル４０の上部を建物の天井や梁などへ建込み固定するに際しては、通常使用されている方法を制限なく適用することが可能である。

そして、その際の仕上げ加工を適切なものとし、またパネルのその他の取付固定部分に使用する金具を適宜選択することによって、取付金具がパネル外部に全く露出せず、防錆処理の必要がなくかつ外観の見栄えを最大限に改善した間仕切りパネルの取付固定構造を実現することができる。

以上説明したように、本発明によれば、建物の床面に建て込まれて一つの部屋を複数の部屋に仕切るための間仕切りパネルを、床スラブの表面に取付金具が露出することなく、しかも優れた施工能率で、床スラブ上に確実に取付固定することができ、建築分野に対して与える貢献度は極めて大きいといえる。

本発明で使用する下部取付金具の一例を示す分解斜視説明図。 下部取付金具のベース部材の他の一例を示す斜視説明図。 同じくベース部材の他の一例を示す斜視説明図。 本発明の間仕切りパネルの下部取付固定方法の一例を工程順に示す斜視説明図。 固定プレートを挿通部および中空部へ挿入してベース部材とパネル支持部材とを連結する状態を示す斜視説明図。 固定プレートが中空部に完全に収まった状態を示す斜視説明図。 本発明により完成した取付構造の一例を示す断面説明図。

符号の説明

１０ ベース部材
１１ 固定部
１２ 隆起部
１３ 挿通部
１４ 孔
１５ コンクリート釘
２０ パネル支持部材
２１ 支持板
２２ 逆段差部
２３ 中空部
２４ 支持柱
３０ 固定プレート
４０ 間仕切りパネル
４１ 小口面
４２ 固定孔
５０ 床スラブ

Claims (7)

1. 間仕切りパネルの下部を床スラブ上に取付け固定するために使用する取付金具であって、
   前記間仕切りパネル下部の小口面の少なくとも長手方向両側に延びる固定部と、この固定部の中間に位置し前記パネル下部小口面の幅方向に延びる挿通部を有する隆起部と、前記固定部に設けた挿通用の孔とからなるベース部材、
   前記間仕切りパネル下部小口面の幅方向に延びる支持板と、この支持板の中央から上方に突出し、前記パネル下部小口面に設けた固定孔に挿入される支持柱と、前記支持板の両側から下方へ突出し、前記ベース部材の隆起部に形成した挿通部と連通可能な中空部を有する一対の逆段差部とからなるパネル支持部材、および 前記ベース部材の隆起部に設けた挿通部と、前記パネル支持部材の逆段差部に設けた中空部とに挿入され、これらベース部材とパネル支持部材とを連結する固定プレートとから構成されることを特徴とする間仕切りパネル用の下部取付金具。
2. 前記ベース部材の固定部が、前記間仕切りパネル下部小口面の長手方向と幅方向の両方へ延びていることを特徴とする請求項１に記載の間仕切りパネル用の下部取付金具。
3. 前記ベース部材およびパネル支持部材における前記間仕切りパネル下部小口面の幅方向長さは、前記間仕切りパネル下部小口面の幅よりも小さいことを特徴とする請求項１または２に記載の間仕切りパネル用の下部取付金具。
4. 前記パネル支持部材の支持柱の直径が、前記間仕切りパネル下部小口面に設けた固定孔の直径よりも大きいことを特徴とする請求項１〜３のいずれか１項に記載の間仕切りパネル用の下部取付金具。
5. 請求項１〜４のいずれか１項に記載の間仕切りパネル用の下部取付金具を用いて間仕切りパネル下部を床スラブ上に取付け固定するに際し、
   まず、前記床スラブ上に固定部が前記パネル下部小口面の長手方向に沿うようにベース部材を配置して、前記固定部に位置する各孔にコンクリート釘を打ち込むことにより、前記ベース部材を床スラブ上に固定し、
   次いで、前記パネル下部小口面に設けた固定孔に、パネル支持部材の支持柱を挿入すると共に、このパネル支持部材の逆段差部を前記ベース部材の隆起部に重ねて両者を位置合わせした後、
   前記ベース部材の隆起部と前記パネル支持部材の逆段差部との間に連通した挿通部および中空部へ、固定プレートを挿入することにより、前記ベース部材と前記パネル支持部材とを連結することを特徴とする間仕切りパネル下部小口面の取付け固定方法。
6. 前記床スラブ上にフラットバーが設置してあり、このフラットバー上に前記ベース部材の固定部を溶接固定することを特徴とする請求項５に記載の間仕切りパネル下部小口面の取付け固定方法。
7. 前記ベース部材を、床スラブの立ち上がり部に固定することを特徴とする請求項５または６に記載の間仕切りパネル下部小口面の取付け固定方法。
   
   

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